説明

被覆剥離ライナを含む経皮薬物送達システム

本発明は、支持層(11)、少なくとも1つの接着剤層(12)、及びUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナ(13)を含む経皮送達デバイスに関する。本発明はまた、支持層(11)、少なくとも1つの接着剤層(12)、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナ(13)を含む経皮送達デバイスを調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、「Transdermal Drug Delivery Systems Comprising A Coated Release Liner」という名称の2007年9月4日に出願された出願第11/899136号の利益を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚を介した薬物の送達は多くの利点を提供する。第1に、皮膚を介した薬物の送達は、苦痛がなく、便利であり、非侵襲的な薬物投与方法である。更に、そのような送達手段は、連続治療、及び血中薬物濃度のより高度な制御を提供する。
【0003】
一般に、接着剤層又は中間層を損傷することなく、ポリイソブチレン(「PIB」)及び鉱油を含有する接着剤層又は中間積層物から、熱硬化剥離ライナを取り除くのは困難である。通常、接着剤層又は中間層に含有されるPIBに対する鉱油の比率が高いほど、剥離ライナを剥がすのがより困難となる。このため、特別な製造工程が必要とされる。
【0004】
米国特許第4201211号には、支持層、薬物クロニジンを含有する薬物リザーバ接着剤層、リザーバからクロニジンを放出する手段、及び皮膚にパッチを貼付する手段からなる経皮送達デバイスが開示されている。この特許は、接着剤としてポリイソブテン、及びクロニジンの担体として鉱油を教示している。
【0005】
米国特許第4559222号には、薬物リザーバ接着剤層、及び飽和を超える濃度でリザーバ層に分散された中程度鉱油可溶性の薬物を含有する接着剤層を含む経皮治療システムが開示されている。この特許はまた、リザーバ層、並びに鉱油、ポリイソブチレン、及びコロイド状二酸化ケイ素の混合物を含む接着剤層を教示している。この特許は更に、リザーバ層と接着剤層の間に配置された薬物放出速度制御膜が開示されている。
【0006】
米国特許第4832953号には、a)支持フィルム、b)ポリイソブチレン、鉱油、及びスコポラミン基剤からなる薬物リザーバ接着剤層、c)膜層、d)ポリイソブチレン、鉱油、及びスコポラミン基剤からなる皮膚接触接着剤層、並びにe)シリコーン処理(siliconized)剥離ライナを含むスコポラミン経皮システムが開示されている。この特許には、a)薬物リザーバ接着剤層を支持フィルムに流延(casting)して、接着剤−支持層積層物を形成するステップ、b)皮膚接触接着剤層を剥離ライナに流延して、接着剤−剥離ライナ積層物を形成するステップ、並びにc)膜の両面に接着剤−支持積層物と接着剤−剥離ライナ積層物とを積層するステップを含む、デバイスを形成する方法が開示されている。
【0007】
米国特許第4559222号及び第4832953号のいずれにおいても、薬物リザーバ接着剤層は支持層に直接被覆されている。結果として、溶媒を除去するため、高温で支持フィルム上の薬物リザーバ接着剤を乾燥したとき、支持フィルムは湾曲する。
【0008】
米国特許第6306475号には、接着剤層と剥離ライナの界面を紫外光に暴露することによって、接着剤層と剥離ライナの間の剥離強度が積層物を製造した後で選択的に変えられる感圧積層物及びその製造方法が開示されている。しかしながら、この従来技術は、鉱油含有経皮システムから剥がすことのできるUV硬化剥離ライナを教示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
接着剤層を損傷することなく、鉱油含有経皮システムから容易に剥がすことのできる剥離ライナが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、本出願人等は、支持層、前記支持層中に分散された少なくとも1つの接着剤層、及びUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスを発明した。本発明の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ0.5ミル〜5ミル(12.7μm〜127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングは、厚さ約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0011】
本発明の別の一実施形態によれば、支持層は、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアセタートフィルム、及び金属化ポリエステルフィルムからなる群から選択される。
【0012】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、活性医薬成分及び鉱油を含む。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン又はスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の量で存在し、好ましくは、活性剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約2質量%〜約20質量%の量で存在し、最も好ましくは、活性剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約2質量%〜約15質量%の量で存在する。
【0013】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンブレンド、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、アクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される接着剤を含む。
【0014】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層に存在する接着剤の量は、接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%、好ましくは接着剤層の質量の約38質量%〜約57質量%、最も好ましくは接着剤層の質量の約51質量%〜約55質量%である。
【0015】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、可塑剤、粘着付与剤(tackifier)、粘着促進添加剤(cohesion−promoting additive)、安定化剤、着色剤、染料、UV吸収化合物、抗酸化剤、及び充填剤からなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約15質量%までの量で存在し、好ましくは1種以上の添加剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約10質量%の量で存在する。
【0016】
本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、及びクロスポビドンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、少なくとも1つの接着剤層の質量の約15質量%までの量で存在し、好ましくは、粘着促進剤は少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約15質量%の量で存在する。
【0017】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは、1つの接着剤層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤層は、第1接着剤層及び第2接着剤層を含み、第1及び第2接着剤層はそれぞれ同じであるか又は異なる量及び/又は種類の活性医薬成分、接着剤材料、及び/又は鉱油を含有する。本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、第1接着剤層と第2接着剤層の間の膜層又は不織層を含む。
【0018】
本発明の別の一実施形態によれば、支持層、活性医薬成分及び鉱油を含む薬物リザーバ接着剤層、並びにUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスである。本発明の別の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ約0.5〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングの厚さは、約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0019】
本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン又はスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約15質量%の量で存在し、好ましくは、少なくとも1種の活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約5質量%〜約10質量%の量で存在し、最も好ましくは、少なくとも1種の活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約6質量%〜約9質量%の量で存在する。
【0020】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンブレンド、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、アクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される接着剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、接着剤の量は、薬物接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%の範囲であり、好ましくは、接着剤は接着剤層の質量の約35質量%〜約60質量%の量で存在し、最も好ましくは、接着剤は接着剤層の質量の約38質量%〜約55質量%の量で存在する。
【0021】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、1種以上の添加剤は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約40質量%までの量で存在する。
【0022】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層は更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、及びクロスポビドンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約8質量%までの量で存在する。
【0023】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、0又は少なくとも1種の医薬成分、鉱油、及び接着剤を有する、薬物リザーバ接着剤層と剥離ライナの間の皮膚接触接着剤層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、薬物リザーバ接着剤層と皮膚接触接着剤層との間の膜層を含む。
【0024】
本発明の別の一実施形態によれば、a)支持層、b)支持層に隣接する薬物リザーバ接着剤層、c)薬物リザーバ接着剤層に隣接する皮膚接触接着剤層、及びd)UV硬化シリコーンで被覆された、皮膚接触接着剤層に隣接する剥離ライナを含む経皮送達デバイスである。
【0025】
本発明の別の一実施形態によれば、剥離ライナは、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む。本発明の別の一実施形態によれば、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラートを含む。本発明の別の一実施形態によれば、ポリエチレンテレフタラートは、厚さ約0.5〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)である。本発明の別の一実施形態によれば、UV硬化シリコーンコーティングは、厚さ約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である。
【0026】
本発明の別の一実施形態によれば、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ活性医薬成分及び鉱油を含む。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、クロニジン及びスコラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、活性医薬成分は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の範囲であり、活性医薬成分は、皮膚接触接着剤層の質量の約0質量%〜約5質量%の範囲である。
【0027】
本発明の別の一実施形態によれば、接着剤は、ポリイソブチレン及びポリイソブチレンブレンドからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態によれば、接着剤は、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%、好ましくは接着剤層の質量の約35質量%〜約60質量%の範囲である。
【0028】
本発明の別の一実施形態によれば、鉱油は、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層の質量の約20質量%〜約60質量%の範囲である。本発明の別の一実施形態によれば、前記薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ更に、1種以上の添加剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、前記薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層はそれぞれ更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態によれば、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0029】
本発明の別の一実施形態によれば、経皮送達デバイスは更に、薬物リザーバ接着剤層と皮膚接触接着剤層の間の膜層又は不織層を含む。本発明の別の一実施形態によれば、膜層又は不織層は、微多孔質膜又は織物材料である。
【0030】
本発明の別の一実施形態によれば、
a)活性医薬成分、鉱油、接着剤、及び溶媒を含む、湿潤接着剤ブレンドを形成するステップ、
b)湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延するステップ、
c)流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥して、乾燥接着剤を形成するステップ、
d)支持フィルムを乾燥接着剤に積層するステップ、及び
e)ステップd)で製造した積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜く(die−cutting)ステップを含む、経皮送達デバイスを製造する方法が見出された。
【0031】
本発明の別の一実施形態において、溶媒は、ヘプタン及び酢酸エチルからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態において、活性医薬成分は、クロニジン及びスコポラミンからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態において、接着剤は、ポリイソブチレン及びポリイソブチレンブレンドからなる群から選択される。本発明の別の一実施形態において、鉱油と接着剤の比は、約0.3:1.28〜約0.5:0.9である。本発明の別の一実施形態において、湿潤接着剤ブレンドは更に、粘着促進剤を含む。
【0032】
本発明によれば、経皮送達デバイスを製造する方法は、
a)i)第1湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第1湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第1剥離ライナに流延し、
iii)流延第1湿潤接着ブレンドを乾燥して、第1剥離ライナ上に薬物放出接着剤層を形成し、
iv)支持フィルムを薬物放出接着剤層に積層し、
v)第1剥離ライナを薬物放出接着剤層から取り除くことによって、薬物リザーバ接着剤/支持層積層物を形成するステップ、
b)i)第2湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第2湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第2剥離ライナに流延し、
iii)流延第2湿潤接着ブレンドを乾燥して、第2剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を形成することによって、皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物を形成するステップ、並びに
c)皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物の上面を薬物リザーバ接着剤/支持層積層物の上面に積層するステップ、並びに
d)ステップ(c)の積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜くステップを含む。
【0033】
本発明の別の一実施形態において、第1湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.65〜約0.6:1.25である。本発明の別の一実施形態において、第2湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.28〜約0.6:0.9である。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤、着色剤、染料、抗酸化剤、UV吸収化合物、及び充填剤からなる群から選択される添加剤を含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織層を薬物接着剤/支持層積層物の接着面に積層するステップを更に含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織フィルムは、鉱油で予め飽和されている。
【0034】
本発明によれば、経皮送達デバイスを製造する方法は、
a)i)第1湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第1湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第1剥離ライナに流延し、
iii)流延第1湿潤接着ブレンドを乾燥して、第1剥離ライナ上に薬物放出接着剤層を形成し、
iv)支持フィルムを薬物放出接着剤層に積層し、
v)第1剥離ライナを薬物放出接着剤層から取り除くことによって、薬物リザーバ接着剤/支持層積層物を形成するステップ、
b)鉱油で予め飽和されていてもよい多孔質膜又は不織フィルムを薬物リザーバ/支持層積層物の接着面に積層するステップ、
c)i)第2湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii)第2湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された第2剥離ライナに流延し、
iii)流延第2湿潤接着ブレンドを乾燥して、第2剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を形成することによって、皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物を形成するステップ、
d)皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物の上面を薬物リザーバ接着剤/支持層積層物の上面に積層するステップ、並びに
d)ステップ(d)の積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜くステップを含む。
【0035】
本発明の別の一実施形態において、第1湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.65〜約0.6:1.25である。本発明の別の一実施形態において、第2湿潤接着剤ブレンドの鉱油と接着剤の比は、約0.4:1.28〜約0.6:0.9である。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、粘着促進剤を含む。本発明の別の一実施形態において、第1及び第2接着剤ブレンドの少なくとも1つは更に、可塑剤、粘着付与剤、安定化剤、着色剤、染料、抗酸化剤、UV吸収化合物、及び充填剤からなる群から選択される添加剤を含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織層を薬物接着剤/支持層積層物の接着面に積層するステップを更に含む。本発明の別の一実施形態において、多孔質膜又は不織フィルムは、鉱油で予め飽和されている。
【0036】
UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナは、完成したパッチを長期間、周囲温度又は高温で保管した後でも、剥離ライナが活性医薬成分を含有する接着剤層から小さい力のみで剥離するのを可能にすることが意外にも見出された。剥離ライナの除去が容易であるため、接着剤層は原形を保ち、損傷を受けないままであり、完全で障害のない経皮薬物送達が可能になる。更に、除去が容易であるため、デバイスのいずれの層の完全性も犠牲にすることなく、又はコストのかかる新しい製造システム又はプロセスを必要とすることなく、多層経皮デバイスを製造する簡易な方法が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の3層経皮送達デバイスの拡大概略断面図である。
【図2】本発明の4層経皮送達デバイスの拡大概略断面図である。
【図3】本発明の5層経皮送達デバイスの拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、支持層、少なくとも1つの接着剤層、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスである。本明細書では、「経皮」は皮膚又は粘膜組織内への、及び皮膚又は粘膜組織を介した活性医薬成分の送達を意味する。これらの図は、皮膚に適用されたとき、活性医薬成分を経皮的に送達する機能を果たす皮膚パッチの形態である経皮送達デバイスを示している。
【0039】
一般に、本発明の経皮送達デバイスは、デバイスに含まれる接着剤層の数に応じて、少なくとも3〜5層からなる。図1は、支持層11、接着剤層12、及びUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナ13からなる3層経皮送達デバイス10を示す。図2は、支持層21、2つの接着剤層22及び23、並びにUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナ24からなる4層経皮送達デバイス20を示す。図3は、支持層31、2つの接着剤層32及び34、2つの接着剤層の間の膜又は不織層33、並びにUV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナ35からなる5層経皮送達デバイス30を示す。これらの図は、単に本発明の実施形態を表わすものである。当業者は、例えば表示した接着剤層が様々な厚さであり得ることを理解する。
【0040】
これらの経皮送達デバイスの最外層は、支持層11、21、又は31である。支持層は、活性医薬成分が薬物送達を意図する方向から離れて移動することに対する障壁を提供し、更にデバイスの支持を提供する、可撓性基材である。この目的を満たすよく知られている任意の支持層を本発明に用いることができる。
【0041】
支持層を構成することのできる材料の非限定的な例には、ポリエチレンテレフタラート、種々のナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエステル/エチレン−ビニルアセタート、金属化ポリエステルフィルム、ポリビニリデンクロリド、金属フィルム、例えばアルミニウムホイルなど、ポリビニリデンフルオリドフィルム、及びそれらの混合物、コポリマー、又は積層物が含まれる。用いることのできる特定の支持層には、Mediflex(登録商標)1200、Mediflex(登録商標)1501、Mediflex(登録商標)1502、及びMediflex(登録商標)1503(それぞれMylan Technologies,Inc.から入手可能)、並びにScotchpak(登録商標)1109(3Mから入手可能)が含まれる。好ましい実施形態において、支持層はMediflex(登録商標)1200である。
【0042】
支持層の下で、支持層に隣接するのは、少なくとも1つの接着剤層である。少なくとも1つの接着剤層は、接着剤材料、活性医薬成分、及び鉱油からなる。接着剤層の1つの種類は、薬物リザーバ接着剤層である。接着剤層の別の種類は、皮膚接触接着剤層である。薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層は同じ構成成分を含有できるが、いずれの1成分の量及び/又は特定の種類は、システムの所望の構造、送達される薬物、及び経皮デバイスの放出特性に応じて、2種の層で異なることができる。
【0043】
3層経皮送達デバイスでは、1つのみの接着剤層、薬物リザーバ接着剤層12が存在し、支持層11と剥離ライナ13の間に位置する。そのような実施形態において、剥離ライナ13が除去された後(適用前)、薬物リザーバ接着剤層12が皮膚に接触し、付着する。
【0044】
4層経皮送達デバイスでは、薬物リザーバ接着剤層22と皮膚接触接着剤層23の両方が存在し、互いに隣接する。薬物リザーバ接着剤層22は、支持層21の下であるが、皮膚接触接着剤層23の上に位置し、皮膚接触接着剤層23は、薬物リザーバ接着剤層22の下であるが、剥離ライナ24の上に位置する。そのような実施形態において、剥離ライナ24が除去された後(適用前)、皮膚接触接着剤層23が皮膚に接触し、付着する。
【0045】
5層経皮送達デバイスでは、薬物リザーバ接着剤層32と皮膚接触接着剤層34の両方が存在するが、膜層33で隔てられている。薬物リザーバ接着剤層は、支持層31の下であるが、膜層33の上に位置し、皮膚接触接着剤層は、膜層33の下であるが、剥離ライナ35の上に位置する。そのような実施形態において、剥離ライナ35が除去された後(適用前)、皮膚接触接着剤層34が皮膚に接触し、付着する。
【0046】
活性医薬成分(「API」)は、接着剤マトリクス中に溶解しているか、接着剤マトリクス中に部分的に溶解し、部分的に非溶解であり、分散しているか、接着剤マトリクスに分散しているか(結晶形態)、接着剤マトリクスに分散しているか(非晶質形態)、又は接着剤マトリクスに部分的に溶解し、部分的に非溶解であるが、分散している非晶質形態であることができる。
【0047】
本明細書では、「活性医薬成分」は、デバイスの着用者に治療的、予防的、及び/又は生理的効果を有する生物学的に活性な化合物又は化合物の混合物である、経皮送達デバイスの主活性成分を記載するために用いられる。活性医薬成分は、経皮送達デバイス中に含まれることのできる任意の活性剤であってよい。
【0048】
活性医薬成分の非限定的な例には、抗炎症物質、オピオイド受容体アンタゴニスト、抗コリン薬、冠血管拡張薬、脳拡張薬(cerebral dilator)、末梢血管拡張薬、αアドレナリン遮断薬、抗感染薬、向精神薬、抗躁薬、刺激薬、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、胃腸鎮静薬、抗狭心症薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗血液凝固薬及び抗血栓症薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣薬、神経筋薬、血糖上昇及び血糖降下薬、甲状腺及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、鎮吐薬、子宮弛緩薬、抗肥満薬、同化薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、去痰薬、粘液溶解薬、抗尿酸血症薬(anti−uricemic drug)などが含まれる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、活性医薬成分はクロニジンである。本明細書では、用語「クロニジン」は、クロニジン、クロニジンの塩、溶媒和物、及び水和物、並びにその関連化合物を示すために用いられる。
【0050】
本発明の別の一実施形態において、活性医薬成分はスコポラミンである。本明細書では、用語「スコポラミン」は、スコポラミン、スコポラミンの塩、溶媒和物、及び水和物、並びにその誘導体化合物(これに限定されるものではないが、ブチルスコポラミンを含む)を示すために用いられる。
【0051】
図1に示したものなど、単一の接着剤層を含有する実施形態において、接着剤層に存在する活性医薬成分の量は、接着剤層の質量の約1質量%〜約25質量%の範囲、好ましくは接着剤層の質量の約5質量%〜約20質量%の範囲、最も好ましくは接着剤層の質量の約7質量%〜約9質量%の範囲である。
【0052】
図2及び3に示したものなど、2つの接着剤層を含有する実施形態において、薬物リザーバ接着剤層の活性医薬成分の量は、薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%、好ましくは薬物リザーバ接着剤層の質量の約4質量%〜約20質量%、最も好ましくは薬物リザーバ接着剤層の質量の約5質量%〜約15質量%の範囲である。
【0053】
同様に、図2及び3に示したものなど、2つの接着剤層を含有する実施形態において、皮膚接触接着剤層の活性医薬成分の量は、皮膚接触接着剤層の質量の約0質量%〜約5質量%、好ましくは皮膚接触接着剤層の質量の約2質量%〜約4質量%、最も好ましくは皮膚接触接着剤層の質量の約1質量%〜約2.5質量%の範囲である。
【0054】
少なくとも1つの接着剤層に含有される「接着剤材料」は、当分野で知られている任意の生体適合性ポリマー又はポリマー材料であることができる。接着剤材料は、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン(「PIB」)、ポリブテン、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、架橋及び非架橋アクリルコポリマーを含むアクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、可塑化質量ポリエーテルブロックアミドコポリマー、可塑化スチレン−ゴムブロックコポリマー、並びにそれらの混合物から選択することができる。複数の接着剤層を含有する実施形態において、選択される接着剤材料の種類は、それぞれの接着剤層に関して同じであるか又は異なることができる。
【0055】
好ましい一実施形態において、接着剤材料はポリイソブチレンである。他の好ましい実施形態において、低分子量PIB(約25000〜約50000粘度平均分子量)及び高分子量PIB(約700000〜約1500000粘度平均分子量)を含むポリイソブチレンブレンドが用いられる。PIBブレンドが用いられる実施形態において、低分子量PIBと高分子量PIBの比は、約80:20〜約60:40の範囲である。
【0056】
少なくとも1つの接着剤層に存在する接着剤材料の量は、接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%の範囲、好ましくは接着剤層の質量の約38質量%〜約57質量%の範囲、最も好ましくは接着剤層の質量の約51質量%〜約55質量%の範囲である。複数の接着剤層を含有する実施形態において、接着剤材料の量は、それぞれの接着剤層に関して同じであるか又は異なることができる。
【0057】
少なくとも1つの接着剤層に含有される活性医薬成分と適合性であれば、任意の鉱油を用いることができる。鉱油は、活性医薬成分の担体としての機能を果たす不活性液体である。一般に鉱油は、約25℃で粘度約7cpを有する軽質鉱油である。
【0058】
少なくとも1つの接着剤層に存在する軽油の量は、接着剤層の質量の約20質量%〜約60質量%の範囲、好ましくは接着剤層の質量の約29質量%〜約50質量%の範囲、最も好ましくは接着剤層の質量の約32質量%〜約44質量%の範囲である。複数の接着剤層を含有する実施形態において、鉱油の量は、それぞれの接着剤層に関して同じであるか又は異なることができる。
【0059】
単一の接着剤層を含有する実施形態において(図1)、鉱油と接着剤の比は、約0.3〜1.28の範囲であり、好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.4〜1.0の範囲であり、最も好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.5〜0.9の範囲である。
【0060】
2つの接着剤層を含有する実施形態において(図2又は3に示したものなど)、鉱油と接着剤の比は、それぞれの接着剤層で異なっている。薬物リザーバ接着剤層では、鉱油と接着剤の比は、約0.4〜1.65の範囲であり、好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.6〜1.5の範囲であり、最も好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.6〜1.20の範囲である。皮膚接触接着剤層では、鉱油と接着剤の比は、約0.4〜1.28の範囲であり、好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.5〜1.0の範囲であり、最も好ましくは鉱油と接着剤の比は、約0.6〜0.9の範囲である。
【0061】
少なくとも1つの接着剤層は更に、1種以上の粘着促進剤を含むことができる。1種以上の粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、クロスポビドン、ベントナイト、粘土、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい実施形態において、粘着促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0062】
少なくとも1つの接着剤層に存在する粘着促進剤の量は、接着剤層の質量の約0質量%〜約15質量%の範囲、好ましくは接着剤層の質量の約3質量%〜約10質量%の範囲、最も好ましくは接着剤層の質量の約5質量%〜約8質量%の範囲である。複数の接着剤層を含有する実施形態において、粘着促進剤の量及び/又は種類は、それぞれの接着剤層に関して同じであるか又は異なることができる。
【0063】
少なくとも1つの接着剤層は更に、1種以上の医薬的に許容し得る添加剤を含むことができる。添加剤の非限定的な例には、浸透促進剤、可塑剤、粘着付与剤、粘着促進添加剤、安定化剤、充填剤、着色剤、染料、UV吸収化合物、抗酸化剤、及び同様の添加剤が含まれる。この目的に適した物質は、当業者に知られている。
【0064】
少なくとも1つの接着剤層に存在する添加剤の量は、接着剤層の質量の約0質量%〜約40質量%の範囲、好ましくは接着剤層の質量の約3質量%〜約20質量%の範囲である。複数の接着剤層を含有する実施形態において、添加剤の量及び/又は種類は、それぞれの接着剤層に関して同じであるか又は異なることができる。
【0065】
少なくとも1つの接着剤層の下で、少なくとも1つの接着剤層に隣接するのは、剥離ライナ13、24、又は35である。経皮送達デバイスの適用及び使用に先立って、剥離ライナは接着剤層12、23、又は34から剥がされ、廃棄される。
【0066】
剥離ライナは、光開始剤/触媒の存在下、紫外光で硬化されるシリコーンで被覆された基材フィルムを含む。基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(「PET」)、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンを含むポリマーから選択することができる。基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラート、Toray F7S 2軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)の約0.5ミル〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)のフィルムから選択でき、「ミル」は基材フィルムコーティングの厚さを指し、1ミルは1インチの約1/1000インチに等しい。好ましい実施形態において、基材フィルムは、約1ミル〜約5ミル(約25.7μm〜約127μm)のポリエチレンテレフタラートであり、より好ましくは約1ミル〜約3ミル(約25.7μm〜約77.1μm)のPETである。
【0067】
UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナは、UV5A、UV10、UV12、UV30、UV50法に従って、又はLoparex Inc.のUV硬化シリコーン被覆剥離ライナ2.0 CL PET 8000B(OUT)/000に関連する方法に従って製造される。UV硬化シリコーンコーティングは、選択される基材フィルム及びシリコーンコーティングを適用する方法に応じて、約1000〜約10000オングストローム(約100nm〜約1000nm)の厚さを有する。いくつかの実施形態において、UV硬化シリコーンコーティングは、約2000〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の厚さを有する。
【0068】
好ましい実施形態において、UV硬化シリコーン層で被覆された剥離ライナは、ClearSil(登録商標)UV5A、Sil(登録商標)Release Film UV5A、ClearSil(登録商標)UV10、Sil(登録商標)Release Film UV10、ClearSil(登録商標)UV30、Sil(登録商標)Release Film UV30、ClearSil(登録商標)UV50、Sil(登録商標)Release Film UV50、ClearSil(登録商標)UV12、Sil(登録商標)Release Film UV12、及びClearLES(登録商標)UV12から選択され、すべてCPFilms,Inc.(Martinsville、VA 24115)から入手可能である。
【0069】
UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナは、少なくとも1つの接着剤層と同じ大きさであることができ、及び/又は支持層と同じ大きさであることができる。そのような場合、剥離ライナは、支持層又は少なくとも1つの接着剤層より約0.1mm〜少なくとも約20mm大きくてよく(各寸法)、好ましくは支持層又は少なくとも1つの接着剤層より約0.5mm〜約10mm大きくてよく、最も好ましくは支持層又は少なくとも1つの接着剤層より約1mm〜約5mm大きくてよい。
【0070】
一般に、本発明のシリコーン被覆剥離ライナを除去するために必要な剥離力は、インチ当たり約5〜約150グラム(約0.197〜約5.91kg/m)、好ましくはインチ当たり約10〜約90グラム(約0.394〜約3.56kg/m)、より好ましくはインチ当たり約10〜約60グラム(約0.394〜約2.36kg/m)である。
【0071】
2つの接着剤層を含有する実施形態において、経皮送達デバイスは更に、膜又は不織層33を含むことができる。膜又は不織層33は、薬物リザーバ接着剤層32と皮膚接触接着剤層34の間に位置する。膜層は、活性医薬成分の拡散の制御、及び活性医薬成分の制御放出の提供など、様々な目的にかなうことができる。膜層は、それによって速度が制御されるように、すなわちデバイスにおける膜層の存在が、膜を持たない同様のデバイスと比較してデバイスの皮膚浸透プロファイルを変えることができるように選択される。不織層は、2つの接着剤層間の停留(anchorage)層としての機能を果たすことができる。
【0072】
適切な膜には、連続フィルム膜及び微多孔質膜が含まれる。膜は、好ましくは当業者に通常用いられている可撓性ポリマー材料で作られる。膜層を製造するのに用いることのできるポリマーフィルムには、非限定的に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチルビニルアセタートコポリマー、ポリプロピレン、及び他の適切なポリマーを含むものが含まれる。一実施形態において、膜層は、約0.5〜約28質量%のビニルアセタートを含有するエチレンビニルアセタートコポリマーから調製された微多孔質フィルム膜である。
【0073】
好ましい実施形態において、膜層は、Celgard(登録商標)2400(Celgard,LLCInc.から入手可能)、Solupor 7−P−2.0 Cotran 9702、Cotran 9705、Cotran 9706、Cotran 9707、Cotran 9712、Cotran 9715、Cotran 9716、Cotran 9728(3M(商標)から入手可能)、及びSolupor(登録商標)10P05A(DSM SoluTechから入手可能)などの、微多孔質ポリプロピレン膜である。
【0074】
膜の厚さは一般に、約10mm〜約100mmの範囲であることができ、好ましくは、厚さは約15mm〜約50mmの範囲であることができる。好ましい実施形態において、不織層は、多孔質ポリエステル布、又はレーヨン/ポリエステルブレンドからなる。不織層の1つの例は、Dupont Nonwovens Sontara(登録商標) TechnologiesのSontara(登録商標)である。それらの厚さは、約15〜約30ミル(約386μm〜約772μm)の範囲であることができ、対応する単位質量は0.7〜2.4oz/yard(0.0166〜0.0569m/kg)である。
【0075】
本発明はまた、支持層、少なくとも1つの接着剤層、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイスを製造する方法に関する。
【0076】
一実施形態では、支持層11、薬物リザーバ接着剤層12、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナ13を含む3層経皮デバイス10を製造する方法である。最初に、少なくとも1種の活性医薬成分、接着剤、鉱油、及び溶媒を含有する湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延することによって、薬物リザーバ接着剤層を調製する。湿潤接着剤ブレンドはまた、本明細書に記載のとおり、医薬的に許容し得る添加剤及び/又は浸透促進剤を含有することができる。溶媒は、これに限定されるものではないが、ヘプタン及び酢酸エチルを含む任意の医薬的に許容し得る溶媒から選択することができる。次いで、流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥器で乾燥して、溶媒を除去し、乾燥接着剤を形成する。次いで、乾燥接着剤を支持フィルムに積層して、3層フィルムを形成する。3層を含有する個々のデバイス(又はパッチ)を積層物から打ち抜く。
【0077】
他の実施形態では、支持層21、薬物リザーバ接着剤層22、皮膚接触接着剤層23、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナ24を含む4層経皮デバイス20を製造する方法である。最初に、支持フィルム上に薬物リザーバ接着剤層を調製する。少なくとも1種の活性医薬成分、接着剤、鉱油、及び溶媒を含有する湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延することによって、薬物リザーバ接着剤層を調製する。湿潤接着剤ブレンドは、医薬的に許容し得る添加剤及び/又は粘着促進剤を含有することができる。次いで、流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥器で乾燥して、溶媒を除去し、乾燥接着剤を形成する。次いで、乾燥接着剤を支持フィルムに積層して、3層フィルムを形成する。次いで、剥離ライナを剥がして、支持フィルム上に薬物リザーバを残す。
【0078】
次に、剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を調製する。少なくとも1種の活性医薬成分、接着剤、鉱油、及び溶媒を含有する湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延することによって、皮膚接触接着剤層を形成する。湿潤接着剤ブレンドはまた、医薬的に許容し得る添加剤及び/又は粘着促進剤を含有することができる。溶媒は、これに限定されるものではないが、ヘプタン及び酢酸エチルを含む任意の医薬的に許容し得る溶媒から選択することができる。次いで、流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥器で乾燥して、溶媒を除去し、乾燥接着剤を形成する。
【0079】
最後に、4層積層物を形成するために、皮膚接触接着剤層の上面を薬物リザーバ接着剤層の上面に積層する。4層を含有する個々のデバイス(又はパッチ)を積層物から打ち抜く。
【0080】
更に他の実施形態では、支持層31、薬物リザーバ接着剤層32、皮膚接触接着剤層34、膜又は不織層33、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナ35を含む5層経皮デバイス30を製造する方法である。最初に、支持フィルム上に薬物リザーバ接着剤層を調製する。少なくとも1種の活性医薬成分、接着剤、鉱油、及び溶媒を含有する湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延することによって、薬物リザーバ接着剤層を調製する。湿潤接着剤ブレンドは、医薬的に許容し得る添加剤及び/又は粘着促進剤を含有することができる。次いで、流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥器で乾燥して、溶媒を除去し、乾燥接着剤を形成する。次いで、乾燥接着剤を支持フィルムに積層して、3層フィルムを形成する。次いで、剥離ライナを剥がして、支持フィルム上に薬物リザーバを残す。
【0081】
次に、膜又は不織層、皮膚接触接着剤層、及び剥離ライナを有する積層物を調製する。少なくとも1種の活性医薬成分、接着剤、鉱油、及び溶媒を含有する湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナに流延することによって、皮膚接触接着剤層を形成する。湿潤接着剤ブレンドは、医薬的に許容し得る添加剤及び/又は粘着促進剤を含有することができる。次いで、流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥器で乾燥して、溶媒を除去し、乾燥接着剤を形成する。前に記載したとおり、膜又は不織層を接着剤層の上面に積層する。いくつかの実施形態において、膜層は、皮膚接触接着剤層に積層する前に、鉱油で予め飽和されている。
【0082】
最後に、5層積層物を形成するために、膜又は不織層の皮膚接触接着剤積層物とは反対の面を薬物リザーバ接着剤層の上面に積層する。5層を含有する個々のデバイス(又はパッチ)を積層物から打ち抜く。
【実施例】
【0083】
以下の実施例は本発明及びその独自の特性を例示するものである。これらの実施例はいかなる方法によっても本発明を限定することを意図しない。
【0084】
実施例1〜13:熱硬化シリコーン剥離ライナを含有するパッチ又は中間積層物
軽質鉱油、ヘプタン中PIB予備混合物(LMW(低分子量)/HMW(高分子量)の比は55/45、平均LMW PIBは約25000〜50000であり、平均HMW PIBは約800000〜約1400000ダルトンである)、CSD(コロイド状二酸化ケイ素)、及びクロニジン基剤から、湿潤接着剤ブレンドを調製した。ブレンドは、揮発性溶媒を除去した後、固体32質量%を含有する。このブレンドを薄いフィルムとして剥離ライナに流延した。ヘプタンを熱によって除去する。接着剤フィルムを、支持フィルムMediflex(登録商標)1200に積層して、積層物を生成した。積層物を適切な大きさ及び形状に打ち抜いて、モノリシック経皮パッチを製造した。得られたモノリシック経皮パッチ中の乾燥接着剤層の組成を表1に示す。剥離ライナをパッチ又は中間積層物から剥がすことを試みた。表1の結果は、剥がすことができるか、又は鉱油とPIBの質量比0.50〜1.45、若しくは鉱油30〜50質量%を有する接着剤層を完全に若しくは部分的に損傷することなく剥がすことができた剥離ライナはなかったことを示している。
【0085】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【0086】
実施例17〜23:エージングしたパッチからの剥離ライナの剥離
表2に記載のとおり、支持フィルム(Mediflex(登録商標)1200)、39%鉱油、48%PIB(55%Vistanex LM−LC及び45%MML−100)、5%CSD、8%クロニジン基剤からなる接着剤層、及び熱硬化剥離ライナ(Scotchpak(商標)1022、Scotchpak(商標)9744、Medirelease(登録商標)2249、Medirelease(登録商標)2226)、又はUV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)を含む中間積層物を打ち抜くことによって、円形パッチ(10cm)を調製する。表2の結果は、剥離ライナにMedirelease(登録商標)2249、Medirelease(登録商標)2226、Scotchpak(商標)1022、及びScotchpak(商標)9744を用いたとき、剥離ライナにUV硬化シリコーンコーティングを有するSil(登録商標)Release Liner UV5Aを用いたときと比べて、接着剤層からの剥離ライナの剥離力がはるかに大きいことを示している。これらの結果は、Medirelease(登録商標)2249、Medirelease(登録商標)2226、Scotchpak(商標)1022、又はScotchpak(商標)9744を剥離ライナとして用いたとき、部分的な接着剤層の損傷が起こることを示している。しかしながら、Sil(登録商標)Release Liner UV5Aをパッチから剥がしたとき、接着剤の損傷はなかった。
【0087】
データはまた、剥離ライナがMedirelease(登録商標)2249、Medirelease(登録商標)2226、Scotchpak(商標)1022、又はScotchpak(商標)9744であったとき、1カ月間、25℃/60%RH又は40℃/75%RHでエージングしたパッチで剥離力が増大したことを示した。しかしながら、Sil(登録商標)UV5A剥離ライナを用いたとき、パッチを1カ月エージングした後でも、剥離力は小さいままであった。
【0088】
表3の結果は更に、Scotchpak(商標)1022の剥離力が25℃又は40℃で6カ月間にわたって増大したことを示している。しかしながら、Sil(登録商標)Release Liner UV5Aの剥離力は、25℃又は40℃で6カ月間にわたって小さいままであった。
【0089】
本発明の経皮送達デバイスの剥離力を、当業者に知られている方法に従って、Instron試験機で測定した。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
実施例24:2つの接着剤層及び膜層を含有する経皮システムの製造
この実施例では、クロニジン基剤、鉱油、PIB、コロイド状二酸化ケイ素、及びヘプタンを含有する湿潤接着剤ブレンド(湿潤ブレンドは固体32質量%有する)を、Sil(登録商標)Release Liner UV5Aフィルムに流延し、接着剤フィルムを乾燥器で乾燥することによって、薬物リザーバ接着剤層を形成した。乾燥接着剤フィルムは、13質量%クロニジン、47質量%鉱油、32.5質量%PIB(55質量%Oppanol B12及び45質量%Vistanex MML−100)、及び7.5質量%コロイド状二酸化ケイ素を含有する。接着剤層の上面を、支持フィルムMediflex(登録商標)1200ポリエステル面に積層した。UV硬化剥離ライナは、接着剤層を損傷することなく容易に剥がれた。これが支持フィルム上の薬物リザーバ接着剤層である。クロニジン、鉱油、PIB、コロイド状二酸化ケイ素、及びヘプタンを含有する湿潤接着剤ブレンドを、Sil(登録商標)Release Liner UV5Aフィルムに流延し、接着剤フィルムを乾燥器で乾燥することによって、皮膚接触接着剤層を形成した。乾燥接着剤フィルムは、3質量%クロニジン、47質量%鉱油、42.5質量%PIB、及び7.5質量%コロイド状二酸化ケイ素を含有する。鉱油で予め飽和させたCelguard(登録商標)2400多孔質膜を、皮膚接触接着剤層の上面に積層した。これが3層皮膚接触接着剤積層物である。5層積層物を形成するために、膜の皮膚接触接着剤積層物とは反対の面を薬物リザーバ接着剤層の上面に積層した。パッチを5層中間積層物から打ち抜いた。UV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)は、皮膚接触接着剤層から容易に剥がすことができた。
【0093】
実施例25:2つの接着剤層及び膜層を含有する経皮システムの製造
実施例25の5層経皮システムは、Celguard(登録商標)2400膜を鉱油で予め飽和しなかったことを除いて、実施例24と同じ方法で製造した。薬物リザーバ接着剤層は、51.64%鉱油、29.65%PIB(55%Oppanol B12及び45%Vistanex MML−100)、6.8%コロイド状二酸化ケイ素、及び11.86%クロニジンを含有する。皮膚接触接着剤層は、51.64%鉱油、38.78%PIB(55%Oppanol B12及び45%Vistanex MML−100)、6.84%コロイド状二酸化ケイ素、及び2.74%クロニジンを含有する。UV硬化Sil(登録商標)Release Liner UV5Aは、薬物リザーバ接着剤層及び皮膚接触接着剤層から容易に剥がすことができた。
【0094】
実施例26:2つの接着剤層を含有し、膜層を含有しない経皮システムの製造
この実施例では、クロニジン基剤、鉱油、PIB(55%Oppanol B12、20.39%Oppanol B80、及び24.61%Oppanol B100)、コロイド状二酸化ケイ素、及びヘプタンを含有する湿潤接着剤ブレンド(湿潤ブレンドは固体32質量%有する)を、UV硬化Sil(登録商標)Release Liner UV5Aフィルムに流延し、接着剤フィルムを乾燥器で乾燥することによって、薬物リザーバ接着剤層を形成した。乾燥接着剤フィルムは、13質量%クロニジン、47質量%鉱油、32.5質量%PIB、及び7.5質量%コロイド状二酸化ケイ素を含有する。接着剤層の上面を、支持フィルムMediflex(登録商標)1200ポリエステル面に積層した。UV硬化剥離ライナは、接着剤層を損傷することなく容易に剥がれた。これが支持フィルム上の薬物リザーバ接着剤層である。クロニジン、鉱油、PIB、コロイド状二酸化ケイ素、及びヘプタンを含有する湿潤接着剤ブレンドを、Sil(登録商標)Release Liner UV5Aフィルムに流延し、接着剤フィルムを乾燥器で乾燥することによって、皮膚接触接着剤層を形成した。乾燥接着剤フィルムは、3質量%クロニジン、47質量%鉱油、42.5質量%PIB、及び7.5質量%コロイド状二酸化ケイ素を含有する。4層積層物を形成するために、皮膚接触接着剤層の上面を、薬物リザーバ接着剤層の上面に積層した。パッチを4層中間積層物から打ち抜いた。UV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)は、皮膚接触接着剤層から容易に剥がすことができた。
【0095】
実施例27:2つの接着剤層を含有し、膜層を含有しない経皮システムの製造
実施例27の剥離ライナがClear(登録商標)Release Liner UV10であったことを除いて、実施例27は実施例26と同じである。実施例27において、UV硬化剥離ライナ(Clear(登録商標)Release Liner UV10)は、接着剤層に損傷を与えることなく、容易に剥がすことができた。
【0096】
実施例28:2つの接着剤層を含有し、膜層を含有しない経皮システムの製造
実施例28の剥離ライナがUV硬化Clear(登録商標)Release Liner UV50であったことを除いて、実施例28は実施例26と同じである。実施例28において、UV硬化剥離ライナ(Clear(登録商標)Release Liner UV50)は、接着剤層に損傷を与えることなく、容易に剥がすことができた。
【0097】
実施例29:2つの接着剤層を含有し、膜層を含有しない経皮システムの製造
実施例29の剥離ライナが、Loparex Inc.から入手可能なUV硬化シリコーン剥離ライナ2.0 CL PET 8000B(out)/000であったことを除いて、実施例29は実施例26と同じである。実施例29において、剥離ライナ(Clear(登録商標)Release Liner UV50)は、接着剤層に損傷を与えることなく、容易に剥がすことができた。
【0098】
実施例30:スコポラミン基剤を含有する単一の接着剤層を含有する経皮システムの製造
スコポラミン、ポリブチレン(ヘプタン中55%Oppanol B12及び45%Oppanol 100)、及び鉱油を含有する湿潤接着剤ブレンドを、Sil(登録商標)Release Liner UV5A、ヘプタン、酢酸エチルに流延することによって(湿潤接着剤は固体23%を有した)、単一接着剤層積層物を調製した。接着剤フィルムを乾燥器で乾燥した後、支持フィルムMediflex(登録商標)1502に積層した。乾燥接着剤は、10%スコポラミン基剤、57%PIB、及び33%鉱油を含有した。パッチを積層物から打ち抜いた。UV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)は、接着剤フィルムに損傷を与えることなく、パッチから容易に剥がすことができた。
【0099】
実施例31
この実施例では、支持層がMediflex1200であることを除いて、パッチは実施例30のパッチと同じであった。UV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)は、接着剤フィルムに損傷を与えることなく、容易に剥がすことができた。
【0100】
実施例32
この実施例では、支持層がMediflex1000であることを除いて、パッチは実施例30のパッチと同じであった。UV硬化剥離ライナ(Sil(登録商標)Release Liner UV5A)は、接着剤フィルムに損傷を与えることなく、容易に剥がすことができた。
【0101】
【表4】

【0102】
本明細書において本発明を特定の実施形態に関して記載したが、これらの実施形態は単に本発明の原理及び適用の例示に過ぎないことが理解される。したがって、例示の実施形態に多くの修正を加えることができ、添付の請求の範囲に定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の構成を考案できることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層、少なくとも1つの接着剤層、及びUV硬化シリコーンで被覆された剥離ライナを含む経皮送達デバイス。
【請求項2】
前記剥離ライナが、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリエチレンからなる群から選択される基材フィルムを含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項3】
前記基材フィルムが、厚さ約0.5ミル〜約5ミル(約12.7μm〜約127μm)である請求項2に記載の経皮送達デバイス。
【請求項4】
前記UV硬化シリコーンコーティングが、厚さ約2000オングストローム〜約10000オングストローム(約200nm〜約1000nm)の範囲である請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項5】
前記の少なくとも1つの接着剤層が、活性医薬成分及び鉱油を含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項6】
前記活性医薬成分が、クロニジン及びスコポラミンからなる群から選択される請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項7】
前記活性医薬成分が、前記の少なくとも1つの接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の量で存在する請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項8】
前記の少なくとも1つの接着剤層が、シリコーン、天然及び合成ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンブレンド、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、アクリル系接着剤、ビニルアセタート接着剤、ポリアクリラート、エチレンビニルアセタートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される接着剤を含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項9】
前記接着剤層中の前記接着剤の量が、前記接着剤層の質量の約34質量%〜約61.5質量%である請求項8に記載の経皮送達デバイス。
【請求項10】
前記の少なくとも1つの接着剤層が更に、1種以上の添加剤を含む請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項11】
前記の1種以上の添加剤が、粘着促進剤、皮膚浸透促進剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、染料、UV吸収化合物、抗酸化剤、安定化剤、及び充填剤からなる群から選択される請求項10に記載の経皮送達デバイス。
【請求項12】
前記の少なくとも1つの接着剤層が更に、粘着促進剤を含む請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項13】
前記粘着促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリジン、アクリラートコポリマー、及びクロスポビドンからなる群から選択される請求項12に記載の経皮送達デバイス。
【請求項14】
前記粘着促進剤が、前記の少なくとも1つの接着剤層の質量の約10質量%までの量で存在する請求項12に記載の経皮送達デバイス。
【請求項15】
前記デバイスが、2つの接着剤層を含む請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項16】
前記経皮送達デバイスが、前記支持層に隣接する薬物リザーバ接着剤層、および、該薬物リザーバ接着剤層と前記剥離ライナとの間の皮膚接触接着剤層を含む請求項15に記載の経皮送達デバイス。
【請求項17】
前記薬物リザーバ接着剤層中の活性医薬成分の量が、前記薬物リザーバ接着剤層の質量の約1質量%〜約30質量%の範囲であり、前記皮膚接触接着剤層中の活性医薬成分の量が、前記皮膚接触接着剤層の質量の約0質量%〜約5質量%の範囲である請求項16に記載の経皮送達デバイス。
【請求項18】
前記薬物リザーバ接着剤層と前記皮膚接触接着剤層との間に、膜又は不織層を更に含む請求項16に記載の経皮送達デバイス。
【請求項19】
経皮送達デバイスを製造する方法であって、
a)活性医薬成分、鉱油、接着剤、及び、溶媒を含む、湿潤接着剤ブレンドを形成するステップ、
b)前記湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された剥離ライナに流延するステップ、
c)前記流延湿潤接着剤ブレンドを乾燥して、乾燥接着剤を形成するステップ、及び
d)支持フィルムを前記乾燥接着剤に積層するステップを含む方法。
【請求項20】
前記鉱油と前記接着剤の比が、約0.3:1.28〜約0.5:0.9である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記湿潤接着剤ブレンドが更に、粘着促進剤を含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
経皮送達デバイスを製造する方法であって、
a)i.活性医薬成分、鉱油、接着剤、及び、溶媒を含む第1湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii.前記第1湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された第1剥離ライナに流延し、
iii.前記流延第1湿潤接着ブレンドを乾燥して、前記第1剥離ライナ上に薬物放出接着剤層を形成し、
iv.支持フィルムを前記薬物放出接着剤層に積層し、
v.前記第1剥離ライナを前記薬物放出接着剤層から取り除くことによって、薬物放出接着剤/支持層積層物を形成するステップ、
b)i.活性医薬成分、鉱油、接着剤、及び、溶媒を含む第2湿潤接着剤ブレンドを調製し、
ii.前記第2湿潤接着剤ブレンドを、UV硬化高度架橋シリコーンで被覆された第2剥離ライナに流延し、
iii.前記流延第2湿潤接着ブレンドを乾燥して、前記第2剥離ライナ上に皮膚接触接着剤層を形成することによって、皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物を形成するステップ、並びに
c)前記皮膚接触接着剤/剥離ライナ積層物の上面を前記薬物放出接着剤/支持層積層物の上面に積層するステップを含む方法。
【請求項23】
多孔質膜又は不織層を前記薬物接着剤/支持層積層物の接着面に積層するステップを更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1湿潤接着剤ブレンド中の鉱油と前記接着剤の比が、約0.4:1.65〜約0.6:1.25である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第1接着剤ブレンドと第2接着剤ブレンドの少なくとも1つが更に、粘着促進剤を含む請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−538064(P2010−538064A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523999(P2010−523999)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/010232
【国際公開番号】WO2009/032184
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(506053216)マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】