説明

装飾パネル及び囲い体

【課題】装飾パネルを状況に応じて分割して使用できるようにして、装飾パネルの現場の対応性を高めると共に、装飾部材等を個々に製造する場合に比して製造コストを低減する。
【解決手段】装飾パネル20は、装飾部材21と、該装飾部材21を切り離し可能に連結する連結部33を介して一体に成型されたネームプレート22とを備える。前記連結部33には装飾部材21及びネームプレート22との接合部に折り取って切り離すための肉薄部或いは切り込みからなる切断線33aを予め形成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾パネルに関し、とくにその取付状況に応じて分割して使用可能な装飾パネル、及び装飾パネルを門柱に取り付けた囲い体に関する。
【背景技術】
【0002】
ネームプレート(表札)はとくに目立つため装飾を施すことがあるが(特許文献1参照)、とくに門柱とフェンスのデザインを統一して、全体として装飾効果を高めた囲い体(門柱とフェンス、又は更に門扉を含めこれらを総称して囲い体という)等では、統一されたデザインの装飾を施したネームプレートが好まれる。
例えば、特許文献に記載されたものではないが、図6に示す囲い体では、フェンス4や支柱4aとデザインを統一した門柱1(機能付き門柱)の上部位置に装飾を兼ねたネームプレートハンガー11を取り付け、これにネームプレート12を吊り下げており、また、同時に、ポストなどの機能部材だけではなく花台10用の支持体8等の装飾用を兼ねた機能部材も門柱に取り付けられている。
【0003】
このように、囲い体では、統一されたデザインの装飾性の高い機能部材が複数用いられることが多く、例えば、図6に示す例においても、統一されたデザインのネームプレートハンガー11と花台用支持体8が用いられている。
ところで、門柱やフェンスに取り付ける装飾部材を兼ねた機能部材は、従来それぞれ個別に製造されている。そのため、装飾部材を囲い体のデザインに合わせて例えばアルミニウムや鉄などの鋳物で製造する場合には、門柱に取り付ける各機能部材毎に異なる装飾部材用の鋳型を用意しなければならず、製造が煩雑であるばかりではなく、コストが掛かるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−274710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、その目的は、一体に成型された装飾パネルを現場の状況に応じて切り離して使用できるようにして、装飾パネルの現場での対応性を高めると共に、装飾部材等を個別に製造する場合に比して製造コストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、装飾パネルであって、装飾部材と、切り離し部となる連結部を介して前記装飾部材と一体に成型されたネームプレートとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一体に成型した装飾パネルを適宜切り離して利用できるので、取付現場の状況に応じて装飾パネルを複数目的に使い分けることができ、現場での対応性が向上すると共に、製造型は一種類で済むため製造コストを低減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、図6に示す部材と同一のものは同一符号で示している。
図1は、本発明の装飾パネルの1実施形態を示す正面図である。同図に示すように、装飾パネル20は、切り離し部となる連結部33で連結された装飾部材21とネームプレート22とからなり、鋳型に例えばアルミニウムや鉄を主材とする金属を流し込んで一体に成型される。
装飾部材21の装飾形状は任意であるが、ここでは、湾曲した線条体からなる本体部23の両端部と中間位置の3箇所に湾曲部24,25,26を有する上部材21aと、上部材21aに連結され同様に湾曲した線条体からなる本体部27の両端の湾曲部28、29を有する下部材21bとからなり、全体として植物の茎或いは蔦を模した装飾体を構成している。
上部材21aの端部湾曲部24近傍には、表裏が平坦面30をなし、この平坦面30に開口する取付孔31が形成された取付部32が一体に形成されている。
【0008】
装飾パネル20には、上部材21aの本体部23と中間の湾曲部25の2箇所において、楕円形状のネームプレート22への切り離し自在な連結部33が形成されている。この連結部33は、現場で例えばペンチ等の簡単な工具を用いて折り曲げて切り離す、つまり折り取りができるように他の部分より折れやすく形成されている。
また、切り離した後にバリ等が残らないように、連結部33の適当な位置に切り離しを容易にするための、例えば切り込み(連結部33の両側から所定巾の切り込み)や薄肉部などからなる切断線(又は折り取り線)33aを予め形成しておくことが好ましい。
【0009】
図2は、装飾パネル20のネームプレート22を連結部33で折り取って切り離し、装飾部材21のみを用いる場合を示す。
この装飾部材21は、後述するように取付孔31が形成された取付部を連結金具40(図3参照)で門柱等に取り付けることにより、ネームプレートして使用する他、その装飾部材21の湾曲部26,29などをフラワーハンガー等のためのフックとして使用することができる。
【0010】
図3は、装飾パネルを取付けた囲い体を示す正面図、図4は、装飾パネルと機能門柱の連結構造を示す斜視図である。
装飾パネル20と前記門柱1、3との連結は、例えば図示する連結金具40を用いて行う。即ち、連結金具40は、門柱に対する取付面となる基片42の側縁から長孔43付きの1対の取付片44,44を直角に折曲げて立ち上げ形成し、基片42を門柱1に対して止めねじ41(図4)により固着する。続いて、連結金具40の取付片44の間に装飾パネル20の取付部32を嵌め込み、ボルト45を長孔43および取付孔31に挿入し、反対側からワッシャ46を介してナット47で締付け固定する。
【0011】
装飾部材21の下部材21bの湾曲部29を、図3に示すように、機能門柱1とフェンス柱4aとの間に取り付けた内側フェンス50のフェンス縦材51の上端湾曲部51aに当接させると、装飾パネル20が、あたかもフェンス4や内側フェンス50と連続しているように見える。このように、装飾パネル20の装飾部材21は、フェンス等の建造物の装飾と同一又は同系統のものとすることにより一体感を増し、意匠的効果を向上することができる。
【0012】
図5は、他の実施形態の囲い体の正面図である。
この実施形態では、門柱(機能付き門柱)1側の構成は既に説明した第1の実施形態と同じであるが、門柱3にネームプレート22を除去した装飾部材21が取り付けられている。
即ち、門柱3の上部に取り付けた連結金具40に装飾部材21が取り付けられており、装飾部材21の下部材の湾曲部29を、門柱3とフェンス柱5aとの間に配置された内側フェンス64の縦材65の上端湾曲部65aに当接させて、門柱3とフェンス5とを見掛け上一体化して意匠性を向上させている。
なお、本実施形態では、装飾部材21の上部材21aの湾曲部26にフラワーポット66を吊り下げている。
【0013】
以上の説明では、装飾パネル20の装飾部材21とネームプレート22を切り離して装飾付きネームプレート或いは装飾付きフックとして使用するものとして説明したが、装飾部材21自体を切り離して個別に使用できるように、複数の要素で構成して門柱やフェンス等の設置状況に応じて一体で用いたり、或いはネームプレートを切り離して装飾部材21のみを用いたり、装飾部材21を、例えば上部材21aと下部材21bを連結部33と同様に切り離し自在な連結部で連結し、更に切り離して別々に或いはその一部のみを使用するようにすることもできる。この場合は、それぞれの湾曲部をフラワーポットその他の物品を吊り下げるフックとして使用することができると共に、装飾部材に取付部を設けず例えば装飾部材の任意の部分を把持して門柱等に取り付けるようにすることが好ましい。このようにすることにより、装飾パネル20の現場における適用の柔軟性が一層向上し、一つの装飾パネル20を用いて門柱やフェンスの多様な装飾や機能が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の装飾パネルの実施形態を示す正面図である。
【図2】実施形態の装飾パネルのネームプレートカット状態を示す正面図である。
【図3】本発明の装飾パネルの使用形態を示す、囲い体の正面図である。
【図4】装飾パネルの連結部分の分解斜視図である。
【図5】本発明の装飾パネルの他の使用形態を示す、囲い体の正面図である。
【図6】従来の囲い体の正面図である。
【符号の説明】
【0015】
1・・・機能門柱(建造物)、3・・・門柱(建造物)、4・・・フェンス、20・・・装飾パネル、21・・・装飾部材、22・・・ネームプレート、26・・・湾曲部(ハンギング部)、30・・・平坦面、31・・・取付孔、32・・・取付部、33・・・連結部、40・・・装飾パネル連結金具、44・・・取付片、45・・・止ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾部材と、切り離し部となる連結部を介して前記装飾部材と一体に成型されたネームプレートとを備えたことを特徴とする装飾パネル。
【請求項2】
請求項1に記載された装飾パネルにおいて、
前記連結部に切り離しのための切断線が形成されていることを特徴とする装飾パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された装飾パネルにおいて、
前記装飾部材は、少なくとも1箇所にフックを備えていることを特徴とする装飾パネル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された装飾パネルを門柱に取り付けたことを特徴とする囲い体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−240764(P2007−240764A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61569(P2006−61569)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】