説明

装着バンド及び生体信号測定用プローブの生体への装着方法。

【課題】生体への装着が容易であると共に、プローブ部分の生体への装着圧力が装着手技によらず一定になって、プローブ部分における過渡な圧力による生体への局所圧迫による発赤・褥瘡様の症状が発生することの少ないプローブの装着バンドと提供する。
【解決手段】生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドであって、
前記装着バンドは、前記生体信号測定用プローブが保持される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えている装着バンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号を測定するための生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
プローブを生体に装着する際に使用するプローブ取付装置としては、生体に巻き付けられる帯状の緩和材と、緩和材が生体に巻き付けられた状態で緩和材を環状に接合する接合部と発光部と受光部が生体を介して相対向するように発光部と受光部を緩和材に保持せしめる保持部とを備えたものが知られている。(特許文献1参照)
また、プローブ(センサ)を生体に装着する際に使用するプローブ取付バンドとして、プローブの生体への装着に際して一定の圧力で固定するために、センサの勘合用の凹部を設けると共に、バンド巻き付けの締め付け圧力の調整するものが知られている。(特許文献2参照)
【特許文献1】特開平02−189132号公報
【特許文献2】米国特許第5919133号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のプローブの装着用バンドでは、生体へのプローブの装着圧力の調整を行うための装着操作工程が多くなり、迅速な生体への装着が必要な緊急時等では熟練を要するという問題があった。
また、生体への装着圧力がプローブ部分とそれ以外の部分とで異なって、プローブ部分における過度な圧力による生体への局所圧迫によって発赤・褥瘡様の症状が発生することがあった。
【0004】
本発明の課題(目的)は、生体への装着が容易であると共に、プローブ部分の生体への装着圧力が装着手技によらず一定になって、プローブ部分における過度な圧力による生体への局所圧迫による発赤・褥瘡様の症状が発生することの少ないプローブの装着バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の装着バンドは、生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドであって、前記装着バンドは、前記生体信号測定用プローブが保持される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えていることを特徴とする。(請求項1)
【0006】
また、前記装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を得るために、前記装着バンドに対して前記生体信号測定用プローブが保持される位置近傍にバンド長手方向に対して垂直に複数の切れ込みを備えることを特徴とする。(請求項2)
また、前記装着バンドを生体に巻き付けた状態で維持するための接合手段を備えていることを特徴とする。(請求項3)
また、前記接合手段は、前記装着バンドの少なくとも1端に設けられた面ファスナーであることを特徴とする。(請求項4)
【0007】
また、前記装着バンドの一端には、前記装着バンドの幅方向に突出した突起部を備えていることを特徴とする。(請求項5)
また、前記装着バンドの生体との接触面の前記プローブの装着予定部分は、粘着性を有する材料で構成されていることを特徴とする。(請求項6)
また、前記生体信号測定用プローブをカバーして保持可能な大きさで、且つ生体との接触面が粘着性材料で構成されたことを特徴とする。(請求項7)
【0008】
また、本発明の生体信号測定用プローブの生体への装着方法は、生体信号測定用プローブの挿入予定位置近傍における長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えた装着バンドを生体に巻き付け保持する工程と、前記挿入予定位置に生体信号測定用プローブを挿入装着する工程とを含むことを特徴とする。(請求項8)
また、生体信号測定用プローブの装着予定部分近傍の装着面が粘着性を有する材料で構成され、生体信号測定用プローブの挿入予定位置近傍における長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えた装着バンドの前記装着予定部分に生体信号測定用プローブを貼り付ける工程と、前記生体信号測定用プローブの貼り付けられた装着バンドを生体に巻き付け保持する工程とを含むことを特徴とする。(請求項9)
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜9に記載の生体信号測定用プローブの装着バンド及び生体信号測定用プローブの生体への装着方法によれば、生体への装着が容易であると共に、プローブ部分の生体への装着圧力が装着手技によらず一定になって、プローブ部分における過度な圧力による生体への局所圧迫による発赤・褥瘡様の症状が発生することの少ないプローブの装着バンドが実現でき、生体信号測定用プローブの生体への装着が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の生体信号を正確に測定するための生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドの要部を示す図である。
図1において、1は装着バンドであり、該バンドの生体信号測定用プローブの挿入箇所近傍に切り込み2が装着バンドの長手方向に略垂直に複数個形成されている。
【0011】
なお、この複数個の切り込みは、装着バンドを生体に巻き付けた状態で、前記生体信号測定用プローブが挿入される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を与えるための構成であって、装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を与える構成であれば、他の構成(装着バンドの中央部分と両縁部とで伸縮性の異なる素材を使用する等)を採用することも可能である。
【0012】
また、図1では装着バンドの一端(図1では左側端部)に突起部3が形成されている。
この突起部は、装着バンドを生体に巻き付ける際に、この突起部を指で保持して装着バンドを生体に一時的に押付固定した状態で、装着バンドの他端を生体(例えば、頭部若しくは指部)に巻き回することが容易になる。
【0013】
特に、生体に装着バンドを複数回巻き付ける際には、この突起部が存在しない場合には、2回目以降の巻き付けが装着バンドが一時的に押付け固定した指の上に巻かれることになって、装着バンドの巻き回しが容易ではない。
【0014】
図2は、本発明の生体信号測定用プローブと装着バンドの関係を示す図である。
図2においても図1と同様に、1は装着バンドであり、該バンドの生体信号測定用プローブの挿入箇所近傍に切り込み2が装着バンドの長手方向に略垂直に複数個形成され、端部には突起部3が形成されている。
また、図2では、生体信号測定用プローブとして、ほぼ円盤状の反射型のプローブ4が巻き回された装着バンドの装着位置に装着された際に、切り込み2が装着箇所で伸縮する状態を模式している。
【0015】
図3は、本発明の生体信号測定用プローブと装着バンドの関係を示す図である。
図3においても図1と同様に、1は装着バンドであり、該バンドの生体信号測定用プローブの挿入箇所近傍に切り込み2が装着バンドの長手方向に略垂直に複数個形成され、端部には突起部3が形成されている。
また、図3では、生体信号測定用プローブとして、横長形状の透過型のプローブ5が巻き回された装着バンドの装着位置に装着された際に、切り込み2が装着箇所で伸縮する状態を模式している。
【0016】
このような複数個の切り込みを設けたことによって、図2及び図3では、装着バンドを生体に巻き付けた状態で、前記生体信号測定用プローブが挿入される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を与えることが可能である。
【0017】
本発明の装着バンドは、生体への装着が容易であると共に、プローブ部分の生体への装着圧力が装着手技によらず一定になって、プローブ部分における過度な圧力による生体への局所圧迫による発赤・褥瘡様の症状が発生を少なくすることが可能になる。
【0018】
本発明の装着バンドによる生体信号測定用プローブの生体への装着は、先に装着バンドを生体の測定箇所に巻き付けた後に、複数個の切り込みが形成されている箇所に、生体信号測定用プローブを滑る込ませることによって容易に装着ができる。
【0019】
なお、本発明の装着バンドによる生体信号測定用プローブの生体への装着は、必ずしも上記の如く、装着バンドの巻き付後に滑り込ませる手法のみでなく、装着バンドの生体との接触面の前記プローブが装着される部分を粘着性を有する材料で構成しておくことによって、装着バンドに生体信号測定用プローブを予め貼り付けた状態で、生体に装着バンドを巻き付けても良い。
【0020】
次に、本発明の生体信号測定用プローブの装着バンドの実施例を図4を用いて説明する。
図4は生体(頭部)に生体信号測定用プローブを装着する際に使用されるもので、図4(a)はその側面図であり、図4(b)は平面図である。
【0021】
図4(a)の側面図に示す如く装着バンドは基本的に2層構造であって、生体に接触する面1cはスポンジ等の生体に優しい素材で構成されている。
また、装着バンドの突起部に対向する他端には、接合手段の一方を形成する面ファスナー(フック)が形成されている。
また、生体に接触する面1cの上面には、前記接合手段の他方を形成する面ファスナー(ループ)1aで構成されている。
また、装着バンドの突起部3に対向する端部には、前記面ファスナ(ループ)に接着する面ファスナ(フック)1bが設けられている。
なお、前記面ファスナー(ループ)1aは、図4では、装着バンドのほぼ全面に形成されているが、使用の形態に応じて必要部分のみでも良い。
【0022】
次に図5を用いて、本発明の生体信号測定用プローブの装着バンドの別の実施例の説明をする。
図1〜4では、装着バンドを生体に巻き付けることを前提にして説明をしているが、装着バンドの構成(材料)が、生体信号測定用プローブが保持される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えていれば、必ずしも生体に巻き付けて面ファスナで固定する必要はなく、図5の如くプローブを保持できる程度の大きさにして生体との接触面を生体信号測定用プローブを保持可能な粘着性の材料で構成することもできる。
この場合の形状は、生体信号測定用プローブをカバーして保持できる面積があれば、図示の如き矩形である必要はなく、任意の形状で良い。
【産業上の利用可能性】
【0023】
請求項1〜9に記載の装着バンド及び生体信号測定用プローブの生体への装着方法によれば、生体への装着が容易であると共に、プローブ部分の生体への装着圧力が装着手技によらず一定になって、プローブ部分における過度な圧力による生体への局所圧迫による発赤・褥瘡様の症状が発生することの少ないプローブの装着バンドが実現でき、生体信号測定用プローブの生体への装着が容易であるので、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドの要部を示す図である。
【図2】本発明の生体信号測定用プローブと装着バンドの関係を示す図である。
【図3】本発明の別の生体信号測定用プローブと装着バンドの関係を示す図である。
【図4】本発明の生体信号測定用プローブの装着バンドの実施例を示す図である。
【図5】本発明の生体信号測定用プローブの別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 :装着バンド
1a:面ファスナ(ループ)
1b:面ファスナ(フック)
1c:スポンジ
2 :切り込み
3 :突起部
4 :反射型生体信号測定用プローブ
5 :透過型生体信号測定用プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体信号測定用プローブを生体に装着する際に使用する装着バンドであって、
前記装着バンドは、前記生体信号測定用プローブが保持される位置近傍における装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えていることを特徴とする装着バンド。
【請求項2】
前記装着バンドの長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を得るために、前記装着バンドに対して前記生体信号測定用プローブが保持される位置近傍にバンド長手方向に対して垂直に複数の切れ込みを備えることを特徴とする請求項1に記載の装着バンド。
【請求項3】
前記装着バンドを生体に巻き付けた状態で維持するための接合手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装着バンド。
【請求項4】
前記接合手段は、前記装着バンドの少なくとも1端に設けられた面ファスナーであることを特徴とする請求項3に記載の装着バンド。
【請求項5】
前記装着バンドの一端には、前記装着バンドの幅方向に突出した突起部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装着バンド。
【請求項6】
前記装着バンドの生体との接触面の前記プローブの装着予定部分が、少なくとも粘着性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装着バンド。
【請求項7】
前記生体信号測定用プローブをカバーして保持可能な大きさで、且つ生体との接触面が粘着性材料で構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の装着バンド。
【請求項8】
生体信号測定用プローブの挿入予定位置近傍における長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えた装着バンドを生体に巻き付け保持する工程と、
前記挿入予定位置に生体信号測定用プローブを挿入装着する工程と、
を含むことを特徴とする生体信号測定用プローブの生体への装着方法。
【請求項9】
生体信号測定用プローブの装着予定部分近傍の装着面が粘着性を有する材料で構成され、生体信号測定用プローブの挿入予定位置近傍における長さ方向の両縁部よりも中央部が大きな伸縮性を備えた装着バンドの前記装着予定部分に生体信号測定用プローブを貼り付ける工程と、
前記生体信号測定用プローブの貼り付けられた装着バンドを生体に巻き付け保持する工程と、
を含むことを特徴とする生体信号測定用プローブの生体への装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−245701(P2008−245701A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87534(P2007−87534)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】