説明

被処理液の処理装置および処理方法

【課題】
組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスをより高濃度の状態で水等の被処理液に混合させることができる被処理液の処理装置および被処理液の処理方法を提供すること。
【解決手段】
減圧ポンプ5により容器3の内部の空気を吸引して容器3の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧する。次いで、容器3の内部の圧力が大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを浄化用ガス充填装置7により容器3の内部に充填する。次いで、容器3の内部の圧力が第二の圧力より高い第三の圧力になるまで容器3の内部に被処理液を被処理液注入ポンプ9により注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水,余剰汚泥または有機物含有水などの被処理液と、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスとを混合するための被処理液の処理装置および処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている高濃度溶存ガス水を製造する従来の装置においては、原水が注入されたタンク内に高圧ガス(酸素またはオゾン)が高圧ガス供給装置から充填され、タンク内の原水に高圧ガスが溶解して飽和されるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−59189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、高濃度溶存ガス水を製造する従来の装置は、タンク内に原水が注入された後、高圧ガス供給装置により高圧ガスを充填するようにしていたので、高圧ガスの圧力を十分に高くすることができなかった。
このため、このような従来の装置では、より高濃度の溶存ガスを原水に混合させることができなかった。
【0004】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスをより高濃度の状態で水等の被処理液に混合させることができる被処理液の処理装置および被処理液の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明に係る被処理液の処理装置は、容器と、前記容器の内部の空気を吸引して前記容器の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧する減圧装置と、前記減圧装置により前記第一の圧力に減圧された前記容器の内部の圧力が大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを前記容器の内部に充填する浄化用ガス充填装置と、前記浄化用ガス充填装置により前記第二の圧力に昇圧された前記容器の内部の圧力が前記第二の圧力より高い第三の圧力になるまで前記容器の内部に前記被処理液を注入する被処理液注入装置とを備えたものである。
【0006】
請求項2に記載した発明に係る被処理液の処理装置は、請求項1に記載の被処理液の処理装置において、前記容器の一方側と他方側とに両端がそれぞれ接続された循環路をさらに備え、前記容器の内部に充填された浄化用ガスと前記容器の内部に注入された被処理液とが前記循環路を介して前記容器の内部と外部とを循環可能に構成したことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載した発明に係る被処理液の処理装置は、請求項2に記載の被処理液の処理装置において、前記循環路の中途部に前記被処理液注入装置を接続し、前記第三の圧力になるまで前記容器の内部に前記被処理液注入装置により被処理液を注入したのち、この注入した被処理液を前記循環路を介して前記容器の外部に前記被処理液注入装置により吸出する工程と、この吸出した被処理液を前記循環路を介して再び前記容器の内部に前記被処理液注入装置により注入する工程とを繰り返すようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載した発明に係る被処理液の処理装置は、請求項1ないし請求項3のうち何れか一つに記載の被処理液の処理装置において、前記被処理液は、水,余剰汚泥または有機物含有水であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載した発明に係る被処理液の処理方法は、容器の内部の空気を吸引して前記容器の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧したのち、前記容器の内部の圧力が前記第一の圧力から大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを前記容器の内部に充填し、さらに引き続いて、前記容器の内部の圧力が前記第二の圧力からこの第二の圧力より高い第三の圧力になるまで前記容器の内部に被処理液を注入するようにしたものである。
【0010】
請求項6に記載した発明に係る被処理液の処理方法は、請求項5に記載の被処理液の処理方法において、前記容器の内部に充填された浄化用ガスと前記容器の内部に注入された被処理液とを循環路を介して前記容器の内部と外部とを循環させるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載した発明に係る被処理液の処理方法は、請求項5または請求項6に記載の被処理液の処理方法において、前記被処理液は、水,余剰汚泥または有機物含有水であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項5記載の発明によれば、容器の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧したのち、容器の内部の圧力が大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを容器の内部に充填するようにしたので、高濃度の浄化用ガスを容器の内部に充填することができる。
また、容器の内部の圧力が第二の圧力より高い第三の圧力になるまで容器の内部に被処理液を注入するようにしたので、浄化用ガスと被処理液とが高い圧力の下で混合され、浄化用ガス中のオゾンにより被処理液が好適に処理される。
【0013】
請求項2および請求項6記載の発明によれば、浄化用ガスと被処理液とが循環路を介して容器の内部と外部とを循環可能に構成したので、浄化用ガスと被処理液とが十分に混合され、浄化用ガス中のオゾンにより被処理液が一層好適に処理される。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、第三の圧力になるまで容器の内部に被処理液注入装置により被処理液を注入したのち、この注入した被処理液を循環路を介して容器の外部に被処理液注入装置により吸出する工程と、この吸出した被処理液を循環路を介して再び容器の内部に被処理液注入装置により注入する工程とを繰り返すようにしたので、容器の内部に被処理液を注入するために使用した被処理液注入装置が、浄化用ガスおよび被処理液を循環路を介して循環させるためにも利用され、被処理液の処理装置を単純にすることができる。
【0015】
請求項4および請求項7記載の発明によれば、被処理液が水,余剰汚泥または有機物含有水であるので、これらの被処理液を浄化用ガス中のオゾンにより好適に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る被処理液の処理装置の構成を示すブロック図である。図1において符号1で示すものは被処理液の処理装置を示しており、この処理装置1は、水,余剰汚泥または有機物含有水などの被処理液を貯留するための容器3と、この容器3の内部の空気を吸引して容器3の内部を減圧する減圧ポンプ5と、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを容器3の内部に充填する浄化用ガス充填装置7と、被処理液を注入するための被処理液注入ポンプ9とを備えている。減圧ポンプ5と被処理液注入ポンプ9とは、本発明でいう減圧装置と被処理液注入装置とをそれぞれ構成する。容器3の上部3aと下部3bとには、それぞれ容器3の一部を構成する接続部10a,10bが螺合または溶接によりそれぞれ固定されており、これらの接続部10a,10bは、手動による操作で開閉する開閉弁をそれぞれ備えている。
【0017】
容器3の一方側である接続部10aと他方側である接続部10bとに循環管11の一端部11aと他端部11bとがそれぞれ着脱自在に接続され、容器3の内部に充填された浄化用ガスと容器3の内部に注入された被処理液とが循環管11を介して容器3の内部と外部とを循環可能とされている。循環管11の内部は、本発明でいう循環路を構成する。循環管11の一端部11aは、接続部10aを介して、容器3の上部3aの内面に固定された散布装置13と連通しており、循環管11の一端部11aおよび接続部10aを介して流入した被処理液が散布装置13から容器3の内部に注入され下方に向かって散布される。
【0018】
循環管11の中途部には被処理液注入ポンプ9が接続され、循環管11における被処理液注入ポンプ9と循環管11の他端部11bとの間には、被処理液貯留槽14に貯留された被処理液を循環管11に導入するための導入管15が接続されている。
導入管15が接続された循環管11の部位と容器3との間における循環管11の中途部には、容器3内に貯留された被処理液を外部に排出するための排出管17が接続されている。
【0019】
導入管15が接続された循環管11の部位と排出管17が接続された循環管11の部位との間における循環管11の中途部には、電磁弁19aが配設されている。また、導入管15と排出管17とのそれぞれの中途部には、電磁弁19bと電磁弁19cとがそれぞれ配設されている。また、容器3の接続部10aと被処理液注入ポンプ9との間における循環管11の中途部には、電磁弁19dが接続されている。容器3の接続部10aと電磁弁19dとの間における循環管11の中途部には、吸引管21を介して減圧ポンプ5が接続されており、吸引管21を介して減圧ポンプ5により容器3の内部の空気が吸引され、減圧ポンプ5の排気管5aから外部に排気されることで容器3の内部が減圧される。
【0020】
吸引管21の中途部には、浄化用ガスを容器3の内部に充填するための浄化用ガス管23の一端部が接続され、浄化用ガス管23の他端部には浄化用ガス充填装置7が接続されている。浄化用ガス充填装置7には、酸素ガスが収容された酸素ボンベ25が酸素ガス供給管27を介して接続され、酸素ボンベ25内の酸素ガスが浄化用ガス充填装置7に導入され、浄化用ガス充填装置7の内部で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されて浄化用ガスが生成される。浄化用ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが1パーセントないし10パーセントで残りが酸素からなるガスをあげることができる。
【0021】
浄化用ガス管23が接続された吸引管21の部位と循環管11に接続された吸引管21の部位との間における吸引管21の中途部には、電磁弁19eが配設され、浄化用ガス管23が接続された吸引管21の部位と減圧ポンプ5との間における吸引管21の中途部には、電磁弁19fが接続されている。また、浄化用ガス管23の中途部には、電磁弁19gが接続されている。減圧ポンプ5を駆動するための減圧ポンプ駆動用電動モータ(図示せず)と、浄化用ガス充填装置7と、被処理液注入ポンプ9を駆動するための被処理液注入ポンプ駆動用電動モータ(図示せず)と、各電磁弁19a,19b,19c,19d,19e,19f,19gとは、それらを作動させるための電源を供給する電線(図示せず)を介して制御装置29にそれぞれ電気的に接続されている。また、圧力計31が、容器3の上部に接続され容器3の内部と連通しており、この圧力計31によって容器3内の圧力が計測される。
【0022】
次に、前述したように構成された処理装置1を使用して被処理液の処理を行う場合の処理方法について説明する。
(1)まず、容器3の接続部10a,10bの各開閉弁を共に開弁したのち、制御装置29の操作盤を作業者が操作して電磁弁19e,19fを開弁させると共に電磁弁19a,19c,19d,19gを閉弁させる。なお、電磁弁19bは、予め閉弁されている。
(2)次に、制御装置29の操作盤を作業者が操作して減圧ポンプ駆動用電動モータを作動させ、減圧ポンプ5により容器3の内部の空気を吸引して容器3の内部の圧力が大気圧より低い第一の圧力(例えば、0.01Pa(パスカル)ないし100Pa(パスカル)の間の何れかの圧力)になるまで減圧する。
【0023】
(3)次に、制御装置29の操作盤を作業者が操作して、電磁弁19fを閉弁させ、かつ、減圧ポンプ駆動用電動モータの作動を停止させて減圧ポンプ5の駆動を中止すると共に電磁弁19gを開弁させたのち浄化用ガス充填装置7を作動させて、容器3の内部の圧力が前記第一の圧力から大気圧より高い第二の圧力(例えば、0.3MPa(メガパスカル)ないし1MPa(メガパスカル)の間の何れかの圧力)になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを容器3の内部に充填する。浄化用ガスは、浄化用ガス管23と吸引管21の一部と循環管11の一端部11aとを介して散布装置13から容器3の内部に充填される。
【0024】
(4)次に、制御装置29の操作盤を作業者が操作して、電磁弁19eを閉弁させ、かつ、浄化用ガス充填装置7の作動を停止させたのち電磁弁19gを閉弁する一方、電磁弁19b,19dを開弁させると共に被処理液注入ポンプ駆動用電動モータを作動させて被処理液注入ポンプ9を駆動し、被処理液貯留槽14に貯留された被処理液を導入管15および循環管11を介して容器3の内部に注入する。これによって、容器3の上部3aに固定された散布装置13から被処理液が容器3の内部に注入され下方に向かって散布される。被処理液注入ポンプ9による被処理液の注入は、容器3の内部の圧力が前記第二の圧力からこの第二の圧力より高い第三の圧力(例えば、0.5MPa(メガパスカル)ないし2MPa(メガパスカル)の間の何れかの圧力)になるまで行われる。
なお、前記第一の圧力,第二の圧力および第三の圧力へのそれぞれの設定は、圧力計31を作業者が監視することで行われる。前記第一の圧力,第二の圧力および第三の圧力への設定が適切に行われることで、被処理液に対する浄化用ガス延いてはオゾンの所望の高い濃度が設定される。
【0025】
(5)次に、被処理液注入ポンプ駆動用電動モータを作動させて被処理液注入ポンプ9を駆動した状態で、制御装置29の操作盤を作業者が操作して、電磁弁19bを閉弁させると共に電磁弁19aを開弁させ、容器3の内部に充填された浄化用ガスと容器3の内部に注入された被処理液とを循環管11を介して容器3の内部と外部とを循環させる。これによって、容器3の内部に注入された被処理液(浄化用ガスが混合されたもの)が循環管11を介して容器3の外部に被処理液注入ポンプ9により吸出される工程と、この吸出された被処理液が循環管11を介して再び容器3の内部に被処理液注入ポンプ9により注入される工程とが繰り返される。このような循環管11を介した浄化用ガスと被処理液との循環を一定の時間行ったのち、制御装置29の操作盤を作業者が操作して被処理液注入ポンプ駆動用電動モータの作動を停止させ被処理液注入ポンプ9の駆動を中止する。
【0026】
(6)次に、浄化用ガスが混合された被処理液を容器3から取り出す場合は、制御装置29の操作盤を作業者が操作して電磁弁19cを開弁する。このとき、容器3と循環管11との内部は、前記第三の圧力(高い圧力)と略同じ圧力で保持されているので、この高い圧力の作用によって排出管17の排出口から被処理液が排出される。
なお、浄化用ガスが混合された被処理液が貯留された状態で容器3だけを処理装置1から取り外して該容器3を所望の場所に運搬する場合は、接続部10a,10bの各開閉弁を共に閉弁したのち、容器3の接続部10aと接続部10bとに接続された循環管11の一端部11aと他端部11bとを接続部10aと接続部10bとからそれぞれ取り外す。これによって、密閉された容器3内に浄化用ガスが被処理液と共に前記第三の圧力と略同じ高い圧力で保持された状態で容器3を所望の場所に運搬することができ、その場所で容器3の接続部10bを開弁して、浄化用ガスが混合された被処理液を容器3から取り出すことができる。その際、被処理液を取り出すための取出管を容器3の接続部10bに接続して、該取出管を介して被処理液を容器3から取り出すこともできる。
(7)また、処理装置1によって被処理液を新たに処理したい場合は、上述した(1)ないし(6)の作業を行う。
【0027】
上述したような処理装置1によって処理された被処理液が水の場合は、高濃度のオゾンを高い圧力の状態で含有するオゾン水を生成することができる。このようにして生成されたオゾン水は、医療機器,食品製造装置または汚染水の浄化装置等を洗浄および殺菌するために使用したり、繊維や紙等を脱色するために使用することができる。
また、上述したような処理装置1によって処理された被処理液が余剰汚泥の場合は、この余剰汚泥に含まれる有機性固形物が高濃度のオゾンにより分解され、微生物により処理されやすくなる。このため、このようにしてオゾンにより分解された余剰汚泥は、曝気処理装置に返送して再び曝気処理に供したり、嫌気性の下で発酵させてメタンガスの生産に供することができる。
なお、余剰汚泥とは、一般的に、下水処理場や屎尿処理場等の下水処理プロセス、食品工場や化学工場等の排水処理プロセス等から排出される生物分解性有機性廃水を曝気処理装置で好気性生物処理する際に、処理水と汚泥とに固液分離され、その分離された汚泥の一部が余剰の汚泥として取り扱われているものをいう。
【0028】
さらにまた、上述したような処理装置1によって処理された被処理液が有機物含有水の場合は、この有機物含有水に含まれる難生物分解性の高分子化合物が高濃度のオゾンにより分解されて低分子化され、微生物により処理されやすくなる。このため、このようにしてオゾンにより分解された有機物含有水は、曝気処理装置による曝気処理に供することができる。
なお、有機物含有水とは、一般的に、農薬,ダイオキシン,環境ホルモン等の有機性汚染物質により汚染された河川水、屎尿の生物処理水、半導体や液晶の製造工程で排出される工場排水等の有機物含有水をいう。
【0029】
上述したように構成された被処理液の処理装置1および被処理液の処理方法によれば、容器3の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧したのち、容器3の内部の圧力が第一の圧力から大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを容器3の内部に充填するようにしたので、高濃度の浄化用ガスを容器3の内部に充填することができる。
また、容器3の内部の圧力が第二の圧力からこの第二の圧力より高い第三の圧力になるまで容器3の内部に被処理液を注入するようにしたので、浄化用ガスと被処理液とが高い圧力の下で混合され、浄化用ガス中のオゾンにより被処理液が好適に処理される。
【0030】
また、浄化用ガスが被処理液と共に密閉された容器3の内部に高い圧力の状態で保持されることで、浄化用ガス中のオゾンの濃度が低下しにくくなる。一方、高い圧力の状態で保持された容器3の内部から外部に被処理液が取り出される場合は、急激に圧力が低下することになる。このため、被処理液が水の場合は、水に溶解していたオゾンが減圧時に気泡となり、洗浄,殺菌および脱色の効果が向上する。また、被処理液が余剰汚泥の場合は、その余剰汚泥に含まれる微生物の細胞膜が急激な減圧で破壊され、他の微生物により処理されやすくなる。
【0031】
また、この実施の形態による被処理液の処理装置1および被処理液の処理方法によれば、浄化用ガスと被処理液とが循環管11を介して容器3の内部と外部とを循環可能に構成したので、浄化用ガスと被処理液とが十分に混合され、浄化用ガス中のオゾンにより被処理液が一層好適に処理される。
【0032】
また、この実施の形態による処理装置1によれば、第三の圧力になるまで容器3の内部に被処理液注入ポンプ9により被処理液を注入したのち、この注入した被処理液を循環管11を介して容器3の外部に被処理液注入ポンプ9により吸出する工程と、この吸出した被処理液を循環管11を介して再び容器3の内部に被処理液注入ポンプ9により注入する工程とを繰り返すようにしたので、容器3の内部に被処理液を注入するために使用した被処理液注入ポンプ9が、浄化用ガスおよび被処理液を循環管11を介して循環させるためにも利用され、被処理液の処理装置1を単純にすることができる。
さらにまた、この実施の形態による被処理液の処理装置1および被処理液の処理方法によれば、被処理液が水,余剰汚泥または有機物含有水等であるので、これらの被処理液を浄化用ガス中のオゾンにより好適に処理することができる。
【0033】
なお、上述した実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後の被処理液の処理装置および処理方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0034】
例えば、上述した実施の形態においては、減圧ポンプ5を駆動するための減圧ポンプ駆動用電動モータと、浄化用ガス充填装置7と、被処理液注入ポンプ9を駆動するための被処理液注入ポンプ駆動用電動モータと、各電磁弁19a,19b,19c,19d,19e,19f,19gとは、作動させるべき時期に制御装置29の操作盤を操作してそれぞれ適宜作動させるようにしたが、本発明は、このような構成に代えて、制御装置29の操作盤を最初に操作するだけで、その後は、被処理液の処理が自動的に適宜行われるようにしてもよい。その場合は、処理装置1の運転中、容器3の内部の圧力を常に監視し、その圧力が前記第一の圧力,第二の圧力または第三の圧力に達したか否かを検出し、その検出信号を制御装置29の制御部に送信する圧力センサを設けると共に、浄化用ガスと被処理液とを被処理液注入ポンプ9により循環管11を介して循環させる時間を計測し、予め設定された時間に至った時、その旨の信号を制御装置29の制御部に送信するタイマ装置を制御装置29に設けるようにする。前記圧力センサやタイマ装置から制御装置29の制御部に信号が送信されることで、前記減圧ポンプ駆動用電動モータ,浄化用ガス充填装置7,被処理液注入ポンプ駆動用電動モータおよび各電磁弁19a,19b,19d,19e,19f,19gが制御装置29により適宜制御される。
【0035】
また、上述した実施の形態の被処理液の処理装置1においては、浄化用ガスが混合された被処理液が貯留された状態で容器3だけを処理装置1から取り外して所望の場所に運搬することができるように、容器3の接続部10aと接続部10bとに循環管11の一端部11aと他端部11bとをそれぞれ着脱自在に接続する例を示したが、被処理液が貯留された状態で容器3だけを処理装置1から取り外すことがなければ、接続部10aと接続部10bとを廃止して、循環管11の一端部11aと他端部11bとを容器3に螺合または溶接によりそれぞれ直接接続するようにしてもよい。
【0036】
さらにまた、上述した実施の形態の被処理液の処理方法においては、上述したような処理装置1を使用した被処理液の処理方法の例を示したが、本発明は、このような方法に代えて、他の処理装置を使用した被処理液の処理方法であってもよい。要は、容器3の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧したのち、容器3の内部の圧力が第一の圧力から大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを容器3の内部に充填するようにして、高濃度の浄化用ガスを容器3の内部に充填し、さらに、容器3の内部の圧力が第二の圧力からこの第二の圧力より高い第三の圧力になるまで容器3の内部に被処理液を注入することで、浄化用ガスと被処理液とが高い圧力の下で適切に混合され、浄化用ガス中のオゾンにより被処理液が好適に処理されるような処理装置であればどのような処理装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る被処理液の処理装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
1 処理装置
3 容器
5 減圧ポンプ(減圧装置)
7 浄化用ガス充填装置
9 被処理液注入ポンプ(被処理液注入装置)
11 循環管(循環路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器の内部の空気を吸引して前記容器の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧する減圧装置と、
前記減圧装置により前記第一の圧力に減圧された前記容器の内部の圧力が大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを前記容器の内部に充填する浄化用ガス充填装置と、
前記浄化用ガス充填装置により前記第二の圧力に昇圧された前記容器の内部の圧力が前記第二の圧力より高い第三の圧力になるまで前記容器の内部に前記被処理液を注入する被処理液注入装置とを備えた被処理液の処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の被処理液の処理装置において、
前記容器の一方側と他方側とに両端がそれぞれ接続された循環路をさらに備え、
前記容器の内部に充填された浄化用ガスと前記容器の内部に注入された被処理液とが前記循環路を介して前記容器の内部と外部とを循環可能に構成したことを特徴とする被処理液の処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の被処理液の処理装置において、
前記循環路の中途部に前記被処理液注入装置を接続し、
前記第三の圧力になるまで前記容器の内部に前記被処理液注入装置により被処理液を注入したのち、この注入した被処理液を前記循環路を介して前記容器の外部に前記被処理液注入装置により吸出する工程と、この吸出した被処理液を前記循環路を介して再び前記容器の内部に前記被処理液注入装置により注入する工程とを繰り返すようにしたことを特徴とする被処理液の処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうち何れか一つに記載の被処理液の処理装置において、
前記被処理液は、水,余剰汚泥または有機物含有水であることを特徴とする被処理液の処理装置。
【請求項5】
容器の内部の空気を吸引して前記容器の内部を大気圧より低い第一の圧力に減圧したのち、前記容器の内部の圧力が前記第一の圧力から大気圧より高い第二の圧力になるまで、組成ガスとしてオゾンを含む浄化用ガスを前記容器の内部に充填し、
さらに引き続いて、前記容器の内部の圧力が前記第二の圧力からこの第二の圧力より高い第三の圧力になるまで前記容器の内部に被処理液を注入するようにした被処理液の処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の被処理液の処理方法において、
前記容器の内部に充填された浄化用ガスと前記容器の内部に注入された被処理液とを循環路を介して前記容器の内部と外部とを循環させるようにしたことを特徴とする被処理液の処理方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の被処理液の処理方法において、
前記被処理液は、水,余剰汚泥または有機物含有水であることを特徴とする被処理液の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−99620(P2010−99620A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274996(P2008−274996)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】