説明

装飾部材及び灯具並びに装飾品

【課題】 本発明は、内部反射による着色光の影響を低減させ、所望金属色として観察されるようにした光学多層膜を備えたアウターレンズ,車両用灯具等を提供することを目的とする。
【解決手段】 透光性基体13aと、この透光性基体の外面または内面に形成された入射光の一部を反射する光学多層膜14と、から成るアウターレンズ13であって、さらに反射光または透過光を乱反射させる凹凸形状15を備えるように、アウターレンズ13を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車で使用されるリアコンビネーションランプ(以下R/Cという),テールランプ,ストップランプ,ウィンカーランプ,マーカーランプ,フォグランプ,ハイマウントストップランプ等の車両用灯具、一般照明用灯具、遊技機器用灯具などの各種灯具や上記各種灯具等に使用される装飾部材、さらに遊技機器等に使用され外光等を利用する装飾品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような灯具は、例えば特許文献1から知られており、図11に示すように、構成されている。
即ち、図11において、灯具1は、赤色またはオレンジ色の光を放射する車両用灯具であって、光源としてのランプ2と、ランプ2を包囲するように配置され、ランプ2からの光を光出射方向前方に向かって反射する反射部材3と、この反射部材3の前方に配置されているアウターレンズ4と、から構成されている。
【0003】
上記ランプ2は、例えば白熱電球,ハロゲン電球等であって、外部から給電されることにより、発光するようになっている。
また、上記反射部材3は、光出射方向前方に向かって凹状に形成された、例えば樹脂基材の表面にアルミ蒸着膜等による反射膜を形成することにより、前方に向かって凹状の放物反射面として形成されている。
【0004】
上記アウターレンズ4は、例えばガラス,樹脂材料等の透光性基材4aによりレンズまたはカバーとして構成されており、反射部材3の開放した前面全体を覆うように配置されている。
さらに、上記アウターレンズ4は、所望の透過光色、即ち赤色またはオレンジ色に合わせて着色されている。
尚、透過光色が白色光である場合には、このような着色は省略されることになる。
【0005】
上記アウターレンズ4は、光学多層膜5を備えている。
この光学多層膜5は、図示の場合、アウターレンズ4の表面に対して形成されており、アウターレンズ4により着色された着色光をそのまま透過させ、外部からの自然光等の光を、アウターレンズ4の着色部の色とは異なる色、例えば青色で反射させるようになっている。
また、上記光学多層膜5は、上述のように青色を反射させるように、複数の積層して成膜された膜から構成されている。
ここで、上記光学多層膜5は、青色光を反射させるようになっているが、これに限らず、例えば緑色,紫色や銀色を反射させるように構成されていてもよい。 尚、銀色を反射させる場合には、特許文献2に示すようにして、ランプ2やアウターレンズの色を適宜に選定する必要がある。
【0006】
このような構成の車両用灯具1によれば、点灯時には、ランプ2から出射した白色光Lwが、直接にまたは反射部材3の表面で反射して、アウターレンズ4を介して前方に向かって照射されるようになっている。
その際、ランプ2からの白色光Lwがアウターレンズ4を通過する際に、透過光色以外の波長成分がアウターレンズ4で吸収されることにより、透過光が赤色またはオレンジ色に着色され、この赤色またはオレンジ色の着色光Loが光照射方向前方に向かって照射されるようになっている。
【0007】
非点灯時には、図12に示すように、外部から入射した外光Lの一部が、光学多層膜5で反射し、青色光Lbとして出射する。
また、入射光の他の一部が、光学多層膜5及びアウターレンズ4を透過して内部に進入し、反射部材3で反射した後、再びアウターレンズ4及び光学多層膜5を透過して、赤色またはオレンジ色の着色光Loが外部に出射する。
この場合、着色光Loは、反射部材による配光特性に従って、外部に出射することになるため、外部から見たとき、見る方向によって、着色光Loの光量が変動するため、見栄えが変化することになる。
【0008】
また、リフレックスリフレクタには、例えば特許文献3に示すように、反射エレメントの前面に、光学多層膜を備えたフィルタベースから成る多層膜フィルタを設けることにより、外部から観察したとき光学多層膜による反射光が金属色として視認され、内部に入射した光は、フィルタベースを透過する際に着色され、着色光として視認されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−103343号
【特許文献2】特開2004−103366号
【特許文献3】特開2003−337213号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような構成の車両用灯具1においては、光学多層膜5による反射光は、所謂正反射となることから、見栄えはすべて金属色として視認されることになる。
その際、上記光学多層膜5がすべての波長帯域での反射特性を有する場合には、所謂銀色として観察され、上記光学多層膜5が黄色領域で相対的に高い反射率を有する場合には、所謂金色として観察されることになる。
【0010】
従って、このような車両用灯具1と組み合わされる灯具周囲領域のベース色が金属系の色である場合には、当該車両用灯具1は良好な外観見栄えとなるが、上記ベース色が金,銀以外の非金属系の色である場合には、上記光学多層膜5による金属的な反射光の色が、ベース色とのデザイン上のマッチングが良好とは限らず、逆にデザイン性が損なわれ、最終製品としての自動車の商品性が低下することもある。
そのため、灯具の見栄えとして、所望の金属的光沢感(メタリック感)を得てデザイン上の自由度を高めることが望まれている。
【0011】
さらに、非点灯時には、外光の光学多層膜5による反射色として視認されるような設計意図に反して、灯具内部に進入した入射光が、内部反射等により、再び外部に出射する際に、反射色にアウターレンズにより着色された着色光が混入することになる。特に、非点灯時に金属的光沢感の高い色(以下、金属色と呼称する)として視認されるよう設計されている場合、当該着色光が金属色に混入することにより、金属色の効果が弱められてしまうことになる。
【0012】
また、アウターレンズが着色されていない場合であっても、例えば光学多層膜が青色光を反射するような場合には、外部から光学多層膜を介してアウターレンズ内に入射する際に、青色光が光学多層膜により反射されることによって、内部への入射光は黄色光となり、この黄色光が反射部材により反射して、再びアウターレンズそして光学多層膜を介して外部に出射することになるため、同様に光学多層膜による反射光に、黄色光(着色)が混入することになってしまう。
【0013】
さらに、特許文献3によるリフレクタの場合にも、同様に内部への入射光が反射リフレクタによって反射され、再び外部に出射することによって、光学多層膜による反射光に内部反射による着色光が混入し、光学多層膜により設計された反射光と異なる波長の光が出射されることになってしまう。
【0014】
本発明は、以上の点から、点灯時および非点灯時の照明装置の見栄えについて所望の金属的光沢感を得ることのできる、また、デザイン上の自由度の高い、車両用灯具、遊技機器用照明、一般照明等の灯具、灯具等に用いられる装飾部材、及び装飾部品を提供することを目的としている。
さらに、内部反射による着色光の影響を低減させ、光学多層膜による反射色に近い光を観察されるようにした、車両用灯具、遊技機器用照明、一般照明等の灯具、灯具等に用いられる装飾部材、及び装飾部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、透光性基体と、この透光性基体の少なくとも一方の面に形成された入射光の一部を反射する光学多層膜と、から成る装飾部材であって、上記透光性基体の少なくとも一方の面、または、上記光学多層膜の表面には、光を乱反射させる凹凸形状を少なくとも一部に備えていることを特徴とする、装飾部材により、達成される。
【0016】
本発明による装飾部材は、好ましくは、上記凹凸形状は、1μm以下の間隔または幅で形成され、ランダムに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装飾部材上記凹凸形状が、光学多層膜の表面の全体または少なくとも一部に形成されている。
【0017】
本発明による装飾部材は、好ましくは、上記透光性基体は、顔料,染料等を混入した着色材料から構成されている。
【0018】
本発明による装飾部材は、好ましくは、上記透光性基体の少なくとも一方の面上、あるいは、上記透光性基体上に形成された上記光学多層膜上に透過光を着色する着色膜を備えている。
【0019】
さらに、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、光源および反射部材を有する灯具であって、上記灯具の光照射側には、請求項1から4の何れかに記載の装飾部材が配置されたことを特徴とする、灯具により達成される。
【0020】
さらに、上記目的は、本発明の第三の構成によれば、請求項1から4の何れかに記載の装飾部材の片側面に反射部材を配置したことを特徴とする、装飾品により達成される。
【0021】
本発明による装飾品は、好ましくは、請求項1から4の何れかに記載の装飾部材の片側面にリフレックスリフレクタを配置している。
【発明の効果】
【0022】
上記第一の構成によれば、例えば車両用灯具の装飾部材として使用する場合、光源の点灯時には、光源から出射した光が、直接にまたは反射部材により反射されて、装飾部材を介して外部に出射する。
その際、光源からの光は、光学多層膜を透過して、照射されることになる。
従って、外部から観察した場合、車両用灯具からは、透光性基体による透過光または着色光が視認されることになる。
さらに、光源からの光は、凹凸形状により散乱される。このため、拡散光が照射されることになる。
【0023】
これに対して、光源の非点灯時には、外部から自然光等が入射すると、入射光は、光学多層膜にて、所定の波長成分が反射することにより、所定の色の光が外部に出射することになる。
この所定の色の反射光の金属光沢的見栄えは、凹凸形状の形成位置により異なり、以下に光学多層膜が透光性基体の外側に配置されている場合について説明する。
【0024】
凹凸形状が光学多層膜の表面に形成されている場合は、外部から観察したとき、所定の色の光が乱反射することになる。このため、従来の正反射による金属色とは異なり、拡散反射成分が高められ、金属的光沢感の低い色(以下、非金属色と呼称する)が視認されることとなる。
【0025】
凹凸形状が透光性基体の内側に形成されている場合は、光学多層膜による金属色の正反射光が観察できる。
【0026】
凹凸形状が透光性基体の外側に形成されている場合には、上記凹凸形状が透光性基体の内側に形成された場合の正反射光の金属色的見栄えより非金属色的な反射光が観察できる。凹凸形状が透光性基体の外側に形成された場合に、光学多層膜の表面にも凹凸形状が生ずる場合には、外部からの光学多層膜の表面に入射した光の一部が、この凹凸形状により乱反射することになり、非金属色として視認される。
このように、凹凸形状の形成により、所望の金属光沢的見栄えを得ることができる。
【0027】
さらに、外部からの入射光のうち、光学多層膜を透過して内部に進入した光が反射部材により反射して、再び光学多層膜を透過して外部に出射する際に、この内部反射光は凹凸形状により散乱することになる。これにより、光学多層膜による反射光に対する内部反射光の比率が著しく低下することになる。
【0028】
従って、アウターレンズの透過光が着色光となる場合においても、この着色光の影響が大幅に低減され、着色光が出射されにくくなるため、上記所定の色の光が確実に視認され得ることになる。つまり、従来の凹凸形状のないアウターレンズを用いた灯具と比較して、非点灯時における着色光の混入を低減することができる。また、光学多層膜により金属色を得る場合においても、着色光の混入により金属色が弱められることなく、良好に金属色の反射光が視認され得る。
【0029】
尚、着色光は、透光性基体が着色されている場合のみならず、透光性基体が無色透明である場合においても、光学多層膜により反射される所定の波長以外の波長の光として発生する。
【0030】
上記凹凸形状が、1μm以下の間隔または幅で形成され、ランダムに配置されている場合には、外部からの光の反射光がこの凹凸形状による散乱により非金属色として観察され、内部反射による着色光の影響が少なく、しかもアウターレンズの外観にクリア感が得られることになる。
【0031】
上記凹凸形状が、1μmから数十mm程度の大きさに形成されている場合には、外部からの光の反射光ランダムに配置されている場合には、外部からの光の反射光がこの凹凸形状による散乱により非金属色として観察され、内部反射による着色光の影響が少なく、しかもアウターレンズの外観が白っぽく視認され得ることになる。
【0032】
上記透光性基体が、顔料,染料等を混入した着色材料から構成されている場合、そして、さらに透過光を着色する着色膜を備えており、上記着色膜が、透光性基体の少なくとも一方の面上、あるいは上記透光性基体上に形成された光学多層膜の表面上に形成されている場合には、透光性基体の透過光が、着色材料または着色膜により着色されることになる。
従って、この着色光が凹凸形状により散乱することになるため、光源からの光は、より広い角度範囲に照射される。また、外部からの進入光による着色光が拡散されることにより、光学多層膜による反射光の色に対する混色率が大幅に低下し、着色光による影響が低減され得ることになる。
【0033】
このようにして、本発明による装飾部材によれば、光源の非点灯時に、装飾部材の光学多層膜による反射光が凹凸形状により散乱することにより、非金属色として観察され得る。また、内部反射による透過光または着色光が凹凸形状により散乱することにより、外部から観察した場合に、光学多層膜に対する透過光または着色光の比率が大幅に低下し、これら透過光または着色光の影響が排除され、光学多層膜による反射光がより確実に視認され得ることになる。
【0034】
上記第二の構成によれば、灯具を例えば車両用灯具として使用する場合において、光源からの光を反射部材により光照射方向前方に向かって反射した光は、凹凸形状により散乱して、前方に照射され、外部から入射した光は、光学多層膜にて、所定の波長成分が反射することにより、所定の色の光が外部に出射することになる。
ここで、この光学多層膜が凹凸形状より内側に配置されている場合には、外部から観察したとき、アウターレンズからは、所定の色の光が乱反射することになるため、従来の正反射による金属色とは異なる非金属色が視認されることになる。
【0035】
また、外部からの入射光のうち、光学多層膜を透過して内部に進入した進入光が、反射部材により反射して、再び光学多層膜を透過して外部に出射する際に、同様にして凹凸形状により散乱することになる。これにより、光学多層膜による反射光に対する進入光の比率が著しく低下することになる。
従って、透光性基体の透過光が着色光である場合に、この着色光の影響が大幅に低減され、上記所定の色の光、即ち非金属色の光が確実に視認され得ることになる。
【0036】
さらに、上記第三の構成によれば、当該装飾品を例えば遊技機器等に取り付けて使用した場合において、外部から入射した光は、光学多層膜にて、所定の波長成分が反射することにより、所定の色の光が外部に出射することになる。
【0037】
ここで、この光学多層膜が凹凸形状より内側に配置されている装飾品(光学多層膜に凹凸形状を有する装飾部材を用いた装飾品)においては、外部から観察したときに、凹凸形状により拡散された所定の色の反射光が外部から観察される。このため、従来の凹凸形状の形成されていない光学多層膜による正反射光の金属色とは異なる非金属色が視認されることになる。
また、この光学多層膜が凹凸形状より外側に配置されている装飾品(透光性基体の内側に凹凸形状を有する装飾部材を用いた装飾品)においては、光学多層膜による金属色の正反射光が観測できるとともに、外部からの入射光のうち光学多層膜を透過した着色光が、内部で反射され、再び装飾部材を透過して外部に出射する際に、凹凸形状により散乱され、外部へ出射されにくくなり、着色光が大幅に低減される。そのため、光学多層膜による設計通りの所定の色の出射光を得ることができる。
【0038】
従って、透光性基体の透過光が着色光である場合に、この着色光の影響が大幅に低減され、上記所定の色の光、即ち非金属色の光が確実に視認され得ることになる。
このようにして、所望の金属的光沢感のある反射光として観察されるようにし、さらに内部反射による着色光の影響を低減するようにした、装飾品が提供されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図10を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0040】
[実施例1]
図1は、本発明によるアウターレンズを備えた車両用灯具の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、車両用灯具10は、着色光を放射する車両用灯具であって、光源としてのランプ11と、ランプ11を包囲するように配置され、このランプ11からの光を光照射方向前方に向かって反射する反射部材12と、この反射部材12の光軸方向前方に配置されているアウターレンズ13と、から構成されている。
【0041】
上記ランプ11は、例えば白熱電球,ハロゲン電球やLEDランプ等であって、外部から給電されることにより発光するようになっている。
【0042】
上記反射部材12は、光照射方向前方に向かって凹状に形成された例えば樹脂基材の表面に例えばアルミニウム蒸着膜等による反射膜を形成することにより、例えば前方に向かって凹状の放物面系の反射面として構成されている。上記反射部材は、上記灯具の光照射方向に向けて反射面が形成され、光源からの光の一部および、アウターレンズを介して入射する外部からの光を反射する。
ここで、放物面系の反射面は、回転放物面だけでなく、放物面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0043】
また、上記アウターレンズ13は、例えばガラス,樹脂材料等の透光性基体13aによりレンズまたはカバーとして構成されており、図示の場合、反射部材12の開放した前面全体を覆うように配置されている。
さらに、上記アウターレンズ13は、その透光性基体13aが、所望の透過光色、即ち例えば赤色またはオレンジ色の光を透過させ得るように、顔料や染料を透光性基材に混入・分散させることにより、着色されている。
尚、光源としてLEDを用いる等により、所望の色を発光する光源を用いる場合には、このような着色は省略され、透光性基体は無色透明のものが用いられることになる。
【0044】
さらに、上記アウターレンズ13は、光学多層膜14を備えている。
この光学多層膜14は、図2に示すように、アウターレンズ13の表面(前面)で透光性基体13a上に形成されており、透光性基体13aにより着色された着色光をそのまま透過させる。また、外部からの自然光等の光を、透光性基体13aの着色とは異なる色、例えば青色で反射させるようになっている。
ここで、上記光学多層膜14は、複数の積層して成膜された所謂多層膜から構成されている。
尚、上記光学多層膜14は、青色光を反射させるようになっているが、これに限らず、例えば緑色,黄色や銀色等の光を反射させるように構成されていてもよい。
【0045】
さらに、上記アウターレンズ13は、図2に示すように、その透光性基材13aの前面全体に凹凸形状15を備えている。この凹凸形状15の個々の凸部または凹部は、三角状,矩形状,丸状等の任意の形状を備えている。
また、上記凹凸形状15は、外部からの入射光を散乱させればよく、その大きさおよび配置は任意であり、レンズカット等のように目視可能なものでも、微細な凹凸でもよく、規則的に配置されていても、ランダムに配置されていてもよい。尚、ここでは、凹凸形状の大きさとは、規則的な配置を示す場合には、凹凸の間隔(例えば、凸部と凸部との間隔)、ランダムな配置を示す場合には、凹部または凸部の幅をいい、円形状ならその直径、四角形状ならその一辺の長さをいう。
しかし、凹凸形状の大きさが1μm以下においては、特定の波長に対して特性が強調されないよう、外光に対する干渉を回避する必要がある。従って、凹凸形状の間隔または幅が1μm以下の場合は、好ましくは、凹凸形状は、その間隔または幅がランダムに選択されるか、ランダムに配置される。さらに好ましくは、間隔または幅、および配置がランダムに構成される。
【0046】
これにより、上記凹凸形状15は、その上に光学多層膜14を形成する際に、この光学多層膜14の表面に影響することにより、図1に示すように、光学多層膜14の表面にも凹凸形状が現われることになる。
これにより、外部から光学多層膜14に入射する光が、光学多層膜14により正反射せず、乱反射するようになっている。
尚、アウターレンズ13の透光性基体13aに形成された凹凸形状15が、光学多層膜14の表面に影響して、光学多層膜14の表面にも凹凸形状が現われているが、光学多層膜14の表面が平滑処理され、平坦に形成されていてもよい。
【0047】
本発明実施形態による車両用灯具10は、以上のように構成されており、ランプ11が外部から給電されて発光することにより、図1に示すように、ランプ11の発光部から白色光Lwが出射し、上記反射部材12で反射されて、ほぼ平行光となって、アウターレンズ13及び光学多層膜14を介して、光照射方向前方に向かって照射される。
この場合、ランプ11からの白色光Lwは、アウターレンズ13を透過する際に、このアウターレンズ13により、例えば赤色またはオレンジ色に着色されて、光学多層膜14を透過し、着色光Loが、光照射方向前方に向かって照射される。
尚、この場合、ランプ11からの光Lwは、凹凸形状15により散乱されることから、点灯時の遠方照射光量がやや少なくなる傾向にある。
【0048】
また、ランプ11の非点灯時には、図3に示すように、外部から自然光等の外光Lが光学多層膜14に入射すると、この入射光が、光学多層膜14により反射し、その際青色光Lbとなって出射することになる。
ここで、光学多層膜14の表面の前記凹凸形状15に基づいて、入射光が正反射せずに乱反射することから、金属色とならず、非金属色として反射することになる。
これにより、非点灯時には、外部から観察したとき、アウターレンズ13表面の光学多層膜14からは、青色光Lbが乱反射することになる。このため、従来の正反射による金属色とは異なる非金属色が視認されることになる。
【0049】
さらに、外部からの入射光のうち、光学多層膜14,アウターレンズ13を透過して内部に進入した進入光Liが、反射部材12により反射して、再びアウターレンズ13及び光学多層膜14を透過して外部に出射する。
その際、このような内部反射による光は、アウターレンズ13により着色されて、着色光Loとなる。また、上記凹凸形状15によって一部が内側に乱反射し、他の一部が拡散して外部に出射することになる。
従って、光学多層膜14による反射光Lbに対する内部反射光Liの比率が著しく低下する。このため、例えばアウターレンズ13を透過した着色光Loの影響が大幅に低減され、上述した非金属色の青色光Lbが確実に視認され得ることになる。
【0050】
ここで、上述した凹凸形状15は、その個々の凹凸の大きさ,密度(凹部の総面積率)及びアウターレンズ13の口径に対する占有面積率に応じて、以下のように、散乱効果が変動する。
密度が80%の場合、大きさが1μm以下では、光学多層膜14による反射光は非金属色として視認される。また、内部反射光による影響が少なく、しかもアウターレンズ13のクリア感が得られる。大きさが1μm以上では、同様に非金属色として視認され、内部反射光による影響が少ないが、クリア感が少なくなり、全体として白っぽく観察されることになる。
大きさが0.3μmの場合、密度が50%以上では、光学多層膜14による反射光は非金属色として視認され、内部反射光による影響が少ないが、クリア感が少なくなり、全体として白っぽく観察されることになる。これに対して、密度が50%以下では、光学多層膜14による反射光は非金属色+金属色として視認され、内部反射光による影響が比較的多くなるが、アウターレンズ13のクリア感が得られ、点灯時の遠方照射光量が比較的多くなる。
【0051】
また、光学多層膜14をそれぞれ図4(A)〜(E)のように、それぞれ銀色(赤+緑+青)反射,黄色(赤+緑)反射,青色反射,緑色反射の光学多層膜として構成した場合、従来の光学多層膜14の反射色がそれぞれ銀色,金色,金属色的緑色,金属色的青色であるのに対して、凹凸形状15を設けることにより、反射色がそれぞれ白色,黄色,非金属色的緑色,非金属色的青色となる。
図4中に示す表は、光学多層膜の構成の例を示すものであり、これら構成においては高屈折率材料として、TiO2 、低屈折率材料として、SiO2 が交互に複数層積層されている。
【0052】
材料はこれらに限られるものではなく、高屈折率材料として、Nb2 5 ,Ta2 5 、Si、a−Si、Poli−Si、La2 5 、ZrO2 など、低屈折率材料としては、Al2 3 、MgF2 なども使用可能である。
図4(E)に、図4(A)に対応する光学多層膜14に凹凸形状を作製したものの反射率特性を示す。凹凸形状の密度が高いほど、正反射成分が低下しており、散乱効果が高くなることが確認できる。尚、図4(A)〜(E)に示す反射率特性の結果は、光学多層膜を透明基体上に形成したものをサンプルとした。また、図4(E)の結果を得たサンプルにおいて、凹凸形状は、光学多層膜の表面(透明基体と接しない面)にドライエッチングにより直径20μm±10μmの円形の凹部がランダムに配置されるよう形成した。いずれのサンプルについても、光学多層膜側から光学多層膜に垂直な方向から入射角30度でハロゲンランプの光を照射し、反射光のうち、反射角30度の光を検出して結果を得た。
【0053】
このようにして、凹凸形状15の個々の凹部または凸部の大きさが1μm以上(数十mm程度まで)で、密度が50%以上であれば、アウターレンズ13や光学多層膜14の透明度が減少して、白っぽく観察されることになる。これに対して、大きさが1μm以下では、アウターレンズ13や光学多層膜14の透明度が高くなり、クリア感が得られる。
【0054】
従って、点灯時に遠方照射光量を多くするためには、密度は50%以下が好適であり、非点灯時に非金属色を高めるためには、密度は高い方がよい。
特に、自動車のターンランプ,ストップランプや、商品を照明するための一般照明灯具等の場合には、密度を高くしすぎると、照射光量が低下して性能不足となるおそれがあるので、凹凸形状15の密度を適宜に選定し、あるいは光源の光量を高くする必要がある。
これに対して、テールランプの場合には、照射距離が短くてもよいので、密度を高くすることが可能である。
【0055】
上述した車両用灯具10においては、凹凸形状15は、アウターレンズ13の前面に形成されているが、これに限らず、図5に示すように、光学多層膜14の表面に形成されていてもよい。
また、上述した車両用灯具10においては、凹凸形状15は、アウターレンズ13の前面全体に亘って形成されているが、これに限らず、図6に示すように、アウターレンズ13の一部領域に形成されていてもよい。
この場合、この一部領域のみにおいて、非点灯時に非金属色が視認され、内部反射光による着色光の影響が低減され得ることになる。
【0056】
[実施例2]
図6は、本発明によるアウターレンズを備えた車両用灯具の第二の実施形態の構成を示している。
図6において、車両用灯具20は、図1に示した車両用灯具10と同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記車両用灯具20は、図1に示した車両用灯具10と比較して、ランプ11,凹凸形状15の代わりに、図7に示すように、それぞれLED21と、透光性基体13aの後面の一部に設けられた凹凸形状22と、を備えている点でのみ異なる構成になっている。
【0057】
このような構成の車両用灯具20によれば、LED21が外部から給電されて発光することにより、図6に示すように、LED21から光L1が出射し、直接あるいは、上記反射部材12で反射されて、ほぼ平行光となって、アウターレンズ13及び光学多層膜14を介して、光照射方向前方に向かって照射される。
この場合、LED21からの光L1は、アウターレンズ13を透過する際に、このアウターレンズ13により、例えば赤色またはオレンジ色に着色され、この着色光Loが光学多層膜14を透過して、光照射方向前方に向かって照射される。
尚、この場合、LED21からの光L1は、凹凸形状22により散乱されることから、点灯時の遠方照射光量がやや少なくなる傾向にある。
【0058】
また、LED21の非点灯時には、図8に示すように、外部から自然光等の外光Lが光学多層膜14に入射すると、この入射光Lが、光学多層膜14により正反射し、その際金属色の青色光Lbとなって出射することになる。
これにより、非点灯時には、外部から観察したとき、アウターレンズ13表面の光学多層膜14からは、青色の光が正反射することになるため、金属色の青色光Lbが視認されることになる。
【0059】
さらに、外部からの入射光のうち、光学多層膜14,アウターレンズ13を透過して内部に進入した進入光Liが、反射部材12により反射して、再びアウターレンズ13及び光学多層膜14を透過して外部に出射する。
その際、このような内部反射による光Liは、アウターレンズ13により着色され、この着色光Loは、上記凹凸形状22によって一部が内側に乱反射し、他の一部が拡散して外部に出射することになる。
従って、光学多層膜14による反射光Lbに対する内部反射光Loの比率が著しく低下する。このため、例えばアウターレンズ13を透過した着色光Loの影響が大幅に低減され、上述した金属色の青色光Lbが確実に視認され得ることになる。
【0060】
ここで、上述した凹凸形状22は、その個々の凹凸の大きさ,密度(凹部の総面積率)及びアウターレンズ13の口径に対する占有面積率に応じて、以下のように、散乱効果が変動する。
尚、凹凸形状の大きさとは、規則的な配置を示す場合には、凹凸の間隔(例えば、凸部と凸部との間隔)、ランダムな配置を示す場合には、凹凸部が円形状なら直径、四角形状なら一辺の長さをいう。
大きさが5mmの場合、密度が30%では、光学多層膜14による反射光は金属色として視認され、内部反射光が多く、しかもアウターレンズ13のクリア感が得られ、点灯時の遠方照射光量が多かった。また密度が80%では、同様に金属色として視認され、内部反射光が少なく、クリア感が少なくなり、全体として白っぽく観察されることになり、点灯時の遠方照射光量が少なくなった。
また、大きさが0.5mmの場合、密度が30%では、光学多層膜14による反射光は金属色として視認され、内部反射光が多いが、クリア感が得られ、点灯時の遠方照射光量が多かった。これに対して、密度が80%では、光学多層膜14による反射光は金属色として視認され、内部反射光が少なく、全体として白っぽく観察され、点灯時の遠方照射光量が少なかった。
【0061】
ここで、上記凹凸形状22は、内部入射光を散乱させればよいので、その大きさはレンズカットのように目視可能な大きさでもよく、またその大きさまたは/及び配置は規則的でもランダムでもよい。
ただし、大きさが1μm以下においては、可視光波長に近いため、クリア感を得るためには、上記凹凸形状22の個々の凸部または凹部は、特定の波長に対して特性が強調されないように、外光に対する干渉を回避する必要がある。このため、凹凸形状の間隔または幅が1μm以下の場合は、好ましくはその間隔または幅の選択あるいは配置がランダムに選定される。
【0062】
また、凹凸の大きさは、四分の一波長以上の光学膜厚を要することが好ましい。凹凸形状が四分の一波長より小さい光学膜厚の場合には、可視光が透過してしまうため拡散光が得られないためである。従って、可視光波長下限は380nm、透光性基体の屈折率は1.52〜1.6程度(ポリカーボネートの屈折率は1.52)であることより、凹凸の大きさは、55nm以上に形成することが好ましい。
【0063】
また、点灯時に遠方照射光量を多くするためには、密度は50%以下が好適であり、非点灯時に非金属色を高めるためには、密度は高い方がよい。
特に、自動車のターンランプ,ストップランプや、商品を照明するための一般照明灯具等の場合には、密度を高くしすぎると、照射光量が低下して性能不足となるおそれがある。このため、凹凸形状15の密度を適宜に選定し、あるいは光源の光量を高くする必要がある。
【0064】
凹凸形状は、その形状、大きさ、形成する部材によりドライエッチ、サンドブラスト、成型等の適宜の方法で形成される。また、粒子を含む薄膜をコーティング等により形成することもできる。凹凸の大きさが55nmから10μmである場合には、ドライエッチによることが好ましく、10μmから数十mmである場合には、ドライエッチ、サンドブラスト、成型により形成することが好ましく、特に100μm以上である場合には成型によることが好ましい。
【0065】
上述した車両用灯具20においては、凹凸形状22は、アウターレンズ13(透光性基体13a)の後面に形成されているが、これに限らず、図9に示すように、透光性基体13aの前面に形成されていてもよい。また、図9(A)においては、アウターレンズ13の透光性基体13aに形成された凹凸形状23が、光学多層膜14の表面に影響して、光学多層膜14の表面にも凹凸形状24が現われているが、図9(B)のように光学多層膜14の表面が平滑処理され、平坦に形成されていてもよい。
また、上述した車両用灯具20においては、凹凸形状22は、アウターレンズ13の後面の一部領域に形成されているが、これに限らず、アウターレンズ13の全面に亘って形成されていてもよい。
【0066】
上述した実施例1および2において、本発明の装飾部材および装飾部材を用いた灯具について、具体例として、車両用灯具用アウターレンズおよび車両用灯具として説明したが、本発明は、車両用に限定されるものではなく、一般照明、遊技機器等の灯具およびその装飾部材として利用可能である。
また、上述した実施例1および2における車両用灯具においては、装飾部材をアウターレンズとして構成したが、インナーレンズとして構成してもよく、別途のアウターレンズを設けるものでもよい。
【0067】
[実施例3]
図10に、本発明による、看板、遊技機器等に使用される装飾品30の実施形態の構成を示すとともに、それに用いられる装飾部材34の実施形態の構成を示す。
凹凸形状33を表面に有する光学多層膜32の形成された透光性基体31からなる装飾部材34が看板や遊技機器等の本体となる支持体35に設けられている。支持体35上には、外部からの光が装飾部材34を介して照射する部分にアルミニウム蒸着等により形成された反射部材36が設けられている。反射部材としては、反射板のみならず、リフレックスリフレクタが用いられ、所望の装飾効果を得ることができる。尚、反射部材を用いなくても、支持体35に装飾部材34を設けることにより、所望の金属光沢的見栄えを有する装飾品として、構成することができる。また、透光性基体31は、例えばポリカーボネートなどの樹脂、ガラス等が用いられ、扁平でも図10に示すように湾曲していてもよい。
【0068】
本実施例の装飾品30に対して、外部から光学多層膜32に入射する光は、光学多層膜32により設計された所定の波長の光が反射されるが、光学多層膜32の表面に凹凸形状が形成されているため、乱反射する。そのため、非金属的見栄えとして視認される。
【0069】
さらに、外部から光学多層膜32への入射光のうち、光学多層膜32の反射波長以外の波長の光(着色光)は透過された後、反射部材36で反射され、再度光学多層膜32を透過して外部へ出射する際に、一部がその凹凸形状33により内側に乱反射されるとともに、一部が拡散して外部へ出射する。そのため、装飾品30(あるいは装飾部材34)からの出射光における、着色光の影響は極めて少ないものとすることができ、上述の光学多層膜32による所定の波長の光が視認される。
【0070】
凹凸形状は、所望の装飾効果に応じて、その形状、大きさ、配置、密度等が任意に選択される。ここでは、凹凸形状の大きさは、規則的な配置を示す場合には、凹凸の間隔(例えば、凸部と凸部との間隔)、ランダムな配置を示す場合には、凹部または凸部の幅をいい、円形状ならその直径、四角形状ならその一辺の長さをいう。粗し処理による数μm程度の微細なものでも、レンズカットやプリズム形成等の数十mm程度の大きなものでもよく任意に選択される。しかし、凹凸形状が四分の一波長より小さい光学膜厚の場合には、可視光が透過してしまう観点から、凹凸の大きさは、可視光下限波長の四分の一波長以上の光学膜厚を確保する、約55nm以上に形成することが好ましい。また、凹凸形状の間隔または幅が1μm以下の場合は、特定の波長に対して特性が強調されないよう、外光に対する干渉を回避する必要があるため、好ましくは、凹凸形状は、その間隔または幅がランダムに選択されるか、ランダムに配置される。
【0071】
本実施例の装飾品において、光学多層膜32は、透光性基体31の外側に設けられているが、内側に設けても、両側に設けるものでもよい。また凹凸形状は光学多層膜の表面上に形成したが透光性基体の少なくとも一方の面に設けてもよい。本実施例においては、透光性基体上に設けた光学多層膜上に凹凸形成をしているため、非金属的見栄えとして視認されるが、例えば、透光性基体上に光学多層膜を設け、透光性基体の内側に光学多層膜を設けた場合には、金属的見栄えとして視認される。
つまり、凹凸形状の設ける位置および光学多層膜を設ける位置によって、光学多層膜による反射光の金属光沢的見栄えを変化させることができるため、所望の金属的光沢感(見栄え)を得ることができ、装飾品および装飾品を用いられる製品のデザイン上の自由度を高めることができる。
【0072】
また、光学多層膜の形成位置、凹凸形状の形成位置に関わらず、光学多層膜の反射波長以外の波長の内部入射光が、内部反射して、装飾品から出射する光の量を凹凸形状により拡散反射させることにより低減することができる。そのため、光学多層膜の設計された反射波長により近い波長の光を視認することができる。
【0073】
上述した実施例には示されないが、本発明における装飾部材は、着色膜、保護膜などを備えていてもよい。
上述した実施例1および2においては、車両用灯具10,20におけるアウターレンズ(装飾部材)が、透過光を着色するために、透光性基材自体が着色されているが、これに限らず、着色膜を備えていてもよい。実施例3における装飾部材34も同様である。
ここで、この着色膜は、装飾部材を構成する透光性基体の前面または/及び後面、あるいは光学多層膜の前面に備えられ得る。
尚、光学多層膜14の前面に着色膜を設ける場合、膜厚が厚いと着色膜自体にクラックが発生することがあるため、着色膜は、20μm以下の膜厚にすることが望ましい。
【0074】
また、上述した実施形態においては、装飾部材の前面(透光性基体の前面)に光学多層膜14を備えているが、これに限らず、透光性基体の後面または両面に光学多層膜14を備えていてもよい。
この場合、光学多層膜の光源側に凹凸形状が配置されることにより、内部反射光がこの凹凸形状により散乱され、表面の光学多層膜14による反射光に対する内部反射光の影響が低減され得ることとなる。
また、光学多層膜の光源と反対側(前側)に凹凸形状が配置されることにより、外光がこの凹凸形状により散乱され、非金属色の反射光が観察され得ることになる。
【0075】
上述した実施形態においては、凹凸形状の形状、大きさ、および、密度により、金属的光沢感を制御可能なことを示したが、本発明は、凹凸形状を形成する面の選択によっても、金属的光沢感を制御することができる。
例えば、透光性基体の後面(光源側の面)に光学多層膜を形成した灯具において、凹凸形状を形成する面を、(1)光学多層膜の光源側の面と透光性基体の接する面との両面、(2)光学多層膜と透光性基体の接する面のみ、(3)光学多層膜の光源側の面のみ、では、非点灯時の照明装置の見栄えは、(1)、(2)、(3)の順で非金属的である。
【0076】
また、上述した実施形態においては、灯具して単に車両用灯具10について説明したが、これに限らず、他の種類の車両用灯具、例えばフォグランプ等の補助前照灯、遊技機器等の装飾用照明、あるいは一般照明灯具として構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
このようにして、本発明によれば、点灯時および非点灯時の灯具の見栄えについて所望の金属的光沢感を有することを達成した、極めて優れた灯具、また所望の金属的光沢感を達成するための装飾部材が提供され得ることになる。
さらに、内部反射による着色光の影響を低減し、所望の反射色を達成した極めて優れた装飾部材、灯具、装飾品が提供され得ることになる。
つまり、光学多層膜を用いた装飾部材を備えた灯具等の製品のデザイン上の自由度を高め、光学多層膜により設計した反射波長に近い波長の光を得ることのできる装飾部材が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明による車両用灯具の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両用灯具におけるアウターレンズ,光学多層膜を示す部分拡大断面図である。
【図3】図1の車両用灯具における非点灯時の外光の反射状態を示す概略断面図である。
【図4】図1の車両用灯具における光学多層膜の五つの構成例における構造及び反射率特性を示す図である。
【図5】図1の車両用灯具における凹凸形状の異なる配置を示す図2と同様の部分拡大断面図である。
【図6】本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図7】図6の車両用灯具におけるアウターレンズ,光学多層膜を示す(A)部分拡大断面図及び(B)概略斜視図である。
【図8】図6の車両用灯具における非点灯時の外光の反射状態を示す概略断面図である。
【図9】図1の車両用灯具における凹凸形状の異なる配置を示す図2と同様の部分拡大断面図である。
【図10】本発明による車両用灯具の第三の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図11】従来の車両用灯具の一例の構成を示す概略断面図である。
【図12】図11の車両用灯具における非点灯時の外光の反射状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0079】
10,20 車両用灯具
11 ランプ(光源)
12 反射部材
13 アウターレンズ
13a 透光性基材
14 光学多層膜
15,22 凹凸形状
21 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基体と、
この透光性基体の少なくとも一方の面に形成された入射光の一部を反射する光学多層膜と、から成る装飾部材であって、
上記透光性基体の少なくとも一方の面、または、上記光学多層膜の表面には、光を乱反射させる凹凸形状を少なくとも一部に備えていることを特徴とする、装飾部材。
【請求項2】
上記凹凸形状は、1μm以下の間隔または幅で形成され、ランダムに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装飾部材。
【請求項3】
上記透光性基体は、顔料,染料等を混入した着色材料から構成されていることを特徴とする、請求項1から2の何れかに記載の装飾部材。
【請求項4】
上記透光性基体の少なくとも一方の面上、あるいは、上記透光性基体上に形成された上記光学多層膜上に透過光を着色する着色膜を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の装飾部材。
【請求項5】
光源および反射部材を有する灯具であって、
上記灯具の光照射側には、請求項1から4の何れかに記載の装飾部材が配置されたことを特徴とする灯具。
【請求項6】
請求項1から4の何れかに記載の装飾部材の片側面に反射部材を配置したことを特徴とする、装飾品。
【請求項7】
請求項1から4の何れかに記載の装飾部材の片側面にリフレックスリフレクタを配置したことを特徴とする、装飾品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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