説明

被検体情報取得装置、および、被検体情報取得方法

【課題】 本発明は、光量分布の取得に要する工程を低減して、被検体情報を取得することのできる被検体情報取得装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る被検体情報取得装置は、第1の波長、および、第1の波長とは波長の異なる第2の波長の光を発生可能に構成された光源と、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を検出して検出信号を出力する音響波検出部と、第1の波長の光が前記被検体に照射されたときに音響波検出部が出力する第1の検出信号と、第2の波長の光が被検体に照射されたとき音響波検出部が出力する第2の検出信号とに基づき、被検体情報を取得する信号処理部と、を有する被検体情報取得装置であって、第1の波長における被検体の有効減衰係数、および、第2の波長における被検体の有効減衰係数は同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内で発生した音響波を検出することにより分光特性を取得する被検体情報取得装置、および被検体情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌に起因して発生する新生血管を特異的に画像化する方法として、光音響トモグラフィ(PAT:Photoacoustic tomography)が注目されている。PATは、パルス光(近赤外線)を被検体に照射して被検体から発せられる光音響波を音響波検出器で検出して画像化する技術である。
【0003】
ところで、被検体内の関心領域から発生する光音響波の初期音圧Pは、式1で表すことができる。
【0004】
【数1】

【0005】
ここでΓはグルナイゼン係数であり、体積膨張係数βと音速cの2乗の積を定圧比熱Cpで割ったものである。Γは被検体が決まれば、ほぼ一定の値をとることが知られている。μは関心領域における吸収係数、Φは関心領域における光量(関心領域に照射された光の光量であり、光フルエンスとも呼ばれる)である。
【0006】
被検体内部で発生した光音響波は、被検体内を伝搬して被検体の表面に配置された音響波検出器によって検出される。そして、信号処理装置がその検出結果に基づき、バックプロジェクション法等の再構成手法を用いることにより、初期音圧分布Pを取得する。
【0007】
式1より、初期音圧分布Pからグルナイゼン係数Γを除することにより、μとΦの積の分布、つまり光エネルギー密度分布が得られる。さらに、光エネルギー密度分布から被検体内の光量分布Φ(r)を除することによって、吸収係数分布μ(r)が得られる。
【0008】
また、非特許文献1は、2つの波長の光を用いて得られた2つの吸収係数分布を用いて酸素飽和度分布を算出する方法を開示する。
【0009】
例えば、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数をεHbO(mm−1−1)とし、デオキシヘモグロビンのモラー吸収係数をεHb(mm−1−1)とする。ここで、モラー吸収係数は1リットルに1molヘモグロビンがあったときの吸収係数である。モラー吸収係数の値は波長によって一意的に決定される。
【0010】
また、オキシヘモグロビンのモル濃度(M)をCHbOとし、デオキシヘモグロビンのモル濃度(M)をCHbとする。このとき、波長λとλにおける血液の吸収係数μは式2で表せる。
【0011】
【数2】

【0012】
すなわち、それぞれの波長における血液の吸収係数μは、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数εHbOおよびオキシヘモグロビンのモル濃度CHbOの積と、デオキシヘモグロビンのモラー吸収係数εHbおよびデオキシヘモグロビンのモル濃度CHbの積との和で示される。
【0013】
また、式2を変形すると式3と表せる。
【0014】
【数3】

【0015】
そして、酸素飽和度StOは、全ヘモグロビンのうちオキシヘモグロビンの占める割合であるので、以下の式で表すことができる。
【0016】
【数4】

【0017】
すなわち、波長λ、λにおける血液の吸収係数μが分かれば、他の値は既知であるため、式4より酸素飽和度を算出することができる。
【0018】
なお、非特許文献1では、パルス光の照射面からターゲットが存在する方向に光が一定に減衰すると仮定している。そして、この仮定に基づいて算出されたターゲットにおける光量を用いて、ターゲットにおける吸収係数を求めている。
【0019】
また、特許文献1は、被検体の形状を考慮して取得した光量分布を用いて、吸収係数を取得することを開示する。このようにして得られた光量分布は、非特許文献1に記載の光量分布よりも正確である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−88627号公報
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】“Functional Photoacoustic tomography for non−invasive imaging of cerebral blood oxygenation and blood volume in rat brain in vivo”X.Wang,L.V.Wang et al.Proc.of SPIE Vol.5697(2005)
【非特許文献2】“Combined diffuse optical spectroscopy and contrast−enhanced magnetic resonance imaging for monitoring breast cancer neoadjuvant chemotherapy:a case study”Natasha Shah,Jessica Gibbs,Dulcy Wolverton,Albert Cerussi,Nola Hylton,Bruce J Tromberg,Journal of Biomedical Optics (2005)Volume:10,Issue:5,Pages:051503
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特許文献1に記載の吸収係数を取得する技術を、非特許文献1に記載の酸素飽和度を取得する技術に適用した場合、酸素飽和度を精度よく取得することができる。
【0023】
ところが、特許文献1が開示する技術は、光量分布をより正確に取得することができるものの、光量分布を取得する工程を要する。
【0024】
そこで、本発明は、光量分布の取得に要する工程を低減して、被検体情報を取得することのできる被検体情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係る被検体情報取得装置は、第1の波長、および、第1の波長とは異なる第2の波長の光を発生可能に構成された光源と、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を検出して検出信号を出力する音響波検出部と、第1の波長の光が前記被検体に照射されたときに音響波検出部が出力する第1の検出信号と、第2の波長の光が被検体に照射されたとき音響波検出部が出力する第2の検出信号とに基づき、被検体情報を取得する信号処理部と、を有する被検体情報取得装置であって、第1の波長における被検体の有効減衰係数、および、第2の波長における被検体の有効減衰係数は同一である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光量分布の取得に要する工数を低減して、被検体情報を取得することのできる被検体情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係る被検体情報取得装置を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る被検体の有効減衰係数スペクトルを示す図である。
【図4】第1の実施形態に係るモニタの表示画面を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る被検体の各成分の吸収係数スペクトルを示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る被検体の等価散乱係数スペクトルを示す図である。
【図7】成分割合が異なる被検体の有効減衰係数スペクトルを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る被検体情報取得装置を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、図面を用いて本発明に係る被検体情報取得装置の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
(基本的構成)
図1は、本発明の実施形態に係る被検体情報取得装置を示す。
【0030】
本実施形態の被検体情報取得装置は、基本的なハード構成として光源100、照射光学部としての照射光学系200、音響波検出部としての音響波検出器400、信号処理部としての信号処理装置500、スペクトル取得部としてのスペクトル取得装置700を有する。ここで、光源100は、第1の波長λの光および第2の波長λの光を発生可能に構成されている。
【0031】
光源100から発せられた第1の波長のパルス光110は、照射光学系200を介して照射光210として被検体300に照射される。被検体300内の光吸収体310は、照射光210を吸収して光音響波311を発生させる。音響波検出器400は、光音響波を検出して第1の検出信号としての電気信号に変換する。
【0032】
同様に、音響波検出器400は、第2の波長の照射光210が被検体300に照射されることにより発生した光音響波311を検出して、第2の検出信号としての電気信号に変換する。
【0033】
次に、信号処理装置500は、第1の検出信号および第2の検出信号に基づき被検体300内の酸素飽和度分布を取得する。そして、モニタ600に酸素飽和度が表示される。
【0034】
さらに、本実施形態に係る被検体情報取得装置は、被検体300の有効減衰係数スペクトルを取得するスペクトル取得装置700を有する。そして、信号処理装置500は、スペクトル取得装置700が取得した被検体300の有効減衰係数スペクトルに基づき、有効減衰係数が同一となる第1の波長および第2の波長を選択する。
【0035】
以上のように、有効減衰係数が同一となる第1の波長および第2の波長の光を用いて酸素飽和度を取得することにより、光量を取得する工程を低減することができる。
【0036】
なお、本発明において有効減衰係数は、被検体300内の平均的な減衰係数を指す。また、本発明において被検体情報は、複数の波長における吸収係数から求められる酸素飽和度以外の情報も含む。
【0037】
次に、本実施形態に係る被検体情報取得方法を説明する。
【0038】
(被検体情報取得方法)
以下、図1および図2を参照しつつ、本実施形態に係る被検体情報取得方法を説明する。図2は、本実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す。下記の番号は図2における処理の番号と一致する。
【0039】
(S101:被検体の有効減衰係数スペクトルを取得する工程)
この工程では、スペクトル取得装置700が、図3に示す被検体300の有効減衰係数スペクトルを取得する。ここで有効減衰係数スペクトルとは、横軸に波長、縦軸に有効減衰係数μ-effをとるグラフのことである。なお、このようなグラフを作成するために必要なデータ群のことを「有効減衰係数スペクトル」とすることもある。ここで、図3は、被検体300の成分割合が脂肪66%、水20%、血液0.7%(酸素飽和度80%)のときの被検体300の有効減衰係数スペクトルである。
【0040】
(S102:有効減衰係数が同一である第1の波長および第2の波長を選択する工程)
この工程では、信号処理装置500が、S101で取得した有効減衰係数スペクトルから有効減衰係数が同一の2つの波長を選択する。なお、本発明の「有効減衰係数が同一の2つの波長」とは、本発明の課題を解決する有効減衰係数の値である2つの波長であればよい。すなわち、有効減衰係数は実質的に同一であればよい。
【0041】
なお、被検体300が生体の場合、信号処理装置500は、深い位置を見るためには有効減衰係数が小さい波長を選択することが望ましい。例えば、「生体の窓」といわれる生体を透過しやすい波長である650nm〜900nmの範囲で選択することが望ましい。
【0042】
さらに、測定誤差や測定ノイズのことを考慮に入れると、選択した2つの波長λ、λにおいて、血管又は癌の位置での吸収係数の比μ(λ)/μ(λ)の変化が酸素飽和度の変化に対してなるべく大きくなることが好ましい。すなわち、各波長のデオキシヘモグロビンのモラー吸収係数をεHb(λ)とεHb(λ)、オキシヘモグロビンのモラー吸収係数εHbO(λ)とεHbO(λ)とした場合、信号処理装置500は、|(εHbO(λ)−εHb(λ))−(εHbO(λ)−εHb(λ))|が大きくなる波長を選択することが好ましい。
【0043】
また、PATに用いるレーザは、Ti:saレーザやアレキサンドライトレーザなどが考えられる。ここで、Ti:saレーザの最大出力は800nm近傍に、アレキサンドライトレーザの最大出力は755nm近傍に最大強度を備えている。そして、信号処理装置500は各レーザの最大出力の波長近傍である700〜850nmから波長を選択することが好ましい。例えば、信号処理装置500は、第1の波長として、デオキシヘモグロビンの756nmのピークと脂肪の761nmのピークに起因した756〜761nmを選択することが好ましい。また、信号処理装置500は、第2の波長として、脂肪の830nmのピークと、水の840nmのピークに起因した830〜840nmを選択することが好ましい。
【0044】
以下に、有効減衰係数が同一の2つの波長の定義を示す。
【0045】
典型的な動脈、静脈の酸素飽和度はそれぞれ99%、80%である。さらに、非特許文献2から腫瘍が生成する新生血管の酸素飽和度が66%であると推定されている。このことから、酸素飽和度の誤差が±10%以内であれば新生血管と正常血管を判別できると考えられる。すなわち、本発明における「有効減衰係数が同一の2つの波長」は、ある測定深度において算出される酸素飽和度の誤差が±10%以内となる有効減衰係数の範囲から選択された2つの波長であればよい。なお、さらに精度良く酸素飽和度を算出したい場合には、酸素飽和度の誤差が±10%より小さくなるような波長を選択すればよい。
【0046】
例えば、深度0〜30mmに複数の光吸収体を有する被検体を考える。ここで、それぞれの吸収係数の酸素飽和度は50〜100%のいずれかであり、かつ、それぞれの光吸収体の酸素飽和度の差は最大10%とする。また、この被検体の有効減衰係数は756nmと797nmの波長において0.09233[mm−1]であるとする。
【0047】
このような場合にそれぞれの吸収体を判別するためには、式4より、2つの波長における有効減衰係数の差が±0.003[mm−1]であればよいことが理解される。なお、このとき被検体内の光量Φ(d)は、式5に示す一次元モデルより求められた。ここで、Φは被検体への入射光量、μeffは被検体の有効減衰係数、dは測定深度である。
【0048】
【数5】

【0049】
以上より、第1の波長として756nmを選択した場合は、第2の波長の有効減衰係数は0.09233±0.003[mm−1]であればよい。したがって、酸素飽和度の差が10%である吸収体を判別することができる限り、第1の波長として756nmを選択した場合、第2の波長は797nmに限らない。
【0050】
すなわち、本発明において、有効減衰係数が同一の2つの波長とは、有効減衰係数が完全に同一の2つの波長に限らない。正常な血管と腫瘍が生成する新生血管とを区別することができる2つの波長であれば「有効減衰係数が同一の2つの波長」といえる。例えば、本実施形態のように酸素飽和度の差が10%となる吸収体を判別することのできる2波長であれば、「有効減衰係数が同一の2波長」といえる。
【0051】
なお、図4のように、S101で取得した有効減衰係数スペクトルをモニタ600に表示し、術者が表示された有効減衰係数スペクトルより有効減衰係数が同一の2つの波長を選択してもよい。
【0052】
ここまで有効減衰係数が同一の2波長を選択する形態を説明してきたが、図4に示すように、信号処理装置500はある有効減衰係数610となる3つの波長を選択してもよい。ここでは、656nm、755nm、823nmの3つの波長を選択している。なお、本発明においては、選択可能であれば有効減衰係数が同一の波長を4つ以上選択してもよい。
【0053】
なお、信号処理装置500は、ある有効減衰係数610において1対目の波長を選択し、加えてある有効減衰係数610とは別の有効減衰係数において2対目の波長を選択してもよい。
【0054】
また、有効減衰係数が同一の波長を選択できる限り、いかなる方法により有効減衰係数スペクトルより波長を選択してもよい。
【0055】
(S103:第1の波長および第2の波長の光の照射により発生した光音響波を検出する工程)
この工程では、光源100がS102で選択した2つの波長のパルス光110をそれぞれ発生させる。そして、照射光学系200がパルス光110を導いて照射光210を被検体300に照射する。そして、音響波検出器400がそれぞれ波長の光の照射により発生した光音響波311を検出する。
【0056】
本実施形態においては、音響波検出器400は、第1の波長の光が被検体300に照射されることにより発生した光音響波を検出して、第1の検出信号としての電気信号を出力する。また、音響波検出器400は、第2の波長の光が被検体300に照射されることにより発生した光音響波を検出して、第2の検出信号としての電気信号を出力する。
【0057】
(S104:第1の検出信号および第2の検出信号に基づき、被検体情報を取得する工程)
この工程では、信号処理装置500が、S103で取得した第1の検出信号および第2の検出信号に基づき、被検体情報としての被検体300内の酸素飽和度分布を取得する。
【0058】
まず、信号処理装置500は、第1の検出信号に基づく画像再構成を行って、被検体300内の第1の初期音圧分布P(λ,r)を取得する。また同様に、信号処理装置500は、第2の検出信号に基づく画像再構成を行って、被検体300内の第2の初期音圧分布P(λ,r)を取得する。
【0059】
ここで、式1より、本実施形態で得られた初期音圧分布は式6で表現することができる。
【0060】
【数6】

【0061】
すなわち、初期音圧分布Pは、グリュナイゼン係数Γと被検体300内の吸収係数分布μと被検体300内の光量分布Φの積で表される。
【0062】
本実施形態では、被検体300の有効減衰係数が同一の2つの波長を選択しているため、両波長における被検体300内での光量分布は等しくなる。
【0063】
このように、それぞれの波長のおける光量分布が等しいため、式6に示す初期音圧を式4に適用すると、酸素飽和度分布を求める式は式7で表現できる。
【0064】
【数7】

【0065】
この式7より、信号処理装置500は、光量分布を用いずに初期音圧のみから酸素飽和度を算出することができることが理解される。すなわち、本実施形態に係る被検体情報取得方法は、酸素飽和度を取得するときに光量を取得する工程を低減することができる。
【0066】
なお、信号処理装置500は、第1の検出信号および第2の検出信号に基づき、被検体300の各点の初期音圧を求めた後に、各点の初期音圧から各点の酸素飽和度を取得して、最終的に酸素飽和度分布を取得してもよい。
【0067】
また、本発明においては、信号処理装置500が検出信号に基づき、式7を用いて酸素飽和度を算出する以外の方法で酸素飽和度を取得してもよい。例えば、信号処理装置500が検出信号に基づき、予め信号処理装置500のメモリに格納された酸素飽和度データのテーブルから適切な酸素飽和度データを出力して酸素飽和度を取得してもよい。
【0068】
また、コンピュータとしての信号処理装置500に、以上の工程を含んだプログラムを実行させてもよい。
【0069】
以上の工程を行うことにより、光量を用いずに酸素飽和度を取得できるため、従来技術において必要であった光量取得に必要な工程は低減されることができる。そのため、本実施形態に係る被検体情報取得装置は光量を取得する工程を行うための測定機器を少なくすることができる。そのため、装置規模は小さくされることができる。また、吸収係数を求めるための測定工程による誤差が低減されるため、適切な酸素飽和度が取得されることが可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態によれば、照射光分布や被検体の形状測定が困難な場合や、保持板等で被検体の形状の規定が困難な領域においても、適切な酸素飽和度が取得されることが可能となる。
【0071】
以下、本実施形態の具体的な構成例を説明する。
【0072】
(光源100)
光源100は、5ナノ秒から50ナノ秒のパルス光を発生可能であることが好ましい。また、光源100は、数十mm程度の深さの酸素飽和度分布を算出するためには、数mJ/pulse程度又は、それ以上の出力のレーザであることが好ましい。また、光源100は、大きな出力が得られるレーザであることが好ましいが、レーザではなく発光ダイオードなどであってもよい。レーザとしては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なレーザが用いられる。特に、レーザは、出力が強く連続的に波長を変えられるNd:YAG励起のTi:saレーザや、アレキサンドライトレーザであることが好ましい。
【0073】
また、光源100は、異なる波長の単波長レーザから構成されてもよい。すなわち、光源100が、第1の波長の光を発生させる第1の光源、および、第2の波長の光を発生させる第2の光源から構成されていてもよい。
【0074】
(照射光学系200)
照射光学系200は、光源100で発生したパルス光を導き、被検体300に照射光210を照射する光学系である。例えば、照射光学系200は、光を反射するミラー、参照光と照射光を分岐するためのハーフミラー、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を広げるための拡散板などから構成される。なお、照射光210はレンズによりある程度の面積に広げられることが好ましい。また、照射光210は、拡散板やフライアイレンズ等によりなめらかな光強度分布であることが好ましい。
【0075】
なお、照射光学系200は、各波長におけて同一の光学パターンの照射光210を被検体300に照射できるものであることが好ましい。照射光学系200がバンドルファイバである場合、バンドルファイバの入射端に対して、バンドルファイバの出射端の並びをランダムにすることにより、波長毎の光学パターンを同一とするようにしてもよい。
【0076】
また、照射光210の照射領域は、被検体300上を移動可能としてもよい。このように照射領域が移動可能であることにより光が重畳して照射されるため、被検体表面の光強度は均一となる。これにより、2波長において同じ光強度分布の光を被検体に照射したことと等価に扱うことができる。ここで、被検体300に照射する領域を移動させる方法は、可動式ミラー等を用いる方法や、光源自体を機械的に移動させる方法などを採用することができる。
【0077】
また、照射光210は音響波検出器400側から照射されてもよく、音響波検出器400と反対側から照射されてもよい。さらに、照射光210は被検体300の両面から照射されてもよい。
【0078】
(音響波検出器400)
音響波検出器400は、光吸収体310から発生した光音響波311を検出するものである。音響波検出器は、圧電現象を用いたトランスデューサ、光の共振を用いたトランスデューサ、容量の変化を用いたトランスデューサなどを採用することができる。音響波検出器は、光音響波を検出できるどのようなトランスデューサでもよい。トランスデューサとしては、アレイ状のものを用いることも、単一素子のものを用いることも可能である。また、音響波検出器400は固定され光音響波を検出するだけでなく、音響波検出器400は被検体300に沿って走査されてもよい。また、音響波検出器400は被検体300の周りを周回されて、光音響波を多点で検出するようにしてもよい。
【0079】
(信号処理装置500)
信号処理装置500は、音響波検出器400から得られた検出信号に基づいて被検体情報を取得する装置である。
【0080】
信号処理装置500は、音響波検出器400から得られる検出信号を増幅し、その検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換することが好ましい。
【0081】
なお、本明細書において「検出信号」とは、音響波検出器400から出力されるアナログ信号も、その後AD変換されたデジタル信号も含む概念である。
【0082】
さらに、信号処理装置500は、検出信号に基づく画像再構成により被検体内部の光学特性値分布を取得する。信号処理装置500は、典型的にはワークステーションなどであり、画像再構成処理などがあらかじめプログラミングされたソフトウェアを実行する。
【0083】
また、画像再構成アルゴリズムとしては、例えば、トモグラフィー技術で通常に用いられるタイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影などが使われる。
【0084】
なお、再構成の時間に多くを有することが可能な場合は、信号処理装置500は繰り返し処理による逆問題解析法などの画像再構成手法を利用されることもできる。
【0085】
また、音響レンズなどを有する音響波検出器を用いることで、信号処理装置500は画像再構成を行うことなく被検体内部の初期音圧分布を形成することもできる。
【0086】
また、信号処理装置500は、音響波検出器400から得られる検出信号が複数の場合は、同時に複数の信号を処理できることが好ましい。それにより、画像を形成するまでの時間は短縮される。
【0087】
また、信号処理装置500は、増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどのそれぞれ別の装置から構成されてもよい。
【0088】
なお、以上説明した信号処理をプログラムとして構成して信号処理装置500に実行させてもよい。
【0089】
(スペクトル取得装置700)
スペクトル取得装置700は、被検体300における有効減衰係数スペクトルを取得する装置である。
【0090】
スペクトル取得装置700としては、例えば、光拡散分光(DOS:Diffuse Optical Spectroscopy)装置を用いることができる。
【0091】
DOSは、被検体に光を照射して、被検体内を伝播・拡散した光を光検出器により検出し、その光検出信号から被検体内の光学定数(吸収係数μと等価散乱係数μ’)を得る技術である。
【0092】
まず、DOS装置は、光検出器で検出した光検出信号に対して光伝搬の逆問題を解き、被検体内の平均的な吸収係数μと等価散乱係数μ’を算出する。次に、DOS装置は算出された吸収係数と等価散乱係数に対して、脂肪、水、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンなどの既知の吸収係数スペクトルを用いたフィッティングを行う。DOS装置は、フィッティングの結果から被検体の成分割合を求める。そして、DOS装置は、得られた被検体の成分割合を用いて、式8より被検体の有効減衰係数スペクトルを取得する。
【0093】
【数8】

【0094】
また、吸収係数が等価散乱係数より十分小さい場合には、有効減衰係数を式9で表すことができる。
【0095】
【数9】

【0096】
例えば、図5は、フィッティングにより得られた脂肪66%、水20%、血液0.7%(酸素飽和度=80%)のときの各成分の吸収係数スペクトルを示す。また、図6は典型的な人間の乳房の等価散乱係数スペクトルを示す。
【0097】
そして、DOS装置は、図5に示す吸収係数スペクトルと、図6に示す等価散乱係数スペクトルとに基づき、式8から図3に示す有効減衰係数スペクトルを取得する。
【0098】
ところで、DOS測定は、パルス光を使う時間分解DOS測定(TR−DOS:Time−Resolved Diffuse Optical Spectroscopy)や、変調光を使う周波数分解DOS測定(FR−DOS:Frequency−Resolved Diffuse Optical Spectroscopy)などが知られている。本実施形態においては、どのようなDOS測定を用いて有効減衰係数スペクトルを取得してもよい。
【0099】
また、DOT(Diffuse Optical Tomography)などにより得られる被検体内の光学定数分布(吸収係数分布と散乱係数分布)を用いて、被検体の任意の領域における平均的な減衰係数を有効減衰係数としてもよい。
【0100】
なお、スペクトル取得装置700は、本実施形態に係る被検体情報取得装置に内蔵されていても、被検体情報取得装置とは別の装置として提供されてもよい。例えば、被検体情報取得装置とは別に提供された光検出器で得られた光検出信号に基づき、信号処理装置500が被検体300の有効減衰係数スペクトルを取得してもよい。
【0101】
なお、スペクトル取得装置700は、被検体の情報(年齢、身長、体重、体脂肪率など)より被検体の成分割合を見積もることによって、有効減衰係数スペクトルを取得してもよい。
【0102】
ところで、図7は、成分割合が異なる複数の被検体の有効減衰係数スペクトルA〜Fを示す。ここでは、脂肪40〜80%、水10〜50%、血液0.57〜0.87%を可変パラメータとして有効減衰係数スペクトルがシミュレーションにより求められた。なお、血液の酸素飽和度は75%で一定とした。
【0103】
図7からも理解されるように、被検体300の成分割合によって有効減衰係数スペクトルの形状は異なる。そのため、有効減衰係数が同一の2つの波長を選択するために、スペクトル取得装置700は被検体別に有効減衰係数スペクトルを取得することが好ましい。あるいは、スペクトル取得装置700は、複数の有効減衰係数スペクトルのデータから被検体ごとに有効減衰係数スペクトルを選択可能に構成されていてもよい。
【0104】
(第2の実施形態)
次に、図8および図9を参照しつつ、第2の実施形態を説明する。図8は、本実施形態に係る被検体情報取得装置の構成を示す図である。なお、図1と同一の部材には、同一の符号を付し説明を省略する。
【0105】
本実施形態は、被検体300に照射される光を検出する光検出部としての光検出器900を有している点が第1の実施形態とは異なる。また、本実施形態に係る信号処理装置500は、光検出器900が取得した光の強度に基づき、被検体300の酸素飽和度を取得する。
【0106】
図9は本実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す。なお、図2と同一の処理については説明を省略する。
【0107】
(S204:第1の波長の光および第2の波長の光の強度を取得する工程)
この工程では、第1の波長の光および第2の波長の光を光検出器900が検出することにより、第1の波長の光および第2の波長の光の強度を取得する。
【0108】
本実施形態では、計測光学系800がパルス光110を分岐させることにより、パルス光110を光検出器900に導いている。
【0109】
なお、計測光学系800は、パルス光110ではなく照射光210を光検出器900に導いてもよい。
【0110】
また、計測光学系800は、光検出器900に光の一部を導いてもよいし、光の全てを導いてもよい。ここで、計測光学系800が光の一部を光検出器900に導いたときには、信号処理装置500は、分割された光の割合と検出した光の強度とに基づき、照射光210の全光量を取得することが好ましい。
【0111】
このとき、信号処理装置500は、照射光学系200による光強度への影響も考慮し、照射光210の全光量を取得してもよい。
【0112】
ここで、計測光学系800は、全反射ミラー、セパレートミラー、バンドルファイバなどを採用することができる。なお、これらを複数組み合わせて計測光学系800を構成してもよい。また、照射光学系200を計測光学系800として共用してもよい。
【0113】
また、光検出器900は、光パワーメータで、フォトダイオードを利用した光学センサ、熱伝対素子を利用したサーマルセンサ、焦電気物質を利用したパイロエレクトリックセンサなどを採用することができる。特に、短パルス光を用いる場合、光検出器900はパイロエレクトリックセンサであることが好ましい。
【0114】
(S205:第1の検出信号および第2の検出信号と、第1の波長の光および第2の波長の光の強度とに基づき、被検体情報を取得する工程)
この工程では、信号処理装置500が、S103で取得した第1の検出信号および第2の検出信号と、S204で取得した第1の波長の光および第2の波長の光の強度とに基づき、酸素飽和度を取得する。
【0115】
ここで、A(λ)は被検体表面の光強度(表面光強度)であり、Φ(λ,r)は被検体表面の光強度の値を1としたときの被検体内の光量分布である。Φ(λ,r)は相対光量分布と呼ぶ。なお、本実施形態においては、それぞれの波長において照射光学系200が共用されているため、光学パターンがそれぞれの波長において同一とする。すなわち、それぞれの波長において、相対光量分布は同一である。
【0116】
このとき、本実施形態において得られる初期音圧は、式10で表せる。
【0117】
【数10】

【0118】
ここで、式10の初期音圧を式4に適用すると、酸素飽和度を求める式は式11で表すことができる。
【0119】
【数11】

【0120】
すなわち、式11より、信号処理装置500は、S204で取得した光の強度と、S103で取得した検出信号とから酸素飽和度を求めることが可能であることが理解される。
【0121】
したがって、本実施形態に係る被検体情報取得方法によれば、被検体300に照射する2つの波長の光の強度が異なる場合であっても、被検体内の光量分布を取得することなく酸素飽和度を取得することができる。そのため、本実施形態においては、酸素飽和度を求めるための光量分布を取得する工程が低減されることができる。
【0122】
なお、コンピュータとしての信号処理装置500に、以上の工程を含んだプログラムを実行させてもよい。
【0123】
(第3の実施形態)
次に、図8および図10を参照しつつ、第3の実施形態を説明する。図10は本実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す。ここで、図2及び図9と同一の処理については説明を省略する。
【0124】
(S304:第1の波長の光および第2の波長の光の強度を制御する工程)
この工程では、制御部としての信号処理装置500が、S204で取得した光の強度に基づき、第1の波長の光の強度と第2の波長の光の強度との差が小さくなるように、第1の波長の光および第2の波長の光の強度を制御する。
【0125】
本実施形態においては、信号処理装置500が光源100の出力を制御することによって光の強度を制御する。なお、信号処理装置500が照射光学系200を制御することによって、光の強度を制御してもよい。例えば、信号処理装置500が照射光学系200内の光学フィルタを制御し、それぞれの波長の光の強度を制御することができる。なお、信号処理装置500は、光強度の補正をどちらか一方の光に対して行っても、両方の光に行ってもよい。
【0126】
なお、光源100の出力の制御や照射光学系200の制御を行う装置は、信号処理装置500とは別の装置であってもよい。
【0127】
本工程では、それぞれの波長の光の強度差を小さくなるように制御したため、それぞれの波長における被検体内の光量分布の差も小さい。
【0128】
そのため、光強度を制御することにより、S103において光量分布を取得せずに取得される酸素飽和度の定量性は高くなる。
【0129】
なお、コンピュータとしての信号処理装置500に、以上の工程を含んだプログラムを実行させてもよい。
【0130】
以上、好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例、応用例も包含するものである。
【符号の説明】
【0131】
100 光源
200 照射光学系
300 被検体
400 音響波検出器
500 信号処理装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長、および、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を発生可能に構成された光源と、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を検出して検出信号を出力する音響波検出部と、
前記第1の波長の光が前記被検体に照射されたときに前記音響波検出部が出力する第1の検出信号と、前記第2の波長の光が前記被検体に照射されたとき前記音響波検出部が出力する第2の検出信号とに基づき、被検体情報を取得する信号処理部と、を有する被検体情報取得装置であって、
前記第1の波長における前記被検体の有効減衰係数、および、前記第2の波長における前記被検体の有効減衰係数は同一であることを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記被検体の有効減衰係数スペクトルに基づいて、前記第1の波長または前記第2の波長を選択することを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記有効減衰係数スペクトルを取得するスペクトル取得部を有することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記スペクトル取得部が光拡散分光装置であることを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
前記第1の波長の光の光学パターンと前記第2の波長の光の光学パターンとを同一とさせる照射光学部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項6】
前記第1の波長の光の強度および前記第2の波長の光の強度を取得する光検出部と、
前記光検出部が取得した前記第1の波長の光の強度および前記第2の波長の光の強度に基づき、前記第1の波長の光の強度と前記第2の波長の光の強度との差が小さくなるように、前記第1の波長の光の強度または前記第2の波長の光の強度を制御する制御部と、を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記光源の出力を制御することを特徴とする請求項6に記載の被検体情報取得装置。
【請求項8】
前記第1の波長の光の強度および前記第2の波長の光の強度を取得する光検出部を有し、
前記信号処理部は、前記第1の波長の光の強度、前記第2の波長の光の強度、前記第1の検出信号、および前記第2の検出信号に基づき、前記被検体情報を取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項9】
前記光源は、前記第1の波長の光を発生させる第1の光源、および、前記第2の波長の光を発生させる第2の光源から構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項10】
前記信号処理部は、
前記第1の検出信号に基づき前記被検体内の第1の初期音圧分布を取得し、
前記第2の検出信号に基づき前記被検体内の第2の初期音圧分布を取得し、
前記第1の初期音圧分布および前記第2の初期音圧分布に基づき、前記被検体情報を取得することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項11】
前記被検体情報は前記被検体内の酸素飽和度分布であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項12】
第1の波長の光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を検出して得られた第1の検出信号と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光が前記被検体に照射されることにより発生した光音響波を検出して得られた第2の検出信号とに基づき、被検体情報を取得する工程を有し、
前記第1の波長における前記被検体の有効減衰係数、および、前記第2の波長における前記被検体の有効減衰係数が同一であることを特徴とする被検体情報取得方法。
【請求項13】
前記第1の波長または前記第2の波長を選択する工程を有することを特徴とする請求項12に記載の被検体情報取得方法。
【請求項14】
前記第1の波長または前記第2の波長を選択する工程は、前記被検体の有効減衰係数スペクトルに基づいて、前記第1の波長または前記第2の波長を選択する工程であることを特徴とする請求項13に記載の被検体情報取得方法。
【請求項15】
前記被検体の有効減衰係数スペクトルを取得する工程を有することを特徴とする請求項14に記載の被検体情報取得方法。
【請求項16】
前記第1の波長の光の強度および前記第2の波長の光の強度に基づき、前記第1の波長の光の強度と前記第2の波長の光の強度との差が小さくなるように、前記第1の波長の光の強度または前記第2の波長の光の強度を制御する工程を有することを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の被検体情報取得方法。
【請求項17】
前記被検体情報を取得する工程は、前記第1の波長の光の強度、前記第2の波長の光の強度、前記第1の検出信号、および前記第2の検出信号に基づき、前記被検体情報を取得する工程であることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
【請求項18】
前記第1の検出信号に基づき前記被検体内の第1の初期音圧分布を取得する工程と、
前記第2の検出信号に基づき前記被検体内の第2の初期音圧分布を取得する工程と、
前記第1の初期音圧分布および前記第2の初期音圧分布に基づき、前記被検体情報を取得することを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の被検体情報取得方法。
【請求項19】
前記被検体情報は前記被検体内の酸素飽和度分布であることを特徴とする請求項12から18のいずれか1項に記載の被検体情報取得方法。
【請求項20】
コンピュータに、請求項12から19のいずれか1項の被検体情報取得方法を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
第1の波長の光、および、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を発生可能に構成された光源と、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を検出して検出信号を出力する音響波検出部と、
前記第1の波長の光が前記被検体に照射されたときに前記音響波検出部が出力する第1の検出信号と、前記第2の波長の光が前記被検体に照射されたとき前記音響波検出部が出力する第2の検出信号に基づき、被検体情報を取得する信号処理部と、を有する被検体情報取得装置であって、
前記信号処理部は、前記被検体内の前記第1の波長の光の光量分布、および、前記被検体内の前記第2の波長の光の光量分布を用いずに前記被検体情報を取得することを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項22】
前記被検体情報は前記被検体内の酸素飽和度分布であることを特徴とする請求項21に記載の被検体情報取得装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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