被験者の生理学的特性および運動パフォーマンス特性をモニタリングするための方法およびシステム
【課題】被験者の特性をモニタリングするためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】被験者に近接して配置され、被験者の呼吸特性を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサを含むセンササブシステムであって、該センササブシステムが、呼吸特性を示す少なくとも1つの呼吸シグナルを生成および送信するように構成された、センササブシステムと;被験者に近接して配置され、被験者の生理学的特性を検出するように構成された少なくとも1つの生理学的センサであって、センササブシステムが、生理学的特性を示す少なくとも1つの生理学的シグナルを生成および送信するように構成された、生理学的センサと;センササブシステムと接続したプロセッササブシステムであって、該少なくとも1つの呼吸シグナルおよび該少なくとも1つの生理学的シグナルのうちの少なくとも1つを受信するように構成された、プロセッササブシステムと;を含む。
【解決手段】被験者に近接して配置され、被験者の呼吸特性を検出するように構成された少なくとも1つの呼吸センサを含むセンササブシステムであって、該センササブシステムが、呼吸特性を示す少なくとも1つの呼吸シグナルを生成および送信するように構成された、センササブシステムと;被験者に近接して配置され、被験者の生理学的特性を検出するように構成された少なくとも1つの生理学的センサであって、センササブシステムが、生理学的特性を示す少なくとも1つの生理学的シグナルを生成および送信するように構成された、生理学的センサと;センササブシステムと接続したプロセッササブシステムであって、該少なくとも1つの呼吸シグナルおよび該少なくとも1つの生理学的シグナルのうちの少なくとも1つを受信するように構成された、プロセッササブシステムと;を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮出願は、2009年9月1日に出願した米国仮出願番号61/275,586に対して優先権を主張する。この優先出願の内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、被験者の生理学的特性および運動パフォーマンス特性をモニタリングするための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、複数の生理学的特性および運動パフォーマンス特性を決定し、呼吸活性および関連事象、更には空間パラメータをリアルタイムに特徴づけるための改善された方法およびシステムに関する。本発明の方法およびシステムは、多様な分野、例えば、ヘルスケア、医療における診断およびモニタリング、並びに運動におけるモニタリングおよび指導に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
被験者の医療診断および治療においては、1つまたはそれ以上の生理学的特性、特に、呼吸特性を評価することがしばしば必要になる。重要な呼吸特性は、呼吸する空気の量(または一回換気量)である。呼吸する空気の量およびその他の呼吸特性はまた、例えば、生理学的状態および/またはパフォーマンス特性における変化の検出の助けとなることで、運動パフォーマンスを評価する際も有用である。
【0004】
被験者の生理学的パラメータおよびパフォーマンスパラメータをモニタリングすることは、運動に関するトレーニングおよび活動を計画および評価する際に重要となりうる。被験者は、様々な理由で運動したり、あるいは運動活動に従事したりする場合がある。例えば、競技会への準備または参加のために、フィットネスレベルを維持する、またはあるレベルに達するためであったり、あるいは楽しみのためであったりする。被験者は、自分のフィットネスレベルに合わせて作成され、フィットネスまたは運動における目標に向かって進歩する助けとなるように設計されたトレーニングプログラムを有する場合がある。被験者の生理学的パラメータおよびパフォーマンスパラメータは、トレーニングプログラムにおける被験者の進歩、または被験者の運動パフォーマンスについての有益な情報を提供し得る。被験者のフィットネスレベルまたは目標に向かっての進歩を正確に評価するためには、種々の生理学的パラメータまたはパフォーマンスパラメータ、そして関連する状況情報を測定、モニタリングおよび記録することは有用であり得る。
【0005】
運動中の努力および生理学的ストレスを見積もるために、心拍数を利用した種々の方法およびシステムが導入されている。しかし、非実験室条件において肺換気量を測定するための簡便で実用的、かつ楽な手段というものはまれであった。一方、心拍数は、アスリートまたは内科患者の本当の生理学的状態に関する近似値を提供できるのみである。なぜならば、外部要因、例えば、睡眠レベル、カフェイン、抑制剤、ベータ遮断薬、ストレスレベル、水分補給状態、体温等によって複雑になりうるからである。また、生理学的パフォーマンスを測定するために心拍数を正確に利用するには、筋肉に流れる血液量の知識が必要であり、次に、瞬間的な心臓の一回拍出量および心臓のポンプ速度(rate of pumping)の知識が必要である。これらのパラメータは、被験者が身体活動に従事している間に測定するのが困難であり得る。
【0006】
一回換気量を測定(または決定)するために、様々な従来の方法およびシステムが用いられてきている。ある方法においては、流速計測装置に接続されたマウスピースに向かって、患者または被験者に息を吹き込んでもらうことが含まれる。流速は次にまとめられて(integrated)空気量の変化を提供する。
【0007】
当技術分野において周知のとおり、マウスピースの使用に関してはいくつかの欠点および不利な点がある。マウスピースおよびノーズクリップを使用した測定装置に関連した重大な欠点のひとつは、上述のアイテムが、モニターされる被験者の呼吸パターン(すなわち、速度および量)における変化を引き起こすことである。このように、マウスピースおよびノーズクリップに基づいた一回換気量の測定は、しばしば不正確である。
【0008】
マウスピースは、運動パフォーマンスのモニタリングや長期のモニタリング、特に、病気の、睡眠中の、または麻酔された被験者において使用するのが困難である。被験者にとっては不快であり、呼吸が制限されがちであり、そして一般的に、医師や技術者が使用するのに不便である。マウスピースを用いた呼吸特性のモニタリングは、運動パフォーマンスをモニタリングする状況において特に非実用的である。運動活動中、マウスピースはアスリートのパフォーマンスを妨げる。マウスピースによって捉えられた呼吸パターンをモニターするのに必要な処理用および収集用付属品によって、こうした装置はますますかさばる。また、こうしたシステムでは概して、セットアップや操作を行うための担当技術者が必要となるので、使用がますます複雑になる。
【0009】
一回換気量を決定するためのその他の従来装置には、呼吸モニターが含まれる。例としては、1974年8月27日付け米国特許第3,831,586号明細書、および1977年7月5日付け米国特許第4,033,332号明細書に開示されたシステムがあり、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0010】
上述のシステムは、マウスピースに関連した不利な点の多くを排除するが、一般的に、これらのシステムは、一回換気量の正確な測定値を提供しない。また、これらのシステムは概して、被験者の呼吸活動が急激に変化したり停止した場合に、付添人にシグナルを送るためにのみ使用される。
【0011】
一回換気量を決定するための更なる手段は、胸郭および腹部におけるサイズの変化(または変位)を測定するものである。なぜならば、肺容量は、これら2つのパラメータの関数であることが周知であるからである。胸郭および腹部のサイズ(すなわちΔ外周)の変化を測定するために、多数のシステムおよび装置が使用されてきており、例えば、ゴム製歪みゲージ中の水銀、ニューモベルト(pneumobelts)、呼吸誘導的プレチスモグラフ(respiratory inductive plethysmograph (RIP))ベルト、磁力計等がある。以下の文献を参照されたい:D.L. Wade, “Movements of the Thoracic Cage and Diaphragm in Respiration(呼吸における胸部および横隔膜の動き)”, J. Physiol., pp. 124-193 (1954);Mead, et al., “Pulmonary Ventilation Measured from Body Surface Movements(体の表面の動きから測定した肺換気量)”, Science, pp. 196, 1383-1384 (1967)。
【0012】
RIPベルトは、胸郭および腹部の断面積における変化を測定するために使用される一般的な手段である。RIPベルトは、ぐるぐる巻かれて弾性ベルトに縫いこまれた、導電性のワイヤーのループを含む。被験者の胸腔のサイズの変化に応じてコイルが伸び縮みすると、ワイヤーによって生成された磁場が変化する。RIPベルトの出力電圧は、一般的に、ベルトが伸びる長さの変化、ひいては取り囲まれた断面積の変化に直線的に関連する。
【0013】
実際、腹部の断面積の変化の測定は、RIPベルトシステムの精度を高めることができる。胸郭および腹部の断面積の変化を測定するためには、典型的ケースでは、1つめのベルトが胸部の中間の周囲に固定され、2つめのベルトが腹部の中間の周囲に配置される。
【0014】
RIPベルトはまた、衣類、例えばシャツやベルト内に埋め込まれてもよく、それらの中に適切に配置されて、胸郭および腹部の変位や、その他の解剖学的および生理学的パラメータ、例えば頸静脈波や呼吸に関連した胸腔内圧の変化等を測定する。例としては、2003年4月22日付け米国特許第6,551,252号明細書、および2002年1月29日付け米国特許第6,341,504号明細書に開示されたVivoMetrics社のLifeShirt(登録商標)があり、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0015】
しかし、多くのRIPベルトシステムに関して、いくつかの欠点がある。例えば、材料組み立ての観点から、また、操作に必要な電力および計算能力の観点から、RIPベルトは高価である。加えて、コイルは一般に大きくて胸部に密着するので、アスリートにとって邪魔で不快なものとなり得る。
【0016】
RIPベルトシステムの欠点を回避しながら被験者の呼吸特性をモニターするための試みとして、その他の技術も開発されてきた。こうした技術は一般的に、歪みゲージの原理において効果を発揮し、しばしばテキスタイルベースである。しかし、こうした技術においては、運動に対する干渉が非常に大きく、概してそれが、比較的ハイレベルの運動でなければならない運動トレーニングへ適用する際に、役に立たないものにしてしまう。
【0017】
RIPベルトおよび歪みゲージシステムの欠点を改善する試みとして、最近、種々の磁力計システムが開発され、これにより胸郭および腹部の変位を測定している。典型的な呼吸磁力計システムは、1対またはそれ以上の同調させた(tuned) 空心磁力計または1つ以上の電磁コイル(electromagnetic coil)を含む。それらの間の距離の変化に敏感なその他の種類の磁力計も使用可能である。片方の磁力計は、特異的な高周波交流磁場を送信するように適合され、他方の磁力計は、該磁場を受信するように適合されている。何対かの磁力計は、それらの間の距離の変化に反応性を有する。こうした変化は、磁場の強さの変化に反映される。
【0018】
胸郭の前後径の変化(または変位)を測定するために、第1磁力計は、典型的には胸骨の第4肋間の高さの上に配置され、第2磁力計は、脊椎の同じ高さの上に配置される。さらに追加の磁力計を用いれば、磁力計システムの精度を上げることができる。例えば、腹部の前後径の変化を測定するために、第3磁力計を、腹部のへその高さの上に配置でき、第4磁力計を、脊椎の同じ高さの上に配置できる。
【0019】
操作可能な距離の範囲にわたって、2つの磁力計の軸が互いに実質的に平行を保持していれば、出力電圧は、その2つの磁力計間の距離に直線的に関連する。軸の回転は電圧を変え得るので、磁力計は、典型的には、平行になるように被験者の肌に固定され、下部の軟組織の動きによる回転を最小限にとどめる。
【0020】
本明細書に述べるように、磁力計は、着用可能な衣類、例えばシャツやベストなどに埋め込んだり、または保持させてもよい。着用可能なモニタリング用衣類により、被験者の肌に直接磁力計を取り付ける必要がなくなるので、それに関連した問題がすべて解決される。着用可能なモニタリング用衣類はまた、被験者の胴体上の実質的にすべての適切な(または所望の)位置に、繰り返し、そして簡便に磁力計を配置することを容易にする。
【0021】
一回換気量およびその他の呼吸特性を決定するために、前述のシステムと共に、様々な方法、アルゴリズムおよび数学的モデルが採用されている。実際、RIPベルト由来の胸郭および腹部の変位から一回換気量を決定するために、「2自由度」モデルが典型的に採用される。
【0022】
「2自由度」モデルは、胸腔と、胸郭の前壁および後壁と、腹部との間の相互に関連した動きを前提にしている。すなわち、第1肋骨および隣接する首の構造は比較的動かないので、胸腔の動作可能な構成部分は、胸郭の前壁および後壁、ならびに腹部であると考えられる。そして、胸腔の容積の変化は、胸郭および腹部の変位によって反映されることになる。
【0023】
当技術分野において周知のとおり、胸郭の変位(すなわち動き)は、RIPベルトを用いて直接評価できる。しかし、横隔膜の変位は直接測定できない。しかし、腹腔内容物は本質的に圧縮できないので、骨盤に対する横隔膜の尾側の動き(caudal motion)およびそれが変位させる容積は、前外側の腹壁の外側への動きによって反映される。
【0024】
当分野の多くのケースで採用されている「2自由度」モデルでは、一回換気量(VT)は、胸郭および腹部の容積の変位の合計に等しい。すなわち:
VT = αRC + βAb 等式1
ここで、RCおよびAbはそれぞれ、胸郭および腹部の直線変位を示し、αおよびβは、容積−動き係数を示す。
【0025】
「2自由度」モデル、そして、胸郭および腹部の容積−動き係数を決定するための該モデルを採用した方法の精度は、姿勢の変化を伴い得る脊髄の屈曲の変化によって制限される。脊髄の曲げ伸ばしによって、VTは、肺活量の50%に当たる量だけ多く、または少なく見積もられ得ることがわかっている。以下の文献を参照されたい:McCool, et al., “Estimates of Ventilation From Body Surface Measurements in Unrestrained Subjects(拘束されない被検者における体表面の測定に基づく換気の見積もり)”, J. Appl. Physiol., vol. 61, pp. 1114-1119 (1986);およびPaek, et al., “Postural Effects on Measurements of Tidal Volume From Body Surface Displacements(体表面の変位に基づく一回換気量の測定に対する姿勢の効果)”, J. Appl. Physiol., vol. 68, pp. 2482-2487 (1990)。
【0026】
上記の誤差や制限には、2つの主要な原因がある。誤差を生む原因の一つ目は、合計された胸郭および腹部のシグナルの実質的な変位によるもので、等容の脊髄の曲げ伸ばしまたは骨盤回転とともに起こる。
【0027】
誤差を生む原因の二つ目は、容積−動き係数の、姿勢に誘導された変化によるものである。等容の脊髄の屈曲により、胸郭が骨盤に対して下がり、前腹壁の軸方向寸法が小さくなる。従って、前腹壁によって、より小さな腹腔の境界線が形成される。
【0028】
変位する前腹壁表面がより小さいと、腹部の区画における所定の容積変位には、より大きな前腹壁の外側への変位が伴うことになる。よって、腹部の容積−動き係数は減少することになる。
【0029】
しかし、胸壁の軸方向運動、例えば、剣状骨(xiphoid)と恥骨結合の間の距離の変化(Xi)の測定を追加することにより、3自由度が提供されることが知られており、これは、一回換気量(VT)の決定のために採用すると、「2自由度」モデルに関連した姿勢に関係した誤差を、肺活量測定を採用した際の誤差の15%以内まで減少することができる。以下の文献を参照されたい:Paek, et al., “Postural Effects on Measurements of Tidal Volume From Body Surface Displacements(体表面の変位に基づく一回換気量の測定に対する姿勢の効果)”, J. Appl. Physiol., vol. 68, pp. 2482-2487 (1990);およびSmith, et al., “Three Degree of Freedom Description of Movement of the Human Chest Wall(ヒトの胸壁の3自由度の動き)”, J. Appl. Physiol., Vol. 60, pp. 928-934 (1986)。
【0030】
いくつかの磁力計システムが、胸壁の変位を更に測定するように適合されている。例としては、同時係属出願である、2008年9月5日出願の米国特許出願番号12/231,692号に開示された磁力計システムが挙げられ、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0031】
測定された胸郭、腹部および胸壁の変位に基づいて一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を決定するための磁力計システムと共に、様々な方法、アルゴリズムおよびモデルが同様に採用される。当分野の多くのケースで採用されているモデルが、以下の等式2で示される:
VT = α(ΔRC) + β(ΔAb) + γ(ΔXi) 等式2
ここで、
ΔRCは胸郭の直線変位を示し、
ΔAbは腹部の直線変位を示し、
ΔXiは胸壁の軸方向変位を示し、
αは胸郭の容積−動き係数を示し、
βは腹部の容積−動き係数を示し、そして
γは胸壁の容積−動き係数を示す。
【0032】
しかし、同様に、上述の「3自由度」モデルに関連した欠点および不利な点がいくつか存在する。主要な欠点は、被験者が自由に動いて姿勢の変わるタスク、例えばかがむ動き等に従事する場合、脊髄を曲げたり伸ばしたりするので、一回換気量の変位における姿勢に関係した誤差の生じる蓋然性が高いことである。
【0033】
脊髄の屈曲の最も顕著な影響は、腹部の容積−動き係数(β)に対するものである。かがむと、剣状骨とへその間の距離が縮まるので、βが減少する。
【0034】
上述の依存に対処し、ひいては一回換気量(VT)の決定の精度を高めるために、様々なアプローチやモデルが開発されている。同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号においては、剣状骨とへその間の距離に対するβの依存に対処するために、改善された「3自由度」モデルが採用されている。すなわち以下の等式であり:
VT = α(ΔRC) + (βu + εXi) x (ΔAb) + γ(ΔXi) 等式3
ここで、
ΔRCは胸郭の直線変位を示し、
ΔAbは腹部の直線変位を示し、
ΔXiは直立位置からの剣状骨とへその間の距離の変化を示し、
αは胸郭の容積−動き係数を示し、
βは腹部の容積−動き係数を示し、
βuは直立位置での腹部の容積−動き係数(β)の値を示し、
εは剣状骨とへその間の距離Xiの関数としての、βの関係の直線傾斜を示し、
(βu + εXi)は、補正された腹部の容積−動き係数を示し、そして
γは剣状骨−へその容積−動き係数を示す。
【0035】
同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号において開示されている、上記等式3に反映された「3自由度」モデルおよびそれに関連した磁力計システムおよび方法については、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性の決定値における姿勢に関連した誤差を減少させることがわかっている。しかし、該開示された磁力計システムおよび方法に関してはいくつかの問題が存在する。問題の一つは、磁力計システムが、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するために、複雑な較正アルゴリズムおよび関連する技術を必要とすることである。更なる問題として本明細書に詳細に記載されるのは、開示されたシステム(および関連する方法)によって提供される胸壁および呼吸のデータは限定されるので、それから決定される呼吸特性および呼吸活性の範囲も限定されることである。
【発明の概要】
【0036】
(発明の要旨)
本発明は、運動パフォーマンスのモニタリングおよび医学的評価の分野において特に有用である、被験者の呼吸特性の改善されたモニタリングのための装置および方法を提供する。上記の目的、および以下に述べ、明らかになるであろう目的に従い、本発明の一つの実施形態に従って、身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムは、以下を含む:被験者に近接して配置された第1の複数対の電磁コイルを含む第1サブシステムであって、該第1サブシステムは複数のコイルシグナルを生成および送信するように構成され、該複数のコイルシグナルの各々は対の電磁コイル間の距離の変化を示す、第1サブシステム;および複数のコイルシグナルを受信するように構成された、第1サブシステムと接続する第2サブシステム。
【0037】
モニタリングシステムは、以下に更に詳しく説明するように、アスリートの身体活動に関連する種々のパフォーマンスパラメータを測定および/または計算するように構成されてよい。
【0038】
モニタリングシステムは、パフォーマンスパラメータを測定および/または計算するのに使用される情報を検出するために、1つ以上のセンサを含んで、またはそれらと接続してよい。適切なセンサには、例えば:2009年2月19日出願の、共同所有の米国特許出願番号11/892,023号(発明の名称:「Sports Electronic Training System, and Applications Thereof(電子スポーツトレーニングシステムおよびその適用)」);2009年5月18日出願の、共同所有の米国特許出願番号12/467,944号(発明の名称:「Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof(ポータブルフィットネスモニタリングシステムおよびその適用)」);および2010年7月14日出願の、共同所有の米国特許出願番号12/836,421号(発明の名称:「Fitness Monitoring Methods, Systems, and Program Products, and Applications Thereof(フィットネスモニタリングの方法、システムおよびプログラム製品、並びにその適用)」)に開示されたセンサが含まれてよく、これら出願の各々は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、身体活動に従事する被験者をモニタリングするための方法が提供される。該方法は、以下の工程を含む:複数のコイルシグナルを送信する工程であって、該複数のコイルシグナルは、被験者に近接して配置された第1の複数対の電磁コイルによって生成され、該複数のコイルシグナルの各々は、対の電磁コイル間の距離の変化を示す、工程;および該複数のコイルシグナルを受信する工程。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、被験者の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタリングするためのモニタリングシステムが提供される。該モニタリングシステムは、以下を含む:(1)第1の複数対の磁力計を有する磁力計サブシステムであって、該第1の複数対の磁力計の各々は、その間の距離の変化に反応し、該磁力計サブシステムは、複数の磁力計シグナルを生成および送信するように適合され、該磁力計シグナルの各々は、該第1の複数対の磁力計のそれぞれの間の距離の変化を示し、該第1の複数対の磁力計は、第1の間隔だけ隔てられた複数の磁力計位置に配置され、該第1の複数対の磁力計のうち少なくとも第2の複数対が、被験者の胸部に近接する第2の間隔だけ隔てられた磁力計位置に配置される、磁力計サブシステム;および(2)磁力計サブシステムと接続し、複数の磁力計シグナルを受信するように適合されたプロセッササブシステムであって、該プロセッササブシステムは、磁力計サブシステムを制御するようにプログラムおよび適合され、該プロセッササブシステムは、磁力計シグナルを処理するように更にプログラムおよび適合され、該プロセッササブシステムは、複数の磁力計シグナルから少なくとも1つの呼吸特性を決定するための少なくとも1つの経験的関係を含み、該呼吸特性を示す少なくとも1つの呼吸特性シグナルを生成および送信するように適合された、プロセッササブシステム。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、呼吸特性シグナルを受信するようにプログラムおよび適合されたデータモニタリングサブシステムを含み、該データモニタリングサブシステムは、呼吸特性シグナルによって示される呼吸特性を認識および表示するようにプログラムおよび適合される。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、磁力計サブシステムからプロセッササブシステムへの第1の複数の磁力計シグナルの送信、およびプロセッササブシステムからデータモニタリングサブシステムへの呼吸特性シグナルの送信を制御するように適合された送信サブシステムを含む。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、送信サブシステムは、無線通信ネットワークを含む。
【0044】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、被験者に関連する少なくとも1つの生理学的特性を検出するように適合された少なくとも1つの生理学的センサを含み、該生理学的センサは、検出された生理学的特性を示す少なくとも1つの生理学的パラメータシグナルを生成および送信するように更に適合される。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、被験者の向きおよび動きを検出するように適合された少なくとも1つの空間パラメータセンサを含み、該空間パラメータセンサは、検出された被験者の向きを示す第1空間パラメータシグナルと、検出された被験者の動きを示す第2空間パラメータシグナルと、を生成および送信するように更に適合される。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルに基づいて被験者の胸壁の動きを決定し、該胸壁の動きを示す胸壁シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、胸壁の動きに基づいて被験者の少なくとも1つの呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルから少なくとも1つの被験者の胸壁の三次元モデルを生成するように、更にプログラムおよび適合される。
【0049】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、複数の記憶された有害な生理学的特性を含み、そして該プロセッササブシステムは、検出された生理学的特性を、該複数の記憶された有害な生理学的特性と比較し、もし該検出された生理学的特性が、該複数の記憶された有害な生理学的特性のうちの一つである場合に、警報シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の胸壁パラメータを含み、該第1の複数の胸壁パラメータの各々は、少なくとも第3の複数の磁力計シグナルと、それに関連する少なくとも第1の空間パラメータとを有し、該第1の複数の胸壁パラメータの各々は、第1呼吸特性および第1解剖学的パラメータを示す。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルおよび空間パラメータシグナルと、第1の複数の胸壁パラメータとを比較し、該第1の複数の磁力計シグナルおよび空間パラメータシグナルに基づいて第1の複数の胸壁パラメータのうちの1つを選択し、そして、少なくともその選択された第1胸壁パラメータを示す第1胸壁パラメータシグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0052】
添付の図面にも例示されるように、更なる特徴および利点が、以下の本発明のより詳細な説明から明らかとなろう。また、図中の同じ参照番号は、一般的に全図面を通して同じ部分または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一つの実施形態による生理学的モニタリングシステムの略図である。
【0054】
【図2】図2は、本発明の一つの実施形態による二対の電磁コイルの配置の略図である。
【0055】
【図3】図3は、被験者の側面図であり、本発明の一つの実施形態による、図2の二対の電磁コイルの配置の被験者上の位置を示す。
【0056】
【図4】図4は、被験者の斜視図であり、本発明の一つの実施形態による、被験者の前面上での電磁コイルの位置を示す。
【0057】
【図5】図5は、被験者の背中の平面図であり、本発明の一つの実施形態による、その上での電磁コイルの位置を示す。
【0058】
【図6】図6は、本発明の一つの実施形態による、複数対の電磁コイルの配置の略図である。
【図7】図7は、本発明の一つの実施形態による、複数対の電磁コイルの配置の略図である。
【0059】
【図8】図8は、被験者の斜視図であり、本発明の一つの実施形態による、図6の被験者の前面上での複数対の電磁コイルの位置を示す。
【0060】
【図9】図9は、被験者の背中の平面図であり、本発明の一つの実施形態による、その上での電磁コイルの位置を示す。
【0061】
【図10】図10は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【0062】
【図13】図13は、被験者の斜視図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の前面上における、図6に示された複数対の電磁コイルの別の位置を示す。
【0063】
【図14】図14は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、その上での3対の電磁コイルの位置を示す。
【0064】
【図15】図15は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、図14に示された複数対の電磁コイルのその上での別の位置を示す。
【0065】
【図16】図16は、被験者の斜視図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の前面および片側上での6対の電磁コイルの位置を示す。
【0066】
【図17】図17は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の背面および両側上での5対の電磁コイルの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(発明の詳細な説明)
本発明の詳細な説明の前に、本発明は、特別に例示された方法、装置、システムまたは回路に限定されず、これらはもちろん異なってもよいことが理解されるべきである。従って、本明細書に記載されたものに類似の、または相当する多数の方法およびシステムが、本発明の実施において使用可能であるが、好ましい方法、装置およびシステムが本明細書に記載されている。
【0068】
また、本明細書に使用される専門用語は、本発明の特別の実施形態を説明することのみを目的としており、限定する意図はないものと理解されるべきである。
【0069】
他に定義されていなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明に関連する分野における当業者に一般に理解されるものと同様の意味を有する。
【0070】
本明細書および添付の請求項において使用されるように、明らかに異なる内容の記載がなければ、単数形の「a」、「an」および「the」には、複数の指示物が含まれる。
【0071】
また、本明細書において引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、前出、後出を問わず、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0072】
本明細書に記載された刊行物は、本出願の出願日前の開示のためのみに提供される。本明細書に記載されたどの内容も、本発明が、先行発明を理由に、このような刊行物に先行する資格がないことを承認するものであると解釈されるべきものではない。また、公開の日付は、実際の公開日と異なる場合もあり、それぞれ確認する必要がある。
【0073】
定義
本明細書において使用される用語「呼吸パラメータ」および「呼吸特性」は、呼吸器系およびその機能に関連した特性を意味する、および含む。それらには、呼吸頻度(fB)、一回換気量(VT)、吸気量(VI)、呼気量(VE)、分時換気(VE)、吸気時間、呼気時間、および流速(例えば胸壁の容積の変化する速度)等が含まれるが、これらに限定されない。用語「呼吸パラメータ」および「呼吸特性」はさらに、胸壁の区画における同期運動または非同期運動由来の換気力学に関する推測を意味する、および含む。
【0074】
本発明によれば、流速および呼吸加速は容量シグナルから決定できる。また、換気力学に関する多くの推測は、胸壁を構成する複数の分離区画間で起こる動きにおける非同時性の程度から導き出せる。
【0075】
本明細書において使用される用語「呼吸器系障害」、「呼吸器障害」および「呼吸有害事象」は、正常な呼吸または換気プロセスを妨げる呼吸器系の任意の機能不全を意味する、および含む。
【0076】
本明細書において使用される用語「生理学的パラメータ」および「生理学的特性」は、心臓の電気的活動、その他の筋肉の電気的活動、脳の電気的活動、脈拍数、血圧、血中酸素飽和度、皮膚温および中核体温を意味する、および含むがこれらに限定されない。
【0077】
本明細書において使用される用語「空間パラメータ」および「空間特性」は、被験者の向きおよび/または動きを意味する、および含む。
【0078】
本明細書において使用される用語「患者」および「被験者」は、ヒトおよび動物を意味する、および含む。
【0079】
肺換気量、一回換気量、呼吸速度およびその他の関連する呼吸特性は、生体内における酸素および二酸化炭素の排出について、信頼でき、かつ実用的な測定を提供することができる。呼吸特性は、運動における努力、生理学的ストレスおよびその他の生理学的特性に直接関連している。一回換気量を外側から決定する一つの方法として、胸部の容量の変化の測定がある。胸部の容量の変化は、肺の膨張および収縮によって起こる。圧力範囲の最大値および最小値における肺内の気体の圧力は、周囲の空気圧と平衡状態に置かれるので、肺の容積と吸入された空気の体積の間には、非常に密接で単調な関係がある。
【0080】
胸部の容量の変化の正確な測定には、胸郭における直径の変化の測定が伴う。胸部の胸郭下における直径の変化を測定することで、測定の精度を更に高めることができる。胸部の胸郭下における直径の変化をモニタリングすることで、横隔膜による呼吸を明らかにすることができる。ここで、横隔膜の筋肉の収縮および弛緩によって、腹部の器官が下側および外側に押され、それによって利用可能な肺の容積が増加する。
【0081】
呼吸特性のモニタリングおよび分析は、運動への適用において特に有用であり得る。なぜならば、パフォーマンスとアスリートの酸素および二酸化炭素の処理との間に直接的なつながりがあるからである。例えば、多くの運動のトレーニング場面において、アスリートの体がいつ有酸素運動から嫌気的運動へ移行するのか(アスリートの換気閾値と呼ばれることもある)を知ることは有用である。換気閾値のレベルをクロスオーバーすることは、スポーツ活動中の未完のパフォーマンスの限度を示している。例えば、限定された時間において嫌気的状態でトレーニングすることは、アスリートにとって有益であり得る。しかし、多くのスポーツにおいて、適切なトレーニングに必要なのは、より低い強度の有酸素運動によって中断される限定された時間内の嫌気的運動のみである。呼吸特性等の生理学的特性を参照せずに、自分が好気的状態と嫌気的状態のどちらにあるのかを決定することは、アスリートにとって困難である。それゆえに、呼吸モニタリングおよびデータ処理は、アスリートの運動の状態を正確かつ実質的に瞬時に測定することを可能にすることにより、運動のトレーニングにおける大きな利益を提供することができる。時間経過に伴うアスリートの換気閾値の変化や、運動後の回復中における一回換気量のパターンは、あるトレーニング方法を通じたアスリートのフィットネスレベルの改善を測定するのに有益であり得る。呼吸モニタリングは更に、被験者の安静代謝率の変化のモニタリングおよび分析を可能にする。
【0082】
肺換気量が持続的に生命を維持するのにもはや十分ではない程度の負荷が体にかかっている時点において、第2換気閾値が存在する。この状態が長く続きすぎると衰弱につながるので、この時点の決定は、医学的応用において、特に初動要員およびその他の救急救命士にとって有益であり得る。
【0083】
上述のように、本発明は、被験者の生理学的状態、特に、被験者の呼吸器系の状態をモニタリングするための非侵襲的方法および関連したシステムを目的とする。磁力計を使用し、着用可能な衣類、例えばシャツやベストに埋め込むか、またはそれに保持させることができる。着用可能なモニタリング用衣類により、被験者の肌に直接磁力計を取り付ける必要がなくなるので、それに関連した問題がすべて解決される。着用可能なモニタリング用衣類はまた、被験者の胴体上の実質的にすべての適切な(または所望の)位置に、繰り返し、そして簡便に磁力計を配置することを容易にする。
【0084】
当業者には容易に理解できるであろうが、本発明の方法およびシステムは、生理学的状態をモニタリングするための従来の方法およびシステムに比べ、多くの重要な利点を提供する。そうした利点の1つは、生理学的モニタリング方法およびシステムの提供であり、これらは、(1)複数の生理学的特性の正確でリアルタイムな決定、(2)複数の呼吸パラメータおよび呼吸特性の正確な決定、(3)胸壁の動きおよびそれの呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、咳をする等との関係の正確な評価、(4)呼吸事象のリアルタイムな決定および特徴づけ、および(5)被験者の向きおよび動きのリアルタイムな決定および特徴づけ、を提供する。
【0085】
更に重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリングを容易にする胸壁の動きに関連する更なる関連データの提供である。
【0086】
本発明の別の重要な利点は、換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にするシステムおよび関連する方法の提供である。当業者には容易に理解できるであろうが、これは、特定の病状、例えば喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)等、並びに急性の病状、例えば気胸および肺塞栓症等に関連する適用を含む、多くの使用の分野において意味を有する。
【0087】
本発明の別の利点は、複雑な較正アルゴリズムが不要な、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するためのシステムおよび関連する方法の提供である。これも同様に、特定の病状、例えばCOPD等に関連する適用を含む多くの使用の分野において重要な意味を有する。
【0088】
以下、本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連する方法のいくつかの実施形態について詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載されたシステムおよび関連する方法に限定されないことが理解される。実際、当業者は理解するであろうが、記載されたシステムおよび方法に類似または相当するシステムおよび関連する方法も、本発明の範囲内において採用可能である。
【0089】
また、本明細書において、生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法は、ヒトの体における生理学的パラメータおよび特性のモニタリングとの関連で記載されるが、本発明は決してそうした使用に限定されない。本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法はまた、人間以外の体における生理学的パラメータをモニターするためにも採用できる。本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法はまた、液体および/または気体を含有させるために使用される伸張性の嚢における容積および/または容積の変化の決定等、医療以外の状況においても採用可能である。
【0090】
まず図1には、本発明による生理学的モニタリングシステムの1つの実施形態の略図が示される。図1に示されるように、生理学的モニタリングシステム10は、好ましくは、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40、データ送信サブシステム50、データモニタリングサブシステム60、および電源70、例えば電池等、を含む。
【0091】
データ収集サブシステム
本発明の一つの実施形態によれば、データ収集サブシステム20は、制御データ処理サブシステム40、および、いくつかの実施形態においてはデータモニタリングサブシステム60と連携して、少なくとも1つの呼吸特性、より好ましくは複数の呼吸特性を決定するために採用できる解剖学的パラメータを収集するための手段を含む。解剖学的パラメータは、胸郭および腹部の前後径の変化(または変位)並びに胸壁の軸方向変位を含み得る。上述のパラメータを収集するための手段は、例えばセンサである。センサは、対の電磁コイルまたは磁力計を含み得る。
【0092】
本発明は、磁力計および磁力計システムの観点から本明細書に記載されるが、システム内の2つ以上のセンサ間の距離の変化を測定可能なその他の種類のセンサシステムを、磁力計の代わりに、または磁力計に加えて使用できることが理解される。具体的には、本発明は、胸郭および腹部の前後径の変化並びに胸壁の軸方向変位を測定するための電磁コイルまたは磁力計の使用に限定されない。上述の解剖学的パラメータを測定するように容易に適合され得る様々な更なる手段および装置が、本発明の範囲内において採用可能である。このような手段および装置には、ホール効果センサおよび電子コンパスセンサが含まれるが、これらに限定されない。本発明に従い、あるセンサから別のセンサに送られたシグナルにおける時間遅延を測定することによりその2つのセンサ間の距離を決定することが可能な無線センサを、磁力計の代わりに、または磁力計に加えて提供可能である。
【0093】
本発明によれば、上述の被験者のパラメータ(または変位)を測定するために、少なくとも2つの磁力計を採用できる。本発明のいくつかの実施形態においては、二対の磁力計が採用される。いくつかの実施形態においては、2対より多い複数対の磁力計が採用される。
【0094】
図2には、胸郭、腹部および胸壁の変位を検出および測定するための二対の電磁コイルの配置の1つの実施形態が示される。図2に示されるように、電磁コイルは、第1送信および受信コイル(22aおよび22b)並びに第2送信および受信コイル(24aおよび24b)を含む。図2において、文字「T」は送信コイルを指し、文字「R」は受信コイルを指すが、コイルはこのような指定に限定されない。本発明の実施形態の電磁コイルについては、「受信」または「送信」と記載されるが、各受信コイルはそれぞれ、代わりに送信コイルであってよく、また、各送信コイルはそれぞれ、代わりに送信コイルであってよい。コイルはまた、受信および送信の両方の機能を果たしてもよい。
【0095】
上述の配置および関連する実施形態(以下に記載)の詳細は、2008年9月5日出願の同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692、2009年9月1日出願の同時係属出願である米国特許出願番号61/275,576、およびこれと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,576に記載され、上述のように、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0096】
上述の出願に記載されるように、本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも受信コイル24bは、送信コイル22aおよび24aそれぞれからのコイルの送信を受信するように適合される(すなわち、少なくとも受信コイル24bは二重機能コイルであってよく、ここで、「二重機能コイル」とは、複数の異なる送信コイルからの送信を受信可能なコイルのことを言う)。いくつかの実施形態において、受信コイル22bおよび24bの各々は、送信コイル22aおよび24aの各々からの送信を受信するように適合される。
【0097】
次に図3〜図5には、本発明の1つの実施形態による、被験者または患者100上のコイル22a、22b、24aおよび24bの位置が示されている。図3〜図5に示されるように、第1送信コイル22aは、好ましくは被験者100のへそに近接した被験者の前面101上に配置され、第1受信コイル22bは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。第2受信コイル24bは、好ましくは胸骨の基部に近接した被験者100の前面101上に配置され、第2送信コイル24aは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。
【0098】
同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号に記載されるように、送信コイル22aおよび24aと、受信コイル22bおよび24bの位置は、逆であってもよい(すなわち、送信コイル22aおよび受信コイル24bは、被験者100の背面102上に配置されてよく、送信コイル24aおよび受信コイル22bは、被験者100の前面101上に配置されてよい。また、送信コイル22aおよび24aの両方が被験者100の前面101または背面102上に配置され、受信コイル22bおよび24bが反対側に配置されてもよい。
【0099】
図3に戻ると、矢印23は、胸壁、またはこの場合には、モニターされる剣状骨とへその間の距離(Xi)を示す。矢印25は、モニターされる胸郭の距離を示し、矢印29は、モニターされる腹部の距離を示す。
【0100】
本発明の1つの実施形態によれば、コイル24bが二重機能コイルである場合、被験者または患者100が呼吸をすると、胸郭および腹部の変位(すなわち、コイル22aと22bおよび24aと24bの各対の間の距離の変化であり、それぞれ矢印29および矢印25で示される)が、対のコイル22aと22bおよび24aと24bの間の測定された電圧の変化から決定される。矢印23で示される胸壁の軸方向変位(例えば、剣状骨とへその間の距離(Xi))も、送信コイル22aと受信コイル24bとの間の測定された電圧の変化から決定される。
【0101】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態において、2対より多い複数対の電磁コイルが採用され得る。2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,575号、およびこれと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,582号は、各々が、その全体を引用することにより本明細書の一部をなすが、それらに記載されるように、被験者の解剖学的に適切な位置上に更なる電磁コイルを追加することにより、2対のコイルの実施形態よりも多数の重要な利点が提供される。そうした利点の1つは、胸壁の動き並びにそれと呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、くしゃみをする、笑う、咳をする等との関係についての更なる(および関連する)データおよび/または情報の提供である。
【0102】
更に、コイル(およびその配置)を追加した結果による電磁コイルの送信の複数の単一、交差、および相互の軸は、胸壁の容積の変化の非常に正確な定量化を提供すると共に、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリング、並びに換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動または非同期運動の評価および定量化を容易にする。
【0103】
図6〜図17には、本発明の複数対のコイルの実施形態の詳細が記載されている。しかし、本発明は、本明細書に記載された複数対のコイルの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者は理解するであろうが、この複数対のコイルの実施形態は、任意の数の更なる電磁コイル(例えば3、4、5、6、7、8、9、10個等)を含み得る。例えば、3つの磁力計(例えば電磁コイル)を使用する実施形態においては、該3つの電磁コイルが複数対として機能し得ることが理解される。具体的には、これらのコイルを第1、第2および第3コイルとすると、第1コイルは第2コイルと対を形成することができ、この第1コイルはまた、第3コイルとも対を形成することができる。更に、第2コイルはまた、第3コイルとも対を形成することができる。このように、3つの電磁コイルを利用した磁力計システムは、1対、2対または3対を形成するように構成され得る。第1、第2および第3コイルの各々は、シグナルを送信、シグナルを受信、またはシグナルを送信および受信するように構成され得る。磁力計は、複数の他の磁力計と接続してもよく、従って、特定の磁力計が、複数対のうちの一部を形成し得る。追加コイルの位置およびその機能はまた、本発明の範囲内において、容易に修正し、および/または特定の適用向けに適合させることができる。
【0104】
まず図6〜図8には、本発明の複数対のコイルに関する1つの実施形態が示される。図7に示されるように、この実施形態も同様に、電磁コイル22a、22b、24aおよび24bを含む。本発明によれば、コイル22a、22b、24aおよび24bに関連する上述の2対のコイルの実施形態のいずれもが、本発明の複数対のコイルの実施形態と共に採用され得る。
【0105】
また、図6および図7に示されるように、複数対のコイルの実施形態は、更に少なくとも2対の電磁コイル:第3送信コイル32a、第3受信コイル32b、第4送信コイル34a、および第4受信コイル34bを更に含み得る。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態において、2つの更なる受信コイル32bおよび34bのうちの少なくとも1つは、二重機能コイルであり、従って、送信コイル32a、22aおよび34aの各々からの送信を受信するように適合される。いくつかの実施形態において、受信コイル32bおよび34bの各々は、送信コイル32a、22aおよび34aの各々からの送信を受信するように適合される。
【0107】
図8および図9には、本発明の1つの実施形態による、コイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34aおよび34bの被験者または患者100上の位置が示される。図8および図9に示されるように、第1送信コイル22aは、好ましくは、被験者100のへそに近接した被験者100の前面101上に配置され、第1受信コイル22bは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。第2受信コイル24bは、好ましくは胸骨の基部に近接した被験者100の前面101上に配置され、第2送信コイル24aは、同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。
【0108】
第3送信コイル32aは、好ましくは被験者100の前面101上に、第1送信コイル22aの右側に軸方向に間隔を空けて配置される。第4送信コイル34aは、好ましくは被験者100の前面101上に、第1送信コイル22aの左側に軸方向に間隔を空けて配置される。例示された実施形態において、送信コイル32a、22aおよび34aの各々は、好ましくは同じ軸平面に近接して配置される(図6および図7において「AP1」で示される)。
【0109】
第3受信コイル32bは、好ましくは被験者100の前面101上に、第2受信コイル24bの右側に軸方向に間隔を空けて配置される。第4受信コイル34bは、好ましくは被験者100の前面101上に、第2受信コイル24bの左側に軸方向に間隔を空けて配置される。好ましくは、受信コイル32b、24bおよび34bの各々も同様に、同じ軸平面に近接して配置される(図6および図7において「AP2」で示される)。
【0110】
当業者には容易に理解できるであろうが、コイル32a、32b、34aおよび34bの軸方向の間隔は、多くの場合、被験者(例えば大人、女性、男性、若者等)の体のサイズおよび構造に依存する。コイル間の距離はまた、必要な、または所望の測定の精度の度合いによって異なり得る。
【0111】
好ましくは、上述の実施形態において、コイル32a、32b、34a、34bおよびコイル22a、22b、24a、24bの間の軸方向の間隔は、実質的に同一または均一である。
【0112】
先に示したように、本発明の複数対のコイルの実施形態の1つの重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリング、並びに換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にする、複数の単一、交差、および相互のコイル送信軸の提供である。
【0113】
本発明の複数対のコイルの実施形態についての更なる重要な利点は、本発明の複数対のコイルを用いた胸壁の同時モニタリングによって、胸壁のリアルタイムな三次元モデルが作成可能であることである。
【0114】
別の利点は、コイルの場の強度に対する十分に厳しい許容誤差(tolerance)により、容積較正が必要ないであろうことである。よって、測定の精度は、多様なコイルの対の間の幾何学的空間によって決定されることになる。
【0115】
図10〜図12には、本発明の複数対のコイルに関する3つの実施形態によって提供されるコイルの送信軸の略図が示される。まず図10に1つの実施形態が示され、ここで、受信コイル32b、24b、34bおよび22bの各々は、単機能コイルである。受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32を受信するように適合される。受信コイル24bは、送信コイル22aからの送信T22を受信するように適合される。受信コイル34bは、送信コイル34aからの送信T34を受信するように適合される。受信コイル22bは、送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0116】
図12には別の実施形態が示され、ここで、受信コイル24bは二重機能コイルである。受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32を受信するように適合され、受信コイル34bは、送信コイル34aからの送信T34を受信するように適合され、受信コイル22bは、送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。しかし、受信コイル24bは、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0117】
更なる実施形態においては、図11に示されるように、受信コイル32b、24b、34bおよび22bの各々が二重機能コイルである。図11に示されるように、受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。受信コイル24b、34bおよび22bもまた、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0118】
上述の複数対のコイルの実施形態は、胸壁の動き、ひいては呼吸活性および呼吸に関連する事象に関連する利用可能なデータおよび情報を有意に強化する。追加のデータおよび情報はまた、換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にする。
【0119】
また、電磁コイルシステムにおいて一般的に遭遇する磁場の干渉およびアーチファクト(artifacts)の頻度および影響を減少させる、または排除するために、追加のコイルの送信(またはシグナル)を容易に採用可能である。
【0120】
上述のように、本発明の複数対のコイルの実施形態は、更に2対の電磁コイルが被験者の前面上に均一に配置される上述の実施形態に限定されない。次に図13〜図17には、本発明の更なる複数対のコイルの実施形態が示される。
【0121】
まず図13には、複数対のコイルの実施形態が示され、ここで、更なる2対のコイル、32aと32b、および34aと34bは、被験者100の前面101上に不均一に配置される。示されるように、更なるコイルの対は、被験者100の胴体上の任意の適切な(または所望の)位置に配置され得る。
【0122】
また、図14に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル36aと受信コイル36bの対、および送信コイル38aと受信コイル38bの対)も、被験者100の背面102上に配置され得る。コイル36a、36b、38aおよび38bは、図14に示されるように均一に配置されても、あるいは図15に示されるように不均一に配置されてもよい。
【0123】
図16〜図17には、別の複数対のコイルの実施形態が示され、ここで、更なる対のコイルが被験者100の胴体上に配置される。図16に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル33aと受信コイル33bの対、および送信コイル35aと受信コイル35bの対)が、被験者100の前面101上に配置され得る。上述の実施形態において、送信コイル33aは、好ましくは送信コイル32aと22aの上方であってその間に配置され、送信コイル35aは、好ましくは送信コイル22aと34aの上方であってその間に配置される。受信コイル33bは、好ましくは受信コイル32bと24bの上方であってその間に配置され、受信コイル35bは、好ましくは受信コイル24bと34bの上方であってその間に配置される。
【0124】
図16および図17に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル37aと受信コイル37bの対、および送信コイル39aと受信コイル39bの対)もまた、被験者100の両側上に配置され得る。
【0125】
更に、本明細書に開示された送信コイルおよび受信コイルは、必ずしも1対1の対である必要はない。例えば、単一の受信コイルが、複数の送信コイルからの送信を受信するように構成されてもよく、単一の送信コイルが、複数の受信コイルへ送信するように構成されてもよい。
【0126】
先に示されたように、本発明の複数対のコイルの実施形態は、図6〜図17に示された複数対のコイルの実施形態に限定されない。複数対のコイルの実施形態は、任意の数の更なる対の電磁コイルを含み得ることが再度強調される。また、更なるコイルの位置およびそれらの機能もまた、本発明の範囲内において、容易に修正し、および/または特定の適用向けに適合させることができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20は、被験者100の向きおよび/または動き、例えば空間パラメータを直接モニタリングする手段を含み得る。本発明によれば、被験者の向きおよび動きをモニターまたは測定するために、光学エンコーダー、近接およびホール効果スイッチ、レーザー干渉計、加速度計、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)、および/またはその他の空間センサを含む、多様な従来の手段を採用することができる。
【0128】
1つの実施形態において、被験者の向きおよび動きを直接モニタリングする手段は、少なくとも1つの多機能の慣性センサ(例えば3軸の加速度計または3軸のジャイロスコープ)を含む。当技術分野において周知のように、被験者の向きおよび動きは、多機能の加速度計によって送信されるシグナルまたはデータから容易に決定できる。
【0129】
本発明によれば、加速度計は、被験者上の任意の解剖学的に適切な位置に配置できる。本発明の1つの実施形態において、加速度計(図8において「AC1」で示される)は、被験者の胸骨の基部に近接して配置される。
【0130】
制御データ処理サブシステム
本発明によれば、制御データ処理サブシステム40は、本発明の方法を実施するためのプログラム、指示および関連したアルゴリズムを含み得、それらには、データ収集サブシステム20、ひいては、対の電磁コイル(例えばコイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34a、34b)およびその機能;コイル送信の送信と受信(例えば送信T32、T22、T34およびT24);データ送信サブシステム50;およびデータモニタリングサブシステム60を制御するための制御アルゴリズムおよび関連するパラメータが含まれる。以下に詳細を説明する。
【0131】
制御データ処理サブシステム40は、モニターされる被験者100に関連する生理学的情報を決定するために、電磁コイル(例えばコイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34aおよび34b)からのコイル送信またはシグナルを回収および処理するため;更なる空間パラメータおよび生理学的センサによって送信される更なるシグナルを回収、処理および解釈するため(以下に説明);および選択的コイルデータ、生理学的および空間パラメータ、生理学的特性、および被験者の情報をデータモニタリングサブシステム60に送信するために、更にプログラムおよび適合される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信またはシグナル(例えば胸郭、腹部および胸壁の測定された変位)から少なくとも1つの呼吸特性(例えばVT)を決定するための少なくとも1つの「n自由度」モデルまたはアルゴリズムを更に含む。
【0133】
1つの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信(またはシグナル)から少なくとも1つの呼吸特性(好ましくは複数の呼吸特性)を決定するための1つ以上の「3自由度」モデルまたはアルゴリズムを含む。好ましい「3自由度」モデル(またはアルゴリズム)は、同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号に記載されている。
【0134】
いくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、記憶された生理学的基準との比較により生理学的特性およびパラメータを評価するために更にプログラムおよび適合される。制御データ処理サブシステム40はまた、記憶された呼吸および空間基準との比較により呼吸および空間特性およびパラメータを評価するようにプログラムおよび適合され得る。制御データ処理サブシステム40は、相当する特性またはパラメータがある場合に、ステータスシグナルを生成することができる。基準は、例えば、有害な条件(adverse conditions)やフィットネスの目標を示してもよく、ステータスシグナルは、警報や警告を含んでもよい。
【0135】
制御データ処理サブシステム40はまた、好ましくは、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から呼吸特性、パラメータおよびステータスを決定するように設計および適合された好適なアルゴリズムを含む。アルゴリズムはまた、好ましくは、呼吸特性(および/またはパラメータ)の決定の正確性を高めるために、非呼吸運動、例えば胴体をひねる動きに関連する測定された胸壁の変位を割り引くように適合される。
【0136】
制御データ処理サブシステム40は更に、好ましくは、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から被験者の胸壁の三次元モデルを生成するための、好適なプログラム、アルゴリズムおよび指示を含む。
【0137】
本発明によれば、シグナル(胸壁の距離および変位を反映)を処理して胴体の形を示すために、数学的技術分野において公知の様々なプログラムおよび方法(例えば微分幾何学的方法)を採用することができる。実際、二次元表面上で定義される十分な距離(メートル法)を提供することにより、表面の形を三次元空間内に構成できることが知られている。例えば以下の文献を参照されたい:Badler, et al., “Simulating Humans: Computer Graphics, Animation, and Control (ヒトのシミュレーション:コンピュータグラフィック、アニメーションおよびコントロール) ", (New York: Oxford University Press, 1993);およびDeCarlo, et al., "Integrating Anatomy and Physiology for Behavior Modeling (行動のモデリングのための解剖学および生理学の統合)", Medicine Meets Virtual Reality 3 (San Diego, 1995)。
【0138】
好ましくは、本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から、追加の、そして場合によっては相互に関連する解剖学的パラメータ、例えば曲げる、ひねる、咳をする等を決定するように更にプログラムおよび適合される。1つの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、コイル送信とそれに関連する胸壁パラメータとの記憶された選択的組合せ、例えば「正常な呼吸と曲げる」、「正常な呼吸とせきをする」等を、測定された胸壁の変位を反映する回収されたコイル送信と比較するようにプログラムおよび適合される。
【0139】
一例として、1つの実施形態において、「正常な呼吸と胴体をひねる」と定義される(またはそれを反映する)第1胸壁パラメータ(CWP1)が、制御データ処理サブシステム40に記憶される。第1胸壁パラメータ(CWP1)に関連するコイル送信およびデータは、受信コイル24bが受信する送信T32、T22、T34およびT24を含み、変位x、yおよびzを示すことができる。
【0140】
被験者100をモニター中、類似のコイル送信が受信コイル24bによって受信される可能性がある。すると、制御データ処理サブシステム40は、検出された(または回収された)送信を、記憶された送信およびそれに関連する胸壁パラメータと比較して、胸壁の動きと、ひいてはそれに基づく呼吸活性(この場合、「正常な呼吸と胴体をひねる」)を(リアルタイムに)決定する。
【0141】
いくつかの実施形態においては、加速度計によって送信されるシグナル(例えば空間パラメータシグナル)が、検出されたコイル送信と共に採用され、モニターされる被験者の胸壁の動きおよび関連する呼吸活性が決定および分類される。上述の実施形態において、各記憶された胸壁パラメータはまた、胸壁パラメータと関連する空間パラメータシグナル(例えば「正常な呼吸と胴体をひねる」)も含む。本発明によれば、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信および空間パラメータシグナルを、記憶された送信および空間パラメータシグナル、並びにそれらと関連する胸壁パラメータと比較して、胸壁の動き、そして、ひいてはそれに基づく呼吸活性を決定するように適合される。
【0142】
いくつかの実施形態において、空間パラメータシグナルは、被験者の空間モデルを生成するために使用される。空間モデルは二次元であっても三次元であってもよく、被験者のリアルタイムの向きおよび動きを反映できる。空間モデルは、被験者または他の者に対してリアルタイムの被験者の向きおよび動きを示すように表示され得る。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルに基づいて胸壁の動きおよび呼吸活性を決定するようにプログラムおよび適合される。上述の実施形態において、データ収集サブシステム20は、音声センサ、例えばマイクロホンも含んでよく、これは、被験者上の解剖学的に適切な位置に、例えば咽喉に近接して配置される。
【0144】
本発明によれば、各記憶された胸壁パラメータは、胸壁パラメータと関連する少なくとも1つの音声パラメータ(例えば、音声シグナルに基づく>N db)も含む(例えば正常な呼吸と咳をする)。適切なスピーチおよび咳パラメータ(および閾値決定)が、2007年9月11日付け米国特許第7,267,652号に記載されており、これは、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0145】
コイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを受信するとすぐに、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを、記憶された送信、空間パラメータシグナルおよび音声パラメータ、並びにそれに関連する胸壁パラメータと比較し、それに基づいた胸壁の動きおよび呼吸活性を決定する(例えば「正常な呼吸と咳をする」)。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルに基づいてフィットネス活動を決定するようにプログラムおよび適合される。上述の実施形態において、データ収集サブシステム20は、音声センサ、例えばマイクロホンも含んでよく、これは、被験者上の解剖学的に適切な位置に配置される(例えば咽喉に近接して)。
【0147】
コイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを受信するとすぐに、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを、記憶された送信、空間パラメータシグナルおよび音声パラメータ、並びにそれに関連する胸壁パラメータと比較し、被験者のフィットネス活動を決定する(例えば、ランニング、ジョギング、ストレッチ、水泳、腕立て伏せ、腹筋、懸垂、アームカール、バスケットボール、野球、サッカー等)。
【0148】
図1には、本発明による生理学的モニタリングシステムの1つの実施形態の略図が示される。図1に示されるように、生理学的モニタリングシステム10は、好ましくは、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40、データ送信サブシステム50、データモニタリングサブシステム60、および電源70、例えば電池等、を含む。本明細書において、制御データ処理サブシステム40は、「プロセッササブシステム」、「処理サブシステム」および「データ処理サブシステム」とも呼ばれる。用語「制御データ処理サブシステム」、「プロセッササブシステム」、「処理サブシステム」および「データ処理サブシステム」は、本出願において互換的に使用される。
【0149】
データモニタリングサブシステム
本発明の実施形態によれば、データモニタリングサブシステム60は、コイル送信またはシグナル(例えば送信T32、T22、T34およびT24)を受信し、そしていくつかの実施形態においては、選択的にモニターするように、そしてそれに関連するパラメータ(例えば選択的軸に沿った変位)、および/または胸壁パラメータ(例えばCWP1)、および/または呼吸特性(例えばVT)または事象を表示するように設計および適合される。
【0150】
データモニタリングサブシステム60は、更に好ましくは、選択的な被験者のパラメータ、特性、情報および警報または警告を表示するように設計および適合される。データモニタリングサブシステム60はまた、データを表示する、またはデータを聴覚的に送信するようにも適合され得る。聴覚的に示されるデータは、ボイスメッセージ、音楽、または事象を示すその他のノイズであり得る。データモニタリングサブシステム60は、聴覚的データを送信するために、ヘッドフォンやスピーカーがデータモニタリングサブシステムに接続できるように適合され得、それは無線でも有線でもよい。データモニタリングサブシステム60は、データを表示するために、表示部を含む、または表示部がデータモニタリングサブシステムに接続できるように適合され得る。このような表示部は、例えば、液晶ディスプレー装置(LCD)、プラズマディスプレー装置、ブラウン管(CRT)ディスプレー装置、発光ダイオード(LED)ディスプレー装置、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレー装置を含み得る。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態において、データモニタリングサブシステム60はまた、空間パラメータシグナルおよび更なる解剖学的および生理学的センサによって送信されるシグナル(例えば皮膚温またはSpO2を示すシグナル)を受信し、そしていくつかの実施形態においては選択的にモニターするように、そしてそれに関連するパラメータおよび情報を表示するようにも適合される。パラメータはアスリートの身体活動に関連し得る。測定される、および/または計算される身体的または解剖学的パラメータは、例えば、時間、場所、距離、速度、ペース、ストライド数、ストライドの長さ、ストライド速度(stride rate)、および/または高度を含み得る。測定される、および/または計算される生理学的パラメータは、例えば、心拍数、呼吸速度、血中酸素濃度、血流量、水分補給状態、消費カロリー、筋肉疲労および/または体温を含み得る。ある実施形態において、パフォーマンスパラメータは、精神または感情のパラメータ、例えばストレスレベルや意欲の程度をも含み得る。精神および感情のパラメータは、アスリートに質問をすることにより、または走っている間に、例えば胴体の角度や足の当たり方(foot strike)の特性等を測定することにより、直接的または間接的に測定および/または計算され得る。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態において、データモニタリングサブシステム60は、ローカル電子モジュールまたはローカルデータユニット(LDU)を含む。LDUと関連して使用される用語「ローカル」は、LDUが、コイルを含有する着用可能な衣類の上または中など、電磁コイルの近くに配置されることを意味することが意図される(以下に詳しく説明する)。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態において、LDUは、好ましくは、コイル送信(またはシグナル)を受信およびモニターし、コイル送信を前処理し、コイル送信および関連データを記憶し、そして選択的なデータ、パラメータ、生理学的特性および被験者の情報を表示するように適合される。
【0154】
いくつかの実施形態において、LDUはまた、空間パラメータ送信(またはシグナル)および更なる解剖学的および生理学的センサ(採用された場合)によって送信される更なるシグナルを受信およびモニターし、シグナルを前処理し、シグナルおよび関連データを記憶し、そして多様な媒体、例えば個人用デジタル補助装置(PDA)、携帯電話、および/またはコンピュータのモニター等によって、選択的なデータ、生理学的および空間パラメータ、生理学的特性および被験者の情報を表示するように適合される。
【0155】
いくつかの実施形態において、LDUは、遠隔モニターまたはモニタリング設備を含む。これらの実施形態において、LDUは、選択的なコイルおよびセンサデータ、生理学的パラメータおよび特性、空間的パラメータ、並びに被験者の情報を、遠隔モニターまたは設備に送信するように更に適合される。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態において、LDUは、制御データ処理サブシステム40の特徴および機能を含む(例えば一体型制御−処理/モニタリングサブシステム)ので、データ収集サブシステム20を制御するようにも適合される。このように、LDUは、採用される対のコイルを制御し、選択的な生理学的特性およびパラメータを決定し、有害な条件の生理学的特性およびパラメータを評価し、そして有害な特性またはパラメータが存在する場合には警報または警告を生成するように適合される。
【0157】
好適なLDUは、同時係属出願である国際出願番号PCT/US2005/021433(国際公開WO 2006/009830 A2、2006年1月26日公開)に記載されており、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態において、モニタリングサブシステム60は、分離した、遠隔モニターまたはモニタリング設備を含む。本発明の実施形態によれば、遠隔モニターまたは設備は、センサのデータおよび情報、生理学的および空間的パラメータ、生理学的特性並びに被験者の情報を、制御データ処理サブシステム40から受信し、選択的なコイルセンサデータおよび情報、生理学的および空間的パラメータ、生理学的特性並びに被験者の情報を、種々の媒体、例えばPDAやコンピュータのモニター等に表示するように適合される。
【0159】
データ送信サブシステム
本発明の実施形態によれば、制御シグナルをデータ収集サブシステム20、ひいては対のコイルに送信し、コイル送信(またはシグナル)を対のコイルから制御データ処理サブシステム40へ送信するために、種々の通信リンクおよびプロトコルを採用できる。コイル送信(またはシグナル)および関連パラメータ、生理学的特性、空間的パラメータ、並びに被験者の情報を含むデータおよび情報を、制御データ処理サブシステム40からデータモニタリングサブシステム60へ送信するために、種々の通信リンクおよびプロトコルを採用することができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20と制御データ処理サブシステム40との間の通信リンクは、導線または類似の直接的通信手段を含む。いくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20と制御データ処理サブシステム40との間の通信リンクは、制御データ処理サブシステム40とデータモニタリングサブシステム60との間のものと同様、無線リンクである。
【0161】
本発明の実施形態によれば、データ送信サブシステム50は、上述の通信リンク、ひいては、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40およびデータモニタリングサブシステム60による、およびその間の送信をモニターおよび制御するようにプログラムおよび適合される。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20は、モニターされる被験者100に関連する1つ以上の生理学的特性をモニターおよび記録するように適合された少なくとも1つの更なる生理学的センサ(好ましくは複数の更なる生理学的センサ)を含む。生理学的センサは、脳、心臓およびその他の筋肉の電気的活動(例えばEEG、ECG、EMG)、脈拍数、血中酸素飽和度(例えばSpO2)、皮膚温および中核体温をモニターし記録するように適合されたセンサを含み得るが、これらに限定されない。測定および/または計算された生理学的パラメータには、例えば、心拍数、呼吸速度、血中酸素濃度、血流量、水分補給状態、消費カロリー、筋肉疲労および/または体温が含まれ得る。
【0163】
生理学的センサの例は、米国特許第6,551,252号明細書、米国特許第7,267,652号明細書および同時係属出願である、2007年6月18日出願の米国特許出願番号11/764,527号に開示されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0164】
本発明の例示的な実施形態によれば、こうした更なるセンサは、被験者上の多様な解剖学的に適切な位置に配置できる。例としては、第1センサ(例えば脈拍数センサ)は、脈拍数をモニターするように被験者100の心臓に近接して配置することができ、第2センサ(例えばマイクロホン)は、咽喉から出てくる音(例えば、咳を反映する音)をモニターするように被験者100の咽喉に近接して配置することができる。
【0165】
先に示したように、データ収集サブシステム20は、モニターされる被験者によって生成される音をモニターするための1つ以上の音声センサ(例えばマイクロホン等)、並びに、モニターされる被験者およびモニタリングステーションまたは個人による、およびその間の双方向の通信を可能にするスピーカーも含み得る。
【0166】
本発明の実施形態によれば、対のコイル(例えば電磁コイル22a、22b、24a、24bおよび上述の更なるセンサ)は、種々の好適な手段によって被験者上または被験者に近接して配置することができる。このように、いくつかの実施形態において、対のコイルおよび/または更なるセンサは、被験者に直接取り付けることができる。
【0167】
本発明の実施形態によれば、被験者100の体へのコイルおよびセンサの適用は、適切な付着の強度および持続時間を提供する広範囲の接着技術、例えば外科的テープ、生体適合性接着剤等を通じて達成できる。
【0168】
いくつかの実施形態において、対のコイル、更なるセンサ、処理およびモニタリングシステム(もし採用される場合、例えばLDU)は、モニターされる被験者が楽に着用できる着用可能な衣類またはアイテムに埋め込まれるか、またはそれによって保持される。関連する配線、ケーブル、およびその他の電力およびシグナル送信装置および/またはシステムも、着用可能な衣類に埋め込むことができる。
【0169】
本発明の実施形態によれば、着用可能なモニタリング用衣類は、多様な衣類、例えばシャツ、ベストまたはジャケット、ベルト、キャップ、パッチ等のうちの1つ以上であり得る。好適な着用可能なモニタリング用衣類(ベスト)が、同時係属出願である、2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,576号、これと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,576号、同時係属出願である、2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,633号、および、これと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,627号に例示および記載されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0170】
更なる好適な衣類もまた、2007年9月11日付け米国特許第7,267,652号明細書、2003年4月22日付け米国特許第6,551,252号明細書、および2000年4月4日付け米国特許第6,047,203号明細書に開示されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0171】
上述の本明細書の一部をなす明細書に記載されるように、対のコイルまたは磁力計、更なるセンサ、処理およびモニタリングシステム、LDU並びにその他の装置は、着用可能なモニタリング用衣類内に配置したり、またはそれに保持させることができ、例えば、開いた、または閉じたポケットに入れたり、あるいは、縫う、接着する、パイルアンドフックシステム(例えばVelcro社製のVELCRO(登録商標)等)等により衣類に取り付けることができる。
【0172】
このように、上述の本発明の方法およびシステムは、従来の生理学的モニタリング方法およびシステムに比べ、多数の重要な利点を提供する。そうした利点の中でも、本方法およびシステムは、以下を提供する:(1)複数の生理学的特性の正確でリアルタイムな決定、 (2)複数の呼吸パラメータおよび呼吸特性の正確な決定、(3)胸壁の動きおよびそれの呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、咳をする等との関係の正確な評価、(4)呼吸事象のリアルタイムな決定および特徴づけ、および(5)被験者の向きおよび動きのリアルタイムな決定および特徴づけ。
【0173】
更に重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリングを容易にする更なる関連データの提供である。
【0174】
本発明の別の重要な利点は、換気力学(例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動)の評価および定量化、並びに胸壁の「リアルタイムな」三次元モデリングを容易にするシステムおよび関連する方法の提供である。上述のように、これは、特定の病状、例えば喘息およびCOPD等、並びに急性の病状、例えば気胸および肺塞栓症等への適用や使用の分野において重要な意味を有する。
【0175】
本発明の別の利点は、複雑な較正アルゴリズムが不要な、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するためのシステムおよび関連する方法の提供である。これも同様に、特定の病状、例えばCOPD等に関連する適用や使用の分野において重要な意味を有する。
【0176】
本発明の更に別の利点は、前面から背面にかけた測定のために、磁力計間の離隔や、異なる磁力計のセットにおける垂直方向の離隔を可能にするモニタリングシステムの提供である。これにより、システムが、歩く動きによって起こる動きアーチファクトから所望のシグナルおよび情報を分離することが可能となる。
【0177】
本発明の更なる利点や適用は、以下の出願明細書に開示されたシステムおよび方法を参照すれば明らかである:これと同時出願の米国特許出願番号12/869,578号;同時出願の米国特許出願番号12/869,582号;同時出願の米国特許出願番号12/869,576号;同時出願の米国特許出願番号12/869,592号;同時出願の米国特許出願番号12/869,627号;同時出願の米国特許出願番号12/869,625号;および、同時出願の米国特許出願番号12/869,586号。これら各々が、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0178】
本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲において、当業者は、本発明に種々の変更および改善を加えて、種々の使用法および条件に適合するようにすることができる。よって、これらの変更および改善は、適切かつ公平に、本発明に相当する全範囲内であるように意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮出願は、2009年9月1日に出願した米国仮出願番号61/275,586に対して優先権を主張する。この優先出願の内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、被験者の生理学的特性および運動パフォーマンス特性をモニタリングするための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、複数の生理学的特性および運動パフォーマンス特性を決定し、呼吸活性および関連事象、更には空間パラメータをリアルタイムに特徴づけるための改善された方法およびシステムに関する。本発明の方法およびシステムは、多様な分野、例えば、ヘルスケア、医療における診断およびモニタリング、並びに運動におけるモニタリングおよび指導に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
被験者の医療診断および治療においては、1つまたはそれ以上の生理学的特性、特に、呼吸特性を評価することがしばしば必要になる。重要な呼吸特性は、呼吸する空気の量(または一回換気量)である。呼吸する空気の量およびその他の呼吸特性はまた、例えば、生理学的状態および/またはパフォーマンス特性における変化の検出の助けとなることで、運動パフォーマンスを評価する際も有用である。
【0004】
被験者の生理学的パラメータおよびパフォーマンスパラメータをモニタリングすることは、運動に関するトレーニングおよび活動を計画および評価する際に重要となりうる。被験者は、様々な理由で運動したり、あるいは運動活動に従事したりする場合がある。例えば、競技会への準備または参加のために、フィットネスレベルを維持する、またはあるレベルに達するためであったり、あるいは楽しみのためであったりする。被験者は、自分のフィットネスレベルに合わせて作成され、フィットネスまたは運動における目標に向かって進歩する助けとなるように設計されたトレーニングプログラムを有する場合がある。被験者の生理学的パラメータおよびパフォーマンスパラメータは、トレーニングプログラムにおける被験者の進歩、または被験者の運動パフォーマンスについての有益な情報を提供し得る。被験者のフィットネスレベルまたは目標に向かっての進歩を正確に評価するためには、種々の生理学的パラメータまたはパフォーマンスパラメータ、そして関連する状況情報を測定、モニタリングおよび記録することは有用であり得る。
【0005】
運動中の努力および生理学的ストレスを見積もるために、心拍数を利用した種々の方法およびシステムが導入されている。しかし、非実験室条件において肺換気量を測定するための簡便で実用的、かつ楽な手段というものはまれであった。一方、心拍数は、アスリートまたは内科患者の本当の生理学的状態に関する近似値を提供できるのみである。なぜならば、外部要因、例えば、睡眠レベル、カフェイン、抑制剤、ベータ遮断薬、ストレスレベル、水分補給状態、体温等によって複雑になりうるからである。また、生理学的パフォーマンスを測定するために心拍数を正確に利用するには、筋肉に流れる血液量の知識が必要であり、次に、瞬間的な心臓の一回拍出量および心臓のポンプ速度(rate of pumping)の知識が必要である。これらのパラメータは、被験者が身体活動に従事している間に測定するのが困難であり得る。
【0006】
一回換気量を測定(または決定)するために、様々な従来の方法およびシステムが用いられてきている。ある方法においては、流速計測装置に接続されたマウスピースに向かって、患者または被験者に息を吹き込んでもらうことが含まれる。流速は次にまとめられて(integrated)空気量の変化を提供する。
【0007】
当技術分野において周知のとおり、マウスピースの使用に関してはいくつかの欠点および不利な点がある。マウスピースおよびノーズクリップを使用した測定装置に関連した重大な欠点のひとつは、上述のアイテムが、モニターされる被験者の呼吸パターン(すなわち、速度および量)における変化を引き起こすことである。このように、マウスピースおよびノーズクリップに基づいた一回換気量の測定は、しばしば不正確である。
【0008】
マウスピースは、運動パフォーマンスのモニタリングや長期のモニタリング、特に、病気の、睡眠中の、または麻酔された被験者において使用するのが困難である。被験者にとっては不快であり、呼吸が制限されがちであり、そして一般的に、医師や技術者が使用するのに不便である。マウスピースを用いた呼吸特性のモニタリングは、運動パフォーマンスをモニタリングする状況において特に非実用的である。運動活動中、マウスピースはアスリートのパフォーマンスを妨げる。マウスピースによって捉えられた呼吸パターンをモニターするのに必要な処理用および収集用付属品によって、こうした装置はますますかさばる。また、こうしたシステムでは概して、セットアップや操作を行うための担当技術者が必要となるので、使用がますます複雑になる。
【0009】
一回換気量を決定するためのその他の従来装置には、呼吸モニターが含まれる。例としては、1974年8月27日付け米国特許第3,831,586号明細書、および1977年7月5日付け米国特許第4,033,332号明細書に開示されたシステムがあり、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0010】
上述のシステムは、マウスピースに関連した不利な点の多くを排除するが、一般的に、これらのシステムは、一回換気量の正確な測定値を提供しない。また、これらのシステムは概して、被験者の呼吸活動が急激に変化したり停止した場合に、付添人にシグナルを送るためにのみ使用される。
【0011】
一回換気量を決定するための更なる手段は、胸郭および腹部におけるサイズの変化(または変位)を測定するものである。なぜならば、肺容量は、これら2つのパラメータの関数であることが周知であるからである。胸郭および腹部のサイズ(すなわちΔ外周)の変化を測定するために、多数のシステムおよび装置が使用されてきており、例えば、ゴム製歪みゲージ中の水銀、ニューモベルト(pneumobelts)、呼吸誘導的プレチスモグラフ(respiratory inductive plethysmograph (RIP))ベルト、磁力計等がある。以下の文献を参照されたい:D.L. Wade, “Movements of the Thoracic Cage and Diaphragm in Respiration(呼吸における胸部および横隔膜の動き)”, J. Physiol., pp. 124-193 (1954);Mead, et al., “Pulmonary Ventilation Measured from Body Surface Movements(体の表面の動きから測定した肺換気量)”, Science, pp. 196, 1383-1384 (1967)。
【0012】
RIPベルトは、胸郭および腹部の断面積における変化を測定するために使用される一般的な手段である。RIPベルトは、ぐるぐる巻かれて弾性ベルトに縫いこまれた、導電性のワイヤーのループを含む。被験者の胸腔のサイズの変化に応じてコイルが伸び縮みすると、ワイヤーによって生成された磁場が変化する。RIPベルトの出力電圧は、一般的に、ベルトが伸びる長さの変化、ひいては取り囲まれた断面積の変化に直線的に関連する。
【0013】
実際、腹部の断面積の変化の測定は、RIPベルトシステムの精度を高めることができる。胸郭および腹部の断面積の変化を測定するためには、典型的ケースでは、1つめのベルトが胸部の中間の周囲に固定され、2つめのベルトが腹部の中間の周囲に配置される。
【0014】
RIPベルトはまた、衣類、例えばシャツやベルト内に埋め込まれてもよく、それらの中に適切に配置されて、胸郭および腹部の変位や、その他の解剖学的および生理学的パラメータ、例えば頸静脈波や呼吸に関連した胸腔内圧の変化等を測定する。例としては、2003年4月22日付け米国特許第6,551,252号明細書、および2002年1月29日付け米国特許第6,341,504号明細書に開示されたVivoMetrics社のLifeShirt(登録商標)があり、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0015】
しかし、多くのRIPベルトシステムに関して、いくつかの欠点がある。例えば、材料組み立ての観点から、また、操作に必要な電力および計算能力の観点から、RIPベルトは高価である。加えて、コイルは一般に大きくて胸部に密着するので、アスリートにとって邪魔で不快なものとなり得る。
【0016】
RIPベルトシステムの欠点を回避しながら被験者の呼吸特性をモニターするための試みとして、その他の技術も開発されてきた。こうした技術は一般的に、歪みゲージの原理において効果を発揮し、しばしばテキスタイルベースである。しかし、こうした技術においては、運動に対する干渉が非常に大きく、概してそれが、比較的ハイレベルの運動でなければならない運動トレーニングへ適用する際に、役に立たないものにしてしまう。
【0017】
RIPベルトおよび歪みゲージシステムの欠点を改善する試みとして、最近、種々の磁力計システムが開発され、これにより胸郭および腹部の変位を測定している。典型的な呼吸磁力計システムは、1対またはそれ以上の同調させた(tuned) 空心磁力計または1つ以上の電磁コイル(electromagnetic coil)を含む。それらの間の距離の変化に敏感なその他の種類の磁力計も使用可能である。片方の磁力計は、特異的な高周波交流磁場を送信するように適合され、他方の磁力計は、該磁場を受信するように適合されている。何対かの磁力計は、それらの間の距離の変化に反応性を有する。こうした変化は、磁場の強さの変化に反映される。
【0018】
胸郭の前後径の変化(または変位)を測定するために、第1磁力計は、典型的には胸骨の第4肋間の高さの上に配置され、第2磁力計は、脊椎の同じ高さの上に配置される。さらに追加の磁力計を用いれば、磁力計システムの精度を上げることができる。例えば、腹部の前後径の変化を測定するために、第3磁力計を、腹部のへその高さの上に配置でき、第4磁力計を、脊椎の同じ高さの上に配置できる。
【0019】
操作可能な距離の範囲にわたって、2つの磁力計の軸が互いに実質的に平行を保持していれば、出力電圧は、その2つの磁力計間の距離に直線的に関連する。軸の回転は電圧を変え得るので、磁力計は、典型的には、平行になるように被験者の肌に固定され、下部の軟組織の動きによる回転を最小限にとどめる。
【0020】
本明細書に述べるように、磁力計は、着用可能な衣類、例えばシャツやベストなどに埋め込んだり、または保持させてもよい。着用可能なモニタリング用衣類により、被験者の肌に直接磁力計を取り付ける必要がなくなるので、それに関連した問題がすべて解決される。着用可能なモニタリング用衣類はまた、被験者の胴体上の実質的にすべての適切な(または所望の)位置に、繰り返し、そして簡便に磁力計を配置することを容易にする。
【0021】
一回換気量およびその他の呼吸特性を決定するために、前述のシステムと共に、様々な方法、アルゴリズムおよび数学的モデルが採用されている。実際、RIPベルト由来の胸郭および腹部の変位から一回換気量を決定するために、「2自由度」モデルが典型的に採用される。
【0022】
「2自由度」モデルは、胸腔と、胸郭の前壁および後壁と、腹部との間の相互に関連した動きを前提にしている。すなわち、第1肋骨および隣接する首の構造は比較的動かないので、胸腔の動作可能な構成部分は、胸郭の前壁および後壁、ならびに腹部であると考えられる。そして、胸腔の容積の変化は、胸郭および腹部の変位によって反映されることになる。
【0023】
当技術分野において周知のとおり、胸郭の変位(すなわち動き)は、RIPベルトを用いて直接評価できる。しかし、横隔膜の変位は直接測定できない。しかし、腹腔内容物は本質的に圧縮できないので、骨盤に対する横隔膜の尾側の動き(caudal motion)およびそれが変位させる容積は、前外側の腹壁の外側への動きによって反映される。
【0024】
当分野の多くのケースで採用されている「2自由度」モデルでは、一回換気量(VT)は、胸郭および腹部の容積の変位の合計に等しい。すなわち:
VT = αRC + βAb 等式1
ここで、RCおよびAbはそれぞれ、胸郭および腹部の直線変位を示し、αおよびβは、容積−動き係数を示す。
【0025】
「2自由度」モデル、そして、胸郭および腹部の容積−動き係数を決定するための該モデルを採用した方法の精度は、姿勢の変化を伴い得る脊髄の屈曲の変化によって制限される。脊髄の曲げ伸ばしによって、VTは、肺活量の50%に当たる量だけ多く、または少なく見積もられ得ることがわかっている。以下の文献を参照されたい:McCool, et al., “Estimates of Ventilation From Body Surface Measurements in Unrestrained Subjects(拘束されない被検者における体表面の測定に基づく換気の見積もり)”, J. Appl. Physiol., vol. 61, pp. 1114-1119 (1986);およびPaek, et al., “Postural Effects on Measurements of Tidal Volume From Body Surface Displacements(体表面の変位に基づく一回換気量の測定に対する姿勢の効果)”, J. Appl. Physiol., vol. 68, pp. 2482-2487 (1990)。
【0026】
上記の誤差や制限には、2つの主要な原因がある。誤差を生む原因の一つ目は、合計された胸郭および腹部のシグナルの実質的な変位によるもので、等容の脊髄の曲げ伸ばしまたは骨盤回転とともに起こる。
【0027】
誤差を生む原因の二つ目は、容積−動き係数の、姿勢に誘導された変化によるものである。等容の脊髄の屈曲により、胸郭が骨盤に対して下がり、前腹壁の軸方向寸法が小さくなる。従って、前腹壁によって、より小さな腹腔の境界線が形成される。
【0028】
変位する前腹壁表面がより小さいと、腹部の区画における所定の容積変位には、より大きな前腹壁の外側への変位が伴うことになる。よって、腹部の容積−動き係数は減少することになる。
【0029】
しかし、胸壁の軸方向運動、例えば、剣状骨(xiphoid)と恥骨結合の間の距離の変化(Xi)の測定を追加することにより、3自由度が提供されることが知られており、これは、一回換気量(VT)の決定のために採用すると、「2自由度」モデルに関連した姿勢に関係した誤差を、肺活量測定を採用した際の誤差の15%以内まで減少することができる。以下の文献を参照されたい:Paek, et al., “Postural Effects on Measurements of Tidal Volume From Body Surface Displacements(体表面の変位に基づく一回換気量の測定に対する姿勢の効果)”, J. Appl. Physiol., vol. 68, pp. 2482-2487 (1990);およびSmith, et al., “Three Degree of Freedom Description of Movement of the Human Chest Wall(ヒトの胸壁の3自由度の動き)”, J. Appl. Physiol., Vol. 60, pp. 928-934 (1986)。
【0030】
いくつかの磁力計システムが、胸壁の変位を更に測定するように適合されている。例としては、同時係属出願である、2008年9月5日出願の米国特許出願番号12/231,692号に開示された磁力計システムが挙げられ、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0031】
測定された胸郭、腹部および胸壁の変位に基づいて一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を決定するための磁力計システムと共に、様々な方法、アルゴリズムおよびモデルが同様に採用される。当分野の多くのケースで採用されているモデルが、以下の等式2で示される:
VT = α(ΔRC) + β(ΔAb) + γ(ΔXi) 等式2
ここで、
ΔRCは胸郭の直線変位を示し、
ΔAbは腹部の直線変位を示し、
ΔXiは胸壁の軸方向変位を示し、
αは胸郭の容積−動き係数を示し、
βは腹部の容積−動き係数を示し、そして
γは胸壁の容積−動き係数を示す。
【0032】
しかし、同様に、上述の「3自由度」モデルに関連した欠点および不利な点がいくつか存在する。主要な欠点は、被験者が自由に動いて姿勢の変わるタスク、例えばかがむ動き等に従事する場合、脊髄を曲げたり伸ばしたりするので、一回換気量の変位における姿勢に関係した誤差の生じる蓋然性が高いことである。
【0033】
脊髄の屈曲の最も顕著な影響は、腹部の容積−動き係数(β)に対するものである。かがむと、剣状骨とへその間の距離が縮まるので、βが減少する。
【0034】
上述の依存に対処し、ひいては一回換気量(VT)の決定の精度を高めるために、様々なアプローチやモデルが開発されている。同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号においては、剣状骨とへその間の距離に対するβの依存に対処するために、改善された「3自由度」モデルが採用されている。すなわち以下の等式であり:
VT = α(ΔRC) + (βu + εXi) x (ΔAb) + γ(ΔXi) 等式3
ここで、
ΔRCは胸郭の直線変位を示し、
ΔAbは腹部の直線変位を示し、
ΔXiは直立位置からの剣状骨とへその間の距離の変化を示し、
αは胸郭の容積−動き係数を示し、
βは腹部の容積−動き係数を示し、
βuは直立位置での腹部の容積−動き係数(β)の値を示し、
εは剣状骨とへその間の距離Xiの関数としての、βの関係の直線傾斜を示し、
(βu + εXi)は、補正された腹部の容積−動き係数を示し、そして
γは剣状骨−へその容積−動き係数を示す。
【0035】
同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号において開示されている、上記等式3に反映された「3自由度」モデルおよびそれに関連した磁力計システムおよび方法については、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性の決定値における姿勢に関連した誤差を減少させることがわかっている。しかし、該開示された磁力計システムおよび方法に関してはいくつかの問題が存在する。問題の一つは、磁力計システムが、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するために、複雑な較正アルゴリズムおよび関連する技術を必要とすることである。更なる問題として本明細書に詳細に記載されるのは、開示されたシステム(および関連する方法)によって提供される胸壁および呼吸のデータは限定されるので、それから決定される呼吸特性および呼吸活性の範囲も限定されることである。
【発明の概要】
【0036】
(発明の要旨)
本発明は、運動パフォーマンスのモニタリングおよび医学的評価の分野において特に有用である、被験者の呼吸特性の改善されたモニタリングのための装置および方法を提供する。上記の目的、および以下に述べ、明らかになるであろう目的に従い、本発明の一つの実施形態に従って、身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムは、以下を含む:被験者に近接して配置された第1の複数対の電磁コイルを含む第1サブシステムであって、該第1サブシステムは複数のコイルシグナルを生成および送信するように構成され、該複数のコイルシグナルの各々は対の電磁コイル間の距離の変化を示す、第1サブシステム;および複数のコイルシグナルを受信するように構成された、第1サブシステムと接続する第2サブシステム。
【0037】
モニタリングシステムは、以下に更に詳しく説明するように、アスリートの身体活動に関連する種々のパフォーマンスパラメータを測定および/または計算するように構成されてよい。
【0038】
モニタリングシステムは、パフォーマンスパラメータを測定および/または計算するのに使用される情報を検出するために、1つ以上のセンサを含んで、またはそれらと接続してよい。適切なセンサには、例えば:2009年2月19日出願の、共同所有の米国特許出願番号11/892,023号(発明の名称:「Sports Electronic Training System, and Applications Thereof(電子スポーツトレーニングシステムおよびその適用)」);2009年5月18日出願の、共同所有の米国特許出願番号12/467,944号(発明の名称:「Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof(ポータブルフィットネスモニタリングシステムおよびその適用)」);および2010年7月14日出願の、共同所有の米国特許出願番号12/836,421号(発明の名称:「Fitness Monitoring Methods, Systems, and Program Products, and Applications Thereof(フィットネスモニタリングの方法、システムおよびプログラム製品、並びにその適用)」)に開示されたセンサが含まれてよく、これら出願の各々は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、身体活動に従事する被験者をモニタリングするための方法が提供される。該方法は、以下の工程を含む:複数のコイルシグナルを送信する工程であって、該複数のコイルシグナルは、被験者に近接して配置された第1の複数対の電磁コイルによって生成され、該複数のコイルシグナルの各々は、対の電磁コイル間の距離の変化を示す、工程;および該複数のコイルシグナルを受信する工程。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、被験者の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタリングするためのモニタリングシステムが提供される。該モニタリングシステムは、以下を含む:(1)第1の複数対の磁力計を有する磁力計サブシステムであって、該第1の複数対の磁力計の各々は、その間の距離の変化に反応し、該磁力計サブシステムは、複数の磁力計シグナルを生成および送信するように適合され、該磁力計シグナルの各々は、該第1の複数対の磁力計のそれぞれの間の距離の変化を示し、該第1の複数対の磁力計は、第1の間隔だけ隔てられた複数の磁力計位置に配置され、該第1の複数対の磁力計のうち少なくとも第2の複数対が、被験者の胸部に近接する第2の間隔だけ隔てられた磁力計位置に配置される、磁力計サブシステム;および(2)磁力計サブシステムと接続し、複数の磁力計シグナルを受信するように適合されたプロセッササブシステムであって、該プロセッササブシステムは、磁力計サブシステムを制御するようにプログラムおよび適合され、該プロセッササブシステムは、磁力計シグナルを処理するように更にプログラムおよび適合され、該プロセッササブシステムは、複数の磁力計シグナルから少なくとも1つの呼吸特性を決定するための少なくとも1つの経験的関係を含み、該呼吸特性を示す少なくとも1つの呼吸特性シグナルを生成および送信するように適合された、プロセッササブシステム。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、呼吸特性シグナルを受信するようにプログラムおよび適合されたデータモニタリングサブシステムを含み、該データモニタリングサブシステムは、呼吸特性シグナルによって示される呼吸特性を認識および表示するようにプログラムおよび適合される。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、磁力計サブシステムからプロセッササブシステムへの第1の複数の磁力計シグナルの送信、およびプロセッササブシステムからデータモニタリングサブシステムへの呼吸特性シグナルの送信を制御するように適合された送信サブシステムを含む。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、送信サブシステムは、無線通信ネットワークを含む。
【0044】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、被験者に関連する少なくとも1つの生理学的特性を検出するように適合された少なくとも1つの生理学的センサを含み、該生理学的センサは、検出された生理学的特性を示す少なくとも1つの生理学的パラメータシグナルを生成および送信するように更に適合される。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、モニタリングシステムは、被験者の向きおよび動きを検出するように適合された少なくとも1つの空間パラメータセンサを含み、該空間パラメータセンサは、検出された被験者の向きを示す第1空間パラメータシグナルと、検出された被験者の動きを示す第2空間パラメータシグナルと、を生成および送信するように更に適合される。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルに基づいて被験者の胸壁の動きを決定し、該胸壁の動きを示す胸壁シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0047】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、胸壁の動きに基づいて被験者の少なくとも1つの呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルから少なくとも1つの被験者の胸壁の三次元モデルを生成するように、更にプログラムおよび適合される。
【0049】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、複数の記憶された有害な生理学的特性を含み、そして該プロセッササブシステムは、検出された生理学的特性を、該複数の記憶された有害な生理学的特性と比較し、もし該検出された生理学的特性が、該複数の記憶された有害な生理学的特性のうちの一つである場合に、警報シグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の胸壁パラメータを含み、該第1の複数の胸壁パラメータの各々は、少なくとも第3の複数の磁力計シグナルと、それに関連する少なくとも第1の空間パラメータとを有し、該第1の複数の胸壁パラメータの各々は、第1呼吸特性および第1解剖学的パラメータを示す。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、プロセッササブシステムは、第1の複数の磁力計シグナルおよび空間パラメータシグナルと、第1の複数の胸壁パラメータとを比較し、該第1の複数の磁力計シグナルおよび空間パラメータシグナルに基づいて第1の複数の胸壁パラメータのうちの1つを選択し、そして、少なくともその選択された第1胸壁パラメータを示す第1胸壁パラメータシグナルを生成および送信するように、更にプログラムおよび適合される。
【0052】
添付の図面にも例示されるように、更なる特徴および利点が、以下の本発明のより詳細な説明から明らかとなろう。また、図中の同じ参照番号は、一般的に全図面を通して同じ部分または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一つの実施形態による生理学的モニタリングシステムの略図である。
【0054】
【図2】図2は、本発明の一つの実施形態による二対の電磁コイルの配置の略図である。
【0055】
【図3】図3は、被験者の側面図であり、本発明の一つの実施形態による、図2の二対の電磁コイルの配置の被験者上の位置を示す。
【0056】
【図4】図4は、被験者の斜視図であり、本発明の一つの実施形態による、被験者の前面上での電磁コイルの位置を示す。
【0057】
【図5】図5は、被験者の背中の平面図であり、本発明の一つの実施形態による、その上での電磁コイルの位置を示す。
【0058】
【図6】図6は、本発明の一つの実施形態による、複数対の電磁コイルの配置の略図である。
【図7】図7は、本発明の一つの実施形態による、複数対の電磁コイルの配置の略図である。
【0059】
【図8】図8は、被験者の斜視図であり、本発明の一つの実施形態による、図6の被験者の前面上での複数対の電磁コイルの位置を示す。
【0060】
【図9】図9は、被験者の背中の平面図であり、本発明の一つの実施形態による、その上での電磁コイルの位置を示す。
【0061】
【図10】図10は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態による複数対のコイルによって提供されるコイルの送信軸の略図である。
【0062】
【図13】図13は、被験者の斜視図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の前面上における、図6に示された複数対の電磁コイルの別の位置を示す。
【0063】
【図14】図14は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、その上での3対の電磁コイルの位置を示す。
【0064】
【図15】図15は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、図14に示された複数対の電磁コイルのその上での別の位置を示す。
【0065】
【図16】図16は、被験者の斜視図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の前面および片側上での6対の電磁コイルの位置を示す。
【0066】
【図17】図17は、被験者の背中の平面図であり、本発明の別の実施形態による、被験者の背面および両側上での5対の電磁コイルの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(発明の詳細な説明)
本発明の詳細な説明の前に、本発明は、特別に例示された方法、装置、システムまたは回路に限定されず、これらはもちろん異なってもよいことが理解されるべきである。従って、本明細書に記載されたものに類似の、または相当する多数の方法およびシステムが、本発明の実施において使用可能であるが、好ましい方法、装置およびシステムが本明細書に記載されている。
【0068】
また、本明細書に使用される専門用語は、本発明の特別の実施形態を説明することのみを目的としており、限定する意図はないものと理解されるべきである。
【0069】
他に定義されていなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明に関連する分野における当業者に一般に理解されるものと同様の意味を有する。
【0070】
本明細書および添付の請求項において使用されるように、明らかに異なる内容の記載がなければ、単数形の「a」、「an」および「the」には、複数の指示物が含まれる。
【0071】
また、本明細書において引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、前出、後出を問わず、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0072】
本明細書に記載された刊行物は、本出願の出願日前の開示のためのみに提供される。本明細書に記載されたどの内容も、本発明が、先行発明を理由に、このような刊行物に先行する資格がないことを承認するものであると解釈されるべきものではない。また、公開の日付は、実際の公開日と異なる場合もあり、それぞれ確認する必要がある。
【0073】
定義
本明細書において使用される用語「呼吸パラメータ」および「呼吸特性」は、呼吸器系およびその機能に関連した特性を意味する、および含む。それらには、呼吸頻度(fB)、一回換気量(VT)、吸気量(VI)、呼気量(VE)、分時換気(VE)、吸気時間、呼気時間、および流速(例えば胸壁の容積の変化する速度)等が含まれるが、これらに限定されない。用語「呼吸パラメータ」および「呼吸特性」はさらに、胸壁の区画における同期運動または非同期運動由来の換気力学に関する推測を意味する、および含む。
【0074】
本発明によれば、流速および呼吸加速は容量シグナルから決定できる。また、換気力学に関する多くの推測は、胸壁を構成する複数の分離区画間で起こる動きにおける非同時性の程度から導き出せる。
【0075】
本明細書において使用される用語「呼吸器系障害」、「呼吸器障害」および「呼吸有害事象」は、正常な呼吸または換気プロセスを妨げる呼吸器系の任意の機能不全を意味する、および含む。
【0076】
本明細書において使用される用語「生理学的パラメータ」および「生理学的特性」は、心臓の電気的活動、その他の筋肉の電気的活動、脳の電気的活動、脈拍数、血圧、血中酸素飽和度、皮膚温および中核体温を意味する、および含むがこれらに限定されない。
【0077】
本明細書において使用される用語「空間パラメータ」および「空間特性」は、被験者の向きおよび/または動きを意味する、および含む。
【0078】
本明細書において使用される用語「患者」および「被験者」は、ヒトおよび動物を意味する、および含む。
【0079】
肺換気量、一回換気量、呼吸速度およびその他の関連する呼吸特性は、生体内における酸素および二酸化炭素の排出について、信頼でき、かつ実用的な測定を提供することができる。呼吸特性は、運動における努力、生理学的ストレスおよびその他の生理学的特性に直接関連している。一回換気量を外側から決定する一つの方法として、胸部の容量の変化の測定がある。胸部の容量の変化は、肺の膨張および収縮によって起こる。圧力範囲の最大値および最小値における肺内の気体の圧力は、周囲の空気圧と平衡状態に置かれるので、肺の容積と吸入された空気の体積の間には、非常に密接で単調な関係がある。
【0080】
胸部の容量の変化の正確な測定には、胸郭における直径の変化の測定が伴う。胸部の胸郭下における直径の変化を測定することで、測定の精度を更に高めることができる。胸部の胸郭下における直径の変化をモニタリングすることで、横隔膜による呼吸を明らかにすることができる。ここで、横隔膜の筋肉の収縮および弛緩によって、腹部の器官が下側および外側に押され、それによって利用可能な肺の容積が増加する。
【0081】
呼吸特性のモニタリングおよび分析は、運動への適用において特に有用であり得る。なぜならば、パフォーマンスとアスリートの酸素および二酸化炭素の処理との間に直接的なつながりがあるからである。例えば、多くの運動のトレーニング場面において、アスリートの体がいつ有酸素運動から嫌気的運動へ移行するのか(アスリートの換気閾値と呼ばれることもある)を知ることは有用である。換気閾値のレベルをクロスオーバーすることは、スポーツ活動中の未完のパフォーマンスの限度を示している。例えば、限定された時間において嫌気的状態でトレーニングすることは、アスリートにとって有益であり得る。しかし、多くのスポーツにおいて、適切なトレーニングに必要なのは、より低い強度の有酸素運動によって中断される限定された時間内の嫌気的運動のみである。呼吸特性等の生理学的特性を参照せずに、自分が好気的状態と嫌気的状態のどちらにあるのかを決定することは、アスリートにとって困難である。それゆえに、呼吸モニタリングおよびデータ処理は、アスリートの運動の状態を正確かつ実質的に瞬時に測定することを可能にすることにより、運動のトレーニングにおける大きな利益を提供することができる。時間経過に伴うアスリートの換気閾値の変化や、運動後の回復中における一回換気量のパターンは、あるトレーニング方法を通じたアスリートのフィットネスレベルの改善を測定するのに有益であり得る。呼吸モニタリングは更に、被験者の安静代謝率の変化のモニタリングおよび分析を可能にする。
【0082】
肺換気量が持続的に生命を維持するのにもはや十分ではない程度の負荷が体にかかっている時点において、第2換気閾値が存在する。この状態が長く続きすぎると衰弱につながるので、この時点の決定は、医学的応用において、特に初動要員およびその他の救急救命士にとって有益であり得る。
【0083】
上述のように、本発明は、被験者の生理学的状態、特に、被験者の呼吸器系の状態をモニタリングするための非侵襲的方法および関連したシステムを目的とする。磁力計を使用し、着用可能な衣類、例えばシャツやベストに埋め込むか、またはそれに保持させることができる。着用可能なモニタリング用衣類により、被験者の肌に直接磁力計を取り付ける必要がなくなるので、それに関連した問題がすべて解決される。着用可能なモニタリング用衣類はまた、被験者の胴体上の実質的にすべての適切な(または所望の)位置に、繰り返し、そして簡便に磁力計を配置することを容易にする。
【0084】
当業者には容易に理解できるであろうが、本発明の方法およびシステムは、生理学的状態をモニタリングするための従来の方法およびシステムに比べ、多くの重要な利点を提供する。そうした利点の1つは、生理学的モニタリング方法およびシステムの提供であり、これらは、(1)複数の生理学的特性の正確でリアルタイムな決定、(2)複数の呼吸パラメータおよび呼吸特性の正確な決定、(3)胸壁の動きおよびそれの呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、咳をする等との関係の正確な評価、(4)呼吸事象のリアルタイムな決定および特徴づけ、および(5)被験者の向きおよび動きのリアルタイムな決定および特徴づけ、を提供する。
【0085】
更に重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリングを容易にする胸壁の動きに関連する更なる関連データの提供である。
【0086】
本発明の別の重要な利点は、換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にするシステムおよび関連する方法の提供である。当業者には容易に理解できるであろうが、これは、特定の病状、例えば喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)等、並びに急性の病状、例えば気胸および肺塞栓症等に関連する適用を含む、多くの使用の分野において意味を有する。
【0087】
本発明の別の利点は、複雑な較正アルゴリズムが不要な、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するためのシステムおよび関連する方法の提供である。これも同様に、特定の病状、例えばCOPD等に関連する適用を含む多くの使用の分野において重要な意味を有する。
【0088】
以下、本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連する方法のいくつかの実施形態について詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載されたシステムおよび関連する方法に限定されないことが理解される。実際、当業者は理解するであろうが、記載されたシステムおよび方法に類似または相当するシステムおよび関連する方法も、本発明の範囲内において採用可能である。
【0089】
また、本明細書において、生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法は、ヒトの体における生理学的パラメータおよび特性のモニタリングとの関連で記載されるが、本発明は決してそうした使用に限定されない。本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法はまた、人間以外の体における生理学的パラメータをモニターするためにも採用できる。本発明の生理学的モニタリングシステムおよび関連した方法はまた、液体および/または気体を含有させるために使用される伸張性の嚢における容積および/または容積の変化の決定等、医療以外の状況においても採用可能である。
【0090】
まず図1には、本発明による生理学的モニタリングシステムの1つの実施形態の略図が示される。図1に示されるように、生理学的モニタリングシステム10は、好ましくは、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40、データ送信サブシステム50、データモニタリングサブシステム60、および電源70、例えば電池等、を含む。
【0091】
データ収集サブシステム
本発明の一つの実施形態によれば、データ収集サブシステム20は、制御データ処理サブシステム40、および、いくつかの実施形態においてはデータモニタリングサブシステム60と連携して、少なくとも1つの呼吸特性、より好ましくは複数の呼吸特性を決定するために採用できる解剖学的パラメータを収集するための手段を含む。解剖学的パラメータは、胸郭および腹部の前後径の変化(または変位)並びに胸壁の軸方向変位を含み得る。上述のパラメータを収集するための手段は、例えばセンサである。センサは、対の電磁コイルまたは磁力計を含み得る。
【0092】
本発明は、磁力計および磁力計システムの観点から本明細書に記載されるが、システム内の2つ以上のセンサ間の距離の変化を測定可能なその他の種類のセンサシステムを、磁力計の代わりに、または磁力計に加えて使用できることが理解される。具体的には、本発明は、胸郭および腹部の前後径の変化並びに胸壁の軸方向変位を測定するための電磁コイルまたは磁力計の使用に限定されない。上述の解剖学的パラメータを測定するように容易に適合され得る様々な更なる手段および装置が、本発明の範囲内において採用可能である。このような手段および装置には、ホール効果センサおよび電子コンパスセンサが含まれるが、これらに限定されない。本発明に従い、あるセンサから別のセンサに送られたシグナルにおける時間遅延を測定することによりその2つのセンサ間の距離を決定することが可能な無線センサを、磁力計の代わりに、または磁力計に加えて提供可能である。
【0093】
本発明によれば、上述の被験者のパラメータ(または変位)を測定するために、少なくとも2つの磁力計を採用できる。本発明のいくつかの実施形態においては、二対の磁力計が採用される。いくつかの実施形態においては、2対より多い複数対の磁力計が採用される。
【0094】
図2には、胸郭、腹部および胸壁の変位を検出および測定するための二対の電磁コイルの配置の1つの実施形態が示される。図2に示されるように、電磁コイルは、第1送信および受信コイル(22aおよび22b)並びに第2送信および受信コイル(24aおよび24b)を含む。図2において、文字「T」は送信コイルを指し、文字「R」は受信コイルを指すが、コイルはこのような指定に限定されない。本発明の実施形態の電磁コイルについては、「受信」または「送信」と記載されるが、各受信コイルはそれぞれ、代わりに送信コイルであってよく、また、各送信コイルはそれぞれ、代わりに送信コイルであってよい。コイルはまた、受信および送信の両方の機能を果たしてもよい。
【0095】
上述の配置および関連する実施形態(以下に記載)の詳細は、2008年9月5日出願の同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692、2009年9月1日出願の同時係属出願である米国特許出願番号61/275,576、およびこれと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,576に記載され、上述のように、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0096】
上述の出願に記載されるように、本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも受信コイル24bは、送信コイル22aおよび24aそれぞれからのコイルの送信を受信するように適合される(すなわち、少なくとも受信コイル24bは二重機能コイルであってよく、ここで、「二重機能コイル」とは、複数の異なる送信コイルからの送信を受信可能なコイルのことを言う)。いくつかの実施形態において、受信コイル22bおよび24bの各々は、送信コイル22aおよび24aの各々からの送信を受信するように適合される。
【0097】
次に図3〜図5には、本発明の1つの実施形態による、被験者または患者100上のコイル22a、22b、24aおよび24bの位置が示されている。図3〜図5に示されるように、第1送信コイル22aは、好ましくは被験者100のへそに近接した被験者の前面101上に配置され、第1受信コイル22bは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。第2受信コイル24bは、好ましくは胸骨の基部に近接した被験者100の前面101上に配置され、第2送信コイル24aは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。
【0098】
同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号に記載されるように、送信コイル22aおよび24aと、受信コイル22bおよび24bの位置は、逆であってもよい(すなわち、送信コイル22aおよび受信コイル24bは、被験者100の背面102上に配置されてよく、送信コイル24aおよび受信コイル22bは、被験者100の前面101上に配置されてよい。また、送信コイル22aおよび24aの両方が被験者100の前面101または背面102上に配置され、受信コイル22bおよび24bが反対側に配置されてもよい。
【0099】
図3に戻ると、矢印23は、胸壁、またはこの場合には、モニターされる剣状骨とへその間の距離(Xi)を示す。矢印25は、モニターされる胸郭の距離を示し、矢印29は、モニターされる腹部の距離を示す。
【0100】
本発明の1つの実施形態によれば、コイル24bが二重機能コイルである場合、被験者または患者100が呼吸をすると、胸郭および腹部の変位(すなわち、コイル22aと22bおよび24aと24bの各対の間の距離の変化であり、それぞれ矢印29および矢印25で示される)が、対のコイル22aと22bおよび24aと24bの間の測定された電圧の変化から決定される。矢印23で示される胸壁の軸方向変位(例えば、剣状骨とへその間の距離(Xi))も、送信コイル22aと受信コイル24bとの間の測定された電圧の変化から決定される。
【0101】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態において、2対より多い複数対の電磁コイルが採用され得る。2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,575号、およびこれと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,582号は、各々が、その全体を引用することにより本明細書の一部をなすが、それらに記載されるように、被験者の解剖学的に適切な位置上に更なる電磁コイルを追加することにより、2対のコイルの実施形態よりも多数の重要な利点が提供される。そうした利点の1つは、胸壁の動き並びにそれと呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、くしゃみをする、笑う、咳をする等との関係についての更なる(および関連する)データおよび/または情報の提供である。
【0102】
更に、コイル(およびその配置)を追加した結果による電磁コイルの送信の複数の単一、交差、および相互の軸は、胸壁の容積の変化の非常に正確な定量化を提供すると共に、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリング、並びに換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動または非同期運動の評価および定量化を容易にする。
【0103】
図6〜図17には、本発明の複数対のコイルの実施形態の詳細が記載されている。しかし、本発明は、本明細書に記載された複数対のコイルの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者は理解するであろうが、この複数対のコイルの実施形態は、任意の数の更なる電磁コイル(例えば3、4、5、6、7、8、9、10個等)を含み得る。例えば、3つの磁力計(例えば電磁コイル)を使用する実施形態においては、該3つの電磁コイルが複数対として機能し得ることが理解される。具体的には、これらのコイルを第1、第2および第3コイルとすると、第1コイルは第2コイルと対を形成することができ、この第1コイルはまた、第3コイルとも対を形成することができる。更に、第2コイルはまた、第3コイルとも対を形成することができる。このように、3つの電磁コイルを利用した磁力計システムは、1対、2対または3対を形成するように構成され得る。第1、第2および第3コイルの各々は、シグナルを送信、シグナルを受信、またはシグナルを送信および受信するように構成され得る。磁力計は、複数の他の磁力計と接続してもよく、従って、特定の磁力計が、複数対のうちの一部を形成し得る。追加コイルの位置およびその機能はまた、本発明の範囲内において、容易に修正し、および/または特定の適用向けに適合させることができる。
【0104】
まず図6〜図8には、本発明の複数対のコイルに関する1つの実施形態が示される。図7に示されるように、この実施形態も同様に、電磁コイル22a、22b、24aおよび24bを含む。本発明によれば、コイル22a、22b、24aおよび24bに関連する上述の2対のコイルの実施形態のいずれもが、本発明の複数対のコイルの実施形態と共に採用され得る。
【0105】
また、図6および図7に示されるように、複数対のコイルの実施形態は、更に少なくとも2対の電磁コイル:第3送信コイル32a、第3受信コイル32b、第4送信コイル34a、および第4受信コイル34bを更に含み得る。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態において、2つの更なる受信コイル32bおよび34bのうちの少なくとも1つは、二重機能コイルであり、従って、送信コイル32a、22aおよび34aの各々からの送信を受信するように適合される。いくつかの実施形態において、受信コイル32bおよび34bの各々は、送信コイル32a、22aおよび34aの各々からの送信を受信するように適合される。
【0107】
図8および図9には、本発明の1つの実施形態による、コイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34aおよび34bの被験者または患者100上の位置が示される。図8および図9に示されるように、第1送信コイル22aは、好ましくは、被験者100のへそに近接した被験者100の前面101上に配置され、第1受信コイル22bは、好ましくは同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。第2受信コイル24bは、好ましくは胸骨の基部に近接した被験者100の前面101上に配置され、第2送信コイル24aは、同じ軸位置に近接した、ただし被験者100の背面102上に配置される。
【0108】
第3送信コイル32aは、好ましくは被験者100の前面101上に、第1送信コイル22aの右側に軸方向に間隔を空けて配置される。第4送信コイル34aは、好ましくは被験者100の前面101上に、第1送信コイル22aの左側に軸方向に間隔を空けて配置される。例示された実施形態において、送信コイル32a、22aおよび34aの各々は、好ましくは同じ軸平面に近接して配置される(図6および図7において「AP1」で示される)。
【0109】
第3受信コイル32bは、好ましくは被験者100の前面101上に、第2受信コイル24bの右側に軸方向に間隔を空けて配置される。第4受信コイル34bは、好ましくは被験者100の前面101上に、第2受信コイル24bの左側に軸方向に間隔を空けて配置される。好ましくは、受信コイル32b、24bおよび34bの各々も同様に、同じ軸平面に近接して配置される(図6および図7において「AP2」で示される)。
【0110】
当業者には容易に理解できるであろうが、コイル32a、32b、34aおよび34bの軸方向の間隔は、多くの場合、被験者(例えば大人、女性、男性、若者等)の体のサイズおよび構造に依存する。コイル間の距離はまた、必要な、または所望の測定の精度の度合いによって異なり得る。
【0111】
好ましくは、上述の実施形態において、コイル32a、32b、34a、34bおよびコイル22a、22b、24a、24bの間の軸方向の間隔は、実質的に同一または均一である。
【0112】
先に示したように、本発明の複数対のコイルの実施形態の1つの重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリング、並びに換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にする、複数の単一、交差、および相互のコイル送信軸の提供である。
【0113】
本発明の複数対のコイルの実施形態についての更なる重要な利点は、本発明の複数対のコイルを用いた胸壁の同時モニタリングによって、胸壁のリアルタイムな三次元モデルが作成可能であることである。
【0114】
別の利点は、コイルの場の強度に対する十分に厳しい許容誤差(tolerance)により、容積較正が必要ないであろうことである。よって、測定の精度は、多様なコイルの対の間の幾何学的空間によって決定されることになる。
【0115】
図10〜図12には、本発明の複数対のコイルに関する3つの実施形態によって提供されるコイルの送信軸の略図が示される。まず図10に1つの実施形態が示され、ここで、受信コイル32b、24b、34bおよび22bの各々は、単機能コイルである。受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32を受信するように適合される。受信コイル24bは、送信コイル22aからの送信T22を受信するように適合される。受信コイル34bは、送信コイル34aからの送信T34を受信するように適合される。受信コイル22bは、送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0116】
図12には別の実施形態が示され、ここで、受信コイル24bは二重機能コイルである。受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32を受信するように適合され、受信コイル34bは、送信コイル34aからの送信T34を受信するように適合され、受信コイル22bは、送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。しかし、受信コイル24bは、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0117】
更なる実施形態においては、図11に示されるように、受信コイル32b、24b、34bおよび22bの各々が二重機能コイルである。図11に示されるように、受信コイル32bは、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。受信コイル24b、34bおよび22bもまた、送信コイル32aからの送信T32、送信コイル22aからの送信T22、送信コイル34aからの送信T34、および送信コイル24aからの送信T24を受信するように適合される。
【0118】
上述の複数対のコイルの実施形態は、胸壁の動き、ひいては呼吸活性および呼吸に関連する事象に関連する利用可能なデータおよび情報を有意に強化する。追加のデータおよび情報はまた、換気力学、例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動の評価および定量化を容易にする。
【0119】
また、電磁コイルシステムにおいて一般的に遭遇する磁場の干渉およびアーチファクト(artifacts)の頻度および影響を減少させる、または排除するために、追加のコイルの送信(またはシグナル)を容易に採用可能である。
【0120】
上述のように、本発明の複数対のコイルの実施形態は、更に2対の電磁コイルが被験者の前面上に均一に配置される上述の実施形態に限定されない。次に図13〜図17には、本発明の更なる複数対のコイルの実施形態が示される。
【0121】
まず図13には、複数対のコイルの実施形態が示され、ここで、更なる2対のコイル、32aと32b、および34aと34bは、被験者100の前面101上に不均一に配置される。示されるように、更なるコイルの対は、被験者100の胴体上の任意の適切な(または所望の)位置に配置され得る。
【0122】
また、図14に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル36aと受信コイル36bの対、および送信コイル38aと受信コイル38bの対)も、被験者100の背面102上に配置され得る。コイル36a、36b、38aおよび38bは、図14に示されるように均一に配置されても、あるいは図15に示されるように不均一に配置されてもよい。
【0123】
図16〜図17には、別の複数対のコイルの実施形態が示され、ここで、更なる対のコイルが被験者100の胴体上に配置される。図16に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル33aと受信コイル33bの対、および送信コイル35aと受信コイル35bの対)が、被験者100の前面101上に配置され得る。上述の実施形態において、送信コイル33aは、好ましくは送信コイル32aと22aの上方であってその間に配置され、送信コイル35aは、好ましくは送信コイル22aと34aの上方であってその間に配置される。受信コイル33bは、好ましくは受信コイル32bと24bの上方であってその間に配置され、受信コイル35bは、好ましくは受信コイル24bと34bの上方であってその間に配置される。
【0124】
図16および図17に示されるように、更なる対のコイル(例えば、送信コイル37aと受信コイル37bの対、および送信コイル39aと受信コイル39bの対)もまた、被験者100の両側上に配置され得る。
【0125】
更に、本明細書に開示された送信コイルおよび受信コイルは、必ずしも1対1の対である必要はない。例えば、単一の受信コイルが、複数の送信コイルからの送信を受信するように構成されてもよく、単一の送信コイルが、複数の受信コイルへ送信するように構成されてもよい。
【0126】
先に示されたように、本発明の複数対のコイルの実施形態は、図6〜図17に示された複数対のコイルの実施形態に限定されない。複数対のコイルの実施形態は、任意の数の更なる対の電磁コイルを含み得ることが再度強調される。また、更なるコイルの位置およびそれらの機能もまた、本発明の範囲内において、容易に修正し、および/または特定の適用向けに適合させることができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20は、被験者100の向きおよび/または動き、例えば空間パラメータを直接モニタリングする手段を含み得る。本発明によれば、被験者の向きおよび動きをモニターまたは測定するために、光学エンコーダー、近接およびホール効果スイッチ、レーザー干渉計、加速度計、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)、および/またはその他の空間センサを含む、多様な従来の手段を採用することができる。
【0128】
1つの実施形態において、被験者の向きおよび動きを直接モニタリングする手段は、少なくとも1つの多機能の慣性センサ(例えば3軸の加速度計または3軸のジャイロスコープ)を含む。当技術分野において周知のように、被験者の向きおよび動きは、多機能の加速度計によって送信されるシグナルまたはデータから容易に決定できる。
【0129】
本発明によれば、加速度計は、被験者上の任意の解剖学的に適切な位置に配置できる。本発明の1つの実施形態において、加速度計(図8において「AC1」で示される)は、被験者の胸骨の基部に近接して配置される。
【0130】
制御データ処理サブシステム
本発明によれば、制御データ処理サブシステム40は、本発明の方法を実施するためのプログラム、指示および関連したアルゴリズムを含み得、それらには、データ収集サブシステム20、ひいては、対の電磁コイル(例えばコイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34a、34b)およびその機能;コイル送信の送信と受信(例えば送信T32、T22、T34およびT24);データ送信サブシステム50;およびデータモニタリングサブシステム60を制御するための制御アルゴリズムおよび関連するパラメータが含まれる。以下に詳細を説明する。
【0131】
制御データ処理サブシステム40は、モニターされる被験者100に関連する生理学的情報を決定するために、電磁コイル(例えばコイル22a、22b、24a、24b、32a、32b、34aおよび34b)からのコイル送信またはシグナルを回収および処理するため;更なる空間パラメータおよび生理学的センサによって送信される更なるシグナルを回収、処理および解釈するため(以下に説明);および選択的コイルデータ、生理学的および空間パラメータ、生理学的特性、および被験者の情報をデータモニタリングサブシステム60に送信するために、更にプログラムおよび適合される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信またはシグナル(例えば胸郭、腹部および胸壁の測定された変位)から少なくとも1つの呼吸特性(例えばVT)を決定するための少なくとも1つの「n自由度」モデルまたはアルゴリズムを更に含む。
【0133】
1つの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信(またはシグナル)から少なくとも1つの呼吸特性(好ましくは複数の呼吸特性)を決定するための1つ以上の「3自由度」モデルまたはアルゴリズムを含む。好ましい「3自由度」モデル(またはアルゴリズム)は、同時係属出願である米国特許出願番号12/231,692号に記載されている。
【0134】
いくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、記憶された生理学的基準との比較により生理学的特性およびパラメータを評価するために更にプログラムおよび適合される。制御データ処理サブシステム40はまた、記憶された呼吸および空間基準との比較により呼吸および空間特性およびパラメータを評価するようにプログラムおよび適合され得る。制御データ処理サブシステム40は、相当する特性またはパラメータがある場合に、ステータスシグナルを生成することができる。基準は、例えば、有害な条件(adverse conditions)やフィットネスの目標を示してもよく、ステータスシグナルは、警報や警告を含んでもよい。
【0135】
制御データ処理サブシステム40はまた、好ましくは、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から呼吸特性、パラメータおよびステータスを決定するように設計および適合された好適なアルゴリズムを含む。アルゴリズムはまた、好ましくは、呼吸特性(および/またはパラメータ)の決定の正確性を高めるために、非呼吸運動、例えば胴体をひねる動きに関連する測定された胸壁の変位を割り引くように適合される。
【0136】
制御データ処理サブシステム40は更に、好ましくは、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から被験者の胸壁の三次元モデルを生成するための、好適なプログラム、アルゴリズムおよび指示を含む。
【0137】
本発明によれば、シグナル(胸壁の距離および変位を反映)を処理して胴体の形を示すために、数学的技術分野において公知の様々なプログラムおよび方法(例えば微分幾何学的方法)を採用することができる。実際、二次元表面上で定義される十分な距離(メートル法)を提供することにより、表面の形を三次元空間内に構成できることが知られている。例えば以下の文献を参照されたい:Badler, et al., “Simulating Humans: Computer Graphics, Animation, and Control (ヒトのシミュレーション:コンピュータグラフィック、アニメーションおよびコントロール) ", (New York: Oxford University Press, 1993);およびDeCarlo, et al., "Integrating Anatomy and Physiology for Behavior Modeling (行動のモデリングのための解剖学および生理学の統合)", Medicine Meets Virtual Reality 3 (San Diego, 1995)。
【0138】
好ましくは、本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、測定された複数の相互作用的な胸壁の変位から、追加の、そして場合によっては相互に関連する解剖学的パラメータ、例えば曲げる、ひねる、咳をする等を決定するように更にプログラムおよび適合される。1つの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、コイル送信とそれに関連する胸壁パラメータとの記憶された選択的組合せ、例えば「正常な呼吸と曲げる」、「正常な呼吸とせきをする」等を、測定された胸壁の変位を反映する回収されたコイル送信と比較するようにプログラムおよび適合される。
【0139】
一例として、1つの実施形態において、「正常な呼吸と胴体をひねる」と定義される(またはそれを反映する)第1胸壁パラメータ(CWP1)が、制御データ処理サブシステム40に記憶される。第1胸壁パラメータ(CWP1)に関連するコイル送信およびデータは、受信コイル24bが受信する送信T32、T22、T34およびT24を含み、変位x、yおよびzを示すことができる。
【0140】
被験者100をモニター中、類似のコイル送信が受信コイル24bによって受信される可能性がある。すると、制御データ処理サブシステム40は、検出された(または回収された)送信を、記憶された送信およびそれに関連する胸壁パラメータと比較して、胸壁の動きと、ひいてはそれに基づく呼吸活性(この場合、「正常な呼吸と胴体をひねる」)を(リアルタイムに)決定する。
【0141】
いくつかの実施形態においては、加速度計によって送信されるシグナル(例えば空間パラメータシグナル)が、検出されたコイル送信と共に採用され、モニターされる被験者の胸壁の動きおよび関連する呼吸活性が決定および分類される。上述の実施形態において、各記憶された胸壁パラメータはまた、胸壁パラメータと関連する空間パラメータシグナル(例えば「正常な呼吸と胴体をひねる」)も含む。本発明によれば、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信および空間パラメータシグナルを、記憶された送信および空間パラメータシグナル、並びにそれらと関連する胸壁パラメータと比較して、胸壁の動き、そして、ひいてはそれに基づく呼吸活性を決定するように適合される。
【0142】
いくつかの実施形態において、空間パラメータシグナルは、被験者の空間モデルを生成するために使用される。空間モデルは二次元であっても三次元であってもよく、被験者のリアルタイムの向きおよび動きを反映できる。空間モデルは、被験者または他の者に対してリアルタイムの被験者の向きおよび動きを示すように表示され得る。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルに基づいて胸壁の動きおよび呼吸活性を決定するようにプログラムおよび適合される。上述の実施形態において、データ収集サブシステム20は、音声センサ、例えばマイクロホンも含んでよく、これは、被験者上の解剖学的に適切な位置に、例えば咽喉に近接して配置される。
【0144】
本発明によれば、各記憶された胸壁パラメータは、胸壁パラメータと関連する少なくとも1つの音声パラメータ(例えば、音声シグナルに基づく>N db)も含む(例えば正常な呼吸と咳をする)。適切なスピーチおよび咳パラメータ(および閾値決定)が、2007年9月11日付け米国特許第7,267,652号に記載されており、これは、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0145】
コイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを受信するとすぐに、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを、記憶された送信、空間パラメータシグナルおよび音声パラメータ、並びにそれに関連する胸壁パラメータと比較し、それに基づいた胸壁の動きおよび呼吸活性を決定する(例えば「正常な呼吸と咳をする」)。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態において、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルに基づいてフィットネス活動を決定するようにプログラムおよび適合される。上述の実施形態において、データ収集サブシステム20は、音声センサ、例えばマイクロホンも含んでよく、これは、被験者上の解剖学的に適切な位置に配置される(例えば咽喉に近接して)。
【0147】
コイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを受信するとすぐに、制御データ処理サブシステム40は、回収されたコイル送信、空間パラメータシグナルおよび音声シグナルを、記憶された送信、空間パラメータシグナルおよび音声パラメータ、並びにそれに関連する胸壁パラメータと比較し、被験者のフィットネス活動を決定する(例えば、ランニング、ジョギング、ストレッチ、水泳、腕立て伏せ、腹筋、懸垂、アームカール、バスケットボール、野球、サッカー等)。
【0148】
図1には、本発明による生理学的モニタリングシステムの1つの実施形態の略図が示される。図1に示されるように、生理学的モニタリングシステム10は、好ましくは、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40、データ送信サブシステム50、データモニタリングサブシステム60、および電源70、例えば電池等、を含む。本明細書において、制御データ処理サブシステム40は、「プロセッササブシステム」、「処理サブシステム」および「データ処理サブシステム」とも呼ばれる。用語「制御データ処理サブシステム」、「プロセッササブシステム」、「処理サブシステム」および「データ処理サブシステム」は、本出願において互換的に使用される。
【0149】
データモニタリングサブシステム
本発明の実施形態によれば、データモニタリングサブシステム60は、コイル送信またはシグナル(例えば送信T32、T22、T34およびT24)を受信し、そしていくつかの実施形態においては、選択的にモニターするように、そしてそれに関連するパラメータ(例えば選択的軸に沿った変位)、および/または胸壁パラメータ(例えばCWP1)、および/または呼吸特性(例えばVT)または事象を表示するように設計および適合される。
【0150】
データモニタリングサブシステム60は、更に好ましくは、選択的な被験者のパラメータ、特性、情報および警報または警告を表示するように設計および適合される。データモニタリングサブシステム60はまた、データを表示する、またはデータを聴覚的に送信するようにも適合され得る。聴覚的に示されるデータは、ボイスメッセージ、音楽、または事象を示すその他のノイズであり得る。データモニタリングサブシステム60は、聴覚的データを送信するために、ヘッドフォンやスピーカーがデータモニタリングサブシステムに接続できるように適合され得、それは無線でも有線でもよい。データモニタリングサブシステム60は、データを表示するために、表示部を含む、または表示部がデータモニタリングサブシステムに接続できるように適合され得る。このような表示部は、例えば、液晶ディスプレー装置(LCD)、プラズマディスプレー装置、ブラウン管(CRT)ディスプレー装置、発光ダイオード(LED)ディスプレー装置、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレー装置を含み得る。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態において、データモニタリングサブシステム60はまた、空間パラメータシグナルおよび更なる解剖学的および生理学的センサによって送信されるシグナル(例えば皮膚温またはSpO2を示すシグナル)を受信し、そしていくつかの実施形態においては選択的にモニターするように、そしてそれに関連するパラメータおよび情報を表示するようにも適合される。パラメータはアスリートの身体活動に関連し得る。測定される、および/または計算される身体的または解剖学的パラメータは、例えば、時間、場所、距離、速度、ペース、ストライド数、ストライドの長さ、ストライド速度(stride rate)、および/または高度を含み得る。測定される、および/または計算される生理学的パラメータは、例えば、心拍数、呼吸速度、血中酸素濃度、血流量、水分補給状態、消費カロリー、筋肉疲労および/または体温を含み得る。ある実施形態において、パフォーマンスパラメータは、精神または感情のパラメータ、例えばストレスレベルや意欲の程度をも含み得る。精神および感情のパラメータは、アスリートに質問をすることにより、または走っている間に、例えば胴体の角度や足の当たり方(foot strike)の特性等を測定することにより、直接的または間接的に測定および/または計算され得る。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態において、データモニタリングサブシステム60は、ローカル電子モジュールまたはローカルデータユニット(LDU)を含む。LDUと関連して使用される用語「ローカル」は、LDUが、コイルを含有する着用可能な衣類の上または中など、電磁コイルの近くに配置されることを意味することが意図される(以下に詳しく説明する)。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態において、LDUは、好ましくは、コイル送信(またはシグナル)を受信およびモニターし、コイル送信を前処理し、コイル送信および関連データを記憶し、そして選択的なデータ、パラメータ、生理学的特性および被験者の情報を表示するように適合される。
【0154】
いくつかの実施形態において、LDUはまた、空間パラメータ送信(またはシグナル)および更なる解剖学的および生理学的センサ(採用された場合)によって送信される更なるシグナルを受信およびモニターし、シグナルを前処理し、シグナルおよび関連データを記憶し、そして多様な媒体、例えば個人用デジタル補助装置(PDA)、携帯電話、および/またはコンピュータのモニター等によって、選択的なデータ、生理学的および空間パラメータ、生理学的特性および被験者の情報を表示するように適合される。
【0155】
いくつかの実施形態において、LDUは、遠隔モニターまたはモニタリング設備を含む。これらの実施形態において、LDUは、選択的なコイルおよびセンサデータ、生理学的パラメータおよび特性、空間的パラメータ、並びに被験者の情報を、遠隔モニターまたは設備に送信するように更に適合される。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態において、LDUは、制御データ処理サブシステム40の特徴および機能を含む(例えば一体型制御−処理/モニタリングサブシステム)ので、データ収集サブシステム20を制御するようにも適合される。このように、LDUは、採用される対のコイルを制御し、選択的な生理学的特性およびパラメータを決定し、有害な条件の生理学的特性およびパラメータを評価し、そして有害な特性またはパラメータが存在する場合には警報または警告を生成するように適合される。
【0157】
好適なLDUは、同時係属出願である国際出願番号PCT/US2005/021433(国際公開WO 2006/009830 A2、2006年1月26日公開)に記載されており、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態において、モニタリングサブシステム60は、分離した、遠隔モニターまたはモニタリング設備を含む。本発明の実施形態によれば、遠隔モニターまたは設備は、センサのデータおよび情報、生理学的および空間的パラメータ、生理学的特性並びに被験者の情報を、制御データ処理サブシステム40から受信し、選択的なコイルセンサデータおよび情報、生理学的および空間的パラメータ、生理学的特性並びに被験者の情報を、種々の媒体、例えばPDAやコンピュータのモニター等に表示するように適合される。
【0159】
データ送信サブシステム
本発明の実施形態によれば、制御シグナルをデータ収集サブシステム20、ひいては対のコイルに送信し、コイル送信(またはシグナル)を対のコイルから制御データ処理サブシステム40へ送信するために、種々の通信リンクおよびプロトコルを採用できる。コイル送信(またはシグナル)および関連パラメータ、生理学的特性、空間的パラメータ、並びに被験者の情報を含むデータおよび情報を、制御データ処理サブシステム40からデータモニタリングサブシステム60へ送信するために、種々の通信リンクおよびプロトコルを採用することができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20と制御データ処理サブシステム40との間の通信リンクは、導線または類似の直接的通信手段を含む。いくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20と制御データ処理サブシステム40との間の通信リンクは、制御データ処理サブシステム40とデータモニタリングサブシステム60との間のものと同様、無線リンクである。
【0161】
本発明の実施形態によれば、データ送信サブシステム50は、上述の通信リンク、ひいては、データ収集サブシステム20、制御データ処理サブシステム40およびデータモニタリングサブシステム60による、およびその間の送信をモニターおよび制御するようにプログラムおよび適合される。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態において、データ収集サブシステム20は、モニターされる被験者100に関連する1つ以上の生理学的特性をモニターおよび記録するように適合された少なくとも1つの更なる生理学的センサ(好ましくは複数の更なる生理学的センサ)を含む。生理学的センサは、脳、心臓およびその他の筋肉の電気的活動(例えばEEG、ECG、EMG)、脈拍数、血中酸素飽和度(例えばSpO2)、皮膚温および中核体温をモニターし記録するように適合されたセンサを含み得るが、これらに限定されない。測定および/または計算された生理学的パラメータには、例えば、心拍数、呼吸速度、血中酸素濃度、血流量、水分補給状態、消費カロリー、筋肉疲労および/または体温が含まれ得る。
【0163】
生理学的センサの例は、米国特許第6,551,252号明細書、米国特許第7,267,652号明細書および同時係属出願である、2007年6月18日出願の米国特許出願番号11/764,527号に開示されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0164】
本発明の例示的な実施形態によれば、こうした更なるセンサは、被験者上の多様な解剖学的に適切な位置に配置できる。例としては、第1センサ(例えば脈拍数センサ)は、脈拍数をモニターするように被験者100の心臓に近接して配置することができ、第2センサ(例えばマイクロホン)は、咽喉から出てくる音(例えば、咳を反映する音)をモニターするように被験者100の咽喉に近接して配置することができる。
【0165】
先に示したように、データ収集サブシステム20は、モニターされる被験者によって生成される音をモニターするための1つ以上の音声センサ(例えばマイクロホン等)、並びに、モニターされる被験者およびモニタリングステーションまたは個人による、およびその間の双方向の通信を可能にするスピーカーも含み得る。
【0166】
本発明の実施形態によれば、対のコイル(例えば電磁コイル22a、22b、24a、24bおよび上述の更なるセンサ)は、種々の好適な手段によって被験者上または被験者に近接して配置することができる。このように、いくつかの実施形態において、対のコイルおよび/または更なるセンサは、被験者に直接取り付けることができる。
【0167】
本発明の実施形態によれば、被験者100の体へのコイルおよびセンサの適用は、適切な付着の強度および持続時間を提供する広範囲の接着技術、例えば外科的テープ、生体適合性接着剤等を通じて達成できる。
【0168】
いくつかの実施形態において、対のコイル、更なるセンサ、処理およびモニタリングシステム(もし採用される場合、例えばLDU)は、モニターされる被験者が楽に着用できる着用可能な衣類またはアイテムに埋め込まれるか、またはそれによって保持される。関連する配線、ケーブル、およびその他の電力およびシグナル送信装置および/またはシステムも、着用可能な衣類に埋め込むことができる。
【0169】
本発明の実施形態によれば、着用可能なモニタリング用衣類は、多様な衣類、例えばシャツ、ベストまたはジャケット、ベルト、キャップ、パッチ等のうちの1つ以上であり得る。好適な着用可能なモニタリング用衣類(ベスト)が、同時係属出願である、2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,576号、これと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,576号、同時係属出願である、2009年9月1日出願の米国特許出願番号61/275,633号、および、これと同時出願の、同時係属出願である米国特許出願番号12/869,627号に例示および記載されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0170】
更なる好適な衣類もまた、2007年9月11日付け米国特許第7,267,652号明細書、2003年4月22日付け米国特許第6,551,252号明細書、および2000年4月4日付け米国特許第6,047,203号明細書に開示されており、各々、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0171】
上述の本明細書の一部をなす明細書に記載されるように、対のコイルまたは磁力計、更なるセンサ、処理およびモニタリングシステム、LDU並びにその他の装置は、着用可能なモニタリング用衣類内に配置したり、またはそれに保持させることができ、例えば、開いた、または閉じたポケットに入れたり、あるいは、縫う、接着する、パイルアンドフックシステム(例えばVelcro社製のVELCRO(登録商標)等)等により衣類に取り付けることができる。
【0172】
このように、上述の本発明の方法およびシステムは、従来の生理学的モニタリング方法およびシステムに比べ、多数の重要な利点を提供する。そうした利点の中でも、本方法およびシステムは、以下を提供する:(1)複数の生理学的特性の正確でリアルタイムな決定、 (2)複数の呼吸パラメータおよび呼吸特性の正確な決定、(3)胸壁の動きおよびそれの呼吸活性および呼吸に関連する事象、例えば話す、咳をする等との関係の正確な評価、(4)呼吸事象のリアルタイムな決定および特徴づけ、および(5)被験者の向きおよび動きのリアルタイムな決定および特徴づけ。
【0173】
更に重要な利点は、胸壁の形および歩行する被験者の動きの三次元モデリングを容易にする更なる関連データの提供である。
【0174】
本発明の別の重要な利点は、換気力学(例えば胸壁の区画における同期運動および非同期運動)の評価および定量化、並びに胸壁の「リアルタイムな」三次元モデリングを容易にするシステムおよび関連する方法の提供である。上述のように、これは、特定の病状、例えば喘息およびCOPD等、並びに急性の病状、例えば気胸および肺塞栓症等への適用や使用の分野において重要な意味を有する。
【0175】
本発明の別の利点は、複雑な較正アルゴリズムが不要な、一回換気量(VT)およびその他の呼吸特性を正確に決定するためのシステムおよび関連する方法の提供である。これも同様に、特定の病状、例えばCOPD等に関連する適用や使用の分野において重要な意味を有する。
【0176】
本発明の更に別の利点は、前面から背面にかけた測定のために、磁力計間の離隔や、異なる磁力計のセットにおける垂直方向の離隔を可能にするモニタリングシステムの提供である。これにより、システムが、歩く動きによって起こる動きアーチファクトから所望のシグナルおよび情報を分離することが可能となる。
【0177】
本発明の更なる利点や適用は、以下の出願明細書に開示されたシステムおよび方法を参照すれば明らかである:これと同時出願の米国特許出願番号12/869,578号;同時出願の米国特許出願番号12/869,582号;同時出願の米国特許出願番号12/869,576号;同時出願の米国特許出願番号12/869,592号;同時出願の米国特許出願番号12/869,627号;同時出願の米国特許出願番号12/869,625号;および、同時出願の米国特許出願番号12/869,586号。これら各々が、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0178】
本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲において、当業者は、本発明に種々の変更および改善を加えて、種々の使用法および条件に適合するようにすることができる。よって、これらの変更および改善は、適切かつ公平に、本発明に相当する全範囲内であるように意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムであって:
第1センサおよび第2センサを含むセンササブシステムであって、該第1および第2センサは、その間の距離の変化に反応し、該センササブシステムは、該第1および第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成および送信するように構成された、センササブシステムと;
被験者の生理学的パラメータを示す生理学的シグナルを生成および送信するように構成された生理学的センサと;
該センササブシステムおよび該生理学的センサと接続し、距離シグナルおよび生理学的シグナルを受信するように構成されたプロセッササブシステムであって、該プロセッササブシステムは、生理学的シグナルを処理して被験者の生理学的パラメータを示すシグナルを得るように構成された、プロセッササブシステムと、
を含む、フィットネスモニタリングシステム。
【請求項2】
前記第1センサが被験者の肌に固定されるように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項3】
前記第1センサを生体適合性接着剤によって肌に接着させる、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項4】
前記第2センサが被験者の肌に固定されるように構成された、請求項3に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項5】
前記第1および第2センサが磁力計を含む、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項6】
前記生理学的センサが、脳の電気的活動、心臓の電気的活動、脈拍数、血中酸素飽和度、皮膚温、EMG、ECG、EEG、および中核体温のうちの少なくとも1つをモニターするように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項7】
距離シグナルを受信するように構成されたモニタリングサブシステムを更に含む、フィットネスモニタリングシステムであって、前記プロセッササブシステムは、距離シグナルを処理して呼吸パラメータを示すシグナルを得るように構成され、該モニタリングサブシステムは、呼吸パラメータを示すものを表示するように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項8】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された呼吸基準を含み、該プロセッササブシステムは、呼吸パラメータを該複数の記憶された呼吸基準と比較し、該呼吸パラメータが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項7に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項9】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項10】
前記プロセッササブシステムは、距離シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項11】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された生理学的基準を含み、該プロセッササブシステムは、生理学的パラメータを該複数の記憶された生理学的基準と比較し、該生理学的パラメータが該記憶された生理学的基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項12】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムであって:
第1センサおよび第2センサであって、該第1および第2センサは、その間の距離の変化に反応し、該センササブシステムは、該第1および第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成および送信するように構成された、第1センサおよび第2センサ;および
第3センサであって、該第3センサは被験者の動きを検出するように構成された空間センサであり、該センササブシステムは、被験者の体の一部の動きを示す空間シグナルを生成および送信するように構成された、第3センサ、を含むセンササブシステムと;
該センササブシステムと接続し、距離シグナルおよび空間シグナルを受信するように構成された、プロセッササブシステムと、
を含む、フィットネスモニタリングシステム。
【請求項13】
前記第1および第2センサが磁力計を含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項14】
前記空間センサが、被験者の体の一部の向きを検出するように構成され、前記空間シグナルが、体の一部の向きを示すものを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項15】
前記第1および第2センサが被験者の肌に直接固定されるように構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項16】
前記第1および第2センサが外科的テープによって肌に固定されるように構成された、請求項15に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項17】
前記第1および第2センサが生体適合性接着剤によって肌に固定されるように構成された、請求項15に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項18】
前記センササブシステムが、間の距離の変化に反応する複数のセンサを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項19】
前記センササブシステムは、複数の距離シグナルを生成および送信するように構成され、各距離シグナルは、少なくとも2つの磁力計の間の距離を示す、請求項18に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項20】
前記空間センサは、光学エンコーダー、近接スイッチ、ホール効果スイッチ、レーザー干渉法システム、慣性センサ、および全地球測位システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項21】
モニタリングサブシステムを更に含む、フィットネスモニタリングシステムであって、前記プロセッササブシステムは、距離シグナルを処理して呼吸パラメータを示すシグナルを得るように構成され、該モニタリングサブシステムは、呼吸パラメータを示すものを表示するように構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項22】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された呼吸基準を含み、該プロセッササブシステムは、呼吸パラメータを該複数の記憶された呼吸基準と比較し、距離シグナルが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項21に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項23】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項24】
前記プロセッササブシステムは、距離シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項25】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された空間基準を含み、該プロセッササブシステムは、空間シグナルを該複数の記憶された空間基準と比較し、該空間シグナルが該記憶された空間基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項26】
前記複数の記憶された空間基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項27】
前記プロセッササブシステムは、空間シグナルに基づいて被験者のフィットネス活動を決定し、該フィットネス活動を示すフィットネス活動シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項28】
前記プロセッササブシステムが、空間シグナルに基づいて被験者の向きおよび動きの三次元空間モデルを生成するように更に構成された、請求項14に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項29】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするための方法であって:
第1センサと第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成し、呼吸シグナルをプロセッササブシステムに送信する工程であって、該呼吸シグナルがセンササブシステムによって生成され、該第1および第2センサがその間の距離の変化に反応する、工程;
被験者の体の一部の向きを示す空間シグナルを生成し、該空間シグナルを該プロセッササブシステムに送信する工程;および
該プロセッササブシステムにおいて該呼吸シグナルおよび該空間シグナルを受信する工程;を含む、方法。
【請求項30】
被験者の生理学的パラメータを示す生理学的シグナルを生成し、該生理学的シグナルをプロセッササブシステムに送信する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
呼吸パラメータを示すものを表示する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
呼吸シグナルを処理して被験者の呼吸パラメータを示すシグナルを取得し、該呼吸パラメータを複数の記憶された呼吸基準と比較する工程;および
該呼吸パラメータが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
呼吸シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定する工程;および
該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
体の一部の向きを複数の記憶された空間基準と比較する工程;および
該体の一部の向きが該記憶された空間基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の記憶された空間基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
空間シグナルに基づいて被験者の少なくとも1つのフィットネス活動を決定する工程;および
該空間活動を示す空間活動シグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
空間シグナルに基づいて被験者の向きおよび動きの三次元空間モデルを生成する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
生理学的シグナルを複数の記憶された生理学的基準と比較する工程;および
該生理学的シグナルが該記憶された生理学的基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の記憶された生理学的基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記空間シグナルが被験者の体の一部の動きを更に示す、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムであって:
第1センサおよび第2センサを含むセンササブシステムであって、該第1および第2センサは、その間の距離の変化に反応し、該センササブシステムは、該第1および第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成および送信するように構成された、センササブシステムと;
被験者の生理学的パラメータを示す生理学的シグナルを生成および送信するように構成された生理学的センサと;
該センササブシステムおよび該生理学的センサと接続し、距離シグナルおよび生理学的シグナルを受信するように構成されたプロセッササブシステムであって、該プロセッササブシステムは、生理学的シグナルを処理して被験者の生理学的パラメータを示すシグナルを得るように構成された、プロセッササブシステムと、
を含む、フィットネスモニタリングシステム。
【請求項2】
前記第1センサが被験者の肌に固定されるように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項3】
前記第1センサを生体適合性接着剤によって肌に接着させる、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項4】
前記第2センサが被験者の肌に固定されるように構成された、請求項3に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項5】
前記第1および第2センサが磁力計を含む、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項6】
前記生理学的センサが、脳の電気的活動、心臓の電気的活動、脈拍数、血中酸素飽和度、皮膚温、EMG、ECG、EEG、および中核体温のうちの少なくとも1つをモニターするように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項7】
距離シグナルを受信するように構成されたモニタリングサブシステムを更に含む、フィットネスモニタリングシステムであって、前記プロセッササブシステムは、距離シグナルを処理して呼吸パラメータを示すシグナルを得るように構成され、該モニタリングサブシステムは、呼吸パラメータを示すものを表示するように構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項8】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された呼吸基準を含み、該プロセッササブシステムは、呼吸パラメータを該複数の記憶された呼吸基準と比較し、該呼吸パラメータが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項7に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項9】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項10】
前記プロセッササブシステムは、距離シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項11】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された生理学的基準を含み、該プロセッササブシステムは、生理学的パラメータを該複数の記憶された生理学的基準と比較し、該生理学的パラメータが該記憶された生理学的基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項1に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項12】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするためのフィットネスモニタリングシステムであって:
第1センサおよび第2センサであって、該第1および第2センサは、その間の距離の変化に反応し、該センササブシステムは、該第1および第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成および送信するように構成された、第1センサおよび第2センサ;および
第3センサであって、該第3センサは被験者の動きを検出するように構成された空間センサであり、該センササブシステムは、被験者の体の一部の動きを示す空間シグナルを生成および送信するように構成された、第3センサ、を含むセンササブシステムと;
該センササブシステムと接続し、距離シグナルおよび空間シグナルを受信するように構成された、プロセッササブシステムと、
を含む、フィットネスモニタリングシステム。
【請求項13】
前記第1および第2センサが磁力計を含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項14】
前記空間センサが、被験者の体の一部の向きを検出するように構成され、前記空間シグナルが、体の一部の向きを示すものを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項15】
前記第1および第2センサが被験者の肌に直接固定されるように構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項16】
前記第1および第2センサが外科的テープによって肌に固定されるように構成された、請求項15に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項17】
前記第1および第2センサが生体適合性接着剤によって肌に固定されるように構成された、請求項15に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項18】
前記センササブシステムが、間の距離の変化に反応する複数のセンサを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項19】
前記センササブシステムは、複数の距離シグナルを生成および送信するように構成され、各距離シグナルは、少なくとも2つの磁力計の間の距離を示す、請求項18に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項20】
前記空間センサは、光学エンコーダー、近接スイッチ、ホール効果スイッチ、レーザー干渉法システム、慣性センサ、および全地球測位システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項21】
モニタリングサブシステムを更に含む、フィットネスモニタリングシステムであって、前記プロセッササブシステムは、距離シグナルを処理して呼吸パラメータを示すシグナルを得るように構成され、該モニタリングサブシステムは、呼吸パラメータを示すものを表示するように構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項22】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された呼吸基準を含み、該プロセッササブシステムは、呼吸パラメータを該複数の記憶された呼吸基準と比較し、距離シグナルが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項21に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項23】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項24】
前記プロセッササブシステムは、距離シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定し、該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項25】
前記プロセッササブシステムは、複数の記憶された空間基準を含み、該プロセッササブシステムは、空間シグナルを該複数の記憶された空間基準と比較し、該空間シグナルが該記憶された空間基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項26】
前記複数の記憶された空間基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項27】
前記プロセッササブシステムは、空間シグナルに基づいて被験者のフィットネス活動を決定し、該フィットネス活動を示すフィットネス活動シグナルを生成および送信するように更に構成された、請求項12に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項28】
前記プロセッササブシステムが、空間シグナルに基づいて被験者の向きおよび動きの三次元空間モデルを生成するように更に構成された、請求項14に記載のフィットネスモニタリングシステム。
【請求項29】
身体活動に従事する被験者をモニタリングするための方法であって:
第1センサと第2センサの間の距離を示す距離シグナルを生成し、呼吸シグナルをプロセッササブシステムに送信する工程であって、該呼吸シグナルがセンササブシステムによって生成され、該第1および第2センサがその間の距離の変化に反応する、工程;
被験者の体の一部の向きを示す空間シグナルを生成し、該空間シグナルを該プロセッササブシステムに送信する工程;および
該プロセッササブシステムにおいて該呼吸シグナルおよび該空間シグナルを受信する工程;を含む、方法。
【請求項30】
被験者の生理学的パラメータを示す生理学的シグナルを生成し、該生理学的シグナルをプロセッササブシステムに送信する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
呼吸パラメータを示すものを表示する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
呼吸シグナルを処理して被験者の呼吸パラメータを示すシグナルを取得し、該呼吸パラメータを複数の記憶された呼吸基準と比較する工程;および
該呼吸パラメータが該記憶された呼吸基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記複数の記憶された呼吸基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
呼吸シグナルに基づいて被験者の呼吸活性を決定する工程;および
該呼吸活性を示す呼吸活性シグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
体の一部の向きを複数の記憶された空間基準と比較する工程;および
該体の一部の向きが該記憶された空間基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の記憶された空間基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
空間シグナルに基づいて被験者の少なくとも1つのフィットネス活動を決定する工程;および
該空間活動を示す空間活動シグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
空間シグナルに基づいて被験者の向きおよび動きの三次元空間モデルを生成する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
生理学的シグナルを複数の記憶された生理学的基準と比較する工程;および
該生理学的シグナルが該記憶された生理学的基準のうちの1つに該当するとの決定に応じてステータスシグナルを生成および送信する工程;を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の記憶された生理学的基準が有害なフィットネス状態およびフィットネス目標のうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記空間シグナルが被験者の体の一部の動きを更に示す、請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−120871(P2011−120871A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−196120(P2010−196120)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(510204998)アディダス アーゲー (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196120(P2010−196120)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(510204998)アディダス アーゲー (30)
【Fターム(参考)】
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