説明

被検査物体バーコード読取り装置および読取り方法

【課題】搬送用ラックに搭載されて搬送される円筒形の被検査物に貼付されたバーコードを確実に読み取れるようにする。
【解決手段】搬送装置11で搬送される被検査物8の一方側に、第1の光学系となる計測筒筐体1の下方の開口3を配置すると共に、計測筒筐体1の上方の開口5を前記バーコードリーダ7に対向させて配置し、かつ搬送装置11で搬送される被検査物8の他方側に、第2の光学系となる計測筒筐体2の下方の開口4を対向するように配置すると共に、計測筒筐体2の上方の開口6を前記バーコードリーダ7に対向させて配置して、装置を構成する。搬送装置11で搬送されてきた被検査物8に対して、バーコードリーダ7から計測用レーザ光を投光、受光し、第1及び第2の光学系を経由して被検査物8のバーコード9のデータを読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物体上に付されたバーコードを読み取る被検査物体バーコード読取り装置および読取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にベルトコンベアなどで被検査物体を搬送する場合、被検査物体に搬送先や付属情報を記録したバーコードを貼付する場合がある。こういったバーコードは作業員による読取操作にも使われるが、大量、高速の処理を目的として自動化ラインに使われることも多い。
【0003】
例えば、被検査物体が臨床検査における血液や尿などの検体である場合は、多種の項目別、用途別に検査を行うため、開栓装置や分注装置、分析装置、回収装置など複数の装置が使用される。
【0004】
以下、検体を例として説明する。
【0005】
これらの装置やあるいは装置の間で検体を移動する搬送装置には、検体やこれを収納して移動するラックに、それぞれバーコードを貼付し、これらのバーコードをレーザ光で読むため、搬送装置の近傍に配置するバーコードリーダが使われている。このバーコードリーダは、レーザスキャン方式のものが用いられ、板面状に放射するレーザ光を左右にスキャンしながら、計測領域内にあるバーコードを読むことを行う。一般的には一往復する間に複数回の読み込みを行い、一定回数以上読み込めれば計測完了となる。
【0006】
しかしながら、検体に付された実際のバーコードは、位置ズレや汚れなどがあり、これだけでは読取り成功率が低いため、バーコードでの読取の改善のため、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4といった提案がされている。
【0007】
特許文献1では、バーコードの読取に失敗した場合の再読込みについて述べられている。従来は固定されたバーコードリーダで読み込んでおり、失敗した場合は最初からラック投入を繰り返すなどの方法で対応していた。
【0008】
その他、搬送容器であるラック又は検体、バーコードリーダを移動させて、読み取り率を上げることも提案されている。特許文献2ではラックの移動速度に合わせてバーコードを回転して追従させるもの、また特許文献3ではバーコードリーダ自体が移動する機構、さらに特許文献4では検体を持ち上げ、回転させてリーダーの前へ方向を合わせる機構が提案されている。
【0009】
特許文献5には、レーザ光源と、このレーザ光源から出射したレーザ光をこのレーザ光を基準として−θから+(θ+θ)の走査角の範囲内で走査する走査装置と、この走査装置で走査される走査光を装置外部に透過するカウンタ面に略垂直な窓と、(−θ〜+θ1)の範囲の走査角内で生成される走査光を分割し前記レーザ光を中心として略対称となる複数の走査鏡を前記窓から出射するために配置された第一の複数の固定走査線と、+θ1〜+θの範囲の走査角内で生成される走査光を分割し、ここで生成された走査鏡を前記窓からチェックアウトカウンタに向けて出射するために配置された第二の複数の固定走査線とよりなるバーコード読取装置が記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−294766号公報
【特許文献2】特開2002−150217号公報
【特許文献3】特開2002−352187号公報
【特許文献4】特開2000−81439号公報
【特許文献5】特開平11−7488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的に、被検査物体である検体は各地の病院や診療所で採取された血液や尿を試験管に詰めたもので、識別、管理用にバーコードが貼られ、このバーコードで検査結果などを管理している。検体を収容したラックは、搬送装置に投入され、検体やラックのバーコードをバーコードリーダで読み込み、その後それぞれの処理装置に運ばれる。
【0012】
バーコードにはいくつか種類があり、一般的には各採取場所(病院等)で検体に貼られる。また、検体をラックに搭載するのも大部分は人手による。従って検体のバーコードがどの方向に向くかはほとんどランダムであり、そのまま検体を収容したラックをバーコードリーダの前に置いても読めないことが多い。そのため、しばしば手作業でラックに収容された検体の方向を揃え、バーコードリーダで読み込ませることが行われる。これが自動化の障害の一つになっていた。
【0013】
また、向きが正しくてもバーコードの一部が汚れていて、特定の方向からは読み取ることができない場合がある。
【0014】
本発明の目的は、このようにバーコードの向きが揃えられていなかったり、一部が汚れていたりしても安定してバーコードのデータを読み込める被検査物体バーコード読取り装置および読取り方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の目的を達成するために、バーコードの複数箇所を同時に観察、計測できるように検体の周囲にミラーなどの反射体からなる1組の光学系を設置し、光路を一方向にそろえるものであって、揃えられた光路は端部に設置したバーコードリーダの集光窓に交わるように調整されている。もう一方の端部は検査対象物上のバーコードに正対するように取り付けられている。
【0016】
光学系のバーコードリーダ側の端部は上下に並べる方法と左右に並べる方法の2つがある。
【0017】
本発明は、具体的にはバーコードを付けた被検査物を搬送装置にて搬送し、前記搬送装置の近傍にバーコードを読み取るレーザスキャン式のバーコードリーダを配置した被検査物バーコード読取り装置において、前記搬送装置で搬送される前記被検査物の一方側に、前記バーコードリーダに対向して開口する一方の開口部と前記バーコードに対向して開口する他方の開口部とおよび内部にミラーとを備えた第1の計測筒体部を有し、前記バーコードリーダから照射されたスキャンレーザ光が前記一方の開口部、前記ミラーおよび前記他方の開口部を介して前記バーコードから反射されるようにされた第1の光学系と、前記被検査物の他方側に、前記バーコードリーダに対向して開口する一方の開口部と前記バーコードに対向して開口する他方の開口部およびに内部にミラーとを備えた第二の計測筒体部を有し、前記バーコードリーダから照射されたスキャンレーザ光が前記スキャンレーザ光の延長方向から前記一方の開口部、前記ミラーおよび前記他方の開口部を介して前記バーコードから反射されるようにされた第二の光学系と、よりなる被検査物バーコード読取り装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、バーコードを付けた被検査物を搬送装置にて搬送し、前記搬送装置の近傍に配置したレーザスキャン式のバーコードリーダによってバーコードを読み取る被検査物バーコード読み取り方法において、前記搬送装置で搬送される前記被検査物の一方側に設けた第一の光学系によって前記バーコードに照射されたスキャンレーザ光を読み取り、第一の光学系のスキャンレーザ光の延長方向からスキャンレーザ光を照射するようにした他方側に設けた第二の光学系によって前記バーコードに照射されたスキャンレーザ光を読み取るようにした被検査物のバーコード読取り方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の被検査物体バーコード読取り装置によれば、被検査物上のバーコードの貼り付け方向に関わらず、そのデータを読み取ることが出来、検体をラックに搭載する際に整列させたりする必要がなくなる。また、搬送装置においてバーコードが読めない不良が減り、作業の効率が上昇する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記の被検査物バーコード読取り装置は、前記第1および第2の光学系について、前記バーコードに照射される前記スキャンレーザ光が前記バーコードに対する水平な光軸に対して所定の角度に傾くようにして形成されるようにされる。
【0021】
また、前記第一の計測筒体部の前記他方の開口部および前記第二の計測筒体部の前記他方の開口部を横方向に、もしくは上方方向に並置される。
【0022】
上記の本読取り装置を搬送ライン上に設置し、ワーク搬送コンベアにて検体ラックを搬送する。このラックが読取り装置の計測位置に着いたら、ラック到着センサにて到着を感知し、計測光を照射しバーコードを読み込むことを行う。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を被検査物体が医療用の検体の例で図面に基づいて説明する。図1は光学系を左右に配置した場合の被検査物体バーコード読取り装置全体を上方から俯瞰したものである。また、図2、図3は装置本体を上方及び左方から透視したものである。
【0024】
図1において、搬送装置11のコンベア14上にラック10が載置され、搬送されてくる。ラック10には1つもしくは複数の(図では5つ)の検体8が収納されており、本例の場合検体10には円筒状をなし、その表面にバーコード9が付けられている。各検体に付けられたバーコード9は任意の方向に配置している。搬送装置11の1部にはラック到着センサ13が設けてあり、搬送装置11の近傍には、検体8が通過できるように空間の形成された計測筒筐体が設けてある。この計測筒筐体は、計測筒筐体(計測筒体部)1と計測筒筐体2とからなる。これらを一体のものとしてそれぞれの部分を計測筒筐体と称することができる。
【0025】
計測筒筐体に近接してバーコードリーダが水平方向に対してθ傾けて設けてある。
【0026】
図2に計測筒筐体を含む光学系構成の詳細を示す。この図において、検体8の一方側、すなわち左側に第一の計測筒筐体1が、そして、検体8の他方側、すなわち右側に第二の計測筒筐体2が配置され、一体化されている。第一の計測筒筐体1と第二の計測筒筐体2との間には空間部20が形成され、該空間部20を検体8が通過することができる。
【0027】
第一の計測筒筐体1は、横方向(水平方向)に開口する下開口3および上開口5を備え、下開口3は検体8の左側において検体8の表面に対向し、上開口5は横方向に長い筒部によって検体8の上方右側に位置している。
【0028】
第二の計測筒筐体1は、横方向に開口する下開口4および上開口6を備え、下開口4は検体8の右側において検体8の表面に対向し、上開口5は横方向に短い筒部によって上開口5に並置した状態として位置づけられている。すなわち本例の場合、図1に示すように上開口5および6は横方向に、搬送方向に並置されて形成され、配置されている。下開口3,4は、搬送されてくる検体8を挟んで対向するように配置させる。表裏の両面から計測することを意図しているので、下開口3,4、すなわちミラー1B,2Bの向きは、最も有効な配置として延長線上/対称としている。上開口5および6に向って、すなわち近接してレーザ入出射口14が設けられたバーコードリーダ7が配置されている。レーザ照射装置および受光装置はバーコードリーダ7内に配設されているが、周知技術であり、図2には図示していない。レーザ照射装置からのレーザ光はスキャンレーザ光とされ、所定の角度で走査される。
【0029】
第一の計測筒筐体1には、第1の光学系21が、そして第二の計測筒筐体2には第2の光学系22が形成される。第一の計測筒筐体1の内部には2つのミラー1A,1Bが配設され、レーザ入出射口14から出射されたレーザ光がミラー1A,1Bに当って反射し、下開口3から検体8の表面に設けたバーコード9に向けて照射されるようにして第1の光学系21が形成される。また、第二の計測筒筐体2の内部には2つのミラー2A,2Bが配設され、レーザ入射口から出射されたレーザ光がミラー2A,2Bに当って反射し、下開口4から検体8の表面に設けたバーコード9に向けて照射されるようにして第2の光学系22が形成される。バーコードリーダ7のレーザ光入出射口14から発せられたレーザ光は、スキャン生成の始まりから計測範囲中央までは第1の光学系へ、計測範囲中央からスキャンの終りまでは、第2の光学系へ振り分けられる。このようにして、レーザ光源から出射されたレーザ光を反射して、バーコード9を走査する走査パターンを形成する走査パターン形成手段が形成される。この走査パターン形成手段の形成に当っては、振動ミラーを採用し、振動ミラーの振動角を変化させつつバーコード9上を走査するようにしてもよい。
【0030】
図3において、第1及び第2の光学系21、22を形成するミラー1Bと2Bをレーザ光の軸線31に対してそれぞれ所定の角度θに傾けて配置する。ミラー1Bとミラー2Bとを同一線32の上に、すなわちミラー2Bからのスキャンレーザ光の方向はミラー1Bからのスキャンレーザ光の延長線となるようにして第1の光学系21および第2の光学系22が構成される。このような配置の下にレーザ光は矢印33で示すように振られ、計測用レーザ進路34が形成される。
【0031】
図1において、搬送装置11にて運ばれる検体8を収容したラック10が計測位置に到達すると、ラック到着センサ13がこれを検知する。計測位置には2つの光学系である計測筒筐体1と計測筒筐体2が左右に並んで設置され、この上方の開口部に向けてバーコードリーダ7がθ1だけ傾斜して設置されている。この時、計測対象である検体8は計測筒筐体1,2の下方の開口3,4の丁度中間に位置している。
【0032】
バーコードリーダ7は、レーザ入出射口からレーザ光を照射、受光し、計測筒筐体1,2の光学系を経由して検体8に貼付されたバーコード9の読取り計測を行う。
【0033】
図2の読取り装置の断面図に示すように、計測筒筐体1内にミラー1A、1Bを配置し、下方に形成した開口3が、矢印で示すように搬送されてくる検体8の一方側に対向させるように設けた第一の光学系を備えている。また、同様に計測筒筐体2内に配置したミラー2A,2Bを配置し、下方に形成した開口4が搬送されてくる検体8の他方側に対向させるように設けた第2の光学系を備えている。しかも第1及び第2の光学系となる各計測筒筐体1,2の上部に形成して並置される各開口5,6にはレーザスキャン式のバーコードリーダ7を対向するように設置して構成している。
【0034】
レーザスキャン式のバーコードリーダ7は板状のレーザ光を左右にスキャンし、その範囲内にある検体8のバーコード9を読み取るものである。
【0035】
第1の光学系21においては、計測筒筐体の開口5に入射したレーザ光は、内部のミラー1A及び1Bで反射されながら、計測筒筐体1の下方の開口3から検体8の一方の面に投射される。この反射レーザ光を、上部の開口5からバーコードリーダ7で受光して検体8のバーコード9のデータを読み取る。
【0036】
また、同様に第2の光学系22では、計測筒筐体2の開口6に入射したレーザ光は、内部のミラー2A及び2Bで反射して、計測筒筐体2の下方の開口4から検体8の他方の面へ投射され、その反射光を上部の開口6からバーコードリーダ7で受光して検体8のバーコード9のデータを読み取る。
【0037】
この時、計測筒1と計測筒2は計測対象の検体8を跨いで、2分割するように設置されるが、ミラーの配置が直行/直角のままではそれぞれの計測範囲(視野)には検体の片面の半分(全周の4分の1)以下しか写らないことになる。そこで前述のように、図3に示すように第1及び第2の光学系となるミラー1Bと2Bは、レーザ光の軸線に対してそれぞれ所定の角度θ2だけ傾けて設置されている。そのため、光学的な反射光像(計測視野)は図4に示すようにそれぞれ同じ角度θ1だけ傾いた像となる。そこで、バーコードリーダ7は、レーザスキャン範囲がこの傾きの角度θ1に合わせて取り付けている。
【0038】
検体8に貼付されたバーコード9は、必ずしも読取り装置に正対するものではなく、図5の計測視野例に示すように検体8のバーコード9は実際には片方しか見えない場合がある。しかし、この本装置においては、第1及び第2のどちらかの光学系においてバーコード9がレーザスキャン範囲にあればよいので、搬送されてくる検体8のバーコード9の向きを意識する必要はない。バーコード9の幅は検体8全周の半分以上あれば、第1及び第2の光学系のどちらかの視野に入るので十分に読み込むことができる。
【0039】
この構造は、計測視野の左右よりも上下に余裕がある。従って、バーコード貼り付け位置が上下にずれやすい場合に好適である。
【0040】
このとき、ワーク搬送装置の搬送速度が小さい場合には、そのまま連続的に読み込ませる。一方、搬送速度が大きい場合にはストッパなどで検体を収納するラックを一旦停止し、読取り装置の方をラック内の検体の場所まで順番に平行移動させる。
【0041】
以上のように、搬送装置11で搬送される被検査物である検体8の一方側に、バーコードリーダ7に対向して開口する一方の開口部(上開口5)とバーコード9に対向して開口する他方の開口部(下開口部3)とおよび内部にミラー1A,1Bとを備えた第1の計測筒体部1を有し、バーコードリーダ7から照射されたスキャンレーザ光が一方の開口部、ミラーおよび他方の開口部を介してバーコード9から反射されるようにされた第1の光学系21形成される。そして、被検査物の他方側に、バーコードリーダ7に対向して開口する一方の開口部(上開口6)とバーコード9に対向して開口する他方の開口部(下開口4)およびに内部にミラー2A,2Bとを備えた第二の計測筒体部2を有し、バーコードリーダ7から照射されたスキャンレーザ光がスキャンレーザ光の延長方向(同一線上)から一方の開口部、ミラーおよび他方の開口部を介してバーコードから反射されるようにされた第二の光学系22が形成される。
【0042】
そして、第1および第2の光学系21,22は、バーコード9に照射されるスキャンレーザ光がバーコード9に対する水平な光軸に対して所定の角度θに傾くようにして形成される。
【0043】
このようにして、第一の計測筒体部1の他方の開口部および第二の計測筒体部2の他方の開口部を横方向に並置した被検査物バーコード読取り装置が構成される。
【0044】
更に、上述の被検査物バーコード読取り装置によって、搬送装置11で搬送される検査物の一方側に設けた第一の光学系21によってバーコード9に照射されたスキャンレーザ光を読み取り、第一の光学系21のスキャンレーザ光の延長方向からスキャンレーザ光を照射するようにした他方側に設けた第二の光学系22によってバーコード9に照射されたスキャンレーザ光を読み取るようにした被検査物バーコード読取り方法が構成され、見かけ上1枚の画像として採取されることになる。
【0045】
(1)θの求め方
θは二つの光学系(計測筒筐体1と計測筒筐体2)の中心間隔Dと、計測対象である検体(試験管)8の直径Rから、幾何学的に決定される角度である。
【0046】
ミラー1B、2Bの幅をおおよそHとした時、
tanθ2=D/(H+R)
の関係になる。
【0047】
光学系の中心間隔Dはレーザスキャンの振り角33で決まる。振り角33は使用するBCリ−ダーの設計値である。このレーザの振り幅33を最も有効に使うため、左右に2分割された振り角の中心が検体に向くように位置関係を決定することになる。
【0048】
(2)θの求め方
ミラー1B、2Bがθ2だけ傾いた光学系の場合、検体(バーコード)はある角度θだけ傾く。θとθは等しい。θが0度の時、θも0度,θが90度の時、θも90度となる。
【実施例2】
【0049】
以下、図6から図8を使用して実施例2について説明する。実施例1と同一の構成については同一の番号が付してある。同一の番号の構成については実施例1の説明を援用するものとし、実施例1と異なる部分について重点的に説明する。
【0050】
図6は第1及び第2の光学系21,22を構成する計測筒筐体1,2の上開口5,6が、上下となるように配置した場合の例である。搬送装置11にて運ばれる検体8を搭載したラック10が計測位置に到着すると、ラック到着センサ13がこれを検知する。計測位置には2つの光学系である計測筒筐体1,2が上下に重なるように設置され、この開口部に向けてバーコードリーダ7が設置されている。この時、計測対象である検体8は計測筒筐体1,2の下方の開口3,4の丁度中間に位置する。
【0051】
バーコードリーダ7はレーザ光を照射、受光し、計測筒筐体1、2を経由してラック内の検体8上のバーコード9のデータを読み取る。
【0052】
この例では図7に示すように、第1の光学系21を構成する計測筒筐体1の上開口5の下に、第2の光学系を構成する計測筒筐体2の上開口6が囲まれるように設置されている。バーコードリーダ7は、レーザスキャンが垂直方向に行うように配置してある。スキャンするレーザ光は、レーザ光入出射口14から上下の上開口5,6で分けられ、実施例1と同様に第1及び第2の光学系21,22の計測用筐体1,2内のミラー1A、ミラー1B及び、ミラー2A、ミラー2Bで反射し、検体8に照射される。そして、バーコード9で反射したレーザ光によりデータを読み込む。この上下を合わせた視野を一回の走査で計測し、バーコード9のデータを読み取る。
【0053】
この構造で得られる光学的な反射光像(計測視野)は、図8に示すように垂直で、二つの計測視野は上下の方向が逆になる。従って、バーコードリーダ7は、第1及び第2の光学系の計測筒筐体の上開口5,6の配置と同様に垂直に取り付ける。
【0054】
また、この構造は計測視野の上下よりも左右に余裕がある。従って、バーコードを貼り付けた被検査物体の位置が左右にずれやすい場合に好適である。
【0055】
以上のように、本実施例によれば、前述の被検査物バーコード読取り装置であって、第1および第2の光学系21,22は、バーコード9に照射されるスキャンレーザ光がバーコード9に対する水平な光軸に対して所定の角度に傾くようにして形成され、第一の計測筒体部1の他方の開口部および第二の計測筒体部2の他方の開口部を上方方向に並置した被検査物バーコード読取り装置が構成される。
【0056】
第一の計測筒部1および第二の計測筒部2は、横方向に、もしくは上下方向に並置された開口部を上下方向、もしくは横方向に置換可能にして配設されてもよい。
【0057】
どちらの実施例でも、計測対象としては検体以外に筒状の物体に容易に適用できる。例えば、飲料水容器、缶詰などの製品に貼付されたバーコードの読取りなどが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】被検査物体バーコード読取り装置の斜視図。
【図2】図1の光学系の垂直な断面を示した図。
【図3】図1の光学系の水平な断面を示した図。
【図4】図1の計測方向から計測筒筐体の各開口での計測画像。
【図5】図4における計測像の例。
【図6】被検査物体バーコード読取り装置の別の例を示す斜視図。
【図7】図6の光学系の垂直な断面図。
【図8】図6の計測方向から計測筒筐体の各開口での計測画像。
【符号の説明】
【0059】
1、2…計測筒筐体、1A、1B、2A、2B…計測筒内部に設置されたミラー、3、4…計測筒開口、5、6…計測筒開口、7、8…検体、9…バーコード、10…ラック、11…搬送装置、13…ラック到着センサ、14…レーザ入出射口,21…第一の光学系、22…第2の光学系,31…光軸,32…ミラー1B、ミラー2Bの配置傾斜角度θで形成されるレーザ光線、34…計測用レーザ光進路、100…被検査物のバーコード読取り装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを付けた被検査物を搬送装置にて搬送し、前記搬送装置の近傍にバーコードを読み取るレーザスキャン式のバーコードリーダを配置した被検査物バーコード読取り装置において、
前記搬送装置で搬送される前記被検査物の一方側に、前記バーコードリーダに対向して開口する一方の開口部と前記バーコードに対向して開口する他方の開口部とおよび内部にミラーとを備えた第1の計測筒体部を有し、前記バーコードリーダから照射されたスキャンレーザ光が前記一方の開口部、前記ミラーおよび前記他方の開口部を介して前記バーコードから反射されるようにされた第1の光学系と、
前記被検査物の他方側に、前記バーコードリーダに対向して開口する一方の開口部と前記バーコードに対向して開口する他方の開口部およびに内部にミラーとを備えた第二の計測筒体部を有し、前記バーコードリーダから照射されたスキャンレーザ光が前記スキャンレーザ光の延長方向から前記一方の開口部、前記ミラーおよび前記他方の開口部を介して前記バーコードから反射されるようにされた第二の光学系と、よりなることを特徴とする被検査物バーコード読取り装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1および第2の光学系は、前記バーコードに照射される前記スキャンレーザ光が前記バーコードに対する水平な光軸に対して所定の角度に傾くようにして形成されることを特徴とする被検査物バーコード読取り装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第一の計測筒体部の前記他方の開口部および前記第二の計測筒体部の前記他方の開口部を横方向に、もしくは上方方向に並置したことを特徴とする被検査物バーコード読取り装置。
【請求項4】
請求項3において、第一の計測筒部および第二の計測筒部は、横方向に、もしくは上下方向に並置された前記開口部を上下方向、もしくは横方向に置換可能にして配設されることを特徴とする被検査物バーコード読取り装置。
【請求項5】
バーコードを付けた被検査物を搬送装置にて搬送し、前記搬送装置の近傍に配置したレーザスキャン式のバーコードリーダによってバーコードを読み取る被検査物バーコード読み取り方法において、
前記搬送装置で搬送される前記被検査物の一方側に設けた第一の光学系によって前記バーコードに照射されたスキャンレーザ光を読み取り、第一の光学系のスキャンレーザ光の延長方向からスキャンレーザ光を照射するようにした他方側に設けた第二の光学系によって前記バーコードに照射されたスキャンレーザ光を読み取るようにしたこと
を特徴とする被検査物バーコード読取り方法。
【請求項6】
請求項5において、前記レーザスキャンが前記バーコードに対して左右、又は垂直方向に行うようにしたことを特徴とする被検査物バーコード読取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−338244(P2006−338244A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161118(P2005−161118)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】