説明

装備品チェックアウト装置

【課題】 個人が装着・携行すべき装備品を短時間で確実にチェックするとともに、各装備品のトレーサビリティを確保する装備品チェックアウト装置を得る。
【解決手段】 IDカード1により認証された隊員の所持する装備品を、これらに付された無線タグ3により特定し、所持すべき装備品の情報が記録された個人別装備品リスト11、及びそれぞれの装備品の管理情報が記録された装備品管理リスト12を用いて、隊員の所持する装備品の過不足及び可用性をチェックし、その結果を表示部9に表示する。また、無線タグ3を付された装備品の管理情報は、装備品管理リスト12に一元化されて記録されるとともに、隊員が所持することによって装備品の使用が特定されるたびごとに、その装備品に対する使用履歴を更新する。加えて、装備品管理リスト12を表示部9に表示して記録されたリスト内容の参照を可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人が装着する装備品の状況をチェックする装備品チェックアウト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
隊員各人が装着・携行する装備品は、隊員一人ひとりが出発あるいは任務開始に先だって準備し点検を行なう。すなわち、隊員は、過不足や誤りのないように装備品を揃えた上で、各装備品を目視等により点検する。このときに、従来は、例えば所持品一覧表や各装備品の管理票など、紙ベースのものを用いて準備及び点検を進めることが多く、時間を要していた。
【0003】
このような、隊員が装着・携行する装備品の過不足や誤りをチェックするために適用しうる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示された事例では、紙ベースの帳票類を用いることなく、各携行品に取り付けたRFIDタグを利用して、携行品の持ち忘れを防止するシステムを構成している。
【特許文献1】特開2005−85186号公報(第7ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、隊員が装着あるいは携行する装備品の中には、定期的な点検整備等を必要とする物品も多い。このため、隊員が出発あるいは任務を開始するにあたって、装備品の過不足や誤りを短時間のうちにチェックすることはもちろん、特に、その可用性をも確認することが必要となる。また、各装備品を常に良好に機能する状態に維持するために、点検整備記録等を含めた物品を取得した以降の履歴情報を一元的に管理することが望まれる。
【0005】
しかしながら、従来の携行品チェックシステムでは、主にチェック時における携行品の過不足が通知され、個別の携行品自体については何も管理されない。このため、各装備品の履歴情報まで一元管理することは難しく、物品管理におけるトレーサビリティを十分に確保できなかった。
【0006】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、個人が装着・携行すべき装備品を短時間で確実にチェックするとともに、各装備品のトレーサビリティを確保する装備品チェックアウト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の装備品チェックアウト装置は、認証された個人が所持する装備品をこれら装備品に付された無線タグによりチェックする装備品チェックアウト装置であって、固有の識別情報を有し装備品のそれぞれに付された無線タグと、前記識別情報に対応づけて前記各装備品毎の管理情報が記録された装備品管理リストと、個人認証用の識別情報が記録されたIDカードと、前記個人認証用の識別情報に対応づけて個人の所持すべき前記装備品の情報が記録された個人別装備品リストと、前記IDカードの識別情報を読みとるカード読みとり部と、この読みとったIDカードの所有者が所持する装備品に付された前記無線タグの識別情報を読みとるタグ読みとり部と、前記カード読みとり部で読みとった前記個人認証用の識別情報に対応づけられた個人別装備品リストの内容と、前記タグ読みとり部で読みとった前記無線タグの識別情報に対応づけられた装備品の管理情報とを抽出するとともに、これらを比較し、その比較結果に基づきメッセージを編集する情報処理部と、この情報処理部で編集したメッセージを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、個人が装着・携行すべき装備品を短時間で確実にチェックできるとともに、一元化された物品管理により、個々の装備品に対するトレーサビリティを確保することができる装備品チェックアウト装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明に係る装備品チェックアウト装置を実施するための最良の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に係るチェックアウト装置の一実施例を示すブロック図である。このチェックアウト装置は、IDカード1、カード読みとり部2、無線タグ3、タグ読みとり部4、個人別装備品リスト記憶部5、装備品管理リスト記憶部6、操作部7、情報処理部8、表示部9、及び送受信部10から構成されている。
【0011】
IDカード1には、このIDカードの所有者の個人認証用の識別情報が記録されており、カード読みとり部2は、このIDカード1に記録された識別情報を読みとって後述する情報処理部8に送出する。無線タグ3は、装備品毎に付され、各無線タグ31〜3nそれぞれに異なる固有の識別情報を有している。タグ読みとり部4は、この無線タグ3の識別情報を読みとって情報処理部8に送出する。
【0012】
個人別装備品リスト記憶部5は、個人別装備品リスト11を記憶する。個人別装備品リスト11は、IDカードに記録された個人認証用の識別情報に対応づけて、この識別情報に該当する個人が所持すべき装備品の情報が記録されたリストである。本実施例における個人別装備品リスト11の構成の一例を図2に示す。この図2に示した事例では、この個人別装備品リスト11には、個人認証用の識別情報と、これに対応させてこの識別情報に該当する個人名、所属、及び所持すべき装備品の品名情報としての装備品名すべてが記録された構成としている。
【0013】
装備品管理リスト記憶部6は、装備品管理リスト12を記憶する。装備品管理リスト12は、各装備品に付された無線タグ3が有する固有の識別情報に対応づけて、それぞれの装備品の管理情報が記録されたリストである。本実施例における装備品管理リスト12の構成の一例を図3に示す。この図3に示した事例では、この装備品管理リスト12は、無線タグ3の識別情報と、これに対応させてこの識別情報に該当する装備品の品名情報としての装備品名、物品番号、取得日、使用履歴情報としての使用回数、所持者及び更新日、ならびに、整備履歴情報としての有効期限及び整備予定日が記録された構成としている。
【0014】
操作部7は、個人別装備品リスト11及び装備品管理リスト12を参照するための操作を含む装置に対する各種の指示操作を受けつけて情報処理部8に転送する。情報処理部8は、カード読みとり部2及びタグ読みとり部3からの読みとり結果と個人別装備品リスト11及び装備品管理リスト12の内容とを比較するとともに、操作部7で受けつけた操作に対応する各種の処理、及び装置全体の制御を行なう。表示部9は、これら情報処理部8での各種の処理結果を表示する。送受信部10は、個人別装備品リスト11及び装備品管理リスト12を他システムと授受・共有するための他システムとの通信インターフェースである。
【0015】
次に、前述の図1乃至図3、ならびに図4のフローチャート及び図5の説明図を参照して、上述のように構成された本発明に係る装備品チェックアウト装置の動作を説明する。以下の説明では、例えば、個人認証用のIDカードを所持する個人としての隊員が、出発あるいは任務開始に先だって自身の装着・携行している装備品をチェックする場面を取りあげている。
【0016】
図4は、図1に例示した本発明に係る装備品チェックアウト装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。まず、個人別装備品リスト記憶部5に、個人別装備品リスト11を設定する。この設定方法には、操作部7からの設定指示操作、あるいは送受信部10を経由して他システムから転送する等の手法が使用できる(ST1)。同様の手法により、装備品管理リスト記憶部6に、装備品管理リスト12を設定する(ST2)。
【0017】
次に、カード読みとり部2は、隊員の所有するIDカード1に記録された個人認証用の識別情報を読みとる。読みとられた個人認証用の識別情報は、情報処理部8に送られる(ST3)。情報処理部8では、個人別装備品リスト記憶部5に記憶された個人別装備品リスト11から、この個人認証用の識別情報に対応した記録内容を抽出する。本実施例においては、個人別装備品リスト11は図2に例示したように構成されており、このステップで抽出される内容には、この隊員の所持すべき装備品名(図2中のItem1、Item2等に対応)が含まれている。すなわち、隊員の所持すべき装備品名が抽出される(ST4)。
【0018】
これと合わせ、タグ読みとり部4は、隊員の所持する装備品毎に付された無線タグ3の識別情報を読みとる。各無線タグ3nは、それぞれに固有の識別情報を有しており、読みとられた識別情報は、すべて情報処理部8に送られる(ST5)。
【0019】
情報処理部8では、これらタグ読みとり部4からの識別情報を受けとって、まず、装備品管理リスト記憶部6に記憶された装備品管理リスト12中の該当する装備品の管理情報を更新する。本実施例においては、装備品管理リスト12は図3に例示したように構成されており、この事例では、該当する装備品の使用履歴である使用回数、所持者及び更新日が更新される(ST6)。これに続けて、情報処理部8は、該当するすべての装備品に対する更新後の管理情報を抽出する。すなわち、このステップによって、隊員の所持しているすべての装備品名とそれらの使用履歴及び整備履歴が抽出される(ST7)。
【0020】
次に、情報処理部8は、ST4のステップで抽出した個人別装備品リスト11の記録内容と、ST7のステップで抽出した各装備品の管理情報とを比較する。すなわち、ST4で抽出した隊員の所持すべき装備品名とST7で抽出したこの隊員が所持している装備品名とを比較して、隊員が所持すべき装備品に対する過不足を判定するとともに、ST7で抽出した隊員が所持している各装備品の整備履歴によりその可用性を判定する(ST8)。
【0021】
これらの比較・判定の処理結果に基づいて、情報処理部8は、装備品に対する過不足及び可用性の判定結果、及び判定理由を含んだ表示用のメッセージを編集する(ST9)。そして、このメッセージは表示部9に出力され、表示部9はこれを表示する(ST10)。
【0022】
比較・判定結果に基づき編集されたメッセージの表示例を図5に示す。この図5に示した事例では、隊員が所持すべき装備品名及び所持している装備品名のすべてを対象にして、それぞれの装備品毎にその判定結果及び判定理由、ならびに必要な管理情報を含むメッセージが通知されている。
【0023】
この後、さらに同様のチェックを継続する場合は(ST11のY)、再びST3からのステップが繰り返される。また、操作部7が装備品管理リスト12を参照するための指示操作を受けつけている場合には(ST12のY)、情報処理部8は、この指示操作に従って該当する装備品管理リスト12の記録内容を抽出して表示部9に送出し、表示部9は、これをリスト表示する(ST13)。そして、上述した一連の動作は、動作終了の指示がされるまで継続される(ST14)。
【0024】
以上説明したように、本実施例においては、IDカード1により認証された隊員の所持する装備品を、これらに付された無線タグ3により特定し、所持すべき装備品の情報が記録された個人別装備品リスト11、及びそれぞれの装備品の管理情報が記録された装備品管理リスト12を用いて、隊員の所持する装備品の過不足及び可用性をチェックし、その結果を表示部9に表示している。これにより、個人が装着・携行すべき装備品を短時間で確実にチェックできる装備品チェックアウト装置を得ることができる。
【0025】
また、無線タグ3を付された装備品の管理情報は、装備品管理リスト12に一元化されて記録されるとともに、隊員が所持することによって装備品の使用が特定されるたびごとに、その装備品に対する使用履歴を更新している。加えて、装備品管理リスト12を表示部9に表示して記録されたリスト内容の参照を可能にしている。これにより、個々の装備品に対する使用履歴を中心としたトレーサビリティを確保することができる。
【0026】
なお、図4による本実施例の動作の説明においては、個人別装備品リスト記憶部5に個人別装備品リスト11を設定するステップ(ST1)を、装備品管理リスト記憶部6に装備品管理リスト12を設定するステップ(ST2)に先行させているが、これを入れ替えて、ST2のステップをST1のステップに先行させてもよい。また、操作部7が装備品管理リスト12を参照するための指示操作を受けつけている場合にその内容を表示部9にリスト表示するステップ(ST12及びST13)を、チェックの継続するか否かを判定するステップ(ST11)の直後としたが、これらのステップを、ST2のステップからST10のステップのいずれかの直後とすることもでき、種々の変形が可能である。そして、いずれの場合にも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るチェックアウト装置の一実施例を示すブロック図。
【図2】個人別装備品リストの構成の一例をに示す説明図。
【図3】装備品管理リストの構成の一例を示す説明図。
【図4】本発明に係る装備品チェックアウト装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図5】メッセージの表示例を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 IDカード
2 カード読みとり部
3 無線タグ
4 タグ読みとり部
5 個人別装備品リスト記憶部
6 装備品管理リスト記憶部
7 操作部
8 情報処理部
9 表示部
10 送受信部
11 個人別装備品リスト
12 装備品管理リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証された個人が所持する装備品をこれら装備品に付された無線タグによりチェックする装備品チェックアウト装置であって、
固有の識別情報を有し装備品のそれぞれに付された無線タグと、
前記識別情報に対応づけて前記各装備品毎の管理情報が記録された装備品管理リストと、
個人認証用の識別情報が記録されたIDカードと、
前記個人認証用の識別情報に対応づけて個人の所持すべき前記装備品の情報が記録された個人別装備品リストと、
前記IDカードの識別情報を読みとるカード読みとり部と、
この読みとったIDカードの所有者が所持する装備品に付された前記無線タグの識別情報を読みとるタグ読みとり部と、
前記カード読みとり部で読みとった前記個人認証用の識別情報に対応づけられた個人別装備品リストの内容と、前記タグ読みとり部で読みとった前記無線タグの識別情報に対応づけられた装備品の管理情報とを抽出するとともに、これらを比較し、その比較結果に基づきメッセージを編集する情報処理部と、
この情報処理部で編集したメッセージを表示する表示部とを備えたことを特徴とする装備品チェックアウト装置。
【請求項2】
前記装備品管理リストに記録された装備品の管理情報は、これら装備品の品名情報、使用履歴情報、及び整備履歴情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の装備品チェックアウト装置。
【請求項3】
前記個人別装備品リストに記録された装備品の情報は、これら装備品の品名情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装備品チェックアウト装置。
【請求項4】
前記情報処理部の編集するメッセージは、前記カード読みとり部で読みとったIDカードの所有者が所持する前記装備品の過不足及び可用性を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の装備品チェックアウト装置。
【請求項5】
前記情報処理部は、さらに前記タグ読みとり部で読みとった無線タグの識別情報に基づき、該当する前記装備品管理リストの記録を更新することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の装備品チェックアウト装置。
【請求項6】
さらに、前記装備品管理リスト及び前記個人別装備品リストを参照するための操作を受けつける操作部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の装備品チェックアウト装置。
【請求項7】
さらに、前記装備品管理リスト及び前記個人別装備品リストを他装置と授受する送受信部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の装備品チェックアウト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−207178(P2007−207178A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28641(P2006−28641)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】