説明

被覆オキサゾリジノン粒子のための味のマスキング用ビヒクル

本発明は、被覆リネゾリド粒子のような被覆オキサゾリジノン粒子の乾燥製剤であって、水性溶液中に懸濁された場合に、得られた懸濁用ビヒクル中のオキサゾリジノンの味をマスクする、前記乾燥製剤に関する。特別には、上記製剤中のソルビトール及びシュークロースを含む糖混合物が、上記粒子から上記懸濁用ビヒクル中へのオキサゾリジノンの物質輸送を阻害する。被覆オキサゾリジノン粒子の乾燥製剤、その懸濁液、及びグラム陽性細菌感染の治療又は予防のためのその使用方法がすべて開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2003年3月31日に出願された米国仮特許出願第60/459,382号に基づく利益を請求する。
【0002】
本発明は、オキサゾリジノンのような少なくとも1つの薬物のいやな味をマスクする懸濁用ビヒクルに関する。本発明は、特別には、マイクロカプセル化オキサゾリジノン粒子又はコアセルベート化オキサゾリジノン粒子のような、ポリマーフィルムで被覆されたミクロンサイズの薬物粒子からの薬物の輸送を制限することによって、そのようないやな味をマスクする懸濁用ビヒクルに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、固形製剤の経口投与において、いやな味は重要な問題でない。カプセル、キャプレット又は錠剤などのそのような剤型は、通常、そっくりそのまま飲み込まれることを意図される。マスキングが必要とされる限りにおいて、固形製剤中のいかなる活性作用物質のいやな味も外部被覆によってマスクされることができる。
【0004】
しかしながら、子供、高齢者、食道の狭い成人、及び身体障害者又は行動不能者を含む多くの他の人々はしばしば、固形製剤を飲み込むのに苦労する。そのような状況においては、活性作用物質を液体製剤の形態で提供できることが望ましい。液体製剤は、投与及び摂取の容易さによって特に好ましい。液体製剤はまた、対象、特に同じ活性作用物質の固形製剤の服用が困難又はむしろ不可能である対象によるそのような製剤を服用する服薬率の増加傾向によっても好ましい。
【0005】
固形製剤とは異なり、一般に、液体製剤中の活性作用物質のいやな味をマスクするのは非常により困難である。いくつかの活性作用物質のいやな味は、天然又は人工的な甘味料の添加によってマスクされることができる。しかしながら、そのような甘味料だけではいくつかの作用物質のいやな味をマスクするのには不十分である。活性作用物質のマイクロカプセル化も味のマスクに使用されてきた。しかしながら、米国特許第5,633,006号(Cantania et al., 第2欄、第15〜18行)に記載されているとおり、マイクロカプセル化のみでは、アジスロマイシンのような強力な苦味を有する活性作用物質には不十分な味のマスキングしか提供しない。
【0006】
マイクロカプセル化活性作用物質の味のマスキングに使用されるための多様な懸濁用ビヒクルが開発された。米国特許第6,197,348号(Morella et al.)は、マイクロカプセル化活性作用物質の水性懸濁液における味のマスキングが、マイクロカプセルのポリマー被覆の性質及び懸濁用ビヒクルのpHの関数であることを開示する。この場合、使用される懸濁用ビヒクルのpHはマイクロカプセル化活性作用物質がその中に溶けにくいものである。
【0007】
ヨーロッパ特許第EP0717992 A2号(McNEIL-PPC, INC. Ratnaraj et al.)は、セルロースアセテートブチレート又はエチルセルロースをポリマーマトリックス中に含む、マイクロカプセル化アセトアミノフェンを含む徐放性散剤を開示する。徐放性散剤の懸濁液も開示された。懸濁液に添加されることのできる可能な甘味料として、いくつかの異なる糖が列挙された。しかしながら、いかなる2つ以上の糖の混合物も甘みを加えること又は味のマスキングに好適であるということを示唆されなかった。
【0008】
米国特許第4,994,260号(Kallstrand et al.)は、薬物のマイクロカプセルからの薬物の放出を制御する放出制御物質(「シンク(sink)」と称される)を開示する。該特許中において、シンクは、適切に炭水化物或いはポリ−若しくはオリゴ−サッカライド、ジサッカライド、又はモノサッカライド或いはこれらの2つ以上の混合物のような炭水化物関連化合物を含むものとして記載された。シンク中での使用に好適な糖の例は、シュークロース、グルコース、フルクトース、及びソルビトールを含んでいた。シンクの量は、「経口投与のための懸濁液としてすぐに使用できる製剤全体の40%及び99%(重量/重量)の間、好ましくは60〜75%(重量/重量)」として記載されている('260号特許、第2欄、第34〜37行)。実施例のセクションは、多様な個々の糖又は糖混合物のシンクを、多様な薬物とともに使用して懸濁液を作製することを例解する。'260号特許の実施例のセクションにおいて例解される多様なシンクは、多様な種類の被験薬物を非常に広く制御するそれらの能力、いかなる活性作用物質又は活性作用物質の組み合わせのマイクロカプセルからの放出を制御するのにも好適な、糖又は糖混合物のような選択された放出制御物質の予測不可能な性質を実証する。
【0009】
'260号特許の実施例のセクションにおいて例解されるシンクの例のいくつかは、ソルビトール又はソルビトールと少なくとも1つの他の放出制御物質の混合物を含んでいた。しかしながら、そのようなすぐに使える懸濁用溶液中のソルビトール濃度は非常に高かったため、ヒトに投与されると下痢を起こす可能性がある。ソルビトールの大量経口投与のこの副作用の危険性についての検討は、本明細書中に参考文献として援用され、「http://www.cspinet.org/foodsafety/labeling sorbitol.html」においてインターネットで出版された(米国食品医薬品局に1999年9月27日に提出された)「Petition for Regulatory Action to Revise the Labeling Requirements for Foods Containing Sobitol」、Center for Science in the Public Interestを参照のこと。
【0010】
治療的及び/又は予防的に有用な抗生物質又は抗菌剤、特に抗菌剤としての効果を有する、多数のオキサゾリジノン化合物が報告された。そのようなオキサゾリジノン化合物は、それぞれが本明細書に参考文献として援用されている、以下の特許:米国特許第5,164,510号(Brickner);同第5,231,188号(Brickner);同第5,565,571号(Barbachyn & Brickner);同第5,627,181号(Riedl et al.);同第5,652,238号(Barbachyn et al);同第5,688,792号(Barbachyn et al.);同第5,698,574号(Riedl et al.)及び同第6,069,145号(Betts)中に開示されている。
【0011】
上記で引用されたBarbachynらの'792号特許中に開示された化合物は、例えば、本明細書中でリネゾリド(linezolid)とも称される、化合物(S)‐N‐[[3‐[3‐フルオロ‐4‐(4‐モルホリニル)フェニル]‐2‐オキソ‐5‐オキサゾリジニル]メチル]アセタミドを含む。リネゾリドは、以下の式(I):
【化1】

により表される構造を有し、そして、Pharmacia CorporationのZYVOX(登録商標)の商標のもとに医薬品として商業的に使用される。
【0012】
リネゾリドは、以下の属:スタフィロコッカス(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis))、ストレプトコッカス(例えば、ストレプトコッカス・ビリダンス(Streptococcus viridans), ストレプトコッカス・ニューモニエ(Storeptococcus pneumoniae))、エンテロコッカス(Enterococcus)、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、クラミジア(Chlamydia)及びナイセリア(Neisseria)を含むグラム陽性生物に対して強力な抗菌活性を示す。多くのそのようなグラム陽性生物は、他の抗生物質に対して顕著なレベルの耐性を獲得した。
【0013】
他のオキサゾリジノンと同様、経口投与においてリネゾリドは非常にいやな味を有する。経口懸濁液のためのZYVOXの商業的製剤は、5mlあたり100mgのリネゾリド濃度を有する懸濁液に構成される、オレンジ味の顆粒剤/散剤である。経口懸濁液製剤中に含まれる糖はシュークロースのみである。Thompsonにより出版された、Physician's Desk Reference, 57th edition、p.2800(2003)を参照のこと。あいにく、オレンジフレーバー剤、甘味料、及び製剤中の他の不活性成分をもってしても、上記の現存のリネゾリド経口製剤は、いやな味がする。
【0014】
マイクロカプセル化がリネゾリドの味をマスクするために使用されてきた。例えば、本明細書中に参考文献として援用されているPCT国際特許出願公開第WO 015248 A2号(EURAND AMERICA, INC.)を参照のこと。しかしながら、リネゾリド又は他のオキサゾリジノンの味をマスクするためのマイクロカプセル化或いは他の知られた被覆方法の効果は限られている。リネゾリドは、経口投与後、マイクロカプセル又は他の被覆薬物粒子から周囲の懸濁媒又は対象の口中へ流れ出して対象の口中にいやな味をのこす傾向がある。
【0015】
いやな味を有さないリネゾリド経口製剤が必要とされている。そのような製剤は、脂質を経口摂取することのできるいかなる対象によっても受け入れられる可能性が高く;したがって、いずれの固形製剤の投与によるよりも、より多様な対象におけるグラム陽性細菌感染を治療又は予防することを可能とする。
【発明の開示】
【0016】
発明の簡単な要約
1つの側面において、本発明は、水溶液に懸濁された場合の粒子から懸濁液中へのオキサゾリジノンの物質輸送を阻害する、被覆オキサゾリジノン粒子の乾燥製剤に関する。この実施態様において、本発明は、特に、少なくとも1つの用量の被覆オキサゾリジノン粒子を含む乾燥製剤に関し、ここで、各粒子はオキサゾリジノン及び少なくとも部分的にコアを被覆するポリマーフィルムを含むコア、ソルビトール及び少なくとも1つの他の糖の糖混合物を含み、該ソルビトールは、被覆オキサゾリジノン粒子の用量あたり、非下痢性の量で存在する。
【0017】
他の実施態様においては、本発明は、水溶液中の乾燥製剤の懸濁液に関する。
【0018】
他の実施態様においては、本発明は、少なくとも1つの用量の本発明の懸濁液を対象に経口投与することを含む、対象におけるグラム陽性細菌感染の治療又は予防方法である。
【0019】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用される「被覆薬物粒子」という用語は、少なくとも部分的にポリマーフィルムで被覆された、粒子、粉末、結晶、顆粒、ペレット、及び液滴の形態の少なくとも1つの薬物を含むミクロンサイズのコアを示す。
【0020】
「被覆リネゾリド粒子」という用語は、コア中の少なくとも1つの薬物がリネゾリドである、被覆薬物粒子をさす。
【0021】
本明細書中で使用される「マイクロカプセル化」という用語は、薬物又は薬物の組み合わせを含むミクロンサイズのコアを、連続的なポリマーフィルムで被覆することを含む過程をさす。
【0022】
本明細書中で使用される「マイクロカプセル化リネゾリド粒子」という用語は、ミクロンサイズのコアが連続的なポリマーフィルムで被覆された被覆リネゾリド粒子を指す。本明細書中で使用される「マイクロキャップ」という用語は、以下の実施例のセクションにおいて記載され、定義される特別なタイプのマイクロカプセル化粒子をさす。
【0023】
本明細書中で使用される「コアセルベート化」という用語は、薬物及びポリマーを含むコア物質を可溶化し、そして沈殿によってほとんどの薬物が粒子内に含まれるようにポリマーに薬物粒子を被覆させる過程をさす。コアセルベート化の例は、そのどちらもが参考文献として本明細書中に援用されている、Reo & Fredricksonの「Tastemasking Science and Technology Applied to Compacted Oral Solid Dosage Forms-Part 2」、Amer Pharm Rev (Fall 2002), pp.2-13及びPCT国際特許出願公開第WO99/52510号(EURAND INTERNATIONAL SPA)中に提供されている。
【0024】
本明細書中で使用される「コアセルベート化リネゾリド粒子」は、リネゾリド及びポリマーを含むミクロンサイズのコアセルベートの形態の被覆リネゾリド粒子を指す。そのような粒子中のリネゾリドは、ポリマーですべてが被覆されないかもしれない。本明細書中で使用される「コアセルベート」という用語は、以下の実施例のセクションにおいて記載されるコアセルベート化リネゾリド粒子の特別なタイプをさす。
【0025】
本明細書中の「経口投与」という用語は、治療剤又はその組成物の対象への送達形態であって、その剤又は組成物が嚥下の前に口中に置かれるか否かにかかわらず、対象によって飲み込まれるいかなる送達形態をも含む。「経口投与」という用語は、食道への投与を含む。剤の吸収は、口、食道、胃、十二指腸、回腸及び結腸を含む胃腸管のいずれの部分においても起こることができる。
【0026】
本明細書中の「経口送達可能」という用語は、経口投与に好適であることを意味する。
【0027】
治療剤又はその組成物が投与されることのできる本明細書中の「対象」は、いずれの性及び年齢のヒト患者並びにいかなる非ヒト動物、特に家畜又はペット、例示的にはネコ、イヌ又はウマも含む。
【0028】
本明細書中の「用量」という用語は、すべて一度に又は一定の期間内に分割量で摂取されるか又は投与される、薬物又は医薬製剤の量を意味する。経口懸濁液の場合、用量は、一回で又は所定の時間で順次分けて経口摂取される懸濁液の量である。
【0029】
本明細書中で使用される「複数用量」は、薬物又は医薬製剤の少なくとも2の用量をさす。
【0030】
「複数用量サシェ」という用語は、乾燥製剤中の薬物及び賦形剤の少なくとも2の用量を含む容器である。
【0031】
本明細書中で使用される「非下痢性の量」という用語は、対象に投与された場合に下痢を起こさない、物質の量を指す。
【0032】
本明細書中の「賦形剤」という用語は、それ自身は治療剤ではないが、対象への治療剤の送達のための担体又はビヒクルとして使用されるか或いはその取り扱い、貯蔵、崩壊、分散、溶解、放出又は感覚受容性の性質を改善し、又は組成物の単位用量を経口投与に好適なカプセル若しくは錠剤のような個別の物品に形成することを容易化するために、医薬組成物に添加される物質である。例示的には、賦形剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー、潤滑剤、滑沢剤、いやな味又はにおいをマスク又は相殺するために添加される物質、フレーバー剤、色素、香料、及び組成物の外観を改善するために添加される物質などを非制限的に含む。
【0033】
本明細書中で使用される「安定な懸濁液」という用語は、最初の懸濁ステップ後に混合しないで、少なくとも24時間、目に見える浮遊物又は沈降物がなく粒子が懸濁液中にとどまっている、粒子の懸濁液を指す。
【0034】
本明細書中で使用される「実質的に均一な懸濁液」という用語は、溶液中のマイクロカプセル化薬物の懸濁液のような、溶液中の固形物質の懸濁液であって、ここで、実質的に均一な投薬が懸濁液全体において可能であるものを指す。
【0035】
本明細書中で使用される「増粘物質」は、水に溶解し、そして密度及び粘度を増加させ、固体粒子を懸濁させる物質を指す。
【0036】
本発明の乾燥製剤の被覆オキサゾリジノン粒子のオキサゾリジノン成分は、その化学構造の一部分としてオキサゾリジノン部分を含む。好ましいオキサゾリジノンは以下の式(II):
【化2】

により表される化合物であり、ここで、Arは、場合により置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、R1は、式(II)の化合物が以下の特許に総称的に又は具体的に開示された化合物の範囲内に属するように選択される基である。上記特許は、そのそれぞれが本明細書中に参考文献として援用されている、米国特許第5,164,510号(Brickner);同第5,231,188号(Brickner);同第5,565,571号(Barbachyn & Brickner);同第5,627,181号(Riedl et al.);同第5,652,238号(Barbachyn et al);同第5,688,792号(Barbachyn et al.);同第5,698,574号(Riedl et al.)及び同第6,069,145号(Betts)である。
【0037】
より好ましくは、Arは、場合により置換された5又は6員環のアリール又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環である。
【0038】
さらに好ましくは、Arは、以下の式:
【化3】

{式中、
Xは、O、S、SO、SO2、SNR4、S(O)NR4、NR4、又はNC(O)CH2OR4であり、
R4は、水素、R5及び-C(O)R5から選ばれ、
R5は、場合により1つ以上のヒドロキシ、フッ素又は塩素基で置換されたC1-8ヒドロカルビルであり;
R6及びR7は、独立して水素、メチル及びシアノ基から選ばれ;
R8及びR9は、独立して水素、フッ素及び塩素原子から選ばれ;
最も好ましくは、R6及びR7は水素であり、R8及びR9の一方はフッ素であり、他方は水素である。}
により表される基である。
【0039】
好ましくは、R1は、-(CH2)nN(R2)COR3基であり、ここで、nは1〜3であり、そしてR2及びR3は独立して水素及び場合により1つ以上のヒドロキシ、フッ素又は塩素基で置換されたC1-8ヒドロカルビルから選ばれる。
【0040】
好ましいオキサゾリジノンの例は、リネゾリド、N‐((5S)−3−(3−フルオロ−4−(4−(2−フルオロエチル)−3−オキソピペラジン−1−イル)フェニル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イルメチル)アセタミド、(S)−N−[[3−[5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミド、(S)−N−[[3−[5−(4−ピリジル)ピリド−2−イル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミドハイドロクロライド及びN−[[(5S)−3−[4−(1,1−ジオキシド−4−チオモルホリニル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミドからなる群から選ばれる化合物である。1つの特別の好ましい実施態様においては、オキサゾリジノンはリネゾリドである。
【0041】
本発明の組成物中で使用されるオキサゾリジノンは、多くの知られた方法のいずれによっても製造されることができる。リネゾリドの場合、好適な方法は、そのそれぞれが本明細書中に参考文献として援用されている以下の:上記で引用された米国特許第5,688,792号(Barbachyn et al.);同第5,837,870号(Barbachyn et al.);及びPCT国際特許出願公開第WO99/24393号(PHARMACIA & UPJOHN COMPANY)に記載されているものを含む。
【0042】
本発明は、特別にリネゾリドに関連して例解されるが、いかなる他のオキサゾリジノン抗菌剤も、所望により、本明細書に記載の組成物及び方法中の濃度及び用量範囲を適切に調節して、リネゾリドの全体又は一部分と交換されることができることは理解されるであろう。
【0043】
懸濁用ビヒクル中の糖の組成は、たとえ被覆粒子からビヒクル中へであっても、劇的に薬物の物質輸送に影響を及ぼすことができる。薬物のビヒクル中への物質輸送を阻害又は促進するいかなる糖又は糖混合物の能力も、該薬物の化学的及び物理的性質を含む多様な因子に依存する。本発明の乾燥製剤は、ソルビトール及び少なくとも1つの他の糖を含む糖混合物を含む。該少なくとも1つの他の糖は、好ましくは、デキストロースのようなポリ−若しくはオリゴサッカライド;サッカロース、マルトース、若しくはラクトースのようなジサッカライド;又はグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、若しくはキシリトールのようなモノサッカライド、或いは上記の2つ以上の組み合わせから成る群から選ばれる。少なくとも1つの他の糖は、より好ましくはシュークロース又はフルクトース、或いはシュークロース及びフルクトースの混合物であることが好ましい。
【0044】
糖混合物は、好ましくは、重量で乾燥製剤の約40%〜約90%、より好ましくは約45%〜約75%、さらにより好ましくは約45%〜約55%、最も好ましくは約50%である。
【0045】
糖混合物中においては、ソルビトールの少なくとも1つの他の糖に対する重量比は、好ましくは少なくとも約0.5:1、より好ましくは少なくとも約1:1、なおより好ましくは少なくとも約1.5:1である。少なくとも1つの他の糖がシュークロースである場合、乾燥製剤は、好ましくは約20重量%〜約35重量%のシュークロース、そして約25重量%〜約40重量%のソルビトールを含む。少なくとも1つの他の糖は好ましくはシュークロースである。少なくとも1つの他の糖がシュークロースとフルクトースの混合物である場合、乾燥製剤は、好ましくは約20重量%〜約30重量%のシュークロース、約30重量%〜約40重量%のソルビトール、及び約5重量%〜約15重量%のフルクトースを含む。
【0046】
糖混合物中の糖並びにソルビトール及び少なくとも1つの他の糖の相対量の選択は、被覆オキサゾリジノン粒子からの薬物の放出の阻害の望ましい程度、薬物自体の特徴、及び水溶液中の乾燥製剤の溶解時間を最小化することの相対的重要性に依存する。オキサゾリジノンがリネゾリドであり、溶解時間が4分未満であることが望ましい場合、乾燥製剤の約20重量%のシュークロース及び約30重量%のソルビトールを含むことが好ましく、乾燥製剤全体の約50重量%が糖であることが特別に好ましい。
【0047】
混合物中の被覆オキサゾリジノン粒子の用量あたりのソルビトールの総量は、非下痢性の量である。いずれの対象にたいしても非下痢性であるソルビトール量は、対象の年齢及び種、そして対象が糖尿病であるか否かを含む、多様な因子に依存する。本発明の製剤中及び懸濁液中の被覆オキサゾリジノン粒子の用量あたりのソルビトール量は、好ましくは、約40g未満、より好ましくは約30g未満、さらにより好ましくは10g未満である。
【0048】
本発明の製剤中の糖混合物、特に上記の好ましい混合物は、本発明の乾燥製剤の懸濁液中の被覆オキサゾリジノン粒子からのリネゾリドのようなオキサゾリジノンの物質輸送の阻害において驚くべき相乗効果を有する(例えば、以下の実施例2〜4を参照のこと)。
【0049】
本発明の乾燥製剤中の糖混合物は、オキサゾリジノンの水性懸濁用ビヒクル中への輸送を、該オキサリジノンが固体非被覆粒子の形態であっても阻害することができる。しかしながら、オキサゾリジノンは好ましくは本発明の乾燥製剤及び懸濁液中に被覆粒子の形態で存在する。被覆オキサゾリジノン粒子のポリマー被覆及び製剤中の糖混合物は、オキサゾリジノンの懸濁用ビヒクル中への輸送を、片方が存在しない場合に一方が阻害する能力よりもかなり高い程度まで阻害する。
【0050】
本発明の乾燥製剤、懸濁液及び方法において使用される被覆オキサゾリジノン粒子の被覆は、好ましくは、オキサゾリジノンのバイオアベイラビリティーに悪影響を及ぼさない一方、非被覆オキサゾリジノンの懸濁液に比べてオキサゾリジノンの利用能を低下させる。ポリマー被覆は、好ましくは各被覆オキサゾリジノン粒子のコア中のオキサゾリジノンの少なくとも70%、より好ましくはコア中のオキサゾリジノンの少なくとも80%、なおより好ましくはコア中のオキサゾリジノンの少なくとも90%を被覆する。本発明の1つの好ましい実施態様においては、被覆オキサゾリジノン粒子はコアセルベート化オキサゾリジノン粒子である。他の好ましい実施態様においては、被覆オキサゾリジノン粒子は、マイクロカプセル化オキサゾリジノン粒子である。
【0051】
本発明の被覆オキサゾリジノン粒子は、本明細書中に参考文献として援用されているReo & Fredricksonの「Tastemasking Science and Technology Applied to Compacted Oral Solid Dosage Forms-Part 2」, Amer Pharm Rev(Fall 2002),pp.2-13に記載の手段を含む、多数の知られたコア粒子被覆手段のいずれによっても好適に製造されることができる。懸濁液の製造及び本発明の方法の実施において使用される好適なマイクロカプセル化手段は、上記で引用されたReo & Fredricksonによる文献及びそれらのすべてが本明細書中に参考文献として援用されている、米国特許第3,196,827号(Wurster et al.)、同第3,253,944号(Wurster et al.)、同第3,415,758号(Powell et al.)、同第3,155,590号(Miller et al.)、同第3,341,416号(Anderson et al.)、同第5,008,117号(Calanchi et al.)、同第6,261,602B1号(Calanchi et al.)、及び同第6,139,865号(Friend et al.)に開示されている。選択される特別な被覆方法は、マイクロカプセル化されるオキサゾリジノンの物性に依存する。例えば、オキサゾリジノンが液体の形態である場合、オキサゾリジノンをフィルム中に被覆するために使用されるポリマーフィルム及び方法は、乾燥製剤及び懸濁媒の両方の中に液体を含ませることにおいて有効なものであることが好ましい。対照的に、オキサゾリジノンが粒子又は結晶の形態である場合、それは、薬剤として許容可能な広く多様な異なるポリマーフィルムのいずれで被覆されることもできる。本発明の製剤中のオキサゾリジノンは、好ましくは、オキサゾリジノン粒子又はオキサゾリジノン結晶の形態であり、より好ましくはオキサゾリジノン粒子の形態である。
【0052】
本発明において使用される被覆粒子のポリマーフィルムとして使用されるのに好適な疎水性ポリマーは、ビニルアセテート、ビニルクロライド、ビニルカーボネート、メタクリル酸、ポリメタクリル酸コポリマー、他のポリメチルメタクリレート、エチルセルロース、ニトロセルロース、ビニリデンクロライド−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含むがこれらに限られない。エチルセルロース、セルロースアセテートフタレートメタクリル酸、及びポリメタクリル酸コポリマーが好ましく、メタクリル酸、及びポリメタクリル酸コポリマーが特別に好ましい。
【0053】
エチルセルロースのようないくつかの疎水性ポリマーは、それらがリネゾリドのようなオキサゾリジノンとともに微粒子コアセルベート、本発明の製剤及び懸濁液中で使用するのに好適な他の形態の被覆薬物粒子、を形成するやり方で加工されることができる。そのようないくつかのコアセルベートは、完全に薬物を内包する。しかしながら、完全に内包されたことを確実にするためには、コアセルベートに第二のポリマーの被覆を加えることも可能である。
【0054】
薬剤として許容可能なポリマーフィルムは、好適には、エチルセルロース又はオキサゾリジノン及びエチルセルロースのコアセルベートのような薬物放出を遅らせる能力を有する内層、並びにpHに依存して溶解するポリメタクリレートのような疎水性ポリマー外層のような少なくとも2つの層を含む。本発明の乾燥製剤又は懸濁液の1つの実施態様に含まれるマイクロカプセル化オキサゾリジノン粒子の製造に使用される方法は、オキサゾリジノン及びポリマーフィルムの製造に使用されるポリマーの物理的特徴に依存する。本発明の製剤及び懸濁液に含まれるマイクロカプセル化薬物粒子の製造に使用するのに適した方法については、そのすべてが参考文献として本明細書中に援用されている、上記のReo & Fredricksonらの文献、及びPCT国際特許出願公開第WO99/52510号(EURAND INTERNATIONAL SPA)を参照のこと。(上記の)Reo及びFredricksonは、特に、文献中に記載された多数のポリマーフィルム及び基材の粒子、結晶、及びマトリックス配置について検討し、評価している。そこに開示される疎水性ポリマーフィルムを利用するいかなる配置も本発明の方法及び懸濁液における使用に好適である。
【0055】
被覆粒子が疎水性ポリマーの1つ以上の被覆層を含むか否かにかかわらず、ポリマーフィルム被覆の少なくとも1つの層がその上に堆積又はそこに取り込まれた可塑剤を含むことが好ましい。被覆オキサゾリジノン粒子が少なくとも2つのポリマーフィルム層を含む場合、外層は可塑化医薬グレードシェラック、カラーコンオパドリー(Colorcon Opadry)、又は可塑化ヒドロキシプロピルメチルセルロース製剤が好ましい。
【0056】
特に被覆薬物粒子がマイクロカプセル化されている場合の被覆薬物粒子の疎水性ポリマー被覆は、懸濁液中での薬物の放出を対象への投与後まで遅らせることができる。投与が経口であり薬物がいやな味のするものである場合、マイクロカプセル化は、薬物製剤が対象の口を通過した後まで放出を遅らせることによって、そのいやな味をマスクすることができる。上記のように薬物を疎水性ポリマー被覆によって部分的に被覆することによってさえ、懸濁液中及び対象への投与後の両方において薬物の放出を遅らせることができ、いかなるいやな味も減少させることができる。そのような因子は、対象がいやな味のする薬物を拒絶しそうな場合に特に重要である。本発明の製剤、懸濁液、及び方法中で使用される被覆薬物粒子のコア中の少なくとも1つの薬物はリネゾリドであり、それは経口摂取された場合に特にいやな味のするオキサゾリジノンである。
【0057】
本発明の乾燥製剤及び懸濁液中で一緒に摂取される被覆オキサゾリジノン粒子は、少なくとも1つの用量、治療的量の薬物を含むことが好ましい。どのくらいの量のオキサゾリジノンが所定の対象のための治療的量を構成するかは、中でも、オキサゾリジノンのタイプ及び対象の体重に依存する。対象が子供又は(イヌなどの)小動物であり、オキサゾリジノンがリネゾリドである場合、例えば、約5mg/kg〜約10mg/kgの好ましい範囲内の比較的低い量が1日3回投薬されることが投与にとって好適である。対象がヒト成人又は(ウマなどの)大動物である場合、同等のリネゾリド血清濃度を達成するのには、相対的に大量の薬物を含む用量単位を必要とするだろう。ヒト成人に関しては、本発明の組成物中の治療的有効量のリネゾリドは、典型的には約400〜約600mgを1日2回投薬される。他のオキサゾリジノンの生物学的に同等の用量は、好適に投与されることができる。
【0058】
所定の剤型中の薬物量は、特定の日用量を達成するために使用される所望の投与頻度に適応するように選択されることができる。投与される組成物の単位剤型の量及び状態又は障害を治療するための投薬計画は、対象の年齢、体重、性別、及び医学的状態、状態又は障害の重篤度、投与経路及び頻度、並びに選択された特別な薬物を含む多様な因子に依存し、そしてしたがって、広く変動することができる。1つ以上の剤型が1日約6回まで投与されることができる。本発明の1つ以上の剤型は、1日約3回までの投与に適することがより好ましい。
【0059】
各被覆オキサゾリジノン粒子のコアは、リネゾリドのようなオキサゾリジノンのみ、又はオキサゾリジノンと少なくとも1つの他の薬物の混合物から成ることが好ましい。特別には、オキサゾリジノンの味のマスキングを邪魔するいかなる可能性も最小化するために、コア中の賦形剤の数を最小化することが好ましい。しかしながら、以下に述べるように、被覆オキサゾリジノン粒子のコアが1つ以上の賦形剤を含むことが好適である。
【0060】
本発明の1つの実施態様においては、被覆オキサゾリジノン粒子のコアは、少なくとも1つのコア賦形剤であって、薬剤として許容可能な希釈剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、潤滑剤、可塑剤、及び固結防止剤からなる群から選ばれるものをさらに含む。コア賦形剤の選択及び組み合わせを通じて、組成物はなかでも有効性、バイオアベイラビリティー、クリアランス時間、安定性、薬物と賦形剤の適合性、安全性、溶解プロフィール、並びに/又は他の薬物動態的、化学的及び/若しくは物理的性質に関して改善された性能を示すことができる。好ましくは、コア中の賦形剤の量及び数は、経口投与後の懸濁液の味又は口の感触に有害な影響を与えることを防ぐために、最小化される。
【0061】
少なくとも1つのコア賦形剤が希釈剤である場合、好適には該希釈剤は、無水ラクトース及びラクトース一水和物を含むラクトース;直接に圧縮可能なでんぷん及び加水分解されたでんぷん(例えば、Celutab(商標)及びEmdex(商標))を含むでんぷん;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、Cerelose(商標)2000)及びデキストロース一水和物;リン酸二カルシウム二水和物;シュークロースをベースとする希釈剤;粉砂糖;硫酸一カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;顆粒乳酸カルシウム三水和物;デキストレート;イノシトール;固形穀類加水分解物;アミロース;微晶質セルロース、非結晶性セルロース(例えば、Rexcel(商標))及び粉末セルロースを含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ポリビニルピロリドン;並びに上記のいずれかの組み合わせである。
【0062】
微晶質セルロースは、好ましい希釈剤である。この希釈剤は、オキサゾリジノンと化学的に適合性である。被覆薬物粒子のコア中に微晶質セルロースを含ませることは、粒子の硬さ及び/又は崩壊時間を改善することができる。典型的には、微晶質セルロースは比較的低い希釈剤費用で、それと混合された薬物の好適な放出速度、安定性、流動性、及び/又は乾燥特性を有する組成物を提供する。
【0063】
被覆薬物粒子のコアは、場合により、少なくとも1つの薬剤として許容可能な結合剤又は接着剤をコア賦形剤として含む。そのような結合剤及び接着剤は、摂取後に被覆薬物粒子が口を通過し、そして対象の胃腸管の残りの部分へ入った後に、粒子が崩壊し、オキサゾリジノン又はオキサゾリジノンと少なくとも1つの他の薬物の混合物が吸収されることを可能とする一方、コアへの十分な粘着を与えることが好ましい。好適な結合剤及び接着剤は、以下の:アカシア;トラガント、シュークロース;ゼラチン;グルコース;アルファ化デンプン(例えば、National(商標)1511及びNational(商標)1500)などの、しかしこれらに限定されないデンプン;微晶質セロルース、メチルセルロース及びカルメロースナトリウム(例えば、Tylose(商標))を含むがこれらに限定されないセルロース;アルギン酸及びアルギン酸塩;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;PEG;グアーゴム;多糖酸;ベントナイト;ポビドンK-15、K-30及びK-29/32などのポビドン;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(商標));並びにエチルセルロース(例えば、Ethocel(商標))を個別に、又は組み合わせで含む。
【0064】
被覆オキサゾリジノン粒子は、場合により、1つ以上の薬剤として許容可能な崩壊剤を賦形剤として含む。好適な崩壊剤は、カルボキシメチルスターチナトリウム(例えば、PenWestのExplotab(商標))及びアルファ化コーンスターチ(例えば、National(商標)1551、National(商標)1550、及びColorcon(商標)1500)を含むデンプン、粘土(例えば、Veegum(商標)HV)、精製セルロース、微晶質セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース、クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMCのAc-Di-Sol(商標))、アルギン酸塩、クロスポビドン、並びに寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン及びトラガントゴムのようなゴムを個別に、又は組み合わせで含む。
【0065】
被覆オキサゾリジノン粒子は、場合により、少なくとも1つの薬剤として許容可能な湿潤剤をコア賦形剤として含む。本発明の組成物中の湿潤剤として使用するのに好適な可塑剤の非制限的な例は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの4級アンモニウム化合物、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、及びオクトキシノール9などのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー)、ポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプロン酸モノ−及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)カストールオイル及びポリオキシエチレン(40)水素化カストールオイルなどのポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び油脂;ポリオキシエチレン(20)セトステアリン酸エーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ステアレートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリソルベート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステル、ラウリン酸プロピレングリコール(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))などのプロピレングリコール脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸トリエタノールアミンなどの脂肪酸及びその塩、モノステアリン酸グリセリルなどのグリセリル脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン及びモノステアリン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル、チロキサポール、並びにそれらの混合物を含む。
【0066】
被覆粒子のコアは、場合により、少なくとも1つの薬剤として許容可能な潤滑剤をコア賦形剤として含む。好適な潤滑剤は、以下のグリセリルベハペート(例えば、Compritol(商標)888);ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸ナトリウムを含む、ステアリン酸及びその塩;水素化植物油(例えば、Sterotex(商標));コロイド状シリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;DL-ロイシン;PEG(例えば、Carbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;並びにラウリル硫酸マグネシウムを個別に、又は組み合わせで含む。潤滑剤は固結防止剤であることが好ましい。好適な固結防止剤は、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状シリカ、及びステアリン酸金属塩を含む。タルクは、装置表面への製剤の粘着を減少させ、そしてまた混合物中の静電気を減少させるためなどに使用される好ましい固結防止剤である。
【0067】
本発明の乾燥製剤及び懸濁液中に含まれる被覆オキサゾリジノン粒子は、ミクロン範囲のいかなる大きさであっても好適である。しかしながら、粒子は、懸濁用ビヒクル中に懸濁されるのに十分小さく、そして対象への経口投与のための合理的な体積中にオキサゾリジノンの用量が含まれるように十分量のオキサゾリジノンを含むのに十分に大きいことが好ましい。被覆オキサゾリジノン粒子は、好ましくは約50ミクロン(以後、「μm」と称する)〜約600μmの平均粒子サイズ、より好ましくは約75μm〜約400μmの平均粒子サイズ、より好ましくは約100μm〜約250μmの平均粒子サイズ、さらにより好ましくは約100μm〜約180μmの平均粒子サイズを有する。
【0068】
上記の被覆オキサゾリジノン粒子及び糖混合物に加えて、本発明の乾燥製剤は、場合により、増粘物質をさらに含む。適切な濃度で存在する場合、増粘剤は懸濁促進剤として作用する。経口投与を容易にするために、懸濁液が良好な流動特性を有するように、水のような水溶液を乾燥製剤へ配合することにより生じる粘度は十分に低いことが好ましい。
【0069】
増粘物質は、好ましくは、以下の:アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、トラガントゴム、キサンタンゴム、グアーゴム、カロバゴム、カラヤゴム、修飾コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、及び結晶性セルロース単独又は他の親水コロイドとの組み合わせからなる群から選ばれる。増粘物質は、好ましくは、キサンタンゴム又はキサンタンゴムと微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースなどの少なくとも1つの他の増粘物質との混合物を含む。増粘物質は、キサンタンゴム、微晶質セルロース、及びカルボキシメチルセルロースの混合物であることが最も好ましい。
【0070】
本発明の製剤は、さらに糖混合物以外の味をマスキングする物質を含むことが好ましい。少なくとも1つの味をマスキングする物質は、好適には、人工甘味料、フレーバー剤、或いは糖及び少なくとも1つの人口甘味料又はフレーバー剤の組み合わせである。
【0071】
フレーバー剤の非存在下で薬物が好適に味のマスキングをされている場合、本発明の製剤中にはいかなるフレーバー剤も好適に含められる。そのようなフレーバー剤の非存在下で本発明の乾燥製剤のいくつかの懸濁液中に存在することが見出された検出可能ないやな味又は他の好ましくない風味をマスクするための使用にも、フレーバー剤は好適である。
【0072】
本発明の乾燥製剤中の被覆オキサゾリジノン粒子は、好ましくは約10分以内、より好ましくは約5分以内、より好ましくは約4分以内、より好ましくは約3分以内、さらにより好ましくは約1分以内に水溶液と併合されて懸濁される。
【0073】
本発明の懸濁液は、本明細書中上記の被覆オキサゾリジノン粒子の乾燥製剤を水溶液と併合し、粒子をその中に懸濁することによって製造される。水溶液は、緩衝液又は食塩水、より好ましくは水のような、対象への経口投与に適したいずれかの水溶液である。
【0074】
他の実施態様においては、本発明は、本発明の乾燥製剤懸濁液の使用方法に関し、ここで、被覆薬物粒子は、対象におけるグラム陽性感染を治療又は予防するための被覆オキサゾリジノン抗生物質薬粒子である。オキサゾリジノン抗生物質薬は、好ましくはリネゾリドである。上記方法は、グラム陽性感染を有する対象又はグラム陽性感染にかかる危険のある対象のいずれかに、少なくとも2つの用量の本発明の乾燥製剤懸濁液を経口投与することを含む。予防的使用は、例えば、侵襲性の手術の前又は後或いは、対象がまだ感染していない開放創を負った後において適している。本発明の方法における使用に好適な懸濁液の好ましい特徴及び好適な任意の成分は、本明細書に上記されている。
【0075】
本発明は、以下の実施例によってさらに例解される。これらの実施例は、本発明の例示を意図するものであり、その範囲を制限又は限定するために使用されるべきでない。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、上記の本発明の1つ以上の実施態様を例解する。
【0077】
実施例1‐使用したアッセイ方法
非電解質の(糖ベースのポリオール)及び電解質の溶液のリネゾリド溶解度、水分活性、粘度、及びマイクロカプセル化リネゾリドからのリネゾリド物質輸送に及ぼす効果を調べるために試験を行った。試験は以下の3つの相:スクリーニング、最適化及び物質輸送、において実施した。試験の主要な目的は、懸濁液中のリネゾリド溶解量を既知の懸濁用ビヒクルに比べて減少させるマイクロカプセル化リネゾリド用の懸濁用ビヒクルを同定することであった。
【0078】
以下の特別なタイプのアッセイを、試験の各相の1つ以上において実施した。
【0079】
1.水分活性
Pawkit水分活性計は、サンプルの水分活性(aw)を測定するための誘電性湿度センサーを使用する。ユニットは、±0.02awまで正確である。新たな組の測定を行うごとにその前に、6.0モルNaCl溶液を使用して水分活性計を較正した。各サンプルを二連で測定した。
【0080】
2.粘度測定
以下に記載のスクリーニング及び最適化相において、Bohlin Rheometerを以下の条件下で使用して粘度測定を行った:10.0パスカルのシアーストレス及び25℃の温度における持続的な単掃引。
【0081】
3.リネゾリド平衡飽和溶解度測定
バルクのリネゾリド及び試験溶液を約20mgリネゾリド/ml溶液濃度で混合した。これは、商業的な経口懸濁液製剤中のリネゾリド濃度である。リネゾリド平衡飽和溶解度は、約3mg/mlである。約200mgのバルク薬物を20mlのガラスバイアルに量り分けた。そして、バイアルをおよそ全体の半分まで満たした。そして、バイアルを少なくとも24時間振とうした。1mlシリンジを用いて、1mlより少し多い量のリネゾリド飽和溶液をバイアルの中心から引き出した。シリンジを軽く叩き、先端から泡を出させることによって、すべての泡をシリンジから除いた。約0.3mlの飽和溶液をシリンジ及び0.45μmフィルターユニットから押し出し、フィルターを飽和させた。次に0.3mlのアリコートを10mlメスフラスコのそれぞれの中に入れた。メスフラスコを移動相溶液で希釈し、各希釈された溶液のサンプルをHPLCで分析した。すべての濃度の結果をmg/mlで報告した。
【0082】
4.放出速度試験
適量の各タイプの被験被覆リネゾリド粒子をバイアル中の各ビヒクルに添加して理論的に20mg/mlのリネゾリド懸濁液を作製した。バイアルを振とうしてビヒクル中の粒子を分散させ、そして各サンプリング時点の前に振とうした。
【0083】
各時点において、バイアルを激しく振とうした。しかしながら、サンプルの取り出しの前に粒子はバイアルの底に沈んだ。5mlシリンジを使用して、約4mlの混合物を引き出した。フィルターユニットをシリンジの先端に取り付け、1mlの混合物をフィルターに流して飽和させた。約1mlのろ過された溶液を、風袋を量ったメスフラスコにいれ、重量測定した。0.1%トリフルオロ酢酸の水溶液を使用してメスフラスコを希釈した。この試験において使用したHPLCパラメーターは、上記の飽和溶解度測定において記載したものと同じであった。この試験の間に溶液中に見出されたリネゾリドを、1gの溶液中に存在するリネゾリド量(mg)の測定に使用し、mg/gの単位で報告した。
【0084】
実施例2‐スクリーニング相
スクリーニング相の間では、いくつかの異なる糖及び電解質がそれぞれ多様な濃度である水溶液を評価した。試験において使用した懸濁賦形剤は、構造、イオン強度、溶解度の相違及び実際的な考察に基づいて選択した。使用した基準は、分子量、電荷密度、ヒドロキシル官能基密度、及び医薬の承認を含むものであった。評価した糖及び電解質は、シュークロース(炭素6つ及び炭素5つのモノサッカライドから成るジサッカライド)、グルコース(炭素6つのモノサッカライドであり、シュークロースの構成成分)、フルクトース(炭素5つのモノサッカライドであるケト糖であり、シュークロースの構成成分)、ソルビトール(炭素6つの糖アルコール)、マルトース(炭素6つのモノサッカライド2つから成るジサッカライド)、塩化ナトリウム及び乳酸カルシウムの溶液である。試験した各溶質の濃度は、その水への飽和溶解度に基づいて選択した。アッセイ結果を以下の表1に要約する。
【0085】
【表1】

【0086】
上記の試験したすべての溶質は、水中での3.17mg/mlの溶解度測定値よりもリネゾリドの飽和溶解度を低下させることがわかった。上記の表1に要約したデータは、リネゾリドがソルビトール、フルクトース、及びシュークロース溶液中で最も溶けにくいことを示している(それぞれ、9.9モル濃度で0.54mg/ml、16.6モル濃度で0.70mg/ml及び5.3モル濃度で1.54mg/ml)。これらの溶液の水分活性及び粘度は、それぞれ、0.81及び48cps、0.70及び429cps、並びに0.86及び119cpsであった。
【0087】
表1のデータは、水分活性がリネゾリド水溶解性を予想する唯一のものではないことを例解している。フルクトースが最低の水分活性を有したにもかかわらず、ソルビトール溶液はリネゾリド水溶解度の最大の低下を示した。この実施例における被験糖化合物又は電解質群のなかで、フルクトースは最高の水溶解度を有していた。
【0088】
試験したなかで最高濃度のフルクトース、2.16モル濃度のマルトースを含む溶液は、439cpsの最高の溶液粘度を有した。フルクトースは、試験した糖−化合物群の中で最高の水溶解度(0.3mlの水中に1グラム)も示した。
【0089】
試験したなかのマルトースの最高濃度は2.16モル濃度であった。シュークロースとソルビトールはより低い濃度において、少なくともマルトースと同様にリネゾリド飽和溶解度を減少させたため、さらに高い濃度は考慮しなかった。リネゾリドの飽和溶解度は、2.16モル濃度のマルトース、1.13モル濃度のシュークロース、及び1.87モル濃度のソルビトールについて、それぞれ2.45、2.45及び1.68mg/mlであった。リネゾリド飽和溶解度を低下させるマルトースの能力は、ソルビトール又はシュークロースの能力のいずれよりも低かった。
【0090】
デキストロースは水中で最も低い飽和溶解度を有した。試験した最高濃度は、3.62モル濃度(39%w/w)であった。
【0091】
つまり、この実施例において試験した賦形剤のなかでは、糖がリネゾリド飽和溶解度を最も減少させた。さらに、糖飽和溶解度が増加するにつれてリネゾリド溶解度は低下することがわかった。1つの例外は、比較的低い飽和溶解度を有するソルビトールであり、これは最も大きなリネゾリド溶解度低下効果を有していた。
【0092】
上記の表1に要約した水分活性の結果は、期待された傾向を示した。溶質濃度が増加するにつれて水分活性が低下した。溶液の水分活性が低下すると、リネゾリドの飽和溶解度は低下した。これは、糖−フルクトース、シュークロース及びソルビトールの存在量が最も高い糖溶液において特に明白であった。電解質溶液は、水分活性及びしたがってリネゾリド飽和溶解度に顕著な効果を及ぼすには希薄すぎた。表1に示すように、ソルビトールが示した他の利益はフルクトースに比較して水分活性を低下させる能力であった。
【0093】
マイクロカプセル化リネゾリドからのリネゾリド放出速度に対する粘度の相対的効果を示唆/予想するために、溶液の粘度を測定した。
【0094】
実施例3‐最適化相
統計的に設計されたD-最適混合物の実験をソルビトール、フルクトース及びシュークロースについておこなった、なぜならこれらの作用物質は最も大きな水分活性及びリネゾリド溶解度の低下を示したからである。以下に記載する実験は、上記のスクリーニング試験において同定された成分の間の関係が相加的又は相乗的のいずれであるかを決定するために設計した。該試験は、一定の制約内で上記の4つの成分の混合物についての水分活性、粘度及びリネゾリド溶解度を予想するためのモデルをも提供した。
【0095】
D-最適混合物設計は、水中のフルクトース(0〜60%)、ソルビトール(0〜50%)及びシュークロース(0〜50%)の、リネゾリドの溶解度、水分活性及び粘度への効果を測定するために使用した。フルクトース、ソルビトール及びシュークロースを併せた全体は、固体全体の60%w/wと一定に保った。試験した各混合物中の各糖の組成、並びにそれらについて実施した溶解度、水分活性、及び粘度試験の結果を以下の表2に要約する。
【0096】
【表2】

【0097】
上記の表2からのリネゾリド溶解度の結果を二次モデルを用いて図1に示すようにプロットした。溶解度データに最も適合する得られた二次予測因子は、ソルビトールが試験した他の二つの糖よりも溶解度の低下により大きな影響を及ぼすことを示した。フルクトースが溶解度低下に対するその次に大きな影響を及ぼし、その次がシュークロースであった。
【0098】
一次予測因子方程式が、水分活性及び粘度のデータに最も適合することがわかった。図2は、水分活性データの一次プロットである。図3は、粘度データの一次プロットである。図2及び3は、水分活性と粘度がどちらも相加的であり、相乗的でないことを示している。図2及び3において例解したモデルを使用して、個々の成分の加重和として混合物の水分活性及び粘度を予測する。実験空間内でのいかなる混合物の水分活性及び粘度も、それぞれ、0.85〜0.88及び29.0〜36cpsの範囲内にあった。
【0099】
要約すると、混合物の実験からのデータは、試験した3つの糖の混合物による溶解度の低下は相乗的であるが;一方、3つの糖の水分活性及び粘度に対する効果は相加的であることを実証した。さらに、データは、溶解度に影響するには粘度が低すぎることを示した。したがって、D-最適混合物試験の結果は、試験した混合物中のリネゾリド溶解度の低下についてのメカニズムが、水分活性のみだけでない他の因子、粘度に関係のない因子に依存することを示した。
【0100】
実施例4‐最適化相の続き
混合物の実験結果に基づき、そしてソルビトールについての現行の下剤用量を考慮して、ソルビトール:フルクトース:シュークロース(固体全体で65%w/w)の混合物中のマイクロカプセル化リネゾリドのリネゾリド物質輸送を、シュークロース:マンニトールの対照混合物と比較した。どちらの混合物も保存剤、電解質及び緩衝剤を含んだ。薬物の放出を12日間にわたって測定した。薬物放出データは、リネゾリド物質輸送速度が、水分活性及びリネゾリド溶解度の低いソルビトール:フルクトース:シュークロースビヒクルについては(ゼロ近くまで)大きく減少したことを示した。試験の結論は、水性媒体中のマイクロカプセル化リネゾリドの物質輸送速度が、物質輸送推進力を減少させることによって減少したというものであった。物質輸送速度の減少は、より味のよい製品を生じるものと予想される。この試験及びその結果を以下により詳細に記載する。
【0101】
混合物最適化試験において使用するために、13個の混合物を以下の表3の記載のとおりに調製した。試験した混合物の組成は、上記の実施例3の記載のとおりに実施された混合物実験の結果に基づいた。各混合物のリネゾリド飽和溶解度及び水分活性を測定した。これらの各試験において得られた結果も表3に示す。溶解度の結果を平均溶解度で表3にmg/mlで、溶解度測定値の各組についての標準偏差(「SD」)及び相対標準偏差(「RSD」)で表した。
【0102】
【表3】

【0103】
表3中のいくつかの混合物は、シュークロース、ソルビトール及びフルクトースの様々な組み合わせから調製した濃度70重量%の溶液を含む。表3に例解するとおり、70%濃度の混合物は、リネゾリド飽和溶解度を大きく減少させた。より高濃度のソルビトールを含むものはさらに低い溶解度の結果を示した。例えば、30%ソルビトール、30%フルクトース、及び10%シュークロースから成る溶液のリネゾリド溶解度は、0.672mg/mlという結果となった。45%ソルビトール及び25%フルクトースから成る溶液は、リネゾリド溶解度0,582mg/mlという結果を与えた。
【0104】
ソルビトール濃度の高い溶液が最も低いリネゾリド飽和溶解度を示したにもかかわらず、これらの溶液は、放出速度試験においては使用されなかった。体内における高濃度のソルビトールに関連する問題は、下痢、腹痛、及び腸満のような胃腸管への影響を含む。最近の研究は、ソルビトールは、わずか20グラム/日の成人にとっての低用量、及び0.5g/kg体重で子供に摂取された場合、体に下剤効果を及ぼすことを示唆している。そのような研究についての要約は、インターネットの「http://www.cspinet.org/foodsafety/labeling sorbitol.html」上で米国食品医薬品局に1999年9月27日に提出された「Petition for Regulatory Action to Revise the Labeling Requirements for Foods Containing Sorbitol」を参照のこと。これらの研究により、高濃度のソルビトールを含む溶液の残りの試験における使用を避け;ほとんどの最近の研究において示唆された1日あたりの推奨許容量を超えるソルビトール濃度の使用を避けることを決定した。
【0105】
30%ソルビトール、30%シュークロース、及び10%フルクトースを含む懸濁用ビヒクルを、以下の実施例5に記載の物質輸送試験において使用するために選択した。このビヒクル中でのリネゾリドの飽和溶解度は0.79mg/mlであることがわかった。成人及び子供への送達のための1日2回の剤型のリネゾリドの調製における潜在的な使用のために、上記ビヒクルを選択した。
【0106】
実施例5‐物質輸送相
以下に記載する試験の最終相において、対照及び被験懸濁用ビヒクルの間の放出速度の違いを研究するために、マイクロカプセル化リネゾリド粒子、コアセルベート化され被覆されたコアセルベート化粒子の2つの異なるタイプを使用した。どちらのタイプの粒子もVandalia, OhioのEurand America, Inc.により製造された。コアセルベート化リネゾリド粒子は、内包ポリマーとしてエチルセルロースを使用する熱誘起相分離法によるコアセルベート化プロセスによって内包されたリネゾリドを含む。被覆コアセルベート化リネゾリド粒子は、さらに2つ以上の被覆層で被覆されたコアセルベート化リネゾリド粒子からなる。第一の追加の被覆層は、医薬用グレーズ(glaze)のようなシェラックのシール被覆であった。第二の追加の被覆層は、Eudragit RL30D及びクエン酸トリブチルであった。コアセルベート化リネゾリド粒子を以後、「コアセルベート」と称する。被覆コアセルベートを以後、「マイクロキャップ」と称する。マイクロキャップ(Microcap(登録商標))という用語も、Eurand America Inc.のブランド名である。しかしながら、本明細書において該用語は、その直前に記載された特定のタイプのマイクロカプセル化リネゾリド粒子をさすために使用され、いかなるそのような粒子のブランド名をさすものでもない。使用した双方のタイプの粒子の製造に使用されたと考えられる以下の製造方法の詳細な説明は、本明細書中に参考文献として援用されているPCT国際特許出願公開第WO01/52848号(EURAND AMERICA, INC)に開示されている。
【0107】
上記の各実施例3及び4中のD-最適混合物試験及び追加の混合物の試験の結果に基づいて、新たなビヒクル組成を選択した。ソルビトールに関する下剤用量範囲、甘み及び製品のコストを含む実際的な考察も考慮に入れた。以下に記載するように、被覆及び非被覆コアセルベート化リネゾリド粒子を使用するさらなる評価のために、対照ビヒクル及び被験懸濁用ビヒクルの2つのビヒクルを選択した。各ビヒクルについての処方を以下の表4に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
放出速度は、分散中の水相中の溶解したリネゾリドを上記の表4に記載の2つのビヒクル中で試験が行われた日数に対してプロットすることによって調べた。1ロットのコアセルベート及び同じコアセルベートロットから調製された1ロットのマイクロキャップを放出試験において使用した。
【0110】
およそ0.212gのマイクロキャップ粒子を22個の5mlガラスバイアルのそれぞれに加えた。22個の5mlガラスバイアルのそれぞれに約0.125gのマイクロキャップ粒子を加えた。粒子の密度に基づいて、対照ビヒクル及び被験ビヒクルそれぞれの量を各バイアルに加えて、リネゾリドが100mg/5mlに等しい分散を作製した。マイクロキャップ粒子を含むバイアルの11個におよそ5.37gの対照ビヒクルを加え、コアセルベート粒子を含む11個のバイアルに5.44gの対照ビヒクルを加えた。マイクロキャップ粒子を含む11個のバイアルに約6.41gの被験ビヒクルを加え、コアセルベート粒子を含む11個のバイアルに6.49gの被験ビヒクルを加えた。ビヒクルを加えた後にバイアルを静置した。各バイアルは、特別な時間において取り出す異なるサンプルを表すものであった。溶解したリネゾリドの量を、異なるバイアルから0.14、0.5、3、5、7、10、及び12日で測定した。
【0111】
各時点において、バイアルの内容物を激しく振とうし、いかなる溶解していない固体もバイアルの底に沈まないうちに、得られた混合物のサンプル4mlをサンプリングのためにバイアルから5mlのシリンジを用いて取り出した。シリンジの先端に0.45ミクロンの膜フィルターユニットを取り付け、フィルターを飽和させるために1mlの混合物を流しだした。次に、約1mlのろ過した溶液を風袋を量ったメスフラスコにいれ、サンプル中の空気による偏り/誤差を避けるために重量測定した。ろ過した溶液のサンプルを希釈し、HPLCを用いて分析して、懸濁用ビヒクル中に溶解したリネゾリド量を決定した。溶解したリネゾリドは、溶液1グラムあたりのmgリネゾリドで表した。
【0112】
直前で説明した試験の結果、平均のリネゾリド放出プロフィールを以下の表5に要約し、溶液1グラムあたりに溶解したリネゾリドのミリグラムの結果で示した。図4は、以下の表5からの平均リネゾリド放出プロフィールの結果をプロットしたものである。
【0113】
【表5】

【0114】
図4は、上記の表5に要約された放出結果をプロットしたものである。図4及び表5中のデータは、対照及び被験懸濁用ビヒクル中のコアセルベートの放出速度は最初に速く(1日まで)、その後、ゼロに近づくことを示している。図4は、対照ビヒクル中に最初に放出されたリネゾリド量が、最初に被験ビヒクル中に放出されたリネゾリドよりもかなり多いことを示している。対照及び被験ビヒクル中のコアセルベート粒子についての放出されたリネゾリドは、平衡状態でそれぞれ、リネゾリド飽和溶解度の約79及び63パーセントであった。被験ビヒクル中でのマイクロキャップ粒子からのリネゾリドの放出速度は、対照ビヒクルからの放出速度よりも顕著に遅かった(表5及び図4)。ゼロ時からはじまる被験ビヒクル中に分散されたマイクロキャップについての放出速度は、ゼロに近かった。12日後、マイクロキャップから被験溶液中へのリネゾリドの放出速度は、非常に遅かった。具体的には、傾き、又は放出速度は、0.0013mg/ml/日であった。マイクロキャップ粒子から対照ビヒクル中へのリネゾリドの放出速度は、0.081mg/ml/日であることがわかった。
【0115】
表5に示し、そして図4に例解するように、被験ビヒクル中のマイクロキャップ粒子からのリネゾリド放出速度は、対照ビヒクル中よりも顕著に遅かった。ゼロ時にはじまる被験ビヒクル中に分散されたマイクロキャップ粒子についての放出速度はゼロに近かった。被験ビヒクル中では、マイクロキャップ粒子は水相へのリネゾリド物質輸送を顕著に減少させ、同じ時点で観察されたより低い水分活性に対応する減少は、より低いリネゾリド飽和溶解度を示している。具体的には、被験ビヒクル及び対照ビヒクルについての水分活性は、それぞれ、0.79及び0.96であることがわかった。被験ビヒクル及び対照ビヒクルについての飽和溶解度は、溶液1グラムあたり、それぞれ0.547及び2.428mgであることがわかった。
【0116】
被験ビヒクル中のコアセルベート粒子についてのリネゾリド濃度は、12日間の試験期間にわたって、対照ビヒクル中のマイクロキャップ粒子についてのリネゾリド濃度よりも低いままであった。被験ビヒクル中に懸濁したコアセルベート粒子の使用は、懸濁液様式中の経口投与用のそのような薬物の味をマスクするために以前は必要と考えられた複雑で費用のかかる被覆ステップを回避することができた。
【0117】
実施例6‐均一性及び減少した溶解時間のための処方
上記の実施例5に記載したように、シュークロース、ソルビトール、及びフルクトースの好適な相対比率がコアセルベート及びマイクロキャップ粒子などの被覆粒子からのリネゾリドの物質輸送を最小化することがいったんわかると、合理的な短期間で粒子の懸濁液の実質的な均一性を形成することのできる、懸濁用ビヒクル製剤中の固体の重量パーセント範囲を決定するために以下の試験を行った。
【0118】
他の賦形剤の添加の前に、増粘物質として可変量のAvicel(登録商標)RC-591(FMC Corporation)及びキサンタンゴムを添加することによって、いくつかの懸濁用ビヒクルを調製した。以下の表6は、この段階で調製した各経口懸濁用ビヒクルの処方を示す。
【0119】
【表6】

【0120】
上記の表6の記載のとおりに調製した対照ビヒクルの一組のサンプルにマイクロキャップ粒子を添加する一方、コアセルベート粒子を対照ビヒクルの同じサンプルの他の一組に加えた。加えた各タイプの粒子の量を、最終的な懸濁液中のリネゾリド用量が懸濁液5mlあたりリネゾリド100mgとなるように調節した。
【0121】
以下の表7に、可変量のAvicel RC-591及びキサンタンゴムを、上記の表6に記載のとおりに調製した、固体53.7%(以後、「50%」)、60.9%(以後、「60%」)、及び70.2%(以後、「70%」)のビヒクルのそれぞれに加えた実験の結果を要約する。表6に記載の固体28.6%のビヒクルのサンプルを対照として含めた。
【0122】
【表7】

【0123】
3つの異なる方法のうちの一つを、上記の表7に記載の各サンプルを構成するために使用した。表7の「調製方法」の欄で、
【化4】

で示したサンプルは、最初に増粘物質を含まないビヒクルのバッチを作製することによって調製した。その後、様々なレベルのキサンタンゴム及びAvicel RC-591を加え、得られた混合物を振とう機を用いて溶解が達成されるまで振とうした。
【化5】

で示したサンプルは、プロペラミキサーを使用して最初に容器に水を加え、続いて増粘物質を加えることによって、構成した。増粘物質の溶解が達成されたら、残りのビヒクル賦形剤を加えた。最後に、
【化6】

で示したサンプルを、すべての賦形剤の粉末混合物を作製し、構成用の水を重量で加えることによって調製した。サンプルのこの最後の組は手で振とうした。
【0124】
固体50%及び固体60%のビヒクルのすべてについて、乾燥賦形剤成分を上記に注記した以外は、表7に列挙した順番で添加した。適切な量の水を重量でボトルに加え、すべての成分が溶液中に含まれるまで手で激しく振とうした。構成時間を記録した。
【0125】
固体60%のビヒクル中では、対照経口懸濁用ビヒクル中と同じレベルの賦形剤を達成するために、塩化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムのレベルも増加させた。さらに、フルクトースを処方から除き、糖の量を固体60%まで減少させた。さらなるキサンタンゴム及びAvicel RC-591を溶解するため、そして標的粘度である2500〜4000pcsを達成するために、糖の量を70%から60%まで減少させた。放出速度試験のためのバイアルの調製方法を評価した後、経口懸濁液の処方にさらなる調整を行った。構成時間を減少させるために、糖固体の量をさらに60%から50%に減少させた(表7)。
【0126】
この試験における最初の標的溶解時間は、3〜4分であり、最初の標的粘度は、2500〜4000cpsであった。固体70%の処方を用い、そして0.12〜0.57w/w%の範囲内で可変のキサンタンゴム及び0.14〜0.68w/w%の範囲内で可変のAvicel(登録商標)RC-591を添加することによって広い範囲の粘度を得た。ビヒクル6は、2460cpsという、標的粘度に最も近い粘度を有した。しかしながら、ビヒクル6のための賦形剤は、溶解するのに2時間を越える時間がかかった。
【0127】
実施例8‐懸濁用ビヒクルの調製方法の試験
他の賦形剤の添加の前に増粘物質を溶解するために、ビヒクルの新たな調製方法も開発された(表7のビヒクル9〜15を参照のこと)。以前のビヒクル調製物においては、キサンタンゴム及びAvicelの前に他の賦形剤を溶解することが行われていた。この実験の組においては、キサンタンゴムは0.005〜0.093w/w%範囲であり、及びAvicel(登録商標)RC-591は0.007〜0.11w/w%の範囲であった。1370cps(ビヒクル14)の粘度が得られたが、この低い粘度をもってしても、賦形剤を完全に溶解するには45分間の混合時間が必要であった。これらの試験から、2500〜4000cpsの粘度を有し、合理的な時間内で構成されることもできる固体70%のビヒクルを調製することが困難であることが明らかとなった。したがって、固体含量のより低いさらなるビヒクルについて調べた。
【0128】
次の数種のビヒクル(表7中のビヒクル16〜19)を、60重量%の糖及び可変レベルの増粘物質によって調製し、すべてを手動で構成した。これらのビヒクルについては、キサンタンゴムは0.1〜0.53w/w%の範囲、そしてAvicel(登録商標)RC-591は0.09〜0.62の範囲であった。ビヒクル17については4310cpsの粘度を測定し、0.53%のキサンタンゴム及び0.62%のAvicel(登録商標)RC-591を含んでいた。このサンプルについての構成時間は4.5分であって、3〜4分の標的崩壊時間に近かった。ビヒクル処方へのさらなる変更は、0.4%キサンタンゴム及び0.47%Avicel(登録商標)RC-591を含む、改善された50%ビヒクルを生じた。この固体50%のビヒクルの粘度は、3350cpsであり、その溶解時間はおよそ3.5分であった。これは、薬局における実際の振とう時間である。
【0129】
最後に、対照、固体70%、及び固体50%のビヒクル中に懸濁したマイクロキャップ粒子について、直前に記載した手動の振とうによって構成した後に、リネゾリド放出速度試験を行った。試験結果を、以下の表8に例解する。表8中のデータをプロットしたものは以下の図5に見出されることができる。
【0130】
【表8】

【0131】
この実施例において試験したサンプルのうちで、被覆リネゾリド粒子は最も少量のリネゾリドを固体含量70%のビヒクル中へ放出した。しかしながら、上記のように、その特別なビヒクルのための構成時間は医薬適用のために実際に使用するにはあまりにも遅い。被覆リネゾリド粒子は、対照ビヒクル中へ最も大量のリネゾリドを放出した。被覆リネゾリド粒子は、対照ビヒクルに比べて顕著に少ない量のリネゾリドを固体含量50%のビヒクル中へ放出した。上記のように、この最後のビヒクルは固体含量70%のビヒクルよりも顕著に少ない構成時間を有した。さらに、この最後のタイプのビヒクル中へのリネゾリドの短い構成時間及び低い物質輸送は、このビヒクルを、この実施例において試験したビヒクル中に懸濁したマイクロキャップ粒子のような被覆リネゾリド粒子の構成可能な懸濁液において使用するために非常に実用的な処方とする。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、実施例3に記載の、3つの糖(フルクトース、ソルビトール、及びシュークロース)を用いるD-最適統計的設計混合物試験の間に得られたリネゾリド溶解度の結果を示す、二次モデルを用いて作ったグラフである。
【図2】図2は、実施例3に記載の、3つの糖(フルクトース、ソルビトール、及びシュークロース)を用いるD-最適統計的設計混合物試験の間に得られた溶液の水分活性(Aw)の結果を示す、一次モデルを用いて作ったグラフである。
【図3】図3は、実施例3に記載の、3つの糖(フルクトース、ソルビトール、及びシュークロース)を用いるD-最適統計的設計混合物試験の間に得られた溶液のcpsで表した粘度の結果を示す、一次モデルを用いて作ったグラフである。
【図4】図4は、実施例5に記載の、対照及び被験ビヒクル中に懸濁したマイクロカプセル化リネゾリド粒子(「マイクロキャップ」)及びコアセルベート化リネゾリド粒子(「コアセルベート」)からのリネゾリド放出プロフィールを示すグラフである。
【図5】図5は、実施例8に記載の、対照ビヒクル、或いは固体含量50%又は70%のビヒクルのいずれかに懸濁したマイクロキャップからのリネゾリド放出プロフィールを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥製剤であって、以下の:
少なくとも1つの用量の被覆オキサゾリジノン粒子であって、該粒子のそれぞれがコアを含み、該コアがオキサゾリジノン及び該コアの少なくとも一部分を被覆するポリマーフィルムを含む、前記被覆オキサゾリジノン粒子;及び
糖混合物であって、ソルビトール及び少なくとも1つの他の糖を含み、該ソルビトールが1用量の前記被覆オキサゾリジノン粒子あたり非下痢性の量で存在する、前記糖混合物;
を含む、前記乾燥製剤。
【請求項2】
前記オキサゾリジノンが、以下の:リネゾリド、N‐((5S)−3−(3−フルオロ−4−(4−(2−フルオロエチル)−3−オキソピペラジン−1−イル)フェニル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イルメチル)アセタミド、(S)−N−[[3−[5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミド、(S)−N−[[3−[5−(4−ピリジル)ピリド−2−イル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミドハイドロクロライド及びN−[[(5S)−3−[4−(1,1−ジオキシド−4−チオモルホリニル)−3,5−ジフルオロフェニル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチル]アセタミドからなる群から選ばれる、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項3】
前記ポリマーフィルム被覆が、前記各粒子の前記コアの少なくとも80%を被覆している、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項4】
前記ポリマーフィルムが、以下の:ビニルアセテート、ビニルクロライド、ビニルカーボネート、メタクリル酸、ポリメタクリル酸コポリマー、他のポリメチルメタクリレート、エチルセルロース、ニトロセルロース、ビニリデンクロライド−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートから成る群から選ばれる疎水性ポリマーを含む、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項5】
前記被覆オキサゾリジノン粒子が約50μm〜約600μmの平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項6】
前記糖混合物が前記製剤の約40重量%〜約90重量%である、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項7】
前記乾燥製剤中におけるソルビトールの前記少なくとも1つの他の糖に対する重量比が少なくとも約1.3:1である、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項8】
前記少なくとも1つの他の糖がシュークロースを含む、請求項1に記載の乾燥製剤。
【請求項9】
前記糖混合物が約20重量%〜約35重量%のシュークロース、及び約25重量%〜約40重量%のソルビトールを含む、請求項8に記載の乾燥製剤。
【請求項10】
前記少なくとも1つの他の糖がさらにフルクトースを含む、請求項8に記載の乾燥製剤。
【請求項11】
前記糖混合物が、約30重量%〜約40重量%のシュークロース、約30重量%〜約40重量%のソルビトール、及び約5重量%〜約15重量%のフルクトースを含む、請求項10に記載の乾燥製剤。
【請求項12】
水溶液中に懸濁された請求項1に記載の乾燥製剤を含む、懸濁液。
【請求項13】
グラム陽性細菌感染の治療又は予防のための方法であって、以下のステップ:
治療的有効用量の請求項12に記載の懸濁液製剤を対象に経口投与すること;
を含む、前記方法。
【請求項14】
治療又は予防される前記グラム陽性細菌感染が、以下の:スタフィロコッカス(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミジス)、ストレプトコッカス(例えば、ストレプトコッカス・ビリダンス、ストレプトコッカス・ニューモニエ)、エンテロコッカス、バシラス、コリネバクテリウム、クラミジア及びナイセリアからなる群から選ばれる属の細菌によるものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
グラム陽性細菌感染の治療又は予防のための経口製剤の製造における、請求項12に記載の懸濁液製剤の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−522089(P2006−522089A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506396(P2006−506396)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000921
【国際公開番号】WO2004/087108
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(303050964)ファルマシア コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】