説明

被覆剤及びそれから製造され、高い引掻強度をエリクセン深さ試験で良好な結果及び良好な耐ストーンチップ性と同時に有する被覆物

本発明は、(A)少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレート及び(B)少なくとも1種の、式(I) −NR−(X−SiR''x(OR’)3−x)(I)の構造単位(I)及び少なくとも1種の、式(II) −N(X−SiR''x(OR’)3−x)n(X’−SiR''y(OR’)3−y)m (II)の構造単位(II)を有する、少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)を含む被覆剤に関し、この被覆剤は、(i)ヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートが、ガラス転移温度10℃未満を有し、(ii)イソシアネート基含有化合物(B)が、各々構造単位(I)及び(II)の全体に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位10モル%超90モル%まで及び少なくとも1種の式(II)の構造単位10〜90モル%未満を有し、かつ(iii)化合物(B)のジイソシアネート基体及び/又はポリイソシアネート基体のイソシアネート基の10〜60モル%が、式(I)及び(II)の構造単位に変換されていることを特徴とする。更に、本発明の目的は、この被覆剤の使用下での多段階被覆法及び自動車生産ライン塗装、自動車表装部品の塗装及び自動車修理塗装のための、クリアコートとしての被覆剤の使用又は被覆法の適用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシル基含有ポリアクリレートポリオール及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートポリオール、及びシラン基含有のイソシアネート基含有化合物(B)を含有する中性溶剤をベースとする熱硬化可能な被覆剤に関する。
【0002】
WO2001/98393に、結合剤成分としてポリオールを、及び架橋結合剤成分としてアルコキシシリルアミン、有利にビスアルコキシシリルアミンで低い割合で官能化されているポリイソシアネートを含有する2K被覆剤が記載されている。この被覆剤は、殊にプライマーとして使用され、金属性の支持体、有利にアルミニウム支持体上への接着に最適である。得られる被覆物の、エリクセン深さ試験での良好な結果及び良好な耐ストーンチップ性と同時に高い引掻強度に関しては、この被覆剤は最適ではなく、また、これらの特性が取得被覆物に如何にして引き起こされるかという記載もない。
【0003】
US−A−2006/217472は、ヒドロキシル基含有ポリアクリレートポリオール及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタアクリレートポリオール、低分子のポリオール成分、ポリイソシアネート及びアミノ官能性アルコキシシリル成分、有利にビスアルコキシシリルアミンを含有する被覆剤を記載している。
【0004】
このように記載された系は、確かに引掻強い特性を有するが、高められた割合のビスアルコキシシランアミンの使用は、大抵は耐候性に弱い系を生じさせる。更に、記載されたアクリレートは、比較的高いスチロール含量及び高い割合のメタアクリレートを有し、このことはエリクセン深さにおける低い値に現われると考えられる。
【0005】
EP−1273640に、ポリオール成分及び、イソシアネート基の一部分とビスアルコキシシリルアミンとが反応しているポリイソシアネートから成る架橋結合剤成分から成る2K被覆剤が記載されている。この明細書によると、2個超のヒドロキシル基を有する全てのポリオールが適する。ポリエステルポリオール、ポリカルボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びウレタン基含有及びエステル基含有のポリオールの他に、ポリアクリレートポリオール又はポリメタクリレートポリオールを使用することもできる。しかし選択された結合剤が取得被覆物の特性に如何なる影響を有するかという記載は、この明細書には欠如している。
【0006】
この被覆剤は、自動車生産ライン塗装に使用され、良好な環境影響に対する耐性と同時に良好な引掻耐性を有し得る。しかし、得られる被覆物のエリクセン深さが低くなればなるほど、得られる被覆物の引掻耐性はより良好になる。しかし、良好な引掻耐性を有し、しかし同時に少なくとも十分なエリクセン深さを有しかつ耐ストーンチップ性が著しく悪化しない被覆物が如何にして得られ得るかという記載は、いわゆる長時間引掻耐性、要するに、反復引掻負荷での引掻耐性に関する記載と同様に、この明細書には欠如している。
【0007】
WO08/74491、WO08/74490及びWO08/74489から、ポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、有利にヒドロキシル基含有ポリアクリレートポリオール及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートポリオール、及びイソシアネート基の一部分がモノアルコキシシリルアミン及びビスアルコキシシリルアミンを含む混合物と反応しているポリイソシアネートを含有する2K被覆剤が公知である。これらの被覆剤は、良好な引掻耐性も、良好な耐候性も有する。勿論、極めて高い引掻耐性の達成のために、被覆剤の比較的高いシラン含量が必要である。従って、比較的少ないシラン含量でも極めて高い引掻耐性を達成すること、又は同じままのシラン含量で引掻強度を更に改善することが所望に値する。しかしその際、被覆物の他の特性、殊に良好な耐ストーンチップ性及びエリクセン深さは、悪化される又は実際には悪化されるべきではない。
【0008】
まだ公開されていない特許出願DE102007061855.9−43から、少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物(A)、少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)及び少なくとも1種の燐含有触媒を含有する被覆剤が同様に公知であり、この際、被覆剤の1種以上の成分、有利にイソシアネート基含有化合物は、加水分解可能なシラン基を、各々ヒドロキシル基、イソシアネート基及び加水分解可能なシラン基からの合計に対して、2.5〜97.5モル%の量で有する。この被覆剤は、発明的に重要な成分として、少なくとも1種の二環状アミンを、更なる触媒として含有する。ヒドロキシル基含有化合物として、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、有利にヒドロキシル基含有ポリアクリレートポリオール及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートポリオールが使用される。しかし、如何にして結合剤の好適な選択によって被覆剤の引掻強度が更に改善され得るかの記載は、この明細書には欠如している。
【0009】
まだ公開されていない特許出願、DE102008060454.2−43は、少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物、加水分解可能なシラン基を有する少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物及び少なくとも1種の燐含有触媒を含有する被覆剤を記載している。この際、可視的印象の改善のために、ヒドロキシル基含有化合物として、特殊なポリエステルを使用することが発明的に重要である。
【0010】
更に、EP−B−692007から、結合剤として、4−ヒドロキシ−ブチルアクリレート又は4−ヒドロキシ−ブチル−メタクリレートをベースとするヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び架橋結合剤としてポリイソシアネートを含有する被覆剤が公知である。得られる被覆剤は、それまで使用されてきた被覆剤に比べて、改善された引掻強度及び良好な耐酸性を有する。しかし、シラン化ポリイソシアネートの使用は記載されていない。しかし、選択された結合剤のガラス転移温度が、得られる被覆剤の特性へ如何なる影響を有するかの記載は、更に改善された引掻強度を同時に良好なエリクセン深さ及び良好な耐ストーンチップ性で有する被覆物が如何にして得られ得るかと同様に、この明細書には欠如している。
【0011】
最後に、WO07/016234から、良好な引掻強度及び良好な耐ストーンチップ性を同時に有する被覆剤、殊にクリアコートが公知である。このことは、相応する多層被覆物が、シングル−スクラッチ(Single-scratch)測定で、少なくとも26mNの亀裂力及び少なくとも30mN/μmの塑性変形耐性を有することによって達成される。そこで使用される被覆剤は、シラン変性化ポリアクリレートコポリマー、超分枝鎖ポリエステル及びポリイソシアネート及びアミノプラスト樹脂を架橋結合剤として含有する。しかしそこで、架橋結合剤としてアルコキシシリルアミンで変性化されたポリイソシアネートを含有する被覆剤は、得られる被覆物のエリクセン深さの影響についての記載と同様に、殆ど記載されていない。
【0012】
課題
本発明の課題は、極めて良好な引掻強度を、しかも長時間引掻強度で(即ち、反復引掻負荷後も)、同時にエリクセン深さ試験での良好な結果及び同時に良好な耐ストーンチップ性を有する被覆物を生じさせる、殊に、自動車生産ライン塗装及び自動車修理塗装におけるクリアコート層のための被覆剤を製造することであった。この被覆物は、殊に、残留光沢(20°測定角)が、いわゆるクロックメーターテスト(Crockmeter-Test)により、少なくとも40%、有利に少なくとも50%であるほど高い引掻強度を有し、しかし同時に7.0mm超(少なくとも6回の測定からの平均値)の良好なエリクセン深さ及び良好な耐ストーンチップ性も達成すべきである。更に、被覆物、特にクリア塗装は、40μm超の層厚でも、応力亀裂が出現することなく製造されるべきである。
【0013】
更に、被覆剤は、自動車生産ライン塗装及び自動車修理塗装でのクリアコート層に通例設定される要求を満たすべきである。最後に、新規の被覆剤は、簡単で極めて良好に再現可能で製造され得るべきであり、かつそのコートを適用する間に生態学的問題を生じさせるべきではない。
【0014】
課題の解決策
前記の課題状況に照らして、
(A)少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレート及び
(B)少なくとも1種の、式(I):
【化1】

の構造単位(I)及び少なくとも1種の、式(II):
【化2】

の構造単位(II)を有する、少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)
[式中、
R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR’=エチル及び/又はメチル、
X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基、有利にX、X’=1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、
R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR''=殊に1〜6個のC原子を有するアルキル基、
n=0〜2、
m=0〜2、
m+n=2、及び
x、y=0〜2である]を含有する被覆剤が判明され、この被覆剤は、
(i)ヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートがガラス転移温度10℃未満を有し、
(ii)イソシアネート基含有化合物(B)が、各々構造単位(I)及び(II)の全体に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位10モル%超90モル%まで、有利に20〜80モル%及び少なくとも1種の式(II)の構造単位10〜90モル%未満、有利に20〜80モル%を有し、かつ
(iii)化合物(B)のジイソシアネート基体及び/又はポリイソシアネート基体のイソシアネート基の10〜60モル%が、式(I)及び(II)の構造単位に変換されていることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の課題は、この被覆剤を使用した多段階の被覆法及びクリアコートとしての被覆剤の使用又は自動車生産ライン塗装、自動車表装部品の塗装及び自動車修理塗装のための被覆法の適用である。
【0016】
公知技術水準に鑑みて、本発明の基礎にある課題が本発明による被覆剤により解明され得ることは驚異的であり、かつ当業者には予見不可能であった。
【0017】
即ち、殊に、本発明による被覆剤が、極めて良好な引掻強度を、しかも長時間引掻強度でも、エリクセン深さ試験での良好な結果及び良好な耐ストーンチップ性と同時に有する被覆物を生じさせることは驚異的である。殊に被覆物は、残留光沢(20°測定角)が、いわゆるクロックメーターテストにより、少なくとも40%、有利に少なくとも50%であるほど高い引掻強度を有し、しかし同時に7.0mm超(少なくとも6回の測定からの平均値)の良好なエリクセン深さ値及び良好な耐ストーンチップ性も達成される。
【0018】
同時に本発明による被覆剤は、新規の被覆物及び塗装、特に、応力亀裂が出現することなく、40μm超の層厚でも製造され得るクリア塗装を生み出す。従って、本発明による被覆物及び塗装、殊にクリア塗装は、技術的及び美学的に特に要求の多い自動車生産ライン塗装(OEM)分野で使用され得る。
【0019】
最後に、本発明による被覆剤は、特に簡単にかつ極めて良好に再現可能で製造され得て、かつコートの適用の際に、著しい毒物学的かつ生態学的問題を起こさない。
【0020】
本発明の説明
本発明による被覆剤
ヒドロキシル基含有化合物(A)
被覆剤が、成分(A)として、ガラス転移温度Tg10℃未満を有する、少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレートを含有することが本発明で重要である。成分(A)として使用されるヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又は成分(A)として使用されるヒドロキシル基含有ポリメタクリレートは、有利にガラス転移温度−60℃〜5℃、特に有利に−30℃〜<0℃を有する。
【0021】
ガラス転移温度は、DIN-EN-ISO 11357-2により、DSC測定によって測定される。
【0022】
ガラス転移温度は、当業者によって先ず理論的に、次に挙げたFox方程式(III)により査定されるが、その後に前記のように実験的に測定すべきである:
【数1】

[式中、
=ポリアクリレート又はポリメタクリレートのガラス転移温度、
x=異なった加入重合モノマーの数、
=第nモノマーの質量割合、
gn=第nモノマーからのホモポリマーのガラス転移温度]。
【0023】
各々、同じシラン含量及び構造単位(I)及び(II)の同じ比率を有する同じ硬化剤割合の前提下に、ガラス転移温度10℃未満を有するヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートの使用によって、得られる被覆物の引掻強度は、同じOH数を有するが、より高いガラス転移温度Tg>10℃を有する相応するポリ((メタ)アクリレートの使用に比較して、著しく改善され得ることは驚異的である。同様に、同時にエリクセン深さ値が著しく改善され得ることも驚異的である。更に、相応して、ガラス転移温度10℃未満を有するポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)の使用によって(ガラス転移温度10℃超を有するポリ(メタ)アクリレートポリオールをベースとする被覆剤に比較して)、同様に良好な引掻強度が、より低いシラン含量によって得られることが可能であり、このことは経済的観点下でも好ましく、それというのも、アミノシラン成分がこの種類のコート系における最も経費的に厳しい構成要素であるからである。
【0024】
本発明により成分(A)として使用されるポリアクリレートポリオール及び/又はポリメタクリレートポリオール(次から、ポリ(メタ)アクリレートポリオールと略称される)は、通例、共重合体である。成分(A)として、有利に、
(a)アクリル酸のヒドロキシル基含有エステル又はこのモノマーの混合物10〜80質量%、有利に20〜50質量%、
(b)(a)と異なったメタクリル酸のヒドロキシル基含有エステル又はそのようなモノマーを含む混合物0〜30質量%、有利に0〜15質量%、
(c)(a)及び(b)と異なった、アルコール基中に少なくとも4個の炭素原子を有する(メタ)アクリル酸の脂肪族又は環状脂肪族エステル又はそのようなモノマーを含む混合物5〜90質量%、有利に20〜70質量%、
(d)エチレン系不飽和カルボン酸又はエチレン系不飽和カルボン酸を含む混合物0〜5質量%、有利に0.5〜3.5質量%、
(e)ビニル芳香族体又はそのようなモノマーを含む混合物0〜50質量%、有利に0〜20質量%及び
(f)(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)と異なったエチレン系不飽和モノマー又はそのようなモノマーを含む混合物0〜50質量%、有利に0〜35質量%(この際、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)の質量割合の合計は、常に100質量%である)
を共重合させることによって得られる(メタ)アクリレート共重合体が使用される。
【0025】
アクリル酸のヒドロキシル基含有エステル(a)として、有利に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレート及びそのようなモノマーを含む混合物が使用される。
【0026】
メタクリル酸のヒドロキシル基含有エステル(b)として、有利に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリレート及びそのようなモノマーを含む混合物が使用される。
【0027】
他のモノマー構成要素(c)として、ポリ(メタ)アクリレートポリオールについては、有利にアルキル基中に少なくとも4個のC原子を有するアルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート、例えば、有利にブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート又はラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート及び/又はシクロアルキルメタクリレート、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートが使用される。モノマー(c)として、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート及びエチルヘキシルメタクリレートが有利に使用される。
【0028】
成分(e)として、殊にスチロールが使用され、かつ成分(d)として、殊にアクリル酸が使用される。成分(f)として、殊に、他のエチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステル及びヒドロキシアルキルエステルが使用される。
【0029】
本発明により使用されるポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)は、有利に、各々ポリスチロール標準に対してゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される、質量平均分子量Mw1000〜20000ダルトン、殊に1500〜10000ダルトンを有する。
【0030】
ポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)は、KOH60〜300mg/g、殊にKOH100〜250mg/g、極めて特に有利にKOH150〜200mg/gのOH数を有する。ヒドロキシル数(OH数)は、水酸化カリウム何mgが、アセチル化の際に物質1gによって結合される酢酸量に当量であるかを示す。試料を測定の際に無水酢酸−ピリジンと煮沸し、生じる酸を水酸化カリウム溶液で滴定する(DIN 53240-2)。
【0031】
ポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)は、酸価KOH0〜30mg/gを有利に有する。この際、酸価は、成分(b)の各化合物1gの中和のために消費される水酸化カリウムのmg数を示す(DIN EN ISO 2114)。
【0032】
イソシアネート基含有化合物(B)
本発明による被覆剤は、成分(B)として、遊離、即ち非ブロック化及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する1種以上の化合物を含有する。本発明による被覆剤は、遊離イソシアネート基を有する化合物(B)を有利に含有する。しかし、イソシアネート基含有化合物Bの遊離イソシアネート基は、ブロック化された形で使用されることもできる。このことは、本発明による被覆剤が単一成分系として使用される場合に有利である。
【0033】
本発明により有利に使用されるイソシアネート基含有化合物(B)の基体として用いられるジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートは、自体公知の置換又は非置換の芳香族、脂肪族、環状脂肪族及び/又は複素環ポリイソシアネートである。有利なポリイソシアネートの例は次のものである:2,4−トルオールジイソシアネート、2,6−トルオールジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサヒドロトルオール−2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルオール−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ペルヒドロジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(例えば、Fa. Bayer AGのDesmodur(登録商標)W)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(例えば、Fa. American CyanamidのTMXDI(登録商標))及び前記のポリイソシアネートの混合物。更に有利なポリイソシアネートは、前記のジイソシアネートのビゥレット二量体及びイソシアヌレート三量体である。
【0034】
特に有利なジイソシアネート基体及びポリイソシアネート基体は、ガラス転移温度0℃以下、有利にガラス転移温度−100℃〜−20℃を有するジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートである。この際、ガラス転移温度は、DIN-EN-ISO 11357-2により、DSC測定によって測定される。極めて特に有利なジイソシアネート基体及びポリイソシアネート基体は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及び/又はそのイソシアヌレート三量体及び/又はアロファネート二量体である。
【0035】
本発明のもう1つの実施態様で、ポリイソシアネートは、ポリオールと化学量論的過剰量の前記のポリイソシアネートとの反応によって得られるウレタン構造単位を有するポリイソシアネートプレ重合体である。そのようなポリイソシアネートプレポリマーは、例えば、US−A−4598131に記載されている。
【0036】
成分(B)として使用されるイソシアネート基含有化合物は、少なくとも1種の、式(I):
【化3】

の構造単位(I)及び少なくとも1種の、式(II):
【化4】

の構造単位(II)
[式中、
R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR’=エチル及び/又はメチル、
X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基、有利にX、X’=1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、
R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR''=殊に1〜6個のC原子を有するアルキル基、
n=0〜2、
m=0〜2、
m+n=2、及び
x、y=0〜2である]を有する。
【0037】
各々有利なアルコキシ基(OR’)は同じ又は異なっていてよいが、それが加水分解可能なシラン基の反応性にどの程度影響するかは、基の構造にとって決定的である。R’は、殊に1〜6個のC原子を有するアルキル基であることが有利である。シラン基の反応性を高める、即ち良好な離脱基である基R’が特に有利である。その限りでは、メトキシ基はエトキシ基に比べて有利であり、かつこれは再びプロポキシ基に比べて有利である。従って、R’=エチル及び/又はメチルが特に有利であり、殊にメチルが有利である。
【0038】
更に、有機官能性シランの反応性は、シラン官能基と変性成分との反応に用いられる有機官能基との間のスペーサーX、X’の長さによっても著しく影響され得る。その例として、"アルファ"シランが挙げられ、これは、Firma Wackerで得られ、その際、メチレン基が、"ガンマ"シランに存在するプロピレン基の代わりに、Si原子と官能基との間に存在する。
【0039】
本発明により使用される、構造単位(I)及び(II)で官能化されるイソシアネート基含有化合物(B)は、特に有利に、前記のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種の、式(Ia):
【化5】

の化合物及び少なくとも1種の、式(IIa):
【化6】

[式中、置換基は前記の意味を有する]の化合物との反応によって得られる。
【0040】
本発明により有利な化合物(IIa)は、ビス(2−エチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミン、ビス(4−ブチルメトキシシリル)アミン、ビス(2−エチルトリエトキシシリル)アミン、ビス(3−プロピルトリエトキシシリル)アミン及び/又はビス(4−ブチルトリエトキシシリル)アミンである。ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、商品名Fa. DEGUSSAのDYNASYLAN(登録商標)又はFa. OSIのSilquest(登録商標)で得られる。
【0041】
本発明により有利な化合物(Ia)は、アミノアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、有利に2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシランである。特に有利な化合物(Ia)は、N−(2−(トリメトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、N−(4−(トリメトキシシリル)ブチル)アルキルアミン、N−(2−(トリエトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アルキルアミン及び/又はN−(4−(トリエトキシシリル)ブチル)アルキルアミンである。N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンが極めて特に有利である。そのようなアミノシランは、例えば、商品名Fa. DEGUSSAのDYNASYLAN(登録商標)又は商品名Fa. OSIのSilquest(登録商標)で得られる。
【0042】
極めて特に有利なイソシアネート基含有化合物(B)は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及び/又はそのイソシアヌレート三量体及び/又はそのアロファネート二量体と、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミン及びN−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンとの反応生成物である。
【0043】
本発明により使用されるポリイソシアネート硬化剤(B)の固体含量は、少なくとも50質量%、有利に少なくとも70質量%であることが好ましい。
【0044】
イソシアネート基含有化合物(B)は、各々構造単位(I)及び(II)の全体に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位(I)10モル%超90モル%まで、有利に20〜80モル%、特に有利に30〜70モル%、及び少なくとも1種の式(II)の構造単位(II)10〜90モル%未満、有利に20〜80モル%、特に有利に30〜70モル%を有することが本発明により重要である。
【0045】
ところで驚異的にも、殊に式(I)の構造単位(I)対式(II)の構造単位(II)の比率が、得られる被覆物のエリクセン深さの結果に、極めて決定的な影響を有することが判明した。この際、得られる被覆物のエリクセン深さは、一般に、モノシラン構造単位(I)の割合が上昇するとともに、及びビスシラン構造単位(II)の割合が減少するとともに増加する。この際、この構造単位(I)/(II)比率のエリクセン深さへの影響は、一般に、構造単位(I)及び(II)に変換されているポリイソシアネート基体のイソシアネートの割合が高くなればなるほど一層大きくなる。即ち、この構造単位(I)と構造単位(II)との比率のエリクセン深さへの影響は、シラン化度が高くなればなるほど、要するに、被覆剤の全固体に対して、構造単位(I)+(II)に変換されたイソシアネート基の割合が高くなればなるほど、一層大きくなる。この影響は、当然、被覆剤の残りのパラメーター、例えば、成分(A)のガラス転移温度及び単一成分の量割合が各々一定である場合だけに当てはまる。
【0046】
この際、エリクセン深さの改善と同時に、モノ構造単位(I)の割合が上昇し、かつビスシラン構造単位(II)の割合が減少することによって、当然、シラン化度が低くすぎることもなく高すぎることもなく、要するに、被覆剤の全固体に対して、構造単位(I)+(II)に変換されるイソシアネート基の割合が低くすぎることもなく高すぎることもない限り、得られる被覆物の引掻強度及び得られる被覆物の耐ストーンチップ性が極めてほんの僅かしか悪化しないことは、極めて特に驚異的で、かつ更に極めて有利である。
【0047】
この際、一般に、シラン化度が上昇すると、得られる被覆物の引掻強度は同時に増加する、即ち、被覆剤の全固体に対して、構造単位(I)及び(II)に変換するイソシアネートの割合が高くなればなるほど、引掻強度は一層高くなる。しかし驚異的にも本発明により、ガラス転移温度10℃未満を有するヒドロキシル基含有ポリ(メタ)アクリレートの使用によって、まさに構造単位(I)及び(II)の比較的低い割合、要するに、比較的低いシラン化度であっても、高い引掻強度を達成することができる。これによって、本発明により、高い引掻強度及び同時に高いエリクセン深さ値及び良好な耐ストーンチップ性を有する被覆物を生じさせる被覆剤を得ることができる。
【0048】
従って、化合物(B)のポリイソシアネート基体のイソシアネート基の10〜60モル%、有利に20〜40モル%が、式(I)及び(II)の構造単位に変換されていることが本発明により同様に重要である。この際、構造単位(I)対構造単位(II)の比率が一定に留まり、かつ被覆剤の他の全特性値、例えば、成分(A)のOH数及びガラス転移温度も一定に留まる場合に、得られる被覆物のエリクセン深さは、一般に、構造単位(I)及び(II)に変換されているイソシアネート基の割合が減少するとともに増加する。更に、構造単位(I)及び(II)に変換されるイソシアネート基の割合が比較的高く、しかし、それに対して構造単位(I)の割合が極めて高く、かつ構造単位(II)の割合が極めて低く、かつ有利に同時に成分(A)のガラス転移温度ができるだけ低い場合に、得られる被覆物の高いエリクセン深さ値も得られる。
【0049】
各々被覆剤の固体含量に対して、Si1.5質量%〜6.0質量%の算出された珪素含量、有利にSi2.0質量%〜5.0質量%の算出された珪素含量を有する本発明による被覆剤が特に有利である。この挙げられた算出された珪素含量は、熱重量分析で予測された珪素含量(質量%)に相応し、かつ使用原料から、珪素に結合される全有機基を控除し、珪素での酸素原子を半分だけ考慮することによって計算される。例えば、各Si(OR)3基は、珪素割合の計算では、SiO1.5で考慮される。このことは、珪素に異なった離脱基ORが付与されているコート系の比較可能性に寄与する。要するに、殊にメトキシ基及びエトキシ基は、算出された珪素割合を変えない。従って、このことは、これらの基ORの大部分が、硬化コート膜中にもはや含有されていないことを考慮する。
【0050】
本発明により使用されるポリイソシアネート硬化剤は、少なくとも1種の脱水剤、例えば、イソシアネートよりも高い水に対する反応性を有する反応性シランを含有することが有利である。脱水剤として、殊にオルト蟻酸トリアルキルエステルを使用することが有利である。脱水剤として、トリエチルオルトホルミエートを使用することが特に有利である。被覆剤の非揮発性成分の全含量に対して、少なくとも1種の脱水剤0.01質量%〜10質量%、有利に0.03〜5.0質量%を添加することが有利である。
【0051】
イソシアネート基含有化合物(B)と化合物(Ia)及び(IIa)との反応は、不活性ガス雰囲気中、最高100℃、有利に最高60℃の温度で行われることが有利である。イソシアネート基含有化合物(B)と化合物(Ia)及び(IIa)との反応は、溶剤又は溶剤混合物中で、少なくとも1種の脱水剤が存在して、及び少なくとも1種のアミンが存在して、有利に少なくとも1種の三級アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミン、殊にトリエチルアミンが存在して行なわれることが有利である。
【0052】
合成の間に、反応混合物の非揮発性成分の全含量に対して、少なくとも1種の脱水剤、有利にトリエチルオルトホルミエート少なくとも1質量%、有利に少なくとも2質量%、特に有利に少なくとも3質量%及び極めて特に有利に少なくとも4質量%を添加することが有利である。
【0053】
アミンは、合成の間に、反応混合物の非揮発性成分の全含量に対して、2〜6質量%の量で使用されることが有利である。トリエチルアミンが、合成の間に、反応混合物の非揮発性成分の全含量に対して、1.5〜3.5質量%の量で使用されることが特に有利である。
【0054】
ポリイソシアネート硬化剤がその中で製造される溶剤又は溶剤混合物は、芳香族炭化水素、例えば、1,2,4−トリメチルベンゾール、メシチレン、キシロール、プロピルベンゾール及びイソプロピルベンゾールから成ってよい。芳香族炭化水素からの好適な溶剤混合物の1例は、ソルベントナフサである。ポリイソシアネート硬化剤がその中で製造される溶剤は、脂肪族炭化水素、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン、エステル、例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ペンチルアセテート又はエチルエトキシプロピオネート、エーテル又は前記の溶剤を含む混合物から成ってもよく、この際、高い割合のブチルアセテート、殊に、溶剤混合物の全質量に対して、ブチルアセテート少なくとも60質量%を有する溶剤混合物が有利である。溶剤混合物は、特に有利にブチルアセテート少なくとも80質量%、殊にブチルアセテート95質量%を含有する。純粋なブチルアセテート中で操作することが極めて特に有利である。
【0055】
択一的に、第一段階で、1分子当たり平均して最高1個のポリイソシアネート、殊にジイソシアネートのイソシアネート基を、化合物(Ia)及び(IIa)と反応させ、かつ第二段階で、得られる中間生成物を、二量体化、三量体化、ウレタン生成、ビゥレット生成又はアロファネート生成によって、ポリイソシアネートに変換させることによっても、ポリイソシアネート硬化剤は有利に製造され得る。
【0056】
イソシアネート基含有化合物(B)の遊離イソシアネート基は、ブロック化された形でも使用され得る。このことは、本発明による被覆剤が単一成分系として使用される場合に有利である。ブロック化のために、原則的に、各々ポリイソシアネートのブロック化のために使用可能な、十分に低い脱ブロック化温度を有するブロック化剤を使用することができる。この種類のブロック化剤は当業者に周知である。例えば、EP−A−0626888及びEP−A−0692007に記載されているブロック化剤を使用することが有利である。
【0057】
成分(A)及び(B)及び被覆剤の他の成分の組合せ
ポリオール(A)及びポリイソシアネートの質量割合は、イソシアネート基含有化合物(B)の未反応イソシアネート基対ヒドロキシル基含有化合物(A)のヒドロキシル基のモル当量比が、0.9:1〜1:1.1、有利に0.95:1〜1.05:1、特に有利に0.98:1〜1.02:1であるように選択されることが有利である。
【0058】
各々被覆剤の固体含量に対して、少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート(A)及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレート(A)20〜80質量%、有利に30〜70質量%を含有する、本発明による被覆剤を使用することが有利である。
【0059】
各々被覆剤の固体含量に対して、少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物(B)20〜80質量%、有利に30〜70質量%を含有する、本発明による被覆剤を使用することが有利である。
【0060】
単一成分の被覆剤が重要である場合には、その遊離イソシアネート基が前記のブロック化剤でブロック化されているイソシアネート基含有化合物(B)が選択される。
【0061】
本発明により有利な2成分(2K)被覆剤では、被覆剤の適用直前に、ヒドロキシル基含有化合物(A)及び更なる後記の成分を含有するコート成分を、イソシアネート基含有化合物(B)及び場合により更なる後記の成分を含有するもう1種のコート成分と、自体公知の方法で混合させ、この際、通例、化合物(A)を含有するコート成分は、触媒及び溶剤の一部を含有する。
【0062】
本発明による被覆剤は、場合により、ヒドロキシル基含有成分(A)のほかに更に、成分(A)と異なった1種以上のヒドロキシル基含有化合物(C)を含有することができる。この結合剤(C)は、ポリオール成分(A)+(C)の非揮発性成分に対して、有利に10〜50質量%、特に有利に20〜40質量%の割合を有する。
【0063】
ヒドロキシル基含有化合物(C)として、低分子ポリオールもオリゴマー及び/又はポリマーのポリオールも使用される。
【0064】
低分子ポリオールとして、例えば、ジオール、例えば、有利にエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,2−シクロヘキサンジメタノール、及びポリオール、例えば、有利にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールが使用される。
【0065】
そのような低分子ポリオールは、ポリオール成分(A)の下位割合で添加混合される。
【0066】
オリゴマー及び/又はポリマーのポリオール(C)として、例えば、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール及び有利に成分(A)と異なったポリアクリレートポリオール及び/又はポリメタクリレートポリオールが使用され、この際、成分(C)として、ガラス転移温度少なくとも10℃、殊に20〜80℃を有するポリアクリレートポリオール及び/又はポリメタクリレートポリオールを使用することが極めて特に有利である。この場合も、ガラス転移温度は、成分(A)のガラス転移温度の測定と同様に実験的に測定される。
【0067】
触媒(D)
本発明による被覆剤は、シラン基の架橋結合のための、有利に少なくとも1種の触媒(D)を含有する。例は、亜鉛又はアルミニウムをベースとするキレート配位子を有する金属錯体、例えば、WO05/03340に記載されているチタネート又はリュイス酸であり、しかしこの際、触媒の選択の際に、触媒が被覆剤の黄色化を生じさせないことに注意すべきである。更に、周知のように使用される若干の触媒は、毒物学的理由からあまり所望されない。
【0068】
従って、触媒(D)として、燐含有の、殊に燐含有及び窒素含有の触媒を使用することが有利である。この際、2種以上の異なった触媒(D)を含む混合物を使用することもできる。
【0069】
好適な燐含有触媒(D)の例は、有利に、非環状燐酸ジエステル、環状燐酸ジエステル、非環状ジホスホン酸ジエステル及び環状ジホスホン酸ジエステルを含む群からの置換された燐酸ジエステル及びジホスホン酸ジエステルである。この種類の触媒は、例えば、ドイツ国特許出願DE−A−102005045228に記載されている。
【0070】
しかし殊に、有利に非環状燐酸ジエステル及び環状燐酸ジエステル、特に有利に燐酸モノジエステル及び燐酸ジエステルのアミン付加体を含む群からの置換された燐酸モノエステル及び燐酸ジエステルが使用される。この際、非環状燐酸ジエステル(D)は、殊に、一般式(IV):
【化7】

の非環状燐酸ジエステル(D)を含む群から選択され、この際、基R10及びR11は、次のもの:
1〜20、有利に2〜16及び殊に2〜10個の炭素原子を有する置換及び非置換のアルキル基、3〜20、有利に3〜16及び殊に3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基及び5〜20、有利に6〜14及び殊に6〜10個の炭素原子を有するアリール基、
置換及び非置換のアルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールシクロアルキル基、シクロアルキルアリール基、アルキルシクロアルキルアリール基、アルキルアリールシクロアルキル基、アリールシクロアルキルアルキル基、アリールアルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキルアリール基及びシクロアルキルアリールアルキル基(この際、ここに含まれるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、各々前記の炭素原子数を含有する)及び
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子及び珪素原子、殊に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子を含む群から選択される、少なくとも1個の、殊に1個のヘテロ原子を含有する、前記の種類の置換及び非置換の基
を含む群から選択され、かつ付加的に水素であってもよい(部分エステル化)。
【0071】
触媒(D)として、極めて特に有利に相応するアミンブロック化の燐酸エステルが使用され、かつこの際、殊にアミンブロック化の燐酸エチルヘキシルエステル及びアミンブロック化の燐酸フェニルエステル、極めて特に有利にアミンブロック化の燐酸−ビス(2−エチルヘキシル)エステルが使用される。
【0072】
燐酸エステルがそれでブロック化されるアミンの例として、殊に三級アミン、例えば、二環状アミン、例えば、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジメチルドデシルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。燐酸エステルのブロック化のために、140℃の硬化条件で触媒の良好な有効性を保証する三級アミンを使用することが特に有利である。アミンでブロック化された一定の燐酸触媒は、同様に市販で得られる(例えば、Fa. King IndustriesのNacure型)。例として、商品名Firma King IndustriesのNacure 4167が、アミンブロック化の燐酸部分エステルをベースとする特に好適な触媒として挙げられる。
【0073】
触媒は、本発明による被覆剤の非揮発性成分に対して、有利に0.01〜20質量%の割合で、特に有利に0.1〜10質量%の割合で使用される。この際、触媒のより少ない有効性は、相応してより高い使用量によって部分的に補償され得る。
【0074】
本発明による被覆剤は、更にもう1種の、二環状アミン、殊に不飽和二環状アミンをベースとするアミン触媒を含有することができる。好適なアミン触媒の例は、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンである。
【0075】
このアミン触媒は、本発明による被覆剤の非揮発性成分に対して、有利に0.01〜20質量%、特に有利に0.1〜10質量%の割合で使用される。
【0076】
本発明による被覆剤の溶剤として、被覆剤中で化合物(A)、(B)及び場合により(C)に対して化学的に不活性であり、かつ被覆剤の硬化の際も(A)及び(B)と反応しない溶剤が殊に好適である。そのような溶剤の例は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えば、トルオール、キシロール、ソルベントナフサ、Solvesso 100又はHydrosol(登録商標)(Fa. ARAL)、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン、エステル、例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ペンチルアセテート又はエチルエトキシプロピオネート、エーテル又は前記の溶剤を含む混合物である。中性溶剤又は溶剤混合物は、溶剤に対して、有利に最高1質量%、特に有利に最高0.5質量%の水含量を有する。
【0077】
化合物(A)、(B)及び場合により(C)のほかに更に、有利にポリ(メタ)アクリレート(A)のヒドロキシル基と、及び/又は化合物(B)の遊離イソシアネート基と、及び/又は化合物(B)及び/又は(C)のアルコキシシリル基と反応しかつ架橋結合点を形成し得る、更なる結合剤(E)を使用することができる。
【0078】
成分(E)として、例えば、アミノプラスト樹脂及び/又はエポキシド樹脂が使用可能である。そのメチロール基及び/又はメトキシメチル基が、部分的にカルバメート基又はアロファネート基によって脱官能化されていてよい、常用で公知のアミノプラスト樹脂が重要である。この種類の架橋結合剤は、特許明細書US−A−4710542及びEP−B−0245700及びB. Singh及び共同研究者による論説"Carbamylmethylated Melamines, Novel Crosslinkers for the Coatings Industry"in Advanced Organic Coatings Science and Technology Series, 1991, Band 13, 193〜207頁に記載されている。
【0079】
そのような成分(E)は、被覆剤の非揮発性成分に対して、通例40質量%まで、有利に30質量%まで、特に有利に25質量%までの割合で使用される。
【0080】
更に、本発明による結合剤混合物又は本発明による被覆剤は、少なくとも1種の常用で公知のコート添加剤(F)を有効量で、即ち、各々被覆剤の非揮発性成分に対して、有利に30質量%まで、特に有利に25質量%まで及び殊に20質量%までの量で含有することができる。
【0081】
好適なコート添加剤(F)の例は、次のものである:
− 殊に、UV吸収剤;
− 殊に、光安定剤、例えば、HALS化合物、ベンズトリアゾール又はオキサルアニリド;
− ラジカル受容体;
− スリップ添加剤;
− 重合抑制剤;
− 消泡剤;
− 反応性希釈剤、例えば、公知技術水準から一般に公知であり、有利に−Si(OR)3基に対して不活性である反応性希釈剤;
− 湿潤剤、例えば、シロキサン、弗素含有化合物、カルボン酸半エステル、燐酸エステル、ポリアクリル酸及びそのコポリマー又はポリウレタン;
− 接着助剤、例えば、トリシクロデカンジメタノール;
− 流展剤;
− 被膜形成助剤、例えば、セルロース誘導体;
− 充填剤、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムをベースとするナノ粒子;更に、Roempp Lexikon > Lack und Druckfarben< Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1998, 250〜252頁が補足的に参照される;
− 流動調整添加剤、例えば、特許明細書WO94/22968、EP−A−0276501、EP−A−0249201又はWO97/12945から公知の添加剤;例えば、EP−A−0008127に公開されている架橋結合のポリマーミクロ粒子;無機層状珪酸塩、例えば、モンモリロナイト型のアルミニウムマグネシウム珪酸塩、ナトリウムマグネシウム層状珪酸塩及びナトリウムマグネシウム弗素リチウム層状珪酸塩;珪酸、例えば、Aerosile(登録商標);又はイオン性及び/又は会合的に作用する基を有する合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチロール−無水マレイン酸コポリマー又はエチレン−無水マレイン酸コポリマー及びその誘導体又は疎水性に変性されたエトキシル化ウレタン又はポリアクリレート;
− 防炎剤及び/又は
− 既に前記した脱水剤
【0082】
本発明のもう1つの実施態様で、本発明による結合剤混合物又は本発明による被覆剤混合物は、なお更なる顔料及び/又は充填剤を含有することができ、かつ顔料着色トップコートの製造に用いられ得る。そのために使用される顔料及び/又は充填剤は当業者に公知である。
【0083】
本発明による被覆剤から製造される本発明による被覆物は、既に硬化された電気浸漬塗装、中塗り塗装、ベース塗装又は常用で公知のクリア塗装上にも卓越的に接着するので、これは自動車生産ライン(OEM)塗装での使用の他に、特徴的に自動車修理塗装又は既に塗装された自動車体のモジュール引掻強性仕上げに好適である。
【0084】
本発明による被覆剤の塗布は、常用の全ての塗布法、例えば、噴霧、ラッケル塗り、ハケ塗り、注入、浸漬、浸透、滴下又はローラー掛けによって行なわれ得る。この際、被覆すべき支持体は、それ自体静止させたままでよく、この際、塗装装置又は塗装ユニットを動かす。それにも拘らず、被覆すべき支持体、殊にコイル状物を動かすこともでき、この際、塗装ユニットを支持体に相対的に静止させ、又は好適な方法で動かす。
【0085】
噴霧塗布法は、例えば、圧縮空気噴霧、エアーレス噴霧、高速回転、静電気噴霧塗布(ESTA)を、場合により高熱噴霧塗布、例えば、ホット−エアー高熱噴霧と組み合わせて適用することが有利である。
【0086】
塗布された本発明による被覆剤の硬化は、一定の休息時間後に行なわれ得る。休息時間は、例えば、コート層の均展のため及び脱ガスのため又は揮発成分、例えば、溶剤の蒸発のために用いられる。この際、休息時間は、コート層の損傷又は変化、例えば、時期尚早の完全な架橋結合が生じない限り、高められた温度の適用によって及び/又は湿気の減少によって、支持され及び/又は短縮される。
【0087】
被覆剤の熱硬化は、特別な方法を取らず、常法で公知の方法、例えば、回転炉中での加熱又はIRランプでの照射により行なわれる。この際、熱硬化は段階的に行なわれてもよい。もう1つの有利な硬化法は、近赤外線(NIR線)での硬化である。
【0088】
熱硬化は、有利に30〜200℃、特に有利に40〜190℃及び殊に50〜180℃の温度で、1分間〜10時間、特に有利に2分間5時間、殊に3分間〜3時間の間に行われ、この際、自動車修理塗装のため及びプラスチック部品の塗装のために適用される、有利に30〜90℃である温度には、より長い硬化時間を使用することもできる。
【0089】
本発明による被覆剤は、高度に引掻強度を有する新規の硬化被覆物、殊に塗装、特にクリア塗装、成形部品、殊に光学的成形部品、及び自立シートを生じさせ、この際、高度の引掻強度は、長時間負荷後も持続したままである。本発明により得られる被覆物は、同時にエリクセン深さ試験での良好な結果及び良好な耐ストーンチップ性を特徴とする。更に、本発明により得られる被覆物は、極めて良好な光学的な全体的外見も有する。最後に、本発明による被覆物及び塗装、特にクリア塗装は、層厚>40μmでも、応力亀裂が生じることなく製造され得る。
【0090】
従って、本発明による被覆剤は、移動手段(殊に自動車、例えば、オートバイ、バス、LKW又はPKW)の車体又はその部品;内部範囲及び外部範囲の建築物;家具、窓及び扉;プラスチック成形部品、殊にCDs及び窓;工業的小部品、コイル状物、コンテナー及び包装;白色製品;シート;光学的、電気技術的及び機械的構造部品及びガラス中空体及び日用品の装飾的、保護的及び/又は効果付与の、高い引掻強度を有する被覆物及び塗装として卓越的に好適である。
【0091】
殊に本発明による被覆剤及び塗装、殊にクリア塗装は、自動車生産ライン塗装(OEM)の技術的及び美学的に特に要求の多い分野で、及びPkw車体、殊に上級のPkwの車体、例えば、ルーフ、トランクリッド、ボンネット、フェンダー、バンパー、スポイラー、シル、トリムストリップ、サイドトリム等を製造するためのプラスチック表装部品を被覆するために、及び自動車修理塗装のために使用される。
【0092】
プラスチック部品は、通例、ASA、ポリカルボネート、ASA及びポリカルボネートを含むブレンド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート又は衝撃強く変性されたポリメチルメタクリレート、殊にASA及びポリカルボネートを含む、有利にポリカルボネート割合>40%、殊に>50%を有するブレンドから成る。
【0093】
この際、ASAとは、一般に、衝撃強く変性されたスチロール/アクリルニトリル重合体が解され、その際、ビニル芳香族化合物、殊にスチロール、及びビニルシアニド、殊にアクリルニトリルのグラフト共重合体が、殊にスチロール及びアクリルニトリルを含むコポリマーマトリックス中のポリアルキルアクリレートゴム上に存在する。
【0094】
本発明による被覆剤は、多段階被覆法で、殊に場合により予備被覆された支持体上に先ず顔料着色ベースコート層及びその後に本発明による被覆剤を有する層を塗布する方法で使用されることが特に有利である。従って、本発明の目的は同様に、少なくとも1種の顔料着色ベースコート層及び少なくとも1種のその上に配置されるクリアコート層を含む効果付与及び/又は着色性の多層塗装であり、これはクリアコート層が本発明による被覆剤から製造されていることを特徴とする。
【0095】
水で希釈可能なベースコートも、有機溶剤をベースとするベースコートも使用することができる。好適なベースコートは、例えば、EP−A−0692007及びその中の3欄50行以降に挙げられた文書に記載されている。塗布されたベースコートを先ず乾燥させることが有利であり、即ち、ベースコート膜から、蒸発相で、有機溶剤又は水の少なくとも一部分を除去させる。乾燥は、有利に室温〜80℃の温度で行われる。乾燥後に、本発明による被覆剤を塗布する。引き続いて、2層塗装を、有利に自動車生産ライン塗装で適用される条件下に、30〜200℃、特に有利に40〜190℃及び殊に50〜180℃の温度で、1分間〜10時間、特に有利に2分間〜5時間及び殊に3分間〜3時間焼成させ、この際、有利に30〜90℃である自動車修理塗装に適用される温度で、より長い硬化時間を適用することもできる。
【0096】
本発明による被覆剤で製造された層は、特に、特に高い引掻強度(長時間負荷後も)を特徴とし、かつ同時にエリクセン深さ試験での良好な結果及び良好な耐ストーンチップ性を示す。最後に、これは極めて良好な光学的な全体的外見も有する。
【0097】
本発明のもう1つの有利な実施態様で、本発明による被覆剤は、プラスチック支持体、殊にプラスチック表装部品の被覆のための透明なクリアコートとして使用される。プラスチック表装部品は、有利に同様に多段階被覆法で被覆され、この際、場合により予備被覆された又は次の被覆物のより良好な付着のために予備処理された支持体(例えば、支持体の火炎処理、コロナ処理又はプラズマ処理)上に先ず顔料着色ベースコート層及びその後に本発明による被覆剤を有する層を塗布する。
【0098】
最後に、本発明による被覆剤は、透明なプラスチック支持体の被覆のための透明なクリアコートとして使用される。この場合には、被覆剤は、プラスチック支持体の有効なUV保護に量及び種類でも提示されているUV吸収剤を包含する。ここでも、得られる被覆物は、引掻強度(長時間負荷でも)と、同時にエリクセン深さ試験での極めて良好な特性との卓越した組合せを特徴とする。そのようにして被覆された透明なプラスチック支持体は、有利に自動車構造におけるガラス成分の代用に使用され、この際、プラスチック支持体は、有利にポリメチルメタクリレート又はポリカルボネートから成る。
【0099】
実施例
ポリ(メタ)アクリレートポリオールA1〜A4の製造
温度計、アンカー攪拌器、2個の滴下ロート及び還流冷却機を備えた、油循環サーモスタットで加熱可能な二重壁の4L入りステンレス鋼釜中に、重合のための溶剤を前以って装入させる。滴下ロートの1方にモノマー混合物を、2番目の滴下ロートに、好適な重合開始剤(一般に(i.d.R.)ペルオキシド)を含む重合開始剤溶液を前以って装入させる。前与体を140℃の重合温度に加熱する。重合温度に達した後に、先ず重合開始剤の送入を開始する。重合開始剤送入の開始15分間後に、モノマー送入(持続時間240分間)を開始する。重合開始剤送入は、それがモノマー送入の終了後に更にもう30分間経過するように調整される。重合開始剤送入の終了後に、混合物を140℃で更に2時間攪拌し、引き続いて室温に冷却させる。引き続いて、反応混合物を、溶剤で、表2に挙げた固体含量に調整する。
【0100】
表1:結合剤(A1)〜(A4)のモノマー組成(質量部)
【表1】

【0101】
表2:結合剤(A1)〜(A4)の特性値
【表2】

1)実験的に測定された酸価
2)ヒドロキシル基含有モノマーの量から算出したOH数
3)Foxの式により算出したガラス転移温度
【0102】
イソシアネート基の変換率c=30モル%及びモノシラン構造単位(I)10モル%及びビスシラン構造単位(II)90モル%を有する硬化剤(B1)の製造
還流冷却機及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、三量体化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(Desmodur N3600, Firma Bayer Material Science)51.4部、トリエチルオルトホルミエート2.4部及びブチルアセテート17.8部を前以て装入させる。窒素包囲及び攪拌下に、ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(Dynasylan 1124, Firma Degussa, Rheinfelden)26.4部及びN−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−ブチルアミン(Dynasylan 1189, Firma Degussa, Rheinfelden)2.0部を含む混合物を、50℃を越えないように供給する。供給の終了後に、反応温度を50℃で60分間保持する。ブロック化度を滴定によって検査する(ωNCO=8.1%)。硬化剤は、非揮発性成分80質量%を有する。
【0103】
イソシアネート基の変換率c=30モル%及びモノシラン構造単位(I)40モル%及びビスシラン構造単位(II)60モル%を有する硬化剤(B2)の製造
還流冷却機及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、三量体化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(Desmodur N3600, Firma Bayer Material Science)53.4部、トリエチルオルトホルミエート2.4部及びブチルアセテート17.6部を前以て装入させる。窒素包囲及び攪拌下に、ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(Dynasylan 1124, Firma Degussa, Rheinfelden)18.2部及びN−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−ブチルアミン(Dynasylan 1189, Firma Degussa, Rheinfelden)8.4部を含む混合物を、50℃を越えないように供給する。供給の終了後に、反応温度を50℃で60分間保持する。ブロック化度を滴定によって検査する(ωNCO=8.3%)。硬化剤は、非揮発性成分80質量%を有する。
【0104】
イソシアネート基の変換率c=30モル%及びモノシラン構造単位(I)70モル%及びビスシラン構造単位(II)30モル%を有する硬化剤(B3)の製造
還流冷却機及び温度計を備えた三頸ガラスフラスコ中に、三量体化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(Desmodur N3600, Firma Bayer Material Science)55.4部、トリエチルオルトホルミエート2.4部及びブチルアセテート17.6部を前以て装入させる。窒素包囲及び攪拌下に、ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(Dynasylan 1124, Firma Degussa, Rheinfelden)9.5部及びN−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−ブチルアミン(Dynasylan 1189, Firma Degussa, Rheinfelden)15.2部を含む混合物を、50℃を越えないように供給する。供給の終了後に、反応温度を50℃で60分間保持する。ブロック化度を滴定によって検査する(ωNCO=8.6%)。硬化剤は、非揮発性成分80質量%を有する。
【0105】
硬化剤(B4)
硬化剤(B4)として、商慣習の三量体化ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(Desmodur N3600, Firma Bayer Material Science)を使用する。
【0106】
例1〜4及び比較例V1〜V8の被覆剤の製造
表3に挙げた成分から、本発明による例1〜4のクリアコート及び比較例V1〜V8のクリアコートを、表3に挙げた成分を合一し、かつ均一混合物が生じるまで攪拌することによって製造する。
【0107】
被覆物の特性の試験は、商慣習の水性ベースコートFirma BASF Coatings AG.の単一黒色上で、2.5バールで3回の噴霧行程での被覆剤の空気圧塗布により行なった。商慣習のFirma BASF Coatings AGの焼成電気浸漬塗装及び商慣習のFirma BASF Coatings AGの焼成化プライマーで被覆されたFirma Chemetallの商慣習のボンデライト処理をしたスチールパネル上に、先ずベースコートを塗布した。その後に、各々生じる被覆物を室温で5分間空気に曝し、引き続き140℃で22分間焼成させる。
【0108】
生じる被覆物の表面の引掻強度を、クロックメーターテスト(EN ISO 105-X12により)で、10回の往復行程及び9Nの塗布力で、9μmの紙やすり(3M 281Q wetordry TM production TM)の使用下に測定し、引き続いて、商慣習の光沢機で20°での残留光沢を測定した。
【0109】
得られる被覆物のエリクセン深さを、DIN EN ISO 1520 により測定した。
【0110】
耐ストーンチップ性の試験を、ISO 20567-1:2007-1により、500gの衝撃物質及び2バールの圧力で2回行なった。損傷面を可視的に評価し、この際、特性値0.5は、最も損傷の小さかった面を有する最良値を意味し、かつ特性値5.0は最も損傷の大きかった面を有する最悪値を意味する。
【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
表3についての説明
Dynoadd F1=Firma Hertfelder GmbH, Bielefeldの商慣習の多官能性界面活性添加剤
Tinuvin(登録商標)384=Firma Cibaのベンズトリアゾールをベースとする商慣習の光保護剤
Tinuvin(登録商標)292=Firma Cibaの立体障害アミンをベースとする商慣習の光保護剤
Nacure(登録商標)4167=Firma King Industriesのアミンブロック化の燐酸部分エステルをベースとする触媒、非揮発性成分25%
【0114】
表4についての説明
1)=理論的に算出された珪素含量(質量%)。これは、使用された原料から、珪素に結合した全ての有機基を控除し、かつ珪素での酸素原子を半分だけ考慮することによって算出される。
2)=エリクセン深さ値(mm)、DIN EN ISO 1520により測定
3)=クロックメーターによる残留光沢(%)
4)=石片試験後の衝撃面の可視的評価
【0115】
表4の試験結果の考察
例1及び2と、比較例V4との比較は、同じ結合剤及び同じシラン化度(30モル%)で、モノシラン構造単位(I)の割合が上昇しかつビスシラン構造単位(II)の割合が相応して減少するとともに、エリクセン深さは増加することを示す。引掻強度は同時に、同様に確かに減少するが、例2では同様に、エリクセン深さの最良値と共に、なお極めて高い水準に留まり、即ち、極めて良好な引掻強度が達成される。
【0116】
引掻強度及びエリクセン深さと構造単位(I)対構造単位(II)の比率との同時従属性は、例3及び4と比較例V8との比較でも重要となる。ここでも、同じ結合剤及び同じシラン化度で、モノシラン構造単位(I)の割合が上昇し、かつビスシラン構造単位(II)の割合が相応して減少するとともに、エリクセン深さは増加しかつ引掻強度は減少する。
【0117】
引掻強度及びエリクセン深さと構造単位(I)対構造単位(II)の比率との同時依存性は、ほかにも、比較例V1、V2及びV3の比較で、及び比較例V5、V6及びV7の比較で認められる。
【0118】
この際、被覆の引掻強度は、本発明による架橋結合剤(B)の使用によってだけではなく、驚異的なことに、ガラス転移温度10℃未満を有する本発明による(メタ)アクリレートポリオール(A)の使用によっても改善されることも注目すべきである。即ち、例1と比較例V2との比較は、同じシラン化度及びモノシラン構造単位(I)40モル%及びビスシラン構造単位(II)60モル%の同じ比率及び結合剤の同じOH数で、例1の場合のように、ガラス転移温度10℃未満を有する本発明による結合剤を使用して、比較例V2の場合のように、ガラス転移温度10℃超を有する結合剤を使用する場合よりも明らかにより高い引掻強度が達成されることを示す。しかし例1の被覆物のこの高められた引掻強度にも拘らず、この被覆物は、ガラス転移温度10℃未満を有する本発明による結合剤の使用に基づき、相応する比較例V2に比べて改善されたエリクセン深さも同様に有する。
【0119】
このことは、例3と比較例V6との比較によって同様に確認される。例3と比較例V6との比較も、同じシラン化度及びモノシラン構造単位(I)40モル%及びビスシラン構造単位(II)60モル%の同じ比率及び結合剤の同じOH数で、例3の場合のように、ガラス転移温度10℃未満を有する本発明による結合剤を使用して、比較例V6の場合のようにガラス転移温度10℃超を有する結合剤を使用するよりも明らかにより高い引掻強度が達成されることを示す。しかし例3の被覆物のこの高められた引掻強度にも拘らず、この被覆物は、相応する比較例V6に比べて改善されたエリクセン深さも同様に有する。
【0120】
このことは、ほかにも、例2と比較例V3との比較によって、及び例4と比較例V7との比較によって相応に認められる。
【0121】
ガラス転移温度10℃未満を有する結合剤と、構造単位(I)及び(II)で変性されている本発明による硬化剤(B)との本発明による組合せによって、初めて、本発明による被覆剤及びそれから製造される、高い引掻強度も、同時に良好なエリクセン深さも、良好な耐ストーンチップ性も特徴とする被覆物を製造することができる。
【0122】
長時間引掻耐性の試験、即ち、数回繰り返した引掻負荷後の被覆物の残留光沢の試験は、ここでも、本発明により製造した被覆物の極めて良好な結果を示す。
【0123】
比較例V9〜V12の被覆剤の製造
表5に挙げた成分から、比較例V9〜V12のクリアコートを、表5に挙げた成分を合一しかつ均一混合物が生じるまで攪拌することによって製造する。例1〜4及び比較例V1〜V8の被覆物の製造と同様にして、比較例V9〜V12の被覆剤を塗布し、硬化させかつ引掻強度及び耐ストーンチップ性を試験する。結果を表6に示す。
【0124】
表5:本発明による例1〜4及び比較例V9〜V12の被覆剤の組成(質量部)
【表5】

【0125】
表6:比較例V9〜V12の被覆物の試験結果
【表6】

【0126】
表6の説明:
1)=理論的に算出された珪素含量(熱重量分析で予測された珪素含量に相応する)(質量%)。これは、使用された原料から、珪素に結合した全ての有機基を控除し、かつ珪素での酸素原子を半分だけ考慮することによって算出される。
2)=クロックメーターによる残留光沢(%)
3)=石片試験後の衝撃面の可視的評価
【0127】
表6の試験結果の考察:
比較例V9と比較例V10との比較は、ここでも、同じ架橋結合剤(B)及び結合剤の同じOH数で、比較例V9又はV11の場合のように、ガラス転移温度10℃未満を有する本発明による結合剤の使用で、比較例V10又はV12の場合のように、ガラス転移温度10℃超を有する結合剤の使用におけるよりも明らかにより高い引掻強度が達成されるという、表4の試験結果の考察で既に判明した結果を示す。
【0128】
しかしこの比較例V9〜V12は、同時に、結合剤の選択を介するだけでは十分な引掻強度は達成されず、引掻強度、は本発明による架橋結合剤(B)との組合せによって初めて達成されることを明らかにする。しかし最後に、ここで再度、シラン基を有する架橋結合剤が使用されるだけでなく、架橋結合剤が本発明による構造単位(I)及び(II)の混合物で変性されていることが、架橋結合剤選択の際に同様に本発明により重要であることに言及し、それというのも、そうしてこそ良好な引掻強度と同時に、相応して良好なエリクセン深さ値も達成されることが保証されるからである(表4の試験結果の考察、参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレート及び
(B)少なくとも1種の、式(I):
【化1】

の構造単位(I)及び少なくとも1種の、式(II):
【化2】

の構造単位(II)を有する、少なくとも1種のイソシアネート基含有化合物
[式中、
R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、
R’=水素、アルキル又はシクロアルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR’=エチル及び/又はメチル、
X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分枝鎖のアルキレン又はシクロアルキレン基、有利にX、X’=1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、
R''=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル(この際、炭素鎖は、非隣接の酸素基、硫黄基又はNRa基によって中断されていてよく、ここでRa=アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)、有利にR''=殊に1〜6個のC原子を有するアルキル基、
n=0〜2、
m=0〜2、
m+n=2、及び
x、y=0〜2である]を含有する被覆剤において、
(i)成分(A)として使用されるヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートは、ガラス転移温度10℃未満を有し、
(ii)イソシアネート基含有化合物(B)は、各々構造単位(I)及び(II)の全体に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位10モル%超90モル%まで及び少なくとも1種の式(II)の構造単位10〜90モル%未満を有し、かつ
(iii)化合物(B)のジイソシアネート基体及び/又はポリイソシアネート基体のイソシアネート基の10〜60モル%は、式(I)及び(II)の構造単位に変換されていることを特徴とする被覆剤。
【請求項2】
成分(A)として使用されるヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートは、ガラス転移温度Tg−60℃〜5℃、有利に−30℃〜<0℃を有することを特徴とする、請求項1に記載の被覆剤。
【請求項3】
イソシアネート基含有化合物(B)は、各々構造単位(I)及び(II)の全体に対して、少なくとも1種の式(I)の構造単位20〜80モル%、有利に30〜70モル%、及び少なくとも1種の式(II)の構造単位80〜20モル%、有利に70〜30モル%を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の被覆剤。
【請求項4】
被覆剤は、各々被覆剤の固体含量に対して、Si1.5質量%〜6.0質量%の算出された珪素含量、有利にSi2.0質量%〜5.0質量%の算出された珪素含量を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項5】
イソシアネート基含有化合物(B)の製造に使用されるジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートは、ガラス転移温度0℃以下を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項6】
イソシアネート基含有化合物(B)の製造に使用されるジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はそのイソシアヌレート三量体及び/又はそのアロファネート二量体であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項7】
イソシアネート基含有化合物(B)は、ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを、少なくとも1種の、式(Ia):
【化3】

の化合物及び少なくとも1種の、式(IIa):
【化4】

[式中、置換基は、請求項1に記載した意味を有する]の化合物と反応させることによって製造されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項8】
被覆剤は、各々被覆剤の固体含量に対して、少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート(A)及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリメタクリレート(A)20〜80質量%、有利に30〜70質量%を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項9】
ヒドロキシル基含有ポリアクリレート及び/又はヒドロキシル基含有ポリメタクリレートは、
(a)アクリル酸のヒドロキシル基含有エステル又はこのモノマーの混合物10〜80質量%、有利に20〜50質量%、
(b)(a)と異なった、メタクリル酸のヒドロキシル基含有エステル又はそのようなモノマーを含む混合物0〜30質量%、有利に0〜15質量%、
(c)(a)及び(b)と異なった、アルコール基中に少なくとも4個の炭素原子を有する(メタ)アクリル酸の脂肪族又は環状脂肪族エステル又はそのようなモノマーを含む混合物5〜90質量%、有利に20〜70質量%、
(d)エチレン系不飽和カルボン酸又はエチレン系不飽和カルボン酸を含む混合物0〜5質量%、有利に0.5〜3.5質量%、
(e)ビニル芳香族体又はそのようなモノマーを含む混合物0〜50質量%、有利に0〜20質量%及び
(f)(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)と異なったエチレン系不飽和モノマー又はそのようなモノマーを含む混合物0〜50質量%、有利に0〜35質量%(この際、成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)の質量割合の合計は、常に100質量%である)
を共重合させることによって得られることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項10】
被覆剤は、少なくとも1種の、燐含有及び窒素含有触媒を含有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の被覆剤。
【請求項11】
場合により予備被覆された支持体上に顔料着色ベースコート層を、及びその後に、請求項1から10までのいずれか1項に記載の被覆剤を含む層を塗布することを特徴とする多段階被覆法。
【請求項12】
顔料着色ベースコート層の塗布後に、塗布されたベースコートを、先ず室温〜80℃の温度で乾燥させ、かつ請求項1から10までのいずれか1項に記載の被覆剤の塗布後に、30〜200℃の温度で1分間〜10時間硬化させることを特徴とする、請求項11に記載の多段階被覆法。
【請求項13】
自動車生産ライン塗装、自動車表装部品の塗装及び自動車修理塗装のための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の被覆剤のクリアコートしての使用又は請求項11又は12に記載の方法の適用。
【請求項14】
クリアコート層は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の被覆剤から製造されている、少なくとも1種の顔料着色ベースコート層及びその上に配置されている少なくとも1種のクリアコート層を含む効果付与及び/又は着色性の多層塗装。

【公表番号】特表2012−530816(P2012−530816A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516529(P2012−516529)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001422
【国際公開番号】WO2010/149236
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】