説明

被覆HVJ−E及び被覆HVJ−Eの製造方法

【課題】本発明は、ガン部位への標的性を向上させた被覆HVJ−Eを提供することを課題とする。
【解決手段】、HVJ−Eと、このHVJ−Eの表面を覆う被覆層とを有し、この被覆層は、カチオン性の層とアニオン性の層が交互に2層以上積層されており、この被覆層のうちの最内層はカチオン性の層とし、かつ、最表層は、ヒアルロン酸によって形成されたアニオン性の層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆HVJ−E及び被覆HVJ−Eの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Hemagglutinating virus of Japan(HVJ)は、1953年に東北大学のIshidaらによって発見され、1957年に大阪大学のOkadaらによって異種の細胞を融合させる作用があることが発見された直径約150−250nmの楕円形エンベロープウイルスである。
【0003】
HVJは、分裂・非分裂細胞を問わず、哺乳類の多くの細胞種、組織に遺伝子を導入可能であり、高い外来遺伝子の発現能を有しているため、バイオ分野での高発現遺伝子ベクターとしての利用が盛んに行われている。また、宿主染色体に影響を与えず、挿入変異や染色体の構造変化の危険性もない等、機能性・安全性の両面で有利な特徴を有しているため、がん、循環器疾患、感染症、神経系疾患等の治療へ向けて、医療分野での応用研究・開発が進められている(非特許文献1)。
【0004】
このHVJを紫外線照射によってゲノムRNAを破壊し、複製能力を失わせた不活化HVJ粒子(Hemagglutinating virus of Japan envelope:HVJ−E)が遺伝子治療用ベクターとして開発されている。
大阪大学のKanedaらは、HVJ−E自体に多様な抗腫瘍活性があり、ガンの転移や再発を抑制できることを報告している。その作用メカニズムは、HVJ−Eは樹状細胞の成熟化を介して、癌特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導すると同時に、制御性T細胞の働きを解除することで、抗腫瘍免疫活性を示すと考えられている(非特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】N.Ishida,M.Homma,Adv.Virus Res.,23,349(1978)
【非特許文献2】Y.Kaneda,S.Yamamoto,T.Nakajima,Adv.Genet.,53PA,307(2005)
【非特許文献3】Y.Kaneda,Curr.Drug Targets,4, 599(2003)
【非特許文献4】W.Knudson,D.J.Aguiar,Q.Hua,C.B.Knudson,Exp.Cell Res.,228,216(1996)
【非特許文献5】G.Decher,Science,277,1232(1997)
【非特許文献6】F.Caruso,R.A.Caruso,H.Mohwald, Science,282,1111(1998)
【非特許文献7】Z.Tang,Y.Wang,P.Podsiadlo,N.A.Kotov,Adv.Mater.,18,3203(2006)
【非特許文献8】X.Wang,Y.Deng,H.Shi,Z.Mei,H.Zhao,W.Xiong,P.Liu,Y.Zhao,C.Qin,R.Tang,Small,6,351(2010)
【非特許文献9】P.Bertrand,A.Jonas,A.Laschewsky,R.Legras,Macromol.Rapid Commun.,21,319 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、HVJは一部を除くほとんどすべての細胞と融合するため、HVJ−Eの組織特異性は乏しく、特定の組織のみにターゲッティングさせることが難しいという欠点がある。
【0007】
そこで、本発明では、ガン細胞に対する特異的結合性を向上させたHVJ−Eおよびその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の被覆HVJ−Eは、以下のことを特徴としている。
<1>ガン細胞と特異的に結合する被覆HVJ−Eであって、HVJ−Eと、このHVJ−Eの表面を覆う被覆層とを有し、この被覆層は、カチオン性の層とアニオン性の層が交互に2層以上積層されており、この被覆層のうちの最内層はカチオン性の層であり、かつ、最表層は、ヒアルロン酸によって形成されたアニオン性の層である。
<2>被覆層は、カチオン性の層とアニオン性の層が交互に4層以上積層されており、最表層以外のアニオン性の層は、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかによって形成されている。
<3>カチオン性の層が、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩のうちのいずれかによって形成されている。
<4>カチオン性の層および/またはアニオン性の層に蛍光色素、ペプチド、抗がん剤のうちのいずれかが導入されている。
本発明の被覆HVJ−Eの製造方法は、以下のことを特徴としている。
<5>ガン細胞と特異的に結合する被覆HVJ−Eの製造方法であって、以下の工程: (1)HVJ−Eとカチオン性材料とを接触させてカチオン性の層を形成する工程;および(2)HVJ−Eとアニオン性材料とを接触させてアニオン性の層を形成する工程を含み、前記工程(1)(2)を1回、または2回以上繰り返して、カチオン性の層とアニオン層が交互に2層以上積層されている被覆層を形成するとともに、この被覆層のうちの最表層をヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層で形成することを特徴とする。
<6>前記工程(1)の前処理として、HVJ−Eの表面を清浄化する工程を含む。
<7>前記工程(2)のアニオン性材料は、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかを分散させた溶液である。
<8>前記工程(1)のカチオン性材料は、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩のうちのいずれかを分散させた溶液である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の被覆HVJ−Eは、最表層にヒアルロン酸を有しているので、ガン細胞に対して優れた特異的結合性を発揮する。また、本発明の被覆HVJ−Eの製造方法によれば、HVJ−Eの表面にカチオン性の層とアニオン性の層を交互に積層することができ、最表層をヒアルロン酸で形成することができるので、ガン細胞に対して優れた特異的結合性を発揮する被覆HVJ−Eを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の被覆HVJ−Eの一例を示す図であって、(a)は全体模式図であり、(b)は(a)のE部拡大図である。
【図2】本発明の被覆HVJ−Eのカチオン性の層Aを構成する合成高分子などを例示した図である。
【図3】本発明の被覆HVJ−Eの製造方法における清浄化工程の一実施形態を例示した工程図である。
【図4】本発明の被覆HVJ−Eの製造方法におけるカチオン性の層被覆工程の一実施形態を例示した工程図である。
【図5】本発明の被覆HVJ−Eの製造方法におけるアニオン性の層被覆工程の一実施形態を例示した工程図である。
【図6】実施例1のカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の繰り返し工程での表面電位(ELS測定)を示したグラフである。
【図7】実施例2のカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の繰り返し工程(各6工程)での粒径分布(DLS測定)を示したグラフである。
【図8】実施例3のカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の繰り返し工程(各6工程)での粒径分布(DLS測定)を示したグラフである。
【図9】ポリアリルアミン塩酸塩/アニオン性磁性ナノ粒子で修飾されたHVJ−Eの挙動を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発明者は、HVJ−Eのガン細胞に対する特異的結合性を向上させるため、ヒアルロン酸に注目した。
【0012】
ヒアルロン酸は、細胞外マトリックスの普遍的な構成成分として生体内に広く分布している高分子多糖で、組織の構築に寄与しているばかりでなく、細胞増殖、創傷治癒、血管新生など多くの生物学的機能を有している。そして、悪性胸膜中皮腫などのガンにおいて、その細胞表面上にヒアルロン酸と特異的に結合するCD44が高発現していることが知られている(非特許文献4)。
したがって、このヒアルロン酸をHVJ−Eの表面に安定に被覆することができれば、ガン細胞への結合特異性を向上させることができると考えられる。
【0013】
一般に、粒子などの基材表面修飾法としては、アルカンチオールやシランカップリング剤に代表される自己集合単分子膜(SAM)法、Langmuir−Blodgett法、高分子グラフト法などが知られている(非特許文献5、6)。しかしながら、これらの方法は、特殊な装置や操作や有機溶剤を必要とする場合が多く、また基材や修飾に用いる材料が限定されるため、タンパク質や細胞などの生体分子への適用が難しいという問題があり、ヒアルロン酸をHVJ−Eの表面に被覆することは困難である。
また、ヒアルロン酸をビルディングブロックとして用いた場合、極めて特殊な積層挙動を示すことが知られており、これまでに、ナノ粒子表面上にヒアルロン酸を含む機能性薄膜を形成させた例は報告されていない。
そこで、本発明者は、タンパク質や細胞などの生体分子にも適用できる水系をベースとしたマイルドな条件で、HVJ−Eの表面をヒアルロン酸で被覆した、被覆HVJ−Eを製造する方法として、Layer−by−Layer(LbL;交互積層、交互吸着、交互浸漬)法に注目した。
【0014】
Layer−by−Layer法(LbL法)は、分子一層ずつを積層させ機能性薄膜を形成させる手法である(非特許文献7、8)。このLbL法は、簡便性や汎用性に優れており、水系コーティングを得意とするため、タンパク質や細胞などの生体分子の機能を損なうことなく極めて多種の材料で修飾でき、さらに材料本来の特性を維持したまま新たな機能を表面に付与することができる。
【0015】
本発明者は、このLbL法を利用することで、HVJ−Eの表面に、ガン標的リガンドとしてのヒアルロン酸を被覆できるのではないかとの着想を得て、本発明に至った。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の被覆HVJ−Eの一実施形態を例示した模式図である。
図1に示したように、本発明の被覆HVJ−Eは、略球状のHVJ−Eと、このHVJ−Eの表面を覆う被覆層11と、を有している。
【0016】
被覆層11は、カチオン性の層Aとアニオン層Bとが交互に2層以上積層されて形成されている。具体的には、HVJ−Eを覆う被覆層11のうちの最内層はカチオン性の層Aで形成され、かつ、被覆層11のうちの最表層は、ヒアルロン酸によって形成されたアニオン性の層Bで形成されている。
【0017】
カチオン性の層Aとアニオン層Bの合計積層数は、好ましくは、2層〜20層とすることができる。HVJ−Eの表面をカチオン性の層A(最内層)で被覆し、その上に、アニオン性の層B、カチオン性の層A、アニオン性の層B・・・と交互に積層し、被覆層11の最表層をヒアルロン酸によって形成されたアニオン性の層Bで形成するため、カチオン性の層Aとアニオン層Bの合計積層数は、2の倍数とされる。カチオン性の層Aとアニオン層Bの合計積層数を変更することで、被覆層11を所望の被膜厚さに形成することができる。
【0018】
また、カチオン性の層Aとアニオン層Bが4層以上の場合、被覆HVJ−Eの被覆層11の最表層以外のアニオン性の層Bは、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかによって形成することができる。すなわち、例えば、最表層以外のアニオン性の層Bをポリスチレンスルホン酸ナトリウムまたはアニオン性磁性ナノ粒子で形成し、最表層はヒアルロン酸で形成することができる。また、積層するアニオン性の層B(最表層および最表層以外)を、すべてヒアルロン酸によって形成することもできる。
【0019】
ヒアルロン酸は下記一般式(1)で表される。
【化1】

【0020】
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは下記一般式(2)で表される。
【化2】

【0021】
アニオン性磁性ナノ粒子は下記一般式(3)で表される。
【化3】


カチオン性の層Aは、例えば、キトサン、キトサン塩酸塩又はポリアリルアミン塩酸塩、カチオン性を有する他の合成高分子、生体高分子、有機あるいは金属ナノ粒子などによって形成することができる。
【0022】
なかでも、カチオン性の層Aの材料として、キトサン、キトサン塩酸塩又はポリアリルアミン塩酸塩を用いることにより、LbL法で、HVJ−Eの表面を密にかつ単分子の厚さで覆うことができる。また、アニオン性の層Bを強固に被覆することができ、安定なアニオン性の層Bを有する被覆HVJ−Eとすることができる。
【0023】
キトサンは、下記一般式(4)で表される。
【化4】

【0024】
キトサン塩酸塩は、下記一般式(5)で表される。
【化5】

【0025】
ポリアリルアミン塩酸塩は、下記一般式(6)で表される。
【化6】

【0026】
また、カチオン性の層Aを構成する合成高分子は、例えば、アクリレートおよびメタクリレート型高分子、アクリルアミドおよびメタクリルアミド型高分子、ビニルスルフォン型高分子などを挙げることができる。さらに、生体高分子としては、例えば、多糖、タンパク質、ペプチド、核酸などを挙げることができる。さらに、有機あるいは金属ナノ粒子としては、例えば、磁性粒子、量子ドット、金粒子、銀粒子、酸化チタン、シリカなどなどを挙げることができる。
具体的には、図2に例示される合成高分子、生体高分子、有機あるいは金属ナノ粒子を挙げることができる。(非特許文献9)。
カチオン性の層A及び/又はアニオン性の層Bに蛍光色素、ペプチド、抗がん剤を導入することもできる。
【0027】
カチオン性の層Aでは、例えば、キトサン又はキトサン塩酸塩はアミノ基を有するので、水素結合、静電相互作用あるいは縮合反応を利用して、容易に蛍光色素、ペプチド、抗がん剤を導入できる。また、合成高分子、生体高分子はアミノ基を有していれば、水素結合、静電相互作用あるいは縮合反応を利用して、容易に蛍光色素、ペプチド、抗がん剤を導入できる。
【0028】
アニオン性の層Bでは、ヒアルロン酸はカルボキシル基を有するので、水素結合、静電相互作用あるいは縮合反応を利用して、容易に蛍光色素、ペプチド、抗がん剤を導入できる。これによって、蛍光標識として用いることができたり、ターゲティング能の更なる向上ができたり、抗がん効果をより高めた被覆HVJ−Eとすることができる。
【0029】
抗がん剤としては、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル、酒石酸ビノレルビン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸イダルビシン、ブレオマイシン、フルオロウラシル、テガフール・ウラシル、ドキシフルリジン、テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム(S1)、塩酸ゲムシタビン、メソトレキサート、シタラビンAra-C、塩酸イリノテカン、エトポシドを例示することができる。水素結合、静電相互作用あるいは縮合反応により導入が容易であり、抗がん効果を高めることができる。
【0030】
本発明の被覆HVJ−Eは、HVJ−Eの表面が、カチオン性の層とアニオン層とによって交互に2層以上積層されており、被覆層の最表層は、ヒアルロン酸によって形成されている。このため、被覆HVJ−Eは、ガン細胞へ達するまで正常な細胞との融合を抑制でき、ガン細胞に特異的に結合させることができ、ガン細胞への特異的結合性(標的性)を向上させることができる。また、ガン細胞に到達した場合には、HVJ−Eの作用によって容易にガン細胞と融合させることができ、HVJ−Eの抗ガン効果を発揮させることができる。
【0031】
本発明の被覆HVJ−Eは、被覆層を構成する層数が2層以上であるため、表面を多層のアニオン性の層Bで保護することができ、ガン細胞へ達するまでの正常な細胞との融合を抑制することができる。
【0032】
また、本発明の被覆HVJ−Eは、被覆層を形成するカチオン性の層A及び/又はアニオン性の層Bに蛍光色素、ペプチド、抗がん剤を導入することもできるため、被覆層の層数(膜厚)を変化させることで、これらの機能性物質の担持量を精密に制御することができる。さらに、カチオン性の層Aを磁性粒子で形成した場合には、被覆層の層数(膜厚)を変化させることで、温熱療法を有効にする発熱量の達成や磁石の引きつけ速度などを制御することができる。
【0033】
次に、本発明の被覆HVJ−Eの製造方法の一実施形態について説明する。
HVJ−Eの表面にカチオン性の層A/アニオン性の層Bの多層構造を形成するために、Layer−by−Layer法(LbL法、交互吸着法、交互浸漬法とも呼ばれる。)を用いる。
【0034】
本発明の被覆HVJ−Eの製造方法では、以下の工程:(1)HVJ−Eとカチオン性材料とを接触させてカチオン性の層を形成する工程;および(2)HVJ−Eとアニオン性材料とを接触させてアニオン性の層を形成する工程を含む。
【0035】
工程(1)では、例えば、適宜、洗浄を行ったHVJ−Eを水に分散させた後、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩などのカチオン性材料を含む溶液を添加して、HVJ−Eとカチオン性材料を接触させることで、HVJ−Eの表面をカチオン性の層Aで覆うことができる。これによって、HVJ−Eの表面を覆う被覆層11の最内層はカチオン性の層Aで形成される。
【0036】
カチオン性材料を含む溶液の溶媒は、例えば、酢酸緩衝液やリン酸緩衝液などを例示することができる。また、例えば、カチオン性材料が、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩である場合、pH5〜pH7であり、濃度が1mM〜300mMの範囲であることが好ましい。これによって、沈殿物等を形成することなく、生成効率を向上させることができる。
【0037】
さらに、工程(1)(HVJ−Eの表面にカチオン性の層を形成する工程)の前処理として、HVJ−Eの表面を清浄化することができる。この場合には、例えば、HVJ−Eを水系溶液中に分散させ、遠心分離を行うことで洗浄することができる。これによって、より確実に、HVJ−Eの表面をカチオン性の層で被覆することができる。
【0038】
さらに、工程(2)では、前記工程(1)を経た、表層にカチオン性の層Aを有するHVJ−Eとアニオン性材料とを接触させる。例えば、表層にカチオン性の層Aを有するHVJ−Eを水中に分散させ、アニオン性材料を添加し、HVJ−Eとアニオン性材料を接触させることで、HVJ−Eのカチオン性の層Aの上にアニオン性の層Bを積層させることができる。
【0039】
アニオン性材料を含む溶液の溶媒は、酢酸緩衝液やリン酸緩衝液などを例示することができる。また、アニオン性材料の濃度は、およそ1mM〜300mMの範囲であることが好ましい。これによって、溶液中に沈殿物等が形成されるのが抑制され、生成効率を向上させることができる。
【0040】
この工程(2)においても、遠心分離、上澄みの除去などの操作を適宜行うことができる。遠心分離は、例えば、4℃以上30℃以下、10000rpm以上20000rpm以下の条件で実施することができる。この条件によって、沈殿物等が形成されるのが抑制され、生成効率を向上させることができる。
【0041】
そして、このような工程(1)(2)を1回、または2回以上繰り返して被覆層11を形成するとともに、この被覆層11の最表層をヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層Bによって形成する。
【0042】
例えば、被覆HVJ−Eの層数を2層とする場合には、工程(1)を行った後、工程(2)では、アニオン性材料としてヒアルロン酸を使用し、HVJ−Eを被覆する被覆層11の最表層をヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層Bとする。
【0043】
一方、被覆HVJ−Eの被覆層を構成するカチオン性の層Aとアニオン性の層Bの合計層数が2層以上(偶数)の場合、工程(1)(2)を所望の回数(2回以上)繰り返し、カチオン性の層Aとアニオン性の層Bを所望の層数で積層させ、最後に、工程(2)で使用するアニオン性材料としてヒアルロン酸を使用して、被覆層11の最表層をヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層Bとする。
【0044】
この場合、アニオン性材料およびカチオン性材料は、1種の材料で形成することもできるし、2種以上の異なる材料で形成することもできる。具体的には、最表層以外のアニオン性の層Bは、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかによって形成することができる。また、カチオン性材料としては、キトサン又はキトサン塩酸塩などを好ましく用いることができる。また、カチオン性の層の材料としては、カチオン性の生体高分子、合成高分子、有機又は金属ナノ粒子を用いることもできる。例えば、カチオン性材料として、磁性粒子(金属ナノ粒子)を用いた場合、反応や洗浄過程に用いる遠心分離は磁気分離によって行うことが可能になり、製造工程における操作性が向上する。さらに、交流磁場下で熱を発生する磁性粒子などを被覆することで、温熱療法によるガンの治療効果促進も可能となる。このような材料を適宜選択することで、被覆HVJ−Eを構成するカチオン性の層とアニオン性の層は多様な組み合わせが可能である。
【0045】
また、工程(1)と工程(2)の繰り返し数(カチオン性の層Aとアニオン性の層Bの層数)は、例えば、結合対象となるガン細胞の特性などを考慮して決定することができるが、1回〜10回程度(カチオン性の層Aとアニオン性の層Bの合計層数2〜20層)が実際的であり、好ましい。
【0046】
このような方法によって、被覆層11の厚さが調整された、所望の層数を有し、最表層がヒアルロン酸によって形成された被覆HVJ−Eを容易に製造することができる。被覆HVJ−Eの被覆層の最表層をヒアルロン酸のアニオン性の層Bによって形成することで、ガン細胞への標的性を向上させ、被覆HVJ−Eをガン細胞と特異的に結合させることができる。
【0047】
また、本発明では、LbL法を用いることによって、HVJ−Eの微小の凹凸がある表面でも、ナノ薄膜として、アニオン性の層およびカチオン性の層を一層ずつ積み重ねてそれぞれ密に形成することができ、HVJ−E表面を高度に機能制御することを可能としている。
【0048】
HVJ−E上に、カチオン性の層Aとアニオン性の層Bを交互に吸着するだけであることから、簡便であり、水系コーティングを得意とするため、低環境負荷・低コストであり、ステップ数(積層数)によりnmからμmオーダーでの膜厚制御が可能であり、HVJ−E本来の特性を維持したまま新しい機能を付与可能である。
【0049】
本発明の実施形態である被覆HVJ−E及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。
【実施例】
【0050】
本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)ヒアルロン酸/キトサン塩酸塩を用いたHVJ−Eの表面被覆
【0052】
(清浄化工程)
図3の工程図に示したように、「HVJ−E」0.5mgを1.5mlエッペンチューブに標量し、酢酸buffer(pH5.9,150mM)1mlに分散し、遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes)した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0053】
(カチオン性の層の被覆工程)
図4の工程図に示したように、清浄化工程を経たHVJ−Eを、500μlの酢酸buffer(pH5.9,150mM)に再分散した。ここに、500μlの2mg/mlキトサン塩酸塩溶液(CH−HCl)(溶媒:150mM,pH5.9、酢酸buffer)を加え、15分間反応させ、反応後に遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0054】
(アニオン性の層の被覆工程)
図5の工程図に示したように、カチオン性の層の被覆工程を経たHVJ−Eを、500μlの酢酸buffer(pH5.9,150mM)に再分散し、ここに、2mg/mlヒアルロン酸溶液(HA)(溶媒:150mM,pH5.9、酢酸buffer)を加え、15分間反応させた。反応後、溶液を遠心分離し上澄みを捨てた。
このカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の作業を交互に合計6工程繰り返し、それぞれの工程での表面電位を、ELSを用いて測定した。(図6)
【0055】
なお、カチオン性の層とアニオン性の層の多層構造により被覆されたHVJ−Eは、下記化学式(7)で表される。
【化7】


式(7)中、Aはカチオン性材料、Bはアニオン性材料を表し、nは二層のステップ数を表し、nが0.5は1層を、nが1の時は2層を表す。さらに、nが0.5の奇数倍の時はAが最表層を形成し、nが0.5の偶数倍の時はBが最表層を形成することを表す。
【0056】
図5に示したように、このカチオン性の層の被覆工程と、アニオン性の層の被覆工程を交互に繰り返すと、カチオン性の層(CH−HCl)の被覆によって、HVJ−Eの表面電位が、+20mv〜+30mvの範囲へと変化し、さらに、アニオン性の層(HA)の被覆によって、HVJ−Eの表面電位が−20mv〜−30mvの範囲へと変化することが確認された。本発明の被覆HVJ−Eの製造方法によれば、HVJ−Eの表面にカチオン性の層およびアニオン性の層を交互に安定して積層できることが確認された。
【0057】
(比較例1)ヒアルロン酸/キトサン塩酸塩を用いたHVJ−Eの表面被覆におけるHVJ−E濃度の効果
【0058】
(清浄化工程)
「HVJ−E」1.0mgを1.5mlエッペンチューブに標量し、酢酸buffer(pH5.9,150mM)1mlに分散し遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes,遠心分離はすべてこの条件)した。
遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0059】
(カチオン性の層の被覆工程)
次に、清浄化工程を経たHVJ−Eを、500μlの酢酸buffer(pH5.9,150mM)に再分散した。ここに、500μlの2mg/mlキトサン塩酸塩溶液(CH−HCl)(溶媒:150mM,pH5.9、酢酸buffer)に分散させたキトサン塩酸塩溶液(CH−HCl溶液)を加え、15分間反応させ、反応後に遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0060】
(アニオン性の層の被覆工程)
次に、カチオン性の層の被覆工程を経たHVJ−Eを、500μlの酢酸buffer(pH5.9,150mM)に再分散した。ここに、2mg/mlヒアルロン酸(HA)溶液(150mM,pH5.9、酢酸buffer)を加え、15分間反応させた。反応後、溶液を遠心分離し上澄みを捨てた。
次に、アニオン性の層の被覆工程を経たHVJ−Eを、500μlの酢酸buffer(pH5.9,150mM)に再分散を試みたが凝集が生じなかった。さらに、ここに 2mg/mlのHA溶液(溶媒:150mM,pH5.9、酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、溶液を遠心分離し上澄みを捨て、500μlの酢酸bufferに再分散を試みた。しかし、凝集が生じてしまった。
【0061】
この結果、HA溶液に対してHVJ−Eが過剰に存在する場合には、カチオン性の層とアニオン性の層による被覆は可能であるものの、HVJ−Eの凝集が生じることが確認された。
【0062】
(実施例2)ヒアルロン酸/キトサン塩酸塩を用いたHVJ−Eの表面被覆におけるイオン強度の効果
【0063】
(清浄化工程)
「HVJ−E」0.5mgを1.5mlエッペンチューブに標量し、酢酸buffer(PH5.9,50mM,以下すべて同じ)1mlに分散し遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes,遠心分離はすべてこの条件)した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0064】
(カチオン性の層被覆工程)
次に、500μlの酢酸bufferに再分散した。ここに500μlの2mg/ml「CH−HCl溶液」(50mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させ、反応後に遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0065】
(アニオン性の層被覆工程)
次に、500μlの酢酸bufferに再分散した。ここに2mg/ml「HA溶液」(50mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。ここに2mg/ml「HA溶液」(50mM,pH5.9,酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、溶液を遠心分離し上澄みを捨てた。
次に、500μlの酢酸bufferに再分散を試みた。すると、HVJ−Eの凝集はほとんど確認されず、その割合は実施例1または比較例1と比較して低下した。イオン強度を低下させることで、静電的な遮蔽が抑制されるため粒子間の反発力が大きくなり分散性が大きく向上したと考えられる。
【0066】
(実施例3)ポリアリルアミン塩酸塩/ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いたHVJ−Eの表面被覆
【0067】
(清浄化工程)
「HVJ−E」0.5mgを1.5mlエッペンチューブに標量し、超純水(ミリポア社製、「milli Q」)1mlに分散し、遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes,遠心分離はすべてこの条件)した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0068】
(カチオン性の層被覆工程)
次に、清浄化工程を経たHVJ−Eを、100μlの超純水に再分散した。ここに400μlの2mg/mlポリアリルアミン塩酸塩(PAH)溶液(溶媒:超純水)を加え、さらに2mg/mlポリアリルアミン塩酸塩(PAH)溶液(溶媒:150mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、500μlの超純水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの超純水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0069】
(アニオン性の層被覆工程)
次に、カチオン性の層被覆工程を経たHVJ−Eを、100μlの超純水に再分散した。2mg/mlのポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)溶液(溶媒:超純水)を加え、さらに2mg/mlポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)溶液(溶媒:150mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、500μlの「milli Q」水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの超純水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。
このカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の作業を交互に6工程繰り返し、それぞれの工程でDLSを測定した。(図7)
【0070】
図7に示したように、カチオン性の層の材料としてポリアリルアミン塩酸塩を使用し、アニオン性の層の材料の材料としてポリスチレンスルホン酸ナトリウムを使用した場合にも、実施例1と同様に、カチオン性の層とアニオン性の層を交互に積層することができることが確認された。さらに、図7に示したようにDLSの結果は粒径分布の単峰性が維持されていることからほとんど凝集を生じず、個々のHVJ−Eがカチオン性の層とアニオン性の層で被覆されていることが確認された。
なお、被覆HVJ−Eのガン細胞への特異的結合性を確保するためには、HVJ−Eの最表層を、ヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層で被覆する工程が必要であるが、本実施例では、便宜的に、この工程は省略している。
【0071】
(実施例4)ポリアリルアミン塩酸塩/ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いたHVJ−Eの表面被覆における分散媒量の効果
【0072】
(清浄化工程)
「HVJ−E」0.5mlを1.5mgエッペンチューブに標量し、超純水(ミリポア社製、「milli Q」)1mlに分散し、遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes)した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0073】
(カチオン性の層被覆工程)
次に、500μlの「milli Q」水に再分散した。ここに500μlの4mg/mlポリアリルアミン塩酸塩(PAH)溶液(溶媒:150mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、500μlの超純水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの超純水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0074】
(アニオン性の層被覆工程)
次に、500μlの超純水に再分散した。ここに500μlの4mg/mlポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)溶液(溶媒:150mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、500μlの「milli Q」水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの「milli Q」水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。
このカチオン性の層被覆工程とアニオン性の層被覆工程の作業を交互に6工程繰り返し、それぞれの工程でDLSを測定した。(図8)
【0075】
図8に示したように、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)溶液およびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)溶液の濃度を2倍(4mg/ml)にし、分散媒量を多くすることで、実施例3と比較して、凝集がなく、より均一に個々のHVJ−Eがカチオン性の層とアニオン性の層で被覆できることが確認された。
なお、被覆HVJ−Eのガン細胞への特異的結合性を確保するためには、HVJ−Eの最表層を、ヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層で被覆する工程が必要であるが、本実施例では、便宜的に、この工程は省略している。
【0076】
(実施例5)ポリアリルアミン塩酸塩/アニオン性磁性ナノ粒子を用いたHVJ−Eの表面被覆
【0077】
(清浄化工程)
「HVJ−E」0.5mlを1.5mgエッペンチューブに標量し、超純水(ミリポア社製、「milli Q」)1mlに分散し、遠心分離(15000rpm,4℃以下,15minutes)した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0078】
(カチオン性の層被覆工程)
次に、500μlの超純水に再分散した。ここに500μlの4mg/mlポリアリルアミン塩酸塩(PAH)(溶媒:150mM,pH5.9酢酸buffer)を加え15分間反応させた。反応後、500μlの超純水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの超純水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。遠心分離後、上澄みを捨てた。
【0079】
(アニオン性の層被覆工程)
次に、500μlの超純水に再分散した。ここに超純水中に分散させた0.1wt%のアニオン性磁性粒子を加え15分間反応させた。反応後、500μlの超純水を加え遠心分離した。遠心分離後、上澄みを捨てた。
次に、1mlの超純水に再分散し、もう1度遠心分離をおこなった。
図9に示したように、ポリアリルアミン塩酸塩/アニオン性磁性ナノ粒子で修飾されたHVJ−Eは磁石に引き付けられ再度分散可能であった。
なお、被覆HVJ−Eのガン細胞への特異的結合性を確保するためには、HVJ−Eの最表層を、ヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層で被覆する工程が必要であるが、本実施例では、便宜的に、この工程は省略している。
【符号の説明】
【0080】
11 被膜層
A カチオン性の層
B アニオン性の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガン細胞と特異的に結合する被覆HVJ−Eであって、HVJ−Eと、このHVJ−Eの表面を覆う被覆層とを有し、この被覆層は、カチオン性の層とアニオン性の層が交互に2層以上積層されており、この被覆層のうちの最内層はカチオン性の層であり、かつ、最表層は、ヒアルロン酸によって形成されたアニオン性の層であることを特徴とする被覆HVJ−E。
【請求項2】
被覆層は、カチオン性の層とアニオン層が交互に4層以上積層されており、最表層以外のアニオン性の層は、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の被覆HVJ−E。
【請求項3】
カチオン性の層が、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩のうちのいずれかによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆HVJ−E。
【請求項4】
カチオン性の層および/またはアニオン性の層に蛍光色素、ペプチド、抗がん剤のうちのいずれかが導入されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被覆HVJ−E。
【請求項5】
ガン細胞と特異的に結合する被覆HVJ−Eの製造方法であって、以下の工程:
(1)HVJ−Eとカチオン性材料とを接触させてカチオン性の層を形成する工程;および
(2)HVJ−Eとアニオン性材料とを接触させてアニオン性の層を形成する工程
を含み、前記工程(1)(2)を1回、または2回以上繰り返して、カチオン性の層とアニオン層が交互に2層以上積層されている被覆層を形成するとともに、この被覆層のうちの最表層をヒアルロン酸で形成されたアニオン性の層で形成することを特徴とする被覆HVJ−Eの製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)の前処理として、HVJ−Eの表面を清浄化する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の被覆HVJ−Eの製造方法。
【請求項7】
前記工程(2)のアニオン性材料は、ヒアルロン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性磁性ナノ粒子のうちのいずれかを分散させた溶液であることを特徴とする請求項5に記載の被覆HVJ−Eの製造方法。
【請求項8】
前記工程(1)のカチオン性材料は、キトサン、キトサン塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩のうちのいずれかを分散させた溶液であることを特徴とする請求項5に記載の被覆HVJ−Eの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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