説明

被覆粒状組成物

【課題】生物活性物質の溶出特性を制御することができ、動力散布機を用いて散布しても生物活性物質の溶出特性が変化しにくい被覆粒状組成物を提供すること。
【課題手段】生物活性物質を含有する粒状物質の表面に被覆層が設けられており、該被覆層は、ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分との重合物であってオキシカルボニル[−O−C(=O)−]の部分構造を分子内に有するウレタン樹脂を含むウレタン樹脂層と、該ウレタン樹脂層の外側に設けられた、植物硬化油を含む保護層とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物活性物質含有の被覆粒状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、肥料、殺虫剤、殺菌剤などの生物活性物質に被覆を行い、生物活性物質の溶出を制御することができる被覆粒状組成物が知られている。
また、この被覆粒状組成物に用いられる被覆材料としては、生分解性が劣る材料を用いると、施用後も水田や畑地等の被覆粒状組成物の施用場所で分解されない被覆材料が長期間残存してしまうので、生分解性に優れる材料が望ましい。
【0003】
特許文献1〜6には、被覆層の被覆材料として特定のウレタン樹脂が用いられた生物活性物質含有の被覆粒状組成物が開示されている。
そして、特許文献1に記載の生物活性物質含有の被覆粒状組成物では、生物活性物質の溶出特性と、生分解性とを両立させることができる。
【0004】
肥料、殺虫剤、殺菌剤などの粒状の生物活性物質を散布する場合、動力散布機で行われることがある。そして、この動力散布機には、粒状の生物活性物質を送り出す送出部と、管状の散布用噴頭とを有しており、生物活性物質は送出部から散布用噴頭に送り出され、散布用噴頭に設けられている噴口から外部に噴出されることにより動力散布が行われる。
【0005】
動力散布機の散布用噴頭には、長手方向に複数の噴口と、前記噴口に対応させて配置された衝突板とを有するものがある。そして、このような散布用噴頭を用いることにより、動力散布機の使用時には、管内を通過する粒状の生物活性物質の一部を衝突板に衝突させて噴出方向を変えて、それぞれの噴口から噴出させることができ、広い範囲に散布を行うことができる。
このような散布用噴頭は、例えば、実公昭59−17400号公報、実開昭64−44060号公報などに開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−210960号公報
【特許文献2】特開2008−31012号公報
【特許文献3】特開2008−69068号公報
【特許文献4】特開2008−7370号公報
【特許文献5】特開2008−31034号公報
【特許文献6】特開2008−56555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、被覆粒状組成物を上記のような散布用噴頭を用いて動力散布を行うと、上記したように、一部の被覆粒状組成物が衝突板に衝突する。そのため、散布条件や被覆材料の種類によっては、この衝突によって被覆しているウレタン樹脂層が破損する場合がある。
そして、この被覆が破損すると、破損部分から溶出しやすくなる等により、生物活性物質の溶出特性(溶出プロファイル)が変化してしまう。
【0008】
また、被覆の破損を防止するために、被覆しているウレタン樹脂層を保護する保護層を設けることが考えられる。しかし、単に保護層を設けるのでは、保護層が生物活性物質の溶出を阻害するなど溶出特性が変化して、目的の溶出特性が得られなくなってしまうおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、被覆層によって生物活性物質の溶出特性を制御することができ、動力散布機を用いて散布しても生物活性物質の溶出特性が変化しにくい被覆粒状組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、このような状況において鋭意検討を行った結果、生物活性物質を含有する粒状物質の表面に被覆層が設けられてなる被覆粒状組成物において、ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合されてなるウレタン樹脂を含むウレタン樹脂層と、該ウレタン樹脂層の外側に設けられた、植物硬化油を含む保護層とを有する被覆層を用いることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の発明を含む。
[発明1]
生物活性物質を含有する粒状物質の表面に被覆層が設けられてなる被覆粒状組成物であって、
該被覆層が、
ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合されてなるウレタン樹脂を含むウレタン樹脂層と、
該ウレタン樹脂層の外側に設けられた、植物硬化油を含む保護層
とを有してなることを特徴とする被覆粒状組成物。
[発明2]
ポリエステルポリオールが、ポリエステルポリオール全量に対して、15%以上(重量換算)の割合のオキシカルボニル部分構造を分子内に有するものである発明1記載の被覆粒状組成物。
[発明3]
ポリイソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネートを含有するものである発明1又は2記載の被覆粒状組成物。
[発明4]
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との重量比が、5:95〜60:40である発明1〜3いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明5]
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との重量比が、5:95〜40:60である発明1〜3いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明6]
ポリイソシアネート成分におけるイソシアネート基と、ポリオール成分における水酸基とのモル比率が1:0.9〜1:1.5である発明1〜5いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明7]
ポリエステルポリオールの水酸基当量が、200〜1250である発明1〜6いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明8]
ポリエステルポリオールの分子量が、300〜5000である発明1〜7いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明9]
ポリエステルポリオールが、ポリエステルジオール及びポリエステルトリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である発明1〜8いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明10]
ポリエステルポリオールの少なくとも1種が、ポリカプロラクトンポリオールである発明1〜9いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明11]
ポリカプロラクトンポリオールが、ポリカプロラクトンジオール又はポリカプロラクトントリオールである発明10記載の被覆粒状組成物。
[発明12]
ポリオール成分が、さらに炭素数2〜8のポリメチレングリコールを含有するものである発明1〜11いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明13]
炭素数2〜8のポリメチレングリコールが、1,4−ブタンジオールである発明12記載の被覆粒状組成物。
[発明14]
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、炭素数2〜8のポリメチレングリコールの含有量が、1〜35重量%である発明12又は13記載の被覆粒状組成物。
[発明15]
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、ポリエステルポリオールの含有量が、15〜80重量%である発明1〜14いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明16]
ポリイソシアネート成分中の芳香族ポリイソシアネートの含有量が、80〜100重量パーセントである発明1〜15いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明17]
ポリイソシアネート成分の全量が、全てのイソシアネート基がベンゼン環に直接結合した芳香族ポリイソシアネート化合物である発明1〜15いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明18]
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、該芳香族ポリイソシアネートの含有量が、10〜50重量%である発明1〜17いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明19]
芳香族ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートである発明16〜18いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明20]
被覆粒状組成物全量に対する植物硬化油の含有割合が、0.1〜10重量%である発明1〜19いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明21]
植物硬化油が、硬化ひまし油である発明1〜20いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明22]
ウレタン樹脂のガラス転移温度が、20℃以下である発明1〜21いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明23]
ウレタン樹脂のガラス転移温度が、−50℃以上5℃以下である発明1〜21いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明24]
ウレタン樹脂層が、沸点が100℃以上である疎水性液状化合物を含む層である発明1〜23いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明25]
疎水性液状化合物が、流動パラフィンである発明24記載の被覆粒状組成物。
[発明26]
生物活性物質を含有する粒状物質が、粒状尿素である発明1〜25いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
[発明27]
長手方向に複数の噴口と前記噴口に対応させて配置された衝突板とが管内に設けられてなる管状の散布用噴頭を連結した動力散布機を用いて送出し、該散布用噴頭内の該衝突板に衝突させ、該噴口より水田又は畑地に落下させる工程を有してなる発明1〜26いずれか一項記載の被覆粒状組成物の施用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の被覆粒状組成物を用いることにより、含有される生物活性物質の溶出特性を制御したまま、動力散布機を用いて散布した場合においても、育苗箱施用や側条施用等の他の施用形態で用いた場合と対比しての生物活性物質の溶出特性が実質的に変化しないことから、所望の施用形態に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の被覆粒状組成物とは、生物活性物質が含有する粒状物質の表面に被覆層が設けられてなる被覆粒状組成物であって、該被覆層が、ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合されてなるウレタン樹脂を含むウレタン樹脂層と、該ウレタン樹脂層の外側に設けられた、植物硬化油を含む保護層とを有してなることを特徴とする被覆粒状組成物である。
【0014】
本発明の用いられる、生物活性物質を含有する粒状物質とは、生物活性物質そのものの粒状物でもよく、また、生物活性物質を担体に保持してなる粒状物質でもよい。さらに生物活性物質の粒状物又は生物活性物質を担体に保持してなる粒状物質を他の材料で被覆させてなる粒状物質としてもよい。
【0015】
本発明に用いられる生物活性物質として具体的には、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調整剤、忌避剤等の農薬の有効成分、及び、肥料の有効成分物質が挙げられる。
【0016】
そして、生物活性物質として使用される殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調整剤としては、フェニトロチオン[O,O−ジメチルO−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート]、フェンチオン[O,O−ジメチルO−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート]、ダイアジノン[O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート]、クロルピリホス[O,O−ジエチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート]、アセフェート[O,S−ジメチルアセチルホスホラミドチオエート]、メチダチオン[S−2,3−ジヒドロ−5−メトキシ−2−オキソ−1,3,4−チアジアゾール−3−イルメチルO,O−ジメチルホスホロジチオエート]、ジスルホトン[O,O−ジエチルS−2−エチルチオエチルホスホロジチオエート]、DDVP[2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェート]、スルプロホス[O−エチルO−4−(メチルチオ)フェニルS−プロピルホスホロジチオエート]、シアノホス[O−4−シアノフェニルO,O−ジメチルホスホロチオエート]、ジオキサベンゾホス[2−メトキシ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−2−スルフィド]、ジメトエート[O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート]、フェントエート[エチル2−ジメトキシホスフィノチオイルチオ(フェニル)アセテート]、マラチオン[ジエチル(ジメトキシホスフィノチオイルチオ)サクシネート]、トリクロルホン[ジメチル2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチルホスホネート]、アジンホスメチル[S−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イルメチルO,O−ジメチルホスホロジチオエート]、モノクロトホス[ジメチル−{(E)−1−メチル−2−(メチルカルバモイル)ビニル}ホスフェート]、エチオン[O,O,O’,O’−テトラエチル−S,S’−メチレンビス(ホスホロジチオエート)]等の有機リン系化合物、
BPMC[2−sec−ブチルフェニルメチルカーバメート]、ベンフラカルブ[エチル N−{2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ}−N−イソプロピル−β−アラニネート]、プロポキスル[2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート]、カルボスルファン[2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカーバメート]、カルバリル[1−ナフチル−N−メチルカーバメート]、メソミル[S−メチル−N−(メチルカルバモイルオキシ)チオアセトイミデート]、エチオフェンカルブ[2−(エチルチオメチル)フェニルメチルカーバメート]、アルジカルブ[2−メチル−2−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド O−メチルカルバモイルオキシム]、オキサミル[N,N−ジメチル−2−メチルカルバモイルオキシイミノ−2−(メチルチオ)アセトアミド]、フェノチオカルブ[S−4−フェノキシブチル−N,N−ジメチルチオカーバメート]等のカーバメート系化合物、
エトフェンプロックス[2−(4−エトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)オキシプロパン]、フェンバレレート[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート]、エスフェンバレレート[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート]、フェンプロパトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シペルメトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、ペルメトリン[3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シハロトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、デルタメトリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シクロプロトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート]、フルバリネート[α−シアノ−3−フェノキシベンジル N−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート]、ビフェンスリン[2−メチル−3−フェニルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、ハルフェンプロックス[2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)メチルプロパン]、トラロメトリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シラフルオフェン[(4−エトキシフェニル)−{3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン]、d−フェノトリン[3−フェノキシベンジル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、シフェノトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、d−レスメトリン[5−ベンジル−3−フリルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、アクリナスリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,3Z)−シス−(2,2−ジメチル−3−{3−オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル}シクロプロパンカルボキシレート)、シフルトリン[(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、テフルトリン[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、トランスフルスリン[2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、テトラメトリン[3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、アレトリン[(RS)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、プラレトリン[(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、エンペントリン[(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、イミプロスリン[2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、d−フラメトリン[5−(2−プロピニル)フルフリル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド系化合物、
ブプロフェジン[2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジン−4−オン]等のチアジアジン誘導体、ニトロイミダゾリジン誘導体、カルタップ[S,S’−(2−ジメチルアミノトリメチレン)ビス(チオカーバメート)]、チオシクラム[N,N−ジメチル−1,2,3−トリチアン−5−イルアミン]、ベンスルタップ[S,S’−2−ジメチルアミノトリメチレンジ(ベンゼンチオスルフォネート)]等のネライストキシン誘導体、N−シアノ−N’−メチル−N’−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン等のN−シアノアミジン誘導体、エンドスルファン[6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピンオキサイド]、γ−BHC[1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン]、ジコホル[1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル]等の塩素化炭化水素化合物、クロルフルアズロン[1−{3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]、テフルベンズロン[1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]、フルフェノクスロン[1−{4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−フルオロフェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、アミトラズ[N,N’−{(メチルイミノ)ジメチリジン}−ジ−2,4−キシリジン]、クロルジメホルム[N’−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチルメチニミダミド]等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン[N−(2,6−ジイソプロピル−4−フェノキシフェニル)−N’−t−ブチルカルボジイミド]等のチオ尿素誘導体、N−フェニルピラゾール系化合物、
メトキサジアゾン[5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン]、ブロモプロピレート[イソプロピル4,4’−ジブロモベンジレート]、テトラジホン[4−クロロフェニル 2,4,5−トリクロロフェニルスルホン]、キノメチオネート[S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカルボネート]、プロパルギット[2−(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロヘキシルプロピ−2−イルスルファイト]、フェンブタティンオキシド[ビス{トリス(2−メチル−2−フェニルプロピル)ティン}オキシド]、ヘキシチアゾクス[(4RS,5RS)−5−(4−クロロフェニル)−N−クロロヘキシル−4−メチル−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−カルボキサミド]、クロフェンテジン[3,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,2,4,5−テトラジン]、ピリダベン[2−tert−ブチル−5−(4−tert−ブチルベンジルチオ)−4−クロロピリダジン−3(2H)−オン]、フェンピロキシメート[tert−ブチル (E)−4−[(1,3−ジメチル−5−フェノキシピラゾール−4−イル)メチレンアミノオキシメチル]ベンゾエート]、デブフェンピラド[N−4−tert−ブチルベンジル)−4−クロロ−3−エチル−1−メチル−5−ピラゾールカルボキサミド]、ポリナクチンコンプレックス[テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン]、ピリミジフェン[5−クロロ−N−[2−{4−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルフェノキシ}エチル]−6−エチルピリミジン−4−アミン]、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン[AZAD]、5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、メチル 1−(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−カーバメート、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタノン、(E)−4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)−N−〔1−(イミダゾール−1−イル)−2−プロポキシエチリデン〕アニリン、1−〔N−プロピル−N−〔2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル〕カルバモイル〕イミダゾール、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、(E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、4−〔3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル〕−2,6−ジメチルモルホリン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール、O,O−ジエチル O−2−キノキサリニルホスホロチオエート、O−(6−エトキシ−2−エチル−4−ピリミジニル)O,O−ジメチル ホスホロチオエート、2−ジエチルアミノ−5,6−ジメチルピリミジン−4−イル ジメチルカーバメート、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル p−トルエンスルホナート、4−アミノ−6−(1,1−ジメチルエチル)−3−メチルチオ−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、2−クロロ−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−エトキシカルボニル−N−〔(4−クロロ−6−メトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−(2−クロロエトキシ)−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕フェニルメタンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕チオフェン−3−スルホンアミド、4−エトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕−1−メチルピラゾール−5−スルホンアミド、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−3−キノリンカルボン酸、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−5−エチル−3−ピリジンカルボン酸、メチル 6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−m−トルエート、メチル 2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−p−トルエート、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、N−(4−クロロフェニル)メチル−N−シクロペンチル−N'−フェニルウレア、(RS)−2−シアノ−N−[(R)−1(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3,3−ジメチルブチルアミド、N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチルイソベンゾフラン−4−イル)−5−クロロ−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキシアミド、N−[2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)−5−チアゾ−ルカルボキシアミド、2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−3−メチルシクロプロパンカルボキシアミド、メチル(E)−2−2−6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ−フェニル−3−メトキシアクリレイト、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド、ジイソプロピル=1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0017】
また、生物活性物質として使用される肥料の有効成分としては、植物栽培において養分を与えるために土壌に施される窒素、リン、カリウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素、鉄等の種々の元素を含有する物質が挙げられ、例えば、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素(UF)、アセトアルデヒド加工尿素(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料成分;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン、腐植酸リン、焼成リン、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安等のリン酸質肥料成分;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム等のカリウム質肥料成分;珪酸カルシウム等の珪酸質肥料成分;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料成分;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料成分;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料成分;ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素質肥料成分;鉄鋼スラグ等の含鉄肥料成分等を挙げることができる。
【0018】
生物活性物質を保持する担体としては、例えば、カオリナイト等のカオリン鉱物、モンモリロナイト、スメクタイト、タルク、蝋石、シリカ、含水珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、酸性白土等の鉱物質担体;セルロース、籾殻、澱粉、大豆粉等の植物質担体;乳糖、蔗糖、デキストリン、食塩、トリポリリン酸ナトリウム等の水溶性担体;アジピン酸ジデシル、綿実油、パーム油等の液体担体等が挙げられ、これらの担体は適宜組合わせて用いることが出来る。
【0019】
本発明に用いられる生物活性物質を含有する粒状物質の大きさは、特に限定されることはないが、通常0.1mm〜15mmであり、その形状は球状が好ましいが、円柱状等の他の形状であってもよい。
【0020】
本発明で用いられるウレタン樹脂層とは、ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合されてなるウレタン樹脂を含む層である。
【0021】
本発明に用いられるポリイソシアネート成分としては、例えば、芳香族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタレン−1、5‐ジイソシアネート(NDI)、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)またはその誘導体(イソシアヌレート体、ビウレット体、ウレトジオン体等の変性物)が挙げられる。本発明において、芳香族ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基がベンゼン環に1個の割合で直接結合している芳香族ポリイソシアネートが好ましく、そのような芳香族ポリイソシアネートとしては、具体的にはMDI、TODI、ポリメリックMDIが挙げられる。
【0022】
本発明に用いられるポリエステルポリオールとは、オキシカルボニル[−O−C(=O)−]部分構造を含むポリオールであり、例えば、次のポリエステルポリオールが挙げられる。
【0023】
本発明で用いられるポリエステルポリオールとしては、例えば分子の何れかの末端が下記の式(1)又は式(2)の構造であるポリエステルポリオールが挙げられる。
−[O−C(=O)−CHR−(CH2)p]m−OH 式(1)
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、pは0〜9の整数を表し、mは1以上の整数を表す。〕
−[O−C(=O)−Q−C(=O)−O−(CH2)r]n−OH 式(2)
〔式中、Qは炭素数1〜10アルキレン基又はフェニレン基を表し、rは1〜10の整数を表し、nは1以上の整数を表す。〕
【0024】
分子の何れかの末端が式(1)の構造であるポリエステルポリオールとしては、例えば低分子ポリオールに、ラクチドモノマー又はラクトンモノマーを開環重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
そのようなラクトン系ポリエステルポリオールとしては、具体的には低分子ポリオールに、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等を開環重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0025】
分子の何れかの末端が式(2)の構造であるポリエステルポリオールとしては、例えば低分子ジオールとジカルボン酸とを縮重合させることにより得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。
そのような縮合系ポリエステルポリオールとしては、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の低分子ポリオールと、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸とを縮重合させることにより得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0026】
ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールは、式(1)又は式(2)で示される末端構造を1分子中に2〜3個有するポリエステルポリオール、即ち水酸基をポリエステルポリオール1分子当り2〜3個の割合で有するポリエステルポリオールであることが好ましい。
ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールは、分子量300〜5000のポリエステルポリオールであることが好ましい。
尚、本発明において複数種の化合物を含む混合物における分子量は、数平均分子量を意味する。ポリマーにおける数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、末端基定量法等の一般的な方法によって求めることが出来る。
また本発明において、ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールの水酸基当量とは、水酸基1個あたりのポリエステルポリオールの分子量を意味する。水酸基当量はポリエステルポリオールの水酸基価より算出することもできる。
【0027】
本発明において、ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールとしては、好ましくは低分子ポリオールとε−カプロラクトンを開環重合させることにより得られるポリカプロラクトンポリオールである。
ポリカプロラクトンポリオールは、出発原料として用いる低分子ポリオールの種類およびε‐カプロラクトンの重合度により、得られるポリカプロラクトンポリオールの種類が異なる。以下に、1分子中の水酸基の数が2又は3個であるポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトンジオール又はポリカプロラクトントリオール)の典型的な構造を示す。該ポリカプロラクトンポリオールは1分子中に(1−オキソヘキサ−1,6−ジイル)オキシ構造(-C(=O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)を1以上有するポリオールである。
【0028】
【化1】

式(3)

〔上記の式中、mは0以上の整数、nは1以上の整数、R1は2価の有機残基(例えば、エチレン基、テトラメチレン基等)を表す。〕
【0029】
【化2】

式(4)

〔上記の式中、mおよびpは0以上の整数、nは1以上の整数、R2は3価の有機残基(例えば、プロパン−1,2,3−トリイル基等)を表す。〕
【0030】
ポリカプロラクトンポリオールの製造において、原料として用いられる低分子ポリオールは、1分子中に水酸基を2個有する化合物として例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールが挙げられ、1分子中に水酸基を3個有するポリオールとして例えば2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(慣用名:トリメチロールプロパン)、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリエタノールアミンが挙げられ、水酸基を4個以上有する化合物として、例えばジグリセリン、ポリグリセリンが挙げられる。
【0031】
例えば、エチレングリコール1分子にε−カプロラクトン6分子が開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオールの構造は、例えば以下の構造となる。
HO-[CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-C(=O)-O]3-CH2-CH2-[O-C(=O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2]3-OH
式(5)

このポリカプロラクトンポリオールにおけるオキシカルボニル[−O−C(=O)−]部分構造の重量割合は35%である。
(44×6)/(62+114×6)=0.354
[ε−カプロラクトン及びエチレングリコールの分子量は夫々114及び62であり、オキシカルボニル部分構造は分子量換算で44であるとした。]
【0032】
また、このポリカプロラクトンポリオールにおける水酸基当量は373である。
(62+114×6)/2=373
[ポリカプロラクトンポリオールの分子量を水酸基の数の2で除した。]
【0033】
本発明で好ましく用いうるポリカプロラクトンポリオールの分子量は、特に制限はないが、300〜5000のものが好ましく、400〜2500のものが更に好ましい。本発明で好ましく用いうるポリカプロラクトンポリオールの水酸基当量は200〜1250である。
【0034】
本発明において、ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールがポリカプロラクトンポリオールである場合、ポリイソシアネート成分及びポリオール成分の合計量に対して、ポリカプロラクトンポリオールは通常10〜90重量%の範囲であり、好ましくは30〜80重量%である。
【0035】
また、本発明で用いられるポリエステルポリオールの他の例として、式(6)で示される分子量300〜5000のヒドロキシ脂肪酸エステル(以下、本ヒドロキシ脂肪酸エステルと記す)が挙げられる。
【化3】

式(6)
〔式中、Xは-CH2-CH2-又は-CH=CH-を表し、nは1、2又は3を表し、mは0、1又は2を表し、n+mは2又は3である。n+mが2である場合、AはC2−C8アルカンジイル基を表し、n+mが3である場合、AはC3−C8アルカントリイル基を表す。〕
【0036】
本発明において、本ヒドロキシ脂肪酸エステルとは、低分子ポリオールにリシノレイン酸又は12−ヒドロキシステアリン酸を脱水縮合させることにより製造されるエステル化合物であり、低分子ポリオール1分子に対してリシノレイン酸又は12−ヒドロキシステアリン酸は1〜3分子の割合である。
本ヒドロキシ脂肪酸エステルの製造において、原料として用いられる低分子ポリオールは、1分子中に水酸基を2個有する化合物として例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールが挙げられ、1分子中に水酸基を3個有するポリオールとして例えば2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(慣用名:トリメチロールプロパン)、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,3−プロパントリオール(慣用名:グリセリン)が挙げられる。
式(6)において、原料として用いられる低分子ポリオールが1分子中に水酸基を2個有する化合物である場合、n+mは2であり、nは1又は2であり、AはC2−C8アルカンジイル基(例えば、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基)である、また低分子ポリオールが1分子中に水酸基を3個有する化合物である場合、n+mは3であり、nは1、2又は3であり、AはC3−C8アルカントリイル基(例えば、プロパン−1,2,3−トリイル基)である。
本ヒドロキシ脂肪酸エステルのうち、リシノレイン酸トリグリセリドはひまし油中の主成分であり、ひまし油を加水分解することによりリシノレイン酸を得ることができる。リシノレイン酸トリグリセリドとしてひまし油を用いることもできる。また、12−ヒドロキシステアリン酸はリシノレイン酸を水素添加することにより得ることができる。
本発明において本ヒドロキシ脂肪酸エステルは、リシノレイン酸トリグリセリドが好ましい。
本発明において、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、本ヒドロキシ脂肪酸エステルは好ましくは7〜60重量%であり、更に好ましくは10〜60重量%、また更に好ましくは14〜50重量%である。
【0037】
本発明に用いられるポリエステルポリオールとしては、ポリエステルポリオールに含まれるオキシカルボニル[−O−C(=O)−]部分構造を、ポリエステルポリオール全量に対して重量換算で15%以上含むものであることが好ましい。
【0038】
本発明において、ポリイソシアネート成分におけるイソシアネート基のモル数と、ポリオール成分に含まれるポリエステルポリオールにおける水酸基のモル数との比率であるモル比率は、好ましくは1:0.9〜1:1.5であり、より好ましくは1:1〜1:1.2である。
【0039】
本発明に用いられるポリオール成分としては、前記したポリエステルポリオールのみであってもよく、またポリエステルポリオールとともにさらに他のポリオールを含むものであってもよい。
他のポリオールとしては、例えば、次のポリオールが挙げられる。
炭素数10〜24のヒドロキシ脂肪酸(以下、本ヒドロキシ脂肪酸と記す)。
炭素数2〜8のポリメチレングリコール(以下、本ポリメチレングリコールと記す)。
下記に示されるジオール(以下、本分岐ジオールと記す)。
【化4】

式(7)
〔式中、ZはZ1又はZ2CO2CH2を表し、Z1及びZ2はC4〜C30の鎖状炭化水素基を表す。〕
【0040】
ポリオール成分として、本ヒドロキシ脂肪酸を使用する場合、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、11−ヒドロキシヘキサデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデセン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、2−ヒドロキシテトラコサン酸、ジヒドロキシミリスチン酸、ジヒドロキシパルミチン酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシアラキン酸、トリヒドロキシパルミチン酸等を用いることができる。
ウレタン樹脂を製造する点において、本ヒドロキシ脂肪酸の融点は低いほうが好ましく用いることができ、本発明においては本ヒドロキシ脂肪酸としては、12−ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
本発明において、ポリオール成分に本ヒドロキシ脂肪酸が含まれる場合、ポリイソシアネート成分及びポリオール成分の合計量に対して、本ヒドロキシ脂肪酸は1〜30重量%であることが好ましい。
【0041】
ポリオール成分として使用される本ポリメチレングリコールは、ポリメチレン基の両末端が水酸基であり、
構造式 HO−(CH2)n−OH 式(8)
〔式中、nは2〜8の整数を表す。〕である。

本ポリメチレングリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールが挙げられる。
本発明においては、本ポリメチレングリコールは1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールであることが好ましい。
【0042】
本発明で用いられる本分岐ジオールとしては、アルカン−1,2−ジオール(例えば、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、オクタン−1,2−ジオール、デカン−1,2−ジオール、ドデカン−1,2−ジオール等)、グリセリンモノ脂肪酸エステル(例えばグリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル等)が挙げられる。
本発明において、ポリイソシアネート成分と本ポリオールとの合計量に対して、本分岐ジオールは好ましくは1〜35重量%である。
ポリオール成分において、本ポリエステルポリオールと本分岐ジオールとのモル比は特に制限がないが、好ましくは9:1〜1:9である。
【0043】
さらに、ポリオール成分として用いることのできる他の種類のポリオールとしては、例えばひまし油等の脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレントリオール等のポリエーテルトリオール等が挙げられるが、好ましくはひまし油が挙げられる。
【0044】
本発明におけるポリオール成分がポリカプロラクトンポリオール、本ポリメチレングリコールおよびひまし油から実質的になる場合、イソシアネート成分におけるイソシアネート基のモル数を1とすると、本ポリメチレングリコールにおける水酸基のモル数が0.1〜0.8であり、ポリカプロラクトンポリオールの重量がひまし油の重量の0.3倍以上であることが好ましい。
【0045】
ウレタン樹脂層の形成は、通常、粒状物質上にて、ポリイソシアネート成分及びポリオール成分を、必要により触媒の存在下に反応させることにより行われる。
ポリイソシアネート成分及びポリオール成分の反応においては、特に制限はないが、例えば、全てのポリイソシアネート成分及びポリオール成分を混合し、硬化・成型させる方法;ポリイソシアネート成分と一部のポリオール成分とを予め混合して、ポリイソシアネート末端プレポリマーを調製した後に、残りのポリオール成分を混合し、硬化・成型させる方法等の方法にて行うことができる。もしくは、少量の有機溶剤を併せて混合し、同時に反応と溶媒除去を行う方法も行うことができる。また、反応条件としては、任意に選択することができるが温度を高くすると水酸基とイソシアネート基の反応速度が上昇する。さらに、触媒を入れることによって、反応速度を加速することができる。
【0046】
ウレタン樹脂層の形成において用いられる触媒としては、例えば、酢酸カリ、酢酸カルシウム、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチオチン酸、オクチル酸第一チン、ジ−n−オクチルチンジラウレート、イソプロピルチタネート、ビスマス2−エチルヘキサノエート、ホスフィン、Znネオデカノエート等の有機金属、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、2,4,6‐トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン触媒が挙げられる。
尚、ポリイソシアネート成分におけるジイソシアネート基と本ポリエステルポリオール及び本ヒドロキシ脂肪酸における水酸基とが十分に反応する前の、ポリイソシアネート成分、本ポリエステルポリオール及び本ヒドロキシ脂肪酸(更に必要に応じて添加される触媒)の流動性を有する混合物を未硬化ウレタン樹脂ともいう。
【0047】
本発明において、ウレタン樹脂層には、ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合させてなるウレタン樹脂とともに、他の物質を含有されていてもよい。かかる他の物質としては、例えば、沸点が100℃以上の疎水性液状化合物が挙げられるが、かかる疎水性液状化合物の具体例としては、流動パラフィン等の鎖状炭化水素、フェニルキシリルエタン及びジスチルキシレン等の芳香族炭化水素、大豆油及び綿実油等の植物油が挙げられる。
【0048】
本発明において、ウレタン樹脂層にかかる沸点が100℃以上の疎水性液状化合物が含有される場合、その含有量は、本発明の被覆粒状組成物全量に対して通常0.1〜5重量%程度であり、その添加方法としては、例えば本発明に用いられる粒状物質を転動させ、ここに予め沸点が100℃以上の疎水性液状化合物を添加し、次いで前記の方法によりポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とを重合させることによりウレタン樹脂層を形成せしめる方法が挙げられる。
【0049】
本ウレタン樹脂のガラス転移温度が20℃以下が好ましく、さらに好ましくは‐50℃以上5℃以下である。
本発明において、本ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)等の熱分析法により測定することができる。生物活性物質を被覆しているウレタン樹脂のガラス転移温度を直接測定することは困難であるので、生物活性物質を被覆しているウレタン樹脂と同様のポリオール成分とイソシアネート成分とを同様な比率で用いて、ウレタン樹脂のフィルムを作製し、該フィルムを用いてガラス転移温度を測定する。ウレタン樹脂の種類によっては、示差走査熱量測定によってガラス転移温度が明確に測定できない場合は、該ウレタン樹脂のフィルムを用いた動的粘弾性の測定によってガラス転移温度を測定することができる。
示差走査熱量測定によるガラス転移温度の測定は、例えばDSC8230(株式会社リガク製)等を用いて行うことができる。
【0050】
本発明に用いられるウレタン樹脂層の厚みは通常1〜1000μm、好ましくは8〜400μmであり、重量換算で通常1〜20重量%(本発明被覆粒状組成物に対して)、好ましくは3〜16重量%である。
【0051】
本発明には植物硬化油を含む保護層が用いられるが、植物硬化油とは不飽和脂肪酸成分を含む植物性油脂に水素を添加して不飽和結合を飽和させて得られる油脂をいい、具体的には例えば、硬化ナタネ油、硬化パーム核油、硬化ピーナツ油、硬化ひまし油、硬化ホホバ油、硬化綿実油、硬化ヤシ油及び硬化大豆油が挙げられ、この中でも硬化ひまし油が望ましい。
【0052】
保護層は、粒状物質の外側にウレタン樹脂層を形成したものの外側に形成される。
保護層を形成する方法として、例えば、植物硬化油を融点以上の温度に加熱して、ウレタン樹脂層の外側に付着させた後に冷却する方法が用いられるが、他の方法によって行うこともできる。
また、より均一な保護層を形成するため、粒状物質の外側にウレタン樹脂層を形成したものを回転槽に仕込み、転動状態にしながら融点以上に加熱した植物硬化油を液体状態で回転槽に入れることによって行うことができる。
【0053】
本発明に用いられる保護層は、重量換算で通常0.1〜10重量%(本発明被覆粒状組成物に対して)、好ましくは2〜10重量%である。
【0054】
このように製造された本発明の被覆粒状組成物は、通常の農薬粒状組成物及び粒状肥料組成物と同様に、育苗箱施用や側条施用といった施用形態で用いることにより、畑地や水田などに適用されるが、また、動力散布機を用いて、動力散布機に連結された長手方向に複数の噴口と前記噴口に対応させて配置された衝突板とが設けられた散布用噴頭を経由しての動力散布の施用形態でも適用することができる。
なお、本発明の被覆粒状組成物は、前記の動力散布を行う場合にも、育苗箱施用や側条施用等の他の施用形態で用いた場合と対比しての生物活性物質の溶出特性が実質的に変化しないため、本発明の被覆粒状組成物が有する溶出特性を維持したまま多様な施用形態に適用が可能となる。
【実施例】
【0055】
以下に示すように、比較例1〜12及び実施例1の被覆粒状組成物を製造し、溶出特性を確認した。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
【0056】
比較例1の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
平均分子量が1200のポリカプロラクトンジオール[ダイセル化学工業(株)製、商品名:Placcel212]1859.0gを70℃にて加熱溶融し、70℃に加温したひまし油[豊国製油(株)製、商品名:工業用一号ひまし油]1308.5gおよび1,4−ブタンジオール[BASF出光(株)製、商品名:1,4−BDO]279.5gと混合し、ポリオール混合物を得た。粒状尿素(大粒尿素、粒径約3mm、1g当たりの粒数約60個)50000gを回転槽に仕込み、転動状態にして、該粒状尿素を熱風により約66℃まで加熱した後、流動パラフィン[(株)松村石油研究所製、商品名:モレスコホワイトP−260、動粘度:56.0mm/S]500gを添加し、10分間転動状態を継続した。次に、70℃に加温した前述のポリオール混合物689.4gと70℃に加温した芳香族ジイソシアネート[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:Sumidur44S]310.7gを素早く攪拌混合した未硬化ウレタンを添加し、8分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。更に、未硬化ウレタン樹脂の添加、及び加熱条件下での転動状態の維持を繰り返して、添加した未硬化ウレタン樹脂の総量が5000.5gになるまで行った。その後、室温付近まで冷却し、比較例1の被覆粒状組成物を製造した。
なお、比較例1の被覆粒状組成物の被覆層はウレタン樹脂層だけであり、保護層が形成されていない。
【0057】
比較例2の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
比較例1の被覆粒状組成物11100.0gを回転槽に仕込み、転動状態にして、該被覆粒状組成物を熱風により約70℃まで加熱した後、80℃で溶融したポリエチレングリコール[分子量約20000、融点:約56℃]200.0gを添加し、5分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。その後、室温付近まで冷却し、比較例2の被覆粒状組成物を製造した。
【0058】
比較例3の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
比較例1の被覆粒状組成物777.0gを回転槽に仕込み、転動状態にして、該被覆粒状組成物を熱風により約70℃まで加熱した後、80℃で溶融したポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール[融点:約55℃]14.0gを添加し、5分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。その後、室温付近まで冷却し、比較例3の被覆粒状組成物を製造した。
【0059】
比較例4の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをトリスチレン化フェノールエチレンオキサイド付加体[融点:約38℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例4の被覆粒状組成物を製造した。
【0060】
比較例5の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをエチレン酢酸ビニル共重合体配合パラフィンワックス[融点:約63℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例5の被覆粒状組成物を製造した。
【0061】
比較例6の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
比較例1の被覆粒状組成物777.0gを回転槽に仕込み、転動状態にして、該被覆粒状組成物を熱風により約70℃まで加熱した後、80℃で溶融したマイクロクリスタリンワックス[融点:約70℃]28.0gを添加し、5分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。その後、室温付近まで冷却し、比較例6の被覆粒状組成物を製造した。
【0062】
比較例7の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをパルミチン酸[融点:約63℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例7の被覆粒状組成物を製造した。
【0063】
比較例8の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをステアリン酸[融点:約57.5℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例8の被覆粒状組成物を製造した。
【0064】
比較例9の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを牛脂[融点:約54℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例9の被覆粒状組成物を製造した。
【0065】
比較例10の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをステアリル−2−ヒドロキシステアレート[融点:約70℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例10の被覆粒状組成物を製造した。
【0066】
比較例11の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをプロピレングリコール−モノ−2−ヒドロキシステアレート[融点:約50℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例5の被覆粒状組成物を製造した。
【0067】
比較例12の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをエチレングリコール−モノ−2−ヒドロキシステアレート[融点:約65℃]とした以外は、比較例3と同様の操作で比較例12の被覆粒状組成物を製造した。
【0068】
実施例1の被覆粒状組成物の製造は、以下のようにして行った。
比較例1の被覆粒状組成物1650.0gを回転槽に仕込み、転動状態にして、該被覆粒状組成物を熱風により70℃まで加熱した後、100℃で溶融した硬化ひまし油[伊藤製油(株)製、商品名:ヒマシ硬化油、融点:約85℃]45.0gを添加し、5分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。その後、室温付近まで冷却し、実施例1の被覆粒状組成物を製造した。
【0069】
実施例1の被覆粒状組成物のウレタン樹脂層のウレタン樹脂は、芳香族ジイソシアネートからなるポリイソシアネート成分と、ポリカプロラクトンジオール、ひまし油及び1,4−ブタンジオールからなるポリオール成分とを重合した重合物である。
そして、このウレタン樹脂のポリオール成分中のポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトンジオール及びひまし油であり、これらのポリエステルポリオール全量に対して、オキシカルボニル[−O−C(=O)−]の部分構造が、分子内に28%(重量換算)有している。
実施例1におけるポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との重量比は、おおよそ31:69である。
実施例1におけるポリイソシアネート成分のイソシアネート基とポリオール成分の水酸基のモル比率は、1.00:1.04である。
実施例1におけるポリエステルポリオールの水酸基当量は464である。なお、この水酸基当量は、使用したポリカプロラクトンジオールの水酸基当量(623.3)と、ひまし油の水酸基当量(351)より算出した。
実施例1におけるポリエステルポリオールの平均分子量は約1134.6である。なお、この平均分子量は、使用したポリカプロラクトンジオールの分子量(1200)と、ひまし油の分子量(1050)より算出した。
実施例1におけるポリオール成分には、炭素数2〜8のポリメチレングリコールである1,4−ブタンジオールが使用されており、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、炭素数2〜8のポリメチレングリコールの含有量が、5.6重量%である。
実施例1のポリエステルポリオールの含有量は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、63.4重量%である。なお、この内訳はポリカプロラクトンジオールが37.2%、ひまし油が約5.6%である。
実施例1のポリイソシアネート成分は、芳香族ポリイソシアネートのみであり、含有量は100重量%である。
実施例1のポリイソシアネート成分(芳香族ポリイソシアネート)の含有量は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、31.1重量%である。
実施例1の植物硬化油の含有量は、被覆粒状組成物全量に対して、2.6重量%である。
実施例1のウレタン樹脂のガラス転移温度は、約−24℃である。
実施例1で使用される疎水性液状化合物(流動パラフィン)の沸点は、350℃以上である。
【0070】
上記のようにして製造された、比較例1〜12及び実施例1の被覆粒状組成物について、表1に内容を示す。
【0071】
【表1】

【0072】
試験例1(動力散布前の溶出プロファイルの確認)
比較例1〜12及び実施例1の被覆粒状組成物をサンプル瓶にそれぞれ2.5g(60〜80粒)入れ、水100gを加え、25℃で静置した。所定時間経過後、サンプル瓶中の水0.6mlを取り、尿素濃度を測定した。測定した尿素濃度から尿素の溶出率を計算し、溶出プロファイルを確認した。
【0073】
試験例2(動力散布後の溶出プロファイルの確認)
比較例1〜12及び実施例1の被覆粒状組成物をサンプル瓶にそれぞれ200gを粒状化成肥料[住友化学(株)製、商品名:住友すずらん印化成600号]600gと共にビニル袋に入れ、混合した。得られた混合物を畦畔用噴頭を取り付けた動力散布機[ヤンマー(株)製、V−P3]によって散布し、散布された表1のサンプルを回収した。回収したサンプル瓶に表1のサンプルをそれぞれ2.5g(60〜80粒)入れ、水100mlを加え、25℃で静置した。所定時間経過後、サンプル瓶中の水0.6mlを取り、尿素濃度を測定した。測定した尿素濃度から尿素の溶出率を計算し、溶出プロファイルを確認した。
【0074】
上記試験例1では、尿素の溶出率が80%となる溶出期間を各々測定し、比較例1の被覆粒状組成物における溶出期間との対比により、下記式により溶出プロファイルの変化率を求め、該変化率より下記の判定基準により判定した。
上記試験例2では、動力散布した後に回収した供試被覆粒状組成物で、尿素の溶出率が80%となる溶出期間を各々測定し、比較例1で測定した比較例1の被覆粒状組成物における溶出期間との対比により溶出プロファイルの変化率を求め、該変化率より下記の判定基準により判定した。

変化率(%) = (D/D)×100


:供試被覆粒状組成物での80%溶出までの時間
:比較例1の被覆粒状組成物での80%溶出までの時間

〔判定基準〕
− :変化率が95%超105%未満
+ :変化率が80%超95%以下、または、105%以上120%未満
++ :変化率が80%以下、または、120%以上
【0075】
上記試験結果を表2に示す。
【0076】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性物質を含有する粒状物質の表面に被覆層が設けられてなる被覆粒状組成物であって、
該被覆層が、
ポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを含有するポリオール成分とが重合されてなるウレタン樹脂を含むウレタン樹脂層と、
該ウレタン樹脂層の外側に設けられた、植物硬化油を含む保護層
とを有してなることを特徴とする被覆粒状組成物。
【請求項2】
ポリエステルポリオールが、ポリエステルポリオール全量に対して、15%以上(重量換算)の割合のオキシカルボニル部分構造を分子内に有するものである請求項1記載の被覆粒状組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネートを含有するものである請求項1又は2記載の被覆粒状組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との重量比が、5:95〜60:40である請求項1〜3いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項5】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との重量比が、5:95〜40:60である請求項1〜3いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネート成分におけるイソシアネート基と、ポリオール成分における水酸基とのモル比率が1:0.9〜1:1.5である請求項1〜5いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項7】
ポリエステルポリオールの水酸基当量が、200〜1250である請求項1〜6いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項8】
ポリエステルポリオールの分子量が、300〜5000である請求項1〜7いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項9】
ポリエステルポリオールが、ポリエステルジオール及びポリエステルトリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項10】
ポリエステルポリオールの少なくとも1種が、ポリカプロラクトンポリオールである請求項1〜9いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項11】
ポリカプロラクトンポリオールが、ポリカプロラクトンジオール又はポリカプロラクトントリオールである請求項10記載の被覆粒状組成物。
【請求項12】
ポリオール成分が、さらに炭素数2〜8のポリメチレングリコールを含有するものである請求項1〜11いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項13】
炭素数2〜8のポリメチレングリコールが、1,4−ブタンジオールである請求項12記載の被覆粒状組成物。
【請求項14】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、炭素数2〜8のポリメチレングリコールの含有量が、1〜35重量%である請求項12又は13記載の被覆粒状組成物。
【請求項15】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、ポリエステルポリオールの含有量が、15〜80重量%である請求項1〜14いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項16】
ポリイソシアネート成分中の芳香族ポリイソシアネートの含有量が、80〜100重量パーセントである請求項1〜15いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項17】
ポリイソシアネート成分の全量が、全てのイソシアネート基がベンゼン環に直接結合した芳香族ポリイソシアネート化合物である請求項1〜15いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項18】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との合計量に対して、該芳香族ポリイソシアネートの含有量が、10〜50重量%である請求項1〜17いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項19】
芳香族ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項16〜18いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項20】
被覆粒状組成物全量に対する植物硬化油の含有割合が、0.1〜10重量%である請求項1〜19いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項21】
植物硬化油が、硬化ひまし油である請求項1〜20いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項22】
ウレタン樹脂のガラス転移温度が、20℃以下である請求項1〜21いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項23】
ウレタン樹脂のガラス転移温度が、−50℃以上5℃以下である請求項1〜21いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項24】
ウレタン樹脂層が、沸点が100℃以上である疎水性液状化合物を含む層である請求項1〜23いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項25】
疎水性液状化合物が、流動パラフィンである請求項24記載の被覆粒状組成物。
【請求項26】
生物活性物質を含有する粒状物質が、粒状尿素である請求項1〜25いずれか一項記載の被覆粒状組成物。
【請求項27】
長手方向に複数の噴口と前記噴口に対応させて配置された衝突板とが管内に設けられてなる管状の散布用噴頭を連結した動力散布機を用いて送出し、該散布用噴頭内の該衝突板に衝突させ、該噴口より水田又は畑地に落下させる工程を有してなる請求項1〜26いずれか一項記載の被覆粒状組成物の施用方法。

【公開番号】特開2011−16696(P2011−16696A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163429(P2009−163429)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】