説明

被検体情報取得装置、被検体情報取得方法、及びプログラム

【課題】 FDI法ならびに適応型信号処理を用いて処理した場合、走査線の隣接間で連続性が乏しい部分が生じる可能性がある。
【解決手段】 本発明の被検体情報取得装置は、被検体からの弾性波を受信し複数の受信信号に変換するための複数の変換素子と、前記複数の受信信号を用いて整相加算処理を行い、複数の走査線信号を出力する整相加算手段と、前記複数の走査線信号を隣接する走査線間で加算して複数の合成走査線信号を出力する走査線信号合成手段と、前記複数の合成走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行い、電力強度分布を取得するFDI適応処理手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体情報取得装置、被検体情報取得方法、及びプログラムに関する。特に、被検体に弾性波を送信し、被検体内で反射した反射波を受信して被検体情報を取得する被術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体情報取得装置である超音波診断装置において、パルスエコー法によって画像データを形成する場合の深さ方向の空間分解能は、超音波の波長をλ、送信波数をnとすると、(nλ)/2で一般的に表すことが可能である。例えば、12MHzの中心周波数の超音波を2波長分送信した場合は約0.13mm程度となる。
【0003】
パルスエコー法について説明する。まず超音波パルス(弾性波)を被検体に送信すると、被検体内での音響インピーダンス差に応じて超音波が反射されて戻ってくる。次に、この反射波を受信し、反射波の受信信号を用いて画像データを生成する。代表的には、受信信号の包絡線を取得し、この包絡線を輝度値に変換して画像データを生成する。被検体内の複数の方向もしくは位置に対して超音波の送受信を繰り返すことで、超音波を送受信した方向の複数の走査線上の輝度情報を取得できる。この複数の走査線上の輝度情報を並べることで被検体内の画像化が可能となる。
【0004】
なお超音波診断装置においては、超音波を電気信号に変換する複数の変換素子を用い、それぞれの素子間の受信信号波形に時間的なずれを加えることで、送信受信ともに被検体内でフォーカスさせるのが一般的である。
【0005】
上記のように、パルスエコー法を用いることで約0.13mm程度の深さ方向の空間分解能は実現できるが、より高い空間分解能が要求されている。例えば頚動脈の血管壁の層構造をさらに詳細に観察することができれば、動脈硬化などの早期発見への寄与が考えられる。
【0006】
このような深さ方向の空間分解能を向上する技術として、非特許文献1では周波数領域干渉計法(FDI法:Frequency Domain Interferometry)と、適応型信号処理であるCapon法と、を適用し、血管壁の層構造を画像化した結果が示されている。受信波形にFDI法及びCapon法を適用することで、さらに深さ方向(走査線方向)の空間分解能を向上させることができる。ただし、FDIの処理を行うために切り出した深さ方向の信号の範囲(処理レンジ内)には、複数の反射層が存在することが想定される。また、近接した反射層からの複数の反射波は、互いに高い相関性を有している可能性が高い。このような高い相関性を有する複数の反射波の受信信号に対してCapon法などの適応型信号処理をそのまま適用すると、所望の信号を打ち消すなどの予期しない動作を行うことが知られている。このような相関性を有する信号(相関性干渉波)による影響を低減(抑圧)するため、周波数平均法(frequency averaging technique)を合わせて用いることで、反射波の受信信号に対してFDI法ならびにCapon法が適用可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hirofumi Taki,Kousuke Taki,Takuya Sakamoto,Makoto Yamakawa,Tsuyoshi Shiina and Toru Sato:Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc.2010;1:5298−5301.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1のように反射波の受信信号にFDI法及び適応型信号処理を適用する場合、1走査線ごとに処理を実施するため、隣接する走査線同士で相関性干渉波の抑圧の程度は一致しない。この結果、得られた画像データにおいて走査線と交差する方向の連続性が乏しくなる部分が生じる可能性があることが分かった。
【0009】
一方で、走査線と交差する方向の空間分解能は、弾性波の送信及び受信の際の収束条件によって変化する。被検体内の観察領域に存在する微小な反射体などを見落とすことなく画像化するために、一般的なパルスエコー法では、走査線間の距離(走査線間隔)は、走査線と交差する方向の空間分解能よりも短く設定される。そのため、FDI法及び適応型信号処理を用いない場合、隣接する走査線間の連続性が乏しくなることはないと考えられる。
【0010】
つまりFDI法及び適応型信号処理を用いることによって、走査線と交差する方向の連続性が、一般的な画像(受信信号の包絡線を取得して生成した画像)よりも低くなる可能性が生じ、その結果、視認性が低下するという特有の課題が生じる。本発明は、上記課題に鑑み、FDI法及び適応型信号処理を適用する場合において、走査線ごとの相関性干渉波の抑圧の程度の差による画像の視認性低下の影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の被検体情報取得装置は、被検体からの弾性波を受信して被検体の情報を取得する被検体情報取得装置であって、弾性波を受信し複数の受信信号に変換するための複数の変換素子と、前記複数の受信信号を用いて整相加算処理を行い、複数の走査線信号を出力する整相加算手段と、前記複数の走査線信号を隣接する走査線間で加算して複数の合成走査線信号を出力する走査線信号合成手段と、前記複数の合成走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行い、電力強度分布を取得するFDI適応処理手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の被検体情報取得方法は、被検体からの弾性波を受信して被検体の情報を取得する被検体情報取得方法であって、弾性波を受信した複数の変換素子から出力される複数の受信信号を用いて整相加算処理を行い、複数の走査線信号を出力するステップと、前記複数の走査線信号を隣接する走査線間で加算して複数の合成走査線信号を出力するステップと、前記複数の合成走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行い、電力強度分布を取得するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、走査線ごとの相関性干渉波の抑圧の程度の差による画像の視認性低下の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の適用可能な被検体情報取得装置のシステム概要を示す模式図である。
【図2】FDI適応処理ブロック内部での処理を説明するフローチャートである。
【図3】複数の走査線信号を模式的に示した図である。
【図4】第1の実施形態のシステム概要を示す模式図である。
【図5】Hough変換によって抽出された位置と方向とを示す図である。
【図6】走査線信号合成ブロックの動作を説明する模式図である。
【図7】第1の実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の処理結果を示す図である。
【図9】第2の実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】部分行列サイズの変化に伴う電力強度分布の変化を示す図である。
【図11】部分行列サイズの変化に伴う空間分解能と処理規模との変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。本発明において、弾性波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波、と呼ばれる弾性波を含む。本発明の被検体情報取得装置とは、被検体に弾性波を送信し、被検体内部で反射した反射波(反射した弾性波)を受信して、被検体情報を画像データとして取得する装置を含む。取得される被検体情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。また、本発明において走査線とは、探触子から送信される弾性波の進行方向に形成される仮想的な線を意味する。
【0016】
(被検体情報取得装置の基本的な構成)
本発明が適用できる被検体情報取得装置の構成と、FDI法及び適応型信号処理を用いた際の処理内容について図1と図2とを用いて説明する。図1は本発明による被検体情報取得装置のシステム概要を示す模式図である。本実施形態の被検体情報取得装置は、複数の変換素子002を有する探触子001、受信回路005、送信回路003、整相加算ブロック006、走査線信号加算ブロック007、FDI適応処理ブロック008、画像処理ブロック010、システム制御部004を備える。
【0017】
本発明において、整相加算ブロック006は整相加算手段、走査線信号加算ブロック007は走査線信号合成手段、FDI適応処理ブロック008はFDI適応処理手段、画像処理ブロック010は画像処理手段に、夫々相当する。また、少なくとも、整相加算ブロック006と走査線信号加算ブロック007とFDI適応処理ブロック008とで処理装置を構成する。処理装置は、必要に応じて、シフト量算出手段としての走査線間ずれ量推定ブロック009(第1の実施形態の図4参照)等を更に備えると良い。
【0018】
送信回路003は、システム制御部004からの制御信号に従って、注目位置や注目方向に応じた遅延時間や振幅を有する送信信号を生成する。この送信信号は複数の変換素子002によって弾性波に変換され、探触子001から被検体へと送信される。被検体000内部で反射された弾性波(反射波)は、複数の変換素子002によって受信され複数の受信信号に変換される。受信信号は受信回路005に入力される。受信回路005では複数の受信信号を増幅し、複数のデジタル信号(デジタル化された受信信号)に変換する。ここで、本発明では、変換素子002が出力したアナログの受信信号だけでなく、増幅やデジタル変換等の処理を行った信号も受信信号と表現する。
【0019】
受信回路005から出力された複数のデジタル信号は整相加算ブロック006に入力される。整相加算ブロック006では、弾性波を送信した方向や位置に応じて、複数のデジタル信号に対する遅延処理を行いさらに加算する、つまり整相加算処理を実行する。このように整相加算された信号(走査線信号)が走査線信号加算ブロック007に複数入力される。1本の走査線上には複数の走査線信号が並べられる。一般的な超音波診断装置で表示されるB−mode画像はこの走査線信号の包絡線を複数の走査線分並べたものである。
【0020】
走査線信号加算ブロック007では、隣接する走査線上にある走査線信号同士(複数の連続して隣接する走査線信号を含む)を加算して合成走査線信号を出力する。この走査線信号加算ブロック007に入力される走査線信号は包絡線を取得していないため、受信信号波形の位相情報を保持している。また、走査線信号加算ブロック007から出力される合成走査線信号も位相情報を保持している。
【0021】
このような合成走査線信号がFDI適応処理ブロック008に入力される。周波数領域干渉計法(FDI法)は、受信信号を周波数ごとに分解し、分解された信号の位相を注目位置に応じて変化させることで、注目位置における受信電力を推定する方法である。なお、位相の変化量はある基準位置から注目位置までの距離と周波数に対応した波数の積とからあらかじめ決定できる。
【0022】
また、適応型信号処理は、受信信号に応じて、その処理パラメータを適応的に変化させる。適応型信号処理の一つであるCapon法は、複数の入力信号に対して、注目位置に関する感度を固定した状態で電力を最小化するように処理する方法である。つまり、FDI法と適応型信号処理とを組み合わせることは、各周波数成分に分解された受信信号に対して、あらかじめ決定された位相変化量・重みではなく、適応型信号処理によって信号に応じて算出された位相変化量・重みを用いて、注目位置における受信電力を推定することになる。
【0023】
(本発明の適用可能なFDI適応処理のフロー)
以下、図2を用いて、FDI適応処理ブロック008内部での処理を説明する。FDI適応処理ブロック008は、走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号を入力信号として受け取る(S200)。そして複数の合成走査線信号から1回で処理する時間分、つまり処理レンジ分の信号を抽出する(S201)。ここで、FDI適応処理ブロック008での処理は、複数の合成走査線信号から処理レンジ分の信号を抽出するだけでなく、各合成走査線信号に重みづけ等の処理を行ってもよい。このような場合であっても、本発明においては、合成走査線信号に対してFDI法を適用すると表現する。
【0024】
次に、抽出した信号をフーリエ変換し周波数ごとの成分(Xs1、Xs2、Xs3、・・・、XsN)に分割する(S202)。
【0025】
一方で、FDI適応処理ブロック008には、システム制御部から参照信号が入力され(S203)、参照信号のフーリエ変換を行って周波数ごとの成分(Xr1、Xr2、Xr3、・・・、XrN)に分割する(S204)。参照信号とは、被検体内に存在する界面(例えば血管壁等)から返ってくると仮定される反射波の信号波形であり、システム制御部004に記憶されている。
【0026】
次に、FDI適応処理ブロック008は下記式で示されるホワイトニング処理を行う(S205)。
【0027】
【数1】

【0028】
ここでXwk(k=1,2,・・・,N)はホワイトニング処理後の周波数ごとの成分、ηは安定化のための微小量、*は複素共役を意味する。ホワイトニング処理された各周波数成分からなるベクトルXを用いて、相関行列Rを算出する(S206)。
X=[XW1,XW2,・・・,XWN
R=XXT*
なおTは転置を意味する。ここで相関行列RはN×Nのサイズを有する行列となる。次に相関行列Rから部分行列を抽出し、それらを平均化する周波数平均法を適用する(S207)。
【0029】
【数2】

【0030】
mij=XW(i+m−1)W(j+m−1)*
【0031】
R’は周波数平均相関行列、RmはRmijを要素に持つ相関行列Rの部分行列である。このようにして周波数平均相関行列R’が算出される(S208)。
【0032】
ここで、周波数平均法における部分行列Rmのサイズについて述べる。図10は、部分行列のサイズの変化に伴うFDI法およびCAPON法による電力強度分布の変化を示した図である。図10の横軸は弾性波の進行方向(つまり走査線方向)の位置を示し、縦軸は電力強度分布を示している。0.05mm間隔で設置された2層の反射面からの反射波の受信信号に対してFDI法およびCAPON法を適用し、その際の部分行列サイズを変化させた結果が複数のプロットで示されている。
【0033】
なお、2層の反射面は図10中の矢印で示した2箇所に存在する。また図10中の複数のプロットは、相関行列のサイズN=134に対して、部分行列のサイズを、17(点線)、131(破線)、51(二点鎖線)、119(一点鎖線)、85(実線)にした場合の電力強度分布を示している。この図10から、部分行列のサイズを変化させるに従って、空間分解能が変化していることが分かる。
【0034】
図11は、部分行列サイズの変化に伴う空間分解能と処理規模との変化を示す図である。横軸は、相関行列のサイズを1として規格化した部分行列のサイズを示し、縦軸は、それぞれの部分行列サイズにおける空間分解能の変化(実線)と、処理計算規模(破線)とを示している。なお、処理計算規模は部分行列サイズが0.5の時に1となるように規格化してある。
【0035】
図11より、部分行列サイズが0.5から0.9の辺りで最も高い空間分解能を得られることが分かる。一方で、部分行列サイズが大きくなるに従って処理規模が急激に増大しており、特に、部分行列サイズが0.8を超えたあたりでは処理規模が増大するにも関わらず、空間分解能が劣化していることが分かる。また、部分行列サイズが0.3以下の領域では急激に空間分解能が劣化していく。これらのことから、部分行列のサイズは、0.3以上であることが好ましく、計算規模の増大を抑制するためにはさらに0.8以下を選択することが好ましい。またさらに、適切な処理規模で高い空間分解能を得るためには、部分行列サイズは0.5より大きく0.8以下の範囲であることが好ましく、空間分解能と処理規模のどちらを重視するかによって部分行列のサイズを決定すれば良い。
【0036】
次に、拘束ベクトルCが、FDI適応処理ブロック008に入力される(S209)。拘束ベクトルCは、処理レンジ内での位置rに応じて変化するベクトルであり、以下の式で定義される。
C=[exp(jkr),exp(jkr),・・・,exp(jk(N−M+1)r)]
【0037】
これらの周波数平均相関行列R’ならびに拘束ベクトルCを用いて、処理レンジ内の電力強度分布P(r)を算出する(S210)。
【0038】
【数3】

【0039】
η’Eは逆行列算出を安定させるために加算した対角行列である。
【0040】
さらに、入力された信号の中で未処理の信号がなければ処理を終了し、未処理の信号があれば信号抽出(S201)へ戻り、処理を継続する(S211)。
【0041】
このように、FDI適応処理ブロック008では、走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号を入力信号としてFDI法及び適応型信号処理(ここではCapon法を用いた)を行い、電力強度分布を出力する。本発明において、取得される電力強度分布は、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報を示す。
【0042】
画像処理ブロック010は、FDI適応処理ブロック008から出力された電力強度分布を入力情報とし、システム制御部004からの指示に従って、エッジ強調やコントラスト調整などの各種画像処理を行い、輝度データ(画像データ)を出力する。画像表示手段011では入力された輝度データを画像として表示する。なお、画像表示手段011は、本発明の被検体情報取得装置とは別に提供されていてもよい。
【0043】
(走査線信号加算ブロックの処理)
ここで、FDI適応処理ブロック008の前段で行われる走査線信号加算ブロック007における動作の概念について図3を用いて説明する。
【0044】
図3は、走査線上の走査線信号301A〜301Fを模式的に示した図である。先述したように、一般的な超音波診断装置で生成されるB−mode画像(走査線信号の包絡線を取得して生成した画像)は、走査線と交差する方向(図3中の横方向)の空間分解能は走査線間距離よりも大きい(長い)。つまり、走査線と交差する方向の走査線信号の変化(例えば符号302で示す部分)はなだらかな変化となる。走査線信号の包絡線を取得した際の走査線と交差する方向の強度変化もなだらかな変化となる。
【0045】
しかしながら、FDI及び適応型信号処理を用いた場合、相関性干渉波の抑圧の程度が走査線ごとに異なるため、走査線と交差する方向の電力強度の連続性が低くなる可能性がある。そこで、走査線信号加算ブロック007は、隣接する複数の走査線上の走査線信号(例えば301B、301C、301D)を加算し、新たな合成走査線信号として出力する。これにより、走査線と交差する方向の連続性を増加させることができる。また、この加算によって信号のSN比が向上するため、FDI法及び適応型信号処理による分解能向上の効果を高めることが出来る。
【0046】
上記の処理を行うことで、FDI法及び適応型信号処理を用いることによる走査線方向の空間分解能向上の効果が得られるだけでなく、相関性干渉波の抑圧の程度の走査線ごとの差による画像の連続性低下の影響を抑制することができる。よって、より安定した視認性の高い画像データを得ることが出来る。
【0047】
なおここでは適応型信号処理の例としてCapon法の処理について述べたが、相関性干渉波の影響を抑制するために周波数平均法が必要となる他の適応型信号処理、MUSIC法やESPRIT法などにおいても本発明の効果が同様に得られる。
【0048】
以下、図面を用いて本発明による被検体情報取得装置の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の符号を付して、説明を省略する。
【0049】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を、図4〜図8を用いて説明する。図4は本実施形態で用いる被検体情報取得装置のシステム概略図である。
【0050】
(第1の実施形態の基本的な装置構成)
本実施形態の被検体情報取得装置は、図1で示した各構成要素に加えて、走査線間ずれ量推定ブロック009を備える。本実施形態において、整相加算ブロック006は整相加算手段、走査線間ずれ量推定ブロック009はシフト量算出手段、走査線信号加算ブロック007は走査線信号合成手段に、夫々相当する。また、FDI適応処理ブロック008はFDI適応処理手段、画像処理ブロック010は画像処理手段に、夫々相当する。なお、本実施形態では、整相加算ブロック006と走査線間ずれ量推定ブロック009と走査線信号加算ブロック007とFDI適応処理ブロック008とで処理装置を構成する。
【0051】
送信回路003は、システム制御部004からの制御信号に従って、注目位置や注目方向に応じた遅延時間や振幅を有する送信信号を生成する。この送信信号は複数の変換素子002によって弾性波に変換され、探触子001から被検体内部へと送信される。被検体000内部で反射された弾性波(反射波)は、複数の変換素子002によって複数の受信信号に変換される。受信信号は受信回路005に入力される。
【0052】
受信回路005は、複数の受信信号を増幅し、複数のデジタル信号に変換する。受信回路005から出力された複数のデジタル信号は整相加算ブロック006に入力される。
【0053】
整相加算ブロック006では、弾性波を送信した方向や位置に応じて、複数のデジタル信号に対する遅延処理を行ってから加算する、つまり整相加算処理を実行する。このように整相加算された信号が走査線信号として走査線間ずれ量推定ブロック009に入力される。一般的な超音波診断装置で表示されるB−mode画像はこの走査線信号の包絡線を並べたものである。
【0054】
走査線間ずれ量推定ブロック009は、入力された走査線信号に対してFDI法ならびに適応型信号処理により各走査線の電力強度分布を算出し、目標位置の走査線毎のずれ量(シフト量)を算出する。詳細は図5〜7を用いて後述するが、走査線間ずれ量推定ブロック009は、被検体内の領域ごとに走査線間の目標位置のシフト量を算出し、当該シフト量の情報をシステム制御部004に出力する。
【0055】
走査線信号加算ブロック007は、整相加算ブロック006から入力される走査線信号とシステム制御部004から入力される走査線ごとの目標位置のシフト量とに基づいて、入力された走査線信号をずらして加算する走査線信号の合成処理を行う。走査線信号加算ブロック007から出力される合成走査線信号は、FDI適応処理ブロック008に入力される。
【0056】
FDI適応処理ブロック008は、走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号を入力信号としてFDI法ならびに適応型信号処理を行い、電力強度分布を出力する。
【0057】
画像処理ブロック010は、FDI適応処理ブロック008から出力された電力強度分布を入力とし、システム制御部004からの指示に従って、エッジ強調やコントラスト調整などの各種画像処理を行い、輝度データを出力する。画像表示手段011は、入力された輝度データを表示する。
【0058】
(第1の実施形態の基本的な処理フロー)
本実施形態の被検体情報取得方法のフローについて、図7を用いて説明する。図7のフローは、デジタル化された受信信号(デジタル信号)が入力されたステップから開始する。
【0059】
S701では、整相加算ブロック006が、弾性波を送信した方向や位置に応じて、複数のデジタル信号に対する遅延処理を行いさらに加算する、つまり整相加算処理を実行する。
【0060】
S702では、走査線間ずれ量推定ブロック009が、入力された整相加算後の信号(走査線信号)に対してFDI法ならびに適応型信号処理により各走査線の電力強度分布を算出する処理を行う。この電力強度分布を並べることで、一般的な超音波装置におけるB−mode像と比較し高分解能な輝度値データ群を構築する。
【0061】
さらにS703では、走査線間ずれ量推定ブロック009が、この輝度値データ群に不要エコー除去フィルタを適用する。このフィルタ処理は、走査線の電力強度分布をI(z)とした時に、不要エコー除去後の電力強度分布IB(z)を下記のように求める処理である。
【0062】
【数4】

【0063】
【数5】

【0064】
ここで、z0は注目範囲の始点、zmは任意に設定できるパラメータであり、深さ分解能程度にzmを設定するのが好ましい。
【0065】
この不要エコー除去フィルタ処理は、注目位置に存在する輝度値が注目位置の深さよりも浅い位置(探触子に近い位置)に存在する高輝度値部分よりも高い輝度値を有する場合に、注目位置の輝度値を残し、それ以外の部分を0にするフィルタ処理である。例えば血管の後壁部分の電力強度分布に対してこのフィルタ処理を適用した場合、血管内腔と内中膜複合体の境界、内中膜複合体と外膜の境界の2層のみが存在する輝度値データ群を得ることが出来る。
【0066】
次にS704で、走査線間ずれ量推定ブロック009は、この不要エコー除去フィルタが適用された輝度値データ群を複数の領域に分割し、分割された領域ごとにHough変換を行う。この複数の領域は、ある深さ範囲における複数本の走査線分の領域である。このHough変換により、輝度値がある一定値以上高い部分の方向と位置とが抽出される。この際用いられる一定値(閾値)は、走査線毎に変化させてもよいし、処理を簡便にするために領域全体に1つの閾値を用いてもよい。
【0067】
図5に、走査線間ずれ量推定ブロック009におけるHough変換した結果を示す。図5(a)はFDI法ならびに適応型信号処理によって算出された電力強度分布を並べた輝度値データ群に対して、不要エコー除去フィルタを適用した画像である。この際用いた受信信号は、頸動脈を対象として得られた受信信号を用いている。図5(b)は、図5(a)で示した輝度値データ群内に対してHough変換を行った画像である。図5(b)のライン501は、領域ごとに抽出された輝度値データ群によって形成される線の方向と位置とを示している。
【0068】
このように、本実施形態では、Hough変換によって、輝度値データ群によって形成される線の方向と位置とを抽出したが、微分演算、テンプレートマッチングなど、他のアルゴリズムを用いても本発明の効果を得ることが出来る。
【0069】
走査線間ずれ量推定ブロック009の動作の説明に戻る。S705で、走査線間ずれ量推定ブロック009は、抽出された輝度値データ群によって形成される線の方向と位置とから被検体内の構造が走査線ごとにどれだけずれているかを算出する。例えば、血管壁がどれだけ傾いているかを算出し、抽出された角度が30度、走査線間の距離が0.15mmであれば、86.6μmのシフト量であると算出する。このようにして、走査線間ずれ量推定ブロック009は、領域ごとに走査線ごとの目標位置のシフト量を算出し、当該シフト量の情報をシステム制御部004に出力する。本実施形態において目標位置とは、不要エコー除去フィルタを適用して抽出された輝度値データ群によって形成される、領域毎の線を示す。これは、被検体内部の層状に近い構造体や音響インピーダンスが変化している境界等、被検体内部の測定対象物(反射界面)の位置候補を意味している。例えば、測定対象物が直線的な血管壁である場合、目標位置のシフト量は血管壁の傾きが反映されている。
【0070】
S706では、走査線信号加算ブロック007が、整相加算ブロック006から入力される走査線信号と、システム制御部004から入力される走査線ごとの目標位置のシフト量と、に基づいて、走査線信号を走査線方向にずらして加算する合成処理を行う。
【0071】
図6に、走査線信号をずらして加算する合成処理の概念を示す。図6の左図が合成処理前の複数の走査線信号を示し、図6の右図が合成処理後の複数の合成走査線信号を示す。シフト量603A〜603Eは、S702〜S705において、走査線信号が存在する領域で抽出された方向602から求められたシフト量である。
【0072】
走査線信号加算ブロック007は、入力された走査線上の走査線信号601A〜601Fに対して、シフト量603A〜603Eで補正する。そして、隣接する走査線信号を加算する。例えば、合成走査線信号611A〜611Fのうち、合成走査線信号611Bについて説明する。合成走査線信号611Bは、走査線信号601Aをシフト量603Aだけ深い方向(図6の上方)にずらした信号と、走査線信号601Bと、走査線信号601Cをシフト量603Bだけ浅い方向(図6の下方)にずらした信号と、を加算して得られる。
【0073】
上記例では、走査線信号601Bと隣接する2本の走査線信号(601Aと601C)を用い、3本分の走査線信号をずらして加算することで合成走査線信号611Bを算出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。合成する走査線信号が2本以上であれば本発明の効果を得ることが可能である。さらに加算の際に重みをつけても良い。
【0074】
本発明において、走査線と交差する方向の空間分解能の劣化を抑制するためには、空間分解能の2倍以下に含まれる走査線の本数で加算を行うことが好ましい。また、より好適には、空間分解能以下の走査線本数が望ましい。なお、走査線と交差する方向の空間分解能は観察する深さや使用する周波数、探触子の寸法などによっても変化するため、それらの条件に合わせて加算する本数を変化させることが望ましい。
【0075】
走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号は、FDI適応処理ブロック008に入力される。S707では、FDI適応処理ブロック008が、走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号を入力信号としてFDI法ならびに適応型信号処理を行い、電力強度分布を出力する。
【0076】
S708では、画像処理ブロック010が、FDI適応処理ブロック008から出力された電力強度分布を入力とし、システム制御部004からの指示に従って、エッジ強調やコントラスト調整などの各種画像処理を行い、輝度データを出力する。画像表示手段011では入力された輝度データを表示する。
【0077】
図8は、本実施形態の処理を適用した結果を示す画像である。図8(a)は本発明を適用せず、FDI法ならびに適応型信号処理を用いて処理を行った従来の画像である。図8(b)は隣接する走査線3本を用い、各シフト量分ずらして加算した合成走査線信号に対して、FDI法ならびに適応型信号処理を用いて処理を行った画像。図8(c)は隣接する走査線5本を用い、各シフト量分ずらして加算した合成走査線信号に対して、FDI法ならびに適応型信号処理を用いて処理を行った画像。図8(d)は隣接する走査線7本を用い、各シフト量分ずらして加算した合成走査線信号に対して、FDI法ならびに適応型信号処理を用いて処理を行った画像である。本発明の適用によって走査線と交差する方向(図8の横方向)の連続性が向上し視認性が高まっていることが分かる。
【0078】
本実施形態では、走査線信号にFDI法ならびに適応型信号処理を適用した輝度値データ群を用いて走査線間のシフト量を推定したが、走査線信号の包絡線を並べた輝度値データ群(B−mode画像)を用いても走査線間のシフト量を推定することができる。
【0079】
また、本発明は、本実施形態のように走査線間のシフト量を推定し、シフト量分ずらしてから加算する形態に限定されない。図3を用いて説明したように、隣接する複数の走査線信号をずらさずに加算してもよい。これは、測定対象物によっては、ほとんど傾いていない場合(つまり走査線と直交する方向にほぼ平行な場合)もあるためである。よって、このような場合は、単に隣接する走査線信号を加算して得られる合成走査線信号に対してFDI法及び適応型信号処理を適用すると良い。
【0080】
また、走査線間ずれ量推定ブロック009において、輝度値がある一定以上高い部分の方向と位置とが求まらない、もしくはその精度が低いと考えられる領域においては、走査線信号をずらす処理を行わずそのまま走査線信号を加算する処理を行うことも可能である。つまり、領域毎に走査線信号をずらす処理を行う場合と行わない場合とを分けて処理し、1枚の画像を生成してもよい。このような処理を選択することで、輝度値が低い部分やランダムに反射体が存在する領域の走査線信号を不必要に移動させることを防止し、安定した画像を得ることが出来る。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、走査線毎の目標位置のシフト量を推定する方法が第1の実施形態と異なる。本実施形態の被検体情報取得装置は、図4を用いて説明した第1の実施形態と同様であるが、走査線間ずれ量推定ブロック009の機能が異なる。よって、第1の実施形態と異なる処理フロー部分について主に説明する。
【0082】
本実施形態の被検体情報取得方法のフローについて、図9を用いて説明する。図9のフローは、デジタル化された受信信号(デジタル信号)が入力されたステップから開始する。S901では、整相加算ブロック006が、複数のデジタル信号を入力として整相加算処理を行う。このように整相加算処理された信号を走査線信号として走査線間ずれ量推定ブロック009に入力する。
【0083】
S902では、走査線間ずれ量推定ブロック009が、隣接する走査線信号を一定の深さごとに切り出し、それらの相互相関係数r(k)を算出する。
【0084】
【数6】

【0085】
ここで、x、yはそれぞれの走査線信号から切り出された信号列(i=1,2,3,・・・,n)を示している。kは走査線毎のシフト量を示している。
【0086】
S903では、走査線間ずれ量推定ブロック009は、算出された相互相関係数r(k)の最大値を取るkの値から、それぞれ切り出された深さでの隣接する走査線毎の目標位置のシフト量を推定する。本実施形態では、実施形態1のように輝度値データ群から目標位置そのものを求めるのではなく、相互相関係数を用いることで走査線毎の目標位置のシフト量を求めている。この目標位置のシフト量は、被検体内部の測定対象物(複数の走査線に渡って連続的に存在する層状に近い構造体や音響インピーダンスの変化している境界等)の、走査線間の位置のずれを反映している。例えば、測定対象物が直線的な血管壁である場合、目標位置のシフト量は血管壁の傾きが反映されている。このようにして、査線間ずれ量推定ブロック009は、領域ごとの走査線ごとのシフト量を算出し、システム制御部004に出力する。
【0087】
なお、ここでは隣接する走査線間の相互相関係数を用いたが、ひとつ置いて離れた走査線間(走査線同士)の相互相関係数を用いても良い。また複数の走査線同士の組み合わせから求められた複数のシフト量に対して平均値を用いても良い。さらに複数の走査線の組み合わせにわたって算出された複数のシフト量に対して、被検体内の走査線と直交する方向に関する空間周波数の低い部分を抽出してノイズなどの影響による急激なシフト量の変化を抑制するなどの手法を適用して、より安定したシフト量を求めてもよい。
【0088】
S904では、走査線信号加算ブロック007が、整相加算ブロック006から入力される走査線信号と、システム制御部004から入力される走査線ごとのシフト量の情報と、に基づいて、入力された走査線信号をずらして加算する走査線信号の合成処理を行う。走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号は、FDI適応処理ブロック008に入力される。
【0089】
S905では、FDI適応処理ブロック008が、走査線信号加算ブロック007から出力された合成走査線信号を入力信号として、FDI法ならびに適応型信号処理を行い、電力強度分布を出力する。
【0090】
S906では、画像処理ブロック010が、FDI適応処理ブロック008から出力された電力強度分布を入力とし、システム制御部004からの指示に従って、エッジ強調やコントラスト調整などの各種画像処理を行い、輝度データを出力する。画像表示手段011では入力された輝度データを表示する。
【0091】
本実施形態を用いることで、走査線と交差する方向(横方向)の連続性が向上し視認性が高まる。さらに、本実施形態においては、走査線信号の相互相関値を用いてシフト量を出すことで、精度良く走査線間のシフト量を推定し、走査線信号合成処理によるSN比改善の効果を高めることが出来る。そのため、FDI法ならびに適応型信号処理による解像度向上の効果をさらに高めることが期待できる。
【0092】
また、走査線間ずれ量推定ブロック009において、相互相関値がある一定以上の大きさにならない領域においては、走査線信号をずらす処理を行わずそのまま走査線信号を加算する処理を行うことも可能である。このような処理を選択することで、輝度値が低い部分やランダムに反射体が存在する領域の走査線信号を不必要に移動させることを防止し、より安定した画像を得ることが出来る。
【0093】
(第3の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した各実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0094】
000 被検体
001 探触子
002 変換素子
003 送信回路
004 システム制御部
005 受信回路
006 整相加算ブロック
007 走査線信号加算ブロック
008 FDI適応処理ブロック
009 走査線間ずれ量推定ブロック
010 画像処理ブロック
011 画像表示手段
301A〜301F 走査線信号
601A〜601F 走査線信号
611A〜611F 合成走査線信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からの弾性波を受信して被検体の情報を取得する被検体情報取得装置であって、
弾性波を受信し複数の受信信号に変換するための複数の変換素子と、
前記複数の受信信号を用いて整相加算処理を行い、複数の走査線信号を出力する整相加算手段と、
前記複数の走査線信号を隣接する走査線間で加算して複数の合成走査線信号を出力する走査線信号合成手段と、
前記複数の合成走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行い、電力強度分布を取得するFDI適応処理手段と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
【請求項2】
前記走査線信号を用いて、走査線ごとの目標位置のシフト量を算出するシフト量算出手段をさらに有し、
前記走査線信号合成手段は、前記シフト量を用いて、前記複数の走査線信号をずらして加算し前記合成走査線信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
【請求項3】
前記シフト量算出手段は、前記複数の走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行うことにより取得される電力強度分布を用いて前記シフト量を算出することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項4】
前記シフト量算出手段は、前記複数の走査線信号を用いて走査線間の相互相関係数を求め、前記相互相関係数を用いて前記シフト量を算出することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
【請求項5】
被検体からの弾性波を受信して被検体の情報を取得する被検体情報取得方法であって、
弾性波を受信した複数の変換素子から出力される複数の受信信号を用いて整相加算処理を行い、複数の走査線信号を出力するステップと、
前記複数の走査線信号を隣接する走査線間で加算して複数の合成走査線信号を出力するステップと、
前記複数の合成走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行い、電力強度分布を取得するステップと、
を有することを特徴とする被検体情報取得方法。
【請求項6】
前記走査線信号を用いて、走査線ごとの目標位置のシフト量を算出するステップをさらに有し、
前記合成走査線信号を出力するステップでは、前記シフト量を用いて、前記複数の走査線信号をずらして加算し前記合成走査線信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の被検体情報取得方法。
【請求項7】
前記シフト量を算出するステップでは、前記複数の走査線信号を用いて周波数領域干渉計法及び適応型信号処理を行うことにより取得される電力強度分布を用いて前記シフト量を算出することを特徴とする請求項6に記載の被検体情報取得方法。
【請求項8】
前記シフト量を算出するステップでは、前記複数の走査線信号を用いて走査線間の相互相関係数を求め、前記相互相関係数を用いて前記シフト量を算出することを特徴とする請求項6に記載の被検体情報取得方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の被検体情報取得方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52074(P2013−52074A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191416(P2011−191416)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、文部科学省、「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成(高次生体イメージング先端テクノハブ)」に係わる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】