説明

装飾具

【課題】バラエティに富んだ装飾が可能であるとともに、使い勝手がよい装飾具を提供することを目的としている。
【解決手段】帯状体の長手方向の両端縁が連結されてリング状に形成されるとともに、前記帯状体の短手方向の中央部で、リングの全周に沿って設けられ、帯状体の一方の面で1つの切れ目を有する環状筒部を備えた装飾具本体と、前記環状筒部内に挿通されて前記装飾具本体のリングの内径より小径のループ状に保持されたループ状弾性部材とを備える装飾具において、前記ループ状弾性部材は、前記切れ目から環状筒部外に露出する露出部を有し、この露出部には、露出部長さ調整部材が、前記露出部の一部をほぼU字形状に保持するとともに、このほぼU字形状部分の露出長さを調整可能にループ状弾性部材にスライド可能に装着されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、髪飾りや腕飾りなどとして使用される装飾具に関する。
【背景技術】
【0002】
必要に応じて、髪飾り、腕飾りなどに使い分けることができる一般にシュシュと称される装飾具がある(例えば、特許文献1参照)。
この装飾具は、例えば、布地や織物地を縫製して得られた筒状体の長手方向の両端を重ね合わせてさらに縫製してリング状をして装飾具本体が形成されるとともに、装飾具本体のリングに沿うように、リング内径より小径のループ状弾性体が装飾具本体内に内蔵されている。
【0003】
すなわち、上記装飾具は、リング状をした装飾具本体が、リング内径より小径のループ状弾性体によって小径に絞られた状態に保持されている。
そして、使用時においては、髪の毛を束にしてリング内に挿入する、あるいは、手をリング内に挿入して、ループ状弾性体の弾性力によって髪の毛を束ねた状態に保持して頭部の装飾、あるいは、腕飾りとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第946955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の上記装飾具の場合、1種の装飾具では、髪の毛の束ね方のバリエーションが少ないため、多くの女性は、装飾具本体の布帛の柄や材質はもとより、リング径の異なるものを所持していることが一般的である。
しかし、あまり沢山あると、嵩張り保管場所にも困るとともに、旅先や外出先まで沢山の装飾具を持ち歩くのは邪魔になる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、バラエティに富んだ装飾が可能であるとともに、使い勝手がよい装飾具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる本発明にかかる装飾具は、帯状体の長手方向の両端縁が連結されてリング状に形成されるとともに、前記帯状体の短手方向の中央部で、リングの全周に沿って設けられ、帯状体の一方の面で1つの切れ目を有する環状筒部を備えた装飾具本体と、前記環状筒部内に挿通されて前記装飾具本体のリングの内径より小径のループ状に保持されたループ状弾性部材とを備える装飾具において、前記ループ状弾性部材は、前記切れ目から環状筒部外に露出する露出部を有し、この露出部には、露出部長さ調整部材が、前記露出部の一部をほぼU字形状に保持するとともに、このほぼU字形状部分の露出長さを調整可能にループ状弾性部材にスライド可能に装着されていることを特徴としている。
【0008】
本発明において、帯状体としては、特に限定されないが、サテン地、ニット地、レース地などの布帛が挙げられる。
上記布帛の材質としては、アクリルやポリエステルなどの合成繊維や、シルク、麻、毛糸などの天然繊維や、これらの混紡繊維などが挙げられる。
【0009】
上記ループ状弾性部材は、特に限定されないが、例えば、紐状弾性体を上記切れ目によって形成された環状筒部の一方の開口から他方の口に向かってループ状に挿通したのち、紐状弾性体の両端を固着して形成される。
上記固着方法としては、特に限定されないが、紐状弾性体の両端部同士を結び結束する方法、両端部を接着する方法、両端部を融着する方法などが挙げられる。
紐状弾性体としては、特に限定されず、例えば、丸ゴム、平ゴム、コイルばね等が挙げられるが、丸ゴムが好ましい。
【0010】
上記露出部長さ調整部材としては、特に限定されないが、例えば、紐状弾性体として、丸ゴムを用いた場合、中央に2本の上記紐状弾性体を圧接状態で挿通可能な貫通孔を有する珠状体が挙げられる。
そして、このとき、紐状弾性体の固着部が前記貫通孔の内径より大きくすることが必要である。
上記露出部長さ調整部材の材質としては、特に限定されず、合成樹脂、金属、木材、皮革、これらの複合材料が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる装飾具は、以上のように、帯状体の長手方向の両端縁が連結されてリング状に形成されるとともに、前記帯状体の短手方向の中央部で、リングの全周に沿って設けられ、帯状体の一方の面で1つの切れ目を有する環状筒部を備えた装飾具本体と、前記環状筒部内に挿通されて前記装飾具本体のリングの内径より小径のループ状に保持されたループ状弾性部材とを備える装飾具において、前記ループ状弾性部材は、前記切れ目から環状筒部外に露出する露出部を有し、この露出部には、露出部長さ調整部材が、前記露出部の一部をほぼU字形状に保持するとともに、このほぼU字形状部分の露出長さを調整可能にループ状弾性部材にスライド可能に装着されているので、露出部調整部材をほぼU字形状部分の露出長さが最も短くなるようにスライドさせておけば、装飾具本体のリング内に髪の毛や手首を挿入し、従来の装飾具と同様に髪飾りとして使用することができる。
【0012】
一方、露出部調整部材をほぼU字形状部分の露出長さが長くなるようにループ状弾性部材を環状筒部から引き出して、装飾具本体をそのリング内径が、小径あるいはほぼ0になるように絞り込んで、装飾具本体をほぼリボン状とし、露出部調整部材を切れ目側にスライドさせれば、装飾具本体が露出部調整部材によって容易にほぼリボン状態に保持される。そして、この状態でループ状弾性部材の長く露出したほぼU字形状部分に髪の毛を通し結わえれば、リボン状の装飾具としても使用できる。
すなわち、この装飾具は、バラエティに富んだ装飾が可能であるとともに、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる装飾具の第1の実施の形態であって、その第1状態の平面図である。
【図2】図1の装飾具を露出部長さ調整部材側から見た側面図である
【図3】図1の装飾具のループ状弾性部材の露出長さを長くした第2状態の斜視図である。
【図4】図1の装飾具の装飾具本体の平面図である。
【図5】図4の装飾具本体の環状筒部に紐状弾性体を挿通する状態を説明する斜視図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】図1の第1状態の装飾具を髪飾りとして用いた状態を説明する斜視図である。
【図8】図1の第1状態の装飾具を腕飾りとして用いた状態を説明する斜視図である。
【図9】図3の第2状態の装飾具を髪飾りとして用いた状態を説明する斜視図である。
【図10】本発明にかかる装飾具の第2の実施の形態であって、その要部をあらわす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図3に示すように、この装飾具Aは、装飾具本体1と、ループ状弾性部材2と、露出部長さ調整部材3とを備えている。
【0015】
装飾具本体1は、サテン地、ニット地、レース地などの布帛を用いて、例えば、以下のようにして製造されている。
(1)図示していないが、帯状をした一枚の布帛を裏側が表側になるように短手方向の中央部で二つ折りにしたのち、短手方向に端縁を縫製し、筒状に縫製する。なお、以下、このときの縫製部位を筒状縫製部と記す。
(2)得られた筒状体を偏平な帯状体とするとともに、この帯状体の長手方向の中央部で2つ折りにして長手方向の両端端縁部を上記筒状縫製部と180°反対位置のみを少し縫製しない状態で後述する紐状弾性体21の挿通口となる切れ目11を残した縫製して、リング状筒状体を作製する。
(3)切れ目11部分を利用してリング状筒状体を布帛の表側が表となるように反転させる。
(4)リング状筒状体を上記筒状縫製部が幅方向の中央部に位置するように、偏平な筒状にした状態で上記切れ目を挟んで2箇所でリング状に縫製して、図4に示すように、装飾具本体1を作製する。すなわち、上記縫製によってリングの周方向に連続し、一箇所に切れ目11を備えた環状筒部12が形成される。
【0016】
ループ状弾性部材2は、紐状弾性体としての丸ゴム21を一端から図4及び図5に示すように、切れ目11を介して環状筒部12内に挿通し、後述する露出部長さ調整部材3を装着した状態で切れ目11から露出した両端部を結んで固着することによって形成されている。
ループ状弾性部材2のループ内径は、装飾具本体1のリング内径より小径となっている。
【0017】
露出部長さ調整部材3は、図4に示すように、中央に貫通孔31を有する珠状体であって、例えば、合成樹脂製本体の表面が化学メッキ等によって装飾されている。
貫通孔31の孔径は、2本の丸ゴム21を挿通した状態で、スライド可能、かつ、2本の丸ゴム21に沿ってスライド可能となるとともに径となっている。
そして、露出部長さ調整部材3は、上記丸ゴム21の両端部を貫通孔31に挿通したのち、丸ゴム21の両端部を貫通孔31より大きな結び目に結束して固着部22を形成することでループ状弾性部材2の露出部23に抜け止め状態で装着されている。
【0018】
この装飾具Aは、上記のように構成されているので、図2に示すように、露出長さ調整部材3を固着部22にほぼ接するまでスライドさせておくと、図1に示すように、中央に髪の毛や腕が挿通可能なほぼループ状弾性部材2の内径の孔1aを備えた状態となる。
そして、この状態で図7に示すように、上記孔1a内に髪の毛Hを所望量束ねて通す、あるいは、図8に示すように手首Lを通すようにすれば、従来の装飾具と同様に髪飾りや腕飾りとして使用できる。
【0019】
また、図3に示すように、ループ状弾性部材2の露出長さを大きくし、露出部23のU字形部分に図9に示すように、髪の毛Hを所望量束ねて通すようにすれば、装飾具本体1がリボン状になった髪飾りとして使用することができる。
【0020】
以上のように、この装飾具Aは、従来の装飾具に比べ、バラエティに富んだ装飾が可能である。
しかも、露出部長さ調整部材3を備えているので、露出部23のU字状部分を用いて髪の毛に留める際(図3及び図9の状態)に、ループ状弾性部材2にかかる負荷が露出部長さ調整部材3によって受けられ、装飾具本体1の切れ目11が広がる方向に直接負荷が働かないので、装飾具本体1の保護を図ることができる。
【0021】
図10は、本発明の装飾具の第2の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、この装飾具Bは、ループ状弾性体1の露出部23に、以下に説明するように、ストラップ4が設けられている以外は、上記装飾具Aと同様の構成をしている。
【0022】
すなわち、ストラップ4は、ストラップ本体4aと、本体着脱支持部4bとを備えている。
ストラップ本体4aは、ストラップ紐41と、このストラップ紐41をループ状に支持するように設けられた雄ねじ部42とを備えている。
本体着脱支持部4bは、紐状弾性体21の固着部を隠蔽するようにループ状弾性体2に取り付けられるとともに、前記雄ねじ部42が螺合する雌ねじ穴を備えている。
【0023】
この装飾具Bは、ストラップ紐41を介して携帯電話や、ハンドバッグ、トートバッグなどに取り付けておけば、携帯電話やバッグの装飾としても用いることができる。そして、例えば、外出先で気分を変えたい時などに、雄ねじ部42の螺合を解除して本体着脱支持部4bとともに、ストラップ本体4a部分から取り外せば、上記装飾具Aと同様に髪飾りや腕飾りとして簡単に使用することができる。
また、本体着脱支持部4bの雌ねじ穴を利用して、別途用意された装飾玉等を取り付けて、さらに装飾性を上げることもできる。
【0024】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、装飾具本体が1種類の布帛のみを縫製することによって形成されていたが、幅方向の両端縁に沿ってレース地のテープを縫製や接着する、あるいは、ビーズやラインストーンなどを装飾具本体の所望位置に縫製や接着してさらに装飾を施すようにしてもよい。
上記の実施の形態では、装飾具本体が、1枚の帯状布帛を折り畳み縫製することで筒状体を形成するようにしていたが、2枚以上の帯状布帛を縫製して形成するようにしてもよいし、意匠性を高めるために、異なる柄、色、材質の複数の布帛を用いて装飾具本体を形成するようにしてもよい。
【0025】
上記の実施の形態では、露出長さ調整手段が、貫通孔を備えた珠状をしていて、貫通孔の内壁面と丸ゴムとの摩擦抵抗のみで露出長さ調整手段を所望位置に固定するようにしていたが、よりしっかりとした固定状態を得るために、露出長さ調整手段本体と、この露出長さ調整手段本体に内蔵されたスプリングによって孔の中心軸がずれるように付勢されるストッパボタンとを備える構成として、スライドさせる場合には、ストッパボタンをスプリングの付勢力に抗して露出長さ調整手段本体側に押し込み、孔と孔とを一致させれば、露出長さ調整手段が容易にスライドし、ストッパボタンの押し込みを解除するとスライドしないようにできるようにしてもよい。
【0026】
上記の実施の形態では、1つの貫通孔を備えた珠状体で形成されていたが、紐状弾性体が1本圧接状態で挿通可能な貫通孔を2本平行に設けた露出長さ調整手段としても構わない。
また、上記の実施の形態では、露出長さ調整手段が珠状体であってが、珠状でなくてもよい。すなわち、筒状や偏平な板状や動物や花などの装飾を施されたものでも構わない。
【符号の説明】
【0027】
A,B 装飾具
1 装飾具本体
11 切れ目
12 環状筒部
2 ループ状弾性部材
22 固着部
23 露出部
21 丸ゴム(紐状弾性体)
3 露出部長さ調整部材
31 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の長手方向の両端縁が連結されてリング状に形成されるとともに、前記帯状体の短手方向の中央部で、リングの全周に沿って設けられ、帯状体の一方の面で1つの切れ目を有する環状筒部を備えた装飾具本体と、
前記環状筒部内に挿通されて前記装飾具本体のリングの内径より小径のループ状に保持されたループ状弾性部材と
を備える装飾具において、
前記ループ状弾性部材は、前記切れ目から環状筒部外に露出する露出部を有し、
この露出部には、露出部長さ調整部材が、前記露出部の一部を略U字形状に保持するとともに、この略U字形状部分の露出長さを調整可能にループ状弾性部材にスライド可能に装着されていることを特徴とする装飾具。
【請求項2】
ループ状弾性部材は、紐状弾性体を切れ目の一方の口から他方の口に向かって挿通し、紐状弾性体の両端を固着して形成されている請求項1に記載の装飾具。
【請求項3】
露出部長さ調整部材が、中央に2本の上記紐状弾性体を圧接状態で挿通可能な貫通孔を有する珠状体で形成され、紐状弾性体の固着部が前記貫通孔の内径より大きく、かつ、露出部の略U字形部分に形成されている請求項2に記載の装飾具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−17719(P2013−17719A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154452(P2011−154452)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(501348818)株式会社 白川 (1)
【Fターム(参考)】