説明

被覆冷菓

【課題】喫食時に手指や包装材料への付着性が改善された粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、特に、澱粉、糖類、水分及び油脂からなり冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓を提供する。
【解決手段】澱粉、糖類、水分及び油脂からなる粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、粘弾性組成物における油脂の含有量が0.9重量%乃至4.0重量%である冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓の付着性改善に関するものであり、特に、澱粉、糖類、水分及び油脂からなり冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓の付着性の改善に関する。
【0002】
なお付着性改善とは、例えば、冷菓が、喫食時に該冷菓に接している包装材料から容易に剥離可能な状態となることを指すものであり、更に詳しくは、例えば、冷菓を包装材料から剥離しようとする時にその一部が包装材料上に残存したり、内部冷菓と包装材料の間で大きく引き伸ばされたりすることにより大きく変形して著しく外観を損なったりすることがない状態となることを指すものである。
【0003】
また、ここで包装材料とは、例えば通常の冷菓、和菓子に一般的に用いられている紙製のトレイやカップ、プラスティック製のトレイやカップ等が挙げられる。
【背景技術】
【0004】
冷菓を被覆する粘弾性物として、冷凍下においても喫食が可能な柔らかさを有し、かつ吸湿、水分凍結、乾燥等による劣化が無い素材が求められている。これらの性質を有する素材としては、本出願人等が発明した「被覆冷菓およびその製造方法」(特許文献1参照)や「冷菓およびその製造方法」(特許文献2参照)が知られている。
【0005】
一方、和菓子の葛まんじゅうの物性、色調を模倣し、冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓に関しては、例えば、単糖類、糖アルコールの中から選択した糖類及び澱粉及び水を主成分とし、当該糖類含有量が水に対し100%以上であることを特徴とする澱粉ゲルであれば、冷凍温度域でも透明でかつ柔らかであること(特許文献3参照)や、アイスクリーム類(1)の外周を、少なくともアミロースを20%〜35%含有すると共に凍結しない状態で透明或いは半透明な葛皮(2)で包んだことを特徴とする葛皮で包んだアイスクリーム類であれば、葛皮(2)の生地の伸びがほど好く且つ葛皮(2)が水分で溶けることなくアイスクリーム類(1)を包むことが出来るものとなること(特許文献4参照)や、架橋化工ワキシー澱粉及び/又は架橋化工タピオカ澱粉と、架橋化工馬鈴薯澱粉とを含有し、蒸練されていることを特徴とする不凍結食品素材であれば、冷凍庫から取り出した直後であっても、外皮や積層材が透明性と柔軟性を有しており、外観しても色彩感があり、かつ葛餅様の柔らかな口当たりを有すること(特許文献5参照)が知られている。
【0006】
しかしながら、これら従来の被覆冷菓は、冷凍下で透明性と餅様の食感とを実現するために、固形分、特に糖類固形分が高くなる傾向があり、それにより、従来の常温の葛菓子よりも付着性が高いものであった。それにもかかわらず、上記従来の被覆冷菓は手指や包装材料への付着問題の改善について言及されたものはなかった。
【0007】
ところで、常温、冷凍下を問わず、餅菓子等の付着性改善方法としてコーンスターチ、小麦粉、米粉等の打粉の使用が一般的に最も効果的であることは知られている。しかしながら、打粉を使用した場合、付着性が改善されはするものの、その「見た目」が著しく変化してしまう。特に、透明性という特徴を十分に享受することが不可能になってしまうという問題点があった。また更に、打粉を使用した場合は、風味の劣化、製造工程の煩雑化、打粉自体が手指に付着するといった新たな問題が生じるものであった。
【0008】
打粉以外の付着性改善方法として、粘弾性組成物の表面に離型油を噴霧する方法も一般的に用いられるが、風味の劣化、製造工程の煩雑化、手指への付着性改善物質の付着等、打粉と同様の問題が生じるものであった。
【0009】
打粉以外の付着性改善方法として更に、包装素材にシリコン、テフロン(登録商標)等を塗布する方法も知られているが、コストの点で問題があり一般的ではなかった。
【0010】
更なる付着性改善方法として、油脂を生地中に練り込む方法(特許文献6参照)も知られているが、冷凍下での透明性、付着改善性の考慮されたものではなかった。
【0011】
また更に、澱粉の組成を改良し、付着性を改善する方法(特許文献7参照)も知られているが、この方法も冷凍下での透明性、付着改善性の考慮されたものではなかった。
【0012】
【特許文献1】特公昭59−6624号公報
【特許文献2】特開2002−272382号公報
【特許文献3】特開平7−95855号公報
【特許文献4】特開平10−136897号公報
【特許文献5】特開2001−252022号公報
【特許文献6】特開平2−156866号公報
【特許文献7】特開平3−147747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は以上のような状況を鑑み、従来の技術では得ることが困難であった、喫食時に手指や包装材料への付着性が改善された冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、特に、澱粉、糖類、水分及び油脂からなり冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、被覆冷菓における粘弾性組成物の油脂含量の調整及び油脂の選定により、所望の品質が得られることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、澱粉、糖類、水分及び油脂からなる粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、粘弾性組成物における油脂の含有量が0.9重量%乃至4.0重量%である冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の被覆冷菓であれば、従来の技術では得ることが困難であった、喫食時(被覆冷菓の品温が−15℃の状態)に手指や包装材料への付着性が改善された粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、特に、澱粉、糖類、水分及び油脂からなり冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の被覆冷菓、その特性及びその製造方法等について以下に具体的に述べるが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
【0018】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物は、澱粉、糖類、水分及び油脂からなる。粘弾性組成物中に、特に油脂を存在させることで喫食時(被覆冷菓の品温が−15℃の状態)の付着性が改善されることが、今般見出された。
【0019】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物に使用する澱粉としては、主に馬鈴薯澱粉、ワキシーコーン澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉及びそれら加工品等が挙げられるが、冷凍下での透明性を実現できる澱粉であれば、上記澱粉に限定されるものではない。しかしながら、澱粉として付着性改善に特に好ましいものは馬鈴薯澱粉及び/又はその加工品であり、これら澱粉等を澱粉の主成分とすることで特に好ましい付着性改善がもたらされる。
【0020】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物に使用する糖類としては、砂糖等の二糖類、単糖類、オリゴ糖及びそれ以上の多糖類並びにこれら糖類の糖アルコールが挙げられるが、上記糖類に限定されるものではない。加えて、甘味料として、ステビア、アスパルテーム、スクラロース等の高甘味の人工甘味料を使用し、甘味を強化することも可能である。
【0021】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物の水分量は50重量%以下、好ましくは30重量%乃至50重量%、更に好ましくは35重量%乃至45重量%であると良い。粘弾性組成物の水分量が50重量%より高い場合水分の凍結により透明性が低下するため好ましくない。また、粘弾性組成物の水分量が25重量%より低い場合は、澱粉の影響が強くなり粘弾性組成物が硬化したり、糖類の影響が強くなり粘弾性組成物が粘り、強い甘味を有したりするため好ましくない。
【0022】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物の油脂は、粘弾性組成物における油脂の0℃での固体部が0.15重量%以下、好ましくは0重量%乃至0.05重量%、更に好ましくは0重量%〜0.005重量%となるよう配合されると粘弾性組成物の透明性を阻害せず、付着性が改善され好ましい。好適な油脂の例としては、サフラワー油、大豆油、オリーブ油等の一般的な植物性油脂類、それらの分別油、エステル交換により任意の構成脂肪酸組成をもつ油脂等が挙げられるが、冷凍下での付着性が改善されつつ透明性も維持できる油脂であれば、上記油脂に限定されるものではない。
【0023】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物の油脂は更に、中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)を含有すると良い。なお、MCTとは、その構成脂肪酸が主に炭素数6〜12の脂肪酸よりなるトリグリセライドである。一方、一般的に油脂は、その構成脂肪酸が主に炭素数13以上からなるトリグリセライドであり、これはLCTと呼ばれる。
【0024】
特に作業性向上、保存性向上等を目的として、これら油脂に有機酸モノグリセライド、プロピレングリコールエステル等の脂溶性の乳化剤の添加されたものを用いることも、物性が大きく変化しない程度で可能である。
【0025】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物には、更にコンニャクマンナン、寒天、ジェランガム等の安定剤を透明性を阻害しない範囲で任意に加え、物性を調整することも可能である。
【0026】
本発明の被覆冷菓における粘弾性組成物の作成方法は、澱粉の糊化、油脂類の添加の二つの工程が必要となるが、最終的に油脂を均一に拡散可能であれば、下記のいずれの方法によっても製造することができる。
1)澱粉、糖類、水分を混合し、加熱により澱粉を糊化後、油脂を添加し、均一になるまで攪拌する。
2)澱粉、糖類、水分、油脂を混合し、均一に攪拌しながら、加熱により澱粉を糊化する。
3)澱粉、糖類、水分、一部油脂を混合し、均一に攪拌しながら、加熱により澱粉を糊化後、残りの油脂を添加し、均一になるまで攪拌する。
4)澱粉、糖類、水分を混合し、加熱により澱粉を糊化、加熱中に油脂を投入し、均一になるまで攪拌する。
【0027】
本発明の被覆冷菓における内部冷菓部分としてはアイスクリーム、アイスミルク、氷菓等が用いられると良く、また、あんこ、ジャム等の使用も可能である。すなわち、本発明の被覆冷菓の喫食温度(約−15℃)にて良好に喫食できるものであれば如何なるものでも良い。なお、粘弾性組成物により中心部の冷菓を被覆する方法は、包餡機により全体を均一に覆う方法、粘弾性組成物をシート状にして冷菓を包む等、定法が用いられる。
【0028】
以下、試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、それらによって、本発明の範囲が制限されるものではない。
【試験例1】
【0029】
本試験は、冷菓用粘弾性組成物の油脂含量が、冷菓用粘弾性組成物の透明性、付着性、風味に与える影響を調べるために行なった。
【0030】
1)冷菓用粘弾性組成物の調製
本試験で使用する冷菓用粘弾性組成物を1000g調整した。加工馬鈴薯澱粉100g、砂糖500gに対し、油脂(大豆白絞油、不二製油株式会社製)を総量に対し、0〜4.5重量%の範囲になるように加え、混合後、総量が1000gになるように配合水を入れ、再び混合後、3分毎に攪拌しながら、蒸し器にて30分間蒸し、蒸発分の水分を加水により総量が1000gになるように調整し作成した。
【0031】
2)被覆冷菓の作成
該粘弾性組成物1〜7を縦100mm×横100mm×厚さ4mmのシート状に成形し、10℃に達するまで冷却後、直径40mmの球状に成型されたアイスクリーム(乳脂肪分8.0%、無脂乳固形分8.0%、オーバーラン70%)を包み、冷菓用粘弾性組成物によって被覆された冷菓を作成した。ここにいうオーバーランとは次の式で表わされる数値で気泡の含量を表わす。
【0032】
【数1】

【0033】
該冷菓を−40℃にて1時間急速凍結し、完全硬化した。
3)付着力の測定
【0034】
該冷菓用粘弾性組成物を、直径60mm、高さ40mmのカップに充填後、冷凍下(−40℃)にて保管した。該冷菓用粘弾性組成物を保管庫から取り出し、−8℃にて、1時間温度調整を行った後、該冷菓用粘弾性組成物を被験サンプルとして、インストロン社万能試験機5542を用い、直径15mmステンレス球を50gfの荷重がかかるまで、圧縮速度1mm/秒で下降させた後、1mm/秒で上昇させ、下方向に掛かる荷重の積算値を測定し、付着力とした。加えて、油脂添加による付着力低減率を下記の計算式により計算した。
【0035】
【数2】

【0036】
4)官能検査
該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。直ちに、経験を積んだパネラー10名の官能評価により、付着改善効果、風味、透明性を評価した。
【0037】
付着改善効果は、該冷菓を喫食する時に、付着改善効果(包材、手指からのはがれ易さの感覚、該冷菓の変形度合い)を下記評価基準にて評価し、パネラーの中でのもっとも多い評価を総合評価とした。
【0038】
【表1】

【0039】
風味評価は、パネラーにより該冷菓を試食し、油脂無添加に対しての評価を下記評価基準により評価し、パネラーの中でもっとも多い評価を総合評価とした。
【0040】
【表2】

【0041】
透明性に関しては、恒温庫から取り出した時に、内部冷菓の色調、質感が分かることを基準とし、下記基準にて評価した。
【0042】
【表3】

【0043】
5)試験結果
結果は、[表4]に示した。
【0044】
パネラーの評価結果から、付着力が20%以上低減した場合、油脂を添加しない冷菓用粘弾性組成物に比べ、良好な付着改善効果が確認された。
【0045】
また、パネラーにより冷菓用粘弾性組成物によって被覆された冷菓を試食評価したところ、油脂量が4.0重量%を越えると油脂無添加に比べ、油っこさが目立ち、付着性は改善されるものの、冷菓としておいしさが非常に乏しくなることが確認された。
【0046】
以上、油脂含量が粘弾性組成物の0.9重量%〜4.0重量%で、物性、風味両方で良好な結果を得た。
【0047】
【表4】

【試験例2】
【0048】
本試験は、冷菓用粘弾性組成物の油脂の0℃における固体部含量が、粘弾性組成物の透明性に与える影響を調べるために行なった。
【0049】
1)冷菓用粘弾性組成物の調製、被覆冷菓の製造
試験例2に使用した冷菓用粘弾性組成物の配合は実験例1、サンプル4の配合の大豆白絞油1.5重量%を、0℃で固体である油脂(ココアバター)により0重量%〜0.2重量%置換したものとした(置換量は表5に記載)。試験例1と同様の方法で冷菓用粘弾性組成物により被覆された冷菓を作成した。
【0050】
2)官能評価
該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管し、直ちにこれらの冷菓を恒温庫より取り出し、経験を積んだパネラー10名の官能評価により、透明性を評価した。評価基準は試験例1と同様である。
【0051】
3)試験結果
結果を[表5]に示した。
【0052】
パネラーの評価より、冷菓用粘弾性組成物中の油脂類の0℃における固形部が冷菓用粘弾性組成物中に重量比で0.15%以上配合された場合、透明性が低下し、内部冷菓の色調、質感の認識が困難となり、本来の特性が失われ望ましい品質を得ること不可能であった。
【0053】
【表5】

【試験例3】
【0054】
本試験は、冷菓用粘弾性組成物の油脂の構成脂肪酸組成が、粘弾性組成物の透明性、付着改善効果に与える影響を調べるために行なった。
【0055】
1)冷菓用粘弾性組成物の調製、被覆冷菓の製造
試験例1のサンプル4に配合の大豆白絞油1.5重量%をMCT(脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)又はLCT(炭素数18 88%、炭素数16 12%)に置換し、冷菓用粘弾性組成物で被覆された冷菓を作成した。
【0056】
2)付着力の測定
試験例1と同様の手段を用い付着力を測定した。試験例1で使用した油脂添加量0重量%のサンプルを評価の基準とし、付着力低減率を測定した。
【0057】
3)官能検査
試験例1と同様の手段を用いて、手指への付着改善効果、風味、透明性を評価した。評価基準は試験例1と同等とした。
【0058】
4)試験結果
結果を[表6]に示した。
【0059】
LCTの使用に比べMCTの使用により、より高い付着力改善効果が得られた。
【0060】
【表6】

【0061】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、それらによって、本発明の範囲が制限されるものではない。
【実施例1】
【0062】
加工馬鈴薯澱粉8kg、トレハロース20kg、砂糖10kg、配合水24kg、中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)1.3kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例2】
【0063】
加工馬鈴薯澱粉12kg、トレハロース20kg、砂糖10kg、配合水24kg、中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)0.6kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例3】
【0064】
加工タピオカ澱粉15kg、トレハロース12kg、砂糖8kg、配合水24kg、ユニオール(不二製油株式会社製)2.4kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例4】
【0065】
加工馬鈴薯澱粉15kg、トレハロース12kg、砂糖8kg、配合水24kg、中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 85%、炭素数10 15%)1.3kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例5】
【0066】
加工馬鈴薯澱粉15kg、砂糖26kg、酸糖化水飴(昭和産業株式会社製、DE42)4.8kg、配合水24kg、中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)1.6kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例6】
【0067】
加工馬鈴薯澱粉15kg、トレハロース12kg、砂糖8kg、配合水24kg、中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)0.8kg、酢酸モノグリセライド(理研ビタミン株式会社製)0.03kg、グアーガム(三栄源FFI株式会社製)0.05kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減した上、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。
【実施例7】
【0068】
加工馬鈴薯澱粉8kg、トレハロース20kg、砂糖16kg、配合水24kgを蒸練機に投入し、低速で攪拌しつつ蒸気を導入し、10分間加熱混練を行った。一度、加熱混練を停止し、蒸気供給量を半減し中鎖脂肪酸トリグリセライド(構成脂肪酸組成:炭素数8 75%、炭素数10 25%)1.3kgを投入し、更に10分間加熱混練を行い、冷菓用粘弾性組成物約66kgを得た。業務用の包餡機(レオン自動機株式会社製)を用いて、常法で製造したアイスクリームをこの冷菓用粘弾性組成物で連続的に包餡し、大福餅型に成型したのち紙カップへ移した。該冷菓を−40℃の条件下で2時間冷却硬化して葛まんじゅう様被覆冷菓を得た。完全硬化後、該冷菓を−15℃に調整された恒温庫にて1時間保管した。この被覆冷菓は冷凍下(−15℃)で、粘弾性組成物が透明性を有するため、内部冷菓の色調、質感を視認することが可能であった。また、喫食時(冷菓品温 −15℃)において付着性が改善されており、容易に紙カップから引き剥がすことが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉、糖類、水分及び油脂からなる粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる被覆冷菓であって、粘弾性組成物における油脂の含有量が0.9重量%乃至4.0重量%である冷凍下で透明性を有する粘弾性組成物にて冷菓を被覆してなる付着性の改善された被覆冷菓。
【請求項2】
粘弾性組成物における油脂の0℃での固体部が0.15重量%以下である請求項1記載の冷菓。
【請求項3】
油脂が中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することを特徴とする請求項1記載の冷菓。

【公開番号】特開2008−92820(P2008−92820A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275862(P2006−275862)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】