説明

装着ボードおよび電子機器

【課題】電子機器本体側でモード変更が不可能な状態となった場合でも、モード変更を可能にする、装着ボードおよび電子機器を提供する。
【解決手段】モードを切り替えるためのモード切替機能を有するプリンター本体2に対し、着脱可能に構成された装着ボード3であって、プリンター本体2に接続するためのプリンター用インターフェイス23と、ボード側操作子22と、ボード側操作子22の操作にしたがって、プリンター本体2に対しモードを切り替えるためのモード切替指令を行うCPU24と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モードを切り替えるためのモード切替機能を有する電子機器、および当該電子機器に装着される装着ボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器として、特許文献1に記載のキャッシュレジスター等が知られている。当該キャッシュレジスターは、レシートの印字サイズを顧客に合わせて変更するために、キャッシュレジスター本体に設けられた操作子を操作することで印字モードを切替可能となっている。これにより、例えば、細かな文字が見えにくい顧客に対しては、通常の印字サイズより大きな印字サイズでレシートを印刷することができ、レシートの視認性向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−266259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなキャッシュレジスターに何らかの不具合が発生した場合、操作子による操作が不能となり、モード変更ができなくなってしまう。このため、必要な時に文字サイズの変更ができなくなり、このキャッシュレジスターの特性を生かせない場面が生じる。また、文字サイズを変更した状態でモード切替ができなくなると、レシート用紙を必要以上に消費してしまい、用紙の補充作業の増加等により作業効率の悪化を引き起こすことになる。さらに、これを修復するためには、一旦作業を停止してシステムを起動し直すしかなく、さらに作業効率が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、電子機器本体側でモード変更が不可能な状態となった場合でも、モード変更を可能にする、装着ボードおよび電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の装着ボードは、モードを切り替えるためのモード切替機能を有する電子機器本体に対し、着脱可能に構成された装着ボードであって、電子機器本体に接続するためのインターフェイスと、ボード側操作子と、ボード側操作子の操作にしたがって、電子機器本体に対しモードを切り替えるためのモード切替指令を行うモード切替指令部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、電子機器本体に何らかの異常が生じて、電子機器本体に備え付けられた操作子によるモード切替が不可能になった場合でも、装着ボードに備えられたボード側操作子の操作によって、電子機器本体のモードを切り替えることができる。これにより、異常発生時に電子機器本体のシステムを再起動させるなどの手間と時間を必要としないため、作業効率の低下を防ぐことができる。
【0008】
この場合、電子機器本体は、複数の項目について、モード切替が可能であり、ボード側操作子は、1のスイッチにより構成され、モード切替指令部は、1のスイッチの操作の仕方により、切替対象となる項目を可変することが好ましい。
【0009】
この場合、モード切替指令部は、1のスイッチの押下間隔、押下強度、押下時間、連続押下回数、電子機器本体に搭載された本体側操作子との同時押下、のうち少なくとも1の要因により、切替対象となる項目を可変することが好ましい。
【0010】
これらの構成によれば、1のスイッチの操作の仕方を変えることにより複数の項目についてのモード切り替えを実現できる。つまり、複数の操作子を必要としないため、装着ボードの小型化および低廉化を図ることができる。
【0011】
この場合、操作者または操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部をさらに備え、モード切替指令部は、操作情報取得部により取得した操作情報に応じて、モード切替指令を行うか否かを可変することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、取得した操作情報に応じて、モード切替を行うか否かを可変することができる。例えば、操作情報から、操作者が所定の権限を有するものであると判別できた場合は、モード切替指令を行い、操作者が所定の権限を有しないと判別できた場合は、モード切替指令を行わない、などの処理が考えられる。これにより、使用者権限が与えられていない者は、モードの切替が不可能になるため、結果的にセキュリティーの強化を図ることができる。
【0013】
本発明の電子機器は、上記した装着ボードを装着可能な電子機器であって、モード切替機能を実現するためのモード切替制御部と、モードの状態を出力するモード出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、電子機器本体に何らかの異常が生じた場合でも、モード変更が可能な電子機器を実現することができる。また、モードの状態を出力するため、ユーザーは、現在設定されているモードの状態を確認することができる。
【0015】
この場合、モード出力部は、モードの状態を表示、印刷、通信のうちいずれか1以上の手段を用いて出力することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、表示画面への表示、印刷物への印刷、並びに電子メール、Webアプリケーション、電話およびFAXを用いた通信、などによって、モードの状態を出力することができる。
【0017】
この場合、モード切替制御部は、装着ボードからモード切替指令を受信したとき、本体の動作状況を判別する動作状況判別部と、動作状況判別部の判別結果に応じて、モード切替を行うモード切替部と、を有することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、例えば、動作状況(異常発生時と、それ以外の通常時など)に応じて、モード切替を行うか否かを可変することができる。つまり、モード切替指令を受信したときに異常が発生している場合は、モード切替を行い、異常が発生していない場合は、モード切替を行わない(モード切替指令を無視する)、などの処理が考えられる。これにより、電子機器本体側の操作子による本体側操作と、装着ボード側のボード側操作子による操作指令との混同により、本体側操作を妨害してしまうなどの問題を回避することができる。
なお、動作状況とは、電子機器本体に異常が発生しているか否か、またその異常の種類、ログ情報などを指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るレシートプリンターの外観図である。
【図2】第1実施形態に係るレシートプリンターの制御ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るレシートプリンターおよびPOS端末の機能ブロック図である。
【図4】第1実施形態におけるボード側操作子によるモード変更操作の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係るレシートプリンターのモード切替処理を説明するフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係るレシートプリンターの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子機器および装着ボードについて説明する。なお、本実施形態では電子機器として、スーパーマーケット等の小売店舗においてレシートを発行するレシートプリンターを例示する。
【0021】
図1は、第1実施形態に係るレシートプリンター1の外観図である。レシートプリンター1は、POS(Point Of Sales)端末29(図2参照)で処理した処理データを印刷するものであり、プリンター本体2および装着ボード3から成る。プリンター本体2は、POS端末29から装着ボード3を介して処理データを取得し、これをレシート用紙に印刷する。また、プリンター本体2は、印刷済みのレシート5を、本体上部に設けられたレシート排出口4から排出する。
【0022】
同図に示すように、プリンター本体2の背面(図示手前側)下部には、装着ボード3を装着するためのボード装着部6が設けられている。また、ボード装着部6の最奥部には、装着ボード3を電気的に接続するための装着ボード用インターフェイス7(以下、装着ボード用I/Fと記載と記載する)が設けられている。また、プリンター本体2の前面(図示奥側)には、本体側操作子36および表示画面35が設けられている(図2参照)。
【0023】
一方、装着ボード3は、上記のプリンター本体2に対して着脱可能に構成され、その装着側(図示奥側)には、プリンター本体2と電気的に接続されるプリンター用インターフェイス23(以下、プリンター用I/Fと記載と記載する)が設けられている。当該装着ボード3は、使用環境に応じたインターフェイス(周辺機器用インターフェイス)を提供するためのインターフェイスボードであり、上記装着側と逆側(図示手前側)の露出面には、周辺機器用インターフェイス21として、USBインターフェイス8,9、シリアルインターフェイス10およびイーサネット(登録商標)インターフェイス11が設けられている。その他、周辺機器用インターフェイス21として、パラレルインターフェイスや無線LANインターフェイス等を設けても良い。また、装着ボード3は、周辺機器用インターフェイス21と同一の露出面に、ボード側操作子(スイッチ)22を備えている。なお、露出面は、プリンター本体2に対する装着ボード3の装着によって、プリンター本体2の背面と面一となる。
【0024】
次に、図2を参照し、第1実施形態に係るレシートプリンター1の制御構成について説明する。装着ボード3は、周辺機器用インターフェイス21(以下、周辺機器用I/Fと記載する)、ボード側操作子22、プリンター用I/F23、CPU(Central Processing Unit)24、ROM(Read Only Memory)25およびRAM(Random Access Memory)26を備えている。
【0025】
周辺機器I/F21は、図1に示したUSBインターフェイス8,9、シリアルインターフェイス10、イーサネット(登録商標)インターフェイス11を指し、POS端末29をはじめ、ディスプレイ装置、キーボード、キャッシュドロアおよびバーコードスキャナー等のような周辺機器を接続するために用いられる。ボード側操作子22は、装着ボード3自身に対する操作の他、プリンター本体2に対する各種操作を行う。また、ボード側操作子22は、ラッチ型(押下されると“0”、押下が解除されると“1”、押下され続けると“0”の状態が続くもの)の1のスイッチにより構成される。プリンター用I/F23は、プリンター本体2と接続される専用インターフェイスであり、プリンター本体2に対して各種信号を送信する。
【0026】
CPU24は、装着ボード3の統括制御を行う。RAM26は、CPU24が各種処理を実行する際のワークエリアとして用いられる。ROM25は、CPU24が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。なお、以下の説明において、ROM25内の制御プログラムを記憶する領域を制御プログラム記憶領域27、制御データを記憶する領域を制御データ記憶領域28と称する。
【0027】
一方、プリンター本体2は、CPU31、ROM32、RAM33、印刷機構34、表示画面35、本体側操作子36および装着ボード用I/F7を備えている。CPU31は、プリンター本体2の統括制御を行う。ROM32は、CPU31が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。RAM33は、CPU31が各種処理を実行する際のワークエリアとして用いられる。なお、これらCPU31、ROM32およびRAM33は、プリンター本体2内にCPUボード37として組み込まれている。
【0028】
印刷機構34は、POS端末29の処理データをレシート用紙に印刷する。また、ユーザーの指令にしたがって、プリンター本体2の設定情報(通信設定、モード設定などの設定値)を出力する(印刷する)。表示画面35は、液晶ディスプレイにより構成され、操作内容や、用紙切れなどのメッセージを表示する。また、印刷機構34と同様に、ユーザーの指令にしたがって、プリンター本体2の設定情報を出力する(表示する)。本体側操作子36は、電源のON/OFF、モード切替、レシートの排出並びに設定情報の出力(印刷および/または表示)など、ユーザーが各種操作を行うために用いられる。また、本体側操作子36は、プリンター本体2の各モードに対応する複数の操作子を有しており、それぞれの操作子によってモードの切替を行う構成となっている。装着ボード用I/F7は、装着ボード3を接続するための専用インターフェイスであり、装着ボード3からの各種信号を受信する。
【0029】
次に、図3を参照し、レシートプリンター1およびPOS端末29の機能構成について説明する。POS端末29は、主な機能構成として、会計処理部61および印刷データ生成部62を有している。
【0030】
会計処理部61は、POSアプリケーションを有し、オペレーターにより入力された商品情報に基づいて会計処理を行う。また、印刷データ生成部62は、会計処理部61による会計処理結果に基づいて、レシート5に印刷するための印刷データを生成する。
【0031】
装着ボード3は、主な機能構成として、印刷データ受信部41、印刷データ送信部42およびモード切替指令部43を有している。
【0032】
印刷データ受信部41は、POS端末29の印刷データ生成部62にて生成された印刷データを受信する。また、印刷データ送信部42は、受信した印刷データを、プリンター用I/F23を介してプリンター本体2に送信する。
【0033】
モード切替指令部43は、ボード側操作子22の操作にしたがって、プリンター本体2に対し、モードを切り替えるためのモード切替指令を行う。プリンター本体2は、複数の項目についてモード切替が可能となっており、モード切替指令部43は、ボード側操作子22の操作の仕方により、切替対象となるモード項目を可変する。ここで、「ボード側操作子22の操作の仕方」とは、スイッチの押下間隔、押下強度、押下時間、連続押下回数、プリンター本体2に搭載された本体側操作子36との同時押下、のうち少なくとも1の要因により定義される。なお、モード項目および操作方法については、後に詳述する。
【0034】
一方、プリンター本体2は、主な機能構成として、レシート印刷部50、モード出力部51、動作状況判別部52およびモード切替制御部53を有している。
【0035】
レシート印刷部50は、装着ボード用I/F7を介して、印刷データ送信部42から送信された印刷データを受信し、これをレシート用紙に印刷する。
【0036】
モード出力部51は、現在のプリンター本体2のモードの状態を出力する。具体的には、表示画面35への表示、および印刷機構34による印刷、によってモードの状態を出力する。
【0037】
動作状況判別部52は、現在のプリンター本体2の動作状況を判別する。動作状況判別部52は、本体側操作子36による判別指令、または装着ボード3からの判別指令に基づいて動作状況を判別する。また、モード切替指令を受信したときにも、動作状況を判別する。なお、動作状況としては、プリンター本体2に異常が発生しているか否か、またその異常の種類、ログ情報などを判別する。
【0038】
モード切替制御部53は、本体側操作子36によるモード切替指令、または装着ボード3からのモード切替指令に基づいてモードを切り替える。但し、装着ボード3からモード切替指令を受信した場合は、上記の動作状況判別部52の判別結果に応じてモード切替処理を行う。具体的には、モード切替指令を受信したときに異常が発生している場合は、モード切替を行い、異常が発生していない場合は、モード切替を行わない(モード切替指令を無視する)、といった処理を行う。これにより、プリンター本体2側の本体側操作子36による本体側操作と、装着ボード3側のボード側操作子22による操作指令との混同により、本体側操作を妨害してしまうなどの問題を回避することができる。
【0039】
次に、図4を参照し、装着ボード3によるプリンター本体2のモード変更について説明する。同図は装着ボード3のボード側操作子22によるプリンター本体2のモード変更操作の一例である。
【0040】
同図(a)に示すように、まずボード側操作子22の押下(短押)する回数によって操作する項目の選択を行う。同図の例では、ボード側操作子22の短押1回で項目「機能」、短押2回(連続2回押下)で項目「セルフチェック」、短押3回で項目「データ転送レート」、短押4回で項目「印字カラー」を選択できる。また、短押n回(但し、nはn≧5となる整数)で項目の選択操作をキャンセルできる。ここで、項目「機能」が選択されると、高度な処理を行う「インテリジェントモード」と、通常処理を行う「通常モード」とを切替可能である。また、項目「セルフチェック」が選択されると、ROM内に記憶されている設定情報などを印刷する「セルフ印刷モード」と、自己診断を行う「セルフテスト」とを切替可能である。また、項目「データ転送レート」が選択されると、転送レート9600bps、19200bps、38400bpsの中からいずれかに切替可能である。さらに、項目「印字カラー」が選択されると、「モノクロ印刷モード」、「カラー印刷モード」、「2色印刷モード」および「反転印刷モード」の中からいずれかを切替可能である。
【0041】
なお、ボード側操作子22が押下されると、表示画面35に、操作内容(選択可能な項目一覧、現在選択されている項目、選択可能なモード一覧、現在選択されているモードなど)が表示される。ユーザーは、当該表示画面35を確認しながら、項目選択およびモード選択を行う。また、項目およびモードの選択(決定)は、ボード側操作子22の長押(1秒以上押下)によって行われる。
【0042】
例えば、項目「セルフチェック」が選択されている状態で、ボード側操作子22が長押されると(A01)、続いて項目「セルフチェック」のモード選択が行われる。同図(b)に示すように、モードの選択も、ボード側操作子22の押下回数によって行われる。同図の例では、短押1回で項目「セルフ印刷」、短押2回で項目「セルフテスト」を選択でき、短押m回(但し、mはm≧3となる整数)でモードの選択操作をキャンセルできる。ここで、例えばモード「セルフテスト」が選択されている状態で、ボード側操作子22が長押されると(A02)、プリンター本体2に対して、モード「セルフテスト」へのモード切替指令を出力する。このように、1のスイッチであるボード側操作子22の操作の仕方によって、項目の選択およびキャンセル並びにモードの選択およびキャンセルを実現できる。
【0043】
次に、図5のフローチャートを参照し、装着ボード3の指令によるモード切替処理の手順について説明する。なお、プリンター本体2では異常が発生しており、本体側操作子36は使用できなくなっているものとする。なお、このような事象は、ユーザーの誤った操作(ヒューマンエラー)や、プリンター本体2内の制御基板がハングしていたりする場合に起こり得る。
【0044】
まず、装着ボード3は、ユーザーによるボード側操作子22(スイッチ)の操作入力に基づいて(S01)、操作内容を判別する(S02)。また、判別した操作内容に基づいて、モード項目を判定し、当該モード項目のモード切替指令をプリンター本体2に送信する(S03)。
【0045】
一方、プリンター本体2は、電源ON時およびモード切替時に自身のモードの状態を確認している(S04)。ここで、装着ボード3からモード切替指令を受信すると、動作状況を判別し(S05)、判別した動作状況に応じて、モード切替の実行が可能であるか否かを判別する(S06)。モード切替の実行が可能であると判別した場合は(S06:Yes)、モード切替指令受信前のモードの状態から、モード切替を行う(S07)。また、モード切替の実行が可能でないと判別した場合は(S06:No)、モード切替を行うことなく処理を終了する(モード切替指令を無視する)。
【0046】
以上説明したとおり、第1実施形態によれば、プリンター本体2に何らかの不具合が発生し、本体側操作子36による操作が不能となった場合でも、装着ボード3に設けられている、ボード側操作子22からの操作によってプリンター本体2のモード変更が可能となる。すなわち、プリンター本体2が本来有しているモード変更の操作ができなくなったことによる作業効率の悪化を防止することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態のように、装着ボード3のボード側操作子22を1のスイッチにより構成し、スイッチの操作の仕方を変えることにより複数の項目についてのモード切り替えを実現できる構成にしたことで、装着ボード3の小型化を図ることができ、ひいてはレシートプリンター1の小型化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態において、装着ボード3は、USBインターフェイス8,9、シリアルインターフェイス10およびイーサネット(登録商標)インターフェイス11といった複数の周辺機器用I/F21を備えることで、同時にプリンター本体2に対しても周辺機器を利用する環境を提供することができる。これにより、例えばモードの状態を出力する際に、プリンター本体2に備えられている表示画面35や、印刷機構34からのみではなく、周辺機器用I/F21を経由したメール、電話、FAX等の周辺機器と連係することによる多様な通信手段を利用することができる。
【0049】
また、本実施形態において、プリンター本体2が動作状況判別部52を備え、現在のプリンター本体2の動作状況を判別すると共に、その判別結果に応じて、モード切替制御部53がモード切替処理を行うため、プリンター本体2側の本体側操作子36による本体側操作と、装着ボード3側のボード側操作子22による操作指令との混同することがない。これにより、本体側操作を妨害してしまうなどの問題を回避することができる。
【0050】
なお、上記の実施形態では、ボード側操作子22(1のスイッチ)の連続押下回数および押下時間によって、各項目を選択したが、押下間隔、押下強度、プリンター本体2に搭載された本体側操作子36との同時押下、などの違いにより、各項目を選択可能としても良い。
【0051】
また、上記の実施形態では、装着ボード3のボード側操作子22を1のスイッチにより構成したが、本体側操作子36と同様に、モードに対応する複数の操作子により構成しても良い。また、操作性を向上させるため、装着ボード3本体からスイッチを有線で引き出せる構成にしたり、装着ボード3に、キーボードやマウス、タッチパネル等を接続可能な構成にしても良い。
【0052】
また、上記の実施形態において、モード出力部51は、表示画面35への表示および印刷機構34による印刷によってモード出力を行うとしたが、通信手段を用いた通知(LANや電話回線を用いた通信など)を用いてもよい。この場合、プリンター本体2が通信手段を備えていることが前提となる。また、ボード側操作子22の操作の仕方に応じて、モードの出力手段を選択可能としても良い。例えば、プリンター本体2に搭載された本体側操作子Aとボード側操作子22とが同時押下された場合は、表示手段(表示画面35)のみ、本体側操作子Bとボード側操作子22とが同時押下された場合は、全ての出力手段(表示画面35、印刷機構34および通信手段)を用いてモードの状態を出力する、などが考えられる。
【0053】
また、モードの状態だけでなく、動作状況判別部52の判別結果を上記の出力手段により出力させても良い。この場合も、ボード側操作子22の操作の仕方に応じて、動作状況の出力手段を選択可能としても良い。
【0054】
また、上記の実施形態において、プリンター本体2のモード切替制御部53は、異常が発生しているか否かに応じてモード切替を行ったが、異常が発生しているか否かだけでなく、その異常の種類やログ情報に応じて、モード切替を行うか否かを決定しても良い。また、異常の種類やログ情報に応じて、切替対象となるモードを制限しても良い。この場合、例えば異常の種類が、印刷機構34の障害である場合は、モード項目「印字フォント変更」についてのみモード切替を行わない(他のモード項目についてはモード切替を行う)、などの制御が考えられる。
【0055】
次に、図6を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、装着ボード3にPOS端末29が接続される構成としたが、装着ボード3をPOS端末として機能させても良い。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0056】
図6は、第2実施形態に係るレシートプリンター1の機能ブロック図である。本実施形態のレシートプリンター1は、第1実施形態(図2参照)と比較して、装着ボード3から印刷データ受信部41が省略され、会計処理部61、印刷データ生成部62および操作情報取得部45が追加された構成となっている。会計処理部61は、POSアプリケーションを主要部として会計処理を行う。また、印刷データ生成部62は、会計処理部61による会計処理結果に応じて、レシートに印刷するための印刷データを生成する。このように、装着ボード3内をPOS端末29として機能させることに伴い、POS端末29を接続するためのインターフェイスが省略され、代わりに、会計処理用のキーボード70を接続するためのインターフェイスが必要となる。また、イーサネット(登録商標)インターフェイス11を経由してPOSサーバーと通信可能となっている。さらに、装着ボード3の操作情報取得部45は、後述する操作情報入力部72の入力結果を取得し、モード切替指令部43に出力する。
【0057】
一方、キーボード70は、商品情報入力部71および操作情報入力部72を有している。商品情報入力部71は、オペレーターが商品情報を入力するために用いられる。装着ボード3の会計処理部61は、商品情報入力部71により入力された商品情報に基づいて、POSサーバー内の商品マスタを参照し、商品データを取得する。操作情報入力部72は、操作者または操作内容を示す操作情報を入力する。具体的には、キーボード70に設けられた鍵(図示省略)の位置により操作情報を入力する。この鍵は、「店員」、「管理者」、「教育」および「精算」のいずれかの位置に合わせることができる。つまり、一般的な店員が操作する場合は、「店員」に位置合わせし、店長やマネージャーなどが操作する場合は「管理者」に位置合わせする。また、オペレーター教育のために用いる場合は「教育」に位置合わせし、精算時の処理を行う場合は「精算」に位置合わせする。
【0058】
上記の構成により、本実施形態のモード切替指令部43は、操作情報取得部45により取得した操作情報に応じて、モード切替指令を行うか否かを可変する。具体的には、鍵が「管理者」に位置合わせされた場合のみ、モード切替指令を行う。これにより、管理者以外の者によるモード切り替えを阻止することができる。
【0059】
以上説明したとおり、第2実施形態によれば、取得した操作情報に応じて、モード切替を行うか否かを可変する。つまり、操作情報から、操作者が所定の権限を有するものであると判別できた場合は、モード切替指令を行い、操作者が所定の権限を有しないと判別できた場合は、モード切替指令を行わないため、使用者権限が与えられていない者は、モードの切替が不可能となり、結果的にセキュリティーの強化を図ることができる。
【0060】
なお、上記の実施形態では、キーボード70の鍵の位置に基づいて操作情報を取得したが、操作者を特定できるIDカード等を読み取ることによって、操作情報を取得しても良い。
【0061】
以上、2つの実施形態を示したが、本発明は、レシートプリンター1以外の電子機器にも適用可能である。例えば、レシートプリンター以外のプリンター、表示装置、プロジェクターなど、モード切替機能を有するものが考えられる。
【0062】
また、上記の各実施形態に示したレシートプリンター1(プリンター本体2または装着ボード3)の各部をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、本実施形態のプリンター本体2または装着ボード3の各部として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1:レシートプリンター、 2:プリンター本体、 3:装着ボード、 22:ボード側操作子、 41:モード切替指令部、 51:モード出力部、 52:動作状況判別部、 53:モード切替制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モードを切り替えるためのモード切替機能を有する電子機器本体に対し、着脱可能に構成された装着ボードであって、
前記電子機器本体に接続するためのインターフェイスと、
ボード側操作子と、
前記ボード側操作子の操作にしたがって、前記電子機器本体に対し前記モードを切り替えるためのモード切替指令を行うモード切替指令部と、を備えたことを特徴とする装着ボード。
【請求項2】
前記電子機器本体は、複数の項目について、前記モード切替が可能であり、
前記ボード側操作子は、1のスイッチにより構成され、
前記モード切替指令部は、前記1のスイッチの操作の仕方により、切替対象となる項目を可変することを特徴とする請求項1に記載の装着ボード。
【請求項3】
前記モード切替指令部は、前記1のスイッチの押下間隔、押下強度、押下時間、連続押下回数、前記電子機器本体に搭載された本体側操作子との同時押下、のうち少なくとも1の要因により、前記切替対象となる項目を可変することを特徴とする請求項2に記載の装着ボード。
【請求項4】
操作者または操作内容を示す操作情報を取得する操作情報取得部をさらに備え、
前記モード切替指令部は、前記操作情報取得部により取得した操作情報に応じて、前記モード切替指令を行うか否かを可変することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装着ボード。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装着ボードを装着可能な電子機器であって、
前記モード切替機能を実現するためのモード切替制御部と、
前記モードの状態を出力するモード出力部と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記モード出力部は、前記モードの状態を表示、印刷、通信のうちいずれか1以上の手段を用いて出力することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記装着ボードから前記モード切替指令を受信したとき、本体の動作状況を判別する動作状況判別部をさらに備え、
前記モード切替制御部は、前記動作状況判別部の判別結果に応じてモード切替を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−198054(P2011−198054A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64254(P2010−64254)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】