説明

被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置

【課題】被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置において、搬送胴による被印刷物の搬送を安定して行うと共に被印刷物を適正に受け渡し可能とする。
【解決手段】印刷シートSを保持して回転可能であると共にバックアップローラ31との間で印刷シートSが挟持されるときにこの印刷シートSに対して印刷が行われる中間転写体32と、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSを所定の隙間をもってガイドする押えローラ172,173と、押えローラ172,173よりバックアップローラ31の回転方向の下流側でこのバックアップローラ31との間で印刷シートSを挟持して搬送可能な搬送ローラ174とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷後の被印刷物を搬送する被印刷物の搬送装置、並びに、この被印刷物の搬送装置が適用された電子写真印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂及び顔料等により構成されたトナーがキャリア内に分散された液体トナーを用いて、感光体に形成された静電潜像に現像し、中間転写体に一次転写し、更に液体トナーを被印刷物の表面に転写し、転写された液体トナー中のトナーを被印刷物に定着させることにより印刷を行う電子写真印刷装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された電子写真印刷装置は、液体現像電子写真方式の両面印刷機であって、給紙部、印刷部、排紙部から構成され、給紙部は、枚葉紙である印刷シートを1枚ずつ給紙トレイから印刷部へ供給し、印刷部は、印刷シートの片方の面に対して印刷を行った後、印刷シートの表裏を反転させて第1面の反対側の面に対して印刷を行、排紙部は、印刷部により両面印刷された印刷シートを排紙トレイに排紙するものである。
【0004】
ここで、給紙部から印刷部へ供給された印刷シートは、この印刷部で、印刷が行われた後、バックアップローラで保持されながら、ほぼ180度反転して排紙部に送られるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−175209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の電子写真印刷装置では、印刷部で印刷された印刷シートは、バックアップローラで保持されながらほぼ180度反転して排紙部に送られる。この場合、バックアップローラは、グリッパにより印刷シートの先端部を保持しながら回転することから、紙尻(後端部)がバタつき、その結果、印刷シートの挙動が不安定となり、搬送経路に適正に受け渡すことが困難となる。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、搬送胴による被印刷物の搬送を安定して行うと共に被印刷物を適正に受け渡し可能とする被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の被印刷物の搬送装置は、被印刷物を保持して回転可能であると共に印刷胴との間で印刷物が挟持されるときに前記被印刷物に対して印刷が行われる搬送胴と、前記搬送胴により搬送される印刷済の前記被印刷物を所定の隙間をもってガイドするガイド装置と、前記ガイド装置より前記搬送胴の回転方向の下流側で前記搬送胴との間で前記被印刷物を挟持して搬送可能な搬送ローラと、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、搬送胴により搬送される印刷済の被印刷物がガイド装置により所定の隙間をもってガイドされることで、搬送胴により搬送される被印刷物が変形してこの搬送胴の周面から離れるとき、ガイド装置によりこの被印刷物が搬送胴の周面に沿わされるようにガイドされるが、所定の隙間をもってガイドすることで被印刷物が幅方向にずれることはなく、また、ガイド装置によりガイドされた被印刷物が搬送ローラと搬送胴により挟持されて搬送されることで、搬送胴による保持が解除された被印刷物を適正に保持して下流側へ搬送することができ、搬送胴による被印刷物の搬送を安定して行うことができると共に、被印刷物を適正に受け渡しすることができる。
【0010】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記ガイド装置は、前記搬送胴の周面と所定の隙間をもって配置されるガイド部材と、前記搬送胴の周面と前記ガイド部材との前記隙間を調整可能な隙間調整機構とを有することを特徴としている。
【0011】
従って、搬送胴の周面と所定の隙間をもって配置されるガイド部材が、隙間調整機構によりその隙間を調整可能であるので、被印刷物の厚さに応じてガイド部材と搬送胴の周面との隙間を調整することで、厚さの異なる被印刷物に拘わらず、ガイド部材が安定して被印刷物をガイドすることができる。
【0012】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記搬送胴に対する前記搬送ローラの周方向位置を調整可能な周方向位置調整機構が設けられることを特徴としている。
【0013】
従って、搬送ローラが、周方向位置調整機構により搬送胴に対する周方向位置を調整可能であるので、被印刷物の剛性に応じて搬送ローラの位置を調整することで、剛性の異なる被印刷物に拘わらず、搬送ローラが適正に被印刷物を搬送することができる。
【0014】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記ガイド部材は、前記搬送胴の周面と所定の隙間をもって回動自在に配置されるガイドローラであり、搬送ローラは、前記搬送胴の周面に接触することで前記搬送胴と共に連れ回り可能であることを特徴としている。
【0015】
従って、ガイドローラは、搬送胴の周面と所定の隙間をもって回動することで被印刷物をガイドし、搬送ローラは、搬送胴の周面に被印刷物を挟んで接触することで連れ回りして被印刷物を搬送することとなり、簡単な構成で被印刷物を安定して良好に搬送することができる。
【0016】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記ガイド部材は、付勢部材により前記搬送胴の周面に接近する方向に付勢支持されると共に、ストッパにより前記搬送胴の周面と所定の隙間を有する位置に位置決め保持されることを特徴としている。
【0017】
従って、ガイド部材が付勢部材によりストッパに当接する位置に付勢支持されることで、搬送胴により搬送される被印刷物を適正にガイドすることができると共に、必要に応じて退避することができ、被印刷物の損傷を防止することができる。
【0018】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記搬送胴による保持が解除された前記被印刷物を保持して搬送可能なベルト式搬送装置が設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、搬送胴による保持が解除された被印刷物は、搬送ローラに送り出された後、ベルト式搬送装置により保持されて搬送されることとなり、ベルト式搬送装置が適正の自由状態にある被印刷物の先端部を保持して搬送することができる。
【0020】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記搬送胴が前記被印刷物の保持を解除したときに前記被印刷物の先端部を前記搬送胴の周面から剥離させる剥離部材が設けられることを特徴としている。
【0021】
従って、搬送胴が被印刷物の保持を解除したとき、剥離部材が被印刷物の先端部を搬送胴の周面から剥離させることで、被印刷物を搬送胴から適正に送り出すことができる。
【0022】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記搬送胴が前記印刷胴から離間するとき、前記搬送胴の移動に伴って前記ガイド装置及び前記搬送ローラを退避させる退避機構が設けられることを特徴としている。
【0023】
従って、搬送胴や印刷胴のメンテナンス時に、退避機構により搬送胴の移動に伴ってガイド装置と搬送ローラが退避することで、メンテナンス性を向上することができる。
【0024】
また、本発明の電子写真印刷装置は、被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を排紙する排紙装置と、を備える電子写真印刷装置において、前記印刷装置は、液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行う印刷ユニットと、前記印刷ユニットにより現像された前記液体トナーを転写する1次転写体と、被印刷物を保持して回転可能であると共に前記1次転写体と接することによりニップ部を形成して前記液体トナーを前記被印刷物に転写するためにバイアス電圧を印加する2次転写体と、前記2次転写体により搬送される印刷済の前記被印刷物を所定の隙間をもってガイドするガイド装置と、前記ガイド装置より前記2次転写体の回転方向の下流側で前記2次転写体との間で前記被印刷物を挟持して搬送可能な搬送ローラと、を有することを特徴とするものである。
【0025】
従って、2次転写体により搬送される印刷済の被印刷物がガイド装置により所定の隙間をもってガイドされることで、2次転写体により搬送される被印刷物が変形してこの2次転写体の周面から離れるとき、ガイド装置によりこの被印刷物が2次転写体の周面に沿わされるようにガイドされるが、所定の隙間をもってガイドすることで被印刷物が幅方向にずれることはなく、また、ガイド装置によりガイドされた被印刷物が搬送ローラと2次転写体により挟持されて搬送されることで、2次転写体による保持が解除された被印刷物を適正に保持して下流側へ搬送することができ、2次転写体による被印刷物の搬送を安定して行うことができると共に、被印刷物を適正に受け渡しすることができ、その結果、印刷品質を向上することができる。
【0026】
本発明の電子写真印刷装置では、前記1次転写体と前記2次転写体は、倍胴であることを特徴としている。
【0027】
従って、1次転写体と2次転写体を倍胴とすることで、1次転写体に対して複数の印刷ユニットを効率的に配置することができ、また、2次転写体の剛性が高くなると共に保持する被印刷物の曲率が小さくなり、高精度な印刷を可能とすることができる。
【0028】
本発明の電子写真印刷装置では、前記2次転写体は、下方に前記被印刷物が供給される一方、上方から前記被印刷物が排出されることで、前記2次転写体に対して前記給紙装置と前記排紙装置が同じ側に配置されることを特徴としている。
【0029】
従って、給紙装置と排紙装置を同じ側に配置することで、作業者のよる各種の作業が容易なものとなり、作業性を向上することができる。
【0030】
本発明の電子写真印刷装置では、前記2次転写体は、前記1次転写体に対して前記給紙装置及び前記排紙装置が配置される側にずれて配置されることを特徴としている。
【0031】
従って、2次転写体が1次転写体に対してずれて配置されることで、2次転写体は、被印刷物を適正に受け取って搬送することができる。
【0032】
本発明の電子写真印刷装置では、前記2次転写体は、前記給紙装置及び前記排紙装置が配置される側の周面に対して洗浄を行う洗浄装置が設けられることを特徴としている。
【0033】
従って、2次転写体における搬送領域以外の位置に洗浄装置を効率的に配置することができる。
【0034】
本発明の電子写真印刷装置では、前記1次転写体及び前記2次転写体と前記給紙装置及び前記排紙装置との間にメンテナンス空間部が設けられることを特徴としている。
【0035】
従って、メンテナンス空間部を利用することで、1次転写体、2次転写体、給紙装置、排紙装置に対するメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置によれば、搬送胴(2次転写体)により搬送される印刷済の被印刷物を所定の隙間をもってガイドするガイド装置と、ガイド装置より搬送胴(2次転写体)の回転方向の下流側で被印刷物を挟持して搬送可能な搬送ローラとを設けるので、搬送胴(2次転写体)による被印刷物の搬送を安定して行うことができると共に、被印刷物を適正に受け渡しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る電子写真印刷装置を表す概略図である。
【図2】図2は、印刷装置を表す概略図である。
【図3】図3は、印刷ユニットを表す概略図である。
【図4】図4は、バックアップローラの洗浄装置を表す概略図である。
【図5】図5は、バックアップローラの洗浄装置の詳細を表す概略図である。
【図6】図6は、シート搬送装置を表す概略図である。
【図7】図7は、バックアップローラの爪装置を表す概略図である。
【図8】図8は、バックアップローラの爪装置の作動を表す概略図である。
【図9】図9は、シート搬送装置における押えローラと搬送ローラを表す正面図である。
【図10】図10は、シート搬送装置における押えローラ及び搬送ローラの支持部を表す概略図である。
【図11】図11は、ベルト式搬送装置を表す側面図である。
【図12】図12は、ベルト式搬送装置を表す平面図である。
【図13】図13は、ローラ及びテーブルの退避機構を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例】
【0039】
図1は、本発明の一実施例に係る電子写真印刷装置を表す概略図、図2は、印刷装置を表す概略図、図3は、印刷ユニットを表す概略図、図4は、バックアップローラの洗浄装置を表す概略図、図5は、バックアップローラの洗浄装置の詳細を表す概略図、図6は、シート搬送装置を表す概略図、図7は、バックアップローラの爪装置を表す概略図、図8は、バックアップローラの爪装置の作動を表す概略図、図9は、シート搬送装置における押えローラと搬送ローラを表す正面図、図10は、シート搬送装置における押えローラ及び搬送ローラの支持部を表す概略図、図11は、ベルト式搬送装置を表す側面図、図12は、ベルト式搬送装置を表す平面図、図13は、ローラ及びテーブルの退避機構を表す平面図である。
【0040】
本実施例において、図1に示すように、電子写真印刷装置10は、液体現像電子写真方式の両面及び片面印刷機であって、給紙装置11、印刷装置12、定着装置13、搬送装置14、排紙装置15とから構成されている。この場合、給紙装置11及び排紙装置15は、印刷装置12に対して同じ側に配置されており、給紙装置11から供給された印刷シート(被印刷物)Sが印刷装置12により印刷された後、180度反転して給紙装置11と同じ側にある排紙装置15に送られて排紙される。
【0041】
給紙装置11は、上下一対の給紙ユニット11a,11bを有しており、この各給紙ユニット11a,11bは、それぞれ給紙台21a,21bと、給紙機構としてのセパレータ装置22a,22bとを有している。給紙台21a,21bは、印刷シートSを上下に積み重ねて載置するものであり、セパレータ装置22a,22bは、給紙台21a,21b上に積み重ねられた多数の印刷シートSを上から順に1枚ずつ吸着して前方へ送り出すものである。この場合、給紙台21a,21bは、セパレータ装置22a,22bが印刷シートSとほぼ一定の高さの位置関係を維持できるように、印刷シートSの供給に対応して上下に移動可能となっている。
【0042】
印刷装置12は、K(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)のプロセスカラー印刷を行うことが可能となっている。この場合、印刷装置12は、図1及び図2に示すように、給紙装置11から供給された印刷シートSに対して、液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写するものである。即ち、この印刷装置12は、バックアップローラ(搬送胴、2次転写体)31と、中間転写体(印刷胴、1次転写体)32と、各色に対応した4つの印刷ユニット33,34,35,36とを有している。
【0043】
バックアップローラ31と中間転写体32は、略同じ外径(周長)を有するローラ(2倍胴)であり、対接した状態で矢印方向に同期駆動可能となっており、この対接部分に所定の圧力に設定されたニップ部(転写位置)が設定されている。このバックアップローラ31は、外周部に周方向に等間隔で爪装置151が設けられている。この爪装置151は、後述するが、給紙装置11から供給された印刷シートSの先端部を把持することができ、バックアップローラ31が回転することで、把持した印刷シートSをニップ部に導くことができる。一方、中間転写体32は、外周面に、例えば、ウレタン系導電性ゴムからなるブランケットが装着されて構成されており、電圧制御または電流制御のバイアスが印加されている。
【0044】
バックアップローラ31は、中間転写体32に対して、上述したニップ部にて、所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されている。そのため、印刷シートSは、バックアップローラ31により搬送されるとき、中間転写体32との間に形成されたニップ部を通過するとき、所定のニップ圧が付与される。また、バックアップローラ31は、例えば、−1000V程度の転写バイアス(電圧制御の場合)が印加されている。そのため、バックアップローラ31のバイアス電圧(約−1000V)と、中間転写体32のバイアス電圧との差により、後述する液体トナーをバックアップローラ31側へ吸引する力を与え、中間転写体32から印刷シートSへの液体トナーの静電転写を促進することができる。
【0045】
各印刷ユニット33,34,35,36は、中間転写体32の周囲にその回転方向に沿って並設されており、使用する液体トナーの色が異なるだけで、その構成は同様のものとなっている。そのため、以下では、印刷ユニット33について詳細に説明する。
【0046】
印刷ユニット33は、図2及び図3に示すように、図示しない制御装置から送信された画像データに基づいて、感光ドラム41上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対応する位置に液体トナーを供給し、感光ドラム41に形成された液体トナーの画像を中間転写体32に転写するものである。
【0047】
ここで、液体トナーは、熱可塑性素材樹脂と顔料などにより形成される粒子状のトナーが液体状のキャリア中に分散されて配合されたものであり、ここでは、キャリアとして、石油系の溶剤(例えば、非極性、パラフィン系溶剤として、ミネラルオイルなど)に、平均粒径1〜2μm程度の粒子状のトナーが重量比で10〜40パーセント程度含有されたものを液体トナーとして用いている。トナー粘度は10〜120cp(センチポワーズ)であり、特に80cp以下であるものが好適である。
【0048】
この印刷ユニット33は、感光ドラム(感光体)41、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46を有して構成されている。感光ドラム41は、周面にアモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー(有機感光体)等の感光剤を含んで形成された感光層が形成されている。この感光ドラム41は、中間転写体32との間でニップ部をもって対接しており、感光ドラム41上の液体トナーを中間転写体32側に転写可能となっている。
【0049】
感光ドラム41は、その周囲にこの感光ドラム41の回転方向に沿ってその上流側から、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46がそれぞれ順に感光ドラム41の表面に形成される感光層に対向して配設されている。
【0050】
クリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを有して構成されており、感光ドラム41の周面に残存している液体トナーを除去して図示しないトナー回収路に排出することができる。即ち、クリーニングブレード42aは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、先端部が感光ドラム41の周面に接触するように支持されており、感光ドラム41の周面の液体トナーを掻き取ることができる。
【0051】
除電器43は、感光ドラム41の感光層に残留する電荷を消去する機能を有している。帯電装置44は、コロトロン型あるいはスコロトロン型等の非接触型放電方式の帯電器が、感光ドラム41の周方向に沿って複数配設されて構成されており、感光ドラム41の感光層を一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0052】
露光装置45は、感光ドラム41の軸方向に沿って発光体(例えば、LED)を棒状に配列した発光装置(LEDアレイ)により構成されており、制御装置から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。即ち、帯電装置44により一様に帯電されている感光ドラム41の感光層の表面に露光装置45からの光が照射されることで、光の照射部分では感光層の帯電が解除され、感光層に画像データに基づいた静電潜像を形成することができる。なお、発光装置としては、LEDアレイの代わりに、画像データに基づいて半導体レーザー等を走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
【0053】
現像装置46は、トナー貯留部51、アニロックスローラ52、均しローラ53、現像ローラ54、トナー帯電器55、トナー回収ユニット56,57を有して構成されており、感光ドラム41の静電潜像が形成された部分に液体トナーを転写可能となっている。
【0054】
トナー貯留部51には、液体トナーが貯留されており、アニロックスローラ52の一部が液体トナーに浸されるように、液体トナーが供給、排出可能となっている。このアニロックスローラ52は、例えば、金属製のローラであって、その周面に液体トナーを所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面にわたって形成されている。このアニロックスローラ52は、感光ドラム41と共に回転駆動可能である。
【0055】
均しローラ53は、例えば、導電性ゴム(ウレタンゴム)で形成されており、アニロックスローラ52と現像ローラ54との間に配設され、周面がこのアニロックスローラ52及び現像ローラ54に接している。また、均しローラ53は、アニロックスローラ52との接点において互いの周面が同じ方向に進む向きに回転可能となっている。
【0056】
現像ローラ54は、例えば、導電性ゴムで形成されており、感光ドラム41と接してニップ部を形成するように配設されており、感光ドラム41の周面と現像ローラ54の周面とが同じ方向に進む向きに回転可能となっている。更に、現像ローラ54は、周面の速度が感光ドラム41の周面の速度と同じ速度に設定されている。また、トナー帯電器55は、現像ローラ54上の液体トナーを一様に帯電させる機能を有している。
【0057】
従って、導電性を有する現像ローラ54と感光ドラム41とがニップ部で接することにより、現像ローラ54の周面から感光ドラム41の静電潜像が形成された部分へ帯電したトナーを含む液体トナーが転写され、現像が行われる。そして、現像された感光ドラム41の周面上の液体トナーは、ニップ部にて中間転写体32に転写され、この中間転写体32の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層(トナー画像)を形成することができる。
【0058】
トナー回収ユニット56は、現像ローラ54の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。また、トナー回収ユニット57は、均しローラ53の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。このトナー回収ユニット56,57は、両者はほぼ同様の構成をなし、ブレードにより均しローラ53や現像ローラ54の表面から剥離した残留トナーを、所定の位置まで搬送して回収するものである。
【0059】
なお、本実施例では、アニロックスローラ52をトナー供給ローラとし、均しローラ53をトナー搬送ローラとして説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、均しローラ53をなくし、アニロックスローラ52を直接現像ローラ54に対接させてもよく、この場合、現像ローラ54がトナー搬送ローラとして機能する。また、アニロックスローラ52と直接現像ローラ54との間に均しローラ53だけでなく、複数のローラ(トナー搬送ローラ)を介在させてもよい。
【0060】
また、バックアップローラ31は、図1に示すように、給紙装置11側から第1シート搬送経路S1が下方に接続される一方、上方から排紙装置15側へ第2シート搬送経路S2が接続されており、約180度のシート巻付角度が設定されている。このような構成から、バックアップローラ31は、給紙装置11及び排紙装置15側、つまり、印刷シートSを搬送しない側にローラ洗浄装置131が配置されている。
【0061】
このローラ洗浄装置131において、図4及び図5に示すように、箱型形状をなすハウジング132は、下部がフレーム(図示略)と一体の支持部材133に支持軸134により回動自在に支持され、引っ張りばね135により、図4及び図5にて時計周り方向に付勢支持されている。そして、ハウジング132は、バックアップローラ31側に開口しており、この開口した位置にバックアップローラ31の回転方向に沿って掻き取りブレード136、仕上げローラ137が所定間隔で並設されている。
【0062】
掻き取りブレード136は、バックアップローラ31と平行をなすように軸方向に沿って配置され、基端部が支持プレート138の先端部に固定され、先端部がバックアップローラ31の周面に接触している。支持プレート138は、支持軸139によりハウジング132に回動自在に支持され、引っ張りばね140により図4及び図5にて反時計周り方向に付勢されている。そして、支持プレート138は、掻き取りブレード136が掻き取った液体トナーを貯留するトナー回収部141が設けられている。また、支持プレート138は、上部に取付プレート142が固定され、この取付プレート142の先端部にガイドローラ143が回転自在に支持されている。この場合、掻き取りブレード136は、バックアップローラ31に対向してその軸方向に沿って配置され、その軸方向における各側方にそれぞれガイドローラ143が配置されることとなり、各ガイドローラ143は、バックアップローラ31の各端部に設けられたベアラ31aの周面に接触して回転可能となっている。
【0063】
そのため、バックアップローラ31が回転するとき、各ガイドローラ143は、引っ張りばね140の付勢力によりバックアップローラ31のベアラ31aを押圧しながら転動し、掻き取りブレード136は、バックアップローラ31の周面に適正な圧力で押圧され、残留した液体トナーを掻き取ることができる。また、ガイドローラ143は、バックアップローラの爪装置151の凹部31bへの落込みを防止している。更に、ベアラ31aはギャップで盛上っており、掻き取りブレード136の先端をわずかにバックアップローラ31の周面から浮かしてギャップへの衝突を防止している。
【0064】
仕上げローラ137は、バックアップローラ31と平行をなすように軸方向に沿って配置され、ハウジング132に回転自在に支持されており、バックアップローラ31の周面に対接し、且つ、図示しない駆動装置により逆方向に駆動回転可能となっている。そして、仕上げローラ137は、周面に付着した液体トナーを掻き取るブレード144が設けられると共に、このブレード144が掻き取った液体トナーを貯留するトナー回収部145が設けられている。そのため、仕上げローラ137は、バックアップローラ31と逆方向に回転することで、掻き取りブレード136が除去できなかったバックアップローラ31の液体トナーを除去することができる。
【0065】
また、ハウジング132は、上部に操作ハンドル146が回動自在に支持されており、この操作ハンドル146の先端部にカムローラ147が装着されており、このカムローラ147は、フレームの固定された支持壁に接触可能となっている。そのため、操作ハンドル146を操作してカムローラ147を支持壁148に接触させることで、ハウジング132を引っ張りばね135の付勢力に抗して図4及び図5にて反時計周り方向に回動し、所定位置、つまり、掻き取りブレード136及び仕上げローラ137がバックアップローラ31の周面に接触する位置に位置決めすることができる。
いる。
【0066】
従って、印刷が終了したバックアップローラ31に対して、まず、掻き取りブレード136が接触し、中間転写体32からバックアップローラ31に付着した液体トナーを掻き取ることができ、掻き取った液体トナーがトナー回収部145に貯留される。このとき、掻き取りブレード136は、ガイドローラ143により支持されていることから、バックアップローラ31の周面形状に拘わらず、適正にバックアップローラ31の周面に接触することができる。続いて、バックアップローラ31に対して、逆方向に回転する仕上げローラ137が接触し、掻き取りブレード136が除去できなかった液体トナーを除去することができる。
【0067】
また、バックアップローラ31は、図1に示すように、外周部に周方向に等間隔で2つの爪装置151が設けられている。この爪装置151は、図7及び図8に示すように、バックアップローラ31の凹部31b内に設けられ、爪部152と爪座153を有している。爪座153は、バックアップローラ31の凹部31b内に軸方向に所定間隔をおいて複数設けられている。爪部152は、爪座153に対応して爪が座面に当接するように、バックアップローラ31の凹部31b内に軸方向に所定間隔をおいて複数設けられている。各爪部152は、基端部が回転軸154により回転自在に支持され、爪部152の先端が爪座153の座面に接触可能となっている。そして、回転軸154が回動することで、各爪部152が爪座153に対して開閉し、印刷シートSの保持と解除を行うことができる。
【0068】
また、各爪部152は、一体に設けられたカムフォロア155が、バックアップローラ31の側部に固定されたカム156の周面に当接可能に設けられており、バックアップローラ31の回転に伴ってカム156の周面にカムフォロア155が摺接することで、回転軸154、つまり、各爪部152を回動(開閉)することができる。なお、回転軸154は、コイルばね157により各爪部152が開放する方向に付勢支持されている。
【0069】
カム156は、その外周の2箇所に凹部156a,156bが形成されており、バックアップローラ31の回転に伴い、コイルばね157による付勢によりカムフォロア155を内側に落ち込ませることで、爪部152を爪座153の座面から離して爪部152を開放することができる。一方、バックアップローラ31の回転に伴い、カムフォロア155を外側に押し出すことで、爪部152を爪座153の座面に当接させて爪部152を閉止することができる。
【0070】
また、爪装置151は、バックアップローラ31の凹部31b内に位置して、剥離レバー(剥離部材)158が設けられている。この剥離レバー158は、爪部152や爪座153を避けて、バックアップローラ31の凹部31b内に軸方向に所定間隔をおいて複数設けられている。つまり、各剥離レバー158は、各爪部152及び各爪座153の間に配置されている。剥離レバー158は、基端部が支持部159に固定され、この支持部159は、回転軸160に固定されて凹部31b内で回動可能となっている。即ち、回転軸160の回動により各支持部159が回動し、各剥離レバー158を回動することができる。
【0071】
この剥離レバー158は、爪座153の座面よりも凹部31bの奥側に進入する進入位置と、爪座153の座面よりも外側に突出する突出位置とに移動可能となっている。即ち、剥離レバー158は、一体に設けられたカムフォロア161が、爪部152に固定されたカム162に当接可能に設けられており、爪部152の回動に伴ってカム162にカムフォロア161が摺接することで、回転軸160、つまり、各剥離レバー158を回動することができる。なお、回転軸160は、コイルばね163により剥離レバー158が進入位置側に付勢支持されている。そして、剥離レバー158は、爪部152のカムフォロア155が、カム156の凹部156a,156bの位置に至った場合に突出位置側に回動するが、凹部156bの位置に至った場合のみ突出位置まで回動する。このため、剥離レバー158は、突出位置に回動することで、爪部152の保持が解除された印刷シートSを爪座153の座面から剥がすことができる。
【0072】
従って、バックアップローラ31が回転し、カム156が凹部156aに落ち込むと、爪部152が爪座153から離れることで爪部152を開放し、カムフォロア155が凹部156aから外側に押し出されると、爪部152が爪座153の座面に当接することで爪部152が閉止し、印刷シートSの先端部を保持することができる。そして、バックアップローラ31が回転し、カム156が凹部156bに落ち込むと、爪部152が爪座153から離れることで爪部152を開放し、印刷シートSの先端部の保持を解除することができる。このとき、爪部152のカム162がカムフォロア161に摺接することで、剥離レバー158を突出位置に回動し、爪部152の保持が解除された印刷シートSを爪座153の座面から剥がすことができる。
【0073】
また、バックアップローラ31は、図6に示すように、シート搬送装置171が設けられている。このシート搬送装置171は、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSを所定の隙間をもってガイドするガイド装置のガイド部材としての押えローラ(ガイドローラ)172,173と、押えローラ172,173よりバックアップローラ31の回転方向の下流側で、このバックアップローラ31との間で印刷シートSを挟持して搬送可能な搬送ローラ174とを有している。
【0074】
このシート搬送装置171において、図6及び図9、図10に示すように、支持プレート175は、バックアップローラ31の外周側で、その軸方向に沿って配設されており、各端部がフレーム170に対してバックアップローラ31の周方向に移動自在に支持されている。この支持プレート175は、下部のガイドレール176によりガイド部材177がバックアップローラ31の軸方向に移動自在に支持され、ガイド部材177は、下部に支持フレーム178が固定されている。この支持フレーム178は、バックアップローラ31の正面に沿った取付部178aと、この取付部178aの中間部から垂下した支持部178bを有している。そして、取付部178aは、各端部に支持軸179,180の上端部がそれぞれ貫通し、調整ナット181及び固定ナット182により取付けられている。そして、支持軸179は、下部に連結軸183により取付ブラケット184が回動自在に連結され、この取付ブラケット184に押えローラ173が支持軸185により回転自在に支持されている。一方、支持軸180は、下部に連結軸186により取付ブラケット187が回動自在に連結され、この取付ブラケット187に搬送ローラ174が支持軸188により回転自在に支持されている。そして、取付部178aと各支持軸179,180との間に、圧縮コイルばね189,190が介装され、押えローラ173と搬送ローラ174を下方、つまり、バックアップローラ31の周面側に付勢支持している。
【0075】
また、支持フレーム178は、支持部178bの下部に連結軸191により2つの連結レバー192,193の一端部が回動自在に連結され、この各連結レバー192,193は、他端部が各支持軸185,188により押えローラ173及び搬送ローラ174に回動自在に連結されている。そして、各連結レバー192,193は、一端部側が互いに交差し、端部にそれぞれ対向する係止部192a,193aが形成されている。
【0076】
この場合、押えローラ173は、バックアップローラ31の周面と所定の隙間Aが確保されるように、その位置が設定されている。また、搬送ローラ174は、バックアップローラ31の周面を押圧できるように、その位置が設定されている。この場合、押えローラ173と搬送ローラ174は、固定ナット182を弛緩し、調整ナット181を回動することで、各支持軸179,180が軸方向に移動することから、その上下位置を調整することができる。ここで、調整ナット181及び固定ナット182が本発明の隙間調整機構として機能する。また、押えローラ173及び搬送ローラ174は、圧縮コイルばね189,190によりバックアップローラ31の周面に接近する方向に付勢支持され、調整ナット181及び固定ナット182により所定の位置に位置決め保持されることから、この調整ナット181及び固定ナット182が本発明のストッパとして機能する。
【0077】
また、上述したガイド部材177、支持フレーム178、支持軸179,180、取付ブラケット184,187、押えローラ173、搬送ローラ174などは、バックアップローラ31における軸方向の各端部の周面に対してそれぞれ設けられている。即ち、押えローラ173及び搬送ローラ174は、バックアップローラ31に保持される印刷シートSの幅方向の端部、つまり、印刷されない余白部に対して設けられている。そして、ねじ軸194は、バックアップローラ31の軸方向に沿って配置され、各支持フレーム178に螺合して一端部に支持プレート175に固定された駆動モータ195の駆動軸が接続されている。なお、ねじ軸194は、一方の支持フレーム178に螺合するねじ部と、他方の支持フレーム178に螺合するねじ部とが逆ねじとなっている。
【0078】
従って、駆動モータ195によりねじ軸194を回転すると、各支持フレーム178が接近離反することで、バックアップローラ31の各軸端部側に位置する押えローラ173及び搬送ローラ174を互いに同期して接近離間することができる。即ち、印刷シートSは、そのサイズにより幅が相違することから、その幅に合わせて押えローラ173及び搬送ローラ174を印刷シートSの幅方向に移動することで、押えローラ173が適正に印刷シートSの各余白部をガイドし、搬送ローラ174が適正に印刷シートSの各余白部を支持することができる。
【0079】
この場合、押えローラ173は、バックアップローラ31の周面と所定の隙間Aが設けられている。そのため、押えローラ173は、バックアップローラ31が保持した印刷シートSの印刷面に対して直接的に接触することなく、そのあばれを抑えることができる。一方、搬送ローラ174は、バックアップローラ31の周面に直接的に接触、または、印刷シートSを挟んで間接的に接触することで、このバックアップローラ31と共に連れ回り可能である。そのため、搬送ローラ174は、バックアップローラ31の保持が解除された印刷シートSを、このバックアップローラ31とで挟持し、且つ、前方へ搬送することができる。
【0080】
また、支持プレート175は、フレーム170に対してバックアップローラ31の周方向に移動自在に支持されており、フレーム170に固定された駆動装置196により移動可能となっている。即ち、押えローラ173及び搬送ローラ174は、駆動装置196によりバックアップローラ31の周方向に移動可能となっている。印刷シートSは、その厚さにより剛性が相違することから、その厚さに合わせて押えローラ173及び搬送ローラ174を印刷シートSの周方向に移動することで、搬送ローラ174による印刷シートSの送り出し方向(送り出し角度)を変更し、搬送ローラ174が適正に印刷シートSを送り出すことができるようにしている。具体的には、印刷シートSの厚さが厚いほど、搬送ローラ174をバックアップローラ31の回転方向における前方側に移動し、印刷シートSの送り出し方向(送り出し角度)を水平に近い側にする。一方、印刷シートSの厚さが薄いほど、搬送ローラ174をバックアップローラ31の回転方向における後方側に移動し、印刷シートSの送り出し方向(送り出し角度)を水平から遠い側にする。ここで、駆動装置196が本発明の周方向位置調整機構として機能する。
【0081】
一方、支持プレート197は、前述と同様に、バックアップローラ31の外周側で、その軸方向に沿って配設されており、各端部がフレーム170に固定されている。この支持プレート197は、下部のガイドレール198によりガイド部材199がバックアップローラ31の軸方向に移動自在に支持され、ガイド部材199は、下部に支持フレーム200が固定されている。この支持フレーム200は、端部に支持軸201の上端部が貫通し、調整ナット202及び固定ナット203により取付けられている。そして、支持軸201は、下部に連結軸204により取付ブラケット205が回動自在に連結され、この取付ブラケット205に押えローラ172が支持軸206により回転自在に支持されている。そして、支持フレーム200と支持軸201との間に圧縮コイルばね207が介装され、押えローラ172を下方、つまり、バックアップローラ31の周面側に付勢支持している。
【0082】
また、支持フレーム200は、下部に連結軸208により連結レバー209の一端部が回動自在に連結され、この連結レバー209は、他端部が支持軸206により押えローラ172に回動自在に連結されている。この場合、押えローラ172は、バックアップローラ31の周面と所定の隙間が確保されるように、その位置が設定されている。
【0083】
また、上述したガイド部材199、支持フレーム200、支持軸201、取付ブラケット205、押えローラ172などは、バックアップローラ31における軸方向の各端部の周面に対してそれぞれ設けられている。即ち、押えローラ172は、バックアップローラ31に保持される印刷シートSの幅方向の端部、つまり、印刷されない余白部に対して設けられている。そして、ねじ軸210は、バックアップローラ31の軸方向に沿って配置され、各支持フレーム200に螺合して一端部に支持プレート175に固定された駆動モータ(図示略の駆動軸が接続されている。なお、ねじ軸210は、一方の支持フレーム200に螺合するねじ部と、他方の支持フレーム200に螺合するねじ部とが逆ねじとなっている。
【0084】
従って、バックアップローラ31は、爪装置151が印刷シートSの先端部を保持し、自身が回転することで印刷シートSを周面に巻き付けて搬送する。このとき、まず、各押えローラ172,173は、隙間Aにより、バックアップローラ31が保持した印刷シートSの印刷面に対して直接的に接触することなく、そのあばれを抑えることができる。また、搬送ローラ174は、バックアップローラ31の周面に印刷シートSを挟んで接触することで連れ回りすることから、搬送ローラ174とバックアップローラ31とで印刷シートSを挟持して回転することで、バックアップローラ31の保持が解除された印刷シートSを適正な前方へ搬送することができる。
【0085】
また、図1に示すように、バックアップローラ31による印刷シートSの送り出し側に、このバックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSを保持して搬送可能なベルト式搬送装置211が設けられている。このベルト式搬送装置211において、図11及び図12に示すように、搬送テーブル212は、ほぼ水平をなして配置され、幅方向の各端部がフレーム(図示略)に固定されており、バックアップローラ31からの印刷シートSを受け取り可能となっている。この搬送テーブル212は、中央部に開口部212aが形成されており、この開口部212aに、前後に所定間隔をあけて配置された駆動ローラ213及び支持ローラ214により支持された複数の搬送ベルト215が設けられている。また、この開口部212aには、駆動ローラ213と支持ローラ214との間に位置して吸着装置216が設けられている。
【0086】
搬送テーブル212は、印刷シートSの搬送方向における上流側、つまり、バックアップローラ31側に前部テーブル217が配置されている。前部テーブル217は、印刷シートSの搬送方向における下流側の端部が支持軸218により回動自在に支持され、印刷シートSの搬送方向における上流側の端部に爪装置151(複数の爪部152及び爪座153)に対応して切欠部217aが形成されている。
【0087】
従って、バックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSは、前述したように、搬送ローラ174とバックアップローラ31とで挟持されて前方へ搬送されており、先端部がベルト式搬送装置211に至る。ここで、印刷シートSが前部テーブル217から搬送テーブル212に送られると、吸着装置216がこの印刷シートSを吸着しながら、複数の搬送ベルト215が搬送することができる。
【0088】
ところで、図10及び図13に示すように、バックアップローラ31は、メンテナンス時など、中間転写体32に対して上方に離脱可能となっており、このとき、バックアップローラ31の移動に伴って押えローラ173及び搬送ローラ174と前部テーブル217を退避させる退避機構221が設けられている。
【0089】
退避機構221において、バックアップローラ31は、軸端部に第1カム面222と第2カム面223が形成されたカム224が固定されている。第1レバー225は、くの字形状をなし、中間部が支持軸226により回動自在に支持され、下端部に第1カム面222に接触するカムフォロア227が装着され、上端部にU字部228が形成されている。押えローラ173及び搬送ローラ174が支持された支持フレーム178は、ねじ軸194と支持軸191との間に開口229に操作棒230が挿入されており、一端部にこの操作棒230が固定されたリンク231は、下端部が第1レバー225のU字部228と係合している。操作棒230は、先端部が矩形状をなし、2つの連結レバー192,193の係止部192a,193aの間に挿入されており、回転することで係止部192a,193a同士を離間し、連結レバー192,193を回動し、押えローラ173及び搬送ローラ174を上昇する。
【0090】
また、第2レバー232は、くの字形状をなし、下端部に第2カム面223に接触するカムフォロア233が装着され、上端部が前部テーブル217の先端部に固定ボルト234により固定されている。
【0091】
従って、中間転写体32に対してバックアップローラ31が上方に移動して離脱すると、バックアップローラ31と共にカム224が回転移動(反時計周り方向)し、第1カム面222がカムフォロア227により第1レバー225を回動し、リンク231を介して操作棒230を回動する。すると、操作棒230の回動により係止部192a,193a同士が離間し、連結レバー192,193を回動することで、押えローラ173及び搬送ローラ174を上昇することができる。また、バックアップローラ31と共にカム224が回転移動(時計周り方向)すると、第2カム面223がカムフォロア233により第2レバー232を回動し、前部テーブル217を支持軸218を支点として上方に回動することができる。
【0092】
また、図1に示すように、定着装置13は、定着部61と反り矯正部(デカーラ)71とから構成されている。定着部61は、印刷シートSに転写されたトナー画像を加熱し、この印刷シートSの上面に転写された液体トナー層(トナー画像)を定着するものである。反り矯正部71は、定着部61で上面が加熱されることで反った(カールした)印刷シートSの反りを矯正するものである。
【0093】
定着装置13において、定着部61と反り矯正部71が印刷シートSの搬送方向に所定距離をあけて配置されている。定着部61は、加熱ローラ62と、加圧ローラ63と、テンションローラ64と、定着ベルト(搬送ベルト)65とから構成されており、加熱ローラ62は、内部に加熱源としての電気ヒータが装着されている。加圧ローラ63は、外周面にゴム(ブランケット)などの弾性部材が装着され、加熱ローラ62の下方でフレームに回転自在に支持されると共に、図示しない駆動モータにより駆動回転可能となっている。テンションローラ64は、加圧ローラ63より印刷シートSの搬送方向の上流側でフレームに回転自在に支持されると共に、テンション部材(ばね)により加圧ローラ63から離間する方向に付勢支持されている。定着ベルト65は、無端のベルトであって、加圧ローラ63とテンションローラ64との間に掛け回されており、このテンションローラ64によりテンションが付与されている。
【0094】
従って、駆動モータにより加圧ローラ63を駆動回転すると、加圧ローラ63とテンションローラ64との間に掛け回された定着ベルト65が移動する。この場合、加熱ローラ62と加圧ローラ63は、定着ベルト65を介して加圧状態にあることから、加熱ローラ62と定着ベルト65(加圧ローラ63)は、印刷シートSを挟持して搬送することができる。そして、このとき、加熱状態にある加熱ローラ62は、印刷シートSの上面、つまり、液体トナー層(トナー画像)を加熱することで、印刷シートSにトナー画像を定着することができる。
【0095】
反り矯正部71は、加熱ローラ72と、加圧ローラ73とから構成されている。加熱ローラ72は、内部に加熱源としての電気ヒータが装着されている。加圧ローラ73は、外周面にゴム(ブランケット)などの弾性部材が装着され、加熱ローラ72の上方でフレームに回転自在に支持されると共に、図示しない駆動モータにより駆動回転可能となっている。
【0096】
従って、駆動モータにより加圧ローラ73を駆動回転すると、加熱ローラ72と加圧ローラ73は、加圧状態にあることから、この加熱ローラ72と加圧ローラ73は、印刷シートSを挟持して搬送することができる。そして、このとき、加熱状態にある加熱ローラ72は、印刷シートSの下面、つまり、定着部61で加熱された上面と反対側の下面を加熱することで、印刷シートSの反りを矯正することができる。
【0097】
ところで、図1に示すように、上述した給紙装置11と印刷装置12との間には、印刷シートSの第1シート搬送経路S1が設けられている。この第1シート搬送経路S1は、基端部側が2つに分岐して各給紙ユニット11a,11bに接続されており、先端部側がバックアップローラ31と中間転写体32とのニップ部に接続されている。そして、第1シート搬送経路S1は、給紙装置11から印刷装置12までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ81が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ81の間隔は、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ81が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0098】
また、印刷装置12と定着装置13と排紙装置15との間には、印刷シートSの第2シート搬送経路S2が設けられており、この第2シート搬送経路S2に搬送装置14が設けられている。この第2シート搬送経路S2は、基端部側が印刷装置12に接続され、先端部側が定着装置13及び搬送装置14を介して排紙装置15に接続されている。そして、第2シート搬送経路S2は、定着装置13から排紙装置15までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ82が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ82の間隔は、各搬送ローラ81と同様に、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ82が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0099】
この第1シート搬送経路S1と第2シート搬送経路S2における搬送装置14の手前との間には、印刷シートSの表裏を反転させる反転装置91が設けられている。この反転装置91は、スイッチ機構92と、シート切替経路93と、搬送ローラ94と、シート反転経路95と、スイッチバックローラ96と、シート戻し経路97と、搬送ローラ98とを有している。この反転装置91は、両面印刷時に使用するものである。
【0100】
スイッチ機構92は、第1シート搬送経路S1を搬送される印刷シートSを搬送装置14またはシート切替経路93へ切替搬送するものであり、搬送ローラ94はシート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に供給することができる。このシート反転経路95は、印刷シートSを反転させるものであり、スイッチバックローラ96は、正転及び逆転可能であり、シート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に導き、その後、シート戻し経路97に供給することができる。このシート戻し経路97に供給された印刷シートSは、搬送ローラ98により第1シート搬送経路S1に戻されて再び印刷装置12に供給される。
【0101】
搬送装置14は、第2シート搬送経路S2を搬送中の印刷済の印刷シートSを排紙装置15まで搬送するものであり、循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して水平搬送可能となっている。
【0102】
排紙装置は、排紙台101と、前後方向位置調整部材102,103と、左右方向位置調整部材104とを有している。即ち、印刷済の印刷シートSが第2シート搬送経路S2に沿って搬送されるとき、搬送装置14は、保持した印刷シートSを排紙装置15の上方で解除して排紙する。このとき、前方向位置調整部材103が作動して印刷シートSの前方位置を位置決めすると共に、後方向位置調整部材102が印刷シートSの後方位置を位置決めする。また、左右方向位置調整部材104が印刷シートSの左右位置を位置決めする。
【0103】
また、本実施例の電子写真印刷装置10は、バックアップローラ31及び中間転写体32と、給紙装置11及び排紙装置15との間に、メンテナンス空間部241が設けられている。このメンテナンス空間部241は、少なくとも回収した液体トナーのリサイクルを行うリサイクル装置242が配置されている。従って、作業者は、このメンテナンス空間部241を用いて、バックアップローラ31、中間転写体32、給紙装置11、排紙装置15などのメンテナンス作業を行うことができる。
【0104】
以下、このように構成された本実施例の電子写真印刷装置10による印刷作業について説明する。
【0105】
本実施例の電子写真印刷装置10において、図1に示すように、給紙装置11では、2つの給紙ユニット11a,11bのうちの一方が作動し、印刷シートSを1枚ずつ送り出す。この給紙装置11から送り出された印刷シートSは、第1シート搬送経路S1にて、複数の搬送ローラ81により印刷装置12まで搬送される。印刷装置12にて、バックアップローラ31は、爪装置151における爪部152の開放状態で印刷シートSの先端部を受け入れ、この爪部152を閉止することで印刷シートSの先端部を把持し、回転することで保持した印刷シートSを搬送する。
【0106】
一方、中間転写体32では、図2に示すように、各印刷ユニット33,34,35,36により、印刷シートSの第1面に転写されるべき静電画像が形成された各感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、各感光ドラム41上に画像が現像され、この各感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。
【0107】
即ち、図3に示すように、トナー貯留部51の液体トナーは、アニロックスローラ52の回転に伴って持ち上げられ、このアニロックスローラ52から均しローラ53に供給され、この均しローラ53から現像ローラ54に搬送され、この現像ローラ54の液体トナーがトナー帯電器55により帯電され、現像ローラ54が感光ドラム41に接することにより、この現像ローラ54の周面から感光ドラム41の静電潜像が形成された部分へ帯電したトナーを含む液体トナーが転写され、現像が行われる。そして、現像された感光ドラム41の周面上の液体トナーは、中間転写体32に転写され、この中間転写体32の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層(トナー画像)を形成することができる。
【0108】
その後、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが、中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第1面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0109】
そして、図6に示すように、第1面に液体トナーが転写された印刷シートSは、先端部が爪部152に保持された状態で、バックアップローラ31が回転することで搬送される。このとき、印刷シートSは、各押えローラ172,173により左右の余白部が直接接触することなく、そのあばれが抑えられる。そして、印刷シートSは、搬送ローラ174により左右の余白部が挟持されることで回転し、印刷シートSを前方へ搬送される。
【0110】
その後、バックアップローラ31が所定の位置まで回転すると、カムフォロア155が凹部156bに落ち込み、爪部152が爪座153から離れることで爪部152を開放し、印刷シートSの先端部の保持を解除する。また、爪部152のカム162がカムフォロア161に摺接することで、剥離レバー158を突出位置に回動し、爪部152の保持が解除された印刷シートSを爪座153の座面から剥がす。そして、上述した搬送ローラ174は、爪部152の保持が解除された印刷シートSを保持することから、この印刷シートSを適正に搬送することができる。
【0111】
そして、図1に示すように、第1面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第1面)が加熱されることで、この第1面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0112】
即ち、印刷シートSは、定着装置13の定着部61に搬送されると、加熱ローラ62と定着ベルト65(加圧ローラ63)との間に挟持されながら搬送され、このとき、加熱ローラ62により上面の液体トナー層(トナー画像)が加熱されることで、印刷シートSの上面にトナー画像が定着される。そして、定着部61でトナー画像が定着された印刷シートSは、反り矯正部71に搬送される。印刷シートSは、反り矯正部71にて加熱ローラ73により下面が加熱されることで、反りが矯正される。
【0113】
定着装置13にて、第1面に液体トナーが定着された印刷シートSは、第2シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ82により搬送される。そして、反転装置91により表裏が反転され、第1シート搬送経路S1により再び印刷装置12に搬送される。
【0114】
再び、印刷装置12に搬送された印刷シートSは、前述と同様に、バックアップローラ31の爪部152により先端部が把持され、このバックアップローラ31により搬送される。中間転写体32では、各印刷ユニット33,34,35,36により、印刷シートSの第2面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、感光ドラム41上に画像が現像され、この感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。そして、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第2面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0115】
そして、第1面に液体トナーが転写された印刷シートSは、先端部が爪部152に保持された状態で、バックアップローラ31が回転することで搬送され、このとき、印刷シートSは、各押えローラ172,173により左右の余白部が直接接触することなく、そのあばれが抑えられる。そして、印刷シートSは、搬送ローラ174により左右の余白部が挟持されることで回転し、印刷シートSを前方へ搬送される。その後、バックアップローラ31が所定の位置まで回転すると、爪部152が印刷シートSの保持を解除し、剥離レバー158が印刷シートSを爪座153の座面から剥がす。
【0116】
そして、第2面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第2面)が加熱されることで、この第2面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0117】
即ち、印刷シートSは、定着装置13の定着部61に搬送されると、加熱ローラ62と定着ベルト65(加圧ローラ63)との間に挟持されながら搬送され、このとき、加熱ローラ62により上面(第2面)の液体トナー層(トナー画像)が加熱されることで、印刷シートSの上面(第2面)にトナー画像が定着される。そして、定着部61でトナー画像が定着された印刷シートSは、反り矯正部71に搬送される。印刷シートSは、反り矯正部71にて加熱ローラ72により下面が加熱されることで、反りが矯正される。
【0118】
定着装置13にて、第1面及び第2面に液体トナーが定着された印刷シートSは、図1に示すように、第2シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ82により搬送装置14まで搬送され、この搬送装置14により排紙装置15まで伝送され、この排紙装置15により排紙される。
【0119】
このように本実施例のシート搬送装置にあっては、印刷シートSを保持して回転可能であると共にバックアップローラ31との間で印刷シートSが挟持されるときにこの印刷シートSに対して印刷が行われる中間転写体32と、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSを所定の隙間をもってガイドする押えローラ172,173と、押えローラ172,173よりバックアップローラ31の回転方向の下流側でこのバックアップローラ31との間で印刷シートSを挟持して搬送可能な搬送ローラ174とを設けている。
【0120】
従って、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSが押えローラ172,173により所定の隙間をもってガイドされることで、バックアップローラ31により搬送される印刷シートSが変形して周面から離れても、押えローラ172,173によりこの印刷シートSがバックアップローラ31の周面に沿わされるようにガイドされる、且つ、搬送ローラ174の上流では、印刷シートSと所定の隙間をもってガイドすることで、印刷シートSを挟持してガイドしないことから、印刷シートSが幅方向にずれることなく搬送ローラ174とバックアップローラ31に適正に挟持される。また、押えローラ172,173によりガイドされた印刷シートSが搬送ローラ174とバックアップローラ31により挟持されて搬送されることで、バックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSを適正に保持して下流側へ搬送することができ、バックアップローラ31による印刷シートSの搬送を安定して行うことができると共に、印刷シートSを適正に受け渡しすることができる。
【0121】
この場合、印刷シートSは、幅方向における各端部を除く領域に絵柄があり、搬送ローラ174は、印刷シートSの幅方向における各端部、つまり、絵柄のない余白部分を押える。印刷シートSがばたつくと、搬送ローラ174が押える印刷シートSの位置がずれ、搬送ローラ174が絵柄を押えることになり、印刷面を汚してしまう。しかし、本実施例では、搬送ローラ174より上流側に押えローラ172,173が設けられていることから、印刷シートSの位置ずれが防止され、搬送ローラ174は、印刷シートSの適正位置、つまり、余白部分を押えることとなり、印刷面が汚れることはない。
【0122】
本実施例のシート搬送装置では、押えローラ172,173が、調整ナット181,202を回動して支持軸179,201が軸方向に移動することで、バックアップローラ31の周面との隙間を調整可能としている。従って、印刷シートSの厚さに応じて押えローラ172,173とバックアップローラ31の周面との隙間を調整することで、厚さの異なる印刷シートSに拘わらず、押えローラ172,173が安定して印刷シートSをガイドすることができる。
【0123】
本実施例のシート搬送装置では、バックアップローラ31に対する搬送ローラ174の周方向位置を駆動装置196により調整可能としている。従って、印刷シートSの剛性(厚さ)に応じて搬送ローラ174の位置を調整することで、印刷シートSの剛性に応じてその送り出し位置を変更することができ、剛性の異なる印刷シートSに拘わらず、搬送ローラ174が適正に印刷シートSを搬送することができる。
【0124】
本実施例のシート搬送装置では、押えローラ172,173は、バックアップローラ31の周面と所定の隙間をもって回動自在に配置され、搬送ローラ174は、バックアップローラ31の周面に接触することで連れ回り可能に配置されている。従って、押えローラ172,173が印刷シートSを適正にガイドし、搬送ローラ174が印刷シートSを適正に搬送することとなり、簡単な構成で印刷シートSを安定して良好に搬送することができる。
【0125】
本実施例のシート搬送装置では、押えローラ172,173は、圧縮コイルばね189,207によりバックアップローラ31の周面に接近する方向に付勢支持されると共に、調整ナット181,202及び固定ナット182,203によりバックアップローラ31の周面と所定の隙間を有する位置に位置決め保持されている。従って、バックアップローラ31により搬送される印刷シートSを適正にガイドすることができると共に、必要に応じて退避することができ、印刷シートSの損傷を防止することができる。
【0126】
本実施例のシート搬送装置では、バックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSを保持して搬送可能なベルト式搬送装置211が設けている。従って、バックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSは、搬送ローラ174に送り出された後、ベルト式搬送装置211により保持されて搬送されることとなり、ベルト式搬送装置211が適正の自由状態にある印刷シートSの先端部を保持して搬送することができる。
【0127】
本実施例のシート搬送装置では、バックアップローラ31が印刷シートSの保持を解除したときに印刷シートSの先端部をバックアップローラ31の周面から剥離させる剥離レバー158が設けられている。従って、印刷シートSがバックアップローラ31の周面に付着していても、剥離レバー158が印刷シートSの先端部をバックアップローラ31の周面から剥離させるため、印刷シートSをバックアップローラ31から適正に送り出すことができる。
【0128】
本実施例のシート搬送装置では、バックアップローラ31が中間転写体32から離間するとき、バックアップローラ31の移動に伴って押えローラ172,173及び搬送ローラ174を退避させる退避機構221が設けられている。従って、バックアップローラ31や中間転写体32のメンテナンス時に、退避機構221により押えローラ172,173及び搬送ローラ174が退避することで、メンテナンス性を向上することができる。
【0129】
また、本実施例の電子写真印刷装置にあっては、給紙装置11と、印刷装置12と、定着装置13と、トナー画像が定着された印刷シートSを搬送する搬送装置14と、排紙装置15とを備えて構成し、印刷装置12として、液体トナーを静電潜像の形成された感光ドラム41に転写して現像を行う印刷ユニット33,34,35,36と、印刷ユニット33,34,35,36により現像された液体トナーを転写する中間転写体32と、印刷シートSを保持して回転可能であると共に中間転写体32と接することによりニップ部を形成して液体トナーを印刷シートSに転写するためにバイアス電圧を印加するバックアップローラ31と、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSを所定の隙間をもってガイドする押えローラ172,173と、押えローラ172,173よりバックアップローラ31の回転方向の下流側でこのバックアップローラ31との間で印刷シートSを挟持して搬送可能な搬送ローラ174とを設けている。
【0130】
従って、バックアップローラ31により搬送される印刷済の印刷シートSが押えローラ172,173により所定の隙間をもってガイドされることで、バックアップローラ31により搬送される印刷シートSが変形して周面から離れても、押えローラ172,173によりこの印刷シートSがバックアップローラ31の周面に沿わされるようにガイドされる、且つ、搬送ローラ174の上流では、印刷シートSと所定の隙間をもってガイドすることで、印刷シートSを挟持してガイドしないことから、印刷シートSが幅方向にずれることなく搬送ローラ174とバックアップローラ31に適正に挟持される。また、押えローラ172,173によりガイドされた印刷シートSが搬送ローラ174とバックアップローラ31により挟持されて搬送されることで、バックアップローラ31による保持が解除された印刷シートSを適正に保持して下流側へ搬送することができ、バックアップローラ31による印刷シートSの搬送を安定して行うことができると共に、印刷シートSを適正に受け渡しすることができ、その結果、印刷品質を向上することができる。
【0131】
本実施例の電子写真印刷装置では、中間転写体とバックアップローラ31を2倍胴としている。従って、中間転写体32に対して複数の印刷ユニット33,34,35,36を効率的に配置することができ、また、バックアップローラ31の剛性が高くなると共に保持する印刷シートSの曲率が小さくなり、高精度な印刷を可能とすることができる。
【0132】
本実施例の電子写真印刷装置では、バックアップローラ31は、下方に印刷シートSが供給される一方、上方から印刷シートSが排出されることで、バックアップローラ31に対して給紙装置11と排紙装置15を同じ側に配置している。従って、給紙装置11と排紙装置12を同じ側に配置することで、作業者による各種の作業が容易なものとなり、作業性を向上することができる。
【0133】
本実施例の電子写真印刷装置では、バックアップローラ31を中間転写体32に対して給紙装置11及び排紙装置15側にずれて配置している。従って、バックアップローラ31は、印刷シートSを所定の角度をもって受け入れ、爪装置151が適正に保持することとなり、印刷シートSの搬送を円滑に行うことができる。
【0134】
本実施例の電子写真印刷装置では、バックアップローラ31における給紙装置11及び排紙装置15側の周面に対して洗浄装置131を設けている。従って、バックアップローラ31における印刷シートSの搬送領域以外の位置に洗浄装置131を効率的に配置することができ、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0135】
本実施例の電子写真印刷装置では、バックアップローラ31及び中間転写体32と、給紙装置11及び排紙装置15との間にメンテナンス空間部241を設けている。従って、作業者は、このメンテナンス空間部241を用いて、バックアップローラ31、中間転写体32、給紙装置11、排紙装置15などのメンテナンス作業を行うことができる。
【0136】
なお、上述した実施例では、本発明の被印刷物の搬送装置を電子写真印刷装置に適用して説明したが、枚葉印刷機などに適用することもできる。
【符号の説明】
【0137】
10 電子写真印刷装置
11 給紙装置
12 印刷装置
13 定着装置
14 搬送装置
15 排紙装置
31 バックアップローラ(搬送胴、2次転写体)
32 中間転写体(1次転写体)
33,34,35,36 印刷ユニット
41 感光ドラム(感光体)
46 現像装置
61 定着部
71 反り矯正部
131 ローラ洗浄装置
151 爪装置
152 爪部
153 爪座
158 剥離レバー(剥離部材)
171 シート搬送装置
172,173 押えローラ(ガイド装置、ガイドローラ)
174 搬送ローラ
221 退避機構
S 印刷シート(被印刷物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物を保持して回転可能であると共に印刷胴との間で印刷物が挟持されるときに前記被印刷物に対して印刷が行われる搬送胴と、
前記搬送胴により搬送される印刷済の前記被印刷物を所定の隙間をもってガイドするガイド装置と、
前記ガイド装置より前記搬送胴の回転方向の下流側で前記搬送胴との間で前記被印刷物を挟持して搬送可能な搬送ローラと、
を備えることを特徴とする被印刷物の搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド装置は、前記搬送胴の周面と所定の隙間をもって配置されるガイド部材と、前記搬送胴の周面と前記ガイド部材との前記隙間を調整可能な隙間調整機構とを有することを特徴とする請求項1に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送胴に対する前記搬送ローラの周方向位置を調整可能な周方向位置調整機構が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記搬送胴の周面と所定の隙間をもって回動自在に配置されるガイドローラであり、搬送ローラは、前記搬送胴の周面に接触することで前記搬送胴と共に連れ回り可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、付勢部材により前記搬送胴の周面に接近する方向に付勢支持されると共に、ストッパにより前記搬送胴の周面と所定の隙間を有する位置に位置決め保持されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送胴による保持が解除された前記被印刷物を保持して搬送可能なベルト式搬送装置が設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送胴が前記被印刷物の保持を解除したときに前記被印刷物の先端部を前記搬送胴の周面から剥離させる剥離部材が設けられることを特徴とする請求項6に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送胴が前記印刷胴から離間するとき、前記搬送胴の移動に伴って前記ガイド装置及び前記搬送ローラを退避させる退避機構が設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項9】
被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、
該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、
前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、
該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を排紙する排紙装置と、
を備える電子写真印刷装置において、
前記印刷装置は、
液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行う印刷ユニットと、
前記印刷ユニットにより現像された前記液体トナーを転写する1次転写体と、
被印刷物を保持して回転可能であると共に前記1次転写体と接することによりニップ部を形成して前記液体トナーを前記被印刷物に転写するためにバイアス電圧を印加する2次転写体と、
前記2次転写体により搬送される印刷済の前記被印刷物を所定の隙間をもってガイドするガイド装置と、
前記ガイド装置より前記2次転写体の回転方向の下流側で前記2次転写体との間で前記被印刷物を挟持して搬送可能な搬送ローラと、
を有することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項10】
前記1次転写体と前記2次転写体は、倍胴であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真印刷装置。
【請求項11】
前記2次転写体は、下方に前記被印刷物が供給される一方、上方から前記被印刷物が排出されることで、前記2次転写体に対して前記給紙装置と前記排紙装置が同じ側に配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の電子写真印刷装置。
【請求項12】
前記2次転写体は、前記1次転写体に対して前記給紙装置及び前記排紙装置が配置される側にずれて配置されることを特徴とする請求項11に記載の電子写真印刷装置。
【請求項13】
前記2次転写体は、前記給紙装置及び前記排紙装置が配置される側の周面に対して洗浄を行う洗浄装置が設けられることを特徴とする請求項11または12に記載の電子写真印刷装置。
【請求項14】
前記1次転写体及び前記2次転写体と前記給紙装置及び前記排紙装置との間にメンテナンス空間部が設けられることを特徴とする請求項11から13のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−107761(P2013−107761A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255563(P2011−255563)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】