説明

被装着体脱着機構

【課題】被装着体の色々な脱離の仕方にも柔軟かつ容易に対応することができ、又被装着体を装着する向きの誤りを防止し、壊れにくくする。
【解決手段】本発明は、被装着体の一方の端部の両面に各第1係合部を備え、装着体の収納部の対向する両面に第2係合部を備える。各第1係合部は、円弧形状の凸部からなる外部被ガイド部を有する。各第2係合部は、凸部からなる内部ガイド部と、外部被ガイド部の外周面を滑らせて被装着体の挿入をガイドし、内在する内部ガイド部の周辺部を円弧形状とした凹形状の外部ガイド部とを有する。さらに、各第1係合部が内部ガイド部と当接して、被装着体の装着状態から脱離の回転方向の回転を許容する内部被ガイド部を有し、装着体が、被装着体と当接して、当該装着体に対する略垂直方向の位置になることを保持する位置保持部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被装着体脱着機構に関し、例えば、装着体に装着されている被装着体を脱離したり、装着体に被装着体を装着したりする、装着体及び被装着体が備える被装着体脱着機構に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、日付印等の回転印は、利用者が手動で印面合わせを行なっているが、手動による印面合わせに係る手間を解消するために、例えば特許文献1に記載されているように、自動的に印字ベルトを回動させて印面合わせを行なう技術がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、常時時刻を計時する計時回路と、計時回路の出力信号により日付印の印字面の日付活字を設定する日付設定装置を備え、日付印を装置に押し込む押印力を日付活字変更駆動源に変換して、これにより日付活字を変更するというものである。
【0004】
ところで、コントローラが回転印の印面を調整する回転印ユニットの場合、コントローラが印面を調整できるように、回転印の装着時には、回転印のスライド枠を本体から離れるように移動させ、回転印の使用時には、印面を固定するために、スライド枠を本体に近づくように移動させることが必要である。
【0005】
そこで、回転印の装着の際には、回転印の一方の端部をコントローラに係合させ、被装着体を回し込むことでスライド枠を本体から離れるように移動させ、逆に回転印を脱離する際には、回転印の他方の端部を収納部から押し上げることで、スライド枠が元に戻るように移動させることが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59−48864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、回転印ユニットでは、コントローラが回転印に内蔵される印字ベルトを駆動するので、回転印は比較的強い力でコントローラに固定することが必要となる。その反面、利用者が、回転印を脱着するときを考慮すると、利用者による色々な脱離の仕方に対応させるために、柔軟でかつ簡単な脱着機構が望まれている。
【0008】
さらに、回転印の脱着機構は、回転印ユニットの中でも利用者が頻繁に取り扱う箇所でもあり、比較的壊れやすい箇所であるので、装着する回転印の向きを分かりやすくし、壊れにくい機構構成が望まれている。
【0009】
そのため、利用者の使い勝手を考慮しながら、比較的壊れにくい装着体脱着機構が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、本発明は、被装着体の一方の端部の両面にそれぞれ第1係合部を備え、装着体の収納部の対向する両面に、装着体に対する略垂直方向から挿入される被装着体の各第1係合部と係合する第2係合部を備え、各第1係合部と各第2係合部とが係合し、被装着体を回転可能にして、被装着体を装着体の収納部に装着し、又は、装着体の収納部から被装着体を離脱させる被装着体脱離機構において、各第1係合部が、円弧形状の凸部からなる外部被ガイド部を有し、各第2係合部が、凸部からなる内部ガイド部と、凸部でなる外部被ガイド部の外周面を滑らせて被装着体の挿入をガイドし、内在する内部ガイド部の周辺部を円弧形状とした凹形状の外部ガイド部とを有し、各第1係合部が、内部ガイド部と当接して、被装着体の装着状態から脱離の回転方向の回転を許容する内部被ガイド部を有し、装着体が、被装着体と当接して、被装着体が当該装着体に対する略垂直方向の位置になることを保持する位置保持部を有することを特徴とする被装着体脱着機構である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被装着体の色々な脱離の仕方にも柔軟かつ容易に対応することができ、又被装着体を装着する向きの誤りを防止することができるので壊れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の回転印ユニットの外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の回転印ユニットの外観を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態の回転印及びコントローラの脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【図4】第1の実施形態の回転印の脱着の様子を説明する説明図である。
【図5】第1の実施形態の回転印の脱着の様子を説明する説明図である。
【図6】第1の実施形態の回転印の脱着の様子を説明する説明図である。
【図7】第1の実施形態の回転印の脱着の様子を説明する説明図である。
【図8】第1の実施形態の回転印の脱着の様子を説明する説明図である。
【図9】第2の実施形態の回転印及びコントローラの脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【図10】第3の実施形態の回転印及びコントローラの脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【図11】第4の実施形態の回転印及びコントローラの脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【図12】変形実施形態の回転印ユニットの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る被装着体脱着機構の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
この実施形態では、例えば、被装着体を回転印とし、回転印を収納して回転印の印面を調整するコントローラを装着体とし、これらを有してなる回転印ユニットにおける回転印及びコントローラの脱着機構に、本発明を適用する場合を例示する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1及び図2は、第1の実施形態の回転印ユニットの外観を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、第1の実施形態の回転印ユニット100は、回転印1とコントローラ2とを有して構成される。
【0016】
図1は、回転印1がコントローラ2に装着される前の状態を示す図であり、図2は、回転印1がコントローラ2に装着されている状態を示す図である。
【0017】
回転印1は、回転印本体16と、装着又は脱離の際に、回転印本体16に対して相対移動するスライド枠15とを有する。回転印1は、その内部に1又は複数の印字ベルトを有しており、各印字ベルトを回動させるためには、スライド枠15が、回転印本体16から離れる方向に相対移動させた状態とすることが必要である。また、回転印1を使用するときは、スライド枠15が回転印本体16に向かって相対移動した状態とすることが必要である。
【0018】
スライド枠15は、その先端部に印面14を有し、又両側面に略L字形状の一対の第1凸部11(11a及び11b)を有する。この第1凸部11は、第1係合部とも称する。
【0019】
また、回転印本体16は、上記第1凸部11が存在する側と同じ両側面に、一対の第1溝部12(12a及び12b)と、一対の第1凹部13(13a及び13b)とを有する。
【0020】
コントローラ2は、被装着体である回転印1を装着する装着体である。コントローラ2は、回転印1を収納する回転印収納部27を有する。また、コントローラ2は、利用者が操作する各種操作ボタンである操作部25と、表示部26とを有する。
【0021】
回転印収納部27は、それぞれ対向する両面に、一対の第2溝部22(22a及び22b)と、一対の第2凸部21(21a及び21b)と、一対の第3凸部23(23a及び23b)、一対の第4凸部24(24a及び24b)とを有する。第2溝部22は、第2係合部とも称し、第2凸部21は、位置保持部とも称する。
【0022】
回転印1がコントローラ2に挿入される際、回転印1は、印面14が下向きとなるように、コントローラ2に対して略垂直に立てられ、スライド枠15の凸部11(11a及び11b)がコントローラ2の溝部22(22a及び22b)に挿入される。
【0023】
スライド枠15の各凸部11(11a及び11b)がそれぞれ対応する溝部22(22a及び22b)に挿入されると、凸部11は溝部22にガイドされて、凸部11が溝部22の下方に移動する。
【0024】
図3は、回転印1及びコントローラ2の脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。また、図4〜図8は、回転印1の脱着の様子を説明する説明図である。
【0025】
なお、図3は、回転印収納部27を図1に示すA−A断面の位置から透視して回転印収納部27の内面が現出した場合を擬似的に図示し、回転印収納部27の内面に設けられた機構構成と回転印1の外面に設けられた機構構成との関係を説明している。また、図4〜図8においては回転印収納部27に収納された回転印1も現出している。
【0026】
図3において、回転印1の第1凸部11は、被ガイド部111(外部被ガイド部という)111、受け部(内部被ガイド部という)112、当接部113を有する。また、コントローラ2の第2溝部22は、ガイド部(外部ガイド部ともいう)221、被受け部(内部ガイド部という)222、係止部223を有する。
【0027】
図3において、回転印1が装着される際、第1凸部11が第2溝部22に挿入される。このとき、第1凸部11の被ガイド部111が、第2溝部22のガイド部221に当接する。
【0028】
ここで、第2溝部22の開口部の幅(距離)は、第1凸部11の外周上の2点間の最大距離(第1凸部11が仮に円形であれば直径がこれにあたる)よりも大きくなっている。これは、第1凸部11の挿入を容易にするためである。そのため、ガイド部221は、上記開口部から一定の傾斜部を有している。
【0029】
また、ガイド部221の下方は円弧形状となっている。すなわち、ガイド部221は、被受け部222を内在させ、被受け部222の周辺が円弧形状の凹形状となるように形成されている。これに対して、被ガイド部111は、凸形状の第1凸部11の外面であり、円弧形状となっている。
【0030】
被ガイド部111は、その外周面がガイド部221に沿ってガイドされることにより、回転印1は下方に移動し、図4に示すように、第1凸部11の受け部112が、第2溝部22の被受け部222に当接する。
【0031】
ここで、被受け部222は、第2溝部22から見て相対的に凸形状からなり、図3の左側先端部が第2溝部22の周辺と連接され、右側先端部が円弧形状となっている。つまり、被受け部222の左側は溝が途切れている。これに対して、受け部112は、凸形状の第1凸部11の内面であり、角が丸みを持った略L字形状を形成している。この受け部112が形成される略L字の角度α(図3)は、略直角又は鈍角となっている。これにより、受け部112が被受け部222にガイドされることで、回転印1を一方向に回転させることができるとともに、回転印1がコントローラ2に逆向きに挿入されようとうすると、受け部222が第1凸部11に当接し、当該挿入が阻止される。
【0032】
図4に示すように、受け部112が被受け部222に当接され、回転印1が収納される方向(図4の例では、時計周り方向)に外力が加わると、受け部112が被受け部222を中心に回転する。このとき、ガイド部221及び被ガイド部111は円弧形状であるから滑らかに回転する。これにより、回転印1は時計回りに回動する。
【0033】
図5に示すように、回転印1が倒されると、回転印1の第1溝部12の開口部が、コントローラ2の第3凸部23に当接する。
【0034】
ここで、第1溝部12は、図3に示すように、開口部から端部に向け回動が進むにつれて、徐々にスライド枠15に近くなる傾斜部を有する溝である。
【0035】
そのため、図5において回転印1が更に下方向に押し込まれることで、第1溝部12が第3凸部23を、第1溝部12の端部方向に導きながら、回転印1が回動する。
【0036】
図5に示すように、回転の中心となる被受け部222の中心点と、第1溝部12の端部との距離を「距離X」とし、被受け部222の中心点と第3凸部23との距離を「距離Y」としたとき、距離Xと距離Yとの関係は、距離Y>距離Xである。
【0037】
従って、回転印1が下方向に押し込まれ、第1溝部12が、第1溝部12の端部方向に第3凸部23を誘導することで、引張力が作用し、スライド枠15が回転印本体16から離れる方向に相対移動する。
【0038】
なお、スライド枠15と回転印本体16との間で相対移動させる力を作用させることができれば、回転印1が第1溝部12に代えて凸部とし、コントローラ2が第3凸部23に代えて、上部が開口しており、下方の端部に向かって第2溝部22から離れる傾斜部を有する溝としてもよい。
【0039】
その後、回転印1が押し下げられると、第1凸部の当接部113が第2溝部22の係止部223により係止され、更に、回転印1の第1凹部13がコントローラ2の第4凸部24に係合し、回転印1がコントローラ2の回転印収納部27に固定される。これにより、図6に示すように、スライド枠15が回転印本体16から離れた状態となり、回転印1の各印字ベルトがコントローラ2により回動される状態となる。
【0040】
なお、第1凹部13と第4凸部24との係合については、回転印1を固定することができればよく、回転印1が第1凹部13に代えて凸部を有し、コントローラ2が第4凸部24に代えて凹部を有するようにしてもよい。
【0041】
次に、回転印1のコントローラ2からの脱離を説明する。回転印1の脱離は、回転印1の装着と逆の工程でなされる。
【0042】
回転印1を脱離する際、回転印1は、図6の状態から、印面14とは逆の端部が引き上げられる。これにより、回転印1の第1凸部13がコントローラ2の第4凸部24から外れ、当接部113が係止部223との係合をやめ、回転印1が被受け部222を中心として回転可能となる。
【0043】
被受け部222を中心として回転印1が上方向(図6では反時計周り方向)に回転されると、回転印1の第1溝部12が、第3凸部23を、第1溝部12の端部から開口部に向けて誘導する。
【0044】
このとき、図5に示すように、距離Yと距離Xとの関係が距離Y>距離Xであるから、第1溝部12が、第1溝部12の開口部の方向に第3凸部23を誘導することで、圧縮力が作用し、スライド枠15が回転印本体16に近づく方向に相対移動する。
【0045】
これにより、図5に示すように、第3凸部23が、第1溝部12の開口部に位置するときには、スライド枠15が閉じた状態となり、回転印1の各印字ベルトの回動を規制する状態となる。
【0046】
更に、回転印1が上方向に押し上げられると、受け部112と当接する被受け部222を中心にして、被ガイド部111がガイド部221によりガイドされながら、回転印1が回動し、図4に示すように、回転印1がコントローラ2に対して略垂直状態に起立する。このとき、回転印1は、凸形状の第2凸部21に当接する。
【0047】
ここで、第2凸部21は、回転印1と当接して、回転印1が回転印収納部27側とは逆方向(図4の反時計回り方向)への倒れ込みを防止するストッパーとしての機能を有する。すなわち、回転印1が第2凸部21と当接することで、図4に示すように、回転印1の直立を保持することができる。なお、第2凸部21は、回転印1と当接する部分が球面部を有していれば、例えば、半球体、1/4球体、1/8球体、円柱形状等とすることができる。
【0048】
また、第2凸部21の位置は、第2溝部22の付近に配置され、回転印1が略垂直に起立している際に回転印1と当接する位置であり、回転印1が回転印収納部27側に回転する際に回転印1と当接しない位置であることが望ましい。
【0049】
図4に示す状態、すなわち回転印1がコントローラ2に対して略垂直状態に起立した状態から回転印1をコントローラ2に対して略垂直方向に持ち上げることで、被ガイド部111がガイド部221にガイドされて、回転印1をコントローラ2から脱離させることができる。
【0050】
その一方で、回転印1を第2凸部21に当接させた状態で、第2凸部21を支点として、てこの原理により、回転印1を簡単に脱離させることもできる。この場合の回転印1の離脱の様子を説明する。
【0051】
回転印1が反時計周りの外力を受けたまま取り上げられると、第2凸部21に当接する回転印1は、第2凸部21を支点として、反時計周り方向に回転する。そのため、回転印1は第2凸部21の球面部を摺動し、回転印1が第2凸部21の上部方向に乗り上げる。
【0052】
このとき、図7に示すように、第2凸部21が支点となり、反時計回りの外力が作用するので、受け部112は被受け部222との当接が解除され、被ガイド部111がガイド部221にガイドされ、回転印1は少し上方(第2溝部22の開口部側)に持ち上がる。
【0053】
その後、更に、回転印1が外力を受けることで、回転印1がコントローラ2から離脱する。
【0054】
(A−2)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、回転印の第1凸部を略L字形状とすることで、回転印の装着の際に、コントローラの第2溝部への第1凸部の挿入が容易になる。
【0055】
また、第1凸部を左右非対称の略L字形状とし、第1凸部の外面を被ガイド部とすることで、コントローラに装着する回転印の挿入向きを1つとすることができるので、挿入向きの誤りを防止することができる。
【0056】
さらに、コントローラに第2凸部を備えることで、回転印の離脱の際に、第2凸部が回転印の倒れを防止することができるので、回転印の起立状態を保持することができる。
【0057】
また、回転印の脱離の際、回転印を略垂直に持ち上げて脱離することに加えて、てこの原理で、第2凸部を支点として、回転印を脱離させることもできる。そのため、回転印を簡単に脱離させることができる。
【0058】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の被装着体脱着機構の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0059】
図9は、第2の実施形態の回転印1及びコントローラ2の脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【0060】
なお、第2の実施形態では、回転印1の第1凸部の構成が第1の実施形態と異なる。そこで、第2の実施形態では、第1凸部の構成を詳細に説明し、それ以外の構成や脱着機構の作用については、第1の実施形態の説明と重複するので省略する。また、第1の実施形態で既に説明した構成要素については、第1の実施形態の各図で付した番号を用いて説明する。
【0061】
図9において、第2の実施形態の回転体1の第1凸部31は、半円弧の凸形状からなる被ガイド部311と、略L字形状の受け部312及び当接部313を有する。
【0062】
第1の実施形態の第1凸部11は、図3に示すように、1個の略L字形状の凸部からなるものであり、第1凸部11の円弧形状の外面が、被ガイド部311として機能し、その一方で、第1凸部11の略L字形状の内面が、受け部312及び当接部313として機能するものであった。
【0063】
これに対して、第2の実施形態の第1凸部31は、図9に示すように、反円弧形状の凸部からなる被ガイド部311と、略L字形状の凸部からなる受け部312とを分離して配置させたものとなっている。
【0064】
被ガイド部311は、第1の実施形態で説明したように、コントローラ2の第2溝部22のガイド部221にガイドさせることになる。
【0065】
また、図9に示すように、受け部312は第2溝部22の被受け部222の先端が円弧形状の凸部となっていることから、受け部312が当該円弧形状の外周に沿ってガイドされることにより回転印1が被受け部222を中心として回動する。
【0066】
また、図9において、「番号32」のように、被ガイド部311と受け部312とは連結していない。また、同様に「番号33」のように、被ガイド部311は当接部313と連結していない。このように、非連結部32及び33を備えることで、脱着機構の材料コストを抑えながら、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
なお、図9において、「番号32」と「番号33」のいずれか又は両方の箇所を連結させるようにしてもよい。
【0068】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の被装着体脱着機構の第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0069】
図10は、第3の実施形態の回転印1及びコントローラ2の脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【0070】
第3の実施形態では、第2の実施形態で説明した回転印1の第1凸部の構成を更に細分化した構成である。
【0071】
第3の実施形態では、第1凸部の構成を詳細に説明し、それ以外の構成や脱着機構の作用については、第1の実施形態の説明と重複するので省略する。また、第1の実施形態で既に説明した構成要素については、第1の実施形態の各図で付した番号を用いて説明する。
【0072】
図10において、第3の実施形態の回転体1の第1凸部41は、半円弧の凸形状からなる被ガイド部411と、略L字形状の受け部412と、凸部でなる当接部413を有する。
【0073】
第3の実施形態の第1凸部41は、図10に示すように、反円弧形状の被ガイド部411の円弧の延長線と、受け部412の略L字の図10の下方に延びる線との交点に、凸部ならなる当接部413を備える。
【0074】
これにより、回転印1がコントローラ2に装着されたときには、当接部413が、第1溝部22の係止部223に対して点で当接することになる。この場合にも、第1の実施形態で説明した効果を奏することができる。
【0075】
(D)第4の実施形態
次に、本発明の被装着体脱着機構の第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0076】
図11は、第4の実施形態の回転印1及びコントローラ2の脱着機構の詳細な構成を説明する説明図である。
【0077】
なお、第4の実施形態では、コントローラ2の第2溝部の構成が第1の実施形態と異なる。そこで、第4の実施形態では、第2溝部の構成を詳細に説明し、それ以外の構成や脱着機構の作用については、第1の実施形態の説明と重複するので省略する。また、第1の実施形態で既に説明した構成要素については、第1の実施形態の各図で付した番号を用いて説明する。
【0078】
図11において、第4の実施形態の第2溝部42は、溝であるガイド部421と、円柱形状の被受け部422とを有する。第1〜第3の実施形態では、被受け部222は、その一端がガイド部221の周辺部であって溝でない箇所と連接されているが、第4の実施形態では、被受け部422は、ガイド部421の周辺部と連接されていない。
【0079】
被ガイド部421は、回転印1の被ガイド部111をガイドする溝であり、第1の実施形態と同様に、開口部には傾斜部を有しており、その下方部分には円形形状の溝となっている。さらに、ガイド部421の内周と被受け部422の外周との距離は、回転印1がコントローラ2に装着される際に第1凸部11を受け入れる側においては当該第1凸部11を受け入れることが可能な大きさであり、他方は第1凸部11を受け入れることが出来ない大きさである。
【0080】
被受け部422は、回転印1の受け部112に当接される円柱形状の凸部となっており、受け部112が、被受け部422に当接して、円柱形状の底面の外周に沿って回動することで、回転印1が被受け部422を中心に回動する構成となっている。
【0081】
なお、図11では、回転印1が第1の実施形態の第1凸部11を備える場合を例示するが、回転印1が第2又は第3の実施形態の第1凸部31又は第1凸部41を備えるようにしてもよい。
【0082】
(E)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても種々の変形実施形態を挙げたが、それ以外の変形実施形態を以下で説明する。
【0083】
(E−1)第1〜第4の実施形態では、回転印が第1凸部のような凸部を備え、コントローラが、第2溝部のような溝部を備える場合を例示したが、その逆の構成であってもよい。すなわち、回転印が溝部を備え、コントローラが凸部を備えるような構成であってもよい。
【0084】
(E−2)第1〜第4の実施形態では、回転印を脱離する際、コントローラに対して回転印を略垂直方向に起立させた場合を例示した。しかし、図12に例示するように、回転印1が、コントローラ2に対して水平方向に回転して、回転印1を横取りするような場合にも、第1〜第4の実施形態に記載した装着体脱着機構を用いることができる。なお、この場合でも、回転印1は、コントローラ2に対する略垂直方向から、回転印1の先端部分が挿入又は取り出される。
【0085】
(E−3)第1〜第4の実施形態では、回転印を被装着体とし、コントローラを装着として説明した。しかし、装着体に対して、被装着体の回動を伴って、被装着体の装着又は脱離を行なうものであれば、本発明は、回転印ユニットの脱着機構に限定されるものではない。例えば、装着体である装置(例えばプリンタ装置)に対して、被装着体であるカートリッジや付属品(例えば、インクカートリッジ)を装着又は脱離するような脱着機構に本発明を装着してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…回転印、2…コントローラ、3…回転印ユニット、
11(11a及び11b)…第1凸部、
111…被ガイド部、112…受け部、113…当接部、
21(21a及び21b)…第2凸部、22(22a及び22b)…第2溝部、
221…ガイド部、222…被受け部、223…係止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着体の一方の端部の両面にそれぞれ第1係合部を備え、
装着体の収納部の対向する両面に、上記装着体に対する略垂直方向から挿入される上記被装着体の上記各第1係合部と係合する第2係合部を備え、
上記各第1係合部と上記各第2係合部とが係合し、上記被装着体を回転可能にして、上記被装着体を上記装着体の収納部に装着し、又は、上記装着体の収納部から上記被装着体を離脱させる被装着体脱離機構において、
上記各第1係合部が、円弧形状の凸部からなる外部被ガイド部を有し、
上記各第2係合部が、
凸部からなる内部ガイド部と、
凸部でなる上記外部被ガイド部の外周面を滑らせて上記被装着体の挿入をガイドし、内在する上記内部ガイド部の周辺部を円弧形状とした凹形状の外部ガイド部と
を有し、
上記各第1係合部が、上記内部ガイド部と当接して、上記被装着体の装着状態から脱離の回転方向の回転を許容する内部被ガイド部を有し、
上記装着体が、上記被装着体と当接して、上記被装着体が当該装着体に対する略垂直方向の位置になることを保持する位置保持部を有することを特徴とする被装着体脱着機構。
【請求項2】
上記位置保持部が、上記被装着体が当該装着体に対する略垂直方向の位置にある状態で当該被装着体に対して脱離の回転方向に外力が作用されたときに、上記第1係合部と上記第2係合部との係合力を解除する支点となるものであることを特徴とする請求項1に記載の被装着体脱着機構。
【請求項3】
上記位置保持部は、上記被装着体と当接する球面部を有し、上記被装着体に対して脱離の回転方向に外力が作用されたときに、上記被装着体が上記球面部の上を摺動するように形成され、上記第1係合部と上記第2係合部との係合力を解除させることを特徴とする請求項2に記載の被装着脱着機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−14077(P2013−14077A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148521(P2011−148521)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【出願人】(394026116)伊藤電子工業株式会社 (11)