説明

被覆材料及び土木建築構造体

【課題】 表面乾燥性、上塗り適合性、作業性に優れた被覆材料、特に舗装材及び床材、及び土木建築構造体を提供する。
【解決手段】 ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)とを含んでなる被覆材料であって、前記充填剤(B)のJIS A 1109に規定する方法で測定される密度が下記関係式を満足する被覆材料及びこれを用いた土木建築構造体に関する。
α×0.1≦充填剤(B)の密度≦α×0.9
(式中、αは、ラジカル硬化性樹脂のJIS B 7525に規定する方法で測定される比重を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面乾燥性、上塗り適合性、作業性に優れた被覆材料、特に舗装用及び床用として有用な被覆材料、及び土木建築構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆材料として使用されている代表的な樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などがある。しかしながら、これらの樹脂は硬化が遅く、長い施工時間が必要である。
また被覆材料用樹脂としては、上記の樹脂以外に、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が知られており、これらはラジカル硬化のため、硬化が速く、施工時間を短くすることが可能であるが、嫌気性である為、表面硬化性及び薄膜での硬化性に問題があった。
この問題に対し、パラフィンワックスの添加及び空気乾燥性樹脂を併用する(例えば特許文献1参照)ことが実施、提案されてきている。
【0003】
しかし、基材に塗布した被覆材料が硬化する前にパラフィンワックスが流れ、ワックスの浮きムラが発生する場合や、樹脂の吸込みが激しい基材や骨材の頭等、被覆材料が極薄になる場合では、硬化性に問題があった。
【0004】
この問題に対し、パラフィンワックスの添加量を増やす方法が有効であるが、塗膜の二次接着性及びハジキ等の上塗り適合性の問題が発生する。また、別の手法として、空気乾燥性樹脂を増やす方法も有効であるが、耐薬品性が低下したり、貯蔵安定性が低下するなどの問題があった。
【特許文献1】特開平11−209628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表面乾燥性、上塗り適合性、作業性に優れた被覆材料、特に舗装材及び床材、及び土木建築構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、特定の充填剤を用いると、作業性を改良することができるとともに、被覆材料の吸込みが激しい基材や被覆材料が極薄となる骨材の頭等での表面乾燥性を改良することができ、更に、ハジキ等の上塗り適合性を改良することができることを発見するに及んで、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)とを含んでなる被覆材料であって、前記充填剤(B)のJIS A 1109に規定する方法で測定される密度が下記関係式を満足することを特徴とする被覆材料を提供するものである。
α×0.1≦充填剤(B)の密度≦α×0.9
(式中、αは、ラジカル硬化性樹脂のJIS B 7525に規定する方法で測定される比重を表す。)
また本発明は、土木建築用基材に前記のラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)とを含む被覆材料を塗布してなる土木建築用構造体であって、被覆材料層が、層表面で前記充填剤(B)成分が豊富な傾斜構造を有することを特徴とする土木建築用構造体を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の被覆材料は、硬化が速く施工時間を短くすることが可能であるとともに、充填剤の比重が、ラジカル硬化性樹脂より小さく、充填剤が表面に浮き上がるため、表面乾燥性及び上塗り適合性に優れ、さらに、被覆材料自体の比重が軽量化される為、鏝、ローラー等の作業性に優れ、特に下地条件が千差万別である舗装および床等土木建築分野の被覆材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するラジカル硬化性樹脂(A)としては、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独又は2種以上用いることができる。
ラジカル硬化性樹脂(A)のそれぞれの平均分子量は、作業性に影響する粘度及び硬化後の物性の点等から、ビニルエステル樹脂は400〜1500が好ましく、ビニルウレタン樹脂は700〜4000、メタクリル樹脂は5000〜200000、不飽和ポリエステル樹脂は1000〜5000が好ましい。
【0009】
ラジカル硬化性樹脂(A)には、重合性単量体を含んでいてもよい。
かかる重合性単量体としては、例えばスチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、フェノキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。さらに必要に応じ、これらの重合性単量体にエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能重合性単量体を併用することもできる。
【0010】
ビニルエステル樹脂としては、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、飽和あるいは不飽和ポリエステル樹脂の末端官能基に(メタ)アクリル化合物を反応させたポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、末端カルボキシル基を有するポリブタジエンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によって製造されるポリブタジエンタイプのビニルエステル樹脂などが挙げられる。これらのビニルエステル樹脂は、耐食性及び機械的強度が優れるものである。
【0011】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えばビスフェノールタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたもの、ノボラックタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたものが挙げられる。
【0012】
前記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0013】
また前記ノボラックタイプのエポキシ樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂又はノボラック型クレゾール樹脂とエピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0014】
さらにポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、飽和二塩基酸類と多価アルコールとの縮合反応で得られる飽和ポリエステルと(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるもの、α,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコールとの縮合反応で得られる不飽和ポリエステルと(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。
【0015】
ここでいう飽和二塩基酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4‘−ビフェニルジカルボン酸、またはこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。
【0016】
また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0017】
不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。
【0018】
本発明に用いる(メタ)アクリル化合物としては、不飽和グリシジル化合物、アクリル酸またはメタクリル酸の如き各種の不飽和一塩基酸、及びそのグリシジルエステル類等が挙げられ、これらのうち、グリシジル(メタ)アクリレートの使用が好ましい。
【0019】
前記の不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノブテンマレート、ソルビン酸またはモノ(2−エチルヘキシル)マレート等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いられる。
【0020】
本発明に使用するラジカル硬化性樹脂(A)として用いるビニルウレタン樹脂は、ポリオール、イソシアネート、および水酸基含有(メタ)アクリレートを原料とするウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーである。
【0021】
かかるウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、上記ポリオールとイソシアネートとを反応させて、末端イソシアネート基含有プレポリマーを得、次いでこれに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得ることができる。
【0022】
上記ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシプロピレンジオール、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられ、またポリエステルポリオールとしては、二塩基酸又はその酸無水物と多価アルコールとの重縮合物が挙げられる。
【0023】
かかる二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0024】
かかる多価アルコールとしては、前記ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として掲げたものを用いることができる。
【0025】
次にイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体又は異性体の混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートのうち、ジイソシアネートが好ましい。これらを単独又は2種以上併用して用いられる。
【0026】
また前記した水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
【0027】
本発明に使用するラジカル硬化性樹脂(A)として用いられるメタクリル樹脂としては、例えばスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、フマル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル類を重合せしめたものが挙げられ、これらを単独又は二種以上併用して用いられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチルを主成分として重合せしめたものが好ましい。
【0028】
次に本発明に使用するラジカル硬化性樹脂(A)として用いられる不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来一般の不飽和ポリエステル樹脂成形品に慣用されている公知の不飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。公知の不飽和ポリエステル樹脂としては、例えばα,β−エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸、又はα,β−エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸とα,β−エチレン性不飽和二重結合を有さない飽和のカルボン酸と多価アルコールとの縮合反応により得られる不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0029】
かかるα,β―エチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸が挙げられ、飽和カルボン酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いられる。
多価アルコールとしては、前記した多価アルコールを用いることができる。
【0030】
次に、本発明の被覆材料に使用する充填剤(B)について説明する。
充填剤(B)は、JIS A 1109に規定する方法で測定される密度が、下記の関係式を満たすものであることに特徴を有する。
α×0.1≦充填剤(B)の密度≦α×0.9
式中、αは、ラジカル硬化性樹脂のJIS B 7525に規定する方法で測定される比重を表すものである。
傾斜構造をとりつつ、充填剤の保持力を確保するには、α×0.3≦充填剤(B)の密度≦α×0.8であることが好ましい。
かかる充填剤(B)としては、例えば、珪砂、川砂、寒水石、大理石屑、砕石、水硬性ケイ酸塩材料、炭酸カルシウム粉、クレー、アルミナ粉、珪石粉、タルク、硫酸バリウム、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化アルミニウム、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、パラフィンワックスビーズ、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等が挙げられるが、特に、耐薬品性の点から、シリカバルーン、アルミナバルーンが好ましい。
これらの充填剤のうち、ポリエチレンビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、塩化ビニレンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーンが好ましい。
充填剤の形状としては、表面性の小さい、例えば球状のものが、内部硬化及び作業性の点から好ましい。
【0031】
充填剤(B)の平均粒子径は、作業環境及び膜厚の点から、1μm〜1.0mmであることが好ましい。特に、作業環境及び膜厚の幅の点から、10μm〜300μmが特に好ましい。1μm〜1.0mmの範囲であれば、配合時に粉塵を発生しにくく、作業環境が良好であり、膜厚の幅が狭くならない。
ここでいう平均粒子径とは、ふるい分け法によって測定した試験用ふるいの目開きで表したもの、及び顕微鏡法による円相当径で表したものをいう。
すなわち、前記平均粒子径のうち、0.1mm〜1.0mmの範囲をふるい分け法で測定し、それより小さい1μm〜0.1mmの範囲を顕微鏡法による円相当径で測定したものである。
【0032】
本発明に使用する充填剤(B)の配合量は、ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対し、0.1〜500重量部が好ましく、0.5〜20重量部が特に好ましい。0.1〜500重量部であれば、表面乾燥性と上塗り適合性とを発揮することができる。
【0033】
本発明の被覆材料には、必要に応じ、パラフィンワックス、分散剤、揺変剤、有機酸金属石鹸類、及び重合禁止剤を添加することができる。
【0034】
また本発明の被覆材料を硬化させるためにラジカル硬化剤、光ラジカル開始剤、硬化促進剤を使用することができる。
【0035】
ラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられる。かかる有機過酸化物としては、具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知公用のものが挙げられる。
【0036】
光ラジカル開始剤とは、光増感剤であり具体的にはベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系やベンゾフェノン等が挙げられる。
【0037】
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等の金属石鹸類やコバルトアセチルアセテートのような金属キレート類、アニリンやN,N−ジメチルアニリン等のN,N−置換アニリン類等が挙げられる。
【0038】
本発明の土木建築用構造体は、土木建築用基材に前記被覆材料を塗布してなる土木建築用構造体であり、被覆材料層が、層表面で前記充填剤(B)成分が豊富な傾斜構造を有するものである。
この土木建築用基材としては、コンクリートやアスファルト等が挙げられる。
本発明の充填剤(B)の密度が、熱硬化性樹脂(A)の比重に比べて低いため、本発明の土木建築用構造体は、その被覆層の表面で充填剤(B)成分が豊富な傾斜構造をとるものである。被覆層が、かかる傾斜構造であるため、土木建築用構造体は、表面乾燥性及び上塗り適合性に優れ、さらに、被覆材料自体の比重が軽量化される為、鏝、ローラー等の作業性に優れる。
本発明の土木建築用構造体としては、例えば床材、道路舗装材、注入材、シール材、ライニング材等がある。
【実施例】
【0039】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中に「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0040】
(実施例1)
ビニルエステル樹脂として、比重が1.12のディオバーNS−18[大日本インキ化学工業(株)製]100重量部に対し、促進剤である8%オクチルコバルトを1重量部、硬化剤であるカヤメックL[メチルエチルケトンパーオキサイド、化薬アクゾ(株)製]を1.5重量部配合した樹脂に、密度が0.7のフィライト[シリカバルーンとアルミナバルーンとの混合物、日本フィライト(株)製]5重量部を加え、攪拌混合した被覆材料を繊維強化セメント板に150g/m塗布し、作業性及び表面乾燥性評価を行った。表面乾燥後にディオバーNS−800[ビニルエステル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製]を塗布し、上塗り適合性「JIS K 5600−3−4」の評価を行った。
結果は表−1に示す。
【0041】
(実施例2)
ビニルウレタン樹脂として、比重が1.02のディオバーVU−180[大日本インキ化学工業(株)製]を用いること以外は実施例1と同様に評価を行った。
【0042】
(実施例3)
不飽和ポリエステル樹脂として、比重が1.10のポリライトFR−200N[大日本インキ化学工業(株)製]を用いること以外は実施例1と同様に評価を行った。
【0043】
(実施例4)
ビニルエステル樹脂として、比重が1.12のディオバーNS−312[大日本インキ化学工業(株)製]100重量部に対し、促進剤である8%オクチルコバルトを1重量部、硬化剤であるカヤメックL[化薬アクゾ(株)製]を1.5重量部配合した樹脂に、粒径10μm〜0.3mmの混合珪砂150重量部、フィライト5重量部を加え、攪拌混合した被覆材料を繊維強化セメント板に、1000g/m塗布し、作業性及び表面乾燥性評価を行った。表面乾燥後にディオバーNS−800を塗布し、上塗り適合性の評価を行った。
【0044】
比較例1〜4
前記実施例1〜4の被覆材料のうち、フィライトの代わりに密度2.7の珪砂を用いること以外、前記実施例を同様の操作を行い硬化させたものについて、実施例1と同様に、評価を行った。
【0045】
<測定方法及び評価基準>
[表面乾燥性]
実施例で得られた被覆材料を試料として、刷毛または鏝にてコンクリート製舗道板に塗布し、その塗膜の塗膜表面乾燥状態を観察した。表面乾燥状態は5段階で評価した。
塗膜表面が100%乾燥し、最初に指触乾燥した箇所と最後に指触乾燥した時間差が10分以内のものを「5」、塗膜表面が100%乾燥し、最初に指触乾燥した箇所と最後に指触乾燥した時間差が10分以上のものを「4」、塗膜表面に一部乾燥しない部分が発生したものを「3」、塗膜表面の大部分が乾燥しないものを「2」、塗膜表面が全く乾燥しないものを「1」とした。
【0046】
[作業性]
実施例1〜4で得られた被覆材料を刷毛または鏝にてコンクリート製舗道板に塗布し、その作業性を評価した。作業性は3段階で評価した。
ここでいう作業性とは、JIS K 5600−1−1の4.2(塗装作業性)に準じる。
特に問題ないものを「○」、○と評価したものと比較し、作業性の劣るものを「△」、塗膜と均一に仕上げるのに支障のあるものを「×」とした。
【0047】
[上塗り適合性]
前記実施例で得られた被覆材料を試料として、JIS K 5600−3−4で規定する方法に基づいて上塗り適合性を測定した。主に、ハジキ有無について観察を行った。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)とを含んでなる被覆材料であって、前記充填剤(B)のJIS A 109に規定する方法で測定される密度が下記関係式を満足することを特徴とする被覆材料。
α×0.1≦充填剤(B)の密度≦α×0.9
(式中、αは、ラジカル硬化性樹脂(A)のJIS B 7525に規定する方法で測定される比重を表す。)
【請求項2】
前記充填剤(B)の平均粒子径が、1μm〜1mmである請求項1記載の被覆材料。
【請求項3】
前記充填剤(B)が、前記ラジカル硬化性樹脂(A)100重量部に対し0.1〜500重量部である請求項1又は2記載の被覆材料。
【請求項4】
土木建築用基材に請求項1〜3のいずれかのラジカル硬化性樹脂(A)と充填剤(B)とを含む被覆材料を塗布してなる土木建築用構造体であって、被覆材料層が、層表面で前記充填剤(B)成分が豊富な傾斜構造を有することを特徴とする土木建築用構造体。

【公開番号】特開2006−206676(P2006−206676A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18133(P2005−18133)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】