説明

装飾物質を含む熱可塑性成形製品

耐熱性、耐衝撃性および曲げ強度に優れて窓ガラスの代わりやパーティション、装飾パネル等の用途に使用可能な装飾物質を含む熱可塑性成形製品を提供する。前記熱可塑性成形製品は、共重合ポリエステル樹脂シート;および一つ以上の装飾物質が積層されてなるものであり、ここで、前記積層は前記共重合ポリエステル樹脂シートおよび装飾物質に熱と圧力を加えてなるものであり、前記共重合ポリエステル樹脂シートは、酸成分から誘導される酸部分およびジオール成分から誘導されるジオール部分の交互構造を有し、前記酸成分はテレフタル酸を含み、および前記ジオール成分は、全体ジオール成分に対して、5〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1〜60モル%のイソソルバイドを含む共重合ポリエステル樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性成形製品に関し、より詳しくは、耐熱性、耐衝撃性および曲げ強度に優れて窓ガラスの代用、パーティション(partition)、装飾パネル(decorative panel)、装飾フィルム(decorative film)等の用途に使用が可能な装飾物質を含む熱可塑性成形製品に関する。
【背景技術】
【0002】
窓用遮断材、パーティション、装飾パネル等の用途に透明または半透明ガラスがよく使用されており、前記ガラスは装飾効果を得るために彩色または着色されたりする。しかし、ガラスは密度が大きく重くて、破損しやすいので、運搬および組立が難しいだけでなく、安全面からも望ましくない。したがって、ガラスを代替する物質として、ポリ塩化ビニル、又はポリカーボネートなどの透明な樹脂が使用されることもあるが、前記ポリ塩化ビニルは成形時に有害な物質が発生して環境的な理由により望ましくないし、前記ポリカーボネートは成形作業前に乾燥が必要となり、工程所要時間が長くなって製造コストが増加し、高い温度で熱成形時に装飾物質(ポリマーフィルム、紙、繊維織物、金属ワイヤー、金属メッシュ織物、植物、鉱物など)の熱分解の可能性があって、装飾物質と共に成形して使用し難いという短所がある。また、ガラスを代替しながらも、装飾物質を内蔵して用いることができる物質(シート等)としてポリエステル樹脂が用いられるが、ポリエステル樹脂は曲げ強度などが弱くて容易に曲がるという短所があるので、建築用または装飾用材料として効果的でない側面がある。また、低い耐熱性により室内用にだけ使うなど、その用途に制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、耐熱性、耐衝撃性および曲げ強度が優れた装飾物質を含む熱可塑性成形製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明は、共重合ポリエステル樹脂シート;および一つ以上の装飾物質が積層されてなるものであり、ここで、前記積層は前記共重合ポリエステル樹脂シートおよび装飾物質に熱と圧力を加えてなるものであり、前記共重合ポリエステル樹脂シートは、酸成分から誘導される酸部分およびジオール成分から誘導されるジオール部分の交互構造を有する共重合ポリエステル樹脂で形成されており、前記酸成分はテレフタル酸を含み、および前記ジオール成分は、全体ジオール成分に対して、5〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1〜60モル%のイソソルバイドを含む熱可塑性成形製品を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明による熱可塑性成形製品は、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドを含む共重合ポリエステル樹脂シートを使うものであって、耐熱性、耐衝撃強度、及び曲げ強度が優れており、前記共重合ポリエステル樹脂シートに装飾物質を積層し、熱と圧力を加えて容易に装飾物質を積層することができる。したがって、窓ガラスの代用、パーティション、装飾パネル等の用途で有用である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明による熱可塑性成形製品は装飾物質を含むものであって、共重合ポリエステル樹脂シートおよび一つ以上の装飾物質が積層されてなるものである。また、本発明による熱可塑性成形製品は、前記装飾物質が内蔵されるように、前記共重合ポリエステル樹脂シート(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドを含む)をさらに積層した3層構造以上の構造を有する熱可塑性成形製品、または、前記共重合ポリエステル樹脂シート(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドを含む)と1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートの間に装飾物質が内蔵されるように、1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートをさらに積層した3層構造以上の熱可塑性成形製品であることができる。ここで、前記1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂の1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は全体グリコール成分のうち10〜90モル%であり、1,4−シクロヘキサンジメタノールを除いた残りのグリコール成分は、例えば、エチレングリコールである。
【0007】
本発明で使用される共重合ポリエステル樹脂シート(または、パネル)は、テレフタル酸を含む酸成分(acid component)と1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドを含むジオール成分(diol component)が共重合されて、酸成分から誘導される酸部分(acid moiety)およびジオール成分から誘導されるジオール部分(diol moiety)の交互構造を有し、一般に無定形であり、結晶化度が低い共重合ポリエステル樹脂を通常の射出または圧出成形によって製造することができる。
【0008】
前記共重合ポリエステル樹脂シートは熱成形が可能であり、透明、半透明または不透明に製造でき、装飾物質を内蔵する構造の場合(3層の積層構造で第1層と第3層が共重合ポリエステル樹脂シートであり、第2層が装飾物質の場合)、使用されるそれぞれの共重合ポリエステル樹脂シートは物性、色、透明度、厚さなどが同一または異なることができる。使用される共重合ポリエステル樹脂シートの物性などが異なる場合、これらは熱的相溶性(thermal compatibility)があるのが望ましい。ここで、熱的相溶性とは、シ−トなどが熱によって融着(fuse)するとき、同一の膨張および収縮の動きを示して表面を平行に維持できることをいう。前記共重合ポリエステル樹脂シートの厚さは用途、重量、値段により異なることができるが、通常0.2〜10mm、好ましくは0.4〜6mmである。また、前記共重合ポリエステル樹脂シートの表面には、高浮彫(high relief)、鋳物(molded)、エンボス(embossed)等の効果を有する表面を形成することができる。
【0009】
前記共重合ポリエステル樹脂において前記酸成分は、主成分としてテレフタル酸を含む。つまり、前記酸成分は全体酸成分がテレフタル酸成分であるか、ポリエステル樹脂の物性改善のためにテレフタル酸成分以外に、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸成分および炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分からなる群から選択される共重合酸成分(共重合モノマー)を一部含むことができる。物性改善のための前記共重合酸成分の含有量は、全体酸成分に対して、好ましくは0〜50モル%であり、さらに好ましく0.1〜40モル%であり、例えば、1〜10モル%である。ここで、前記共重合酸成分の含有量が少なすぎるか多い場合には物性改善の効果が不充分であるか、共重合ポリエステル樹脂の物性がむしろ低下する恐れがある。前記炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸成分は、テレフタル酸成分を除いたイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などポリエステル樹脂の製造に通常使用される芳香族ジカルボン酸成分を含み、前記炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などポリエステル樹脂の製造に通常使用される線状、分枝型または環状脂肪族ジカルボン酸成分を含む。前記酸成分は、単独または二つ以上が配合された形態に用いることができる。本明細書において、テレフタル酸成分などの用語はテレフタル酸、そのアルキルエステル(モノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルまたはジブチルエステルなど炭素数1ないし4の低級アルキルエステル)および/またはこれらの酸無水物(acid anhydride)を含む意味で使用され、グリコール成分と反応してテレフタロイル部分(terephthaloylmoiety)を形成する。また、本明細書において、酸部分およびジオール部分とは、酸成分およびジオール成分が通常のポリエステル重合反応するとき、水素、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が除去され、残った残基(residue)を言う。
【0010】
前記ジオール成分は、全体ジオール成分に対して、(i)5〜99モル、好ましくは5〜95モル%、さらに好ましくは8〜91モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび(ii)1〜60モル%、好ましくは60モル%を超過しない範囲内で下記の数式1に符合する範囲、さらに好ましくは4〜40モル%のイソソルバイドを含む(下記の数式1で、ISB mol%はイソソルバイドの含有量、CHDM mol%は1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量である)。
《数式1》
0.0012(CHDM mol%)−0.2401(CHDM mol%)+14.136≦ISB mol%≦0.0049(CHDM mol%)−0.2255(CHDM mol%)+71.176
【0011】
また、前記ジオール成分の残り成分は(iii)エチレングリコールおよび(iv)ポリエステル樹脂の物性改善のための他の共重合ジオール(モノマー)として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール(1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールなど)、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール(1,6−ヘキサンジオールなど)、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、テトラメチルシクロブタンジオール、これらの混合物などからなる群から選択されるグリコールなどが配合された形態に用いることができる。前記ジオール成分において、(i)1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび(ii)イソソルバイド以外にジオール成分が用いられる場合、残りのジオール成分の主成分としては(iii)エチレングリコールが好ましく、エチレングリコール以外に、物性改善のための(iv)前記他の共重合ジオール成分の含有量は、例えば、全体ジオール成分に対して、好ましくは0〜50モル%、さらに好ましくは0.1〜40モル%であり、例えば、1〜10モル%である。本発明によるポリエステルにおいて、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイド(1,4:3,6−ジアンヒドログルシトール)の含有量を前記のように調節することによって、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量が増加するほど、耐衝撃強度が急激に増加することを確認した。つまり、本発明において、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドはテレフタル酸およびエチレングリコールだけを原料として使用するホモポリマーの成形性など物性を改善する用途に使用される。前記1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量が5モル%未満であれば衝撃強度が不十分な恐れがあり、99モル%を超えればイソソルバイドの含有量が1モル%未満になって耐熱度が低下する恐れがある。また、前記イソソルバイドの含有量が1モル%未満であれば耐熱性上昇が不十分な恐れがあり、60モル%を超えれば製品が黄変する恐れがある。
【0012】
前記共重合ポリエステル樹脂を利用して3.2mm厚さの試片を製造した後、ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(izod impact strength、ASTM D256方法、測定温度23℃)を測定すれば、好ましくは50J/m以上の衝撃強度を示す。反面、エチレングリコールとイソソルバイドだけで共重合されたポリエステル樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃強さは通常50J/m以下の値を示す。前記共重合ポリエステル樹脂を300℃で5分間アニーリング(Annealing)し、常温に冷却した後、昇温速度10℃/minで再びスキャンすれば、前記共重合ポリエステル樹脂は好ましくは90℃以上のガラス転移温度(Tg、Glass Transition Temperature)を有する。また、前記共重合ポリエステル樹脂をオルトクロロフェノール(OCP)に1.2g/dlの濃度に溶解した後、35℃で固有粘度を測定したとき、0.35dl/g以上、好ましくは0.40dl/g以上、さらに好ましくは0.45dl/g以上の固有粘度を有する。前記共重合ポリエステル樹脂は耐熱性および耐衝撃性が優れているので、成形してフィルム、シート、飲料水ビン、哺乳びん、繊維、光学用製品などに、有用に用いることができる。
【0013】
次に、前記共重合ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
前記共重合ポリエステル樹脂は通常の共重合ポリエステル樹脂の製造方法により製造でき、例えば、(a)(i)テレフタル酸成分80〜100モル%および(ii)炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸成分および炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分からなる群から選択されるジカルボン酸成分0〜20モル%を含む酸成分と、(i)5〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび(ii)1〜60モル%のイソソルバイドと、必要に応じて、(iii)エチレングリコールを含んで全体ジオール成分の和が100モル%になるようにするジオール成分を0.2〜3.0kg/cmの加圧圧力および200〜300℃の温度で平均滞留時間2ないし10時間エステル化反応またはエステル交換反応させる。(b)次に、前記エステル化またはエステル交換反応生成物を400ないし0.1mmHgの減圧条件および240〜300℃の温度で平均滞留時間1〜10時間重縮合反応させることによって、製造することができる。好ましくは、前記重縮合反応の最終到達真空度は2.0mmHg未満であり、前記エステル化反応および重縮合反応は不活性気体雰囲気下で遂行できる。
【0014】
本発明で使用される(b)装飾物質は、熱可塑性成形製品に装飾効果を付与するためのものであって、ポリマーフィルム、紙、繊維織物、金属ワイヤー、金属メッシュ織物、植物、鉱物などを一つ以上使用することができる。ここで、前記ポリマーフィルム、紙などの装飾物質には装飾のための色々なイメージを一方または両方に印刷することができ、上部および/または下部の共重合ポリエステル樹脂シートを通して前記イメージを見られる。また、前記金属ワイヤー、金属メッシュ織物などの装飾物質は装飾効果以外にも熱可塑性成形製品に強度補強効果を与えることができる。
【0015】
前記装飾物質を内蔵する熱可塑性成形製品の場合において、前記共重合ポリエステル樹脂シート(第3層の樹脂シート)の代わりに用いられる1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シート(ここで、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は全体グリコール成分のうち10〜90モル%、例えば、20〜80モル%であり、1,4−シクロヘキサンジメタノールを除いた残りのグリコール成分は、例えば、エチレングリコールである)は、第1層を形成する共重合ポリエステル樹脂シートと熱的相溶性があるのが望ましい。前記1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートの厚さは用途、重量、値段により異なることができるが、通常0.2〜10mm、好ましくは0.4〜6mmである。また、前記1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートの表面には高浮彫、鋳物、エンボス等の効果を有する表面が形成されることができる。
【0016】
前記共重合ポリエステル樹脂シート(第1層)および前記装飾物質(第2層)の接触面の間および/または前記装飾物質(第2層)および前記共重合ポリエステル樹脂シートまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シート(第3層)の接触面の間には空気ポケットの発生を阻止したり接着の不均一性を防止するために、補助層、つまり、積層性を高めるための層を形成することができる。前記補助層としては前記共重合ポリエステル樹脂シートと熱的相溶性のある通常のポリ塩化ビニル、ポリエステルなどの高分子シートが用いられる。
【0017】
本発明による熱可塑性成形製品で、共重合ポリエステル樹脂シート、一つ以上の装飾物質、1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートなどの積層は前記共重合ポリエステル樹脂シート、装飾物質、1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートなどを2層または3層構造に積層した後、熱と圧力を加えてなるものであって、使用される装飾物質などにより異なることができるが、通常、90〜900℃の熱と0.6〜3.5Mpaの圧力を加えて積層体を形成することによって、本発明による熱可塑性成形製品を製造することができる。
【0018】
また、本発明による熱可塑性成形製品は強度および耐摩耗性を高めるために熱可塑性成形製品の表面にコーティング組成物をコーティングしたり、他の樹脂シートをさらに積層することができる。前記コーティング組成物としては、ポリウレタン、シリコン等を含むものであることができ、前記樹脂シートとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等からなるシートであることができる。
【0019】
本発明による熱可塑性成形製品は、成形製品の成形過程または成形製品の使用時に熱による変色などを防止するために、熱安定剤を前記共重合ポリエステル樹脂の重合の際、または圧出または射出過程時にさらに含むことができる。前記熱安定剤としては、通常の熱安定剤、例えば、フェノール系熱安定剤、モノフェノール系熱安定剤、ビスフェノール系熱安定剤、高分子型フェノール系熱安定剤、アミン系熱安定剤、チオール系熱安定剤、リン系熱安定剤などが用いられ、熱安定剤の種類によって使用量が異なることができる。
【0020】
また、本発明による熱可塑性成形製品は、製品の曲げ強度の向上のために分岐化剤(branching agent)を前記共重合ポリエステル樹脂の重合の際、または圧出または射出過程時にさらに含むことができる。前記分岐化剤としては、3官能基を有する通常の分岐化剤、例えば、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン等が用いられ、分岐化剤の種類によって使用量が異なることができる。
【0021】
以下、実施例および比較例を通して、本発明をより詳しく説明する。下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらのみに制限されるものではない。
【0022】
下記の実施例および比較例において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、ISBはイソソルバイド(1,4:3,6−ジアンヒドログルシトール)、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、EGはエチレングリコールを表し、ポリマーの性能評価方法は次の通りである。
(1)固有粘度(IV):150℃オルトクロロフェノールに0.12%の濃度にポリマーを溶解した後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を使って測定する。
(2)耐熱性(Tg):ガラス転移温度Tgであって、ポリエステル樹脂を300℃で5分間アニーリングし、常温に冷却した後、昇温速度10℃/minで、再びスキャン時のTg温度を測定する。
(3)衝撃強度:ポリエステル樹脂を利用して3.2mm厚さの試片を製造し、ASTM D256によりノッチ後、23℃でアイゾット衝撃強さ測定器に測定する。
(4)曲げ強度:ポリエステル樹脂を利用して、3.2mm厚さの試片を製造し、ASTM D790により曲げ強度測定機器に測定する。
(5)成形性:ポリエステル樹脂を利用して押出機で3mm厚さのシートを製造し、50%相対湿度、60度温度で2週間保管した後、延伸比が2.5:1の下型を利用して熱成形(ヒーター出力:50/25%)する。熱成形後、シートに生成された水泡(blistering)を肉眼で確認してその程度により使用可能(O:水泡の数が2つ以下)と使用不可(x:水泡の数が3つ以上)に表す。
【0023】
[比較例1]共重合ポリエステル樹脂の製造
7L容積の反応器に、表1に示す含有量となるように、TPA、ISBおよびEGを投入し、240〜300℃の熱を加えて触媒、安定剤、呈色剤などを投入した後エステル化反応と重縮合反応を進行して一定の粘度に到達したとき、重合を終了した。表1に示したように、最終重合された共重合ポリエステル樹脂において、酸成分は全てTPAであり、グリコール成分はISB 4モル%、CHDM 0モル%、EG 94モル%およびDEG 2モル%であり、固有粘度は0.74dl/g、耐熱性Tgは85℃、ASTM D256測定法によるアイゾット衝撃強さは38J/m、曲げ強度は81MPaであった。
【0024】
[比較例2〜5]共重合ポリエステル樹脂の製造
表1に示す含有量となるように、TPA、IPA、ISB、CHDMおよびEGを使ったのを除いては、比較例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。製造されたポリエステルの固有粘度、耐熱性(Tg)、アイゾット衝撃強さ、曲げ強度および成形性を前記性能評価方法により測定し、その結果を表1に示す。
【0025】
[実施例1〜7]共重合ポリエステル樹脂の製造
表1に示す含有量となるように、TPA、IPA、ISB、CHDMおよびEGを使ったのを除いては、比較例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。製造されたポリエステルの固有粘度、耐熱性(Tg)、アイゾット衝撃強さ、曲げ強度および成形性を前記性能評価方法により測定し、その結果を表1に示す。
【表1】

【0026】
実施例5および比較例5においては、高い機械的強度によって破断が発生しないので(No−Break:N.B)、衝撃強さを測定できなかった。前記表1から、従来の曲げ強度は同等以上であり、かつ衝撃強度が非常に優れていることが分かる。
したがって、耐熱性などの制限で従来に使用できなかった屋外使用などの色々な応用分野への適用が可能になり、衝撃強さの優秀性で加工または使用時の破れの問題が無くなった。また、曲げ強度の増加によってシートなどの加工後の使用するにあたって成形品のベンディング現象が減って、サイズをさらに大きくすることができ、かつ使用期限が長くなる。
【0027】
また、共重合ポリエステル樹脂シートの成形性において、前記実施例1〜7による共重合ポリエステル樹脂シートを熱成形するとき、水泡発生などの問題が発生しないが、比較例1〜5による共重合ポリエステル樹脂シートを熱成形する場合、水泡発生などの問題が発生した。したがって、比較例1〜5による樹脂シートの場合、熱成形が必要な装飾物質を含む熱可塑性成形製品として使用が制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合ポリエステル樹脂シート;および
一つ以上の装飾物質が積層されてなるものであり、
ここで、前記積層は前記共重合ポリエステル樹脂シートおよび装飾物質に熱と圧力を加えてなるものであり、
前記共重合ポリエステル樹脂シートは、酸成分から誘導される酸部分およびジオール成分から誘導されるジオール部分の交互構造を有する共重合ポリエステル樹脂で形成されており、前記酸成分はテレフタル酸を含み、および前記ジオール成分は、全体ジオール成分に対して、5〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1〜60モル%のイソソルバイドを含むことを特徴とする熱可塑性成形製品。
【請求項2】
前記熱可塑性成形製品は前記装飾物質が内蔵されるように、前記装飾物質の上に積層された、前記共重合ポリエステル樹脂シート(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルバイドを含む)または1,4−シクロヘキサンジメタノールが共重合されたポリエステル樹脂シートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項3】
前記酸成分は(i)テレフタル酸以外に、共重合酸成分として、(ii)炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸成分および炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分からなる群から選択される酸成分を、全体酸成分に対して、0〜50モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項4】
前記イソソルバイドの含有量(ISB mol%)および1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量(CHDM mol%)は下記の数式1で表現される範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
《数式1》
0.0012(CHDM mol%)−0.2401(CHDM mol%)+14.136≦ISB mol%≦0.0049(CHDM mol%)−0.2255(CHDM mol%)+71.176
【請求項5】
前記ジオール成分は(i)8〜91モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび(ii)4〜40モル%のイソソルバイドを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項6】
前記共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは90℃以上であり、そしてアイゾット衝撃強さは50J/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項7】
固有粘度が0.35dl/g以上であり、そして前記固有粘度は、前記共重合ポリエステル樹脂をオルトクロロフェノールに1.2g/dlの濃度に溶解した後、35℃で測定されることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項8】
前記上部および下部の共重合ポリエステル樹脂シートは前記共重合ポリエステル樹脂を射出または圧出成形したものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。
【請求項9】
前記装飾物質は、ポリマーフィルム、紙、繊維織物、金属ワイヤー、金属メッシュ織物、植物および鉱物からなる群から選択される物質であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性成形製品。

【公表番号】特表2013−515634(P2013−515634A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546998(P2012−546998)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009256
【国際公開番号】WO2011/081353
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(500116041)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (49)
【Fターム(参考)】