装置、時間予測方法および時間予測用プログラム
【課題】装置外装を開放状態とした場合の装置内部の環境変化に伴う問題を発生させない程度に装置外装を開放可能な時間を得ることを課題とする。
【解決手段】装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置1に、装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定部31と、測定値に基づいて、装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得部32と、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得部33と、を備えた。
【解決手段】装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置1に、装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定部31と、測定値に基づいて、装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得部32と、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得部33と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置、該装置において開放状態を継続可能な時間を予測する時間予測方法、および時間予測用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露光に用いる照明用のランプを交換する際のメンテナンス用の扉を備えた露光装置およびこれを用いたデバイス製造方法において、露光装置に対し、ランプの温度情報を検出する手段と、露光装置本体のシーケンスの停止を確認してその旨の停止情報を出力する手段、あるいは、温度情報に基づいて前記扉を開けても良いか否かの情報を表示する手段とを設ける技術がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、冷却装置と、庫内ファンと、冷却器に設けた冷却器温度検知手段とを備え、前記冷却器温度検知手段が一定時間所定温度以下になった場合に、庫内ファンの故障と判断し、表示部に故障表示させることでメンテナンスを促す自動販売機がある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−21743号公報
【特許文献2】特開2005−141472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、装置の保守のためには、装置外装を開放状態とし、装置内部にアクセスする作業が行われる。しかし、装置外装を開放状態とした場合、装置内部の環境が開放状態の継続に伴って変化し、装置内部の環境が望ましくない環境となってしまう可能性がある。例えば、装置が屋外に設置されているような場合には、装置外装が開放状態となったことを契機として、装置内部の温度や湿度が外気温または外湿度に近付くように変化し、装置において、装置故障や設備劣化等の問題が発生する可能性がある。なお、装置故障や設備劣化等の問題は、装置扉が開放状態にあるときにのみ発生しうるものではない。装置扉を開放後、装置扉を閉めた後にも、上記問題は発生し得る。例えば、外部の湿度が装置内部より高い環境で装置扉を開放し、結露前に装置扉を閉めた場合であっても、装置扉の開放によって外部湿度に近付いた装置内部の湿度によって、扉を閉めた後に結露が発生し、装置故障や設備劣化等の問題を起こす可能性がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑み、装置外装を開放状態とした場合の装置内部の環境変化に伴う問題を発生させない程度に装置外装を開放可能な時間を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であって、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定手段と、前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得手段と、前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放
可能時間を取得する予測開放可能時間取得手段と、を備える装置である。
【0008】
ここで、本発明に係る装置は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であればよい。外装の一部としては、例えば、装置扉等が挙げられるが、本発明に係る装置には、装置内部にアクセスするために外装全体が除去されるような装置も含まれる。また、対応関係情報は、例えば、環境パラメータから予測開放可能時間を算出可能な関数や、環境パラメータから予測開放可能時間を取得可能なテーブル、マップ等である。
【0009】
本発明によれば、装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得し、この環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得することで、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を得ることが出来る。
【0010】
また、本発明において、前記予測開放可能時間は、前記環境パラメータに示される環境において該装置の開放状態が継続された場合に、該装置が正常な状態を維持可能と予測される時間であってもよい。
【0011】
また、本発明において、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との組み合わせを取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記組み合わせに対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0012】
このようにすることで、内部センサおよび外部センサを用いて取得された測定値を用いて予測開放可能時間を取得することで、より正確な予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0013】
また、本発明において、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との差分を取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記差分に対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0014】
このようにすることで、内部センサによる測定値と外部センサによる測定値との差分を用いて予測開放可能時間を取得することで、シンプルな環境パラメータを用いて予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0015】
また、本発明に係る装置は、前記外装の少なくとも一部の開放を検知する開放検知手段を更に備え、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサを用いて、前記開放検知手段によって検知された開放の前後における測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記開放の前後における前記測定値の変化を取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記変化に対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0016】
このようにすることで、開放前後の装置内部の温湿度変化を用いて予測開放可能時間を取得することで、外部センサを用いずに予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0017】
また、本発明において、前記予測開放可能時間取得手段は、複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、本発明に係る装置は、取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定
の条件に従って夫々重み付けする重み付け手段を更に備えてもよい。
【0018】
ここで、取得される複数種類の予測開放可能時間としては、例えば、温度に基づく予測開放可能時間および湿度に基づく予測開放可能時間の他、装置を構成する構成要素毎の予測開放可能時間がある。
【0019】
複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定の条件に従って夫々重み付けすることで、センサによって取得される測定値以外の、環境に関連する条件を考慮した予測開放可能時間を取得することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る装置は、前記予測開放可能時間取得手段によって取得された予測開放可能時間または該予測開放可能時間に応じた内容を出力する出力手段を更に備えてもよい。
【0021】
ここで、出力手段は、例えば、作業可能な時間があとどれだけ残されているかを示す作業可能残時間、作業可能残時間が尽きる時刻を示す作業限度時刻、作業可能な時間が残り少ないことや作業可能な時間が尽きたことを示すタイムオーバー警告、等を出力する。
【0022】
また、本発明は、コンピュータによって実行される方法、またはコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置外装を開放状態とした場合の装置内部の環境変化に伴う問題を発生させない程度に装置外装を開放可能な時間を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るKIOSK装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るKIOSK装置の機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る、複数の予測開放可能時間の比較処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【図6】実施形態に係る、複数の予測開放可能時間の重み付け処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【図7】実施形態に係る温湿度テーブルを示す図である。
【図8】実施形態に係る温度テーブルを示す図である。
【図9】実施形態に係る湿度テーブルを示す図である。
【図10】実施形態における経過時間と内部温度との関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図11】実施形態における経過時間と内部湿度との関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図12】実施形態における温度差分と予測開放可能時間との関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図13】実施形態における湿度差分と予測開放可能時間との関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図14】実施形態における予測開放可能時間、外部温度、および内部温度の関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図15】実施形態における予測開放可能時間、外部湿度、および内部湿度の関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図16】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明を実施するにあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されることが好ましい。本実施形態において、本発明に係る装置は、屋外に設置されるKIOSK装置として実施される。但し、本発明の適用対象は、KIOSK装置に限定されない。また、装置は、装置外装の開放によって装置内部の環境が変化する可能性があれば、屋外に限らず屋内に設置されてもよい。
【0026】
<装置の構成>
図1は、本実施形態に係るKIOSK装置1のハードウェア構成の概略を示す図である。KIOSK装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read
Only Memory)13と、補助記憶装置19と、タッチパネルディスプレイ14と、スピーカ15と、ネットワークインターフェース16と、近距離通信インターフェース17と、プリンタ18と、対人センサ20と、操作用ボタン21と、扉開閉センサ23と、LED24と、内部温湿度センサ25と、外部温湿度センサ26と、が電気的に接続され、外装の一部に装置扉22を有する情報処理装置である。
【0027】
但し、本発明の実施にあたって、本発明に係る装置は、上記した構成を全て備える必要はない。装置の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、装置外装の開放状態に関係なく環境パラメータが取得される場合には、扉開閉センサ23は省略されてよい。また、KIOSK装置1には、入力装置として更にマウスやキーボード等が接続されてもよい。
【0028】
CPU11は、中央処理装置であり、RAM12およびROM13等に展開された命令及びデータを処理することで、RAM12、補助記憶装置19、入出力装置等の、KIOSK装置1に備えられた各構成を制御する。また、RAM12は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読み出される。即ち、CPU11、RAM12、およびROM13は、KIOSK装置1の制御部を構成する。
【0029】
補助記憶装置19は、不揮発性の記憶装置であり、主にKIOSK装置1の電源を落としても保持したい情報、例えば、RAM12にロードされるKIOSK装置1のOS(Operating System)や、図3以降のフローチャートに示された処理を実行するための各種プログラムの他、KIOSK装置1によって使用される各種データが書き込まれ、読み出される。補助記憶装置19としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やHDD(Hard Disk Drive)等を用いることが出来る。
【0030】
本実施形態に係るKIOSK装置1では、入出力装置として、主にタッチパネルディスプレイ14や操作用ボタン21、スピーカ15等が用いられ、CPU11によって制御され、データを出力し、ユーザによる操作を受け付けることで、ユーザの五感を通じて情報を提供し、ユーザによるタッチ操作やボタン押下操作等を介してユーザによる入力を受け付ける。入出力装置から入力された内容はRAM12に記録され、CPU11によって処
理される。ユーザインターフェースとしては、タッチパネルディスプレイ14等を介した画面表示を介した入出力の他、マイク(図示は省略する)およびスピーカ15を用いた音声による入出力、カメラ(図示は省略する)を用いたジェスチャによる入力等を用いることが出来る。
【0031】
近距離通信インターフェース17は、通信を行う端末同士が、一定の距離または一定の領域内にある場合に通信が可能となる通信インターフェースである。具体的には、本実施形態では、近距離通信インターフェース17として、ユーザ端末である携帯電話端末に内蔵された非接触式ICカードと通信を行うことが可能な近距離通信インターフェース17、即ち、非接触式ICカード用のリーダ・ライタが採用される。但し、KIOSK装置1とユーザ端末との間の通信には、その他の通信方式、例えば、接触式ICカード通信や無線LAN、Bluetooth、RFID等の通信方式が採用されてもよい。
【0032】
対人センサ20は、赤外線や超音波等を用いて、KIOSK装置1の近傍におけるユーザを検知し、ユーザが検知されると、ユーザが検知されたことを示す信号を出力する。
【0033】
装置扉22は、KIOSK装置1の内部にアクセスするために開放される扉であり、装置外装の一部である。装置扉22は、例えば、保守のために用いることが出来るが、本実施形態において装置扉22の用途は限定されない。例えば、装置扉22は、装置の電源投入用等、保守以外の用途を有するものであってもよい。また、扉開閉センサ23は、装置扉22が開放状態であるか否かの検知、および装置扉22が開閉操作されたことの検知を行うことが可能な出力を行うセンサである。
【0034】
内部温湿度センサ25および外部温湿度センサ26は、設置位置における温度および湿度を測定可能なセンサである。なお、本実施形態において、内部温湿度センサ25は、装置内部(装置外装の内側)の一箇所、外部温湿度センサ26は、装置外部(装置外装の外側)の一箇所に設けられるが、これらのセンサは、管理の対象となる装置の構成要素の全てに取り付けられてもよいし、動作保証温湿度範囲が狭い部品(例えば、プリンタ18、磁気読み取りユニット、HDD、タッチパネルディスプレイ14等)に取付けられてもよい。
【0035】
図2は、本実施形態に係るKIOSK装置1の機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置は、CPU11が、RAM12に展開された各種プログラムを解釈および実行することで、測定部31と、環境パラメータ取得部32と、予測開放可能時間取得部33と、開放検知部34と、重み付け部35と、出力部36と、を備えるKIOSK装置1として機能する。これらの各機能部は、本発明に係る情報処理装置が備える各手段に相当する機能を実行する。また、本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPU11によって実行される例について説明しているが、これらの機能は、その一部または全部が、1または複数の専用のプロセッサによって実現されてもよい。
【0036】
測定部31は、KIOSK装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を、KIOSK装置1の内部に設けられた内部温湿度センサ25および外部に設けられた外部温湿度センサ26を用いて取得する。
【0037】
環境パラメータ取得部32は、測定値に基づいて、KIOSK装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する。ここで、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして、内部温湿度センサ25による測定値と外部温湿度センサ26による測定値との組み合わせを取得してもよいし、内部温湿度センサ25による測定値と外部温湿度センサ26による測定値との差分を取得してもよいし、開放の前後における測定値の変化を取得してもよい。
【0038】
予測開放可能時間取得部33は、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間tmと環境パラメータとの対応関係を示
すテーブルやマップ、関数等の対応関係情報に基づいて、環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0039】
開放検知部34は、扉開閉センサ23からの出力信号に基づいて、外装の一部である装置扉22の開放を検知する。
【0040】
重み付け部35は、複数種類の予測開放可能時間tmが取得された場合に、取得された
複数種類の予測開放可能時間tmを、所定の条件に従って夫々重み付けする。重み付け処
理の詳細については、フローチャートを用いて後述する。
【0041】
出力部36は、予測開放可能時間取得部33によって取得された予測開放可能時間tm
または当該予測開放可能時間tmに応じた内容(メッセージや警告音等)を出力する。
【0042】
<処理の流れ>
以下、図3から図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る処理の流れを説明する。なお、本実施形態においてフローチャートを用いて説明される処理の具体的な内容および順序等は、本発明を実施する上での一例である。具体的な処理内容および順序等は、実施の形態に応じて適宜選択されることが好ましい。
【0043】
図3は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、操作用ボタン21に含まれる保守用ボタンが押下されたことや、保守作業者による近距離通信インターフェース17へのICカードのタッチ操作が行われたこと、装置扉22の開放操作が検知されたこと、その他の操作による保守モードへの移行操作が行われたこと、対人センサ20によってユーザが検知されたこと、等を契機として実行される。但し、本フローチャートに示された処理は、KIOSK装置1の起動中に、継続的または定期的に実行されてもよい。
【0044】
ステップS101では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から内部温度Tin(装置内部の温度)および内部湿度Hin(装置内部の湿度)を取得し、更に、外部温湿度センサ26から外部温度Tout(外気温)および外部湿度Hout(外湿度)を取得する。温度および湿度が取得されると、処理はステップS102へ進む。
【0045】
ステップS102では、環境パラメータが取得される。測定部31によって温度および湿度が取得されると、環境パラメータ取得部32は、取得された温度および湿度(外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hin)に基づいて、環境パラメータを取得する。本フローチャートに示される処理においては、環境パラメータとして、取得された温度および湿度自体の組み合わせが採用される。即ち、環境パラメータ取得部32は、ステップS101において取得された外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを、そのまま環境パラメータとする。環境パラメータが取得されると、処理はステップS103へ進む。
【0046】
但し、環境パラメータとして、取得された外部温湿度と内部温湿度との差分が採用されてもよい。環境パラメータとして外部温湿度と内部温湿度との差分が採用される場合には、環境パラメータ取得部32は、ステップS101において取得された内部温度Tinと外部温度Toutとの差分(以下、「温度差分Tdiv」と称する)、およびステップS101において取得された内部湿度Hinと外部湿度Houtとの差分(以下、「湿度差分Hdiv」と称する)、を取得する。
【0047】
ステップS103では、予測開放可能時間tm(保守作業可能時間)が取得される。予
測開放可能時間取得部33は、ステップS102において取得された環境パラメータに示される環境に対応する予測開放可能時間tmを取得する。予測開放可能時間tmは、装置扉22の開放状態を継続可能と予測される時間を示す時間であり、また、環境パラメータに示される環境において開放状態が継続された場合に、KIOSK装置1が正常な状態を維持可能と予測される時間である。
【0048】
予測開放可能時間tmは、得られた環境パラメータに対応するものが取得される。予測
開放可能時間tmの具体的な取得方法としては、環境パラメータと予測開放可能時間tmとの対応関係を示すテーブルやマップを参照することで環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する方法や、環境パラメータと予測開放可能時間tmとの対応関係を示す関数を用いて環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する方法、等が用
いられてよい。予測開放可能時間tmを取得するためのテーブル、マップおよび関数等の
具体的な内容については、<予測開放可能時間の取得方法>の項において後述する。但し、具体的な予測開放可能時間tmの取得方法には、その他の方法が採用されてよい。予測
開放可能時間tmが取得されると、処理はステップS104へ進む。
【0049】
ステップS104では、予測開放可能時間tmが出力される。出力部36は、予測開放
可能時間取得部33によって取得された予測開放可能時間tmを、タッチパネルディスプ
レイ14等を介して出力することで、保守作業者等のユーザに通知する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0050】
但し、ステップS104において出力される内容は、予測開放可能時間tmに応じた内
容であればよく、取得された予測開放可能時間tm自体でなくてもよい。例えば、予測開
放可能時間tmの取得の基となった測定値が取得された測定値取得時刻と、予測開放可能
時間tmと、現在時刻と、を用いて次の計算を行うことで、開放可能な残り時間を算出す
ることが出来る。
開放可能な残り時間=予測開放可能時間tm−(現在時刻−測定値取得時刻)
このため、出力部36は、開放可能な残り時間を算出し、これをカウントダウンするように出力してもよい。
【0051】
また、測定値取得時刻と、予測開放可能時間tmと、を用いて次の計算を行うことで、
開放可能な限度時刻を算出することが出来る。
開放可能な限度時刻=測定値取得時刻+予測開放可能時間tm
このため、出力部36は、開放可能な限度時刻を算出し、これを出力してもよい。
【0052】
また、開放可能な残り時間が所定の閾値未満となった場合(開放可能な限度時刻が迫っている場合)や、開放可能な残り時間が尽きた場合(開放可能な限度時刻を経過した場合)には、ユーザへの警告を出力することとしてもよい。
【0053】
また、ステップS104における出力先は、ユーザへの通知を目的とする場合には、タッチパネルディスプレイ14の他、LED24、スピーカ15等、ユーザが五感を通じて通知を把握可能なユーザインターフェース装置となる。また、出力先は、装置に備えられた構成に限定されない。例えば、出力の内容は、有線/無線を介して、携帯電話やパーソナルコンピュータ等のユーザ端末へリモート出力されてもよい。更に、出力の目的がユーザへの通知ではなく、情報の蓄積や分析のみである場合には、出力先は単に他の装置やシステムであってよい。
【0054】
次に、装置扉22が開放状態となっている間、最新の環境パラメータに基づいた予測開
放可能時間tmを継続的に取得し、出力するための処理を説明する。
【0055】
図4は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図3を用いて説明した開放可能時間出力処理に続いて実行される。
【0056】
ステップS201では、装置扉22の状態が判断される。開放検知部34は、扉開閉センサ23の出力を参照することで装置扉22の開放状態を検知し、装置扉22の開放状態が継続されているか否かを判定する。装置扉22の開放状態が継続されていると判定された場合、処理はステップS202へ進む。装置扉22の開放状態が継続されていない(即ち、装置扉22が閉じられた)と判定された場合、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
ステップS202からステップS205では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得され、環境パラメータに応じた予測開放可能時間tmが取得され、出力される。ステップS202からステップS205に示された
処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS101からステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS206へ進む。
【0058】
ステップS206では、開放可能な残り時間があるか否かが判定される。制御部は、予測開放可能時間tmの取得の基となった測定値が取得された時刻、予測開放可能時間tmおよび現在時刻に基づいて、開放可能な残り時間を算出し、算出された残り時間がある(正である)か否かを判定する方法や、開放可能な限度時刻を算出し、算出された限度時刻が現在時刻よりも未来であるか否かを判定する方法等を用いて、開放可能な残り時間があるか否かを判定する。開放可能な残り時間および開放可能な限度時刻の具体的な算出方法は、図3を用いて説明したステップS104の処理の詳細において説明した算出方法と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
開放可能な残り時間がある(限度時刻を経過していない)と判定された場合、処理はステップS201へ進む。開放可能な残り時間がない(限度時刻を経過した)と判定された場合、処理はステップS207へ進む。
【0060】
ステップS207では、通知による警告が行われる。出力部36は、予め用意された警告内容を補助記憶装置19から読み出し、タッチパネルディスプレイ14に出力することで、保守作業者等のユーザに、開放可能な時間が経過したことを通知する。警告内容は、例えば、「保守作業可能な時間が経過しました」等のメッセージや、警告音等である。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0061】
なお、本フローチャートに示した処理では、開放可能な残り時間がなくなった場合(限度時刻を経過した場合)に警告を行うこととしているが、警告は、残時間が所定の閾値未満となったことを契機として行われてもよい。このようにすることで、開放可能な残り時間が尽きる前にユーザに対して警告を行い、装置に問題が発生することを効果的に防止することが出来る。
【0062】
次に、予測開放可能時間tmの取得方法のバリエーションを説明する。図3および図4
に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、得られた環境パラメータに基づいて1の予測開放可能時間tmが直接取得される方法について説明したが、予測開放可能
時間tmの取得には、一旦複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数
の予測開放可能時間tm1−tmnを比較または重み付けして、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法が採用されてもよい。
【0063】
初めに、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnを互いに比較して、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法に
ついて説明する。
【0064】
図5は、本実施形態に係る、複数の予測開放可能時間tm1−tmnの比較処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【0065】
ステップS301およびステップS302では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得される。ステップS301およびステップS302に示された処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS101およびステップS102の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS303へ進む。
【0066】
ステップS303では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される。予測開放可能時間取得部33は、ステップS302において取得された環境パラメータに示される環境における複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得する。予測開放可能時間tm1−tmnの具体的な取得方法として、テーブルやマップを参照すること方法や、関数を用いて取得する方法等が用いられてよいことは、図3を用いて説明したステップS103と同様である。但し、本フローチャートに係るステップS303では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される点で、図3を用いて説明したステップS103と異なる。
【0067】
取得される複数の予測開放可能時間tm1−tmnとしては、例えば、温度(内部温度Tinおよび外部温度Toutの組み合わせ、または内部温度Tinと外部温度Toutとの差分)に基づく予測開放可能時間tm1と、湿度(内部湿度Hinおよび外部湿度Houtの組み合わせ、
または内部湿度Hinと外部湿度Houtとの差分)に基づく予測開放可能時間tm2と、の組
み合わせが挙げられる。
【0068】
また、複数の予測開放可能時間tm1−tmnとして、装置を構成する構成要素(タッチパネルディスプレイ14、制御部、プリンタ18、プリンタ出力用の紙、カメラ、等)毎に、取得された温度および湿度に基づく予測開放可能時間tm1−tmnを取得してもよい。ここで、構成要素毎の予測開放可能時間tm1−tmnとは、環境パラメータに示される環境において開放状態が継続された場合に、夫々の構成要素が正常な状態を維持可能と予測される時間である。即ち、構成要素毎の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される場合、予測開放可能時間取得部33は、タッチパネルディスプレイ14が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm1、制御部が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm2、プリンタ18が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm3、プリンタ出力用の紙が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm4、カメラが正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm5、等を個別に取得する。複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得されると、処理はステップS304へ進む。
【0069】
ステップS304では、最も短い予測開放可能時間が採用される。予測開放可能時間取得部33は、ステップS303で取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnのうち、最も短いものを、装置全体に係る予測開放可能時間tmとして取得する。これは、装置が
全体として正常な状態を維持可能と予測される時間は、正常な状態を維持可能と予測される時間が最も短い構成要素の予測開放可能時間と同一であるためである。その後、処理はステップS305へ進む。
【0070】
ステップS305では、ステップS304において取得された、装置全体に係る予測開放可能時間tmが出力される。ステップS305に示された処理の詳細は、図3を用いて
説明したステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0071】
このようにすることで、初めから1の予測開放可能時間tmを取得する場合に比べて、
環境パラメータと予測開放可能時間tmとの関係を示す情報(テーブル、マップ、関数等
)を簡素化することが出来る。
【0072】
次に、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnを重み付けして、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法につい
て説明する。
【0073】
図6は、本実施形態に係る、複数の予測開放可能時間tm1−tmnの重み付け処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【0074】
ステップS401からステップS403では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得され、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される。ステップS401からステップS403に示された処理の詳細は、図5を用いて説明したステップS301からステップS303の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS404へ進む。
【0075】
ステップS404では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnへの重み付けが行われる。重み付け部35は、ステップS403で取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnの夫々に対して、予め定められた条件に従って、重み付けを行う。重み付けは、係数を乗算する、所定値を加算する、等の方法が適宜選択されてよい。複数の予測開放可能時間tm1−tmnの重み付けの具体例としては、(1)保守内容に応じた重み付けや、(2)季節に応じた重み付け、(3)時間帯に応じた重み付け、等が挙げられる。例えば、保守内容に応じた重み付けでは、保守内容が紙交換である場合に、湿度から得られる予測開放可能時間tm2に乗算される係数を、温度から得られる予測開放可能時間tm1に乗算される係数よりも大きくする、といった重み付けが採用されてよい。季節に応じた重み付けでは、夏冬での環境の差に応じた重み付けが採用されてよいし、時間帯に応じた重み付けでは、昼夜での環境の差に応じた重み付けが採用されてよい。
【0076】
ステップS405では、装置全体に係る1の予測開放可能時間tmが取得される。予測
開放可能時間取得部33は、ステップS404における重み付けが行われた複数の予測開放可能時間tm1−tmnを合成して1の予測開放可能時間tmを算出することで、装置全体
に係る予測開放可能時間tmを取得する。装置全体に係る予測開放可能時間tmは、例えば、ステップS404で重み付けされた複数の予測開放可能時間tm1−tmnの平均を算出することで取得することが出来る。但し、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを合成の具体的な方法には、その他の計算方法が採用されてよい。その後、処理はステップS406へ進む。
【0077】
ステップS406では、ステップS405において取得された、装置全体に係る予測開放可能時間tmが出力される。ステップS406に示された処理の詳細は、図3を用いて
説明したステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0078】
このようにすることで、内部温湿度センサ25および外部温湿度センサ26によっては取得できない条件も考慮された、より正確な予測開放可能時間tmを得ることが可能とな
る。
【0079】
<予測開放可能時間の取得方法>
次に、図7から図14を用いて、環境パラメータに基づいて予測開放可能時間tmを取
得する、具体的な方法について説明する。
【0080】
初めに、テーブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。なお、
環境パラメータと予測開放可能時間tmとの関係が保持されるテーブルは、装置を用いた
実験によって作成されてもよいし、装置に用いられている各構成要素のスペックを参照して作成されてもよい。
【0081】
図7は、本実施形態に係る温湿度テーブルを示す図である。温湿度テーブルは、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。なお、外部
温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせパターンは大量となるため、テーブルに保持する予測開放可能時間tmを、どの程度の温度または湿度
の間隔毎にサンプリングするのかは、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
【0082】
温湿度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部
32は、環境パラメータとして外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせに基づいて温湿度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0083】
なお、マップを用いた予測開放可能時間tmの取得方法についても、上記説明したテー
ブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法と概略同様である。温湿度マップは、実験
等によって測定された外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持す
る。そして、予測開放可能時間取得部33は、このマップを参照することで、環境パラメータに示された組み合わせに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0084】
次に、関数を用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。この場合、環
境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Tout、内部温度Tin、外部
湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得
部33は、予め用意された、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmとの関係を表す関数F1(Tout
, Tin, Hout, Hin)に、取得された環境パラメータを代入することで、予測開
放可能時間tmを取得する。
tm = F1(Tout, Tin, Hout, Hin)
ここで、tmは予測開放可能時間tmを示す。
【0085】
また、予測開放可能時間tmは、図5のステップS303において説明したように、温
度に基づいて取得される予測開放可能時間tmと、湿度に基づいて取得される予測開放可
能時間tmと、が別々に取得されてもよい。そして、このような場合にも、予測開放可能
時間tmは、テーブルまたはマップを参照して取得されてもよいし、関数を用いて取得さ
れてもよい。
【0086】
初めに、テーブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0087】
図8は、本実施形態に係る温度テーブルを示す図である。温度テーブルは、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに
おける予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。
【0088】
温度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部3
2は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせを取得する
。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合
わせに基づいて温度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0089】
図9は、本実施形態に係る湿度テーブルを示す図である。湿度テーブルは、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに
おける予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。
【0090】
湿度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部3
2は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する
。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合
わせに基づいて湿度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0091】
なお、マップを用いた予測開放可能時間tmの取得方法についても、上記説明したテー
ブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法と概略同様である。温度マップは、実験等
によって測定された外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせからなる環境パラメ
ータと、予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持する。また、湿度マッ
プは、実験等によって測定された外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからな
る環境パラメータと、予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持する。そ
して、予測開放可能時間取得部33は、これらのマップを参照することで、環境パラメータに示された組み合わせに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0092】
次に、経過時間算出関数を用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0093】
経過時間算出関数を用いて温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パ
ラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み
合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutごとに予め
用意された、経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数(t = F2
(Tin))と、取得された環境パラメータとを用いて、温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0094】
図10は、本実施形態における経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。経過時間算出関数は、装置扉22が開放されると、時間の経過に従って内部温度Tinが外部温度Toutに近付いていくことを表す。図10
に示すグラフは、装置扉22の開放前における外部温度Toutが内部温度Tinに比べて低
い場合の経過時間tと内部温度Tinとの関係を示しており、この場合、内部温度Tinが高いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが短く、内部温度Tinが低いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが長い。
【0095】
ここでは、予測開放可能時間tmの取得にあたって、装置が正常な状態を維持可能な温
度である限界温度Tlimが用いられる。即ち、予測開放可能時間tmは、現在の内部温度Tinに対応する経過時間tinと、限界温度Tlimに対応する経過時間tlimとの差分であり、
以下に示す計算によって算出し、取得することが出来る。
tlim = F2(Tlim)
tin = F2(Tin)
tm = tin − tlim
ここで、F2(x)は経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数(t
= F2(Tin))である。
【0096】
また、経過時間算出関数を用いて湿度に基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、
環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび内部湿度Hin
の組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtごと
に予め用意された、経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数(t =
F3(Hin))と、取得された環境パラメータとを用いて、湿度に基づく予測開放可能
時間tmを取得する。
【0097】
図11は、本実施形態における経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。経過時間算出関数は、装置扉22が開放されると、時間の経過に従って内部湿度Hinが外部湿度Houtに近付いていくことを表す。図11
に示すグラフは、装置扉22の開放前における外部湿度Houtが内部湿度Hinに比べて低
い場合の経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示しており、この場合、内部湿度Hinが高いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが短く、内部湿度Hinが低いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが長い。
【0098】
ここでは、予測開放可能時間tmの取得にあたって、装置が正常な状態を維持可能な湿
度である限界湿度が用いられる。即ち、予測開放可能時間tmは、現在の内部湿度Hinに
対応する経過時間tinと、限界湿度に対応する経過時間tlimとの差分であり、以下に示
す計算によって算出し、取得することが出来る。
tlim = F3(Hlim)
tin = F3(Hin)
tm = tin − tlim
ここで、F3(x)は経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数(t
= F3(Hin))である。
【0099】
次に、温度差分Tdivに基づく予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0100】
温度差分Tdivに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutと内部温度Tinとの差分(温度差分Tdiv)を取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutごとに予め用意され
た、温度差分Tdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F4(Tdiv))を用いて、温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0101】
図12は、本実施形態における温度差分Tdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。予測開放可能時間算出関数は、装置扉22が開放された場合の、所定の外部温度Toutにおける温度差分Tdivに対応する、予測開放可能時間tmを表す。図12に示すグラフは、装置扉22の開放前における
外部温度Toutが内部温度Tinに比べて低い場合の経過時間と内部温度Tinとの関係を示
しており、この場合、温度差分Tdivが大きいほど予測開放可能時間tmが長く、温度差分Tdivが小さいほど予測開放可能時間tmが短い。
【0102】
また、湿度差分Hdivに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtと内部湿度Hinとの差分(湿度差分Hd
iv)を取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtごとに予め用
意された、湿度差分Hdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F5(Hdiv))を用いて、湿度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0103】
図13は、本実施形態における湿度差分Hdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。予測開放可能時間算出関数は、装置扉22が開放された場合の、所定の外部湿度Houtにおける湿度差分Hdivに対応する、予測開放可能時間tmを表す。図13に示すグラフは、装置扉22の開放前における
外部湿度Houtが内部湿度Hinに比べて低い場合の経過時間と内部湿度Hinとの関係を示
しており、この場合、湿度差分Hdivが大きいほど予測開放可能時間tmが長く、湿度差分Hdivが小さいほど予測開放可能時間tmが短い。
【0104】
次に、外部温湿度と内部温湿度との組み合わせに基づく予測開放可能時間tmの取得方
法について説明する。
【0105】
予測開放可能時間算出関数は、温度差分Tdivや湿度差分Hdivを引数とするものに限定されない。例えば、外部温度Toutと内部温度Tinとの組み合わせを引数とする予測開放
可能時間算出関数や、外部湿度Houtと内部湿度Hinとの組み合わせを引数とする予測開
放可能時間算出関数が用いられてもよい。
【0106】
外部温度Toutと内部温度Tinとの組み合わせに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温
度Tinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、予め用意された、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F6(Tout, Tin))を用いて、温度に基づ
く予測開放可能時間tmを取得する。
【0107】
図14は、本実施形態における予測開放可能時間tm、外部温度Tout、および内部温度Tininの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【0108】
また、外部湿度Houtと内部湿度Hinとの組み合わせに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび
内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、予め用意された、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F7(Hout, Hin))を用いて、湿度
に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0109】
図15は、本実施形態における予測開放可能時間tm、外部湿度Hout、および内部湿度Hininの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【0110】
<環境パラメータ取得方法のバリエーション>
図3および図4に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、環境パラメータとして温度および湿度自体が採用されるか、外部温湿度と内部温湿度との差分が採用される。このため、図3および図4に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、センサからの温度および湿度の取得は、1回の予測開放可能時間tmの取得に対して1
回であった。しかし、環境パラメータとして装置扉22の開放前後の温度および湿度の変化を取得する場合には、1回の予測開放可能時間tmの取得に対して、センサからの温度
および湿度の取得を2回行う必要がある。以下、図16を用いて、環境パラメータとして装置扉22の開放前後の温度および湿度の変化を取得する場合の処理の流れを説明する。
【0111】
図16は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理が実行される契機は、図3を参照して説明した開放可能時間出力処理が実行される契機と同様であるため、説明を省略する。但し、図16に示された開放可能時間出力処理は、装置扉22の開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinの変化を取得するために、装置扉22が開放されていない状態で実行開始される。
【0112】
ステップS501では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から、装置扉22が開放されていない状態の内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得する。温度および湿度が取得されると、処理はステップS502へ進む。
【0113】
ステップS502では、装置扉22の状態が判断される。開放検知部34は、扉開閉センサ23の出力を参照することで装置扉22の開放状態を検知し、装置扉22が開放状態となったことを検知する。装置扉22が開放状態となっていないと判定された場合、処理はステップS501へ進む。装置扉22が開放状態となった(即ち、装置扉22が開放された)と判定された場合、処理はステップS503へ進む。
【0114】
ステップS503では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から、装置扉22が開放されている状態(開放状態)の内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得する。なお、測定部31は、開放検知部34による開放検知から所定時間の経過を待って内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得してもよい。このようにすることで、装置扉22の開放後所定の時間が経過した時点における、開放前からの温湿度の変化を取得することが出来る。
【0115】
ステップS504では、環境パラメータが取得される。測定部31によって装置扉22の開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinが取得されると、環境パラメータ取得部32は、取得された開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hin(開放前内部温度Tin、開放後内部温度Tin、開放前内部湿度Hinおよび開放後内部湿度Hin)に基づいて、環境パラメータを取得する。本フローチャートに示される処理においては、環境パラメータとして、開放前の内部温度Tinおよび内部湿度Hinと、開放後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinとの差分が採用される。即ち、環境パラメータ取得部32は、ステップS501において取得された開放前内部温度TinとステップS503において取得された開放後内部温度Tinとの差分、およびステップS501において取得された開放前内部湿度HinとステップS503において取得された開放後内部湿度Hinとの差分を、環境パラメータとする。環境パラメータが取得されると、処理はステップS505へ進む。
【0116】
ステップS505およびステップS506では、環境パラメータに応じた予測開放可能時間tmが取得され、出力される。ステップS505およびステップS506に示された
処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS103およびステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0117】
本フローチャートに示された処理によれば、開放前後のKIOSK装置1内部の温湿度変化を用いて予測開放可能時間tmを取得することで、外部温湿度センサ26を用いずに
、予測開放可能時間tmを得ることが出来る。
【符号の説明】
【0118】
1 KIOSK装置
14 タッチパネルディスプレイ
22 装置扉
23 扉開閉センサ
25 内部温湿度センサ
26 外部温湿度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置、該装置において開放状態を継続可能な時間を予測する時間予測方法、および時間予測用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露光に用いる照明用のランプを交換する際のメンテナンス用の扉を備えた露光装置およびこれを用いたデバイス製造方法において、露光装置に対し、ランプの温度情報を検出する手段と、露光装置本体のシーケンスの停止を確認してその旨の停止情報を出力する手段、あるいは、温度情報に基づいて前記扉を開けても良いか否かの情報を表示する手段とを設ける技術がある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、冷却装置と、庫内ファンと、冷却器に設けた冷却器温度検知手段とを備え、前記冷却器温度検知手段が一定時間所定温度以下になった場合に、庫内ファンの故障と判断し、表示部に故障表示させることでメンテナンスを促す自動販売機がある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−21743号公報
【特許文献2】特開2005−141472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、装置の保守のためには、装置外装を開放状態とし、装置内部にアクセスする作業が行われる。しかし、装置外装を開放状態とした場合、装置内部の環境が開放状態の継続に伴って変化し、装置内部の環境が望ましくない環境となってしまう可能性がある。例えば、装置が屋外に設置されているような場合には、装置外装が開放状態となったことを契機として、装置内部の温度や湿度が外気温または外湿度に近付くように変化し、装置において、装置故障や設備劣化等の問題が発生する可能性がある。なお、装置故障や設備劣化等の問題は、装置扉が開放状態にあるときにのみ発生しうるものではない。装置扉を開放後、装置扉を閉めた後にも、上記問題は発生し得る。例えば、外部の湿度が装置内部より高い環境で装置扉を開放し、結露前に装置扉を閉めた場合であっても、装置扉の開放によって外部湿度に近付いた装置内部の湿度によって、扉を閉めた後に結露が発生し、装置故障や設備劣化等の問題を起こす可能性がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑み、装置外装を開放状態とした場合の装置内部の環境変化に伴う問題を発生させない程度に装置外装を開放可能な時間を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であって、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定手段と、前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得手段と、前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放
可能時間を取得する予測開放可能時間取得手段と、を備える装置である。
【0008】
ここで、本発明に係る装置は、装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であればよい。外装の一部としては、例えば、装置扉等が挙げられるが、本発明に係る装置には、装置内部にアクセスするために外装全体が除去されるような装置も含まれる。また、対応関係情報は、例えば、環境パラメータから予測開放可能時間を算出可能な関数や、環境パラメータから予測開放可能時間を取得可能なテーブル、マップ等である。
【0009】
本発明によれば、装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得し、この環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得することで、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を得ることが出来る。
【0010】
また、本発明において、前記予測開放可能時間は、前記環境パラメータに示される環境において該装置の開放状態が継続された場合に、該装置が正常な状態を維持可能と予測される時間であってもよい。
【0011】
また、本発明において、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との組み合わせを取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記組み合わせに対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0012】
このようにすることで、内部センサおよび外部センサを用いて取得された測定値を用いて予測開放可能時間を取得することで、より正確な予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0013】
また、本発明において、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との差分を取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記差分に対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0014】
このようにすることで、内部センサによる測定値と外部センサによる測定値との差分を用いて予測開放可能時間を取得することで、シンプルな環境パラメータを用いて予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0015】
また、本発明に係る装置は、前記外装の少なくとも一部の開放を検知する開放検知手段を更に備え、前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサを用いて、前記開放検知手段によって検知された開放の前後における測定値を取得し、前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記開放の前後における前記測定値の変化を取得し、前記予測開放可能時間取得手段は、前記変化に対応する予測開放可能時間を取得してもよい。
【0016】
このようにすることで、開放前後の装置内部の温湿度変化を用いて予測開放可能時間を取得することで、外部センサを用いずに予測開放可能時間を得ることが出来る。
【0017】
また、本発明において、前記予測開放可能時間取得手段は、複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、本発明に係る装置は、取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定
の条件に従って夫々重み付けする重み付け手段を更に備えてもよい。
【0018】
ここで、取得される複数種類の予測開放可能時間としては、例えば、温度に基づく予測開放可能時間および湿度に基づく予測開放可能時間の他、装置を構成する構成要素毎の予測開放可能時間がある。
【0019】
複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定の条件に従って夫々重み付けすることで、センサによって取得される測定値以外の、環境に関連する条件を考慮した予測開放可能時間を取得することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る装置は、前記予測開放可能時間取得手段によって取得された予測開放可能時間または該予測開放可能時間に応じた内容を出力する出力手段を更に備えてもよい。
【0021】
ここで、出力手段は、例えば、作業可能な時間があとどれだけ残されているかを示す作業可能残時間、作業可能残時間が尽きる時刻を示す作業限度時刻、作業可能な時間が残り少ないことや作業可能な時間が尽きたことを示すタイムオーバー警告、等を出力する。
【0022】
また、本発明は、コンピュータによって実行される方法、またはコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置外装を開放状態とした場合の装置内部の環境変化に伴う問題を発生させない程度に装置外装を開放可能な時間を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るKIOSK装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るKIOSK装置の機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る、複数の予測開放可能時間の比較処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【図6】実施形態に係る、複数の予測開放可能時間の重み付け処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【図7】実施形態に係る温湿度テーブルを示す図である。
【図8】実施形態に係る温度テーブルを示す図である。
【図9】実施形態に係る湿度テーブルを示す図である。
【図10】実施形態における経過時間と内部温度との関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図11】実施形態における経過時間と内部湿度との関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図12】実施形態における温度差分と予測開放可能時間との関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図13】実施形態における湿度差分と予測開放可能時間との関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図14】実施形態における予測開放可能時間、外部温度、および内部温度の関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図15】実施形態における予測開放可能時間、外部湿度、および内部湿度の関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【図16】実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明を実施するにあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されることが好ましい。本実施形態において、本発明に係る装置は、屋外に設置されるKIOSK装置として実施される。但し、本発明の適用対象は、KIOSK装置に限定されない。また、装置は、装置外装の開放によって装置内部の環境が変化する可能性があれば、屋外に限らず屋内に設置されてもよい。
【0026】
<装置の構成>
図1は、本実施形態に係るKIOSK装置1のハードウェア構成の概略を示す図である。KIOSK装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read
Only Memory)13と、補助記憶装置19と、タッチパネルディスプレイ14と、スピーカ15と、ネットワークインターフェース16と、近距離通信インターフェース17と、プリンタ18と、対人センサ20と、操作用ボタン21と、扉開閉センサ23と、LED24と、内部温湿度センサ25と、外部温湿度センサ26と、が電気的に接続され、外装の一部に装置扉22を有する情報処理装置である。
【0027】
但し、本発明の実施にあたって、本発明に係る装置は、上記した構成を全て備える必要はない。装置の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、装置外装の開放状態に関係なく環境パラメータが取得される場合には、扉開閉センサ23は省略されてよい。また、KIOSK装置1には、入力装置として更にマウスやキーボード等が接続されてもよい。
【0028】
CPU11は、中央処理装置であり、RAM12およびROM13等に展開された命令及びデータを処理することで、RAM12、補助記憶装置19、入出力装置等の、KIOSK装置1に備えられた各構成を制御する。また、RAM12は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読み出される。即ち、CPU11、RAM12、およびROM13は、KIOSK装置1の制御部を構成する。
【0029】
補助記憶装置19は、不揮発性の記憶装置であり、主にKIOSK装置1の電源を落としても保持したい情報、例えば、RAM12にロードされるKIOSK装置1のOS(Operating System)や、図3以降のフローチャートに示された処理を実行するための各種プログラムの他、KIOSK装置1によって使用される各種データが書き込まれ、読み出される。補助記憶装置19としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やHDD(Hard Disk Drive)等を用いることが出来る。
【0030】
本実施形態に係るKIOSK装置1では、入出力装置として、主にタッチパネルディスプレイ14や操作用ボタン21、スピーカ15等が用いられ、CPU11によって制御され、データを出力し、ユーザによる操作を受け付けることで、ユーザの五感を通じて情報を提供し、ユーザによるタッチ操作やボタン押下操作等を介してユーザによる入力を受け付ける。入出力装置から入力された内容はRAM12に記録され、CPU11によって処
理される。ユーザインターフェースとしては、タッチパネルディスプレイ14等を介した画面表示を介した入出力の他、マイク(図示は省略する)およびスピーカ15を用いた音声による入出力、カメラ(図示は省略する)を用いたジェスチャによる入力等を用いることが出来る。
【0031】
近距離通信インターフェース17は、通信を行う端末同士が、一定の距離または一定の領域内にある場合に通信が可能となる通信インターフェースである。具体的には、本実施形態では、近距離通信インターフェース17として、ユーザ端末である携帯電話端末に内蔵された非接触式ICカードと通信を行うことが可能な近距離通信インターフェース17、即ち、非接触式ICカード用のリーダ・ライタが採用される。但し、KIOSK装置1とユーザ端末との間の通信には、その他の通信方式、例えば、接触式ICカード通信や無線LAN、Bluetooth、RFID等の通信方式が採用されてもよい。
【0032】
対人センサ20は、赤外線や超音波等を用いて、KIOSK装置1の近傍におけるユーザを検知し、ユーザが検知されると、ユーザが検知されたことを示す信号を出力する。
【0033】
装置扉22は、KIOSK装置1の内部にアクセスするために開放される扉であり、装置外装の一部である。装置扉22は、例えば、保守のために用いることが出来るが、本実施形態において装置扉22の用途は限定されない。例えば、装置扉22は、装置の電源投入用等、保守以外の用途を有するものであってもよい。また、扉開閉センサ23は、装置扉22が開放状態であるか否かの検知、および装置扉22が開閉操作されたことの検知を行うことが可能な出力を行うセンサである。
【0034】
内部温湿度センサ25および外部温湿度センサ26は、設置位置における温度および湿度を測定可能なセンサである。なお、本実施形態において、内部温湿度センサ25は、装置内部(装置外装の内側)の一箇所、外部温湿度センサ26は、装置外部(装置外装の外側)の一箇所に設けられるが、これらのセンサは、管理の対象となる装置の構成要素の全てに取り付けられてもよいし、動作保証温湿度範囲が狭い部品(例えば、プリンタ18、磁気読み取りユニット、HDD、タッチパネルディスプレイ14等)に取付けられてもよい。
【0035】
図2は、本実施形態に係るKIOSK装置1の機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置は、CPU11が、RAM12に展開された各種プログラムを解釈および実行することで、測定部31と、環境パラメータ取得部32と、予測開放可能時間取得部33と、開放検知部34と、重み付け部35と、出力部36と、を備えるKIOSK装置1として機能する。これらの各機能部は、本発明に係る情報処理装置が備える各手段に相当する機能を実行する。また、本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPU11によって実行される例について説明しているが、これらの機能は、その一部または全部が、1または複数の専用のプロセッサによって実現されてもよい。
【0036】
測定部31は、KIOSK装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を、KIOSK装置1の内部に設けられた内部温湿度センサ25および外部に設けられた外部温湿度センサ26を用いて取得する。
【0037】
環境パラメータ取得部32は、測定値に基づいて、KIOSK装置1の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する。ここで、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして、内部温湿度センサ25による測定値と外部温湿度センサ26による測定値との組み合わせを取得してもよいし、内部温湿度センサ25による測定値と外部温湿度センサ26による測定値との差分を取得してもよいし、開放の前後における測定値の変化を取得してもよい。
【0038】
予測開放可能時間取得部33は、環境パラメータに示される環境において開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間tmと環境パラメータとの対応関係を示
すテーブルやマップ、関数等の対応関係情報に基づいて、環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0039】
開放検知部34は、扉開閉センサ23からの出力信号に基づいて、外装の一部である装置扉22の開放を検知する。
【0040】
重み付け部35は、複数種類の予測開放可能時間tmが取得された場合に、取得された
複数種類の予測開放可能時間tmを、所定の条件に従って夫々重み付けする。重み付け処
理の詳細については、フローチャートを用いて後述する。
【0041】
出力部36は、予測開放可能時間取得部33によって取得された予測開放可能時間tm
または当該予測開放可能時間tmに応じた内容(メッセージや警告音等)を出力する。
【0042】
<処理の流れ>
以下、図3から図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る処理の流れを説明する。なお、本実施形態においてフローチャートを用いて説明される処理の具体的な内容および順序等は、本発明を実施する上での一例である。具体的な処理内容および順序等は、実施の形態に応じて適宜選択されることが好ましい。
【0043】
図3は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、操作用ボタン21に含まれる保守用ボタンが押下されたことや、保守作業者による近距離通信インターフェース17へのICカードのタッチ操作が行われたこと、装置扉22の開放操作が検知されたこと、その他の操作による保守モードへの移行操作が行われたこと、対人センサ20によってユーザが検知されたこと、等を契機として実行される。但し、本フローチャートに示された処理は、KIOSK装置1の起動中に、継続的または定期的に実行されてもよい。
【0044】
ステップS101では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から内部温度Tin(装置内部の温度)および内部湿度Hin(装置内部の湿度)を取得し、更に、外部温湿度センサ26から外部温度Tout(外気温)および外部湿度Hout(外湿度)を取得する。温度および湿度が取得されると、処理はステップS102へ進む。
【0045】
ステップS102では、環境パラメータが取得される。測定部31によって温度および湿度が取得されると、環境パラメータ取得部32は、取得された温度および湿度(外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hin)に基づいて、環境パラメータを取得する。本フローチャートに示される処理においては、環境パラメータとして、取得された温度および湿度自体の組み合わせが採用される。即ち、環境パラメータ取得部32は、ステップS101において取得された外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを、そのまま環境パラメータとする。環境パラメータが取得されると、処理はステップS103へ進む。
【0046】
但し、環境パラメータとして、取得された外部温湿度と内部温湿度との差分が採用されてもよい。環境パラメータとして外部温湿度と内部温湿度との差分が採用される場合には、環境パラメータ取得部32は、ステップS101において取得された内部温度Tinと外部温度Toutとの差分(以下、「温度差分Tdiv」と称する)、およびステップS101において取得された内部湿度Hinと外部湿度Houtとの差分(以下、「湿度差分Hdiv」と称する)、を取得する。
【0047】
ステップS103では、予測開放可能時間tm(保守作業可能時間)が取得される。予
測開放可能時間取得部33は、ステップS102において取得された環境パラメータに示される環境に対応する予測開放可能時間tmを取得する。予測開放可能時間tmは、装置扉22の開放状態を継続可能と予測される時間を示す時間であり、また、環境パラメータに示される環境において開放状態が継続された場合に、KIOSK装置1が正常な状態を維持可能と予測される時間である。
【0048】
予測開放可能時間tmは、得られた環境パラメータに対応するものが取得される。予測
開放可能時間tmの具体的な取得方法としては、環境パラメータと予測開放可能時間tmとの対応関係を示すテーブルやマップを参照することで環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する方法や、環境パラメータと予測開放可能時間tmとの対応関係を示す関数を用いて環境パラメータに対応する予測開放可能時間tmを取得する方法、等が用
いられてよい。予測開放可能時間tmを取得するためのテーブル、マップおよび関数等の
具体的な内容については、<予測開放可能時間の取得方法>の項において後述する。但し、具体的な予測開放可能時間tmの取得方法には、その他の方法が採用されてよい。予測
開放可能時間tmが取得されると、処理はステップS104へ進む。
【0049】
ステップS104では、予測開放可能時間tmが出力される。出力部36は、予測開放
可能時間取得部33によって取得された予測開放可能時間tmを、タッチパネルディスプ
レイ14等を介して出力することで、保守作業者等のユーザに通知する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0050】
但し、ステップS104において出力される内容は、予測開放可能時間tmに応じた内
容であればよく、取得された予測開放可能時間tm自体でなくてもよい。例えば、予測開
放可能時間tmの取得の基となった測定値が取得された測定値取得時刻と、予測開放可能
時間tmと、現在時刻と、を用いて次の計算を行うことで、開放可能な残り時間を算出す
ることが出来る。
開放可能な残り時間=予測開放可能時間tm−(現在時刻−測定値取得時刻)
このため、出力部36は、開放可能な残り時間を算出し、これをカウントダウンするように出力してもよい。
【0051】
また、測定値取得時刻と、予測開放可能時間tmと、を用いて次の計算を行うことで、
開放可能な限度時刻を算出することが出来る。
開放可能な限度時刻=測定値取得時刻+予測開放可能時間tm
このため、出力部36は、開放可能な限度時刻を算出し、これを出力してもよい。
【0052】
また、開放可能な残り時間が所定の閾値未満となった場合(開放可能な限度時刻が迫っている場合)や、開放可能な残り時間が尽きた場合(開放可能な限度時刻を経過した場合)には、ユーザへの警告を出力することとしてもよい。
【0053】
また、ステップS104における出力先は、ユーザへの通知を目的とする場合には、タッチパネルディスプレイ14の他、LED24、スピーカ15等、ユーザが五感を通じて通知を把握可能なユーザインターフェース装置となる。また、出力先は、装置に備えられた構成に限定されない。例えば、出力の内容は、有線/無線を介して、携帯電話やパーソナルコンピュータ等のユーザ端末へリモート出力されてもよい。更に、出力の目的がユーザへの通知ではなく、情報の蓄積や分析のみである場合には、出力先は単に他の装置やシステムであってよい。
【0054】
次に、装置扉22が開放状態となっている間、最新の環境パラメータに基づいた予測開
放可能時間tmを継続的に取得し、出力するための処理を説明する。
【0055】
図4は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図3を用いて説明した開放可能時間出力処理に続いて実行される。
【0056】
ステップS201では、装置扉22の状態が判断される。開放検知部34は、扉開閉センサ23の出力を参照することで装置扉22の開放状態を検知し、装置扉22の開放状態が継続されているか否かを判定する。装置扉22の開放状態が継続されていると判定された場合、処理はステップS202へ進む。装置扉22の開放状態が継続されていない(即ち、装置扉22が閉じられた)と判定された場合、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
ステップS202からステップS205では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得され、環境パラメータに応じた予測開放可能時間tmが取得され、出力される。ステップS202からステップS205に示された
処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS101からステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS206へ進む。
【0058】
ステップS206では、開放可能な残り時間があるか否かが判定される。制御部は、予測開放可能時間tmの取得の基となった測定値が取得された時刻、予測開放可能時間tmおよび現在時刻に基づいて、開放可能な残り時間を算出し、算出された残り時間がある(正である)か否かを判定する方法や、開放可能な限度時刻を算出し、算出された限度時刻が現在時刻よりも未来であるか否かを判定する方法等を用いて、開放可能な残り時間があるか否かを判定する。開放可能な残り時間および開放可能な限度時刻の具体的な算出方法は、図3を用いて説明したステップS104の処理の詳細において説明した算出方法と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
開放可能な残り時間がある(限度時刻を経過していない)と判定された場合、処理はステップS201へ進む。開放可能な残り時間がない(限度時刻を経過した)と判定された場合、処理はステップS207へ進む。
【0060】
ステップS207では、通知による警告が行われる。出力部36は、予め用意された警告内容を補助記憶装置19から読み出し、タッチパネルディスプレイ14に出力することで、保守作業者等のユーザに、開放可能な時間が経過したことを通知する。警告内容は、例えば、「保守作業可能な時間が経過しました」等のメッセージや、警告音等である。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0061】
なお、本フローチャートに示した処理では、開放可能な残り時間がなくなった場合(限度時刻を経過した場合)に警告を行うこととしているが、警告は、残時間が所定の閾値未満となったことを契機として行われてもよい。このようにすることで、開放可能な残り時間が尽きる前にユーザに対して警告を行い、装置に問題が発生することを効果的に防止することが出来る。
【0062】
次に、予測開放可能時間tmの取得方法のバリエーションを説明する。図3および図4
に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、得られた環境パラメータに基づいて1の予測開放可能時間tmが直接取得される方法について説明したが、予測開放可能
時間tmの取得には、一旦複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数
の予測開放可能時間tm1−tmnを比較または重み付けして、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法が採用されてもよい。
【0063】
初めに、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnを互いに比較して、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法に
ついて説明する。
【0064】
図5は、本実施形態に係る、複数の予測開放可能時間tm1−tmnの比較処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【0065】
ステップS301およびステップS302では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得される。ステップS301およびステップS302に示された処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS101およびステップS102の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS303へ進む。
【0066】
ステップS303では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される。予測開放可能時間取得部33は、ステップS302において取得された環境パラメータに示される環境における複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得する。予測開放可能時間tm1−tmnの具体的な取得方法として、テーブルやマップを参照すること方法や、関数を用いて取得する方法等が用いられてよいことは、図3を用いて説明したステップS103と同様である。但し、本フローチャートに係るステップS303では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される点で、図3を用いて説明したステップS103と異なる。
【0067】
取得される複数の予測開放可能時間tm1−tmnとしては、例えば、温度(内部温度Tinおよび外部温度Toutの組み合わせ、または内部温度Tinと外部温度Toutとの差分)に基づく予測開放可能時間tm1と、湿度(内部湿度Hinおよび外部湿度Houtの組み合わせ、
または内部湿度Hinと外部湿度Houtとの差分)に基づく予測開放可能時間tm2と、の組
み合わせが挙げられる。
【0068】
また、複数の予測開放可能時間tm1−tmnとして、装置を構成する構成要素(タッチパネルディスプレイ14、制御部、プリンタ18、プリンタ出力用の紙、カメラ、等)毎に、取得された温度および湿度に基づく予測開放可能時間tm1−tmnを取得してもよい。ここで、構成要素毎の予測開放可能時間tm1−tmnとは、環境パラメータに示される環境において開放状態が継続された場合に、夫々の構成要素が正常な状態を維持可能と予測される時間である。即ち、構成要素毎の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される場合、予測開放可能時間取得部33は、タッチパネルディスプレイ14が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm1、制御部が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm2、プリンタ18が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm3、プリンタ出力用の紙が正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm4、カメラが正常な状態を維持可能と予測される予測開放可能時間tm5、等を個別に取得する。複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得されると、処理はステップS304へ進む。
【0069】
ステップS304では、最も短い予測開放可能時間が採用される。予測開放可能時間取得部33は、ステップS303で取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnのうち、最も短いものを、装置全体に係る予測開放可能時間tmとして取得する。これは、装置が
全体として正常な状態を維持可能と予測される時間は、正常な状態を維持可能と予測される時間が最も短い構成要素の予測開放可能時間と同一であるためである。その後、処理はステップS305へ進む。
【0070】
ステップS305では、ステップS304において取得された、装置全体に係る予測開放可能時間tmが出力される。ステップS305に示された処理の詳細は、図3を用いて
説明したステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0071】
このようにすることで、初めから1の予測開放可能時間tmを取得する場合に比べて、
環境パラメータと予測開放可能時間tmとの関係を示す情報(テーブル、マップ、関数等
)を簡素化することが出来る。
【0072】
次に、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを取得し、取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnを重み付けして、最終的に1の予測開放可能時間tmを取得する方法につい
て説明する。
【0073】
図6は、本実施形態に係る、複数の予測開放可能時間tm1−tmnの重み付け処理を含む開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートを示す図である。
【0074】
ステップS401からステップS403では、温度および湿度が取得され、取得された温度および湿度に基づく環境パラメータが取得され、複数の予測開放可能時間tm1−tmnが取得される。ステップS401からステップS403に示された処理の詳細は、図5を用いて説明したステップS301からステップS303の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、処理はステップS404へ進む。
【0075】
ステップS404では、複数の予測開放可能時間tm1−tmnへの重み付けが行われる。重み付け部35は、ステップS403で取得された複数の予測開放可能時間tm1−tmnの夫々に対して、予め定められた条件に従って、重み付けを行う。重み付けは、係数を乗算する、所定値を加算する、等の方法が適宜選択されてよい。複数の予測開放可能時間tm1−tmnの重み付けの具体例としては、(1)保守内容に応じた重み付けや、(2)季節に応じた重み付け、(3)時間帯に応じた重み付け、等が挙げられる。例えば、保守内容に応じた重み付けでは、保守内容が紙交換である場合に、湿度から得られる予測開放可能時間tm2に乗算される係数を、温度から得られる予測開放可能時間tm1に乗算される係数よりも大きくする、といった重み付けが採用されてよい。季節に応じた重み付けでは、夏冬での環境の差に応じた重み付けが採用されてよいし、時間帯に応じた重み付けでは、昼夜での環境の差に応じた重み付けが採用されてよい。
【0076】
ステップS405では、装置全体に係る1の予測開放可能時間tmが取得される。予測
開放可能時間取得部33は、ステップS404における重み付けが行われた複数の予測開放可能時間tm1−tmnを合成して1の予測開放可能時間tmを算出することで、装置全体
に係る予測開放可能時間tmを取得する。装置全体に係る予測開放可能時間tmは、例えば、ステップS404で重み付けされた複数の予測開放可能時間tm1−tmnの平均を算出することで取得することが出来る。但し、複数の予測開放可能時間tm1−tmnを合成の具体的な方法には、その他の計算方法が採用されてよい。その後、処理はステップS406へ進む。
【0077】
ステップS406では、ステップS405において取得された、装置全体に係る予測開放可能時間tmが出力される。ステップS406に示された処理の詳細は、図3を用いて
説明したステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。予測開放可能時間tmが出力されると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0078】
このようにすることで、内部温湿度センサ25および外部温湿度センサ26によっては取得できない条件も考慮された、より正確な予測開放可能時間tmを得ることが可能とな
る。
【0079】
<予測開放可能時間の取得方法>
次に、図7から図14を用いて、環境パラメータに基づいて予測開放可能時間tmを取
得する、具体的な方法について説明する。
【0080】
初めに、テーブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。なお、
環境パラメータと予測開放可能時間tmとの関係が保持されるテーブルは、装置を用いた
実験によって作成されてもよいし、装置に用いられている各構成要素のスペックを参照して作成されてもよい。
【0081】
図7は、本実施形態に係る温湿度テーブルを示す図である。温湿度テーブルは、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。なお、外部
温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせパターンは大量となるため、テーブルに保持する予測開放可能時間tmを、どの程度の温度または湿度
の間隔毎にサンプリングするのかは、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
【0082】
温湿度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部
32は、環境パラメータとして外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせに基づいて温湿度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0083】
なお、マップを用いた予測開放可能時間tmの取得方法についても、上記説明したテー
ブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法と概略同様である。温湿度マップは、実験
等によって測定された外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持す
る。そして、予測開放可能時間取得部33は、このマップを参照することで、環境パラメータに示された組み合わせに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0084】
次に、関数を用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。この場合、環
境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Tout、内部温度Tin、外部
湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得
部33は、予め用意された、外部温度Tout、内部温度Tin、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに示された環境において装置扉22が開放された場合の予測開放可能時間tmとの関係を表す関数F1(Tout
, Tin, Hout, Hin)に、取得された環境パラメータを代入することで、予測開
放可能時間tmを取得する。
tm = F1(Tout, Tin, Hout, Hin)
ここで、tmは予測開放可能時間tmを示す。
【0085】
また、予測開放可能時間tmは、図5のステップS303において説明したように、温
度に基づいて取得される予測開放可能時間tmと、湿度に基づいて取得される予測開放可
能時間tmと、が別々に取得されてもよい。そして、このような場合にも、予測開放可能
時間tmは、テーブルまたはマップを参照して取得されてもよいし、関数を用いて取得さ
れてもよい。
【0086】
初めに、テーブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0087】
図8は、本実施形態に係る温度テーブルを示す図である。温度テーブルは、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに
おける予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。
【0088】
温度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部3
2は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせを取得する
。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合
わせに基づいて温度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0089】
図9は、本実施形態に係る湿度テーブルを示す図である。湿度テーブルは、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからなる環境パラメータと、当該環境パラメータに
おける予測開放可能時間tmと、が関連付けられて予め蓄積されたテーブルである。
【0090】
湿度テーブルを用いて予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部3
2は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせを取得する
。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合
わせに基づいて湿度テーブルを検索し、環境パラメータに示された組み合わせに最も近いレコードの予測開放可能時間tmを取得する。
【0091】
なお、マップを用いた予測開放可能時間tmの取得方法についても、上記説明したテー
ブルを用いた予測開放可能時間tmの取得方法と概略同様である。温度マップは、実験等
によって測定された外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせからなる環境パラメ
ータと、予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持する。また、湿度マッ
プは、実験等によって測定された外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせからな
る環境パラメータと、予測開放可能時間tmと、の関係をマップとして予め保持する。そ
して、予測開放可能時間取得部33は、これらのマップを参照することで、環境パラメータに示された組み合わせに対応する予測開放可能時間tmを取得する。
【0092】
次に、経過時間算出関数を用いた予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0093】
経過時間算出関数を用いて温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パ
ラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み
合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutごとに予め
用意された、経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数(t = F2
(Tin))と、取得された環境パラメータとを用いて、温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0094】
図10は、本実施形態における経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。経過時間算出関数は、装置扉22が開放されると、時間の経過に従って内部温度Tinが外部温度Toutに近付いていくことを表す。図10
に示すグラフは、装置扉22の開放前における外部温度Toutが内部温度Tinに比べて低
い場合の経過時間tと内部温度Tinとの関係を示しており、この場合、内部温度Tinが高いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが短く、内部温度Tinが低いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが長い。
【0095】
ここでは、予測開放可能時間tmの取得にあたって、装置が正常な状態を維持可能な温
度である限界温度Tlimが用いられる。即ち、予測開放可能時間tmは、現在の内部温度Tinに対応する経過時間tinと、限界温度Tlimに対応する経過時間tlimとの差分であり、
以下に示す計算によって算出し、取得することが出来る。
tlim = F2(Tlim)
tin = F2(Tin)
tm = tin − tlim
ここで、F2(x)は経過時間tと内部温度Tinとの関係を示す経過時間算出関数(t
= F2(Tin))である。
【0096】
また、経過時間算出関数を用いて湿度に基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、
環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび内部湿度Hin
の組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtごと
に予め用意された、経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数(t =
F3(Hin))と、取得された環境パラメータとを用いて、湿度に基づく予測開放可能
時間tmを取得する。
【0097】
図11は、本実施形態における経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数の一例をグラフに表した図である。経過時間算出関数は、装置扉22が開放されると、時間の経過に従って内部湿度Hinが外部湿度Houtに近付いていくことを表す。図11
に示すグラフは、装置扉22の開放前における外部湿度Houtが内部湿度Hinに比べて低
い場合の経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示しており、この場合、内部湿度Hinが高いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが短く、内部湿度Hinが低いほど装置扉22が開放されてからの経過時間tが長い。
【0098】
ここでは、予測開放可能時間tmの取得にあたって、装置が正常な状態を維持可能な湿
度である限界湿度が用いられる。即ち、予測開放可能時間tmは、現在の内部湿度Hinに
対応する経過時間tinと、限界湿度に対応する経過時間tlimとの差分であり、以下に示
す計算によって算出し、取得することが出来る。
tlim = F3(Hlim)
tin = F3(Hin)
tm = tin − tlim
ここで、F3(x)は経過時間tと内部湿度Hinとの関係を示す経過時間算出関数(t
= F3(Hin))である。
【0099】
次に、温度差分Tdivに基づく予測開放可能時間tmの取得方法について説明する。
【0100】
温度差分Tdivに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutと内部温度Tinとの差分(温度差分Tdiv)を取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部温度Toutごとに予め用意され
た、温度差分Tdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F4(Tdiv))を用いて、温度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0101】
図12は、本実施形態における温度差分Tdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。予測開放可能時間算出関数は、装置扉22が開放された場合の、所定の外部温度Toutにおける温度差分Tdivに対応する、予測開放可能時間tmを表す。図12に示すグラフは、装置扉22の開放前における
外部温度Toutが内部温度Tinに比べて低い場合の経過時間と内部温度Tinとの関係を示
しており、この場合、温度差分Tdivが大きいほど予測開放可能時間tmが長く、温度差分Tdivが小さいほど予測開放可能時間tmが短い。
【0102】
また、湿度差分Hdivに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtと内部湿度Hinとの差分(湿度差分Hd
iv)を取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、外部湿度Houtごとに予め用
意された、湿度差分Hdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F5(Hdiv))を用いて、湿度に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0103】
図13は、本実施形態における湿度差分Hdivと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。予測開放可能時間算出関数は、装置扉22が開放された場合の、所定の外部湿度Houtにおける湿度差分Hdivに対応する、予測開放可能時間tmを表す。図13に示すグラフは、装置扉22の開放前における
外部湿度Houtが内部湿度Hinに比べて低い場合の経過時間と内部湿度Hinとの関係を示
しており、この場合、湿度差分Hdivが大きいほど予測開放可能時間tmが長く、湿度差分Hdivが小さいほど予測開放可能時間tmが短い。
【0104】
次に、外部温湿度と内部温湿度との組み合わせに基づく予測開放可能時間tmの取得方
法について説明する。
【0105】
予測開放可能時間算出関数は、温度差分Tdivや湿度差分Hdivを引数とするものに限定されない。例えば、外部温度Toutと内部温度Tinとの組み合わせを引数とする予測開放
可能時間算出関数や、外部湿度Houtと内部湿度Hinとの組み合わせを引数とする予測開
放可能時間算出関数が用いられてもよい。
【0106】
外部温度Toutと内部温度Tinとの組み合わせに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部温度Toutおよび内部温
度Tinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、予め用意された、外部温度Toutおよび内部温度Tinの組み合わせと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F6(Tout, Tin))を用いて、温度に基づ
く予測開放可能時間tmを取得する。
【0107】
図14は、本実施形態における予測開放可能時間tm、外部温度Tout、および内部温度Tininの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【0108】
また、外部湿度Houtと内部湿度Hinとの組み合わせに基づく予測開放可能時間tmを取得する場合、環境パラメータ取得部32は、環境パラメータとして外部湿度Houtおよび
内部湿度Hinの組み合わせを取得する。そして、予測開放可能時間取得部33は、予め用意された、外部湿度Houtおよび内部湿度Hinの組み合わせと予測開放可能時間tmとの関係を示す予測開放可能時間算出関数(tm = F7(Hout, Hin))を用いて、湿度
に基づく予測開放可能時間tmを取得する。
【0109】
図15は、本実施形態における予測開放可能時間tm、外部湿度Hout、および内部湿度Hininの関係を示す予測開放可能時間算出関数の一例をグラフに表した図である。
【0110】
<環境パラメータ取得方法のバリエーション>
図3および図4に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、環境パラメータとして温度および湿度自体が採用されるか、外部温湿度と内部温湿度との差分が採用される。このため、図3および図4に示すフローチャートを用いて説明した処理の流れでは、センサからの温度および湿度の取得は、1回の予測開放可能時間tmの取得に対して1
回であった。しかし、環境パラメータとして装置扉22の開放前後の温度および湿度の変化を取得する場合には、1回の予測開放可能時間tmの取得に対して、センサからの温度
および湿度の取得を2回行う必要がある。以下、図16を用いて、環境パラメータとして装置扉22の開放前後の温度および湿度の変化を取得する場合の処理の流れを説明する。
【0111】
図16は、本実施形態に係る開放可能時間出力処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理が実行される契機は、図3を参照して説明した開放可能時間出力処理が実行される契機と同様であるため、説明を省略する。但し、図16に示された開放可能時間出力処理は、装置扉22の開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinの変化を取得するために、装置扉22が開放されていない状態で実行開始される。
【0112】
ステップS501では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から、装置扉22が開放されていない状態の内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得する。温度および湿度が取得されると、処理はステップS502へ進む。
【0113】
ステップS502では、装置扉22の状態が判断される。開放検知部34は、扉開閉センサ23の出力を参照することで装置扉22の開放状態を検知し、装置扉22が開放状態となったことを検知する。装置扉22が開放状態となっていないと判定された場合、処理はステップS501へ進む。装置扉22が開放状態となった(即ち、装置扉22が開放された)と判定された場合、処理はステップS503へ進む。
【0114】
ステップS503では、温度および湿度が取得される。測定部31は、内部温湿度センサ25から、装置扉22が開放されている状態(開放状態)の内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得する。なお、測定部31は、開放検知部34による開放検知から所定時間の経過を待って内部温度Tinおよび内部湿度Hinを取得してもよい。このようにすることで、装置扉22の開放後所定の時間が経過した時点における、開放前からの温湿度の変化を取得することが出来る。
【0115】
ステップS504では、環境パラメータが取得される。測定部31によって装置扉22の開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinが取得されると、環境パラメータ取得部32は、取得された開放前後の内部温度Tinおよび内部湿度Hin(開放前内部温度Tin、開放後内部温度Tin、開放前内部湿度Hinおよび開放後内部湿度Hin)に基づいて、環境パラメータを取得する。本フローチャートに示される処理においては、環境パラメータとして、開放前の内部温度Tinおよび内部湿度Hinと、開放後の内部温度Tinおよび内部湿度Hinとの差分が採用される。即ち、環境パラメータ取得部32は、ステップS501において取得された開放前内部温度TinとステップS503において取得された開放後内部温度Tinとの差分、およびステップS501において取得された開放前内部湿度HinとステップS503において取得された開放後内部湿度Hinとの差分を、環境パラメータとする。環境パラメータが取得されると、処理はステップS505へ進む。
【0116】
ステップS505およびステップS506では、環境パラメータに応じた予測開放可能時間tmが取得され、出力される。ステップS505およびステップS506に示された
処理の詳細は、図3を用いて説明したステップS103およびステップS104の処理の詳細と同様であるため、説明を省略する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0117】
本フローチャートに示された処理によれば、開放前後のKIOSK装置1内部の温湿度変化を用いて予測開放可能時間tmを取得することで、外部温湿度センサ26を用いずに
、予測開放可能時間tmを得ることが出来る。
【符号の説明】
【0118】
1 KIOSK装置
14 タッチパネルディスプレイ
22 装置扉
23 扉開閉センサ
25 内部温湿度センサ
26 外部温湿度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であって、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定手段と、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得手段と、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得手段と、
を備える装置。
【請求項2】
前記予測開放可能時間は、前記環境パラメータに示される環境において該装置の開放状態が継続された場合に、該装置が正常な状態を維持可能と予測される時間である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との組み合わせを取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記組み合わせに対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との差分を取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記差分に対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記外装の少なくとも一部の開放を検知する開放検知手段を更に備え、
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサを用いて、前記開放検知手段によって検知された開放の前後における測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記開放の前後における前記測定値の変化を取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記変化に対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記予測開放可能時間取得手段は、複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、
取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定の条件に従って夫々重み付けする重み付け手段を更に備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記予測開放可能時間取得手段によって取得された予測開放可能時間または該予測開放可能時間に応じた内容を出力する出力手段を更に備える、
請求項1から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置において、該開放状態を継続可能な時間を予測する時間予測方法であって、コンピュータが、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定ステップと、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得ステップと、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得ステップと、
を実行する時間予測方法。
【請求項9】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置における、該開放状態を継続可能な時間を予測するための時間予測用プログラムであって、コンピュータに、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定ステップと、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得ステップと、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得ステップと、
を実行させるための時間予測用プログラム。
【請求項1】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置であって、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定手段と、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得手段と、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得手段と、
を備える装置。
【請求項2】
前記予測開放可能時間は、前記環境パラメータに示される環境において該装置の開放状態が継続された場合に、該装置が正常な状態を維持可能と予測される時間である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との組み合わせを取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記組み合わせに対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサおよび外部に設けられた外部センサを用いて前記測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記内部センサによる測定値と前記外部センサによる測定値との差分を取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記差分に対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記外装の少なくとも一部の開放を検知する開放検知手段を更に備え、
前記測定手段は、該装置の内部に設けられた内部センサを用いて、前記開放検知手段によって検知された開放の前後における測定値を取得し、
前記環境パラメータ取得手段は、前記環境パラメータとして、前記開放の前後における前記測定値の変化を取得し、
前記予測開放可能時間取得手段は、前記変化に対応する予測開放可能時間を取得する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記予測開放可能時間取得手段は、複数種類の前記予測開放可能時間を取得し、
取得された複数種類の予測開放可能時間を、所定の条件に従って夫々重み付けする重み付け手段を更に備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記予測開放可能時間取得手段によって取得された予測開放可能時間または該予測開放可能時間に応じた内容を出力する出力手段を更に備える、
請求項1から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置において、該開放状態を継続可能な時間を予測する時間予測方法であって、コンピュータが、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定ステップと、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得ステップと、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得ステップと、
を実行する時間予測方法。
【請求項9】
装置内部にアクセスするために外装の少なくとも一部が開放状態となる装置における、該開放状態を継続可能な時間を予測するための時間予測用プログラムであって、コンピュータに、
該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る測定値を取得する測定ステップと、
前記測定値に基づいて、該装置の内部および外部の少なくとも一方の環境に係る環境パラメータを取得する環境パラメータ取得ステップと、
前記環境パラメータに示される環境において前記開放状態を継続可能と予測される時間を示す予測開放可能時間と該環境パラメータとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて得られる、前記環境パラメータに対応する予測開放可能時間を取得する予測開放可能時間取得ステップと、
を実行させるための時間予測用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−168052(P2012−168052A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30082(P2011−30082)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
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