説明

裁断用紙、裁断装置および裁断用紙の製造方法

【課題】磁性ワイヤ14の端部(切断端)が裁断用紙本体の裁断縁部から突出するのを抑制するようにした裁断用紙を提供する。
【解決手段】裁断用紙本体12と、裁断用紙本体12の裁断縁部20に部分的に形成され、裁断用紙本体12の内側に向けて切り欠かれた切欠部22と、裁断用紙本体12に含まれ、切欠部22において端部が露出する磁性ワイヤ14と、を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断用紙、裁断装置および裁断用紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線状又は棒状の磁性体(大バルクハウゼン効果を示すように適切な長さに切断された磁性ワイヤ)を含む裁断用紙について開示されている。具体的には、一定サイズに裁断された裁断用紙などの記録媒体上で、磁性体が所望の分布状態となっているか否かを適性に検査するような検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−272794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、磁性体の端部が裁断用紙本体の縁部から突出するのを抑制するようにした裁断用紙、そのための裁断装置および裁断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の裁断用紙は、裁断用紙本体と、前記裁断用紙本体の縁部に部分的に形成され、前記裁断用紙本体の内側に向けて切り欠かれた切欠部と、前記裁断用紙本体に含まれ、前記切欠部において端部が露出する線状又は棒状の磁性体と、を有することを特徴とする。
なお、裁断用紙とは、裁断された用紙である。
【0006】
本発明の請求項2の裁断装置は、線状又は棒状の磁性体を含む用紙を前記磁性体の長尺方向と交差する方向の裁断線に沿って裁断する裁断手段と、前記裁断線と前記磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜く打抜手段と、を有することを特徴とする。
なお、裁断線とは、用紙に対して、予め裁断手段により裁断する線を想定したものである。
【0007】
本発明の請求項3の裁断装置は、請求項2に記載の裁断装置において、前記打抜手段によって前記交差部位を含む領域を打ち抜いた後、前記裁断手段によって前記用紙を前記裁断線に沿って裁断することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4の裁断装置は、請求項2または請求項3に記載の裁断装置において、さらに、前記打抜手段の前記磁性体と接触する位置が変更されるように、前記打抜手段を回転させる回転手段、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5の裁断装置は、請求項4に記載の裁断装置において、前記打抜手段は、打ち抜き方向から見た場合において円形を呈することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6の裁断装置は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の裁断装置において、さらに、前記交差部位を検出する検出手段、を有し、前記打抜手段は、前記検出手段によって検出された前記交差部位を含む領域を打ち抜くことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7の裁断装置は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の裁断装置において、前記裁断手段と前記打抜手段とが一体化されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8の裁断用紙の製造方法は、線状又は棒状の磁性体を含む用紙を前記磁性体の長尺方向と交差する方向の裁断線に沿って裁断する裁断工程と、前記裁断線と前記磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜く打抜工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9の裁断用紙の製造方法は、請求項8に記載の裁断用紙の製造方法において、前記打抜工程によって前記交差部位を含む領域を打ち抜いた後、前記裁断工程によって前記用紙を前記裁断線に沿って裁断することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10の裁断用紙の製造方法は、請求項8または請求項9に記載の裁断用紙の製造方法において、さらに、前記打抜工程で使用される打抜手段の前記磁性体と接触する位置が変更されるように、前記打抜手段を回転させる回転工程、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11の裁断用紙の製造方法は、請求項10に記載の裁断用紙の製造方法において、前記打抜工程で使用される打抜手段は、打ち抜き方向から見た場合において円形を呈することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12の裁断用紙の製造方法は、請求項8〜11のいずれか1項に記載の裁断用紙の製造方法において、さらに、前記交差部位を検出する検出工程、を有し、前記打抜工程は、前記検出工程において検出された前記交差部位を含む領域を打ち抜くことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13の裁断用紙の製造方法は、請求項8〜11のいずれか1項に記載の裁断用紙の製造方法において、前記裁断工程で使用される裁断手段と前記打抜工程で使用される打抜手段とが一体化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の裁断用紙によれば、裁断用紙本体の縁部に切欠部を有さない場合に比べて、磁性体の端部が裁断用紙本体の縁部から突出するのを抑制することができる。
【0019】
本発明の請求項2に記載の裁断装置によれば、打抜手段を有さない場合に比べて、磁性体の端部が用紙の縁部から突出するのが抑制されるように用紙を裁断することができる。
【0020】
本発明の請求項3に記載の裁断装置によれば、裁断手段によって用紙を裁断線に沿って裁断した後、打抜手段によって交差部位を含む領域を打ち抜く場合に比べて、裁断手段の使用寿命を延長させることができる。
【0021】
本発明の請求項4に記載の裁断装置によれば、打抜手段の磁性体と接触する位置が変更されない場合に比べて、打抜手段の使用寿命を延長させることができる。
【0022】
本発明の請求項5に記載の裁断装置によれば、打抜手段が多角形(例えば正方形や正六角形)である場合に比べて、打抜手段の使用寿命を一層延長させることができる。
【0023】
本発明の請求項6に記載の裁断装置によれば、磁性体が用紙に不規則に含まれる場合でも裁断線と磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜くことができる。
【0024】
本発明の請求項7に記載の裁断装置によれば、本構成を採用しない場合に比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0025】
本発明の請求項8に記載の裁断用紙の製造方法によれば、打抜工程を有さない場合に比べて、磁性体の端部が用紙の縁部から突出するのが抑制された裁断用紙を製造することができる。
【0026】
本発明の請求項9に記載の裁断用紙の製造方法によれば、裁断工程によって用紙を裁断線に沿って裁断した後、打抜工程によって交差部位を含む領域を打ち抜く場合に比べて、裁断工程で使用される裁断手段の使用寿命を延長させることができる。
【0027】
本発明の請求項10に記載の裁断用紙の製造方法によれば、打抜工程で使用される打抜手段の磁性体と接触する位置が変更されない場合に比べて、打抜工程で使用される打抜手段の使用寿命を延長させることができる。
【0028】
本発明の請求項11に記載の裁断用紙の製造方法によれば、打抜工程で使用される打抜手段が多角形(例えば正方形や正六角形)である場合に比べて、打抜工程で使用される打抜手段の使用寿命を一層延長させることができる。
【0029】
本発明の請求項12に記載の裁断用紙の製造方法によれば、磁性体が用紙に不規則に含まれる場合でも裁断線と磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜くことができる。
【0030】
本発明の請求項13に記載の裁断用紙の製造方法によれば、本構成を採用しない場合に比べて、この製造方法を使用するための装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る裁断用紙の平面図および側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る裁断用紙の比較例としての裁断用紙の平面図および側面図である。
【図3】(A)本発明の第1実施形態に係る裁断装置の構成図である。(B)本発明の第1実施形態に係る裁断用紙の製造経過を示す図である。
【図4】(A)本発明の第1実施形態に係る裁断装置の打抜機のX方向から見た場合の構成図である。(B)本発明の第1実施形態に係る裁断装置の打抜機のZ方向から見た場合の構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る裁断装置の打抜機の打抜刃の別態様を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る裁断用紙の平面図および側面図である。
【図7】(A)本発明の第2実施形態に係る裁断装置の構成図である。(B)本発明の第2実施形態に係る裁断用紙の製造経過を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る裁断装置の打抜機のZ方向から見た場合の構成図である。
【図9】図8の打抜機の別態様を示す構成図である。
【図10】図7の裁断装置において磁性ワイヤが正弦波状に埋設されるロール紙を裁断する場合の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る裁断用紙、裁断装置および裁断用紙の製造方法の実施形態について、添付の図面に沿って説明する。
【実施例1】
【0033】
先ず、本発明に係る裁断用紙、裁断装置および裁断用紙の製造方法の第1実施形態について説明する。
【0034】
(裁断用紙)
図1は、本発明の第1実施形態に係る裁断用紙10の平面図および側面図を示している。裁断用紙10は、裁断用紙本体12と、裁断用紙本体12に含まれる線状又は棒状の磁性体(以下、「磁性ワイヤ」という)14を有しており、磁性ワイヤ14が予め埋設された(抄き込まれた)ロール紙16(図3参照)を裁断線18に沿って裁断されて製造されるものである。なお、磁性ワイヤ14が裁断用紙本体12の表面あるいは裏面に貼り付けられている態様であってもよく、その場合も磁性ワイヤ14が裁断用紙本体12に含まれるものとされる。
【0035】
磁性ワイヤ14が内部に埋設された裁断用紙10は、大バルクハウゼン効果によってその存在が検知可能なセキュリティペーパとして利用される。具体的には、裁断用紙10はその表面に文字や画像などを印刷することで紙幣、有価証券、旅券、各種の権利証書および各種の証明書などの作成並びに商品の盗難防止用のラベルなどの作成に用いられる。
【0036】
なお、本実施形態では、裁断用紙10のサイズを例えばA4サイズとしている。磁性ワイヤ14としては、裁断用紙10の内部に埋設されていることが目視で判断し難い線径、例えば30μm-50μm程度とするとよい。説明の便宜上、図中において磁性ワイヤ14の太さを太く誇張して描いている。磁性ワイヤ14の材質としては、例えばCo−Fe−Ni−B−Siからなるアモルファスコバルト鉄合金など、保磁力の低い任意の磁性材料とするとよい。磁性ワイヤ14は、当然のことながら裁断用紙本体12に比べて硬度の高い材料である。磁性ワイヤは、電子写真プリント用紙のように絶縁性を要求される場合は、1μm-5μm厚みのガラスで被覆された形態で用いられるが、それ以外の用途では被覆されない形態でも用いられる。
【0037】
図1に示すように、裁断用紙本体12には、裁断用紙本体12の長手方向に沿って2本の磁性ワイヤ14が埋設されている。裁断用紙本体12の長手方向の両側が裁断されており、その両側には裁断縁部20が形成されている。そして、この裁断縁部20には、裁断用紙本体12の内側(中央側)に向かって切り欠かれた切欠部22が部分的に形成されている。具体的に、切欠部22は、裁断用紙本体12の裁断縁部20の片側に2個ずつ、計4個形成されている。そして、2本の磁性ワイヤ14の両端部(切断端)がそれら切欠部22において露出している。なお、これら切欠部22は、後述するように、ロール紙16における裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24(図3参照)を含む領域を打抜刃34(図3参照)によって磁性ワイヤ14ともども打ち抜くことによって形成される。なお、切欠部は、例えば直径0.5〜1.0mmの半円形を呈しており、打抜刃234の種類により、大きさ、形状を変更することができる。
【0038】
図2は、本実施形態の裁断用紙10の比較例としての裁断用紙100の平面図および側面図を示している。裁断用紙100は、裁断用紙10と同様に磁性ワイヤ14が埋設されているが、裁断縁部20において切欠部22が形成されておらず、磁性ワイヤ14の両端部が裁断縁部20において露出している。
【0039】
磁性ワイヤ14が埋設されたロール紙16(図3参照)を磁性ワイヤ14と交差する裁断線18に沿って磁性ワイヤ14ともども裁断する場合、磁性ワイヤ14が裁断線18から引き出されながら裁断される結果、裁断用紙100の裁断縁部20から磁性ワイヤ14の端部が突出することとなる。特にロール紙16(図3参照)を裁断する裁断刃56(図3参照:打抜機32を動作させない場合)が使用により劣化してくると、磁性ワイヤ14の端部の突出が顕著となる。このため、裁断用紙100を例えば複数枚重ねて手で持つと、裁断縁部20から突出した磁性ワイヤ14が手にチクチクと触り、不快感を受けることがある。
【0040】
しかしながら、裁断用紙10にあっては、裁断縁部20には内側に向けて切り欠かれた切欠部22が形成されており、磁性ワイヤ14の端部はその切欠部22において露出されている。そのため、磁性ワイヤ14の端部が裁断縁部20から突出するのが抑制されている。従って、裁断用紙10を例えば複数枚重ねて手で持った場合でも、磁性ワイヤ14の端部が手にチクチクと触ることがなく、不快感を受けることがない。
【0041】
(裁断装置および裁断用紙の製造方法)
次に、裁断用紙10を製造するための裁断装置28および裁断用紙10の製造方法を説明する。
【0042】
図3は、裁断用紙10を製造するための裁断装置28および裁断用紙10の製造経過を示している。図3(A)に裁断装置28の構成を示し、図3(B)に裁断用紙10の製造経過を示している。
【0043】
磁性ワイヤ14が予め幅方向の一定位置に埋設されたロール紙16は、搬送ロール30により引き出され、図中に示すX方向に搬送される。なお、図中において、ロール紙16の搬送方向をX方向とし、ロール紙16の幅方向をY方向とし、ロール紙16の厚み方向(上下方向)をZ方向としている。磁性ワイヤ14が予め幅方向の一定位置に埋設されているロール紙16の製造方法は、例えば特開2007−31044号公報に記載されている。
【0044】
搬送ロール30によって搬送されたロール紙16は、抜打工程における打抜機(パンチングマシン)32に送られる。打抜機32に送られたロール紙16は、打抜機32の打抜手段の一例としての打抜刃34によって打ち抜かれ、ロール紙16には打抜孔(貫通孔)36が形成される。打抜孔36は、裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を含む領域が磁性ワイヤ14ともども打ち抜かれることで形成される。磁性ワイヤ14がロール紙16の搬送方向に沿って2本埋設されていることに対応し、打抜孔36はロール紙16の幅方向において2箇所形成される。
【0045】
図4は、打抜機32の構成を示している。図4(A)はX方向から見た場合の打抜機32の構成を示し、図4(B)はZ方向から見た場合の打抜機32の構成を示している。
【0046】
打抜機32は、Z方向に可動自在とされる2本の可動ロッド38と、2本の可動ロッド38それぞれの先端に取り付けられる2個の打抜刃34と、2個の打抜刃34それぞれの外形に対応する形状を有すると共にZ方向に沿って穿設された2個のパンチ孔40を有するパンチ台42とを備えている。また、パンチ台42には、Z方向における中央部においてロール紙16を挿通するための挿通孔44が形成されている。なお、2本の可動ロッド38は例えば油圧機や電磁ソレノイドなどの駆動手段によって駆動される。
【0047】
パンチ台42の挿通孔44にロール紙16を挿通させた状態で、2個の打抜刃34それぞれをパンチ孔40の内壁に沿って上下に往復移動させることで、ロール紙16には打抜孔36が2個形成される。2個の打抜刃34およびパンチ孔40のY方向における位置は、ロール紙16に埋設されている2本の磁性ワイヤ14の位置に対応しており、打抜刃34によって磁性ワイヤ14が切断される。
【0048】
2個の打抜刃34はそれぞれ、断面視(打ち抜き方向から見た場合において)円形を呈している。打抜刃34の磁性ワイヤ14を切断する部位は他の部位に比べて使用劣化が激しいため、打抜刃34の磁性ワイヤ14と接触する位置が変更されるように、打抜機32には打抜刃34をZ方向を軸として回転させる回転手段の一例としての回転機構46を設けている。
【0049】
回転機構46は、2本の可動ロッド38それぞれの上部側に設けられる2個のピニオンギア48と、2個のピニオンギア48それぞれに噛み合わされるラック50とを主たる構成要素としている。適宜な手段によってラック50をY方向において移動させると、可動ロッド38および打抜刃34がZ方向を軸として回転する。なお、ピニオンギア48の各歯はZ方向に沿う平歯とされているので、可動ロッド38のZ方向の移動を阻害しない。
【0050】
このように、打抜刃34によってロール紙16を磁性ワイヤ14ともども打ち抜いて打抜孔36を形成する必要があるため打抜刃34には耐久性が求められるが、打抜刃34の磁性ワイヤ14と接触する位置を回転機構46によって適宜に変更して打抜刃を使用することで、打抜刃34の使用寿命を延長させられる。また、打抜刃34の断面視形状を円形としているので、打抜刃34の外周部を均等に使用することが可能であり、他の形状(例えば正方形や正六角形)とする場合に比べて、使用寿命を一層延長させられる。尚、打抜刃34を全体として円柱状を呈するものとしたが、打抜刃34の使用寿命や打抜性を考慮して図5に示すような形状としてもよい。
また、打抜刃34は、特開2007−44796、特開2009−233828に記載されている材質(SK、SKS、SUS440C、オーステナイト系ステンレス等の鋼材)、形状(円形、三角形、四角形等)を適宜使用することができる。
【0051】
図3に戻って説明を続けると、打抜工程において打抜孔36が形成されたロール紙16は、搬送ロール52を経て、裁断工程における裁断機(カットマシン)54に送られる。
【0052】
裁断機54は、Z方向に可動自在とされる裁断手段の一例としての裁断刃56と、裁断刃56のZ方向の移動をガイドするガイド孔58を有するカット台60とを備えている。裁断刃56の幅(Y方向における長さ)は、ロール紙16の幅よりも大きく設定されている。カット台60には、Z方向における中央部においてロール紙を挿通するための挿通孔62が形成されている。なお、裁断刃56は例えば油圧機や電磁ソレノイドなどの駆動手段によって駆動される。
【0053】
カット台60の挿通孔62にロール紙16を挿通させた状態で、裁断刃56をガイド孔58に沿って上下に移動させることで、ロール紙16は裁断刃56によって裁断される。図4(B)に示すように、ロール紙16を裁断線18に沿って裁断することで、一定サイズ(例えばA4サイズ)の裁断用紙10が製造される。また、裁断線18上に存在する打抜孔36が分割される結果、裁断用紙10の裁断縁部20には、切欠部22が形成されることとなる。なお、一定サイズとされた裁断用紙10は、排出ロール64によって排出トレイ66に排出される。
【0054】
このように、裁断装置28(裁断用紙の製造方法)にあっては、ロール紙16を磁性ワイヤ14と交差する方向の裁断線18に沿って裁断するに際して、裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を含む領域を打ち抜くように構成した。それにより、裁断用紙10の裁断縁部20には内側に向けて切り欠かれた切欠部22が形成され、磁性ワイヤ14の端部はその切欠部22において露出することになる。従って、磁性ワイヤ14の端部が裁断用紙10の裁断縁部20から突出するのが抑制されるようにロール紙16を裁断することが可能となる。
【0055】
また、裁断線18上に存在する磁性ワイヤ14は、裁断工程の前工程である打抜工程において打ち抜かれているため、裁断工程において磁性ワイヤ14が裁断されることがない。従って、裁断刃56の使用寿命を延長させられる。
【0056】
なお、裁断装置28では、ロール紙16に予め裁断線18を規定し、ロール紙16に規定された裁断線18が打抜機32の直下に搬送されたときに打抜機32を動作させ、裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を含む領域を磁性ワイヤ14ともども打ち抜き、次いでロール紙16に規定された裁断線18が裁断機54の直下に搬送されたときに裁断機54を動作させ、ロール紙16を裁断線18に沿って裁断するように構成している。
【0057】
それとは別の構成として、ロール紙16の搬送速度Vおよび打抜機32と裁断機54との距離Lを予め規定し、打抜機32を動作させた時刻tに対して時刻t+L/Vにおいて裁断機54を動作させるようにしてもよい。それにより、裁断線18上に打抜孔36が形成され、裁断後の裁断用紙10の裁断縁部20に切欠部22が形成されることとなる。また、別の構成として、裁断機54の直前に打抜孔検知センサ(図示省略)を設け、該センサの検知信号に基づいて裁断機54を動作させるようにしてもよい。
【0058】
また、裁断装置28では、打抜工程における打抜機32と裁断工程における裁断機54とを別体として構成したが、それらを一体化してもよい(打抜工程と裁断工程とを同時に行うようにしてもよい)。具体的には、裁断刃56を幅方向において2本の磁性ワイヤ14に対応する位置で分割すると共に、分割された裁断刃56の間に打抜刃34を介装することで打抜機32と裁断機54とを一体化する。それにより、裁断装置28の小型化が図れる。
【実施例2】
【0059】
次いで、本発明に係る裁断用紙、裁断装置および裁断用紙の製造方法の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付す。
【0060】
(裁断用紙)
図6は、第2実施形態の裁断用紙200の平面図および側面図を示している。裁断用紙200においては、複数の磁性ワイヤ14が裁断用紙本体12に不規則(ランダム)に埋設されている。裁断用紙200の裁断縁部20において切欠部22が6個形成されおり、複数の磁性ワイヤ14の内の6個の磁性ワイヤ14の端部がそれぞれ切欠部22において露出している。そのため、磁性ワイヤ14の端部が裁断縁部20から突出するのが抑制されている。従って、裁断用紙200を例えば複数枚重ねて手で持った場合でも、磁性ワイヤ14の端部が手にチクチクと触ることがなく、不快感を受けることがない。なお、後述するように、切欠部22は裁断線18上に存在する磁性ワイヤ14に対応して形成されるため、切欠部22の個数は6個に限定されるものではない。
【0061】
(裁断装置および裁断用紙の製造方法)
次に、裁断用紙200を製造するための裁断装置202および裁断用紙200の製造方法を説明する。
【0062】
図7は、裁断用紙200を製造するための裁断装置202および裁断用紙200の製造経過を示している。図7(A)は裁断装置202の構成を示し、図7(B)は裁断用紙200の製造経過を示している。
【0063】
磁性ワイヤ14が予め不規則に埋設されたロール紙204は、搬送ロール30により引き出され、図中に示すX方向に搬送される。なお、図中において、ロール紙204の搬送方向をX方向とし、ロール紙204の幅方向をY方向とし、ロール紙204の厚み方向(上下方向)をZ方向としている。磁性ワイヤ14が予め不規則に埋設されているロール紙204の製造方法は、例えば特開2007−169837号公報に記載されている。
【0064】
搬送ロール30によって搬送されたロール紙204は、検出工程における検出器206に送られる。検出器206は、ロール紙204の上方に配置されてロール紙に向けて光を投光する投光器208と、ロール紙204の下方に配置されてロール紙204を通過した光を受光する受光器210とを備えている。検出器206は、受光器210で受光される光の明暗に基づき、ロール紙204における裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を検出する。検出器206は次工程の打抜機212と信号線214を通じて電気的に接続されており、検出器206によって検出された交差部位24の位置情報は打抜機212に送信される。
【0065】
次いでロール紙204は、抜打工程における打抜機(パンチングマシン)212に送られる。図7(A)に示すように、第2実施形態の打抜機212も第1実施形態の打抜機32と同様にZ方向に可動される打抜手段の一例としての打抜刃34によってロール紙204に打抜孔36を形成可能とされている。但し、図8に示すように、第2実施形態の打抜機212では、打抜刃34が複数個(例えば11個)ロール紙204の幅方向(Y方向)に沿って並べられている。また、これら複数の打抜刃34は互いに独立に動作可能とされている。そして、検出器206から送信される交差部位24の位置情報に基づき、その位置に対応する打抜刃34を動作させ、その交差部位24を含む領域を打ち抜くことで打抜孔36が形成されるように構成されている。
【0066】
例えば、図8に示すように、検出器206によって交差部位24がロール紙204の幅方向の位置Y2および位置Y8において検出された場合、位置Y2および位置Y8に対応する図中の下から2番目と8番目の打抜刃34が動作され、ロール紙204の裁断線18に沿って2個の打抜孔36が形成される。
【0067】
なお、図示は省略するが、第2実施形態の打抜機212も第1実施形態の打抜機32と同様な打抜刃34を回転させる回転機構46を有している。
【0068】
打抜工程において打抜孔36が形成されたロール紙204は、搬送ロール52を経て、裁断工程における裁断機54に送られる。裁断工程以降は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0069】
このように、第2実施形態の裁断装置202(裁断用紙の製造方法)にあっても、ロール紙204を磁性ワイヤ14と交差する方向の裁断線18に沿って裁断するに際して、裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を含む領域を打ち抜くように構成した。それにより、裁断用紙200の裁断縁部20には内側に向けて切り欠かれた切欠部22が形成され、磁性ワイヤ14の端部はその切欠部22において露出することになる。従って、磁性ワイヤ14の端部が裁断用紙200の裁断縁部20から突出するのが抑制されるようにロール紙204を裁断することが可能となる。
【0070】
また、裁断線18上に存在する磁性ワイヤ14は、裁断工程の前工程である打抜工程において打ち抜かれているため、裁断工程において磁性ワイヤ14が裁断されることがない。従って、裁断刃56の使用寿命を延長させられる。
【0071】
また、ロール紙204に磁性ワイヤ14が不規則に埋設される場合であっても、検出工程においてロール紙204における裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を検出し、打抜工程において検出した交差部位24に対応する打抜刃34を動作させることで、交差部位24を含む領域が打ち抜かれ、打抜孔36が形成される。
【0072】
なお、裁断装置202では、ロール紙204に予め裁断線18を規定し、ロール紙204に規定された裁断線18が検出器206の直下に搬送されたときに検出器206を動作させ、ロール紙204における裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を検出し、次いでロール紙204に規定された裁断線18が打抜機212の直下に搬送されたときに打抜機212を動作させ、裁断線18と磁性ワイヤ14とが交差する交差部位24を含む領域を磁性ワイヤ14ともども打ち抜き、次いでロール紙204に規定された裁断線18が裁断機54の直下に搬送されたときに裁断機54を動作させ、ロール紙204を裁断線18に沿って裁断するように構成している。
【0073】
それとは別の構成として、ロール紙204の搬送速度V、検出器206と打抜機212との距離L1および打抜機212と裁断機54との距離L2を予め規定し、検出器206を動作させた時刻tに対して時刻t+L1/Vにおいて打抜機212を動作させると共に、時刻t+L1/V+L2/Vにおいて裁断機54を動作させるようにしてもよい。それにより、裁断線18上に打抜孔36が形成され、裁断後の裁断用紙200の裁断縁部20に切欠部22が形成されることとなる。また、別の構成として、裁断機54の直前に打抜孔検知センサ(図示省略)を設け、該センサの検知信号に基づいて裁断機54を動作させるようにしてもよい。
【0074】
また、裁断装置202では、図8に示すように複数個の打抜刃34をロール紙204の幅方向(Y方向)に沿って一列に並べるようにしたが、図9に示すように複数個の打抜刃34をロール紙の幅方向(Y方向)に沿って千鳥状に並べるようしてもよい。また、裁断装置202では、図10に示すように、磁性ワイヤ14が正弦波状に埋設されるロール紙304の裁断にも適している。
【0075】
また、第1実施形態と第2実施形態に共通する構成として、打抜工程で打抜孔36を形成した後に裁断工程で裁断するようにしたが、裁断工程で裁断した後に打抜工程の打抜機32,212を利用して裁断用紙10,200の裁断縁部20に切欠部22を形成するようにしてもよい。但し、打抜工程で打抜孔36を形成した後に裁断工程で裁断するようにした方が、裁断刃56の使用寿命を延長させられる。
【0076】
また、打抜手段として打抜刃34を採用したが、レーザビームを照射する光源を採用し、レーザビームによって打抜孔34を形成するようにしてもよい。同様に、裁断手段として裁断刃56を採用したが、レーザビームを照射する光源を採用し、レーザビームによって裁断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 裁断用紙
12 裁断用紙本体
14 磁性ワイヤ(線状又は棒状の磁性体の一例)
16 ロール紙(用紙の一例)
18 裁断線
20 裁断縁部
22 切欠部
24 交差部位
28 裁断装置
32 打抜機
34 打抜孔
34 打抜刃(打抜手段の一例)
36 打抜孔
46 回転機構(回転手段の一例)
48 ピニオンギア
50 ラック
54 裁断機
56 裁断刃(裁断手段の一例)
200 裁断用紙
202 裁断装置
204 ロール紙(用紙の一例)
206 検出器
208 投光器
210 受光器
212 打抜機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裁断用紙本体と、
前記裁断用紙本体の裁断縁部に部分的に形成され、前記裁断用紙本体の内側に向けて切り欠かれた切欠部と、
前記裁断用紙本体に含まれ、前記切欠部において端部が露出する線状又は棒状の磁性体と、
を有する裁断用紙。
【請求項2】
線状又は棒状の磁性体を含む用紙を裁断線に沿って裁断する裁断手段と、
前記用紙における前記裁断線と前記磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜く打抜手段と、
を有する裁断装置。
【請求項3】
前記打抜手段によって前記領域を打ち抜いた後、前記裁断手段によって前記用紙を前記裁断線に沿って裁断する請求項2に記載の裁断装置。
【請求項4】
さらに、前記打抜手段の前記磁性体と接触する位置が変更されるように、前記打抜手段を回転させる回転手段、を有する請求項2または請求項3に記載の裁断装置。
【請求項5】
前記打抜手段は、打ち抜き方向から見た場合において円形を呈する請求項4に記載の裁断装置。
【請求項6】
さらに、前記交差部位を検出する検出手段、を有し、
前記打抜手段は、前記検出手段によって検出された前記交差部位を含む領域を打ち抜く請求項2〜5のいずれか1項に記載の裁断装置。
【請求項7】
前記裁断手段と前記打抜手段とが一体化されている請求項2、4、5のいずれか1項に記載の裁断装置。
【請求項8】
線状又は棒状の磁性体を含む用紙を裁断線に沿って裁断する裁断工程と、
前記用紙における前記裁断線と前記磁性体とが交差する交差部位を含む領域を打ち抜く打抜工程と、
を有する裁断用紙の製造方法。
【請求項9】
前記打抜工程によって前記領域を打ち抜いた後、前記裁断工程によって前記用紙を前記裁断線に沿って裁断する請求項8に記載の裁断用紙の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記打抜工程で使用される打抜手段の前記磁性体と接触する位置が変更されるように、前記打抜手段を回転させる回転工程、を有する請求項8または請求項9に記載の裁断用紙の製造方法。
【請求項11】
前記打抜工程で、打ち抜き方向から見た場合において円形を呈する打抜手段を使用する請求項10に記載の裁断用紙の製造方法。
【請求項12】
さらに、前記交差部位を検出する検出工程、を有し、
前記打抜工程は、前記検出工程において検出された前記交差部位を含む領域を打ち抜く請求項8〜11のいずれか1項に記載の裁断用紙の製造方法。
【請求項13】
前記裁断工程と前記打抜工程とを同時に行う請求項8、10、11のいずれか1項に記載の裁断用紙の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−22654(P2013−22654A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156918(P2011−156918)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】