説明

被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物

【課題】特に軟質塩化ビニル樹脂に対して優れた接着性能を示すラジカル重合性樹脂組成物、係る樹脂組成物及び塩化ビニル樹脂を使用した構造物、係る樹脂組成物を主成分とする被覆材、並びに係る樹脂組成物を使用する塩化ビニル樹脂の接着方法の提供。
【解決手段】ポリカーボネートジオール(A1)とジイソシアネート化合物(A2)とを反応させてイソシアネート基含有化合物(A3)を得、次いで前記(A3)と1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)とを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)と、ジシクロペンテニル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)と、を含むラジカル重合性樹脂組成物;係る樹脂組成物を介して、基材に塩化ビニル樹脂層を設けてなる構造物;係る樹脂組成物を主成分とする被覆材;係る樹脂組成物を使用する塩化ビニル樹脂の基材への接着方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリロイル基を含有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂と特定の骨格を有するラジカル重合性不飽和単量体を含む被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物で、特に塩化ビニル樹脂との接着性に優れた被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物、係る樹脂組成物及び塩化ビニル樹脂を使用した構造物、係る樹脂組成物を主成分とする被覆材、並びに係る樹脂組成物を使用する塩化ビニル樹脂の接着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主骨格にポリエーテル及び/又はポリエステル骨格を有する(メタ)アクリロイル基含有ウレタン樹脂は、柔軟性に富み、各種基材への接着剤用ベース樹脂として用いられ、繊維強化プラスチック用接着剤として有用であることが知られている(特許文献1参照)。
さらに、これをエポキシ樹脂と混合することで軟質塩化ビニル樹脂用接着剤とすることが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−238557号公報
【特許文献2】特開昭63−118388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら接着剤用ベース樹脂は、全てのプラスチック基材への接着性が優れるのではなく、特に、農業関連、下水道関連において、現在、幅広く使用されている塩化ビニル樹脂に対する単独使用での優れた接着性能は得られていない。また、ラジカル重合性樹脂には、特に可塑剤を含有した所謂、軟質塩化ビニル樹脂に対し接着できる樹脂はなく、表面サンディング、或いは、熱融着等により接着しているのが実情であった。また有機溶剤を用いる接着剤では、溶剤の揮発の問題等において、環境上、好ましくないという問題点があった。
【0004】
本発明の課題は、従来、接着に使用する際、被接着物を選択しなければならないという問題点のあったラジカル重合性樹脂において、被接着物を選択することなく使用できる接着剤の開発にあり、特に軟質塩化ビニル樹脂に対して優れた接着性能を示すラジカル重合性樹脂組成物、係る樹脂組成物及び塩化ビニル樹脂を使用した構造物、係る樹脂組成物を主成分とする被覆材、並びに係る樹脂組成物を使用する塩化ビニル樹脂の接着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、ポリカーボネートジオール(A1)とジイソシアネート化合物(A2)とを反応させてイソシアネート基含有化合物(A3)を得、次いで前記(A3)と1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物とを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)と、ジシクロペンテニル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)と、を含むことを特徴とする被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、係る被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を介して、基材に塩化ビニル樹脂層を設けてなることを特徴とする構造物を提供するものである。
また、本発明は、係る被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を使用することを特徴とする塩化ビニル樹脂の基材への接着方法を提供するものである。
また、本発明は、係る被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする被覆材を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、特に硬質塩化ビニル樹脂および軟質塩化ビニル樹脂同士を、あるいはポリ塩化ビニル樹脂を基材に対して、優れた接着性能で接着できる。また、ポリ塩化ビニル樹脂の被覆材(プライマー、塗料、シーリング材、パテ)として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、(メタ)アクリロイル基を有するカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)は、分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有するものである。かかる樹脂は、カーボネートジオール(A1)とジイソシアネート化合物(A2)とを、好ましくはイソシアネート基と水酸基との当量比(NCO/OH)が1.5〜2となるように反応させてイソシアネート基含有化合物(A3)を得、次いで前記(A3)と1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)とを、好ましくはイソシアネート基と水酸基との当量比(NCO/OH)がほぼ同じになるように各化合物を反応させて得られるものである。
【0008】
ここでいうポリカーボネートジオール(A1)とは、例えば、脂肪族2価アルコール及び/又は脂環式2価アルコールと炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸エステルとのエステル交換反応、アルキレン基を有する環状炭酸エステルの開環反応、ホスゲンと2価アルコールとの反応等により得られるもので、好ましくは数平均分子量が300〜3000、特に好ましくは500〜2000の範囲のものである。例えば、1,6−ヘキサンカーボネートジオール等の脂肪族カーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンカーボネートジオール等の脂環式カーボネートジオールが挙げられる。この数平均分子量は、300〜3000の範囲が好ましく、300未満であるとカーボネートに由来する特性が弱くなり、3000より大きいと、ポリイソシアネートとの反応および得られた化合物の粘度が上がり、実用上作業し難い。カーボネートジオール(A1)の製造に使用される原料の2価アルコールとしては、任意な構造を有するものが挙げられ、一例を挙げれば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
また、カーボネートジオール(A1)と、従来より知られているポリオキシプロピレンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレンジオール等のポリエーテルポリオール、或いは多価アルコールと多塩基性カルボン酸との縮合物であるポリエステルポリオールとを併用することもできるが、ジイソシアネート化合物(A2)と反応させるジオールとして、ポリカーボネートジオール(A1)を60質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。
【0009】
本発明において、ジイソシアネート化合物(A2)とは、分子中にイソシアネート基を2個有するものを指す。
前記ジイソシアネート化合物(A2)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、その異性体又はこれら異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略す)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、等を挙げることができ、これらを単独で又は2種以上併用して使用することができる。上記ジイソシアネート化合物(A2)のうち、特にイソシアネート基を2個有する脂肪族系のものが、得られる耐候性変色の観点から好ましく用いられる。
【0010】
前記1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)としては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等であり、更にポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の様な、水酸基を2個有するアルコールのモノ(メタ)アクリレート類;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の様な、3個以上の水酸基を有するアルコールの部分(メタ)アクリレート等を少量併用することができる。
【0011】
本発明で用いる重合性不飽和単量体(B)は、骨格中にジシクロペンテニル基を有するラジカル重合性のもので、具体的には、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、他のラジカル重合性単量体との併用も可能である。例えば、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ビニルナフタレン、エチルビニルエーテル、メチルビニール、ケトンメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、1−ビニルイミダゾール、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフィリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートより選ばれる一種以上のものである。
【0012】
本発明のラジカル重合性組成物は、硬化させる際に空気による硬化性阻害を防ぐ目的で、水酸基含有アリルエーテル化合物を前記1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)と併用して用いることもできる。例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2ーブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3ーブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等が挙げられ、水酸基を1個有するアリルエーテル化合物が好ましい。
【0013】
本発明において、(メタ)アクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)の製造方法の一例を挙げれば、先ずジイソシアネート化合物(A2)と、好ましくは数平均分子量300〜3000の範囲のポリカーボネートジオール(A1)とを、(A2)/(A1)=2〜1.5モル比で反応させ、イソシアネート基含有化合物(A3)を生成し、次いでそれに1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)を、イソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応する方法が挙げられる。
【0014】
本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)と前記重合性不飽和単量体(B)とを含む。中でも、前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)90〜10質量部と、前記重合性不飽和単量体(B)10〜90質量部とを相互溶解したものが好ましい。
【0015】
本発明の樹脂組成物には、重合禁止剤を添加するのが好ましく、該重合禁止剤としては、例えば、トリハイドロキノン、ハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、パラベンゾキノン、トルハイドロノン、p−tert−ブチルカテコール、2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、樹脂組成物中10〜1000ppmが好ましい。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、通常硬化剤を添加して硬化する。添加し得る硬化剤としては、紫外線硬化剤、電子線硬化剤、光硬化剤、熱硬化剤から選択される1種類以上のものが挙げられる。硬化剤の使用量は、該樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0017】
前記紫外線硬化剤とは、光増感性物質であり、その具体的なものとしては、例えば、ベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系;ベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系;ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系などが挙げられる。
【0018】
前記電子線硬化剤としては、例えば、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物などが挙げられる。
【0019】
前記光硬化剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、アルキルチオキサントン系化合物、スルホニウム塩系化合物が挙げられる。
【0020】
前記熱硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的には例えば、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の公知のものが使用でき、混練条件、養生温度等で適宜選択される。
【0021】
また、本発明の樹脂組成物に、硬化促進剤としてナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルトなどの有機金属塩、アミン系、β−ジケトン類等の公知のものを併用することが出来る。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、一般に知られている不飽和ポリエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、ビニルエステルウレタン樹脂、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、アクリル樹脂類、アルキッド樹脂類、尿素樹脂類、メラニン樹脂類、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル系共重合体、ポリジエン系エラストマー、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類;ニトロセルローズ、セルローズアセテートブチレートなどのセルローズ誘導体;アマニ油、桐油、大豆油、ヒマシ油、エポキシ化油等の油脂類など、他の慣用の天然および合成高分子化合物を本発明の効果を損なわない範囲で添加できる。
【0023】
また、本発明の樹脂組成物にガラス繊維、炭素繊維、有機繊維、金属繊維等を補強材として5〜70質量%添加できる。
本発明の樹脂組成物には、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、シリカパウダー、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、ガラスビーズ、砕砂等の充填剤を配合してパテ、シーリング剤、塗料、被覆材として使用することができる。また布、クラフト紙への含浸補強を行う材料としても有効である。さらにステアリン酸亜鉛、チタン白、亜鉛華、その他各種顔料、染料、安定剤、難燃剤等の公知の他の添加剤を添加することもできる。
【0024】
本発明の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物は、好ましくはポリ塩化ビニルを有する部位に対して用いられ、ポリ塩化ビニル同士の接着剤あるいはポリ塩化ビニルの基材への接着剤、前記接着剤のベース樹脂、ポリ塩化ビニルに対して用いるプライマーや塗料、各種基材ポリ塩化ビニル樹脂に対する被覆材、フィルムラミネート材、パテ、ペースト、繊維強化材を用いた接着用樹脂、及びインキビヒクル等、被覆接着を必要とする用途に好適であるが、特にこれらに制限されるものではない。
本発明において基材とは、軟質塩化ビニル樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、或いは金属、繊維、紙、皮革、プラスチックであり、特に塩化ビニル樹脂と該基材とを強固に接着、被覆する用途に使用可能である。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、従来の接着剤では良好な接着性能を示すことができなかった塩化ビニル樹脂、特に軟質塩化ビニル樹脂に対しても、優れた接着性能を示すものである。従って、本発明の樹脂組成物を介して、基材に塩化ビニル樹脂層を設けてなる本発明の構造物は、この優れた接着性能を活かしたものであり、塩化ビニル樹脂層は基材上に安定して固定化される。このように、本発明の樹脂組成物を使用する、塩化ビニル樹脂の基材への接着方法は、従来にない優れた方法である。この時の接着方法としては、接着剤として本発明の樹脂組成物を使用すること以外は、公知の方法を適用すれば良い。本発明の構造物は、上記の通り、前記基材、本発明の樹脂組成物及び塩化ビニル樹脂をこの順に積層してなるものであるが、前記基材と本発明の樹脂組成物との間には、公知のエポキシ系、ウレタン系、イソシアネート系、アクリル系、水性分散体等のプライマーを使用しても良い。
【実施例】
【0026】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また文章中「部」とあるのは、質量部を示すものである。
【0027】
(合成例1)メタクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂の調製
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(宇部興産製UH−CARB100、数平均分子量1000)を510部仕込み、IPDIを222部加え発熱を抑制しながら80℃で4時間反応させた。NCO当量が理論値とほぼ同じ732となり安定したので40℃迄冷却し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを137部加え、反応促進触媒としてスズ触媒を0.037部添加し、空気雰囲気下90℃で7時間反応させた。NCO%が0.3質量%以下となったので、ハイドロキノン0.05部を加え、メタクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂を得た。
【0028】
(合成例2)メタクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂の調製
実施例1と全く同一の反応装置にポリカーボネートジオール(宇部興産製UH−CARB100、数平均分子量1000)を510部仕込み、次に、TDIを174部加え、発熱に注意しながら80℃で4時間保持した。NCO等量が理論値とほぼ同じ684となり安定したので40℃迄冷却し、空気雰囲気下で2−ヒドロキシエチルメタクリレート137部を加え、反応促進触媒としてスズ触媒を0.037部添加し、90℃で5時間反応させた。NCO%が0.3質量%以下となったので、ハイドロキノン0.049部を加え、メタクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂を得た。
【0029】
(合成例3)ポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレート樹脂組成物の調製
ポリオールジオール(三井化学社製アクトコール、数平均分子量700)を283部、TDIを144部仕込み、窒素雰囲気中で反応温度を80℃に保持し、5時間後理論NCO当量516を確認した。30℃迄冷却し、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを109部仕込み、窒素雰囲気中において80℃で4時間反応させ、NCO%が0.3質量%以下になったので、ハイドロキノン0.08部を加え、ポリエーテル骨格含有ウレタンアクリレート樹脂組成物を得た。
【0030】
(合成例4)不飽和ポリエステルの調製
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、プロピレングリコール608部、無水マレイン酸392部、無水フタル酸592部を仕込み、窒素気流下、加熱を開始した。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行い、ガードナー粘度がQ〜R(ソリッド/スチレン=70/30質量比率で希釈し、ソリッドの縮合度を確認)、酸価が24KOHmg/gになったところで、180℃まで冷却し、トルハイドロキノン0.09部を添加した。さらに150℃まで冷却し、不飽和ポリエステルソリッドを得た。
【0031】
(実施例1)
合成例1により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。得られた樹脂は、臭気も少ない樹脂組成物であった。
【0032】
(実施例2)
合成例2により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。得られた樹脂は、臭気も少ない樹脂組成物であった。
【0033】
(比較例1)
合成例3により得られたウレタン樹脂200部をスチレン108部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製熱硬化剤)を3部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。
【0034】
(比較例2)
合成例3により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。
【0035】
(比較例3)
合成例1により得られたウレタン樹脂200部をスチレン108部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製)を3部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。
【0036】
(比較例4)
合成例4により得られた不飽和ポリエステルソリッド100部をスチレン167部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.4部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製)を1.5部添加、混合させ、下記接着性評価法に従い、接着性評価を行った。
【0037】
上記樹脂組成物の接着性能について、基材として塩化ビニル樹脂(以下、PVCと略す)を用い評価を行った。
(接着性評価:実施例1〜2、比較例1〜4)
基材として市販の硬質塩化ビニル樹脂(硬質PVC、タキロン社製、3mm厚、グレー色)を、縦長さ100mm、幅25mmに切削し、表面を軽くアセトンにて脱脂して埃を取り除いた。その後、2枚の試験片に、接着面積が25mm×25mmとなる様に上記各種樹脂組成物を塗布し、樹脂組成物が硬化するまで接着部分がずれない様に重りを載せて硬化させ、さらに60℃の乾燥機に1時間入れ、樹脂組成物を完全硬化させた。
接着性評価試験は、JIS−K−6850に準じ、引張剪断(引張速度5mm/分)試験により行い、剪断強さ及び試験後の接着界面の状態を観察した。試験により硬質PVC基材が破壊した場合を基材破壊と表記した。基材界面で剥離してしまっている場合は、接着性能が劣り、評価判定を不良:×とし、接着力が基材強度に勝り、基材破壊する場合は、評価判定を良好:○とした。
次に、基材である軟質塩化ビニル樹脂(軟質PVC)との接着性能評価法について、以下記す。
軟質PVCは、塩化ビニル樹脂パウダー(新第一塩ビ社製ZEST1000Z)100部に、可塑剤としてジオクチルフタレート50部を添加し、粉末バリウム/亜鉛系安定剤2部を常温ブレンド後、170℃の加熱ミキシングロールにて5分間、均一に溶融練りを行い、厚さ約1mm厚の軟質PVCシートを得た。得られた軟質PVCシートを、長さ200mm、幅25mmの短冊状に切断し、上記各樹脂組成物を縦長さ150mm×幅25mmの面積に均一に塗布し、上から同短冊を重ねて試験片とし、気泡を抜きながら軽く抑え、2枚のガラス板に前記試験片を挟み、樹脂組成物を硬化させた。その後、前記試験片をガラス板に挟んだまま、60℃の乾燥機に1時間入れ、樹脂組成物を完全硬化させた。
接着性評価試験は、JIS−K−6854に準じ、180度剥離試験(T字剥離試験、10mm/分)により行い、剥離強さ及び試験後の接着界面の状態を観察した。試験により、一方の面のみに接着剤がつき、界面剥離してしまっている場合を不良:×とし、接着剤層自体が破壊され、基材の両面に付着し、接着強さが得られている場合を良好:○として評価した。
以上の結果から、硬質PVC基材及び軟質PVC基材の両方に対する接着性の総合判定を行い、両方の基材に対し良好に接着するものを良好:○、そうでないものを不良:×として評価した。結果を表1及び2に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
上表より、本発明の樹脂組成物は、硬質PVC基材同士、及び従来の接着剤では接着し得なかった軟質PVC基材同士の接着性においても、優れた接着特性を示していることが判った。
【0041】
(実施例3)
合成例1により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させた。基材として用いる冷間圧延鋼板(2mm厚、JISG3141 SPCC−SD)の表面をアセトン脱脂し、イソシアネート系のプライマーであるプライマーPD(商品名、大日本インキ化学工業社製)を、刷毛を用いて塗布し、常温で1時間乾燥させ、その鋼板表面に、先に調製した促進剤及び硬化剤を添加した樹脂組成物を均一に塗布し、直ちに、前記接着性評価の項で用いたシート状の軟質塩化ビニル樹脂(軟質PVC)を空気が入らない様に載せ、常温で1日放置、硬化させ、軟質塩化ビニル樹脂シート/本発明の樹脂組成物/鋼板基材からなる構造物を作成した。
完全硬化後、軟質塩化ビニル樹脂シートの角をカッターの刃を用いて剥がそうとしたが、軟質塩化ビニル樹脂シートは、本発明の樹脂組成物により鋼板基材と一体化しており、容易に剥がすことができず、軟質塩化ビニル樹脂シートと鋼板基材の一体構造物が得られた。
【0042】
(実施例4)
合成例1により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させた。基材として、30cm大、厚み3cmのJIS準拠のコンクリート板の極表面を、ディスクサンダーで平滑に削り、そのコンクリート板表面からエアーガンで削りかすを除去し、続いて、その表面にイソシアネート系のプライマーであるプライマーPD(商品名、大日本インキ化学工業社製)を、刷毛を用い塗布し、常温で1時間乾燥させ、コンクリート板を調製した。そのコンクリート板の上に、先に調製した促進剤及び硬化剤を添加した樹脂組成物を均一に塗布し、直ちに、前記接着性評価の項で用いたシート状の軟質塩化ビニル樹脂(軟質PVC)を空気が入らない様に載せ、常温で1日放置、硬化させ、軟質塩化ビニル樹脂シート/本発明の樹脂組成物/JIS準拠のコンクリート板基材からなる構造物を作成した。
完全硬化後、軟質塩化ビニル樹脂シートの角をカッターの刃を用いて剥がそうとしたが、本発明の樹脂組成物により、軟質塩化ビニル樹脂シートは、コンクリート板基材と一体化しており、容易に剥がすことができず、軟質塩化ビニル樹脂シートとコンクリート板基材の一体構造物が得られた。
【0043】
(比較例5)
合成例4により得られた不飽和ポリエステルソリッド100部をスチレン167部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.4部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製)を1.5部添加、混合させた。上記樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、軟質塩化ビニル樹脂シート/樹脂組成物/鋼板基材からなる成形品を作成した。そして、実施例3と同様にして、カッターの刃で軟質塩化ビニルシートの角を剥がそうとすると、樹脂組成物と軟質塩化ビニルシートとの界面で容易に剥がれ、軟質塩化ビニル樹脂シートと鋼板基材の一体構造物は得られなかった。
【0044】
(比較例6)
合成例4により得られた不飽和ポリエステルソリッド100部をスチレン167部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.4部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製)を1.5部添加、混合させた。上記樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、軟質塩化ビニル樹脂シート/樹脂組成物/コンクリート板基材からなる成形品を作成した。そして、実施例4と同様にして、カッターの刃で軟質塩化ビニルシートの角を剥がそうとすると、樹脂組成物と軟質塩化ビニルシートとの界面で容易に剥がれ、軟質塩化ビニル樹脂シートとコンクリート板基材の一体構造物は得られなかった。
【0045】
(実施例5)
合成例1により得られたウレタン樹脂100部をジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)186部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、促進剤として8%オクテン酸コバルト0.6部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤328E(商品名、化薬アクゾ社製)を3部添加、混合させた。実施例1〜2の接着性評価に用いた硬質及び軟質塩化ビニル樹脂の基材の上に、0.25mmのアプリケーターを用い、本発明の樹脂組成物を均一塗布にし、常温で硬化後、60℃で1時間完全硬化させ、本発明の樹脂組成物で被覆された硬質または軟質塩化ビニル樹脂シート状被覆構造物を作成した。
硬化後、本発明の樹脂組成物被膜を、カッターの刃を用い、端部から塩化ビニル樹脂基材から剥がそうとしたが、基材に対し十分密着しており、剥がれず、塩化ビニル樹脂と一体となっていることを確認した。
【0046】
(比較例7)
合成例4により得られた不飽和ポリエステルソリッド100部をスチレン167部に加熱溶解させ、ラジカル重合性樹脂組成物を得、更に促進剤として8%オクテン酸コバルト0.4部を添加して均一になる様混合し、ラジカル硬化剤パーメックN(商品名、日本油脂社製)を1.5部添加、混合させた。上記樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂組成物被膜をカッターの刃を用い、端部から塩化ビニル樹脂基材から剥がそうとすると、基材に対し密着性が不十分のため、容易に被膜が剥がれ、塩化ビニル樹脂との一体被膜は得られなかった。
【0047】
以上のように、本発明により、硬質塩化ビニル樹脂、及び従来の接着剤では良好に接着できなかった軟質塩化ビニル樹脂に対しても優れた接着性能を示す被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を提供でき有用である。そして、本発明の樹脂組成物を基材へ塗布し塩化ビニル樹脂を被覆接着できるので、塩ビ鋼板、塩ビ化粧板、塩ビ積層体等の製造に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、特に各種塩化ビニル樹脂の基材への接着、各種塩化ビニル樹脂の被覆に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートジオール(A1)とジイソシアネート化合物(A2)とを反応させてイソシアネート基含有化合物(A3)を得、次いで前記(A3)と1個の水酸基を含有する(メタ)アクリル化合物(A4)とを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有するポリカーボネート骨格含有ウレタン樹脂(A)と、
ジシクロペンテニル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)と、
を含むことを特徴とする被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネートジオール(A1)の数平均分子量が、300〜3000である請求項1に記載の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリカーボネートジオール(A1)が、脂肪族又は脂環式カーボネートジオールである請求項1又は2に記載の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を介して、基材に塩化ビニル樹脂層を設けてなることを特徴とする構造物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を使用することを特徴とする塩化ビニル樹脂の基材への接着方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆接着用ラジカル重合性樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする被覆材。




【公開番号】特開2008−69307(P2008−69307A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250810(P2006−250810)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(505273017)ディーエイチ・マテリアル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】