説明

被膜形成方法及び被膜形成装置

【課題】オゾンの発生による誘電率の上昇を防ぎながら、常圧下でシリカ系被膜を形成することができる被膜形成方法及び被膜形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の被膜形成方法及び被膜形成装置は、シリカ系被膜形成用組成物に対し、加熱しながら、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材を通して紫外光を照射する手段を有することを特徴とする。この手段を有することで、オゾンの発生による誘電率の上昇を防ぎながら、常圧下でシリカ系被膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体素子の層間絶縁膜として用いることができるシリカ系被膜を形成する被膜形成方法及び被膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSI等の半導体素子において、平坦化膜及び層間絶縁膜としてシリカ系被膜が多用されている。このようなシリカ系被膜は、通常、CVD法、スピンコート法等により形成されており、特にスピンコート法を用いてシリカ系被膜を形成する方法が、その簡便さから多用されている。
【0003】
また、上記LSI等の半導体素子の高集積化に対する要求は、ますます高まっているが、高集積化による配線の微細化に伴い、配線容量が増大し、信号遅延時間が増大するという問題が生じている。このような問題を解決するために、誘電率のより低いシリカ系被膜の形成方法が求められている。
【0004】
誘電率の低いシリカ系被膜を形成するために、特許文献1では、ポーラス形成用熱分解揮発有機ポリマー重合物をシリカ系被膜形成用塗布液に添加し、形成されるシリカ系被膜を多孔質にすることが記載されている。
【0005】
しかし、シリカ系被膜内に空孔を導入し、多孔質化すると、膜全体の機械的強度が大幅に低下する。このため、成膜したシリカ系被膜が、該シリカ系被膜の平坦化を目的としたCMP工程、パッケージング工程等において破壊されてしまうという問題が生じる。
【0006】
機械的強度を向上させるため、特許文献2には、骨格構造の強固な絶縁膜であって、Si−CH(n=1,2,3)結合を含む絶縁膜を形成しておき、不活性ガスで置換された減圧雰囲気中で紫外線照射をすることにより、その骨格構造に影響を与えずに、有機基を脱離させ、絶縁膜から排出する絶縁膜形成方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−201415号公報
【特許文献2】特開2004−356508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献2に記載の方法では、不活性ガスで置換された減圧雰囲気中で、基板に対して照射する紫外光の波長は120nmから400nmである。しかし、上記範囲の波長の光を用いると、不活性雰囲気中に含まれる微量の酸素がオゾンに変換され誘電率の上昇を招く。また、減圧雰囲気下で行っているので、被膜形成のために複雑な装置が必要になる。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、オゾンの発生による誘電率の上昇を防ぎながら、常圧下でシリカ系被膜を形成することができる被膜形成方法及び被膜形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、シリカ系被膜形成用組成物に対し、加熱しながら、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材を通して紫外光を照射することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的に本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
本発明の第一の態様は、シリカ系被膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、前記基板に塗布した前記シリカ系被膜形成用組成物を乾燥する乾燥工程と、乾燥した前記シリカ系被膜形成用組成物に対し、加熱しながら、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材を通して紫外光を照射する照射工程と、を有することを特徴とする被膜形成方法である。
【0011】
本発明の第二の態様は、密閉可能な処理室と、前記処理室内に設けられた、紫外光照射処理を受ける基板を保持する基板保持部と、前記基板を加熱する加熱部と、前記基板保持部に対向するように設けられた紫外光照射部と、前記基板保持部と前記紫外光照射部との間に設けられた、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材と、を備えることを特徴とする被膜形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オゾンの発生による誘電率の上昇を防ぎながら、常圧下でシリカ系被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0014】
[被膜形成方法]
本発明の被膜形成方法は、シリカ系被膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、前記基板に塗布した前記シリカ系被膜形成用組成物を乾燥する乾燥工程と、乾燥した前記シリカ系被膜形成用組成物に対し、加熱しながら、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材を通して紫外光を照射する照射工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の被膜形成方法は、塗布工程と、乾燥工程と、照射工程と、を有する。各工程について、以下に説明する。
【0016】
(塗布工程)
塗布工程とは、シリカ系被膜形成用組成物を基材に塗布する工程である。
【0017】
上記被膜形成用組成物を塗布することができる基板としては、半導体、ガラス、セラミック、金属等を挙げることができる。
【0018】
また、上記被膜形成用組成物の塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード等が挙げられる。例えば、上記被膜形成用組成物を半導体素子における層間絶縁膜として用いる場合には、成膜性及び膜均一性の観点から、塗布方法にスピンコートを用いることが好ましい。具体的には、上記被膜形成用組成物を基板上に500から5000回転/分、好ましくは1000から3000回転/分でスピン塗布する。なお、塗膜の厚さは、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定することができる。
【0019】
(乾燥工程)
乾燥工程とは、基板に塗布した上記シリカ系被膜形成用組成物を乾燥する工程である。
【0020】
乾燥工程における乾燥温度は特に限定されないが、乾燥温度の上限値を300℃とすることにより、上記シリカ系被膜形成用組成物を、加水分解を抑制しながら乾燥させることができるので好ましく、より好ましくは250℃である。また、乾燥温度の下限値についても、特に限定されるものではないが、50℃とすることにより沸点の低い有機溶媒を除去し、乾燥を促進することができるので好ましく、より好ましくは80℃である。
【0021】
また、乾燥工程は、互いに異なる温度で行う少なくとも2段階の工程であることが好ましい。乾燥工程の段階の数は、特に限定されるものではないが、乾燥工程にかかる手間を考えると2段階、ないしは3段階程度であることが好ましい。
【0022】
例えば、乾燥工程が2段階である場合、第1段階の温度は、50℃から250℃程度であり、第2段階の温度は、100℃から300℃程度であることが好ましい。
【0023】
例えば、乾燥工程が3段階である場合、第1段階の温度は、50℃から150℃程度であり、第2段階の温度は、100℃から250℃程度であり、第3段階の温度は、150℃から300℃程度であることが好ましい。
【0024】
上記のように、乾燥工程を多段階で行うことにより、基板に塗布したシリカ系被膜形成用組成物に対するストレスを低減し、クラック等の発生を抑制しつつ乾燥を行うことができる。
【0025】
また、乾燥工程における乾燥時間は、特に限定されるものではないが、各温度において1分から5分程度であることが好ましい。
【0026】
(照射工程)
照射工程は、乾燥したシリカ系被膜形成用組成物に対して、所定の温度で加熱しながら、遮断部材を通過した紫外線を照射する工程である。
【0027】
紫外線が遮断部材を通過することにより、その紫外線に含まれる200nm以下の波長の光の少なくとも一部が遮断される。
【0028】
ここで、本明細書において、加熱しつつ、紫外線を照射する処理のことをUVアニールと称する。すなわち、本発明における照射工程は、UVアニールである。
【0029】
塗布の際の雰囲気としては特に限定されないが、不活性雰囲気下で行うことにより、膜が酸化されにくくなり、得られる被膜の誘電率が低くなるので好ましい。不活性雰囲気は、不活性ガスにより得ることができる。不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン等を挙げることができる。
【0030】
上記UVアニールにおける加熱温度は特に限定されるものではないが、350℃から450℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは350℃から400℃である。350℃以上であると形成される膜の機械的強度を向上させることができるので好ましく、450℃以下であるとCu等の配線材料の拡散を防止することができ、配線構築プロセス上の不具合を抑制することができるので好ましい。
【0031】
上記の温度、紫外線波長の範囲内にすることにより、誘電率上昇の原因となるオゾンの発生を抑え、シロキサンポリマー中のSiに結合している有機基が切り離された後、シリカ系被膜中から排出される。これによって、シリカ系被膜を多孔質化することができ、誘電率を向上させると推察される。また、紫外線照射時の加熱により、切り離された有機基の排出を促進されると推察される。さらに、有機基が切り離された一部のSiは、Si−O−Si結合を形成することにより、骨格が強固となり機械強度が向上するものと推察される。また同時に、シリカ系被膜が緻密化され、吸湿性が改善され電気特性が向上すると推察される。
【0032】
紫外線の照度は特に限定されないが、5mW/cm以上であることが好ましい。5mW/cm以上であると十分な紫外線の強度を得られるので好ましい。
【0033】
UVアニールを行う時間は特に限定されないが、30秒間から7分間であることが好ましく、3分間から5分間であることがより好ましく、3分間であることが最も好ましい。30秒以上であれば十分アニールによる効果を得られるので好ましく、7分間以下であればスループット面で有利となるので好ましい。
【0034】
[被膜形成装置]
本発明の被膜形成装置は、密閉可能な処理室と、前記処理室内に設けられた、紫外光照射処理を受ける基板を保持する基板保持部と、前記基板を加熱する加熱部と、前記基板保持部に対向するように設けられた紫外光照射部と、前記基板保持部と前記紫外光照射部との間に設けられた、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材と、を備えることを特徴とする。
【0035】
処理室は、内部の空気を不活性ガスに置換できるように、密閉可能とされている。さらに、処理室は、減圧可能な構成としてもよい。
【0036】
基板保持部は、紫外線を照射するシリカ系被膜形成用組成物を塗布した基板を保持するものであり、紫外線照射部に対向するように設けられている。
【0037】
基板保持部は基板を保持できれば特に限定されないが、紫外線照射部に対して遠近運動する上下運動又は紫外線照射部に対する順逆回転運動のうち少なくともいずれか1つを行い得るようになっていることが好ましい。より好ましくは、上下運動と順逆回転運動の両方を行い得る基板保持部である。上下運動では、基板保持部を紫外線照射部から遠ざけると、基板内の各照射箇所において紫外線照射量が少なくなるが均一性が増し、基板保持部を紫外線照射部に近づけると、紫外線照射量は多くなるが均一性は低くなる。したがって、上下運動により紫外線照射量及び均一性を調整できるからである。また、90°以上の角度で順逆回転運動を行うことで、基板内の各照射箇所における紫外線照射の偏りをなくし、紫外線照射量を均一にすることができる。
【0038】
加熱部は、シリカ系被膜形成用組成物が塗布された基板を紫外線照射しながら、加熱するために設けられている。
【0039】
加熱部は、シリカ系組成物が塗布された基板を、350℃から450℃に加熱できれば、加熱方法は特に限定されず、熱の伝導による加熱、熱の対流による加熱、光照射による加熱のいずれの方法でもよい。
【0040】
熱の伝導による加熱とは、物体の内部を高温部から低温部へと熱が順次伝わっていくことをいう。すなわち、結合している原子間・分子間を次々に振動等の運動エネルギーとしての伝達によって熱が伝わることをいう。具体的には、加熱物と被加熱物を接触させ、熱伝導により熱を直接基板に伝える方法である。例えば、ホットプレート、ヒーター等による基板の加熱が挙げられる。均一に基板を加熱するために加熱部はホットプレートであることが好ましい。
【0041】
熱の対流による加熱とは、気体や液体のような流体が熱せられると、膨張し流体が軽くなって高温の部分が上へ移動し、低温の部分が下降し入れ換わるように熱が動くことをいう。温度が高くなれば、分子の運動範囲は広くなり、体積は膨張して密度は小さくなる。すなわち、流体は軽くなり重力と反対方向にあるいは圧力に押される方向に移動することにより熱が伝わることをいう。具体的には、空気・ガス等を媒体として熱を伝えることをいう。
【0042】
光照射による加熱とは、電磁波が基板に当たったとき、物体を構成する原子間の結合力と重さに依存する固有の振動数と適合すれば、物体の分子振動の振幅は助長され、高い熱エネルギーを保有することを利用した加熱方法である。具体的には、電磁波により分子を振動させ摩擦熱を発生させ温度を上昇させる方法である。例えば、赤外線ランプによる加熱が挙げられる。
【0043】
なお、加熱部は複数あってもよく、また、上記加熱方法の複数の加熱方法を利用するものであってもよい。
【0044】
紫外線照射部は、基板保持部に対向するように設けられた、シリカ系被膜形成用組成物に紫外線を照射するためのものである。
【0045】
紫外線照射部は、10nmから400nmの波長の光を含む紫外光を発生するものであれば、波長の範囲は特に限定されない。基板に照射する紫外線の波長は特に限定されないため、低圧水銀灯、高圧水銀灯、アークランプ、エキシマレーザー等が使用可能である。この中で特に、本発明における紫外線照射部は、184nm、254nmの波長の紫外線を照射することができる低圧水銀灯であることが好ましい。なお、本発明では、184nmの波長の光の少なくとも一部が遮断部材によって遮断される。
【0046】
本発明において紫外線照射部が発光する光の照度は特に限定されないが、基板に照射される紫外線の照度は5mW/cmから50mW/cmであることが好ましい。このため、紫外線照射部は照度を調整できる手段を備えるものであってもよい。基板に照射される紫外線の照度が調節できる手段であれば特に限定されないが、例えば、紫外線光源の電圧を調整する方法、紫外線光源の位置を変えて基板保持部からの距離を調整する方法、光源と基板保持部の間に露光量調整板を挿入する方法がある。
【0047】
紫外線照射部の数は特に限定されないが、基板保持部が大型の場合や複数の基板保持部がある場合は、紫外線照射部は複数あってもよい。この場合、一般的に、隣接する紫外線光源の間に位置する基板保持部では、紫外線光源直下よりも紫外線照射量が少なくなるため、基板保持部に保持された基板への紫外線照射量の不均一が生じる。そこで、紫外線光源と基板保持部との間に紫外線の反射板を設け、基板に対して紫外線の照射処理を行っているときに反射面を上下移動させ、あるいは反射面の角度を適宜変えることにより、基板保持面上の基板表面における紫外線の照射を調節して、基板保持面上の基板表面における紫外線照射量を均一化することができる。
【0048】
遮断部材は、基板保持部と紫外線照射部との間に設けられた、紫外線照射部から照射された紫外線に含まれる200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断するために設けられている。遮断部材は、少なくとも185nmの波長の光を遮断するものであることが好ましい。
【0049】
遮断部材は、紫外線照射部から照射された紫外線に含まれる200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断できるものであれば遮断率は特に限定されないが、誘電率上昇の原因となるオゾンの発生を十分に抑えるために、200nm以下の光を実質的に遮断するものが好ましい。
【0050】
実質的に遮断とは、オゾンの発生による誘電率の上昇を抑えることができる程度の遮断であれば特に限定されないが、MSR7000−03(オプトリサーチ社製)測定した場合の照度が0mW/cmであることが好ましい。
【0051】
遮断方法についても特に限定されないが、例えば、遮断部材として200nm以下の波長の光の少なくとも一部を吸収するガラスを使用する方法等が挙げられる。もしくは低圧水銀灯のガラスとして200nm以下の波長の光の少なくとも一部を吸収するガラスを使用する
【0052】
紫外線照射部として低圧水銀灯を用いた場合、低圧水銀灯から照射される紫外線の200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断することにより、照射時間とともに誘電率が低下するため、プロセスマージンが広がるので好ましい。なお、低圧水銀灯では、185nm及び245nmの波長の光を主としているため、特に185nmの波長の光をカットすることで、オゾンの発生を十分防止することができ好ましい。
【0053】
以下に、本発明の被膜形成装置の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0054】
図1に示すように、被膜形成装置1は、密閉可能な処理室に、その処理室内を200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材30で仕切ることにより設けられた、基板処理室10と、ランプ室20と、を備える。
【0055】
基板処理室10内には、ホットプレート11が備えられている。そして、ホットプレート11は基板12を保持する。
【0056】
ホットプレート11は、基板保持部として機能するとともに、基板を加熱する加熱部としても機能する。
【0057】
本発明の被膜形成装置は、ホットプレート11のような加熱部を設けた基板保持部に限定されるものではなく、基板保持部と加熱部は別々に設けられていてもよい。
【0058】
ランプ室20は、基板保持部に対向するように設けられた紫外線照射部である低圧水銀灯21を備える。
【0059】
本発明の被膜形成装置において、基板処理室10とランプ室20とは、遮断部材30によって完全に仕切られていることに限定されないが、完全に仕切られていれば、UVアニール時にシリカ系被膜形成用組成物から生じる昇華物が低圧水銀灯21に付着することを防ぐことができるので好ましい。
なお、上記では低圧水銀灯21と遮断部材とを別個に設けているが、低圧水銀灯を構成している水銀を封入する管自体を上記遮断部材で形成したものを用いてもよい。この場合、ランプ室は無くてもよいし、上記遮断部材30を仕切り部として設けてもよい。この仕切り部は単にランプ室と基板処理室とを仕切ることができればよい。
【0060】
また、本発明の被膜形成装置は、遮断部材が、基板保持部と紫外線照射部との間に設けられていれば特に限定されないので、紫外線光源が遮断部材を備えた紫外線照射部であってもよい。例えば、紫外線照射部として利用可能な低圧水銀灯の外側のガラスグローブを、200nmの波長の光の少なくとも一部を遮断するガラスグローブにすることが挙げられる。
【0061】
[シリカ系被膜形成用組成物]
本発明で用いられるシリカ系被膜形成用組成物は特に限定されないが、本発明において好ましく用いられるシリカ系被膜形成用組成物は、アルコキシシラン化合物を含むシラン化合物を加水分解し、縮合して得られるシロキサンポリマーを含有するシリカ被膜形成用組成物である。
【0062】
ここでは、まず、シロキサンポリマー及びシロキサンポリマーを得るために用いられるシラン化合物について説明し、次に、シロキサンポリマーを得るための加水分解及び縮合反応について説明する。そして、最後に、被膜形成用組成物に含まれるシロキサンポリマー以外の成分について説明する。
【0063】
(シロキサンポリマー)
本明細書中において、被膜形成用組成物に含有される「シロキサンポリマー」は、Si−O単位を主骨格とするポリマーであり、本実施の形態では、シラン化合物を加水分解し、縮合反応することによって得られる。
【0064】
シロキサンポリマーの質量平均分子量(Mw)(ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されていないが、1000から10000の範囲であることが好ましく、1000から5000の範囲であることがより好ましい。
【0065】
また、被膜形成用組成物中におけるシロキサンポリマーの濃度は、0.1から20質量%の範囲であることが好ましく、0.5から10質量%の範囲であることがより好ましい。上記の範囲内であれば、例えば、半導体素子における層間絶縁膜として好適に用いることができる膜厚のシリカ系被膜を容易に形成することができ、また、被膜形成用組成物を容易に製造することができる。
【0066】
(テトラアルコキシシラン)
シロキサンポリマーを得るために用いられるシラン化合物の一種であるテトラアルコキシシランについて、以下に説明する。なお、本明細書におけるテトラアルコキシシランはアルコキシシラン化合物と別に分類されるものとする。
【0067】
ここで、テトラアルコキシシランは、より好ましくは一般式(1)で表される化合物を有している。
【0068】
Si(OR (1)
(式中、Rは独立して炭素数1から4のアルキル基を示す。)
【0069】
上記一般式(1)においてRにて示されるアルキル基は、炭素数1から4のアルキル基であれば直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0070】
このような上記一般式(1)で表されるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−イソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、加水分解、及び縮合反応時の制御のし易さから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−イソプロポキシシラン、及びテトラ−n−ブトキシシランであることがより好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランであることがさらに好ましい。
【0071】
(アルコキシシラン化合物)
シロキサンポリマーを得るために用いられるシラン化合物の一種であるアルコキシシラン化合物について、以下に説明する。
【0072】
本発明におけるアルコキシシラン化合物は、一般式(2)で表される構造を有するものとする。
【0073】
Si(OR4−n (2)
(式中、Rは炭素数1から20の有機基を示し、Rは炭素数1から4のアルキル基を示し、nは1又は2を示す。)
【0074】
本実施の形態において、アルコキシシラン化合物は、トリアルコキシシラン化合物及びジアルコキシシラン化合物の混合物であってもよいし、また何方か一方のみであってもよいが、トリアルコキシシラン化合物からなることがより好ましい。トリアルコキシシラン化合物及びジアルコキシシラン化合物については、以下に詳述する。
【0075】
(トリアルコキシシラン化合物)
トリアルコキシシラン化合物は、上記一般式(2)のnが1であり、下記一般式(3)で表される構造を有している。
【0076】
Si(OR (3)
(式中、Rは炭素数1から20の有機基を示し、Rは独立して炭素数1から4のアルキル基を示す。)
【0077】
上記一般式(3)においてRにて示される炭素数1から20の有機基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等を挙げることができる。また、上記有機基は、グリシジル基、グリシジルオキシ基等のエポキシ含有基、アミノ基、アルキルアミノ基等のアミノ含有基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも上記Rは、炭素数1から6の有機基であることがより好ましく、炭素数1から6のアルキル基であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等であることがより好ましい。
【0078】
また、Rにて示されるアルキル基は、上述したテトラアルキルアルコキシランのRと同様に、炭素数1から4のアルキル基であれば直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、加水分解、及び縮合反応時の制御のし易さから、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基であることが好ましい。
【0079】
このような上記一般式(3)で表されるトリアルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−イソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−イソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−イソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−イソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリ−イソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−イソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−イソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−イソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリ−イソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ− n −プロポキシシラン、フェニルトリ−イソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert −ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ジビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0080】
これらの中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−イソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−イソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−イソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−イソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランであることが好ましい。
【0081】
(ジアルコキシシラン化合物)
ジアルコキシシラン化合物は、上記一般式(2)のnが2であり、一般式(4)で表される構造を有している。
【0082】
Si(OR (4)
(式中、Rは独立して炭素数1から20の有機基を示し、Rは独立して炭素数1から4のアルキル基を示す。)
【0083】
上記一般式(4)においてRにて示される炭素数1から20の有機基は、トリアルコキシシラン化合物のRと同様である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、及びフェニル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、及びプロピル基であることがさらに好ましい。すなわち、ジアルコキシシラン化合物は、ジアルキルジアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
【0084】
また、Rにて示されるアルキル基は、上述したテトラアルキルアルコキシランのR、及びトリアルコキシシラン化合物のRと同様に、炭素数1から4のアルキル基であれば直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、加水分解、及び縮合反応時の制御のし易さから、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基であることが好ましい。
【0085】
このような上記一般式(4)で表されるジアルコキシシラン化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−イソプロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−イソプロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−イソプロピルジメトキシシラン、ジ−イソプロピルジエトキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−イソプロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン等が挙げられる。
【0086】
これらの中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−イソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−イソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−イソプロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−イソプロピルジメトキシシラン、ジ−イソプロピルジエトキシシラン、ジ−イソプロピル−ジ−イソプロポキシシラン、及びジ−イソプロピル−ジ−n−ブトキシシランであることがより好ましい。
【0087】
(シラン化合物におけるアルコキシシラン化合物のモル分率)
ここで、シロキサンポリマーを得るために用いられるシラン化合物におけるアルコキシシラン化合物の使用量について説明する。
【0088】
上記シラン化合物におけるアルコキシシラン化合物のモル分率は、0.5以上であることが好ましく、0.5から0.9の範囲であることがより好ましく、0.6から0.9の範囲であることがさらに好ましい。特に上記モル分率が0.5から0.9の範囲であれば、得られるシリカ系被膜の誘電率をより低くするとともに、機械的強度及び電気特性をより向上させることができる。
【0089】
また、アルコキシシラン化合物が、トリアルコキシシラン化合物及びジアルコキシシラン化合物の混合物の場合には、アルコキシシラン化合物のモル分率の和が0.5以上、より好ましくは0.5から0.9の範囲であれば、トリアルコキシシラン化合物とジアルコキシシラン化合物との配分は特に限定されるものではない。
【0090】
さらに、上記アルコキシシラン化合物は、トリアルコキシシランのみからなることが電気特性の上で特に好ましい。
【0091】
また、アルコキシシラン化合物の使用量は、シロキサンポリマーを構成する全てのシリコンに対するSiと有機基との結合のモル分率が、0.4以上であることが好ましく、0.5から0.9の範囲であることがより好ましい。これにより、本発明の被膜形成用組成物から形成されるシリカ系被膜に対して、特に紫外線照射を行った場合において、誘電率を低くするとともに、機械的強度及び電気特性を向上したシリカ系被膜を形成することができる。
【0092】
(シロキサンポリマーを得るための加水分解及び縮合反応)
次に、シロキサンポリマーを得るための加水分解及び縮合反応について説明する。上記加水分解及び縮合反応は、上述したようなシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液に、水及び触媒を混合することによって行われる。水の添加量は、シラン化合物における加水分解基1モル当たり、0.5から4.0モルの範囲であることが好ましい。上記加水分解及び縮合反応に用いることができる有機溶媒については、後で詳述するため、触媒についてのみ以下に説明する。
【0093】
(加水分解及び縮合反応に用いられる触媒の種類及び量)
加水分解及び縮合反応に用いられる触媒としては、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0094】
有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、へキサン酸、へプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルへキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リルイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、べンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
【0095】
無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
【0096】
また、有機塩基としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノ−ルアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロ−ル、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン等を挙げることができる。
【0097】
無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
【0098】
これらの中でも、触媒としては酸触媒を用いることがより好ましい。有機酸としては、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、n−酪酸等のカルボン酸、ならびに硫黄含有酸残基をもつ有機酸が挙げられる。上記硫黄含有酸残基をもつ有機酸としては、有機スルホン酸が挙げられ、それらのエステル化物としては有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル等が挙げられる。これらの中で、特に有機スルホン酸、例えば、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0099】
−SOH (5)
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
【0100】
上記一般式(5)において、Rとしての炭化水素基は、炭素数1から20の炭化水素基が好ましく、この炭化水素基は飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
【0101】
の炭化水素基が環状の場合、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香族炭化水素基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましいこの芳香族炭化水素基における芳香環には置換基として炭素数1から20の炭化水素基が1個又は複数個結合していてもよい。該芳香環上の置換基としての炭化水素基は飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
【0102】
また、Rとしての炭化水素基は1個又は複数個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えばフッ素原子等のハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。
【0103】
上記一般式(5)で表される有機スルホン酸としては、シリカ系被膜上に形成されるレジストパターン下部の形状改善効果の点から、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、もしくはドデシルべンゼンスルホン酸又はこれらの混合物等が好ましい。
【0104】
上記触媒の量は、例えば、加水分解反応の反応系中の濃度が1から1000ppm、特に5から800ppmの範囲になるように調整すればよい。
【0105】
(被膜形成用組成物に含まれるシロキサンポリマー以外の成分)
最後に、被膜形成用組成物に含まれるシロキサンポリマー以外の成分について、以下に説明する。本実施の形態に係る被膜形成用組成物は、シロキサンポリマー以外に、空孔形成剤及びアルカリ金属含有化合物を含んでいることが好ましい。
【0106】
アルカリ金属含有化合物を含む場合には、上記被膜形成用組成物から形成されるシリカ系被膜の誘電率を低下させることができるとともに、電気特性を向上することができる。また、上記被膜形成用組成物の保存安定性を向上させること、及び、脱ガスを抑制することができる。また、空孔形成剤を含む場合には、上記被膜形成用組成物を加熱することにより、該被膜形成用組成物から形成されたシリカ系被膜に空孔を形成することができる。
【0107】
被膜形成用組成物に用いることができるアルカリ金属含有化合物及び空孔形成剤について、さらに以下に説明する。
【0108】
(アルカリ金属含有化合物の種類及び量)
アルカリ金属含有化合物におけるアルカリ金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を挙げることができる。これらの中でも、特にルビジウム、セシウムが誘電率をより低くする上で好ましい。
【0109】
これらのアルカリ金属含有化合物としては、例えば、上記アルカリ金属の有機酸塩、無機酸塩、アルコキシド、酸化物、窒化物、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物)、水酸化物等が挙げられる。
【0110】
上記有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、吉草酸、カプロン酸、へプタン酸、2−エチルへキサン酸、シクロへキサン酸、シクロへキサプロピオン酸、シクロへキサン酢酸、ノナン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、ロイシン酸、ヒドロキシピバリン酸、ピバリン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロへキサンジカルボン酸、ピメリン酸、コルク酸、エチルブチル酸、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、ヒドロキシ安息香酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノ−ル酸、リシノ−ル酸等が挙げられる。
【0111】
上記無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、炭酸、リン酸等が挙げられる。
【0112】
また、アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
【0113】
これらのアルカリ金属含有化合物としては、アルカリ金属の無機酸塩、ハロゲン化物が好ましく、硝酸塩であることがより好ましい。アルカリ金属含有化合物としては、特に、硝酸ルビジウムが好ましい。
【0114】
これらのアルカリ金属含有化合物は、被膜形成用組成物における固形分(SiO換算質量)に対して、1から1000000ppmの範囲で含まれることが好ましく、10から100000ppmの範囲で含まれることがより好ましく、100から10000ppmの範囲で含まれることがさらに好ましい。上記範囲とすることによって、本発明の効果がより一層向上する。
【0115】
(空孔形成剤の種類及び量)
空孔形成剤として用いることができる化合物としては、例えば、ポリアルキレングリコール、及びその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物、6単糖類誘導体1個ないし22個からなる単糖類、二糖類、多糖類又はその誘導体、ならびに自らが分解してガスを発生する過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。上記空孔形成剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0116】
このような空孔形成剤は、ポリアルキレングリコール、及びその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物であることが好ましい。
【0117】
ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基の炭素数は、1から5が好ましく、1から3がより好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の低級アルキレングリコールが挙げられる。
【0118】
ポリアルキレングリコールの少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物とは、少なくとも1つの上記末端の水酸基がアルキル基によってアルコキシ化されたものである。上記末端のアルコキシ化に用いられるアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であってよく、その炭素数は、1から5であることが好ましく、1から3であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0119】
ポリアルキレングリコール及びその少なくとも1つの末端がアルキル化された化合物の質量平均分子量(Mw)は、100から10000の範囲であることが好ましく、200から5000の範囲であることがより好ましく、400から4000の範囲であることがさらに好ましい。上記範囲の上限値以下とすることにより、組成物における相溶性を損なうことなく良好な塗布性が得られ、シリカ系被膜の膜厚均一性がよくなる。上記範囲の下限値以上とすることにより、シリカ系被膜をより多孔質にすることができ、低誘電率化が可能となる。
【0120】
空孔形成剤の使用量は、被膜形成用組成物における固形分(SiO換算質量)に対して、25から200質量%の範囲であることが好ましく、30から100質量%の範囲であることがより好ましい。上記範囲とすることによって、シリカ系被膜の誘電率を低下させることができる。
【0121】
(有機溶媒の種類及び量)
また、本実施の形態に係る被膜形成用組成物は、さらに、水又は有機溶媒を含有していてもよい。上記有機溶媒は、上述したシラン化合物を溶解するために用いる有機溶媒と共通のものを用いることができる。具体的には、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソへキサン、n−へプタン、イソへプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;べンゼン、トルエン、キシレン、エチルべンゼン、トリメチルべンゼン、メチルエチルべンゼン、n−プロピルべンセン、イソプロピルべンセン、ジエチルべンゼン、イソブチルべンゼン、トリエチルべンゼン、ジ−イソプロピルべンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルべンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tertーブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノ−ル、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−へキサノール、2−メチルペンタノール、sec−へキサノール、2−エチルブタノール、sec−へプタノール、3−へプタノール、n−オクタノール、2−エチルへキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−へプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−へプタデシルアルコール、フエノール、シクロへキサノール、メチルシクロへキサノール、3,3,5−トリメチルシクロへキサノール、べンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、へキサン−2,5−ジオール、へプタン−2,4−ジオール、2−エチルへキサン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−へキシルケトン、ジ−イソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロへキサノン、メチルシクロへキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニル、アセトン、ジアセトンアルコール、アセトフエノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−へキシルエーテル、2−エチルへキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−へキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−へキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸Sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸Sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸べンジル、酢酸シクロへキシル、酢酸メチルシクロへキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコ−ルモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n一アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0122】
有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、被膜形成用組成物におけるシロキサンポリマーの濃度が、0.1から20質量%程度となるように調整することが好ましく0.5から10質量%程度に調整することがより好ましい。上記の濃度範囲にすることにより、塗膜の膜厚を適当な範囲にすることができ、保存安定性もより一層向上させることができる。
【0123】
また、有機溶媒としては、アルカリ金属化合物を溶解する有機溶媒が含まれることが好ましく、特に親水性の有機溶媒又は水が好ましい。親水性の有機溶媒としては、例えばアセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級アルコールが挙げられる。これら、親水性の有機溶媒は、用いられる全有機溶媒中1から100質量%程度であることが好ましく、5から30質量%程度であることがより好ましい。
【0124】
(付記事項)
さらに、本実施の形態に係る被膜形成用組成物は、塗布性の向上やストリエーション防止のための界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、さらには、シリコン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0126】
[実施例1]
OCD T−7 7000−WK80 100.0gに対して、三洋化成製ポリアルキレングリコールPP−1000を3.5g(固形分に対して50wt%)添加した後、0.1wt%RbNO水溶液を2.10g(固形分に対して300ppm)添加した。これにアセトン42.57gとIPA85.16gを加え攪拌し、固形分を3wt%に調整した。この塗布液をスピンコートにより、シリコンウエハ上に塗布して被膜を形成し、その被膜を80−150−250℃で各1分の乾燥をした。
【0127】
水銀を封入した管を200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材で形成した低圧水銀灯LH3201N(GS−ユアサ ライティング社製)とホットプレートとを備えるUVアニール装置を使用し、上記乾燥させた被膜を、常圧N雰囲気中で、ウエハ温度350℃にて加熱しながら、紫外線を照射した。処理時間は3分間、9分間の2通りとした。
【0128】
上記低圧水銀灯の200nm以下における照度をMSR7000−03(オプトリサーチ社製)測定したところ、0mW/cmであった。
【0129】
[比較例1]
実施例1におけるUVアニール装置の代わりに、照射光に200nm以下の光を含むXeエキシマUVランプを備えるUVアニール装置SPX−1120(半導体プロセス研究所製)を使用したことと、0.2Paの真空中でアニール処理したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。
【0130】
[比較例2]
実施例1におけるUVアニール装置において、低圧水銀灯として水銀を封入した管を200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材で形成していない低圧水銀灯L1200FSA(GS−ユアサ ライティング社製)を使用したUVアニール装置を用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ系被膜を形成した。上記低圧水銀灯では、185nmの波長の光をカットしていないため、185nmにおける波長の光を含んでいる。
【0131】
[評価]
実施例及び比較例で得られた被膜の誘電率を水銀プローブ式CV、IV測定装置SSM495(日本エス・エス・エム株式会社製)にて測定し、弾性率をNano Indentor XP−SA2(MTS社製)にて測定した。それぞれの測定結果を表1に示す。
【0132】
【表1】

【0133】
表1の実施例1と比較例2から分かるように、200nm以下の波長の光のうち少なくとも一部を遮断することで、得られるシリカ系被膜の誘電率が低下することが確認された。
【0134】
また、表1の実施例1と比較例1から分かるように、比較例1では、処理時間が3分間の場合の誘電率は2.22であり、処理時間が9分間の場合の誘電率は2.48である。このように、比較例1の方法では誘電率が最小になる最適点をねらう必要があり、プロセスマージンが狭くなる。これに対し、実施例1では、処理時間が3分間の場合の誘電率は2.37であり、処理時間が9分間の場合の誘電率は2.24である。このように、実施例1の方法では、照射時間とともに誘電率は低下するので、プロセスマージンが広い。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の被膜形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
1 被膜形成装置
10 基板処理室
11 ホットプレート
12 基板
20 ランプ室
21 低圧水銀灯
30 遮断部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ系被膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
前記基板に塗布した前記シリカ系被膜形成用組成物を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した前記シリカ系被膜形成用組成物に対し、加熱しながら、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材を通して紫外光を照射する照射工程と、を有することを特徴とする被膜形成方法。
【請求項2】
前記紫外光の光源が低圧水銀灯であることを特徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
【請求項3】
前記遮断部材は、少なくとも185nmの波長の光を遮断することを特徴とする請求項1又は2に記載の被膜形成方法。
【請求項4】
前記遮断部材は、200nm以下の波長の光を実質的に遮断することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の被膜形成方法。
【請求項5】
前記遮断部材がガラスであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の被膜形成方法。
【請求項6】
前記照射工程における加熱温度が、350℃から450℃であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の被膜形成方法。
【請求項7】
前記照射工程を常圧、不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の被膜形成方法。
【請求項8】
密閉可能な処理室と、
前記処理室内に設けられた、紫外光照射処理を受ける基板を保持する基板保持部と、
前記基板を加熱する加熱部と、
前記基板保持部に対向するように設けられた紫外光照射部と、
前記基板保持部と前記紫外光照射部との間に設けられた、200nm以下の波長の光の少なくとも一部を遮断する遮断部材と、を備えることを特徴とする被膜形成装置。
【請求項9】
前記紫外光照射部は、低圧水銀灯であることを特徴とする請求項8に記載の被膜形成装置。
【請求項10】
前記遮断部材は、少なくとも185nmの波長の光を遮断することを特徴とする請求項9に記載の被膜形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−18224(P2009−18224A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180773(P2007−180773)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】