被検液分析用チップ
【課題】被検液分析用チップの形状を工夫することによって、生産効率を向上させる。
【解決手段】被検液を分析するための被検液分析用チップ100であって、平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口2と、被検液を分析するための分析部3と、接触口2及び分析部3を連通して毛細管現象により被検液を分析部3に移送する移送路4とを備え、接触口2が、一方の長手側辺部1aにおいて平面視外側に突出した突起部101に形成されており、他方の長手側辺部1bに、平面視において突起部101と対応する形状の凹部102が形成されている。
【解決手段】被検液を分析するための被検液分析用チップ100であって、平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口2と、被検液を分析するための分析部3と、接触口2及び分析部3を連通して毛細管現象により被検液を分析部3に移送する移送路4とを備え、接触口2が、一方の長手側辺部1aにおいて平面視外側に突出した突起部101に形成されており、他方の長手側辺部1bに、平面視において突起部101と対応する形状の凹部102が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検液を分析するための被検液分析用チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の被検液分析用チップとしては、特許文献1に示すように、一部側面に突起形状を有する平面視概略長尺形状をなし、被検液である血液が接触する接触口と、血液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して、毛細管現象により血液を分析部に移送する移送路とを備えている。前記分析部は、移送路により移送された血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を外部センサに接触させるためのものであり、外部と連通する分析用開口部と、この分析用開口部に設けられて血液中から血漿及び血清を分離して通過させる分離膜とを備えている。
【0003】
そして、この被検液分析用チップでは、特許文献1の図3及び図9に示すように、接触口が長手側辺部に形成された突起部に形成されており、例えば指等の血液提供部位を接触口に接触し易く構成している。
【0004】
ここで、上記の被検液分析用チップを製造する場合には、被検液分析用チップを構成する各種シートを積層した後、被検液分析用チップの平面視形状を有する金型で打ち抜き加工することによって、各被検液分析用チップを作成している。
【0005】
しかしながら、従来の被検液分析用チップでは、上述したように、接触口が形成された突起部が長手側辺部に形成されており、多面取りシートに被検液分析用チップの印刷をする場合には、少なくとも前記突起部の突出分ほど、隣接する被検液分析用チップを離間させる必要がある。そうすると、所定面積を有する1枚の多面取りシートから、打ち抜かれる被検液分析用チップの枚数が限られてしまうという問題があり、生産効率を向上させることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−175118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、被検液分析用チップの形状を工夫することによって、被検液分析用チップの生産効率を向上させることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る被検液分析用チップは、被検液を分析するための被検液分析用チップであって、平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口と、前記被検液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して毛細管現象により被検液を分析部に移送する移送路とを備え、前記接触口が、一方の長手側辺部において平面視外側に突出した突起部に形成されており、他方の長手側辺部に、平面視において前記突起部と対応する形状の凹部が形成されていることを特徴とする。なお、分析部としては、センサを設けた構成としても良いし、チップ外部のセンサが接触して被検液が分析される構成としても良い。
【0009】
このようなものであれば、一方の長手側辺部に形成された突起部と対応するように、他方の長手側辺部に凹部を形成していることにより、複数の被検液分析用チップを1枚のシートから多面取りする場合に、隣接する被検液分析用チップを可及的に近づけることができる。これにより、所定面積を有する1枚の多面取りシートから可及的に多数の被検液分析用チップを作成することができ、生産効率を向上させることができる。
【0010】
1枚の多面取りシートにおいて隣接する被検液分析用チップを可及的に近づける、あるいはそれらの一部又は全部を接触させて連続させるためには、前記一方の長手側辺部及び前記他方の長手側辺部が平面視において概略直線状をなし、前記凹部の平面視における輪郭形状が、前記突起部の平面視における輪郭形状と略同一であることが望ましい。ここで、前記一方の長手側辺部の平面視における輪郭形状が、前記他方の長手側辺部の平面視における輪郭形状と略同一であることが特に望ましい。これならば、多面取りシートにおいて複数の被検液分析用チップを短手方向に接触させて連続させることができる。これにより、1つの被検液分析用チップを抜き加工した後に、その抜き加工面の一部が、隣接する別の被検液分析用チップの長手側辺部を兼ねることになる。具体的には、1つの被検液分析用チップの他方の長手側辺部の抜き加工面が、隣接する別の被検液分析用チップの一方の長手側辺部となる。また、多面取りシートにおいて隣接するチップを接触させることにより、加工後のシート廃材を可及的に少なくすることもできる。
【0011】
また、被検液分析用チップの生産効率を低下させることなく、被検液分析用チップの逆挿入を防止できる形状とするためには、測定機器内に挿入される長手方向先端部とは反対側の長手方向後端部において、一方の長手側辺部又は他方の長手側辺部の少なくとも一方に前記測定機器への誤挿入防止凸部が形成されており、当該誤挿入防止凸部が形成された長手側辺部とは反対側の長手側辺部において、前記誤挿入防止凸部と対応する形状の第2凹部が形成されていることが望ましい。
【0012】
このとき誤挿入防止凸部を有する被検液分析用チップを所定面積を有する1枚の多面シートから可及的に多く作成するためには、前記第2凹部の平面視における輪郭形状が、前記誤挿入防止凸部の平面視における輪郭形状と略同一であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、被検液分析用チップの形状を工夫することによって、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の被検液分析用チップ及び濃度測定装置を示す図。
【図2】同実施形態の被検液分析用チップの斜視図。
【図3】同実施形態の被検液分析用チップの6面図。
【図4】被検液分析チップの内部構成を示す模式的断面図。
【図5】被検液分析チップの輪郭形状を示す図。
【図6】多面取りシートを構成する下基板シートを示す平面図。
【図7】多面取りシートを構成する中間基板シートを示す平面図。
【図8】多面取りシートを構成する上基板シートを示す平面図。
【図9】被検液分析用チップの多面取りシートを示す平面図。
【図10】多面取りシートの打ち抜き加工を示す図。
【図11】多面取りシートの変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る被検液分析用チップ100は、電極センサZ3を用いた濃度測定装置Zに用いられるものである。
【0016】
濃度測定装置Zは、例えば血液中の血糖値を測定するものであり、図1に示すように、被検液分析用チップ100が挿入される挿入口Z1と、当該挿入口Z1に挿入された被検液分析用チップ100の位置決めを行う位置決め機構Z2と、位置決めされた被検液分析用チップ100に対して進退移動する酵素電極センサZ3と、当該酵素電極センサZ3に対して測定用電圧を印加する測定用電源Z4と、酵素電極センサZ3から出力される電流を検出する電流検出部Z5と、前記測定用電源Z4を制御するとともに、検出電流を微分演算し、その微分値の最大値を検出して被検液中の測定対象物質の濃度を算出する演算部Z6とを備えている。酵素電極センサZ3は、先端部に白金(Pt)電極を備え、その表面にグルコースオキシターゼ(GOD)固定化膜が被膜されている。
【0017】
具体的に被検液分析用チップ100は、図2及び図3に示すように、平面視において概略長尺形状をなすものであり、被検液提供部位(血液提供部位、例えば指など)にある血液に接触する接触口2と、血液を分析するための分析部3と、前記接触口2と前記分析部3とを連通して、毛細管現象により血液を分析部3に移送する移送路4とを具備する。なお、被検液分析用チップ100は、濃度測定装置Zへの位置決め時に、位置決め機構Z2のピン等が挿入される位置決め孔5を備えている。
【0018】
この被検液分析用チップ100は、特に図3に示すように、平面視において概略直線状をなす一対の長手側辺部1a、1bを有している。この一対の長手側辺部1a、1bは、長手方向中心軸Cと略平行に形成されている。また、測定機器である濃度測定装置Zに挿入される長手方向先端部1cとは反対側の長手方向後端部1dには、当該被検液分析用チップ100を操作するための把持部6が形成されている。なお、以下においては長手方向先端側を向いて左側の長手側辺部を一方の長手側辺部1aとし、右側の長手側辺部を他方の長手側辺部1bとする。
【0019】
接触口2は、一方の長手側辺部1aにおいて平面視外側に突出した突起部101に形成されており、具体的に平面視において突起部101の最頂部(最外部)近傍において外側を向くように形成されている。突起部101は、長手方向中心軸Cに対して直交する方向に延び設けられており、この突起部101の平面視における輪郭形状は、外側に膨出した湾曲形状をなすように形成されている。
【0020】
分析部3は、図3及び図4に示すように、移送路4により移送された血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を酵素電極センサZ3に接触させるためのものであり、移送路4における空気孔7の上流側に設けられ、流路幅が拡開する被検液貯留部31と、この被検液貯留部31を形成する側壁において、外部と連通する分析用開口部32と、当該分析用開口部32に設けられ、血液中から測定対象物質である血漿及び血清を分離して分析用開口部32を通過させる分離膜33とを備えている。なお、空気孔7は、血液の導入に伴う空気の排出を行うものである。
【0021】
分析用開口部32は、図4に示すように、空気孔7が形成された面(上面)とは反対側の面(下面)に形成されている。そして、分析用開口部32には、酵素電極センサZ3が接触する。
【0022】
分離膜33は、血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を通過させる微小孔を多数有する、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)膜である。なお、分離膜33としてその他、ポリカーボネート膜等を用いても良い。
【0023】
移送路4は、図3及び図4に示すように、接触口2及び分析部3を連通するとともに、分析部3の下流側に延びており、当該分析部3の下流側において空気孔7が形成されている。具体的に移送路4は、接触口2から長手方向先端部1cに向かって延出して形成されている。
【0024】
しかして本実施形態の被検液分析用チップ100は、図3及び図5に示すように、他方の長手側辺部1bに、平面視において前記突起部101と対応する形状の第1凹部102が形成されている。ここで突起部101及びこれに対応する第1凹部102は、被検液分析用チップ100において、長手方向中心軸Cに対して、長手方向において対称位置に形成されている。
【0025】
具体的には、第1凹部102の平面視における輪郭形状を、突起部101の平面視における輪郭形状と略同一としている。本実施形態では、第1凹部102の平面視における輪郭形状は、内側に湾曲した湾曲形状をなし、前記突起部101の平面視における輪郭形状と一致するように形成されている。
【0026】
また、被検液分析用チップ100の長手方向後端部1dにおいて、一方の長手側辺部1a又は他方の長手側辺部1bの少なくとも一方に、前記測定機器Zへの誤挿入防止凸部103が形成されている。なお、本実施形態では把持部6における他方の長手側辺部1bに形成されている。この誤挿入防止凸部103は、他方の長手側辺部1bにおいて平面視外側に突出した凸部により形成されており、その平面視における輪郭形状は、外側に膨出した湾曲形状をなすように形成されている。
【0027】
そして、長手方向後端部1dにおいて一方の長手側辺部1aには、誤挿入防止凸部103と対応する形状の第2凹部104が形成されている。ここで誤挿入防止凸部103及びこれに対応する第2凹部104は、被検液分析用チップ100において、長手方向中心軸C1に対して、長手方向において対称位置に形成されている。
【0028】
具体的には、第2凹部104の平面視における輪郭形状と、誤挿入防止凸部103の平面視における輪郭形状と略同一としている。本実施形態では、さらに第2凹部104の平面視における輪郭形状は、前記突起部101の平面視における輪郭形状の少なくとも一部と一致するように形成されている。このように誤挿入防止凸部103及び第2凹部104がチップ100の長手方向後端部1dに形成されていることから、チップの長手方向後端部1dの中心軸C1は、チップ全体の長手方向中心軸Cから若干傾くことになる。
【0029】
このように構成することによって、被検液分析用チップ100の一方の長手側辺部1a略全体の平面視における輪郭形状が、他方の長手側辺部1b略全体の平面視における輪郭形状の略全部と略同一となるように構成している。つまり、被検液分析用チップ100の長手方向に直交する方向の幅が略全体に渡って略同一となるように構成されている。
【0030】
なお、被検液分析用チップ100の長手方向先端部1cにおいて一方の長手側辺部1aに形成された第3凹部105は、測定機器Zの位置決め機構Z2による位置決めの為に形成されている。また長手方向先端部1cにおいて他方の長手側辺部1bに形成された第4凹部106は、後述する第1の打ち抜き加工により形成される加工上の凹部である。これらの部分は例外的にその他の部分とは幅が異なっている。
【0031】
次にこのように構成した被検液分析用チップ100の製造方法について図6〜図10を参照して説明する。
【0032】
本実施形態の被検液分析用チップ100は、図4に示すように、下基板100a、中間基板100b及び上基板100cの三層積層構造により構成されている。なお、下基板100a及び中間基板100b、中間基板100b及び上基板100cがそれぞれ接着される。
【0033】
そして、この被検液分析用チップ100は、図6〜図8に示すように、下基板100aを形成する下基板シートS1、中間基板100bを形成する中間基板シートS2及び上基板100cを形成する上基板シートS3を積層してなる多面取りシートS(図9参照)を打ち抜きなどの抜き加工によって切り取ることによって作成される。
【0034】
下基板シートS1は、図6に示すように、概略矩形板状をなし、表面に親水性を有する樹脂製シートである。本実施形態では、PET、アクリル等の樹脂製シートの表面に親水コーティングを行うことにより構成している。なお、プラズマ処理により親水性を付加したものでも良い。なお、裏面は撥水加工が施されている。
【0035】
そして、この下基板シートS1には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S11、分析用開口部32を構成する貫通孔S12、及び接触口2をチップ下方に開口させて開口サイズを大きくするための貫通孔S13が形成されている。これらの貫通孔S11〜S13は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応して、プレス加工によって形成されている。なお、シートS1の四隅に形成された貫通孔S14は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0036】
中間基板シートS2は、図7に示すように、概略矩形板状をなし、基材が例えばPET等の樹脂からなり、その表裏に例えばアクリル系の接着剤が塗布された両面テープから構成されている。
【0037】
そして、この中間基板シートS2には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S21、被検液分析用チップ100の接触口2、被検液貯留部31、移送路4を構成するスリット状の貫通孔S22が形成されている。これらの貫通孔S21、S22は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応して、プレス加工によって形成されている。なお、シートS2の四隅に形成された貫通孔S23は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0038】
上基板シートS3は、図8に示すように、概略矩形板状をなし、裏面に親水性を有する樹脂製シートである。本実施形態の上基板シートS3は、裏面に親水性を有するシートの表面に、剛性を持たせるためのシートがさらに貼り合わされて構成されている。
【0039】
そして、この上基板シートS3には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S31、及び空気孔7を構成する貫通孔S32が形成されている。これらの貫通孔S31、S32は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応してプレス加工によって形成されている。なお、シートS3の四隅に形成された貫通孔S33は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0040】
そして下基板シートS1、中間基板シートS2及び上基板シートS3を貼合用位置決め孔S14、S23、S33を用いて貼り合わせる。そうすると、図9に示すように、複数(5つ)の被検液分析用チップ100が接触した状態で左右に並列されて一体化された状態となる。なお、1つ1つの被検液分析用チップ打ち抜き箇所には、分析部3及び移送路4等が形成されている。
【0041】
このように構成された多面取りシートSを、以下の手順で打ち抜きして被検液分析用チップ100を作成する(図10参照)。
【0042】
まず、上記により得られた多面取りシートSにおいて被検液分析用チップ100の長手方向先端部に位置決め孔5を形成する(第1の打ち抜き加工)。
【0043】
そして、上記第1の打ち抜き加工終了後、第2の打ち抜き加工を行う。この第2の打ち抜き加工は、多面取りシートSに印刷された被検液分析用チップ打抜箇所のうち1つ飛ばしで被検液分析用チップ100を打ち抜く。本実施形態では多面取りシートSに奇数個(5個)の被検液分析用チップ打抜箇所が設定・印刷されているので、両サイドの被検液分析用チップ100及びそれらから1つ飛ばしの被検液分析用チップ100(中間の被検液分析用チップ100)を打ち抜く。このとき、1つずつチップ100を打ち抜くようにしても良いし、1つ飛ばしで打ち抜き可能な金型を用意して、この金型を用いて1度に打ち抜くようにしても良い。
【0044】
また、第2の打ち抜き加工においては、下基板シートS1に形成された貫通孔S13の一部及び中間基板シートS2に形成された貫通孔S22において前記貫通孔S13に対応する一部が切断されて、1つの接触口2が形成される。このとき中間基板シートS2に形成された貫通孔S22により側方への開口部分が形成され、下基板シートS1に形成された貫通孔S13により下方への開口部分が形成される。
【0045】
このとき用いる金型の長手方向左側の刃部は、チップ100の左側の長手側辺部1aを切断するとともに、当該チップ100の左隣にチップ打ち抜き箇所がある場合には、当該チップ100の右側の長手側辺部1bを切断することになる。また、金型の長手方向右側の刃部は、チップ100の右側の長手側辺部1bを切断するとともに、当該チップの右隣にチップ打ち抜き箇所がある場合には、当該チップ100の左側の長手側辺部1aを切断することになる。
【0046】
この第2の打ち抜き加工により、多面取りシートSには、長手方向両端部1c、1dが多面取りシートSに接続された状態のチップ100が残ることになる。長手方向両端部1c、1d以外の輪郭部分は、打ち抜き後のチップ100の輪郭形状をなしている。
【0047】
そして、第3の打ち抜き加工では、多面取りシートSに残ったチップ100を打ち抜く。このとき用いる金型の刃型は、チップ100のうち多面取りシートSに接続された長手方向両端部1c、1dの輪郭形状と一致すると共に、その他の部分は、多面取りシートSに接触しないように構成されたものである。これにより、多面取りシートSから残りの被検液分析用チップ100が打ち抜かれる。
【0048】
このように第2の打ち抜き加工及び第3の打ち抜き加工で得られた被検液分析用チップ100は平面視において略同一形状をなすものである。
【0049】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る被検液分析用チップ100によれば、一方の長手側辺部1aに形成された突起部101と対応するように、他方の長手側辺部1bに凹部102を形成していることにより、複数の被検液分析用チップ100を1枚のシートSから多面取りする場合に、隣接する被検液分析用チップ100を可及的に近づけることができる。これにより、所定面積を有する1枚の多面取りシートSから可及的に多数の被検液分析用チップ100を作成することができ、生産効率を向上させることができる。
【0050】
特に本実施形態では、多面取りシートSにおいて複数の被検液分析チップ打ち抜き箇所を連続して形成しているので、所定面積を有する1枚の多面取りシートSから最大限に多数の被検液分析用チップ100を作成することができる。
【0051】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば、前記実施形態では多面取りシートにおいて隣接する被検液分析用チップが接触して連続するように構成しているが、図11に示すように、突起部及び凹部が対応するように隣接するように配置しても良い。これによっても1枚の多面取りシートから作成できるチップ数を多くすることが可能となる。
【0053】
また、突起部の平面視輪郭形状としては、外側に膨出した湾曲形状をなすものの他、概略三角形状や概略矩形状等の多角形状をなすもの、又は部分円弧状や部分楕円状をなすものであっても良い。このとき、第1凹部は、各形状をなす突起部に対応した形状とする。
【0054】
また、前記実施形態では、把持部と誤挿入防止凸部とを同一部位に形成して構成しているが、把持部と誤挿入防止凸部とを互いに異なる場所に形成しても良い。例えば把持部を長手方向後端部に設けると共に、誤挿入防止凸部を前記把持部よりも先端側の長手側辺部に形成しても良い。
【0055】
さらに、前記実施形態の被検液分析用チップは測定機器に挿入して分析するものであったが、チップ内の分析部に反応試薬等を塗布しておき、移送路により導入された被検液と反応試薬との反応を見ることによって被検液部を分析するものであっても良い。
【0056】
加えて、前記実施形態では、被検液分析用チップが長手方向に延びる平面視概略長尺形状であり、その長手方向中心軸が直線状をなすものであったが、長手方向中心軸が若干湾曲するものであっても良い。
【0057】
その上、前記実施形態では、被検液分析用チップの突起部及び凹部が長手方向中心軸に対して対称位置に形成されているが、長手方向において異なる位置に形成しても良い。
【0058】
さらに加えて、前記実施形態では多面取りシートに左右1列に被検液分析用チップ打抜箇所が形成されたものであったが、上下に複数列形成したものであっても良い。
【0059】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100・・・被検液分析用チップ
Z ・・・濃度測定装置(測定機器)
2 ・・・接触口
3 ・・・分析部
4 ・・・移送路
1a ・・・一方の長手側辺部
101・・・突起部
1b ・・・他方の長手側辺部
102・・・第1凹部(凹部)
1c ・・・長手方向先端部
1d ・・・長手方向後端部
103・・・誤挿入防止凸部
104・・・第2凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検液を分析するための被検液分析用チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の被検液分析用チップとしては、特許文献1に示すように、一部側面に突起形状を有する平面視概略長尺形状をなし、被検液である血液が接触する接触口と、血液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して、毛細管現象により血液を分析部に移送する移送路とを備えている。前記分析部は、移送路により移送された血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を外部センサに接触させるためのものであり、外部と連通する分析用開口部と、この分析用開口部に設けられて血液中から血漿及び血清を分離して通過させる分離膜とを備えている。
【0003】
そして、この被検液分析用チップでは、特許文献1の図3及び図9に示すように、接触口が長手側辺部に形成された突起部に形成されており、例えば指等の血液提供部位を接触口に接触し易く構成している。
【0004】
ここで、上記の被検液分析用チップを製造する場合には、被検液分析用チップを構成する各種シートを積層した後、被検液分析用チップの平面視形状を有する金型で打ち抜き加工することによって、各被検液分析用チップを作成している。
【0005】
しかしながら、従来の被検液分析用チップでは、上述したように、接触口が形成された突起部が長手側辺部に形成されており、多面取りシートに被検液分析用チップの印刷をする場合には、少なくとも前記突起部の突出分ほど、隣接する被検液分析用チップを離間させる必要がある。そうすると、所定面積を有する1枚の多面取りシートから、打ち抜かれる被検液分析用チップの枚数が限られてしまうという問題があり、生産効率を向上させることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−175118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、被検液分析用チップの形状を工夫することによって、被検液分析用チップの生産効率を向上させることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る被検液分析用チップは、被検液を分析するための被検液分析用チップであって、平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口と、前記被検液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して毛細管現象により被検液を分析部に移送する移送路とを備え、前記接触口が、一方の長手側辺部において平面視外側に突出した突起部に形成されており、他方の長手側辺部に、平面視において前記突起部と対応する形状の凹部が形成されていることを特徴とする。なお、分析部としては、センサを設けた構成としても良いし、チップ外部のセンサが接触して被検液が分析される構成としても良い。
【0009】
このようなものであれば、一方の長手側辺部に形成された突起部と対応するように、他方の長手側辺部に凹部を形成していることにより、複数の被検液分析用チップを1枚のシートから多面取りする場合に、隣接する被検液分析用チップを可及的に近づけることができる。これにより、所定面積を有する1枚の多面取りシートから可及的に多数の被検液分析用チップを作成することができ、生産効率を向上させることができる。
【0010】
1枚の多面取りシートにおいて隣接する被検液分析用チップを可及的に近づける、あるいはそれらの一部又は全部を接触させて連続させるためには、前記一方の長手側辺部及び前記他方の長手側辺部が平面視において概略直線状をなし、前記凹部の平面視における輪郭形状が、前記突起部の平面視における輪郭形状と略同一であることが望ましい。ここで、前記一方の長手側辺部の平面視における輪郭形状が、前記他方の長手側辺部の平面視における輪郭形状と略同一であることが特に望ましい。これならば、多面取りシートにおいて複数の被検液分析用チップを短手方向に接触させて連続させることができる。これにより、1つの被検液分析用チップを抜き加工した後に、その抜き加工面の一部が、隣接する別の被検液分析用チップの長手側辺部を兼ねることになる。具体的には、1つの被検液分析用チップの他方の長手側辺部の抜き加工面が、隣接する別の被検液分析用チップの一方の長手側辺部となる。また、多面取りシートにおいて隣接するチップを接触させることにより、加工後のシート廃材を可及的に少なくすることもできる。
【0011】
また、被検液分析用チップの生産効率を低下させることなく、被検液分析用チップの逆挿入を防止できる形状とするためには、測定機器内に挿入される長手方向先端部とは反対側の長手方向後端部において、一方の長手側辺部又は他方の長手側辺部の少なくとも一方に前記測定機器への誤挿入防止凸部が形成されており、当該誤挿入防止凸部が形成された長手側辺部とは反対側の長手側辺部において、前記誤挿入防止凸部と対応する形状の第2凹部が形成されていることが望ましい。
【0012】
このとき誤挿入防止凸部を有する被検液分析用チップを所定面積を有する1枚の多面シートから可及的に多く作成するためには、前記第2凹部の平面視における輪郭形状が、前記誤挿入防止凸部の平面視における輪郭形状と略同一であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、被検液分析用チップの形状を工夫することによって、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の被検液分析用チップ及び濃度測定装置を示す図。
【図2】同実施形態の被検液分析用チップの斜視図。
【図3】同実施形態の被検液分析用チップの6面図。
【図4】被検液分析チップの内部構成を示す模式的断面図。
【図5】被検液分析チップの輪郭形状を示す図。
【図6】多面取りシートを構成する下基板シートを示す平面図。
【図7】多面取りシートを構成する中間基板シートを示す平面図。
【図8】多面取りシートを構成する上基板シートを示す平面図。
【図9】被検液分析用チップの多面取りシートを示す平面図。
【図10】多面取りシートの打ち抜き加工を示す図。
【図11】多面取りシートの変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る被検液分析用チップ100は、電極センサZ3を用いた濃度測定装置Zに用いられるものである。
【0016】
濃度測定装置Zは、例えば血液中の血糖値を測定するものであり、図1に示すように、被検液分析用チップ100が挿入される挿入口Z1と、当該挿入口Z1に挿入された被検液分析用チップ100の位置決めを行う位置決め機構Z2と、位置決めされた被検液分析用チップ100に対して進退移動する酵素電極センサZ3と、当該酵素電極センサZ3に対して測定用電圧を印加する測定用電源Z4と、酵素電極センサZ3から出力される電流を検出する電流検出部Z5と、前記測定用電源Z4を制御するとともに、検出電流を微分演算し、その微分値の最大値を検出して被検液中の測定対象物質の濃度を算出する演算部Z6とを備えている。酵素電極センサZ3は、先端部に白金(Pt)電極を備え、その表面にグルコースオキシターゼ(GOD)固定化膜が被膜されている。
【0017】
具体的に被検液分析用チップ100は、図2及び図3に示すように、平面視において概略長尺形状をなすものであり、被検液提供部位(血液提供部位、例えば指など)にある血液に接触する接触口2と、血液を分析するための分析部3と、前記接触口2と前記分析部3とを連通して、毛細管現象により血液を分析部3に移送する移送路4とを具備する。なお、被検液分析用チップ100は、濃度測定装置Zへの位置決め時に、位置決め機構Z2のピン等が挿入される位置決め孔5を備えている。
【0018】
この被検液分析用チップ100は、特に図3に示すように、平面視において概略直線状をなす一対の長手側辺部1a、1bを有している。この一対の長手側辺部1a、1bは、長手方向中心軸Cと略平行に形成されている。また、測定機器である濃度測定装置Zに挿入される長手方向先端部1cとは反対側の長手方向後端部1dには、当該被検液分析用チップ100を操作するための把持部6が形成されている。なお、以下においては長手方向先端側を向いて左側の長手側辺部を一方の長手側辺部1aとし、右側の長手側辺部を他方の長手側辺部1bとする。
【0019】
接触口2は、一方の長手側辺部1aにおいて平面視外側に突出した突起部101に形成されており、具体的に平面視において突起部101の最頂部(最外部)近傍において外側を向くように形成されている。突起部101は、長手方向中心軸Cに対して直交する方向に延び設けられており、この突起部101の平面視における輪郭形状は、外側に膨出した湾曲形状をなすように形成されている。
【0020】
分析部3は、図3及び図4に示すように、移送路4により移送された血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を酵素電極センサZ3に接触させるためのものであり、移送路4における空気孔7の上流側に設けられ、流路幅が拡開する被検液貯留部31と、この被検液貯留部31を形成する側壁において、外部と連通する分析用開口部32と、当該分析用開口部32に設けられ、血液中から測定対象物質である血漿及び血清を分離して分析用開口部32を通過させる分離膜33とを備えている。なお、空気孔7は、血液の導入に伴う空気の排出を行うものである。
【0021】
分析用開口部32は、図4に示すように、空気孔7が形成された面(上面)とは反対側の面(下面)に形成されている。そして、分析用開口部32には、酵素電極センサZ3が接触する。
【0022】
分離膜33は、血液中から血球以外の血漿及び血清等の非血球成分を通過させる微小孔を多数有する、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)膜である。なお、分離膜33としてその他、ポリカーボネート膜等を用いても良い。
【0023】
移送路4は、図3及び図4に示すように、接触口2及び分析部3を連通するとともに、分析部3の下流側に延びており、当該分析部3の下流側において空気孔7が形成されている。具体的に移送路4は、接触口2から長手方向先端部1cに向かって延出して形成されている。
【0024】
しかして本実施形態の被検液分析用チップ100は、図3及び図5に示すように、他方の長手側辺部1bに、平面視において前記突起部101と対応する形状の第1凹部102が形成されている。ここで突起部101及びこれに対応する第1凹部102は、被検液分析用チップ100において、長手方向中心軸Cに対して、長手方向において対称位置に形成されている。
【0025】
具体的には、第1凹部102の平面視における輪郭形状を、突起部101の平面視における輪郭形状と略同一としている。本実施形態では、第1凹部102の平面視における輪郭形状は、内側に湾曲した湾曲形状をなし、前記突起部101の平面視における輪郭形状と一致するように形成されている。
【0026】
また、被検液分析用チップ100の長手方向後端部1dにおいて、一方の長手側辺部1a又は他方の長手側辺部1bの少なくとも一方に、前記測定機器Zへの誤挿入防止凸部103が形成されている。なお、本実施形態では把持部6における他方の長手側辺部1bに形成されている。この誤挿入防止凸部103は、他方の長手側辺部1bにおいて平面視外側に突出した凸部により形成されており、その平面視における輪郭形状は、外側に膨出した湾曲形状をなすように形成されている。
【0027】
そして、長手方向後端部1dにおいて一方の長手側辺部1aには、誤挿入防止凸部103と対応する形状の第2凹部104が形成されている。ここで誤挿入防止凸部103及びこれに対応する第2凹部104は、被検液分析用チップ100において、長手方向中心軸C1に対して、長手方向において対称位置に形成されている。
【0028】
具体的には、第2凹部104の平面視における輪郭形状と、誤挿入防止凸部103の平面視における輪郭形状と略同一としている。本実施形態では、さらに第2凹部104の平面視における輪郭形状は、前記突起部101の平面視における輪郭形状の少なくとも一部と一致するように形成されている。このように誤挿入防止凸部103及び第2凹部104がチップ100の長手方向後端部1dに形成されていることから、チップの長手方向後端部1dの中心軸C1は、チップ全体の長手方向中心軸Cから若干傾くことになる。
【0029】
このように構成することによって、被検液分析用チップ100の一方の長手側辺部1a略全体の平面視における輪郭形状が、他方の長手側辺部1b略全体の平面視における輪郭形状の略全部と略同一となるように構成している。つまり、被検液分析用チップ100の長手方向に直交する方向の幅が略全体に渡って略同一となるように構成されている。
【0030】
なお、被検液分析用チップ100の長手方向先端部1cにおいて一方の長手側辺部1aに形成された第3凹部105は、測定機器Zの位置決め機構Z2による位置決めの為に形成されている。また長手方向先端部1cにおいて他方の長手側辺部1bに形成された第4凹部106は、後述する第1の打ち抜き加工により形成される加工上の凹部である。これらの部分は例外的にその他の部分とは幅が異なっている。
【0031】
次にこのように構成した被検液分析用チップ100の製造方法について図6〜図10を参照して説明する。
【0032】
本実施形態の被検液分析用チップ100は、図4に示すように、下基板100a、中間基板100b及び上基板100cの三層積層構造により構成されている。なお、下基板100a及び中間基板100b、中間基板100b及び上基板100cがそれぞれ接着される。
【0033】
そして、この被検液分析用チップ100は、図6〜図8に示すように、下基板100aを形成する下基板シートS1、中間基板100bを形成する中間基板シートS2及び上基板100cを形成する上基板シートS3を積層してなる多面取りシートS(図9参照)を打ち抜きなどの抜き加工によって切り取ることによって作成される。
【0034】
下基板シートS1は、図6に示すように、概略矩形板状をなし、表面に親水性を有する樹脂製シートである。本実施形態では、PET、アクリル等の樹脂製シートの表面に親水コーティングを行うことにより構成している。なお、プラズマ処理により親水性を付加したものでも良い。なお、裏面は撥水加工が施されている。
【0035】
そして、この下基板シートS1には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S11、分析用開口部32を構成する貫通孔S12、及び接触口2をチップ下方に開口させて開口サイズを大きくするための貫通孔S13が形成されている。これらの貫通孔S11〜S13は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応して、プレス加工によって形成されている。なお、シートS1の四隅に形成された貫通孔S14は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0036】
中間基板シートS2は、図7に示すように、概略矩形板状をなし、基材が例えばPET等の樹脂からなり、その表裏に例えばアクリル系の接着剤が塗布された両面テープから構成されている。
【0037】
そして、この中間基板シートS2には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S21、被検液分析用チップ100の接触口2、被検液貯留部31、移送路4を構成するスリット状の貫通孔S22が形成されている。これらの貫通孔S21、S22は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応して、プレス加工によって形成されている。なお、シートS2の四隅に形成された貫通孔S23は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0038】
上基板シートS3は、図8に示すように、概略矩形板状をなし、裏面に親水性を有する樹脂製シートである。本実施形態の上基板シートS3は、裏面に親水性を有するシートの表面に、剛性を持たせるためのシートがさらに貼り合わされて構成されている。
【0039】
そして、この上基板シートS3には、打ち抜き加工後において、被検液分析用チップ100の位置決め孔5を構成する貫通孔S31、及び空気孔7を構成する貫通孔S32が形成されている。これらの貫通孔S31、S32は、それぞれ被検液分析用チップ100の打ち抜き箇所に対応してプレス加工によって形成されている。なお、シートS3の四隅に形成された貫通孔S33は、各シートS1〜S3を位置決めするための貼合用位置決め孔である。
【0040】
そして下基板シートS1、中間基板シートS2及び上基板シートS3を貼合用位置決め孔S14、S23、S33を用いて貼り合わせる。そうすると、図9に示すように、複数(5つ)の被検液分析用チップ100が接触した状態で左右に並列されて一体化された状態となる。なお、1つ1つの被検液分析用チップ打ち抜き箇所には、分析部3及び移送路4等が形成されている。
【0041】
このように構成された多面取りシートSを、以下の手順で打ち抜きして被検液分析用チップ100を作成する(図10参照)。
【0042】
まず、上記により得られた多面取りシートSにおいて被検液分析用チップ100の長手方向先端部に位置決め孔5を形成する(第1の打ち抜き加工)。
【0043】
そして、上記第1の打ち抜き加工終了後、第2の打ち抜き加工を行う。この第2の打ち抜き加工は、多面取りシートSに印刷された被検液分析用チップ打抜箇所のうち1つ飛ばしで被検液分析用チップ100を打ち抜く。本実施形態では多面取りシートSに奇数個(5個)の被検液分析用チップ打抜箇所が設定・印刷されているので、両サイドの被検液分析用チップ100及びそれらから1つ飛ばしの被検液分析用チップ100(中間の被検液分析用チップ100)を打ち抜く。このとき、1つずつチップ100を打ち抜くようにしても良いし、1つ飛ばしで打ち抜き可能な金型を用意して、この金型を用いて1度に打ち抜くようにしても良い。
【0044】
また、第2の打ち抜き加工においては、下基板シートS1に形成された貫通孔S13の一部及び中間基板シートS2に形成された貫通孔S22において前記貫通孔S13に対応する一部が切断されて、1つの接触口2が形成される。このとき中間基板シートS2に形成された貫通孔S22により側方への開口部分が形成され、下基板シートS1に形成された貫通孔S13により下方への開口部分が形成される。
【0045】
このとき用いる金型の長手方向左側の刃部は、チップ100の左側の長手側辺部1aを切断するとともに、当該チップ100の左隣にチップ打ち抜き箇所がある場合には、当該チップ100の右側の長手側辺部1bを切断することになる。また、金型の長手方向右側の刃部は、チップ100の右側の長手側辺部1bを切断するとともに、当該チップの右隣にチップ打ち抜き箇所がある場合には、当該チップ100の左側の長手側辺部1aを切断することになる。
【0046】
この第2の打ち抜き加工により、多面取りシートSには、長手方向両端部1c、1dが多面取りシートSに接続された状態のチップ100が残ることになる。長手方向両端部1c、1d以外の輪郭部分は、打ち抜き後のチップ100の輪郭形状をなしている。
【0047】
そして、第3の打ち抜き加工では、多面取りシートSに残ったチップ100を打ち抜く。このとき用いる金型の刃型は、チップ100のうち多面取りシートSに接続された長手方向両端部1c、1dの輪郭形状と一致すると共に、その他の部分は、多面取りシートSに接触しないように構成されたものである。これにより、多面取りシートSから残りの被検液分析用チップ100が打ち抜かれる。
【0048】
このように第2の打ち抜き加工及び第3の打ち抜き加工で得られた被検液分析用チップ100は平面視において略同一形状をなすものである。
【0049】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る被検液分析用チップ100によれば、一方の長手側辺部1aに形成された突起部101と対応するように、他方の長手側辺部1bに凹部102を形成していることにより、複数の被検液分析用チップ100を1枚のシートSから多面取りする場合に、隣接する被検液分析用チップ100を可及的に近づけることができる。これにより、所定面積を有する1枚の多面取りシートSから可及的に多数の被検液分析用チップ100を作成することができ、生産効率を向上させることができる。
【0050】
特に本実施形態では、多面取りシートSにおいて複数の被検液分析チップ打ち抜き箇所を連続して形成しているので、所定面積を有する1枚の多面取りシートSから最大限に多数の被検液分析用チップ100を作成することができる。
【0051】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば、前記実施形態では多面取りシートにおいて隣接する被検液分析用チップが接触して連続するように構成しているが、図11に示すように、突起部及び凹部が対応するように隣接するように配置しても良い。これによっても1枚の多面取りシートから作成できるチップ数を多くすることが可能となる。
【0053】
また、突起部の平面視輪郭形状としては、外側に膨出した湾曲形状をなすものの他、概略三角形状や概略矩形状等の多角形状をなすもの、又は部分円弧状や部分楕円状をなすものであっても良い。このとき、第1凹部は、各形状をなす突起部に対応した形状とする。
【0054】
また、前記実施形態では、把持部と誤挿入防止凸部とを同一部位に形成して構成しているが、把持部と誤挿入防止凸部とを互いに異なる場所に形成しても良い。例えば把持部を長手方向後端部に設けると共に、誤挿入防止凸部を前記把持部よりも先端側の長手側辺部に形成しても良い。
【0055】
さらに、前記実施形態の被検液分析用チップは測定機器に挿入して分析するものであったが、チップ内の分析部に反応試薬等を塗布しておき、移送路により導入された被検液と反応試薬との反応を見ることによって被検液部を分析するものであっても良い。
【0056】
加えて、前記実施形態では、被検液分析用チップが長手方向に延びる平面視概略長尺形状であり、その長手方向中心軸が直線状をなすものであったが、長手方向中心軸が若干湾曲するものであっても良い。
【0057】
その上、前記実施形態では、被検液分析用チップの突起部及び凹部が長手方向中心軸に対して対称位置に形成されているが、長手方向において異なる位置に形成しても良い。
【0058】
さらに加えて、前記実施形態では多面取りシートに左右1列に被検液分析用チップ打抜箇所が形成されたものであったが、上下に複数列形成したものであっても良い。
【0059】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100・・・被検液分析用チップ
Z ・・・濃度測定装置(測定機器)
2 ・・・接触口
3 ・・・分析部
4 ・・・移送路
1a ・・・一方の長手側辺部
101・・・突起部
1b ・・・他方の長手側辺部
102・・・第1凹部(凹部)
1c ・・・長手方向先端部
1d ・・・長手方向後端部
103・・・誤挿入防止凸部
104・・・第2凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検液を分析するための被検液分析用チップであって、
平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口と、前記被検液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して毛細管現象により被検液を分析部に移送する移送路とを備え、
前記接触口が、一方の長手側辺部において平面視外側に突出した突起部に形成されており、他方の長手側辺部に、平面視において前記突起部と対応する形状の凹部が形成されていることを特徴とする被検液分析用チップ。
【請求項2】
前記一方の長手側辺部の平面視における輪郭形状が、前記他方の長手側辺部の平面視における輪郭形状と略同一である請求項1記載の被検液分析用チップ。
【請求項3】
測定機器内に挿入される長手方向先端部とは反対側の長手方向後端部において、一方の長手側辺部又は他方の長手側辺部の少なくとも一方に前記測定機器への誤挿入防止凸部が形成されており、当該誤挿入防止凸部が形成された長手側辺部とは反対側の長手側辺部において、前記誤挿入防止凸部と対応する形状の第2凹部が形成されている請求項1又は2記載の被検液分析用チップ。
【請求項4】
前記第2凹部の平面視における輪郭形状が、前記誤挿入防止凸部の平面視における輪郭形状と略同一である請求項3記載の被検液分析用チップ。
【請求項1】
被検液を分析するための被検液分析用チップであって、
平面視概略長尺形状をなすものであり、被検液が接触する接触口と、前記被検液を分析するための分析部と、前記接触口及び前記分析部を連通して毛細管現象により被検液を分析部に移送する移送路とを備え、
前記接触口が、一方の長手側辺部において平面視外側に突出した突起部に形成されており、他方の長手側辺部に、平面視において前記突起部と対応する形状の凹部が形成されていることを特徴とする被検液分析用チップ。
【請求項2】
前記一方の長手側辺部の平面視における輪郭形状が、前記他方の長手側辺部の平面視における輪郭形状と略同一である請求項1記載の被検液分析用チップ。
【請求項3】
測定機器内に挿入される長手方向先端部とは反対側の長手方向後端部において、一方の長手側辺部又は他方の長手側辺部の少なくとも一方に前記測定機器への誤挿入防止凸部が形成されており、当該誤挿入防止凸部が形成された長手側辺部とは反対側の長手側辺部において、前記誤挿入防止凸部と対応する形状の第2凹部が形成されている請求項1又は2記載の被検液分析用チップ。
【請求項4】
前記第2凹部の平面視における輪郭形状が、前記誤挿入防止凸部の平面視における輪郭形状と略同一である請求項3記載の被検液分析用チップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−127925(P2012−127925A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282245(P2010−282245)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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