説明

被包装物の圧縮充填方法

【課題】軽くて嵩のある性状の被包装物を複数回に分けて圧縮し小嵩にした状態で包装袋に充填することにより被包装物の一部が外へ飛び出すことを抑制すると共に包装能力を向上させた圧縮充填方法を提供すること。
【解決手段】放出口が開閉自在に設けられた漏斗21を昇降自在に設けると共に計量手段から当該漏斗内に削り節k等の被包装物を押圧する押し棒25を上下方向に移動自在に設けた圧縮充填手段を充填工程に設け、計量手段から複数回に分けて漏斗内に投入される被包装物に対して、投入の都度又は所定の投入回数毎に押し棒25により圧縮して嵩を小さくする作業を繰り返して行ない、ついで、包装袋(a)の袋口(b)に漏斗21の放出口22が挿入されるとほぼ同時に、その放出口を開放して小嵩にされた被包装物を押し棒により押し込んで当該包装袋に充填し、被包装物の充填後に漏斗及び押し棒を当該包装袋の袋口から脱出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽くて嵩があって舞い上がりやすい削り節等の被包装物を圧縮して小嵩にした状態で包装袋に自動的に充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス充填式包装機における被包装物の圧縮充填方法の一例を図8に示す。この方法は、包装機のグリップ対(図示せず)により吊り下げ状に支持された包装袋(a)の袋口(b)に、充填工程にて漏斗(c)の固定部に装着されて昇降自在とされた可動漏斗部(d)を臨ませた状態で計量手段のシュート(s)から所定量の被包装物(f)を2回乃至3回に分けて漏斗(c)を経て包装袋(a)内に投入し、ついで、押し棒(e)により被包装物(f)を押し込んで圧縮する動作を投入毎に行なっている。
【0003】
ところが、被包装物が削り節のように軽くて嵩のある性状の場合には、包装袋(a)への投入、押し棒(e)による押込み・圧縮時に舞い上がり易く、その一部が外へ飛び出してしまうとか、袋口(b)の内面に付着することがある。また、被包装物が包装袋内に嵩高に収まった状態の場合には、後工程で包装袋にノズルを挿入して不活性ガスを注入する際に被包装物(f)が舞い上がってしまうことから、ガス充填作業に支障を生じる。
【0004】
本件出願人は上述のような不具合を解消するために、特許文献1に開示された被包装物の圧縮充填方法を開発している。この方法は、削り節等の軽くて嵩のある性状の被包装物を漏斗内で圧縮して小嵩にした状態にて包装袋に充填しているので、被包装物の舞い上がりが少なく、ガス充填作業も円滑に行なうことができる。しかし、被包装物の削り節の正味量が100g程度までの包装に対応することができるが、正味量が500gの場合には舞い上がりが多くなって確実に対応することが難しい。因みに、本件出願人に係る包装機において、500gの削り節を3回に分けて計量したものを順次包装袋に投入し、袋内で削り節を押し込んで体積を小さくする方法を試みたところ、削り節の舞い上がり・飛び出しが多く発生していた。その包装機の包装能力については、毎分4袋である。なお、500gの削り節を1回で包装袋に投入すると、舞い上がり状態が長く続いて袋内に落ち着くのに時間がかかるという不都合を生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4639369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、軽くて嵩のある性状の被包装物を複数回に分けて圧縮し小嵩にした状態で包装袋に充填することにより被包装物の舞い上がり・飛び出しを抑制すると共に包装能力を向上させた被包装物の圧縮充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、単数若しくは複数のグリップ対を備えた移動体を複数の工程に間欠停止して移動させ、各グリップ対により吊り下げ状に支持された包装袋に充填工程で所定量の圧縮可能な被包装物を充填して袋口を施封する包装機を使用し、
放出口が開閉自在に設けられた漏斗を第1駆動機構により昇降自在に設けると共に計量手段から当該漏斗内に投入される軽くて嵩のある性状の被包装物を押圧する押し棒を第2駆動機構により上下方向に移動自在に設けた圧縮充填手段を前記充填工程に設け、
計量手段から複数回に分けて前記漏斗内に投入される被包装物に対して、投入の都度又は所定の投入回数毎に前記押し棒により圧縮して嵩を小さくする作業を繰り返して行ない、ついで、包装袋の袋口に前記漏斗の放出口が挿入されるとほぼ同時に、その放出口を開放して小嵩にされた被包装物を前記押し棒により押し込んで当該包装袋に充填し、被包装物の充填後に前記漏斗及び押し棒を当該包装袋の袋口から脱出させると共に当該漏斗の放出口を閉じさせることを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の被包装物の圧縮充填方法において、前記被包装物の圧縮作業時に、前記押し棒を上下に動かして被包装物の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なうことを特徴とするものである。
【0009】
漏斗内における圧縮作業時に、押し棒を上下に動かして被包装物の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なうことにより、内部の空気が少しずつ外へ追い出されて確実に小嵩化を施すことができる。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明)
この被包装物の圧縮充填方法によれば、削り節等の軽くて嵩のある性状の被包装物を複数回に分けて漏斗内へ投入し圧縮する作業を繰り返し行なって小嵩にした状態で包装袋に充填するので、包装袋に充填する際に被包装物の舞い上がりが少なくなると共に外へ飛び出すことが抑制される。さらに、本件出願人に係る包装機において、従来の圧縮充填方法では500gの削り節を袋詰めするのに毎分4袋を袋詰めしていたのに対し、本発明方法では毎分8袋を袋詰めすることができるため、著しく包装能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る被包装物の圧縮充填方法を適用したガス充填式包装機の平面図
【図2】同、正面図
【図3】第1実施例の被包装物の圧縮充填方法における一連動作を示す説明図
【図4】同、圧縮・充填作業を説明する模式図
【図5】第1実施例の圧縮・充填作業に係るタイムチャート
【図6】第2実施例の被包装物の圧縮充填方法における一連動作を示す説明図
【図7】第2実施例の圧縮・充填作業に係るタイムチャート
【図8】従来の圧縮充填方法における一連動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0013】
本発明に係る「被包装物の圧縮充填方法」を適用したガス充填式包装機Pを図1、図2に示す。この包装機Pは、給袋装置10、圧縮充填手段20、計量装置50、不活性ガス供給装置等を備えており、給袋工程(1)、賞味期限等の印字工程(2)、開口工程(3)、被包装物の圧縮充填・押込み工程(4)、袋口に付着する被包装物を吹き飛ばす工程(5)、仮付けシール・ノズル挿入工程(6)、ガス充填・モミホグシ工程(7)〜(10)、トップシール工程(11)、シール部の冷却・製品排出工程(12)の12工程からなる。この実施例1、実施例2で取り扱う被包装物については、正味量500gの軽くて舞い上がり易い性状の削り節(k)である。そして、包装袋の大きさは、幅340mm〜380mm、長さ400〜550mmである。
【0014】
なお、この実施の形態例では、本発明方法をロータリー方式のガス充填式包装機Pに適用して説明するが、公知の直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0015】
この包装機Pは、縦向きの間欠回転軸3を回転自由に支持するスタンド2を機台1上に設け、その間欠回転軸3の上端部に取り付けられた円盤状回転体4に、包装袋(a)を掴着又は釈放するための12個のグリップ対(g)が間欠回転軸3を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。5は回転体4上に間欠回転軸3を中心として等角度間隔に立設された2本一組のガイドバー、6は一組毎のガイドバー5に夫々摺動可能に設けられたブラケットである。各々のブラケット6には、対応するグリップ対(g)の中央位置にガス充填用ノズル7が取り付けられている。それらガス充填用ノズル7は、図示しない昇降制御手段により仮付けシール工程・ノズル挿入工程(6)にて包装袋(a)内に挿入されて不活性ガスを注入し、トップシール工程(11)にて袋口(b)にトップシールを施してから包装袋(a)から脱出させるように設けられている。
【0016】
なお、上記ガス充填ノズル7を特定工程で昇降させる昇降機構については、本件出願人の所有する特許第2884064号の特許公報により開示された内容に準じた構成とする。また、ガス充填ノズル7については、不活性ガス供給装置から所定圧力の窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスが供給されるように設けられている。不活性ガス供給システムについては、本件出願人の所有する特許第2619795号の特許公報により開示された内容に準じた構成とする。
【0017】
給袋工程(1)に配置された給袋装置10は、供給台11上に積み重ねられる多数の包装袋(a)を、図示しない吸盤を備えた吸着手段によって上方から一枚ずつ分離して袋口(b)を上にして吊り下げた状態でグリップ対(g)に供給する公知の構造とされている。
【0018】
仮付けシール手段については、本件出願人の所有する特許第2668324号の特許公報により開示された内容に準じた構成とする。
【0019】
圧縮充填手段20は、被包装物の圧縮充填・押込み工程(4)に配置されている。図2、図3に示すように、圧縮充填手段20の漏斗21は、サーボモータ装置とスライドユニットなどを組み合わせた機構からなる第1駆動機構(図示せず)により昇降自在に設けられている。漏斗21は、上方に向かって拡がるラッパ形状の上口21aと一体形成された円円筒形胴部21bの下部に設けられた嘴状の一対の開閉片23によって放出口22を開閉自在に設けている。
【0020】
25は包装機Pに付設された計量手段50のシュート51から漏斗21内に投入される軽くて嵩のある性状の削り節(k)を押圧するための押し棒である。押し棒25は直線形の柄26の下部に円柱状ヘッド27を固定した杵形態とされていて、図示しないサーボモータ装置とスライドユニットなどからなる第2駆動機構(図示せず)により所定範囲内のストロークで上下方向に移動自在に設けられている。
【0021】
また、前記第2駆動機構による押し棒25の上下動作に加えて、空圧シリンダ等のアクチュエータ(図示せず)により押し棒25を小ストロークで往復移動可能とし、削り節(被包装物)の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なわせて削り節(k)の小嵩化を促進可能に設けている。
【0022】
しかして、計量手段50から複数回に分けて漏斗21内に投入される削り節(k)に対して、投入の都度又は所定の投入回数毎に押し棒25により圧縮して嵩を小さくする作業を繰り返し行ない、ついで、包装袋(a)の袋口(b)に漏斗21の放出口22が挿入されるとほぼ同時に、閉鎖状態の開閉片23を開放して小嵩にされた削り節(k)を押し棒25により当該包装袋(a)内に押し込んで充填し、削り節(k)の充填後に漏斗21及び押し棒25を袋口(b)から脱出させると共に漏斗21の放出口22を再び閉じる圧縮充填手段20が構成される。
【0023】
(実施例1)
この実施例では、正味量500gの削り節(k)を4回に分けて(1回あたり:125g)、圧縮・充填作業を行う場合について説明する。
【0024】
(1)図3、図4において、計量手段50から1回目の削り節(k):125gが漏斗21内に投入される。漏斗21の円筒形胴部21bにおける削り節(k)の高さは、150mm。
(2)続いて2回目の削り節(k):125gが投入される。削り節(k)の高さは、1回目と合わせて300mm。
(3)ついで、押し棒25が第2駆動機構の作動により下降し、削り節(k)が円筒形胴部21b内で300mmの高さから100mmの高さに圧縮される。
(4)押し棒25が第2駆動機構の作動により上昇する。
(5)計量手段50から3回目の削り節(k):125gが投入される。3回目の削り節(k)の円筒形胴部21b内における高さは、150mm。
(6)続いて4回目の削り節(k):125gが投入される。4回目の削り節(k)の円筒形胴部21b内における高さは、150mm。
(7)押し棒25が第2駆動機構の作動により下降することにより、削り節(k)はさらに圧縮されて嵩が小さくなる。削り節(k)の円筒形胴部21b内における最終的高さは、200mmとなる。
(8)包装袋(a)の袋口(b)に漏斗21の放出口22が挿入されるとほぼ同時に、閉鎖状態の開閉片23が開放され、小嵩にされた削り節(k)が押し棒25により包装袋(a)内に押し込まれて充填される。
(9)漏斗21が第1駆動機構の作動により元の待機位置まで上昇する。
(10)押し棒25が第2駆動機構の作動により袋口(b)から脱出すると共に漏斗21の放出口22が閉じる。
【0025】
第1実施例の圧縮・充填作業に係るタイムチャートを図5に示す。図中、各動作の順番を表す丸付き数字は、図3に示す一連動作を示す模式図において付した丸付き数字と対応している。本発明に係る被包装物の圧縮充填方法を適用したガス充填式包装機Pの包装能力は、毎分8袋であり、7.5秒で1袋が生産されることになる。
【0026】
(実施例2)
この実施例では、正味量500gの削り節(k)を2回に分けて(1回あたり:250g)、圧縮・充填作業を行う。
【0027】
(1)図6において、計量手段50から1回目の削り節(k):250gが漏斗21内に投入される。漏斗21の円筒形胴部21bにおける削り節(k)の高さは300mm。
(2)ついで、押し棒25が第2駆動機構の作動により下降すると共にアクチュエータにより小ストロークで往復移動して削り節(k)の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なう。削り節(k)は、円筒形胴部21b内で300mmの高さから100mmの高さに圧縮される。
(3)押し棒25が第2駆動機構の作動により上昇する。
(4)計量手段50から2回目の削り節(k):250gが投入される。2回目の削り節(k)の円筒形胴部21b内における高さは、300mm。
(5)押し棒25が第2駆動機構の作動により下降すると共にアクチュエータにより小ストロークで往復移動して削り節(k)の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なうことにより、削り節(k)はさらに圧縮されて嵩が小さくなる。削り節(k)の円筒形胴部21b内における最終的高さは、200mmとなる。
(6)包装袋(a)の袋口(b)に漏斗21の放出口22が挿入されるとほぼ同時に、閉鎖状態の開閉片23が開放され、小嵩にされた削り節(k)が押し棒25により包装袋(a)内に押し込まれて充填される。
(7)漏斗21が第1駆動機構の作動により元の待機位置まで上昇する。
(8)押し棒25が第2駆動機構の作動により袋口(b)から脱出すると共に漏斗21の放出口22が閉じる。
【0028】
第2実施例の圧縮・充填作業に係るタイムチャートを図7に示す。図中、各動作の順番を表す丸付き数字は、図6に示す一連動作を示す模式図において付した丸付き数字と対応している。
【0029】
なお、ガス充填式包装機Pの作用については、本発明の要旨から外れることから説明を省き、上述した包装機の構造説明にとどめる。
【0030】
以上に述べた通り、この被包装物の圧縮充填方法によれば、正味量の多い削り節を複数回に分けて漏斗内へ投入し圧縮する作業を繰り返し行なって小嵩にした状態で包装袋に充填するので、包装袋に充填する際に削り節の舞い上がりが少なくなると共に外へ飛び出すことが抑制されると共に包装能力が向上する。
【符号の説明】
【0031】
P・・・本発明方法を適用したガス充填式包装機
g・・・グリップ対
a・・・包装袋
b・・・袋口
k・・・削り節(被包装物)
20・・・圧縮充填手段
21・・・漏斗
22・・・放出口
25・・・押し棒
50・・・計量手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数若しくは複数のグリップ対を備えた移動体を複数の工程に間欠停止して移動させ、各グリップ対により吊り下げ状に支持された包装袋に充填工程で所定量の圧縮可能な被包装物を充填して袋口を施封する包装機を使用し、
放出口が開閉自在に設けられた漏斗を第1駆動機構により昇降自在に設けると共に計量手段から当該漏斗内に投入される軽くて嵩のある性状の被包装物を押圧する押し棒を第2駆動機構により上下方向に移動自在に設けた圧縮充填手段を前記充填工程に設け、
計量手段から複数回に分けて前記漏斗内に投入される被包装物に対して、投入の都度又は所定の投入回数毎に前記押し棒により圧縮して嵩を小さくする作業を繰り返して行ない、ついで、包装袋の袋口に前記漏斗の放出口が挿入されるとほぼ同時に、その放出口を開放して小嵩にされた被包装物を前記押し棒により押し込んで当該包装袋に充填し、被包装物の充填後に前記漏斗及び押し棒を当該包装袋の袋口から脱出させると共に当該漏斗の放出口を閉じさせることを特徴とすることを特徴とする被包装物の圧縮充填方法。
【請求項2】
前記被包装物の圧縮作業時に、前記押し棒を上下に動かして被包装物の押圧と押圧解除動作を繰り返し行なうことを特徴とする請求項1に記載の被包装物の圧縮充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1443(P2013−1443A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136432(P2011−136432)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】