裏込め材注入用工事セット、裏込め材注入用袋体、セグメント及びトンネル施工方法
【課題】現場で袋体が接着された袋体付きセグメントを簡単に完成させることができるとともに該袋体を傷つけず、裏込め材等のシールド掘削機の外部前方への流出や内部前方への流入を防止しながらトンネルを施工することができるようにすること。
【解決手段】現場において、裏込め注入用袋体を接着剤によってセグメントの外周面に接着することにより、簡単に袋体付きセグメントが完成できるため、わざわざ裏込め注入用袋体を設けることができるようにセグメント自体を加工する必要がなく、セグメント自体の製造コストを低く抑えることができる。また、裏込め注入用袋体には保護シート材が貼り付けられているので、裏込め注入用袋体がシールド掘削機に設けられたテールブラシによって傷つけられることなく使用でき、袋体へ裏込め材を注入することにより袋体を膨らませて、掘削したトンネルの地山の内面との空隙を埋めることができる。
【解決手段】現場において、裏込め注入用袋体を接着剤によってセグメントの外周面に接着することにより、簡単に袋体付きセグメントが完成できるため、わざわざ裏込め注入用袋体を設けることができるようにセグメント自体を加工する必要がなく、セグメント自体の製造コストを低く抑えることができる。また、裏込め注入用袋体には保護シート材が貼り付けられているので、裏込め注入用袋体がシールド掘削機に設けられたテールブラシによって傷つけられることなく使用でき、袋体へ裏込め材を注入することにより袋体を膨らませて、掘削したトンネルの地山の内面との空隙を埋めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機によって掘削されたトンネル内に沿って、セグメントで構成されたリングを設置しトンネルを施工するに際し、前記セグメントと掘削されたトンネルの地山の内面との空隙を埋めるための袋体、該袋体を取付けたセグメントおよび該セグメントを用いたトンネル施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シールド掘削機を用いてトンネルを施工するシールド工法においては、セグメントを互いに円周方向に連結させてリングを構成し、該リングを掘削されたトンネル内に沿って連続的に接合しトンネルを施工する。そして、リングを構成するセグメントとシールド掘削機によって掘削されたトンネルの地山の内面との空隙(ボイド)に裏込め材を注入し、硬化させて、地山の崩落を防止している。
【0003】
しかし、従来の工法では、裏込め材を注入した際に、該裏込め材がシールド掘削機の外部前方の切羽部分に流出し、裏込め材が切羽部分に流出した分、該裏込め材の硬化する量が減少し、前記空隙をしっかりと埋めることができず、地山が崩落する虞がある。
【0004】
また、掘削する方向が急に変化する急曲線箇所では、テールボイドが直線箇所の場合よりも大きくなってしまい、直線箇所の場合と同様の方法でテールボイドに裏込め材を注入しても、裏込め材がシールド掘削機の外部前方へ流出してしまう問題がある。
【0005】
尚、シールド掘削機のテール部の内面にはグリース付きのテールブラシが設けられており、該テールブラシの接触用部分がセグメントの外周面と接触することで、該シールド掘削機内への裏込め材や地下水等の流入を防止するようになっている。
【0006】
さらに前記急曲線箇所では、直線部分と同様のセグメントを使用するとシールド掘削機が曲線部分を曲がる際に、シールド掘削機のテール部とセグメントとが接触してしまい、シールド掘削機自体が曲線に沿って曲がりきれない場合が生じる。そのため曲線部分では直線部分で使用したセグメントよりも小さいセグメント(縮径セグメント)を使用して、直線部分に使用されるリングの直径よりも小さいリングを組み立ててトンネルを施工することが行われる。
【0007】
この結果、直線部分におけるトンネル施工時とは異なり、曲線部分ではリングの直径が前記直線部分よりも小さくなる(セグメントが小さくなる)ので、前記テールブラシがセグメントの外周面と接触できなくなり、テールブラシとセグメントとの間に隙間が生じる。その結果、前記隙間に裏込め材が流入してきて前記テールブラシの前記接触用部分に付着し、経時的に硬化する状況が生じる。そして、テールブラシ部分で固まった裏込め材がひび割れた場合には、その部分から地下水及び土砂等が掘削機内部前方に流入する問題が生じる。
【0008】
そこで、上述した種々の問題点を解決するために、セグメント内に予め袋体を一体に設けて、該袋体に裏込め材を注入し、該袋体を膨らませてセグメントとシールド掘削機によって掘削されたトンネルの地山の内面との空隙を埋める技術が提供されている(特許文献1)。
【0009】
しかし、前記技術は、セグメント内に袋体を設けるために、セグメント本体を加工しなければならず、その加工費用がかかって、出来上がった袋付きセグメント自体が高価なものとなる問題がある。
【0010】
また、袋体をセグメント本体から分離した状態で取り扱えるようにし、施工現場において該袋体をセグメント本体に取り付けて袋付きセグメントにする技術も提供されている(特許文献2)。
【0011】
しかし、この技術もセグメント内に袋体を設けるために、セグメント本体(2)に陥凹部(3)を形成する加工をしなければならず、その加工費用がかかる問題がある。
加えて、袋体(4)をセグメント本体(2)に取り付ける際は、該袋体(4)を前記陥凹部(3)に嵌合した後、袋体(4)をセグメント本体(2)に固定するのに、口部(9)を透孔(11)に挿通して固定し、さらに取り付け紐(10)を適宜の手段を用いてセグメント本体(2)に取付けなければならず(段落0025)、作業効率を低下する問題がある。
【0012】
さらに、袋体(4)はセグメント本体(2)の陥凹部(3)の部分に嵌め込まれているため、セグメント(1)の外周面と袋体(4)の表面に形成された被覆(6)との間には段差が生じる。そのため、テールブラシが該段差を通過するときに、袋体(4)にはテールブラシからの衝撃(圧力)がかかることになる。また被覆(6)は袋体(4)を被っているが、セグメントに貼り付けられて固定されてはいないため、テールブラシによって引きずられる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような背景技術及び背景技術が有する問題点の存在を踏まえてなされたものであって、その課題は、セグメント本体に加工を加えることなく、施工現場で袋体が付いたセグメントを簡単に完成させることができると共に、テールブラシの通過で該袋体に傷をつけることもなく、シールド掘削機の外部前方および内部前方への裏込め材等の流出又は流入を防止することができる、裏込め材注入工事用セット、裏込め材注入用袋体、セグメント及びそれらを用いたトンネル施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の態様は、トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体と、前記裏込め材注入用袋体を保護するための保護シートの組を備える裏込め材注入工事用セットであって、前記裏込め材注入用袋体は、前記セグメントの外周面に接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔とを有しており、前記保護シートは、前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って前記セグメントに貼り付けられて使用されるものであることを特徴とするものである。
【0015】
本態様によれば、施工現場において裏込め注入用袋体の前記接着用の面を接着剤によってセグメントの外周面に接着することにより、簡単に袋体付きセグメントを完成することができるため、わざわざ裏込め材注入用袋体を一体的にセグメント内に設けることができるようにセグメント自体を加工する必要がない。従って、セグメント自体の高コスト化を抑えることができる。
また、保護シートが裏込め材注入用袋体を覆ってセグメントに貼り付けられるようになっているので、裏込め材注入用袋体がシールド掘削機に設けられたテールブラシの通過に伴って傷つけられることがない。
【0016】
更に、保護シートは、一般的な粘着テープのような厚みの薄いもの(通常1mm以下)を使用することができる。従って、テールブラシは、保護シートの前記厚みに基づく段差の影響をほとんど受けることなく、セグメント外周面との接触状態の位置から、前記セグメント外周面に貼り付けられている保護シートの表面との接触状態の位置に円滑に移行することができる。
【0017】
また、テールブラシが保護シート上を接触して移動する際に該保護シートに作用する力(接触圧)は、該保護シートが前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。従って、当該保護シートの貼り付き面の貼り付き力がそれ程大きくなくても、当該保護シートがセグメント外周面にしっかりと貼り付いた状態を実現することができ、これにより当該テールブラシの通過に伴って当該保護シートが容易にずれることはない。
【0018】
そして、テールブラシは、前記位置での接触状態から更にセグメント外周面に接着されている裏込め材注入用袋体の上に対応する当該保護シートの表面との接触状態の位置に円滑に移行する。その後は、該テールブラシは、前記袋体の存在領域を過ぎ、セグメント外周面に保護シートが直接貼り付けられている当該保護シートの表面、次いで該保護シートの存在領域を過ぎたセグメント外周面との直接接触位置の各位置を順次通過して移動する。
【0019】
テールブラシが前記袋体及び保護シートの位置を通過した後、該袋体に裏込め材が注入され、該袋体は膨らんでいく。該袋体が膨らんでいくときの膨らみ力は、当該保護シートに対して該保護シートを剥がす方向に作用する。従って、前記「貼り付き力」がある程度大きくても、該袋体は膨らみつつ前記保護シートを無理なく剥がすことができる。
【0020】
以上の説明で理解できるように、保護シートの前記袋体及びセグメント外周面に対する前記「貼り付き力」は、前記袋体が膨らむ際の膨らみ力によって容易に剥がれるが、テールブラシの通過によって当該保護シートが容易にずれることはない程度に設定されている。そして、上記説明の如く、前記テールブラシが移動する際に保護シートに作用する力(接触圧)は、該保護シートが前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向であるので、このことを考慮して当該「貼り付き力」を一層弱く設定することが可能であり、その結果、前記袋体の膨らみ力によって一層容易に剥がれるようにすることができる。
【0021】
本発明に係る第2の態様は、トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体であって、該袋体は、前記セグメントに接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、該袋体の内部に接着剤浸透防止材を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
本態様によれば、現場で裏込め注入用袋体の前記接着用の面を接着剤によってセグメントの外周面に簡単に接着できるので、作業効率がよい。更に、裏込め注入用袋体の内部に接着剤浸透防止材が備えられているので、セグメントとの接着によって裏込め注入用袋体の下面部に浸透した接着剤が上面部まで浸透しない。従って、裏込め注入用袋体の下面部と上面部が接着剤で接着してしまうことを防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る第3の態様は、トンネルを構成するセグメントであって、第1の態様の裏込め材注入用袋体が接着剤で該セグメントの外周面に接着され、第1の態様の保護シートが前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0024】
本態様によれば、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0025】
本発明に係る第4の態様は、第3の態様におけるセグメントであって、前記保護シートは、前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って、前記セグメントに貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0026】
本態様によれば、前記袋体内に裏込め材を注入して該袋体を膨らませる際に、当該袋体が全面を覆われている場合より膨らみ易いと共に、袋体の膨らみに伴って保護シートが一層抵抗小さく剥がれてくれる効果が得られる。
尚、保護シートは袋体の全面ではなく一部しか被っていないので、前記テールブラシは、その移動に伴って、保護シートが設けられていない領域に至ると袋体に直接接触することになる。しかし、本発明者らは、この「一部しか被っていない」構造でも、保護シートがトンネル延設方向における後ろ側の一部を被う構成であれば、実用的に問題なく行えることを確認している。
【0027】
本発明に係る第5の態様は、シールド掘削機を掘進してトンネルを作るトンネル施工方法であって、前記トンネルを構成するセグメントの外周面に接着剤で裏込め材注入用袋体を接着する第1工程と、前記セグメントの外周面に接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に保護シートを貼り付ける第2工程と、前記シールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシが前記保護シートで覆われた前記裏込め材注入用袋体を通過した後に、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔から該孔と連通する前記裏込め材注入用袋体の孔へ裏込め材の注入をすることにより前記袋体を膨らませつつ前記保護シートを剥がす第3工程と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
本態様によれば、トンネルを施工する現場において、簡単に裏込め材注入用袋体付きセグメントを完成することができるので、セグメント自体を加工する必要がなく、セグメント自体の高コスト化を抑えることができる。
その他、前記第1の態様の作用効果の説明で記載されている内容と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、セグメント本体に加工を加えることなく、施工現場で袋体が付いたセグメントを簡単に完成することができると共に、テールブラシの通過で該袋体に傷をつけることもなく、シールド掘削機の外部前方および内部前方への裏込め材等の流出又は流入を防止することができる。
【0029】
本発明に係る第6の態様は、第5の態様におけるトンネル施工方法において、前記第2工程は、前記保護シートを前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って前記セグメントに貼り付けることを特徴とするものである。 本態様によれば、第5の態様と同様の効果が得られるとともに、前記第4の態様と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るトンネル施工方法の簡略図。
【図2】本発明に係るトンネル施工方法の簡略図。
【図3】本発明にかかる裏込め材注入用袋体付きセグメントの製造工程図。
【図4】本発明にかかる裏込め材注入用袋体付きセグメントの他の製造工程図。
【図5】本発明にかかる袋体の平面図及び断面図。
【図6】テールブラシが保護シートを通過するまでの過程の断面図。
【図7】テールブラシが保護シートを通過するまでの過程の断面図。
【図8】保護シートにかかる力をベクトルで表示した概念図。
【図9】本発明にかかる袋体セグメントに裏込め材が注入されていない時の断面図。
【図10】本発明にかかる袋体セグメントに裏込め材が注入されて、保護シートがセグメント外周面から剥がれた直後の断面図。
【図11】本発明にかかる袋体セグメントに所定量の裏込め材が注入され終わった時の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本願発明を実施するための形態について、図面を参照にしながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
図1は、トンネルを構築する場合の施工状況を簡略的に示した図である。なお、図1は、一例として、最近増加している都市部での急曲線部におけるトンネルを施工する際に、シールド掘削機を用いて余掘り6をしながらシールド工法を行う場合を示した図である。図1でXの範囲は直線部分であり、Yの範囲は曲線部分である。
【0033】
図1において、1はシールド掘削機、2はカッタ、3は排土機構、4はシールドジャッキ、5はシールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシである。
シールド掘削機1は、前端開口部にカッタ2が回転自在に設けられ、テール部分には、シールド掘削機1が進行する際にセグメント(SE1、SE2、SE3)の外周面と接触して裏込め材や地下水がシールド掘削機1の内部前方へ流入するのを防止するためのテールブラシ5が設けられている。
【0034】
シールド掘削機1は、シールドジャッキ4を装着しており、シールドジャッキ4に設けられているロッド4’を、後方に組み立ててあるセグメント(SE1、SE2、SE3)の前端面に押し当ててロッド4’を伸長させることによりセグメントからの反力を受けて進行する。
【0035】
シールド掘削機1の後方部内側では、通常のセグメント(SE1)または裏込め材注入用袋体付きセグメント(SE2、SE3)をそれぞれ互いに円周方向に連結させてリングを組み立てて、該リングをシールド掘削機1によって掘削されたトンネル内に沿って連続的に接合しトンネルを施工する。
【0036】
ここで、直線部分(Xの範囲)においてトンネルを施工する場合は、セグメント(セグメントSE1、SE2を使用)を組み合わせて構成したリングの直径が同一のもの同士を接合してトンネルを施工する。
【0037】
本発明にかかる施工方法では、まず、ボイドにセグメントSE1に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を注入する。次に、シールド掘削機1のテールブラシ5がセグメントSE1を通過し、セグメントSE2に接着剤で取付けられ後述する保護シート20で保護されている裏込め材注入用袋体(以下「袋体」という」)10’を通過直後に、セグメントSE2に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を袋体10’に注入し、膨らませ、ボイドを埋める。この工程を繰り返すことにより、ボイドに注入した裏込め材のシールド掘削機1の外部前方への流出を防止するようにしている。
【0038】
一方、曲線部分(Yの範囲)においてトンネルを施工する場合は、曲線の曲がり具合に合わせてシールド掘削機1を進行させるために、直線部分で使用したセグメントより小さいセグメント(セグメントSE3)、いわゆる縮径セグメントを使用して、直線部分に使用されるリングの直径よりも小さいリングを組み立ててトンネルを施工する。
【0039】
よって、縮径セグメントを使用した曲線部分におけるトンネルの施工では、シールド掘削機1のテールブラシ5が、セグメントSE3(以下「袋体付き縮径セグメント」という)に接着剤で取付けられ、保護シート20で保護されている袋体10を通過した後にできる、テールボイドTが直線の時よりも大きくなる。更に、テールブラシ5と縮径セグメントSE3の間に隙間7が生じてしまう。この状態が図1の状態である。
【0040】
図2は、図1の状態、すなわちシールド掘削機1のテールブラシ5が、袋付き縮径セグメントSE3に接着剤で取付けられ保護シート20で保護されている袋体10を通過後、袋付き縮径セグメントSE3に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を袋体10内に注入して膨らませて、テールボイドTおよび隙間7を埋めた状態を示している。以上のように、袋体10が膨らむことによって、裏込め材等がシールド掘削機の外部前方へ流出したり、シールド掘削機の内部前方へ流入したりするのを防止することができる。
【0041】
なお図1及び2ではセグメントSE1は通常のセグメント、セグメントSE2は袋体付きセグメントであり交互に接合しているが、袋体付きセグメントSE2(曲線部分においては袋体付き縮径セグメントSE3)を連続的に接合させる構成としても良い。この場合はテールボイドに注入する裏込め材はセグメントに別途設けられた裏込め材注入孔から注入することになる。
【0042】
図3には本発明で使用される袋付きセグメントSE2、袋付き縮径セグメントSE3の実施態様の一例が示されている。
セグメントSE1は円弧状の形状をしており、そのほぼ中央には裏込め材を注入するための孔11が表裏に貫通して設けられている(図3(A))。セグメントSE1の形状・長さ・幅は、施工する現場によって適合するものを使用することが可能であるが、その外周面は袋体を取り付けるための凹部などの加工がされていない平坦面のものである。また、材質においても適宜選択することが可能である。ここで、使用するセグメントとしては、鋼製セグメント、RCセグメント、ダクタイルセグメント及び複合セグメント等が使用可能である。
【0043】
次に、本発明で使用される袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)について説明する。本発明の袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)は施工現場で簡単に完成させることが出来る点に特徴がある。その完成までと完成した袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)の袋体10(10’)に裏込め材を注入し袋体が膨らむまでの工程を図3及び図4に基づいて説明する。
【0044】
セグメントSE1(図3(A))に接着剤を用いて袋体10(10’)を取付ける(図3(B))。これが第1工程である。この際、袋体10(10’)に設けられている孔12(図4参照)をセグメントSE1の裏込め材を注入するための孔11に連通する様に取付ける。使用する接着剤は、セグメントSE1および袋体10(10’)の材質により選択できるが、少なくとも、袋体10(10’)に裏込め材が注入され、膨らんだ際にセグメントSE1と袋体10(10’)が剥がれない程度の接着強度を有している必要がある。例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂等の接着剤が挙げられるが、好ましくは、エポキシ系樹脂の接着剤が良い。
【0045】
なお、別の態様として、袋体10(10’)の一部の長手方向に接着剤を塗布しておき、その部分に離型紙を貼り付けた状態の袋体を製造し、現場で離型紙を剥がしてセグメントと接着するようにしてもよい。
【0046】
次に、保護シート20をセグメントに接着された袋体10(10’)の全体を覆うようにセグメントの外周面に貼り付ける(図3(C))。これが第2工程である。なお矢印はトンネルの延設方向を示している。
【0047】
このように、保護シート20を袋体10(10’)全体を覆うように貼り付けることで、シールド掘削機1の進行によるテールブラシ5との接触による袋体10(10’)の損傷やセグメントからの剥離を防止することができる。よって、保護シート20の表面の材質は摩擦係数が小さくなるべく滑らかなものが好ましい。また、保護シート20の貼り付け力は、袋体10(10’)に裏込め材が注入され膨らむ際に膨らむのを邪魔せず、保護シート20がセグメントの外周面及び袋体10(10’)から容易に剥がれる程度のものが使われる。更に、保護シート20は施工現場では地下水等による湿気もあるので湿気に強いものが好ましい。
【0048】
図3(D)には、袋体10(10’)が裏込め材を注入されて膨らんで、保護シート20がセグメントの外周面及び袋体10(10’)から剥がれた状態が示されている。この工程が第3工程である。なお、この図では保護シート20は袋体10(10’)から完全に剥がれて該袋体10(10’)の手前側となるセグメントの外周上に残っている場合を示したが、セグメントから完全に剥がれて袋体10(10’)上に残っている場合もある(図11)。
【0049】
保護シート20としては、表面がなめらかで薄いものが良い。例えば、片面を接着処理した厚さ1mm以下の樹脂フィルムを支持体とし処理面に接着剤を塗布した粘着テープが挙げられる。また、粘着テープ以外にも薄い樹脂シート等が使用可能である。
【0050】
図4は、図3に示した態様における工程の中で、第2工程の部分(図3(C))のみを変更した態様である。
本態様は、図4(C’)に示したように、保護シート20を袋体10(10’)のトンネル延設方向における後ろ側の一部(ほぼ半分)を覆うように貼り付けた態様である。この態様の場合は、前記袋体10(10’)内に裏込め材を注入して該袋体10(10’)を膨らませる際に、当該袋体10(10’)が全面を覆われている場合より膨らみ易いと共に、袋体10(10’)の膨らみに伴って保護シート20が一層抵抗小さく剥がれてくれる。
【0051】
次に、図5から図11を参照にしながら本発明に係る袋体および保護シートについて詳述する。
まず、図5を参照にしながら本発明に係る袋体について説明する。
【0052】
トンネル内に配置されるリングは、セグメントを互いに円周方向に連結させて構成されるが、セグメントに取付けられた袋体に裏込め材が注入された際に、袋体は、テールボイドを埋めるのに十分に膨らむとともにセグメントの連結部分においても隙間を作らないように十分膨らむことが要求される。また、強度においては裏込め材を注入する際の注入圧力や注入後の裏込め材の重量に耐えうる強度が必要とされる。本発明の袋体はこのような条件を満たしたものである。なお、袋体に注入する裏込め材としては、モルタル、可塑性グラウト及びその他固化材等が挙げられる。以下、袋体について説明する。
【0053】
図5には、本発明に係る袋体10(10’)の実施態様が示されている。
図5(A)は第1の実施態様の平面図、図5(A’)は図5(A)のDの部分で袋体10(10’)を切断した場合の断面図である。
【0054】
袋体10(10’)は、織物で作られており、生地の一方の端部と他方の端部を重ね合わせて端辺に沿って縫製し(13)、更に両側端部を縫製し(14)、筒状の形状をなしている。また、裏込め材をセグメントSE2(あるいは縮径セグメントSE3)の孔11から注入するための孔12が設けられている。
【0055】
袋体10(10’)の織物を構成する糸は特に制限されない。合成繊維、天然繊維またはこれらの混紡であっても構わない。たとえば、ナイロン、ポリエステル、ウレタン、綿、麻等が上げられる。ただし、裏込め材を注入した際にセグメントの円周方向に裏込め材が流れ過ぎないようにするために、円周方向に使用する糸は伸縮性がないものが好ましい。セグメントの円周方向に裏込め材が流れ過ぎると袋体10(10’)上手く膨らまないからである。一方、トンネル延設方向と同じ方向に使用する糸は伸縮性を有するものであっても構わない。また、織物の組織については、平織り、綾織り等の一般の組織であれば特に限定はされない。
【0056】
なお、袋体10(10’)とセグメントSE1の接着部分(接着面積)については、現場での状況に応じて選択することが可能である。図5(A’)では、本発明における接着用の面である接着部分15が袋体10(10’)の下面部の一部分であるが、下面部全部であっても構わない。ただし、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)の円周方向には一様に接着されているのが好ましい。
【0057】
図5(B)は第2の実施態様の平面図、図5(B’)は図5(B)のEの部分で袋体10(10’)を切断した場合の断面図である。
第2の実施態様は、袋体の中に離型紙16を設けた以外は第1の実施態様と同様である。
【0058】
離型紙16の役割は、袋体10(10’)の下面部と袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を接着した場合に、裏込め材注入前は袋体10(10’)の下面部と上面部が接触しているため、接着剤が袋体10(10’)の下面部に浸み込み上面部にまで達して、袋体10(10’)の下面部と上面部が接着してしまうことがないようにするためである。すなわち、離型紙16は接着剤浸透防止材である。特に強力な接着剤を使用した時には、離型紙16を袋体10(10’)の内部に設けることが好ましい。
【0059】
なお、他の態様として袋体10(10’)を折りたたんだ状態でセグメントSE1と接着して保護シートで被って袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)とする態様としてもよい。当該態様では筒状の袋体よりも裏込め材を多く注入する場合には都合が良い。また第2の実施態様のように離型紙16を設ける構成としてもよい。
【0060】
以上、袋体10(10’)の実施態様について説明したが、本発明の袋体10(10’)については、上記態様に限定されるものではない。
【0061】
次に、図6(A)は、シールド掘削機1のテールブラシ5が、セグメントの外周面と直接接触している位置にあるときの要部断面図である。
図6(B)はテールブラシ5が図6(A)の位置からセグメント外周面に貼り付けられている保護シート20の表面との接触状態の位置に移動した状態の要部断面図である。
図6(C)はテールブラシ5が、図6(B)の位置から更にセグメント外周面に接着されている裏込め材注入用袋体10の上に対応する当該保護シート20の表面との接触状態の位置に移動した状態の要部断面図である。
図7(D)はテールブラシ5が保護シート20の領域を過ぎて再びセグメントの外周面と直接接触している位置にあるときの要部断面図である。
図7(E)は、テールブラシ5が保護シート20の上面を通過直後に袋体10に裏込め材が注入された状態を示す要部断面図である。
【0062】
また、図8は保護シート20がテールブラシ5から受ける力をベクトル表示したものである。図8において、保護シート20は、シールド掘削機1の進行に伴ってテールブラシ5が保護シート20に及ぼす力f1とテールブラシが保護シート20に鉛直方向に及ぼす力f2との和である力Fを受けている。即ち、テールブラシ5が保護シート20上を接触して移動する際に該保護シート20に作用する力(接触圧)は、該保護シート20が前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。なお、力Fの大きさや方向はテールブラシ5の速度v(シールド掘削機1の進行速度)によって変わる。
【0063】
テールブラシ5が保護シート20の上面を通過し始めたとき、すなわち図6(A)の状態から図6(B)の状態になったときに、セグメントSE2(SE3)の外周面に貼り付けられた保護シート20の端部分20’は、図8で説明したようにテールブラシ5から力Fを受けることになる。この力Fは、記述のように保護シート20が前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。
また、保護シート20は、厚みが薄い(1mm以下)ので、セグメントSE2(SE3)の表面と保護シート20との間にはほとんど段差が生じておらず、テールブラシ5が滑らかに保護シート20の端部分20’に移動していく。よって保護シート20が剥がされることはない。
【0064】
そして、図6(C)のように、テールブラシ5が、更にセグメント外周面に接着されている前記袋体10(10’)の上に対応する当該保護シート20の表面との接触状態の位置に円滑に移行する。
その後は、テールブラシ5が保護シート20の上面を滑らかに移動し、図7(D)のように、該テールブラシ5は、前記袋体10(10’)の存在領域を過ぎ、更に該保護シート20の存在領域を過ぎてセグメント外周面との直接接触位置に移動する。
【0065】
そして、テールブラシ5が保護シート20を通過した直後に、前記袋体10(10’)に裏込め材を注入して袋体を膨らませるが、この際に保護シート20は袋体10(10’)が膨らむにつれて上方に引っ張られ、セグメントSE2(セグメントSE3)の外周面から剥がれて、図7(E)に示したように、袋体10(10’)の表面に貼り付いている状態になる。
【0066】
このように、本発明の保護シート20は、裏込め材を前記袋体10(10’)に注入した際には袋体10(10’)が膨らむにつれて容易にセグメントSE2(セグメントSE3)から剥がれる程度の貼り付け力で貼り付けられている。
【0067】
次に、図9から図11を参照して、裏込め材を注入する前から注入した後までの前記袋体10(10’)および保護シート20の挙動について説明する。
【0068】
図9は、(図3(C))の矢印Zの部分で、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を切断した場合の断面図である。
【0069】
図10および図11は、裏込め材を注入し前記袋体10(10’)が膨らんだ際の、図3(C)の矢印Z部分と同様の部分で袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を切断した場合における前記袋体10(10’)および保護シート20の挙動を示した断面図である。
【0070】
図9は、裏込め材を注入する前の状態で、接着剤を用いて前記袋体10(10’)をセグメント外周面に強固に接着し(第1工程)、更に前記袋体10(10’)の全面を被うように保護シート20をセグメント外周面及び前記袋体10(10’)に貼り付けた状態(第2工程)を示している。
【0071】
本発明では、前記袋体10(10’)は、その接着用の面15の部分においてセグメントSE1の外周面に強固に接着されている状態で、保護シート20が前記袋体10(10’)の全面を被うように該保護シート20をセグメント外周面及び前記袋体10(10’)に貼り付けてある。従って、テールブラシ5がその移動時に保護シート20に接触しても該保護シート20は容易にはがれる事はない。
【0072】
図10は、裏込め材を注入し、前記袋体10(10’)が膨らんで、保護シート20が、セグメント外周面から剥がれた直後の状態を示したものである。
裏込め材を裏込め材注入孔11から注入すると前記袋体10(10’)が膨らみ、前記袋体10(10’)が膨らもうとする力により、保護シート20が上側に引っ張られてセグメントの外周面から剥がれる。
【0073】
このように保護シート20は、該保護シート20を剥がそうとする力、すなわち、裏込め材が注入され袋体10(10’)が膨らもうとする力を受けると容易に剥がれる貼り付け力で貼り付けられている。
【0074】
図11は、裏込め材を前記袋体10(10’)内に所定量注入し、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)が、裏込め材がシールド掘削機の外部前方へ流出したり、シールド掘削機の内部前方へ流入したりするのを防止するのに十分に膨らんだ状態を示したものである。この時、本実施例では保護シート20は袋体10(10’)の上部に貼りついている状態である。
【0075】
以下実験例に基づき本発明を具体的に説明する。
[実験例]
鋼製のセグメントの外周上の一部に外周上に沿ってエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、セグメントの裏込め材を注入するための孔と袋体の孔の部分とが連通するように、接着剤を塗布した部分に袋体を載せてセグメントと袋体を接着した。
【0076】
袋体は、引張強度がタテ方向(外周上方向)は40〜64N/mm、ヨコ方向(シールド掘削機の進行方向)は8〜30N/mm、ヨコ伸度が70〜150%、厚さ1mm、材質はナイロンからなるものを使用した。
【0077】
次に、保護シート20である粘着テープをセグメントの外周方向に渡って前記袋体10(10’)のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆うように貼り付けた(図4(C’)の状態)。
【0078】
そして、テールブラシ5を有するシールド掘削機1を進行させ、前記保護シート20で覆われた前記袋体10(10’)の上を該保護シート20に接触するようにテールブラシ5を通過させた。その結果、保護シート20及び前記袋体10(10’)に擦れた跡はあったが、ずれることはなく、更に前記袋体が傷つくようなことはなかった。
【0079】
テールブラシ5が前記保護シート20及び前記袋体10(10’)を通過後、セグメントに設けられた裏込め材を注入するための孔から注入圧0.1〜0.2MPaで裏込め材としてモルタルを前記袋体10(10’)に注入した。
【0080】
その際、前記袋体が裏込め材を注入されて膨らんでいく途中において、保護シート20は前記袋体10(10’)から剥がれてセグメント上に残り、前記袋体10(10’)は破裂することもなく、また注入した裏込め材が漏れることもなく、テールボイドを埋める程度にまで膨らみ実験結果は良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上より、本発明に係る袋体、該袋を取付けたセグメントおよび該セグメントを用いたトンネル施工方法は、現場で袋体がついたセグメントを簡単に完成させることができるとともに該袋体を傷つけることもなく、裏込め材等のシールド掘削機の外部前方への流出や内部前方への流入を防止しながらトンネルを施工することができるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 シールド掘削機、 2 カッタ、 3 排土機構、 4 シールドジャッキ、 4’ ロッド、 5 テールブラシ、 6 余堀り部、 7 隙間、 10、10’ 裏込め材注入用袋体(袋体)、 11 裏込め材注入孔、 12 孔、 13、14 縫製部分、 15 接着用の面 16 離型紙、 20 保護シート、 SE1 セグメント、 SE2 裏込め材注入用袋体付きセグメント(袋体付きセグメント)、SE3 裏込め材注入用袋体付きセグメント(袋体付き縮径セグメント)、 T テールボイド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2002−235493号公報
【特許文献2】特開平11−193692号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機によって掘削されたトンネル内に沿って、セグメントで構成されたリングを設置しトンネルを施工するに際し、前記セグメントと掘削されたトンネルの地山の内面との空隙を埋めるための袋体、該袋体を取付けたセグメントおよび該セグメントを用いたトンネル施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シールド掘削機を用いてトンネルを施工するシールド工法においては、セグメントを互いに円周方向に連結させてリングを構成し、該リングを掘削されたトンネル内に沿って連続的に接合しトンネルを施工する。そして、リングを構成するセグメントとシールド掘削機によって掘削されたトンネルの地山の内面との空隙(ボイド)に裏込め材を注入し、硬化させて、地山の崩落を防止している。
【0003】
しかし、従来の工法では、裏込め材を注入した際に、該裏込め材がシールド掘削機の外部前方の切羽部分に流出し、裏込め材が切羽部分に流出した分、該裏込め材の硬化する量が減少し、前記空隙をしっかりと埋めることができず、地山が崩落する虞がある。
【0004】
また、掘削する方向が急に変化する急曲線箇所では、テールボイドが直線箇所の場合よりも大きくなってしまい、直線箇所の場合と同様の方法でテールボイドに裏込め材を注入しても、裏込め材がシールド掘削機の外部前方へ流出してしまう問題がある。
【0005】
尚、シールド掘削機のテール部の内面にはグリース付きのテールブラシが設けられており、該テールブラシの接触用部分がセグメントの外周面と接触することで、該シールド掘削機内への裏込め材や地下水等の流入を防止するようになっている。
【0006】
さらに前記急曲線箇所では、直線部分と同様のセグメントを使用するとシールド掘削機が曲線部分を曲がる際に、シールド掘削機のテール部とセグメントとが接触してしまい、シールド掘削機自体が曲線に沿って曲がりきれない場合が生じる。そのため曲線部分では直線部分で使用したセグメントよりも小さいセグメント(縮径セグメント)を使用して、直線部分に使用されるリングの直径よりも小さいリングを組み立ててトンネルを施工することが行われる。
【0007】
この結果、直線部分におけるトンネル施工時とは異なり、曲線部分ではリングの直径が前記直線部分よりも小さくなる(セグメントが小さくなる)ので、前記テールブラシがセグメントの外周面と接触できなくなり、テールブラシとセグメントとの間に隙間が生じる。その結果、前記隙間に裏込め材が流入してきて前記テールブラシの前記接触用部分に付着し、経時的に硬化する状況が生じる。そして、テールブラシ部分で固まった裏込め材がひび割れた場合には、その部分から地下水及び土砂等が掘削機内部前方に流入する問題が生じる。
【0008】
そこで、上述した種々の問題点を解決するために、セグメント内に予め袋体を一体に設けて、該袋体に裏込め材を注入し、該袋体を膨らませてセグメントとシールド掘削機によって掘削されたトンネルの地山の内面との空隙を埋める技術が提供されている(特許文献1)。
【0009】
しかし、前記技術は、セグメント内に袋体を設けるために、セグメント本体を加工しなければならず、その加工費用がかかって、出来上がった袋付きセグメント自体が高価なものとなる問題がある。
【0010】
また、袋体をセグメント本体から分離した状態で取り扱えるようにし、施工現場において該袋体をセグメント本体に取り付けて袋付きセグメントにする技術も提供されている(特許文献2)。
【0011】
しかし、この技術もセグメント内に袋体を設けるために、セグメント本体(2)に陥凹部(3)を形成する加工をしなければならず、その加工費用がかかる問題がある。
加えて、袋体(4)をセグメント本体(2)に取り付ける際は、該袋体(4)を前記陥凹部(3)に嵌合した後、袋体(4)をセグメント本体(2)に固定するのに、口部(9)を透孔(11)に挿通して固定し、さらに取り付け紐(10)を適宜の手段を用いてセグメント本体(2)に取付けなければならず(段落0025)、作業効率を低下する問題がある。
【0012】
さらに、袋体(4)はセグメント本体(2)の陥凹部(3)の部分に嵌め込まれているため、セグメント(1)の外周面と袋体(4)の表面に形成された被覆(6)との間には段差が生じる。そのため、テールブラシが該段差を通過するときに、袋体(4)にはテールブラシからの衝撃(圧力)がかかることになる。また被覆(6)は袋体(4)を被っているが、セグメントに貼り付けられて固定されてはいないため、テールブラシによって引きずられる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような背景技術及び背景技術が有する問題点の存在を踏まえてなされたものであって、その課題は、セグメント本体に加工を加えることなく、施工現場で袋体が付いたセグメントを簡単に完成させることができると共に、テールブラシの通過で該袋体に傷をつけることもなく、シールド掘削機の外部前方および内部前方への裏込め材等の流出又は流入を防止することができる、裏込め材注入工事用セット、裏込め材注入用袋体、セグメント及びそれらを用いたトンネル施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の態様は、トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体と、前記裏込め材注入用袋体を保護するための保護シートの組を備える裏込め材注入工事用セットであって、前記裏込め材注入用袋体は、前記セグメントの外周面に接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔とを有しており、前記保護シートは、前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って前記セグメントに貼り付けられて使用されるものであることを特徴とするものである。
【0015】
本態様によれば、施工現場において裏込め注入用袋体の前記接着用の面を接着剤によってセグメントの外周面に接着することにより、簡単に袋体付きセグメントを完成することができるため、わざわざ裏込め材注入用袋体を一体的にセグメント内に設けることができるようにセグメント自体を加工する必要がない。従って、セグメント自体の高コスト化を抑えることができる。
また、保護シートが裏込め材注入用袋体を覆ってセグメントに貼り付けられるようになっているので、裏込め材注入用袋体がシールド掘削機に設けられたテールブラシの通過に伴って傷つけられることがない。
【0016】
更に、保護シートは、一般的な粘着テープのような厚みの薄いもの(通常1mm以下)を使用することができる。従って、テールブラシは、保護シートの前記厚みに基づく段差の影響をほとんど受けることなく、セグメント外周面との接触状態の位置から、前記セグメント外周面に貼り付けられている保護シートの表面との接触状態の位置に円滑に移行することができる。
【0017】
また、テールブラシが保護シート上を接触して移動する際に該保護シートに作用する力(接触圧)は、該保護シートが前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。従って、当該保護シートの貼り付き面の貼り付き力がそれ程大きくなくても、当該保護シートがセグメント外周面にしっかりと貼り付いた状態を実現することができ、これにより当該テールブラシの通過に伴って当該保護シートが容易にずれることはない。
【0018】
そして、テールブラシは、前記位置での接触状態から更にセグメント外周面に接着されている裏込め材注入用袋体の上に対応する当該保護シートの表面との接触状態の位置に円滑に移行する。その後は、該テールブラシは、前記袋体の存在領域を過ぎ、セグメント外周面に保護シートが直接貼り付けられている当該保護シートの表面、次いで該保護シートの存在領域を過ぎたセグメント外周面との直接接触位置の各位置を順次通過して移動する。
【0019】
テールブラシが前記袋体及び保護シートの位置を通過した後、該袋体に裏込め材が注入され、該袋体は膨らんでいく。該袋体が膨らんでいくときの膨らみ力は、当該保護シートに対して該保護シートを剥がす方向に作用する。従って、前記「貼り付き力」がある程度大きくても、該袋体は膨らみつつ前記保護シートを無理なく剥がすことができる。
【0020】
以上の説明で理解できるように、保護シートの前記袋体及びセグメント外周面に対する前記「貼り付き力」は、前記袋体が膨らむ際の膨らみ力によって容易に剥がれるが、テールブラシの通過によって当該保護シートが容易にずれることはない程度に設定されている。そして、上記説明の如く、前記テールブラシが移動する際に保護シートに作用する力(接触圧)は、該保護シートが前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向であるので、このことを考慮して当該「貼り付き力」を一層弱く設定することが可能であり、その結果、前記袋体の膨らみ力によって一層容易に剥がれるようにすることができる。
【0021】
本発明に係る第2の態様は、トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体であって、該袋体は、前記セグメントに接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、該袋体の内部に接着剤浸透防止材を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
本態様によれば、現場で裏込め注入用袋体の前記接着用の面を接着剤によってセグメントの外周面に簡単に接着できるので、作業効率がよい。更に、裏込め注入用袋体の内部に接着剤浸透防止材が備えられているので、セグメントとの接着によって裏込め注入用袋体の下面部に浸透した接着剤が上面部まで浸透しない。従って、裏込め注入用袋体の下面部と上面部が接着剤で接着してしまうことを防ぐことができる。
【0023】
本発明に係る第3の態様は、トンネルを構成するセグメントであって、第1の態様の裏込め材注入用袋体が接着剤で該セグメントの外周面に接着され、第1の態様の保護シートが前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0024】
本態様によれば、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0025】
本発明に係る第4の態様は、第3の態様におけるセグメントであって、前記保護シートは、前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って、前記セグメントに貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0026】
本態様によれば、前記袋体内に裏込め材を注入して該袋体を膨らませる際に、当該袋体が全面を覆われている場合より膨らみ易いと共に、袋体の膨らみに伴って保護シートが一層抵抗小さく剥がれてくれる効果が得られる。
尚、保護シートは袋体の全面ではなく一部しか被っていないので、前記テールブラシは、その移動に伴って、保護シートが設けられていない領域に至ると袋体に直接接触することになる。しかし、本発明者らは、この「一部しか被っていない」構造でも、保護シートがトンネル延設方向における後ろ側の一部を被う構成であれば、実用的に問題なく行えることを確認している。
【0027】
本発明に係る第5の態様は、シールド掘削機を掘進してトンネルを作るトンネル施工方法であって、前記トンネルを構成するセグメントの外周面に接着剤で裏込め材注入用袋体を接着する第1工程と、前記セグメントの外周面に接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に保護シートを貼り付ける第2工程と、前記シールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシが前記保護シートで覆われた前記裏込め材注入用袋体を通過した後に、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔から該孔と連通する前記裏込め材注入用袋体の孔へ裏込め材の注入をすることにより前記袋体を膨らませつつ前記保護シートを剥がす第3工程と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
本態様によれば、トンネルを施工する現場において、簡単に裏込め材注入用袋体付きセグメントを完成することができるので、セグメント自体を加工する必要がなく、セグメント自体の高コスト化を抑えることができる。
その他、前記第1の態様の作用効果の説明で記載されている内容と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、セグメント本体に加工を加えることなく、施工現場で袋体が付いたセグメントを簡単に完成することができると共に、テールブラシの通過で該袋体に傷をつけることもなく、シールド掘削機の外部前方および内部前方への裏込め材等の流出又は流入を防止することができる。
【0029】
本発明に係る第6の態様は、第5の態様におけるトンネル施工方法において、前記第2工程は、前記保護シートを前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って前記セグメントに貼り付けることを特徴とするものである。 本態様によれば、第5の態様と同様の効果が得られるとともに、前記第4の態様と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るトンネル施工方法の簡略図。
【図2】本発明に係るトンネル施工方法の簡略図。
【図3】本発明にかかる裏込め材注入用袋体付きセグメントの製造工程図。
【図4】本発明にかかる裏込め材注入用袋体付きセグメントの他の製造工程図。
【図5】本発明にかかる袋体の平面図及び断面図。
【図6】テールブラシが保護シートを通過するまでの過程の断面図。
【図7】テールブラシが保護シートを通過するまでの過程の断面図。
【図8】保護シートにかかる力をベクトルで表示した概念図。
【図9】本発明にかかる袋体セグメントに裏込め材が注入されていない時の断面図。
【図10】本発明にかかる袋体セグメントに裏込め材が注入されて、保護シートがセグメント外周面から剥がれた直後の断面図。
【図11】本発明にかかる袋体セグメントに所定量の裏込め材が注入され終わった時の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本願発明を実施するための形態について、図面を参照にしながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
図1は、トンネルを構築する場合の施工状況を簡略的に示した図である。なお、図1は、一例として、最近増加している都市部での急曲線部におけるトンネルを施工する際に、シールド掘削機を用いて余掘り6をしながらシールド工法を行う場合を示した図である。図1でXの範囲は直線部分であり、Yの範囲は曲線部分である。
【0033】
図1において、1はシールド掘削機、2はカッタ、3は排土機構、4はシールドジャッキ、5はシールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシである。
シールド掘削機1は、前端開口部にカッタ2が回転自在に設けられ、テール部分には、シールド掘削機1が進行する際にセグメント(SE1、SE2、SE3)の外周面と接触して裏込め材や地下水がシールド掘削機1の内部前方へ流入するのを防止するためのテールブラシ5が設けられている。
【0034】
シールド掘削機1は、シールドジャッキ4を装着しており、シールドジャッキ4に設けられているロッド4’を、後方に組み立ててあるセグメント(SE1、SE2、SE3)の前端面に押し当ててロッド4’を伸長させることによりセグメントからの反力を受けて進行する。
【0035】
シールド掘削機1の後方部内側では、通常のセグメント(SE1)または裏込め材注入用袋体付きセグメント(SE2、SE3)をそれぞれ互いに円周方向に連結させてリングを組み立てて、該リングをシールド掘削機1によって掘削されたトンネル内に沿って連続的に接合しトンネルを施工する。
【0036】
ここで、直線部分(Xの範囲)においてトンネルを施工する場合は、セグメント(セグメントSE1、SE2を使用)を組み合わせて構成したリングの直径が同一のもの同士を接合してトンネルを施工する。
【0037】
本発明にかかる施工方法では、まず、ボイドにセグメントSE1に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を注入する。次に、シールド掘削機1のテールブラシ5がセグメントSE1を通過し、セグメントSE2に接着剤で取付けられ後述する保護シート20で保護されている裏込め材注入用袋体(以下「袋体」という」)10’を通過直後に、セグメントSE2に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を袋体10’に注入し、膨らませ、ボイドを埋める。この工程を繰り返すことにより、ボイドに注入した裏込め材のシールド掘削機1の外部前方への流出を防止するようにしている。
【0038】
一方、曲線部分(Yの範囲)においてトンネルを施工する場合は、曲線の曲がり具合に合わせてシールド掘削機1を進行させるために、直線部分で使用したセグメントより小さいセグメント(セグメントSE3)、いわゆる縮径セグメントを使用して、直線部分に使用されるリングの直径よりも小さいリングを組み立ててトンネルを施工する。
【0039】
よって、縮径セグメントを使用した曲線部分におけるトンネルの施工では、シールド掘削機1のテールブラシ5が、セグメントSE3(以下「袋体付き縮径セグメント」という)に接着剤で取付けられ、保護シート20で保護されている袋体10を通過した後にできる、テールボイドTが直線の時よりも大きくなる。更に、テールブラシ5と縮径セグメントSE3の間に隙間7が生じてしまう。この状態が図1の状態である。
【0040】
図2は、図1の状態、すなわちシールド掘削機1のテールブラシ5が、袋付き縮径セグメントSE3に接着剤で取付けられ保護シート20で保護されている袋体10を通過後、袋付き縮径セグメントSE3に設けられた裏込め材を注入する孔11から裏込め材を袋体10内に注入して膨らませて、テールボイドTおよび隙間7を埋めた状態を示している。以上のように、袋体10が膨らむことによって、裏込め材等がシールド掘削機の外部前方へ流出したり、シールド掘削機の内部前方へ流入したりするのを防止することができる。
【0041】
なお図1及び2ではセグメントSE1は通常のセグメント、セグメントSE2は袋体付きセグメントであり交互に接合しているが、袋体付きセグメントSE2(曲線部分においては袋体付き縮径セグメントSE3)を連続的に接合させる構成としても良い。この場合はテールボイドに注入する裏込め材はセグメントに別途設けられた裏込め材注入孔から注入することになる。
【0042】
図3には本発明で使用される袋付きセグメントSE2、袋付き縮径セグメントSE3の実施態様の一例が示されている。
セグメントSE1は円弧状の形状をしており、そのほぼ中央には裏込め材を注入するための孔11が表裏に貫通して設けられている(図3(A))。セグメントSE1の形状・長さ・幅は、施工する現場によって適合するものを使用することが可能であるが、その外周面は袋体を取り付けるための凹部などの加工がされていない平坦面のものである。また、材質においても適宜選択することが可能である。ここで、使用するセグメントとしては、鋼製セグメント、RCセグメント、ダクタイルセグメント及び複合セグメント等が使用可能である。
【0043】
次に、本発明で使用される袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)について説明する。本発明の袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)は施工現場で簡単に完成させることが出来る点に特徴がある。その完成までと完成した袋体付きセグメントSE2(袋体付き縮径セグメントSE3)の袋体10(10’)に裏込め材を注入し袋体が膨らむまでの工程を図3及び図4に基づいて説明する。
【0044】
セグメントSE1(図3(A))に接着剤を用いて袋体10(10’)を取付ける(図3(B))。これが第1工程である。この際、袋体10(10’)に設けられている孔12(図4参照)をセグメントSE1の裏込め材を注入するための孔11に連通する様に取付ける。使用する接着剤は、セグメントSE1および袋体10(10’)の材質により選択できるが、少なくとも、袋体10(10’)に裏込め材が注入され、膨らんだ際にセグメントSE1と袋体10(10’)が剥がれない程度の接着強度を有している必要がある。例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂等の接着剤が挙げられるが、好ましくは、エポキシ系樹脂の接着剤が良い。
【0045】
なお、別の態様として、袋体10(10’)の一部の長手方向に接着剤を塗布しておき、その部分に離型紙を貼り付けた状態の袋体を製造し、現場で離型紙を剥がしてセグメントと接着するようにしてもよい。
【0046】
次に、保護シート20をセグメントに接着された袋体10(10’)の全体を覆うようにセグメントの外周面に貼り付ける(図3(C))。これが第2工程である。なお矢印はトンネルの延設方向を示している。
【0047】
このように、保護シート20を袋体10(10’)全体を覆うように貼り付けることで、シールド掘削機1の進行によるテールブラシ5との接触による袋体10(10’)の損傷やセグメントからの剥離を防止することができる。よって、保護シート20の表面の材質は摩擦係数が小さくなるべく滑らかなものが好ましい。また、保護シート20の貼り付け力は、袋体10(10’)に裏込め材が注入され膨らむ際に膨らむのを邪魔せず、保護シート20がセグメントの外周面及び袋体10(10’)から容易に剥がれる程度のものが使われる。更に、保護シート20は施工現場では地下水等による湿気もあるので湿気に強いものが好ましい。
【0048】
図3(D)には、袋体10(10’)が裏込め材を注入されて膨らんで、保護シート20がセグメントの外周面及び袋体10(10’)から剥がれた状態が示されている。この工程が第3工程である。なお、この図では保護シート20は袋体10(10’)から完全に剥がれて該袋体10(10’)の手前側となるセグメントの外周上に残っている場合を示したが、セグメントから完全に剥がれて袋体10(10’)上に残っている場合もある(図11)。
【0049】
保護シート20としては、表面がなめらかで薄いものが良い。例えば、片面を接着処理した厚さ1mm以下の樹脂フィルムを支持体とし処理面に接着剤を塗布した粘着テープが挙げられる。また、粘着テープ以外にも薄い樹脂シート等が使用可能である。
【0050】
図4は、図3に示した態様における工程の中で、第2工程の部分(図3(C))のみを変更した態様である。
本態様は、図4(C’)に示したように、保護シート20を袋体10(10’)のトンネル延設方向における後ろ側の一部(ほぼ半分)を覆うように貼り付けた態様である。この態様の場合は、前記袋体10(10’)内に裏込め材を注入して該袋体10(10’)を膨らませる際に、当該袋体10(10’)が全面を覆われている場合より膨らみ易いと共に、袋体10(10’)の膨らみに伴って保護シート20が一層抵抗小さく剥がれてくれる。
【0051】
次に、図5から図11を参照にしながら本発明に係る袋体および保護シートについて詳述する。
まず、図5を参照にしながら本発明に係る袋体について説明する。
【0052】
トンネル内に配置されるリングは、セグメントを互いに円周方向に連結させて構成されるが、セグメントに取付けられた袋体に裏込め材が注入された際に、袋体は、テールボイドを埋めるのに十分に膨らむとともにセグメントの連結部分においても隙間を作らないように十分膨らむことが要求される。また、強度においては裏込め材を注入する際の注入圧力や注入後の裏込め材の重量に耐えうる強度が必要とされる。本発明の袋体はこのような条件を満たしたものである。なお、袋体に注入する裏込め材としては、モルタル、可塑性グラウト及びその他固化材等が挙げられる。以下、袋体について説明する。
【0053】
図5には、本発明に係る袋体10(10’)の実施態様が示されている。
図5(A)は第1の実施態様の平面図、図5(A’)は図5(A)のDの部分で袋体10(10’)を切断した場合の断面図である。
【0054】
袋体10(10’)は、織物で作られており、生地の一方の端部と他方の端部を重ね合わせて端辺に沿って縫製し(13)、更に両側端部を縫製し(14)、筒状の形状をなしている。また、裏込め材をセグメントSE2(あるいは縮径セグメントSE3)の孔11から注入するための孔12が設けられている。
【0055】
袋体10(10’)の織物を構成する糸は特に制限されない。合成繊維、天然繊維またはこれらの混紡であっても構わない。たとえば、ナイロン、ポリエステル、ウレタン、綿、麻等が上げられる。ただし、裏込め材を注入した際にセグメントの円周方向に裏込め材が流れ過ぎないようにするために、円周方向に使用する糸は伸縮性がないものが好ましい。セグメントの円周方向に裏込め材が流れ過ぎると袋体10(10’)上手く膨らまないからである。一方、トンネル延設方向と同じ方向に使用する糸は伸縮性を有するものであっても構わない。また、織物の組織については、平織り、綾織り等の一般の組織であれば特に限定はされない。
【0056】
なお、袋体10(10’)とセグメントSE1の接着部分(接着面積)については、現場での状況に応じて選択することが可能である。図5(A’)では、本発明における接着用の面である接着部分15が袋体10(10’)の下面部の一部分であるが、下面部全部であっても構わない。ただし、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)の円周方向には一様に接着されているのが好ましい。
【0057】
図5(B)は第2の実施態様の平面図、図5(B’)は図5(B)のEの部分で袋体10(10’)を切断した場合の断面図である。
第2の実施態様は、袋体の中に離型紙16を設けた以外は第1の実施態様と同様である。
【0058】
離型紙16の役割は、袋体10(10’)の下面部と袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を接着した場合に、裏込め材注入前は袋体10(10’)の下面部と上面部が接触しているため、接着剤が袋体10(10’)の下面部に浸み込み上面部にまで達して、袋体10(10’)の下面部と上面部が接着してしまうことがないようにするためである。すなわち、離型紙16は接着剤浸透防止材である。特に強力な接着剤を使用した時には、離型紙16を袋体10(10’)の内部に設けることが好ましい。
【0059】
なお、他の態様として袋体10(10’)を折りたたんだ状態でセグメントSE1と接着して保護シートで被って袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)とする態様としてもよい。当該態様では筒状の袋体よりも裏込め材を多く注入する場合には都合が良い。また第2の実施態様のように離型紙16を設ける構成としてもよい。
【0060】
以上、袋体10(10’)の実施態様について説明したが、本発明の袋体10(10’)については、上記態様に限定されるものではない。
【0061】
次に、図6(A)は、シールド掘削機1のテールブラシ5が、セグメントの外周面と直接接触している位置にあるときの要部断面図である。
図6(B)はテールブラシ5が図6(A)の位置からセグメント外周面に貼り付けられている保護シート20の表面との接触状態の位置に移動した状態の要部断面図である。
図6(C)はテールブラシ5が、図6(B)の位置から更にセグメント外周面に接着されている裏込め材注入用袋体10の上に対応する当該保護シート20の表面との接触状態の位置に移動した状態の要部断面図である。
図7(D)はテールブラシ5が保護シート20の領域を過ぎて再びセグメントの外周面と直接接触している位置にあるときの要部断面図である。
図7(E)は、テールブラシ5が保護シート20の上面を通過直後に袋体10に裏込め材が注入された状態を示す要部断面図である。
【0062】
また、図8は保護シート20がテールブラシ5から受ける力をベクトル表示したものである。図8において、保護シート20は、シールド掘削機1の進行に伴ってテールブラシ5が保護シート20に及ぼす力f1とテールブラシが保護シート20に鉛直方向に及ぼす力f2との和である力Fを受けている。即ち、テールブラシ5が保護シート20上を接触して移動する際に該保護シート20に作用する力(接触圧)は、該保護シート20が前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。なお、力Fの大きさや方向はテールブラシ5の速度v(シールド掘削機1の進行速度)によって変わる。
【0063】
テールブラシ5が保護シート20の上面を通過し始めたとき、すなわち図6(A)の状態から図6(B)の状態になったときに、セグメントSE2(SE3)の外周面に貼り付けられた保護シート20の端部分20’は、図8で説明したようにテールブラシ5から力Fを受けることになる。この力Fは、記述のように保護シート20が前記セグメント外周面に貼り付くのを増す方向に作用する。
また、保護シート20は、厚みが薄い(1mm以下)ので、セグメントSE2(SE3)の表面と保護シート20との間にはほとんど段差が生じておらず、テールブラシ5が滑らかに保護シート20の端部分20’に移動していく。よって保護シート20が剥がされることはない。
【0064】
そして、図6(C)のように、テールブラシ5が、更にセグメント外周面に接着されている前記袋体10(10’)の上に対応する当該保護シート20の表面との接触状態の位置に円滑に移行する。
その後は、テールブラシ5が保護シート20の上面を滑らかに移動し、図7(D)のように、該テールブラシ5は、前記袋体10(10’)の存在領域を過ぎ、更に該保護シート20の存在領域を過ぎてセグメント外周面との直接接触位置に移動する。
【0065】
そして、テールブラシ5が保護シート20を通過した直後に、前記袋体10(10’)に裏込め材を注入して袋体を膨らませるが、この際に保護シート20は袋体10(10’)が膨らむにつれて上方に引っ張られ、セグメントSE2(セグメントSE3)の外周面から剥がれて、図7(E)に示したように、袋体10(10’)の表面に貼り付いている状態になる。
【0066】
このように、本発明の保護シート20は、裏込め材を前記袋体10(10’)に注入した際には袋体10(10’)が膨らむにつれて容易にセグメントSE2(セグメントSE3)から剥がれる程度の貼り付け力で貼り付けられている。
【0067】
次に、図9から図11を参照して、裏込め材を注入する前から注入した後までの前記袋体10(10’)および保護シート20の挙動について説明する。
【0068】
図9は、(図3(C))の矢印Zの部分で、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を切断した場合の断面図である。
【0069】
図10および図11は、裏込め材を注入し前記袋体10(10’)が膨らんだ際の、図3(C)の矢印Z部分と同様の部分で袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)を切断した場合における前記袋体10(10’)および保護シート20の挙動を示した断面図である。
【0070】
図9は、裏込め材を注入する前の状態で、接着剤を用いて前記袋体10(10’)をセグメント外周面に強固に接着し(第1工程)、更に前記袋体10(10’)の全面を被うように保護シート20をセグメント外周面及び前記袋体10(10’)に貼り付けた状態(第2工程)を示している。
【0071】
本発明では、前記袋体10(10’)は、その接着用の面15の部分においてセグメントSE1の外周面に強固に接着されている状態で、保護シート20が前記袋体10(10’)の全面を被うように該保護シート20をセグメント外周面及び前記袋体10(10’)に貼り付けてある。従って、テールブラシ5がその移動時に保護シート20に接触しても該保護シート20は容易にはがれる事はない。
【0072】
図10は、裏込め材を注入し、前記袋体10(10’)が膨らんで、保護シート20が、セグメント外周面から剥がれた直後の状態を示したものである。
裏込め材を裏込め材注入孔11から注入すると前記袋体10(10’)が膨らみ、前記袋体10(10’)が膨らもうとする力により、保護シート20が上側に引っ張られてセグメントの外周面から剥がれる。
【0073】
このように保護シート20は、該保護シート20を剥がそうとする力、すなわち、裏込め材が注入され袋体10(10’)が膨らもうとする力を受けると容易に剥がれる貼り付け力で貼り付けられている。
【0074】
図11は、裏込め材を前記袋体10(10’)内に所定量注入し、袋体付きセグメントSE2(あるいは袋体付き縮径セグメントSE3)が、裏込め材がシールド掘削機の外部前方へ流出したり、シールド掘削機の内部前方へ流入したりするのを防止するのに十分に膨らんだ状態を示したものである。この時、本実施例では保護シート20は袋体10(10’)の上部に貼りついている状態である。
【0075】
以下実験例に基づき本発明を具体的に説明する。
[実験例]
鋼製のセグメントの外周上の一部に外周上に沿ってエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、セグメントの裏込め材を注入するための孔と袋体の孔の部分とが連通するように、接着剤を塗布した部分に袋体を載せてセグメントと袋体を接着した。
【0076】
袋体は、引張強度がタテ方向(外周上方向)は40〜64N/mm、ヨコ方向(シールド掘削機の進行方向)は8〜30N/mm、ヨコ伸度が70〜150%、厚さ1mm、材質はナイロンからなるものを使用した。
【0077】
次に、保護シート20である粘着テープをセグメントの外周方向に渡って前記袋体10(10’)のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆うように貼り付けた(図4(C’)の状態)。
【0078】
そして、テールブラシ5を有するシールド掘削機1を進行させ、前記保護シート20で覆われた前記袋体10(10’)の上を該保護シート20に接触するようにテールブラシ5を通過させた。その結果、保護シート20及び前記袋体10(10’)に擦れた跡はあったが、ずれることはなく、更に前記袋体が傷つくようなことはなかった。
【0079】
テールブラシ5が前記保護シート20及び前記袋体10(10’)を通過後、セグメントに設けられた裏込め材を注入するための孔から注入圧0.1〜0.2MPaで裏込め材としてモルタルを前記袋体10(10’)に注入した。
【0080】
その際、前記袋体が裏込め材を注入されて膨らんでいく途中において、保護シート20は前記袋体10(10’)から剥がれてセグメント上に残り、前記袋体10(10’)は破裂することもなく、また注入した裏込め材が漏れることもなく、テールボイドを埋める程度にまで膨らみ実験結果は良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上より、本発明に係る袋体、該袋を取付けたセグメントおよび該セグメントを用いたトンネル施工方法は、現場で袋体がついたセグメントを簡単に完成させることができるとともに該袋体を傷つけることもなく、裏込め材等のシールド掘削機の外部前方への流出や内部前方への流入を防止しながらトンネルを施工することができるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 シールド掘削機、 2 カッタ、 3 排土機構、 4 シールドジャッキ、 4’ ロッド、 5 テールブラシ、 6 余堀り部、 7 隙間、 10、10’ 裏込め材注入用袋体(袋体)、 11 裏込め材注入孔、 12 孔、 13、14 縫製部分、 15 接着用の面 16 離型紙、 20 保護シート、 SE1 セグメント、 SE2 裏込め材注入用袋体付きセグメント(袋体付きセグメント)、SE3 裏込め材注入用袋体付きセグメント(袋体付き縮径セグメント)、 T テールボイド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2002−235493号公報
【特許文献2】特開平11−193692号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体と、前記裏込め材注入用袋体を保護するための保護シートの組を備える裏込め材注入工事用セットであって、
前記裏込め材注入用袋体は、前記セグメントの外周面に接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、
前記保護シートは、前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って前記セグメントに貼り付けられて使用されるものであることを特徴とする裏込め材注入工事用セット。
【請求項2】
トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体であって、
該袋体は、前記セグメントに接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、
該袋体の内部に接着剤浸透防止材を備えていることを特徴とする裏込め材注入用袋体。
【請求項3】
トンネルを構成するセグメントであって、
請求項1に記載された裏込め材注入用袋体が接着剤で該セグメントの外周面に接着され、
請求項1に記載された保護シートが前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に貼り付けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
請求項3に記載のセグメントであって、
前記保護シートは、前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って、前記セグメントに貼り付けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
シールド掘削機を掘進してトンネルを作るトンネル施工方法であって、
前記トンネルを構成するセグメントの外周面に接着剤で裏込め材注入用袋体を接着する第1工程と、
前記セグメントの外周面に接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に保護シートを貼り付ける第2工程と、
前記シールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシが前記保護シートで覆われた前記裏込め材注入用袋体を通過した後に、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔から該孔と連通する前記裏込め材注入用袋体の孔へ裏込め材の注入をすることにより前記袋体を膨らませつつ前記保護シートを剥がす第3工程と、を有することを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載のトンネル施工方法において、
前記第2工程は、前記保護シートを前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って前記セグメントに貼り付けることを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項1】
トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体と、前記裏込め材注入用袋体を保護するための保護シートの組を備える裏込め材注入工事用セットであって、
前記裏込め材注入用袋体は、前記セグメントの外周面に接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、
前記保護シートは、前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って前記セグメントに貼り付けられて使用されるものであることを特徴とする裏込め材注入工事用セット。
【請求項2】
トンネルを構成するセグメントの外周面に設けられる裏込め材注入用袋体であって、
該袋体は、前記セグメントに接着剤によって接着可能な接着用の面と、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔と連通する孔と、を有しており、
該袋体の内部に接着剤浸透防止材を備えていることを特徴とする裏込め材注入用袋体。
【請求項3】
トンネルを構成するセグメントであって、
請求項1に記載された裏込め材注入用袋体が接着剤で該セグメントの外周面に接着され、
請求項1に記載された保護シートが前記セグメントに接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に貼り付けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
請求項3に記載のセグメントであって、
前記保護シートは、前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って、前記セグメントに貼り付けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
シールド掘削機を掘進してトンネルを作るトンネル施工方法であって、
前記トンネルを構成するセグメントの外周面に接着剤で裏込め材注入用袋体を接着する第1工程と、
前記セグメントの外周面に接着された前記裏込め材注入用袋体を覆って当該セグメントの外周面に保護シートを貼り付ける第2工程と、
前記シールド掘削機のテール部に設けられたテールブラシが前記保護シートで覆われた前記裏込め材注入用袋体を通過した後に、前記セグメントに設けられた裏込め材注入用の孔から該孔と連通する前記裏込め材注入用袋体の孔へ裏込め材の注入をすることにより前記袋体を膨らませつつ前記保護シートを剥がす第3工程と、を有することを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載のトンネル施工方法において、
前記第2工程は、前記保護シートを前記接着された前記裏込め材注入用袋体のトンネル延設方向における後ろ側の一部を覆って前記セグメントに貼り付けることを特徴とするトンネル施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−21352(P2011−21352A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166008(P2009−166008)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000148346)株式会社錢高組 (67)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(592082206)スリーボンドユニコム株式会社 (11)
【出願人】(000132404)株式会社スリーボンド (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000148346)株式会社錢高組 (67)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(592082206)スリーボンドユニコム株式会社 (11)
【出願人】(000132404)株式会社スリーボンド (140)
【Fターム(参考)】
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