説明

被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法

【課題】 高い耐湿性を付与すると共に、従来に比べて発光特性を向上させた被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】 アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に、ストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含むアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液で下地層を形成する。その上にストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液で被覆層を形成した後、得られた蛍光体粒子を大気雰囲気下において熱処理することにより被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子に使用される被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法に関し、更に詳しくは、被覆処理することにより発光特性を向上させ、且つ高い耐湿性と耐水性とを付与した被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の効率的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色LED用の蛍光体材料として知られているアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体としては、例えば、組成式がSrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba、Ca)SiO:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、(Ba、Sr、Ca)SiO:Euで表される化合物相からなるものがある。これらのストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)を含むアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、高輝度型や高演色型の白色LED素子に使用され、青色LEDからの励起光の一部を吸収することにより黄色発光又は緑色発光し、更に青色励起光と黄色発光、青色励起光と緑色発光、あるいは赤色発光とを混ぜ合うことにより白色光を得ることができる。
【0003】
現在、LED素子の用途は、照明や車載ライト、液晶テレビのバックライトなど多岐に亘っている。これらの用途のLED素子に要求されるのは主に輝度や色度であり、特に輝度について近年ではより一層高いものが必要とされている。これらLED素子の性質を決定するのが蛍光体であり、従ってLED素子の輝度を高めるため蛍光体にはより高い発光特性が求められている。前述した黄色や緑色を発光するアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体においても同様である。しかし、蛍光体自体の発光特性を上げることは容易ではなく、その特性改善のために様々な研究がなされている。
【0004】
一方、黄色や緑色を発光するアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、空気中の水蒸気又は水によって蛍光体内部から構成元素であるストロンチウムなどのアルカリ土類金属成分が溶出し、その粒子表面に水和物又は炭酸塩が生成して劣化することが知られている。このような性質から、黄色や緑色を発光するアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体には、大気中での長時間の使用や励起光による温度上昇によって劣化が進行し、輝度の低下及び色調の変化が起きるという問題がある。
【0005】
上記した蛍光体の発光特性の向上並びに水分による劣化防止の問題を同時に解決することが、現在のLED用のアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体における重要な課題となっている。その改善策の一つとして、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体の粒子表面を修飾又は被覆処理する方法が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、蛍光体粒子表面の組成物を化学的に変性するための方法として、選択された陽イオンのイオン交換法反応により粒子表面の蛍光体の陽イオンを置換する方法が開示されている。具体的には、蛍光体粒子の表面に、アルミニウム、バリウム、カルシウム、ランタン、マグネシウム、ストロンチウム、イットリウム、亜鉛、チタン、タンタル、ホウ素、ケイ素から選択される蛍光体物質陽イオンとは異なる陽イオンにより置換された層を形成する。
【0007】
この特許文献1の方法によって得られた蛍光体では、接着性の向上、光束維持率の向上、不純物の沈着防止を図ることが可能であるとしている。しかし、この方法は簡便ではあるが、蛍光体粒子の耐水性や耐湿性を大きく向上させるまでには至っていない。
【0008】
また、特許文献2には、バリウム塩又はストロンチウム塩を含有する溶液中に蛍光ランプ用シリケート燐光体を投入し、撹拌により燐光体表面にバリウム塩又はストロンチウム塩を結合させた後、熱処理するシリケート燐光体粒子の製造方法が開示されている。具体的には、シリケート燐光体をバリウム塩又はストロンチウム塩からなるカチオンを含有する溶液に加え、熱処理して表面処理を施したシリケート燐光体を得ている。
【0009】
この引用文献2の方法も簡便な方法ではあるが、被覆対象が比較的耐水性の高いBaSi:Pbに限定されている点に問題がある。また、表面処理によりバリウム塩又はストロンチウム塩を粒子表面に付着させただけであるため、得られる被覆膜が緻密でなく、耐水性や耐湿性が弱いという問題がある。しかも、熱処理温度が700〜1000℃と高温であることから、この処理を珪酸塩蛍光体などで実施すると熱による劣化で発光特性が大きく低下してしまう。また、用いる塩類よっては珪酸塩蛍光体粒子などへの影響が大きく、成分の溶出が加速されるなど種々の問題が生じやすい。
【0010】
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決する方法として、特許文献3に開示されているように、LED用蛍光体の粒子表面に下地層としてアルミニウム有機化合物層を形成し、その上に一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物からなる被覆材層を重ねて形成した後、大気下にて200℃〜400℃で熱処理することにより、被覆膜付き蛍光体粒子を得る方法を提案した。
【0011】
この特許文献3の方法によれば、予め下地層として形成したアルミニウム有機化合物が水分に対する保護膜として働き、その上に被覆材層を形成する際にも水分による劣化を防止できるため、耐湿性及び耐水性が極めて良好な蛍光体粒子を得ることができる。しかしながら、この方法によっても、上記した問題点の一つである蛍光体自体の発光特性の向上に関しては、上記被覆膜の形成によって蛍光体の発光特性を改善するまでに至っていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−195427号公報
【特許文献2】特開2000−026853号公報
【特許文献3】特開2011−026535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子について、被覆膜の形成によって高い耐湿性を付与すると共に、従来に比べて発光特性を向上させることが可能な、被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記目的を達成するため、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体について、簡便な被覆処理方法により、耐湿性を有する被覆膜を形成すると同時に発光特性を向上させる方法について鋭意研究を重ねた結果、蛍光体粒子表面にまず下地層としてストロンチウム有機金属化合物又はバリウム有機金属化合物を含むアルミニウム有機金属化合物を吸着させ、更にストロンチウム有機金属化合物又はバリウム有機金属化合物を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物を積層して被覆することが極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
即ち、本発明による被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子は、
ストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物の少なくとも1種を含むアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液に、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に下地層を形成する第1工程と、
ストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物の少なくとも1種を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液に、第1工程で得た蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に被覆層を形成する第2工程と、
第2工程で得た蛍光体粒子を乾燥した後、大気雰囲気下において熱処理して、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に被覆膜を得る第3工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、下地材溶液と被覆材溶液中に蛍光体構成元素であるストロンチウム又はバリウムの有機金属化合物を含有させことで、非常に高い耐湿性及び耐水性を有する被覆膜を蛍光体粒子表面に形成できるだけでなく、従来なし得なかった発光特性の向上を達成することが可能な被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法は、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に下地層を形成する第1工程と、第1工程で得たアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子表面の下地層上に被覆層を積層して形成する第2工程と、第2工程で表面に下地層と被覆層を積層して形成した蛍光体粒子を乾燥した後、大気雰囲気下において熱処理してアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子表面に被覆膜を得る第3工程とを備えている。
【0018】
具体的には、まず第1工程において、ストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含むアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液に、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に下地層を形成する。次の第2工程では、ストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液に、第1工程で下地層を形成した蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の下地層上に更に被覆層を形成する。
【0019】
上記下地層を形成する工程及び被覆層を形成する工程では、アルミニウム有機金属化合物の下地材溶液中及び一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液中にストロンチウム有機金属化合物とバリウム有機金属化合物の片方又は両方を含むことを特徴とし、この下地材溶液と被覆材溶液を用いて得られる被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の耐湿性と耐水性を飛躍的に高めることができる。しかも、下地材溶液及び被覆材溶液中にストロンチウム有機金属化合物とバリウム有機金属化合物の片方又は両方を含むため、下地層を形成する工程や被覆層を形成する工程で蛍光体構成成分の溶出が抑制され且つストロンチウムやカルシウムの欠損を補填することができ、その結果としてアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体の発光特性が向上することが判明した。
【0020】
詳しく説明すると、本発明者の研究によれば、前記した特許文献1の方法により被覆膜を形成したアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体の粒子表面を断面TEM観察すると、被覆膜直下の蛍光体粒子表面に異常が見られ、粒子表面から深さ方向に幅5nmほどの異相が確認された。通常、蛍光体粒子内部は単相であるため結晶方位は一方向を示しているが、上記異相部分はランダムな方向を示しており、このことから異相部分は結晶構造が異なっていると判断できる。更に、異相部分をTEM−EDS分析すると、粒子内部に比べて異相部分はストロンチウムあるいはバリウムの量が減少しており、これが蛍光体の構造を変えた原因になっていると考えられる。
【0021】
即ち、上記特許文献1の方法の被覆処理においては、アルカリ土類金属珪酸蛍光体粒子をアルコール溶媒中に分散させ、その中に金属アルコキシドと加水分解反応用の水を添加する。その際、蛍光体粒子表面は溶媒中に存在する不純物としての水分又は加水分解用の水分に晒されるため、粒子表面から構成成分の溶出が生じて劣化が進むと考えられる。粒子表面から溶出するのは構成元素であるアルカリ土類金属であり、特にストロンチウムやカルシウムがバリウムに比べて溶出しやすく、これらを多く含んでいる蛍光体ほど、水分に対する劣化が起こりやすい。具体的には、(Sr、Ba)SiOよりもSrSiOの方が、またBaSiOよりも(Ba、Sr)SiOの方が、水分に対する劣化が起こりやすいことが分かっている。
【0022】
以上の知見から、被覆処理の際にアルカリ土類金属珪酸蛍光体粒子表面からアルカリ土類金属元素が溶出することを抑制し、また被覆処理時に蛍光体粒子表面から溶出する元素を補填することが、被覆処理前後の発光特性を安定化させるために重要であることが分かった。更に本発明者の研究によって、アルカリ土類金属元素の溶出を抑制し且つ被覆処理時に溶出した元素を補填するためには、ストロンチウム有機金属化合物又はバリウム有機金属化合物を含む下地材溶液及び被覆材溶液を用いて蛍光体粒子表面に下地層及び被覆層を形成しておくことが有効であることが分かった。尚、被覆膜中にストロンチウム有機金属化合物又はバリウム有機金属化合物を含ませることにより発光特性が向上する理由は明らかになっていない。
【0023】
(1)アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体について
LEDに用いられる珪酸塩蛍光体には、黄色発光するものにSrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba、Ca)SiO:Euがあり、緑色発光するものには(Ba、Sr)SiO:Eu、(Ba、Sr、Ca)SiO:Euがある。これらの蛍光体を波長430nm以上470nm以下の光で励起した際の発光スペクトルは、520nm以上610nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、好ましくは黄色発光であれば560nm以上590nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、緑色発光であれば520nm以上540nm以下の波長範囲に発光ピークを有する。付括剤であるEuの組成範囲については、5モル%未満では発光輝度が低下し、20モル%を超えると濃度消光によって充分な発光輝度を得ることができないため、5〜20モル%の範囲が好ましい。
【0024】
本発明で用いるストロンチウム有機金属化合物又はバリウム有機金属化合物を含むアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、上記したSrSiO:Eu、(Sr、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ba、Ca)SiO:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、(Ba、Sr、Ca)SiO:Euのいずれかであればよく、いずれも市販されているものを用いることができる。尚、これらのアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、特開2006−036943号公報に示されている固相法、その他の公知の製造方法によって作製することができる。
【0025】
上記その他のアルカリ土類金属珪酸塩の製造方法としては、例えば、金属元素化合物と水溶性珪素及び溶媒を密閉可能な容器に入れ、密閉状態で加熱して金属元素が均一に分散した珪素含有ゲルとした後、溶媒を除去することにより乾燥状態のゲルを得る。このゲルを加熱して有機物を除去することにより複合金属酸化物前駆体を得た後、複合金属酸化物前駆体を熱処理してアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を得る方法がある。
【0026】
上記方法において原料の金属元素化合物は溶媒に溶解するものであればよく、酸化物、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩を用いることができる。また、水溶性珪素は、テトラエトキシシラン(TEOS)とプロピレングリコールの混合液に塩酸及び水を加えて作られる。具体的には、TEOSを9.1mlとプロピレングリコール(99%)を13.3ml秤量して80℃で48時間混合し、この混合液に塩酸を100μl加えて室温で1時間撹拌する。この撹拌液に蒸留水を加え、100mlに定溶することで1Mの水溶性珪素が得られる。これらの原料を容器に入れて密閉状態で加熱することにより、常圧加熱では得られない高温で珪素原料の重合反応を進行させ、金属元素が均一に分散した珪素含有ゲルを生成させることができる。この珪素含有ゲルを用い、乾燥、加熱、焼成の各工程を経て、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子が得られる。
【0027】
(2)アルミニウム有機金属化合物の下地材溶液及びシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液について
第1工程で蛍光体粒子表面に下地層を形成するために用いる下地材溶液、及び第2工程で蛍光体粒子表面の下地層上に被覆層を形成するための被覆材溶液は、共にストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物の少なくとも1種を含んでいる。これらのストロンチウム有機金属化合物やバリウム有機金属化合物は後述するように予め溶液として作製しておき、これを下地材であるアルミニウム有機金属化合物の溶液あるいは被覆材であるシラン有機金属化合物の溶液に添加して複合化することによって、下地材溶液あるいは被覆材溶液を作製することができる。
【0028】
上記下地材溶液及び上記被覆材溶液を作製するためのストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物としては、アルコキシドやカルボン酸からなる有機金属が市販されているので、それらをアルコール等の溶媒に溶解して使用することができる。ただし、アルコキシドは溶解時の安定性に欠けるため、溶媒中にエステルやカルボン酸を加えたものが好ましい。また、溶液を安定させるためにアミン類やジケトン類を安定化材として使用することも可能であるが、被膜形成後の着色や膜中の欠陥の多さを考慮すると好ましくない。
【0029】
また、金属ストロンチウム又は金属バリウムをアルコール等の溶媒に溶解することで、ストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液を容易に作製することができる。例えば、沸点が250℃以下のアルコールあるいはアルコールにエステルやカルボン酸を加えた溶媒中に金属ストロンチウム及び金属バリウムのいずれか片方又は両方を添加して溶解することにより、ストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液あるいはストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液が得られる。
【0030】
上記下地材溶液に用いるアルミニウム有機金属化合物は、特に限定されるものではなく、一般式:ROH(ここで、Rは炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表す。)で表されるアルコールに対して相溶性があり、蛍光体粒子表面への吸着力が高いものが望ましい。具体的には、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、オクチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロプレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)などのアルキル基を含有するアルミニウムキレート化合物が好ましい。その中でもエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートは、エタノール及びイソプロピルアルコールとの相溶性が高いたあめ特に好ましい。
【0031】
上記被覆材溶液に用いるシラン有機金属化合物は、特に限定されるものではなく、加水分解縮合物からなる被覆材溶液の作製時の安定性や、被覆性及び膜質から、トリアルコキシシランが好ましい。具体的には、メチル−、エチル−、i−プロピル−、i−ブチル−、n−プロピル−、n−ブチル−等のトリアルコキシシランが好適に使用できる。この中でも、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシランがより好ましく、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキシシランが更に好ましい。
【0032】
アルミニウム有機金属化合物の下地材溶液中又はシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液中に含まれる金属濃度は、0.25〜4質量%の範囲とすることが好ましく、0.4〜2質量%の範囲が更に好ましい。上記溶液中の金属濃度が0.25質量%未満では蛍光体構成成分の溶出を十分に抑制できず、ストロンチウムやカルシウムの欠損の補填も不十分であるため、蛍光体の発光特性を向上させることができない。逆に4質量%を超えると、アルミニウム有機金属化合物の下地材溶液中又はシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液中の反応が著しくなり、粘度(重合度)が上昇して被覆性が低下するため好ましくない。
【0033】
(3)ストロンチウム有機金属化合物溶液、バリウム有機金属化合物溶液、ストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液の作製について
上記ストロンチウム有機金属化合物溶液、バリウム有機金属化合物溶液及びストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を得る方法の一つは、市販されているアルコキシドやカルボン酸からなる有機金属化合物の試薬、例えばストロンチウムイソプロポキシドやエチルヘキサン酸バリウム等を使用し、これを溶媒に溶解する方法である。尚、溶媒の選定としては、下地材溶液及び被覆材溶液の主溶媒であるアルコールを用いることが重要である。
【0034】
上記ストロンチウム有機金属化合物溶液、バリウム有機金属化合物溶液及びストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を得る他の方法としては、ストロンチウムやバリウムの純金属をアルコール溶媒に溶解する方法がある。即ち、金属ストロンチウムや金属バリウムをアルコール溶媒に加え、還流下で溶解することによって、ストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液あるいはストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を作製することができる。
【0035】
溶媒のアルコールとしては、沸点が250℃以下であるアルコールは残渣として被覆膜中に残っても加熱処理時に分解除去されるため好ましい。具体的には、メトキシエタノール、2メチル−1−ブタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の低級アルコールを使用することができる。また、アルコール溶媒中には、沸点が250℃以下の酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酪酸ブチル等のカルボン酸エステルと、エチルヘキサン酸等のカルボン酸を混合することが好ましい。これらの配合割合は、アルコール:エステル:カルボン酸=2:2:1とすることが好ましい。エステルとカルボン酸の添加によって、アルコールで金属を溶解した溶液に安定性を与えることができる。
【0036】
得られるストロンチウム有機金属化合物溶液、バリウム有機金属化合物溶液及びストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液は保存性に優れており、数ヶ月放置しても変化することがない。尚、溶液の安定化のために通常は溶媒種としてアミン類を用いることがあるが、例えばジエタノールアミン(沸点268℃)やエチルヘキシルアミン(沸点281℃)を溶液中に加えると、300℃で熱処理しても残渣が生じたり、得られる膜中に空隙が生じたりして欠損の多い膜となるため好ましくない。
【0037】
ストロンチウム有機金属化合物溶液、バリウム有機金属化合物溶液及びストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液中の金属濃度は、5〜20質量%の範囲が好ましい。20質量%を超える濃度でも溶解は可能であるが、得られる溶液の保存時に白濁沈殿が発生したり、ゲル化により液粘度が上昇したりして、安定性が欠けるため好ましくない。逆に金属濃度が5質量%未満になると、下地材溶液や被覆材溶液の作製時に添加する液量が増えるため好ましくない。
【0038】
上記のごとく作製したストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液あるいはストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を、下地材であるアルミニウム有機金属化合物あるいは被覆材であるシラン有機金属化合物に対して添加混合することによって、下地材溶液あるいは被覆材溶液を得ることができる。
【0039】
(4)被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の各製造工程について
本発明による被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造は、蛍光体粒子の表面にアルミニウム有機金属化合物の下地層を形成する第1工程と、その上にシラン有機金属化合物の加水分解縮合物からなる被覆層を積層して形成する第2工程と、得られた蛍光体粒子を乾燥及び熱処理することで下地層及び被覆層から被覆膜を得る第3工程とによって行われる。
【0040】
更に具体的に説明すると、まず下地層を形成する第1工程では、市販のアルミニウム有機金属化合物(ALCH)溶液中に等量の2−プロパノールを加え、更にストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液あるいはストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を全金属濃度が0.25〜4質量%の範囲となるようにゆっくりと滴下する。液温を18〜40℃に制御して撹拌混合した後、アルミニウム有機金属化合物溶液の液量に対して10%の水を加え、更に1〜10時間撹拌して一部加水分解したアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液を得る。
【0041】
アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の1重量部に対して、2〜50重量部のアルコール溶媒と、等量のストロンチウム及び/又はバリウムを含む上記アルミニウム有機金属化合物の下地材溶液とを加え、超音波振動を与えて再分散させ、必要に応じて密封下において、18〜60℃の温度で0.2〜5時間撹拌混合することにより、蛍光体粒子表面にストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含むアルミニウム有機金属化合物の下地層を形成する。その後、真空濾過することにより、表面に下地層を有するアルカリ土類金属珪酸蛍光体粒子を回収する。
【0042】
被覆層を形成する第2工程では、シラン有機金属化合物と、ストロンチウム有機金属化合物溶液又はバリウム有機金属化合物溶液あるいはストロンチウム有機金属化合物・バリウム有機金属化合物溶液を、全金属濃度が0.25〜4質量%の範囲となるようにゆっくりと滴下混合する。これに水を加え、18〜40℃に制御した密封状態下に2〜72時間撹拌混合することにより、一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物からなる被覆材溶液を作製する。
【0043】
次に、上記第1工程で下地層を形成した蛍光体粒子を質量比で蛍光体粒子1に対して2〜50となるようにアルコール溶媒を加え、超音波振動を与えて再分散させる。この蛍光体粒子が分散したアルコール溶媒中に上記被覆材溶液を加えて撹拌混合することにより、蛍光体粒子表面の下地層の上にストロンチウム有機金属化合物及び/又はバリウム有機金属化合物を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物からなる被覆層を積層して形成する。その後、真空濾過して乾燥することにより、表面に下地層と被覆層が積層形成されたアルカリ土類金属珪酸蛍光体粒子を得る。
【0044】
最後の第3工程においては、上記のごとく表面に下地層と被覆層を積層形成した蛍光体粒子を乾燥した後、大気雰囲気下において300〜400℃の温度で1〜3時間の熱処理を行う。この熱処理により、下地層から被覆層までが一体化して被膜膜となり、本発明の被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体を得ることができる。
【0045】
得られる本発明の被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、芯材であるアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に、SiとOを主成分とし且つストロンチウム及び/又はガリウムを含有する非晶質無機化合物からなる被膜膜を有している。この被覆膜の厚さは5〜100nmの範囲が好ましく、透明度の高い非晶質の無機酸化物からなる被覆膜であるため、被覆膜によって蛍光体粒子の発光強度が損なわれることはない。この被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体は、非常に高い耐湿性と耐水性を備えるだけでなく、芯材であるアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を上回る発光特性を有している。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体における発光特性の改善効果について、実施例及び比較例によって更に詳しく説明する。各実施例及び比較例で用いた有機溶媒は、予め乾燥したモレキュラーシーブ(3A)500gを有機溶媒10リットル中に入れ、水分を除去した後に使用した。尚、実際に有機溶媒として使用したエタノール及びIPA中の水分量は、カールフィッシャ水分計の測定で0.1g/lであった。
【0047】
尚、これら実施例及び比較例で用いた発光特性(相対値)、耐水性(導電率変化)、耐湿性、及び被覆膜の膜厚の評価方法は以下の通りである。
【0048】
(1)発光特性の評価
PL(Photo Luminescence)により、吸収率(Abs.)、外部量子効率(EQE)、内部量子効率(IQE)を測定し、各数値を被覆膜形成処理の前後での相対値(被覆後の発光特性/被覆前の発光特性)として求めた。被覆処理前後の発光特性を比較することで、数値の増減から被覆処理時の劣化や被覆膜形成による効果を判断した。ただし、比較例1では熱処理の前後での相対値を求めた。尚、上記各数値は日本分光(株)製の分光蛍光光度計FP6500を用い、450nmの励起光時の発光特性から求めた。
【0049】
(2)耐水性の評価
蛍光体粒子を水中に投入して導電率変化を求めた。即ち、耐水性に劣る蛍光体粒子は表面から成分が水中に溶出され、導電率は浸漬時間と共に上昇する。具体的には、80℃の温水100ml中に蛍光体粒子0.1gを投入し、10分間撹拌後の導電率変化(μS/cm)を測定した。
【0050】
(3)耐湿性の評価
耐湿試験の前後における蛍光体粒子のPL発光強度を測定し、その変化(耐湿試験後のPL発光強度/初期のPL発光強度)を被覆前後での相対値として求めた。耐湿試験は、蛍光体粒子をシリコーン樹脂中に10質量%加えて混合し、硬化後、85℃×85%RHの雰囲気下に250時間保持して行った。
【0051】
(4)被覆膜の膜厚
蛍光体粒子をエポキシ樹脂中に埋め込み、樹脂の硬化後に断面を加工してTEM観察することにより、得た画像から被覆膜(n=5)の寸法(厚さ)を測定し、被覆膜全体の平均膜厚を求めた。
【0052】
[実施例1〜4]
金属ストロンチウム(高純度化学(株)製)8.7gに、2−メチル−1―ブタノール(和光純薬(株)製)40gと、酢酸ブチル(関東化学(株)製、試薬特級)40gと、エチルヘキサン酸20gを加えた。この溶液に窒素ガスを導入しながら還流させ、スターラで2時間撹拌して混合した後、冷却してストロンチウム有機金属化合物溶液を得た。
【0053】
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル(株)製、ALCH S75P:濃度75質量%)90〜95gに、上記ストロンチウム有機金属化合物溶液を、実施例1では5g及び実施例2〜4では10g加えた。得られた各溶液に2−プロパノール(関東化学(株)製、試薬特級)100gと、それぞれイオン交換水10gとを添加し、25℃の温度に保持しながらスターラで2時間撹拌して混合することにより、ストロンチウム有機金属化合物を含む一部加水分解したアルミニウム有機金属化合物溶液(下地材溶液)を作製した。
【0054】
また、メチルトリメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製、Z−6366)70〜90gに、エタノール(関東化学(株)製、試薬特級)68gと共に、上記ストロンチウム有機金属化合物溶液を、実施例1〜2では10g、実施例3では20g、実施例4では30g加えた。得られた各溶液に、それぞれイオン交換水10gを添加し、25℃の温度に保持しながら、スターラで18時間撹拌して混合することにより、ストロンチウム有機金属化合物を含むシラン有機金属化合物の加水分解縮合物溶液(被覆材溶液)を得た。
【0055】
次に、上記実施例1〜4のストロンチウム有機金属化合物を含むアルミニウム有機金属化合物溶液(下地材溶液)からそれぞれ4gを取り出して、2−プロパノール溶媒20gに加え、更に(Ba0.475、Sr0.525SiO:Eu粒子(住友金属鉱山(株)製、D50=23μm)2gを添加して2時間撹拌した。撹拌終了後、真空濾過して乾燥することにより、表面に下地層が形成された蛍光体粒子を得た。
【0056】
続いて、上記実施例1〜4のストロンチウム有機金属化合物を含むシラン有機金属化合物の加水分解縮合物溶液(被覆材溶液)からそれぞれ10gを取り出して、エタノール溶媒5gを加え、更に上記下地層を形成した蛍光体粒子2gを添加して2時間撹拌した。撹拌終了後、真空濾過することにより、下地層上に被覆層が形成された蛍光体粒子を作製した。
【0057】
得られた各蛍光体粒子を110℃の温度で1時間加熱乾燥した後、大気雰囲気下において350℃の温度で1時間熱処理して、実施例1〜4の各被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子を得た。
【0058】
その後、実施例1〜4の各被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子について、被膜形成処理前後の発光特性(相対値)、耐水性の評価(導電率変化)、耐湿試験後の発光特性及び被覆膜の膜厚を求め、得られた結果を下記表1に示した。
【0059】
[実施例5〜7]
上記実施例1〜4におけるストロンチウム有機金属化合物溶液の代わりに、市販のバリウム有機金属化合物溶液であるエチルヘキサン酸バリウム溶液(三つ葉化学(株)製:7.7質量%品)を使用し、この溶液を上記実施例1〜4と同じ下地材溶液及び被覆材溶液に実施例5では5g、実施例6では10g、実施例7では30gを加えた以外は上記実施例1〜4と同様にして、実施例5〜7の各被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子を作製した。
【0060】
その後、実施例5〜7の各被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子について、被膜形成処理前後の発光特性(相対値)、耐水性の評価(導電率変化)、耐湿試験後の発光特性及び被覆膜の膜厚を求め、得られた結果を下記表1に示した。
【0061】
[比較例1]
(Ba0.475、Sr0.525SiO:Eu粒子(住友金属鉱山(株)製、D50=23μm)2gを、未被覆の状態のまま、大気雰囲気下において350℃の温度で1時間熱処理した。
【0062】
その後、上記熱処理後のアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子について、熱処理前後の発光特性(相対値)、耐水性の評価(導電率変化)及び耐湿試験後の発光特性を求め、得られた結果を下記表1に示した。
【0063】
[比較例2]
上記実施例1における、一部加水分解したアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液とシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液を作製し、この下地材溶液及び被覆材溶液を用いた以外は上記実施例1と同様にして、被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子蛍光体粒子を得た。
【0064】
得られた被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子について、被膜形成処理前後の発光特性(相対値)、耐水性の評価(導電率変化)、耐湿試験後の発光特性及び被覆膜の膜厚を求め、得られた評価結果を下記表1に示した。
【0065】
【表1】

【0066】
上記の結果から、本発明による実施例1〜7の被覆膜付きアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子は、導電率変化及び耐湿試験後の発光特性の変化が共に小さいことから耐水性及び耐湿性に優れているうえ、被膜形成処理前後の発光特性(相対値)が1を上回り、発光特性が向上していることが分かる。
【0067】
一方、被覆膜を形成せず熱処理のみを行った比較例1のアルカリ土類珪酸塩蛍光体粒子は、導電率変化及び耐湿試験後の発光特性の変化が非常に大きいことから耐水性及び耐湿性に劣り、熱処理前後の発光特性(相対値)も1を下回ることから発光特性が低下していることが分かる。また、ストロンチウム有機金属化合物溶液を使用せずに被覆膜形成した比較例2では、耐湿性は比較的良好であったが耐水性はやや劣り、被膜形成処理前後の発光特性(相対値)のうちEQE及びIQEが1を下回り、発光特性の向上は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記第1工程〜第3工程を有することを特徴とする被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法。
第1工程:ストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物の少なくとも1種を含むアルミニウム有機金属化合物の下地材溶液に、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に下地層を形成する工程
第2工程:ストロンチウム有機金属化合物及びバリウム有機金属化合物の少なくとも1種を含む一部加水分解したシラン有機金属化合物の加水分解縮合物の被覆材溶液に、第1工程で得た蛍光体粒子を加えて混合することにより、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に被覆層を形成する工程
第3工程:第2工程で得た蛍光体粒子を乾燥した後、大気雰囲気下において熱処理して、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の表面に被覆膜を得る工程
【請求項2】
前記第1工程の下地材溶液中の金属濃度及び前記第2工程の被覆材溶液中の金属濃度が、それぞれ0.25〜4質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の被覆膜付きアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体粒子の製造方法。