説明

被挟止材保持機構及びファイル

【課題】用紙を綴じることができるとともに、表紙などの挟止体を閉じることによって、綴じられた用紙などの被挟止材をほぼ中央部分において正確に折り畳むことができる、被挟止材保持機構及びそれを設けたファイルを提供する。
【解決手段】この発明の被挟止材保持機構は、挟止体10を構成する第1片12と第2片14との境界の曲折部16に跨って形成された、折曲保持部22と、前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部40と、前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部22及び被挟止材を曲げるための押曲部50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被挟止材保持機構及びそれを設けたファイルに関し、特に、たとえば学校や塾で行われるテストのテスト用紙などの日本工業規格(JIS規格)A列3番の大きさの用紙などの用紙を綴じることができるとともに、ファイルの表紙を閉じることによって、綴じられた用紙をほぼ半分の大きさに折り畳みことができる、用紙保持機構及びそれを設けたファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
この発明の背景となる従来のファイルの一例が、たとえば特開2002−019352号公報に開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示されているファイルでは、用紙を綴じることができるとともに、ファイルの表紙を綴じることによって、綴じられた用紙をほぼ半分の大きさに折り畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−019352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示されているファイルでは、ファイルの表紙を閉じる際に、綴じられた用紙が不所望な方向に動いてしまうことがあって、綴じられた用紙をほぼ半分の大きさに正確に折り畳むことができない場合があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、用紙を綴じることができるとともに、表紙などの挟止体を閉じることによって、綴じられた用紙などの被挟止材をほぼ中央部分において正確に折り畳むことができる、被挟止材保持機構及びそれを設けたファイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる被挟止材保持機構は、挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられ、前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えた、被挟止材保持機構である。
この発明の請求項2にかかる被挟止材保持機構は、前記折曲保持部においては、柔軟性を有し、押曲部を境にして第1折曲保持領域と第2折曲保持領域とに分かれ、前記挟止体を構成する第1片と第2片とを曲折部において曲折して近づけたときに、押曲部を中心にして前記曲折部に向いて屈曲するように形成された、請求項1に記載の被挟止材保持機構である。
この発明の請求項3にかかる被挟止材保持機構においては、前記起立倒伏部は、折曲保持部が倒伏する方向とは反対の方向に向かうに従って曲折部とは離れる角度をもって、前記挟止体の曲折部と斜交する方向に向いて形成された、請求項1又は請求項2に記載の被挟止材保持機構である。
この発明の請求項4にかかる被挟止材保持機構においては、前記挟止体の曲折部は、傍らに、被挟止材を正しい位置に位置させて押曲部により曲げられるための被挟止材停止部を設けられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の被挟止材保持機構である。
この発明の請求項5にかかる被挟止材保持機構においては、前記折曲保持部は、帯状体で、その両端の起立倒伏部より外方に、挟止体の表面に固定するための、一定の面積を有する固定部を延設され、軟質の合成樹脂で、前記固定部と一体成形された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の被挟止材保持機構である。
この発明の請求項6にかかるファイルにおいては、挟止体と、挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられた被挟止材保持機構とを備え、前記被挟止材保持機構は、前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えた、ファイルである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられ、前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えているので、用紙を綴じることができるとともに、表紙などの挟止体を閉じることによって、綴じられた用紙などの被挟止材をほぼ中央部分において正確に折り畳むことができる被挟止材保持機構を提供することができる。
請求項2の発明によれば、前記折曲保持部においては、柔軟性を有し、押曲部を境にして第1折曲保持領域と第2折曲保持領域とに分かれ、前記挟止体を構成する第1片と第2片とを曲折部において曲折して近づけたときに、押曲部を中心にして前記曲折部に向いて屈曲するように形成されているので、挟止体を閉じることによって、挟止体の曲折部に向けて倒伏させることができる。
請求項3の発明によれば、前記起立倒伏部は、折曲保持部が倒伏する方向とは反対の方向に向かうに従って曲折部とは離れる角度をもって、前記挟止体の曲折部と斜交する方向に向いて形成されているので、挟止体を閉じることによって、挟止体の曲折部に向けて倒伏させることができる。
請求項4の発明によれば、前記挟止体の曲折部は、傍らに、被挟止材を正しい位置に位置させて押曲部により曲げられるための被挟止材停止部を設けられているので、それにあわせて、挟止体に正確に被挟止材を載置させることができる。
請求項5の発明によれば、前記折曲保持部は、帯状体で、その両端の起立倒伏部より外方に、挟止体の表面に固定するための、一定の面積を有する固定部を延設され、軟質の合成樹脂で、前記固定部と一体成形されているので、固定部を挟止体に固定することにより、挟止体に折曲保持部を形成することをできる。
請求項6の発明によれば、挟止体と、挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられた被挟止材保持機構とを備え、前記被挟止材保持機構は、前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えているので、用紙を綴じることができるとともに、表紙などの挟止体を閉じることによって、綴じられた用紙などの被挟止材をほぼ中央部分において正確に折り畳むことができるファイルを提供することができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
この明細書及び特許請求の範囲において、被挟止材は、リーフ、用紙、合成樹脂製ポケット等の被綴じ物の総称である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明にかかる実施の形態であるファイルの斜視図解図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態であるファイルの平面図解図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態である用紙保持機構の図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は(A)のB方向矢視図であり、(C)は(A)のC方向矢視図である。
【図4】図3図示用紙保持機構の閉じる途中の状態を示す図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は(A)のB方向矢視図である。
【図5】図3図示用紙保持機構の閉じる途中の状態を示す図解図であり、(A)は正面図解図であり、(B)は(A)のB方向矢視図であり、(C)は(A)のC方向矢視図である。
【図6】この発明にかかる用紙保持機構の成形時の図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は(A)のB方向矢視図であり、(C)は(A)のC方向矢視図である。
【図7】図1に示す綴じ具において挟持部材を閉じた状態を示す要部図解図である。
【図8】図1に示す綴じ具において挟持部材を開いた状態を示す要部図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る二つ折れ型のファイル等の挟止体10は、表表紙を構成する方形の第1片12と、裏表紙を構成する方形の第2片14を有する表紙体とにより構成されている。
挟止体10は、第1片12と第2片14との境界で表紙体の幅方向におけるほぼ中央に形成された、曲折部16を設けられている。
曲折部16は、第1片12及び第2片14と一体的に形成され、第1片12及び第2片14の手前側より向こう側に亘って連続して設けられた、2条の直線状ヒンジ構造により形成されている。
挟止体10は、第1片12の左端縁の近くに、挟止体10に挟み綴じられる用紙等の被挟止材Hを留めるための綴じ具18を備える。
被挟止材保持機構20は、挟止体10の手前側と向こう側とに上下一対形成されており、手前側の被挟止材保持機構20と向こう側の被挟止材保持機構20とは点対称に形成されている。
【0011】
挟止体10は、曲折部16の近くに挟止体10に挟み綴じられる用紙等の被挟止材Hの中央を押え付けるための被挟止材保持機構20を備える。
被挟止材保持機構20は、前記曲折部16に跨って形成された折曲保持部22を備えている。
折曲保持部22は、ポリプロピレン等の軟質の合成樹脂で、帯状に形成されている。
前記折曲保持部22は、薄い帯状体で、その両端より外方に、挟止体10の表面に固定するための、一定の面積を有する固定部30を延設され、折曲保持部22と固定部30とは、軟質合成樹脂で一体成形されている。
【0012】
以下、被挟止材保持機構20について、手前側の被挟止材保持機構20を中心にして説明する。
前記折曲保持部22は、長さ方向における中央に形成された押曲部50を境にして、第1折曲保持領域22Aと第2折曲保持領域22Bとに分かれている。
前記折曲保持部22は、前記挟止体10を構成する第1片12と第2片14とを曲折部16において曲折して近づけたときに、押曲部50を中心にして、挟止体10の前記曲折部16に向いて屈曲するように形成されている。
折曲保持部22は、平面視略C字型で、第1折曲保持領域22A及び第2折曲保持領域22Bは、線対称形である。
第1折曲保持領域22Aは、末端より中央の押曲部50に到るに従って太くなり、末端と中央の押曲部50との間に最も細くなるくびれ部24aを備える。第2折曲保持領域22Bは、末端より中央の押曲部50に到るに従って太くなり、末端と中央の押曲部50との間に最も細くなるくびれ部24bを備える。
この実施の形態においては、くびれ部24a及びくびれ部24bは、挟止体10を開いた状態においては、挟止体10を構成する第1固定片30a並びに第2固定片30b及び起立倒伏部40より上方に位置し、被挟止材保持機構20の中央は、挟止体10を開いた状態においては、くびれ部24a及びくびれ部24bより上方に位置している。
【0013】
固定部30は、折曲保持部22の一方端に形成された第1固定片30aと折曲保持部22の他方端に形成された第2固定片30bとを備える。
手前側の被挟止材保持機構20の第1固定片30aは、挟止体10の外方で曲折部16の傍らにおいて、第1片12の内面と固着され、手前側の被挟止材保持機構20の第2固定片30bは、挟止体10の外方で曲折部16の傍らにおいて、第2片14の内面に固着されている。
【0014】
前記折曲保持部22は、その両端に、前記第1片12と第2片14とを曲折部16を中心にして起き上がり、第1片12と第2片14とを閉じるときに、第1片12の内面と第2片14の内面とが近づくに従って、前記折曲保持部22を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部40を形成されている。
【0015】
前記起立倒伏部40は、薄肉直線部をもって構成され、第1折曲保持領域22Aと第1固定片30aとの境界に形成された第1起立倒伏部40Aと、第2折曲保持領域22Bと第2固定片30bとの境界に形成された第2起立倒伏部40Bとを備える。
起立倒伏部40は、折曲保持部22が倒伏する方向(手前側から向こう側に向かう方向)とは反対の方向(手前側に向かう方向)に向かうに従って曲折部16とは離れる角度をもって形成されている。
第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとは、起立倒伏部40の起立する方向とは反対側に向かうに従って、拡がる角度を有する。
第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとは、挟止体10の内方に向かうに従って、曲折部16に近づく。
この実施の形態においては、第1起立倒伏部40Aは、向こう側(内側)の端部42aが曲折部16に近く、手前側(外側)の端部44aが曲折部16と離れている。又、第2起立倒伏部40Bは、向こう側(内側)の端部42bが曲折部16に近く、手前側(外側)の端部44bが曲折部16と離れている。
向こう側の端部42aと向こう側の端部42bとは、第1片12及び第2片14の手前側の端縁より等距離離れ、又、手前側の端部44aと手前側の端部44bとは、第1片12及び第2片14の手前側の端縁より等距離離れている。
而して、挟止体10を閉じたとき、向かい合った手前側の端部44a及び手前側の端部44bが向かい合った向こう側の端部42a及び向こう側の端部42bより大きな角度をもって起き上がり、近づくことになる。
【0016】
前記折曲保持部22は、その両端の間に、前記第1片12と第2片14とを近づけて前記折曲保持部22を起立し、曲折部16に向けて倒伏したときに、前記曲折部16に向いて被挟止材Hを押さえ付け、且つ前記折曲保持部22及び被挟止材Hを曲げるための押曲部50を備える。
【0017】
押曲部50は、折曲保持部22の中央において、手前側端縁(外側端縁)から向こう側端縁(内側端縁)に亘って形成された薄肉状直線部をもって構成されている。
押曲部50は、挟止体10の曲折部16と平行に形成されており、曲折部16を構成する2条の直線状薄肉部と略平行に形成されている。
手前側の被挟止材保持機構20の押曲部50の向こう側端(内側端)は、挟止体10を開いた状態においては、第1起立倒伏部40Aの向こう側(内側)の端部42aと第2起立倒伏部40Bの向こう側(内側)の端部42bとを結んだ線の上方に位置している。
手前側の被挟止材保持機構20の押曲部50の手前側端(外側端)は、挟止体10を開いた状態においては、第1起立倒伏部40Aの手前側(外側)の端部44aと第2起立倒伏部40Bの手前側(外側)の端部44bとを結んだ線より手前側(内側)に位置し、挟止体10の手前側端縁(外側端縁)より外方にはみ出した位置に位置している。
【0018】
折曲保持部22は、その両端より中央に向かうに従って上方に向けて盛り上がり、挟止体10の第1片12と第2片14とを閉じたときに、第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとが近づくに従って、固定部30より盛り上がっていた押曲部50が下方に向けて谷折り状に折れ曲がって下降し、被挟止材Hの上端縁及び下端縁の中央を押さえ付けて曲折部16に向けて下降するように構成されている。
この実施の形態においては、固定部30において挟止体10に固着される前においては、図6において示すように、第1固定片30aと第2固定片30bとの間隔は、挟止体10に固着される前より広く、折曲保持部22の上方への盛り上がりは、挟止体10に固着される前より低く形成されている。そして、第1固定片30aと第2固定片30bとの間隔を狭めて、挟止体10の第1片12と第2片14とに固着したとき、折曲保持部22は、より上方に盛り上がるように構成されている。
【0019】
前記挟止体10の曲折部16は、傍らに、被挟止材Hを正しい位置に位置させて押曲部50により正確に曲げられるための被挟止材停止部60を形成されている。
被挟止材停止部60は、第1固定片30aと第2固定片30bの下端の近くにおいて上方(すなわち折曲保持部22の盛り上がる方向)に向いて突設された平面視方形ないしは逆U字形の突片で構成されている。
この実施の形態においては、被挟止材停止部60は、第1固定片30aの上面に突設された第1突片62aと、第2固定片30bの上面に突設された第2突片62bとにより構成されている。第2突片62bは、被挟止材Hを綴じ具18にて綴じるときに、被挟止材Hの下端縁を保持して、被挟止材Hが挟止体10の表面の最適な位置に載置されるように構成されている。
第1固定片30aの第1突片62a及び第2固定片30bの第2突片62bの向こう側面は、挟止体10の下端縁と平行である。
第2突片62bの手前側には凹みを形成されている。而して、第2突片62bにより、被挟止材Hの下端縁は挟止体10の下端縁と平行な状態で、挟止体10の表面に載置される。
第1突片62aは、第1固定片30aに一体成形され、第2突片62bは、第2固定片30bに一体成形されている。
第1突片62aは、挟止体10を閉じたとき、第2突片62bの手前側の凹みの下部に入り込み、第2突片62bを支えるとともに被挟止材Hの垂れ下がりを防止している。
【0020】
次に、被挟止材保持機構20を挟止体10の向こう側に取り付けられたときについて、概略的に説明する。
【0021】
向こう側の被挟止材保持機構20の第1固定片30aは、挟止体10の外方で曲折部16の傍らにおいて、第2片14の内面と固着され、向こう側の被挟止材保持機構20の第2固定片30bは、挟止体10の外方で曲折部16の傍らにおいて、第1片12の内面に固着されている。
【0022】
起立倒伏部40は、折曲保持部22が倒伏する方向(向こう側から手前側に向かう方向)とは反対の方向(向こう側に向かう方向)に向かうに従って曲折部16とは離れる角度をもって形成されている。
第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとは、起立倒伏部40の起立する方向とは反対側に向かうに従って、拡がる角度を有する。
第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとは、挟止体10の内方に向かうに従って、曲折部16に近づく。
この実施の形態においては、第1起立倒伏部40Aは、手前側(内側)の端部42aが曲折部16に近く、向こう側(外側)の端部44aが曲折部16と離れている。又、第2起立倒伏部40Bは、手前側(内側)の端部42bが曲折部16に近く、向こう側(外側)の端部44bが曲折部16と離れている。
手前側の端部42aと手前側の端部42bとは、第1片12及び第2片14の向こう側の端縁より等距離離れ、又、向こう側の端部44aと向こう側の端部44bとは、第1片12及び第2片14の向こう側の端縁より等距離離れている。
而して、挟止体10を閉じたとき、向かい合った向こう側の端部44a及び向こう側の端部44bが向かい合った手前側の端部42a及び手前側の端部42bより大きな角度をもって起き上がり、近づくことになる。
【0023】
押曲部50は、折曲保持部22の中央において、向こう側端縁(外側端縁)から手前側端縁(内側端縁)に亘って形成された薄肉状直線部をもって構成されている。
押曲部50は、挟止体10の曲折部16と平行に形成されており、曲折部16を構成する2条の直線状薄肉部と略平行に形成されている。
向こう側の被挟止材保持機構20の押曲部50の手前側端(内側端)は、挟止体10を開いた状態においては、第1起立倒伏部40Aの手前側(内側)の端部42aと第2起立倒伏部40Bの手前側(内側)の端部42bとを結んだ線の上方に位置している。
向こう側の被挟止材保持機構20の押曲部50の向こう側端(外側端)は、挟止体10を開いた状態においては、第1起立倒伏部40Aの向こう側(外側)の端部44aと第2起立倒伏部40Bの向こう側(外側)の端部44bとを結んだ線より向こう側(内側)に位置し、挟止体10の向こう側端縁(外側端縁)より外方にはみ出した位置に位置している。
【0024】
第2突片62bは、被挟止材Hを綴じ具18にて綴じるときに、被挟止材Hの上端縁を保持して、被挟止材Hが挟止体10の表面の最適な位置に載置されるように構成されている。
第1固定片30aの第1突片62a及び第2固定片30bの第2突片62bの手前側面は、挟止体10の下端縁と平行である。第2突片62bの向こう側には凹みを形成されている。而して、第2突片62bにより、被挟止材Hの下端縁は挟止体10の下端縁と平行な状態で、挟止体10の表面に載置される。
第1突片62aは、第1固定片30aに一体成形され、第2突片62bは、第2固定片30bに一体成形されている。第1突片62aは、挟止体10を閉じたとき、第2突片62bの向こう側の凹みの下部に入り込み、第2突片62bを支えるとともに被挟止材Hの垂れ下がりを防止している。
【0025】
綴じ具18について、以下説明する。
この綴じ具18は、台板110と、一方側部分に挟持部132が形成され、他方側部分に開用押圧部134が形成され、前記挟持部132が前記台板110に対して開閉できるように中間部分が前記台板110に回動可能に支持される挟持部材130と、前記挟持部材130の前記挟持部132を前記台板110側に付勢するトーションばね120と、および前記台板110に対して前記挟持部材130の前記挟持部132を開いた状態で維持するための係止部材140とを含む。
前記係止部材140は、前記挟持部材130の前記一方側部分および前記中間部分の間の部分で回動可能に支持され、前記挟持部材130の前記開用押圧部134側に配置される係止用押圧部142、前記挟持部材130の前記挟持部132側に配置される解除用押圧部144、および前記台板110側に配置される係止部146を含む。
【0026】
また、この綴じ具18は、図7および図8に示すように、挟持部材130の開用押圧部134を押圧して台板110に対して挟持部材130の挟持部132をトーションばね120の付勢力に抗して開いた状態で係止部材140の係止用押圧部142を押圧して係止部材140の係止部146を台板110の突出部112に当てることによって、台板110に対して挟持部材130の挟持部132を開いた状態で維持するように形成されている。
【0027】
さらに、この綴じ具18は、図7および図8に示すように、係止部材140の解除用押圧部144を押圧して係止部材140の係止部146を台板110の突出部112から外すことによって、台板110に対して挟持部材130の挟持部132をトーションばね120の付勢力で閉じるように形成されている。
【0028】
この綴じ具18では、挟持部材130の開用押圧部134を押圧することによって、台板110に対して挟持部材130の挟持部132をトーションばね120の付勢力に抗して開くことができる。この場合、挟持部材130において開こうとする一方側部分に形成された挟持部132とは反対側の他方側部分に形成された開用押圧部134を押圧すればよいので、挟持部材130の開用押圧部134が押圧しやすく、挟持部材130の挟持部132を開きやすい。
【0029】
次に、この発明にかかるファイルの使用方法について説明する。
ファイルを構成する挟止体10を開き、例えば、被挟止材Hである日本工業規格(JIS規格)A列3番の大きさの用紙を第1片12を構成する表表紙及び第2片14を構成する裏表紙の内面の上に載置し、綴じ具18に左端縁を綴じる。
そのとき、被挟止材Hである日本工業規格(JIS規格)A列3番の大きさの用紙の下端縁を、被挟止材停止部60を構成する第1突片62a及び第2突片62bの向こう側面に沿わせ、被挟止材Hの幅方向における中央(折り曲げる部位)を曲折部16の上に位置させる。
被挟止材Hの上端縁及び下端縁は、挟止体10の上端縁及び下端縁と略平行に載置され、且つ被挟止材Hの左端縁及び右端縁を、挟止体10の左端縁及び右端縁と平行に載置される。
次に、挟止体10を構成する第2片14を曲折部16において折り曲げて、第1片12に向けて近づける。
そのとき、被挟止材保持機構20は、第2片14の回動動作に従って、第2起立倒伏部40B側を第1起立倒伏部40A側に近づけると、起ち上がって上方に位置していた折曲保持部22の中央が第1起立倒伏部40Aと第2起立倒伏部40Bとの間の幅が狭くなるに従って、挟止体10の内方に向けて、倒伏する。
そして、折曲保持部22の中央の押曲部50が被挟止材Hの上面に接面し、曲折部16側に被挟止材Hを押し付けると、二つ折りにされた被挟止材Hの幅方向における中央において、被挟止材Hは、折り曲げられる。
而して、被挟止材Hは、幅方向における中央において、美麗に且つ正確に折り曲げられ、挟止体10の中に綴じられる。
そして、被挟止材Hの下端縁は、折曲保持部22及び被挟止材停止部60で保持されるので、下方に垂れ下がることもない。
【0030】
この発明は、前記実施の形態に関する発明に限らず、この発明の思想に基づき種々変更が可能である。
例えば、被挟止材保持機構20の第1折曲保持領域22A及び第2折曲保持領域22Bの形状は、曲線ではなく直線をもって形成してもよく、また押曲部50は、複数条の直線状薄肉部を適宜な間隔をおいて形成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 挟止体
12 第1片
14 第2片
16 曲折部
18 綴じ具
20 被挟止材保持機構
22 折曲保持部
22A 第1折曲保持領域
22B 第2折曲保持領域
24a,24b くびれ部
30 固定部
30a 第1固定片
30b 第2固定片
40 起立倒伏部
40A 第1起立倒伏部
40B 第2起立倒伏部
42a,42b 向こう側の端部
44a,44b 手前側の端部
50 押曲部
60 被挟止材停止部
62a 第1突片
62b 第2突片
110 台板
112 突出部
120 トーションばね
130 挟持部材
132 挟持部
134 開用押圧部
140 係止部材
142 係止用押圧部
144 解除用押圧部
146 係止部
H 被挟止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられ、
前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、
前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、
前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えた、被挟止材保持機構。
【請求項2】
前記折曲保持部は、柔軟性を有し、
押曲部を境にして第1折曲保持領域と第2折曲保持領域とに分かれ、
前記挟止体を構成する第1片と第2片とを曲折部において曲折して近づけたときに、押曲部を中心にして前記曲折部に向いて屈曲するように形成された、請求項1に記載の被挟止材保持機構。
【請求項3】
前記起立倒伏部は、
折曲保持部が倒伏する方向とは反対の方向に向かうに従って曲折部とは離れる角度をもって、前記挟止体の曲折部と斜交する方向に向いて形成された、請求項1又は請求項2に記載の被挟止材保持機構。
【請求項4】
前記挟止体の曲折部は、
傍らに、被挟止材を正しい位置に位置させて押曲部により曲げられるための被挟止材停止部を設けられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の被挟止材保持機構。
【請求項5】
前記折曲保持部は、
帯状体で、その両端の起立倒伏部より外方に、挟止体の表面に固定するための、一定の面積を有する固定部を延設され、
軟質の合成樹脂で、前記固定部と一体成形された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の被挟止材保持機構。
【請求項6】
挟止体と、
挟止体を構成する第1片と第2片との境界に有る曲折部に設けられた被挟止材保持機構とを備え、
前記被挟止材保持機構は、
前記曲折部に跨って形成された、折曲保持部と、
前記折曲保持部の両端に形成された、前記第1片と第2片とを曲折部において閉じるときに前記折曲保持部を起立させ且つ倒伏させるための起立倒伏部と、
前記折曲保持部の前記両端の間に形成された、前記第1片と第2片とを近づけて前記折曲保持部を起立し曲折部に向けて倒伏したときに、前記曲折部に向いて被挟止材を押さえ且つ前記折曲保持部及び被挟止材を曲げるための押曲部とを備えた、ファイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−75493(P2013−75493A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218269(P2011−218269)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115821)株式会社リヒトラブ (93)
【Fターム(参考)】