被験者検知システム
【課題】被験者の身体の異常を精度良く検知すること。
【解決手段】被験者画像を撮像する撮像部材(CA)と、第1被験者画像と第2被験者画像との差分に基づいて被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段(C12C)と、被験者が不動作の状態であると判別された場合に被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段(C12)と、被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段(C104)と、を備えた被験者検知システム(S)。
【解決手段】被験者画像を撮像する撮像部材(CA)と、第1被験者画像と第2被験者画像との差分に基づいて被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段(C12C)と、被験者が不動作の状態であると判別された場合に被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段(C12)と、被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段(C104)と、を備えた被験者検知システム(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の身体の異常等を検知する被験者検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、わが国では、高齢者人口の増加により、団地等の集合住宅における独居老人の孤独死の発生等が社会問題となっている。しかしながら、独居老人等の要介護者に対する介護支援については、親族、ホームヘルパー、介護ボランティア、介護福祉士等のマンパワーにも限界があり、IT(Information Technology)技術を駆使した介護支援システム等の支援体制の構築が急務となっている。
ここで、介護支援システムの一例として、介護施設や病院等において、要介護者(入居者、入院患者等)の健康状態を遠隔的に監視し、身体の異常を検知した場合に、親族、医師、看護士等に通報する異常通報システムについて、例えば、下記の特許文献1〜4に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2005−278765号公報には、独居老人等の対象者に装着させた身体状態モニタリング装置(1)により、前記対象者の身体状態を24時間連続モニタリングし、異常発生と判定した場合に、前記対象者が携帯するGPS機能付き携帯電話(2)、インターネット(3)、運営者が管理するコンピュータ装置(4)を介して、家族や介護センター等(5)に通報する安全生活支援システムについての技術が記載されている。なお、特許文献1では、前記身体状態モニタリング装置(1)が、マイクロコンピュータ(9)や加速度センサ(6)等によって構成されており、前記マイクロコンピュータ(9)が前記加速度センサ(6)から入力された加速度に基づいて、人体の動き、呼吸、心拍、姿勢、転倒を演算して、これらの正常・異常が判断されている。
【0004】
また、特許文献2としての特開2005−46320号公報には、要介護者(M)に取り付けられた個別センサ(7)からの生体情報に基づく計測値情報(S)が基準値情報(R)を超えた場合に、要介護者(M)に異常事態が発生したことを看護士(P)に通知する技術が記載されている。なお、特許文献2では、前記生体情報として、体温、心拍数、不整脈、呼吸数、血圧等を測定することが記載されている。また、特許文献2には、異常事態が発生した場合に、前記計測値情報(S)と共に監視カメラ(6)からの映像情報(K)も送信して、要介護者(M)の実際の様態を確認する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献3としての特開2008−40761号公報には、サービス利用者(9)に生体データの平常状態・異常状態を検出するセンサ(14)を貼り付けて、前記センサ(14)からの信号を、IPネットワーク(21)を介して、24時間リアルタイムで送信する技術が記載されている。また、特許文献3には、IPネットワーク(21)を介して、前記生体データを取得した情報処理センター(22)が生体情報を作成して蓄積したり、前記生体情報を取得した疾病予兆管理センター(23)が電子カルテを作成したり、前記電子カルテを取得した介護・救急センター(24)が、介護・救急処置を行ったりする技術が記載されている。なお、特許文献3には、前記生体データとして、体温、心拍数、血圧、心音、転倒、体重、血糖値、尿糖値等を測定することが記載されている。また、特許文献3には、介護・救急センター(24)の専門医が、家庭・介護施設内(1)に設置されたユーザ端末(6)のモニタやカメラ(7)等を介して、映像対話による状況確認(問診や安否確認等)を行う技術が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4としての特開2008−4084号公報には、要補助者(12)がベッド(11)に横臥した状態の心拍・呼吸拍を検出する心拍・呼吸拍センサ(2a)からの信号が一定時間途絶えた場合に、前記信号を常時受信する制御装置(3)から、支援機関(6)に警報信号を発する緊急通報システムについての技術が記載されている。なお、特許文献4では、心拍・呼吸拍センサ(2a)として、薄膜状の感圧センサを使用しており、具体的には、フィンランドEMFiT社製の超高感度感圧フィルムセンサを使用することが記載されている。
また、特許文献4には、要補助者(12)がベッド(11)から降りた際の荷重を、ベッド(11)の脇に配置されたマットセンサ(7)で検出することにより、心拍・呼吸拍センサ(2a)からの信号が途絶えた場合に、要補助者(12)がベッド(11)から離れたためであるか、要補助者(12)の心拍・呼吸拍が停止したためであるかを判別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−278765号公報(要約書、「0013」〜「0021」、図1〜図5)
【特許文献2】特開2005−46320号公報(要約書、「0010」〜「0034」、図1〜図4)
【特許文献3】特開2008−40761号公報(要約書、「0024」〜「0026」、「0071」〜「0081」、図1〜図5)
【特許文献4】特開2008−4084号公報(要約書、「0016」〜「0021」、「0032」〜「0034」、図1〜図5)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"フィンランド EMFIT社 高感度感圧センサー"、「online」、2007年、ユーロ・プロテック株式会社、「2009年7月22日検索」、インターネット<URL:http://www.europrotech.com/Euro/trade/t_emfit2.html>
【非特許文献2】若村直弘、他3名、"インテリジェンスルームの構築 -直感的なジェスチャを用いた家電製品の操作-"、「online」、2005年7月、「2009年7月22日検索」、インターネット<URL:http://www.mech.chuo-u.ac.jp/umedalab/publications/pdf/2005/suzuki_2005_miru.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(従来技術の問題点)
前記特許文献1〜4に記載の技術では、要介護者の生体情報をセンサによって測定するため、ノイズ等の測定誤差が発生する可能性がある。この場合、異常状態であるか否かの判別条件によっては、異常状態を誤検知したり、異常状態の検知に失敗、すなわち、検知不能となったりする可能性があった。そして、誤検知等であるかどうかについては、再確認する方法がなく、人手不足の介護士等が駆けつけても無駄足になることがあった。
また、前記特許文献1、4に記載の技術では、心拍・呼吸等の生体情報のみを遠隔的に監視するため、異常状態の通報後に、異常発生時の要介護者の様態を目視等で確認ができないという問題があった。
【0010】
また、前記特許文献1〜3に記載の技術では、要介護者の身体の異常を常時検知するために、生体情報を測定する接触型センサを常に身に付けている必要があり、要介護者に煩わしさを感じさせる可能性があった。また、前記特許文献4に記載の技術では、接触型センサを身に付ける必要はないが、ベッド等の狭い範囲でしか身体状態を測定できないという問題があった。
さらに、前記特許文献2、3に記載の技術では、ネットワークを介して、要介護者を撮像したカメラの映像情報をそのまま送信するため、要介護者のプライバシーが侵害されてしまう可能性があった。
【0011】
本発明は前記事情に鑑み、次の記載内容(O01)〜(O02)を技術的課題とする。
(O01)被験者の身体の異常を精度良く検知すること。
(O02)被験者のプライバシーを確保すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の被験者検知システムは、
被験者の画像としての被験者画像を撮像する撮像部材と、
前記撮像部材によって予め設定された時間間隔で連続して撮像された前記被験者画像を第1被験者画像および第2被験者画像とした場合に、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段と、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段によって前記被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者画像から前記被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段によって前記第1被験者画像および前記第2被験者画像から前記被験者の輪郭を抽出した画像を第1輪郭画像および第2輪郭画像とした場合に、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する前記不動作判別手段と、
前記時間間隔ごとに前記輪郭画像を表示する画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の被験者検知システムにおいて、
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の被験者検知システムにおいて、
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合、且つ、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替える入力がされた場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別する切替判別手段と、
前記切替判別手段によって前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の予め設定された行動範囲内を撮像可能に配置された前記撮像部材、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数が予め設定された不動作用閾値を超えた場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の生体情報を測定する生体情報測定部材と、
前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の心拍と呼吸と体動とに応じた圧力の波形を検知する薄膜状の感圧センサによって構成された前記生体情報測定部材と、
前記感圧センサからの検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの心拍数が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの呼吸数が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの体動数が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外であると判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の予め設定された行動範囲に敷き詰めて配置された前記感圧センサ、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者に発声を促すと共に、前記被験者の発声に伴う音声を抽出する音声抽出部材と、
前記音声抽出部材によって抽出された前記音声が予め設定された音声用正常範囲外である場合、且つ、前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する撮像判別手段と、
前記撮像判別手段によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、前記被験者が不在であると判別する不在判別手段と、
前記不在判別手段によって前記被験者が不在であると判別されたことを通報する不在通報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、被験者画像を画像解析することによって被験者の身体の異常を自動検知することができると共に、被験者の身体の異常を自動検知した後、被験者画像を目視によって確認することもできる。この結果、誤検知や検知不能を低減でき、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、被験者の身体の異常を自動検知する際に被験者画像を表示しない場合には、被験者画像を表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、被験者の輪郭画像を画像解析することによって被験者の不動作を自動検知するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、輪郭以外の画像の誤差に基づく誤検知や検知不能を低減でき、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。また、請求項2に記載の発明によれば、輪郭画像を表示して目視によって確認することもでき、被験者画像をそのまま表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、被験者の身体に異常が発生したことが通報されるまで、輪郭画像を被験者画像に切替表示しないようにすることができ、異常通報前の被験者のプライバシーの侵害を低減できると共に、異常通報後の被験者の様態を確認し易くすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、被験者の身体に異常が発生したことが通報された後、切り替え入力されるまで、輪郭画像を被験者画像に切替表示しないようにすることができ、切り替え入力される前に被験者画像を表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、被験者の行動範囲における被験者画像を常に撮像することができ、接触型センサを常に身に付けていなくても、広い範囲で被験者の身体の異常を検知することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、被験者の不動作を1回で判別する場合に比べ、被験者の身体に異常が発生したことを精度良く検知することができる。
請求項7に記載の発明によれば、被験者の生体情報の異常と不動作との2種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、ダブルチェックを実行でき、ダブルチェックを実行しない場合に比べ、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。
請求項8に記載の発明によれば、被験者の生体情報として心拍・呼吸・体動の3種類を測定することができる。
請求項9に記載の発明によれば、被験者の行動範囲における単位時間あたりの心拍数や呼吸数や体動数を常に測定することができ、接触型センサを常に身に付けていなくても、広い範囲で被験者の身体の異常を検知することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、被験者の音声の異常と生体情報の異常と不動作との3種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、トリプルチェックを実行でき、トリプルチェックを実行しない場合に比べ、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。
請求項11に記載の発明によれば、被験者画像が撮像されていない場合に、被験者の不在を自動的に検知して通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は実施例1の被験者検知システムの全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の被験者検知システムを構成する各装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
【図3】図3は図2の続きのブロック図である。
【図4】図4は実施例1の輪郭画像の一例の説明図であり、図4Aはカメラによって撮像された被験者画像を含む室内画像の説明図であり、図4Bは図4Aの室内画像から抽出した輪郭画像の説明図である。
【図5】図5は実施例1の被験者の心拍・呼吸・体動の波形の説明図であり、図5Aは心拍の波形の一例の説明図、図5Bは呼吸の波形の一例の説明図、図5Cは体動の波形の一例の説明図である。
【図6】図6は実施例1の被験者の音声の一例の説明図であり、図6Aは被験者の正常な音声の一例の説明図であり、図6Bは被験者の異常な音声の一例の説明図である。
【図7】図7は実施例1の被験者検知画像の説明図である。
【図8】図8は実施例1の被験者検知サーバのメイン処理のフローチャートである。
【図9】図9は実施例1の被験者検知サーバの不在検知処理のフローチャートである。
【図10】図10は実施例1の被験者検知サーバの音声異常検知処理のフローチャートである。
【図11】図11は実施例1の被験者検知サーバの生体異常検知処理のフローチャートである。
【図12】図12は実施例1の被験者検知サーバの不動作検知処理のフローチャートである。
【図13】図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の検知結果通報処理のフローチャートである。
【図14】図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の画像表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0029】
図1は実施例1の被験者検知システムの全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の被験者検知システムSは、被験者検知システムS本体としての被験者検知サーバ(被験者検知装置、自宅用サーバ、自宅用コントローラ)SVを有する。実施例1の前記被験者検知サーバSVは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されている。
また、前記被験者検知システムSは、室内の被験者(被検者、人間)の画像としての被験者画像を含む室内画像を撮像するカメラ(撮像部材)CAを有する。実施例1の前記カメラCAは、前記被験者の予め設定された行動範囲としての室内全体を撮像可能に配置されている。
【0030】
また、前記被験者検知システムSは、前記被験者の生体情報の一例としての心拍・呼吸(呼吸拍)・体動(態動)に応じた圧力を検知するフィルム状の感圧センサ(シートセンサ、フィルム状センサ、生体情報測定部材)SN1を有する。実施例1の前記感圧センサSN1は、室内に配置されたベッド(寝台)1のマットレス支持体(ベッド本体)1aと、前記マットレス支持体1aに支持されたマットレス1bとの間に敷かれた寝台用感圧センサSN1aと、室内の床面(床面全域、行動範囲)2と絨毯3との間に敷き詰められた床面用感圧センサSN1bとを有する。
ここで、実施例1では、前記感圧センサSN1として、非特許文献1のEMFIT社製の高感度感圧センサが使用可能である。このため、例えば、前記被験者がベッド1に横たわった際に前記被験者の全身が前記マットレス1bや図示しない布団等を押圧する圧力や、前記被験者が室内を移動する際に被験者の足が前記絨毯3を押圧する圧力から、心拍・呼吸・体動を測定することができる。なお、前記高感度感圧センサに関する技術については、例えば、特許文献4や非特許文献1等に記載されており、従来公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0031】
また、前記被験者検知システムSは、予め設定された音声抽出時期(例えば、午前7時)に、前記被験者に発声を促すための発声要求(例えば、「おはようございます。それでは、『あー』という発声を3秒間お願いします」等の音声)を出力するスピーカSPと、前記発声要求に応じた前記被験者の発声に伴う音声(例えば、3秒間の「あー」という音声)を抽出するマイクMCとを有する。
前記スピーカSPと前記マイクMCとによって実施例1の音声抽出部材(SP+MC)が構成されている。
なお、実施例1の前記カメラCAと前記感圧センサSN1と前記音声抽出部材(SP+MC)とは、接続ケーブルCBを介して、前記被験者検知サーバSVに接続されている。
【0032】
また、前記被験者検知サーバSVは、第1の情報通信回線の一例としてのインターネット(internet)Niを介して、前記被験者検知サーバSVからの情報を受信・記憶可能なクライアントパソコンPC(受信端末、パーソナルコンピュータ、監視センター、被験者情報管理センター)に接続されている。実施例1の前記クライアントパソコンPCは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、コンピュータ本体H1と、ディスプレイH2と、キーボードH3やマウスH4等の入力装置、図示しないHDドライブ(ハードディスクドライブ)等により構成されている。さらに、前記被験者検知サーバSVは、第2の情報通信回線の一例としての移動体通信網Np、または、前記インターネットNiを介して、前記被験者検知サーバSVからの情報を受信可能な移動体の一例としての携帯電話(受信端末、移動端末)MPに接続されている。
【0033】
(実施例1の制御部の説明)
図2は実施例1の被験者検知システムを構成する各装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
図3は図2の続きのブロック図である。
図2、図3において、前記被験者検知サーバSV、前記クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1、前記携帯電話MPの各制御部(コントローラ)は、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な起動処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ、記録媒体)、必要なデータ及びプログラムを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ、記録媒体)、ROM等に記憶された起動プログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有しており、ROM及びRAM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
前記構成の被験者検知サーバSV、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPは、前記ハードディスクやROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0034】
(被験者検知サーバSVの制御部に接続された信号入力要素)
前記被験者検知サーバSVの制御部には、次の信号出力要素CA,SN1,(SP+MC)等の出力信号が入力されている。
CA:カメラ
カメラCAは、撮像した室内画像を出力信号として制御部に入力する。
SN1:感圧センサ
感圧センサSN1は、寝台用感圧センサSN1aまたは床面用感圧センサSN1bを被験者が押圧する圧力に基づく検知信号を出力信号として制御部に入力する。
(SP+MC):音声抽出部材
音声抽出部材(SP+MC)は、スピーカSPが出力した発声要求に応じた被験者の音声をマイクMCで抽出して、前記音声を出力信号として制御部に入力する。
【0035】
(被験者検知サーバSVの制御部の説明)
前記被験者検知サーバSVのハードディスクドライブには、前記被験者検知サーバSVの基本動作を制御する基本ソフト(オペレーティングシステム)OSや、アプリケーションプログラムとしての被験者検知プログラムAP1やその他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
【0036】
(被験者検知プログラムAP1)
前記被験者検知プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
FL0:不在フラグ
不在フラグFL0は、初期値が「0」であり、被験者が在室の場合に「0」となり、被験者が不在の場合に「1」となる。
FL1:音声フラグ
音声フラグFL1は、初期値が「0」であり、被験者が発声した音声が正常な場合に「0」となり、被験者が発声した音声が異常な場合に「1」となる。
FL2:生体フラグ
生体フラグFL2は、初期値が「0」であり、被験者の心拍・呼吸・体動が正常な場合に「0」となり、被験者の心拍・呼吸・体動のいずれか1つでも異常な場合に「1」となる。
FL3:動作フラグ
動作フラグFL3は、初期値が「0」であり、被験者の動作が確認できる場合に「0」となり、被験者の動作が確認できない場合に「1」となる。
【0037】
C1:画像撮像手段
被験者画像撮像手段の一例としての画像撮像手段C1は、予め設定された時間間隔が経過した撮像時期になったか否かを判別する撮像時期判別手段C1Aを有し、カメラCAによって被験者画像を含む室内画像(室内全体のカメラ画像)を撮像する。実施例1の前記画像撮像手段C1は、前記時間間隔ごとの撮像時期に前記室内画像を撮像する。なお、前記画像撮像手段C1では、前記時間間隔として、例えば、通常の映像撮影と同様に、1/30[秒]を設定することが可能である。
C2:画像記憶手段
画像記憶手段C2は、前記画像撮像手段C1によって撮像された前記室内画像を記憶する。
C3:撮像判別手段
撮像判別手段C3は、前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する。実施例1の前記撮像判別手段C3は、前記画像記憶手段C2に記憶された前記室内画像に前記被験者画像が含まれているか否かを判別することにより、前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する。
【0038】
C4:不在判別手段
不在判別手段C4は、前記撮像判別手段C3によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、被験者が不在であると判別し、不在フラグFL0を「1」にセットする。
C5:不在検知情報送信手段
不在検知情報送信手段C5は、前記不在判別手段C4によって被験者が不在であると判別された場合に、後述する不在検知情報受信手段C101に対して、被験者が不在であることを示す不在検知情報を送信する。
【0039】
図4は実施例1の輪郭画像の一例の説明図であり、図4Aはカメラによって撮像された被験者画像を含む室内画像の説明図であり、図4Bは図4Aの室内画像から抽出した輪郭画像の説明図である。
C6:輪郭抽出手段
輪郭抽出手段C6は、図4に示すように、前記被験者画像から被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する。実施例1の前記輪郭抽出手段C6は、フルカラー画像としての室内画像(図4A参照)を、撮像物の輪郭が白色且つ前記輪郭以外が黒色となるモノクロ画像としての輪郭画像(図4B参照)に変換することにより、被験者画像の輪郭画像を抽出する。
【0040】
C7:輪郭記憶手段
輪郭記憶手段C7は、時間間隔で連続して撮像された被験者画像である第1被験者画像および第2被験者画像の各輪郭画像である第1輪郭画像および第2輪郭画像を一時記憶する第1輪郭画像記憶手段C7Aおよび第2輪郭画像記憶手段C7Bを有し、前記輪郭抽出手段C6によって抽出された輪郭画像を記憶する。
実施例1では、前記輪郭抽出手段C6によって輪郭画像が抽出される度に、抽出された輪郭画像が記憶されると共に、最新の輪郭画像が第2輪郭画像として第2輪郭画像記憶手段C7Bに一時記憶され、且つ、最新の輪郭画像の直前の輪郭画像、すなわち、もとの第2輪郭画像が第1輪郭画像として第1輪郭画像記憶手段C7Aに一時記憶される。
【0041】
C8:音声抽出手段
音声抽出手段C8は、音声抽出時期になったか否かを判別する抽出時期判別手段C8Aと、スピーカSPによって発声要求を出力する発声要求出力手段C8Bと、マイクMCによって被験者の音声を抽出したか否かを判別する抽出判別手段C8Cと、前記音声を予め設定された各周波数成分(基本周波数、変調周波数等)に分解する周波数分解手段C8Dと、前記各周波数成分の振幅を演算する振幅演算手段C8Eとを有し、音声抽出部材(SP+MC)によって被験者が発声した音声を抽出する(後述する図6参照)。なお、音声信号から各周波数成分を分解する技術については、例えば、特開2009−003162号公報や特開2005−241997号公報等に記載されており、従来公知であるため、詳細な説明を省略する。
C9:音声情報記憶手段
音声情報記憶手段C9は、前記音声抽出手段C8によって抽出された前記音声についての音声情報を記憶する。実施例1の前記音声情報記憶手段C9では、前記音声情報として、前記音声の波形、前記音声の周波数成分の波形および振幅の各情報を記憶する。
【0042】
図5は実施例1の被験者の心拍・呼吸・体動の波形の説明図であり、図5Aは心拍の波形の一例の説明図、図5Bは呼吸の波形の一例の説明図、図5Cは体動の波形の一例の説明図である。
C10:生体情報測定手段
生体情報測定手段C10は、感圧センサSN1の検知信号から心拍・呼吸・体動の各周波数に分解する周波数分解手段C10Aと、心拍の周波数から被検体の単位時間当りの心拍数[bpm:beats per minute,回/分]を演算する心拍数演算手段C10Bと、呼吸の周波数から被検体の単位時間当りの呼吸数[bpm]を演算する呼吸数演算手段C10Cと、体動の周波数から被検体の単位時間当りの体動数[bpm]を演算する体動数演算手段C10Dとを有し、被験者の生体情報の一例としての心拍・呼吸・体動を測定する(図5参照)。
【0043】
なお、実施例1の前記生体情報測定手段C10では、前記心拍の周波数をfh[Hz]とし、前記呼吸の周波数をfr[Hz]とし、前記体動の周波数をfm[Hz]とし、記心拍数をh[bpm]とし、前記呼吸数をr[bpm]とし、前記体動数をm[bpm]とした場合に、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]は、以下の式(1−1)〜(1−3)により演算される。
h=fh×60 …式(1−1)
r=fr×60 …式(1−2)
m=fm×60 …式(1−3)
C11:生体情報記憶手段
生体情報記憶手段C11は、前記生体情報測定手段C10によって測定された心拍・呼吸・体動についての生体情報を記憶する。実施例1の前記生体情報記憶手段C11では、前記生体情報として、検知信号、心拍・呼吸・体動の各波形、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]の各情報を記憶する。
C12:異常判別手段
異常判別手段C12は、音声異常判別手段C12Aと、生体異常判別手段C12Bと、不動作判別手段C12Cとを有し、被験者の身体に異常が発生したか否かを判別する。実施例1の前記異常判別手段C12は、前記音声異常判別手段C12Aと、前記生体異常判別手段C12Bと、前記不動作判別手段C12Cとによって更新される前記音声フラグFL1と、前記生体フラグFL2と、前記動作フラグFL3とが全て「1」になった場合に、被験者の身体に異常が発生したと判別する。
【0044】
図6は実施例1の被験者の音声の一例の説明図であり、図6Aは被験者の正常な音声の一例の説明図であり、図6Bは被験者の異常な音声の一例の説明図である。
C12A:音声異常判別手段
音声異常判別手段C12Aは、前記音声抽出部材(SP+MC)によって抽出された被験者の音声が予め設定された音声用正常範囲外であるかことを判別することにより、被験者の音声に異常が発生したと判別する。
ここで、例えば、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、偽性球麻痺(脳卒中の後遺症等)等によって引き起こされる運動障害性構音障害や、喉頭癌、声帯癌、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯ポリープ等の声帯病変によって引き起こされる音声言語障害等の、いわゆる、音声障害では、嗄声(hoarseness)を伴うことが知られている。なお、「嗄声」とは、「させい」と読み、声がれ、しわがれ声、かすれ声、がらがら声、濁った声、力んだような不自然な声、弱々しい声等の音声になる声帯の振動が乱れた状態のことをいう。よって、被験者が嗄声になる予兆や前兆、すなわち、被験者の異常な音声(図6B参照)を判別すれば、被験者の身体の異常について簡易且つ予備的な診断をすることが可能である。
【0045】
このため、実施例1の前記音声異常判別手段C12Aでは、前記音声情報記憶手段C9に記憶された被験者の音声の各周波数成分の振幅を演算し、基本周波数や変調周波数等の振幅が、予め測定された被験者の正常な音声(図6A参照)の各周波数成分の振幅に基づいて設定された最小振幅から最大振幅までの音声用正常範囲外である場合に、被験者の音声に異常が発生したと判別し、前記音声フラグFL1を「1」にセットする。よって、図6Bに示すように、被験者の音声の各周波数成分の波形が途切れるような場合には、振幅がゼロとなり、音声正常範囲外と判別されるため、被験者の音声が異常であることを検知することができる。
C12B:生体異常判別手段
生体異常判別手段C12Bは、心拍異常判別手段C12B1と、呼吸異常判別手段C12B2と、体動異常判別手段C12B3とを有し、前記感圧センサSN1によって測定された生体情報の測定値である心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合に、被験者の心拍・呼吸・体動に異常が発生したと判別する。
【0046】
C12B1:心拍異常判別手段
心拍異常判別手段C12B1は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された心拍数h[bpm]が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合に、被検体の心拍が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、前記心拍用正常範囲の最小心拍数が、40[bpm]、最大心拍数が、100[bpm]に予め設定されており、前記心拍用正常範囲は、40〜100[bpm]に設定されている。すなわち、前記心拍数h[bpm]が、40[bpm]より小さい、いわゆる、「徐脈」の場合、または、100[bpm]より大きい、いわゆる、「頻脈」の場合に、被検体の心拍が異常な状態であると判別される。
【0047】
C12B2:呼吸異常判別手段
呼吸異常判別手段C12B2は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された呼吸数r[bpm]が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合に、被検体の呼吸が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、前記呼吸用正常範囲の最小呼吸数が、10[bpm]、最大心拍数が、25[bpm]に予め設定されており、前記呼吸用正常範囲は、10〜25[bpm]に設定されている。すなわち、前記呼吸数r[bpm]が、10[bpm]より小さい、いわゆる、「徐呼吸」の場合、または、25[bpm]より大きい、いわゆる、「頻呼吸」の場合に、被検体の呼吸が異常な状態であると判別される。
【0048】
C12B3:体動異常判別手段
体動異常判別手段C12B3は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された体動数m[bpm]が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、被検体の体動が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、例えば、前記体動用正常範囲の最小体動数を、最小呼吸数としての10[bpm]、最大体動数を、最大心拍数としての100[bpm]に予め設定できる。すなわち、前記体動用正常範囲を、10〜100[bpm]として設定できる。
C12C:不動作判別手段
不動作判別手段C12Cは、輪郭画像一致判別手段C12C1と、一致回数計数手段C12C2とを有し、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、被験者が不動作の状態であるか否かを判別する。実施例1の前記不動作判別手段C12Cは、前記輪郭画像一致判別手段C12C1と、前記一致回数計数手段C12C2とによって、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像とが連続して一致した回数nが予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えたと判別した場合に、被験者が不動作の状態であると判別する。
【0049】
C12C1:輪郭画像一致判別手段
輪郭画像一致判別手段C12C1は、前記第1輪郭画像記憶手段C7Aに一時記憶された前記第1輪郭画像と、前記第2輪郭画像記憶手段C7Bに一時記憶された前記第2輪郭画像とが一致するか否かを判別する。
C12C2:一致回数計数手段
一致回数計数手段C12C2は、前記輪郭画像一致判別手段C12C1によって前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像とが一致した回数nを計数する。すなわち、一致回数計数用のカウンタnの値をカウントする。
C13:異常検知情報送信手段
異常検知情報送信手段C13は、前記異常判別手段C12によって被験者の身体に異常が発生したと判別された場合に、後述する異常検知情報受信手段C103に対して、被験者の異常を検知したことを示す異常検知情報を送信する。
【0050】
C14:被験者情報送信手段
被験者情報送信手段C14は、後述する被験者情報受信手段C105に対して、前記画像記憶手段C2に記憶された前記室内画像と、前記輪郭記憶手段C7に記憶された輪郭画像と、前記音声情報記憶手段C9に記憶された音声情報と、前記生体情報記憶手段C11に記憶された生体情報とを被験者情報として送信する。実施例1の前記被験者情報送信手段C14は、前記不在判別手段C4および前記異常判別手段C12によって被験者の不在も異常も検知していない場合には、前記輪郭画像と前記音声情報と前記生体情報とを被験者情報として送信する。また、前記不在判別手段C4によって被験者が不在が検知された場合には、被験者画像を含まない室内画像のみを被験者情報として送信し、前記異常判別手段C12によって被験者の身体の異常が検知された場合には、全ての情報、すなわち、前記被験者画像を含む前記室内画像と前記輪郭画像と前記音声情報と前記生体情報とを被験者情報として送信する。
【0051】
(クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1および携帯電話MPの各制御部の説明)
また、前記クライアントパソコンPCや前記携帯電話MPのハードディスクドライブについても、基本動作を制御する基本ソフト(オペレーティングシステム)OSや、アプリケーションプログラムとしての検知結果通報プログラムAP2や画像表示プログラムAP3その他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
【0052】
(検知結果通報プログラムAP2)
前記検知結果通報プログラムAP2は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
C101:不在検知情報受信手段
不在検知情報受信手段C101は、前記不在検知情報送信手段C5によって送信された前記不在検知情報を受信する。
C102:不在通報手段
不在通報手段C102は、前記不在検知情報受信手段C101によって前記不在検知情報を受信した場合に、被験者が不在であることを通報する。実施例1の前記不在通報手段C102では、前記不在検知情報を受信する度に、不在通報音を鳴らすことにより、被験者が不在であることを通報する。
【0053】
C103:異常検知情報受信手段
異常検知情報受信手段C103は、前記異常検知情報送信手段C13によって送信された前記異常検知情報を受信する。
C104:異常通報手段
異常通報手段C104は、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合に、被験者の身体に異常が発生したことを通報する。実施例1の前記異常通報手段C104では、前記異常検知情報を1度でも受信した場合に、ユーザからの終了信号が入力されるまで異常通報音を鳴らし続けることにより、被験者の身体に異常が発生したことを通報する。
【0054】
C105:被験者情報受信手段
被験者情報受信手段C105は、前記被験者情報送信手段C14によって送信された前記被験者情報を受信する。
C106:被験者情報記憶手段
被験者情報記憶手段C106は、前記被験者情報受信手段C105によって受信した前記被験者情報を記憶する。
【0055】
(画像表示プログラムAP3)
また、前記画像表示プログラムAP3は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
【0056】
図7は実施例1の被験者検知画像の説明図であり、図7Aは正常時の被験者検知画像の説明図、図7Bは不在検知時の被験者検知画像の説明図、図7Cは異常時に切替ボタンが選択された状態の被験者検知画像の説明図である。
C107:画像表示手段
画像表示手段C107は、切替判別手段C107Aと、画像切替手段C107Bとを有し、図7に示す被験者検知画像101をクライアントパソコンPCのディスプレイH2や携帯電話MPの図示しない表示部に表示する。図7において、実施例1の前記被験者検知画像101は、不在検知情報または異常検知情報を表示する通知表示部101aと、室内画像または輪郭画像を表示する画像表示部101bと、生体情報の心拍・呼吸・体動の各波形や心拍数h[bpm]・呼吸数h[bpm]・体動数m[bpm]等を表示する生体表示部101cと、音声情報の音声の波形や各周波数成分の波形等を表示する音声表示部101dと、画像表示部101bの画像を室内画像と輪郭画像との間で切り替えるための切替ボタン(切替用チェックボックス)101eとを有する。
【0057】
実施例1の前記画像表示手段C107は、不在も異常も検知されていない正常時には、前記被験者情報受信手段C105によって前記被験者情報として受信した前記輪郭画像と前記生体情報と前記音声情報とを各表示部101b〜101dに表示する(図7A参照)。また、前記画像表示手段C107は、前記不在検知情報受信手段C101によって前記不在検知情報を受信した場合、すなわち、不在時には、前記不在検知情報を前記通知表示部101aに表示すると共に、前記被験者情報として受信した前記室内画像(被験者画像を含まない室内画像)のみを画像表示部101bに表示する(図7B参照)。さらに、前記画像表示手段C107は、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合、すなわち、異常時には、前記異常検知情報を前記通知表示部101aに表示すると共に、前記被験者情報として受信した前記輪郭画像と前記生体情報と前記音声情報とを各表示部101b〜101dに表示する(図7C参照)。なお、前記画像表示手段C107は、異常時に前記切替ボタン101eが選択された場合には、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像を室内画像(被験者画像を含む室内画像)に切り替える。
【0058】
C107A:切替判別手段
切替判別手段C107Aは、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合(異常時)に、ユーザ(近隣住民やホームヘルパーや介護ボランティアや介護福祉士等の看視者、監視者、親族、知人、医師、看護士等)の入力によって前記切替ボタン101eが選択されているか否かを判別する。
C107B:画像切替手段
画像切替手段C107Bは、前記切替判別手段C107Aによって前記切替ボタン101eが選択されていると判別された場合に、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像を室内画像に切り替える。
【0059】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1の前記被験者検知サーバSV、前記クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1、前記携帯電話MPの各プログラムAP1〜AP3の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の被験者検知サーバSVのメイン処理のフローチャートの説明)
図8は実施例1の被験者検知サーバのメイン処理のフローチャートである。
図8のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0060】
図8に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図8のST1において、不在フラグFL0が「1」であるか否かを判別することにより、被験者が不在であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST4に移る。
ST2において、不在検知情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST3に移る。
ST3において、被験者画像を含まない室内画像(図7B参照)をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST1に戻る。
ST4において、音声フラグFL1、生体フラグFL2、動作フラグFL3が全て「1」であるか否かを判別することにより、被験者の身体に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST5に移り、イエス(Y)の場合はST6に移る。
【0061】
ST5において、音声情報・生体情報・輪郭画像を含む被験者情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST1に戻る。
ST6において、異常検知情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST7に移る。
ST7において、音声情報・生体情報・輪郭画像・室内画像を含む被験者情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST8に移る。
ST8において、ユーザにより診断・処置等を終了させたことを示す終了信号を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST6に移り、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
【0062】
(実施例1の被験者検知サーバSVの不在検知処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の被験者検知サーバの不在検知処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0063】
図9に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図9のST11において、不在フラグFL0を「0」にセットする。そして、ST12に移る。
ST12において、予め設定された時間間隔(例えば、1/30[秒])ごとの撮像時期になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST13に移り、ノー(N)の場合はST12を繰り返す。
ST13において、カメラCA(図1参照)で室内画像(図4A参照)を撮像して記憶する。そして、ST14に移る。
ST14において、室内画像内に被験者画像が含まれているか否かを判別ことにより、被験者画像が撮像されたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15に移り、イエス(Y)の場合はST16に移る。
ST15において、不在フラグFL0を「1」にセットする。そして、ST12に戻る。
ST16において、撮像された室内画像から輪郭画像(図4B参照)を抽出して記憶する。そして、ST11に戻る。
【0064】
(実施例1の被験者検知サーバSVの音声異常検知処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1の被験者検知サーバの音声異常検知処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0065】
図10に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図10のST21において、音声フラグFL1を「0」にセットする。そして、ST22に移る。
ST22において、予め設定された音声抽出時期(例えば、午前7時)になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST23に移り、ノー(N)の場合はST22を繰り返す。
ST23において、スピーカSP(図1参照)から発声要求を出力する。そして、ST24に移る。
ST24において、マイクMC(図1参照)から被験者の音声が抽出されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST25に移り、ノー(N)の場合はST29に移る。
【0066】
ST25において、抽出した音声を音声情報として記憶する。そして、ST26に移る。
ST26において、抽出した音声を予め設定された各周波数成分に分解する(図6参照)。そして、ST27に移る。
ST27において、分解された各周波数成分の振幅を演算する。そして、ST28に移る。
ST28において、演算された各周波数成分の振幅が予め設定された最小振幅から最大振幅までの音声用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の音声に異常が発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST29に移り、ノー(N)の場合はST21に戻る。
ST29において、音声フラグFL1を「1」にセットする。そして、ST22に戻る。
【0067】
(実施例1の被験者検知サーバSVの生体異常検知処理のフローチャートの説明)
図11は実施例1の被験者検知サーバの生体異常検知処理のフローチャートである。
図11のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0068】
図11に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図11のST31において、生体フラグFL1を「0」にセットする。そして、ST32に移る。
ST32において、感圧センサSN1からの検知信号を記憶する。そして、ST33に移る。
【0069】
ST33において、検知信号の波形を心拍・呼吸・体動の各波形に周波数分解して記憶する(図5参照)。そして、ST34に移る。
ST34において、式(1−1)〜(1−3)により、心拍・呼吸・体動の各波形の周波数fh,fr,fmから単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]を演算して記憶する。そして、ST35に移る。
ST35において、演算された心拍数h[bpm]が、最小心拍数(40[bpm])から最大心拍数(100[bpm])までの心拍用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の心拍に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST36に移り、イエス(Y)の場合はST38に移る。
【0070】
ST36において、演算された呼吸数r[bpm]が、最小呼吸数(10[bpm])から最大呼吸数(25[bpm])までの呼吸用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の呼吸に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST37に移り、イエス(Y)の場合はST38に移る。
ST37において、演算された体動数m[bpm]が、最小体動数(例えば、10[bpm])から最大体動数(例えば、100[bpm])までの体動用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の体動に異常が発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST38に移り、ノー(N)の場合はST31に戻る。
ST38において、生体フラグFL1を「1」にセットする。そして、ST32に戻る。
【0071】
(実施例1の被験者検知サーバSVの不動作検知処理のフローチャートの説明)
図12は実施例1の被験者検知サーバの不動作検知処理のフローチャートである。
図12のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0072】
図12に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図12のST41において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST42に移る。
(1)動作フラグFL3を「0」にセットする。
(2)一致回数計数用のカウンタnに0をセットする(n=0)。
【0073】
ST42において、第1輪郭画像および第2輪郭画像を一時記憶する。すなわち、第2輪郭画像を最新の輪郭画像として一時記憶すると共に、第1輪郭画像を最新の輪郭画像の直前の輪郭画像(もとの第2輪郭画像)として一時記憶する。そして、ST43に移る。
ST43において、一時記憶された第1輪郭画像と第2輪郭画像とが一致するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST44に移り、ノー(N)の場合はST41に戻る。
ST44において、カウンタnに+1を加算する(n=n+1)。そして、ST45に移る。
ST45において、カウンタnの値が予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えたか否かを判別する(n>Nmax)。すなわち、被験者が不動作の状態であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST46に移り、ノー(N)の場合はST42に戻る。
ST46において、動作フラグFL3を「1」にセットする。そして、ST42に戻る。
【0074】
(実施例1のクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの検知結果通報処理のフローチャートの説明)
図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の検知結果通報処理のフローチャートである。
図13のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記各制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記各制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0075】
図13に示すフローチャートは、前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話が起動して検知結果通報プログラムAP2が強制起動された場合に開始される。
図13のST101において、被験者検知サーバSVからの被験者情報を受信して記憶する。そして、ST102に移る。
ST102において、被験者検知サーバSVから不在検知情報を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST103に移り、ノー(N)の場合はST104に移る。
ST103において、不在通報音を鳴らすことにより、ユーザに被験者が不在であることを通報する。そして、ST101に戻る。
ST104において、被験者検知サーバSVからの異常検知情報を受信済であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST105に移り、ノー(N)の場合はST101に戻る。
ST105において、異常通報音を鳴らすことにより、ユーザに被験者の身体に異常が発声したことを通報する。そして、ST106に移る。
ST106において、ユーザにより診断・処置等を終了させたことを示す終了信号を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST105に戻り、イエス(Y)の場合はST101に戻る。
【0076】
(実施例1のクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの画像表示処理のフローチャートの説明)
図14は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の画像表示処理のフローチャートである。
図14のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記各制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記各制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0077】
図14に示すフローチャートは、前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話が起動した後、ユーザの入力により、画像表示プログラムAP3が起動された場合に開始される。
図14のST201において、被験者検知画像101(図7参照)を表示する。そして、ST202に移る。
ST202において、被験者検知サーバSVから不在検知情報を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST203に移り、ノー(N)の場合はST204に移る。
ST203において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST209に移る。
(1)不在検知情報を通知表示部101aに表示する(図7B参照)。
(2)被験者画像を含まない室内画像を画像表示部101bに表示する(図7B参照)。
【0078】
ST204において、被験者検知サーバSVからの異常検知情報を受信済であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST205に移り、ノー(N)の場合はST208に移る。
ST205において、異常検知情報を通知表示部101aに表示する(図7C参照)。そして、ST206に移る。
ST206において、切替ボタン101が選択されているか否かを判別する(図7C参照)。イエス(Y)の場合はST207に移り、ノー(N)の場合はST208に移る。
ST207において、被験者画像を含む室内画像・生体情報・音声情報をそれぞれ各表示部101b〜101dに表示する(図7C参照)。そして、ST209に移る。
ST208において、輪郭画像・生体情報・音声情報をそれぞれ各表示部101b〜101dに表示する(図7A参照)。そして、ST209に移る。
ST209において、ユーザからの画像による確認を終了させることを示す終了信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST210に移り、ノー(N)の場合はST202に戻る。
ST210において、被験者検知画像101を非表示にする。そして、画像表示処理を終了する。
【0079】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記音声異常検知処理(図10のST21〜ST29参照)において、音声抽出部材(SP+MC)が音声を抽出できなかった場合や抽出された前記音声の各周波数成分の振幅が正常範囲外である場合に、被験者の音声の異常が検知される。また、前記生体異常検知処理(図11のST31〜ST38参照)において、感圧センサSN1の検知信号に基づく被験者の心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれかが正常範囲外である場合に、被験者の生体情報の異常が検知される。さらに、前記不動作検知処理(図12のST41〜ST46参照)において、前記カメラCAによって撮像された被験者画像を含む室内画像(図4A参照)の輪郭画像(図4B参照)が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知される。
【0080】
そして、被験者の音声の異常が検知され、且つ、被験者の生体情報の異常が検知され、且つ、被験者の不動作が検知された場合に、被験者の身体に異常が発生したことが検知され(図8のST4参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の身体の異常が通報される(図8のST6、図13のST104〜ST106、図14のST204〜ST209参照)。
すなわち、実施例1の前記被験者検知システムSでは、3種類のセンサ(SP+MC),SN1,CAで被験者の異常を検知した場合に、被験者の異常状態を検知する、いわゆる、トリプルチェックが実行される。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、1種類のセンサで異常状態を検知する場合に比べ、異常状態の誤検知や検知不能を低減でき、異常状態を精度良く検知することができる。
【0081】
特に、実施例1の前記不動作検知処理では、カメラCAの映像に変化がないことによって被験者の異常を検知するため、各センサ(SP+MC),SN1の検知信号の測定値に基づいて被験者の異常を検知する前記音声異常検知処理や前記生体異常検知処理等に比べ、ノイズ等の誤差の発生を低減でき、誤検知や検知不能を低減できる。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、前記不動作検知処理を実行しない場合に比べ、異常状態を精度良く検知することができる。また、カメラCAの映像の変化から被験者の不動作を検知する機能については、介護士等の視認による見守りと同等の機能であるため、介護士等の視認による見守りの負担を低減することもできる。
【0082】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者検知サーバSVによって輪郭画像や室内画像がクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPにリアルタイムで送信される(図8のST4、ST5、ST7参照)。そして、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPでは、ユーザの入力によって前記画像表示処理(図14のST201〜ST210)を実行することにより、被験者検知画像101の画像表示部101bに受信した前記各画像を表示することができる(図7A、図7C、図13のST101、図14のST204〜ST208参照)。
したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者の異常発生前後の様態を前記各画像によって実際に視認することができる。
【0083】
なお、受信した各画像を含む被験者情報については、被験者検知サーバSV、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに記憶される。このため、実施例1の前記被験者検知システムSでは、異常発生後に記憶された被験者情報を再確認することができる(図9のST12、ST16、図10のST24〜ST27、図11のST32〜ST34、図13のST101参照)。
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、記憶された被験者情報(各画像・生体情報・音声情報)を、被験者の生体用正常範囲や音声用正常範囲の再設定や、医師等による遠隔地からの被験者の予防診断や、被験者のカルテ(医療情報、診療情報、診療録)の作成や、国や地方自治体等による被験者の介護レベル認定や、複数の被験者の統計データの作成等に利用できる。
【0084】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記カメラCAによって、被験者の行動範囲としての室内全域が室内画像として撮像されていると共に、被験者の行動範囲には寝台用感圧センサSN1aおよび床面用感圧センサSN1bとが敷き詰められている。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、接触型センサを常に身に付けていなくても、被験者の行動範囲における異常状態を常に検知することができる。この結果、非接触型センサとしての前記カメラCAによって広範囲で異常状態を検知でき、接触型センサを身に付ける被験者の煩わしさを取り除くことができる。
【0085】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、カメラCAにより撮像されたフルカラー画像としての室内画像を、撮像物の輪郭が白色且つ前記輪郭以外が黒色となるモノクロ画像としての輪郭画像に変換し(図4、図9のST12、ST13、ST16参照)、前記輪郭画像が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知される(図12のST41〜ST46参照)。
ここで、フルカラー画像の室内画像の変化によって被験者の不動作を検知する場合には、例えば、窓から差し込む太陽光の変化に伴う室内の明るさの変化を室内画像の変化として検知して、被験者の不動作を検知できない可能性があった(図4A参照)。
しかしながら、実施例1では、前記輪郭画像における白色の輪郭の差分のみで被験者の不動作を検知する(図4B参照)。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、前記室内画像等のカラー画像の変化で被験者の不動作を検知する場合に比べ、輪郭以外の画像の誤差に基づく誤検知や検知不能を低減でき、被験者の不動作を精度良く検知することができる。
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者検知サーバSVにおいて、室内画像や輪郭画像を表示せずに被験者の不動作を自動検知するため、各画像を表示して被験者の不動作を視認によって検知する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0086】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記被験者検知サーバSVにより、正常時に前記輪郭画像が送信され(図8のST5参照)、異常時にのみ前記輪郭画像と共に被験者画像を含む室内画像が送信される(図8のST7参照)。また、実施例1の前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話MPでは、前記画像表示処理を実行した場合に、正常時には受信した前記輪郭画像が表示され(図7A参照)、異常時にのみ前記室内画像が切替表示可能になっている(図7C参照)。
すなわち、実施例1の前記被験者検知システムSでは、ネットワークNi,Npを介して、被験者を撮像したカメラCAの映像がそのまま送信されて表示される機会が異常発生時のみに限定されている。したがって、実施例1の前記被験者検知システムSは、被験者を撮像したカメラの映像が常にそのまま送信される場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0087】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、異常時に、前記被験者検知画像101の切替ボタン101eが選択された場合のみ、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像が、被験者画像を含む室内画像に切り替えられる。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、被験者を撮像したカメラCAの映像がそのまま表示される機会をさらに切替ボタン101e選択時に限定でき、異常時に輪郭画像から室内画像に自動的に切り替わる場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害をさらに低減することができる。
【0088】
また、前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記不在検知処理(図9のST11〜ST16参照)において、室内画像内に被験者画像が含まれていない場合に、被験者が不在であることが検知され(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の不在が通報される(図8のST2、図13のST102、ST103、図14のST202、ST203参照)。
したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、カメラCAの映像に基づいて被験者の不在を自動検知することができる。また、カメラCAの映像の変化から被験者の不在を自動検知する機能については、被験者の不動作を自動検知する機能と同様に、介護士等の視認による見守りと同等の機能であるため、介護士等の視認による見守りの負担を低減することができる。
【0089】
また、前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記携帯電話MPは、インターネットNiまたは移動体通信網Npを介して、前記被験者検知サーバSVにより送信された各情報(被験者情報、不在検知情報、異常検知情報)を受信できる。すなわち、実施例1の前記携帯電話MPは、前記各情報を受信するための情報通信回線が二重化されている。したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、情報通信回線が二重化されていない場合に比べ、携帯電話MPのユーザに対して、被験者の身体の異常や、被験者の不在が通知される信頼性(伝送信頼性)を向上させることができる。
【0090】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H024)を下記に例示する。
(H01)前記実施例では、前記カメラCA(図1参照)を、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等の通常のビデオカメラ(監視カメラ)を使用しているが、これに限定されず、例えば、赤外線カメラ(暗視装置)やサーモグラフィ(サーモグラフィ装置、熱映像装置)等の特殊なカメラを使用することも可能である。なお、赤外線カメラを使用した場合には、例えば、薄い布などを透過して被検体の身体を撮像したり、室内が暗い場合でも撮像したりすることが可能となり、被検体の不動作を検知する精度を向上させることが可能となる。また、サーモグラフィを使用した場合には、例えば、被験者の不動作の検知と同時に被験者の体温を測定することも可能となる。また、前記カメラCAは、いわゆる、単方向の固定式監視カメラ等に限定されず、例えば、パン(横方向の首振り)・チルト(縦方向の首振り)・ズームを自在に操作可能な、いわゆる、パンチルトズームカメラ(PTZカメラ)等の全方位式監視カメラを使用することも可能である。なお、パンチルトズームカメラを使用した場合には、例えば、室内画像内の被験者画像を認識させて、室内の被験者を追跡して撮像することも可能となる。また、前記カメラCAは、室内の天井等に固定支持されている場合に限定されず、例えば、天井に配置されたスライダ等によってスライド移動可能に支持することも可能である。この場合、例えば、室内画像内の被験者,画像を認識させて、室内の被験者を追跡(追尾)して撮像することも可能となり、パンチルトズームカメラを使用した場合と同様の作用効果が期待できる。
【0091】
(H02)前記実施例では、前記カメラCAを1台配置して、被験者の予め設定された行動範囲内である室内全体を撮像したが(図1参照)、これに限定されず、前記カメラCAを2台以上配置することも可能である。例えば、前記ベッド1が配置された寝室以外にも、トイレ・風呂場・リビング・キッチン・ベランダ・廊下等の複数の部屋が被験者の行動範囲内となる場合に、各部屋にそれぞれカメラCAを1台配置して、被験者画像が撮像された部屋において、被験者の不動作を検知することも可能である。また、例えば、1つの部屋に2台以上のカメラCAを配置して、異なる角度から被験者の不動作を検知したり、室内全体をステレオ視して、被験者の不動作の検知と同時に被験者の3次元位置を識別したりすることも可能である。なお、複数台のカメラで室内をステレオ視することにより、ユーザの3次元位置を識別する技術については、例えば、非特許文献2等に記載されており、公知である。
【0092】
(H03)前記実施例1の前記不動作検知処理(図12のST41〜ST46参照)のように、前記カメラCAによって撮像された被験者画像を含む室内画像(図4A参照)の輪郭画像(図4B参照)が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知されることが好ましいが、これに限定されず、室内画像自体の差分に基づいて被験者の不動作を検知することも可能である。例えば、室内画像内の被験者画像が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作を検知することも可能である。
(H04)前記実施例では、前記不動作検知処理において、一致回数計数用のカウンタnの値が予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えた場合に、被験者が不動作の状態であると判別しているが(図12のST45参照)、これに限定されず、例えば、室内画像を撮像する時間間隔を10[秒]と比較的長めに設定し、1回でも第1輪郭画像と第2輪郭画像とが一致した場合には、被験者が不動作の状態であると判別することにより、カウンタnによる一致回数のカウント処理を省略することも可能である。
【0093】
(H05)前記実施例では、前記不動作検知処理において、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、完全一致した場合に、被験者が不動作であると判別するが(図12のST43参照)、これに限定されず、例えば、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、98[%]以上一致する場合に、被験者が不動作であると判別することも可能である。すなわち、第1輪郭画像と第2輪郭画像との差分が全くない場合に限定されず、若干の差分がある場合にも、被験者が不動作であるとみなすことが可能である。逆に、例えば、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、2[%]以下しか一致しない場合に、被験者の身体に異常が発生したと判別することも可能である。すなわち、第1輪郭画像と第2輪郭画像との差分が大きい場合には、被験者が苦しくて暴れていたり、強盗に襲われていたりする可能性があると判断して、被験者の身体に異常が発生したと判別ことも可能である。
【0094】
(H06)前記実施例のように、前記被験者検知サーバSVが、異常時にのみ前記輪郭画像と共に被験者画像を含む室内画像を送信して(図8のST7参照)、極力、前記室内画像が送信されたり表示されたりする機会を少なくすることが好ましいが、これに限定されず、例えば、正常時にも前記輪郭画像と共に前記室内画像を送信して、クライアントパソコンPCや携帯電話MPの制御によって、異常時のみ前記輪郭画像と前記室内画像との切替表示可能にすることも可能である。また、例えば、正常時にも前記輪郭画像と前記室内画像とを送信して、クライアントパソコンPCや携帯電話MPの制御によって、正常時にも前記輪郭画像と前記室内画像との切替表示可能にすることも可能である。
(H07)前記実施例のように、クライアントパソコンPCや携帯電話MPのユーザの入力により、異常時に前記切替ボタン101eが選択された場合のみ、前記画像表示部101bに表示された前記輪郭画像が前記室内画像に切り替えられることが好ましいが(図7A、図7C、図14のST204〜ST208参照)、これに限定されず、例えば、前記切替ボタン101eを省略して、異常時に前記輪郭画像から前記室内画像に自動的に切り替わる構成とすることも可能である。
【0095】
(H08)前記実施例では、被験者の予め設定された行動範囲内である室内全体のベッド1や床面2に寝台用感圧センサSN1aや床面用感圧センサSN1bを敷き詰めているが(図1参照の破線参照)、感圧センサSN1を配置する場所についてはこれに限定されず、例えば、車椅子の座席に配置ことも可能である。また、例えば、前記実施例1のように前記ベッド1が配置された寝室以外にも、トイレ・風呂場・リビング・キッチン・ベランダ・廊下等の複数の部屋が被験者の行動範囲内となる場合に、各部屋の室内全域に感圧センサSN1を配置して、被験者の行動範囲内の心拍・呼吸・体動を検知することも可能である。なお、前記感圧センサSN1は、60[℃]程度の耐熱性を備えていることが実験等により確認されており、風呂場においても被験者の心拍・呼吸・体動を検知することが可能である。
【0096】
(H09)前記実施例では、寝台用感圧センサSN1aと床面用感圧センサSN1bとによって、被験者の心拍・呼吸・体動のみを測定したが(図1、図5等参照)、これに限定されず、例えば、寝台用感圧センサSN1aが被験者の検知信号を出力している場合に、被験者がベッド1に横たわっていることを判別したり、床面用感圧センサSN1bが被験者の検知信号を出力している場合に、被験者が床面2を移動していることを判別したりすることも可能である。すなわち、1つの部屋内に感圧センサSN1を複数配置した場合には、どの感圧センサSN1が被験者の検知信号を出力しているかを判別することにより、被験者の位置や行動を判別することができる。また、例えば、寝室・トイレ・風呂場・リビング・キッチン等の複数の部屋ごとに感圧センサSN1を複数配置した場合には、どの部屋の感圧センサSN1が被験者の検知信号を出力しているかを判別することにより、被験者がどの部屋にいるかを判別することができる。すなわち、複数の感圧センサSN1をブロック分け(区画分け)して配置した場合には、被験者がどのブロック(区画)にいるかを判別したり、そのブロックで被験者が何をしているかを推察したりすることが可能である。
【0097】
(H010)前記実施例では、感圧センサSN1の検知信号から測定された被験者の単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれかが各正常範囲外となった場合に、被験者の生体情報の異常が検知されていたが、これに限定されず、例えば、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれか2つ以上が各正常範囲外となった場合や、3つ全てが正常範囲外となった場合に、被験者の生体情報の異常を検知することも可能である。また、例えば、感圧センサSN1の検知信号から心拍数h[bpm]のみを測定して、心拍用正常範囲(40〜100[bpm])外の場合に、被験者の生体情報の異常を検知することも可能である。
【0098】
(H011)前記実施例では、感圧センサSN1により、被験者の単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]を測定したが、心拍・呼吸等の生体情報を検知する生体情報検知部材はこれに限定されず、例えば、特許文献1〜3と同様の接触型センサを生体情報検知部材とすることも可能である。この場合、例えば、体温計や血圧計によって接触型センサを構成し、体温計や血圧計によって測定された被験者の体温[℃]や血圧[mmHg]を生体情報として正常範囲外にあるか否かを判別することも可能である。また、例えば、ベッド1に荷重センサを配置して、荷重センサによって測定された被験者の体重[kg]を生体情報として正常範囲外にあるか否かを判別することも可能である。感圧センサとその他のセンサ(接触型センサや荷重センサ等)とを組み合わせて使用することにより、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]以外の生体情報(体温[℃]や血圧[mmHg]や体重[kg]等)についても正常範囲外にあるか否かを判別する構成とすることも可能である。
【0099】
(H012)前記実施例では、被験者の音声の異常を簡易に検知するために、被験者の音声の各周波数成分の振幅が正常範囲外であるか否かを判別したが、音声の異常の検知方法についてはこれに限定されず、例えば、声紋分析により、被験者が発生した音声と、予め測定された被験者の正常な音声とを厳密に声紋照合して、被験者の音声の異常(嗄声等)を精度良く検知することも可能である。なお、声紋分析についての技術は、例えば、特開2008−252849号公報や特開2003−219038号公報等に記載されており、公知である。
(H013)前記実施例の音声用正常範囲や、生体用正常範囲としての心拍用正常範囲(40〜100[bpm])・呼吸用正常範囲(10〜25[bpm])・体動用正常範囲(10〜100[bpm])等の各設定値については、被験者の音声や生体情報としての心拍・呼吸・体動に応じて任意の値に変更可能である。また、前記不動作用閾値NmaxについてもカメラCAが室内画像を撮像する時間間隔に応じて任意に設定可能である。
【0100】
(H014)前記実施例のように、被験者の身体の異常を精度良く検知するために、被験者の音声の異常と生体情報の異常と不動作との3種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知するトリプルチェックを実行することが好ましいが、これに限定されず、例えば、被験者の音声の異常と不動作との2種類、または、被験者の生体情報の異常と不動作との2種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、ダブルチェックを実行することも可能である。また、例えば、被験者の身体の異常を精度良く検知可能な前記不動作検知処理のみを実行して、被験者の不動作の検知結果のみから被験者の身体の異常を検知することも可能である。
【0101】
(H015)前記実施例では、異常検知情報や不在検知情報を、被験者検知サーバSVから、ネットワークNi,Npを介して、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信して、通報音を鳴らしたり(図13のST103、ST105参照)、被験者検知画像101の通知表示部101aに表示したりして(図14のST203、ST205参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに通報したが、各検知結果の通報の方法についてはこれに限定されず、例えば、被験者の異常を検知した場合に、防犯センサを介して警備会社等に通報したり、防犯ベルを鳴らしたり、火災報知器(火災報知機、自動火災報知設備、住宅用火災警報器)を介して消防署等に通報したり、火災報知用ベルを鳴らしたり、警察や病院等に自動通報したり、室内のスピーカSPや屋外に配置したその他のスピーカから警報音や警報メッセージを出力したりすることも可能である。
(H016)前記実施例では、ユーザが携帯して移動可能な移動体の一例として、携帯電話MP(図1参照)を使用したが、移動体については携帯電話MPに限定されず、例えば、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)等のその他の携帯型の計算機を使用することも可能である。
【0102】
(H017)前記実施例では、情報通信回線として、インターネットNiと移動体通信網(基地局等を介した携帯電話網)Npとを利用したが(図1参照)、これに限定されず、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、アドホックネットワーク(自律分散型無線通信網、自律分散型無線ネットワーク、自立分散型無線ネットワーク)等のその他の有線・無線通信技術により構成することも可能である。ここで、アドホックネットワークとは、インターネットにおけるルータ等や、携帯電話における基地局等の既存の通信基盤を介さず、移動体どうしで自律して形成されるネットワークであって、時間や場所等に応じて分散して一時的に形成されるネットワークであり、緊急災害時の救助活動、自動車どうしの通信である車車間通信、家電機器等が有するセンサ間のネットワーク(センサネットワーク)等のサービスへの利用が期待されている。よって、本発明においてアドホックネットワークを利用した場合には、例えば、アドホックネットワークを介して被験者検知サーバSVに接続された全ての移動体(例えば、近隣を通りかかった人の携帯電話MP等)に、異常検知情報を一斉に送信して、各移動体のユーザに救援を求めることも可能である。
【0103】
(H018)前記実施例の前記携帯電話MPは、伝送信頼性を向上させるために、インターネットNiおよび移動体通信網Npによって、情報通信回線が二重化されているが(図1参照)、これに限定されず、例えば、インターネットNiによる情報通信を省略することも可能である。また、例えば、インターネットNiと移動体通信網Npとその他の情報通信回線(例えば、Bluetoothやアドホックネットワーク等)によって、情報通信回線を三重化以上にして、伝送信頼性をさらに向上させることも可能である。
(H019)前記実施例では、前記スピーカSPが発声要求を出力するためにのみ使用されているが(図10のST23参照)、前記スピーカSPの利用方法についてはこれに限定されず、例えば、被験者に飲食を促す飲食要求や、薬の服用を促す服用要求や、昼寝・睡眠を促す睡眠要求等を定期的に出力する、いわゆる、「お知らせ機能」に利用することも可能である。
【0104】
(H020)前記実施例では、前記不在検知処理(図9のST11〜ST16参照)において、カメラCAによって撮像された室内画像内に被験者画像が含まれていない場合に、被験者が不在であることが検知されているが(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、被験者の不在検知方法についてはこれに限定されず、例えば、感圧センサSN1により生体情報(心拍・呼吸・体動)が測定されない場合や、音声抽出部材(SP+MC)により被験者の音声が抽出されない場合に、被験者の不在を検知することも可能である。また、例えば、被験者の異常を検知する処理と同様に、各センサCA,SN1,(SP+MC)によるダブルチェックやトリプルチェックを実行することも可能である。
【0105】
(H021)前記実施例では、被験者の不在が検知された場合に(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の不在が通報されているが(図8のST2、図13のST102、ST103、図14のST202、ST203参照)、被験者の不在検知の利用方法については不在通報に限定されず、例えば、被験者の不在を検知した場合に、被験者検知サーバSVを介して、エアコン・テレビ・照明等の家電機器の電源を強制的に切断したり、外出先の被験者が携帯電話で家電機器の遠隔操作をできるようにしたりすることも可能である。すなわち、被験者の不在検知を家電機器の消し忘れ防止等に活用でき、家電機器の電力利用の省力化、いわゆる、省エネに貢献できる。また、例えば、被験者の不在を検知した場合に、被験者検知サーバSVを介して、電子錠(電子ロック、デジタルロック)を閉錠したり、インターホンやドアホンの呼び出しボタンを押下した訪問者(訪問客、宅配業者、セールス、不審者等)と外出先の被験者とが携帯電話で通話やテレビ電話による対話ができるようにしたりすることも可能である。すなわち、被験者の不在検知を外出時の防犯対策等に活用できる。なお、不在時に家電機器の電源をオフにする技術については、例えば、特開2003−106624号公報や特開2009−117129号公報等に記載されており、不在時に電子錠を閉錠する技術については、例えば、特開2002−266536号公報等に記載されており、不在時にインターホンと携帯電話とによって通話する技術については、例えば、特開2002−374359号公報や特開2002−300295号公報等に記載されており、公知である。
【0106】
(H022)前記実施例では、クライアントパソコンPCや携帯電話MPを、被験者情報の記憶(被験者情報の履歴の蓄積)、異常通報、不在通報、被験者検知画像による視認による確認に使用したが、例えば、被験者検知サーバSVとインターホン(ドアホン)とを接続して、訪問者によってインターホンの呼び出しボタンが押下された場合に、各受信端末PC,MPとインターホンとによって通話やテレビ電話できるようにすることも可能である。この場合、各受信端末PC,MPのユーザ(近隣住民やホームヘルパーや介護ボランティアや介護福祉士等の看視者、監視者、親族等)が、被験者を代理して、不審者やセールス等の訪問者に応対することも可能であり、留守であると判断した泥棒に侵入されたり、高齢者等の被験者が不当に高額な商品を押し売りされたりする等の犯罪の防止に活用できる。
【0107】
(H023)前記実施例では、各センサCA,SN1,(SP+MC)からの出力信号により、被験者の異常を検知したり、被験者の不在を検知したりしたが、例えば、各センサCA,SN1,(SP+MC)からの出力信号により、室内の被験者以外の人物やペット等を検知することも可能である。この場合、例えば、室内に居る人数やペットの頭数に応じて、エアコンの室内温度を自動設定することも可能である。また、例えば、被験者の不在時に被験者以外の人物を検知した場合には、不審者・不法侵入者等であると判別して、防犯センサを介して警備会社等に通報したり、防犯ベルを鳴らしたり、警察や病院等に自動通報したりすることも可能である。
【0108】
(H024)前記実施例では、室内の1人の被験者を対象として、各センサCA,SN1,(SP+MC)による異常検知や不在検知を実行したが、被験者の人数は1人に限定されず、室内の複数人の被験者(例えば、病院の4人部屋の4名の入院患者)を対象として、各センサCA,SN1,(SP+MC)による異常検知や不在検知を実行することも可能である。なお、この場合、各センサCA,SN1,(SP+MC)については、被験者の人数に応じた数を配置しなくても、各センサCA,SN1,(SP+MC)を大部屋に1台づつ配置して、各被験者の異常検知・不在検知を別々に検知することも可能である。すなわち、カメラCAの室内画像から各被験者の被験者画像・輪郭画像を別々に識別したり、感圧センサの検知信号から各被験者の生体情報を分離して測定したり、音声抽出部材が抽出した音声から各被験者の音声情報を分離して抽出したりすることにより、各被験者の異常検知・不在検知を別々に検知することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の前記被験者検知システムSは、例えば、団地等の集合住宅における独居老人等の被験者の安否確認、在宅看護、遠隔診断、カルテ作成、介護レベル認定、統計データ作成等を簡易に実施したり、被験者の身体の異常を検知した場合に、地方自治体や地域包括支援センターや総合病院等の管理センター(クライアントパソコンPC)に通報して医師や看護士等(受信端末PC,MPのユーザ)による迅速な救命処置を実施したり、救急車よりも迅速に駆けつけられる親族(別居近親者)や近隣住人や介護士や電気・ガスメータの検針員や新聞配達員等(受信端末PC,MPのユーザ)に通報して応急処置を実施したりする場合等に有用である。また、例えば、前記集合住宅の近隣大学と提供し、空き室を学生宿舎として低家賃で提供して、学生を見守り要因や介護ボランティア等(受信端末PC,MPのユーザ)として呼び込むことにより、学生の金銭面の負担の軽減や、介護士等のマンパワーの軽減や、地域コミュニティの活性化、例えば、若者との触れ合いを通じて高齢者の生きがいの創出、高齢者から若者への文化の継承、集合住宅の限界集落化の防止等に貢献することも期待できる。
【符号の説明】
【0110】
C3…撮像判別手段、
C4…不在判別手段、
C10…輪郭抽出手段、
C12…異常判別手段、
C12C…不動作判別手段、
C102…不在通報手段、
C104…異常通報手段、
C107…画像表示手段、
C107A…切替判別手段、
CA…撮像部材、
h…被験者の単位時間あたりの心拍数、
m…被験者の単位時間あたりの体動数、
n…被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数、
Nmax…不動作用閾値、
r…被験者の単位時間あたりの呼吸数、
S…被験者検知システム、
SN1…生体情報測定部材、感圧センサ、
(SP+MC)…音声抽出部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の身体の異常等を検知する被験者検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、わが国では、高齢者人口の増加により、団地等の集合住宅における独居老人の孤独死の発生等が社会問題となっている。しかしながら、独居老人等の要介護者に対する介護支援については、親族、ホームヘルパー、介護ボランティア、介護福祉士等のマンパワーにも限界があり、IT(Information Technology)技術を駆使した介護支援システム等の支援体制の構築が急務となっている。
ここで、介護支援システムの一例として、介護施設や病院等において、要介護者(入居者、入院患者等)の健康状態を遠隔的に監視し、身体の異常を検知した場合に、親族、医師、看護士等に通報する異常通報システムについて、例えば、下記の特許文献1〜4に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2005−278765号公報には、独居老人等の対象者に装着させた身体状態モニタリング装置(1)により、前記対象者の身体状態を24時間連続モニタリングし、異常発生と判定した場合に、前記対象者が携帯するGPS機能付き携帯電話(2)、インターネット(3)、運営者が管理するコンピュータ装置(4)を介して、家族や介護センター等(5)に通報する安全生活支援システムについての技術が記載されている。なお、特許文献1では、前記身体状態モニタリング装置(1)が、マイクロコンピュータ(9)や加速度センサ(6)等によって構成されており、前記マイクロコンピュータ(9)が前記加速度センサ(6)から入力された加速度に基づいて、人体の動き、呼吸、心拍、姿勢、転倒を演算して、これらの正常・異常が判断されている。
【0004】
また、特許文献2としての特開2005−46320号公報には、要介護者(M)に取り付けられた個別センサ(7)からの生体情報に基づく計測値情報(S)が基準値情報(R)を超えた場合に、要介護者(M)に異常事態が発生したことを看護士(P)に通知する技術が記載されている。なお、特許文献2では、前記生体情報として、体温、心拍数、不整脈、呼吸数、血圧等を測定することが記載されている。また、特許文献2には、異常事態が発生した場合に、前記計測値情報(S)と共に監視カメラ(6)からの映像情報(K)も送信して、要介護者(M)の実際の様態を確認する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献3としての特開2008−40761号公報には、サービス利用者(9)に生体データの平常状態・異常状態を検出するセンサ(14)を貼り付けて、前記センサ(14)からの信号を、IPネットワーク(21)を介して、24時間リアルタイムで送信する技術が記載されている。また、特許文献3には、IPネットワーク(21)を介して、前記生体データを取得した情報処理センター(22)が生体情報を作成して蓄積したり、前記生体情報を取得した疾病予兆管理センター(23)が電子カルテを作成したり、前記電子カルテを取得した介護・救急センター(24)が、介護・救急処置を行ったりする技術が記載されている。なお、特許文献3には、前記生体データとして、体温、心拍数、血圧、心音、転倒、体重、血糖値、尿糖値等を測定することが記載されている。また、特許文献3には、介護・救急センター(24)の専門医が、家庭・介護施設内(1)に設置されたユーザ端末(6)のモニタやカメラ(7)等を介して、映像対話による状況確認(問診や安否確認等)を行う技術が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4としての特開2008−4084号公報には、要補助者(12)がベッド(11)に横臥した状態の心拍・呼吸拍を検出する心拍・呼吸拍センサ(2a)からの信号が一定時間途絶えた場合に、前記信号を常時受信する制御装置(3)から、支援機関(6)に警報信号を発する緊急通報システムについての技術が記載されている。なお、特許文献4では、心拍・呼吸拍センサ(2a)として、薄膜状の感圧センサを使用しており、具体的には、フィンランドEMFiT社製の超高感度感圧フィルムセンサを使用することが記載されている。
また、特許文献4には、要補助者(12)がベッド(11)から降りた際の荷重を、ベッド(11)の脇に配置されたマットセンサ(7)で検出することにより、心拍・呼吸拍センサ(2a)からの信号が途絶えた場合に、要補助者(12)がベッド(11)から離れたためであるか、要補助者(12)の心拍・呼吸拍が停止したためであるかを判別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−278765号公報(要約書、「0013」〜「0021」、図1〜図5)
【特許文献2】特開2005−46320号公報(要約書、「0010」〜「0034」、図1〜図4)
【特許文献3】特開2008−40761号公報(要約書、「0024」〜「0026」、「0071」〜「0081」、図1〜図5)
【特許文献4】特開2008−4084号公報(要約書、「0016」〜「0021」、「0032」〜「0034」、図1〜図5)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"フィンランド EMFIT社 高感度感圧センサー"、「online」、2007年、ユーロ・プロテック株式会社、「2009年7月22日検索」、インターネット<URL:http://www.europrotech.com/Euro/trade/t_emfit2.html>
【非特許文献2】若村直弘、他3名、"インテリジェンスルームの構築 -直感的なジェスチャを用いた家電製品の操作-"、「online」、2005年7月、「2009年7月22日検索」、インターネット<URL:http://www.mech.chuo-u.ac.jp/umedalab/publications/pdf/2005/suzuki_2005_miru.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(従来技術の問題点)
前記特許文献1〜4に記載の技術では、要介護者の生体情報をセンサによって測定するため、ノイズ等の測定誤差が発生する可能性がある。この場合、異常状態であるか否かの判別条件によっては、異常状態を誤検知したり、異常状態の検知に失敗、すなわち、検知不能となったりする可能性があった。そして、誤検知等であるかどうかについては、再確認する方法がなく、人手不足の介護士等が駆けつけても無駄足になることがあった。
また、前記特許文献1、4に記載の技術では、心拍・呼吸等の生体情報のみを遠隔的に監視するため、異常状態の通報後に、異常発生時の要介護者の様態を目視等で確認ができないという問題があった。
【0010】
また、前記特許文献1〜3に記載の技術では、要介護者の身体の異常を常時検知するために、生体情報を測定する接触型センサを常に身に付けている必要があり、要介護者に煩わしさを感じさせる可能性があった。また、前記特許文献4に記載の技術では、接触型センサを身に付ける必要はないが、ベッド等の狭い範囲でしか身体状態を測定できないという問題があった。
さらに、前記特許文献2、3に記載の技術では、ネットワークを介して、要介護者を撮像したカメラの映像情報をそのまま送信するため、要介護者のプライバシーが侵害されてしまう可能性があった。
【0011】
本発明は前記事情に鑑み、次の記載内容(O01)〜(O02)を技術的課題とする。
(O01)被験者の身体の異常を精度良く検知すること。
(O02)被験者のプライバシーを確保すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の被験者検知システムは、
被験者の画像としての被験者画像を撮像する撮像部材と、
前記撮像部材によって予め設定された時間間隔で連続して撮像された前記被験者画像を第1被験者画像および第2被験者画像とした場合に、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段と、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段によって前記被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者画像から前記被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段によって前記第1被験者画像および前記第2被験者画像から前記被験者の輪郭を抽出した画像を第1輪郭画像および第2輪郭画像とした場合に、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する前記不動作判別手段と、
前記時間間隔ごとに前記輪郭画像を表示する画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の被験者検知システムにおいて、
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の被験者検知システムにおいて、
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合、且つ、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替える入力がされた場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別する切替判別手段と、
前記切替判別手段によって前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の予め設定された行動範囲内を撮像可能に配置された前記撮像部材、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数が予め設定された不動作用閾値を超えた場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の生体情報を測定する生体情報測定部材と、
前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の心拍と呼吸と体動とに応じた圧力の波形を検知する薄膜状の感圧センサによって構成された前記生体情報測定部材と、
前記感圧センサからの検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの心拍数が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの呼吸数が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの体動数が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外であると判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者の予め設定された行動範囲に敷き詰めて配置された前記感圧センサ、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者に発声を促すと共に、前記被験者の発声に伴う音声を抽出する音声抽出部材と、
前記音声抽出部材によって抽出された前記音声が予め設定された音声用正常範囲外である場合、且つ、前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の被験者検知システムにおいて、
前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する撮像判別手段と、
前記撮像判別手段によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、前記被験者が不在であると判別する不在判別手段と、
前記不在判別手段によって前記被験者が不在であると判別されたことを通報する不在通報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、被験者画像を画像解析することによって被験者の身体の異常を自動検知することができると共に、被験者の身体の異常を自動検知した後、被験者画像を目視によって確認することもできる。この結果、誤検知や検知不能を低減でき、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、被験者の身体の異常を自動検知する際に被験者画像を表示しない場合には、被験者画像を表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、被験者の輪郭画像を画像解析することによって被験者の不動作を自動検知するため、本発明の構成を有しない場合に比べ、輪郭以外の画像の誤差に基づく誤検知や検知不能を低減でき、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。また、請求項2に記載の発明によれば、輪郭画像を表示して目視によって確認することもでき、被験者画像をそのまま表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、被験者の身体に異常が発生したことが通報されるまで、輪郭画像を被験者画像に切替表示しないようにすることができ、異常通報前の被験者のプライバシーの侵害を低減できると共に、異常通報後の被験者の様態を確認し易くすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、被験者の身体に異常が発生したことが通報された後、切り替え入力されるまで、輪郭画像を被験者画像に切替表示しないようにすることができ、切り替え入力される前に被験者画像を表示する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、被験者の行動範囲における被験者画像を常に撮像することができ、接触型センサを常に身に付けていなくても、広い範囲で被験者の身体の異常を検知することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、被験者の不動作を1回で判別する場合に比べ、被験者の身体に異常が発生したことを精度良く検知することができる。
請求項7に記載の発明によれば、被験者の生体情報の異常と不動作との2種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、ダブルチェックを実行でき、ダブルチェックを実行しない場合に比べ、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。
請求項8に記載の発明によれば、被験者の生体情報として心拍・呼吸・体動の3種類を測定することができる。
請求項9に記載の発明によれば、被験者の行動範囲における単位時間あたりの心拍数や呼吸数や体動数を常に測定することができ、接触型センサを常に身に付けていなくても、広い範囲で被験者の身体の異常を検知することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、被験者の音声の異常と生体情報の異常と不動作との3種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、トリプルチェックを実行でき、トリプルチェックを実行しない場合に比べ、被験者の身体の異常を精度良く検知することができる。
請求項11に記載の発明によれば、被験者画像が撮像されていない場合に、被験者の不在を自動的に検知して通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は実施例1の被験者検知システムの全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の被験者検知システムを構成する各装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
【図3】図3は図2の続きのブロック図である。
【図4】図4は実施例1の輪郭画像の一例の説明図であり、図4Aはカメラによって撮像された被験者画像を含む室内画像の説明図であり、図4Bは図4Aの室内画像から抽出した輪郭画像の説明図である。
【図5】図5は実施例1の被験者の心拍・呼吸・体動の波形の説明図であり、図5Aは心拍の波形の一例の説明図、図5Bは呼吸の波形の一例の説明図、図5Cは体動の波形の一例の説明図である。
【図6】図6は実施例1の被験者の音声の一例の説明図であり、図6Aは被験者の正常な音声の一例の説明図であり、図6Bは被験者の異常な音声の一例の説明図である。
【図7】図7は実施例1の被験者検知画像の説明図である。
【図8】図8は実施例1の被験者検知サーバのメイン処理のフローチャートである。
【図9】図9は実施例1の被験者検知サーバの不在検知処理のフローチャートである。
【図10】図10は実施例1の被験者検知サーバの音声異常検知処理のフローチャートである。
【図11】図11は実施例1の被験者検知サーバの生体異常検知処理のフローチャートである。
【図12】図12は実施例1の被験者検知サーバの不動作検知処理のフローチャートである。
【図13】図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の検知結果通報処理のフローチャートである。
【図14】図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の画像表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0029】
図1は実施例1の被験者検知システムの全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の被験者検知システムSは、被験者検知システムS本体としての被験者検知サーバ(被験者検知装置、自宅用サーバ、自宅用コントローラ)SVを有する。実施例1の前記被験者検知サーバSVは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されている。
また、前記被験者検知システムSは、室内の被験者(被検者、人間)の画像としての被験者画像を含む室内画像を撮像するカメラ(撮像部材)CAを有する。実施例1の前記カメラCAは、前記被験者の予め設定された行動範囲としての室内全体を撮像可能に配置されている。
【0030】
また、前記被験者検知システムSは、前記被験者の生体情報の一例としての心拍・呼吸(呼吸拍)・体動(態動)に応じた圧力を検知するフィルム状の感圧センサ(シートセンサ、フィルム状センサ、生体情報測定部材)SN1を有する。実施例1の前記感圧センサSN1は、室内に配置されたベッド(寝台)1のマットレス支持体(ベッド本体)1aと、前記マットレス支持体1aに支持されたマットレス1bとの間に敷かれた寝台用感圧センサSN1aと、室内の床面(床面全域、行動範囲)2と絨毯3との間に敷き詰められた床面用感圧センサSN1bとを有する。
ここで、実施例1では、前記感圧センサSN1として、非特許文献1のEMFIT社製の高感度感圧センサが使用可能である。このため、例えば、前記被験者がベッド1に横たわった際に前記被験者の全身が前記マットレス1bや図示しない布団等を押圧する圧力や、前記被験者が室内を移動する際に被験者の足が前記絨毯3を押圧する圧力から、心拍・呼吸・体動を測定することができる。なお、前記高感度感圧センサに関する技術については、例えば、特許文献4や非特許文献1等に記載されており、従来公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0031】
また、前記被験者検知システムSは、予め設定された音声抽出時期(例えば、午前7時)に、前記被験者に発声を促すための発声要求(例えば、「おはようございます。それでは、『あー』という発声を3秒間お願いします」等の音声)を出力するスピーカSPと、前記発声要求に応じた前記被験者の発声に伴う音声(例えば、3秒間の「あー」という音声)を抽出するマイクMCとを有する。
前記スピーカSPと前記マイクMCとによって実施例1の音声抽出部材(SP+MC)が構成されている。
なお、実施例1の前記カメラCAと前記感圧センサSN1と前記音声抽出部材(SP+MC)とは、接続ケーブルCBを介して、前記被験者検知サーバSVに接続されている。
【0032】
また、前記被験者検知サーバSVは、第1の情報通信回線の一例としてのインターネット(internet)Niを介して、前記被験者検知サーバSVからの情報を受信・記憶可能なクライアントパソコンPC(受信端末、パーソナルコンピュータ、監視センター、被験者情報管理センター)に接続されている。実施例1の前記クライアントパソコンPCは、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、コンピュータ本体H1と、ディスプレイH2と、キーボードH3やマウスH4等の入力装置、図示しないHDドライブ(ハードディスクドライブ)等により構成されている。さらに、前記被験者検知サーバSVは、第2の情報通信回線の一例としての移動体通信網Np、または、前記インターネットNiを介して、前記被験者検知サーバSVからの情報を受信可能な移動体の一例としての携帯電話(受信端末、移動端末)MPに接続されている。
【0033】
(実施例1の制御部の説明)
図2は実施例1の被験者検知システムを構成する各装置の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した説明図である。
図3は図2の続きのブロック図である。
図2、図3において、前記被験者検知サーバSV、前記クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1、前記携帯電話MPの各制御部(コントローラ)は、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な起動処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ、記録媒体)、必要なデータ及びプログラムを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ、記録媒体)、ROM等に記憶された起動プログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有しており、ROM及びRAM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
前記構成の被験者検知サーバSV、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPは、前記ハードディスクやROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0034】
(被験者検知サーバSVの制御部に接続された信号入力要素)
前記被験者検知サーバSVの制御部には、次の信号出力要素CA,SN1,(SP+MC)等の出力信号が入力されている。
CA:カメラ
カメラCAは、撮像した室内画像を出力信号として制御部に入力する。
SN1:感圧センサ
感圧センサSN1は、寝台用感圧センサSN1aまたは床面用感圧センサSN1bを被験者が押圧する圧力に基づく検知信号を出力信号として制御部に入力する。
(SP+MC):音声抽出部材
音声抽出部材(SP+MC)は、スピーカSPが出力した発声要求に応じた被験者の音声をマイクMCで抽出して、前記音声を出力信号として制御部に入力する。
【0035】
(被験者検知サーバSVの制御部の説明)
前記被験者検知サーバSVのハードディスクドライブには、前記被験者検知サーバSVの基本動作を制御する基本ソフト(オペレーティングシステム)OSや、アプリケーションプログラムとしての被験者検知プログラムAP1やその他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
【0036】
(被験者検知プログラムAP1)
前記被験者検知プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
FL0:不在フラグ
不在フラグFL0は、初期値が「0」であり、被験者が在室の場合に「0」となり、被験者が不在の場合に「1」となる。
FL1:音声フラグ
音声フラグFL1は、初期値が「0」であり、被験者が発声した音声が正常な場合に「0」となり、被験者が発声した音声が異常な場合に「1」となる。
FL2:生体フラグ
生体フラグFL2は、初期値が「0」であり、被験者の心拍・呼吸・体動が正常な場合に「0」となり、被験者の心拍・呼吸・体動のいずれか1つでも異常な場合に「1」となる。
FL3:動作フラグ
動作フラグFL3は、初期値が「0」であり、被験者の動作が確認できる場合に「0」となり、被験者の動作が確認できない場合に「1」となる。
【0037】
C1:画像撮像手段
被験者画像撮像手段の一例としての画像撮像手段C1は、予め設定された時間間隔が経過した撮像時期になったか否かを判別する撮像時期判別手段C1Aを有し、カメラCAによって被験者画像を含む室内画像(室内全体のカメラ画像)を撮像する。実施例1の前記画像撮像手段C1は、前記時間間隔ごとの撮像時期に前記室内画像を撮像する。なお、前記画像撮像手段C1では、前記時間間隔として、例えば、通常の映像撮影と同様に、1/30[秒]を設定することが可能である。
C2:画像記憶手段
画像記憶手段C2は、前記画像撮像手段C1によって撮像された前記室内画像を記憶する。
C3:撮像判別手段
撮像判別手段C3は、前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する。実施例1の前記撮像判別手段C3は、前記画像記憶手段C2に記憶された前記室内画像に前記被験者画像が含まれているか否かを判別することにより、前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する。
【0038】
C4:不在判別手段
不在判別手段C4は、前記撮像判別手段C3によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、被験者が不在であると判別し、不在フラグFL0を「1」にセットする。
C5:不在検知情報送信手段
不在検知情報送信手段C5は、前記不在判別手段C4によって被験者が不在であると判別された場合に、後述する不在検知情報受信手段C101に対して、被験者が不在であることを示す不在検知情報を送信する。
【0039】
図4は実施例1の輪郭画像の一例の説明図であり、図4Aはカメラによって撮像された被験者画像を含む室内画像の説明図であり、図4Bは図4Aの室内画像から抽出した輪郭画像の説明図である。
C6:輪郭抽出手段
輪郭抽出手段C6は、図4に示すように、前記被験者画像から被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する。実施例1の前記輪郭抽出手段C6は、フルカラー画像としての室内画像(図4A参照)を、撮像物の輪郭が白色且つ前記輪郭以外が黒色となるモノクロ画像としての輪郭画像(図4B参照)に変換することにより、被験者画像の輪郭画像を抽出する。
【0040】
C7:輪郭記憶手段
輪郭記憶手段C7は、時間間隔で連続して撮像された被験者画像である第1被験者画像および第2被験者画像の各輪郭画像である第1輪郭画像および第2輪郭画像を一時記憶する第1輪郭画像記憶手段C7Aおよび第2輪郭画像記憶手段C7Bを有し、前記輪郭抽出手段C6によって抽出された輪郭画像を記憶する。
実施例1では、前記輪郭抽出手段C6によって輪郭画像が抽出される度に、抽出された輪郭画像が記憶されると共に、最新の輪郭画像が第2輪郭画像として第2輪郭画像記憶手段C7Bに一時記憶され、且つ、最新の輪郭画像の直前の輪郭画像、すなわち、もとの第2輪郭画像が第1輪郭画像として第1輪郭画像記憶手段C7Aに一時記憶される。
【0041】
C8:音声抽出手段
音声抽出手段C8は、音声抽出時期になったか否かを判別する抽出時期判別手段C8Aと、スピーカSPによって発声要求を出力する発声要求出力手段C8Bと、マイクMCによって被験者の音声を抽出したか否かを判別する抽出判別手段C8Cと、前記音声を予め設定された各周波数成分(基本周波数、変調周波数等)に分解する周波数分解手段C8Dと、前記各周波数成分の振幅を演算する振幅演算手段C8Eとを有し、音声抽出部材(SP+MC)によって被験者が発声した音声を抽出する(後述する図6参照)。なお、音声信号から各周波数成分を分解する技術については、例えば、特開2009−003162号公報や特開2005−241997号公報等に記載されており、従来公知であるため、詳細な説明を省略する。
C9:音声情報記憶手段
音声情報記憶手段C9は、前記音声抽出手段C8によって抽出された前記音声についての音声情報を記憶する。実施例1の前記音声情報記憶手段C9では、前記音声情報として、前記音声の波形、前記音声の周波数成分の波形および振幅の各情報を記憶する。
【0042】
図5は実施例1の被験者の心拍・呼吸・体動の波形の説明図であり、図5Aは心拍の波形の一例の説明図、図5Bは呼吸の波形の一例の説明図、図5Cは体動の波形の一例の説明図である。
C10:生体情報測定手段
生体情報測定手段C10は、感圧センサSN1の検知信号から心拍・呼吸・体動の各周波数に分解する周波数分解手段C10Aと、心拍の周波数から被検体の単位時間当りの心拍数[bpm:beats per minute,回/分]を演算する心拍数演算手段C10Bと、呼吸の周波数から被検体の単位時間当りの呼吸数[bpm]を演算する呼吸数演算手段C10Cと、体動の周波数から被検体の単位時間当りの体動数[bpm]を演算する体動数演算手段C10Dとを有し、被験者の生体情報の一例としての心拍・呼吸・体動を測定する(図5参照)。
【0043】
なお、実施例1の前記生体情報測定手段C10では、前記心拍の周波数をfh[Hz]とし、前記呼吸の周波数をfr[Hz]とし、前記体動の周波数をfm[Hz]とし、記心拍数をh[bpm]とし、前記呼吸数をr[bpm]とし、前記体動数をm[bpm]とした場合に、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]は、以下の式(1−1)〜(1−3)により演算される。
h=fh×60 …式(1−1)
r=fr×60 …式(1−2)
m=fm×60 …式(1−3)
C11:生体情報記憶手段
生体情報記憶手段C11は、前記生体情報測定手段C10によって測定された心拍・呼吸・体動についての生体情報を記憶する。実施例1の前記生体情報記憶手段C11では、前記生体情報として、検知信号、心拍・呼吸・体動の各波形、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]の各情報を記憶する。
C12:異常判別手段
異常判別手段C12は、音声異常判別手段C12Aと、生体異常判別手段C12Bと、不動作判別手段C12Cとを有し、被験者の身体に異常が発生したか否かを判別する。実施例1の前記異常判別手段C12は、前記音声異常判別手段C12Aと、前記生体異常判別手段C12Bと、前記不動作判別手段C12Cとによって更新される前記音声フラグFL1と、前記生体フラグFL2と、前記動作フラグFL3とが全て「1」になった場合に、被験者の身体に異常が発生したと判別する。
【0044】
図6は実施例1の被験者の音声の一例の説明図であり、図6Aは被験者の正常な音声の一例の説明図であり、図6Bは被験者の異常な音声の一例の説明図である。
C12A:音声異常判別手段
音声異常判別手段C12Aは、前記音声抽出部材(SP+MC)によって抽出された被験者の音声が予め設定された音声用正常範囲外であるかことを判別することにより、被験者の音声に異常が発生したと判別する。
ここで、例えば、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、偽性球麻痺(脳卒中の後遺症等)等によって引き起こされる運動障害性構音障害や、喉頭癌、声帯癌、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯ポリープ等の声帯病変によって引き起こされる音声言語障害等の、いわゆる、音声障害では、嗄声(hoarseness)を伴うことが知られている。なお、「嗄声」とは、「させい」と読み、声がれ、しわがれ声、かすれ声、がらがら声、濁った声、力んだような不自然な声、弱々しい声等の音声になる声帯の振動が乱れた状態のことをいう。よって、被験者が嗄声になる予兆や前兆、すなわち、被験者の異常な音声(図6B参照)を判別すれば、被験者の身体の異常について簡易且つ予備的な診断をすることが可能である。
【0045】
このため、実施例1の前記音声異常判別手段C12Aでは、前記音声情報記憶手段C9に記憶された被験者の音声の各周波数成分の振幅を演算し、基本周波数や変調周波数等の振幅が、予め測定された被験者の正常な音声(図6A参照)の各周波数成分の振幅に基づいて設定された最小振幅から最大振幅までの音声用正常範囲外である場合に、被験者の音声に異常が発生したと判別し、前記音声フラグFL1を「1」にセットする。よって、図6Bに示すように、被験者の音声の各周波数成分の波形が途切れるような場合には、振幅がゼロとなり、音声正常範囲外と判別されるため、被験者の音声が異常であることを検知することができる。
C12B:生体異常判別手段
生体異常判別手段C12Bは、心拍異常判別手段C12B1と、呼吸異常判別手段C12B2と、体動異常判別手段C12B3とを有し、前記感圧センサSN1によって測定された生体情報の測定値である心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合に、被験者の心拍・呼吸・体動に異常が発生したと判別する。
【0046】
C12B1:心拍異常判別手段
心拍異常判別手段C12B1は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された心拍数h[bpm]が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合に、被検体の心拍が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、前記心拍用正常範囲の最小心拍数が、40[bpm]、最大心拍数が、100[bpm]に予め設定されており、前記心拍用正常範囲は、40〜100[bpm]に設定されている。すなわち、前記心拍数h[bpm]が、40[bpm]より小さい、いわゆる、「徐脈」の場合、または、100[bpm]より大きい、いわゆる、「頻脈」の場合に、被検体の心拍が異常な状態であると判別される。
【0047】
C12B2:呼吸異常判別手段
呼吸異常判別手段C12B2は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された呼吸数r[bpm]が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合に、被検体の呼吸が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、前記呼吸用正常範囲の最小呼吸数が、10[bpm]、最大心拍数が、25[bpm]に予め設定されており、前記呼吸用正常範囲は、10〜25[bpm]に設定されている。すなわち、前記呼吸数r[bpm]が、10[bpm]より小さい、いわゆる、「徐呼吸」の場合、または、25[bpm]より大きい、いわゆる、「頻呼吸」の場合に、被検体の呼吸が異常な状態であると判別される。
【0048】
C12B3:体動異常判別手段
体動異常判別手段C12B3は、前記生体情報記憶手段C11に記憶された体動数m[bpm]が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、被検体の体動が異常な状態であると判別し、前記生体フラグFL2を「1」にセットする。なお、実施例1では、例えば、前記体動用正常範囲の最小体動数を、最小呼吸数としての10[bpm]、最大体動数を、最大心拍数としての100[bpm]に予め設定できる。すなわち、前記体動用正常範囲を、10〜100[bpm]として設定できる。
C12C:不動作判別手段
不動作判別手段C12Cは、輪郭画像一致判別手段C12C1と、一致回数計数手段C12C2とを有し、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、被験者が不動作の状態であるか否かを判別する。実施例1の前記不動作判別手段C12Cは、前記輪郭画像一致判別手段C12C1と、前記一致回数計数手段C12C2とによって、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像とが連続して一致した回数nが予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えたと判別した場合に、被験者が不動作の状態であると判別する。
【0049】
C12C1:輪郭画像一致判別手段
輪郭画像一致判別手段C12C1は、前記第1輪郭画像記憶手段C7Aに一時記憶された前記第1輪郭画像と、前記第2輪郭画像記憶手段C7Bに一時記憶された前記第2輪郭画像とが一致するか否かを判別する。
C12C2:一致回数計数手段
一致回数計数手段C12C2は、前記輪郭画像一致判別手段C12C1によって前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像とが一致した回数nを計数する。すなわち、一致回数計数用のカウンタnの値をカウントする。
C13:異常検知情報送信手段
異常検知情報送信手段C13は、前記異常判別手段C12によって被験者の身体に異常が発生したと判別された場合に、後述する異常検知情報受信手段C103に対して、被験者の異常を検知したことを示す異常検知情報を送信する。
【0050】
C14:被験者情報送信手段
被験者情報送信手段C14は、後述する被験者情報受信手段C105に対して、前記画像記憶手段C2に記憶された前記室内画像と、前記輪郭記憶手段C7に記憶された輪郭画像と、前記音声情報記憶手段C9に記憶された音声情報と、前記生体情報記憶手段C11に記憶された生体情報とを被験者情報として送信する。実施例1の前記被験者情報送信手段C14は、前記不在判別手段C4および前記異常判別手段C12によって被験者の不在も異常も検知していない場合には、前記輪郭画像と前記音声情報と前記生体情報とを被験者情報として送信する。また、前記不在判別手段C4によって被験者が不在が検知された場合には、被験者画像を含まない室内画像のみを被験者情報として送信し、前記異常判別手段C12によって被験者の身体の異常が検知された場合には、全ての情報、すなわち、前記被験者画像を含む前記室内画像と前記輪郭画像と前記音声情報と前記生体情報とを被験者情報として送信する。
【0051】
(クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1および携帯電話MPの各制御部の説明)
また、前記クライアントパソコンPCや前記携帯電話MPのハードディスクドライブについても、基本動作を制御する基本ソフト(オペレーティングシステム)OSや、アプリケーションプログラムとしての検知結果通報プログラムAP2や画像表示プログラムAP3その他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
【0052】
(検知結果通報プログラムAP2)
前記検知結果通報プログラムAP2は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
C101:不在検知情報受信手段
不在検知情報受信手段C101は、前記不在検知情報送信手段C5によって送信された前記不在検知情報を受信する。
C102:不在通報手段
不在通報手段C102は、前記不在検知情報受信手段C101によって前記不在検知情報を受信した場合に、被験者が不在であることを通報する。実施例1の前記不在通報手段C102では、前記不在検知情報を受信する度に、不在通報音を鳴らすことにより、被験者が不在であることを通報する。
【0053】
C103:異常検知情報受信手段
異常検知情報受信手段C103は、前記異常検知情報送信手段C13によって送信された前記異常検知情報を受信する。
C104:異常通報手段
異常通報手段C104は、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合に、被験者の身体に異常が発生したことを通報する。実施例1の前記異常通報手段C104では、前記異常検知情報を1度でも受信した場合に、ユーザからの終了信号が入力されるまで異常通報音を鳴らし続けることにより、被験者の身体に異常が発生したことを通報する。
【0054】
C105:被験者情報受信手段
被験者情報受信手段C105は、前記被験者情報送信手段C14によって送信された前記被験者情報を受信する。
C106:被験者情報記憶手段
被験者情報記憶手段C106は、前記被験者情報受信手段C105によって受信した前記被験者情報を記憶する。
【0055】
(画像表示プログラムAP3)
また、前記画像表示プログラムAP3は、下記の機能手段(プログラムモジュール)を有する。
【0056】
図7は実施例1の被験者検知画像の説明図であり、図7Aは正常時の被験者検知画像の説明図、図7Bは不在検知時の被験者検知画像の説明図、図7Cは異常時に切替ボタンが選択された状態の被験者検知画像の説明図である。
C107:画像表示手段
画像表示手段C107は、切替判別手段C107Aと、画像切替手段C107Bとを有し、図7に示す被験者検知画像101をクライアントパソコンPCのディスプレイH2や携帯電話MPの図示しない表示部に表示する。図7において、実施例1の前記被験者検知画像101は、不在検知情報または異常検知情報を表示する通知表示部101aと、室内画像または輪郭画像を表示する画像表示部101bと、生体情報の心拍・呼吸・体動の各波形や心拍数h[bpm]・呼吸数h[bpm]・体動数m[bpm]等を表示する生体表示部101cと、音声情報の音声の波形や各周波数成分の波形等を表示する音声表示部101dと、画像表示部101bの画像を室内画像と輪郭画像との間で切り替えるための切替ボタン(切替用チェックボックス)101eとを有する。
【0057】
実施例1の前記画像表示手段C107は、不在も異常も検知されていない正常時には、前記被験者情報受信手段C105によって前記被験者情報として受信した前記輪郭画像と前記生体情報と前記音声情報とを各表示部101b〜101dに表示する(図7A参照)。また、前記画像表示手段C107は、前記不在検知情報受信手段C101によって前記不在検知情報を受信した場合、すなわち、不在時には、前記不在検知情報を前記通知表示部101aに表示すると共に、前記被験者情報として受信した前記室内画像(被験者画像を含まない室内画像)のみを画像表示部101bに表示する(図7B参照)。さらに、前記画像表示手段C107は、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合、すなわち、異常時には、前記異常検知情報を前記通知表示部101aに表示すると共に、前記被験者情報として受信した前記輪郭画像と前記生体情報と前記音声情報とを各表示部101b〜101dに表示する(図7C参照)。なお、前記画像表示手段C107は、異常時に前記切替ボタン101eが選択された場合には、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像を室内画像(被験者画像を含む室内画像)に切り替える。
【0058】
C107A:切替判別手段
切替判別手段C107Aは、前記異常検知情報受信手段C103によって前記異常検知情報を受信した場合(異常時)に、ユーザ(近隣住民やホームヘルパーや介護ボランティアや介護福祉士等の看視者、監視者、親族、知人、医師、看護士等)の入力によって前記切替ボタン101eが選択されているか否かを判別する。
C107B:画像切替手段
画像切替手段C107Bは、前記切替判別手段C107Aによって前記切替ボタン101eが選択されていると判別された場合に、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像を室内画像に切り替える。
【0059】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1の前記被験者検知サーバSV、前記クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1、前記携帯電話MPの各プログラムAP1〜AP3の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の被験者検知サーバSVのメイン処理のフローチャートの説明)
図8は実施例1の被験者検知サーバのメイン処理のフローチャートである。
図8のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0060】
図8に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図8のST1において、不在フラグFL0が「1」であるか否かを判別することにより、被験者が不在であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST4に移る。
ST2において、不在検知情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST3に移る。
ST3において、被験者画像を含まない室内画像(図7B参照)をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST1に戻る。
ST4において、音声フラグFL1、生体フラグFL2、動作フラグFL3が全て「1」であるか否かを判別することにより、被験者の身体に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST5に移り、イエス(Y)の場合はST6に移る。
【0061】
ST5において、音声情報・生体情報・輪郭画像を含む被験者情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST1に戻る。
ST6において、異常検知情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST7に移る。
ST7において、音声情報・生体情報・輪郭画像・室内画像を含む被験者情報をクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信する。そして、ST8に移る。
ST8において、ユーザにより診断・処置等を終了させたことを示す終了信号を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST6に移り、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
【0062】
(実施例1の被験者検知サーバSVの不在検知処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の被験者検知サーバの不在検知処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0063】
図9に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図9のST11において、不在フラグFL0を「0」にセットする。そして、ST12に移る。
ST12において、予め設定された時間間隔(例えば、1/30[秒])ごとの撮像時期になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST13に移り、ノー(N)の場合はST12を繰り返す。
ST13において、カメラCA(図1参照)で室内画像(図4A参照)を撮像して記憶する。そして、ST14に移る。
ST14において、室内画像内に被験者画像が含まれているか否かを判別ことにより、被験者画像が撮像されたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15に移り、イエス(Y)の場合はST16に移る。
ST15において、不在フラグFL0を「1」にセットする。そして、ST12に戻る。
ST16において、撮像された室内画像から輪郭画像(図4B参照)を抽出して記憶する。そして、ST11に戻る。
【0064】
(実施例1の被験者検知サーバSVの音声異常検知処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1の被験者検知サーバの音声異常検知処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0065】
図10に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図10のST21において、音声フラグFL1を「0」にセットする。そして、ST22に移る。
ST22において、予め設定された音声抽出時期(例えば、午前7時)になったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST23に移り、ノー(N)の場合はST22を繰り返す。
ST23において、スピーカSP(図1参照)から発声要求を出力する。そして、ST24に移る。
ST24において、マイクMC(図1参照)から被験者の音声が抽出されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST25に移り、ノー(N)の場合はST29に移る。
【0066】
ST25において、抽出した音声を音声情報として記憶する。そして、ST26に移る。
ST26において、抽出した音声を予め設定された各周波数成分に分解する(図6参照)。そして、ST27に移る。
ST27において、分解された各周波数成分の振幅を演算する。そして、ST28に移る。
ST28において、演算された各周波数成分の振幅が予め設定された最小振幅から最大振幅までの音声用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の音声に異常が発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST29に移り、ノー(N)の場合はST21に戻る。
ST29において、音声フラグFL1を「1」にセットする。そして、ST22に戻る。
【0067】
(実施例1の被験者検知サーバSVの生体異常検知処理のフローチャートの説明)
図11は実施例1の被験者検知サーバの生体異常検知処理のフローチャートである。
図11のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0068】
図11に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図11のST31において、生体フラグFL1を「0」にセットする。そして、ST32に移る。
ST32において、感圧センサSN1からの検知信号を記憶する。そして、ST33に移る。
【0069】
ST33において、検知信号の波形を心拍・呼吸・体動の各波形に周波数分解して記憶する(図5参照)。そして、ST34に移る。
ST34において、式(1−1)〜(1−3)により、心拍・呼吸・体動の各波形の周波数fh,fr,fmから単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]を演算して記憶する。そして、ST35に移る。
ST35において、演算された心拍数h[bpm]が、最小心拍数(40[bpm])から最大心拍数(100[bpm])までの心拍用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の心拍に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST36に移り、イエス(Y)の場合はST38に移る。
【0070】
ST36において、演算された呼吸数r[bpm]が、最小呼吸数(10[bpm])から最大呼吸数(25[bpm])までの呼吸用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の呼吸に異常が発生したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST37に移り、イエス(Y)の場合はST38に移る。
ST37において、演算された体動数m[bpm]が、最小体動数(例えば、10[bpm])から最大体動数(例えば、100[bpm])までの体動用正常範囲外であるか否かを判別する。すなわち、被験者の体動に異常が発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST38に移り、ノー(N)の場合はST31に戻る。
ST38において、生体フラグFL1を「1」にセットする。そして、ST32に戻る。
【0071】
(実施例1の被験者検知サーバSVの不動作検知処理のフローチャートの説明)
図12は実施例1の被験者検知サーバの不動作検知処理のフローチャートである。
図12のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0072】
図12に示すフローチャートは、前記被験者検知サーバSVが起動して被験者検知プログラムAP1が強制起動された場合に開始される。
図12のST41において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST42に移る。
(1)動作フラグFL3を「0」にセットする。
(2)一致回数計数用のカウンタnに0をセットする(n=0)。
【0073】
ST42において、第1輪郭画像および第2輪郭画像を一時記憶する。すなわち、第2輪郭画像を最新の輪郭画像として一時記憶すると共に、第1輪郭画像を最新の輪郭画像の直前の輪郭画像(もとの第2輪郭画像)として一時記憶する。そして、ST43に移る。
ST43において、一時記憶された第1輪郭画像と第2輪郭画像とが一致するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST44に移り、ノー(N)の場合はST41に戻る。
ST44において、カウンタnに+1を加算する(n=n+1)。そして、ST45に移る。
ST45において、カウンタnの値が予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えたか否かを判別する(n>Nmax)。すなわち、被験者が不動作の状態であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST46に移り、ノー(N)の場合はST42に戻る。
ST46において、動作フラグFL3を「1」にセットする。そして、ST42に戻る。
【0074】
(実施例1のクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの検知結果通報処理のフローチャートの説明)
図13は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の検知結果通報処理のフローチャートである。
図13のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記各制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記各制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0075】
図13に示すフローチャートは、前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話が起動して検知結果通報プログラムAP2が強制起動された場合に開始される。
図13のST101において、被験者検知サーバSVからの被験者情報を受信して記憶する。そして、ST102に移る。
ST102において、被験者検知サーバSVから不在検知情報を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST103に移り、ノー(N)の場合はST104に移る。
ST103において、不在通報音を鳴らすことにより、ユーザに被験者が不在であることを通報する。そして、ST101に戻る。
ST104において、被験者検知サーバSVからの異常検知情報を受信済であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST105に移り、ノー(N)の場合はST101に戻る。
ST105において、異常通報音を鳴らすことにより、ユーザに被験者の身体に異常が発声したことを通報する。そして、ST106に移る。
ST106において、ユーザにより診断・処置等を終了させたことを示す終了信号を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST105に戻り、イエス(Y)の場合はST101に戻る。
【0076】
(実施例1のクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの画像表示処理のフローチャートの説明)
図14は実施例1のクライアントパソコンおよび携帯電話の画像表示処理のフローチャートである。
図14のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記各制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記各制御部の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
【0077】
図14に示すフローチャートは、前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話が起動した後、ユーザの入力により、画像表示プログラムAP3が起動された場合に開始される。
図14のST201において、被験者検知画像101(図7参照)を表示する。そして、ST202に移る。
ST202において、被験者検知サーバSVから不在検知情報を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST203に移り、ノー(N)の場合はST204に移る。
ST203において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST209に移る。
(1)不在検知情報を通知表示部101aに表示する(図7B参照)。
(2)被験者画像を含まない室内画像を画像表示部101bに表示する(図7B参照)。
【0078】
ST204において、被験者検知サーバSVからの異常検知情報を受信済であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST205に移り、ノー(N)の場合はST208に移る。
ST205において、異常検知情報を通知表示部101aに表示する(図7C参照)。そして、ST206に移る。
ST206において、切替ボタン101が選択されているか否かを判別する(図7C参照)。イエス(Y)の場合はST207に移り、ノー(N)の場合はST208に移る。
ST207において、被験者画像を含む室内画像・生体情報・音声情報をそれぞれ各表示部101b〜101dに表示する(図7C参照)。そして、ST209に移る。
ST208において、輪郭画像・生体情報・音声情報をそれぞれ各表示部101b〜101dに表示する(図7A参照)。そして、ST209に移る。
ST209において、ユーザからの画像による確認を終了させることを示す終了信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST210に移り、ノー(N)の場合はST202に戻る。
ST210において、被験者検知画像101を非表示にする。そして、画像表示処理を終了する。
【0079】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記音声異常検知処理(図10のST21〜ST29参照)において、音声抽出部材(SP+MC)が音声を抽出できなかった場合や抽出された前記音声の各周波数成分の振幅が正常範囲外である場合に、被験者の音声の異常が検知される。また、前記生体異常検知処理(図11のST31〜ST38参照)において、感圧センサSN1の検知信号に基づく被験者の心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれかが正常範囲外である場合に、被験者の生体情報の異常が検知される。さらに、前記不動作検知処理(図12のST41〜ST46参照)において、前記カメラCAによって撮像された被験者画像を含む室内画像(図4A参照)の輪郭画像(図4B参照)が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知される。
【0080】
そして、被験者の音声の異常が検知され、且つ、被験者の生体情報の異常が検知され、且つ、被験者の不動作が検知された場合に、被験者の身体に異常が発生したことが検知され(図8のST4参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の身体の異常が通報される(図8のST6、図13のST104〜ST106、図14のST204〜ST209参照)。
すなわち、実施例1の前記被験者検知システムSでは、3種類のセンサ(SP+MC),SN1,CAで被験者の異常を検知した場合に、被験者の異常状態を検知する、いわゆる、トリプルチェックが実行される。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、1種類のセンサで異常状態を検知する場合に比べ、異常状態の誤検知や検知不能を低減でき、異常状態を精度良く検知することができる。
【0081】
特に、実施例1の前記不動作検知処理では、カメラCAの映像に変化がないことによって被験者の異常を検知するため、各センサ(SP+MC),SN1の検知信号の測定値に基づいて被験者の異常を検知する前記音声異常検知処理や前記生体異常検知処理等に比べ、ノイズ等の誤差の発生を低減でき、誤検知や検知不能を低減できる。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、前記不動作検知処理を実行しない場合に比べ、異常状態を精度良く検知することができる。また、カメラCAの映像の変化から被験者の不動作を検知する機能については、介護士等の視認による見守りと同等の機能であるため、介護士等の視認による見守りの負担を低減することもできる。
【0082】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者検知サーバSVによって輪郭画像や室内画像がクライアントパソコンPCおよび携帯電話MPにリアルタイムで送信される(図8のST4、ST5、ST7参照)。そして、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPでは、ユーザの入力によって前記画像表示処理(図14のST201〜ST210)を実行することにより、被験者検知画像101の画像表示部101bに受信した前記各画像を表示することができる(図7A、図7C、図13のST101、図14のST204〜ST208参照)。
したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者の異常発生前後の様態を前記各画像によって実際に視認することができる。
【0083】
なお、受信した各画像を含む被験者情報については、被験者検知サーバSV、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに記憶される。このため、実施例1の前記被験者検知システムSでは、異常発生後に記憶された被験者情報を再確認することができる(図9のST12、ST16、図10のST24〜ST27、図11のST32〜ST34、図13のST101参照)。
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、記憶された被験者情報(各画像・生体情報・音声情報)を、被験者の生体用正常範囲や音声用正常範囲の再設定や、医師等による遠隔地からの被験者の予防診断や、被験者のカルテ(医療情報、診療情報、診療録)の作成や、国や地方自治体等による被験者の介護レベル認定や、複数の被験者の統計データの作成等に利用できる。
【0084】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記カメラCAによって、被験者の行動範囲としての室内全域が室内画像として撮像されていると共に、被験者の行動範囲には寝台用感圧センサSN1aおよび床面用感圧センサSN1bとが敷き詰められている。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、接触型センサを常に身に付けていなくても、被験者の行動範囲における異常状態を常に検知することができる。この結果、非接触型センサとしての前記カメラCAによって広範囲で異常状態を検知でき、接触型センサを身に付ける被験者の煩わしさを取り除くことができる。
【0085】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、カメラCAにより撮像されたフルカラー画像としての室内画像を、撮像物の輪郭が白色且つ前記輪郭以外が黒色となるモノクロ画像としての輪郭画像に変換し(図4、図9のST12、ST13、ST16参照)、前記輪郭画像が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知される(図12のST41〜ST46参照)。
ここで、フルカラー画像の室内画像の変化によって被験者の不動作を検知する場合には、例えば、窓から差し込む太陽光の変化に伴う室内の明るさの変化を室内画像の変化として検知して、被験者の不動作を検知できない可能性があった(図4A参照)。
しかしながら、実施例1では、前記輪郭画像における白色の輪郭の差分のみで被験者の不動作を検知する(図4B参照)。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、前記室内画像等のカラー画像の変化で被験者の不動作を検知する場合に比べ、輪郭以外の画像の誤差に基づく誤検知や検知不能を低減でき、被験者の不動作を精度良く検知することができる。
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、被験者検知サーバSVにおいて、室内画像や輪郭画像を表示せずに被験者の不動作を自動検知するため、各画像を表示して被験者の不動作を視認によって検知する場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0086】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記被験者検知サーバSVにより、正常時に前記輪郭画像が送信され(図8のST5参照)、異常時にのみ前記輪郭画像と共に被験者画像を含む室内画像が送信される(図8のST7参照)。また、実施例1の前記クライアントパソコンPCおよび前記携帯電話MPでは、前記画像表示処理を実行した場合に、正常時には受信した前記輪郭画像が表示され(図7A参照)、異常時にのみ前記室内画像が切替表示可能になっている(図7C参照)。
すなわち、実施例1の前記被験者検知システムSでは、ネットワークNi,Npを介して、被験者を撮像したカメラCAの映像がそのまま送信されて表示される機会が異常発生時のみに限定されている。したがって、実施例1の前記被験者検知システムSは、被験者を撮像したカメラの映像が常にそのまま送信される場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害を低減することができる。
【0087】
また、実施例1の前記被験者検知システムSでは、異常時に、前記被験者検知画像101の切替ボタン101eが選択された場合のみ、前記画像表示部101bに表示された輪郭画像が、被験者画像を含む室内画像に切り替えられる。このため、実施例1の前記被験者検知システムSは、被験者を撮像したカメラCAの映像がそのまま表示される機会をさらに切替ボタン101e選択時に限定でき、異常時に輪郭画像から室内画像に自動的に切り替わる場合に比べ、被験者のプライバシーの侵害をさらに低減することができる。
【0088】
また、前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記不在検知処理(図9のST11〜ST16参照)において、室内画像内に被験者画像が含まれていない場合に、被験者が不在であることが検知され(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の不在が通報される(図8のST2、図13のST102、ST103、図14のST202、ST203参照)。
したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、カメラCAの映像に基づいて被験者の不在を自動検知することができる。また、カメラCAの映像の変化から被験者の不在を自動検知する機能については、被験者の不動作を自動検知する機能と同様に、介護士等の視認による見守りと同等の機能であるため、介護士等の視認による見守りの負担を低減することができる。
【0089】
また、前記構成を備えた実施例1の前記被験者検知システムSでは、前記携帯電話MPは、インターネットNiまたは移動体通信網Npを介して、前記被験者検知サーバSVにより送信された各情報(被験者情報、不在検知情報、異常検知情報)を受信できる。すなわち、実施例1の前記携帯電話MPは、前記各情報を受信するための情報通信回線が二重化されている。したがって、実施例1の前記被験者検知システムSでは、情報通信回線が二重化されていない場合に比べ、携帯電話MPのユーザに対して、被験者の身体の異常や、被験者の不在が通知される信頼性(伝送信頼性)を向上させることができる。
【0090】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H024)を下記に例示する。
(H01)前記実施例では、前記カメラCA(図1参照)を、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等の通常のビデオカメラ(監視カメラ)を使用しているが、これに限定されず、例えば、赤外線カメラ(暗視装置)やサーモグラフィ(サーモグラフィ装置、熱映像装置)等の特殊なカメラを使用することも可能である。なお、赤外線カメラを使用した場合には、例えば、薄い布などを透過して被検体の身体を撮像したり、室内が暗い場合でも撮像したりすることが可能となり、被検体の不動作を検知する精度を向上させることが可能となる。また、サーモグラフィを使用した場合には、例えば、被験者の不動作の検知と同時に被験者の体温を測定することも可能となる。また、前記カメラCAは、いわゆる、単方向の固定式監視カメラ等に限定されず、例えば、パン(横方向の首振り)・チルト(縦方向の首振り)・ズームを自在に操作可能な、いわゆる、パンチルトズームカメラ(PTZカメラ)等の全方位式監視カメラを使用することも可能である。なお、パンチルトズームカメラを使用した場合には、例えば、室内画像内の被験者画像を認識させて、室内の被験者を追跡して撮像することも可能となる。また、前記カメラCAは、室内の天井等に固定支持されている場合に限定されず、例えば、天井に配置されたスライダ等によってスライド移動可能に支持することも可能である。この場合、例えば、室内画像内の被験者,画像を認識させて、室内の被験者を追跡(追尾)して撮像することも可能となり、パンチルトズームカメラを使用した場合と同様の作用効果が期待できる。
【0091】
(H02)前記実施例では、前記カメラCAを1台配置して、被験者の予め設定された行動範囲内である室内全体を撮像したが(図1参照)、これに限定されず、前記カメラCAを2台以上配置することも可能である。例えば、前記ベッド1が配置された寝室以外にも、トイレ・風呂場・リビング・キッチン・ベランダ・廊下等の複数の部屋が被験者の行動範囲内となる場合に、各部屋にそれぞれカメラCAを1台配置して、被験者画像が撮像された部屋において、被験者の不動作を検知することも可能である。また、例えば、1つの部屋に2台以上のカメラCAを配置して、異なる角度から被験者の不動作を検知したり、室内全体をステレオ視して、被験者の不動作の検知と同時に被験者の3次元位置を識別したりすることも可能である。なお、複数台のカメラで室内をステレオ視することにより、ユーザの3次元位置を識別する技術については、例えば、非特許文献2等に記載されており、公知である。
【0092】
(H03)前記実施例1の前記不動作検知処理(図12のST41〜ST46参照)のように、前記カメラCAによって撮像された被験者画像を含む室内画像(図4A参照)の輪郭画像(図4B参照)が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作が検知されることが好ましいが、これに限定されず、室内画像自体の差分に基づいて被験者の不動作を検知することも可能である。例えば、室内画像内の被験者画像が一定期間変化しない場合に、被験者の不動作を検知することも可能である。
(H04)前記実施例では、前記不動作検知処理において、一致回数計数用のカウンタnの値が予め設定された不動作用閾値Nmaxを超えた場合に、被験者が不動作の状態であると判別しているが(図12のST45参照)、これに限定されず、例えば、室内画像を撮像する時間間隔を10[秒]と比較的長めに設定し、1回でも第1輪郭画像と第2輪郭画像とが一致した場合には、被験者が不動作の状態であると判別することにより、カウンタnによる一致回数のカウント処理を省略することも可能である。
【0093】
(H05)前記実施例では、前記不動作検知処理において、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、完全一致した場合に、被験者が不動作であると判別するが(図12のST43参照)、これに限定されず、例えば、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、98[%]以上一致する場合に、被験者が不動作であると判別することも可能である。すなわち、第1輪郭画像と第2輪郭画像との差分が全くない場合に限定されず、若干の差分がある場合にも、被験者が不動作であるとみなすことが可能である。逆に、例えば、第1輪郭画像と第2輪郭画像とが、一定期間、2[%]以下しか一致しない場合に、被験者の身体に異常が発生したと判別することも可能である。すなわち、第1輪郭画像と第2輪郭画像との差分が大きい場合には、被験者が苦しくて暴れていたり、強盗に襲われていたりする可能性があると判断して、被験者の身体に異常が発生したと判別ことも可能である。
【0094】
(H06)前記実施例のように、前記被験者検知サーバSVが、異常時にのみ前記輪郭画像と共に被験者画像を含む室内画像を送信して(図8のST7参照)、極力、前記室内画像が送信されたり表示されたりする機会を少なくすることが好ましいが、これに限定されず、例えば、正常時にも前記輪郭画像と共に前記室内画像を送信して、クライアントパソコンPCや携帯電話MPの制御によって、異常時のみ前記輪郭画像と前記室内画像との切替表示可能にすることも可能である。また、例えば、正常時にも前記輪郭画像と前記室内画像とを送信して、クライアントパソコンPCや携帯電話MPの制御によって、正常時にも前記輪郭画像と前記室内画像との切替表示可能にすることも可能である。
(H07)前記実施例のように、クライアントパソコンPCや携帯電話MPのユーザの入力により、異常時に前記切替ボタン101eが選択された場合のみ、前記画像表示部101bに表示された前記輪郭画像が前記室内画像に切り替えられることが好ましいが(図7A、図7C、図14のST204〜ST208参照)、これに限定されず、例えば、前記切替ボタン101eを省略して、異常時に前記輪郭画像から前記室内画像に自動的に切り替わる構成とすることも可能である。
【0095】
(H08)前記実施例では、被験者の予め設定された行動範囲内である室内全体のベッド1や床面2に寝台用感圧センサSN1aや床面用感圧センサSN1bを敷き詰めているが(図1参照の破線参照)、感圧センサSN1を配置する場所についてはこれに限定されず、例えば、車椅子の座席に配置ことも可能である。また、例えば、前記実施例1のように前記ベッド1が配置された寝室以外にも、トイレ・風呂場・リビング・キッチン・ベランダ・廊下等の複数の部屋が被験者の行動範囲内となる場合に、各部屋の室内全域に感圧センサSN1を配置して、被験者の行動範囲内の心拍・呼吸・体動を検知することも可能である。なお、前記感圧センサSN1は、60[℃]程度の耐熱性を備えていることが実験等により確認されており、風呂場においても被験者の心拍・呼吸・体動を検知することが可能である。
【0096】
(H09)前記実施例では、寝台用感圧センサSN1aと床面用感圧センサSN1bとによって、被験者の心拍・呼吸・体動のみを測定したが(図1、図5等参照)、これに限定されず、例えば、寝台用感圧センサSN1aが被験者の検知信号を出力している場合に、被験者がベッド1に横たわっていることを判別したり、床面用感圧センサSN1bが被験者の検知信号を出力している場合に、被験者が床面2を移動していることを判別したりすることも可能である。すなわち、1つの部屋内に感圧センサSN1を複数配置した場合には、どの感圧センサSN1が被験者の検知信号を出力しているかを判別することにより、被験者の位置や行動を判別することができる。また、例えば、寝室・トイレ・風呂場・リビング・キッチン等の複数の部屋ごとに感圧センサSN1を複数配置した場合には、どの部屋の感圧センサSN1が被験者の検知信号を出力しているかを判別することにより、被験者がどの部屋にいるかを判別することができる。すなわち、複数の感圧センサSN1をブロック分け(区画分け)して配置した場合には、被験者がどのブロック(区画)にいるかを判別したり、そのブロックで被験者が何をしているかを推察したりすることが可能である。
【0097】
(H010)前記実施例では、感圧センサSN1の検知信号から測定された被験者の単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれかが各正常範囲外となった場合に、被験者の生体情報の異常が検知されていたが、これに限定されず、例えば、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]のいずれか2つ以上が各正常範囲外となった場合や、3つ全てが正常範囲外となった場合に、被験者の生体情報の異常を検知することも可能である。また、例えば、感圧センサSN1の検知信号から心拍数h[bpm]のみを測定して、心拍用正常範囲(40〜100[bpm])外の場合に、被験者の生体情報の異常を検知することも可能である。
【0098】
(H011)前記実施例では、感圧センサSN1により、被験者の単位時間当りの心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]を測定したが、心拍・呼吸等の生体情報を検知する生体情報検知部材はこれに限定されず、例えば、特許文献1〜3と同様の接触型センサを生体情報検知部材とすることも可能である。この場合、例えば、体温計や血圧計によって接触型センサを構成し、体温計や血圧計によって測定された被験者の体温[℃]や血圧[mmHg]を生体情報として正常範囲外にあるか否かを判別することも可能である。また、例えば、ベッド1に荷重センサを配置して、荷重センサによって測定された被験者の体重[kg]を生体情報として正常範囲外にあるか否かを判別することも可能である。感圧センサとその他のセンサ(接触型センサや荷重センサ等)とを組み合わせて使用することにより、心拍数h[bpm]・呼吸数r[bpm]・体動数m[bpm]以外の生体情報(体温[℃]や血圧[mmHg]や体重[kg]等)についても正常範囲外にあるか否かを判別する構成とすることも可能である。
【0099】
(H012)前記実施例では、被験者の音声の異常を簡易に検知するために、被験者の音声の各周波数成分の振幅が正常範囲外であるか否かを判別したが、音声の異常の検知方法についてはこれに限定されず、例えば、声紋分析により、被験者が発生した音声と、予め測定された被験者の正常な音声とを厳密に声紋照合して、被験者の音声の異常(嗄声等)を精度良く検知することも可能である。なお、声紋分析についての技術は、例えば、特開2008−252849号公報や特開2003−219038号公報等に記載されており、公知である。
(H013)前記実施例の音声用正常範囲や、生体用正常範囲としての心拍用正常範囲(40〜100[bpm])・呼吸用正常範囲(10〜25[bpm])・体動用正常範囲(10〜100[bpm])等の各設定値については、被験者の音声や生体情報としての心拍・呼吸・体動に応じて任意の値に変更可能である。また、前記不動作用閾値NmaxについてもカメラCAが室内画像を撮像する時間間隔に応じて任意に設定可能である。
【0100】
(H014)前記実施例のように、被験者の身体の異常を精度良く検知するために、被験者の音声の異常と生体情報の異常と不動作との3種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知するトリプルチェックを実行することが好ましいが、これに限定されず、例えば、被験者の音声の異常と不動作との2種類、または、被験者の生体情報の異常と不動作との2種類の検知結果から被験者の身体の異常を検知する、いわゆる、ダブルチェックを実行することも可能である。また、例えば、被験者の身体の異常を精度良く検知可能な前記不動作検知処理のみを実行して、被験者の不動作の検知結果のみから被験者の身体の異常を検知することも可能である。
【0101】
(H015)前記実施例では、異常検知情報や不在検知情報を、被験者検知サーバSVから、ネットワークNi,Npを介して、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPに送信して、通報音を鳴らしたり(図13のST103、ST105参照)、被験者検知画像101の通知表示部101aに表示したりして(図14のST203、ST205参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに通報したが、各検知結果の通報の方法についてはこれに限定されず、例えば、被験者の異常を検知した場合に、防犯センサを介して警備会社等に通報したり、防犯ベルを鳴らしたり、火災報知器(火災報知機、自動火災報知設備、住宅用火災警報器)を介して消防署等に通報したり、火災報知用ベルを鳴らしたり、警察や病院等に自動通報したり、室内のスピーカSPや屋外に配置したその他のスピーカから警報音や警報メッセージを出力したりすることも可能である。
(H016)前記実施例では、ユーザが携帯して移動可能な移動体の一例として、携帯電話MP(図1参照)を使用したが、移動体については携帯電話MPに限定されず、例えば、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)等のその他の携帯型の計算機を使用することも可能である。
【0102】
(H017)前記実施例では、情報通信回線として、インターネットNiと移動体通信網(基地局等を介した携帯電話網)Npとを利用したが(図1参照)、これに限定されず、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、アドホックネットワーク(自律分散型無線通信網、自律分散型無線ネットワーク、自立分散型無線ネットワーク)等のその他の有線・無線通信技術により構成することも可能である。ここで、アドホックネットワークとは、インターネットにおけるルータ等や、携帯電話における基地局等の既存の通信基盤を介さず、移動体どうしで自律して形成されるネットワークであって、時間や場所等に応じて分散して一時的に形成されるネットワークであり、緊急災害時の救助活動、自動車どうしの通信である車車間通信、家電機器等が有するセンサ間のネットワーク(センサネットワーク)等のサービスへの利用が期待されている。よって、本発明においてアドホックネットワークを利用した場合には、例えば、アドホックネットワークを介して被験者検知サーバSVに接続された全ての移動体(例えば、近隣を通りかかった人の携帯電話MP等)に、異常検知情報を一斉に送信して、各移動体のユーザに救援を求めることも可能である。
【0103】
(H018)前記実施例の前記携帯電話MPは、伝送信頼性を向上させるために、インターネットNiおよび移動体通信網Npによって、情報通信回線が二重化されているが(図1参照)、これに限定されず、例えば、インターネットNiによる情報通信を省略することも可能である。また、例えば、インターネットNiと移動体通信網Npとその他の情報通信回線(例えば、Bluetoothやアドホックネットワーク等)によって、情報通信回線を三重化以上にして、伝送信頼性をさらに向上させることも可能である。
(H019)前記実施例では、前記スピーカSPが発声要求を出力するためにのみ使用されているが(図10のST23参照)、前記スピーカSPの利用方法についてはこれに限定されず、例えば、被験者に飲食を促す飲食要求や、薬の服用を促す服用要求や、昼寝・睡眠を促す睡眠要求等を定期的に出力する、いわゆる、「お知らせ機能」に利用することも可能である。
【0104】
(H020)前記実施例では、前記不在検知処理(図9のST11〜ST16参照)において、カメラCAによって撮像された室内画像内に被験者画像が含まれていない場合に、被験者が不在であることが検知されているが(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、被験者の不在検知方法についてはこれに限定されず、例えば、感圧センサSN1により生体情報(心拍・呼吸・体動)が測定されない場合や、音声抽出部材(SP+MC)により被験者の音声が抽出されない場合に、被験者の不在を検知することも可能である。また、例えば、被験者の異常を検知する処理と同様に、各センサCA,SN1,(SP+MC)によるダブルチェックやトリプルチェックを実行することも可能である。
【0105】
(H021)前記実施例では、被験者の不在が検知された場合に(図8のST1、図9のST14、ST15参照)、クライアントパソコンPCおよび携帯電話MPの各ユーザに被験者の不在が通報されているが(図8のST2、図13のST102、ST103、図14のST202、ST203参照)、被験者の不在検知の利用方法については不在通報に限定されず、例えば、被験者の不在を検知した場合に、被験者検知サーバSVを介して、エアコン・テレビ・照明等の家電機器の電源を強制的に切断したり、外出先の被験者が携帯電話で家電機器の遠隔操作をできるようにしたりすることも可能である。すなわち、被験者の不在検知を家電機器の消し忘れ防止等に活用でき、家電機器の電力利用の省力化、いわゆる、省エネに貢献できる。また、例えば、被験者の不在を検知した場合に、被験者検知サーバSVを介して、電子錠(電子ロック、デジタルロック)を閉錠したり、インターホンやドアホンの呼び出しボタンを押下した訪問者(訪問客、宅配業者、セールス、不審者等)と外出先の被験者とが携帯電話で通話やテレビ電話による対話ができるようにしたりすることも可能である。すなわち、被験者の不在検知を外出時の防犯対策等に活用できる。なお、不在時に家電機器の電源をオフにする技術については、例えば、特開2003−106624号公報や特開2009−117129号公報等に記載されており、不在時に電子錠を閉錠する技術については、例えば、特開2002−266536号公報等に記載されており、不在時にインターホンと携帯電話とによって通話する技術については、例えば、特開2002−374359号公報や特開2002−300295号公報等に記載されており、公知である。
【0106】
(H022)前記実施例では、クライアントパソコンPCや携帯電話MPを、被験者情報の記憶(被験者情報の履歴の蓄積)、異常通報、不在通報、被験者検知画像による視認による確認に使用したが、例えば、被験者検知サーバSVとインターホン(ドアホン)とを接続して、訪問者によってインターホンの呼び出しボタンが押下された場合に、各受信端末PC,MPとインターホンとによって通話やテレビ電話できるようにすることも可能である。この場合、各受信端末PC,MPのユーザ(近隣住民やホームヘルパーや介護ボランティアや介護福祉士等の看視者、監視者、親族等)が、被験者を代理して、不審者やセールス等の訪問者に応対することも可能であり、留守であると判断した泥棒に侵入されたり、高齢者等の被験者が不当に高額な商品を押し売りされたりする等の犯罪の防止に活用できる。
【0107】
(H023)前記実施例では、各センサCA,SN1,(SP+MC)からの出力信号により、被験者の異常を検知したり、被験者の不在を検知したりしたが、例えば、各センサCA,SN1,(SP+MC)からの出力信号により、室内の被験者以外の人物やペット等を検知することも可能である。この場合、例えば、室内に居る人数やペットの頭数に応じて、エアコンの室内温度を自動設定することも可能である。また、例えば、被験者の不在時に被験者以外の人物を検知した場合には、不審者・不法侵入者等であると判別して、防犯センサを介して警備会社等に通報したり、防犯ベルを鳴らしたり、警察や病院等に自動通報したりすることも可能である。
【0108】
(H024)前記実施例では、室内の1人の被験者を対象として、各センサCA,SN1,(SP+MC)による異常検知や不在検知を実行したが、被験者の人数は1人に限定されず、室内の複数人の被験者(例えば、病院の4人部屋の4名の入院患者)を対象として、各センサCA,SN1,(SP+MC)による異常検知や不在検知を実行することも可能である。なお、この場合、各センサCA,SN1,(SP+MC)については、被験者の人数に応じた数を配置しなくても、各センサCA,SN1,(SP+MC)を大部屋に1台づつ配置して、各被験者の異常検知・不在検知を別々に検知することも可能である。すなわち、カメラCAの室内画像から各被験者の被験者画像・輪郭画像を別々に識別したり、感圧センサの検知信号から各被験者の生体情報を分離して測定したり、音声抽出部材が抽出した音声から各被験者の音声情報を分離して抽出したりすることにより、各被験者の異常検知・不在検知を別々に検知することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の前記被験者検知システムSは、例えば、団地等の集合住宅における独居老人等の被験者の安否確認、在宅看護、遠隔診断、カルテ作成、介護レベル認定、統計データ作成等を簡易に実施したり、被験者の身体の異常を検知した場合に、地方自治体や地域包括支援センターや総合病院等の管理センター(クライアントパソコンPC)に通報して医師や看護士等(受信端末PC,MPのユーザ)による迅速な救命処置を実施したり、救急車よりも迅速に駆けつけられる親族(別居近親者)や近隣住人や介護士や電気・ガスメータの検針員や新聞配達員等(受信端末PC,MPのユーザ)に通報して応急処置を実施したりする場合等に有用である。また、例えば、前記集合住宅の近隣大学と提供し、空き室を学生宿舎として低家賃で提供して、学生を見守り要因や介護ボランティア等(受信端末PC,MPのユーザ)として呼び込むことにより、学生の金銭面の負担の軽減や、介護士等のマンパワーの軽減や、地域コミュニティの活性化、例えば、若者との触れ合いを通じて高齢者の生きがいの創出、高齢者から若者への文化の継承、集合住宅の限界集落化の防止等に貢献することも期待できる。
【符号の説明】
【0110】
C3…撮像判別手段、
C4…不在判別手段、
C10…輪郭抽出手段、
C12…異常判別手段、
C12C…不動作判別手段、
C102…不在通報手段、
C104…異常通報手段、
C107…画像表示手段、
C107A…切替判別手段、
CA…撮像部材、
h…被験者の単位時間あたりの心拍数、
m…被験者の単位時間あたりの体動数、
n…被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数、
Nmax…不動作用閾値、
r…被験者の単位時間あたりの呼吸数、
S…被験者検知システム、
SN1…生体情報測定部材、感圧センサ、
(SP+MC)…音声抽出部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の画像としての被験者画像を撮像する撮像部材と、
前記撮像部材によって予め設定された時間間隔で連続して撮像された前記被験者画像を第1被験者画像および第2被験者画像とした場合に、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段と、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段によって前記被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段と、
を備えたことを特徴とする被験者検知システム。
【請求項2】
前記被験者画像から前記被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段によって前記第1被験者画像および前記第2被験者画像から前記被験者の輪郭を抽出した画像を第1輪郭画像および第2輪郭画像とした場合に、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する前記不動作判別手段と、
前記時間間隔ごとに前記輪郭画像を表示する画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の被験者検知システム。
【請求項3】
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の被験者検知システム。
【請求項4】
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合、且つ、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替える入力がされた場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別する切替判別手段と、
前記切替判別手段によって前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の被験者検知システム。
【請求項5】
前記被験者の予め設定された行動範囲内を撮像可能に配置された前記撮像部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項6】
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数が予め設定された不動作用閾値を超えた場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項7】
前記被験者の生体情報を測定する生体情報測定部材と、
前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項8】
前記被験者の心拍と呼吸と体動とに応じた圧力の波形を検知する薄膜状の感圧センサによって構成された前記生体情報測定部材と、
前記感圧センサからの検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの心拍数が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの呼吸数が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの体動数が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外であると判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の被験者検知システム。
【請求項9】
前記被験者の予め設定された行動範囲に敷き詰めて配置された前記感圧センサ、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の被験者検知システム。
【請求項10】
前記被験者に発声を促すと共に、前記被験者の発声に伴う音声を抽出する音声抽出部材と、
前記音声抽出部材によって抽出された前記音声が予め設定された音声用正常範囲外である場合、且つ、前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項11】
前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する撮像判別手段と、
前記撮像判別手段によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、前記被験者が不在であると判別する不在判別手段と、
前記不在判別手段によって前記被験者が不在であると判別されたことを通報する不在通報手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項1】
被験者の画像としての被験者画像を撮像する撮像部材と、
前記撮像部材によって予め設定された時間間隔で連続して撮像された前記被験者画像を第1被験者画像および第2被験者画像とした場合に、前記第1被験者画像と前記第2被験者画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する不動作判別手段と、
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する異常判別手段と、
前記異常判別手段によって前記被験者の身体に異常が発生したと判別されたことを通報する異常通報手段と、
を備えたことを特徴とする被験者検知システム。
【請求項2】
前記被験者画像から前記被験者の輪郭の画像である輪郭画像を抽出する輪郭抽出手段と、
前記輪郭抽出手段によって前記第1被験者画像および前記第2被験者画像から前記被験者の輪郭を抽出した画像を第1輪郭画像および第2輪郭画像とした場合に、前記第1輪郭画像と前記第2輪郭画像との差分に基づいて、前記被験者が不動作の状態であるか否かを判別する前記不動作判別手段と、
前記時間間隔ごとに前記輪郭画像を表示する画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の被験者検知システム。
【請求項3】
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の被験者検知システム。
【請求項4】
前記異常通報手段によって前記被験者の身体に異常が発生したことが通報された場合、且つ、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替える入力がされた場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別する切替判別手段と、
前記切替判別手段によって前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えると判別された場合に、前記輪郭画像を前記被験者画像に切り替えて表示する前記画像表示手段、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の被験者検知システム。
【請求項5】
前記被験者の予め設定された行動範囲内を撮像可能に配置された前記撮像部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項6】
前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると連続して判別された回数が予め設定された不動作用閾値を超えた場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項7】
前記被験者の生体情報を測定する生体情報測定部材と、
前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が予め設定された最小値から最大値までの生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項8】
前記被験者の心拍と呼吸と体動とに応じた圧力の波形を検知する薄膜状の感圧センサによって構成された前記生体情報測定部材と、
前記感圧センサからの検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの心拍数が予め設定された最小心拍数から最大心拍数までの心拍用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの呼吸数が予め設定された最小呼吸数から最大呼吸数までの呼吸用正常範囲外である場合、または、前記検知信号に基づく前記被験者の単位時間あたりの体動数が予め設定された最小体動数から最大体動数までの体動用正常範囲外である場合に、前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外であると判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の被験者検知システム。
【請求項9】
前記被験者の予め設定された行動範囲に敷き詰めて配置された前記感圧センサ、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の被験者検知システム。
【請求項10】
前記被験者に発声を促すと共に、前記被験者の発声に伴う音声を抽出する音声抽出部材と、
前記音声抽出部材によって抽出された前記音声が予め設定された音声用正常範囲外である場合、且つ、前記生体情報測定部材によって測定された前記生体情報の測定値が前記生体用正常範囲外である場合、且つ、前記不動作判別手段によって前記被験者が不動作の状態であると判別された場合に、前記被験者の身体に異常が発生したと判別する前記異常判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の被験者検知システム。
【請求項11】
前記被験者画像が撮像されたか否かを判別する撮像判別手段と、
前記撮像判別手段によって前記被験者画像が撮像されていないと判別された場合に、前記被験者が不在であると判別する不在判別手段と、
前記不在判別手段によって前記被験者が不在であると判別されたことを通報する不在通報手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の被験者検知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【公開番号】特開2011−30919(P2011−30919A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182133(P2009−182133)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
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