説明

被印刷物に印刷されたインクの柔軟性を照射硬化制御により向上する方法及び装置

本発明は、インク及び被印刷物の柔軟性を向上する方法及び装置を開示する。特に、紫外線硬化型インク等のカチオンインクを利用するシステムは、紫外線照射制御を用いることにより、インク及びインクを適用した被印刷物層の柔軟性を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク及び被印刷物の柔軟性の制御に関し、特に、紫外線硬化型インク、並びに紫外線照射制御を用いたインクとインクを適用した被印刷物層との柔軟性の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、インクジェットユニット又はそれに類してインクを被印刷物に放出する印刷ユニットでは、様々なインクが使用されている。インクの種類の例として、水性インク、油性インク、溶剤インク、及び紫外線インク(UV硬化型インク)(以下「UVインク」と称する)が挙げられる。
【0003】
UVインクは、紫外線を用いた光硬化反応により硬化する。UVインクの硬化は、UVインクに含まれる光重合開始剤とモノマー又はオリゴマーとの紫外線により惹起される反応により起こるものであり、高分子化合物を形成することで硬化UVインクが得られる。この特性に加えて、UVインクは短時間(例えば放出から1秒以内)で硬化しやすく、含まれる有機溶媒の揮発が防がれるというもう1つの特性がある。更にUVインクは、他の種類のインクと比較して耐摩耗性に優れている。これらの利点から、UVインク及びUVインクジェットユニットへの需要は益々増えつつある。
【0004】
UVインクを放出する既存の装置では一般に、柔軟な被印刷物及び剛性被印刷物上に印刷し、UV源を用いてインクを硬化させることができる。市販のUVプリンタにおける典型的なUV源には、中圧水銀アーク灯又は水銀灯が用いられている。この種のアーク灯は、例えばGerber Scientific Products Inc.(GSP)の現行製品、Solara UV2に用いられている。
【0005】
一般にフリーラジカル型の化学構造から成る既存のUVインクにおける問題点の1つとして、可撓性材料の表面に印刷され硬化したとき、インクが比較的脆弱になりやすいという点が挙げられる。そのような可撓性材料で多くの用途に使用されているものとして、ビニルが挙げられる。多くの用途において、画像の印刷されたビニルを物の表面上に張ることが末端消費者に望まれているため、画像の印刷されたビニルは、ある程度の緩み(conformable)を維持できるものでなければならない。「車両ラッピング」を含むこの種の用途には、インクを被印刷物表面に印刷して硬化する際に、インクが柔軟性を維持することが必要とされる。典型的なフリーラジカル型UVインクは、この用途に対しては柔軟性が足りない。ある種のUVインクは、柔軟性を持つように特別に調合されているが、より高い剛性の被印刷物に印刷した場合に望まれる硬度や引っかき抵抗性等の特性が失われてしまう。1個のUVプリンタで両方の用途を満たせるように、複数インクセットが幾つか市販されている。しかし、異なる用途が望まれる場合、コストのかかるインク種類の切り換えを行う必要がある。
【0006】
カチオン型UVインクにおける他の問題点としては、画像印刷後、経時的に脆弱性が増加することが挙げられる。一般にインクは、数日又は数週間かけて脆弱になる。例えばカチオンインクは、印刷及び硬化の直後に試験すると、亀裂を生じることなく40〜50%の伸張が可能であることが分かっている。しかしこの柔軟性は、カチオン化学的性質を持つインクに典型的であるが、おそらく暗硬化過程が原因となって、経時的に、例えば1日後に失われうる。例えば、1日後に硬化型インク膜の伸張は低下し、インクを適用したビニル被印刷物はインクが原因で脆弱になり、柔軟性が低下あるいは伸張が約30%となる。
【0007】
従って、インクの硬化を原因とするインク及び被印刷物の柔軟性低下の問題を克服する必要が依然として存在している。インク硬化過程の観点から、インク及び被印刷物の柔軟性を増加させる方法に対する必要も存在している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、低圧蛍光UV灯の独特な配置及び低圧水銀灯とカチオンUVインクとの独特な組み合わせを用いる、新規なUV印刷システムを含む。本明細書において説明する本発明では、どのようなカチオンインク/低圧水銀蛍光灯の組み合わせを用いてもよい。
【0009】
本発明は、工程、方法及び製造品を含むのみならず、本発明を利用する装置、コンピュータ技術、制御システム及び品質管理システムを含む。本発明を用いる装置の特性、種類及び設計は広範囲にわたるものであり、多種多様な材料上に印刷し、インク及び化学物質を適用し、印刷した製品及び製造品を硬化することが可能である。
【0010】
本発明のこれらの態様及びその他の態様は、以下の図面の簡単な説明及び発明の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の原理を利用する又は利用しない通常の印刷硬化モードを例示する構成図である。
【図2】図2は、本発明の原理を利用する先行ランプ硬化モードを例示する構成図である。
【図3】図3は、本発明の原理を利用する後行ランプ硬化モードを例示する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
被印刷物(ビニルに限定されない)上での柔軟性低下の問題を克服するために、本発明は、カチオンインク硬化過程においてUV照射制御を用いて柔軟性を増加させる方法を提供する。低いUV光強度及び低いUV量でカチオンインクを硬化すると、本発明の原理を用いない通常の硬化過程と比較して、ビニル被印刷物に印刷されたインク−ビニル層がより柔軟になる。強度が低すぎるとインク液滴が滲んだり露を形成したりして画像解像度が失われる可能性があるため、強度の制御がモニターされる。従って、強度の最適レベルは、高い柔軟性と高い解像度との両方を実現するものでなければならない。
【0013】
ビニル被印刷物における非常に柔軟な硬化(インク亀裂又はビニル破断まで200%超の伸び率)は、印刷と硬化(照射)との間が短期間(数分)で、印刷用インクが硬化する場合に実現される。この方法には、表面上のインクの滲みや印刷領域の解像度の低下により引き起こされる低解像度のような、実際の応用上の問題がある。
【0014】
本明細書において提供される方法を用いたところ、元の解像度及び性能を失うことなく且つ柔軟性を増加させて、印刷されたインクを硬化することが可能であった。本方法では、現行のSolara Ionプリンタの2灯式に代わり、1灯のみのシステムによる硬化を利用した。この新規な方法を用いたところ、硬化したビニル被印刷物の柔軟性(膜の破断)は、現行の50%未満の伸び率と比較して、80〜85%の伸び率まで増加した。また、ビニル上の硬化型インクの柔軟性(インク層の亀裂)は、現行の硬化過程(2灯)により実現される約40%までの伸び率と比較して、時間と共に60〜70%超の伸び率まで増加した。新規な本方法は、特定の用途について、インク及びビニル被印刷物に十分な柔軟性を付与する。そのような効果は、ビニル被印刷物の種類に応じて微妙に異なりうる。
【0015】
新規な本方法は、現行のUV印刷システムと比べて以下の利点を有する。
− 新型GSP Solara Ionプリンタのランプシステムの制御が容易になる。1灯をオンに、1灯をオフにすることができ、容易なUV強度制御を図ることができる。他の実施形態において、より低い強度のUVランプ又はより低い強度を得る方法(即ちランプの調光器や、ランプ反射器の除去など)を使用して、所望の効果を得ることもできる。
− 現行のカチオン調合UVインクを、全く変更することなく使用することができる。
− プリンタの調整が容易で特別なハードウェアを追加する必要がない。
− より低い強度を用いて、艶消しから光沢まで、印刷硬化表面の制御が実行可能である。
− 1個のインクセットを用いて、インクの調合ではなく硬化過程によって制御された、一連のインク特性を得ることができる。末端消費者は、複数のインクを切り換える必要がない。
− ビニル被印刷物上に印刷されたインクの柔軟性が増加する。
【0016】
本発明と共に様々な硬化過程を実現することができ、例として光硬化、暗硬化、二重硬化、示差(differential)硬化、及び本明細書に開示される硬化方法の組み合わせを含む硬化技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明により得られる利点としては、例えば非常に遅いほぼゼロft/時(「フィート/時間」)から約6400ft/時又はそれ以上に至る範囲における1以上の印刷速度が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明では、カチオンインク組成物及び低強度の光を用いて、低エネルギー硬化、即ちエネルギー効率の良い硬化を実現することができる。本発明は、熱の発生量が低く、感熱性の被印刷物に利用することが可能であり、そのような被印刷物の例としては硬化中に面外変形に至る熱膨張、変色又は望ましくない温度依存変化の特性を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。使用する装置は、光の寿命の長い、例えば500時間超の、光源を使用することができる。
【0017】
本発明では、カチオンインクの硬化に光を用いることができる。「光」には、インク、インクシステム並びにそれらの成分及び構成要素と相互作用するあらゆる種類の電磁エネルギーが含まれる。「光」の定義には、物質と相互作用した際に識別可能又は測定可能な変化を生じる「化学光」が含まれる。「光」又は「放射」には、粒子線加速粒子、即ち電子ビーム、並びに電磁放射線、即ちUV放射、可視光、UV光、X線、ガンマ線などの、光化学的に活性な有効放射の形態を含む。
【0018】
「光強度」は、ワット(W)又はミリワット(mW)の単位で表される、光源から発するエネルギーに関する測定可能な特性である。一実施形態において、光は約100nm〜約1200nmの波長及び約0.0003W/cm/nm〜0.05W/cm/nmの強度を有する。本出願において言及される強度とは、被印刷物の表面における強度のことをいい、そのような強度の測定方法は、当業者に公知である。
【0019】
広い帯域の光及び光源を利用することができる。約100nm〜約1200nmの波長と約0.0003W/cm/nm〜0.05W/cm/nmの強度とを有する光を用いることができる。
【0020】
本発明は、広域の光波長から選択される値と、広域の光強度から選択される値とを有する光を利用することができる。上記したように、一実施形態では、約100nm〜約1200nmの光波長と約0.0003W/cm/nm〜約0.05W/cm/nmの光強度とを有する光を利用する。別実施形態では、約100nm〜約1200nmの光波長と約0.0003W/cm/nm〜約0.02W/cm/nmの光強度とを有する光を利用する。更に別の実施形態では、約100nm〜約1200nmの光波長と約0.0003W/cm/nm〜約0.01W/cm/nmの光強度とを有する光を利用する。更なる実施形態では、約100nm〜約1200nmの光波長と約0.0003W/cm/nm〜約0.008W/cm/nmの光強度とを有する光を利用する。
【0021】
本発明で用いることのできる光源の例としては、電球、蛍光光源、LED、自然光、増幅光、電磁放射線、ランプ、ガス灯が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ガス灯の例としては、UV Systems社のTripleBright IIランプが挙げられるが、これに限定されるものではない。このランプは両端に備えた一対の電極を利用するガス放電灯の一種で、ガラス管内に水銀1滴と不活性ガスを封止したランプである。光は、1の光源及び/又は位置から、多数の光源及び/又は位置から、あるいは光源列から、発することができる。1種以上の光、光源、位置、形態、方向、強度及び波長を、同時に、連続して、混合して、時間制限を設けて、組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
光源のスペクトル出力は、次の因子の1以上の関数として表すことができる(ただしこれらに限定されるものではない)。1以上の気体分子の原子構造、(単数又は複数の)気体の温度、光源における気体蒸気圧。ある実施形態においては、ガラス管内部に置かれる蛍光物質(任意選択で用いられる場合)の出力は、光源の出力に影響しうる。
【0023】
例えば254nm波長の電球は、253.7nmにおいてピークを有しうる(ただしこの例に限定されるものではない)。この例において、254nm波長の電球では蛍光物質を利用せず、出力は主として水銀原子の吸収線によるものである。これは、優勢な(dominant)ランプピーク近傍の約10nmの極めて狭い帯域の波長帯を有する数本の輝線を生じうる。光源から発するピーク近傍のそのような波長帯は、光源の物理的性質の結果に生じるものである。従って全ての波長値は、それぞれの光源について述べられる値の前後の範囲を含むものとして解釈されるべきである。
【0024】
本明細書において用いられる「被印刷物」は、表面上にある量のインク又はその他に必要な材料が適用される、あらゆる材料のことをいう。被印刷物の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ビニル、市販のキャストビニル及び光沢ビニル、標識や特殊グラフィック産業で用いられる剛性の被印刷物及び柔軟性の被印刷物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の被印刷物の例としては、金属、木材、プラスチック、織物、コットン、ウール、その他、自動車等の事前にコーティングされている物体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
「被印刷物合成過程」は、用途に合わせた最終被印刷物を得るための配合、形成、成形、加圧成形、押し出し加工、前処理及び/又は後処理及び/又はアニーリングを含む。
【0026】
本明細書でいう「光硬化」は、光線への暴露が原因であるいは暴露の間に起こる、インク組成物のあらゆる化学反応、乾燥、硬化(hardening)、物理的変化又は変換を含むものとして広く解釈される。一実施形態において、「光硬化」は、254nmの波長における0.008ワット/cm/nmピーク強度の光に暴露された領域を含む。
【0027】
硬化は、光強度、光照射量、光開始剤及び増感剤の混合及び濃度、被印刷物の酸特性、インク温度、被印刷物温度、相対湿度パーセント並びにアプリケーション環境温度の関数として表すことができる。
【0028】
露光における変化は、被印刷物の複次元性、光子の様々な方向、インク厚と種類によって光子浸透の低下を引き起こしうる、重合体、光開始剤、色素及び他のインクによる光子の反射率及び吸収の結果起こりうる。
【0029】
本明細書でいう「暗硬化(dark cure)」は、光への暴露がなくとも光源に直接暴露された面での値に一致する値を与える、インク組成物のあらゆる化学反応、乾燥、硬化(hardening)、物理的変化又は変質を含むものとして広く解釈される。「暗領域」は、光の方向に垂直な領域と同等にならないレベルで光に暴露された被印刷物の部分をいう。本明細書でいう暗領域は、直接光に暴露された領域以外の全ての領域を含むものとして広く解釈される。暗領域は、光に暴露されていないインク組成物の部分、並びに光源への直接暴露より低いレベルの光に暴露された領域を含む。更に暗領域は、陰になった(shaded)、遮られた、影で覆われた(shadowed)、カバーされた、保護された領域、あるいは何らかの理由で光源への直接暴露を受けない領域を含みうる。
【0030】
インクを被印刷物に適用する際には、インクに厚みが生じる。幾つかの実施形態において、暴露光はインクの厚みを浸透できない。そのような場合、「暗領域」は、光が浸透しない(あるいは光源からの強度の低下により浸透しない)インク組成物の部分を含むものと広く解釈される。インク層が厚くなるにつれて、インクの柔軟性は低下する。本明細書における実施例及び試験例としては、媒体上のインチ格子あたり約42plインク滴を360×360滴数とする、比較的厚いインク層を用いた試験が挙げられるが、これに限定されるものではない。少なくとも2個のインク滴が、360dpi正方格子それぞれに適用される。単位領域あたりのこの量のインクは、印刷画像の最も暗い部分と同等であること判明した。柔軟性を試験する条件の例として、本明細書において試験した全試料を、この量のインクで印刷した。この量のインクは、以下のグラフにおいて200%インク量と称する。
【0031】
本発明の実施形態は、光硬化と暗硬化との両方によりインク又はインクの部分を硬化するステップを含む。この硬化の組み合わせが起こるのは、光暴露の結果ある量のインク組成物が硬化し、光暴露に無関係な化学反応又は硬化(hardening)過程により同じ部分の残りの量のインクが硬化する部位である。暗硬化の例としては、乾燥、重合及び/又は反応が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書における「二重硬化」は、ある量のインク組成物が光硬化により硬化し、残りの量が他の方法により硬化するあらゆる硬化過程を含むものと広く解釈される。光硬化ではない硬化(cure)の例としては、乾燥及び/又は硬化(hardening)等の光と無関係な化学反応や、重合反応等の化学反応が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
図1は、本発明の原理を利用する又は利用しない通常の印刷硬化モードを例示する構成図である。例えば、本発明の原理を利用する調光装置は、光源の強度を制御する図1のシステムにおいて用いられてもよい。図1に示すように、実施形態によっては、光源として紫外線(UV)光源を用いることが可能であり、プリントヘッドが光源とは独立して移動可能となるように配置される。
【0034】
60%超の相対湿度の環境において、湿度を低下してカチオンインク又はそれに類する他の組成物を硬化させる熱が光源から発生する。光源から発生した熱は、感熱性で剛性の媒体の表面温度が媒体の変形を起こさない程度に、低く維持される。また光源の発した熱は、印刷中にインクジェットプリントヘッドと媒体がぶつからないように制御することができる。通常、被印刷物は、本発明の実装に応じて、感熱性で柔軟性の又は剛性の媒体が用いられる。このような媒体は熱暴露により容易に変形し、印刷ヘッドが媒体に接触する程度に変形しうる。光源の熱を制御することによって、この潜在的な欠点が制御される。
【0035】
上記したように、光源として紫外線を発するものを使用することができる。1個の光源及び複数個の光源を、どのような方向で又はどのような構造形態で利用することも、本発明の実施形態の範囲に含まれる。一実施形態において、紫外線光強度を調整して、柔軟性の又は剛性の印刷媒体上に光沢及び艶消し仕上げを得ることができる。艶消し仕上げを得るのに用いられるより高い強度と比較して、光沢仕上げを得るには、より低い強度が用いられる。紫外線光強度を十分に低く調整して、亀裂がより入り難く且つ媒体がより伸張し易いより柔軟なインクを得ることができる。この柔軟特性は、以下の実施例において更に説明する。
【0036】
光源は、低圧水銀灯であってもよいが、これに限定されるものではない。これらのランプは、柔軟性の及び剛性の被印刷物上のカチオンインクジェットインクを硬化するのに用いることができる。低圧水銀灯を使用する利点としては、使用のコストがより低いこと、寿命がより長いこと、出力密度及びそれに続く熱の発生が低いこと、指で触ったため皮膚から石英管に移った脂等の不純物との接触が原因となる故障の率がより低いことが挙げられる。
【0037】
図2は、本発明の原理を利用する先行ランプ硬化モードを例示する構成図である。
【0038】
図3は、本発明の原理を利用する後行ランプ硬化モードを例示する構成図である。
【実施例】
【0039】
以下の実施例では、DaVinciプリンタで先行ランプ、後行ランプ、及び両ランプを用いた場合の、カチオンGerber Catインクの硬化反応、テープ試験及び伸張試験で柔軟性を分析する。様々な硬化方法で、また様々なビニル被印刷物で、印刷された試料の柔軟性及び性能を評価した。
各インクの性能の変化、経時的変化についても評価した。
【0040】
材料及び装置
−実験用DaVinci プリンタ、200%インク量の印刷モード、遅れなし
−使用インク:CMYK(ロット番号6061)GERBER CAT カチオンインク
−被印刷物:3M220ホワイト、IJ180CV2−10、IP2517(Image Perfect Media、4ミルキャスト)
様々な硬化条件について、以下の構成図のようにランプシステムを調整した。
【0041】
構成図1:通常印刷・硬化モード(両ランプ点灯)
【表1】

【0042】
構成図2:先行ランプ硬化モード(ランプA点灯)
【表2】

【0043】
構成図3:後行ランプ硬化モード(ランプB点灯)
【表3】

【0044】
測定準備
【0045】
ランプの選択を除いて、強度や速度(200%インク量、遅れなし)を変えずに、同一の条件下で全ビニル被印刷物に印刷した。評価試験については、印刷された試料それぞれを、1時間以内に、硬化反応、テープ試験、及び伸張試験について試験した。その後、同じ試験を1日、2日、7日、14日及び21日後に行って、性能に経時的変化があるかを観察した。対照として、UV光に暴露しない試料(暗モード)及びインクを印刷しないビニル被印刷物について伸張試験を行った。
【0046】
【表4】

【0047】
伸張試験手順
1.ペーパーカッターを用いて、試料を1/2インチ幅に切断し、1/2及び1インチの紙片を数枚切り出した。これらの紙をクランプ端にセットした。
2.印刷したビニル試料を裏当てから剥がしてその端部分に折った紙のシムをあてた。固定場所から上側クランプを外し、試料を左の固定具上に直接置いた。左クランプを試料上に置き、歯を整列させて、手でボルトを締めた。
3.左側のボルトをレンチで締めた。マイクロメータをゼロにセットした。右側クランプの歯領域において、試料の上側及び下側に1/2インチの紙片を置いた。
4.試料をゆっくりと引っ張りマイクロメータに対して固定具を締め付け、右側クランプについた紙にわずかに圧力を加えて歯を整列させ、工具でボルトを締めた。
5.形成され始めたギャップ長をキャリパで測定した。これが引き延ばし前の初期ギャップ長の値であり、表に記録した。
6.カメラの下に固定具を設置し、試料端に沿ってビニルに焦点を合わせた。ビニル試料を観察しつつマイクロメータをゆっくり回転させた。固定具を上下左右に摺動して試料の様々な領域を観察した。ほとんどの場合、初期亀裂は端近傍に形成されていた。
7.初期亀裂は、試料が亀裂をまさに開始する時の亀裂である。初期亀裂を記録した。
8.亀裂が多くなるまでマイクロメータの回転を継続した。伸長した試料の長さを測定し、データシートに大型亀裂を記録した。
9.大型亀裂を記録した後、試料が破断するまでマイクロメータの回転を継続した。試料破断の長さを測定し、データシートに破断を記録した。
10.初期亀裂パーセントは、初期亀裂をギャップ長で割って計算した。大型亀裂パーセントは、大型亀裂長をギャップ長で割って計算した。破断−亀裂の割合は、破断長をギャップ長で割って計算した。
【0048】
テープ試験手順
1.スコッチテープを2インチ長に切断し、コロプラスト(coroplast)上の試料インクにテープを貼った。テープは試料インクに完全に貼りつける必要がある。
2.テープを手で素早く剥がし、試料インクを検分した。テープと共に剥がれたインクの割合を記録した。
3.異なる領域で少なくとも2回試験を繰り返して精度を確認した。
4.後述のテープ試験表の表記
【0049】
【表5】

【0050】
詳細な結果は全て別表Iに要約されている。
【0051】
実施例1.対照としての原料伸張試験及び暗モード試料
【0052】
印刷された試料を比較する前に、UV照射がビニル材料に与える影響について確認した。この影響を調べるために、3種全てのビニル被印刷物について、印刷モードと同じ条件下で紫外線に暴露して伸張試験を行った。以下の表に結果を示す。
【0053】
予想される通りに、全てのビニル被印刷物の特性は、UV光のどのような条件の照射によってもあまり影響を受けなかった。UV光への暴露なしでビニル被印刷物上に画像を印刷し、周辺光の下で3日間完全に乾燥させてから、伸長と接着性を試験した。
【0054】
【表6】

【0055】
全てのビニル被印刷物は、インクと共に非常に柔軟になり、250%を超えて伸長した(破断せず)。また、伸張の間にインク層の亀裂は観察されなかった。しかし全ての画像において色の境界線で滲みがあり、表面は光沢であった。実際に、カチオンインクが膜に染み込み、ビニル膜に浸透してビニル被印刷物の元来の特性を変化させた。これは発明者らの実験において、元の膜の特性を失うことなくインクを硬化させる方法を調べるために必要な指標となった。
【0056】
【表7】

【0057】
実施例2.IJ180CV2に対する様々な印刷モードの比較
【0058】
3種の異なるモードで、インク画像を印刷して硬化した。硬化反応は3モード全てにおいて良好であり、硬化試料は全て、3週間にわたって、接着性に関するテープ試験をクリアした。また、印刷ラインの間で滲みは見られなかった。
【0059】
伸張実験の間に、2つの重要な性能を試験する必要がある。1つは、ビニル被印刷物上での硬化型インクポリマー特性に関連した、プリント層の表面亀裂であり、もう1つは、ビニル被印刷物の破断特性としての、硬化型インクによる原料の柔軟性の効果である。発明者らによるこれまでの実験では、硬化直後の硬化ビニル膜は柔軟であったが、この柔軟性が経時的に低下し、その結果、印刷された材料が脆弱となることが観察され、所望の柔軟性が得られなかった。従って、経時的伸長特性をモニターすることも重要である。以下の図1及び図2に要約を示す(全データはCMYKカラーの平均値)。
【0060】
【表8】

図1.IJ180CV2に対する3種の異なる硬化モードの経時的亀裂特性
【0061】
本実験において、硬化試料の柔軟性が先行及び後行ランプモードで顕著に増加した、という非常に興味深い点が観察された。概して、硬化直後の硬化試料は3試料全てにおいて柔軟であり(60超〜100%)、24時間以内にほとんどが脆弱性を増し、柔軟性が20〜30%の範囲で急速に低下した。24時間より後の試料の柔軟性はあまり低下せず、3週間にわたって約10〜20%の低下であった。
【0062】
全体として、両ランプモード(通常印刷モード)と比較して、後行モードの柔軟性は30%超高く、この柔軟性は3週間にわたって持続するという非常に興味深い発見があった。
【0063】
次に、先行/後行モードの膜破断特性のパターンは、亀裂特性と同様であった(図2)。
【0064】
【表9】

図2.IJ180CV2に対する3種の異なる硬化モードの経時的破断特性
【0065】
通常、2本の平行ランプによるこれらモードのUV光強度は、先行ランプ<後行ランプ<両ランプである必要があり、光照射量についても同様である。上記結果は、遅い硬化過程又は低強度のUV光によって、より高い柔軟性が得られることを示している。しかし先行モードを用いた試料性能は、わずかに劣るようであり、完全な硬化にはより長い時間が必要と考えられる。最良の硬化条件は、柔軟性が得られる後行ランプモードを用いることであると思われる。
【0066】
この事実は、高性能車ラッピング等の特別の用途には非常に重要である。というのは、この用途では、硬化ビニル被印刷物の適用に少なくとも約50%の柔軟性を必要とし、後行モードを行った試料はこの必須条件を満たす又は必須条件を上回っているが、両ランプモードでは約1週間後に条件を満たさなくなるからである。
【0067】
実施例3 様々な被印刷物の比較
【0068】
IJ180CV2と比較するために、この柔軟性試験を、3M220ホワイトキャスト膜(厚さ2ミル)及びIP2517キャスト膜(厚さ約4ミル)等の他のビニル被印刷物について行った。これらのビニル被印刷物は、カチオンインクジェットプリンタでの用途が考えられる材料の1つである。後行モード硬化での効果を調べた。全ての亀裂及び破断の結果を図3及び4に記す。
【0069】
【表10】

図3.3種のビニル被印刷物における3週間にわたる全ての平均亀裂特性
【0070】
【表11】

図4.3種のビニル被印刷物における3週間にわたる全ての平均破断特性
【0071】
この実験により、後行ランプモードを用いた場合の発見が確認された。3M220キャスト膜は、カチオンインクを用いたIJ180CV2よりも柔軟性が比較的低かったが、実験結果は、後行モードを用いた試料では両ランプモードと比較して明らかに柔軟性が増加したことを示している。また3M220とIJ180CV2とにおいて、柔軟性が24時間以内に急速に低下する傾向があることが観察された。
【0072】
他に顕著な点としては、厚さ4ミルのIP2517キャスト膜における結果が挙げられる。この厚みが原因で、経時的脆弱性はほとんど影響を受けず、後行ランプモードの効果が現れなかったと考えられる。両ランプモード(通常硬化過程)でも、実際の用途について良好な伸長特性及び接着性(テープ試験)が得られていた。
【0073】
実施例4 CMYK配色画像特性の比較
【0074】
次に、CMYK配色画像を用いて、4色間での柔軟性を比較する。以下の図5に示すように、CMYK色試料の亀裂を3週間にわたって比較した。
【0075】
その結果、概して、マゼンタの経時的変化を除いて、色の間に顕著な違いが見られなかった。まず、硬化直後(図5−a)、全てのCMYK試料が、許容パラメータ内である10〜20%の伸び率測定差内で、非常に類似した特性を示した。24時間後(図5−b)、他の色と比較して比較的高い柔軟性を示すマゼンタを除いて、全ての値が同様のパラメータとなった。このマゼンタにおける効果は、3M220及びIJ180CV2ビニル被印刷物上で3週間にわたって維持された(図5−c)。
【0076】
マゼンタ色素と高分子網目(架橋)との間に相互作用があり、マゼンタインクでは他の色より比較的遅い硬化反応が起きている可能性がある。しかしこの差異はあまり大きくなく(20%以内)、実際の印刷にはあまり大きな影響はないと思われる。3M220又はIJ180CV2と比較して、IP2517においては、色の間であまり違いが見られなかった。
【0077】
a)硬化直後のCMYKの亀裂
【表12】

【0078】
b)24時間後のCMYKの亀裂
【表13】

【0079】
c)3週間後のCMYKの亀裂
【表14】

図5.3種の被印刷物におけるCMYK色の経時亀裂特性
【0080】
ビニル膜に応力を加えた場合に膜全体を容易に破断させうる点で、低い亀裂/破断値を有する色(両ランプモードにおけるイエロー又はシアン)が、より懸念の対象となる色である。
【0081】
車両ラッピングの用途では、印刷された被印刷物に少なくとも50%の柔軟性が必要とされる。図6を参照すると、どのビニルが適切に機能するのか容易に調べることができる。
【0082】
a)両ランプモードの3M220
【表15】

【0083】
b)両ランプモードのIJ180CV2
【表16】

【0084】
c)後行ランプモードのIJ180CV2
【表17】

【0085】
d)両ランプモードのIP2517
【表18】

図6.3M220、IJ180CV2及びIP2517キャスト膜におけるCMYK色の亀裂/破断比較
【0086】
図6−a及び図6−bに示すように、両ランプモードの3M220では、1日後の全てのCMYK色の柔軟性が50%未満の伸び率であり、即ち3M220ビニル膜は、脆弱過ぎて使用できないことが示された。IJ180CV2の両ランプモードはより良好であったが、3週間後に50%柔軟性(シアン及びイエロー)を発揮するほどには良好ではなかった。後行ランプモードのIJ180CV2(図6−c)及びIP2517(図6−d)が最良の選択肢であると考えられる。これらのビニル被印刷物における全てのCMYK色は、3週間後でも60〜70%超の柔軟性であった。
【0087】
暗硬化過程は、カチオンインクの化学的性質における公知の過程であり、ビニル被印刷物上にインクを印刷して硬化させた場合、経時的に脆弱になる等、負の効果がある。
【0088】
本発明者らは、Solara Ionプリンタを最適化して、ビニル被印刷物における柔軟性の問題を解決する新規な方法を発見した。本方法は、重大なハードウェア上の変更をすることなく、かつ現行のカチオンインク調合の変更をすることなく、非常に簡単にプリンタへ応用することができるが、インク解像度及び性能を失うことなくインクを硬化させるのに非常に効果的であった。
【0089】
車両ラッピングなどの実際の用途について、単純な解決法は、厚さ4ミルのIP2517(Image Perfect Media)を使用することである。このキャスト膜を用いることで、プリンタにおける変更を全く必要とせず、通常印刷法で非常に柔軟な膜を得ることができる(亀裂>60%、破断>200%)。印刷品質の向上には、プリンタのプロファイルが新たに必要となる可能性がある。
【0090】
結果に示すように、実際には例えば厚さ2ミルの薄膜が必須的に用いられる車両ラッピングの用途には、IJ180CV2の後行モードが推奨される。硬化膜の柔軟性は、硬化後の通常硬化(両ランプモード)の30〜50%と比較して、60〜90%超増加した。また光強度と光照射量により、艶消しから光沢まで、硬化層の潜在的表面調整が可能であった。
別表I:全実験データ概要
【0091】
【表19】

【0092】
全試料において、照射後及び時間経過後に表面は硬化した。後行ランプ試料では、シアンで1%のインクがテープ剥離した。他の試料は全てテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料の柔軟性が先行ランプ及び後行ランプに劣っており、亀裂が生じやすかった。後行ランプ試料は、他の試料と比較して最も柔軟であった。色に関しては、ブラックの柔軟性が他の色に劣っており、マゼンタが最も柔軟であった。
【0093】
【表20】

【0094】
全試料において、照射後及び時間経過後に表面は硬化した。全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料の柔軟性が先行ランプ及び後行ランプに劣っており、亀裂が生じやすかった。後行ランプ試料は、他の試料と比較して最も柔軟であった。色に関しては、ブラックの柔軟性が他の色に劣っていた。
【0095】
【表21】

【0096】
全試料において、照射後及び時間経過後に表面は硬化した。全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料の柔軟性が先行ランプ及び後行ランプに劣っていた。後行ランプ試料は、他の試料と比較して最も柔軟であった。色に関しては、ブラックの柔軟性が他の色に劣っており、マゼンタが最も柔軟であった。
【0097】
【表22】

【0098】
1日後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、他の試料と比較して、両ランプ試料に亀裂が生じやすかった。特にマゼンタ及びイエローについては、亀裂は検出されなかった。1日後の試料は、1時間後の試料と比較して柔軟性に劣っており、亀裂が生じやすかった。
【0099】
【表23】

【0100】
1日後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料の柔軟性が劣っていた。後行ランプ試料は、他の試料と比較して最も柔軟であった。1日後の試料は、1時間後の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。
【0101】
【表24】

【0102】
1日後、全250W試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は他と比較して柔軟性に劣っており、亀裂が生じやすかった。後行ランプ試料は、最も柔軟であった。先行及び後行ランプでは、ブラックの柔軟性が劣っていた。両ランプ試料では、シアン及びブラックの柔軟性が劣っていた。1日後の試料は、1時間後の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。
【0103】
【表25】

【0104】
2日後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、依然として両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。後行ランプ試料は、最も柔軟であった。先行ランプでは、イエロー及びブラックの柔軟性が劣っていた。後行及び両ランプでは、シアン及びブラックの柔軟性が劣っていた。2日後の試料は、1時間後の試料及び1日後の試料と比較して若干亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。
【0105】
【表26】

【0106】
2日後、IJ180CV2試料はテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は他と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。後行ランプは、他と比較して最も柔軟であった。ブラックの柔軟性が他の色に劣っていた。2日後の試料は、1日後の試料と非常に近く、劇的な変化はなかった。
【0107】
【表27】

【0108】
2日後、250W両ランプ試料はテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は非常に柔軟であった。シアン及びブラックは、他と比較して亀裂が生じやすかった。
【0109】
【表28】

【0110】
1週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。後行ランプは、最も柔軟であった。1週間後の試料は、2日後の試料と比較してより柔軟であった。劇的な変化はなかった。破壊点のパーセントは増加した。
【0111】
【表29】

【0112】
2週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は柔軟性に劣っており、亀裂が生じやすかった。後行ランプ試料は、最も柔軟であった。先行ランプ試料及両ランプ試料は、2日後の試料と比較してより柔軟であった。後行ランプ試料は、2日後の試料と比較して柔軟性に劣っていた。
【0113】
【表30】

【0114】
1週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすかった。全試料において破壊点は検出されなかった。先行ランプ試料と後行ランプ試料の伸張試験結果は、非常に近かった。1週間後の両ランプ試料は、2日後の試料と比較してより柔軟であり亀裂がより少なかった。
【0115】
【表31】

【0116】
2週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、依然として両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。先行ランプ試料は、1週間後の試料と比較してより柔軟であった。後行ランプ及び両ランプ試料では、亀裂点と柔軟性との割合が低下していた。
【0117】
【表32】

【0118】
2週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、両ランプ試料は柔軟性に劣っており、亀裂が生じやすかった。両ランプ及び先行ランプ試料は1週間後の試料に近く、僅かであるがより柔軟であった。後行ランプ試料の伸長試験では、1週間後の試料と比較して柔軟性に劣っていた。
【0119】
【表33】

【0120】
2週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、依然として両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。2日後の試料は、1時間後の試料及び1日後の試料と比較して若干亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。
【0121】
【表34】

【0122】
3週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、依然として両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。3週間後の試験結果は、2週間後の試料に非常に近かった。
【0123】
【表35】

【0124】
3週間後、全試料がテープ試験をクリアした。伸張試験では、依然として両ランプ試料は他の試料と比較して亀裂が生じやすく、柔軟性に劣っていた。3週間後の試料は、2週間後の試料に非常に近く、劇的な変化はなかった。
【0125】
【表36】

【0126】
IP2517は非常に柔軟であった。破壊点は250%を超えていた。両ランプ試料の柔軟性が先行ランプ及び両ランプに劣っていた。3週間後の試料は、2週間後の試料と非常に近く、劇的な変化はなかった。
【0127】
特定の実施形態を用いて本発明を説明したが、本明細書の記載および付属の図面に照らして、多くの代替形態及び変更形態が当業者には自明であろう。従って本発明は、付属の請求項の要旨と範囲内にある全ての代替形態及び変更形態を含むことを企図している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク組成物の硬化を制御するステップを含む、被印刷物上に印刷したインクに向上した柔軟性を付与する方法。
【請求項2】
前記インクは、UVインク組成物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化を制御するステップは、前記UVインク組成物への照射を制御するステップを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インクは、カチオンインク組成物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インク組成物の硬化を制御するステップは、前記インクの適用された前記被印刷物の柔軟性を制御するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記インクは、UVインク組成物である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化を制御するステップは、前記UVインク組成物への照射を制御するステップを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記インクは、カチオンインク組成物である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記インクを比較的厚い層で適用するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記インクの比較的厚い層が、1インチ格子あたり約42plインク滴を360×360滴数とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
インクの硬化を制御する手段を備えた、被印刷物上に印刷したインクに向上した柔軟性を付与する装置。
【請求項12】
前記インクの硬化を制御する手段は、前記インクの適用された前記被印刷物の柔軟性を制御する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
印刷物移動方向の反対側に、被印刷物に対向するように配置された少なくとも1個の光源を備える、被印刷物に印刷されたインク又はインクの適用された被印刷物に柔軟性を付与する装置。
【請求項14】
前記光源は、UV源である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記UV源は、254nm電球を備える請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−504424(P2011−504424A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527184(P2010−527184)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/077860
【国際公開番号】WO2009/042869
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(505210137)ガーバー サイエンティフィック インターナショナル インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】