説明

被膜形成用樹脂組成物

【課題】ポリビニルアルコールを使用しなくても、水溶性ポリマーのみでレジストパターンを微細化することができ、さらに水溶性、被膜強度、平滑性などに優れた被膜形成用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】式(I):


(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは酸素原子、NH基または硫黄原子、Rは水酸基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表されるアミノ基含有モノマー20〜80重量%および式(II):


(式中、Rは前記と同じ。Rはカルボン酸エステル基、芳香族基、複素環含有基またはカプロラクタム基を示す)
で表されるビニル基含有化合物20〜80重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる被膜形成用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜形成用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、KrFフォトリソグラフィプロセス、ArFフォトリソグラフィプロセスなどで形成されるレジストパターンの表面の塗布に好適に使用しうる被膜形成用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
KrFフォトリソグラフィプロセスやArFフォトリソグラフィプロセスで形成されるレジストパターンをシュリンクさせる方法として、レジンオーバーコート法がある。レジンオーバーコート法としては、例えば、基板上にレジストパターンを形成した後、ポリビニルアルコールで被膜処理を行い、シュリンクさせる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法には、ポリビニルアルコールで形成された被膜の水溶性に劣るという欠点がある。
【0003】
そこで、前記方法の欠点を解消する方法として、ポリビニルアルコールと水溶性ポリマーとを併用した被膜組成物を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法には、水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコールよりも水溶性が高いポリマーを用いると、ポリビニルアルコールが不溶化して析出するという欠点があり、また、ポリビニルアルコールよりも水溶性が低いポリマーを用いると、ポリビニルアルコールで形成された被膜の水溶性に劣るという欠点がある。このことから、この方法では、被膜組成物を高濃度で使用することが困難である。
【特許文献1】特開平7−45510号公報
【特許文献2】特開2004−78033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ポリビニルアルコールを使用しなくても、水溶性ポリマーのみでレジストパターンを微細化することができ、さらに水溶性、被膜強度、平滑性などに優れた被膜形成用樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは酸素原子、NH基または硫黄原子、Rは水酸基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表されるアミノ基含有モノマー20〜80重量%および式(II):
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、Rは前記と同じ。Rはカルボン酸エステル基、芳香族基、複素環含有基またはカプロラクタム基を示す)
で表されるビニル基含有化合物20〜80重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる被膜形成用樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の被膜形成用樹脂組成物によれば、ポリビニルアルコールを使用しなくても、レジストパターンを微細化させることができ、さらに水溶性、被膜強度、平滑性などに優れた被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(I)で表されるアミノ基含有モノマー(以下、単に「アミノ基含有モノマー」という)は、レジストパターンの表面に存在するカルボン酸とのイオン架橋に関与する成分である。
【0012】
式(I)において、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rのなかでは、水素原子およびメチル基が好ましい。Xは、酸素原子、NH基または硫黄原子を示す。Rは、水酸基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキレン基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0013】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0014】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」とは、アクリまたはメタクリを意味する。
【0015】
モノマー組成物におけるアミノ基含有モノマーの含有量は、レジストパターンの表面に存在するカルボン酸との架橋密度を高める観点から、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、本発明の被膜形成用樹脂組成物で形成される被膜に十分な被膜強度を付与する観点から、80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
【0016】
式(II)で表されるビニル基含有化合物(以下、単に「ビニル基含有化合物」という)は、モノマー組成物の重合速度を高める成分である。式(II)において、Rは、前記と同じであり、具体的には、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rのなかでは、水素原子およびメチル基が好ましい。Rは、カルボン酸エステル基、芳香族基、複素環含有基またはカプロラクタム基を示す。
【0017】
カルボン酸エステル基としては、例えば、炭素数2〜18のカルボニルオキシアルキル基、炭素数2〜18のカルボキシアルキレン基などが挙げられる。カルボン酸エステル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、ケトン基、炭素数2〜18のエーテル基、アミノ基、ウレタン基などが挙げられる。
【0018】
芳香族基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフタレン残基、アントラセン残基、ピレン残基などの炭素数6〜24の芳香族基、好ましくは炭素数6〜24のアリール基などが挙げられる。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、炭素数2〜18のエーテル基、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、ウレタン基などが挙げられる。
【0019】
複素環含有基としては、例えば、ピロリドン残基、ピリジン残基、イミダゾリン残基などの炭素数6〜12の複素環含有基が挙げられる。複素環含有基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、炭素数2〜18のエーテル基、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、ウレタン基などが挙げられる。
【0020】
ビニル基含有化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜22の脂環基を有する(メタ)アクリレート;
【0021】
アリル(メタ)アクリレートなどのアルキレン基を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフェニルフェノキシ(メタ)アクリレート、トリベンジルフェニル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜24の芳香環を有する(メタ)アクリレート;イミドエチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜18のイミド基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのエーテル基を有する(メタ)アクリレート;
【0022】
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜18の水酸基を有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜22のエーテル基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどの炭素数1〜18の(メタ)アクリルアミド、
【0023】
スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、インデン、ビニルアントラセンなどの炭素数1〜12の芳香環含有ビニル化合物;イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどの炭素数1〜12のイタコン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの酢酸ビニル誘導体;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルピリジン、ビニルイミダゾリンなどの炭素数1〜22の複素基含有ビニル化合物;
【0024】
1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどの2官能(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレートのなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのビニル基含有モノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
ビニル基含有モノマーのなかでは、膜の強靭性、耐アルカリ性および耐熱性の観点から、N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルカプロラクタムが好ましい。
【0026】
モノマー組成物におけるアミノ基含有モノマーの含有量は、本発明の被膜形成用樹脂組成物で形成される被膜に十分な被膜強度を付与する観点から、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上であり、レジストパターンの表面に存在するカルボン酸との架橋密度を高める観点から、80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
【0027】
モノマー組成物は、アミノ基含有モノマーおよびアミノ基含有モノマーを混合することによって調製することができる。
【0028】
なお、モノマー組成物には、本発明の目的が阻害さない範囲内で、他のモノマーを用いることができる。
【0029】
本発明の被膜形成用樹脂組成物は、モノマー組成物を重合させることにより、得ることができる。モノマー組成物の重合法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法などが挙げられる。これらの重合法のなかでは、溶液重合法が好ましい。
【0030】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、精製水などの水、有機溶媒、それらの混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類、n-ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。溶媒の量は、通常、重合に供されるモノマー組成物の濃度が10〜80重量%となるように調整することが好ましい。
【0031】
モノマー組成物を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示によって限定されるものではない。
【0032】
重合開始剤は、モノマー組成物を溶媒に溶解させた溶液を攪拌しながら、その溶液に添加すればよい。重合開始剤の量は、通常、モノマー組成物100重量部あたり、重合反応を促進させる観点から、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重以上であり、得られる樹脂組成物と基材との密着性を高める観点から、好ましくは30重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
【0033】
モノマー組成物の重合は、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
【0034】
モノマー組成物の重合温度は、用いられる重合開始剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、重合開始剤の10時間半減期温度とすることが好ましい。また、重合時間は、重合反応が不完全となって未反応モノマーが残るのを回避する観点から、好ましくは2時間以上、より好ましくは2〜24時間程度である。なお、未反応モノマーの有無は、ゲルクロマトグラフィーなどの一般的な分析方法で確認することができる。
【0035】
かくして得られる被膜形成用樹脂組成物は、そのままの状態で用いることができるが、必要により、溶媒で希釈したり、中和剤で中和させた後に用いることもできる。
【0036】
本発明の被膜形成用樹脂組成物は、ポリビニルアルコールを使用しなくても、水溶性ポリマーのみでレジストパターンを微細化することができ、さらに水溶性、被膜強度、平滑性などに優れている。したがって、本発明の被膜形成用樹脂組成物は、例えば、微細化レジスト組成物、ポジ型レジスト組成物などとして好適に使用することができる。
【0037】
例えば、本発明の被膜形成用樹脂組成物をポジ型レジスト組成物として使用する場合、本発明の被膜形成用樹脂組成物をスピンコートなどの手段により、シリコンウェハー上に塗布し、乾燥させることによってレジスト層を形成し、所望のパターンを有するマスクを介してレーザーを照射した後、現像することにより、所望のレジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜9および比較例1〜5
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管および攪拌装置を取り付けた5つ口フラスコ内に、表1に示す組成からなるモノマー組成物を添加して混合し、モノマー組成物の濃度が60重量%となるようにエタノールで希釈した。
【0040】
得られた溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをモノマー組成物100重量部に対して0.3重量部の割合で添加し、80℃で8時間加熱攪拌することにより、重合反応を完結させ、さらに精製水を添加することにより、樹脂固形分濃度が40重量%の被膜形成用樹脂組成物の水溶液を得た。
【0041】
なお、表1に示す各略号は、以下のことを意味する。
NVP:N-ビニルピロリドン
BMA:ブチルメタクリレート
CHMA:シクロへキシルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
DMA:ジメチルアミノエチルアクリレート
DMMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
DMAPMA:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
PVA:ポリビニルアルコール
PDMMA:ポリジメチルアミノエチルメタクリレート
【0042】
【表1】

【0043】
実験例
t−ブチルメタクリレートのホモポリマー〔重量平均分子量:5000、重量平均分子量/数平均分子量の比の値:2.0〕をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMAC)と乳酸エチルと混合溶液〔PGMAC:乳酸エチル=6:4(容量比)〕に濃度が10%(w/v)となるように溶解させた。
【0044】
得られた溶液に、該溶液100重量部に対してトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホン酸塩3重量部の割合で、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホン酸塩を溶解させ、ポジ型レジスト組成物を得た。
【0045】
得られたポジ型レジスト組成物をスピンコートにてシリコンウェーハ上に塗布し、110℃で10分間プリベークを行い、膜厚300nmのレジスト層を形成させた。
【0046】
次に、形成したレジスト層に、コンタクトホール型のマスクパターンを介して、ArFエキシマレーザーを照射した。ArFエキシマレーザーの照射後、1%炭酸ナトリウム水溶液にて現像し、レジストパターンを形成した。その際のコンタクトホールの平均直径は、280nmであった。
【0047】
得られたレジストパターンに、各実施例または各比較例で得られた樹脂組成物の水溶液(樹脂固形分量:10重量%)をスピンコートにて塗布し、160℃で3分間の加熱処理を行った後、純水にて被膜を除去し、評価用サンプルを作製した。
次に作製した評価用サンプルを用いて、以下の物性を調べた。その結果を表2に示す。
【0048】
(1)水溶性
評価用サンプルのレジストパターンを光学顕微鏡で観察し、以下の評価基準に基づいて評価する。
〔評価基準〕
○:レジストパターンに被膜が残存していない。
△:レジストパターンに被膜が粒子状に残存している。
×:レジストパターンに被膜が塊状に残存している。
【0049】
(2)被膜強度
JIS(日本工業規格)H0201「塗料一般試験法」に記載の「鉛筆引っかき値試験法」に準じて、評価用サンプルのレジストパターン表面の鉛筆硬度を測定し、以下の評価基準に基づいて評価する。
〔評価基準〕
○:鉛筆硬度が4H以上
△:鉛筆硬度がB〜3H
×:鉛筆硬度が2B以下
【0050】
(3)微細化
評価用サンプルのコンタクトホールの直径を測定し、以下の評価基準に基づいて評価する。
〔評価基準〕
○:コンタクトホールの直径が140nm未満
△:コンタクトホールの直径が140nm以上250nm未満
×:コンタクトホールの直径が250nm以上280nm未満
【0051】
【表2】

【0052】
表2に示された結果から、各実施例で得られた樹脂組成物を用いた場合には、形成された被膜は、水溶性に優れ、被膜強度が高く、レジストパターンの微細化効果にも優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の被膜形成用樹脂組成物は、例えば、電子材料、塗料などに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは酸素原子、NH基または硫黄原子、Rは水酸基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表されるアミノ基含有モノマー20〜80重量%および式(II):
【化2】

(式中、Rは前記と同じ。Rはカルボン酸エステル基、芳香族基、複素環含有基またはカプロラクタム基を示す)
で表されるビニル基含有化合物20〜80重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる被膜形成用樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−121346(P2007−121346A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309242(P2005−309242)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】