説明

装着ヘッド付き清掃具

【課題】簡単な操作によって、使い捨て用の清掃部材を容易に装着できると共に、清掃後に装着した清掃部材を手で触れることなく容易に廃棄できる装着ヘッド付き清掃具を提供する。
【解決手段】外ロッド14と、外ロッド14の挿通穴15に摺動可能に挿通されて、上端押圧部17が外ロッド14の上端押圧支持部18の上方に配置される内ロッド16と、内ロッド16と外ロッド14との間に介在して設けられて、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧した際に、上端押圧部17を押し戻そうとする付勢力を生じるばね部材19とを含んで構成される。装着ヘッド部11は、外ロッド14の下端部に設けられた外ロッド14の外径よりも外側に張り出す外ロッド張出し部20と、内ロッド16の下端部に設けられた内ロッド先端部21とを含み、上部押圧部17を押圧することで、外ロッド張出し部20と内ロッド先端部21との位置関係が相対的に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着ヘッド付き清掃具に関し、特に、先端の装着ヘッド部に使い捨て用の清掃部材を着脱可能に装着して使用する装着ヘッド付き清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッド部に使い捨て用のブラシ部材や使い捨て用のシート部材等を清掃部材として着脱可能に装着して、手軽に清掃を行うことができるようにした清掃具が種々提供されているが、例えばトイレ清掃に用いる清掃具の場合は、ブラシ部材等の清掃部材を、手で触れることなく清掃後にスムーズに取り外して廃棄できることが望ましい。
【0003】
このようなことから、ヘッド部に装着したブラシヘッドを、棒部(柄部)を構成するクラムシェル・ハウジングの内部に設けられたアクチュエータを作動させることで、手で触れることなく取り外せるようにした、使い捨て可能/交換可能なブラシヘッドを有するクリーニングブラシも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−530081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のクリーニングブラシでは、例えばトイレ清掃の後に、清掃部材であるブラシヘッドを手で触れることなく取り外して、そのまま水に流して廃棄することが可能であるが、クラムシェル・ハウジングの内部に設けられたアクチュエータの構造が複雑で高価になると共に、ブラシヘッドを取り外すための操作に手間がかかって使い勝手も良くないといった課題がある。
【0006】
本発明は、簡易な構成及び簡単な操作によって、ブラシ部材やシート部材等の清掃部材を着脱可能に容易に装着することができると共に、清掃後に装着した清掃部材を手で触れることなく容易に取り外して廃棄することのできる装着ヘッド付き清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、清掃具の先端の装着ヘッド部に使い捨て用の清掃部材を着脱可能に装着して使用する装着ヘッド付き清掃具であって、ロッドの軸方向に貫通する挿通穴を有する外ロッドと、前記挿通穴に摺動可能に挿通されて、上端押圧部が前記外ロッドの上端押圧支持部の上方に配置される内ロッドと、該内ロッドと前記外ロッドとの間に介在して設けられて、前記上端押圧部を前記上端押圧支持部に向けて押圧した際に、前記上端押圧部を押し戻そうとする付勢力を生じるばね部材とを含んで構成され、前記装着ヘッド部は、前記外ロッドの下端部に一体として設けられた前記外ロッドの外径よりも外側に張り出す外ロッド張出し部と、前記内ロッドの下端部に一体として設けられた内ロッド先端部とを含み、前記上部押圧部を押圧することで、前記外ロッド張出し部と前記内ロッド先端部との位置関係が相対的に変化する装着ヘッド付き清掃具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の装着ヘッド付き清掃具によれば、簡易な構成及び操作によって、ブラシ部材やシート部材等の清掃部材を着脱可能に容易に装着することができると共に、清掃後に装着した清掃部材を手で触れることなく容易に取り外して廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る装着ヘッド付き清掃具の斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る装着ヘッド付き清掃具の、(a)は上端押圧部を押圧する前の状態の正面図、(b)は上端押圧部を押圧した状態の正面図である。
【図3】装着ヘッド部に装着されるブラシ部材の平面図である。
【図4】装着ヘッド部にブラシ部材を装着した状態の装着ヘッド付き清掃具の要部正面図である。
【図5】(a),(b)は、装着ヘッド付き清掃具を用いてトイレの便器を清掃する状況を説明する斜視図である。
【図6】装着ヘッド部にシート部材を装着する状況を説明する装着ヘッド付き清掃具の要部斜視図である。
【図7】複数のシート部材を収容した収納箱を説明する(a)、(b)は斜視図、(c)は(b)の上面図である。
【図8】その他の本発明の好ましい一実施形態に係る装着ヘッド付き清掃具の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態(第1実施形態)に係る装着ヘッド付き清掃具10は、例えばトイレ清掃用の清掃具として用いられ、先端の装着ヘッド部11に、使い捨て用の清掃部材として例えばブラシ部材12(図3参照)や扁平な袋状のシート部材13(図6参照)を着脱可能に装着して、トイレの便器の隅々まで細かく清掃できるようにする。また、本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10は、ブラシ部材12やシート部材13を装着したトイレ清掃の後に、使用したこれらの清掃部材12,13を簡単な操作によって、手で触れることなく簡単に装着ヘッド部11から取り外して、例えばそのまま水に流して容易に廃棄できる機能を備える。
【0011】
本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10は、先端の装着ヘッド部11に使い捨て用の清掃部材12,13を着脱可能に装着して使用する例えばトイレ清掃用の清掃具であって、ロッドの軸方向に貫通する挿通穴15を有する外ロッド14と、外ロッド14の挿通穴15に摺動可能に挿通されて、上端押圧部17が外ロッド14の上端押圧支持部18の上方に配置される内ロッド16と、内ロッド16と外ロッド14との間に介在して設けられて、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧した際に、上端押圧部17を押し戻そうとする付勢力を生じるばね部材19とを含んで構成される。装着ヘッド部11は、外ロッド14の下端部に一体として設けられた外ロッド14の外径よりも外側に張り出す外ロッド張出し部20と、内ロッド16の下端部に一体として設けられた内ロッド先端部21とを含み、上部押圧部17を押圧することで、外ロッド張出し部20と内ロッド先端部21との位置関係が相対的に変化する。
【0012】
本実施形態では、外ロッド14の下端部には、これの軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出す外ロッド張出し部20が一体として設けられており、内ロッド16の下端部には、これの軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出す内ロッド先端部21が、外ロッド張出し部20と略同じ面に沿って隣接配置されて一体として設けられている。
【0013】
また、本実施形態では、外ロッド張出し部20は、間隔をおいて配置された一対の外ロッド装着部材22を備えており、内ロッド先端部21は、一対の外ロッド装着部材22の中間部分に配置された内ロッド装着部材23を備えている。これらによって、装着ヘッド部11は、全体として3本歯の略フォーク形状に形成されている。
【0014】
さらに、本実施形態では、ばね部材19は、上端押圧部17と内ロット先端部21との間に介在して、内ロッド16の外周部分に配置される位置として、例えば上端押圧部17の下面と外ロッド14の上端押圧支持部18の上面との間に介在して、内ロッド16の上端部外周部分に配置されている。
【0015】
本実施形態では、外ロッド14は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、PET、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ナイロン、テフロン(登録商標)等の合成樹脂材料による成形品やアルミニウム、ステンレスなどの金属材料による成形品であって、例えば150〜500mm程度の長さを有している。外ロッド14は、外径が7〜40mm程度の円柱形状の上部把持部14aと、上部把持部14aに一体として形成される、外径が5〜35mm程度の円柱形状の下部縮径部14bとからなる。上部把持部14aは、外径が10〜45mm程度の円柱形状を備えていることにより、把持する手に良好に馴染んで持ちやすくなる。また上部把持部14aの上端部には、これの両側に張り出す長円形状の上端押圧支持部18が一体として形成されている。
【0016】
下部縮径部14bは、その上端部にテーパー状の外周面を有する中間接続部14cが一体として形成されており、この中間接続部14cを介して、例えば嵌め込み形式で、上部把持部14aの下端部と一体化される。下部縮径部14bの下端部には、外ロッド14と同じ合成樹脂材料によって成形された外ロッド張出し部20を備えるヘッド部材24が、接続スリーブ部24aを介して、例えば嵌め込み形式で一体化される。これによって、外ロッド14の下端部には、これの軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出す外ロッド張出し部20が、一体として設けられる。
【0017】
ヘッド部材24は、略切頭円錐形状の接続スリーブ部24aと、接続スリーブ部24aの底部から当該接続スリーブ部24aの中心軸方向(内ロッド16の軸方向)と略垂直な面に沿って張り出して設けられた基盤部24bとからなる。この基盤部24bによって、外ロッド張出し部20が形成される。また、外ロッド張出し部20は、外ロッド14の外径よりも外側に張り出している。本実施形態では、基盤部24bは、コの字状に切り欠かれた部分を有する略矩形平面形状を備える。接続スリーブ部24aは、基盤部24bの中央部分から一方の短辺側に片寄った部分に突出して設けられる。基盤部24bの接続スリーブ部24aとは反対側の短辺部は、切欠き部24cによってコの字状に切り欠かれている。この切欠き部24cを挟んだ両側の部分が、間隔をおいて配置された一対の外ロッド装着部材22を形成する。これらの外ロッド装着部材22の先端外側部分には、各々、テーパー状の面取り22aが施されている。
【0018】
また、本実施形態では、ヘッド部材24の基盤部24bは、これの短辺部側から見た正面形状が、上方に凸の円弧形状となるように僅かに湾曲するアーチ形状を備えている(図2(a)参照)。これによって、装着された清掃部材12,13が湾曲することで、便器内側の直面にフィットした形状となり、使用時の使い勝手の向上をはかることが可能になる。さらに、本実施形態では、基盤部24bの底面における、後述する挿通穴15の開口縁部と、切欠き部24cの接続スリーブ部24a側の辺部との間の部分には、当該底面から浅い深さで切り欠いて形成された帯状の位置決め溝24dが設けられている(図2(b)、図6参照)。この位置決め溝24dには、内ロッド16の下端部に設けられた内ロッド先端部21(内ロッド装着部材23)が、一対の外ロッド装着部材22の中間部分においてこれらと平行に延設するように位置決めされた状態で、納められるようになっている。
【0019】
なお、本実施形態では、中間接続部14cを介した上部把持部14aと下部縮径部14bとの接合部分、及び接続スリーブ部24aを介した下部縮径部14bとヘッド部材24との接合部分には、好ましくはフィレット部材を挿入配置することで、清掃具10の使用時における応力集中を抑制して、これらの接合部分に割れ等が生じるのを効果的に防止することが可能になる。
【0020】
そして、本実施形態では、上部把持部14aと下部縮径部14bとヘッド部材24とが一体となって形成された外ロッド14の内部には、上部把持部14a及び下部縮径部14bの中心軸方向に貫通して、好ましくは4角形の断面形状を有する挿通穴15が、その上端を上端押圧支持部18の上面中央部に開口させると共に、その下端をヘッド部材24の基盤部24bの底面に開口させた状態で設けられている。この挿通穴15には、内ロッド16が摺動可能に挿通される。
【0021】
内ロッド16は、外ロッド14と同様に例えばアルミニウム等の金属材料やポリプロピレン等の合成樹脂材料による成形品からなる棒状部材である。内ロッド16は、外ロッド14よりも10〜100mm程度長い、例えば160〜600mm程度の長さを有している。これによって内ロッド16は、挿通穴15に挿通された際に、その上端部分が、外ロッド14の上端部の上端押圧支持部18よりも上方に突出する状態を保持する。内ロッド16は、例えば挿通穴15と同様の4角形の断面形状を有していることにより、外ロッド14に対して内ロッド16が周方向に回転するのを阻止することが可能となる。これによって、内ロッド16の下端部に設けられた内ロッド装着部材23が、一対の外ロッド装着部材22の中間部分にこれらと平行に配置された状態を強固に保持することが可能になる。
【0022】
また、本実施形態では、内ロッド16の上端部には、これの両側に張り出す長円形状の上端押圧部17が、外ロッド14の上端押圧支持部18の直上部分に、これと平行に配置されて設けられている。上端押圧部17は、外ロッド14と同じ合成樹脂材料によって形成され、例えば固定ネジ等を介して内ロッド16の上端部に固定される。上端押圧部17と上端押圧支持部18との間の内ロッド16の上端部分には、当該内ロッド16の外周部分に装着されることでばね部材19が配設される。
【0023】
さらに、本実施形態では、内ロッド16の下端部には、内ロッド先端部21を構成する内ロッド装着部材23が、内ロッド16の軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出して設けられている。内ロッド装着部材23は、外ロッド14と同じ合成樹脂材料によって形成され、例えば固定ネジ等を介して内ロッド16の下端部に固定される。内ロッド装着部材23は、上端押圧部17を押圧して下方に押し出される前の状態では、上述のように、ヘッド部材24の基盤部24bの底面に設けられた位置決め溝24dに納められて(図2(a)参照)、基盤部24bの切欠き部24cにおいて、外ロッド張出し部20と略同じ面に沿って、一対の外ロッド装着部材22に隣接してこれらの中間部分に平行に延設して配置される。内ロッド装着部材23の先端両側部分には、各々、テーパー状の面取り23aが施されている。
【0024】
内ロッド16の上端押圧部17と外ロッド14の上端押圧支持部18との間に介在して設けられるばね部材19は、例えば金属製のコイルバネであり、内ロッド16の上端部分を挿通させた状態で装着されることにより、当該内ロッド16の上端部分の外周部分に設置される。ばね部材19は、内ロッド16を外ロッド14の挿通穴15の内部で下方にスライド移動させつつ上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて下方に押圧した際に、図2(b)に示すように、上端押圧部17と上端押圧支持部18との間に挟まれて圧縮変形することで、上端押圧部17を上方に押し戻そうとする付勢力を生じる。これによってばね部材19は、上端押圧部17への押圧を開放した際に、内ロッド16の上端押圧部17や内ロッド装着部材23を上方に移動させて元の位置にスムーズに復帰させるように機能する。
【0025】
上述の構成を有する本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10では、ブラシ部材12(図3参照)と扁平な袋状のシート部材13(図6参照)との2種類の清掃部材を、着脱交換可能に装着ヘッド部11に装着して、トイレ清掃を行うことができる。
【0026】
図3に示すブラシ部材12を清掃具10に装着してトイレ清掃を行うには、図2(a)に示す押圧前の状態から、図2(b)に示すように、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧して、外ロッド張出し部20の外ロッド装着部材22と、内ロッド先端部21の内ロッド装着部材23とを上下方向に離間させた状態とする。また、これらを離間させた間隔部分に、ブラシ部材12の中央部分を配置した後に、上端押圧部17への押圧を解除する。これによって、内ロッド装着部材23は、ばね部材19の付勢力によって上方に移動するので、ブラシ部材12は、図4に示すように、一対の外ロッド装着部材22の中間部分で内ロッド装着部材23によって上方に押し上げられて、ヘの字に折れ曲がった立体形状で、装着ヘッド部11に容易に装着固定される。
【0027】
このようして得られた、装着ヘッド部11にブラシ部材12を立体形状で装着固定した清掃具10を用いて、図5(a),(b)に示すように、トイレの便器の奥まった部分まで効果的に清掃することが可能になる。またブラシ部材12による便器の清掃が終了したら、ブラシ部材12を便器の内部に配設した状態で、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧すれば、外ロッド装着部材22と内ロッド装着部材23とが離間して、ブラシ部材12を保持できなくなるので、ブラシ部材12に手を触れることなく、ブラシ部材12を便器に容易に廃棄することが可能になる。
【0028】
ここで、ブラシ部材12は、水解性を有する繊維状線状部材12aを一まとまりに束ねて、中央部分の周囲を水解性を有するネット状部材12bで包み込んだものであり、変形させやすい形状を備えている。またブラシ部材12は、便器内の水と共に流されて、ネット状部材12bが水解して繊維状線状部材12aがバラバラに分散すると共に、繊維状線状部材12aも水解性を有することから排水管等を詰らせることのない物性を備えており、便器に流しても支障なく廃棄することができる。
【0029】
また、例えば図6に示すような平坦な袋状のシート部材13を装着してトイレ清掃を行うには、上端押圧部17を押圧することなく、外ロッド張出し部20の一対の外ロッド装着部材22と、内ロッド先端部21の内ロッド装着部材23とを略同じ面に沿って配置したままの状態で、装着ヘッド部11を、シート部材13のポケット部に開口辺部13aの側から挿入することにより、装着ヘッド部11にシート部材13を装着する。
【0030】
このようして得られた、装着ヘッド部11に袋状のシート部材13を装着した清掃具10を用いて、ブラシ部材12を装着した場合と同様に、トイレの便器の奥まった部分まで効果的に清掃することが可能になる。またシート部材13による便器の清掃が終了したら、シート部材13を便器の内部に配設した状態で、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧すれば、外ロッド装着部材22と内ロッド装着部材23とが離間することで、シート部材13は、ポケット部が広げられて引き裂かれるようにして破断することにより、装着ヘッド部11に保持されなくなるので、シート部材13に手を触れることなく、シート部材13を便器に容易に廃棄することが可能になる。
【0031】
ここで、袋状のシート部材13は、例えば水解性を有する不繊布等からなるシート材料を折り重ねて周縁部分を接合することにより、開口辺部13aを有する扁平なポケット状のシート部材として容易に形成することができる。また、シート部材13には、例えばミシン目等による易破断線13bを適宜の位置に設けておくことにより、廃棄時にさらにスムーズに破断させることが可能になる。シート部材13は、積層したシート材料を用いて形成することにより、強度を向上させることもできる。周囲の部分が中央部分よりも硬くなるように形成することにより、洗浄効果を向上させることもできる。周囲にギザギザを設けておくことにより、洗浄効果をさらに向上させると共に、便器の裏溝を洗うことも可能になる。表裏のシート材料を異ならせてシート部材13を形成することもでき、例えば裏側のシート材料にエンボス加工を施して洗浄効果を向上させることもできる。
【0032】
さらに、袋状のシート部材13は、例えば箱状のものに立てた状態で差し込んでおくことにより、手を触れることなく、清掃具10の装着ヘッド部11にワンタッチで装着することもできる。すなわち、例えば図7(a)に示すように、複数のシート部材13を、複数の収容室30aに区画された可撓性を有する箱体30の内部に、開口辺部13aを上方に向けて立てた状態で差し込んで並べて収容しておく。本実施形態では個々のシート部材13を棒状又はリブ状のスペーサー30bで離間して収容している。シート部材13を装着する際には、図7(b),(c)に示すように、選択した収容室30aの外壁を両側から挟み込むようにして押し込めば、両側の外壁が互いに近づくように変形して、収容した袋状のシート部材13の開口辺部13aは、開口巾を広げた状態となる。このようにして開口巾が広がった開口辺部13aによる挿入開口を介して、装着ヘッド部11をポケット部にスムーズに挿入することにより、装着ヘッド部11にシート部材13を容易に装着することが可能になる。
【0033】
そして、上述の構成を有する本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10によれば、簡易な構成及び操作によって、ブラシ部材12やシート部材13等の清掃部材を着脱可能に容易に装着することができると共に、清掃後に装着した清掃部材12,13を手で触れることなく容易に取り外して廃棄することができる。
【0034】
すなわち、本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10によれば、下端部に外ロッド張出し部20を備える外ロッド14と、外ロッド14に摺動可能に挿通される、下端部に内ロッド先端部21を備える内ロッド16と、例えば内ロッド16の上端押圧部17と外ロッド14の上端押圧支持部18との間に介在して設けられたばね部材19とからなる簡易な構成を有していると共に、上端押圧部17を上端押圧支持部18に向けて押圧したり、押圧を開放するだけの簡易な操作によって、手間のかかる操作を要することなく、清掃部材を装着ヘッド部11に装着したり、清掃後に清掃部材12,13を手で触れることなく取り外して廃棄したりすることが可能になる。
【0035】
図8に、その他の本発明の好ましい一実施形態(第2実施形態)に係る装着ヘッド付き清掃具10’の模式図を示す。第2実施形態の装着ヘッド付き清掃具10’は、以下に記載する点以外は第1実施形態の装着ヘッド付き清掃具10と同様の構成を備える。
【0036】
第2実施形態の内ロッド16’の下端部には、内ロッド先端部21’を構成する内ロッド装着部材23’が、内ロッド16’の軸方向に張り出して設けられている(延設されている)。また、ヘッド部材24’は、略切頭円錐形状の接続スリーブ部24a’と、接続スリーブ部24a’の底部から当該接続スリーブ部24a’の中心軸方向(内ロッド16’の軸方向)の面に沿って張り出して設けられた(延設された)基盤部24b’とからなる。この基盤部24b’によって、外ロッド張出し部20’が形成される。また、外ロッド張出し部20’は、外ロッド14’の外径よりも外側に張り出している。
【0037】
内ロッド16’の、外ロッド14’の挿通穴15’に挿通された部分の下部の外周には、鍔部材16a’が一体として設けられている。また外ロッド14’の挿通穴15’の下端部の内壁からは鍔部材14a’が一体として設けられている。鍔部材14a’の中心部分には内ロッド16’が挿通する挿通穴14b’が設けられている。
【0038】
また、ばね部材19’が鍔部材16a’と鍔部材14a’との間に介在して、内ロッド16’の外周部分に配置される。ばね部材19’は、上端押圧部17’を上端押圧支持部18’に向けて押圧した際に、上端押圧部17’を押し戻そうとする付勢力を生じる。
【0039】
本実施形態の装着ヘッド付き清掃具10’も、ブラシ部材12(図3参照)と扁平な袋状のシート部材13(図6参照)との2種類の清掃部材を、着脱交換可能に装着ヘッド部11’に装着して、トイレ清掃を行うことができる。
【0040】
図3に示す繊維状線状部材12aを一まとまりに束ねたブラシ部材12の場合には、上端押圧部17’を押圧することなく、清掃具10’の外ロッド装着部材22’及び内ロッド装着部材23’を共に突き刺して、装着ヘッド部11’にブラシ部材12を装着固定する。またブラシ部材12による便器の清掃が終了したら、ブラシ部材12を便器の内部に配設した状態で、上端押圧部17’を上端押圧支持部18’に向けて押圧すれば、外ロッド装着部材22’と内ロッド装着部材23’とが離間する。この状態で、ブラシ部材12を便器の内部に接触等させることで、ブラシ部材12に手を触れることなく、ブラシ部材12を便器に容易に押し離して廃棄することが可能になる。
【0041】
また、図6に示すような平坦な袋状のシート部材13を装着してトイレ清掃を行うには、第1実施形態と同様にして、上端押圧部17’を押圧することなく、装着ヘッド部11’を、シート部材13のポケット部に開口辺部13aの側から挿入することにより、装着ヘッド部11にシート部材13を装着する。外ロッド装着部材22’及び内ロッド装着部材23’は清掃具10’の軸方向に延設しているので、箱体30に収容されたシート部材13を装着する操作を容易に行うことができる。またシート部材13による便器の清掃が終了したら、シート部材13を便器の内部に配設した状態で、上端押圧部17’を上端押圧支持部18’に向けて押圧すれば、外ロッド装着部材22’に対して内ロッド装着部材23’が下方に離間することで、シート部材13は、内ロッド装着部材23’によって押し離されて、装着ヘッド部11’の外ロッド装着部材22’に保持されなくなるので、シート部材13に手を触れることなく、シート部材13を便器に容易に廃棄することが可能になる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の装着ヘッド付き清掃具は、トイレ清掃以外の、装着ヘッド部に使い捨て用の清掃部材を着脱可能に装着して行う種々の清掃に使用することができる。また、装着ヘッド部は、一対の外ロッド装着部材とこれらの中間部分に配置された内ロッド装着部材とからなる3本歯の略フォーク形状に形成されている必要は必ずしもなく、4本歯以上の略フォーク形状に形成していても良い。一対の内ロッド装着部材の中間部分に、外ロッド装着部材が配置されたものであっても良い。さらに、ばね部材は、内ロッドの上端押圧部の下面と外ロッドの上端押圧支持部の上面との間に介在して設けられている必要は必ずしもなく、例えば外ロッドの内部に隠蔽された状態で設けられていても良い(図8参照)。
【符号の説明】
【0043】
10 装着ヘッド付き清掃具
11 装着ヘッド部
12 ブラシ部材(清掃部材)
13 シート部材(清掃部材)
13a 開口辺部
14 外ロッド
15 挿通穴
16 内ロッド
17 上端押圧部
18 上端押圧支持部
19 ばね部材
20 外ロッド張出し部
21 内ロッド先端部
22 外ロッド装着部材
23 内ロッド装着部材
24 ヘッド部材
30 箱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃具の先端の装着ヘッド部に使い捨て用の清掃部材を着脱可能に装着して使用する装着ヘッド付き清掃具であって、
ロッドの軸方向に貫通する挿通穴を有する外ロッドと、前記挿通穴に摺動可能に挿通されて、上端押圧部が前記外ロッドの上端押圧支持部の上方に配置される内ロッドと、該内ロッドと前記外ロッドとの間に介在して設けられて、前記上端押圧部を前記上端押圧支持部に向けて押圧した際に、前記上端押圧部を押し戻そうとする付勢力を生じるばね部材とを含んで構成され、
前記装着ヘッド部は、前記外ロッドの下端部に一体として設けられた前記外ロッドの外径よりも外側に張り出す外ロッド張出し部と、前記内ロッドの下端部に一体として設けられた内ロッド先端部とを含み、前記上部押圧部を押圧することで、前記外ロッド張出し部と前記内ロッド先端部との位置関係が相対的に変化する装着ヘッド付き清掃具。
【請求項2】
前記外ロッドの下端部には、これの軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出す外ロッド張出し部が一体として設けられており、前記内ロッドの下端部には、これの軸方向と垂直又は略垂直な方向に張り出す内ロッド先端部が、前記外ロッド張出し部と略同じ面に沿って隣接配置されて一体として設けられている請求項1記載の装着ヘッド付き清掃具。
【請求項3】
前記外ロッド張出し部は、間隔をおいて配置された一対の外ロッド装着部材を備えており、前記内ロッド先端部は、前記一対の外ロッド装着部材の中間部分に配置された内ロッド装着部材を備えている請求項1又は2記載の装着ヘッド付き清掃具。
【請求項4】
前記ばね部材は、前記上端押圧部と内ロッド先端部との間に介在して、前記内ロッドの外周部分に配置される請求項1〜3の何れか1項記載の装着ヘッド付き清掃具。
【請求項5】
前記清掃部材は、前記一対の外ロッド装着部材と前記内ロッド装着部材との間に上下方向から挟み込まれた状態で、前記装着ヘッド部に着脱交換可能に装着される清掃部材である請求項3又は4記載の装着ヘッド付き清掃具。
【請求項6】
前記清掃部材は、前記一対の外ロッド装着部材及び前記内ロッド装着部材を装着袋部に挿入することで前記装着ヘッド部に装着される袋状の清掃部材であり、該清掃部材は、廃棄される際に、前記上端押圧部を押圧して前記外ロッド装着部材と前記内ロッド装着部材とを上下方向に離間させることにより切り離し可能である請求項3又は4記載の装着ヘッド付き清掃具。
【請求項7】
前記清掃部材は、前記一対の外ロッド装着部材及び前記内ロッド装着部材を装着袋部に挿入することで前記装着ヘッド部に装着される袋状の清掃部材であり、該清掃部材は、廃棄される際に、前記上端押圧部を押圧して前記内ロッド装着部材を前記外ロッド装着部材に対して下方向に離間させることにより押し離し可能である請求項3又は4記載の装着ヘッド付き清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−210335(P2012−210335A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77570(P2011−77570)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】