説明

被加工物のプラズマ処理用の装置

本装置は、被加工物のプラズマ処理に利用されるものである。前記被加工物は、少なくとも部分的に真空引きを行うことができる処理ステーションのチャンバ内に差し込まれる。前記プラズマチャンバは、チャンバフロア、チャンバカバー、ならびにチャンバ側壁により限定され、位置調節が可能なガス吹込み用ランスを有している。前記ガス吹込み用ランスは、少なくともところどころ誘電体から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被加工物を受け入れるための少なくとも一つの真空引きが可能なプラズマチャンバを有しており、このプラズマチャンバが処理ステーションの領域に配置されており、さらにこのプラズマチャンバが、チャンバフロア、チャンバカバー、ならびにチャンバ側壁により限定され、位置調節が可能なガス吹込み用ランスを有している、被加工物のプラズマ処理用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、たとえばプラスチックに表面被覆を施すために導入されるものである。特に液体の充填用として予定される容器の内側または外側の表面を被覆するための、そのような装置も既に知られている。それ以外にも、プラズマ滅菌用の装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、ペットボトルの内部被覆用のプラズマチャンバが説明されている。被覆対象であるボトルは、可動式フロアにより持ち上げられてプラズマチャンバの中に入り、ボトルの口まわりでアダプタに接続される。このアダプタを貫いて、ボトル内部空間の真空引きを行うことができるようにしている。それ以外にもプロセスガスを供給するために、中空のガス吹込み用ランスが、このアダプタを貫きボトルの内部空間に挿入されるようになっている。プラズマの着火は、マイクロ波を使用して行われる。
【0004】
この刊行物からは、回転式ホイールの上に複数のプラズマチャンバを配置することも既に知られている。それにより、ボトルの単位時間当たりの高い生産速度を支援している。
特許文献2には、ボトルの内部空間を真空引きしてこれにプロセスガスを供給するための供給装置が説明されている。特許文献3には、ボトルの口まわりに前もって接続された可動式カバーにより、ボトルがプラズマチャンバの内部に挿入されるようになっている、プラズマチャンバが説明されている。
【0005】
特許文献4にも同様に、回転式ホイールの上に配置される複数のプラズマステーションが開示されており、そのような配置方式に関して、それぞれのチャンバならびにボトルの内部空間の有利な真空引きを支援するために、負圧ポンプおよびプラズマステーションをグループ毎に割り当てることが説明されている。それ以外にも、一つの共通プラズマステーションで、すなわち一つの共通のキャビティ内で、複数の容器を被覆することが言及されている。
【0006】
ボトルの内部被覆を実行するための、さらにもう一つの配置方式が、特許文献5に説明されている。そこには特に、プラズマチャンバの上方に配置されるマイクロ波生成器とならび、プラズマチャンバのフロアを貫く負圧および作動媒体の供給ラインが説明されている。
【0007】
特許文献6には既に、被覆対象であるパリソンの内部空間に入り込むことができる、プロセスガスの供給に利用される、ガス吹込み用ランスが説明されている。このガス吹込み用ランスは、容器の長手方向に、その位置を調節できるようになっている。
【0008】
上述の公知である装置の大半で、熱可塑性プラスチック材料のバリヤ特性を改善するために、プラズマにより生成される、一般化学式SiOxで表わされるケイ素酸化物から成る容器皮膜が使用されるようになっている。そのようなバリヤ皮膜により、充填された液体に酸素が侵入するのが妨げられるとともに、CO2を含有した液体では、炭素ガス抜けが妨げられる。
【0009】
上述のこれまでに公知である装置は、低い被覆単価の達成も高い生産速度の達成も要求される大量生産への導入には、まだ十分に適したものとはなっていない。
特に、マイクロ波がガス吹込み用ランスの中に入り込むと同時に、被覆チャンバに隣接して配置されるバルブブロックの領域でガス吹込み用ランスを取り囲んでいる環状隙間の中にも伝播するという問題を生じている。プロセスガスは、ガス吹込み用ランスの内部空間にも、またバルブブロックの領域内にも存在するために、侵入するマイクロ波は、この領域においてもプラズマの着火を来たし、またそれにより加速効果を来たしてしまう。これらの望まざる被覆により、第一に使用に供される流れ断面積が狭められる以外にも、当該構成要素の可動性が阻害されることになる。バルブブロック領域のバルブに関しては、特にある程度の稼働時間を経た後には、密な閉弁状態をもはや達成できなくなるために、頻繁な保守サイクルや清掃作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願公開第95/22413号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1010773号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第01/31680号明細書
【特許文献4】国際特許出願公開第00/58631号明細書
【特許文献5】国際特許出願公開第99/17334号明細書
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第102004020185号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、メンテナンスコストが低減される一方でトラブルの少ない稼動の一助となるように、冒頭に記した種類の装置を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、ガス吹込み用ランスが少なくともところどころ誘電体から構成されることにより解決される。
本発明により、従来技術にしたがって使用される金属性の管状ガス吹込みランスにより、ボトルホルダの内部空間およびバルブブロックの領域内へのマイクロ波の望まざる伝播が助長されることが判明した。誘電性のガス吹込み用ランスを使用することにより、マイクロ波の相応の伝播に対抗することになる。
【0013】
それ以外にも、誘電性のガス吹込み用ランスの使用が、ボトルのさまざまな幾何形状や製品の異なる要求項目に対する被覆プロセスの適合化を支援することが判明した。ガス吹込み用ランスは、具体的な被覆要求項目に応じて、被覆対象である容器内のさまざまな位置に突出することになる。このときに金属性のガス吹込み用ランスであれば、マイクロ波の伝播に影響を与えるために、従来技術の場合は、ガス吹込み用ランスのその時々の調節位置に応じた、生成されるマイクロ波の適合化が必要となる。誘電性のガス吹込み用ランスを使用した場合は、ガス吹込み用ランスの具体的な調節位置に関係なく、マイクロ波の伝播にさしたる影響を一切生じないことが判明しているために、プロセスを大幅に簡単に制御できるようになる。
【0014】
ガス吹込み用ランスの外側が、少なくともところどころ誘電体から構成されることにより、高い機械的安定性と同時に、作用するマイクロ波に備えたシールド効果が達成される。
安価な構造を得る一助となるように、ガス吹込み用ランスは管状に構成され、少なくともところどころ管壁の肉厚全体にわたり誘電体から構成される。
【0015】
少なくともプラズマチャンバ内に突出しているガス吹込み用ランスの領域が、誘電体から構成されることにより、ガス吹込み用ランスの調節位置による共振特性の変化を回避することができる。
【0016】
少なくとも、被加工物を位置決めする保持要素のプラズマチャンバと対向した領域により取り囲まれているガス吹込み用ランスの領域が、誘電体から構成されることにより、マイクロ波がプラズマチャンバの領域外に出ることが回避される。
【0017】
少なくとも、チャンバソケットのプラズマチャンバと対向した領域により取り囲まれているガス吹込み用ランスの領域が、誘電体から構成されることにより、チャンバソケットの領域の意図せざる被覆を防止することができる。
【0018】
バルブまたは真空通路の意図せざる被覆を回避するために、少なくとも、バルブブロックのプラズマチャンバと対向した領域により取り囲まれているガス吹込み用ランスの領域が、誘電体から構成されることが提案される。
【0019】
ガス吹込み用ランスが完全に誘電体から構成されることにより、ガス吹込み用ランスの非常に簡単に製造可能な構造が提供される。
ガス吹込み用ランスが、半径方向に上下に重ねて配置される少なくとも二種類の誘電体から構成されることにより、異なる材料特性の組み合わせが達成される。
【0020】
それ以外にも、ガス吹込み用ランスを長手方向に上下に重ねて配置される少なくとも二種類の誘電体から構成することも想定されている。
誘電体を少なくとも部分的に炭素製とすることにより、有利な誘電特性がもたらされる。
【0021】
誘電体を少なくとも部分的に炭素繊維製とすることによっても、高い機械的安定性が達成される。
誘電体を少なくとも部分的にセラミックス製とすることにより、作用するプロセスガスによるガス吹込み用ランスの摩耗を大幅に低減することができる。
【0022】
誘電体が少なくとも部分的にプラスチック製であると、ガス吹込み用ランスの安価な製造に寄与することになる。
図面には、本発明の実施例が略図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】回転式プラズマホイールに複数のプラズマチャンバが配置されており、プラズマホイールが供給ホイールおよび排出ホイールと連結されている、プラズマモジュール原理図である。
【図2】それぞれのプラズマステーションにプラズマチャンバが二つずつ備えられている、図1と同様の配列を示す図である。
【図3】複数のプラズマチャンバを有するプラズマホイールの見取り図である。
【図4】キャビティを有するプラズマステーションの見取り図である。
【図5】プラズマチャンバが閉じた状態にある、図4に示される装置の前面図である。
【図6】図5の線VI−VIに沿って切り取ったときの断面図である。
【図7】プラズマチャンバ内で被加工物を保持するための接続要素、ならびに被加工物の内部に挿入可能なガス吹込み用ランスの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の図から、回転式プラズマホイール2が備えられたプラズマモジュール1を確認することができる。プラズマホイール2の外周に沿って、複数のプラズマステーション3が配置されている。それぞれのプラズマステーション3には、処理対象である被加工物5を受け入れるためのキャビティ4ないしはプラズマチャンバ17が備えられている。
【0025】
処理対象である被加工物5は、プラズマモジュール1の搬入部6の領域に供給され、ばらしホイール7により位置調節式支持アーム9が備えられた受渡しホイール8に送られる。支持アーム9は、受渡しホイール8の軸受台10に対して揺動自在に配置されることにより、被加工物5の相互間距離の変更を実行できるようにしている。それにより、受渡しホイール8から供給ホイール11への被加工物5の引渡しは、ばらしホイール7に対して被加工物5の相互間距離を拡大して行われることになる。供給ホイール11は、処理対象である被加工物5をプラズマホイール2に引き渡す。処理の実行後に、処理済みの被加工物5は排出ホイール12によりプラズマホイール2の領域から取り出されて、搬出路13の領域に搬送される。
【0026】
図2に示される実施形態においては、それぞれのプラズマステーション3に、キャビティ4ないしはプラズマチャンバ17が二つずつ備えられている。それにより、それぞれ二つの被加工物5を同時に処理できるようにしている。そこでは、それぞれのキャビティ4を互いから完全に切り離して構成することが基本的に可能であるが、すべての被加工物5の最適被覆が保証されるように、一つの共通キャビティ室の内部を単純に仕切ることによって複数の部分領域を設けるようにすることも、基本的には可能である。これについては特に、それぞれの部分キャビティを、少なくともマイクロ波を個別に入射することにより、互いから仕切ることが想定される。
【0027】
図3には、プラズマホイール2が部分的に組み付けられた状態にあるプラズマモジュール1の見取り図が示されている。プラズマステーション3は、回転接続部の部材として構成され受け台15の領域に支承される支持リング14の上に配置されている。プラズマステーション3はいずれも、プラズマチャンバ17を保持するステーションフレーム16を有している。プラズマチャンバ17は、円筒形状のチャンバ壁面18ならびにマイクロ波生成器19を有している。
【0028】
プラズマホイール2の中央には、それぞれのプラズマステーション3に作動媒体ならびにエネルギを供給するために利用される回転式分配装置20が配置されている。作動媒体を分配するためには、特に環状導管21が組み込まれるようにするとよい。
【0029】
処理対象である被加工物5は、円筒形状のチャンバ壁面18の下側に示されている。プラズマチャンバ17の下側部分は、簡素化のためにいずれも書き込まれていない。
図4には、プラズマステーション3が見取り図で示されている。そこから確認することができるように、ステーションフレーム16にはガイドロッド23が備えられており、これに沿って、円筒形状のチャンバ壁面18を保持するためのキャリッジ24が案内されるようになっている。図4には、これらのキャリッジ24がチャンバ壁面18ともども上昇された状態にあり、このため被加工物が露出状態で示されている。
【0030】
プラズマステーション3の上側の領域には、マイクロ波生成器19が配置されている。マイクロ波生成器19は、ダイバータ25およびアダプタ26を介在して、プラズマチャンバ17の内部に開口している入射ダクト27に接続されている。基本的にマイクロ波生成器19は、チャンバカバー31の領域に直接連結されてもよいし、間隔保持要素を間に挟み、チャンバカバー31までの予め設定可能な距離をおいて、チャンバカバー31に連結される、すなわちチャンバカバー31のかなり広い周辺領域に配置されるようにしてもよい。アダプタ26は、遷移要素としての機能を担い、また入射ダクト27は同軸導体として構成されている。入射ダクト27がチャンバカバー31に開口している領域には、石英ガラス窓が配置されている。ダイバータ25は、導波管として構成されている。
【0031】
被加工物5は、チャンバフロア29の領域に配置される保持要素28により位置決めされるようになっている。チャンバフロア29は、チャンバソケット30の部材として構成されている。調整を容易にするために、チャンバソケット30は、ガイドロッド23の領域に取り付けられるようになっている。別の変形例として、チャンバソケット30をステーションフレーム16に直接取り付けることもできる。そのような配置構成の場合は、たとえばガイドロッド23を鉛直方向に二分割式の仕様とすることも可能である。
【0032】
図5には、プラズマチャンバ17が閉じた状態にある、図3に示されるプラズマステーション3の前面図が示されている。そこではキャリッジ24がチャンバ壁面ともども図4の位置に対して下降されており、その結果チャンバ壁面18はチャンバフロア29に突き当たっている。この位置に調節された状態にあるときに、プラズマ被覆を実行することができる。
【0033】
図6には、図5に示される配列が鉛直断面図で示されている。そこでは特に、入射ダクト27がチャンバカバー31に開口しており、側方に突出するフランジ32を有していることを確認することができる。このフランジ32の領域にはシール33が配置されているが、これは、チャンバ壁面18の内フランジ34により押圧されるようになっている。それにより、チャンバ壁面18が下降状態にあるときには、チャンバ壁面18がチャンバカバー31に対して封止されるようにしている。さらにもう一つのシール35をチャンバ壁面18の下側領域に配置することにより、そこでもチャンバフロア29に対する封止を保証している。
【0034】
図6に示される調節位置においては、チャンバ壁面18がキャビティ4を取り囲んでいるために、キャビティ4の内部空間も、また被加工物5の内部空間も、真空引きが可能となっている。プロセスガスの供給を支援するために、チャンバソケット30の領域に、被加工物5の内部空間に繰り出せるようになっている中空のガス吹込み用ランス36が配置されている。ガス吹込み用ランス36の位置調節を実行するために、ガス吹込み用ランス36は、ガイドロッド23に沿って位置を調節可能なランス用キャリッジ37に保持されている。このランス用キャリッジ37の内部には、プロセスガス通路38が延びており、図6に示される調節後の上昇位置において、このプロセスガス通路38は、チャンバソケット30のガスポート39に連結されている。このように配置することによって、ランス用キャリッジ37にホース状の接続要素を備えることを回避している。
【0035】
図7に示される調節位置においては、ガス吹込み用ランス36に組み付けられたプッシュディスク45が外フランジ44に押し当てられて、保持要素28をその上側の最終調節位置に押し付けている。この調節位置においては、被加工物5の内部空間がキャビティ4の内部空間に対して隔離されている。ランス36が下降状態にあるときには、圧縮コイルばね43により保持要素28がガイドスリーブ41に対して相対的に変位されることによって、被加工物5の内部空間とキャビティ4の内部空間との連通状態がもたらされるようにしている。
【0036】
しかし、上記で説明したプラズマステーションの構成方式の代わりに、本発明にしたがって、組み合わされている支持構造に対する相対運動を不可能としたプラズマチャンバ17の内部に、被加工物5が挿入されるようにすることも可能である。同様に上記で説明した、被加工物5の口を鉛直下向きにして行われる被覆に代わり、被加工物5の口を鉛直上向きにして被覆を実行することも可能である。特に、ボトル形状の被加工物5の被覆を実行することが想定されている。そのようなボトルは、熱可塑性プラスチックから構成されたものであっても同様に好適である。好適にはPETまたはPPの使用が想定される。さらにもう一つの好ましい実施形態においては、被覆後のボトルが、飲料を入れるために利用されるようになっている。
【0037】
次に典型的な処理工程を、被覆工程の例で説明するが、これは、最初に供給ホイール11を使用して被加工物5をプラズマホイール2に搬送し、スリーブ状のチャンバ壁面18を上に押し上げた状態で、被加工物5をプラズマステーション3の内部に差し込むことにより実行される。この差込み工程の完了後に、チャンバ壁面18をその封止位置に下降させ、まずキャビティ4ならびに被加工物5の内部空間の真空引きを同時に実行する。
【0038】
キャビティ4の内部空間の十分な真空引きの後、ランス36を被加工物5の内部空間に繰り出して、保持要素28の変位により、キャビティ4の内部空間に対する被加工物5の内部空間の隔絶を実行する。同様に、ガス吹込み用ランス36が、キャビティ内部空間の真空引きの開始と同期で既に、被加工物5の内部に繰り出されるようにすることもできる。続いて被加工物5の内部空間の圧力をさらに一段と低下させる。それ以外にも、ガス吹込み用ランス36の位置調節運動を、少なくとも部分的にチャンバ壁面18の位置調節と並行して既に実行することも想定される。十分に低い負圧に達した後に、被加工物5の内部空間にプロセスガスが導入され、マイクロ波生成器19を利用してプラズマ着火が行われる。特に、プラズマを利用して、被加工物5の内側の表面上に、カップリング剤も、またケイ素酸化物から成る本来のバリヤ皮膜も析出させることが想定されている。
【0039】
被覆工程の完了後に、ガス吹込み用ランス36は再び被加工物5の内部空間から取り出されて、プラズマチャンバ17ならびに被加工物5の内部空間への通気が行われる。キャビティ4の内部が雰囲気圧に達した後には、被覆後の被加工物5の取出し、ならびに被覆されなければならない新たな被加工物5の供給を実行するために、チャンバ壁面18は再び上昇される。
【0040】
チャンバ壁面18、シール要素28、および/またはガス吹込み用ランス36の位置調節は、異なる駆動ユニットを使用して行われるとよい。基本的には空気圧式駆動装置および/または電気式駆動装置を、特に実施形態の一例においてはリニアモータとして使用することが考えられる。しかし特にプラズマホイール2の回転と正確に協調した運動を支援するために、ラジアルカムによる制御を実現することが想定される。ラジアルカムによる制御は、たとえば、プラズマホイール2の外周に沿って複数のラジアルカムを配置し、これらに沿ってカムローラが案内されるようにすることで、実施されるとよい。これらのカムローラは、位置調節の対象である構成要素にそれぞれ連結されている。
【0041】
ガス吹込み用ランス36の材料に関しては、少なくとも、プラズマチャンバ17の内部に突出しているガス吹込み用ランス36の部分が、少なくともところどころ誘電体から構成されている。特にガス吹込み用ランス36の、プラズマチャンバ17の内部に配置される領域も、また保持要素28のプラズマチャンバ17と対向した部分の内側に配置される領域も、誘電体から構成されることが想定されている。
【0042】
製造技術上の観点からは、ガス吹込み用ランス36の全体を誘電材料から構成すると非常に有利であることが判明している。それにより、必要に応じて必要数のガス吹込み用ランス36に分割することができる、安価な管状要素を使用できるようになる。たとえば、そのような管をプラスチックから構成して押出し成形することも可能となる。
【0043】
用途に応じてカットされる出発材料を使用することにより、ガス吹込み用ランス36の時間がかかる清掃工程を断念し、その代わりに、汚れたガス吹込み用ランス36に代えて新品のガス吹込み用ランス36を使用することが可能となる。それにより必要な保守時間を大幅に短縮することができるために、ガス吹込み用ランス36を僅かな材料価格で大量生産することにより、経済的なメリットを達成することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 プラズマモジュール
2 プラズマホイール
3 プラズマステーション
4 キャビティ
5 被加工物
6 搬入部
7 ばらしホイール
8 受渡しホイール
9 支持アーム
10 軸受台
11 供給ホイール
12 排出ホイール
13 搬出路
14 支持リング
15 受け台
16 ステーションフレーム
17 プラズマチャンバ
18 チャンバ壁面
19 マイクロ波生成器
20 回転式分配装置
21 環状導管
23 ガイドロッド
24 キャリッジ
25 ダイバータ
26 アダプタ
27 入射ダクト
28 保持要素
29 チャンバフロア
30 チャンバソケット
31 チャンバカバー
32 フランジ
33 シール
34 内フランジ
35 シール
36 ガス吹込み用ランス
37 ランス用キャリッジ
38 プロセスガス通路
39 ガスポート
41 ガイドスリーブ
43 圧縮コイルばね
44 外フランジ
45 プッシュディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物のプラズマ処理用の装置であって、被加工物を受け入れるための少なくとも一つの真空引きが可能なプラズマチャンバを有しており、前記プラズマチャンバが処理ステーションの領域に配置されており、さらに前記プラズマチャンバが、チャンバフロア、チャンバカバー、およびチャンバ側壁により画定され、位置調節が可能なガス吹込み用ランスを有する、装置において、前記ガス吹込み用ランス(36)が少なくともところどころ、誘電体から構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ガス吹込み用ランス(36)の外側が、少なくともところどころ前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガス吹込み用ランス(36)が管状に構成され、少なくともところどころ管壁の肉厚全体にわたり前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、少なくとも、前記プラズマチャンバ(17)の内部に突出しているその領域で、前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、少なくとも、前記被加工物を位置決めする保持要素(28)の前記プラズマチャンバと対向した領域によって取り囲まれている領域で、前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、少なくとも、チャンバソッケル(30)の前記プラズマチャンバと対向した領域によって取り囲まれている領域で、前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、少なくとも、バルブブロックの前記プラズマチャンバと対向した領域によって取り囲まれている領域で、前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、完全に前記誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、半径方向に上下に重ねて配置される少なくとも二種類の誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ガス吹込み用ランス(36)が、長手方向に上下に重ねて配置される少なくとも二種類の誘電体から構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体が少なくとも部分的に炭素製であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記誘電体が少なくとも部分的に炭素繊維製であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体が少なくとも部分的にセラミックス製であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記誘電体が少なくとも部分的にプラスチック製であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−539333(P2010−539333A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525189(P2010−525189)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001351
【国際公開番号】WO2009/036722
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】