説明

裏込め注入孔の耐火構造および裏込め注入孔の耐火構造の形成方法

【課題】施工が簡便で、点検や補修などの作業が容易であり、止水性および耐火性を確実に確保できる裏込め注入孔の耐火構造および裏込め注入孔の耐火構造の形成方法を提供する。
【解決手段】地山13の壁面に沿って設置されたトンネル用セグメント1に形成された裏込め注入孔3において、地山13から所定の間隔をおいて逆止弁19を設置し、逆止弁19と地山13との間に裏込め材51を充填する。次に、逆止弁19からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、裏込め注入孔3に対する係止部と、裏込め注入孔3を閉塞可能な蓋部と、蓋部に設けられた栓保護材係止部とを有する鋼製の栓23を設置する。その後、栓23のトンネル内空側に、栓23に対する係止部である凹部を有するセラミックス製の栓保護材27を設置する。栓保護材27は、裏込め注入孔3の拡径部11bの全体を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏込め注入孔の耐火構造および裏込め注入孔の耐火構造の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド工事においては、掘削径とセグメント外径との隙間に裏込め材を充填するために、セグメントに裏込め注入孔を設けている。一般的に、セグメントの裏込め注入孔は、鋼製の注入パイプ内に裏込め材の逆流を防ぐためにプラスチック性の逆止弁を設置し、注入パイプのトンネル内空側の端部に止水パッキンを取り付けた栓を設置して、止水する構造となっている。
【0003】
このような覆工構造において、トンネル内での火災発生時にプラスチック製の逆止弁が熱により溶融した場合、裏込め注入孔からの出水の恐れがある。そのため、逆止弁の溶融防止措置が必要となる。逆止弁の溶融を防止する手法として、熱伝導率が大きい鋼製の栓を用いる場合には、栓の表面を耐火性能を有する材料で被覆して栓に耐火性を付与するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、セラミックス製の栓を用いることで栓自体の耐火性能を高くする手法もある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−168771号公報
【特許文献2】特開2010−229786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鋼製の栓の表面を耐火性能のある被覆材料で被覆する方法は、施工作業が煩雑である。また、被覆材料はセグメントと一体化しておらず、剥離や剥落の可能性がある。加えて、火災後の裏込め注入孔内部の確認作業において、はつり作業を伴うなどの煩雑な作業が要求される。
【0006】
セラミックス製の栓を用いる方法は、栓の表面を被覆する必要がないため、施工性を格段に向上させることができる。しかしながら、鋼製の栓と比較して材料強度が低いため、万一逆止弁から漏水が発生した場合、その水圧によって破壊するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、施工が簡便で、点検や補修などの作業が容易であり、止水性および耐火性を確実に確保できる裏込め注入孔の耐火構造および裏込め注入孔の耐火構造の形成方法を提供することである。
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、トンネルに設置されるセグメントに形成された裏込め注入孔において、地山から所定の間隔をおいて逆止弁が設置され、前記逆止弁と前記地山との間に裏込め材が充填され、前記逆止弁からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、前記裏込め注入孔に対する係止部と、前記裏込め注入孔を閉塞可能な蓋部と、前記蓋部に設けられた栓保護材係止部とを有する鋼製の栓が設置され、前記栓のトンネル内空側に、前記栓に対する係止部を有するセラミックス製の栓保護材が設置され、前記栓保護材が、前記裏込め注入孔のトンネル内空側の開口を閉塞することを特徴とする裏込め注入孔の耐火構造である。
【0009】
第1の発明では、高水圧下で供用可能な鋼製の栓を用いるため、確実な止水が可能となる。また、耐熱・耐火性能を有するセラミックス製の保護材で栓を保護するため、栓の表面を耐火材料で被覆する必要がなく、施工が簡便になり、工費・工期の縮減が可能となる。さらに、被覆材料の剥離や剥落の危険がなくなる。
【0010】
第1の発明では、例えば、前記栓保護材係止部の外周に雄ねじ部が形成され、前記栓に対する係止部が、前記栓保護材に設けられた凹部であり、前記凹部の内周に雌ねじ部が形成され、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを係合することにより前記栓と前記栓保護材とが一体化される。
栓保護材係止部に雄ねじ部を、栓に対する係止部に雌ねじ部を形成することにより、雄ねじ部に雌ねじ部をねじ込むだけの簡単な現場作業で、栓と栓保護材とを一体化できる。また、維持管理における点検や、火災後の補修などの作業が容易となる。
【0011】
第1の発明では、前記栓保護材の外周面と、前記裏込め注入孔の壁面との間に、緩み防止部材が設置されることが望ましい。緩み防止部材は、ゴム製のリングや接着剤等とする。
緩み防止部材を設けることにより、栓と栓保護部材とを一体化するねじの、トンネル内の車両通行時の動風圧による緩みを防止できる。
【0012】
第2の発明は、セグメントに形成された裏込め注入孔において、地山から所定の間隔をおいて逆止弁を設置し、前記逆止弁と地山との間に裏込め材を充填する工程(a)と、前記逆止弁からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、前記裏込め注入孔に対する係止部と、前記裏込め注入孔を閉塞可能な蓋部と、前記蓋部に設けられた栓保護材係止部とを有する鋼製の栓を設置する工程(b)と、前記栓のトンネル内空側に、前記栓に対する係止部を有するセラミックス製の栓保護材を設置して、前記裏込め注入孔のトンネル内空側の開口を閉塞する工程(c)と、を具備することを特徴とする裏込め注入孔の耐火構造の形成方法である。
【0013】
第2の発明では、高水圧下で供用可能な鋼製の栓を用いるため、確実な止水が可能となる。また、耐熱・耐火性能を有するセラミックス製の保護材で栓を保護するため、栓の表面を耐火材料で被覆する必要がなく、施工が簡便になり、工費・工期の縮減が可能となる。さらに、被覆材料の剥離や剥落の危険がなくなる。
【0014】
第2の発明では、例えば、前記栓保護材係止部の外周に雄ねじ部が形成され、前記栓に対する係止部が、前記栓保護材に設けられた凹部であり、前記凹部の内周に雌ねじ部が形成され、前記工程(c)で、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを係合することにより前記栓と前記栓保護材とを一体化する。
栓保護材係止部に雄ねじ部を、栓に対する係止部に雌ねじ部を形成することにより、雄ねじ部に雌ねじ部をねじ込むだけの簡単な現場作業で、栓と栓保護材とを一体化できる。また、維持管理における点検や、火災後の補修などの作業が容易となる。
【0015】
第2の発明では、前記工程(c)で、前記栓保護材の外周面と、前記裏込め注入孔の壁面との間に、緩み防止部材を設置することが望ましい。緩み防止部材は、ゴム製のリングや接着剤等とする。
緩み防止部材を設けることにより、栓と栓保護部材とを一体化するねじの、トンネル内の車両通行時の動風圧による緩みを防止できる。
【0016】
第2の発明では、前記工程(b)と前記工程(c)とを、順次実施してもよいし、同時に実施してもよい。
栓と栓保護材とを予め一体化しておくことにより、工程(b)と工程(c)とを同時に実施し、現場での作業を簡便化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、施工が簡便で、点検や補修などの作業が容易であり、止水性および耐火性を確実に確保できる裏込め注入孔の耐火構造および裏込め注入孔の耐火構造の形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】トンネル周方向に切断したトンネル用セグメント1の斜視図
【図2】裏込め注入孔3の耐火構造を示す図
【図3】栓23および栓保護材27の概要を示す図
【図4】裏込め注入孔3の耐火構造を形成する際の各工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、トンネル周方向に切断したトンネル用セグメント1の斜視図を示す。トンネル用セグメント1は、適切な位置に、内面5から外面7までを貫通する裏込め注入孔3が設けられる。トンネル用セグメント1は、例えば、ポリプロピレン等の有機繊維を混入したコンクリートで形成される。
【0020】
裏込め注入孔3は、トンネル用セグメント1の外面7側の端部に、外面7に近づくほど径が大きくなる拡径部11aを、必要に応じて有する。また、トンネル用セグメント1の内面5側の端部に、内面5に近づくほど径が大きくなる拡径部11bを有する。裏込め注入孔3の拡径部11aと拡径部11bとの間の部分には、注入孔パイプ9が設置される。注入孔パイプ9は、鋼製等とする。
【0021】
図2は、裏込め注入孔3の耐火構造を示す図である。図2は、トンネル等の壁面を覆工したトンネル用セグメント1の裏込め注入孔3付近の拡大断面図を示す。図2に示すように、トンネル用セグメント1は、外面7が地山13と対向するように設置される。注入孔パイプ9の拡径部11b側の端部付近の内周には、所定の範囲に雌ねじ部17が設けられる。
【0022】
注入孔パイプ9の外周には、地山13側からの地下水の浸入を防止するための止水用シール材15が設けられる。止水用シール材15は、水膨張性Oリング等である。止水用シール材15は、トンネル用セグメント1の内面5側での火災発生時に、所定の温度以上にならない位置に設置される。
【0023】
注入孔パイプ9には、地山13から所定の間隔をおいて逆止弁19が設置される。逆止弁19は、外周にねじ部を有し、注入孔パイプ9の雌ねじ部17にねじ込んで設置される。逆止弁19は、プラスチック製等である。
【0024】
逆止弁19と地山13との間には裏込め材51が充填される。裏込め材51は、地山13とトンネル用セグメント1の外面7との間、および、裏込め注入孔3内のうち、逆止弁19より地山13側の部分に充填される。
【0025】
注入孔パイプ9には、逆止弁19からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、鋼製の栓23が設置される。高水圧下において適用可能な鋼製の栓23を、水圧が作用する位置に設置することにより、トンネル内部への出水が防止される。逆止弁19と栓23との間には空間53が設けられる。空間53は、トンネル用セグメント1の内面5側で火災が発生した場合に断熱層として機能する。
【0026】
栓23のトンネル内空側には、セラミックス製の栓保護材27が設置される。栓保護材27は、裏込め注入孔3の拡径部11b内に配置され、裏込め注入孔3のトンネル内空側の開口を閉塞する。耐熱・耐火性能を有するセラミックス製の栓保護材27で拡径部11b全体を塞ぐことにより、裏込め注入孔3に流入する熱量が抑制され、裏込め注入孔3の耐熱性が確保される。栓保護材27としては、耐熱性を有し、熱衝撃に強ければよく、例えば窒化珪素,コージェライト,ムライト、アルミナ等が適用可能である。
【0027】
栓保護材27の外周面49と裏込め注入孔3の拡径部11bの壁面55との間には、緩み防止部材であるゴム製リング29が設置される。ゴム製リング29は、栓保護材27と栓23とを一体化するねじの緩みを防止する。
【0028】
図3は、栓23および栓保護材27の概要を示す図である。図3の(a)図は、栓23の立面図である。図3の(a)図に示すように、栓23は、裏込め注入孔3に対する係止部31と、裏込め注入孔3を閉塞可能な蓋部33と、蓋部33に設けられた栓保護材係止部35とを有する。
【0029】
裏込め注入孔3に対する係止部31は、外周に雄ねじ部39が設けられる。蓋部33は、外周に凹部37を有する。栓保護材係止部35は、外周に雄ねじ部41が設けられる。係止部31および蓋部33の径は、注入孔パイプ9の径と同等程度とする。栓保護材係止部35の径は、後述する栓保護材27の凹部45の径に応じて決定される。
【0030】
図3の(b)図は、栓保護材27の立面図を、図3の(c)図は、栓保護材27の断面図を示す。図3の(c)図は、図3の(b)図に示す矢印A−Aによる断面図である。図3の(b)図に示すように、栓保護材27は、外周面49にテーパを有する部材である。栓保護材27は、上述したように、図2に示す裏込め注入孔3の拡径部11bの全体を塞ぐものであり、栓保護材27の外周面49の傾斜角度は、裏込め注入孔3の拡径部11bの壁面55の傾斜角度に応じて決定される。図3の(c)図に示すように、栓保護材27は、端面43に、栓23に対する係止部である凹部45を有する。凹部45の内周には、雌ねじ部47が設けられる。
【0031】
図2に示すように、栓23は、注入孔パイプ9の雌ねじ部17に雄ねじ部39(図3)を螺合して設置される。栓23の蓋部33の外周に設けられた凹部37(図3)には、止水用シール材25が設置される。栓保護材27は、栓23の雄ねじ部41(図3)に凹部45の雌ねじ部47(図3)を螺合して設置される。
【0032】
次に、トンネル用セグメント1の裏込め注入孔3の耐火構造の形成方法について説明する。図4は、裏込め注入孔3の耐火構造を形成する際の各工程を示す図である。図4の(a)図は、栓23を設置する工程を、図4の(b)図は、栓保護材27を設置する工程を示す。
【0033】
裏込め注入孔3の耐火構造を形成するには、まず、図4の(a)図に示すように、地山13(図2)から所定の間隔をおいた位置で、注入孔パイプ9の雌ねじ部17に逆止弁19をねじ込んで設置する。逆止弁19を設置した後、逆止弁19を介して、逆止弁19と地山13(図2)との間に裏込め材51を充填する。逆止弁19は、裏込め材51の逆流を防止する。
【0034】
次に、図4の(a)図の矢印Bに示すように、セグメント1の内面5側から、裏込め注入孔3に鋼製の栓23を挿入し設置する。栓23は、上述したように、裏込め注入孔3に対する係止部31と、裏込め注入孔3を閉塞可能な蓋部33と、蓋部33に設けられた栓保護材係止部35とを有する。栓23を設置するには、蓋部33の外周に設けられた凹部37(図3)に止水用シール材25を設置した状態で、雄ねじ部39を注入孔パイプ9の雌ねじ部17にねじ込む。
【0035】
栓23は、図4の(b)図に示すように、逆止弁19からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて設置されることとなる。逆止弁19と栓23との間には空間53が設けられる。
【0036】
栓23を取り付けた後、図4の(b)図の矢印Cに示すように、セグメント1の内面5側から、裏込め注入孔3にセラミックス製の栓保護材27を挿入し、設置する。栓保護材27は、上述したように、栓23に対する係止部である凹部45を有し、凹部45の内周に雌ねじ部47が設けられる(図3)。栓保護材27を設置するには、外周面49にゴム製リング29を設置した状態で、凹部45の雌ねじ部47を栓23の雄ネジ部41にねじ込む。
【0037】
栓保護材27は、図2に示すように、裏込め注入孔3の拡径部11bに配置されることとなる。栓保護材27は、裏込め注入孔3のトンネル内空側の開口を閉塞する。栓保護材27の設置により、裏込め注入孔1の耐火構造が完成する。
【0038】
このように、本実施の形態では、耐熱・耐火性能を有するセラミックス製の栓保護材27で栓23を保護することにより、裏込め注入孔3の対火性能を確保する。そのため、栓23の表面を耐火材料で被覆する必要がなく、施工が簡便になり、工費・工期の縮減が可能となる。また、被覆材料の剥離や剥落の危険がなくなる。
【0039】
本実施の形態では、水圧が作用する可能性がある位置に、高水圧下で供用可能な鋼製の栓23を設置する。そのため、トンネル用セグメント1の内面5側で火災が発生して逆止弁19から出水が生じた場合にも、栓23が高い水圧に対応して裏込め注入孔3からの出水を防止することができる。
【0040】
本実施の形態では、栓23の栓保護材係止部35に雄ねじ部41を、栓保護材27の栓23に対する係止部である凹部45に雌ねじ部47を形成する。これにより、雄ねじ部41に雌ねじ部47をねじ込むだけの簡単な現場作業で、栓23と栓保護材27とを一体化できる。また、耐火構造の維持管理における点検が容易となる。さらに、火災後、被災により劣化した栓保護材27を除去して栓23を取り外し、止水用シール材25を交換した後、栓23を再度取り付けて栓保護材27を新設することにより、容易に耐火性および止水性を回復できる。
【0041】
本実施の形態では、栓保護材27と栓23とを一体化するねじの緩みを防止する緩み防止部材としてゴム製リング29を設置する。これにより、トンネル内の車両通行時の動風圧によるねじの緩みを防止できる。
【0042】
なお、本実施の形態では、裏込め注入孔3の耐火構造を形成する際に、注入孔パイプ9に栓23をねじ込んだ後、栓23に栓保護材27をねじ込んだが、形成方法はこれに限らない。裏込め注入孔3の耐火構造を形成する際には、栓保護材27の凹部45の雌ねじ部47に栓23の雄ネジ部41をねじ込んで、予め栓23と栓保護材27とを一体化しておいてもよい。この場合、栓23の凹部37に止水用シール材25を設置し、栓保護材27の外周面49にゴム製リング29を設置した状態で、栓保護材27と一体化した栓23の雄ねじ部39を注入孔パイプ9の雌ねじ部17にねじ込む。栓23と栓保護材27とを予め一体化しておくことにより、現場での作業を簡便化することができる。
【0043】
本実施の形態では、緩み防止部材としてゴム製リング29を用いたが、緩み防止部材はこれに限らない。栓保護材27の外周面49と裏込め注入孔3の拡径部11bの壁面55とを接着剤で接着して、ねじの緩みを防止してもよい。
【0044】
なお、裏込め注入孔3の内部温度を抑制するために、注入孔パイプ9の内部や栓保護材27の内部に、吸熱・断熱性能を有する材料を配してもよい。
【0045】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】
例えば、栓保護材27の内部に、吸熱材を充填してもよい。吸熱材としては、酸化アルミや、水分を多く含んだ綿(ロックウール)などが適用可能である。この場合、止水性を栓23に対応させ、耐熱性を吸熱材および栓保護材27にて対応させる複合構造となる。なお、この場合には、栓23は多少の温度に耐えられるプラスチック(耐熱性プラスチック)とすることもできる。例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル等を用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1………トンネル用セグメント
3………裏込め注入孔
3………内面
7………外面
9………注入孔パイプ
11a、11b………拡径部
13………地山
15、25………止水用シール材
17、47………雌ねじ部
19………逆止弁
23………栓
27………栓保護材
29………ゴム製リング
31………係止部
33………蓋部
35………栓保護材係止部
37、45………凹部
39、41………雄ねじ部
49………外周面
51………裏込め材
55………壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルに設置されるセグメントに形成された裏込め注入孔において、
地山から所定の間隔をおいて逆止弁が設置され、
前記逆止弁と前記地山との間に裏込め材が充填され、
前記逆止弁からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、前記裏込め注入孔に対する係止部と、前記裏込め注入孔を閉塞可能な蓋部と、前記蓋部に設けられた栓保護材係止部とを有する鋼製の栓が設置され、
前記栓のトンネル内空側に、前記栓に対する係止部を有するセラミックス製の栓保護材が設置され、
前記栓保護材が、前記裏込め注入孔のトンネル内空側の開口を閉塞することを特徴とする裏込め注入孔の耐火構造。
【請求項2】
前記栓保護材係止部の外周に雄ねじ部が形成され、
前記栓に対する係止部が、前記栓保護材に設けられた凹部であり、前記凹部の内周に雌ねじ部が形成され、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを係合することにより前記栓と前記栓保護材とが一体化されることを特徴とする請求項1記載の裏込め注入孔の耐火構造。
【請求項3】
前記栓保護材の外周面と、前記裏込め注入孔の壁面との間に、緩み防止部材が設置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の裏込め注入孔の耐火構造。
【請求項4】
セグメントに形成された裏込め注入孔において、
地山から所定の間隔をおいて逆止弁を設置し、前記逆止弁と地山との間に裏込め材を充填する工程(a)と、
前記逆止弁からトンネル内空方向に所定の間隔をおいて、前記裏込め注入孔に対する係止部と、前記裏込め注入孔を閉塞可能な蓋部と、前記蓋部に設けられた栓保護材係止部とを有する鋼製の栓を設置する工程(b)と、
前記栓のトンネル内空側に、前記栓に対する係止部を有するセラミックス製の栓保護材を設置して、前記裏込め注入孔のトンネル内空側の開口を閉塞する工程(c)と、
を具備することを特徴とする裏込め注入孔の耐火構造の形成方法。
【請求項5】
前記栓保護材係止部の外周に雄ねじ部が形成され、
前記栓に対する係止部が、前記栓保護材に設けられた凹部であり、前記凹部の内周に雌ねじ部が形成され、
前記工程(c)で、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを係合することにより前記栓と前記栓保護材とを一体化することを特徴とする請求項4記載の裏込め注入孔の耐火構造の形成方法。
【請求項6】
前記工程(c)で、前記栓保護材の外周面と、前記裏込め注入孔の壁面との間に、緩み防止部材を設置することを特徴とする請求項4または請求項5記載の裏込め注入孔の耐火構造の形成方法。
【請求項7】
前記工程(b)と前記工程(c)とを同時に実施することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の裏込め注入孔の耐火構造の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−177275(P2012−177275A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41456(P2011−41456)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】