被災者捜索支援システム
【課題】救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合に、その携帯端末装置を捜索の対象とする。
【解決手段】被災者と救助者はいずれも携帯端末装置100を所持する。また、救助者は携帯端末捜索装置を所持する。携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードと救助者モード1と救助者モード2のいずれか1つを記憶する。携帯端末捜索装置は、捜索活動中に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードが記憶されている場合に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、または、携帯端末動作種別109として救助者モード1が記憶されている場合に二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、応答信号を返信し、アラーム音を発する。
【解決手段】被災者と救助者はいずれも携帯端末装置100を所持する。また、救助者は携帯端末捜索装置を所持する。携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードと救助者モード1と救助者モード2のいずれか1つを記憶する。携帯端末捜索装置は、捜索活動中に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードが記憶されている場合に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、または、携帯端末動作種別109として救助者モード1が記憶されている場合に二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、応答信号を返信し、アラーム音を発する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震や雪崩等の災害発生時に、崩壊した建物の下にいる被災者や雪に埋もれて救助を必要とする遭難者の捜索を支援する被災者捜索支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震や津波等により、家屋やビル等の建造物が倒壊すると、倒壊した建造物の中に閉じ込められた被災者の早期発見と早期救助のため、人手や重機はもとより、救助犬や救助ロボットを使っての捜索が実施される。その際、閉じ込められた被災者が携帯電話を所持している場合、携帯電話を用いて外部への救助連絡を行うことが考えられるが、地震により携帯電話の無線基地局が損壊して携帯電話が使用できないケースや、被災者が意識不明となっているケースではそもそも救助を要請できない。
また、雪崩等に合って雪に埋もれた遭難者も同様に携帯電話で救助を要請することができない。
【0003】
一方、特許文献1には、携帯電話本体と、放送電波を受信できる放送電波受信器と、捜索用電波を発信できる小電力発信器とから構成される携帯端末装置により、携帯電話の無線基地局が使用できないときには、放送電波で送られてくる捜索信号をトリガーにして、携帯端末装置の小電力発信器から捜索用電波を自動発信する発明が開示されている。
特許文献2には、携帯電話に加速度を検知する加速度センサを設け、加速度センサの揺れ情報が一定時間閾値以下になった場合、携帯電話を所持する者に異常が発生したと判断し、異常発生を通知する手段を有する異常検知支援システムが開示されている。
【0004】
更に、非特許文献1には、災害時捜索支援システムとしてRFID(Radio Frequency Identification:無線による個体識別技術、無線タグ)を活用するシステムの有効性が報告されている。非特許文献1では、950MHz帯のパッシブタグシステムおよびアクティブタグシステムの基礎特性、障害物を通した読み取り実験、電波干渉実験等が報告されており、災害時捜索システムにRFIDを用いる場合の課題と各種提言がなされている。
また、非特許文献1では、携帯電話は所有率が高く日常的に所持されており、随意的に充電がされるので、アクティブタグとアクティブタグ専用の副電池を携帯電話に内蔵し、携帯電話本体の電池から副電池を充電しながら、携帯電話本体の電池消耗後は、アクティブタグ機能のみを副電池で動作させることも考えられるという報告がなされている。
【0005】
RFIDはさまざまな機関で標準化が進められている。例えば、2009年2月に米国電気電子学会(IEEE)が規格認可したLF(長波)帯にあたる131.07kHzの周波数を利用する無線通信技術規格IEEE1902.1に準拠したアクティブタグは、最大通信距離が5メートルの低消費電力型アクティブタグであり、水や金属などを隔てての通信が可能といった特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-282553号公報
【特許文献2】特開2009−159239号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「地域における安心安全のためのRFIDの利活用に関する調査検討報告書」、総務省信越総合通信局、平成23年3月、 http://www.soumu.go.jp/soutsu/shinetsu/sbt/kenkyu/rfid/rfid_zenpen.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、小電力発信器を動作させる信号として、捜索対象者が所持している携帯端末装置のみを起動させる個別用起動信号と、全ての携帯端末装置を起動させる一斉用起動信号が提案されている。
しかし、地震等の被災地での救助活動では、救助を必要とする被災者が所有している携帯端末装置を特定できない状況での救助活動がほとんどであり、個別用起動信号が使用できるケースは非常に少ない。また、救助活動中に二次災害が発生し、救助にあたる救助者自身が被災者となる可能性を考慮すると、救助者も被災者の捜索支援用の携帯端末装置を所持しての救助活動が望ましい。しかしながら、二次災害が発生していない場合に一斉用起動信号を用いると、被災者の携帯端末装置だけでなく、救助者の携帯端末装置も応答電波を発信してしまう。
【0009】
救助者に二次災害が発生したとき、特許文献2記載の異常検知支援システムを用いて救助者の異常を通知することができる。しかし、この異常検知支援システムは、携帯電話を所持する者に異常が発生したことを、通信回線を介して通知する。このため、この異常検知支援システムでは、地震等で携帯通信網が使用できない場合や、山岳地帯のように携帯電波の届きにくい場所で捜索に当たる場合、救助者に二次災害が発生しても、救助者の異常を通知することはできない。
【0010】
本発明は、アクティブタグを利用した捜索支援機能を有する携帯端末装置を含み、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる被災者捜索支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の被災者捜索支援システムは、
複数の携帯端末装置と携帯端末捜索装置とを有する被災者捜索支援システムであって、
前記携帯端末装置が無線タグを含み、当該無線タグは、
ユニークに割り当てられた無線タグ識別番号を記憶する無線タグ識別番号記憶手段と、
探索される側であることを示す一般モードと、第1の災害が発生したとき探索する側であり、当該第1の災害に続いて第2の災害が発生したとき探索される側となることを示す第1の救助者モードと、当該第2の災害が発生したとき探索する側であることを示す第2の救助者モードのいずれか一つを携帯端末動作種別として記憶する携帯端末動作種別記憶手段と、
前記携帯端末捜索装置から送信された第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を受信することができる救助要否問合せ信号受信手段と、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、前記無線タグ識別番号記憶手段によって記憶された無線タグ識別番号を含む応答信号を送信する応答信号送信手段と、
を備え、
前記携帯端末捜索装置は、
前記携帯端末装置に第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を送信することができる救助要否問合せ信号送信手段と、
前記携帯端末装置から送信された応答信号を受信する応答信号受信手段と、
前記応答信号受信手段によって受信された応答信号に含まれる無線タグ識別番号により、前記応答信号を送信した携帯端末装置を特定し、当該無線タグ識別番号および/または特定された当該携帯端末装置に関する情報を表示する表示手段と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、
前記携帯端末装置は、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、アラーム音を鳴動するアラーム音鳴動手段を備えることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、
前記携帯端末捜索装置は、
前記アラーム音鳴動手段によって鳴動されたアラーム音を検出するアラーム音検出手段を備え、
前記表示手段が、前記アラーム音検出手段によってアラーム音が検出されたことにより、探索対象の携帯端末装置が存在することを示す情報を表示する、
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、
前記携帯端末装置は、
音声とデータを送受信することができる携帯電話と、
前記無線タグに電流を供給する第1の電池と、
前記携帯電話に電流を供給する第2の電池と、
を備え、
前記携帯電話がオフの状態、または前記第2の電池が切れている状態であっても、前記第1の電池を用いて、前記アラーム音鳴動手段がアラーム音を鳴動することができる、
ことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、本発明の被災者捜索支援システムは、
前記携帯電話が、前記携帯端末動作種別を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により前記無線タグに送信する携帯端末動作種別情報送信手段を備え、
前記無線タグが、前記携帯端末動作種別情報送信手段によって短距離無線通信により送信される携帯端末動作種別情報を受信する携帯端末動作種別情報受信手段を備え、
前記携帯端末動作種別記憶手段が、前記携帯端末動作種別情報受信手段によって受信された携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別を記憶する、
ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、本発明の被災者捜索支援システムは、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として前記第1の救助者モードまたは前記第2の救助者モードが記憶されているとき、当該第1の救助者モードまたは当該第2の救助者モードが記憶されてから所定の時間が経過したとき、あるいは所定の時刻に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された前記携帯端末動作種別を一般モードに変更する携帯端末動作種別変更手段を備えることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、
前記無線タグは、加速度を検出する加速度センサを備え、
前記携帯端末動作種別変更手段が、前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて前記携帯端末装置の動きの有無を判別し、動き無しと判別された場合に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された携帯端末動作種別を一般モードに変更する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末捜索装置の構成の一例を示す図である。
【図3】携帯端末装置に電源が投入されたとき、携帯端末動作種別を設定する処理フローの一例を示す図である。
【図4】救助活動を開始するにあたり、救助者が所持する携帯端末装置の携帯端末動作種別を「救助者モード1」に設定する処理フローの一例を示す図である。
【図5】救助者(「探索側」)が所持する携帯端末種別を携帯端末捜索装置から書き換える処理フローの一例を示す図である。
【図6】携帯端末捜索装置を用いて、救助が必要な人が所持する携帯端末装置を捜索する処理フローの一例を示す図である。
【図7】AとBとXの3名が携帯端末装置をそれぞれ所持しているときに、一次災害が発生してXが被災し、AとBが捜索活動中に二次災害が発生して捜索にあたっていたBが被災した場合の捜索活動において、捜索段階ごとの携帯端末装置と携帯端末捜索装置との関連の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図11】携帯端末装置で管理される加速度情報の一例を示す図である。
【図12】携帯端末装置を所持する捜索者が、二次災害に遭遇したか否かを監視する二次災害遭遇監視処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る被災者捜索支援システムについて添付図面を参照して説明する。
図1〜図7は、本発明の第1の実施形態に係る被災者捜索支援システムを例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る被災者捜索支援システムは、携帯端末装置100と携帯端末捜索装置200とで構成される。
携帯端末装置100は、捜索される側(以下、「被探索側」と称する)の被災者が所持するだけでなく、捜索する側(以下、「探索側」と称する)の救助者も所持する装置である。携帯端末捜索装置200は探索側が所持する。
携帯端末装置100は、「被探索側」の被災者が所持しているか、または「探索側」の救助者が所持しているかを区別するための情報を、携帯端末動作種別109として記憶する。携帯端末動作種別109は、探索される側であることを示す一般モードと、一次災害が発生したとき探索する側であり、二次災害が発生したとき探索される側となることを示す救助者モード1と、二次災害が発生したとき探索する側であることを示す救助者モード2の3種類である。
携帯端末捜索装置200は、捜索活動中に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。
携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードが記憶されている場合には一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して応答信号を返信するとともにアラーム音を発する。また、携帯端末動作種別109として救助者モード1が記憶されている場合には二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、応答信号を返信するとともにアラーム音を発する。
【0022】
携帯端末動作種別109の初期状態は一般モード(被探索側)となっており、災害発生後の捜索活動開始時に、探索側の救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を救助者モード1(探索側)に変更してから捜索活動を開始する。
携帯端末装置100の無線部102が、携帯端末捜索装置200によって送信された一次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、一般モードの携帯端末装置100は応答信号を返信するとともにアラーム音を発するが、救助者モード1と救助者モード2の携帯端末装置100は応答信号を返信せず、アラーム音も発しない。
二次災害が発生して探索側の救助者の一部が二次災害に巻き込まれると、二次災害に巻き込まれなかった救助者は、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を救助者モード2(探索側)に変更してから捜索活動を再開する。携帯端末装置100の無線部102が、携帯端末捜索装置200によって送信された二次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、一般モードと救助者モード1(被探索側)の携帯端末装置100は応答信号を返信するとともにアラーム音を発するが、救助者モード2(探索側)の携帯端末装置100は応答信号を返信せず、アラーム音も発しない。
救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合、その者の所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は救助者モード1に設定されているため、携帯端末捜索装置200から二次災害用救助要否問合せ信号を送信することにより、その携帯端末装置200を捜索の対象とすることができる。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置100の構成の一例を示し、図2は本発明の実施形態に係る携帯端末捜索装置200の構成の一例を示す。なお、携帯端末捜索装置200は、後述する第2〜第4の実施形態でも用いられる。
携帯端末装置100は、図1に示すように、無線タグ101と携帯電話110とで構成され、それぞれ無線タグ用電池107と携帯電話用電池119から電源供給される。
無線タグ101は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ101は、図2に示す携帯端末捜索装置200から送信される一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号に応答して応答信号を返信する。
無線タグ101は、無線部102と、アンテナ103と、制御部104と、携帯電話I/F(インタフェース)部105と、メモリ106とを有している。
無線部102とアンテナ103は、携帯端末捜索装置200との間で無線により信号を送受信する。
携帯電話I/F部105は、携帯電話110とのインタフェースを司る。
メモリ106は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含む。メモリ106は、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等の各種データを記憶している。なお、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等はフラッシュメモリのような書き換え可能な不揮発性メモリに格納されることが望ましい。
制御部104は、無線部102と携帯電話I/F部105とを制御する。
【0024】
無線タグ識別番号108は、個々の携帯端末装置100に搭載される無線タグ101に対してユニークに付与される番号であり、携帯電話110の携帯電話番号と対応付けて管理される。
また、携帯端末動作種別109は、上述したように、「一般モード」と「救助者モード1」と「救助者モード2」の3つの種別から構成される。被災者の捜索あるいは救助に携わる救助者(探索側)が所持する携帯端末装置100には、後述する図4もしくは図5の処理フローにより「救助者モード1」または「救助者モード2」が設定される。「救助者モード1」と「救助者モード2」は、ともに、救助者を識別する情報である。「救助者モード1」は捜索開始時点に設定されるモードで、「救助者モード2」は捜索中に二次災害が発生した後の捜索再開時点で設定されるモードである。
【0025】
携帯端末装置100に含まれる携帯電話110は、例えば、公衆移動通信網で使用される移動電話である。また、携帯電話110は、簡易型携帯電話と呼ばれるPHS(Personal Handy-phone System)であっても良い。
携帯電話110は、無線タグI/F部111と、制御部112と、無線部113と、アンテナ114と、アラーム鳴動部115と、スピーカ116と、入出力部117と、メモリ118とを有している。
無線タグI/F部111は、無線タグ101とのインタフェースを司る。
無線部113とアンテナ114は、携帯電話の基地局と無線によりデータや音声等を送受信する。
アラーム鳴動部115とスピーカ116は、無線タグ101が携帯端末捜索装置202からの一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したときにアラームを鳴らす。
入出力部117は、キーボードやタッチパネル等の入力装置と、ディスプレイや音声用スピーカ等の出力装置を含み、ユーザインタフェースを司る。なお、音声用スピーカとしてアラームを鳴動させるためのスピーカ116を用いてもよい。
メモリ118は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等を含む。メモリ118は、電話帳等の各種のデータを記憶している。
制御部112は、無線タグI/F部111と無線部113とアラーム鳴動部115と入出力部117とを制御する。
【0026】
携帯端末捜索装置200は、携帯端末装置100の探索を行う装置である。携帯端末捜索装置200は、図2に示すように、入出力部201と、制御部202と、無線部203と、アンテナ204と、アラーム音源識別部205と、集音マイク206と、GPS測位部207と、時計部208と、メモリ210とを有している。
入出力部201は、キーボードやタッチパネル等の入力装置と、ディスプレイや音声用スピーカ等の出力装置を含み、ユーザインタフェースを司る。
無線部203とアンテナ204は、携帯端末装置100の無線タグ101と無線により信号を送受信する。
集音マイク206は、携帯端末装置100から発せられるアラーム音を集音する。アラーム音源識別部205は、集音マイク206により集音された音が、携帯端末装置100から発せられるアラーム音と一致するか否かを識別する。
GPS測位部207は、GPS(Global
Positioning System)衛星等から送信される電波を受信し、携帯端末捜索装置200の位置を示す位置情報を求める。
時計部208は、現在の時刻を計時する。
メモリ210は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等を含む。メモリ210は、救難信号検出情報211と端末種別書き換え情報212等を記憶している。なお、救難信号検出情報211と端末種別書き換え情報212等はフラッシュメモリや、ハードディスクのような書き換え可能な不揮発性メモリに格納することが望ましい。
制御部202は、入出力部201と無線部203とアラーム音源識別部205とGPS測位部207と時計部208とを制御する。
【0027】
携帯端末捜索装置200の制御部202は、携帯端末装置100の無線タグ101からの応答信号を受信したとき、あるいは携帯端末装置100のスピーカ116からのアラーム音を受けたときには、GPS測位部207と時計部208からそれぞれ位置情報と現在時刻を取得する。応答信号を受信したときには、制御部202は、更に、応答信号に含まれる無線タグ識別番号108を取得する。
制御部202は、無線タグ識別番号108と位置情報と現在時刻(検出時刻)を含む救助信号検出情報211をメモリ210に格納する。ただし、アラーム音の場合は無線タグ識別番号108を知ることはできないため、救助信号検出情報211として位置情報と現在時刻(検出時刻)のみが格納され、無線タグ識別番号108は格納されない。
さらに、図5の説明で後述するが、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を携帯端末捜索装置200から書き換えることができる。どの携帯端末装置100の書き換えを行ったかを記録するため、書き換えを行った携帯端末装置100の無線タグ識別番号108と書き換え時刻との組を端末種別書き換え情報212としてメモリ210に記録する。
【0028】
次に、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109の設定方法を、図3、図4、および図5を用いて説明する。
図3は、携帯端末装置100に電源が投入されたときの処理フローの一例を示す。
携帯端末所持者によって携帯電話110の電源が投入されると(S101)、携帯電話110の制御部112は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「一般モード」に設定するよう、無線タグI/F部111から無線タグ101に指示する(S102)。携帯I/F部105が携帯電話110からの指示を受けると、無線タグ101の制御部104は無線タグ101の携帯端末動作種別109を「一般モード」に設定する(S103)。
【0029】
図4は、救助活動を開始するにあたり、救助にあたる側である救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定するときの処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は、救助活動開始時に、自分が所持する携帯端末装置100の携帯電話110の入出力部117を操作して、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する指示を入力する。入出力部117がその指示を受け付ける(S201)と、携帯電話110の制御部112は、携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定するよう、無線タグI/F部111から無線タグ101に指示する(S202)。携帯I/F部105が携帯電話110からの指示を受けると、無線タグ101の制御部104は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する(S203)。
これにより、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は「救助者モード1」に設定され、救助される側(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「一般モード」に設定されているため、両者を区別して取り扱うことが可能となる。
【0030】
また、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109の書き換えは、携帯端末捜索装置200からの指示でも実施できる。図5は、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末種別109を携帯端末捜索装置200から書き換える処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は、携帯端末捜索装置200の入出力部201から、自分が所持する携帯端末装置100の無線タグ識別番号108と、携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する指示とを入力する。携帯端末捜索装置200の入出力部201は無線タグ識別番号と「救助者モード1」への設定指示とを受け付ける(S301)。携帯端末捜索装置200の制御部202は、無線部203を用いて、無線タグ識別番号と「救助者モード1」への設定指示とを含む携帯端末動作書き換え指示を送信する(S302)。無線タグ101の無線部102が携帯端末動作書き換え指示を受信すると、無線タグ101の制御部104は、携帯端末動作書き換え指示に含まれる無線タグ識別番号と、携帯端末装置100のメモリ106に記憶されている無線タグ識別番号108とを比較する(S303)。ステップS303で無線タグ識別番号が一致する場合(S303:Yes)、制御部104は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定し、設定したことを携帯端末捜索装置200に通知する(S304)。携帯端末捜索装置200の無線部203がその通知を受信すると、携帯端末捜索装置200の制御部202は、端末種別書き換え情報212に、無線タグ識別番号108と時計部208で計測した書き換え時刻を格納する(S305)。
一方、ステップS303で無線タグ識別番号が一致しない場合(S303:No)、無線タグ101の制御部104は処理を終了する。
【0031】
処理フローを用いた説明は行わないが、救助活動が終了した時点で、図4または図5と同じ処理フローにより、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「一般モード」に再設定する。これは、救助活動後に、救助者自身が災害に遭遇して、救助される側(「被探索側」)になるケースを想定したものである。
また、救助活動中に二次災害に遭遇し、救助されないまま救助活動が中断されると、二次災害に遭遇した救助者(「被探索側」)が所持していた携帯端末装置100の携帯端末動作種別が「救助者モード1」のまま残ってしまう。このため、図4および図5には記載していないが、携帯端末動作種別109が「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」に設定された場合は、所定の時間(例えば10時間)の経過をもって、または所定の時刻(例えば、真夜中の12時)に、初期値である「一般モード」に自動的に書き換える処理を無線タグ101の制御部104に行わせることが望ましい。一定時間経過後も、救助活動が継続している場合は、救助活動を行っている救助者の携帯端末動作種別108を、再度図4あるいは図5により「救助者モード1」もしくは「救助者モード2」に設定することで、継続的な救助活動が可能である。
【0032】
図6は、携帯端末捜索装置200を用いて、救助が必要な人が所持する携帯端末装置100を捜索する処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は捜索を開始するとき、携帯端末捜索装置200の入出力部201を用いて救助要否問合せ信号を送信する指示を入力する。携帯端末捜索装置200の制御部104は、その指示に応答して無線部203を用いて一次災害用救助要否問合せ信号を送信する(S401)。なお、二次災害が発生し、捜索(救助)に当たっている救助者(「探索側」)の一部がそれに巻き込まれて救助される側(「被探索側」)となり、捜索を再開する場合には、制御部104は、ステップS401において二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。
【0033】
被災者(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の無線部102が、ステップS401で携帯端末捜索装置200によって送信された一次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、無線タグ101の制御部104は、救助要否問合せ信号が一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号のいずれであるかを判別する(S402)。
この場合は、「一次災害用救助要否問合せ信号」であるため(S402:Yes)、制御部104は、メモリ109に記憶されている携帯端末動作種別109を読出し、携帯端末動作種別109が「一般モード」であるか否かを判別する(S403)。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」ではない、すなわち「救助者モード1」の場合(S403:No)には処理を終了する。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」の場合(S403:Yes)には、救助要否問合せ信号(以下、救助要否問合せ信号という用語は、一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号のいずれかを意味するものとする。)の受信を知らせるため、無線タグ識別番号108を応答信号に設定して、無線部103から応答信号を送信する(S404)。また、制御部104は、携帯電話110に対し、アラーム鳴動を指示する(S405)。
【0034】
携帯端末捜索装置200の無線部203が、ステップS405で発信された無線タグ101からの応答信号を受信すると、携帯端末捜索装置200の制御部202は、受信した応答信号から無線タグ識別番号108を抽出し(S406)、抽出した無線タグ識別番号108、および/または無線タグ識別番号108によって特定される携帯端末装置100に関する情報を入出力部201に表示する(S407)。
そして、制御部202は、ステップS406で抽出した無線タグ識別番号108と、GPS測位部207で測位した位置情報と、時計部208で計時した時刻とを含む救難信号検出情報211をメモリ210に格納する(S408)。
【0035】
ステップS405で指示されたアラーム鳴動指示を携帯電話110が受けると、携帯電話110の制御部112は、アラーム鳴動部115を制御して、スピーカ116にアラーム音を鳴動させる(S409)。このアラーム音は、被災者(「被探索側」)に聞こえる可能性があり、救助者(「探索側」)が近くに来ているということで、被災者が声による救援要請等、別のアクションを起こす契機となったり、被災者を勇気づけることにつながるものである。ステップS409のアラーム鳴動は、電池の消費量を抑制するため、一定の時間のみ鳴動し、一定時間経過後は鳴動を停止する方式でも良い。
ステップS409で鳴動されたアラーム音が、携帯端末捜索装置200に到達すると、集音マイク206で集音された音を、アラーム音源識別部205で分析し、被災者が所持する携帯端末装置100が、救助要否問合せ信号を受信することで発しているアラーム音か否かを判別する(S410)。アラーム音ではないと判別された場合(S410:No)。制御部202は処理を終了する。アラーム音と判別された場合(S410:Yes)には、制御部202は、携帯端末装置100からアラーム音が発せられている、つまり救助を必要とする人(探索対象の携帯端末装置100)が存在することを示す情報を入出力部201に表示する(S411)。そして、制御部202は、GPS測位部207で測位した位置情報と、時計部208で計時した時刻とを含む救助信号検出情報211をメモリ210に格納する(S412)。ただし、アラーム音を鳴動させている携帯端末装置100を特定する無線タグ識別番号108の情報はないため、ステップS412では無線タグ識別番号108は格納しない。
【0036】
なお、本実施形態には記載していないが、ステップS408またはS412で格納された情報は、何らかの手段を用いて、災害管理センターに通知し、救助活動全体を統括する情報として使用するのが望ましい。また、別の厳重に管理された専用サーバに無線タグ識別番号108から個人を特定する情報、例えば所有者の氏名や携帯電話番号等を格納しておいてもよい。
ステップS408またはS412で被災者の存在が判明すると、救助活動が開始される。救助に当たっては、場所を特定する必要があるが、搭載する無線タグ101や携帯端末捜索装置200のアンテナの性能・仕様等に左右される内容であり、本発明の本質を左右するものではないため説明は割愛する。なお、電波の到達距離、指向性アンテナの活用、受信電波の強度等から捜索範囲を絞り込む既存技術が多数報告されている。
【0037】
災害救助活動は、常に二次災害と隣り合わせており、救助活動中の余震発生や雪崩発生等の二次災害で、救助者(「探索側」)自身が災害に巻き込まれてしまう場合がある。携帯端末動作種別の初期状態は「被探索側」である「一般モード」である。二次災害に巻き込まれたとき、救助に当たっていた人(探索側))が所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は通常「救助者モード1」に設定されている。
一次災害用救助要否問合せ信号に対しては、無線タグに記憶されている携帯端末動作種別が「一般モード」のとき、携帯端末100は「被探索側」として動作する。また、二次災害用救助要否問合せ信号に対しては、無線タグに記憶されている携帯端末動作種別が「一般モード」および「救助者モード1」のとき携帯端末100は「被探索側」として動作する。
【0038】
災害発生後の捜索活動開始時に、捜索に当たる救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「探索側」である「救助者モード1」に変更してから捜索活動が開始され、携帯端末捜索装置200から一次災害用救助要否問合せ信号を送信して捜索活動が実施される。
捜索活動中に二次災害が発生して、今まで捜索に当たっていた人が災害に巻き込まれると、詳細な説明は省略するが、新たな救助者(「探索側」)または継続して捜索に当たる救助者は、所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を、図4もしくは図5と同様な処理により、二次災害発生後の「探索側」である「救助者モード2」に設定してから捜索を再開する。再開後は、携帯端末捜索装置200から二次災害用救助要否問合せ信号を送信して捜索活動が実施される。
二次災害に遭遇した今まで捜索に当たっていた人が所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「救助者モード1」のままであり、「二次災害用救助要否問合せ信号」に対して「被探索側」として動作する。
【0039】
二次災害発生後の捜索では、ステップS401で設定する救助要否問合せ信号として、「二次災害用救助要否問合せ信号」を設定して、アンテナ204から発信する。二次災害用救助要否問合せ信号を、いままで救助に当たっていて(「探索側」)二次災害に遭遇してしまった人(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の無線タグ101が受信すると、制御部104は、ステップS402で「一次災害用救助要否問合せ信号」ではない、すなわち「二次災害用救助要否問合せ信号」であると判別する(S402:No)。
そして、制御部104は、メモリ109に記憶されている携帯端末動作種別109を読出し、携帯端末動作種別109が「救助者モード2」であるか否かを判別する(S403)。制御部104は、携帯端末動作種別109が「救助者モード2」の場合(S403:Yes)には処理を終了する。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」または「救助者モード1」の場合(S413:No)には、ステップS404に進み、携帯端末捜索装置200に救助要否問合せ信号の受信を知らせる。
これにより、新たな救助者(「探索側」)に、二次災害用救助要否問合せ信号が届く範囲内に二次災害に遭遇した救助者「被探索側」が「存在」していることを知らせることができる。
なお、本実施形態では、二次災害発生までを考慮しているが、携帯端末動作種別および救助要否問合せ信号をそれぞれ追加することで、容易に三次災害以上の副次災害発生に対応できる。
【0040】
図7は、AとBとXの3名が携帯端末装置100をそれぞれ所持しているときに、一次災害が発生してXが被災し、AとBが捜索活動中に二次災害が発生して捜索にあたっていたBが被災した場合の捜索活動において、捜索段階ごとの携帯端末装置100と携帯端末捜索装置200との関連の一例を示す。
災害発生前(S501)の段階では、AとBとXの所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109はすべて「一般モード」である。
一次災害が発生し、Xが一次災害に巻き込まれる(S502)と、災害救助隊が編成されて救助活動が開始される。救助隊のメンバにAとBが選ばれると、一次災害発生後の救助準備として、AとBの携帯端末装置100の携帯端末動作種別109に、「救助者モード1」を設定する(S503)。
次に、一次災害発生後の捜索活動を開始し、救助者Aあるいは救助者Bが携帯端末捜索装置200を操作して一次災害用救助要否問合せ信号を送信する(S504)。一次災害用救助要否問合せ信号は、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xの携帯端末装置100が受信可能である。
【0041】
捜索活動中に二次災害が発生し、捜索にあたっていた救助者Bが二次災害に巻き込まれたとする(S505)。このとき、二次災害で被災しなかった救助者Aが携帯端末捜索装置200を操作して一次災害用救助要否問合せ信号を発信して二次災害発生後の捜索活動(その1)を行う(S506)と、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xの携帯端末装置100は一次災害用救助要否問合せ信号を受信可能であるが、二次災害に被災した救助者B(「被探索側」)の携帯端末装置100は受信できないという問題が発生する。
そこで、二次災害発生後の救助準備として、救助者Aの携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード2」に設定し(S507)、二次災害発生後の捜索活動(その2)を再開する(S508)。救助者Aが携帯端末捜索装置200を操作して二次災害用救助要否問合せ信号を発信すると、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xはもとより、携帯端末動作種別109が「救助者モード1」である二次災害に被災した救助者B(「被探索側」)も、ともに受信可能となり、二次災害用救助要否問合せ信号が届く範囲内に一次災害で被災したXも、二次災害で被災したBも、ともに「存在」していることを救助者Aに知らせることができる。
図7の例では、ステップS505で二次災害が発生したことは、被災しなかった救助者Aが知ることができる。しかしながら、救助者全員が二次災害に巻き込まれた場合は、捜索活動全体を管理する部署での把握が必要になってくるが、本発明の対象外である。
【0042】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置300の構成の一例を示す。
携帯端末装置300は、無線タグ301とアラーム鳴動部115とスピーカ116とで構成され、無線タグ用電池107から電源供給される。無線タグ301は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ301は、無線部102と、アンテナ103と、メモリ106と、制御部302とを有している。メモリ106は、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等の各種データを記憶している。携帯端末装置300と携帯端末装置100において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置300は、第1の実施形態に係る携帯端末装置100が無線タグ101と携帯電話110とを合体させているのに対し、携帯電話110を含まず、無線タグ301にアラーム鳴動機能を持たせた点が異なる。
無線タグ301は、携帯端末装置100に含まれる無線タグ101とほぼ同様の構成であり、携帯電話100で行っていたアラーム鳴動を無線タグ301に取り込んでいる。このため、無線タグ101における携帯電話I/F部105は無く、制御部302がアラーム鳴動部115を制御する。
また、無線タグ301では、図3と図4で示した、携帯電話の電源投入時における、または携帯電話110の入出力部117からの操作による携帯端末動作種別109の書き換えは行われない。救助者が所持する携帯端末装置300の携帯端末動作種別109の書き換えは、図5で示した携帯端末捜索装置200からの指示により実現される。
【0043】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る携帯端末装置400の構成の一例を示す。
携帯端末装置400は、無線タグ401と携帯電話110とで構成され、それぞれ無線タグ用電池107と携帯電話用電池119から電源供給される。
無線タグ401は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ401は、無線部102と、アンテナ103と、携帯電話I/F(インタフェース)部105と、メモリ106と、制御部402と、加速度センサ部403とを有している。
携帯端末装置400と第1の実施形態に係る携帯端末装置100とにおいて、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置400は、加速度を検出する加速度センサ部403を有し、加速度センサ部403によって測定された加速度の数値を示す加速度情報404をメモリ106に記憶する点が第1の実施形態に係る携帯端末装置100と異なる。
なお、制御部402は、無線部102と携帯電話I/F部105に加えて加速度センサ部403を制御する。
【0044】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る携帯端末装置500の構成の一例を示す。
携帯端末装置500は、無線タグ501とアラーム鳴動部115とスピーカ116とで構成され、無線タグ用電池107から電源供給される。無線タグ501は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ501は、無線部102と、アンテナ103と、メモリ106と、制御部502と、加速度センサ部403とを有している。
携帯端末装置500と第2の実施形態に係る携帯端末装置300とにおいて、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置500は、加速度を検出する加速度センサ部403を有し、加速度センサ部403によって測定された加速度の数値を示す加速度情報404をメモリ106に記憶する点が第2の実施形態に係る携帯端末装置300と異なる。
なお、制御部502は、無線部102とアラーム鳴動部115に加えて加速度センサ部403を制御する。
【0045】
図11は、携帯端末装置400および携帯端末装置500で管理される加速度情報404の構成の一例を示す。
加速度情報404は、収集カウンタ(n)601と、収集カウンタ(n)601で索引される情報格納フィールドである加速度(0)〜加速度(n)606等から構成される。収集カウンタ(n)601は、携帯端末装置400または携帯端末装置500の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」または「救助者モード2」を設定する時に、0に初期設定される。
処理フローには記載しないが、図4に示したように、救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する処理フローでは、ステップS203の無線タグ101の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」を設定した後、収集カウンタ(n)601は0に初期設定される。
また、図5に示したように、携帯端末捜索装置200からの指示により、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する処理フローでは、ステップS304の無線タグ101の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」を設定した後、収集カウンタ(n)601は0に初期設定される。
【0046】
図12は、携帯端末装置400または携帯端末装置500を所持する捜索者が、二次災害に遭遇したか否かを監視する二次災害遭遇監視処理の一例を示す。
図12に示す二次災害遭遇監視処理は、携帯端末装置400の制御部402、または携帯端末装置500の制御部502において一定時間間隔で実施される。図12の処理フローでは、連続して(例えば「5回」=「5分」連続して)加速が検出されなかった場合は、救助に当たっていた人(探索側)が二次災害に遭遇したと判断される。
二次災害遭遇監視処理が起動されると、制御部402または制御部502は、まず携帯端末動作種別109が「一般モード」か否かを判別し(S601)、携帯端末動作種別109が「一般モード」の場合(S601:Yes)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS601で、携帯端末動作種別109が「一般モード」ではない、すなわち「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」と判別される(S601:No)と、制御部402または制御部502は、加速度情報404の収集カウンタ(n)601を抽出し(S602)、加速度センサ部403から、加速度を収集する(S603)。そして、制御部402または制御部502は、抽出された収集カウンタ(n)601でインデックスされたテーブルに、ステップS603で収集した加速度を格納し(S604)、加速度情報404の収集カウンタ(n)601に格納されている値を1だけ増加させる(S605)。
【0047】
次に収集カウンタ(n)601の値が「5」以上であるか否かを判別し(S606)、「5」より小さい場合(S606:No)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS606は、加速度を収集し始めてから「5回」=「5分」経過しているか否かを判定するものである。
ステップS606で収集カウンタ(n)601の値が「5」以上である場合(S606:Yes)は、制御部402または制御部502は、加速度情報404に格納されている、現在を含む過去5回分の加速度(n,n-1,n-2,n-3,n-4)を抽出し(S607)、5回分の加速度が全て所定のしきい値以下であるか否かを判別する(S608)。ステップS608で、5回分の加速度のいずれかが所定のしきい値より大きい、すなわちなんらかの動きがあると判別された場合(S608:No)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS608で、5回分の加速度が全て所定のしきい値以下である、すなわち5回とも動き無しと判別された場合(S608:Yes)、救助に当たっていた人(探索側)が二次災害に遭遇したと判断して、無線タグ401または携帯端末装置500の携帯端末動作種別109に、「一般モード」を設定し(S609)、二次災害遭遇監視処理を終了する。
ステップS609で、携帯端末動作種別が「救助者モード1」または「救助者モード2」から「一般モード」に自動的に切り替わることで、今まで探索側であった人が救助を必要とする人(被探索側)となる。
【0048】
二次災害遭遇監視処理のステップS608で実施する「加速度の分析」により、制御部402または制御部502が今まで探索側であった人が二次災害に遭遇したと判断するためには時間が必要である。
二次災害遭遇後の救出活動を迅速に行う意味で、第1の実施形態で説明した、携帯端末動作種別109の「救助者モード」および携帯端末捜索装置200から発信される「救助要否問合せ信号」を複数用いる方法と、第3および第4の実施形態で示した、加速度センサを用いて二次災害に遭遇したか否かを自動判定する方法とを併用することで、災害に遭遇した人の捜索を迅速に行えるシステムを構築できる。
【0049】
なお、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話110の電源がオフの状態であっても、アラーム鳴動部115が動作できるのが望ましい。これは、無線タグ用電池107からアラーム鳴動部115に電流を直接供給する方法と、携帯電話I/F部105から無線タグI/F部111を介して、携帯電話用電池119からアラーム鳴動部115への電流の供給をオンにする機能を、携帯電話110に装備する方法があり、両方法とも容易に実現可能である。
同様に、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話用電池119が切れている状態であっても、アラーム鳴動部115が動作できるのが望ましい。これは、無線タグ用電池107からアラーム鳴動部115に電流を直接供給する方法により容易に実現可能である。
また、無線タグ用電池107と携帯電話用電池119を別々に設けるのではなくて、無線タグ101(または無線タグ401)と携帯電話110の両方に電流を供給する共通の電池を設け、携帯電話110を使用しないときには携帯電話110への電流の供給をオフとするのでもよい。
【0050】
また、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話I/F部105と無線タグI/F部111のやり取りを、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信により実現することで、携帯電話110とは独立した装置として実現することも可能である。例えば、携帯電話110は、携帯端末動作種別109を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により無線タグ101または無線タグ401に送信する。そして、無線タグ101または無線タグ401は、短距離無線通信により送信された携帯端末動作種別情報を受信し、受信した携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別108をメモリ106に記憶させる。ただし、この場合は、無線タグ用電池107から携帯電話110へのアラーム鳴動を目的とした電源供給はできないのは言うまでもない。
また、無線タグ101、無線タグ401、無線タグ301、および無線タグ501に関し、性能や使用する無線周波数帯が異なる複数の無線タグを搭載して装置を構成しても良い。
【0051】
また、上述した実施形態では、携帯端末捜索装置200は、集音マイク206とアラーム音源識別部205を有するとしたが、携帯端末捜索装置200は、集音マイク206とアラーム音源識別部205を有していなくてもよい。携帯端末捜索装置200に集音マイク206とアラーム音源識別部205が無くても、救助者(探索側)は、携帯端末装置100から発せられるアラーム音を聞くことにより、救助対象者の存在を知ることができる。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる。すなわち、救助される側(「被探索側」)と救助する側(「探索側」)の双方が携帯端末装置を所持していても、救助活動開始時に、救助する側(「探索側」)の携帯端末動作種別を「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」にモード設定を変更することで、携帯端末捜索装置からの問合せに対して、救助される側(「被探索側」)の「一般モード」に設定されている携帯端末装置のみから応答させることができるため、真に救助を求めている人のみを対象にして捜索に当たることができる。
【0053】
また、携帯端末捜索装置からの無線による問合せに対し、無線で応答するだけでなく、アラーム音による応答も合わせて行うため、救助者に発見してもらえる可能性が高まることになる。さらに、無線による問合せ信号に対してアラーム音を発生させるため、第3者が悪意を持って携帯端末装置所持者を特定しようとしても、その行為を容易に所持者ならびに周辺の人たちに知らしめることができるため、悪意を持っての携帯端末捜索装置の使用を抑止することができる。
また、日常的に使用する携帯電話と緊急時に使用するRFIDタグとを携帯端末装置に組み込むことにより、被災者が災害発生時に携帯端末装置を所持している可能性を高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
100、300、400、500…携帯端末装置、101、301、401、501…無線タグ、102…無線タグの無線部、103…無線タグのアンテナ、104、302、402、502…無線タグの制御部、105…携帯電話インタフェース部、106…無線タグのメモリ、107…無線タグ用電池、108…無線タグ識別番号、109…携帯端末動作種別、110…携帯電話、111…無線タグインタフェース部、112…携帯電話の制御部、113…携帯電話の無線部、114…携帯電話のアンテナ、115…アラーム鳴動部、116…スピーカ、117…携帯電話の入出力部、118…携帯電話のメモリ、119…携帯電話用電池、200…携帯端末捜索装置、201…携帯端末捜索装置の入出力部、202…携帯端末捜索装置の制御部、203…携帯端末捜索装置の無線部、204…携帯端末捜索装置のアンテナ、205…アラーム音源識別部、206…集音マイク、207…GPS測位部、208…計時部、210…携帯端末捜索装置のメモリ、211…救助信号検出情報、212…端末種別書き換え情報、403…加速度センサ部、404…加速度情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震や雪崩等の災害発生時に、崩壊した建物の下にいる被災者や雪に埋もれて救助を必要とする遭難者の捜索を支援する被災者捜索支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震や津波等により、家屋やビル等の建造物が倒壊すると、倒壊した建造物の中に閉じ込められた被災者の早期発見と早期救助のため、人手や重機はもとより、救助犬や救助ロボットを使っての捜索が実施される。その際、閉じ込められた被災者が携帯電話を所持している場合、携帯電話を用いて外部への救助連絡を行うことが考えられるが、地震により携帯電話の無線基地局が損壊して携帯電話が使用できないケースや、被災者が意識不明となっているケースではそもそも救助を要請できない。
また、雪崩等に合って雪に埋もれた遭難者も同様に携帯電話で救助を要請することができない。
【0003】
一方、特許文献1には、携帯電話本体と、放送電波を受信できる放送電波受信器と、捜索用電波を発信できる小電力発信器とから構成される携帯端末装置により、携帯電話の無線基地局が使用できないときには、放送電波で送られてくる捜索信号をトリガーにして、携帯端末装置の小電力発信器から捜索用電波を自動発信する発明が開示されている。
特許文献2には、携帯電話に加速度を検知する加速度センサを設け、加速度センサの揺れ情報が一定時間閾値以下になった場合、携帯電話を所持する者に異常が発生したと判断し、異常発生を通知する手段を有する異常検知支援システムが開示されている。
【0004】
更に、非特許文献1には、災害時捜索支援システムとしてRFID(Radio Frequency Identification:無線による個体識別技術、無線タグ)を活用するシステムの有効性が報告されている。非特許文献1では、950MHz帯のパッシブタグシステムおよびアクティブタグシステムの基礎特性、障害物を通した読み取り実験、電波干渉実験等が報告されており、災害時捜索システムにRFIDを用いる場合の課題と各種提言がなされている。
また、非特許文献1では、携帯電話は所有率が高く日常的に所持されており、随意的に充電がされるので、アクティブタグとアクティブタグ専用の副電池を携帯電話に内蔵し、携帯電話本体の電池から副電池を充電しながら、携帯電話本体の電池消耗後は、アクティブタグ機能のみを副電池で動作させることも考えられるという報告がなされている。
【0005】
RFIDはさまざまな機関で標準化が進められている。例えば、2009年2月に米国電気電子学会(IEEE)が規格認可したLF(長波)帯にあたる131.07kHzの周波数を利用する無線通信技術規格IEEE1902.1に準拠したアクティブタグは、最大通信距離が5メートルの低消費電力型アクティブタグであり、水や金属などを隔てての通信が可能といった特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-282553号公報
【特許文献2】特開2009−159239号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「地域における安心安全のためのRFIDの利活用に関する調査検討報告書」、総務省信越総合通信局、平成23年3月、 http://www.soumu.go.jp/soutsu/shinetsu/sbt/kenkyu/rfid/rfid_zenpen.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、小電力発信器を動作させる信号として、捜索対象者が所持している携帯端末装置のみを起動させる個別用起動信号と、全ての携帯端末装置を起動させる一斉用起動信号が提案されている。
しかし、地震等の被災地での救助活動では、救助を必要とする被災者が所有している携帯端末装置を特定できない状況での救助活動がほとんどであり、個別用起動信号が使用できるケースは非常に少ない。また、救助活動中に二次災害が発生し、救助にあたる救助者自身が被災者となる可能性を考慮すると、救助者も被災者の捜索支援用の携帯端末装置を所持しての救助活動が望ましい。しかしながら、二次災害が発生していない場合に一斉用起動信号を用いると、被災者の携帯端末装置だけでなく、救助者の携帯端末装置も応答電波を発信してしまう。
【0009】
救助者に二次災害が発生したとき、特許文献2記載の異常検知支援システムを用いて救助者の異常を通知することができる。しかし、この異常検知支援システムは、携帯電話を所持する者に異常が発生したことを、通信回線を介して通知する。このため、この異常検知支援システムでは、地震等で携帯通信網が使用できない場合や、山岳地帯のように携帯電波の届きにくい場所で捜索に当たる場合、救助者に二次災害が発生しても、救助者の異常を通知することはできない。
【0010】
本発明は、アクティブタグを利用した捜索支援機能を有する携帯端末装置を含み、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる被災者捜索支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の被災者捜索支援システムは、
複数の携帯端末装置と携帯端末捜索装置とを有する被災者捜索支援システムであって、
前記携帯端末装置が無線タグを含み、当該無線タグは、
ユニークに割り当てられた無線タグ識別番号を記憶する無線タグ識別番号記憶手段と、
探索される側であることを示す一般モードと、第1の災害が発生したとき探索する側であり、当該第1の災害に続いて第2の災害が発生したとき探索される側となることを示す第1の救助者モードと、当該第2の災害が発生したとき探索する側であることを示す第2の救助者モードのいずれか一つを携帯端末動作種別として記憶する携帯端末動作種別記憶手段と、
前記携帯端末捜索装置から送信された第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を受信することができる救助要否問合せ信号受信手段と、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、前記無線タグ識別番号記憶手段によって記憶された無線タグ識別番号を含む応答信号を送信する応答信号送信手段と、
を備え、
前記携帯端末捜索装置は、
前記携帯端末装置に第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を送信することができる救助要否問合せ信号送信手段と、
前記携帯端末装置から送信された応答信号を受信する応答信号受信手段と、
前記応答信号受信手段によって受信された応答信号に含まれる無線タグ識別番号により、前記応答信号を送信した携帯端末装置を特定し、当該無線タグ識別番号および/または特定された当該携帯端末装置に関する情報を表示する表示手段と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、
前記携帯端末装置は、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、アラーム音を鳴動するアラーム音鳴動手段を備えることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、
前記携帯端末捜索装置は、
前記アラーム音鳴動手段によって鳴動されたアラーム音を検出するアラーム音検出手段を備え、
前記表示手段が、前記アラーム音検出手段によってアラーム音が検出されたことにより、探索対象の携帯端末装置が存在することを示す情報を表示する、
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、
前記携帯端末装置は、
音声とデータを送受信することができる携帯電話と、
前記無線タグに電流を供給する第1の電池と、
前記携帯電話に電流を供給する第2の電池と、
を備え、
前記携帯電話がオフの状態、または前記第2の電池が切れている状態であっても、前記第1の電池を用いて、前記アラーム音鳴動手段がアラーム音を鳴動することができる、
ことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、本発明の被災者捜索支援システムは、
前記携帯電話が、前記携帯端末動作種別を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により前記無線タグに送信する携帯端末動作種別情報送信手段を備え、
前記無線タグが、前記携帯端末動作種別情報送信手段によって短距離無線通信により送信される携帯端末動作種別情報を受信する携帯端末動作種別情報受信手段を備え、
前記携帯端末動作種別記憶手段が、前記携帯端末動作種別情報受信手段によって受信された携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別を記憶する、
ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、本発明の被災者捜索支援システムは、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として前記第1の救助者モードまたは前記第2の救助者モードが記憶されているとき、当該第1の救助者モードまたは当該第2の救助者モードが記憶されてから所定の時間が経過したとき、あるいは所定の時刻に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された前記携帯端末動作種別を一般モードに変更する携帯端末動作種別変更手段を備えることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、
前記無線タグは、加速度を検出する加速度センサを備え、
前記携帯端末動作種別変更手段が、前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて前記携帯端末装置の動きの有無を判別し、動き無しと判別された場合に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された携帯端末動作種別を一般モードに変更する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末捜索装置の構成の一例を示す図である。
【図3】携帯端末装置に電源が投入されたとき、携帯端末動作種別を設定する処理フローの一例を示す図である。
【図4】救助活動を開始するにあたり、救助者が所持する携帯端末装置の携帯端末動作種別を「救助者モード1」に設定する処理フローの一例を示す図である。
【図5】救助者(「探索側」)が所持する携帯端末種別を携帯端末捜索装置から書き換える処理フローの一例を示す図である。
【図6】携帯端末捜索装置を用いて、救助が必要な人が所持する携帯端末装置を捜索する処理フローの一例を示す図である。
【図7】AとBとXの3名が携帯端末装置をそれぞれ所持しているときに、一次災害が発生してXが被災し、AとBが捜索活動中に二次災害が発生して捜索にあたっていたBが被災した場合の捜索活動において、捜索段階ごとの携帯端末装置と携帯端末捜索装置との関連の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る携帯端末装置の構成の一例を示す図である。
【図11】携帯端末装置で管理される加速度情報の一例を示す図である。
【図12】携帯端末装置を所持する捜索者が、二次災害に遭遇したか否かを監視する二次災害遭遇監視処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る被災者捜索支援システムについて添付図面を参照して説明する。
図1〜図7は、本発明の第1の実施形態に係る被災者捜索支援システムを例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る被災者捜索支援システムは、携帯端末装置100と携帯端末捜索装置200とで構成される。
携帯端末装置100は、捜索される側(以下、「被探索側」と称する)の被災者が所持するだけでなく、捜索する側(以下、「探索側」と称する)の救助者も所持する装置である。携帯端末捜索装置200は探索側が所持する。
携帯端末装置100は、「被探索側」の被災者が所持しているか、または「探索側」の救助者が所持しているかを区別するための情報を、携帯端末動作種別109として記憶する。携帯端末動作種別109は、探索される側であることを示す一般モードと、一次災害が発生したとき探索する側であり、二次災害が発生したとき探索される側となることを示す救助者モード1と、二次災害が発生したとき探索する側であることを示す救助者モード2の3種類である。
携帯端末捜索装置200は、捜索活動中に一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。
携帯端末装置100は、携帯端末動作種別109として一般モードが記憶されている場合には一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して応答信号を返信するとともにアラーム音を発する。また、携帯端末動作種別109として救助者モード1が記憶されている場合には二次災害用救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、応答信号を返信するとともにアラーム音を発する。
【0022】
携帯端末動作種別109の初期状態は一般モード(被探索側)となっており、災害発生後の捜索活動開始時に、探索側の救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を救助者モード1(探索側)に変更してから捜索活動を開始する。
携帯端末装置100の無線部102が、携帯端末捜索装置200によって送信された一次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、一般モードの携帯端末装置100は応答信号を返信するとともにアラーム音を発するが、救助者モード1と救助者モード2の携帯端末装置100は応答信号を返信せず、アラーム音も発しない。
二次災害が発生して探索側の救助者の一部が二次災害に巻き込まれると、二次災害に巻き込まれなかった救助者は、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を救助者モード2(探索側)に変更してから捜索活動を再開する。携帯端末装置100の無線部102が、携帯端末捜索装置200によって送信された二次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、一般モードと救助者モード1(被探索側)の携帯端末装置100は応答信号を返信するとともにアラーム音を発するが、救助者モード2(探索側)の携帯端末装置100は応答信号を返信せず、アラーム音も発しない。
救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合、その者の所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は救助者モード1に設定されているため、携帯端末捜索装置200から二次災害用救助要否問合せ信号を送信することにより、その携帯端末装置200を捜索の対象とすることができる。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態に係る携帯端末装置100の構成の一例を示し、図2は本発明の実施形態に係る携帯端末捜索装置200の構成の一例を示す。なお、携帯端末捜索装置200は、後述する第2〜第4の実施形態でも用いられる。
携帯端末装置100は、図1に示すように、無線タグ101と携帯電話110とで構成され、それぞれ無線タグ用電池107と携帯電話用電池119から電源供給される。
無線タグ101は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ101は、図2に示す携帯端末捜索装置200から送信される一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号に応答して応答信号を返信する。
無線タグ101は、無線部102と、アンテナ103と、制御部104と、携帯電話I/F(インタフェース)部105と、メモリ106とを有している。
無線部102とアンテナ103は、携帯端末捜索装置200との間で無線により信号を送受信する。
携帯電話I/F部105は、携帯電話110とのインタフェースを司る。
メモリ106は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含む。メモリ106は、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等の各種データを記憶している。なお、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等はフラッシュメモリのような書き換え可能な不揮発性メモリに格納されることが望ましい。
制御部104は、無線部102と携帯電話I/F部105とを制御する。
【0024】
無線タグ識別番号108は、個々の携帯端末装置100に搭載される無線タグ101に対してユニークに付与される番号であり、携帯電話110の携帯電話番号と対応付けて管理される。
また、携帯端末動作種別109は、上述したように、「一般モード」と「救助者モード1」と「救助者モード2」の3つの種別から構成される。被災者の捜索あるいは救助に携わる救助者(探索側)が所持する携帯端末装置100には、後述する図4もしくは図5の処理フローにより「救助者モード1」または「救助者モード2」が設定される。「救助者モード1」と「救助者モード2」は、ともに、救助者を識別する情報である。「救助者モード1」は捜索開始時点に設定されるモードで、「救助者モード2」は捜索中に二次災害が発生した後の捜索再開時点で設定されるモードである。
【0025】
携帯端末装置100に含まれる携帯電話110は、例えば、公衆移動通信網で使用される移動電話である。また、携帯電話110は、簡易型携帯電話と呼ばれるPHS(Personal Handy-phone System)であっても良い。
携帯電話110は、無線タグI/F部111と、制御部112と、無線部113と、アンテナ114と、アラーム鳴動部115と、スピーカ116と、入出力部117と、メモリ118とを有している。
無線タグI/F部111は、無線タグ101とのインタフェースを司る。
無線部113とアンテナ114は、携帯電話の基地局と無線によりデータや音声等を送受信する。
アラーム鳴動部115とスピーカ116は、無線タグ101が携帯端末捜索装置202からの一次災害用救助要否問合せ信号または二次災害用救助要否問合せ信号を受信したときにアラームを鳴らす。
入出力部117は、キーボードやタッチパネル等の入力装置と、ディスプレイや音声用スピーカ等の出力装置を含み、ユーザインタフェースを司る。なお、音声用スピーカとしてアラームを鳴動させるためのスピーカ116を用いてもよい。
メモリ118は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等を含む。メモリ118は、電話帳等の各種のデータを記憶している。
制御部112は、無線タグI/F部111と無線部113とアラーム鳴動部115と入出力部117とを制御する。
【0026】
携帯端末捜索装置200は、携帯端末装置100の探索を行う装置である。携帯端末捜索装置200は、図2に示すように、入出力部201と、制御部202と、無線部203と、アンテナ204と、アラーム音源識別部205と、集音マイク206と、GPS測位部207と、時計部208と、メモリ210とを有している。
入出力部201は、キーボードやタッチパネル等の入力装置と、ディスプレイや音声用スピーカ等の出力装置を含み、ユーザインタフェースを司る。
無線部203とアンテナ204は、携帯端末装置100の無線タグ101と無線により信号を送受信する。
集音マイク206は、携帯端末装置100から発せられるアラーム音を集音する。アラーム音源識別部205は、集音マイク206により集音された音が、携帯端末装置100から発せられるアラーム音と一致するか否かを識別する。
GPS測位部207は、GPS(Global
Positioning System)衛星等から送信される電波を受信し、携帯端末捜索装置200の位置を示す位置情報を求める。
時計部208は、現在の時刻を計時する。
メモリ210は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等を含む。メモリ210は、救難信号検出情報211と端末種別書き換え情報212等を記憶している。なお、救難信号検出情報211と端末種別書き換え情報212等はフラッシュメモリや、ハードディスクのような書き換え可能な不揮発性メモリに格納することが望ましい。
制御部202は、入出力部201と無線部203とアラーム音源識別部205とGPS測位部207と時計部208とを制御する。
【0027】
携帯端末捜索装置200の制御部202は、携帯端末装置100の無線タグ101からの応答信号を受信したとき、あるいは携帯端末装置100のスピーカ116からのアラーム音を受けたときには、GPS測位部207と時計部208からそれぞれ位置情報と現在時刻を取得する。応答信号を受信したときには、制御部202は、更に、応答信号に含まれる無線タグ識別番号108を取得する。
制御部202は、無線タグ識別番号108と位置情報と現在時刻(検出時刻)を含む救助信号検出情報211をメモリ210に格納する。ただし、アラーム音の場合は無線タグ識別番号108を知ることはできないため、救助信号検出情報211として位置情報と現在時刻(検出時刻)のみが格納され、無線タグ識別番号108は格納されない。
さらに、図5の説明で後述するが、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を携帯端末捜索装置200から書き換えることができる。どの携帯端末装置100の書き換えを行ったかを記録するため、書き換えを行った携帯端末装置100の無線タグ識別番号108と書き換え時刻との組を端末種別書き換え情報212としてメモリ210に記録する。
【0028】
次に、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109の設定方法を、図3、図4、および図5を用いて説明する。
図3は、携帯端末装置100に電源が投入されたときの処理フローの一例を示す。
携帯端末所持者によって携帯電話110の電源が投入されると(S101)、携帯電話110の制御部112は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「一般モード」に設定するよう、無線タグI/F部111から無線タグ101に指示する(S102)。携帯I/F部105が携帯電話110からの指示を受けると、無線タグ101の制御部104は無線タグ101の携帯端末動作種別109を「一般モード」に設定する(S103)。
【0029】
図4は、救助活動を開始するにあたり、救助にあたる側である救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定するときの処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は、救助活動開始時に、自分が所持する携帯端末装置100の携帯電話110の入出力部117を操作して、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する指示を入力する。入出力部117がその指示を受け付ける(S201)と、携帯電話110の制御部112は、携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定するよう、無線タグI/F部111から無線タグ101に指示する(S202)。携帯I/F部105が携帯電話110からの指示を受けると、無線タグ101の制御部104は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する(S203)。
これにより、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は「救助者モード1」に設定され、救助される側(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「一般モード」に設定されているため、両者を区別して取り扱うことが可能となる。
【0030】
また、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109の書き換えは、携帯端末捜索装置200からの指示でも実施できる。図5は、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末種別109を携帯端末捜索装置200から書き換える処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は、携帯端末捜索装置200の入出力部201から、自分が所持する携帯端末装置100の無線タグ識別番号108と、携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する指示とを入力する。携帯端末捜索装置200の入出力部201は無線タグ識別番号と「救助者モード1」への設定指示とを受け付ける(S301)。携帯端末捜索装置200の制御部202は、無線部203を用いて、無線タグ識別番号と「救助者モード1」への設定指示とを含む携帯端末動作書き換え指示を送信する(S302)。無線タグ101の無線部102が携帯端末動作書き換え指示を受信すると、無線タグ101の制御部104は、携帯端末動作書き換え指示に含まれる無線タグ識別番号と、携帯端末装置100のメモリ106に記憶されている無線タグ識別番号108とを比較する(S303)。ステップS303で無線タグ識別番号が一致する場合(S303:Yes)、制御部104は、無線タグ101の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定し、設定したことを携帯端末捜索装置200に通知する(S304)。携帯端末捜索装置200の無線部203がその通知を受信すると、携帯端末捜索装置200の制御部202は、端末種別書き換え情報212に、無線タグ識別番号108と時計部208で計測した書き換え時刻を格納する(S305)。
一方、ステップS303で無線タグ識別番号が一致しない場合(S303:No)、無線タグ101の制御部104は処理を終了する。
【0031】
処理フローを用いた説明は行わないが、救助活動が終了した時点で、図4または図5と同じ処理フローにより、救助者(「探索側」)が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「一般モード」に再設定する。これは、救助活動後に、救助者自身が災害に遭遇して、救助される側(「被探索側」)になるケースを想定したものである。
また、救助活動中に二次災害に遭遇し、救助されないまま救助活動が中断されると、二次災害に遭遇した救助者(「被探索側」)が所持していた携帯端末装置100の携帯端末動作種別が「救助者モード1」のまま残ってしまう。このため、図4および図5には記載していないが、携帯端末動作種別109が「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」に設定された場合は、所定の時間(例えば10時間)の経過をもって、または所定の時刻(例えば、真夜中の12時)に、初期値である「一般モード」に自動的に書き換える処理を無線タグ101の制御部104に行わせることが望ましい。一定時間経過後も、救助活動が継続している場合は、救助活動を行っている救助者の携帯端末動作種別108を、再度図4あるいは図5により「救助者モード1」もしくは「救助者モード2」に設定することで、継続的な救助活動が可能である。
【0032】
図6は、携帯端末捜索装置200を用いて、救助が必要な人が所持する携帯端末装置100を捜索する処理フローの一例を示す。
救助者(「探索側」)は捜索を開始するとき、携帯端末捜索装置200の入出力部201を用いて救助要否問合せ信号を送信する指示を入力する。携帯端末捜索装置200の制御部104は、その指示に応答して無線部203を用いて一次災害用救助要否問合せ信号を送信する(S401)。なお、二次災害が発生し、捜索(救助)に当たっている救助者(「探索側」)の一部がそれに巻き込まれて救助される側(「被探索側」)となり、捜索を再開する場合には、制御部104は、ステップS401において二次災害用救助要否問合せ信号を送信する。
【0033】
被災者(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の無線部102が、ステップS401で携帯端末捜索装置200によって送信された一次災害用救助要否問合せ信号を受信すると、無線タグ101の制御部104は、救助要否問合せ信号が一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号のいずれであるかを判別する(S402)。
この場合は、「一次災害用救助要否問合せ信号」であるため(S402:Yes)、制御部104は、メモリ109に記憶されている携帯端末動作種別109を読出し、携帯端末動作種別109が「一般モード」であるか否かを判別する(S403)。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」ではない、すなわち「救助者モード1」の場合(S403:No)には処理を終了する。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」の場合(S403:Yes)には、救助要否問合せ信号(以下、救助要否問合せ信号という用語は、一次災害用救助要否問合せ信号と二次災害用救助要否問合せ信号のいずれかを意味するものとする。)の受信を知らせるため、無線タグ識別番号108を応答信号に設定して、無線部103から応答信号を送信する(S404)。また、制御部104は、携帯電話110に対し、アラーム鳴動を指示する(S405)。
【0034】
携帯端末捜索装置200の無線部203が、ステップS405で発信された無線タグ101からの応答信号を受信すると、携帯端末捜索装置200の制御部202は、受信した応答信号から無線タグ識別番号108を抽出し(S406)、抽出した無線タグ識別番号108、および/または無線タグ識別番号108によって特定される携帯端末装置100に関する情報を入出力部201に表示する(S407)。
そして、制御部202は、ステップS406で抽出した無線タグ識別番号108と、GPS測位部207で測位した位置情報と、時計部208で計時した時刻とを含む救難信号検出情報211をメモリ210に格納する(S408)。
【0035】
ステップS405で指示されたアラーム鳴動指示を携帯電話110が受けると、携帯電話110の制御部112は、アラーム鳴動部115を制御して、スピーカ116にアラーム音を鳴動させる(S409)。このアラーム音は、被災者(「被探索側」)に聞こえる可能性があり、救助者(「探索側」)が近くに来ているということで、被災者が声による救援要請等、別のアクションを起こす契機となったり、被災者を勇気づけることにつながるものである。ステップS409のアラーム鳴動は、電池の消費量を抑制するため、一定の時間のみ鳴動し、一定時間経過後は鳴動を停止する方式でも良い。
ステップS409で鳴動されたアラーム音が、携帯端末捜索装置200に到達すると、集音マイク206で集音された音を、アラーム音源識別部205で分析し、被災者が所持する携帯端末装置100が、救助要否問合せ信号を受信することで発しているアラーム音か否かを判別する(S410)。アラーム音ではないと判別された場合(S410:No)。制御部202は処理を終了する。アラーム音と判別された場合(S410:Yes)には、制御部202は、携帯端末装置100からアラーム音が発せられている、つまり救助を必要とする人(探索対象の携帯端末装置100)が存在することを示す情報を入出力部201に表示する(S411)。そして、制御部202は、GPS測位部207で測位した位置情報と、時計部208で計時した時刻とを含む救助信号検出情報211をメモリ210に格納する(S412)。ただし、アラーム音を鳴動させている携帯端末装置100を特定する無線タグ識別番号108の情報はないため、ステップS412では無線タグ識別番号108は格納しない。
【0036】
なお、本実施形態には記載していないが、ステップS408またはS412で格納された情報は、何らかの手段を用いて、災害管理センターに通知し、救助活動全体を統括する情報として使用するのが望ましい。また、別の厳重に管理された専用サーバに無線タグ識別番号108から個人を特定する情報、例えば所有者の氏名や携帯電話番号等を格納しておいてもよい。
ステップS408またはS412で被災者の存在が判明すると、救助活動が開始される。救助に当たっては、場所を特定する必要があるが、搭載する無線タグ101や携帯端末捜索装置200のアンテナの性能・仕様等に左右される内容であり、本発明の本質を左右するものではないため説明は割愛する。なお、電波の到達距離、指向性アンテナの活用、受信電波の強度等から捜索範囲を絞り込む既存技術が多数報告されている。
【0037】
災害救助活動は、常に二次災害と隣り合わせており、救助活動中の余震発生や雪崩発生等の二次災害で、救助者(「探索側」)自身が災害に巻き込まれてしまう場合がある。携帯端末動作種別の初期状態は「被探索側」である「一般モード」である。二次災害に巻き込まれたとき、救助に当たっていた人(探索側))が所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別109は通常「救助者モード1」に設定されている。
一次災害用救助要否問合せ信号に対しては、無線タグに記憶されている携帯端末動作種別が「一般モード」のとき、携帯端末100は「被探索側」として動作する。また、二次災害用救助要否問合せ信号に対しては、無線タグに記憶されている携帯端末動作種別が「一般モード」および「救助者モード1」のとき携帯端末100は「被探索側」として動作する。
【0038】
災害発生後の捜索活動開始時に、捜索に当たる救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「探索側」である「救助者モード1」に変更してから捜索活動が開始され、携帯端末捜索装置200から一次災害用救助要否問合せ信号を送信して捜索活動が実施される。
捜索活動中に二次災害が発生して、今まで捜索に当たっていた人が災害に巻き込まれると、詳細な説明は省略するが、新たな救助者(「探索側」)または継続して捜索に当たる救助者は、所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を、図4もしくは図5と同様な処理により、二次災害発生後の「探索側」である「救助者モード2」に設定してから捜索を再開する。再開後は、携帯端末捜索装置200から二次災害用救助要否問合せ信号を送信して捜索活動が実施される。
二次災害に遭遇した今まで捜索に当たっていた人が所持している携帯端末装置100の携帯端末動作種別は「救助者モード1」のままであり、「二次災害用救助要否問合せ信号」に対して「被探索側」として動作する。
【0039】
二次災害発生後の捜索では、ステップS401で設定する救助要否問合せ信号として、「二次災害用救助要否問合せ信号」を設定して、アンテナ204から発信する。二次災害用救助要否問合せ信号を、いままで救助に当たっていて(「探索側」)二次災害に遭遇してしまった人(「被探索側」)が所持する携帯端末装置100の無線タグ101が受信すると、制御部104は、ステップS402で「一次災害用救助要否問合せ信号」ではない、すなわち「二次災害用救助要否問合せ信号」であると判別する(S402:No)。
そして、制御部104は、メモリ109に記憶されている携帯端末動作種別109を読出し、携帯端末動作種別109が「救助者モード2」であるか否かを判別する(S403)。制御部104は、携帯端末動作種別109が「救助者モード2」の場合(S403:Yes)には処理を終了する。制御部104は、携帯端末動作種別109が「一般モード」または「救助者モード1」の場合(S413:No)には、ステップS404に進み、携帯端末捜索装置200に救助要否問合せ信号の受信を知らせる。
これにより、新たな救助者(「探索側」)に、二次災害用救助要否問合せ信号が届く範囲内に二次災害に遭遇した救助者「被探索側」が「存在」していることを知らせることができる。
なお、本実施形態では、二次災害発生までを考慮しているが、携帯端末動作種別および救助要否問合せ信号をそれぞれ追加することで、容易に三次災害以上の副次災害発生に対応できる。
【0040】
図7は、AとBとXの3名が携帯端末装置100をそれぞれ所持しているときに、一次災害が発生してXが被災し、AとBが捜索活動中に二次災害が発生して捜索にあたっていたBが被災した場合の捜索活動において、捜索段階ごとの携帯端末装置100と携帯端末捜索装置200との関連の一例を示す。
災害発生前(S501)の段階では、AとBとXの所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109はすべて「一般モード」である。
一次災害が発生し、Xが一次災害に巻き込まれる(S502)と、災害救助隊が編成されて救助活動が開始される。救助隊のメンバにAとBが選ばれると、一次災害発生後の救助準備として、AとBの携帯端末装置100の携帯端末動作種別109に、「救助者モード1」を設定する(S503)。
次に、一次災害発生後の捜索活動を開始し、救助者Aあるいは救助者Bが携帯端末捜索装置200を操作して一次災害用救助要否問合せ信号を送信する(S504)。一次災害用救助要否問合せ信号は、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xの携帯端末装置100が受信可能である。
【0041】
捜索活動中に二次災害が発生し、捜索にあたっていた救助者Bが二次災害に巻き込まれたとする(S505)。このとき、二次災害で被災しなかった救助者Aが携帯端末捜索装置200を操作して一次災害用救助要否問合せ信号を発信して二次災害発生後の捜索活動(その1)を行う(S506)と、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xの携帯端末装置100は一次災害用救助要否問合せ信号を受信可能であるが、二次災害に被災した救助者B(「被探索側」)の携帯端末装置100は受信できないという問題が発生する。
そこで、二次災害発生後の救助準備として、救助者Aの携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード2」に設定し(S507)、二次災害発生後の捜索活動(その2)を再開する(S508)。救助者Aが携帯端末捜索装置200を操作して二次災害用救助要否問合せ信号を発信すると、携帯端末動作種別109が「一般モード」である被救助者Xはもとより、携帯端末動作種別109が「救助者モード1」である二次災害に被災した救助者B(「被探索側」)も、ともに受信可能となり、二次災害用救助要否問合せ信号が届く範囲内に一次災害で被災したXも、二次災害で被災したBも、ともに「存在」していることを救助者Aに知らせることができる。
図7の例では、ステップS505で二次災害が発生したことは、被災しなかった救助者Aが知ることができる。しかしながら、救助者全員が二次災害に巻き込まれた場合は、捜索活動全体を管理する部署での把握が必要になってくるが、本発明の対象外である。
【0042】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る携帯端末装置300の構成の一例を示す。
携帯端末装置300は、無線タグ301とアラーム鳴動部115とスピーカ116とで構成され、無線タグ用電池107から電源供給される。無線タグ301は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ301は、無線部102と、アンテナ103と、メモリ106と、制御部302とを有している。メモリ106は、無線タグ識別番号108や携帯端末動作種別109等の各種データを記憶している。携帯端末装置300と携帯端末装置100において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置300は、第1の実施形態に係る携帯端末装置100が無線タグ101と携帯電話110とを合体させているのに対し、携帯電話110を含まず、無線タグ301にアラーム鳴動機能を持たせた点が異なる。
無線タグ301は、携帯端末装置100に含まれる無線タグ101とほぼ同様の構成であり、携帯電話100で行っていたアラーム鳴動を無線タグ301に取り込んでいる。このため、無線タグ101における携帯電話I/F部105は無く、制御部302がアラーム鳴動部115を制御する。
また、無線タグ301では、図3と図4で示した、携帯電話の電源投入時における、または携帯電話110の入出力部117からの操作による携帯端末動作種別109の書き換えは行われない。救助者が所持する携帯端末装置300の携帯端末動作種別109の書き換えは、図5で示した携帯端末捜索装置200からの指示により実現される。
【0043】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る携帯端末装置400の構成の一例を示す。
携帯端末装置400は、無線タグ401と携帯電話110とで構成され、それぞれ無線タグ用電池107と携帯電話用電池119から電源供給される。
無線タグ401は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ401は、無線部102と、アンテナ103と、携帯電話I/F(インタフェース)部105と、メモリ106と、制御部402と、加速度センサ部403とを有している。
携帯端末装置400と第1の実施形態に係る携帯端末装置100とにおいて、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置400は、加速度を検出する加速度センサ部403を有し、加速度センサ部403によって測定された加速度の数値を示す加速度情報404をメモリ106に記憶する点が第1の実施形態に係る携帯端末装置100と異なる。
なお、制御部402は、無線部102と携帯電話I/F部105に加えて加速度センサ部403を制御する。
【0044】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る携帯端末装置500の構成の一例を示す。
携帯端末装置500は、無線タグ501とアラーム鳴動部115とスピーカ116とで構成され、無線タグ用電池107から電源供給される。無線タグ501は、アクティブタグと呼ばれる無線タグである。無線タグ501は、無線部102と、アンテナ103と、メモリ106と、制御部502と、加速度センサ部403とを有している。
携帯端末装置500と第2の実施形態に係る携帯端末装置300とにおいて、同一の符号を付した部分は同一物を表し、当該部分の構成及び動作は同一である。携帯端末捜索装置200は第1の実施形態と同一のものを用いる。
携帯端末装置500は、加速度を検出する加速度センサ部403を有し、加速度センサ部403によって測定された加速度の数値を示す加速度情報404をメモリ106に記憶する点が第2の実施形態に係る携帯端末装置300と異なる。
なお、制御部502は、無線部102とアラーム鳴動部115に加えて加速度センサ部403を制御する。
【0045】
図11は、携帯端末装置400および携帯端末装置500で管理される加速度情報404の構成の一例を示す。
加速度情報404は、収集カウンタ(n)601と、収集カウンタ(n)601で索引される情報格納フィールドである加速度(0)〜加速度(n)606等から構成される。収集カウンタ(n)601は、携帯端末装置400または携帯端末装置500の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」または「救助者モード2」を設定する時に、0に初期設定される。
処理フローには記載しないが、図4に示したように、救助者が所持する携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する処理フローでは、ステップS203の無線タグ101の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」を設定した後、収集カウンタ(n)601は0に初期設定される。
また、図5に示したように、携帯端末捜索装置200からの指示により、携帯端末装置100の携帯端末動作種別109を「救助者モード1」に設定する処理フローでは、ステップS304の無線タグ101の携帯端末動作種別109に「救助者モード1」を設定した後、収集カウンタ(n)601は0に初期設定される。
【0046】
図12は、携帯端末装置400または携帯端末装置500を所持する捜索者が、二次災害に遭遇したか否かを監視する二次災害遭遇監視処理の一例を示す。
図12に示す二次災害遭遇監視処理は、携帯端末装置400の制御部402、または携帯端末装置500の制御部502において一定時間間隔で実施される。図12の処理フローでは、連続して(例えば「5回」=「5分」連続して)加速が検出されなかった場合は、救助に当たっていた人(探索側)が二次災害に遭遇したと判断される。
二次災害遭遇監視処理が起動されると、制御部402または制御部502は、まず携帯端末動作種別109が「一般モード」か否かを判別し(S601)、携帯端末動作種別109が「一般モード」の場合(S601:Yes)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS601で、携帯端末動作種別109が「一般モード」ではない、すなわち「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」と判別される(S601:No)と、制御部402または制御部502は、加速度情報404の収集カウンタ(n)601を抽出し(S602)、加速度センサ部403から、加速度を収集する(S603)。そして、制御部402または制御部502は、抽出された収集カウンタ(n)601でインデックスされたテーブルに、ステップS603で収集した加速度を格納し(S604)、加速度情報404の収集カウンタ(n)601に格納されている値を1だけ増加させる(S605)。
【0047】
次に収集カウンタ(n)601の値が「5」以上であるか否かを判別し(S606)、「5」より小さい場合(S606:No)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS606は、加速度を収集し始めてから「5回」=「5分」経過しているか否かを判定するものである。
ステップS606で収集カウンタ(n)601の値が「5」以上である場合(S606:Yes)は、制御部402または制御部502は、加速度情報404に格納されている、現在を含む過去5回分の加速度(n,n-1,n-2,n-3,n-4)を抽出し(S607)、5回分の加速度が全て所定のしきい値以下であるか否かを判別する(S608)。ステップS608で、5回分の加速度のいずれかが所定のしきい値より大きい、すなわちなんらかの動きがあると判別された場合(S608:No)は二次災害遭遇監視処理を終了する。ステップS608で、5回分の加速度が全て所定のしきい値以下である、すなわち5回とも動き無しと判別された場合(S608:Yes)、救助に当たっていた人(探索側)が二次災害に遭遇したと判断して、無線タグ401または携帯端末装置500の携帯端末動作種別109に、「一般モード」を設定し(S609)、二次災害遭遇監視処理を終了する。
ステップS609で、携帯端末動作種別が「救助者モード1」または「救助者モード2」から「一般モード」に自動的に切り替わることで、今まで探索側であった人が救助を必要とする人(被探索側)となる。
【0048】
二次災害遭遇監視処理のステップS608で実施する「加速度の分析」により、制御部402または制御部502が今まで探索側であった人が二次災害に遭遇したと判断するためには時間が必要である。
二次災害遭遇後の救出活動を迅速に行う意味で、第1の実施形態で説明した、携帯端末動作種別109の「救助者モード」および携帯端末捜索装置200から発信される「救助要否問合せ信号」を複数用いる方法と、第3および第4の実施形態で示した、加速度センサを用いて二次災害に遭遇したか否かを自動判定する方法とを併用することで、災害に遭遇した人の捜索を迅速に行えるシステムを構築できる。
【0049】
なお、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話110の電源がオフの状態であっても、アラーム鳴動部115が動作できるのが望ましい。これは、無線タグ用電池107からアラーム鳴動部115に電流を直接供給する方法と、携帯電話I/F部105から無線タグI/F部111を介して、携帯電話用電池119からアラーム鳴動部115への電流の供給をオンにする機能を、携帯電話110に装備する方法があり、両方法とも容易に実現可能である。
同様に、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話用電池119が切れている状態であっても、アラーム鳴動部115が動作できるのが望ましい。これは、無線タグ用電池107からアラーム鳴動部115に電流を直接供給する方法により容易に実現可能である。
また、無線タグ用電池107と携帯電話用電池119を別々に設けるのではなくて、無線タグ101(または無線タグ401)と携帯電話110の両方に電流を供給する共通の電池を設け、携帯電話110を使用しないときには携帯電話110への電流の供給をオフとするのでもよい。
【0050】
また、携帯端末装置100および携帯端末装置400において、携帯電話I/F部105と無線タグI/F部111のやり取りを、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信により実現することで、携帯電話110とは独立した装置として実現することも可能である。例えば、携帯電話110は、携帯端末動作種別109を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により無線タグ101または無線タグ401に送信する。そして、無線タグ101または無線タグ401は、短距離無線通信により送信された携帯端末動作種別情報を受信し、受信した携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別108をメモリ106に記憶させる。ただし、この場合は、無線タグ用電池107から携帯電話110へのアラーム鳴動を目的とした電源供給はできないのは言うまでもない。
また、無線タグ101、無線タグ401、無線タグ301、および無線タグ501に関し、性能や使用する無線周波数帯が異なる複数の無線タグを搭載して装置を構成しても良い。
【0051】
また、上述した実施形態では、携帯端末捜索装置200は、集音マイク206とアラーム音源識別部205を有するとしたが、携帯端末捜索装置200は、集音マイク206とアラーム音源識別部205を有していなくてもよい。携帯端末捜索装置200に集音マイク206とアラーム音源識別部205が無くても、救助者(探索側)は、携帯端末装置100から発せられるアラーム音を聞くことにより、救助対象者の存在を知ることができる。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、救助開始時のような捜索活動の初期段階では、救助活動を行っている救助者の携帯端末装置は捜索の対象とせず、救助活動中の二次災害で救助者自身が救助対象者となった場合には、その携帯端末装置を捜索の対象とすることができる。すなわち、救助される側(「被探索側」)と救助する側(「探索側」)の双方が携帯端末装置を所持していても、救助活動開始時に、救助する側(「探索側」)の携帯端末動作種別を「救助者モード1」あるいは「救助者モード2」にモード設定を変更することで、携帯端末捜索装置からの問合せに対して、救助される側(「被探索側」)の「一般モード」に設定されている携帯端末装置のみから応答させることができるため、真に救助を求めている人のみを対象にして捜索に当たることができる。
【0053】
また、携帯端末捜索装置からの無線による問合せに対し、無線で応答するだけでなく、アラーム音による応答も合わせて行うため、救助者に発見してもらえる可能性が高まることになる。さらに、無線による問合せ信号に対してアラーム音を発生させるため、第3者が悪意を持って携帯端末装置所持者を特定しようとしても、その行為を容易に所持者ならびに周辺の人たちに知らしめることができるため、悪意を持っての携帯端末捜索装置の使用を抑止することができる。
また、日常的に使用する携帯電話と緊急時に使用するRFIDタグとを携帯端末装置に組み込むことにより、被災者が災害発生時に携帯端末装置を所持している可能性を高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
100、300、400、500…携帯端末装置、101、301、401、501…無線タグ、102…無線タグの無線部、103…無線タグのアンテナ、104、302、402、502…無線タグの制御部、105…携帯電話インタフェース部、106…無線タグのメモリ、107…無線タグ用電池、108…無線タグ識別番号、109…携帯端末動作種別、110…携帯電話、111…無線タグインタフェース部、112…携帯電話の制御部、113…携帯電話の無線部、114…携帯電話のアンテナ、115…アラーム鳴動部、116…スピーカ、117…携帯電話の入出力部、118…携帯電話のメモリ、119…携帯電話用電池、200…携帯端末捜索装置、201…携帯端末捜索装置の入出力部、202…携帯端末捜索装置の制御部、203…携帯端末捜索装置の無線部、204…携帯端末捜索装置のアンテナ、205…アラーム音源識別部、206…集音マイク、207…GPS測位部、208…計時部、210…携帯端末捜索装置のメモリ、211…救助信号検出情報、212…端末種別書き換え情報、403…加速度センサ部、404…加速度情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末装置と携帯端末捜索装置とを有する被災者捜索支援システムであって、
前記携帯端末装置が無線タグを含み、当該無線タグは、
ユニークに割り当てられた無線タグ識別番号を記憶する無線タグ識別番号記憶手段と、
探索される側であることを示す一般モードと、第1の災害が発生したとき探索する側であり、当該第1の災害に続いて第2の災害が発生したとき探索される側となることを示す第1の救助者モードと、当該第2の災害が発生したとき探索する側であることを示す第2の救助者モードのいずれか一つを携帯端末動作種別として記憶する携帯端末動作種別記憶手段と、
前記携帯端末捜索装置から送信された第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を受信することができる救助要否問合せ信号受信手段と、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、前記無線タグ識別番号記憶手段によって記憶された無線タグ識別番号を含む応答信号を送信する応答信号送信手段と、
を備え、
前記携帯端末捜索装置は、
前記携帯端末装置に第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を送信することができる救助要否問合せ信号送信手段と、
前記携帯端末装置から送信された応答信号を受信する応答信号受信手段と、
前記応答信号受信手段によって受信された応答信号に含まれる無線タグ識別番号により、前記応答信号を送信した携帯端末装置を特定し、当該無線タグ識別番号および/または特定された当該携帯端末装置に関する情報を表示する表示手段と、
を備える、
ことを特徴とする被災者捜索支援システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、アラーム音を鳴動するアラーム音鳴動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項3】
前記携帯端末捜索装置は、
前記アラーム音鳴動手段によって鳴動されたアラーム音を検出するアラーム音検出手段を備え、
前記表示手段が、前記アラーム音検出手段によってアラーム音が検出されたことにより、探索対象の携帯端末装置が存在することを示す情報を表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末装置は、
音声とデータを送受信することができる携帯電話と、
前記無線タグに電流を供給する第1の電池と、
前記携帯電話に電流を供給する第2の電池と、
を備え、
前記携帯電話がオフの状態、または前記第2の電池が切れている状態であっても、前記第1の電池を用いて、前記アラーム音鳴動手段がアラーム音を鳴動することができる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項5】
前記携帯電話が、前記携帯端末動作種別を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により前記無線タグに送信する携帯端末動作種別情報送信手段を備え、
前記無線タグが、前記携帯端末動作種別情報送信手段によって短距離無線通信により送信される携帯端末動作種別情報を受信する携帯端末動作種別情報受信手段を備え、
前記携帯端末動作種別記憶手段が、前記携帯端末動作種別情報受信手段によって受信された携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別を記憶する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項6】
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として前記第1の救助者モードまたは前記第2の救助者モードが記憶されているとき、当該第1の救助者モードまたは当該第2の救助者モードが記憶されてから所定の時間が経過したとき、あるいは所定の時刻に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された前記携帯端末動作種別を一般モードに変更する携帯端末動作種別変更手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項7】
前記無線タグは、加速度を検出する加速度センサを備え、
前記携帯端末動作種別変更手段が、前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて前記携帯端末装置の動きの有無を判別し、動き無しと判別された場合に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された携帯端末動作種別を一般モードに変更する、
ことを特徴とする請求項6に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項1】
複数の携帯端末装置と携帯端末捜索装置とを有する被災者捜索支援システムであって、
前記携帯端末装置が無線タグを含み、当該無線タグは、
ユニークに割り当てられた無線タグ識別番号を記憶する無線タグ識別番号記憶手段と、
探索される側であることを示す一般モードと、第1の災害が発生したとき探索する側であり、当該第1の災害に続いて第2の災害が発生したとき探索される側となることを示す第1の救助者モードと、当該第2の災害が発生したとき探索する側であることを示す第2の救助者モードのいずれか一つを携帯端末動作種別として記憶する携帯端末動作種別記憶手段と、
前記携帯端末捜索装置から送信された第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を受信することができる救助要否問合せ信号受信手段と、
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、前記無線タグ識別番号記憶手段によって記憶された無線タグ識別番号を含む応答信号を送信する応答信号送信手段と、
を備え、
前記携帯端末捜索装置は、
前記携帯端末装置に第1の救助要否問合せ信号と第2の救助要否問合せ信号を送信することができる救助要否問合せ信号送信手段と、
前記携帯端末装置から送信された応答信号を受信する応答信号受信手段と、
前記応答信号受信手段によって受信された応答信号に含まれる無線タグ識別番号により、前記応答信号を送信した携帯端末装置を特定し、当該無線タグ識別番号および/または特定された当該携帯端末装置に関する情報を表示する表示手段と、
を備える、
ことを特徴とする被災者捜索支援システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として一般モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第1の救助要否問合せ信号または前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、あるいは、前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として第1の救助者モードが記憶されている場合に前記救助要否問合せ信号受信手段が前記第2の救助要否問合せ信号を受信したことに応答して、アラーム音を鳴動するアラーム音鳴動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項3】
前記携帯端末捜索装置は、
前記アラーム音鳴動手段によって鳴動されたアラーム音を検出するアラーム音検出手段を備え、
前記表示手段が、前記アラーム音検出手段によってアラーム音が検出されたことにより、探索対象の携帯端末装置が存在することを示す情報を表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末装置は、
音声とデータを送受信することができる携帯電話と、
前記無線タグに電流を供給する第1の電池と、
前記携帯電話に電流を供給する第2の電池と、
を備え、
前記携帯電話がオフの状態、または前記第2の電池が切れている状態であっても、前記第1の電池を用いて、前記アラーム音鳴動手段がアラーム音を鳴動することができる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項5】
前記携帯電話が、前記携帯端末動作種別を示す携帯端末動作種別情報を短距離無線通信により前記無線タグに送信する携帯端末動作種別情報送信手段を備え、
前記無線タグが、前記携帯端末動作種別情報送信手段によって短距離無線通信により送信される携帯端末動作種別情報を受信する携帯端末動作種別情報受信手段を備え、
前記携帯端末動作種別記憶手段が、前記携帯端末動作種別情報受信手段によって受信された携帯端末動作種別情報によって示される携帯端末動作種別を記憶する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項6】
前記携帯端末動作種別記憶手段によって携帯端末動作種別として前記第1の救助者モードまたは前記第2の救助者モードが記憶されているとき、当該第1の救助者モードまたは当該第2の救助者モードが記憶されてから所定の時間が経過したとき、あるいは所定の時刻に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された前記携帯端末動作種別を一般モードに変更する携帯端末動作種別変更手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の被災者捜索支援システム。
【請求項7】
前記無線タグは、加速度を検出する加速度センサを備え、
前記携帯端末動作種別変更手段が、前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて前記携帯端末装置の動きの有無を判別し、動き無しと判別された場合に、前記携帯端末動作種別記憶手段によって記憶された携帯端末動作種別を一般モードに変更する、
ことを特徴とする請求項6に記載の被災者捜索支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−110483(P2013−110483A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252201(P2011−252201)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
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