説明

被覆基材、被覆基材の製造方法、パッケージおよび分散液コーティング

本発明は分散液コーティングを含み、当該分散液コーティングがミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含むファイバーに基づく基材に関する。本発明はさらに、この基材から形成されるパッケージ、分散液コーティングおよび前記基材の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は被覆基材(coated substrate)およびコーティングがミクロフィブリル化セルロースを含み、被覆された、ファイバーに基づく(based on)基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
パッケージ、例えば液体パッケージまたは食品パッケージとして使用されるファイバーに基づく製品はファイバーに基づく製品に対する液体および/または食品の影響などの包装された物質の影響に対し耐性であることが可能でなければならない。手段の一つはバリヤー、例えば液体および/または油脂に対しさらに耐性にする水または油脂耐性バリヤーを有するファイバーに基づく製品を提供することである。
【0003】
バリヤーは通常、ファイバーに基づく基材を当該基材にバリヤー物性を付与する組成物でコーティングすることによって形成される。バリヤーに要求される物性に応じて種々のコーティングを適用することができる。ファイバーに基づく製品上にバリヤーを形成する場合、最も汎用される物質はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコール(EVOH)またはエチレンビニルアセテート(EVA)である。これらのポリマーは、例えばファイバーに基づく製品に積層するか、または押出しコーティングすることができる。現在、バリヤーコーティングの大部分は押出しコーティング技術により製造され、分離したコーティング装置でオフラインで形成されている。種々の操作手順を紙または板紙(board)の製造機および押出しコーティング装置で使用することができることから、この方法は紙および板紙の製造機の柔軟性を増加する。しかしながら、主要な欠点は余分な巻取り操作および余分な加工工程を必要とすることから、高価であることにある。
【0004】
従って、バリヤーコーティングを紙または板紙の製造機とオンラインで施すことを意味するオンライン法でバリヤーを含む紙または板紙を製造することが好しい。この処理工程は好ましくは、常習的コーティング技術において使用されるバリヤー分散液コーティング装置で行わなければならない。US2002136913はファイバーに基づく製品に水性ポリマーを分散液コーティングすることによって生成される水蒸気バリヤーを含むファイバーに基づく製品を記載している。
【0005】
バリヤーを含むファイバーに基づく製品にとって重要なもう一つの物性はその強度および中でも、その曲げ耐性が形成されるパッケージにとって充分に良好であることにある。パッケージは輸送、貯蔵および加工期間中に包装された製品の保護を確保するのに充分な強度を有することが重要である。曲げ耐性が低過ぎると、ファイバーに基づく製品は脆弱であり、および加工中、特にパッケージを形成するために当該製品を折目付け処理する期間中に問題が生じる。最も重要なことはまた、バリヤーが取扱い、輸送および加工中におけるコーティングされたファイバー基材に対する要求に耐えることができることにある。
【0006】
分散液コーティングは、前記したように、ファイバーに基づく製品上のバリヤーの製造に使用することができる。しかしながら、分散液コーティングはコーティングされたファイバーに基づく製品の曲げ耐性を減少させ、およびパッケージを形成するための製品の折目付け操作中に問題を生じさせることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、バリヤーを含む改良されたファイバーに基づく製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の目的は分散液コーティングを含む改良されたファイバーに基づく製品を提供することにある。
【0009】
本発明のもう一つの目的は分散液コーティングを含むリサイクル可能なファイバーに基づく製品を提供することにある。
【0010】
これらの目的およびその他の利点は特許請求の範囲の請求項1に従う基材によって達成される。本発明は分散液コーティングを含み、この分散液コーティングがミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含む、被覆された、ファイバーに基づく基材であって、当該分散液コーティングが基材の表面上にバリヤーを形成している基材に関する。分散液コーティングへのミクロフィブリル化セルロース(MFC)の添加は強度を増加し、および中でも、分散液コーティングの脆弱性を減少し、これによりまた被覆された、ファイバーに基づく基材の脆弱性を減少させることが示された。さらにまた、MFCはリサイクル可能な物質であって、前記被覆基材のリサイクルを促進する。
【0011】
バリヤーは液体、蒸気、油脂、洗剤、酸素またはその他の気体に対するバリヤーであると好ましい。種々のポリマーが種々のバリヤー物性を被覆基材に付与する。すなわち、ポリマーの選択はバリヤーの物性を制御する。
【0012】
分散液コーティングは好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースを0.5〜20重量%の量で含む。分散液コーティング中のMFCの量は被覆基材の最終用途に依存する。
【0013】
ミクロフィブリル化ファイバーは、好ましくは100nm〜200μmの長さの広い分布範囲を有する。すなわち、添加されるMFCの長さは通常製造されているMFCより長いことができる。製造されるMFCの長さを増加することによってバリヤー層の曲げ耐性が増大されることが示された。
【0014】
分散液コーティングは少なくとも1種のポリマー、好ましくはポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、アクリレートコポリマー、変性スチレン、ブタジエン、ポリオレフィン、アクリロニトリル、フマール酸またはマレイン酸ジエステル、セルロースエステル、デンプンエーテル、各種アクリレートおよびメタアクリレート、ビニルアセテートまたはこれらのポリマーの混合物を含む。被覆された、ファイバーに基づく基材を簡単な方法で再使用およびリサイクルすることを可能にするポリマーを使用すると好ましい。このことは、例えば押出しコーティングと比較して分散液コーティングを使用することによる大きな利点である。
【0015】
本発明はまた、前記のとおりの被覆基材によって形成されるパッケージに関する。被覆基材はパッケージを形成するために折目付けられ、および折畳まれる。基材のコーティングされた方の面はパッケージの内側に位置していると好ましい。本発明による被覆された、ファイバーに基づく基材は、当該基材に折目を付け、折畳んだ場合、例えば油脂耐性物性をバリヤーに付与するポリマーが使用された場合に油脂に対して改良された耐性を有することが見出された。従って、形成されたパッケージは改良された性質を有し、また特に、折目付けに対しさらに大きい耐性を有する。
【0016】
本発明に従う分散液コーティングはミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含み、この分散液コーティングは被覆基材上にバリヤーを形成する。分散液コーティングへのMFCの添加は分散液の安定性を増加することが示された。
【0017】
本発明はまた、被覆基材の製造方法に関し、この方法はセルロースファイバーを含む基材を用意する工程、この基材の表面に分散液コーティングを施す工程および基材を乾燥させ、乾燥した被覆基材を形成する工程を含み、当該分散液コーティングがミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含む方法である。
【0018】
分散液コーティングは好ましくは、ローラーコーティング、噴霧コーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、逆行直接グラビアコーティングおよび/またはその組合せによつて適用する。
【0019】
分散液コーティングは紙または板紙の製造機とオンラインで適用すると好ましい。本発明による方法の大きい利点は、紙または板紙の製造機とオンラインでMFCを含む分散液コーティングを施すことができることにある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は基材の少なくとも一方の面上に分散液コーティングを含む被覆された、ファイバーに基づく基材に関する。分散液コーティングはミクロフィブリル化セルロースを含む。分散液コーティングへのミクロフィブリル化セルロースの添加は水保持能力および折目付け物性の両方を改善する、すなわちコーティングおよびまたコーテッドファイバー基材の脆弱性を減少させることが示された。分散液コーティングへのMFCの添加はまた、分散液の安定性を改良する。
【0021】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)(これはまた、ナノセルロースとしても知られている)は木材セルロースファイバーから生成される物質であり、各ミクロフィブリルはそれぞれ、相互に部分的または全体的に分離している。MFCは通常、非常に薄く(〜20nm)およびその長さは100nm〜10μmである。しかしながら、ミクロフィブリルはまた、さらに長くてもよく、例えば10〜100μmであることができるが、200μmまでの長さで使用することもできる。フィブリル化されており、表面上にミクロフィブリルを有するファイバーおよび分離しており、スラリイの水性相中に位置するミクロフィブリルはMFCの定義内に包含される。
【0022】
MFCは多くの種々の方法によって製造することができる。ミクロフィブリルが生成されるようにセルロースファイバーを機械的に処理することができる。細菌によるナノセルロースまたはミクロフィブリル化セルロースの製造はもう一つの方法である。ファイバーを分解または溶解する種々の化学物質および/または酵素を用いてセルロースからミクロフィブリルを製造することもできる。
【0023】
MFC製造の一例はWO2007091942に示されており、ここには酵素の添加と組合わせて精製を用いることによるMFCの製造が記載されている。
【0024】
分散液の水保有能力を増加するためにモノマーまたは補助結合剤がしばしば、分散液コーティングに添加される。ミクロフィブリル化セルロースは非常に高い水保有能力を有し、従って分散液コーティングに添加されるモノマーおよび/または補助結合剤の量を減少することができる。さらにまた、分散液コーティングへのMFCの添加は分散液の粘度の制御を可能にし、これによりコーティング装置の操業能力を非常に容易な方法で改良することが可能になる。さらにまた、分散液の粘度の制御および調整の改良された可能性によって、コーティング層の水保持能力および有効寿命の両方を改善することができる。粘度の制御および調整の増大された可能性が伴うもう一つの利点は、コーティングニップにおけるコーティング色浸透および不動化を改善し、および当該分散液コーティングを基材の表面に適用した場合、より良好な被覆力および少ないピンホール形成を可能にすることにある。
【0025】
さらにまた、ミクロフィブリル化セルロースは分散液中で延長された網状体を生成し、これは乾燥されたコーティング層の柔軟性を強力に改善し、また加工処理におけるコーティング層の亀裂形成を減少させる。さらにまた、添加されたMFCは基材板紙とバリヤー層との間の結合性を変え、および改善された亀裂形成耐性に作用し、寄与する。従って、好ましくはポリマーを含む分散液にMFCを添加することによって柔軟性が改善され、これによりまた、被覆された、ファイバーに基づく基材の折目付けおよび折畳み処理期間中の強度を増加することが示された。
【0026】
非常に長い、例えば5〜200μmまたはさらに好ましくは5〜50μmの長さを有するミクロフィブリル化ファイバーの添加は形成されるバリヤーの曲げ耐性をさらに増加させることが示された。
【0027】
分散液コーティングに添加する前に、ミクロフィブリル化セルロースを変性させることもできる。この方法で、さらに強力でさえある分散液の安定効果を得ることができる。ミクロフィブリル化ファイバーをどのように変性させるかは、例えば分散液コーティング中に存在するその他の成分に応じてなされる。可能性の一つはファイバーの電荷を変える化学物質の添加であり、この方法は分散液の安定性を増加する。
【0028】
分散液コーティングはバリヤーとして働き、基材に、例えば液体、蒸気、油脂、酸素およびその他の気体に対する改善された耐性を付与することができる。液体包装用板紙用に最も慣用されるバリヤーは防水性バリヤーである。食品包装に使用される製品はしばしば、水蒸気、油脂および/または酸素に対するバリヤーを含む。
【0029】
分散液コーティングは数種の相違する技術によって基材の表面に適用することができ、好適なコーティング技術はナイフコーティング、フィルムプレスコーティングまたはフローコーティングである。しかしながら、別種のコーティング技術、例えばローラーコーティング、噴霧コーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、逆行直接グラビアコーティングおよび/またはその組合せを使用することもできる。ロッド、サイズプレス、空気ナイフ、計量付サイズプレス、フレキソコーティング、アニロックスアプリケーターロールまたは全部の前記技術の組合せを使用することもできる。
【0030】
バリヤー、すなわちバリヤーコーティングの生成に使用される分散液コーティングは水性分散液が細かいポリマー粒子、例えばラテックスを含む水性分散液をファイバー基材の表面に適用し、乾燥後に固体の無孔性フィルムを形成するコーティング技術に関連する。この方法で、環境に優しく(リサイクル可能)、再パルプ化可能なコーティングによって液体、蒸気、油脂、酸素またはその他の気体に対するバリヤー層を得ることができる。
【0031】
分散液コーティングは種々のポリマー分散液を基材とすることができる。分散液はポリマーの分散されているコロイド状粒子および溶媒、好ましくは水を含む。ポリマーおよび/または慣用される添加剤の例には、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(ビニル)アルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、アクリレートコポリマー、変性スチレン、ブタジエン、ポリオレフィン、アクリロニトリル、フマール酸およびマレイン酸ジエステル、セルロースエステル、デンプンエーテル、各種アクリレートおよびメタアクリレート、ビニルアセテート、これらのコポリマーまたはその他の天然バイオポリマーおよび前記ポリマーの混合物がある。数種の構成成分をまた添加し、バリヤー物性およびその他の物性、例えば被覆基材の表面張力、湿潤性、スリップ、摩擦耐性、フィルム形成性などを改良することができる。
【0032】
本明細書で使用されているものとして、「ポリマー」はホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマーなどを表すために使用することができる。
【0033】
分散液はまた、例えば操業能力および処理方法および生成される基材の価格効率を増加させるために種々の量の充填剤を含有することができる。さらにまた、ワックス、例えばパラフィン、カルナバワックスおよび/またはakdを使用し、被覆基材の表面を疎水性にすることができる。
【0034】
分散液コーティングの固体含有量は25〜70重量%であることができる。分散液コーティングに使用される分散液の粘度は好ましくは、500〜1000mPasである。しかしながら、分散液は水またはその他の溶媒のいずれかにより希釈することができ、これにより所望の粘度を得ることができる。
【0035】
基材は、当該基材の表面に分散液コーティングを付与する前に、慣用のコーティングによって被覆することができる。この方法で、基材の表面がさらに滑らかであることから、分散液コーティングは基材にさらに強力に結合する。また、水および/または分散液コーティングの基材の表面中への浸透が減少される。
【0036】
分散液コーティングは基材の表面に一枚の層より多くの枚数で適用することもできる。この方法で、各層中のコーティングの量を減少することができることから、より滑らかなコーティング層を形成することができる。多量のコーティングを一枚の層として適用しなければならない場合に比較し、薄いコーティング層を容易に適用することができる。
【0037】
紙または板紙製品のファイバーを再使用およびリサイクルすることができることは重要である。分散液コーティングされているファイバーに基づく製品のリサイクルは、紙製造方法の時点およびライフサイクルの終点におけるリサイクル後の時点の両方において促進される。積層された、または押出しコーティングされたバリヤーに比較し、紙または板紙に付与された分散液コーティングのリサイクルはさらに容易である。分散液コーティングがリサイクル可能な供給源、例えばジャガイモ、トウモロコシ、穀物類、木材、キシランまたは類似の製品に由来する生成物を含むことはまた好ましい。ミクロフィブリル化セルロースはリサイクル可能な供給源であり、ミクロフィブリル化セルロースの添加はまた、本発明による分散液コーティングされた製品のリサイクルを改善し、および促進する。
【0038】
分散液コーティングの付加は紙または板紙の製造機とオンラインで行うと好ましい。しかしながら、これはまた、オフラインで行うこともできる。
【0039】
被覆基材は一方の面または両方の面にコーティングを有することができる。被覆基材は分散液コーティングの付与後に乾燥させる。全ての乾燥技術を使用することができる。
【0040】
基材は好ましくは、紙または板紙製品(board product)である。しかしながら、別種の製品、例えば織物、プラスティックなどを使用することもできる。
(例)
【0041】
基板(baseboard)として未コーティングの板紙(paperboard)を使用した。この基板は210グラムの基礎重量および400〜500ml/分のBendtsen粗さレベルを有するものである。
【0042】
Clariant(UK)により生産されているラテックスを基材とする水性分散液であるCartasealTXUと称される市販分散液コーティングを板紙に分散液コーティングした。この分散液は以下で「対照試料」と称する対照として、および分散液をミクロフィブリル化セルロースと混合することによって以下で「試料MFC」と称する試料の両方に使用した。MFCはブルックフィールド粘度が約1000mPasになるまで、試料MFC用の分散液に添加した。
【0043】
未コーティング板紙にロッドコーティング装置をシート上で用いて分散液コーティングを施した。両試料上の分散液コーティングは15グラムの重量を有した。
【0044】
シートはその後、乾燥させた。
【0045】
ミクロフィブリル化セルロースは漂白したパインスルフィットパルプから高コンシステンシイで生成した。この漂白したパルプは25%のコンシステンシイにおいて精製装置(refiner)で予備機械処理し、次いで250ECUの活性を有するセルラーゼにより酵素処理し、パルプは最後に、25%のコンシステンシイにおいて精製装置で機械的に処理した。
【0046】
ASTMF−1249標準に記載されている方法に従い水蒸気透過耐性(Water Vapor Transmission Resistance)をバリヤーについて測定した。Permatran−W3/31(Mocon)装置を使用した。5cmの板紙試料面積を使用した。N2(H2O)は200ml/分で流し、N2(キャリア)は100ml/分で流し、およびRHは50〜51%であった。
【0047】
油脂透過性は修正ASTMF119−82法に従い測定した。被験試料は両方共に、平坦な状態で、ならびに2.07kgのローラーで折目付けし、および折畳み処理した後に試験した。これらの試料はその後、40℃および0%RHにおいてそのバリヤー面を鶏脂に露呈した。板紙の反対側の面上において視認される変化を示すまでに要した時間、すなわち視認までの時間(show through time)および板紙の下に置いた254nm蛍光指示計によるTLCプレート上において視認される変化を示すまでに要した時間、すなわち破損までの時間(break through time)を記録した。試料は最初の1時間は15分毎に、および引続く7時間の間は1時間毎に1回、検査した。2日目に、油脂の透過をもう一度検査した。
【0048】
結果:
【表1】

【0049】
表1に示されるとおり、WVTRはMFCの添加により減少する。すなわち板紙は水蒸気に対してより高い耐性を有する。
【0050】
【表2】

【0051】
表2に示されるとおり、バリヤーコーティング中にMFCを含む試料は対照試料に比較し、良好な油脂および脂肪耐性を獲得した。驚くべきことに、折目付けし、および折畳んだ試料における油脂耐性は、MFCを分散液コーティングに添加することによって極めて大きく改善されたのである。上記結果から、従来使用されていた分散液コーティングは試料を折目付けし、折畳んだ場合、充分な耐性を有しないことも示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された、ファイバーに基づく基材であって、分散液コーティングを含み、前記分散液コーティングはミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含み、当該分散液コーティングは前記基材の表面上にバリヤーを形成していることを特徴とする、被覆された、ファイバーに基づく基材。
【請求項2】
分散液コーティングがミクロフィブリル化セルロースを0.5〜20重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1に記載の基材。
【請求項3】
ミクロフィブリル化セルロースが100nm〜200μmの長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の基材。
【請求項4】
ポリマーがポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、アクリレートコポリマー、変性スチレン、ブタジエン、ポリオレフィン、アクリロニトリル、フマール酸またはマレイン酸ジエステル、セルロースエステル、デンプンエーテル、各種アクリレートおよびメタアクリレート、ビニルアセテート、またはジャガイモ、トウモロコシ、穀物類、木材、キシランまたは類似の生産物に由来するポリマー、またはこれらのポリマーのいずれかの混合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基材。
【請求項5】
バリヤーが液体、蒸気、油脂、洗剤、酸素またはその他の気体に対するバリヤーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基材。
【請求項6】
基材を曲げるか、または折畳んでパッケージを形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基材により製造されるパッケージ。
【請求項7】
ミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含み、および基材上のバリヤーを形成することを特徴とする、分散液コーティング。
【請求項8】
ポリマーがポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、アクリレートコポリマー、変性スチレン、ブタジエン、ポリオレフィン、アクリロニトリル、フマール酸およびマレイン酸ジエステル、セルロースエステル、デンプンエーテル、各種アクリレートおよびメタアクリレート、ビニルアセテート、またはジャガイモ、トウモロコシ、穀物類、木材、キシランまたは類似の生産物に由来するポリマー、またはこれらのポリマーのいずれかの混合物であることを特徴とする請求項7に記載の分散液コーティング。
【請求項9】
ミクロフィブリル化セルロースを0.5〜20重量%の量で含むことを特徴とする請求項7および8のいずれかに記載の分散液コーティング。
【請求項10】
以下を含む基材の製造方法:
セルロースファイバーを含む基材を与える工程、
基材の表面に分散液コーティングを適用する工程であって、当該分散液コーティングがミクロフィブリル化セルロースおよびポリマーのコロイド状粒子を含む工程、
基材を乾燥させ、乾燥した基材を形成する工程。
【請求項11】
分散液コーティングをローラーコーティング、噴霧コーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、逆行直接グラビアロールコーティングおよび/またはその組合せの使用によって適用することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
分散液コーティングを紙または板紙の製造機とオンラインで適用することを特徴とする請求項10または11に記載の製造方法。

【公表番号】特表2013−510222(P2013−510222A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537838(P2012−537838)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051190
【国際公開番号】WO2011/056130
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(501239516)
【Fターム(参考)】