説明

被覆膜の除去装置

【課題】 例えばベルトコンベアにより連続的に搬送される被処理物より、効率よく被覆膜を除去することができる被覆膜の除去装置を提供すること。
【解決手段】 被処理物1はベルトコンベア2に載置されてよって搬送され、複数組の回転型ノズルヘッド12からの高圧水の吐出を受ける。これによって、被処理物1の表面に被覆された樹脂フィルムが剥離される。樹脂フィルムが剥離された被処理物1の基板面は、洗浄ノズル14からの洗浄水を受けて洗浄され、続いて乾燥用エアーノズル16からの加圧空気を受けて乾燥される。前記回転型ノズルヘッド12は、前記コンベア2の幅方向において、それぞれ異なる位置に配置されている。この構成により、各ノズルヘッド12に備えられた各ノズルより、被処理物1の全面に対してほぼ均等に高圧水を噴射することができ、被処理物1の表面における被覆膜を効果的に剥離させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製基板等の表面にシート状の樹脂フィルムを被覆してなる例えば交通標識板などを対象とし、その基板表面に被覆された前記シート状の樹脂フィルムを効率的に剥離して除去することができる被覆膜の除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、前記した交通標識板においては、金属(アルミ)製の基板上に、再帰反射性シートを被覆し、夜間におけるヘッドライトの光を運転者に向けて効率よく反射させることで標識板の視認性を向上させたものが提案されている。また、特に降雪地帯などで使用される前記した交通標識板においては、氷雪が結着するのを防止させるために、シート状の樹脂フィルムを表面に被覆した構成のものも提案されている。
【0003】
ところで、シート状の樹脂フィルムを被覆してなる前記した標識板などにおいては、長期にわたる使用により例えば紫外線の影響を受けて退色(色あせ)したり、粉塵等の付着による汚れが蓄積するために、交通の安全性を確保する上で問題が発生する。このために、前記した交通標識板は定期的に新しいものと交換する必要がある。
【0004】
この場合、交換した古い標識板をそのまま廃棄することは、資源の再利用の観点から好ましくはなく、標識板を構成する少なくともアルミ製の基板を再利用するリサイクルが図られることが望まれる。そこで、前記した交通標識板などのように、その表面に被覆されたシート状の樹脂フィルムを基板面から除去するために、高圧水を被覆膜に向けて吐出させることで、表面の被覆膜を基板面から物理的に剥離させる手段が、次に示す特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平6−246744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した特許文献1に開示された樹脂フィルムによる被覆膜の除去装置においては、高圧水が吐出されるノズルを、いわば操作者が手に持って被処理対象物に対して吐出させることを想定しているものと考えることができる。すなわち、特許文献1に開示された前記装置は、単品の被処理物にノズルを向けて高圧水を吐出させることを念頭にし、被処理物の表面に施された被覆膜を基板面から剥離させるには、どの程度の水圧が適当であるかについて考察しているにとどまるものである。
【0006】
この発明は、基板面に対して被覆膜が形成された被処理物を順次搬送する搬送手段を備え、特に高圧水が吐出される回転型のノズルヘッドを複数組備えることで、前記搬送手段により連続的に搬送される前記被処理物より、効率よく被覆膜を除去することを解決課題とするものであり、さらに被処理物の大きさに応じて柔軟に対処することができる被覆膜の除去装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかる被覆膜の除去装置は、請求項1に記載のとおり、基板面に樹脂フィルムが被覆された被処理物より、前記樹脂フィルムを剥離して除去する被覆膜の除去装置であって、前記被処理物を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される前記被処理物に対峙するようにして配置され、前記被処理物に対してそれぞれ高圧水を吐出させることで、前記非処理物における基板面より前記樹脂フィルムを剥離して除去する複数組のノズルヘッドが備えられ、前記各ノズルヘッドには、高圧水が供給される中空状の回転軸と、前記回転軸に連結されて当該回転軸の軸芯から外れた位置において前記高圧水を吐出させることができるノズルを備えた中空状の水平旋回軸と、前記中空状の回転軸を回転中心にして前記水平旋回軸を回転駆動させる回転駆動手段とが具備され、前記各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記搬送手段の搬送方向に直交する方向のそれぞれ異なる位置に設定されている点に特徴を有する。
【0008】
この場合、請求項2に記載のように、前記ノズルヘッドにおける水平旋回軸には複数の前記ノズルが形成され、各ノズルによる高圧水の吐出軌跡が同心円状になるように、前記回転軸の軸芯から互いに異なる位置に前記各ノズルが配置されていることが望ましい。
【0009】
これに加えて前記した被覆膜の除去装置には、好ましくは請求項3に記載のように、前記搬送手段による搬送方向に直交する方向に移動可能な移動手段がさらに備えられ、当該移動手段上にそれぞれ前記各ノズルヘッドを搭載した構成になされる。
【0010】
また、好ましくは請求項4に記載のように、前記被処理物の搬送方向における各ノズルヘッドの後方位置に、樹脂フィルムが剥離された前記基板の表面を洗浄する洗浄ノズルが配置される。また、さらに好ましくは請求項5に記載のように、前記被処理物の搬送方向における前記洗浄ノズルのさらに後方位置に、前記基板面を乾燥させる乾燥用エアーノズルが配置される。
【0011】
一方、前記した構成の被覆膜の除去装置においては、請求項6に記載のように、少なくとも前記各ノズルヘッドの周囲および上部を覆うカバー部材が具備されていることが望ましい。
【0012】
そして、この発明にかかる好ましい実施の形態においては、請求項7に記載のとおり、前記被処理物として交通標識板を対象とし、前記各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記搬送手段により搬送される前記交通標識板の幅をカバーするように構成される。
【発明の効果】
【0013】
前記した請求項1に記載された被覆膜の除去装置によると、基板面に樹脂フィルムが被覆された被処理物を搬送するベルトコンベア等の搬送手段が具備され、この搬送手段によって搬送される前記被処理物に対峙するようにして、高圧水が吐出される回転型のノズルヘッドが複数組備えられ、前記各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記搬送手段の搬送方向に直交する方向のそれぞれ異なる位置に設定された構成になされる。
【0014】
この構成によると、複数組の回転型のノズルヘッドにより、例えばベルトコンベア等の搬送手段の幅方向の領域を分担して高圧の噴射水をそれぞれ噴射させることができる。したがって、前記幅方向の領域を例えば1つの回転型のノズルヘッドによりカバーするように構成する場合に比較すると、ノズルヘッドを回転させる場合の駆動力を極端に軽減させることができる。これにより例えば油圧による駆動手段を採用することなく、後述するようにエアーモータ等のような駆動力により十分な駆動動作を得ることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の装置によると、前記した水平旋回軸に形成される各ノズルが、水平旋回軸を支持する前記回転軸の軸芯から互いに異なる位置にそれぞれ形成され、この結果、各ノズルによる高圧水の吐出軌跡が同心円状になされる。これにより、複数組の回転型ノズルヘッドより被処理物の全面に対して平均的に高圧水を吐出させることができ、前記噴射水による基板面からの樹脂フィルムの剥離動作を効率的になし得る。
【0016】
また、請求項3に記載の装置によると、前記した搬送手段による搬送方向に直交する方向に移動可能な移動手段上に、前記した回転型の各ノズルヘッドを搭載した構成とされるので、被処理物の大きさに応じて前記移動手段を駆動させて、高圧水の吐出領域を変更させることができる。これにより、被処理物の大きさに応じて柔軟にかつ効率的に動作することできる被覆膜の除去装置が提供できる。
【0017】
さらに、請求項4および請求項5に記載の装置によると、被処理物の搬送方向における各ノズルヘッドの後方位置に樹脂フィルムが剥離された前記基板の表面を洗浄する洗浄ノズルを配置し、またさらに後方位置に乾燥用エアーノズルを配置した構成とされるので、樹脂フィルムが剥離された前記基板の表面を洗浄することができると共に、即座に前記基板を乾燥させることができる。
【0018】
そして、請求項6に記載のように、少なくとも前記した各ノズルヘッドの周囲および上部を覆うカバー部材を具備した構成によると、特にノズルヘッドからの高圧水の吐出に伴う高圧水の周囲への飛散を前記カバー部材によって阻止させることができ、装置の周囲を高圧水の飛散による汚染から保護することができる。
【0019】
また、請求項7に記載のように被処理物として交通標識板を対象とし、各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記した搬送手段により搬送される交通標識板の幅をカバーするように構成させることで、一度のコンベアによる搬送処理により前記交通標識板における樹脂フィルムの被覆を効率的に剥離させることができ、交通標識板を構成する基板のリサイクルに寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明にかかる被覆膜の除去装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1はその全体構成を示したものであり、この実施の形態においては例えばアルミ製の基板に、シート状の樹脂フィルムを被覆してなる交通標識板を対象とし、前記樹脂フィルムを高圧水の吐出(ウォータージェット)により、前記基板面から効率的に剥離して除去するようになされる。
【0021】
すなわち、処理対象物1としての前記した交通標識板は、図1において左から右方向に流される搬送手段としてのベルトコンベア2に載置されて定速度で搬送される。この交通標識板1は後述するように、その表面に高圧水の吐出を受けて、被覆された樹脂フィルムをアルミ製の基板面から剥離する処理がなされる。
【0022】
このために前記標識板1が水圧を受けて前記コンベア2上において自由に移動もしくはコンベア2上から脱落するのを阻止するために、標識板1は固定台3上に固定されてコンベア2上に載置される。そして、前記固定台3上に固定された標識板1は、カバー部材4によって覆われた後述する各装置の直下を移動し、コンベア2の終端位置において、固定台3と共に回収される。
【0023】
図1に示すように前記カバー部材4によって覆われた後述する各装置に対しては、高圧ポンプ5より高圧水が供給されるように構成されており、また、エアコンプレッサ6より加圧空気が供給されるように構成されている。さらに、前記カバー部材4が配置されたコンベア2の直下には、吐出水を受ける汚水回収タンク7が配置され、このタンク7において回収された排水は、必要に応じて水処理システム8を介して再利用するように構成されている。
【0024】
図2は、前記したカバー部材4内に収容された各装置の配置状況を示したものであり、すでに図1に基づいて説明した各部に対応する部分は同一符号で示している。前記コンベア2の搬送方向における前記カバー部材4の入り口部分には、清掃ブラシ11が下向きに取り付けられており、前記コンベア2によって搬送される標識板1の表面を清掃ブラシ11によって清掃するように作用する。
【0025】
また、前記カバー部材4内における前記コンベア2の搬送方向には、符号12で示す回転型の高圧水吐出ノズルを備えたノズルヘッドが配置されている。この実施の形態においては後で詳細に説明するとおり3組のノズルヘッド12が具備され、このノズルヘッド12のそれぞれには、前記した高圧ポンプ5より高圧水が供給されると共に、エアコンプレッサ6よりノズルヘッドを回転駆動させる加圧空気が供給されるように構成されている。
【0026】
また前記各ノズルヘッド12は、符号13で示された移動手段としての一軸移動装置上に搭載されており、これにより前記コンベア2による搬送方向と直交する水平方向に、前記各ノズルヘッド12を移動させることができるように構成されている。なお、前記移動手段13の構成についても後で詳細に説明する。
【0027】
前記移動手段13に隣接した前記コンベア2の搬送方向には、洗浄ノズル14が配置されており、この洗浄ノズル14は前記した高圧ポンプ5からの高圧水を受けて前記コンベア2による搬送方向と直交する方向に帯状に高圧水を吐出するように構成されている。これにより前記各ノズルヘッド12からの高圧水により被覆膜が剥離された標識板の基板表面を洗浄するように機能する。
【0028】
一方、前記カバー部材4には、このカバー部材4内において隔壁4aが形成されて水処理室4Aと乾燥室4Bに別けられている。そして、前記隔壁4aの下端部には清掃ブラシ15が取り付けられており、洗浄ノズル14によって洗浄された標識板は前記清掃ブラシ15によって清掃されると共に、その表面における水分が払拭されて、水処理室4Aから乾燥室4Bに搬送されるようになされる。
【0029】
前記乾燥室4Bには、乾燥用エアーノズル16が配置されており、このノズル16より、その直下を通る前記標識板1の基板表面にエアーを噴射することで、標識板1を構成する基板面を乾燥させるように作用する。なお、このエアーノズル16は前記したエアコンプレッサ6より加圧空気の供給を受けるように構成されている。
【0030】
斯くして図2に示した構成により、ベルトコンベア2に載置されて順次搬送される交通標識板1は、各ノズルヘッド12からの高圧水を受けて、その表面に形成された被覆膜が剥離されて除去され、被覆膜が剥離された標識板1を構成する基板は、続いて洗浄ノズル14より吐出される高圧水により洗浄される。
【0031】
そして、前記洗浄ノズル14により洗浄された標識板1を構成する前記基板は、清掃ブラシ15によってその表面の水分が払拭されて乾燥室4Bに搬送される。乾燥室4Bに搬送された標識板1を構成する基板は、前記したエアーノズル16からの加圧空気を受けて即座に乾燥され、コンベア2の終端側に搬送される。
【0032】
図3および図4は前記した移動手段としての一軸移動装置13の構成を主に説明するものであり、図3は上面図で示し、また図4は図3における左側(ベルトコンベア2の上流側)から視た状態の側面図で示している。この移動手段13には、前記ベルトコンベア2の搬送方向である長手方向に直交して、これを跨ぐようにして配置されたフレーム部材21が具備されている。
【0033】
そして、このフレーム部材21の上面における両端部近傍には、一対の支持部材22がそれぞれ上方に向けて取り付けられており、この一対の支持部材22によって二本のガイドレール23が水平方向にが支持され、この二本のガイドレール23は互いに平行状態となるようにしてフレーム部材21の直上に配置されている。
【0034】
一方、前記一軸移動装置13には連結プレート25が具備されており、この連結プレートは図2にも示されたとおり、折り曲げ中央部を介して上側プレート25aと下側プレート25bとが段をなすようにして成形されている。そして、矩形状に形成された上側プレート25aの下面における4点には、図2にも示されたとおり溝付ローラ26が回転可能に取り付けられている。
【0035】
前記各溝付ローラ26に形成された各溝は、前記一対のガイドレール23における両外側のエッジ部にそれぞれ嵌め込まれており、したがって、前記溝付ローラ26が取り付けられた前記連結プレート25を、ガイドレール23の長手方向に沿って水平方向に移動させることができるように構成されている。なお、前記フレーム部材21には例えばステッピングモータ27が配置されており、このモータ27の駆動により、前記連結プレート25の位置を、前記ガイドレール23に沿って移動させることができるように構成されている。
【0036】
前記連結プレート25における下側プレート25bは、上側プレート25aよりも幅広の寸法に形成されており、この下側プレート25bには前記した回転型のノズルヘッド12が、3組取り付けられている。したがって、前記3組のノズルヘッド12は、前記モータ27の駆動により、ガイドレール23に沿ってベルトコンベア2の幅方向に移動されるように動作する。
【0037】
図5は、主に前記したノズルヘッド12の構成および配置関係を説明するものであり、(A)は各ノズルヘッド12を上から視た上面図で示し、(B)は正面図で示しており、さらに(C)は(B)における右横方向から視た側面図で示している。なお、各ノズルヘッド12は、図5に示したように連結プレート25における下側プレート25b上において、二等辺三角形を形成する三点位置にそれぞれ配置されている。そして個々のノズルヘッド12の構成は同一であり、したがって1つのノズルヘッドに基づいて、その構成を説明する。
【0038】
前記ノズルヘッド12には、図1および図2に示した高圧ポンプ5からの高圧水を受ける筒状ケース31が具備され、この筒状ケース31において受けた前記高圧ポンプ5からの高圧水は、中空状の回転軸32を介してこの回転軸32を回転中心にして水平方向に旋回される外形が矩形状に成された中空状の水平旋回軸33に供給される。そして、前記水平旋回軸33の下側面には、高圧水を吐出させることができる複数のノズル34が、水平旋回軸33の長手方向に沿って形成されている。
【0039】
前記ノズルヘッド12には、中空状の回転軸32を回転中心にして前記した水平旋回軸33を回転駆動させる回転駆動手段としてのエアモータ35が具備されている。このエアモータ35は、前記したエアコンプレッサ6からの加圧空気を受けて、この加圧空気を動力源として回転駆動されるものであり、エアモータ35により得られる回転駆動力は、回転伝達ボックス36内に収容された図示せぬ回転連結ギア等を介して前記した中空状の回転軸32を回転駆動させるように作用する。
【0040】
一方、前記した水平旋回軸33の下側面に形成された複数のノズル34は、図5(A)および図3にも示されたとおり、各ノズル34による高圧水の吐出軌跡が、同心円状になるように、前記回転軸32の軸芯から互いに異なる位置に前記各ノズル34が形成されている。
【0041】
加えて、前記した3組のノズルヘッド12は、各ノズルヘッド12による同心円で示す高圧噴射水の吐出領域が、図3に示したように前記ベルトコンベアの搬送方向に直交する方向、すなわちコンベアの幅方向において、それぞれ異なる位置となるように設定されている。要するに前記した3組のノズルヘッド12による高圧水の吐出領域が、それぞれコンベアの幅方向においてオーバラップされるようにして、前記した連結プレート25における下側プレート25b上において、二等辺三角形を形成する三点位置にそれぞれ配置されている。
【0042】
この構成により、各ノズルヘッド12における前記ノズル34より、被処理物1の全面に対してほぼ均等に高圧水を噴射することができ、被処理物1の表面における被覆膜を効果的に剥離させることができる。
【0043】
なお、すでに説明した図3は、被処理物1として仮想線の円形で示した交通標識板を扱う場合を示している。この場合、前記各ノズルヘッド12による同心円で示す高圧水の吐出領域が、前記ベルトコンベアにより搬送される交通標識板の幅をカバーするように構成されている。これにより、移動手段としての一軸移動装置13を駆動させることなく、一度のコンベアによる搬送処理により、符号1で示す交通標識板の表面より効率的に被覆膜を除去することができる。
【0044】
また、図3に示した交通標識板の幅よりも大きな幅の被処理物1を扱う場合には、被処理物1をベルトコンベア2上で搬送しつつ、一軸移動装置13を往復駆動するように動作させることで、大きな幅の被処理物1の表面に対してほぼ均等に高圧水を噴射させることができ、これにより被処理物1の表面より効率的に被覆膜を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明にかかる被覆膜の除去装置の全体構成を示した模式図である。
【図2】図1に示すカバー部材内に収容された各装置の配置状態を示した配置図である。
【図3】ノズルヘッドを移動させる一軸移動装置の構成を説明する上面図である。
【図4】同じく一軸移動装置の構成を説明する側面図である。
【図5】ノズルヘッドの構成および配置関係を説明する基本三面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 処理対象物(交通標識板)
2 搬送手段(ベルトコンベア)
3 固定台
4 カバー部材
4a 隔壁
4A 水処理室
4B 乾燥室
5 高圧ポンプ
6 エアコンプレッサ
7 汚水回収タンク
8 水処理システム
11,15 清掃ブラシ
12 ノズルヘッド
13 移動手段(一軸移動装置)
14 洗浄ノズル
16 乾燥用エアーノズル
21 フレーム部材
23 ガイドレール
25 連結プレート
26 溝付ローラ
32 回転軸
33 水平旋回軸
34 ノズル
35 回転駆動手段(エアモータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に樹脂フィルムが被覆された被処理物より、前記樹脂フィルムを剥離して除去する被覆膜の除去装置であって、
前記被処理物を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される前記被処理物に対峙するようにして配置され、前記被処理物に対してそれぞれ高圧水を吐出させることで、前記非処理物における基板面より前記樹脂フィルムを剥離して除去する複数組のノズルヘッドが備えられ、
前記各ノズルヘッドには、高圧水が供給される中空状の回転軸と、前記回転軸に連結されて当該回転軸の軸芯から外れた位置において前記高圧水を吐出させることができるノズルを備えた中空状の水平旋回軸と、前記中空状の回転軸を回転中心にして前記水平旋回軸を回転駆動させる回転駆動手段とが具備され、
前記各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記搬送手段の搬送方向に直交する方向のそれぞれ異なる位置に設定されていることを特徴とする被覆膜の除去装置。
【請求項2】
前記ノズルヘッドにおける水平旋回軸には複数の前記ノズルが形成され、各ノズルによる高圧水の吐出軌跡が同心円状になるように、前記回転軸の軸芯から互いに異なる位置に前記各ノズルが配置されていることを特徴とする請求項1に記載された被覆膜の除去装置。
【請求項3】
前記搬送手段による搬送方向に直交する方向に移動可能な移動手段がさらに備えられ、当該移動手段上にそれぞれ前記各ノズルヘッドが搭載されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された被覆膜の除去装置。
【請求項4】
前記被処理物の搬送方向における各ノズルヘッドの後方位置に、樹脂フィルムが剥離された前記基板の表面を洗浄する洗浄ノズルが配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載された被覆膜の除去装置。
【請求項5】
前記被処理物の搬送方向における前記洗浄ノズルの後方位置に、前記基板面を乾燥させる乾燥用エアーノズルが配置されていることを特徴とする請求項4に記載された被覆膜の除去装置。
【請求項6】
少なくとも前記各ノズルヘッドの周囲および上部を覆うカバー部材が具備されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載された被覆膜の除去装置。
【請求項7】
前記被処理物が交通標識板であり、前記各ノズルヘッドによる高圧水の吐出領域が、前記搬送手段により搬送される交通標識板の幅をカバーするように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された被覆膜の除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−175366(P2006−175366A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371657(P2004−371657)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(393023536)フジクス株式会社 (3)
【出願人】(504470978)HCS株式会社 (1)
【Fターム(参考)】