説明

被検出物捕集具及びその使用方法

【課題】本発明の課題は、被検出物を捕集した担体を、例えば被検出物の定量分析や定性分析のように複数の分析に供する際に、より正確にそれらの分析を行うことができる被検出物捕集具及びその使用方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の被検出物捕集具1は、被検出物(微生物)を捕集する担体5が複数に分割可能に区画配置され、前記担体5を保持する捕集ディッシュ4を備え、前記担体5は前記捕集ディッシュ4の一面側に配置されていることを特徴とする。前記担体5は、捕集ディッシュ4が分割された第1ディッシュ半体4a(分割体)及び第2ディッシュ半体4b(分割体)のそれぞれに区画配置された計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物、化学物質等の被検出物を捕集する被検出物捕集具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に浮遊する微生物、化学物質等の被検出物を捕集する技術としては、フィルターを介して空気を吸引し、被検出物をフィルターで分離するものが広く知られている。また、空気中に浮遊する微生物を捕集する捕集具としては、常温から昇温することでゲルからゾルに相転移する担体を捕集ディッシュ上に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この捕集具は、インパクター方式のエアーサンプラーに組み付けられて使用され、エアーサンプラーが吸引した空気を担体に衝突させた際に、空気に同伴する微生物をゲル状の担体に捕集する構成となっている。そして、捕集された微生物は、昇温することでゾル化した担体と共に捕集ディッシュから取り出され、所定の計数方法に準拠して計数される。
【0003】
一方、微生物の計数方法としては、微生物から抽出したATP(アデノシン三リン酸)を定量することで微生物を間接的に計数する、いわゆるATP法が知られている(例えば、特許文献2参照)。このATP法は、捕集した微生物にATP抽出試薬を接触させることで微生物に内在するATPを抽出し、このATPに発光試薬を反応させた際の発光強度に基づいて微生物を計数するものである。
【0004】
このATP法によれば、例えば平板培地で培養した微生物のコロニー数によって捕集した微生物を計数する計数方法では数日間を要するところ、微生物を捕集してからその計数までの時間を1時間乃至数時間程度に飛躍的に短縮することができる。
しかしながら、このATP法は、微弱な発光強度に基づいて微生物を計数するために、計数対象となるサンプルに外乱要因となる物質が混入する可能性を極力低減する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−131186号公報
【特許文献2】特開平11−137293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の捕集具(例えば、特許文献1参照)は、捕集ディッシュ上の担体が露出しているので、エアーサンプラーで微生物を担体に捕集した後、これを微生物の計数に供するまでの間に、例えば検査対象外となる余計な微生物や、その他の外乱要因となる物質が担体に混入する恐れがある。特に、微生物を捕集した検査場所と、微生物の計数施設との間が離れている場合にはそれによる汚染の恐れが更に増す。
つまり、従来の捕集具(例えば、特許文献1参照)においては、エアーサンプラーから取り外した後、微生物の計数までの間に担体が汚染されることで、検査場所で捕集した微生物を正確に計数することができない恐れがある。
【0007】
そこで、本出願人は、この出願に先立って、捕集ディッシュの担体を上方に向けた状態で被検出物の捕集操作を行った後、担体を下方に向けた状態で被検出物を検出するように構成した被検出物捕集具を既に出願している(未公開の特願2009−295655)。
この被検出物捕集具によれば、被検出物の捕集操作を行った後の担体を下方に向けた状態に配置することで、捕集ディッシュ自体が担体の蓋代わりとなって、外乱要因となる物質が担体に混入するのを防止することができる。
【0008】
その一方で、このような被検出物捕集具においては、担体で捕集した被検出物の定量分析と定性分析とを並行して行いたい要請がある。例えば、被検出物が微生物である場合には、微生物の計数と、微生物の同定とを並行して行いたい要請がある。
そして、被検出物の定量分析に供せられる担体(サンプル)と、定性分析に供せられる担体(サンプル)とは、同じ時間及び同じ場所で捕集したものである必要があることから、被検出物を捕集した一つの担体を、例えば定量分析用と定性分析用とに切り分けて使用することが考えられる。
しかしながら、担体を切り分けて使用する場合には、切分け操作を行う際や切り分けた定量分析用の担体を秤量する際に、外乱要因となる物質が担体に混入して正確な分析を行うことができない恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、被検出物を捕集した担体を、例えば被検出物の定量分析や定性分析のように複数の分析に供する際に、より正確にそれらの分析を行うことができる被検出物捕集具及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明は、被検出物を捕集する担体が複数に分割可能に区画配置され、前記担体を保持する捕集ディッシュを備え、前記担体は前記捕集ディッシュの一面側に配置されていることを特徴とする被検出物捕集具である。
【0011】
また、前記課題を解決する本発明は、被検出物を捕集する担体が、複数に分割可能に区画配置されている被検出物捕集具の使用方法であって、捕集ディッシュの一面側に配置されている前記担体で前記被検出物の捕集を行った後、前記区画に応じて前記担体を分割し、分割した前記担体のうちの一部を、前記被検出物の第1の検出操作に供し、分割した前記担体のうちの残りを、前記被検出物の第2の検出操作に供することを特徴とする被検出物捕集具の使用方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検出物を捕集した担体を、例えば被検出物の定量分析や定性分析のように複数の分析に供する際に、より正確にそれらの分析を行うことができる被検出物捕集具及びその使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具を取り付ける微生物計数装置の構成説明図である。
【図2】図1の微生物計数装置における被検出物捕集具の搭載部付近の様子を示す斜視図である。
【図3】図1の微生物計数装置における被検出物捕集具の搭載部に、被検出物捕集具が搭載された様子を示す断面図である。
【図4】制御部の指令に基づいて微生物計数装置が動作する工程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具の斜視図である。
【図6】図5の被検出物捕集具の分解斜視図であり、(a)は、斜め上方から見下ろした際の分解斜視図、(b)は、斜め下方から見上げた際の分解斜視図である。
【図7】図5のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具で微生物を捕集する方法を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具において、担体を分割する様子を示す斜視図である。
【図10】(a−1)から(a−4)は、微生物計数装置内での被検出物捕集具の使用方法について説明するための被検出物捕集具の断面図、(b−1)から(b−4)は、(a−1)から(a−4)に対応する場面でのフィルター近傍の様子を拡大して示す模式図である。
【図11】捕集ディッシュの変形例の構成を説明するための捕集ディッシュの分解平面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る被検出物捕集具の分解斜視図であり、(a)は、斜め上方から見下ろした際の分解斜視図、(b)は、斜め下方から見上げた際の分解斜視図である。
【図13】図5のVII−VII断面に対応する断面における、第2実施形態に係る被検出物捕集具の断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る被検出物捕集具において、担体を分割する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の被検出物捕集具の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、空気中に浮遊する微生物(細菌、真菌等)を被検出物として捕集する被検出物捕集具について説明するが、本発明の被検出物捕集具は、被検出物として、金属や化学物質の微細粒子を捕集するものであってもよく、被検出物は固体に限定されずミストであってもよい。
【0015】
(第1実施形態)
以下では、本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具を搭載する微生物計数装置の全体構成、及びその微生物計数装置における微生物の計数原理について説明し、その後に第1実施形態に係る被検出物捕集具及びその使用方法について説明する。
【0016】
<微生物計数装置の全体構成>
図1に示すように、微生物計数装置10は、サンプルに含まれる微生物をATP法に準拠して計数する装置であって、筐体101内に、サンプルを内部に有する被検出物捕集具1(図2参照)を搭載する搭載部102と、液体タンク105と、温水供給部103と、吸引ユニット104と、複数の試薬Rを配置する試薬カートリッジ2と、分注ユニット106と、発光強度測定ユニット107と、制御部108とを備えて構成されている。
なお、図1中、筐体101及び試薬カートリッジ2は、作図の便宜上、仮想線で示し、被検出物捕集具1は記載を省略している。
【0017】
搭載部102は、図2に示すように、被検出物捕集具1(ハウジング6)を収容する凹部102aを有しており、この搭載部102には、係合リング102bが設けられている。また、凹部102aの周囲に配置される、言い換えれば凹部102aを形成しているアルミ材には、後記するようにヒーター102c(図3参照)が埋設されている。なお、凹部102aの形成には、このアルミ材に代えて他の良熱伝導性材料を使用してもよい。
【0018】
係合リング102bは、凹部102aの開口縁に配置されている。この係合リング102bは、後に詳しく説明するように、被検出物捕集具1のハウジング6に設けられた第1係合爪62aと係合することで、ハウジング6を搭載部102に支持するようになっている。ちなみに、係合リング102bは、ハウジング6の第1係合爪62aが収まるような平面形状の切欠き102dを有すると共に、凹部102aが形成される装置本体10aとの間に第1係合爪62aを受け入れ可能な厚さで隙間Gを形成している。
つまり、ハウジング6を凹部102a内に装嵌する際に、第1係合爪62aを、切欠き102dを介して凹部102a内に入れ、ハウジング6を回転させて第1係合爪62aを隙間Gに滑り込ませることで、ハウジング6は係合リング102bと係合することとなる。
【0019】
このような凹部102aに配置された被検出物捕集具1は、図3に示すように、被検出物捕集具1の蓋体3が取り外される。そして、後に詳しく説明するように、捕集ディッシュ4を構成する第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bのうち、ハウジング6内に配置された第1ディッシュ半体4aの計数分析用担体5aがハウジング6の内部空間66で露出するように配置されることとなる。
なお、図3に示す場面では、第2ディッシュ半体4b、及び担体5を構成する同定分析用担体5bは、ハウジング6内に存在しないので仮想線で表している。
【0020】
図3中、符号64aは、ハウジング6の排出開口であり、符号7は、この排出開口64aに設けられたフィルターであり、符号102bは、係合リングであり、符号104aはハウジング6に接続される吸引ユニット104(図1参照)の吸引ヘッドである。なお、ハウジング6の内部空間66は、特許請求の範囲にいう「空間」に相当する。
【0021】
ヒーター102cは、搭載部102に支持された被検出物捕集具1のハウジング6を囲う凹部102a(アルミ材)を所定温度に温めることができれば手段は問わないが、カートリッジヒーター等が好ましい。
【0022】
図1に示す液体タンク105は、滅菌蒸留水等の液体を貯留するものである。この液体は、例えば、後記する被検出物捕集具1の計数分析用担体5a(図3参照)のろ過速度の向上や、洗浄のためにハウジング6(図3参照)内に加えられ、更には後記する分注ユニット106のシリンジポンプ106cの配管系に満たされる。なお、この液体タンク105には、バッファー液を貯留することもできる。
【0023】
温水供給部103は、液体タンク105から供給された滅菌蒸留水等を温めて供給するものである。更に詳しく説明すると、温水供給部103は、温水をハウジング6の内部空間66(図3参照)に注入するものであり、図示を省略するが、例えばペリスタポンプでカートリッジヒーターからの温水を、フレキシブルチューブ等で形成されたノズルを介して吐出するものが挙げられる。ちなみに、このノズルは、水平及び垂直方向に移動する手段を備えることにより、必要に応じてハウジング6の内部空間66(図3参照)内に挿入される。
【0024】
図1に示す吸引ユニット104は、ハウジング6の内部空間66(図3参照)内に注入した温水や、後記する試薬R等を吸引することで、これらを、フィルター7(図3参照)を介して排出するものである。この吸引ユニット104は、例えば、前記した吸引ヘッド104a(図3参照)と、この吸引ヘッド104aに所定の配管を介して接続される図示しない吸引ポンプ及び廃液タンク等で構成することができる。
ちなみに、本実施形態での吸引ユニット104は、搭載部102に支持されたハウジング6(図3参照)に対して、吸引ヘッド104a(図3参照)の連結及び離反が可能なように、吸引ヘッド104aを上下移動させる昇降装置(図示省略)を更に備えている。
【0025】
図1に示す試薬カートリッジ2は、ATP法に必要な複数の試薬Rを纏めて配置するものである。試薬カートリッジ2は、搭載部102の近傍の予め定められた位置に配置される。この試薬カートリッジ2は、次に説明する分注ユニット106の分注ノズル106aが、予め定められた順番で試薬Rを被検出物捕集具1のハウジング6内に分注していくことができるように、試薬Rを位置決めしている。つまり、試薬Rの位置(座標)は、後記するように、分注ユニット106を制御する制御部108に記憶されている。
【0026】
ATP法に必要な試薬Rとしては、例えば、捕集した微生物の細胞外に存在するATPを消去するATP消去試薬、微生物に内在するATPを抽出するATP抽出試薬等が挙げられる。
ATP消去試薬としては、例えば、ATP分解酵素が挙げられる。
ATP抽出試薬としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロロ酢酸、トリス緩衝液等が挙げられる。
なお、試薬Rには、発光強度測定ユニット107の補正試薬、滅菌した純水等を含めることができる。但し、微生物から抽出したATPを発光させるためのATP発光試薬は、後記するように、規定濃度のATP発光試薬が予め充填された発光用チューブ107a(図1参照)が別途に用意されるので、本実施形態での試薬カートリッジ2には、配置されていない。
このATP発光試薬としては、例えば、ルシフェラーゼ・ルシフェリン試薬が挙げられる。
【0027】
図1に示す分注ユニット106は、前記した試薬Rを、被検出物捕集具1のハウジング6内に分注するものである。また、分注ユニット106は、試薬Rやハウジング6(図3参照)内でATP抽出液によって微生物から抽出されたATP(ATPを含むATP抽出液)を、光検出部本体107b上に配置された発光用チューブ107a内に分注するものである。
【0028】
この分注ユニット106は、細管で形成された分注ノズル106aと、分注ノズル106aを3軸方向に移動させるアクチュエーター106bと、分注ノズル106aに所定のフレキシブル配管で接続されたシリンジポンプ106cと、このシリンジポンプ106cを介して分注ノズル106aに滅菌蒸留水等を液体タンク105から供給するための図示しない配管等で構成することができる。
【0029】
図1に示す発光強度測定ユニット107としては、ハウジング6(図3参照)内から分注されたATPを含むATP抽出液を受け入れて発光させるATP発光試薬入りの発光用チューブ107aと、このATPの発光強度を検出する光電子増倍管等を有する光検出部本体107bとを備えるものが挙げられる。
【0030】
図1に示す制御部108は、微生物計数装置10を全体的に統括して制御すると共に、被検出物捕集具1(図3参照)を搭載部102に搭載した後、温水供給部103、吸引ユニット104、分注ユニット106、及び発光強度測定ユニット107を次に説明する手順で制御するように構成されている。このような制御部108は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路等を含んで構成されている。
【0031】
<微生物計数装置の動作及び微生物の計数原理>
次に、制御部108が実行する手順を説明しながら、この微生物計数装置10の動作及び微生物の計数原理について主に図4を参照しながら説明する。図4は、制御部の指令に基づいて微生物計数装置が動作する工程を示すフローチャートである。
【0032】
図1に示す微生物計数装置10では、被検出物捕集具1(図3参照)を搭載部102に搭載した後に図示しない起動スイッチをオンにすることで、制御部108が次の手順を実行する。
【0033】
制御部108は、ヒーター102c(図3参照)に通電するように所定のインバータ等に指令を出力してヒーター102cを発熱させる。つまり、制御部108は、図4に示すように、ヒーター102cで被検出物捕集具1の計数分析用担体5a(図3参照)を昇温させる(ステップS201)。その結果、計数分析用担体5aは、ゾル化することで第1ディッシュ半体4a(図3参照)からハウジング6(図3参照)内の底部に剥落する。
【0034】
次に、制御部108は、温水供給部103(図1参照)に指令を出力して、温水をハウジング6(図3参照)内に注入させる(ステップS202)。その結果、計数分析用担体5a(図3参照)のゾル化が促進されると共に、温水で計数分析用担体5aは希釈される。
【0035】
次に、制御部108は、吸引ユニット104(図1参照)に指令を出力して、吸引ヘッド104a(図3参照)をハウジング6(図3参照)に接続させると共に吸引させて、ハウジング6(図3参照)の内容物をろ過させる(ステップS203)。その結果、計数分析用担体5aに捕集された微生物は、フィルター7(図3参照)で分離して保持されると共に、希釈された計数分析用担体5aは、ろ過されてハウジング6外に排出される。
【0036】
次に、制御部108は、再び温水供給部103に指令を出力して、温水をハウジング6(図3参照)内に分注させる(ステップS204)。その後、再びこの温水をろ過する(ステップS205)。これによりハウジング6内が洗浄され、フィルター7での微生物回収率が向上する。
【0037】
次に、制御部108は、分注ユニット106(図1参照)に指令を出力して、試薬カートリッジ2のATP消去試薬をハウジング6(図3参照)内に分注させる(ステップS206)。その結果、フィルター7上の微生物の細胞外に存在するATPが消去される。
【0038】
次に、制御部108は、吸引ユニット104(図1参照)に指令を出力して吸引させて、ハウジング6(図3参照)の内容物をろ過させる(ステップS207)。その結果、微生物は、フィルター7(図3参照)で分離して保持されると共に、ATP消去試薬はろ過されてハウジング6外に排出される。
【0039】
次に、制御部108は、発光強度測定ユニット107(図1参照)に指令を出力して光検出部本体107b(図1参照)をオンにする(ステップS208)。その結果、予め光検出部本体107bの上方に配置された、ATP発光試薬入りの発光用チューブ107aのバックグラウンドの測定が行われる。
【0040】
次に、制御部108は、分注ユニット106(図1参照)に指令を出力して、試薬カートリッジ2のATP抽出液をハウジング6(図3参照)内に分注させる(ステップS209)。その結果、フィルター7に保持された微生物からATPが抽出されフィルター7上にサンプル液が調製される。
【0041】
次に、制御部108は、分注ユニット106(図1参照)に指令を出力して、ハウジング6内の、ATPを含むATP抽出液を、バックグラウンド測定を行った発光用チューブ107aに分注させる(ステップS210)。その結果、発光用チューブ107a内では、ATP抽出液中のATPと、ATP発光試薬との反応によって発光する。
【0042】
次に、制御部108は、光検出部本体107b(図1参照)がATPの発光を検出して出力した信号をデジタル処理し、単一光子計数法に基づいて発光強度を測定する(ステップS211)。そして、制御部108は、予め記憶しているATP量(amol)と、発光強度(CPS)との関係を示す検量線に基づいて、発光用チューブ107aに分注したATP抽出液に含まれるATP量(amol)を演算すると共に、このATP量(amol)、並びにステップS209で調製したサンプル液中のATP抽出液量に基づいて、担体5に含まれる微生物等量のATP換算値として微生物の計数を行う(ステップS212)。
【0043】
<被検出物捕集具>
本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具1(図2参照)は、空気中の被検出物である微生物を捕集する担体が分割可能に区画配置されていることを主な特徴とする。
この被検出物捕集具1は、空気中の被検出物である微生物を捕集する際には、インパクター型のエアーサンプラー50(図8参照)に配置されて使用され、捕集した微生物を計数する際には、前記した微生物計数装置10に搭載されて使用される。ちなみに、被検出物捕集具1は、後に詳しく説明するように、微生物の捕集の際と、計数の際では、上下(天地)が逆となるようにして使用される。
【0044】
次に参照する図5は、本発明の第1実施形態に係る被検出物捕集具の斜視図である。図6は、図5の被検出物捕集具の分解斜視図であり、(a)は、斜め上方から見下ろした際の分解斜視図、(b)は、斜め下方から見上げた際の分解斜視図である。図7は、図5のVII−VII断面図である。以下の説明において、被検出物捕集具1の上下方向は、図5に示す上下方向を基準とする。
【0045】
図5に示すように、第1実施形態に係る被検出物捕集具1は、その上部が略円筒形状に形成されると共に、その下部が下方に向かって縮径する略円錐形状に形成されている。そして、後に詳しく説明するが、この被検出物捕集具1は、その上部がエアーサンプラー50(図8参照)と係合して微生物を捕集し、その下部が微生物計数装置10(図1参照)と係合して捕集した微生物を、その計数に供するようになっている。
【0046】
なお、図5中、符号3は蓋体であり、符号6はハウジングであり、符号31は後記するエアーサンプラー50(図8参照)と係合する第2係合爪であり、符号62aは微生物計数装置10と係合する第1係合爪である。
【0047】
被検出物捕集具1は、図6(a)及び(b)に示すように、その上方から下方に向かって、蓋体3、捕集ディッシュ4、担体5、ハウジング6、フィルター7、及びフィルター固定リング8の順番で相互に組み付けられて構成されている。
【0048】
蓋体3は、後記するハウジング6の上部開口を塞ぐように配置されるものであり、上方に開口した有底の円筒形状を呈している。そして、蓋体3の周面の上端縁には、前記した第2係合爪31が径方向の外側に延出するように、周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。ちなみに、本実施形態での第2係合爪31は、後記するエアーサンプラー50の凹部53(図8参照)の数に合わせて、3つ形成されている。
【0049】
蓋体3の周面の下端縁には、第3係合爪32が径方向の外側に延出するように、周方向に沿って等間隔に並んで3つ形成されている。この第3係合爪32は、後記するハウジング6の第1L字溝61aに嵌入して、ハウジング6に蓋体3を着脱自在に連結するものである。また、第3係合爪32は、後記する第1カバー体35の第3L字溝35a(図9参照)に嵌入して、第1カバー体35に蓋体3を着脱自在に連結するものでもある。
【0050】
蓋体3の底部の外面は、図6(b)に示すように、下方に突出する複数の条が平行に並ぶ凹凸面で形成されている。この底部の外面(下面)は、次に説明する捕集ディッシュ4(第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4b)の上面と接触するように配置された際に、凹凸面としたことでその接触面積を低減している。この凹凸面は、ハウジング6から蓋体3を取り外した際に、捕集ディッシュ4をハウジング6側に残して、捕集ディッシュ4と離反し易くしている。また、後記するように、エアーサンプラー50(図8参照)で微生物を捕集した後、微生物の計数施設(例えば、微生物計数装置10(図1参照)の配置施設)までこれを必要に応じて保冷して搬送した場合に、稀に、蓋体3と捕集ディッシュ4との間に結露することがあるが、この場合であっても凹凸面は、捕集ディッシュ4と離反し易くしている。なお、この凹凸面は、前記した条に限らず、複数の突起で形成することができるし、例えば、梨地、布目等のシボで形成することもできる。
【0051】
また、蓋体3の底部の外面(下面)には、図6(b)に示すように、下方に突出する円柱状の突起33が形成されている。この突起33の外径は、次に説明する捕集ディッシュ4の貫通孔41(図7参照)の内径よりもやや小さくなっている。また、この突起33の高さは、その貫通孔41の長さと等しくなっている。
【0052】
捕集ディッシュ4は、図6(a)及び(b)に示すように、第1ディッシュ半体4aと、第2ディッシュ半体4bとで形成されている。
これらの第1ディッシュ半体4a、及び第2ディッシュ半体4bは、特許請求の範囲にいう「分割体」に相当する。
第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bは、それぞれ平面視で半円形状を呈しており、これらが相互に組み合わせられることで、捕集ディッシュ4は、平面視で円形状を呈する。
また、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bには、捕集ディッシュ4を形成するように合わせられた際に、その中央部で前記した貫通孔41(図7参照)を形成するように、半円柱状の窪み41a,41bが設けられている。
【0053】
第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bの上面は、図6(a)に示すように、前記した蓋体3の底部の外面と接触可能なように、平坦面となっている。
また、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bの下面には、次に説明する半円盤状の計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bがそれぞれ収容可能なように、担体収容リブ42a,42bが立設されている。
【0054】
ちなみに、捕集ディッシュ4の外径は、後記するハウジング6の下側円筒部62の内径以上、上側円筒部61の内径以下の範囲内で設定されるが、上側円筒部61の内径と略同じに設定するのが望ましい。
【0055】
担体5は、後記するように、エアーサンプラー50(図8参照)に配置されて、エアーサンプラー50が空気を吸引した際の空気流を受けると共に、その空気に同伴する微生物を捕集するものである。
【0056】
この担体5は、前記したように、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bからなり、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bは、担体収容リブ42a,42b内にそれぞれ収容されることで区画配置されることとなる。
そして、計数分析用担体5aと、同定分析用担体5bとからなる担体5は、捕集ディッシュ4の一面側に配置されると共に、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bは、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bごとに分割可能となっている。
この担体5は、常温から昇温することでゲルからゾルに相転移する材料で形成されている。この担体5の材料としては、30℃以上でゾルに相転移するものが望ましく、37〜40℃で液化するものが更に望ましい。中でも、ゼラチン、ゼラチンとグリセロールの混合物、及びN−アクリロイルグリシンアミドとN−メタクリロイル−N´−ビオチニルプロピレンジアミンとの10:1のコポリマーが望ましい。
【0057】
ハウジング6は、図6(a)及び(b)に示すように、その上方から下方に向かって、前記した蓋体3の外径と略同じ内径を有する上側円筒部61と、この上側円筒部61の内径よりも更に縮径した内径を有する下側円筒部62と、この下側円筒部62の内径から徐々に縮径した内径を有する逆円錐形状のロート部64と、このロート部64の最下部に形成される排出開口64aの出口周囲に設けられたフィルター取付部65と、がこの順番に一体となるように構成されている。
【0058】
上側円筒部61の内周面には、前記したように、蓋体3の第3係合爪32が嵌入する第1L字溝61aが内周に沿って、第3係合爪32と対応する位置に3箇所形成されている。
【0059】
下側円筒部62は、棚部63を介して上側円筒部61と接続されている。
この下側円筒部62の外周面には、前記した微生物計数装置10の係合リング102b(図2参照)と係合する第1係合爪62aが形成されている。この第1係合爪62aは、下側円筒部62の径方向の外側に延出するように、周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。ちなみに、本実施形態での第1係合爪62aは、4つ形成されている。
【0060】
ロート部64は、下方に向かって内径が徐々に縮径することで、内容物が最下部の排出開口64a(図6(b)参照)に向かって流下し易くなっている。
【0061】
フィルター取付部65は、排出開口64a(図6(b)参照)の出口を塞ぐように配置されるフィルター7の形状に合わせて、薄い円盤状の空間を形成するフィルター収容部65a(図6(b)参照)と、フィルター固定リング8を支持する円筒形状のリング支持部65bとが一体となって形成されている。
【0062】
リング支持部65bの内周面には、後記するフィルター固定リング8に形成された第4係合爪82aが嵌入する第2L字溝65cが形成されている。この第2L字溝65cは、周方向に沿って等間隔に並んで4つ形成されている。
【0063】
本実施形態でのフィルター7は、メンブレンフィルターであって、前記したように、排出開口64aの出口を塞ぐように、言い換えれば、排出開口64aの外側に配置され、排出開口64a側から順番に、親水性フィルター7aと、疎水性フィルター7bとが重ねられている。
【0064】
親水性フィルター7a、及び疎水性フィルター7bは、市販品を使用することができる。親水性フィルター7aとしては、例えば、MF−ミリポア(日本ミリポア社製)、Durapore(日本ミリポア社製)、Isopore(日本ミリポア社製)等が挙げられる。
疎水性フィルター7bとしては、例えば、マイテックス(日本ミリポア社製)、ポリプロピレンプレフィルター(日本ミリポア社製)等が挙げられる。
これらのフィルター7は、排出開口64aの内径よりも大きい外径のものが使用されることは言うまでもない。
【0065】
フィルター固定リング8は、図6(a)及び(b)に示すように、ハウジング6(ロート部64)にフィルター7を固定するものであって、ロート部64の排出開口64aとフィルター7を介して連通する位置に、貫通孔81を有している。
【0066】
このフィルター固定リング8は、前記したフィルター取付部65のリング支持部65bの内径と略同じ外形のリング本体82と、このリング本体82の下方に形成されて、リング本体82の外径よりも大きい径のフランジ部83と、を備えている。
【0067】
また、フィルター固定リング8は、図6(a)に示すように、リング本体82の上面に一体に形成されて、ハウジング6のフィルター収容部65aの内側に嵌入する嵌入部84と、この嵌入部84での貫通孔81の開口周囲に立設された環状リブ85とを更に備えている。ちなみに、フィルター7は、この環状リブ85によって排出開口64a(図6(b)参照)の出口周囲に押し付けられることとなる。
【0068】
そして、リング本体82の周面には、第4係合爪82aが径方向の外側に延出するように、周方向に沿って等間隔に4つ形成されている。この第4係合爪82aは、前記したリング支持部65bの第2L字溝65cに対応する位置に形成され、第2L字溝65cに嵌入することで、ハウジング6にフィルター固定リング8を着脱自在に連結するものである。
【0069】
以上のような、被検出物捕集具1は、図7に示すように、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bが相互に組み合わせられて円盤状の捕集ディッシュ4が形成されると共に、ハウジング6の前記した棚部63の上に、捕集ディッシュ4が載置され、ハウジング6と蓋体3とは、この捕集ディッシュ4を介在させて、前記した第1L字溝61a及び第3係合爪32によって連結される。この際、捕集ディッシュ4の貫通孔41は、蓋体3の突起33で封止されることとなる。
なお、ハウジング6と蓋体3とは、ハウジング6と蓋体3を相対的に回転させて第1L字溝61aから第3係合爪32を抜き出すことで、その連結を解くことができる。
【0070】
そして、フィルター7が、ロート部64の排出開口64aの出口を塞ぐように、フィルター収容部65aに配置されると共に、フィルター取付部65、及びフィルター固定リング8が、前記した第2L字溝65c及び第4係合爪82aによって連結されることで、ロート部64の排出開口64aと、フィルター固定リング8の貫通孔81は、フィルター7を介して連通し合う。この際、フィルター7は、前記したように、フィルター固定リング8の環状リブ85によって排出開口64aの出口周囲に押し付けられて強固に固定される。
【0071】
このような被検出物捕集具1では、図7に示すように、蓋体3の突起33が貫通孔41を封止する。また、ロート部64の排出開口64aの出口は、微生物を分離するフィルター7で塞がれている。その結果、内部空間66は、少なくとも微生物については外部環境と隔てられた空間(閉鎖空間)となる。そして、第1ディッシュ半体4aに保持された計数分析用担体5a、及び第2ディッシュ半体4bに保持された同定分析用担体5bは、この閉鎖空間内に配置されることとなる。
以上のような、被検出物捕集具1は、フィルター7を除いて成形可能な樹脂で形成することができる。中でもポリプロピレンが望ましい。
【0072】
<被検出物捕集具の使用方法>
次に、第1実施形態に係る被検出物捕集具1の使用方法について説明する。
ここでは、まず被検出物捕集具1で微生物を捕集する方法について説明する。次に参照する図8は、本発明の被検出物捕集具で微生物を捕集する方法を説明するための斜視図、図9は、本実施形態に係る被検出物捕集具において、担体を分割する様子を示す斜視図である。
【0073】
被検出物捕集具1(図7参照)を使用して空気中の微生物を捕集する際には、図8に示すように、計数分析用担体5aを保持した第1ディッシュ半体4aと、同定分析用担体5bを保持した第2ディッシュ半体4bとが相互に組み合わせられて捕集ディッシュ4が形成され、この捕集ディッシュ4が蓋体3上に載置されたものが使用される。つまり、図7に示す被検出物捕集具1において、上下を逆にし、蓋体3側に第1ディッシュ半体4a、及び第2ディッシュ半体4bを残したままで、ハウジング6及びフィルター固定リング8を取り外したものが使用される。ちなみに、蓋体3からのハウジング6の取り外しは、次に説明するように、エアーサンプラー50の台座52に蓋体3を位置決めして配置した後、前記したように、ハウジング6と蓋体3を相対的に回転させて第1L字溝61a(図6(a)参照)から第3係合爪32(図6(a)参照)を抜き出すことでその連結を解いて行う。
【0074】
この被検出物捕集具1は、エアーサンプラー50の本体部51の上方に形成された平面視で円形の台座52に載置される。なお、台座52には、前記したように、蓋体3の第2係合爪31を受け入れる凹部53が形成されており、被検出物捕集具1は、台座52の中央部に位置決めされるようになっている。
【0075】
ちなみに、図8中、符号54は、本体部51の吸引口であり、符号55はエアーサンプラー50のノズルヘッド、符号55aは、ノズルヘッド55内に配置されるノズルである。このノズル55aは、円盤状プレートに複数の微細なノズル孔が形成されたものである。
【0076】
つまり、この微生物を捕集する方法では、図8に示すように、ハウジング6及びフィルター固定リング8が一体で取り外されて、担体5が露出した被検出物捕集具1が台座52に載置され、この台座52を覆うようにノズルヘッド55が配置される。
【0077】
そして、本体部51内に配置された図示しないファンが駆動して、吸引口54から空気が吸引されると、ノズルヘッド55内に設けられたノズル55aの複数のノズル孔から空気流が担体5に噴射される。その結果、担体5に噴射された空気に同伴する微生物は、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bに捕集されることとなる。つまり、担体5を上方に向けて微生物の捕集操作が行われる。
【0078】
この際、図8に示すように、蓋体3の突起33によって、捕集ディッシュ4の貫通孔41(図7参照)が封止されているので、捕集ディッシュ4の担体5側の面は、面一となって、受ける空気流の乱れが抑制される。その結果、担体5は、効率よく微生物を捕集することができる。
エアーサンプラー50が予め定められた空気量を吸引すると、この被検出物捕集具1による微生物の捕集工程は終了する。
この捕集工程が終了すると、再び、ハウジング6及びフィルター固定リング8が一体で蓋体3に取り付けられて、図7に示す被検出物捕集具1の状態に再び戻る。
【0079】
次に、捕集した微生物を計数する微生物計数装置10内での被検出物捕集具1の使用方法について説明する。
前記した捕集工程が終了して、図7に示す状態に再び戻った被検出物捕集具1は、そのままの状態で微生物計数装置10(図1参照)の設置場所までユーザーによって搬送される。
次いで、ユーザーにより蓋体3からハウジング6が取り外される。
計数分析用担体5aを保持した第1ディッシュ半体4aは、図9に示すように、蓋体3から取り外された後、図3に示すように、ハウジング6と共に搭載部102に配置される。
その一方で、図9に示すように、同定分析用担体5bを保持した第2ディッシュ半体4bが残された蓋体3には、第1カバー体35が同定分析用担体5bを覆うように取り付けられる。
第1カバー体35は、有底円筒形状を呈していると共に、ハウジング6の上側円筒部61(図6(a)参照)と略同じ内径を有する開口の内周面に、第3L字溝35aが形成されている。この第3L字溝35aは、ハウジング6の第1L字溝61a(図6(a)参照)と同様に構造で形成されている。
そして、第1カバー体35の第3L字溝35aに、蓋体3の第3係合爪32が嵌り込むことによって、第1カバー体35と蓋体3とは連結することとなる。その結果、第1カバー体35は、同定分析用担体5bを蓋体3との間で封止する。
ちなみに、この同定分析用担体5bは、微生物の種類を特定するために同定分析に供される。なお、この計数分析は、特許請求の範囲にいう「被検出物の第1の検出操作」に相当し、同定分析は、特許請求の範囲にいう「被検出物の第2の検出操作」に相当する。
【0080】
次に、捕集した微生物を計数する微生物計数装置10内での被検出物捕集具1の使用方法について説明する。
次に参照する図10(a−1)から(a−4)は、微生物計数装置内での被検出物捕集具の使用方法について説明するための被検出物捕集具の断面図、図10(b−1)から(b−4)は、図10(a−1)から(a−4)に対応する場面でのフィルター近傍の様子を拡大して示す模式図である。
なお、図10(b−1)から(b−4)中、符号Bで示される微生物は、実際には、マイクロメーターサイズであり、ATPは、実際には分子レベルの大きさであって、図10(b−1)から(b−4)は、これらの相対的な大きさを示すものではない。
【0081】
前記したステップS201(図4参照)で担体5が昇温されると、図10(a−1)に示すように、第1ディッシュ半体4aに保持された計数分析用担体5aは、ゾル化してハウジング6のロート部64に剥落する。この際、図10(b−1)に示すように、エアーサンプラー50(図8参照)で捕集された微生物Bは、フィルター7上で計数分析用担体5aと共に滞留する。
【0082】
次に、前記したステップS202(図4参照)でハウジング6内に温水HWが注入されると、計数分析用担体5aのゾル化がさらに促進されると共に、温水で希釈される。この際、フィルター7は、図10(a−2)に示すように、その下側が疎水性フィルター7bで構成されているので、計数分析用担体5aを希釈して含む温水HWは、ハウジング6内に滞留する。そして、微生物Bは、フィルター7上で温水HWと共に滞留する。なお、図10(a−2)中、符号4aは、第1ディッシュ半体であり、符号64はロート部である(以下の図中、この符号について同じ)。
【0083】
次に、前記したステップS203(図4参照)で、ハウジング6内の内容物がろ過されると、ハウジング6内の温水HW(図10(a−2)参照)は、図10(a−3)に示すように、排出される。この際、温水HW中の微生物Bは、図10(b−3)に示すように、フィルター7で分離して保持される。
【0084】
ちなみに、本実施形態でのフィルター7は、図10(b−3)に示すように、親水性フィルター7aと疎水性フィルター7bの二重構造になっているために、従来のATP法で使用される親水性フィルターのみのフィルターで形成されたものと異なって、疎水性フィルター7bの作用により、吸引または加圧ろ過をしない限り、上部に液体を保持することができるので、ATP抽出などの試薬反応処理をフィルター7上で行うことができる。
【0085】
そして、前記したステップS206(図4参照)で、ハウジング6内にATP消去試薬を分注した後に、前記したステップS209(図4参照)で、ハウジング6内にATP抽出試薬が分注される。
これらの試薬の分注工程は、特許請求の範囲にいう「前記試薬を前記ハウジング内に注入する第4工程」に相当する。
【0086】
そして、前記したステップS209(図4参照)で、ATP抽出試薬が注入されたハウジング6内には、図10(a−4)に示すように、ATP抽出液EXが滞留することとなる。この際、図10(b−4)に示すように、ATP抽出液EXには、微生物Bの数に対応した量で、ATPが存在することとなる。
【0087】
そして、前記したステップS210(図4参照)で、図10(b−4)に示すATP抽出液EXが発光用チューブ107a(図1参照)に分注される。その後、前記したステップS211及びステップS212(図4参照)を経て微生物が計数される。
また、計数分析用担体5aにおける微生物の存在が確認されると、図9に示す蓋体3側に残された第2ディッシュ半体4bに保持された同定分析用担体5bが同定分析に供されることで微生物の種類が特定される。
【0088】
以上のような被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、計数分析用担体5aと、同定分析用担体5bとからなる担体5は、捕集ディッシュ4の一面側に配置されているので、捕集ディッシュ4がエアーサンプラー50(図8参照)に配置されて、エアーサンプラー50が吸引した際の空気流を担体5が受ける際に、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bには、単位面積(露出面積)当りの微生物数が互いに略均等となるように微生物を捕集することができる。
【0089】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、担体5が、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bとして分割可能に区画配置されているので、担体5が一体となったものと異なって、微生物を捕集した後の担体5を切り分けて、それを秤量する必要がない。したがって、この被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、切分け操作を行う際や秤量する際に、外乱要因となる物質が担体5に混入するのを防止することができる。その結果、この被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、微生物を捕集した後の担体5を、例えば被検出物の定量分析や定性分析のように複数の分析に供する際に、より正確にそれらの分析を行うことができる。
【0090】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、担体5を上方に向けて微生物の捕集操作を行った後、担体5を下方に向けて試薬を微生物と接触させることになる。
したがって、この被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、担体5を上方に向けることで、微生物の捕集が容易になると共に、試薬を微生物と接触させる際、つまり微生物を検出する際には、担体5を下方に向けることで、捕集ディッシュ4が担体5の蓋として機能する。その結果、例えば、上方から落下する埃や細菌等によって担体5が汚染されることが防止される。
【0091】
また、被検出物捕集具1をエアーサンプラー50に取り付ける前、及びエアーサンプラー50で微生物を捕集した後にこれを微生物計数装置10内に搬送する前までの間に、担体5は、ハウジング6内の閉鎖空間内に配置されることとなるので、従来の担体が露出した捕集具(例えば、特許文献1参照)と異なって、担体5が微生物の計数の外乱要因となる物質で汚染されるのを防止することができる。
その結果、この被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、検査場所で捕集した微生物を、より正確に計数することができる。
【0092】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、ハウジング6の内容物を排出する排出開口64aを有し、この排出開口64aに、微生物を分離し保持するフィルターが配置されているので、微生物と試薬Rとをハウジング6内で接触させることができる。その結果、従来の捕集具(例えば、特許文献1参照)のように、捕集具から取り出した微生物に試薬を接触させて微生物を計数するものと異なって、微生物の計数の外乱要因が飛躍的に減少する。
【0093】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、フィルター7は、親水性フィルター7aと疎水性フィルター7bの二重構造になっているために、従来のATP法で使用される親水性フィルターのみのフィルターで形成され、回収した微生物に対する試薬反応処理をフィルター7上で実施することができる。
【0094】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、蓋体3は、エアーサンプラー50に係合する第2係合爪31を、ハウジング6の反対側に備えており、図5に示すように、蓋体3と、ハウジング6とが一体となった状態でハウジング6側を手指で把持し、図8に示すように、エアーサンプラー50に蓋体3を配置した後、蓋体3からハウジング6を取り外すことで、担体5を露出させることができる。つまり、担体5を露出させる際に、担体5を保持する捕集ディッシュ4に手指が触れることが避けられる。したがって、この被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、担体5が微生物の計数の外乱要因となる物質で汚染されるのを、より確実に防止することができる。
【0095】
また、被検出物捕集具1及びその使用方法によれば、搭載部102に配置されて、ユーザーによりハウジング6から蓋体3が取り外された際に、捕集ディッシュ4の第1ディッシュ半体4aは上下(天地)が逆になって計数分析用担体5aが内部空間66側を向いているので、計数分析用担体5aの汚染を、より確実に防止することができる。
【0096】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、捕集ディッシュ4を、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bからなる2つの分割体で構成したが、3以上の分割体で捕集ディッシュ4が構成されるものであってもよい。
【0097】
また、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4b同士は、組み合わせられて捕集ディッシュ4を形成する際に、相互に係合する係合手段を有するものであってもよい。次に参照する図11は、捕集ディッシュの変形例の構成を説明するための捕集ディッシュの分解平面図である。
【0098】
図11に示すように、この捕集ディッシュ4においては、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4b同士は、互いに嵌り合う係合凸部45bと、係合凹部45aとからなる係合手段45を、担体収容リブ42a,42bを避けた周縁部に有している。
このような係合手段45を有する捕集ディッシュ40は、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bを、ハウジング6(図7参照)内やエアーサンプラー50のノズルヘッド55(図8参照)内で、より安定して配置することができる。また、係合手段45を有する捕集ディッシュ40は、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4b同士を一体にすることができるので、持ち運びに便利である。
この係合手段45は、第1ディッシュ半体4a及び第2ディッシュ半体4bと一体に設けられたものに限定されず、例えばクリップのように別体で設けられたものであってもよい。
【0099】
また、前記実施形態では、微生物計数装置10を使用して微生物の計数分析を行う際に、同定分析用担体5bを保持した第2ディッシュ半体4bをハウジング6から取り外してから搭載部102に配置しているが、同定分析用担体5bを保持した第2ディッシュ半体4bを取り外さずに、同定分析用担体5bをも計数分析に供してもよい。この際、試薬R等は、貫通孔41を介してハウジング6内に分注される。
また、計数分析用担体5a及び同定分析用担体5bの両方を、同定分析に供してもよいことは言うまでもない。
【0100】
また、前記実施形態では、計数分析を行って計数分析用担体5aに微生物が存在することを確認してから、同定分析用担体5bについて同定分析を行っているが、計数分析と並行して同定分析を行うこともできる。
【0101】
また、前記実施形態では、被検出物捕集具1で捕集した微生物を微生物計数装置10で計数することを想定しているが、本発明は微生物計数装置10に組み込まずに、手作業で試薬Rをハウジング内に分注してATP法により微生物を計数するものであってもよい。
【0102】
また、本発明は、枯草菌等の芽胞形成菌に適用してもよく、この場合には、前記した試薬にアミノ酸、糖等の栄養形細胞変換試薬を含めることができる。
【0103】
また、前記実施形態では、ATP法によって微生物の計数を行っているが、本発明は、微生物から抽出したDNA、RNA、NAD等の生体内物質に励起光を照射して生じさせた蛍光に基づいて微生物の計数を行ってもよい。
【0104】
また、被検出物捕集具1でグラム陰性桿菌を捕集してこれを計数する場合には、その細胞膜に含まれるエンドトキシンを指標とし、エンドトキシンにリムルスを反応させた際の発光強度に基づいて細菌数を計数してもよい。
【0105】
また、フィルター7から微生物を回収し、培養にまわして計数してもよい。
【0106】
また、前記実施形態では、捕集ディッシュ4を複数に分割することによって、担体5を複数に分割可能に区画配置する構成としているが、担体5を複数に区画配置することができれば前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、次の第2実施形態の構成であってもよい。
【0107】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る被検出物捕集具について説明する。
なお、本実施形態に係る被検出物捕集具を搭載する微生物計数装置、及びその微生物計数装置における微生物の計数原理については、第1実施形態と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0108】
<被検出物捕集具>
次に参照する図12は、本発明の第2実施形態に係る被検出物捕集具の分解斜視図であり、(a)は、斜め上方から見下ろした際の分解斜視図、(b)は、斜め下方から見上げた際の分解斜視図である。図13は、図5のVII−VII断面に対応する断面における、第2実施形態に係る被検出物捕集具の断面図である。図14は、本発明の第2実施形態に係る被検出物捕集具において、担体を分割する様子を示す斜視図である。
なお、第2実施形態においては、前記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図12(a)及び(b)に示すように、被検出物捕集具11は、計数分析用担体5aを備える捕集ディッシュ40と、同定分析用担体5bを備える蓋体30とを備えている以外は、第1実施形態に係る被検出物捕集具1(図6(a)及び(b)参照)と同様のハウジング6、フィルター7、及びフィルター固定リング8を備えているので、以下では、主に蓋体30及び捕集ディッシュ40について説明する。
【0109】
蓋体30は、前記第1実施形態における蓋体3の底部の外面に形成された突起33(図6(a)及び(b)参照)の代わりに、その外面には、環状の担体収容リブ34が立設されている。この担体収容リブ34の外径は、次に説明する捕集ディッシュ40の貫通孔44の内径よりもやや小さくなっている。また、この担体収容リブ34の高さは、その貫通孔44の長さと等しくなっている。
図12(a)及び(b)に示す蓋体30において、符号31は、図8に示すエアーサンプラー50の凹部53と係合する第2係合爪であり、符号32は、ハウジング6の第1L字溝61aに嵌入する第3係合爪である。
【0110】
捕集ディッシュ40は、図12(a)及び(b)に示すように、円盤形状を呈している。この捕集ディッシュ40の中央部には、この捕集ディッシュ40を下面側から上面側に貫通する貫通孔44が形成されている。この捕集ディッシュ40の下面側は、特許請求の範囲にいう「一面側」に相当し、捕集ディッシュ40の上面側は、特許請求の範囲にいう「他面側」に相当する。
【0111】
この捕集ディッシュ40の上面は、図12(a)に示すように、前記した蓋体30の底部の外面と接触可能なように、平坦面となっている。
また、捕集ディッシュ40の下面には、貫通孔44の周りで、内外二重の環状の担体収容リブ43a,43bが立設されている。
【0112】
本実施形態での担体5は、前記したように、蓋体30の担体収容リブ34に収容される同定分析用担体5bと、捕集ディッシュ40の内外二重の環状の担体収容リブ43a,43bの間に収容される計数分析用担体5aとで構成されている。ここでの同定分析用担体5bは、特許請求の範囲にいう「別の担体」に相当する。
同定分析用担体5bは、担体収容リブ34内の空間形状に合わせて円柱状に形成されている。計数分析用担体5aは、担体収容リブ43a,43bの間の空間形状に合わせて環状に形成されている。
なお、図12(a)及び(b)中、符号7は、親水性フィルター7a、及び疎水性フィルター7bからなるフィルターであり、符号8は、フィルター固定リングであり、符号63は、棚部であり、符号64aは、ロート部64の排出開口である。
【0113】
以上のような、被検出物捕集具11は、図13に示すように、ハウジング6の前記した棚部63の上に、捕集ディッシュ40が載置され、ハウジング6と蓋体30とは、この捕集ディッシュ4を介在させて、前記した第1L字溝61a及び第3係合爪32によって連結される。この際、捕集ディッシュ40の貫通孔44は、蓋体30の担体収容リブ34、及びこれに収容された同定分析用担体5bで封止されることとなる。
つまり、捕集ディッシュ40の貫通孔44に、蓋体30の担体収容リブ34が嵌入されることで、担体収容リブ34内に収容される同定分析用担体5bは、捕集ディッシュ40の下面側(一面側)に臨むこととなる。
【0114】
そして、図13に示す被検出物捕集具11は、前記第1実施形態に係る被検出物捕集具1(図7参照)と同様に、ロート部64の排出開口64aの出口が、微生物を分離するフィルター7(親水性フィルター7a及び疎水性フィルター7b)で塞がれている。その結果、内部空間66は、少なくとも微生物については外部環境と隔てられた空間(閉鎖空間)となる。そして、第1ディッシュ半体4aに保持された計数分析用担体5a、及び第2ディッシュ半体4bに保持された同定分析用担体5bは、この閉鎖空間内に配置されることとなる。
なお、図13中、符号8は、フィルター固定リングである。
【0115】
<被検出物捕集具の使用方法>
次に、被検出物捕集具11で微生物を捕集する方法について説明する。
被検出物捕集具11を使用して空気中の微生物を捕集する際には、第1実施形態に係る図8を参照して説明すると、蓋体3上に載置された第1ディッシュ半体4a及び計数分析用担体5a、並びに第2ディッシュ半体4b及び同定分析用担体5bに代えて、図13中の蓋体30に組み付けられた捕集ディッシュ40、並びに計数分析用担体5a及び同定分析用担体5bからなる組立体が、エアーサンプラー50の台座52に載置される。
そして、前記第1実施形態と同様にして、計数分析用担体5a、及び同定分析用担体5bに微生物が捕集されることとなる。
【0116】
この際、図8に示す蓋体3の突起33が捕集ディッシュ4の貫通孔41(図7参照)を封止するのと同様に、図13に示す蓋体30の担体収容リブ34及び同定分析用担体5bが、捕集ディッシュ40の貫通孔44を封止しているので、計数分析用担体5a及び同定分析用担体5bは、面一となって、受ける空気流の乱れが抑制される。その結果、計数分析用担体5a及び同定分析用担体5bは、効率よく微生物を捕集することができる。
前記した捕集工程が終了して、図13に示す状態に再び戻った被検出物捕集具11は、そのままの状態で微生物計数装置10の設置場所までユーザーによって搬送される(図2参照)。
次いで、ユーザーにより蓋体30からハウジング6が取り外される。
図14に示すように、計数分析用担体5aを保持した捕集ディッシュ40は、蓋体30から取り外された後、第1実施形態に係る図3を代用して示すように、ハウジング6及び第1ディッシュ半体4aと同様に、ハウジング6と共に搭載部102に配置される。そして、計数分析用担体5aは、前記実施形態と同様に、微生物の計数分析に供される。
その一方で、図14に示すように、同定分析用担体5bを保持する担体収容リブ34には、第2カバー体36が同定分析用担体5bを覆うように取り付けられる。
第2カバー体36は、有底円筒形状を呈していると共に、その内径は、担体収容リブ34と嵌合可能な内径となっている。この同定分析用担体5bは、微生物の計数分析で微生物の存在が確認された際に、その微生物の種類を特定するために同定分析に供される。
なお、この第2カバー体36に代えて、又はこの第2カバー体36と併用して前記実施形態での第1カバー体35(図9参照)を使用することができる。
【0117】
以上のような被検出物捕集具11及びその使用方法によれば、第1実施形態に係る被検出物捕集具1及びその使用方法と同様の効果を奏することができると共に、次のような効果を奏することもできる。
この被検出物捕集具11及びその使用方法によれば、捕集ディッシュ40は、その貫通孔44に蓋体30の担体収容リブ34が嵌合した状態で、ハウジング6内やエアーサンプラー50のノズルヘッド55内に配置される。その結果、捕集ディッシュ40は、ハウジング6内やノズルヘッド55内で、より安定して配置することができる。
この被検出物捕集具11及びその使用方法によれば、微生物計数装置10を使用して微生物に試薬Rを接触させる際に、捕集ディッシュ40の貫通孔44を介してハウジング6内に試薬Rを分注するので、ハウジング6内とその外部との連通が貫通孔44の大きさに止められる。その結果、ハウジング6内が微生物の計数の外乱要因となる物質で汚染されるのを防止することができる。
【0118】
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、一つの捕集ディッシュ40を備えているが、捕集ディッシュ40を第1実施形態での捕集ディッシュ4と同様に、複数に分割可能な捕集ディッシュ40とすることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 被検出物捕集具
3 蓋体
4 捕集ディッシュ
4a 第1ディッシュ半体
4b 第2ディッシュ半体
5 担体
5a 計数分析用担体
5b 同定分析用担体
6 ハウジング
7 フィルター
7a 親水性フィルター
7b 疎水性フィルター
8 フィルター固定リング
11 被検出物捕集具
30 蓋体
33 突起
34 担体収容リブ
40 捕集ディッシュ
41 貫通孔
42a 担体収容リブ
43a 担体収容リブ
44 貫通孔
45 係合手段
45a 係合凹部
45b 係合凸部
64 ロート部
64a 排出開口
65 フィルター取付部
65a フィルター収容部
65b リング支持部
66 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物を捕集する担体が複数に分割可能に区画配置され、
前記担体を保持する捕集ディッシュを備え、
前記担体は前記捕集ディッシュの一面側に配置されていることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項2】
請求項1に記載の被検出物捕集具において、
前記捕集ディッシュは、複数の分割体が組み合わせられて構成され、
前記担体は、前記分割体のそれぞれに保持されていることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項3】
請求項2に記載の被検出物捕集具において、
前記担体を覆うように前記捕集ディッシュに対して配置されるハウジングを更に備え、
前記捕集ディッシュは、前記一面側と他面側とを繋ぐ貫通孔を有し、
前記捕集ディッシュの前記貫通孔は、前記一面側と前記ハウジングとの間に形成される空間と、外部とを繋いでいることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項4】
請求項3に記載の被検出物捕集具において、
前記ハウジングは、前記空間の内容物を前記ハウジング外に排出する排出開口を有し、前記排出開口の外側には、前記被検出物を分離するフィルターが配置されていることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項5】
請求項1に記載の被検出物捕集具において、
前記担体を保持する捕集ディッシュを備え、
前記捕集ディッシュは、一面側と他面側とを繋ぐ貫通孔を有し、
前記捕集ディッシュは、前記一面側に前記担体を保持すると共に、
前記捕集ディッシュの前記貫通孔には、前記担体と分割可能に別の担体が前記一面側に臨むように嵌入されていることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項6】
請求項5に記載の被検出物捕集具において、
前記担体と前記別の担体とを覆うように前記捕集ディッシュに対して配置されるハウジングを更に備え、
前記別の担体を取り除いて現れる前記捕集ディッシュの前記貫通孔は、前記一面側と前記ハウジングとの間に形成される空間と、外部とを繋いでいることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項7】
請求項6に記載の被検出物捕集具において、
前記ハウジングは、前記空間の内容物を前記ハウジング外に排出する排出開口を有し、前記排出開口の外側には、前記被検出物を分離するフィルターが配置されていることを特徴とする被検出物捕集具。
【請求項8】
被検出物を捕集する担体が複数に分割可能に区画配置されている被検出物捕集具の使用方法であって、
捕集ディッシュの一面側に配置されている前記担体で前記被検出物の捕集を行った後、
前記区画に応じて前記担体を分割し、
分割した前記担体のうちの一部を、前記被検出物の第1の検出操作に供し、分割した前記担体のうちの残りを、前記被検出物の第2の検出操作に供することを特徴とする被検出物捕集具の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−5809(P2013−5809A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194631(P2012−194631)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2010−65533(P2010−65533)の分割
【原出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】