説明

被攪拌材の攪拌・脱泡装置

【課題】本発明は、容器に収納された被攪拌材を攪拌及び脱泡するのに使用する攪拌・脱泡装置に関する。
【解決手段】筐体に防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付板と、該水平取付板に回転自在に取り付けられた支持台と、該支持台に回転自在に取り付けられた容器ホルダーと、該容器ホルダーに保持され被攪拌材を収納するための容器と、前記水平取付板に駆動軸側を取り付け伝達手段を介して前記容器ホルダーを自転するとともに前記支持台を公転するための回転駆動機とから構成されている被攪拌材の攪拌・脱泡装置において、前記回転駆動機の他端側又は中途部には、容器ホルダー及び支持台の回転時の回転駆動機の揺れ及び振動を防止するための防振手段が設けられていることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収納された被攪拌材を攪拌及び脱泡するのに使用する被攪拌材の攪拌・脱泡装置に関するものである。
【技術の背景】
【0002】
一般的な攪拌・脱泡装置は、被攪拌材を収納するための円筒状の容器と、該容器を保持するための略円筒状の容器ホルダーと、該容器ホルダーを先端側に1個又は複数個を取り付けたアーム又は逆アーチ状に形成された支持台と、伝達手段を介して前記容器ホルダーを自転駆動し前記支持台を直接又は間接的に公転駆動する回転駆動機としてのモータとから構成されている。
【0003】
上記モータは、駆動軸側を上方にしてその上端側部分を筐体に防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付体に取り付けられ、モータ駆動時に発生する振動、容器ホルダーの自転及び支持台の公転時に発生する振動を吸収している。
【0004】
上記防振用の水平取付板は、筐体の周面に沿って取り付けられた複数のバネに水平状態に板状体を連結した構成や、筐体の周面に沿って取り付けられた複数のゴムに水平状態に板状体を載置した後固定した構成が一般的に知られている。
【0005】
また、防振用の水平取付板は一枚に限定されず、例えば二枚より構成し、一枚に支持台を回転自在に取り付け、他の一枚にモータを取り付けることで、容器ホルダーの自転及び支持台の公転時に発生する振動とをそれぞれ分散して吸収する構成も知られている。
【特許文献1】特開2000−271465
【特許文献2】特開平11−104404
【特許文献3】特開2003−71264
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記攪拌・脱泡装置は被攪拌材の種類や粘度に応じ容器ホルダーの自転数及び支持台の公転数をそれぞれ適切な回転数に設定して攪拌及び脱泡するために、自転数と公転数との組み合わせにより、また回転数の増減により、上記防振用の水平取付板では吸収することができない揺れや振動がモータに発生する場合があり、連続した容器ホルダーの自転及び支持台の公転を行うことができないという欠点があった。
【0007】
特に、防振用の水平取付板が一枚の場合においては、モータに揺れや振動が発生しやすいという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明は容器ホルダーの自転時及び支持台の公転時の回転駆動機の揺れや振動を適切に防止し、あらゆる種類の被攪拌材をより好適な条件で連続して攪拌及び脱泡することのできる被攪拌材の攪拌・脱泡装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は上記のような課題を解決するための解決手段は、請求項1に記載のように、筐体に防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付板と、該水平取付板に回転自在に取り付けられた支持台と、該支持台に回転自在に取り付けられた容器ホルダーと、該容器ホルダーに保持され被攪拌材を収納するための容器と、前記水平取付板に駆動軸側を取り付け伝達手段を介して前記容器ホルダーを自転するとともに前記支持台を公転するための回転駆動機とから構成されている被攪拌・脱泡装置において、前記回転駆動機の他端側又は中途部には、容器ホルダー及び支持台の回転時の回転駆動機の揺れ及び振動を防止するための防振手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の作用及び効果】
【0010】
次に、上記のような構成からなる攪拌・脱泡装置の作用について説明する。
【0011】
所望の被攪拌材を容器に収納して該容器を容器ホルダーに保持し、該被攪拌材の種類及び粘度に応じて予め容器ホルダーの自転数及び支持台の公転数を設定した後、回転駆動機を駆動して支持台を公転するとともに伝達手段を介して容器ホルダーを自転する。
【0012】
上記回転駆動機は、防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付板に取り付けられ、駆動時に発生する振動を該水平取付板で吸収し振動による揺れを防止して駆動し、また、上記支持台も防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付板に取り付けられ、公転時に発生する振動を該水平取付板で吸収し振動による揺れを防止して回転している。
【0013】
しかしながら、例えば自転数と公転数との組み合わせにより、また回転数の増減等により、上記水平取付板では吸収することのできない揺れや振動が発生する場合があり、回転駆動機に水平取付板への取り付け部分を中心として揺れや振動が発生する。
【0014】
上記回転駆動機に発生する揺れや振動は、容器内の被攪拌材を適切に攪拌及び脱泡するのを妨げることとなる。
【0015】
この場合、回転駆動機の他端側又は中途部に設けられている防振手段により、上記回転駆動機に発生する揺れや振動を吸収することで防止しているために、回転駆動機の回転駆動を確実に支持台及び容器ホルダーに伝達することができる。
【0016】
従って、容器内では適切な径方向の流れや上下方向の対流が発生し、収納した被攪拌材を確実に攪拌するとともに、遠心力による押圧で被攪拌材に内在する気泡を確実に脱泡することができる。
【0017】
また、連続した被攪拌材の攪拌及び脱泡が可能であり、被攪拌材の量にかかわらず同一の条件で被攪拌材を適切に攪拌及び脱泡することができる。
【0018】
このように、本発明はあらゆる種類や粘度の被攪拌材に対応して、確実に攪拌及び脱泡することができる。
【0019】
しかも、防振手段は回転駆動機に発生する揺れや振動に応じて回転駆動機の他端側又は中途部に取り付けでき、確実に発生する揺れや振動を吸収し回転駆動機の揺れ等を解消して容器ホルダーを自転及び支持台の公転を行うことができる。
【好ましい実施の一態様】
【0020】
以下、本発明の攪拌・脱泡装置の一実施例を図面に従って説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例である防振手段の設けられた攪拌・脱泡装置を示す一部断面説明図であり、図2は、本発明の防振手段を示す平面説明図であり、図3は本発明の他実施例である防振手段の設けられた攪拌。脱泡装置を示す一部断面説明である。
【0022】
本発明の攪拌・脱泡装置は、駆動部分が設けられた筺体1の上面に取り付けられた第一の水平取付板2と、該第一の水平取付板2の外周近傍に設けられ防振用の弾性体としてのゴム3と、該ゴム3に載置することで取り付けられた第二の水平取付板4と、該第二の水平取付板4に回転自在に取り付けられたアーム状の支持台5と、該支持台5の一端側で自転軸6に軸支することで回転自在に取り付けられた略円筒状の容器ホルダー7と、該容器ホルダー7に着脱自在に保持され被攪拌材を収納するための容器8と、前記容器ホルダー7と支持台5とを回転駆動すべく第一の水平取付板2に駆動軸10側を上方にして取り付けられた回転駆動機としてのモータ11と、該モータ11の下端側に設けられた防振手段とから構成されている。
【0023】
前記駆動軸10は支持台5に連結され、モータ11の回転駆動を支持台5に伝達し、また伝達手段としてのプーリーとベルトとを介してモータ11の回転駆動を容器ホルダー7に伝達している。
【0024】
前記防振手段は、筺体1の下端側面側に等間隔で4箇所取り付けられ上端側より切欠孔13Aの形成された止具13と、モータ11の下端側の側周面に設けられ前記止具13と対向する位置にその一辺を位置させ各角に挿通孔14Aの形成された突出片14の設けられた連結枠体15と、対向する一対の挿通孔14Aと切欠孔13Aとが三角状となるように連続して各挿通孔14A及び切欠孔13Aに張架された防振ゴム製の弾性紐16とから構成され、モータ11の下方側に四方向より等分の引張力を付与しモータ11に発生する揺れや振動を吸収している。
【0025】
尚、前記防振ゴムは、金属バネと違い減衰効果があり、共振倍率を低く抑えることができるために、攪拌・脱泡装置における防振手段として適する。
【0026】
前記連結枠体15のモータ11への取り付け位置は、モータ11の形状、大小、揺れ及び振動に応じて決定されるもので、例えばモータ11の中途部に取り付けることもできる。この場合に、上記対向する一対の挿通孔14Aと切欠孔13Aとを弾性紐16で張架して形成する三角形状の面積が拡大し、より強い引張力を付与することができる。
【0027】
尚、前記容器8は収納する被攪拌材の種類、自転及び公転の回転数、攪拌及び脱泡状態により、開口部に蓋9を取り付けることも可能である。
【0028】
本発明の攪拌・脱泡装置は上記のように構成され、次に上記構成の装置を用いて被攪拌材を攪拌・脱泡する場合について説明する。
【0029】
先ず、攪拌及び脱泡する被攪拌材の種類、粘度等に応じて支持台5の公転数及び容器ホルダー7の自転数、攪拌及び脱泡時間等を予め制御盤(図示せず)に入力する。
【0030】
次に、被攪拌材を容器8に収納し該容器8を容器ホルダー7に保持する。
【0031】
その後、モータ11を駆動し前記設定された公転数及び自転数、及び設定された時間に沿って支持台5を公転するとともに伝達手段を介して容器ホルダー7を自転する。これにより、容器8内に径方向の回転流及び上下方向の対流を発生させ、被攪拌材を攪拌するとともに、遠心力により被攪拌材を容器内に押圧することで被攪拌材を脱泡する。
【0032】
この際、上記モータ11の駆動時に発生する振動、支持台5の公転及び容器ホルダー7の自転時に発生する揺れや振動は、第一の水平取付板2及び第二の水平取付板4で吸収され、設定された回転数を維持し適切な攪拌及び脱泡を可能とする。
【0033】
しかしながら、公転数と自転数との組み合わせ、駆動時間等により、上記各水平取付板では吸収できない揺れや振動が発生する場合があり、モータ11の揺れを増幅し、支持台5の公転及び容器ホルダー7の自転がスムーズに行えない。このために、適切な連続した被攪拌材の攪拌及び脱泡ができない。
【0034】
上記の場合、本発明においては、弾性紐16でモータ11に四方向の等分した引張力を付与しているために、該弾性紐16は切欠孔13Aと挿通孔14Aとで形成された三角状の伸縮によりモータ11の揺れ及び振動を吸収し、モータ11の駆動を確実に支持台5の公転及び容器ホルダー7の自転に伝達して、適切な被攪拌材の攪拌及び脱泡を行うことができる。
【0035】
このように、本発明の攪拌・脱泡装置はモータ11の他端側又は中途部に新たな防振手段が設けられているために、モータ11の揺れや振動を確実に吸収することができ、あらゆる自転数及び公転数、回転時間の設定が可能であり、あらゆる種類の被攪拌材を好適に攪拌及び脱泡することができる。
【0036】
また、連続した攪拌及び脱泡を行うことができるために、被攪拌材の量に関係することなく同一条件で、被攪拌材を攪拌及び脱泡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例である防振手段の設けられた攪拌・脱泡装置を示す一部断面説明図
【図2】本発明の防振手段を示す平面図
【図3】本発明の他実施例である防振手段の設けられた攪拌。脱泡装置を示す一部断面説明図
【符号の説明】
【0038】
2−第一の板水平取付板、4−第二の水平取付板、5−支持台、7−容器ホルダー、8−容器、13−止具、13A−切欠孔、15−連結枠体、14A−挿通孔、16−弾性紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に防振用の弾性体を介して取り付けられた水平取付板と、該水平取付板に回転自在に取り付けられた支持台と、該支持台に回転自在に取り付けられた容器ホルダーと、該容器ホルダーに保持され被攪拌材を収納するための容器と、前記水平取付板に駆動軸側を取り付け伝達手段を介して前記容器ホルダーを自転するとともに前記支持台を公転するために回転駆動機とから構成されている被攪拌材の攪拌・脱泡装置において、前記回転駆動機の他端側又は中途部には、容器ホルダー及び支持台の回転時の回転駆動機の揺れ及び振動を防止するための防振手段が設けられていることを特徴とする被攪拌材の攪拌・脱泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−260042(P2010−260042A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131424(P2009−131424)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000145286)株式会社写真化学 (7)
【Fターム(参考)】