Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
被膜形成用組成物およびその製造方法ならびにそれを用いた太陽電池モジュール
説明

被膜形成用組成物およびその製造方法ならびにそれを用いた太陽電池モジュール

【課題】太陽電池(光電変換素子)の反射防止膜等に適応可能な、チタニア・シリカを主成分とする被膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体と、過酸化チタンと、シリカ微粒子と水とを少なくとも含有する被膜形成用組成物であって、その被膜形成用組成物の製造工程は、シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルと、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物とを混合する工程を少なくとも含む被膜形成用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止機能、親水性機能、光触媒機能等の各種特性を有しうる被膜を形成するための被膜形成用組成物およびその製造方法に関する。さらには、その被膜形成用組成物を用いて、被膜が形成されてなる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止膜は、表面反射を抑制する手段として種々の光デバイスに応用されている。特に、太陽電池の分野では出力向上のため太陽電池の光入射面に反射防止加工を施すことはこれまで種々の試みがある。単層の反射防止膜の場合、空気の屈折率と、透明基板の屈折率との中間の屈折率値を有する被膜を形成すれば、反射防止性能を発現する。このような反射防止膜としてはアルコキシシランを出発物質としたゾルゲル法による反射防止膜がこれまでよく知られている。また、これらの被膜に機能性材料を添加することで、種々の機能をも付与できることが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には被膜形成用組成物の添加材料として金属ドープ過酸化チタンを用いることが開示されている。より具体的には、金属ドープ過酸化チタン、珪素化合物、上白糖、有機ケイ素界面活性剤を出発材料とした被膜形成用組成物を用いて、基板上にチタニア・シリカ膜を形成し、反射防止機能を発現させることが開示されている。
また、特許文献2には金属ドープのアモルファス型過酸化チタン、アナターゼ型過酸化チタン、珪素化合物を含む低反射性被膜が形成された太陽電池モジュールが開示されている。
【0004】
また、特許文献3ないし11に記載されているように、光触媒機能を発現する被膜を形成するため、チタニア・シリカを主成分とする被膜形成用組成物やそれを用いた被膜もこれまでからよく知られている。これらの文献にはいずれも、過酸化チタン(ペルオキソチタン)を含むチタン酸化物、アルコキシシランの加水分解物、シリカ微粒子、を含む組成物により、被膜を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−209319号公報
【特許文献2】特開2009−212435号公報
【特許文献3】特開平8−164334号公報
【特許文献4】特開平11−12539号公報
【特許文献5】特開2001−96168号公報
【特許文献6】特開2001−348512号公報
【特許文献7】特開2002−293542号公報
【特許文献8】特開2003−252625号公報
【特許文献9】特開2004−2091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにこれまでから過酸化チタンおよびシリコンアルコキシドを出発原料としたチタニア・シリカを主成分とする被膜形成用組成物は知られていた。しかし、長期の期間にわたり屋外に暴露されるような太陽電池(光電変換素子)の反射防止膜などに適応するには、被膜の長期耐久性の向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らが特許文献1および特許文献2に記載されているチタニア・シリカを主たる成分とする膜の物性を評価したところ、鉛筆硬度試験(JIS−K5600)や塩水噴霧試験(JIS−Z2371)で、長期耐久性を有する膜が得られなかった。特に、塗布後の乾燥焼成温度が低いほどその傾向が見られた。発明者らはその原因が被膜のシリカ成分にあるとの仮説のもと、シリカ成分の一部にシリカ微粒子を用いることを検討した。具体的には、過酸化チタンおよびアルコキシシラン化合物の加水分解物、シリカ微粒子を主たる構成成分とする被膜形成用組成物の材料、組成比、製造プロセス、とりわけ、構成成分たるシリカ微粒子分散液(多くの場合コロイダルシリカゾル)の最適pH条件について種々検討した。
【0008】
コロイダルシリカゾルの最適pH条件についてさらに説明する。コロイダルシリカゾル中でのシリカ微粒子は、表面電荷を帯びているため、pHに応じて分散安定性が大きく異なることが知られている。一般に酸またはアルカリの領域において分散安定性がよく、長期間にわたりゲル化することなく安定に存在できる。例えば、特開2001−294779号の図3には、コロイダルシリカゾルのpHとそのゲル化特性が開示されている。それによると、中性近傍のシリカゾルは不安定であるのに対し、pHが3近傍の領域やアルカリ領域のシリカゾルは準安定的または安定的な状態を示すことが開示されている。このような事情から、シリカゾルをより安定な状態を保持するため、ナトリウム塩やアンモニウム塩を添加し弱アルカリに調整して用いることが[0014]欄に記載されている。これらの例に見られるようにコロイダルシリカゾルは、分散安定性等の観点から酸性状態またはアルカリ状態で用いることが極めて一般的であり、単に「コロイダルシリカゾル」という場合、特段の記載が無いかぎり、酸性状態またはアルカリ状態のものを指すといえる。
【0009】
ここで、特許文献3〜9に記載の、アルコキシシラン化合物の加水分解物、シリカ微粒子を含有する組成物のpHについて考える。これらの文献では組成物のpHについては特段の記載が無いか、または加水分解の触媒として酸が積極的に使用されている。上述のように、シリカ微粒子の分散液(コロイダルシリカゾル)は一般にはpHが中性付近で不安定であるため、一般には酸性溶液に分散されたものが用いられることを鑑みると、これらの先行技術文献からはアルコキシシラン化合物の加水分解物と、シリカ微粒子分散液との混合は、酸性条件で行われることが開示、または、示唆されている。
【0010】
発明者らは、従前の製造工程とは異なり、中性付近で反応を進行させることにより、被膜形成用組成物を合成し、それを用いた被膜が耐塩性、耐摩耗性に特別優れていることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体と、過酸化チタンと、シリカ微粒子と水とを少なくとも含有する被膜形成用組成物であって、その被膜形成用組成物の製造工程は、シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルと、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物とを混合する工程を少なくとも経て得られたものであることを特徴とする被膜形成用組成物である。被膜形成用組成物の全固形分濃度は0.01〜5.0重量%であることが好ましい。また、Tiのモル濃度/Siのモル濃度は0.001〜0.08であることが好ましい。Siのモル濃度のうち、シリカ微粒子由来のSi成分の割合は1〜60%であることが好ましい。コロイダルシリカゾル中のシリカ微粒子は透過型電子顕微鏡での測定による平均粒子径が5〜200nmであることが好ましい。被膜形成用組成物のpHが6.5〜8.0であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の別の形態として、上記の被膜形成用組成物が、太陽電池モジュールに塗布されてなり、加熱されてなる、反射防止被膜付き太陽電池モジュールである。また、その加熱が60℃以上250℃未満の温度範囲で行われてなることが好ましい。
【0013】
さらに別の本発明の形態として、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物と、シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルとを混合する工程を含む、上記の被膜形成用組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の被膜形成用組成物を用いれば、従前知られているチタニア・シリカ膜の特性(たとえば、反射防止特性、表面親水性、光触媒性)を維持しつつ、耐久性に優れた被膜を形成できる。また、その被膜形成用組成物を製造する方法において、材料物質のpHを中性付近にすることにより、安全性が高く、装置負荷の少ない製造工程が実現される。さらに、被膜形成用組成物を用いて、太陽電池モジュールに反射防止膜を形成することにより、太陽電池モジュールの高性能化が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる被膜形成用組成物では、(1)アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体、(2)過酸化チタン、(3)シリカ微粒子を含有し、pHが7〜11のコロイダルシリカゾル、(4)水、を少なくとも混合して得られる。
【0016】
アルコキシシラン化合物は、一般式Si(OR)R’4−mであらわされる。ただし、mは1,2,3,4のいずれかの整数であり、Rはアルキル基をあらわす。また、R’はアルキル基または水素をあらわす。mが2,3,4のいずれかの整数である場合(すなわち複数のアルコキシル基がある場合)、Rはすべて同一のアルキル基であってもよいし、異なるアルキル基であってもよい。同様に、mが1または2のいずれかの整数である場合、R’はすべて同一のアルキル基またはすべて水素であってもよいし、異なるアルキル基または水素であってもよい。アルキル基は特に炭素数が1から8の一価の炭化水素基であることが好ましい。アルコキシシラン化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(i−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。また、これらの混合物であってもよい。特に、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランは反応性、透明性、取り扱い容易さの点から好適に用いられる。
【0017】
アルコキシシラン化合物の加水分解物は、アルコキシル基の一部または全部が加水分解され、シラノール基(SiOH)に置き換わった化合物である。これらは、アルコキシシラン化合物を水および触媒の存在下で加水分解反応させることにより得ることができる。
【0018】
触媒としては、酸、塩基、ルイス酸類が挙げられる。酸触媒としては、塩酸、硫酸、発煙硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、リン酸エステル、亜硫酸、亜硝酸、次亜塩素酸、過塩素酸、過酸化水素、安息香酸、サリチル酸、ホウ酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、p−フェノールスルフォン酸、トリアルキルシリルトリフルオロメタンスルフォン酸、トリアルキルシリルパークロレート、硫酸ビストリメチルシリル、塩化白金酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素、活性白土などが挙げられる。塩基性触媒としてはアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンなどが挙げられる。ルイス酸類としてはアセチルアセトン錯体などが挙げられる。具体的にはジ−エトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタンなどが挙げられる。これらの触媒はそれぞれの特性に応じて、使い分けられる。加水分解の反応性、および、被膜の透明性の観点では酸触媒が好ましい。さらには、残留酸性分の除去容易性、コスト、加水分解反応の制御容易性の観点から塩酸が最も好適に用いられる。また、pHを中性付近で反応を進められるという観点からはルイス酸類の触媒もまた好ましい。さらには、これらの複数の触媒を組み合わせることも好ましい実施形態である。
【0019】
アルコキシシラン化合物の加水分解物の部分縮合体は、アルコキシシラン化合物の加水分解物に含まれるシラノール基の一部が脱水縮合したシリケートオリゴマーまたはポリマーである。上述のアルコキシシラン化合物の加水分解とともにこの脱水縮合反応も一部進行させることにより得ることができる。また、市販されているアルコキシシランの多量体から作製することも可能である。市販されているアルコキシシランの多量体としては、例えば以下のものがある。
【0020】
コルコート社製品として、メチルシリケート39,メチルシリケート51(平均4量体),メチルシリケート53A(平均7量体),エチルシリケート28,エチルシリケート40(平均5量体),エチルシリケート48(平均10量体)が挙げられる。多摩化学工業製品として、シリケート40(エチルシリケートの平均5量体)、シリケート45、Mシリケート51(メチルシリケートの平均4量体)が挙げられる。これら市販のアルコキシシランの多量体は、水および触媒の存在下での加水分解反応を起こし、アルコキシシラン化合物の加水分解物の一部が重合した重合体を得うる。
【0021】
なお、アルコキシシラン化合物の加水分解、および、縮重合の進行度は、GPC、IR、ラマン、Si−NMR等の周知の方法で確認することができる。
【0022】
過酸化チタンはペルオキソチタン酸とも呼ばれ、種々の製造方法が知られているほか、市販品でも入手可能である。結晶形としてはアナターゼ形、ルチル型、アモルファス型(無定形型)があり、いずれも用いることができる。アモルファス型は、アナターゼ形、ルチル形と比較し、より密着性の高い膜が形成されるというメリットがある。一方、アナターゼ形およびルチル形はアモルファス型と比較し、光触媒能が高いというメリットがある。いずれの結晶形の過酸化チタンを用いるかは所望の機能に応じて選択できる。
【0023】
市販の過酸化チタン水溶液としては、サステイナブル・テクノロジー株式会社製の(1)アモルファス型過酸化チタン水溶液(SP)、(2)光酸化型正電荷酸化金属ドープアモルファス型過酸化チタン水溶液(SPZ高機能タイプ)、(3)アモルファス型改質過酸化チタン+糖質複合化水溶液(DaSH)が挙げられ、また株式会社アサカ理研製の(4)凛光が挙げられ、鶴見曹達株式会社製の(5)ツルクリーン(登録商標)グレードA−TS−1、(6)ツルクリーン(登録商標)グレードA−TS−2が挙げられ、株式会社鯤コーポレーション製の(7)PTA水溶液、が挙げられる。
過酸化チタンの製造方法としては以下の方法がある。
【0024】
(製造方法1)
溶解性無機チタン化合水溶液に、塩基性水溶液を加える。生じる淡青味白色、無定形のオルトチタンを洗浄・分離後、酸化剤で処理すると、アモルファス型過酸化チタン液が得られる。
【0025】
溶解性無機チタン化合としてはチタンキレート、アセテートチタン;硫酸チタン、
四塩化チタン等が挙げられる。また塩基性水溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウム水酸化物等が挙げられる。溶解性無機チタン化合水溶液に、塩基性水溶液を加える反応は中和反応であり、大きな発熱を伴う。高温で反応が進んだ場合、オルトチタン酸からメタチタン酸への反応が進むためである。
【0026】
酸化剤としては、二酸化チタンを過酸化チタンに酸化することが可能なものであれば良いが、特に過酸化水素水が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は、30〜40%のものが反応促進のため好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。なぜなら、ペルオキソ化反応は発熱反応であり、反応をマイルドに進行させる必要があるためである。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
【0027】
(製造方法2)
チタンアルコキシド、アルコール、水および触媒を適量混合し加水分解及び縮重合反応を行う。さらに、酸化剤を加えることによりアモルファス型過酸化チタン液が得られる。
【0028】
チタンアルコキシドとしてはテトラエトキシチタン、テトラメトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等が上げられる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が上げられる。酸化剤としては、二酸化チタンを過酸化チタンに酸化することが可能なものであれば良いが、特に過酸化水素水が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は、30〜40%のものが反応促進のため好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。なぜなら、ペルオキソ化反応は発熱反応であり、反応をマイルドに進行させる必要があるためである。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
過酸化チタンにはジルコニウム、スズ、亜鉛、アンチモン、銀、銅などに代表される機能性金属元素がドープされていることにより、防汚、防菌、帯電防止の機能が発現させることが可能である。
これらの金属をドープする方法としては、過酸化チタンの合成の際に金属酸化物または金属塩を添加することにより達成される。 金属酸化物または金属塩としては以下のものがあげられる。銅:水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、酸化銅。ジルコニウム:水酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム。スズ:水酸化スズ、塩化スズ、硫酸スズ、硝酸スズ、酢酸スズ、酸化スズ。亜鉛:水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、酸化亜鉛。アンチモン:水酸化アンチモン、塩化アンチモン、硫酸アンチモン、硝酸アンチモン、酢酸アンチモン、酸化アンチモン。銀:水酸化銀、塩化銀、硫酸銀、硝酸銀、酢酸銀、酸化銀。
市販されている金属ドープのチタン酸化物としてはSPZシリーズ(サスティナブル・テクノロジー株式会社)が挙げられる。
【0029】
本発明ではシリカ微粒子として、シリカ微粒子を媒体に分散させたコロイダルシリカゾルが用いられる。水、アルコール、水・アルコールの混合物を媒体としたコロイダルシリカゾルが市販されており入手可能である。本発明にかかるコロイダルシリカゾルのpHは7〜11である。たとえば、スノーテックス20、スノーテックスC、スノーテックスCM、スノーテックスCXS(日産化学工業株式会社)、PL−1、PL−3、PL−7、PL−20(扶桑化学工業株式会社)などが挙げられる。上記のpH範囲外のコロイダルシリカゾルであっても、希釈や中和により、pHは7〜11とすることが可能である。コロイダルシリカゾルは中性で一般に不安定であるため、その安定性をあげるために、添加剤を添加したり、シリカ微粒子にアルミニウム処理などの表面処理を行ってもよい。また、これらの処理を行ったコロイダルシリカゾルも市販されており入手可能である。例えば、スノーテックスCでは表面アルミニウム処理をしたシリカ微粒子が分散されている。
【0030】
上記のpHの範囲に限定する理由として、上記のpH範囲外のコロイダルシリカを用いた場合、耐塩性の向上するものの、耐摩耗性が低下するためである。このようにpH範囲で差が見られる原因としては、詳細は不明であるが以下のように推察される。
【0031】
すなわち、コロイダルシリカゾルのpHが7未満の場合、「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」を含む組成物とコロイダルシリカゾルとを混合する場合において、コロイダルシリカゾル中のプロトンが酸触媒として働き、「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」の重合状態を変異させていると考えられる。あるいは、コロイダルシリカゾル中のプロトンが、シリカ微粒子と「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」との間の反応の触媒として働き、被膜形成に悪影響を与えている可能性がある。
【0032】
また、コロイダルシリカゾルのpHが11より大きい場合、「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」を含む組成物とコロイダルシリカゾルとを混合する場合において、コロイダルシリカゾル中の水酸化物イオンが塩基触媒として働き、「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」の重合状態を変異させていると考えられる。あるいは、コロイダルシリカゾル中の水酸化物イオンが、シリカ微粒子と「アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体」との間の反応の触媒として働き、被膜形成に悪影響を与えている可能性がある。
【0033】
シリカ微粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察される平均粒子径が5〜200nmであることが好ましく、5〜100nmがさらに好ましく、5〜50nmがもっとも好ましい。粒子径が5nm未満の場合、分散安定性が悪く効果が発現しにくい。また、粒子径が200nmより大きい場合、被膜表面の凹凸により耐摩耗性が低下することがある。また、粒子径が100nmより小さい場合、被膜形成用組成物中での分散安定性が優れる。さらに、粒子径が50nmより小さい場合、被膜の耐摩耗性がもっとも優れる。
【0034】
本発明において、混合物の必須構成要件たる水は被膜形成用組成物の分散媒体であるだけでなく、アルコキシシラン化合物の加水分解反応の反応物でもある。不純物は少ないことが好ましく、イオン交換水、蒸留水、などが好適に用いられる。
【0035】
本発明は上述のとおり、(1)アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体、(2)過酸化チタン、(3)シリカ微粒子を含有し、pHが7〜11のコロイダルシリカゾル、(4)水、を少なくとも混合して得られるが、混合の仕方は一般的化学合成で用いられる手法にて行われる。とりわけ、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物と、シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルと、を混合する工程を含む。たとえば、水に対して、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体および過酸化チタンを添加し、十分攪拌した後に、シリカ微粒子を含有し、pHが7〜11のコロイダルシリカゾルを添加する方法や、水とアルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体とを混合攪拌した組成物に、過酸化チタンとシリカ微粒子を含有し、pHが7〜11のコロイダルシリカゾルとを混合した組成物を添加する方法が好適に用いられる。このようなpHの限定する理由は、コロイダルシリカゾルの添加工程を中性付近のpHで進めることができるため、シリカ微粒子とアルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体との間での酸塩基触媒による過剰な縮合反応を防止できるからである。
【0036】
本発明にかかる被膜形成用組成物には更なる機能付与を目的として種々の材料を加えることができる。分散媒体としては上述の水に加えて、種々の有機媒体を加えることが可能である。たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系媒体などが挙げられ、また、これらの任意の混合物であってもよい。これらの媒体は一般に水より沸点が低いため、被膜形成時の焼成乾燥工程をより早く進められる。また、分散安定性および取り扱いの容易さの観点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールが特に好ましい。
【0037】
また、表面張力調整剤を添加することも可能である。表面張力調整剤は被膜形成用組成物の表面張力を低下させ、濡れ性の悪い被塗布物に対しても均一に塗布することが可能となる。表面張力調整剤としては、液の表面張力を低下させる能力を有するものであればよい。たとえば界面活性剤、レベリング剤、湿潤剤などを用いることができる。界面活性剤としては上記目的を達するものであれば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤いずれも使用することができる。特にシリコーン系界面活性剤はより少量で表面張力を下げられることから好ましい。シリコーンとしては、分子中にアルキルシリケート構造若しくはポリエーテル構造を有するもの、又は、アルキルシリケート構造及びポリエーテル構造の両方を有するものが好ましい。ここで、アルキルシリケート構造とは、シロキサン骨格のケイ素原子にアルキル基が結合した構造をさす。一方、ポリエーテル構造とは、エーテル結合を有する構造をさし、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール―ポリプロピレンオキサイド共重合体等の分子構造が挙げられる。そのなかでも、ポリエチレンオキサイド―ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体は、表面張力を制御できる観点から好適である。市販されている界面活性剤としては、TSF4445、TSF4446(GE東芝シリコーン(株))、KF−351A,KF−353,KF−354L,KF−640(信越化学工業(株))、SH200、SH3746、DC3PA、ST869A(東レ・ダウコーニング(株))、BYK−345、BYK−347、BYK348(ビックケミー・ジャパン株式会社)などを用いることができる。
【0038】
本発明の被膜形成用組成物の全固形分濃度範囲は0.01重量%〜5%が好ましく、さらに0.05重量%〜3重量%が好ましく、もっとも好ましくは、0.2重量%〜1重量%である。固形分濃度が低いと、被膜の形成の際、多量の被膜形成用組成物が必要になり生産に適さないためである。また、固形分濃度が高いと、液の粘性が高く、ゲル化する可能性があるためである。
【0039】
被膜形成用組成物におけるTiのモル濃度/Siのモル濃度は0.001〜0.08が好ましく、0.005〜0.05がさらに好ましい。Siのモル濃度/Tiのモル濃度の値が大きすぎるとTiによる表面親水化効果が十分でなく、小さすぎると、膜の屈折率が高くなり、反射防止膜としての機能を奏さないためである。また、原因は不明であるが、Tiのモル濃度が小さい場合やTiをまったく含まない場合には、表面張力調整剤の失活速度が速くなり、混合した後比較的早い時間に表面張力が上昇するためである。
【0040】
被膜形成用組成物におけるSiのモル濃度のうち、シリカ微粒子由来のSi成分の割合は1〜60%が好ましく、5〜50%がさらに好ましい。シリカ微粒子由来のSi成分の割合がこれらの範囲より少ない場合、耐塩性、耐摩耗性が低下するためである。また、シリカ微粒子由来のSi成分の割合がこれらの範囲より多い場合、被膜表面の親水性が低下するためである。
【0041】
被膜が形成される基体は、被膜形成組成物をコーティングすることができるものであれば、制限は無い。具体な素材例を挙げると、ガラス、金属、ポリマー、天然石などがある。とりわけ、被膜が反射防止を目的とする場合、透明基体が用いられる。透明基体の素材についてより詳細に例示すると、ガラスの場合では、珪酸ガラス、アルカリガラス、ソーダ石灰ガラスなどが挙げられる。ポリマーの場合、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0042】
本発明にかかる被膜形成用組成物を用いて得られる被膜は耐久性、耐塩性に極めて優れていることから、屋外で長期の耐久性が必要とされる場合に特に有用である。とりわけ、太陽電池の光入射面の反射防止膜として好適に用いられる。以下では基体として太陽電池モジュールを用いた例で説明するが、太陽電池モジュール以外の基体にも同様の方法を用いて被膜を形成できる。
【0043】
太陽電池モジュールに被膜形成用組成物を塗布する方法としては、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スキージ塗布法、スリットコーティング法、ロールコーティング法等が挙げられる。
【0044】
被膜形成用組成物を塗布された太陽電池モジュールは、被膜が形成されるように加熱される。加熱温度は高ければ高いほど、被膜の膜強度が上がるため、加熱温度は60℃以上が好ましく、70度以上がさらに好ましい。また、加熱温度が高すぎると、基体に熱ダメージが生ずる場合があるため、加熱温度は250度以下が好ましく、200度以下がさらに好ましく、180度以下がもっとも好ましい。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
(前駆液1の調液)
テトラメトキシシランの部分縮合体であるメチルシリケート51(多摩化学)を32重量部、エタノールを60重量部、メタノールを3重量部、水を5重量部、を混合した。さらに、触媒を加えて攪拌することにより、固形分濃度16.3%(SiO2換算)の液体を得た。前駆液1では出発物質であるメチルシリケートに含まれるメトキシ基がシラノール基に加水分解されているとともに、シラノール基の一部は脱水縮合反応を起こしていた。すなわち、アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体に相当する。
【0046】
(前駆液2の調液)
アモルファス型過酸化チタン水溶液(TiO2換算での固形分濃度が0.59重量%、サスティナブル・テクノロジー社製)を6.0g、前駆液1を3.9g、純水を277.4g、イソプロピルアルコールを10.1g、ポリエーテル変性シリコーン系の界面活性剤(SH−3746、東レダウコーニング社製)を0.13g、を混合し、よく攪拌した(本明細書では前駆液2と呼ぶ)。前駆液2のpHを測定したところ7であった。
【0047】
(被膜形成用組成物の調液)
前駆液2を297.6gにコロイダルシリカゾル(スノーテックスC(登録商標)ST−C、固形分濃度20重量%、TEMで測定されるシリカ粒子は球状で平均粒子径:10〜20nm、pH:8.5〜9.0)を2.4g添加・攪拌し、被膜形成用組成物を得た。この被膜形成用組成液の組成比の計算から得られる固形分濃度は0.40重量%、全Siのモル濃度のうち、シリカ微粒子由来のSi成分の割合は44%、Tiのモル濃度[mol/L]/ Siのモル濃度[mol/L]は0.023であった。また、被膜形成用組成液のpHはリトマス紙で測定したところ7〜8であった。
【0048】
(被膜の作製)、
10cm×10cmのガラス基板(白板ガラス)の表面を酸化セリウム研磨材を用いて、研磨、洗浄した。洗浄直後の白板ガラスに対する純水の接触角は3.5°であった(PCA−1(協和界面科学製)を用いた測定)。次に、スキージ法を用いて実施例1にかかる被膜形成用組成物を洗浄後の白板ガラスに均一に塗布した。塗布量は、被膜の膜厚が110nmとなるよう調整した。塗布後直ちに100℃で2時間の乾燥・焼成を行い、被膜を形成した。
【0049】
(被膜の評価)
被膜形成前後のガラス基板の分光透過率を比較したところ、400nmから700nmの透過率の平均値が、被膜形成後のガラス基板のほうが1.8ポイント高かった。すなわち、被膜が反射防止膜として機能していることが分かる。別記の耐塩性試験、膜硬度試験を実施し、いずれも合格した。また、別記の屈折率測定をしたところ600nmでの屈折率が1.450であった。ガラス基板の屈折率は1.55であり、屈折率の点からも反射防止効果が発現することが分かる。
【0050】
(実施例2〜5および比較例1〜5)
前駆液2の調液におけるアモルファス型過酸化チタン水溶液と前駆液1との混合比、前駆液2に添加されるコロイダルシリカゾルの種類、および、被膜形成用組成物の調液におけるコロイダルシリカの添加量を調整することにより、コロイダルシリカゾルの種類、全Siのモル濃度中のシリカ微粒子由来のSi成分の割合、および、Tiのモル濃度[mol/L]/ Siのモル濃度[mol/L]を表1に記載したものとした以外は実施例1と同様にして被膜形成用組成物を作製した。さらに、被膜の作製および被膜の評価を実施例1と同様に実施した。いずれの場合においても、前駆液2相当の液体のpHをリトマス紙で測定したところ6.0〜7.5であった。また、いずれの場合も被膜形成用組成液のpHはリトマス紙で測定したところ7〜8であった。
【0051】
(実施例6)
光入射面が白板ガラスで構成されている太陽電池の光入射面に実施例1の被膜形成用組成物をスプレー法にて塗布した。その後、135℃で20分の乾燥・焼成を行い、被膜を形成した。分光エリプソメトリーを用いて被膜の膜厚、および、屈折率を測定したところ、平均膜厚が、120nm、波長600nmにおける平均屈折率が1.47であった。被膜形成前後の太陽電池の出力特性を評価したところ、短絡電流が2.0%被膜形成後の方が高かった。すなわち、被膜が反射防止膜として機能し、太陽電池の発電層に到達する光量が増加するために太陽電池の出力が向上している。
【0052】
(耐塩性試験)
被膜が形成されたガラス基板の分光透過率(%)を測定した。ここで分光透過率測定は積分球(島津製作所製、MPC−2100)付分光光度計(島津製作所製、UV−3100)を用いた。得られた透過スペクトルから、400nmから700nmの透過率の平均値を初期平均透過率(%)とした。
次にその被膜が形成されたガラス基板を、5重量%の塩化ナトリウム水溶液に25度で50時間浸漬した。浸漬後、純水で十分に洗浄し、室温で乾燥させた。そして、初期平均透過率(%)の算出と同様の方法にて、塩水浸漬後の平均透過率(%)を算出した。(初期平均透過率(%)−塩水浸漬後の平均透過率(%))≦0.5%の場合、合格(○)とした。
【0053】
(膜硬度試験)
JIS−K5600に準拠した方法で鉛筆硬度試験を行った。判定基準は以下のとおりとした。6Hの鉛筆で傷も鉛筆の新跡も残らない:◎、6Hの鉛筆で傷は残らないが、鉛筆芯の跡がわずかに残る(ふき取ると外観上、鉛筆跡が見えない):○、6Hの鉛筆で膜に傷が生じる:×。
【0054】
(屈折率測定)
分光エリプソメトリーを用いて、被膜の膜厚および波長600nmでの屈折率を測定した。なお、データ解析の際、被膜の屈折率はCauchyモデルに従うとして解析を行った。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体と、
過酸化チタンと、
シリカ微粒子と
水とを
少なくとも含有する被膜形成用組成物であって、
該被膜形成用組成物の製造工程は、シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルと、
アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物と、
を混合する工程を少なくとも含む被膜形成用組成物。
【請求項2】
前記被膜形成用組成物の全固形分濃度が0.01〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1記載の被膜形成用組成物。
【請求項3】
前記被膜形成用組成物のTiのモル濃度/Siのモル濃度が0.001〜0.08であることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項4】
前記Siのモル濃度のうち、シリカ微粒子由来のSi成分の割合が1〜60%であることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項5】
前記コロイダルシリカゾル中のシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡での測定による平均粒子径が5〜200nmであることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項6】
前記被膜形成用組成物のpHが6.5〜8.0であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の被膜形成用組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の被膜形成用組成物が、太陽電池モジュールに塗布されてなり、加熱されてなる、反射防止被膜付き太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記の加熱が60℃以上250℃未満の温度範囲で行われてなることを特徴とする請求項7に記載の反射防止被膜付き太陽電池モジュール。
【請求項9】
アルコキシシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合体を含有し、そのpHが6.0〜8.0の組成物と、
シリカ微粒子を含有し、pHが7.0〜11.0のコロイダルシリカゾルとを混合する工程を含む、
請求項1から6のいずれかに記載の被膜形成用組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−107926(P2013−107926A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251655(P2011−251655)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】