装飾体の製造方法
【課題】従来の装飾体では、製造にかかる手間を軽減することが困難である。
【解決手段】シート材11に設けられた複数の図柄21のシート材11側とは反対側に複数のレンズ3を形成するレンズ形成工程を含み、複数のレンズ3は、それぞれ、図柄21のシート材11側とは反対側に設けられる第1レンズ層22と、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に設けられる第2レンズ層24と、を含み、前記レンズ形成工程は、複数の図柄21のシート材11側とは反対側に、光透過性を有する材料で第1レンズ層22を形成する第1レンズ層形成工程と、第1レンズ層22の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の第2レンズ層24を、第2レンズ層24のそれぞれを図柄21のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【解決手段】シート材11に設けられた複数の図柄21のシート材11側とは反対側に複数のレンズ3を形成するレンズ形成工程を含み、複数のレンズ3は、それぞれ、図柄21のシート材11側とは反対側に設けられる第1レンズ層22と、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に設けられる第2レンズ層24と、を含み、前記レンズ形成工程は、複数の図柄21のシート材11側とは反対側に、光透過性を有する材料で第1レンズ層22を形成する第1レンズ層形成工程と、第1レンズ層22の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の第2レンズ層24を、第2レンズ層24のそれぞれを図柄21のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図柄を立体的な虚像として視認することができる装飾体が知られている。
このような装飾体では、従来、透明シートの表面に複数の凸レンズを設け、この透明シートの裏面に、凸レンズに対応する模様(図柄)を印刷したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2761861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された装飾体では、複数の凸レンズの配列と、凸レンズごとに設けられた複数の模様の配列とが互いにずれているので、複数の凸レンズを介して模様が立体的な虚像として視認され得る。
ところで、装飾体の製造方法としては、透明シートの表面に複数の凸レンズを形成し、この透明シートの裏面に図柄を印刷する方法が考えられる。また、透明シートに図柄を印刷してから、図柄を印刷した面とは反対側の面に複数の凸レンズを形成する方法も考えられる。
このように、従来の装飾体の製造方法では、透明シートの表面及び裏面のそれぞれに、互いに異なる処理を施さなければならない。
つまり、従来の装飾体では、製造にかかる手間を軽減することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0006】
[適用例1]基材に設けられた複数の図柄の前記基材側とは反対側に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含み、前記複数のレンズは、それぞれ、前記図柄の前記基材側とは反対側に設けられる第1レンズ層と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に設けられる第2レンズ層と、を含み、前記レンズ形成工程は、前記複数の図柄の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で前記第1レンズ層を形成する第1レンズ層形成工程と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の前記第2レンズ層を、前記第2レンズ層のそれぞれを前記図柄のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0007】
この適用例の装飾体の製造方法は、基材に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含む。
基材には、複数の図柄が設けられている。
レンズ形成工程では、複数の図柄の基材側とは反対側に複数のレンズを形成する。
複数のレンズは、それぞれ、第1レンズ層と、第2レンズ層と、を含む。第1レンズ層は、図柄の基材側とは反対側に設けられる。第2レンズ層は、第1レンズ層の基材側とは反対側に設けられる。
そして、レンズ形成工程は、第1レンズ層形成工程と、第2レンズ層形成工程と、を含む。
第1レンズ層形成工程では、複数の図柄の基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で第1レンズ層を形成する。
第2レンズ層形成工程では、第1レンズ層の基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の第2レンズ層を形成する。この第2レンズ層形成工程では、第2レンズ層のそれぞれを図柄のそれぞれに対応させて、複数の第2レンズ層を形成する。これにより、この装飾体では、複数のレンズを介して図柄が虚像として視認され得る。
この装飾体の製造方法では、複数の図柄が設けられた基材の図柄側に第1レンズ層と、第1レンズ層に重なる第2レンズ層とを形成する。つまり、この製造方法によれば、基材の片側にレンズ形成という処理を施すので、基材の両側に処理を施す場合に比較して、製造にかかる手間を軽減しやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の装飾体の製造方法であって、前記レンズ形成工程では、光の照射を受けることによって硬化する液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記複数のレンズを形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0009】
この適用例では、レンズ形成工程において、光の照射を受けることによって硬化する液状体を図柄の基材側とは反対側に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から複数のレンズを形成することができる。
【0010】
[適用例3]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記第1レンズ層を形成し、前記第1レンズ層形成工程の後に、前記第2レンズ層形成工程では、液状体を前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、且つ前記図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から複数の前記第2レンズ層を形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0011】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、液状体を図柄の基材側とは反対側に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から第1レンズ層を形成する。
第1レンズ層形成工程の後に、第2レンズ層形成工程において、液状体を第1レンズ層の基材側とは反対側に、且つ図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から複数の第2レンズ層を形成する。
この製造方法によれば、第1レンズ層を構成する液状体の少なくとも一部を硬化させてから、この第1レンズ層に重ねて第2レンズ層を構成する液状体を塗布するので、第1レンズ層を構成する液状体と第2レンズ層を構成する液状体とが互いに混合することを避けやすい。この結果、第2レンズ層を形成する過程で第2レンズ層の形状が崩れることを避けやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、複数の前記第2レンズ層の総数よりも少ない複数の前記第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、前記複数の第2レンズ層を複数の前記第2レンズ層群に区分し、前記第1レンズ層を前記第2レンズ層群ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0013】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、第1レンズ層を複数の第1レンズ層に区分して形成する。
この製造方法では、複数の第2レンズ層を複数の第2レンズ層群に区分し、第1レンズ層を第2レンズ層群ごとに複数の第1レンズ層に区分して形成する。複数の第2レンズ層は、これら複数の第2レンズ層の総数よりも少ない複数の第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、区分される。
この製造方法によれば、第1レンズ層を複数の第1レンズ層に区分することができるので、同じ領域にわたって1つの第1レンズ層を形成する場合に比較して、第1レンズ層を構成する材料を減量することができる。
【0014】
[適用例5]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布し、前記第2レンズ形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に塗布する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0015】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、液状体をインクジェット法で図柄の基材側とは反対側に塗布する。また、第2レンズ層形成工程において、液状体をインクジェット法で第1レンズ層の基材側とは反対側に塗布する。これにより、第1レンズ層を構成する液状体、及び第2レンズ層を構成する液状体のそれぞれを塗布することができる。
【0016】
[適用例6]上記の装飾体の製造方法であって、前記複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の前記第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成しており、前記複数の第2レンズ層は、複数の前記第2レンズ層列を、前記第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成しており、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられた吐出ヘッドの前記複数のノズルの配列方向と、前記第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて前記複数のノズルを前記基材に対向させた状態で、前記基材に対する前記吐出ヘッドの相対位置を、前記複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、前記複数のノズルから選択的に前記液状体を吐出させることによって、前記液状体を前記基材に塗布するときに、前記液状体を前記第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0017】
この適用例の製造方法が適用される基材では、複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成している。そして、複数の第2レンズ層は、複数の第2レンズ層列を、第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成している。
この製造方法では、第1レンズ層形成工程において、液状体を吐出する吐出ヘッドが使用される。吐出ヘッドには、液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられている。第1レンズ層形成工程では、複数のノズルの配列方向と、第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて複数のノズルを基材に対向させる。この状態で、基材に対する吐出ヘッドの相対位置を、複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、複数のノズルから選択的に液状体を吐出させることによって、液状体を基材に塗布する。このとき、液状体を第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する。
この製造方法によれば、複数の第2レンズ層列が並ぶ方向において、複数のノズルにおける吐出間隔を、隣り合う第2レンズ層列間の間隔に合わせやすくすることができる。この状態で、基材に対する吐出ヘッドの相対位置を、複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、複数のノズルから選択的に液状体を吐出させれば、第2レンズ層列ごとに液状体を塗布することができる。このため、液状体を第2レンズ層列ごとに効率よく塗布することができる。この結果、第2レンズ層列ごとに区分された複数の第1レンズ層を効率よく形成することができるので、製造にかかる手間を一層軽減しやすくすることができる。
【0018】
[適用例7]上記の装飾体の製造方法であって、前記レンズ形成工程の前に、前記複数の図柄をインクジェット法で形成する図柄形成工程を有する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0019】
この適用例では、図柄形成工程において、複数の図柄をインクジェット法で形成するので、レンズ形成工程における液状体の塗布の方法と、複数の図柄の形成方法とを互いに同じインクジェット法にそろえることができる。この結果、装飾体の製造方法の効率化を図りやすくすることができる。
【0020】
[適用例8]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記第1レンズ層を、前記第2レンズ層ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0021】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、第1レンズ層を、第2レンズ層ごとに複数の第1レンズ層に区分して形成するので、同じ領域にわたって1つの第1レンズ層を形成する場合に比較して、第1レンズ層を構成する材料を減量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態における装飾シートの平面図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】本実施形態におけるレンズと図柄との配置を説明する平面図。
【図4】本実施形態における虚像ユニットの配置を説明する平面図。
【図5】第1実施形態における装飾シートの製造方法の流れを示す図。
【図6】第1実施形態におけるレンズ形成工程の流れを示す図。
【図7】第1実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図8】第1実施形態におけるレンズ形成工程に適用され得る吐出ヘッドの底面図。
【図9】第1実施形態における複数の第2レンズ層と吐出ヘッドとの対向状態を説明する図。
【図10】第2実施形態における装飾シートの構成を説明する断面図。
【図11】第2実施形態におけるレンズ形成工程の流れを示す図。
【図12】第2実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図13】第3実施形態における装飾シートの構成を説明する断面図。
【図14】図1中のB部の拡大図。
【図15】第3実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図16】本実施形態におけるレンズと図柄との配置の他の例を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
本実施形態における装飾シート1は、図1に示すように、複数のレンズ3を有している。図1では、構成をわかりやすく示すため、レンズ3が誇張され、且つレンズ3の個数が減じられている。
【0024】
複数のレンズ3は、X方向及びY方向のそれぞれに沿って配列している。本実施形態では、Y方向に沿って1列に並ぶ複数のレンズ3が1つのレンズ列5を構成している。また、本実施形態では、X方向に沿って1列に並ぶ複数のレンズ3が1つのレンズ行7を構成している。
本実施形態において、Y方向は、レンズ列5が延在する方向である。そして、X方向は、平面視で、Y方向とは交差する方向である。つまり、本実施形態では、複数のレンズ列5が、X方向に並んでいる。なお、本実施形態では、X方向とY方向とが互いに直交している。このため、複数のレンズ3は、X方向を行方向とし、Y方向を列方向として、マトリクス状に配列している。
本実施形態では、X方向に隣り合う2つのレンズ3は、間隔Pで隣り合っている。また、Y方向に隣り合う2つのレンズ3は、間隔Pで隣り合っている。
【0025】
[第1実施形態]
第1実施形態における装飾シート1は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、シート材11を有している。
シート材11は、第1面15aと、第2面15bと、を有している。シート材11の材料は、特に限定されない。シート材11の材料としては、例えば、合成樹脂や紙類、布類、金属など、種々の材料が採用され得る。
上述した複数のレンズ3は、シート材11の第2面15bに設けられている。第1面15aには、複数の図柄21が描かれている。
【0026】
本実施形態では、複数のレンズ3は、それぞれ、第1レンズ層22と、第2レンズ層24と、を含む。
第1レンズ層22は、光透過性を有する材料で構成されており、シート材11の第2面15bに設けられている。第1レンズ層22は、シート材11の第2面15b側から複数の図柄21を覆っている。このため、複数の図柄21は、シート材11と第1レンズ層22とによって挟持されている。
第2レンズ層24は、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側で、第1レンズ層22に重なっている。つまり、本実施形態では、第2レンズ層24は、第1レンズ層22に積層されている。このため、複数のレンズ3は、それぞれ、シート材11の第2面15bに設けられた第1レンズ層22に第2レンズ層24を積層した構成を有している。
なお、前述したレンズ列5は、Y方向に沿って1列に並ぶ複数の第2レンズ層24が構成する列でもある。また、レンズ行7は、X方向に沿って1列に並ぶ複数の第2レンズ層24が構成する行でもある。
【0027】
複数の図柄21は、それぞれ、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応している。つまり、本実施形態では、レンズ3ごとに図柄21が設けられている。換言すれば、図柄21ごとにレンズ3が設けられているともみなされ得る。ただし、複数のレンズ3の中には、2つの図柄21に対応するものが含まれている。複数の図柄21のそれぞれが、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応するという表現には、複数の図柄21が1つの第2レンズ層24に対応する場合も含まれる。さらに、複数の図柄21のそれぞれが、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応するという表現には、1つの図柄21が複数の第2レンズ層24に対応する場合も含まれる。
【0028】
複数の図柄21は、レンズ3と図柄21との配置を説明する平面図である図3に示すように、X方向に間隔Qで並んでいる。また、複数の図柄21は、Y方向においても、間隔Qで並んでいる。なお、間隔Qは、間隔Pよりも短い。図3では、構成をわかりやすく示すため、レンズ3が破線で示されている。
複数のレンズ3のうちの1つのレンズ3aと、このレンズ3aに対応する図柄21との位置ずれが0である場合、レンズ3aからX方向において、間隔Pと間隔Qとの最小公倍数の距離D1にある位置に、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31が出現する。なお、本実施形態では、間隔Qが間隔Pよりも短いので、1つのレンズ3に2つの図柄21が対応する組31が存在する。
【0029】
また、このレンズ3aからY方向において、間隔Pと間隔Qとの最小公倍数の距離D1にある位置にも、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31が出現する。
レンズ3aから、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、次に位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31よりも1つ前の組31aまでのマトリクスが、1つの虚像ユニット33を構成する。
1つの虚像ユニット33では、図柄21を拡大した1つの模様が虚像として視認され得る。
【0030】
本実施形態では、虚像ユニット33の配置を説明する平面図である図4に示すように、複数の虚像ユニット33が、X方向及びY方向の双方に並んでいる。このため、装飾シート1では、複数のレンズ3側から装飾シート1を目視すると、虚像ユニット33ごとに、前述した模様41が出現する。
なお、図4では、模様41が水玉模様を呈している。しかしながら、模様41の態様は、これに限定されず、種々の模様が採用され得る。また、模様41に採用される模様には、記号や文字、図形、画像、紋様などの種々の模様が含まれる。
なお、本実施形態では、図柄21の間隔Qがレンズ3の間隔Pよりも短いので、模様41は、背景として視認されるシート材11の第2面15b(図2)よりも複数のレンズ3側とは反対側に沈み込んだ状態で視認される。
また、装飾シート1では、装飾シート1に対する視線の角度を変化させると、模様41が変位する。
【0031】
装飾シート1の製造方法について説明する。
本実施形態における装飾シート1の製造方法は、図5に示すように、描画工程S1と、レンズ形成工程S2と、を有している。
レンズ形成工程S2は、図6に示すように、第1レンズ層形成工程S201と、第2レンズ層形成工程S202と、を有している。
【0032】
描画工程S1では、まず、図7(a)に示すように、シート材11の第2面15bに、液状体51を塗布することによって、シート材11の第2面15bに複数の図柄パターン21aを描画する。液状体51は、紫外光の照射を受けることによって硬化する性質である光硬化性を有している。
複数の図柄パターン21aの描画には、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が活用され得る。
吐出ヘッド53から液状体51を液滴51aとして吐出する技術は、インクジェット技術と呼ばれる。そして、インクジェット技術を活用して液状体51などを所定の位置に配置する方法は、インクジェット法と呼ばれる。このインクジェット法は、塗布法の1つである。
次いで、図7(b)に示すように、複数の図柄パターン21aに紫外光55を照射する。これにより、複数の図柄パターン21aを構成する液状体51が硬化し、複数の図柄21が形成される。
【0033】
次いで、レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、まず、図7(c)に示すように、シート材11の第2面15bに、液状体59を塗布することによって、液状体59で複数の図柄21を覆う第1レンズ層22aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
液状体59は、光透過性を有している。液状体59としては、例えば、アクリル系やエポキシ系などの液状体59が採用され得る。なお、上述した液状体51としては、液状体59に顔料などの色素を混合したものが採用され得る。これにより、図柄21に黒色や白色を含む色彩を付与することができる。また、液状体59は、光硬化性を有している。
第1レンズ層22aの描画に次いで、図7(d)に示すように、第1レンズ層22aに紫外光55を照射する。これにより、第1レンズ層22aを構成する液状体59が硬化し、第1レンズ層22aから第1レンズ層22が形成される。
【0034】
次いで、レンズ形成工程S2の第2レンズ層形成工程S202では、まず、図7(e)に示すように、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に、液状体59を第1レンズ層22に重ねて塗布することによって、複数の第2レンズ層24aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
複数の第2レンズ層24aの描画に次いで、図7(f)に示すように、複数の第2レンズ層24aに紫外光55を照射する。これにより、複数の第2レンズ層24aを構成する液状体59が硬化し、複数の第2レンズ層24aから複数の第2レンズ層24が形成される。
上記により、図2に示す装飾シート1が製造され得る。
【0035】
ここで、レンズ形成工程S2において、液状体59の塗布に好適な吐出ヘッド53は、底面図である図8に示すように、複数のノズル66を有している。吐出ヘッド53は、複数のノズル66のそれぞれから、液状体59を液滴59a(図7(c)、(e))として吐出する。
この吐出ヘッド53では、複数のノズル66は、図8に示すように、N方向に間隔Sで列状に並んでいる。N方向に並ぶ複数のノズル66は、ノズル列66aを構成している。N方向は、ノズル列66aが延在する方向である。
レンズ形成工程S2における液状体59の塗布では、複数のノズル66とシート材11とを互いに対向させた状態で、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置を変化させながら、複数のノズル66から選択的に液状体59を吐出させる方法が採用され得る。
【0036】
このとき、図9に示すように、吐出ヘッド53のN方向とレンズ列5の延在方向であるY方向とを互いに交差させた状態で、複数のノズル66とシート材11とを互いに対向させる。そして、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させながら、複数のノズル66から液状体59を吐出させる。
レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、複数の図柄21を覆う領域にわたって第1レンズ層22aを形成するので、複数のノズル66のうち可能な限り多くのノズル66から液状体59を吐出させることが好ましい。これにより、第1レンズ層22aを効率的に形成することができる。
レンズ形成工程S2の第2レンズ層形成工程S202では、複数の第2レンズ層24aを相互に区分して、各第2レンズ層24aを島状に形成するので、複数のノズル66から選択的に液状体59を吐出させることになる。
【0037】
このとき、X方向に隣り合う2つの第2レンズ層24a同士間の間隔Pが、図9に示すように、隣り合うノズル66同士間のX方向における間隔TのH倍(Hは、1以上の整数)となるように、吐出ヘッド53のN方向とレンズ列5の延在方向であるY方向とを互いに交差させることが好ましい。なお、図9に示す例では、N方向とX方向とを互いに交差させた例が示されている。しかしながら、間隔Pが間隔SのH倍であるときには、N方向とX方向とを互いに合わせればよい。
このY方向に対するN方向の交差状態により、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させると、ノズル列66aが対向し得る複数の第2レンズ層24aの位置のそれぞれをノズル66が交差し得る。このため、複数の第2レンズ層24aを効率よく形成することができる。
【0038】
第1実施形態において、装飾シート1が装飾体に対応し、シート材11が基材に対応している。
本実施形態では、シート材11に、複数の図柄21、第1レンズ層22、及び複数の第2レンズ層24をこの順に重ねて形成することによって装飾シート1が製造され得る。これにより、本実施形態では、製造の過程でシート材11を反転させる手間を軽減することができる。この結果、シート材11の両側に処理を施す場合に比較して、製造にかかる手間を軽減しやすくすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、レンズ形成工程S2において、第1レンズ層22aに紫外光55を照射してから、複数の第2レンズ層24aを描画する方法が採用されている。これにより、第1レンズ層22aを構成する液状体59の少なくとも一部を硬化させてから、複数の第2レンズ層24aを描画することができる。このため、第1レンズ層22aを構成する液状体59と第2レンズ層24aを構成する液状体59とが互いに混合することを避けやすい。この結果、第2レンズ層24を形成する過程で第2レンズ層24の形状が崩れることを避けやすくすることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、第1レンズ層形成工程S201及び第2レンズ層形成工程S202において、それぞれ、液状体59の塗布方法としてインクジェット法が採用されている。しかしながら、液状体59の塗布方法は、これに限定されない。液状体59の塗布方法としては、例えば、シリンジ法やディスペンス法などの種々の塗布方法も採用され得る。
また、第1レンズ層形成工程S201において、液状体59の塗布方法として、例えば、スピンコート法やスリットコート法などの種々の塗布方法も採用され得る。
【0041】
また、本実施形態では、図柄21の形成において、液状体51の塗布方法としてインクジェット法が採用されている。しかしながら、図柄21の形成方法は、これに限定されない。図柄21の形成方法としては、例えば、スクリーン印刷などの印刷法も採用され得る。
しかしながら、液状体51の塗布方法としてインクジェット法を採用すれば、レンズ形成工程S2における液状体59の塗布方法と、描画工程S1における液状体51の塗布方法とを、互いに同じインクジェット法に統一することができる。これにより、装飾シート1の製造方法の効率化を一層図りやすくすることができる。このため、液状体51の塗布方法としてインクジェット法を採用することは好ましい。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態における装飾シート1は、断面図である図10に示すように、複数の第3レンズ層68を有している。
第2実施形態における装飾シート1は、複数の第3レンズ層68が追加されていることを除いては、第1実施形態における装飾シート1と同様の構成を有している。このため、以下においては、第2実施形態における装飾シート1の構成のうち、第1実施形態における装飾シート1と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0043】
複数の第3レンズ層68は、それぞれ、各第2レンズ層24のシート材11側とは反対側で、各第2レンズ層24に重なっている。つまり、本実施形態では、第3レンズ層68は、第2レンズ層24に積層されている。このため、複数のレンズ3は、それぞれ、シート材11の第2面15bに設けられた第1レンズ層22と第2レンズ層24と第3レンズ層68とをこの順に積層した構成を有している。
【0044】
第2実施形態における装飾シート1の製造方法について説明する。
第2実施形態における装飾シート1の製造方法は、第1実施形態と同様に、図5に示す描画工程S1と、レンズ形成工程S2と、を有している。ただし、第2実施形態におけるレンズ形成工程S2は、図11に示すように、第2レンズ層形成工程S202の後に第3レンズ層形成工程S203を有している。
【0045】
第3レンズ層形成工程S203では、まず、図12(a)に示すように、複数の第2レンズ層24のシート材11側とは反対側に、液状体59を各第2レンズ層24に重ねて塗布することによって、複数の第3レンズ層68aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
複数の第3レンズ層68aの描画に次いで、図12(b)に示すように、複数の第3レンズ層68aに紫外光55を照射する。これにより、複数の第3レンズ層68aを構成する液状体59が硬化し、複数の第3レンズ層68aから複数の複数の第3レンズ層68が形成される。
上記により、図10に示す装飾シート1が製造され得る。
【0046】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、第2実施形態では、第2レンズ層24に第3レンズ層68が重なっているので、第1実施形態に比較して、レンズ3の焦点距離を短縮することができる。このため、第2実施形態では、第1実施形態に比較して、第1レンズ層22の厚みを薄くしても、レンズ3の焦点を図柄21に合わせやすくすることができる。これにより、レンズ3を介して視認する図柄21を鮮明に保ちつつ、第1レンズ層22の厚みを薄くすることができる。
【0047】
[第3実施形態]
第3実施形態における装飾シート1は、断面図である図13に示すように、複数の第1レンズ層22を有している。
第3実施形態における装飾シート1は、第1レンズ層22が複数の第1レンズ層22に区分されていることを除いては、第1実施形態における装飾シート1と同様の構成を有している。このため、以下においては、第3実施形態における装飾シート1の構成のうち、第1実施形態における装飾シート1と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0048】
第3実施形態では、図1中のB部の拡大図である図14に示すように、レンズ列5ごとに第1レンズ層22が設けられている。つまり、第3実施形態では、第1実施形態における第1レンズ層22が、レンズ列5ごとに区分されている。なお、図14では、構成をわかりやすく示すため、第1レンズ層22にハッチングが施されている。
このように、第3実施形態では、複数の第1レンズ層22が、それぞれ、レンズ列5ごとに区分されているので、第1実施形態に比較して、第1レンズ層22の材料を減量することができる。
また、第3実施形態では、例えば、シート材11と第1レンズ層22との熱膨張の差異による反りやひずみなどの発生を軽減することができる。
【0049】
第3実施形態における装飾シート1の製造方法は、第1実施形態における装飾シート1の製造方法と同様である。つまり、第3実施形態における装飾シート1の製造方法は、図5及び図6に示す製造方法が適用され得る。
ただし、レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、図15(a)に示すように、シート材11の第2面15bに液状体59を塗布することによって、液状体59で複数の第1レンズ層22aを描画する。
次いで、図15(b)に示すように、複数の第1レンズ層22aに紫外光55を照射することにより、複数の第1レンズ層22が形成される。
【0050】
そして、第2レンズ層形成工程S202では、図15(c)に示すように、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に、液状体59を各第1レンズ層22に重ねて塗布することによって、複数の第2レンズ層24aを描画する。
次いで、図15(d)に示すように、複数の第2レンズ層24aに紫外光55を照射することにより、複数の第2レンズ層24が形成される。
上記により、図13に示す装飾シート1が製造され得る。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
ここで、第3実施形態では、第1レンズ層形成工程S201及び第2レンズ層形成工程S202のそれぞれにおいて、Y方向に対する吐出ヘッド53のN方向の交差状態を、図9に示す交差状態にすることが好ましい。
図9に示す交差状態にすることによって、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させると、ノズル列66aが対向し得る領域において、複数の第1レンズ層22aの位置のそれぞれをノズル66が交差し得る。このため、複数の第1レンズ層22aを効率よく形成することができる。この結果、装飾シート1の製造にかかる手間を一層軽減しやすくすることができる。
また、第3実施形態では、Y方向に対する吐出ヘッド53のN方向の交差状態を、第1レンズ層形成工程S201と、第2レンズ層形成工程S202とで統一しやすくすることができる。この結果、レンズ形成工程S2を一層軽減しやすくすることができる。
【0052】
なお、第3実施形態では、第1レンズ層22がレンズ列5ごとに複数の第1レンズ層22に区分されているが、第1レンズ層22の構成は、これに限定されない。第1レンズ層22の構成としては、例えば、第1レンズ層22がレンズ行7ごとに複数の第1レンズ層22に区分されている構成も採用され得る。さらに、第1レンズ層22の構成としては、例えば、第1レンズ層22が第2レンズ層24ごとに複数の第1レンズ層22に区分されている構成も採用され得る。この構成によれば、第1レンズ層22の材料を一層減量することができる。また、装飾シート1における反りやひずみなどの発生を一層軽減することもできる。
また、第3実施形態においては、第2レンズ層24に、第2実施形態における第3レンズ層68を付加した構成も採用され得る。この構成によれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、それぞれ、虚像として視認される模様41が背景よりも沈み込む例が示されている。しかしながら、模様41の態様は、これに限定されず、模様41が背景よりも浮き出る態様も採用され得る。
模様41が背景よりも浮き出る態様では、複数の図柄21は、レンズ3と図柄21との配置を説明する平面図である図16に示すように、X方向に間隔Rで並んでいる。また、複数の図柄21は、Y方向においても、間隔Rで並んでいる。この例では、間隔Rは、間隔Pよりも長い。
複数のレンズ3のうちの1つのレンズ3bと、このレンズ3bに対応する図柄21との位置ずれが0である場合、レンズ3bからX方向において、間隔Pと間隔Rとの最小公倍数の距離D2にある位置に、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71が出現する。なお、この例では、間隔Rが間隔Pよりも長いので、1つの図柄21が2つのレンズ3に対応する組71が存在する。
【0054】
また、このレンズ3bからY方向において、間隔Pと間隔Rとの最小公倍数の距離D2にある位置にも、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71が出現する。
レンズ3bから、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、次に位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71よりも1つ前の組71aまでのマトリクスが、1つの虚像ユニット33を構成する。
この例では、図柄21の間隔Rがレンズ3の間隔Pよりも長いので、模様41は、背景として視認されるシート材11の第1面15a(図2)よりも複数のレンズ3側に浮き出た状態で視認される。
【符号の説明】
【0055】
1…装飾シート、3…レンズ、11…シート材、15a…第1面、15b…第2面、21…図柄、21a…図柄パターン、22…第1レンズ層、22a…第1レンズ層、24…第2レンズ層、24a…第2レンズ層、31…組、31a…組、33…虚像ユニット、41…模様、51…液状体、53…吐出ヘッド、55…紫外光、59…液状体、66…ノズル、66a…ノズル列、68…第3レンズ層、68a…第3レンズ層、71…組、71a…組、D1…距離、D2…距離、P…間隔、Q…間隔、R…間隔、S…間隔、T…間隔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図柄を立体的な虚像として視認することができる装飾体が知られている。
このような装飾体では、従来、透明シートの表面に複数の凸レンズを設け、この透明シートの裏面に、凸レンズに対応する模様(図柄)を印刷したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2761861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された装飾体では、複数の凸レンズの配列と、凸レンズごとに設けられた複数の模様の配列とが互いにずれているので、複数の凸レンズを介して模様が立体的な虚像として視認され得る。
ところで、装飾体の製造方法としては、透明シートの表面に複数の凸レンズを形成し、この透明シートの裏面に図柄を印刷する方法が考えられる。また、透明シートに図柄を印刷してから、図柄を印刷した面とは反対側の面に複数の凸レンズを形成する方法も考えられる。
このように、従来の装飾体の製造方法では、透明シートの表面及び裏面のそれぞれに、互いに異なる処理を施さなければならない。
つまり、従来の装飾体では、製造にかかる手間を軽減することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0006】
[適用例1]基材に設けられた複数の図柄の前記基材側とは反対側に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含み、前記複数のレンズは、それぞれ、前記図柄の前記基材側とは反対側に設けられる第1レンズ層と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に設けられる第2レンズ層と、を含み、前記レンズ形成工程は、前記複数の図柄の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で前記第1レンズ層を形成する第1レンズ層形成工程と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の前記第2レンズ層を、前記第2レンズ層のそれぞれを前記図柄のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0007】
この適用例の装飾体の製造方法は、基材に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含む。
基材には、複数の図柄が設けられている。
レンズ形成工程では、複数の図柄の基材側とは反対側に複数のレンズを形成する。
複数のレンズは、それぞれ、第1レンズ層と、第2レンズ層と、を含む。第1レンズ層は、図柄の基材側とは反対側に設けられる。第2レンズ層は、第1レンズ層の基材側とは反対側に設けられる。
そして、レンズ形成工程は、第1レンズ層形成工程と、第2レンズ層形成工程と、を含む。
第1レンズ層形成工程では、複数の図柄の基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で第1レンズ層を形成する。
第2レンズ層形成工程では、第1レンズ層の基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の第2レンズ層を形成する。この第2レンズ層形成工程では、第2レンズ層のそれぞれを図柄のそれぞれに対応させて、複数の第2レンズ層を形成する。これにより、この装飾体では、複数のレンズを介して図柄が虚像として視認され得る。
この装飾体の製造方法では、複数の図柄が設けられた基材の図柄側に第1レンズ層と、第1レンズ層に重なる第2レンズ層とを形成する。つまり、この製造方法によれば、基材の片側にレンズ形成という処理を施すので、基材の両側に処理を施す場合に比較して、製造にかかる手間を軽減しやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の装飾体の製造方法であって、前記レンズ形成工程では、光の照射を受けることによって硬化する液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記複数のレンズを形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0009】
この適用例では、レンズ形成工程において、光の照射を受けることによって硬化する液状体を図柄の基材側とは反対側に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から複数のレンズを形成することができる。
【0010】
[適用例3]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記第1レンズ層を形成し、前記第1レンズ層形成工程の後に、前記第2レンズ層形成工程では、液状体を前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、且つ前記図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から複数の前記第2レンズ層を形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0011】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、液状体を図柄の基材側とは反対側に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から第1レンズ層を形成する。
第1レンズ層形成工程の後に、第2レンズ層形成工程において、液状体を第1レンズ層の基材側とは反対側に、且つ図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した液状体に向けて光を照射することによって、液状体から複数の第2レンズ層を形成する。
この製造方法によれば、第1レンズ層を構成する液状体の少なくとも一部を硬化させてから、この第1レンズ層に重ねて第2レンズ層を構成する液状体を塗布するので、第1レンズ層を構成する液状体と第2レンズ層を構成する液状体とが互いに混合することを避けやすい。この結果、第2レンズ層を形成する過程で第2レンズ層の形状が崩れることを避けやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、複数の前記第2レンズ層の総数よりも少ない複数の前記第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、前記複数の第2レンズ層を複数の前記第2レンズ層群に区分し、前記第1レンズ層を前記第2レンズ層群ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0013】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、第1レンズ層を複数の第1レンズ層に区分して形成する。
この製造方法では、複数の第2レンズ層を複数の第2レンズ層群に区分し、第1レンズ層を第2レンズ層群ごとに複数の第1レンズ層に区分して形成する。複数の第2レンズ層は、これら複数の第2レンズ層の総数よりも少ない複数の第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、区分される。
この製造方法によれば、第1レンズ層を複数の第1レンズ層に区分することができるので、同じ領域にわたって1つの第1レンズ層を形成する場合に比較して、第1レンズ層を構成する材料を減量することができる。
【0014】
[適用例5]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布し、前記第2レンズ形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に塗布する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0015】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、液状体をインクジェット法で図柄の基材側とは反対側に塗布する。また、第2レンズ層形成工程において、液状体をインクジェット法で第1レンズ層の基材側とは反対側に塗布する。これにより、第1レンズ層を構成する液状体、及び第2レンズ層を構成する液状体のそれぞれを塗布することができる。
【0016】
[適用例6]上記の装飾体の製造方法であって、前記複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の前記第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成しており、前記複数の第2レンズ層は、複数の前記第2レンズ層列を、前記第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成しており、前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられた吐出ヘッドの前記複数のノズルの配列方向と、前記第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて前記複数のノズルを前記基材に対向させた状態で、前記基材に対する前記吐出ヘッドの相対位置を、前記複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、前記複数のノズルから選択的に前記液状体を吐出させることによって、前記液状体を前記基材に塗布するときに、前記液状体を前記第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0017】
この適用例の製造方法が適用される基材では、複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成している。そして、複数の第2レンズ層は、複数の第2レンズ層列を、第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成している。
この製造方法では、第1レンズ層形成工程において、液状体を吐出する吐出ヘッドが使用される。吐出ヘッドには、液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられている。第1レンズ層形成工程では、複数のノズルの配列方向と、第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて複数のノズルを基材に対向させる。この状態で、基材に対する吐出ヘッドの相対位置を、複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、複数のノズルから選択的に液状体を吐出させることによって、液状体を基材に塗布する。このとき、液状体を第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する。
この製造方法によれば、複数の第2レンズ層列が並ぶ方向において、複数のノズルにおける吐出間隔を、隣り合う第2レンズ層列間の間隔に合わせやすくすることができる。この状態で、基材に対する吐出ヘッドの相対位置を、複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、複数のノズルから選択的に液状体を吐出させれば、第2レンズ層列ごとに液状体を塗布することができる。このため、液状体を第2レンズ層列ごとに効率よく塗布することができる。この結果、第2レンズ層列ごとに区分された複数の第1レンズ層を効率よく形成することができるので、製造にかかる手間を一層軽減しやすくすることができる。
【0018】
[適用例7]上記の装飾体の製造方法であって、前記レンズ形成工程の前に、前記複数の図柄をインクジェット法で形成する図柄形成工程を有する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0019】
この適用例では、図柄形成工程において、複数の図柄をインクジェット法で形成するので、レンズ形成工程における液状体の塗布の方法と、複数の図柄の形成方法とを互いに同じインクジェット法にそろえることができる。この結果、装飾体の製造方法の効率化を図りやすくすることができる。
【0020】
[適用例8]上記の装飾体の製造方法であって、前記第1レンズ層形成工程では、前記第1レンズ層を、前記第2レンズ層ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【0021】
この適用例では、第1レンズ層形成工程において、第1レンズ層を、第2レンズ層ごとに複数の第1レンズ層に区分して形成するので、同じ領域にわたって1つの第1レンズ層を形成する場合に比較して、第1レンズ層を構成する材料を減量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態における装飾シートの平面図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】本実施形態におけるレンズと図柄との配置を説明する平面図。
【図4】本実施形態における虚像ユニットの配置を説明する平面図。
【図5】第1実施形態における装飾シートの製造方法の流れを示す図。
【図6】第1実施形態におけるレンズ形成工程の流れを示す図。
【図7】第1実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図8】第1実施形態におけるレンズ形成工程に適用され得る吐出ヘッドの底面図。
【図9】第1実施形態における複数の第2レンズ層と吐出ヘッドとの対向状態を説明する図。
【図10】第2実施形態における装飾シートの構成を説明する断面図。
【図11】第2実施形態におけるレンズ形成工程の流れを示す図。
【図12】第2実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図13】第3実施形態における装飾シートの構成を説明する断面図。
【図14】図1中のB部の拡大図。
【図15】第3実施形態における装飾シートの製造工程を説明する図。
【図16】本実施形態におけるレンズと図柄との配置の他の例を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
本実施形態における装飾シート1は、図1に示すように、複数のレンズ3を有している。図1では、構成をわかりやすく示すため、レンズ3が誇張され、且つレンズ3の個数が減じられている。
【0024】
複数のレンズ3は、X方向及びY方向のそれぞれに沿って配列している。本実施形態では、Y方向に沿って1列に並ぶ複数のレンズ3が1つのレンズ列5を構成している。また、本実施形態では、X方向に沿って1列に並ぶ複数のレンズ3が1つのレンズ行7を構成している。
本実施形態において、Y方向は、レンズ列5が延在する方向である。そして、X方向は、平面視で、Y方向とは交差する方向である。つまり、本実施形態では、複数のレンズ列5が、X方向に並んでいる。なお、本実施形態では、X方向とY方向とが互いに直交している。このため、複数のレンズ3は、X方向を行方向とし、Y方向を列方向として、マトリクス状に配列している。
本実施形態では、X方向に隣り合う2つのレンズ3は、間隔Pで隣り合っている。また、Y方向に隣り合う2つのレンズ3は、間隔Pで隣り合っている。
【0025】
[第1実施形態]
第1実施形態における装飾シート1は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、シート材11を有している。
シート材11は、第1面15aと、第2面15bと、を有している。シート材11の材料は、特に限定されない。シート材11の材料としては、例えば、合成樹脂や紙類、布類、金属など、種々の材料が採用され得る。
上述した複数のレンズ3は、シート材11の第2面15bに設けられている。第1面15aには、複数の図柄21が描かれている。
【0026】
本実施形態では、複数のレンズ3は、それぞれ、第1レンズ層22と、第2レンズ層24と、を含む。
第1レンズ層22は、光透過性を有する材料で構成されており、シート材11の第2面15bに設けられている。第1レンズ層22は、シート材11の第2面15b側から複数の図柄21を覆っている。このため、複数の図柄21は、シート材11と第1レンズ層22とによって挟持されている。
第2レンズ層24は、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側で、第1レンズ層22に重なっている。つまり、本実施形態では、第2レンズ層24は、第1レンズ層22に積層されている。このため、複数のレンズ3は、それぞれ、シート材11の第2面15bに設けられた第1レンズ層22に第2レンズ層24を積層した構成を有している。
なお、前述したレンズ列5は、Y方向に沿って1列に並ぶ複数の第2レンズ層24が構成する列でもある。また、レンズ行7は、X方向に沿って1列に並ぶ複数の第2レンズ層24が構成する行でもある。
【0027】
複数の図柄21は、それぞれ、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応している。つまり、本実施形態では、レンズ3ごとに図柄21が設けられている。換言すれば、図柄21ごとにレンズ3が設けられているともみなされ得る。ただし、複数のレンズ3の中には、2つの図柄21に対応するものが含まれている。複数の図柄21のそれぞれが、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応するという表現には、複数の図柄21が1つの第2レンズ層24に対応する場合も含まれる。さらに、複数の図柄21のそれぞれが、複数の第2レンズ層24のそれぞれに対応するという表現には、1つの図柄21が複数の第2レンズ層24に対応する場合も含まれる。
【0028】
複数の図柄21は、レンズ3と図柄21との配置を説明する平面図である図3に示すように、X方向に間隔Qで並んでいる。また、複数の図柄21は、Y方向においても、間隔Qで並んでいる。なお、間隔Qは、間隔Pよりも短い。図3では、構成をわかりやすく示すため、レンズ3が破線で示されている。
複数のレンズ3のうちの1つのレンズ3aと、このレンズ3aに対応する図柄21との位置ずれが0である場合、レンズ3aからX方向において、間隔Pと間隔Qとの最小公倍数の距離D1にある位置に、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31が出現する。なお、本実施形態では、間隔Qが間隔Pよりも短いので、1つのレンズ3に2つの図柄21が対応する組31が存在する。
【0029】
また、このレンズ3aからY方向において、間隔Pと間隔Qとの最小公倍数の距離D1にある位置にも、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31が出現する。
レンズ3aから、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、次に位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組31よりも1つ前の組31aまでのマトリクスが、1つの虚像ユニット33を構成する。
1つの虚像ユニット33では、図柄21を拡大した1つの模様が虚像として視認され得る。
【0030】
本実施形態では、虚像ユニット33の配置を説明する平面図である図4に示すように、複数の虚像ユニット33が、X方向及びY方向の双方に並んでいる。このため、装飾シート1では、複数のレンズ3側から装飾シート1を目視すると、虚像ユニット33ごとに、前述した模様41が出現する。
なお、図4では、模様41が水玉模様を呈している。しかしながら、模様41の態様は、これに限定されず、種々の模様が採用され得る。また、模様41に採用される模様には、記号や文字、図形、画像、紋様などの種々の模様が含まれる。
なお、本実施形態では、図柄21の間隔Qがレンズ3の間隔Pよりも短いので、模様41は、背景として視認されるシート材11の第2面15b(図2)よりも複数のレンズ3側とは反対側に沈み込んだ状態で視認される。
また、装飾シート1では、装飾シート1に対する視線の角度を変化させると、模様41が変位する。
【0031】
装飾シート1の製造方法について説明する。
本実施形態における装飾シート1の製造方法は、図5に示すように、描画工程S1と、レンズ形成工程S2と、を有している。
レンズ形成工程S2は、図6に示すように、第1レンズ層形成工程S201と、第2レンズ層形成工程S202と、を有している。
【0032】
描画工程S1では、まず、図7(a)に示すように、シート材11の第2面15bに、液状体51を塗布することによって、シート材11の第2面15bに複数の図柄パターン21aを描画する。液状体51は、紫外光の照射を受けることによって硬化する性質である光硬化性を有している。
複数の図柄パターン21aの描画には、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が活用され得る。
吐出ヘッド53から液状体51を液滴51aとして吐出する技術は、インクジェット技術と呼ばれる。そして、インクジェット技術を活用して液状体51などを所定の位置に配置する方法は、インクジェット法と呼ばれる。このインクジェット法は、塗布法の1つである。
次いで、図7(b)に示すように、複数の図柄パターン21aに紫外光55を照射する。これにより、複数の図柄パターン21aを構成する液状体51が硬化し、複数の図柄21が形成される。
【0033】
次いで、レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、まず、図7(c)に示すように、シート材11の第2面15bに、液状体59を塗布することによって、液状体59で複数の図柄21を覆う第1レンズ層22aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
液状体59は、光透過性を有している。液状体59としては、例えば、アクリル系やエポキシ系などの液状体59が採用され得る。なお、上述した液状体51としては、液状体59に顔料などの色素を混合したものが採用され得る。これにより、図柄21に黒色や白色を含む色彩を付与することができる。また、液状体59は、光硬化性を有している。
第1レンズ層22aの描画に次いで、図7(d)に示すように、第1レンズ層22aに紫外光55を照射する。これにより、第1レンズ層22aを構成する液状体59が硬化し、第1レンズ層22aから第1レンズ層22が形成される。
【0034】
次いで、レンズ形成工程S2の第2レンズ層形成工程S202では、まず、図7(e)に示すように、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に、液状体59を第1レンズ層22に重ねて塗布することによって、複数の第2レンズ層24aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
複数の第2レンズ層24aの描画に次いで、図7(f)に示すように、複数の第2レンズ層24aに紫外光55を照射する。これにより、複数の第2レンズ層24aを構成する液状体59が硬化し、複数の第2レンズ層24aから複数の第2レンズ層24が形成される。
上記により、図2に示す装飾シート1が製造され得る。
【0035】
ここで、レンズ形成工程S2において、液状体59の塗布に好適な吐出ヘッド53は、底面図である図8に示すように、複数のノズル66を有している。吐出ヘッド53は、複数のノズル66のそれぞれから、液状体59を液滴59a(図7(c)、(e))として吐出する。
この吐出ヘッド53では、複数のノズル66は、図8に示すように、N方向に間隔Sで列状に並んでいる。N方向に並ぶ複数のノズル66は、ノズル列66aを構成している。N方向は、ノズル列66aが延在する方向である。
レンズ形成工程S2における液状体59の塗布では、複数のノズル66とシート材11とを互いに対向させた状態で、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置を変化させながら、複数のノズル66から選択的に液状体59を吐出させる方法が採用され得る。
【0036】
このとき、図9に示すように、吐出ヘッド53のN方向とレンズ列5の延在方向であるY方向とを互いに交差させた状態で、複数のノズル66とシート材11とを互いに対向させる。そして、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させながら、複数のノズル66から液状体59を吐出させる。
レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、複数の図柄21を覆う領域にわたって第1レンズ層22aを形成するので、複数のノズル66のうち可能な限り多くのノズル66から液状体59を吐出させることが好ましい。これにより、第1レンズ層22aを効率的に形成することができる。
レンズ形成工程S2の第2レンズ層形成工程S202では、複数の第2レンズ層24aを相互に区分して、各第2レンズ層24aを島状に形成するので、複数のノズル66から選択的に液状体59を吐出させることになる。
【0037】
このとき、X方向に隣り合う2つの第2レンズ層24a同士間の間隔Pが、図9に示すように、隣り合うノズル66同士間のX方向における間隔TのH倍(Hは、1以上の整数)となるように、吐出ヘッド53のN方向とレンズ列5の延在方向であるY方向とを互いに交差させることが好ましい。なお、図9に示す例では、N方向とX方向とを互いに交差させた例が示されている。しかしながら、間隔Pが間隔SのH倍であるときには、N方向とX方向とを互いに合わせればよい。
このY方向に対するN方向の交差状態により、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させると、ノズル列66aが対向し得る複数の第2レンズ層24aの位置のそれぞれをノズル66が交差し得る。このため、複数の第2レンズ層24aを効率よく形成することができる。
【0038】
第1実施形態において、装飾シート1が装飾体に対応し、シート材11が基材に対応している。
本実施形態では、シート材11に、複数の図柄21、第1レンズ層22、及び複数の第2レンズ層24をこの順に重ねて形成することによって装飾シート1が製造され得る。これにより、本実施形態では、製造の過程でシート材11を反転させる手間を軽減することができる。この結果、シート材11の両側に処理を施す場合に比較して、製造にかかる手間を軽減しやすくすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、レンズ形成工程S2において、第1レンズ層22aに紫外光55を照射してから、複数の第2レンズ層24aを描画する方法が採用されている。これにより、第1レンズ層22aを構成する液状体59の少なくとも一部を硬化させてから、複数の第2レンズ層24aを描画することができる。このため、第1レンズ層22aを構成する液状体59と第2レンズ層24aを構成する液状体59とが互いに混合することを避けやすい。この結果、第2レンズ層24を形成する過程で第2レンズ層24の形状が崩れることを避けやすくすることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、第1レンズ層形成工程S201及び第2レンズ層形成工程S202において、それぞれ、液状体59の塗布方法としてインクジェット法が採用されている。しかしながら、液状体59の塗布方法は、これに限定されない。液状体59の塗布方法としては、例えば、シリンジ法やディスペンス法などの種々の塗布方法も採用され得る。
また、第1レンズ層形成工程S201において、液状体59の塗布方法として、例えば、スピンコート法やスリットコート法などの種々の塗布方法も採用され得る。
【0041】
また、本実施形態では、図柄21の形成において、液状体51の塗布方法としてインクジェット法が採用されている。しかしながら、図柄21の形成方法は、これに限定されない。図柄21の形成方法としては、例えば、スクリーン印刷などの印刷法も採用され得る。
しかしながら、液状体51の塗布方法としてインクジェット法を採用すれば、レンズ形成工程S2における液状体59の塗布方法と、描画工程S1における液状体51の塗布方法とを、互いに同じインクジェット法に統一することができる。これにより、装飾シート1の製造方法の効率化を一層図りやすくすることができる。このため、液状体51の塗布方法としてインクジェット法を採用することは好ましい。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態における装飾シート1は、断面図である図10に示すように、複数の第3レンズ層68を有している。
第2実施形態における装飾シート1は、複数の第3レンズ層68が追加されていることを除いては、第1実施形態における装飾シート1と同様の構成を有している。このため、以下においては、第2実施形態における装飾シート1の構成のうち、第1実施形態における装飾シート1と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0043】
複数の第3レンズ層68は、それぞれ、各第2レンズ層24のシート材11側とは反対側で、各第2レンズ層24に重なっている。つまり、本実施形態では、第3レンズ層68は、第2レンズ層24に積層されている。このため、複数のレンズ3は、それぞれ、シート材11の第2面15bに設けられた第1レンズ層22と第2レンズ層24と第3レンズ層68とをこの順に積層した構成を有している。
【0044】
第2実施形態における装飾シート1の製造方法について説明する。
第2実施形態における装飾シート1の製造方法は、第1実施形態と同様に、図5に示す描画工程S1と、レンズ形成工程S2と、を有している。ただし、第2実施形態におけるレンズ形成工程S2は、図11に示すように、第2レンズ層形成工程S202の後に第3レンズ層形成工程S203を有している。
【0045】
第3レンズ層形成工程S203では、まず、図12(a)に示すように、複数の第2レンズ層24のシート材11側とは反対側に、液状体59を各第2レンズ層24に重ねて塗布することによって、複数の第3レンズ層68aを描画する。
このとき、液状体59の塗布に、吐出ヘッド53を利用したインクジェット法が採用されている。
複数の第3レンズ層68aの描画に次いで、図12(b)に示すように、複数の第3レンズ層68aに紫外光55を照射する。これにより、複数の第3レンズ層68aを構成する液状体59が硬化し、複数の第3レンズ層68aから複数の複数の第3レンズ層68が形成される。
上記により、図10に示す装飾シート1が製造され得る。
【0046】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、第2実施形態では、第2レンズ層24に第3レンズ層68が重なっているので、第1実施形態に比較して、レンズ3の焦点距離を短縮することができる。このため、第2実施形態では、第1実施形態に比較して、第1レンズ層22の厚みを薄くしても、レンズ3の焦点を図柄21に合わせやすくすることができる。これにより、レンズ3を介して視認する図柄21を鮮明に保ちつつ、第1レンズ層22の厚みを薄くすることができる。
【0047】
[第3実施形態]
第3実施形態における装飾シート1は、断面図である図13に示すように、複数の第1レンズ層22を有している。
第3実施形態における装飾シート1は、第1レンズ層22が複数の第1レンズ層22に区分されていることを除いては、第1実施形態における装飾シート1と同様の構成を有している。このため、以下においては、第3実施形態における装飾シート1の構成のうち、第1実施形態における装飾シート1と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0048】
第3実施形態では、図1中のB部の拡大図である図14に示すように、レンズ列5ごとに第1レンズ層22が設けられている。つまり、第3実施形態では、第1実施形態における第1レンズ層22が、レンズ列5ごとに区分されている。なお、図14では、構成をわかりやすく示すため、第1レンズ層22にハッチングが施されている。
このように、第3実施形態では、複数の第1レンズ層22が、それぞれ、レンズ列5ごとに区分されているので、第1実施形態に比較して、第1レンズ層22の材料を減量することができる。
また、第3実施形態では、例えば、シート材11と第1レンズ層22との熱膨張の差異による反りやひずみなどの発生を軽減することができる。
【0049】
第3実施形態における装飾シート1の製造方法は、第1実施形態における装飾シート1の製造方法と同様である。つまり、第3実施形態における装飾シート1の製造方法は、図5及び図6に示す製造方法が適用され得る。
ただし、レンズ形成工程S2の第1レンズ層形成工程S201では、図15(a)に示すように、シート材11の第2面15bに液状体59を塗布することによって、液状体59で複数の第1レンズ層22aを描画する。
次いで、図15(b)に示すように、複数の第1レンズ層22aに紫外光55を照射することにより、複数の第1レンズ層22が形成される。
【0050】
そして、第2レンズ層形成工程S202では、図15(c)に示すように、第1レンズ層22のシート材11側とは反対側に、液状体59を各第1レンズ層22に重ねて塗布することによって、複数の第2レンズ層24aを描画する。
次いで、図15(d)に示すように、複数の第2レンズ層24aに紫外光55を照射することにより、複数の第2レンズ層24が形成される。
上記により、図13に示す装飾シート1が製造され得る。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
ここで、第3実施形態では、第1レンズ層形成工程S201及び第2レンズ層形成工程S202のそれぞれにおいて、Y方向に対する吐出ヘッド53のN方向の交差状態を、図9に示す交差状態にすることが好ましい。
図9に示す交差状態にすることによって、シート材11に対する吐出ヘッド53の相対位置をY方向に変化させると、ノズル列66aが対向し得る領域において、複数の第1レンズ層22aの位置のそれぞれをノズル66が交差し得る。このため、複数の第1レンズ層22aを効率よく形成することができる。この結果、装飾シート1の製造にかかる手間を一層軽減しやすくすることができる。
また、第3実施形態では、Y方向に対する吐出ヘッド53のN方向の交差状態を、第1レンズ層形成工程S201と、第2レンズ層形成工程S202とで統一しやすくすることができる。この結果、レンズ形成工程S2を一層軽減しやすくすることができる。
【0052】
なお、第3実施形態では、第1レンズ層22がレンズ列5ごとに複数の第1レンズ層22に区分されているが、第1レンズ層22の構成は、これに限定されない。第1レンズ層22の構成としては、例えば、第1レンズ層22がレンズ行7ごとに複数の第1レンズ層22に区分されている構成も採用され得る。さらに、第1レンズ層22の構成としては、例えば、第1レンズ層22が第2レンズ層24ごとに複数の第1レンズ層22に区分されている構成も採用され得る。この構成によれば、第1レンズ層22の材料を一層減量することができる。また、装飾シート1における反りやひずみなどの発生を一層軽減することもできる。
また、第3実施形態においては、第2レンズ層24に、第2実施形態における第3レンズ層68を付加した構成も採用され得る。この構成によれば、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、それぞれ、虚像として視認される模様41が背景よりも沈み込む例が示されている。しかしながら、模様41の態様は、これに限定されず、模様41が背景よりも浮き出る態様も採用され得る。
模様41が背景よりも浮き出る態様では、複数の図柄21は、レンズ3と図柄21との配置を説明する平面図である図16に示すように、X方向に間隔Rで並んでいる。また、複数の図柄21は、Y方向においても、間隔Rで並んでいる。この例では、間隔Rは、間隔Pよりも長い。
複数のレンズ3のうちの1つのレンズ3bと、このレンズ3bに対応する図柄21との位置ずれが0である場合、レンズ3bからX方向において、間隔Pと間隔Rとの最小公倍数の距離D2にある位置に、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71が出現する。なお、この例では、間隔Rが間隔Pよりも長いので、1つの図柄21が2つのレンズ3に対応する組71が存在する。
【0054】
また、このレンズ3bからY方向において、間隔Pと間隔Rとの最小公倍数の距離D2にある位置にも、位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71が出現する。
レンズ3bから、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、次に位置ずれが0になるレンズ3と図柄21との組71よりも1つ前の組71aまでのマトリクスが、1つの虚像ユニット33を構成する。
この例では、図柄21の間隔Rがレンズ3の間隔Pよりも長いので、模様41は、背景として視認されるシート材11の第1面15a(図2)よりも複数のレンズ3側に浮き出た状態で視認される。
【符号の説明】
【0055】
1…装飾シート、3…レンズ、11…シート材、15a…第1面、15b…第2面、21…図柄、21a…図柄パターン、22…第1レンズ層、22a…第1レンズ層、24…第2レンズ層、24a…第2レンズ層、31…組、31a…組、33…虚像ユニット、41…模様、51…液状体、53…吐出ヘッド、55…紫外光、59…液状体、66…ノズル、66a…ノズル列、68…第3レンズ層、68a…第3レンズ層、71…組、71a…組、D1…距離、D2…距離、P…間隔、Q…間隔、R…間隔、S…間隔、T…間隔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に設けられた複数の図柄の前記基材側とは反対側に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含み、
前記複数のレンズは、それぞれ、前記図柄の前記基材側とは反対側に設けられる第1レンズ層と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に設けられる第2レンズ層と、を含み、
前記レンズ形成工程は、
前記複数の図柄の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で前記第1レンズ層を形成する第1レンズ層形成工程と、
前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の前記第2レンズ層を、前記第2レンズ層のそれぞれを前記図柄のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、
ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項2】
前記レンズ形成工程では、光の照射を受けることによって硬化する液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記複数のレンズを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装飾体の製造方法。
【請求項3】
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記第1レンズ層を形成し、
前記第1レンズ層形成工程の後に、前記第2レンズ層形成工程では、液状体を前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、且つ前記図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から複数の前記第2レンズ層を形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の装飾体の製造方法。
【請求項4】
前記第1レンズ層形成工程では、
複数の前記第2レンズ層の総数よりも少ない複数の前記第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、前記複数の第2レンズ層を複数の前記第2レンズ層群に区分し、
前記第1レンズ層を前記第2レンズ層群ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装飾体の製造方法。
【請求項5】
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布し、
前記第2レンズ形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に塗布する、
ことを特徴とする請求項4に記載の装飾体の製造方法。
【請求項6】
前記複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の前記第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成しており、
前記複数の第2レンズ層は、複数の前記第2レンズ層列を、前記第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成しており、
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられた吐出ヘッドの前記複数のノズルの配列方向と、前記第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて前記複数のノズルを前記基材に対向させた状態で、前記基材に対する前記吐出ヘッドの相対位置を、前記複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、前記複数のノズルから選択的に前記液状体を吐出させることによって、前記液状体を前記基材に塗布するときに、前記液状体を前記第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する、
ことを特徴とする請求項5に記載の装飾体の製造方法。
【請求項7】
前記レンズ形成工程の前に、前記複数の図柄をインクジェット法で形成する図柄形成工程を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の装飾体の製造方法。
【請求項8】
前記第1レンズ層形成工程では、前記第1レンズ層を、前記第2レンズ層ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装飾体の製造方法。
【請求項1】
基材に設けられた複数の図柄の前記基材側とは反対側に複数のレンズを形成するレンズ形成工程を含み、
前記複数のレンズは、それぞれ、前記図柄の前記基材側とは反対側に設けられる第1レンズ層と、前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に設けられる第2レンズ層と、を含み、
前記レンズ形成工程は、
前記複数の図柄の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で前記第1レンズ層を形成する第1レンズ層形成工程と、
前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、光透過性を有する材料で複数の前記第2レンズ層を、前記第2レンズ層のそれぞれを前記図柄のそれぞれに対応させて、形成する第2レンズ層形成工程と、を含む、
ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項2】
前記レンズ形成工程では、光の照射を受けることによって硬化する液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記複数のレンズを形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装飾体の製造方法。
【請求項3】
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から前記第1レンズ層を形成し、
前記第1レンズ層形成工程の後に、前記第2レンズ層形成工程では、液状体を前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に、且つ前記図柄のそれぞれに対応させて複数の箇所に塗布してから、塗布した前記液状体に向けて前記光を照射することによって、前記液状体から複数の前記第2レンズ層を形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の装飾体の製造方法。
【請求項4】
前記第1レンズ層形成工程では、
複数の前記第2レンズ層の総数よりも少ない複数の前記第2レンズ層を一組の第2レンズ層群として、前記複数の第2レンズ層を複数の前記第2レンズ層群に区分し、
前記第1レンズ層を前記第2レンズ層群ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装飾体の製造方法。
【請求項5】
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記図柄の前記基材側とは反対側に塗布し、
前記第2レンズ形成工程では、前記液状体をインクジェット法で前記第1レンズ層の前記基材側とは反対側に塗布する、
ことを特徴とする請求項4に記載の装飾体の製造方法。
【請求項6】
前記複数の第2レンズ層群は、それぞれ、複数の前記第2レンズ層が列状に並んだ第2レンズ層列を構成しており、
前記複数の第2レンズ層は、複数の前記第2レンズ層列を、前記第2レンズ層列の延在方向とは交差する方向に並べた配列を構成しており、
前記第1レンズ層形成工程では、前記液状体を吐出する複数のノズルが列状に設けられた吐出ヘッドの前記複数のノズルの配列方向と、前記第2レンズ層列の延在方向とを互いに交差させて前記複数のノズルを前記基材に対向させた状態で、前記基材に対する前記吐出ヘッドの相対位置を、前記複数のノズルの配列方向とは交差する方向に変化させながら、前記複数のノズルから選択的に前記液状体を吐出させることによって、前記液状体を前記基材に塗布するときに、前記液状体を前記第2レンズ層列ごとに複数の領域に区分して塗布する、
ことを特徴とする請求項5に記載の装飾体の製造方法。
【請求項7】
前記レンズ形成工程の前に、前記複数の図柄をインクジェット法で形成する図柄形成工程を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の装飾体の製造方法。
【請求項8】
前記第1レンズ層形成工程では、前記第1レンズ層を、前記第2レンズ層ごとに複数の前記第1レンズ層に区分して形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装飾体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−86290(P2013−86290A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226541(P2011−226541)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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