説明

被験液の凝固特性の測定における診断用組成物及びその使用

本発明は、被験液の粘弾性分析において使用するための診断用組成物、及びそれを含む容器(1)に関する。組成物は、少なくとも凝固活性化剤と、場合によりCaClと、場合により1種以上の阻害剤及び/又は凝固成分とを含んでなり、ここで組成物は、全構成要素の本質的に乾燥した混合物として、且つ特定の血液又は血漿試料の粘弾性分析を1回のみ実施するのに十分な量で存在する。本発明はさらに、被験液に対する粘弾性分析の実施方法、及びかかる方法における診断用組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験液の粘弾性分析において使用するための診断用組成物、及びそれを含む容器に関する。本発明はさらに、被験液に対して粘弾性分析を実施する方法、及びかかる方法における診断用組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液の凝固は複合的な過程であり、その間に血液は固形の凝血塊を形成する。これは、破綻した血管壁を血餅で被覆して出血を止め、破綻した血管の修復を補助する止血(破綻した血管からの失血の停止)の重要な部分である。凝固に障害があると、出血の増加及び/又は血栓症及び塞栓症につながり得る。
【0003】
正常な個体では、凝固は、血管に傷害が起きて内皮細胞が破綻した後20秒以内に開始される。血小板が傷害部位に直ちに止血血栓を形成する。このプロセスは一次止血と称される。凝固因子と称される血漿成分が複合的なカスケードにおいて反応することにより血小板血栓を強化するフィブリン鎖を形成する場合には、二次止血が続く。
【0004】
二次止血の凝固カスケードは2つの経路、すなわち接触活性化経路(以前は内因系経路として知られていた)と組織因子経路(以前は外因系経路として知られていた)とを有し、これらの経路がフィブリン形成をもたらす。これまで凝固カスケードは、同等に重要な2つの経路が共通の経路に合わさって構成されると考えられていた。現在では、血液凝固を開始するための一次経路が組織因子経路であることが分かっている。これらの経路は一続きの反応であり、そこではセリンプロテアーゼのチモーゲン及びその糖タンパク質補因子が活性化されて活性成分となり、次にこれがカスケードにおける次の反応を触媒する。凝固因子は一般にI〜XIIIのローマ数字で示され、活性型を示すために小文字「a」が添えられる。
【0005】
線維素溶解は、フィブリン凝血塊が分解される過程である。組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)及びウロキナーゼは、プラスミノーゲンを活性プラスミンに変えることで線維素溶解を生じさせる薬剤である。
【0006】
こうした凝固成分の機能上の正常性又は低下を検出することは、患者の止血障害を評価するのに重要である。
【0007】
血液の凝固特性を計測するいくつかの方法が公知である。かかる装置のあるものは、生体の静脈及び動脈における血液の自然な流れをシミュレートしようと試み、一方、別の計測技術は、静的な血液量で実施される。
【0008】
患者の血液の凝固能力を時宜を得た効果的な方式で正確に計測することは、特定の外科手技及び医療手技においては決定的に重要である。凝固異常の迅速で正確な検出もまた、凝固障害を患う患者に対する然るべき治療の提供に関連してとりわけ重要である。多くの場合に、かかる患者の病態は、血液成分、抗凝固薬、特定の線溶薬、抗血小板薬、又は前記薬剤の逆の作用を誘発する化合物の投与を必要とする。こうした場合に、治療用量は以前に判定された凝固障害の程度に適合され得る。
【0009】
凝血の計測は、例えば(米国特許第5,777,215号明細書)、(米国特許第6,537,819号明細書)、又は(米国特許第5,777,215号明細書)に開示されるとおりの様々な装置によって提供される。これらの装置は、凝血塊の機械的特性を、その構造的な展開部全体にわたって計測する。これらのシステムは、血餅が形成されて溶解する間のその粘弾特性を連続的に検出するものであるため、用語「粘弾性法」として要約される。
【0010】
粘弾性計測により、いくつかの異なるパラメータについての情報、例えば、凝固活性化と凝血開始との間の時間(凝血時間CT)、動的な凝血塊形成(凝血塊形成時間CFT)、凝血塊の硬度(A5〜A30の範囲、及び最大凝血塊硬度MCF)、又は線維素溶解の程度(最大溶解ML)が提供される。
【0011】
数多くの参考文献が、機械的な動作に基づいて凝血特性を計測するための機器について記載している。こうした機器は、凝血塊に対し低剪断環境下で誘発されるときの血液の弾性特性、すなわち静的血液量を監視する。ずり弾性の変化パターンによって凝血塊形成の動態、並びに形成された凝血塊の強度及び安定性の測定が可能となる。凝血塊の強度及び安定性は、凝血塊の「止血の働き」を行う(すなわち、異常出血を止めたり、又は予防したりする)能力についての情報、及び血小板−フィブリン相互作用の妥当性についての情報を提供する。凝血塊形成の動態は、主に凝固因子の機能性についての情報を提供する。こうした情報の全てを分析することにより、出血の予測、血栓症の監視及び管理、又は線維素溶解の監視に有用な結果が提供される。
【0012】
しかしながら、凝血過程は互いに関連し合う様々な要素からなるため、止血障害をより具体的に検出するためには特定の活性化剤及び阻害剤の使用がさらに適用される。
【0013】
従って、粘弾性分析で使用される試薬は、初期活性化剤(例えば、内因系経路又は外因系経路のいずれかの活性化剤)と、場合により1種以上の阻害剤(例えば、線溶阻害剤、ヘパリン阻害剤、血小板阻害剤)及び/又は1種以上のさらに特定の凝固カスケード因子とからなる。
【0014】
場合により、さらなる成分が添加され得る:
−カルシウム(CaCl):カルシウムは試料を再石灰化するために添加される。血液試料は、ヘパリン、EDTA、クエン酸塩のようないくつかの種々の抗凝固物質によって凝血が防止され得る。典型的には機能試験は、クエン酸塩により抗凝固処理された血液で行われる。クエン酸塩は血液試料のカルシウムと適度に複合体を形成する。カルシウムは凝固過程に必須であり、複合体形成に関与し、且つ凝固因子のほとんど(例えば、FI、FII、FV、FVII、FVIII、FIX、FX、FXI、FXIII、TF)の補因子である。従って、血液採取中に(クエン酸塩を含む血液採取管を使用することにより)試料がクエン酸化された場合には、その試料における適正な凝固を保証するため、試料を再石灰化する必要がある。
−リン脂質:凝固カスケードにおけるいくつかの複合体はリン脂質依存性であり、従って、追加的なリン脂質が添加されてもよい。
−安定剤:生成時間と分析との間、試薬を安定にしておくため(例えばアルブミン、ゼラチン)
【0015】
診断目的に応じて、これらの試薬は単独でも、又は組み合わせでも使用できる:例えば、試料における内因系活性化剤のみによる計測は、試料における内因系活性化剤と十分な量のヘパリン阻害剤(例えば、ヘパリナーゼ)とによる計測と組み合わせることで被験液中のヘパリンの存在を検出できる;試料における外因系活性化剤と血小板阻害剤(例えば、サイトカラシンD)との組み合わせは、被験液中の血小板の寄与を含まないフィブリノゲンの活性を測定するために利用される。
【0016】
文献には、粘弾性計測用の試薬の構想があり(レオプロ(ReoPro)で修飾されたTEG:ウェンケル(Wenker)ら:「Thrombelastography」、The Internet Journal of Anesthesiology、2000年、第1巻、第3号;(http://www.ispub.com/ostia/index.php?xmlFilePath=journals/ija/vol1n3/teg.xml);リュットマン(Ruttmann)ら:「Hemodilution Enhanced Coagulation Is Not Due to Platelet Clumping」、Anesthesiology 2004;101:A150頁;リコンビプラスチン(Recombiplastin)及びレオプロ(ReoPro)で修飾されたTEG:http://www.transfusionguidelines.org.uk/docs/pdfs/bbt_app−use_teg−sop−example.pdf;TF及びトラジロール(Trasylol)で修飾されたTEG:タナカ(Tanaka)ら:「Evaluation of a novel kallikrein inhibitor on hemostatic activation in vitro」、Thrombosis Research、第113巻、第5号、2004年、333−339頁)、これは、プロトロンビン時間活性化剤イノビン(Innovin)又はリコンビプラスチン(Recombiplastin)(登録商標)などの市販されている他の試験用の活性化剤試薬の組み合わせをベースとしており、購入者が作製するCaCl2溶液及び薬物、例えば、レオプロ(ReoPro)(登録商標)(アブシキシマブ)及びトラジロール(Trasylol)(登録商標)(アプロチニン)と組み合わせられる。これは、低標準化、多くのピペット操作ステップ及び多くのエラーの発生源をもたらす。
【0017】
ペンタファーム(Pentapharm)から販売されている粘弾性計測用の試薬系があり、これは標準化された試薬をベースとしており、そのほとんどは購入者に液体形態で提供され、使用者はそれを、標準化された操作手順を用いてピペットで試験カップに移し入れる。これは利用を標準化するが、しかしながら、それでもなお分析には数段階のピペット操作ステップが要求される。例えば、FIBTEM試験をEXTEM対照試験と共に実施するための、血液、CaCl溶液、外因系活性化剤及び血小板阻害剤のピペット操作は、合計で8段階のピペット操作ステップを実施し(1回の試験手順の間に3回のチップ交換を含む)、使用者によって取り扱われなければならない3種の異なる試薬を必要とする結果となり得る。これは時間がかかる訓練要件をもたらし、及びエラーの発生源となる可能性がある。
【0018】
市場には他の試薬系があり、これらは様々な試薬をベースとしている。試薬のうちあるものは液状であり、ピペットでカップに移し入れなければならず(例えばCaCl溶液)、あるものは乾燥されて試験カップに入っており(ヘパリナーゼなど)、及びあるものは小バイアルで、1回の試験用に意図された分量で提供される。これらの試薬の特徴は、各試薬がなお典型的には単独で提供され、従って少なくとも2種以上の活性試薬が必要な試験については、いくつかのステップが要求されることである。
【0019】
従って、過去には、血液又は血液成分の粘弾性計測用のより単純な試薬系を提供するためのいくつかの試みがなされている:
・計測時の試料容量を受け入れるカップに試薬を直接入れて乾燥させる
・安定した液状の組み合わせの試薬を使用濃度で配合する
【0020】
活性試薬を試験カップに直接入れて乾燥させる方策の1つの欠点は、カップが典型的にはプラスチック製で軽いため、自動化された試薬分注ラインでこうしたカップに充填することが一層難しくなることである。これにより手作業で充填するステップか、又は特殊な機器の開発が必要となり、これらはいずれも費用がかかる。
【0021】
この方策の別の欠点は、活性成分又は安定剤が、適正な計測の実施に要求される血餅のカップ表面への付着強度を妨げ得ることである。例えば、カップ内でアルブミン溶液(アルブミンは、試薬中のあらゆる種類のタンパク質を安定化させるために使用される典型的な安定剤である)をインキュベーションした後は、凝血塊の付着性が低減することが示されている:
【0022】
【表1】

【0023】
試薬の扱いを簡略化するための別の可能な方策は、1回の試験に必要な種々の試薬を液相中にその使用濃度で混和することである。ここでの主な問題は、種々の物質が長期間にわたり一緒にされる間のそれらの相互作用である。成分のなかには、液相中に高濃度で一緒にされると互いの安定性に負の影響を及ぼすものもある;例えば、CaClは時間が経つと液相中の組織因子試薬の安定性を乱す。
【0024】
そのうえ、これらの混和された試薬がちょうど1回の試験に十分な量で提供された場合には、別の問題が生じ得る:この場合、極めて少量の液状試薬が試薬容器又はカップの一部に張り付き、ひいては分析が実施されるときに被験液と十分に混合されない可能性がある。
【0025】
指摘された点を解決するために提案される1つの方策が、コルド(Kolde)らによって米国特許出願公開第20040071604号明細書に開示された。この出願では粘弾性分析用カップシステムが提示され、ここではカップの下端が数個の試薬チャンバに分割される。これにより、試薬を混合することなく異なるチャンバに独立して入れ、その後これらの試薬を凍結乾燥することが可能となる。
【0026】
しかしながら、この溶液の欠点として、個別の試薬チャンバが極めて小さいため、極めて正確なピペット操作プロセスが必要とされること、また試薬の液滴が試薬充填ラインに存在する振動によって凍結乾燥前に混合される可能性がなおあるという問題も挙げられる。別の問題は、凍結乾燥プロセスが始まる前の室内条件下での処理中に少量の試薬の液滴が空気で乾燥する可能性があることである。さらに、小さいプラスチック、従って非常に軽いものを、標準的な試薬充填ラインを使用して自動的に取り扱う問題が存在する。
【0027】
日常的に研究室が使用するほとんどの凝固試験方法は、活性化剤を試料に添加してから、フィブリン凝血塊の初期形成を最初に検出できるまでの時間(=凝血時間)を計測するだけである。この時点で終了され、それ以上の計測は行われない。これは、こうした方法においては、計測セルの表面への血液のしっかりとした付着が必要でないことを含意する。従って、かかる方法による凝血時間の評価に利用可能な様々な分析器及び試薬は、粘弾性計測と関連する固有の問題に対処しなくともよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
従って、本発明の目的は、粘弾性系における種々の試験のための安全で再現可能、且つ使用が容易な手順を可能にする診断用組成物を提供することである。本発明の別の目的は、血液試料のちょうど1回の分析に特別に適合され、且つ先行技術の組成物に関してより優れた試薬安定性を有する診断用組成物を提供することである。本発明のさらに別の目的は、信頼性が高く再現可能な結果を提供し、取り扱いが容易で、且つ血液試料の凝固特性の測定について標準化されたシステムを提供する診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
これらの目的は、請求項1に記載の診断用組成物、請求項15に記載の容器、請求項18に記載の診断方法及び請求項26に記載の使用によって達成される。
【0030】
好ましい実施形態が、従属請求項に記載される。
【0031】
本発明の診断用組成物を使用することによって、試験は以下のとおり実施され得る:所定量の試料(例えば、全血、血漿等)を、診断用組成物が入った容器1に直接添加する。組成物が血液試料に溶解した後、得られた混合物をピペットで容器1から計測装置4の計測用カップ2に移し入れる。次にカップ2を、ピン3が試験カップ内の液体に浸るような位置に置く(図2を参照のこと)。
【0032】
従って、使用者は各試験を実施するのにわずか4段階のピペット操作ステップで十分であり(先行技術の液体系では最高8段階のステップ、上記参照)、及びピペットチップの交換が不要である。
【0033】
このように、血液試料の凝固特性を測定するための本システムはより取り扱い易く、従って(可能性として経験の少ない)操作者による不正確な動作線に起因し得るエラーの確率が低くなり得ることは明らかである。
【0034】
ここから、例えば、実現される結果の再現性がより高まり、ひいては標準化度がより高まるといったさらなる利点が生じ得る。
【0035】
さらに、本手法の一利点は、本発明の診断用組成物(すなわち試薬混合物)が、最終的な計測ステップにおいて存在する容量と比べて凍結乾燥ステップ前により大容量で(ひいてはより低濃度で)提供され得ることである。より詳細には、試薬が早期に反応しないよう、最初は低濃度の試薬混合物を提供することが有利である。次に、計測ステップにおける最終濃度(診断用組成物を被験試料中に分解させることによって得られる)は、凍結乾燥ステップ前に存在した初期濃度より高くなるであろう。
【0036】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図を参照する実施形態の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】典型的なトロンボエラストメトリーによる計測結果を示す例示的ダイアグラムである。
【図2】トロンボエラストメトリーによる分析用の計測装置4を示す。
【図3】先行技術の計測装置4の計測用カップ2の説明図である。
【図4A】本発明の容器1の好ましい実施形態の概略断面図である。
【図4B】本発明の容器1の好ましい実施形態の概略断面図である。
【図4C】本発明の容器1の好ましい実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
第1の態様において、本発明は、被験液の粘弾性分析において使用するための診断用組成物であり、以下の構成要素:
a)少なくとも1種の凝固活性化剤と、
b)場合により、被験液を確実に再石灰化させるのに十分な量のカルシウム塩と、
c)場合により、1種以上の阻害剤及び/又は他の凝固成分若しくは凝固因子と、
を含んでなる組成物であって、
この組成物が、全構成要素の本質的に乾燥した混合物として、且つ特定の被験液の粘弾性分析を1回だけ実施するのに十分な量で存在する
ことを特徴とする、組成物を提供する。
【0039】
カルシウム塩は好ましくはCaClである。
【0040】
本発明の診断用組成物又は反応混合物は、それ自体当該技術分野において公知の構成要素を含んでなる。しかしながら、先行技術の手法との1つの違いは、これらの構成要素の混合物が本質的に乾燥した形態で提供されることである。
【0041】
本発明の文脈上、「本質的に」乾燥したとは、混合物が本質的に一切の液体又は水分を含まず、特に水が枯渇している状態を意味する。しかしながら、水又は任意の他の液体が混合物中の残留物として存在してもよく、但し組成物全体の安定性に負の影響を及ぼさない範囲内でしかない。特に、種々の構成要素間で相互作用が生じ、それが安定性に負の影響を与えることは排除されなければならない。液体、好ましくは水の残留量は、組成物中に10重量%までであれば許容されるものとする。
【0042】
特定の被験液、例えば血液試料の粘弾性分析を1回のみ実施するのに十分な量とは、血液試料の凝固特性の最終分析において、すなわち計測装置4のカップ2において試薬の所要濃度を提供するような混合物中の全構成要素の量である。従って、診断用組成物を液体に溶解させる前又は溶解させた後に、診断用組成物をさらに取り分ける必要はない。
【0043】
さらに、これは、構成要素を最終使用濃度に達する量の希釈液に溶解させるのではなく、被験液(血液試料等)それ自体の中に物質を溶解させることによって実現される。
【0044】
上述されるとおり凝固活性化剤は好ましくは、内因系活性化剤及び/又は外因系活性化剤である。
【0045】
ここで外因系凝固活性化剤は、好ましくは組織因子(TF)であり、及びより好ましくは脂質付加TF又はrTFから選択される。
【0046】
内因系凝固活性化剤は好ましくは、セリット、エラグ酸、スルファティット(sulfatit)、カオリン、シリカ、RNA、又はこれらの混合物から選択される。
【0047】
第2の特徴として、本発明の診断用組成物は、場合によりCaClなどのカルシウム塩を含んでなり、ここでCaClは好ましくは、被験液の約1〜100μmol/mlの量で存在する。上述されるとおり、試料が事前に脱灰された場合には、CaClの量は被験液、特に血液試料を確実に再石灰化させるのに十分でなければならない。この要件を実現するには、3〜30μmol/mlの量が最適であることが分かった。診断用組成物中に含まれるべきCaClの所要量をさらにより正確に決定するためには、患者から採取される被験液の厳密な量、並びに用いられる試薬の脱灰量を知る必要がある。
【0048】
本発明の診断用組成物は、場合により、例えば、血小板阻害剤、線溶阻害剤、又はヘパリン阻害剤のなかの1つ又は複数から選択される1種以上の阻害剤を含有する。
【0049】
こうした阻害剤は正確な診断要件に応じて使用され、及び組み合わされてもよく、例えば、血小板阻害剤は細胞骨格阻害剤又はGPIIb/IIIa拮抗薬であり得る。同様に、線溶阻害剤は、例えば、アプロチニン、トラネキサム酸、又はeacaから選択でき、ヘパリン阻害剤は、例えば、ヘパリナーゼ、プロタミン又はプロタミン関連ペプチドから選択されてもよく、及び凝固因子は、例えば、1種以上の凝固因子若しくは活性化凝固因子、好ましくはFXa若しくはFVa、又は活性化タンパク質C若しくはFVIIaから選択できる。しかしながら、これは好ましい選択に過ぎず、必要であれば別の阻害剤を使用できることが指摘される。
【0050】
好ましい実施形態において、乾燥混合物は、凍結乾燥混合物、より好ましくは、液体試薬の混合物を1回の凍結乾燥(lyophilizytion)プロセスで共凍結乾燥することによって生成された混合物である。より正確には、この好ましい実施形態において診断用組成物は、液体成分を−目的の組成物に達するのに必要な分量で−好適な容器1の中に(例えば機械式ピペットによって)充填し、この組成物を容器1中で低圧環境(約1000〜0.2mbar)の適用下に好適な温度(約+30℃〜−70℃)で乾燥させることによって生成される。次に容器1は、試薬が失われたり、又は汚染物質、水等が侵入したりすることがないよう、閉鎖カバーなど(例えば、蓋5)によって閉蓋又は密閉され得る。
【0051】
好ましい実施形態において、診断用組成物はまた、1種以上の安定剤を含有してもよく、ここで安定剤は好ましくはアルブミン又はゼラチンである。
【0052】
好ましい実施形態において、診断用組成物はまた、1種以上のリン脂質を含有してもよく、ここでリン脂質は、ホスファチジルセリン(phosphatidyserine)、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルエタノールコリンのような種々のリン脂質の組成物であり得る。例えば、ウサギ脳から抽出されたリン脂質の混合物が使用され得る。
【0053】
本診断用組成物は、好ましい実施形態において以下の性質を有し得る:
・外因系活性化:外因系活性化剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・内因系活性化:内因系活性化剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・ヘパリンに対し非感受性の外因系活性化:外因系活性化剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・ヘパリンに対し非感受性の内因系活性化:内因系活性化剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・血小板活性化を伴わない外因系活性化:外因系活性化剤と血小板阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・血小板活性化を伴わない、ヘパリンに対し非感受性の外因系活性化:外因系活性化剤と血小板阻害剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・血小板活性化を伴わない内因系活性化:内因系活性化剤と血小板阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・血小板活性化を伴わない、ヘパリンに対し非感受性の内因系活性化:内因系活性化剤と血小板阻害剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・線溶阻害を伴う外因系活性化:外因系活性化剤と線溶阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・線溶阻害を伴う、ヘパリンに対し非感受性の外因系活性化:外因系活性化剤と線溶阻害剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・線溶阻害を伴う内因系活性化:内因系活性化剤と線溶阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・線溶阻害を伴う、ヘパリンに対し非感受性の内因系活性化:内因系活性化剤と線溶阻害剤とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・追加的な凝固因子を伴う外因系活性化:外因系活性化剤と1つの追加的な凝固因子と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・追加的な凝固因子を伴う、ヘパリンに対し非感受性の外因系活性化:外因系活性化剤と1つの追加的な凝固因子とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・追加的な凝固因子を伴う内因系活性化:内因系活性化剤と1つの追加的な凝固因子と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
・追加的な凝固因子を伴う、ヘパリンに対し非感受性の内因系活性化:内因系活性化剤と1つの追加的な凝固因子とヘパリン阻害剤と安定剤と、場合によりCaClとの組み合わせ
【0054】
第2の態様において、本発明は上記に定義されるとおりの診断用組成物を含む容器1を提供する。容器1は好ましくは、バイアル又はキュベットの形をとる。
【0055】
容器1は、充填される試薬又は充填される被験液によって腐食したり、又は他の形で影響を受けたりすることのない材料(例えば、プラスチック又はガラス)で形成される。
【0056】
容器1は円筒形状を有し得るが、その形状は必ずしも円筒状である必要はない。容器1は、例えば図4に示されるとおりの円錐形状をした形又は少なくとも部分的に円錐状の形のような、上部開口から底面にかけてその内側の側面外形が縮径する形を有してもよい。これは、通常少量である液体試薬混合物のより優れた取り扱い性をもたらす:平底容器、例えば同様の直径の一般的なバイアルでは、使用される量の液体が底面全体を覆うことはほとんどなく、凍結乾燥プロセスが始まる前に抑制の効かない形で乾燥する可能性がある。より直径の小さい平底バイアルを使用すればこの問題は低減し得るが、このときかかるバイアルは、例えばROTEMトロンボエラストメーターのような診断装置と併せて使用される標準的なピペット器具で取り扱うには狭過ぎる開口直径を有し得る(ROTEMシステムの設計及びその使用方法に関しては、参照により本明細書に援用される米国特許第5,777,215号明細書が参考となる)。
【0057】
さらに、かかる小型バイアルは一般的な自動処理システムの管理を一層困難とする可能性があり、ひいては生産費用が上昇し得る。
【0058】
好ましい実施形態の基本的に軸方向に対称な容器1の断面が図4Aに示される。しかしながら、本発明はそれらに限定されず、U字型形状、又は矩形状などの形も使用され得ることは明確に留意されなければならない。
【0059】
上述されるとおり、容器1は、試薬が失われたり、又は汚染物質、水等が浸入したりすることのないよう、蓋5などによって閉蓋又は密閉され得る。
【0060】
さらなる実施形態において、容器1は、粘弾性計測装置4の計測用カップ2として直接使用できるように設計される。換言すれば、粘弾性(viscolelastic)分析は、それぞれの容器1を提供し、その容器1に被験液を添加し、及びその容器1において計測を直接実施するようにして実施され得る。この場合、液体の移し換えステップとして実施する必要があるのは血液の容器への分注のみであり、これは手動ピペット、自動ピペット、自動分注器又は任意の他の液体を移し換えるための器具を使用して実現され得る。
【0061】
この実施形態において、容器1は2種の材料、例えば、ガラス及びプラスチック又はガラス及び表面被膜によって設計されてもよい。図4Bに示されるとおり、この組み合わせは、ガラス容器にプラスチックインサートを設けることによって実現でき、このプラスチックインサートが、凍結乾燥前に液体試薬が充填され、且つ粘弾性計測前に被験液が添加される部分を形成する。これに関連して、容器のうちガラスで作製される部分は必ずしもプラスチック部分の下側全体を把持する必要はなく、図4Cに従い構成されてもよい。図4B及びCでは、本発明のさらなる実施形態を見ることができる。容器1(例えばキュベット)はより大きい構造体、例えばガラス物品に組み込まれてもよく、これはある技術的利点を提供する:第一に、このような構成により凍結乾燥ステップが技術的に容易になり、及び第二に、容器の保持部が提供され得る。
【0062】
これらの実施形態では、ガラス表面によって被験液に凝固活性化が起こる可能性がなくされ、一方でプラスチック材料と比較したときに優れているガラス材料の密閉特性はなお利用される。ガラス表面によって被験液に凝固活性化が起こる可能性を抑制する同様の効果は、血液又は血液成分と接触しても凝固活性化能を有しない1種以上の物質の層でガラス表面(又は少なくともガラス表面の内側部分)を被膜することによって実現できる。
【0063】
比較として、米国特許出願公開第2004/0071604号明細書による先行技術の計測用カップ2が図3に示される。
【0064】
容器1が提供され、これは様々な分析プロセスを用いる分析用の試薬担持体及び計測用の入れ物(すなわち計測用カップ2と見なされ得る)としての役割を担い、且つ容器の壁面又は容器の底部から伸張する1本又は複数のバーによって少なくとも2つのチャンバ(6a、6b、6c)に分割された領域を有し、ここでチャンバは、液体又は固体試薬が拡散したり、又は互いに流れ込んだりして混ざり合うことができない状態で中に導入され得るように配置される。容器1は、チャンバを完全に、又は部分的に充填した状態で乾燥又は凍結乾燥するために使用されると同時に、水、試薬溶液、又は水相中に存在する試料を添加することによって乾燥した材料を再溶解した後の、計測用の入れ物としての役割を担う。
【0065】
従って、米国特許出願公開第2004/0071604号明細書における先行技術と比較したときの本発明の主な違いは、カップ中での試薬混合物の共凍結乾燥(co−lyphylization)プロセスによって提供される。これにより、入れ物を2つ以上の領域に分割する−バーによって分ける−ことが不要となり、ひいては少なくとも2種の異なる液体を入れ物の2つの異なる部分に充填することにより結果として生じる生産過程の複雑性が回避される。
【0066】
第3の態様において、本発明は、被験液、好ましくは血液試料に対する粘弾性分析の実施方法であって、
a)被験液を得るステップと、
b)上記に定義されるとおりの容器1を提供するステップと、
c)被験液を前記容器1に添加し、それにより容器1の中に入っている診断用組成物を溶解するステップと、
d)前記被験液と前記診断用組成物との混合物をカップ2に移し換え、そのカップ2を粘弾性(viscolelastic)分析の実施に好適な装置4に置くステップか、
又は
容器1を粘弾性(viscolelastic)分析の実施に好適な装置4に置くステップと、
e)前記混合物の粘弾性分析を実施するステップと、
を含む方法に関する。
【0067】
既に上述したとおり、被験液は好ましくは血液試料であり、好ましくは哺乳動物のもの、より好ましくはヒトの血液又は血液成分(例えば、全血又は血漿)の試料である。
【0068】
本発明の方法のステップc)は好ましくは、約1〜60、より好ましくは2〜10秒間かけられ、及び約5秒間が最も好ましい。その時間が経った後、診断用組成物と血液試料との混合物は計測装置4の計測用カップ2に素早く移し換えられなければならない。これはステップd)において、混合物を容器1から手作業で、又は自動的にピペットで取ることにより、それを装置4に、すなわち装置4の計測用カップ2に移し換えることによって行われる。
【0069】
代替例として、本発明の容器1が計測用カップ2である場合、計測は容器1で直接実施される。この場合、ステップd)は省略され得る。
【0070】
装置4は好ましくは、粘弾性計測に好適な装置、例えば、(米国特許第5,777,215号明細書)、(米国特許第6,537,819号明細書)、又は(米国特許第5,777,215号明細書)に開示される装置である。
【0071】
当該装置4の一例が図2に示される。
【0072】
カップ2(キュベット)とピン3との間に凝血塊が形成された後、凝血塊それ自体がピン3をカップ2に対し動かすことによって引き伸ばされる。凝血塊の特性パラメータの検出は、凝血塊によるカップ2とピン3との機械的結合に基づく。これは、凝血塊がカップ2及びピン3の双方の表面に付着している場合にのみ可能である。そのため、粘弾性分析には、本質的にカップ2及びピン3の双方の表面へのしっかりとした付着が要求される。
【0073】
本発明の方法は、その凝固特性を測定するための血液試料のかかる粘弾性分析を含み、ここで最も広い意味でのかかる粘弾性分析とは、血液試料の入ったキュベットのパンチに対する相対移動の計測である。分析は好ましくは、線維素溶解効果を含む、凝血時間、凝血塊形成時間、及び経時的な凝血塊の硬度の測定を含む。
【0074】
実際には、以下のステップが実施され得る:
1.所定量の試料(例えば、全血、血漿)を、凍結乾燥された試薬組成物が入ったバイアルに直接添加するステップ;計測は、試料を添加した瞬間に近い時点で開始しなければならない。
2.試薬混合物が試料に溶解した後(5秒間)、試薬−試料混合物をピペットで試薬バイアルから計測用カップ2に移し入れるステップ(バイアルそれ自体が計測用カップ2として機能する場合には不要)
3.次に、ピン3が試験カップに入っている液体に浸るような位置にカップ2を置くステップ、計測は、使用者によって停止されるまで続く。
【0075】
従って、使用者が各試験の実施に必要とするピペット操作ステップは、合計で4段階までであり(液体試薬系に要求される最高8段階のステップと比較して)、及び一回の試験を準備するとき、ピペットチップの交換は不要である。これは明らかに、かかる試験を実施する者にとっての本発明の直接的な利益を示す。
【0076】
さらなる態様において、本発明は、被験液、好ましくは血液試料の粘弾性挙動の分析方法における、上記に定義されるとおりの診断用組成物又は容器1の使用に関する。
【0077】
本発明は好ましい実施形態に従い説明されているが、全ての実施形態において修正が可能であることは当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0078】
1 容器
2 計測用カップ
3 ピン
4 計測装置
5 蓋
6a、b、c 試薬チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験液の粘弾性分析において使用するための診断用組成物であり、以下の構成要素:
a)少なくとも1種の凝固活性化剤と、
b)場合により、前記被験液を確実に再石灰化させるのに十分な量のカルシウム塩、好ましくはCaClと、
c)場合により、1種以上の阻害剤及び/又は他の凝固成分若しくは凝固因子と、
を含んでなる診断用組成物であって、
前記組成物が、全構成要素の本質的に乾燥した混合物として、且つ特定の被験液の粘弾性分析を1回のみ実施するのに十分な量で存在する
ことを特徴とする、診断用組成物。
【請求項2】
前記凝固活性化剤が内因系活性化剤及び/又は外因系活性化剤である、請求項1に記載の診断用組成物。
【請求項3】
前記外因系凝固活性化剤が組織因子(TF)である、請求項1又は2に記載の診断用組成物。
【請求項4】
前記組織因子が、脂質付加TF又はrTFから選択される、請求項3に記載の診断用組成物。
【請求項5】
前記内因系凝固活性化剤が、セリット、エラグ酸、スルファティット、カオリン、シリカ、RNA、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の診断用組成物。
【請求項6】
前記阻害剤が、血小板阻害剤、線溶阻害剤、又はヘパリン阻害剤のなかの1つ又は複数から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項7】
前記血小板阻害剤が、細胞骨格阻害剤又はGPIIb/IIIa拮抗薬である、請求項6に記載の診断用組成物。
【請求項8】
前記線溶阻害剤が、アプロチニン、トラネキサム酸、又はeacaから選択される、請求項6に記載の診断用組成物。
【請求項9】
前記ヘパリン阻害剤が、ヘパリナーゼ、プロタミン又はプロタミン関連ペプチドから選択される、請求項6に記載の診断用組成物。
【請求項10】
前記凝固因子が、1種以上の凝固因子若しくは活性化凝固因子、好ましくはFXa若しくはFVa、又は活性化タンパク質C若しくはFVIIaから選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項11】
CaClが、前記被験液、好ましくは前記血液試料の約1〜100μmol/mlの量で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項12】
前記乾燥混合物が凍結乾燥混合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項13】
前記凍結乾燥混合物が、含有成分の液体混合物を1回のプロセスで凍結乾燥させることによって調製される、請求項12に記載の診断用組成物。
【請求項14】
安定剤をさらに含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項15】
前記安定剤がアルブミン又はゼラチンである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の診断用組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の診断用組成物を含む容器。
【請求項17】
前記容器(1)がバイアル又はキュベットの形をとる、請求項16に記載の容器。
【請求項18】
内側の側面外形が開口から底面にかけて縮径するように形成される、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
内側部分が粘弾性計測を実施するための装置に取り付けることができるような形状である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の容器。
【請求項20】
少なくとも2種の異なる材料からなり、基本的に、又は少なくとも部分的に前記容器の外側形状を形成する1つの材料が、適切なカバーによる前記容器の密封を可能とし、一方で基本的に前記被験液を入れる部分を被覆する他の材料が、凝固カスケードを活性化させることなく血液又は血液成分の適切な付着を可能とする、請求項19に記載の容器。
【請求項21】
被験液に対する粘弾性分析の実施方法であって、
a)被験液を得るステップと、
b)請求項16〜20のいずれか一項に記載の容器(1)を提供するステップと、
c)前記被験液を前記容器(1)に添加し、それにより前記容器(1)の中に入っている前記診断用組成物を溶解させるステップと、
d)場合により、前記被験液と前記診断用組成物との混合物を、粘弾性分析の実施に好適な装置(4)に移し換えるステップか、
又は
前記容器1を粘弾性分析の実施に好適な装置4に置くステップと、
e)前記混合物の前記粘弾性分析を実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記被験液が、血液試料、好ましくは哺乳動物の、より好ましくはヒトの血液試料である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記血液試料が全血又は血漿である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップc)が、約1〜60秒間、好ましくは約2〜10秒間、より好ましくは約5秒間かかる、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物が、ステップd)において、前記混合物を前記容器(1)から手作業で、又は自動的にピペットで取ることにより、それを前記装置(4)に移し換えることによって移し換えられる、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物が前記装置(4)の前記計測用カップ(2)に移し換えられる、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記装置(4)が、トロンボエラストメーター又はトロンボエラストグラフである、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記分析が、凝血時間、凝血塊形成時間、経時的な凝血塊の硬度及び/又は線維素溶解の測定を含む、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
被験液の粘弾性挙動を分析するための方法における、請求項1〜15のいずれか一項に記載の診断用組成物又は請求項16〜20のいずれか一項に記載の容器(1)の使用。
【請求項30】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の診断用組成物が少なくとも2種、又は請求項16〜20のいずれか一項に記載の容器(1)が少なくとも2つ、同じ被験液の粘弾性挙動を分析するための組み合わされた方法において使用される、請求項29に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2010−518371(P2010−518371A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547777(P2009−547777)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000208
【国際公開番号】WO2008/093216
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509183349)
【Fターム(参考)】