説明

装着型光照射装置

【課題】光源から眼および眼の近傍に光を照射することにより、照射される光の照度、色によって、人の生体リズム(体内時計)の調整、睡眠・覚醒のリズムの調整、ならびに、精神の安定・活性化を図ることができる、いわゆるライトセラピー効果を発揮することのできる装着型光照射装置を提供する。
【解決手段】耳部に装着することにより、光源から眼および眼の近傍に光を照射する装着型光照射装置10であって、耳に掛けて装着するための耳掛け部14と、耳掛け部から前方に延設した発光部18とを備え、発光部の先端を眼の側方に位置させることによって、発光部から眼および眼の近傍に光を照射するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から眼および眼の近傍に光を照射することにより、照射される光の照度、輝度、時間、または照射される光の頻度、色によって、人の生体リズム(体内時計)の調整、睡眠・覚醒のリズムの調整、ならびに、精神の安定・活性化、季節的な体調の調整、眼の疲労などの疲労回復などを図ることができる、いわゆる「ライトセラピー効果」(光を用いた療法であって、光療法、高照度療法とも呼ばれる)を発揮することのできる装着型光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な理由から日中に眠気を感じる人が多くいる。例えば、若者であれば、インターネットが急速に発展したために睡眠不足になったり、夜遅くまで遊ぶことにより、睡眠時間帯が後ろにずれ込んだりしている。また、交代制の仕事をする人や、深夜労働をする人は、仕事中に眠気を催し、ミスや事故を起こす原因となる。さらに、海外旅行から帰って来た人などは、時差ぼけと戦わなければならない。
【0003】
ところで、人の生活の中で、毎日の睡眠と覚醒といった生体リズムは非常に重要な役割を果たしており、生体リズムが崩れると、疲労感、集中力の低下、ストレス、消化不良などの各種の症状の原因となっている。例えば、日照時間が少ない地方では、昼間の明るさが不足しがちな秋冬になって、気分が優れない人が多く、また、天候の優れない朝には、気分が悪く体調も優れないことがある。
【0004】
このような生体リズムは、光との関係が深く、これらの症状の改善には、光が重要な役割を果たしており、特に、一日25時間周期と言われる体内時計を一日24時間にあわせる体内時計の同調機構に及ぼす影響は大きくなっている。従って、例えば、日中、屋内にいる場合や、秋冬には日照時間が短く、太陽光を浴びることができないので、昼夜の区別がなくなり、生体のリズムが乱れて、上記の疲労感、集中力の低下、ストレス、消化不良などの各種の症状をきたす原因となっている。
【0005】
また、日中に眠気があり、覚醒していない状態では、夜には、逆に不眠障害を起こす原因となり、悪循環が繰り返される。
しかしながら、このように、日中に眠気があり、夜間に不眠障害を起こしている人、または気分の優れない人などが、その眠気を解消したり、不眠障害を解消したり、気分を良好にするには、軽い運動をしたり、太陽光を充分に浴びたりすることが解消につながるが、近年、これを行うことができないのが現状である。さらに、日照時間の少ない地方では、太陽光を充分に浴びることができないのが実情である。
【0006】
また、例えば、看護師などの夜勤、準夜勤などのシフトワークを行わなければならない人にとっては、仕事上のミスを起こさないためにも、積極的に覚醒する必要があるが、確実に覚醒する方法がないのが実情である。
【0007】
このため、従来より、生体リズム(体内時計)の異常、不眠症、覚醒障害、季節性感情障害などの治療法として、いわゆる「高照度ライトセラピー(光療法)」が知られている。
【0008】
この高照度ライトセラピーによる治療方法は、例えば、内因性うつ病や、老人性徘徊症などの治療に使用される他、夜間勤務による疲労の軽減や、時差ぼけ、長時間の低照度照明下勤務におけるストレスの解消などにも使用されている。
【0009】
このような高照度ライトセラピーにおいては、太陽光に近い高い色温度を持つ高照度の人工光照射装置を使用し、光の刺激を睡眠覚醒リズムの異常に応じた時間帯、または、覚醒が必要な時間帯に、照度に合わせた照射時間だけ、被治療者の眼および眼の近傍に光を照射することによって行うものである。
【0010】
このため、従来より、高照度ライトセラピーを実施するために、据え置き型の光照射装置が種々開発されている。
しかしながら、このような据え置き型の覚醒用発光装置は、ある距離において高照度を必要とするため、大型のものが多く、持ち運び、携帯に不便であり、例えば、長時間の飛行機の中で使用するなど、覚醒が必要な場合、生体リズムの乱れを解消したい場合に、いつでもどこでも使用することは不可能であり、しかも、治療時間中は照射装置に対して指定した距離を保ちながら光を受ける必要があるため、自由な姿勢ができず不便である。
【0011】
さらに、照射された光が、周囲にいる人にも照射されることになるので、周囲の人に迷惑となるとともに、かえってその周囲の人の生体リズムを乱す要因ともなりかねない。
このため、特許文献1(特開平9−213101号公報)では、サンバイザー型のひさ
し部分に、光照射装置を備えた装着型光照射装置が、特許文献2(特開平11−188098号公報)では、ヘッドバンド型で、人体顔面の前方に位置させた光照射装置を備えた装着型光照射装置が、特許文献3(特開2003−144481公報)には、アイマスク型の装着型光照射装置が、さらに、特許文献4(特開2002−350790号公報)には、眼鏡型の装着型光照射装置が、それぞれ提案されている。
【特許文献1】特開平9−213101号公報
【特許文献2】特開平11−188098号公報
【特許文献3】特開2003−144481公報
【特許文献4】特開2002−350790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の特許文献1のサンバイザー型、特許文献2のヘッドバンド型の装着型光照射装置では、いずれも頭に装着するために重く、また、視界を広範囲に妨げるため、心理的・物理的不快感や圧迫感がある。
【0013】
また、特許文献3のアイマスク型では、完全に視界を奪うために、心理的不安感を与え、治療中に読書など他のことができず、また、一定した姿勢でないと、視界を遮っているために安全を確保することができない。
【0014】
一方、特許文献4の眼鏡型の装着型光照射装置では、眼鏡に不慣れな人にとっては、長時間の使用や定期的な使用には適さない。
さらに、従来の据え置き型の光照射装置では、光の色を変更することによって、気分をリラックスさせるいわゆる「カラーセラピー効果」を発揮するようには構成されていないのが現状である。
【0015】
本発明は、このような現状に鑑み、コンパクトで、軽量で、持ち運び、携帯に便利であり、長時間の装着でも圧迫感がなく、肉体的・心理的不快感も軽減され、しかも、治療中に読書などを行うことができるなど、治療姿勢および治療場所選択の自由が確保できるとともに、移動の自由と安全性が確保でき、さらには、治療に適正な照度、治療時間などを設定できる装着型光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の装着型光照射装置は、
耳部に装着することにより、光源から眼および眼の近傍に光を照射する装着型光照射装置であって、
耳に掛けて装着するための耳掛け部と、
前記耳掛け部から前方に延設した発光部とを備え、
前記発光部の先端を眼の側方に位置させることによって、発光部から眼および眼の近傍に光を照射するように構成したことを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、耳掛け部を耳に掛けるだけで、耳掛け部から前方に延設した発光部の先端を眼の側方に位置させることができる。これによって、発光部から、眼および眼の近傍に光を照射することができる。
【0018】
従って、眼に発光部を近づけることにより、光源に必要な相対的照度を下げることができるとともに、小型・軽量で装着性の良好な耳かけ型であるので、治療姿勢および治療場所選択の自由が可能である。
【0019】
しかも、従来のサンバイザー型、ヘッドバンド型の装着型光照射装置のように、頭に装着するのではなく耳かけ式の装着であるので、長時間の装着でも圧迫感がなく、物理的不快感を軽減できる。また、目の前の視界を遮らないため、心理的不快感も軽減することができる。
【0020】
さらに、眼のサイドなど(上下左右)から光を照射するため、視界をほとんど妨げることなく、心理的不安感をなくし、治療中に読書などを行うことができ、移動の自由と安全性を高めることができる。
【0021】
さらに、例えば、看護師などの夜勤、準夜勤などのシフトワークを行わなければならない人にとっては、仕事上のミスを起こさないためにも、積極的に覚醒する必要があるが、確実に覚醒することができる。
【0022】
また、本発明の装着型光照射装置は、
左右一対の前記装着型光照射装置を備えるとともに、
前記一対の発光部後端をそれぞれ延設して相互に連結した首掛け部を備え、首掛け部によって首後ろで保持するように構成したことを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、左右一対の耳掛け部を両耳に掛けるだけで、首掛け部によって首後ろでも保持されることになり、首掛け部によって、耳掛け部にかかる重量を負担することになるので、耳掛け部にかかる重量を軽減することができる。
【0024】
また、首掛け部によって首後ろでも保持されることになるので、安定して装着することができ、常に発光部の先端を眼の側方に一定の位置に保持することができ、例えば、移動中などにおいても脱落するおそれがない。
【0025】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、光の照射方向を自在に変更、調整可能なように構成されていることを特徴とする。
このように発光部が、光の照射方向を自在に変更、調整可能であるので、発光部から照射した光を、安定して眼および眼の近傍に照射することができる。
【0026】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、折曲変形自在に構成されていることを特徴とする。
このように延設した発光部が折曲変形自在であるので、眼からの距離を自由に調整することができ、照度を一定に保つことが可能である。
【0027】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、その照射する光の照度が調整可能なように構成されていることを特徴とする。
これによって、発光部材の発光する光の照度を、それぞれの個人の覚醒度、体調、生活リズムなどに応じて、覚醒、ライトセラピーなどに必要な照度を調整できるので、その汎用性が大きくなる。
【0028】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、その照射する光の拡散・収束が調整可能なように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、人の眼に均一に光を拡散、収束させて、ライトセラピー効果に優れた一定の拡散、収束度を有する光を眼に照射することができる。
【0029】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、その照射する光の色が変更可能なように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、人の眼に覚醒効果、ライトセラピー効果に必要な色の光を選択して照射することができ、いわゆる「カラーセラピー効果」を発揮することができる。
【0030】
また、本発明の装着型光照射装置は、前記発光部が、発光時間の設定が可能なように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、それぞれの個人の覚醒度、体調、生活リズムなどに応じて、覚醒、ライトセラピーに必要な発光時刻、発光時間、発光間隔、および、発光時間に対する発光照度を調整でき、タイマー機能によって、自動的に覚醒、ライトセラピー機能を起動でき便利であるとともに、その汎用性が大きくなる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、耳掛け部を耳に掛けるだけで、耳掛け部から前方に延設した発光部の先端を眼の側方に位置させることができる。これによって、発光部から、眼および眼の近傍に光を照射することができる。
【0032】
従って、眼に発光部を近づけることにより、光源に必要な相対的照度を下げることができるとともに、小型・軽量で装着性の良好な耳かけ型であるので、治療姿勢および治療場所選択の自由が可能である。
【0033】
しかも、従来のサンバイザー型、ヘッドバンド型の装着型光照射装置のように、頭に装着するのではなく耳かけ式の装着であるので、長時間の装着でも圧迫感がなく、肉体的不快感を軽減できる。また、目の前の視界を遮らないため、心理的不快感も軽減することができる。
【0034】
さらに、眼のサイドなど(上下左右)から光を照射するため、視界をほとんど妨げることなく、心理的不安感をなくし、治療中に読書などを行うことができ、移動の自由と安全性を高めることができる。
【0035】
また、人の眼に覚醒効果、ライトセラピー効果に必要な色の光を選択して照射することができ、いわゆる「カラーセラピー効果」を発揮することができる。
さらに、例えば、看護師などの夜勤、準夜勤などのシフトワークを行わなければならない人にとっては、仕事上のミスを起こさないためにも、積極的に覚醒する必要があるが、確実に覚醒することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の装着型光照射装置の実施例の概略正面斜視図、図2は、装着型光照射装置の概略裏面斜視図、図3は、図1の装着型光照射装置のアーム部先端の発光部の概略断面図、図4は、図1の装着型光照射装置の使用状態の斜視図である。
【0037】
図1〜図3において、符号10は、全体で本発明の装着型光照射装置を示している。
図4に示したように、本発明の装着型光照射装置10は、片方ずつの耳に装着するものである。
【0038】
そして、図1および図2に示したように、装着型光照射装置10は、耳の形状に略合致した略円形形状の装置本体部12を備えている。この装置本体部12には、装置本体部12の上部から後方に延設され、耳の後ろの形状に略合致した形状の湾曲アーム形状の耳掛け部14を備えている。
【0039】
さらに、装置本体部12には、装置本体部12の上部から前方に延設された、本発明の発光部を構成する、アーム部16と、このアーム部16の先端に設けた発光部18とを備えている。
【0040】
この場合、装置本体部12の内部には、電源として、リチウム電池などの電池、または、ニッケル水素電池などの充電電池が、収納できるようになっており、素材としては、例えば、プラスチック、硬質樹脂素材などを使用することができる。また、この装置本体部12には、このような電池を交換することができるように、脱着自在なキャップカバー式の蓋部20が装着されている。
【0041】
また、この蓋部20には、例えば、押ボタン式、スライド式などの電源スイッチ22が形成されており、耳に装着した状態でも、簡易に電源のON/OFFができるようになっ
ている。このような電源スイッチ22としては、例えば、柔軟樹脂素材などを使用することができる。
【0042】
一方、耳掛け部14は、耳の後ろに掛けて、耳の上から、装置本体部12で耳を覆い、挟むように挟持するものである。これによって、頭部上部や後頭部などをフリーな状態にして、拘束感を軽減することができるようになっている。
【0043】
この場合、耳掛け部14の材質には、柔軟樹脂素材などを用いて、個人差のある耳の形にも適する形状に、多少変形が可能なものとするとともに、耳に接触した部分との刺激を軽減するようにするのが好ましい。
【0044】
また、アーム部16は、装置本体部12の内部の電源から発光部18にいたる導電線が、その内部に設けられている。そして、アーム部16は、図4に示したように、左右の耳に耳掛け部14を用いて、装置本体部12を耳に掛け、アーム部16の長さと角度を自分の眼にあうように調整して使用するものである。
【0045】
従って、アーム部16は、例えば、変形可能な軟質金属、柔軟樹脂素材などを用いることによって、折曲変形自在に構成されているのが望ましい。このように折曲変形可能とすることにより、個人差のある頭の形や眼の位置の違いにかかわらず、アーム部16の先端に設けた発光部18の位置を調整することによって、個々に光焦点と距離を調節し、眼に一定の光を照射することが可能となる。
【0046】
なお、この実施例では、アーム部16を用いたが、棒状部材、板状などの平面的なものを本発明の発光部として用いることも可能である。
さらに、発光部18は、図3に示したように、光源24を備えている。この光源24は、覚醒効果、ライトセラピー効果を奏すると言われている波長、照度、および色の光、例えば、2000〜2500ルクス以上の照度で、青、緑色などの波長の光、または、太陽光に近いスペクトラムを有する光を、装着者26の眼に照射するように構成されている。
【0047】
すなわち、ライトセラピー効果を奏すると言われている波長、照度、および色の光、例えば、2000〜2500ルクス以上の照度で、青、緑色などの波長の光、あるいは太陽光に近いスペクトラムを有する光を、人の眼に照射できるので、ストレスを解消でき、気分爽快にし、学習能力、仕事の効率などを向上することもできる。
【0048】
なお、この場合、光源24を、三原色をバランスして、組み合わせるように構成することによって、いろいろな色の光を発光することができ、例えば、上記の青色、緑色以外にも、例えば、オレンジ色、黄色などを発色してリラックスさせる効果をもたらすことができる。
【0049】
この場合に、スイッチ、半導体などの制御装置を組み込んで、光の色が変更可能なように構成することもできる。
さらに、発光部18は、図3に示したように、光源24の背面側に設けた、例えば、アルミなどの金属からなる金属蒸着膜などからなる反射層28と、光源24の前面に設けた光拡散層30と、この光拡散層30の前面に設けたカラーフィルター32を設けることもできる。
【0050】
この場合、光拡散層30としては、例えば、ビーズ粒子を含んだアクリル樹脂などからなるフィルム、白色塗装されたものや乳白色フィルム、または、素材自体が白色で透過性のものなどを使用することができ、光照射時に眼への輝度むらを低減するものである。
【0051】
また、カラーフィルター32は、透明の無色の他、赤・青など様々な着色性透過素材、または、透過フィルム処理を施した素材を用いることができる。これにより、個人の好みによって光照射の色を変更できるものであり、カラーセラピーなどのリラックス効果を発揮することができる。
【0052】
このように構成することによって、人の眼に均一に光を拡散して照射できるとともに、覚醒効果、ライトセラピー効果に必要な色の光を選択して照射することができる。
また、上記の反射層28を、反射板として、反射板の角度を自由に変えることによって、光の照射方向を変更するようにすることも可能である。なお、このように反射板の角度を変えることによって、光の照射方向を変更する代わりに、例えば、光ファイバーを利用するなどの方法で光の照射方向を変更するようにすることももちろん可能である。
また、光源24としては、例えば、低電圧の高輝度LEDや、小型ハロゲンランプ、キセノンランプ、ELなどを使用することができる。
【0053】
しかしながら、光源24としては、特に限定されるものではなく、外部の光を受けることにより、それ自身発光するもの、さらには太陽光からエネルギーを蓄電しながら発光する蓄光性材料からなるものなど、様々な公知の発光体から構成することができる。
【0054】
すなわち、この光源24は、何らかの手段で外部に光を発し、上記の照度、波長の光を発光するものであれば、何れも使用可能である。
また、図示しないが、発光部18にレンズを設けることによって、照射する光の拡散・収束が調整可能なように構成してもよい。
【0055】
これによって、人の眼に均一に光を拡散、収束させて、ライトセラピー効果に優れた一定の拡散、収束度を有する光を眼に照射することができる。
さらに、この光源24、または装置本体部12に、スイッチ、半導体などの制御装置を組み込んで、発光時間の設定、すなわち、その発光時刻、発光時間、発光間隔、および、発光時間に対する発光照度を調整可能なように構成して、例えば、所定時間ごとに光らせることもできる。
【0056】
また、タイマーを設定することにより、点灯、消灯の繰り返しを一定時間後に完了させることもできるとともに、タイマー機能によって、自動的に覚醒、ライトセラピー機能を起動できる。
【0057】
さらに、スイッチ、半導体などの制御装置を組み込んで、光の照度が調整可能なように構成することもできる。
このように構成される本発明の装着型光照射装置10は、左右一対で使用するものであって、図4に示したように、片方ずつの耳に装着するものである。
【0058】
すなわち、耳掛け部14を、耳上方より、耳の後ろに掛けて、耳の上から装置本体部12で耳を覆い、挟むように挟持する。
そして、このように装置本体部12を耳に掛けた状態で、アーム部16の長さと角度を自分の眼にあうように調整して使用するものである。すなわち、眼からの距離を一定に維持することにより、照度を一定に保つことが可能となる。
【0059】
なお、この実施例では、アーム部16を、変形可能な軟質金属、柔軟樹脂素材などを用いて、折曲変形自在な構成としたが、図5に示したように、ピボット部34を複数個設けて、図5の矢印で示したように、折曲変形自在な構成とすることもでき、また、図示しないが、入れ子式などによって折曲変形自在な構成とすることもできる。
【0060】
このように構成することによって、耳掛け部14を耳に掛けるだけで、アーム部16の先端を眼の側方に位置させることができる。これによって、アーム部16の先端に設けた発光部18から、眼および眼の近傍に光を照射することができる。
【0061】
なお、この実施例では、発光部であるアーム部16の先端を眼の側方に位置させるようにしたが、眼の上側、下側、眼前などの眼周縁のいずれの箇所に位置させるようにしても良い。
【0062】
従って、眼に発光部18を近づけることにより、光源24に必要な相対的照度を下げることができるとともに、小型・軽量で装着性の良好な耳かけ型であるので、治療姿勢および治療場所選択の自由が可能である。
【0063】
しかも、従来のサンバイザー型、ヘッドバンド型の装着型光照射装置のように、頭に装着するのではなく耳かけ式の装着であるので、長時間の装着でも圧迫感がなく、肉体的不快感を軽減できる。また、目の前の視界を遮らないため、心理的不快感も軽減することができる。
【0064】
さらに、眼のサイドから光を照射するため、視界をほとんど妨げることなく、心理的不安感をなくし、治療中に読書などを行うことができ、移動の自由と安全性を高めることができる。
【0065】
図6は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図である。
この実施例の装着型光照射装置10は、図1〜図4に示した装着型光照射装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
この実施例の装着型光照射装置10では、図6に示したように、装置本体部12の内部に光源24を内蔵するように構成している。
そして、アーム部16の内部に導電線を設ける代わりに、アーム部16の内部に、光ファイバーなどの導光性素材などを使用し、外部を変形可能な柔軟樹脂素材などで形成している。
【0067】
これによって、アーム部16の内部の光源24から発する光を、発光部18の内部の反射層28に導光するようになっている。
図7は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図である。
【0068】
この実施例の装着型光照射装置10は、図1〜図4に示した装着型光照射装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0069】
この実施例の装着型光照射装置10では、図7に示したように、左右一対の装着型光照射装置10A、10Bを備えている。なお、図中、左右の部材には、A、Bの符号を付記している。
【0070】
そして、これらの装着型光照射装置10A、10Bには、耳掛け部14A、14Bのみを備えており、装置本体部12を備えていないものである。
また、これらの左右一対の装着型光照射装置10A、10Bの一対のアーム部16A、16Bの後端をそれぞれ延設して相互に連結した首掛け部36A、36Bを備えている。
【0071】
なお、これらの首掛け部36A、36Bも、アーム部16A、16Bと同様に、折曲変形自在に構成して首掛け装着を容易にするのが望ましい。
この首掛け部36A、36Bには、その連結部に、略首(後頭部下部)の形状に合致した略楕円形状の装置本体部12が備えられている。
【0072】
この装置本体部12にも、図示しないが、図1の実施例と同様に、着脱自在なキャップカバー式の蓋部20、電源スイッチ22が設けられているとともに、その蓋部20の内部に電池、充電池などが収容されるようになっている。
【0073】
また、耳掛け部14A、14Bには、アーム部16A、16Bと耳掛け部14A、14Bとの接続部に、はめ込み式の嵌着部38A、38Bが形成されており、耳掛け部14A、14Bがアーム部16A、16Bに沿ってスライドすることによって、耳掛け部14A、14Bと発光部18A,18Bの距離を調整できるように構成されている。
【0074】
このように構成することによって、図8〜図10に使用時状態に示したように、左右一対の耳掛け部14A、14Bを両耳に掛けるだけで、首掛け部36によって首後ろ(後頭部下方)でも保持されることになるので、首掛け部36によって、耳掛け部14A、14Bにかかる重量を負担することになるので、耳掛け部にかかる重量を軽減することができる。
【0075】
また、首掛け部によって首後ろでも保持されることになるので、安定して装着することができ、常にアーム部の先端を眼の側方に一定の位置に保持することができ、例えば、移動中などにおいても脱落するおそれがないようになっている。
【0076】
しかも、また、後頭部を配線が経由し装着するため、眼の視界位置に光源がくるのを防ぎ、使用時に視界の遮断を軽減することができる。
さらに、耳掛け部14A、14Bがアーム部16A、16Bに沿ってスライドするので、個人差のある頭の形や眼の位置の違いにかかわらず、アーム部16A、16Bの先端に設けた発光部18A,18Bの位置を調整することによって、個々に光焦点と距離を調節し、眼に一定の光を照射することが可能となる。
【0077】
図11は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図、図12は、図11の装着型光照射装置の使用状態を説明する斜視図である。
この実施例の装着型光照射装置10は、図7に示した装着型光照射装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0078】
この実施例の装着型光照射装置10では、図11に示したように、首掛け部36A、36Bの連結部に設けた装置本体部12が、略首(後頭部下部)の形状に合致した略三角形形状の装置本体部12が設けられている。
【0079】
そして、この装置本体部12にも、図11に示したように、図1の実施例と同様に、着脱自在なキャップカバー式の蓋部20が設けられているとともに、その内部に電池、充電池などが収容されるようになっている。また、この蓋部20には、例えば、押ボタン式、スライド式などの電源スイッチ22が形成されている。
【0080】
なお、上記の実施例では、電池、充電池などを用いたが、ACアダプターを用いて、または、電池、充電池などとACアダプターを併用するようにすることも可能である。
さらに、電源スイッチ22は、蓋部20に設ける以外にも、発光部、首掛け部などいずれの箇所に設けても良い。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、各眼に対して、一つの発光部18を用いたが、各眼に対して2つ以上の発光部18を用いるようにすることも可能である。
【0082】
また、上記実施例では、アーム部16を用いたが、棒状部材、板状などの平面的なものを本発明の発光部として用いることも可能である。
さらに、実施例では、発光部であるアーム部16の先端を眼の側方に位置させるようにしたが、眼の上側、下側、眼前などの眼の周縁のいずれの箇所に位置させるようにしても良い。
【0083】
また、上記の実施例では、本発明の装着型光照射装置を、光源から眼および眼の近傍に照射するようにしたが、眼だけではなく、例えば、鼻、頬、口などのその他の人の部分に光を照射するようにしても良い。
【0084】
さらに、上記の実施例では、本発明の装着型光照射装置を、いわゆる「ライトセラピー効果」のために用いたが、例えば、眼科において、眼に光を照射して眼を検査するなどの用途、その他の用途にも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の装着型光照射装置の実施例の概略正面斜視図である。
【図2】図2は、装着型光照射装置の概略裏面斜視図である。
【図3】図3は、図1の装着型光照射装置のアーム部先端の発光部の概略断面図である。
【図4】図4は、図1の装着型光照射装置の使用状態の斜視図である。
【図5】図5は、図1の装着型光照射装置のアーム部の別の実施例の概略図である。
【図6】図6は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図である。
【図7】図7は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図である。
【図8】図8は、図7の装着型光照射装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図9】図9は、図7の装着型光照射装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図10】図10は、図7の装着型光照射装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図11】図11は、本発明の装着型光照射装置の別の実施例の概略正面分解斜視図である。
【図12】図12は、図11の装着型光照射装置の使用状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10 装着型光照射装置
10A、10B 装着型光照射装置
12 装置本体
14 耳掛け部
14A、14B 耳掛け部
16 アーム部
16A、16B アーム部
18 発光部
18A,18B 発光部
20 蓋部
22 電源スイッチ
24 光源
26 装着者
28 反射層
30 光拡散層
32 カラーフィルター
34 ピボット部
36 首掛け部
36A、36B 首掛け部
38A、38B 嵌着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳部に装着することにより、光源から眼および眼の近傍に光を照射する装着型光照射装置であって、
耳に掛けて装着するための耳掛け部と、
前記耳掛け部から前方に延設した発光部とを備え、
前記発光部の先端を眼の側方に位置させることによって、発光部から眼および眼の近傍に光を照射するように構成したことを特徴とする装着型光照射装置。
【請求項2】
左右一対の前記装着型光照射装置を備えるとともに、
前記一対の発光部後端をそれぞれ延設して相互に連結した首掛け部を備え、首掛け部によって首後ろで保持するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の装着型光照射装置。
【請求項3】
前記発光部が、光の照射方向を自在に変更、調整可能なように構成されていることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の装着型光照射装置。
【請求項4】
前記発光部が、折曲変形自在に構成されていることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の装着型光照射装置。
【請求項5】
前記発光部が、その照射する光の照度が調整可能なように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装着型光照射装置。
【請求項6】
前記発光部が、その照射する光の拡散・収束が調整可能なように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装着型光照射装置。
【請求項7】
前記発光部が、その照射する光の色が変更可能なように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装着型光照射装置。
【請求項8】
前記発光部が、発光時間の設定が可能なように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装着型光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−236780(P2007−236780A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66062(P2006−66062)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(594009380)エレス株式会社 (1)