説明

補体固定抗体の検出のための方法および組成物

本発明は、生体試料中に存在する自己補体因子C1qおよび自己補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、外因性ヒト補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、検出可能に標識された外因性ヒト補体因子C1q、または自己補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qの組み合わせを含む、補体因子C1qを使用し、生体試料中の補体固定抗体の高感受性かつ特異的検出のための方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法における使用のためのキット、システム、およびデバイスも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
補体系は、抗体および他の因子と協力し、免疫、アレルギー、免疫化学的、および免疫病理学的反応の媒介物として重要な役割を果たす、血液中のタンパク質の複合群である。補体系の活性化は、オプソニン化、様々な種類の細胞、細菌、および原虫の溶菌、ウイルスの不活性化、および炎症過程の直接媒介等の広範の反応をもたらし得る。その成分の幾つかのホルモン様活性を介して、補体系は、他の液性および細胞エフェクター系を動員し、その関与を得ることができる。これらは順に、白血球の方向性移動を誘導し、マスト細胞からのヒスタミン放出を誘発し、食細胞からのリソソーム構成物質の放出を刺激することができる。
【0002】
補体系は、相互に、抗体と、および細胞膜と相互作用する能力がある少なくとも20個の特徴的な血漿タンパク質から成る。活性化された場合、これらのタンパク質の多くが、他のタンパク質と混合して酵素を形成し、系内のさらなる他のタンパク質を切断、かつ活性化させる。補体カスケードとして周知である、これらタンパク質の連続的な活性化は、2つの主要な経路、古典的経路および副経路に進む。双方の経路は、C3で収束し、細胞溶菌、細菌オプソニン化および溶菌、またはウイルス不活性化を導く共通の最終経路を使用する。
【0003】
古典的経路は、抗原抗体複合、凝集した免疫グロブリン、およびDNAおよびトリプシン様酵素等の非免疫物質により活性化され得る。古典的活性化経路は、連続的に、C1、C4、C2、およびC3と命名された4つの成分を含む。これらの成分は、2つの機能ユニット、C1または認識ユニット、ならびにC4、C2、およびC3、または活性化ユニットに分類できる。C5、C6、C7、C8、およびC9と指定された5つの追加の成分は、細胞溶菌に導く双方の経路に共通している最終経路を形成する膜侵襲複合体(MAC)を定義する。代替経路は、因子Bを利用し、C1−C4−C2段階を迂回し、C3で活性する。
【0004】
古典的経路は、C1qの1個の分子ならびにC1rおよびC1sの双方の2個の分子から成るC1複合体から始まる。C1複合体の活性化は、クラスMおよびGからの抗体へのC1qの結合、抗原との複合、または病原体の表面へのC1qの結合により誘発される。C1rおよびC1sは共にセリンプロテアーゼである。C1qの結合は、C1q分子中の立体構造の変化を導き、順に2個のC1r分子の活性化、続いてC1s分子の活性化を導く。このカスケードの自発的活性化を防ぐために、C1rおよびC1sは、セリンプロテアーゼ阻害剤であるC1阻害剤により阻害される。一旦活性化されると、C1複合体は、C2およびC4と結合し、切断し、C2aおよびC4bを産生する。C2aおよびC4bは、次いでC3転換酵素として周知のC4b2a複合体を形成するため結合する。C3転換酵素の産生は、C3のC3aおよびC3bへの切断へと導き、後者は、C2aおよびC4b(C3転換酵素)と結合し、MACの初期成分であるC5転換酵素を形成する。
【0005】
補体経路の活性化の研究および決定は、可能性のある多くの生物学的障害の兆候を提供することができる。補体経路は、広範囲のヒト疾患および病態の病変形成または兆候に関わっている。かかる疾患には、免疫複合疾患の幾つかのタイプ、自己免疫疾患、特に全身性エリテマトーデス、ならびにグラム陰性菌、ウイルス、寄生虫、真菌による感染に関与することが発見されているもの等の感染性疾患、ならびに様々な皮膚科学的、腎性、および血液学的な疾患が含まれる。ある障害は、患者における不十分な補体のためであり得る。
【0006】
患者の試料中の補体固定抗体を、特に特定の抗原から正確かつ確実に識別する能力に関して、迅速、高感度、かつ特異的な様式で検出するための方法が必要とされている。
【0007】
本発明は、これらの必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,514,714号
【特許文献2】米国特許第6,150,122号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wahrmann et al.,J.Immunol.Methods.275(1−2):149−60(2003)
【非特許文献2】Smith et al.,Am.J.Transplant.7(12):2809−15(2007)
【発明の概要】
【0010】
本発明は、生体試料中に存在する自己補体因子C1qおよび自己補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、外因性ヒト補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、検出可能に標識された外因性ヒト補体因子C1q、または自己補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qの組み合わせを含む、補体因子C1qを使用し、生体試料中の補体固定抗体の高感受性かつ特異的検出のための方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法における使用のためのキット、システム、およびデバイスも特徴とする。
【0011】
一態様において、本発明は、対象および補体因子C1qからの生体試料を用いて、目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質を、対象からの生体試料および補体因子C1qと接触させることであって、該接触は、該試料内の抗AgI補体固定抗体を該AgIに結合させ、該補体因子C1qを前記抗AgI補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われる、接触することと、該固体基質を、該AgIに結合した抗AgI補体固定抗体に結合した該補体因子C1qに特異的に結合する能力がある少なくとも1つの検出可能に標識されたリガンドでインキュベートすることと、該生体試料内で、該AgIに特異的に結合する補体固定抗体の存在または不在を決定するために、該補体因子C1qに結合した該検出可能に標識されたリガンドの存在または不在を検出することにより、目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法を提供する。
【0012】
幾つかの実施形態において、補体因子C1qは自己補体因子C1qである。他の実施形態において、補体因子C1qは外因性補体因子C1qである。さらに他の実施形態において、該補体因子C1qは、自己補体因子C1qおよび外因性補体因子C1qの組み合わせである。
【0013】
幾つかの実施形態において、固体基質はマルチウェルプレートである。他の実施形態において、固体基質は膜である。さらに他の実施形態において、固体基質は、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、または磁気ビーズ等の微粒子である。幾つかの実施形態において、固体基質は細胞である。他の実施形態において、固体基質は細胞膜である。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である。幾つかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である。
【0014】
別の態様において、本発明は、対象および直接標識された外因性補体因子C1qからの生体試料を用いて、目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質を、対象からの生体試料および直接標識された外因性補体因子C1qと接触させることであって、該接触は、該試料内の抗AgI補体固定抗体を該AgIに結合させ、該直接標識された外因性補体因子C1qを該抗AgI補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われる、接触することと、該AgIに特異的に結合する該生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するために、該抗AgI補体固定抗体に結合した該直接標識された外因性C1qの存在または不在を検出することと、により、目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法を提供する。
【0015】
幾つかの実施形態において、固体基質はマルチウェルプレートである。他の実施形態において、固体基質は膜である。さらに他の実施形態において、固体基質は、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、または磁気ビーズ等の微粒子である。幾つかの実施形態において、固体基質は細胞である。他の実施形態において、固体基質は細胞膜である。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、対象からの生体試料を異なるサブタイプの一群の微粒子および補体因子C1qでインキュベートすることであって、各微粒子は、異なる精製されたHLAサブタイプでコーティングされ、同一HLAを提示する細胞集団に由来し、該インキュベートは、該生体試料中の抗HLA補体固定抗体を該HLAに結合させ、該補体因子C1qを該生体試料中の該抗HLA補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われる、インキュベートすることと、該微粒子を、該HLAに結合した該抗HLA補体固定抗体に結合した該補体因子C1qに特異的に結合する能力がある少なくとも1つの検出可能に標識されたリガンドでインキュベートすることと、補体固定抗体の存在または不在を決定するために、該補体因子C1qに結合した該検出可能に標識されたリガンドの存在または不在を検出することと、により、ヒト白血球抗原(HLA)に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法を提供する。
【0017】
幾つかの実施形態において、補体因子C1qは自己補体因子C1qである。他の実施形態において、補体因子C1qは外因性補体因子C1qである。さらに他の実施形態において、該補体因子C1qは、自己補体因子C1qおよび外因性補体因子C1qの組み合わせである。
【0018】
幾つかの実施形態において、微粒子はアガロースビーズである。他の実施形態において、微粒子はラテックスビーズである。他の実施形態において、微粒子は磁気ビーズである。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である。幾つかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である。幾つかの実施形態において、検出はフローサイトメトリーによる。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、対象からの生体試料を異なるサブタイプの一群の微粒子および直接標識された補体因子C1qでインキュベートすることであって、各微粒子は、異なる精製されたHLAサブタイプでコーティングされ、同一HLAを提示する細胞集団に由来し、該インキュベートは、該生体試料中の抗HLA補体固定抗体を該HLAに結合させ、該補体因子C1qを該生体試料中の該抗HLA補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われる、インキュベートすることと、HLAに特異的に結合する該生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するために、該抗HLA補体固定抗体に結合した該直接標識された外因性補体因子C1qの存在または不在を検出することと、により、ヒト白血球抗原(HLA)に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法を提供する。
【0020】
幾つかの実施形態において、微粒子はアガロースビーズである。他の実施形態において、微粒子はラテックスビーズである。他の実施形態において、微粒子は磁気ビーズである。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される。幾つかの実施形態において、検出はフローサイトメトリーによる。
【0021】
別の態様において、本発明は、目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質と、補体因子C1qに特異的に結合する能力がある検出可能に標識されたリガンドと、該目的の抗原に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットを提供する。
【0022】
幾つかの実施形態において、固体基質はマルチウェルプレートである。他の実施形態において、固体基質は膜である。さらに他の実施形態において、固体基質は、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、または磁気ビーズ等の微粒子である。幾つかの実施形態において、固体基質は細胞である。他の実施形態において、固体基質は細胞膜である。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である。幾つかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質と、補体固定抗体に結合する能力がある直接標識された外因性C1qと、該目的の抗原に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットを提供する。
【0024】
幾つかの実施形態において、固体基質はマルチウェルプレートである。他の実施形態において、固体基質は膜または細胞である。さらに他の実施形態において、固体基質は、アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、または磁気ビーズ等の微粒子である。他の実施形態において、固体基質は細胞膜である。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、一群の微粒子サブタイプであって、各微粒子サブタイプは、前記群が正常ヒト集団におけるHLAの分布をシミュレートするように、単一細胞株または複数の細胞株の前記HLA抗原集団を表すために、異なる精製されたHLAでコーティングされる、微粒子サブタイプと、補体因子C1qと特異的に結合する能力がある検出可能に標識されたリガンドと、HLAに対抗する対象からの試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、ヒト白血球抗原(HLA)に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットを提供する。
【0026】
幾つかの実施形態において、微粒子は、アガロースビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、またはポリスチレンビーズである。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である。幾つかの実施形態において、検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である。
【0027】
別の態様において、本発明は、一群の微粒子サブタイプであって、各微粒子サブタイプは、前記群が正常ヒト集団におけるHLAの分布をシミュレートするように、単一細胞株または複数の細胞株の前記HLA抗原集団を表すために、異なる精製されたHLAでコーティングされる、微粒子サブタイプと、補体固定抗体に結合する能力がある直接標識された外因性C1qと、HLAに対抗する対象からの試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、ヒト白血球抗原(HLA)に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットを提供する。
【0028】
幾つかの実施形態において、微粒子は、アガロースビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、またはポリスチレンビーズである。幾つかの実施形態において、生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である。幾つかの実施形態において、直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される。
【0029】
本発明のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、さらに下記に記載される本発明の詳細を読む場合、当業者にとって明白となるであろう。
【0030】
本発明は、付随の図面に併せて以下の詳述を読む場合から最も理解される。一般的な実践において、図面の様々な特徴は、原寸に比例しないことが強調される。一方、様々な特徴の次元は、明確にするために、任意に拡大または縮小される。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本開示の一実施形態の概略図を提供する。目的の抗原または個々に識別可能な抗原(AgI)が表面に固定化された固体基質は、抗AgI補体固定抗体(CFAb)を含有していることが疑われる生体試料に接触される。図に示されるように、試料はまた、非補体固定抗体(非CFAb)ならびに同一試料中の補体固定抗体に特異的に結合する自己および/または外因性C1qを含み得るであろう。インキュベートに続いて、存在する場合、抗AgI補体固定抗体は、固定化したAgIに特異的に結合し、C1qは、結合した抗AgI補体固定抗体に特異的に結合する。固体基質は、特異的にヒトC1qに結合する検出可能に標識された抗ヒトC1q(抗hC1q)抗体に接触される。検出可能な標識の存在は、次いで当技術分野では既知の方法を使用しアッセイされる。
【図2】本開示の別の実施形態の概略図を提供する。この実施形態において、検出可能に標識された抗C1q(抗hC1q)抗体は、固体基質が試料に接触される前に、直接生体試料に添加される。あるいは、抗hC1q抗体および生体試料を、同時に固体基質に導入することができる。
【図3】本開示の別の実施形態の概略図を提供する。この実施形態において、検出可能に標識された外因性C1qは、固体基質を試料に接触させる前に、生体試料に直接添加される。あるいは、検出可能に標識された外因性C1qおよび生体試料を固体基質に同時に導入することができ、あるいは生体試料が基質に導入された後、検出可能に標識された外因性C1qを固体基質に導入することができる。この実施形態においては、他の実施形態と同様に、検出可能に標識された外因性C1qの存在は、当技術分野では既知の方法を使用しアッセイされる。
【図4】本開示の別の実施形態の概略図を提供する。この実施形態は、図1に説明される実施形態と同様であり、同様の様式で機能する。この実施形態においては、しかしながら、目的の抗原または個々に識別可能な抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質は、ビーズ、ミクロビーズ、ミクロスフィア、微粒子、細胞、または膜である。
【図5】本開示の別の実施形態の略図を提供する。この実施形態は、図2に説明される実施形態と同様であり、同様の様式で機能する。この実施形態においては、しかしながら、目的の抗原または個々に識別可能な抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質は、ビーズ、ミクロビーズ、ミクロスフィア、微粒子、細胞、または膜である。
【図6】本開示の別の実施形態の略図を提供する。この実施形態は、図3に説明される実施形態と同様であり、同様の様式で機能する。この実施形態においては、しかしながら、目的の抗原または個々に識別可能な抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質は、ビーズ、ミクロビーズ、ミクロスフィア、微粒子、細胞、または膜である。
【図7】期待される抗体を定義するための1段階対2段階C1q手順の能力の比較を示す。
【図8】通常のLMX−IgGアッセイを使用した静脈内免疫グロブリン(IVIG)スパイクの結果が機能しないことを示す。図は、IVIGインビトロ阻害アッセイに対して行われたように、かつ抗IgG標識された第2段階(現存の市販のアッセイ)を使用して、緩衝液中で希釈される陰性標準血清対IVIG中で希釈される陰性標準血清の試験を表す。
【図9】患者血清がスパイクされたことを除き図8と同一である。結果は、IVIGが血清に添加され、抗IgGで検出された場合、患者の抗体の阻害(緩衝液中で希釈された試料において可視)を検出することが不可能であり得ることを示す。
【図10】IVIGによる阻害の決定のための補体依存性傷害(CDC)アッセイおよびC1qアッセイの比較を示す。CDCアッセイは、この測定に関して、以前利用可能な唯一のアッセイである。
【図11】大人の心臓病患者の血清の実際のIVIGインビトロ阻害C1qアッセイを示し、患者が処置されれば、A24のみがIVIGにより阻害することができることを示唆している。
【図12A】各次の処置に伴い、大人の心臓病患者の血清のA24抗体中の変化の監視におけるLMX−C1q(図12A)およびLMX−IgG(図12B)アッセイの比較を示す(図11と同一患者)。
【図12B】各次の処置に伴い、大人の心臓病患者の血清のA24抗体中の変化の監視におけるLMX−C1q(図12A)およびLMX−IgG(図12B)アッセイの比較を示す(図11と同一患者)。
【図13A】後のIVIG処置に伴う、LMX−C1q(図12A)およびLMX−IgG(図12B)アッセイにおける、全ての患者の抗体の監視を示す。LMX−IgGアッセイを使用して、抗体の抑制/消失を見ることが困難であることに留意されたい。
【図13B】後のIVIG処置に伴う、LMX−C1q(図12A)およびLMX−IgG(図12B)アッセイにおける、全ての患者の抗体の監視を示す。LMX−IgGアッセイを使用して、抗体の抑制/消失を見ることが困難であることに留意されたい。
【図14】図11と同様であるインビトロIVIG阻害C1qアッセイの結果を示すが、結果は、小児腎臓病患者に対するものであり、B57、B58抗体がIVIGにより効果的に抑制されるとこを示唆している。
【図15】インビトロおよびインビボ結果の対照比較を表す。左のパネル(図14と同一)はインビトロIVIG阻害を示し、右のパネルは、同じ血清日の患者にIVIG注入前後を示す。
【図16A】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16B】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16C】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16D】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16E】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16F】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16G】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16H】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16I】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16J】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16K】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16L】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16M】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図16N】C1Q検証実験の結果を示す表である。
【図17A】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17B】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17C】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17D】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17E】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17F】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17G】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17H】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17I】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図17J】C1Q−IVIG検証実験の結果を示す表である。
【図18】直接標識されたC1qアッセイの概略図を提供する。
【図19A】LMX−C1qアッセイを使用するC1qの直接および間接標識の比較を提供する。
【図19B】LMX−C1qアッセイを使用するC1qの直接および間接標識の比較を提供する。
【図20A】インビトロLMX−C1q IVIG阻害アッセイ中のC1qの間接標識(図20A)およびインビトロLMX−C1q IVIG阻害アッセイ中のC1qの直接標識(図20B)の比較を提供する。
【図20B】インビトロLMX−C1q IVIG阻害アッセイ中のC1qの間接標識(図20A)およびインビトロLMX−C1q IVIG阻害アッセイ中のC1qの直接標識(図20B)の比較を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
「補体固定抗体」という用語は、病原体上の抗原に特異的に結合し、生物から前記抗原を有する標的(例えば、細胞)または病原体の排除を提供する免疫系の補体カスケードを開始する抗体を指す。概して、補体固定抗体は、補体因子C1qに認識される、かつ特異的に結合されるIgMまたはIgG抗体である。
【0033】
C1q補体因子は、血清補体系を活性化するC1酵素複合体のサブユニットである。それは、N末端非らせん領域、三重(コラーゲン性)領域、およびC末端球状頭部から成る共通構造を共有する鎖A、B、およびCの9個のジスルフィド結合二量体から構成される(Smith et al. Biochem. J. 1994. 301:249−256)。C1qは、宿主防御、炎症、アポトーシス、自己免疫、細胞分化、器官形成、冬眠、およびインスリン抵抗性肥満に含まれる。5つの厳重に保存された残渣は、C1qファミリーにおいて同定された(Kishore et al. Trends in immunology 2004. 25(10):551−561)。各C1qドメインは、各逆平行鎖から作成される、2つの5本鎖βシート(A’、A、H、C、F)および(B’、B、G、D、E)から成るゼリーロール(zelly−roll)トポロジーを伴い10本鎖サンドウィッチ倍を示す。概して、C1q補体因子は、動物の血清中に存在し、補体固定抗体に対する結合特異性および結合親和性の双方を有し、これらもまた動物の血清中に存在する。C1q補体因子の補体固定抗体への結合は、免疫系の補体カスケードを活性化する。
【0034】
「自己」とは、別の要素と同じ患者の試料に由来することを意味する。例えば、自己C1qに関しては、補体固定抗体と同じ対象試料中でC1qが発生することを意味する。
【0035】
「外因性」とは、特定の動物に本質的には由来しない要素を意味する。例えば、外因性C1qに関しては、C1qが、補体固定抗体を有する対照試料とは異なる動物または系に由来することを意味する。
【0036】
主題発明の「親和性試薬」は、標的分析物に対する高い結合親和性を有する分析物結合ドメイン、部分、または成分を有する。高い結合親和性とは、少なくとも約10−4M、通常少なくとも約10−6M以上、例えば、10−9M以上の結合親和性を意味する。親和性試薬は、標識された親和性リガンドとして存在する場合、標的タンパク質に対する必要結合親和性を示す限り、様々な異なるタイプの分子のいずれでもあり得る。
【0037】
したがって、親和性試薬は、小分子または大分子リガンドであり得る。小分子リガンドとは、リガンドのサイズが約50〜約10,000ダルトン、通常約50〜約5,000ダルトン、およびより通常では約100〜約1000ダルトンの範囲であることを意味する。大分子とは、リガンドのサイズが、分子重量において約10,000ダルトン以上であることを意味する。
【0038】
大分子親和性リガンドとして特に目的とされるのは、抗体、ならびに結合断片およびその模倣薬である。抗体が親和性リガンドである場合、特異性によって異なる抗体の不均一集団は、同じ標識核酸またはモノクローナル組成物でそれぞれ標識されるポリクローナル組成物に由来し得、標的タンパク質に対し同じ特異性を有する同一抗体の均質集団は、それぞれ同じ標識(例えば、フルオロフォア)で標識される。したがって、親和性リガンドはモノクローナル、オリゴクローナル、および/またはポリクローナル抗体であり得る。さらに他の実施形態において、親和性リガンドは抗体結合断片または模倣薬であり、これらの断片および模倣薬は、標的タンパク質に対する必要結合親和性を有する。例えば、Fv、(Fab’)、およびFab等の抗体断片は、無傷タンパク質の切断、例えば、プロテアーゼまたは化学的切断により調製する。また、目的とされるのは、単鎖抗体またはscFvs等の組換え産生された抗体断片であり、かかる組換え産生された抗体断片は、上記抗体の結合特性を保持する。かかる組換え産生された抗体断片は、対照抗体の結合特性を保持するように、概して対照抗体の少なくともVHおよびVLドメインを含む。これらの組換え産生された主題発明抗体断片または模倣薬は、米国特許第5,851,829号および5,965,371号に記載の方法等のいずれの有用な方法を使用しても直ちに調製することができ、これらの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0039】
上述の抗体、その断片および模倣薬は、商業的供給源から得ることができ、および/またはいずれの有用な技術を使用しても調製することができる、その組換え誘導体を含む、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体、モノクローナル抗体、その断片および模倣薬の産生の方法は、当業者には周知である。
【0040】
「エピトープ」とは、特定のB細胞およびT細胞が応答する抗原上の部位を意味する。該用語はまた、「抗原決定因子」または「抗原決定因子部位」と互換的に使用される。エピトープは、3個以上のアミノ酸等の1個以上のアミノ酸を、エピトープに特有の立体構造中に含むことができる。概して、エピトープは、少なくとも5個のかかるアミノ酸を含み、より通常は、少なくとも8〜10個のかかるアミノ酸から成る。アミノ酸の立体構造を決定する方法は当技術分野では既知であり、例えば、X線結晶解析および2次元核磁気共鳴を含む。さらに、所与のタンパク質中のエピトープの同定は、当技術分野では周知の技術を使用し直ちに達成される。例えば、Geysen et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81:3998−4002(所与の抗原中の免疫原性エピトープの場所を検出するためのペプチドを迅速に合成する一般方法)、米国特許第4,708,871号(抗原のエピトープを同定、かつ化学的に合成するための手順)、およびGeysen et al., Molecular immunology (1986) 23:709−715(所与の抗体に対する高い親和性でペプチドを同定するための技術)を参照されたい。同じエピトープを認識する抗体は、標的抗原への別の抗体の結合を遮断する1個の抗体の能力を示すイムノアッセイで同定することができる。
【0041】
「特異的に結合する(binds specifically)」または「特異的に結合する(specifically binds)」とは、特異的抗原への抗体の高い結合活性および/または高い親和性結合を意味する。特異的抗原上でそのエピトープに結合する抗体は、特に分子中に存在し得る目的の抗原に関連する異なるエピトープ、または目的の抗原と同一試料中の異なるエピトープへの、同じ抗体の結合より大きな結合活性および/または親和性を伴う。しかしながら、補体固定抗体は、目標の異なる抗原上の様々なエピトープに対する、同じあるいは同様の結合活性および/または親和性を有することができる。したがって、「特異的に結合する(binds specifically)」または「特異的に結合する(specifically binds)」は、1個以上の目的の抗原への結合からの所与の補体固定抗体を妨げることを意味しない。目標のポリペプチドに特異的に結合する抗体は、弱いが、検出可能なレベル(例えば、目標のポリペプチドに示される10%以下の結合)で、他のポリペプチドに結合する能力があり得る。かかる弱い結合またはバックグラウンド結合は、例えば、適切な対照の使用により直ちに目標のポリペプチドに結合している特異的抗体から識別可能である。
【0042】
「検出可能に標識されたリガンド」または「検出可能に標識された第2リガンド」は、検出可能な標識を付着されたリガンドを意味し、該リガンドは、別の化合物に特異的に結合する能力がある。リガンドの例は、結合特異性を保持する抗体または抗体断片を含むが、それらに制限されない。検出可能な標識は化学的接合により付着され得るが、標識がポリペプチドである場合、遺伝子工学技術によって交互に付着させることが可能である。検出可能に標識されたタンパク質の産生のための方法は、当技術分野においては周知である。検出可能な標識は、当技術分野では既知の様々なかかる標識から選択することができるが、通常は、放射性同位元素、発色団、フルオロフォア、蛍光色素、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、リンカー分子、または他の部分もしくは標識をその基質に暴露後、検出可能なシグナル(例えば、放射能、蛍光、色)もしくは検出可能なシグナルを放出する化合物であり得る。様々な検出可能な標識/基質対(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体を標識するための方法、および抗原を検出するため標識された第2抗体を使用するための方法は、当技術分野において周知である。[注記:例えば、Harlow and Lane, eds. (Antibodies: A Laboratory Manual (1988) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を参照されたい。]
【0043】
「直接標識されたC1q」とは、付着した検出可能な標識を有する外因性C1q分子を意味する。検出可能な標識は化学的接合により付着され得るが、標識がポリペプチドである場合、遺伝子工学技術によって交互に付着させることが可能である。検出可能に標識されたタンパク質の産生のための方法は、当技術分野においては周知である。検出可能な標識は、当技術分野では既知の様々なかかる標識から選択することができるが、通常は、放射性同位元素、発色団、フルオロフォア、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、リンカー分子、または他の部分もしくは標識をその基質に暴露後、検出可能なシグナル(例えば、放射能、蛍光、色)もしくは検出可能なシグナルを放出する化合物であり得る。様々な検出可能な標識/基質対(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体を標識するための方法、および抗原を検出するため標識された第2抗体を使用するための方法は、当技術分野において周知である。[注記:例えば、Harlow and Lane, eds. (Antibodies: A Laboratory Manual (1988) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を参照されたい。]
【0044】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、単離された化合物の文脈中で使用される場合、該化合物が自然に発生する環境とは異なる環境に目的の化合物があることを指す。「単離された」とは、目的の化合物に対して実質的に濃縮されている、および/または目的の化合物が部分的、もしくは実質的に精製されている試料中の化合物を含むことを意味する。「単離された」という用語は、化合物が、その自然状態と通常関係のあるものと共に、少なくともある材料に付随されない例を包含する。例えば、ポリペプチドに関して「単離された」という用語は、概してアミノ酸分子が、本質としてそれと通常関係した配列、または本質として存在するが、異種配列をそれと関係して有する配列の全体として、または部分として欠くことを指す。
【0045】
本明細書で使用される「精製された」は、記載の材料が、少なくとも約80%を伴うことが好まれる、少なくとも約90%が特に好まれる、少なくとも総タンパク質の約75重量%を含むことを意味する。本明細書で使用される「実質的に純粋」という用語は、その自然環境から除去された化合物、および少なくとも60%、好ましくは75%、および最も好ましくは90%が自然に関係している他の成分から遊離していることを指す。
【0046】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、対象から単離された組織または液体を指し、本発明の文脈中、概して抗AgI補体固定抗体を含有することが疑われる試料を指し、任意の処理後、試料は、インビトロアッセイで分析することができる。目的の典型的な試料は、血液、血漿、血清、血液細胞、尿、唾液、および粘液を含むが、必ずしもそれらに限定されない。試料はまた、培地中の細胞および組織の増殖、例えば、組換え細胞および細胞成分による馴化培地を含むが、それらに限定されないインビトロ細胞培養構成物の試料を含む。
【0047】
本明細書で使用される「ヒト白血球抗原系」または「HLA」という用語は、染色体6の短腕に約3.5百万塩基対またがる主要組織適合性複合体を指す。それは、クラスI、クラスII、およびクラスIII遺伝子を含有する3つの分離した領域に分割可能である。ヒトにおいて、HLAクラスI複合体は、長さ約2000kbであり、かつ約20遺伝子を含有する。クラスI領域内には、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cと指定される明確に特徴付けられたMHCクラスI分子をコード化する遺伝子が存在する。加えて、HLA−E、HLA−F、HLA−G、HLA−H、HLA−JおよびHLA−X、ならびにMICとして既知の新規のファミリーを含む非古典的クラスI遺伝子が存在する。クラスII領域は、HLA−DP、HLA−DQ、およびHLA−DR座位として既知の3個の遺伝子を含有する。これらの遺伝子は、HLA−DR、DP、およびDQと指定される古典的MHCクラスII分子のαおよびβ鎖をコード化する。ヒトにおいて、DM、DN、およびDOと指定される非古典的遺伝子はまた、クラスII内において同定される。クラスIII領域は、36個越の遺伝子の不均一な一群を含有する。
【0048】
本明細書で使用される「精製されたHLAサブタイプ」は、下記の表で説明されるようにHLAサブタイプの実質的に精製された抗原を指す。「異なるHLAサブタイプ」でコーティングされたミクロビーズが参照のため使用される場合、ミクロビーズの各集団が、異なるHLA抗原サブタイプでコーティングされることを意味する。
【0049】
本明細書で使用される「HLA抗原集団」は、特異的細胞または組織タイプ等の自然に発生できる、または自然に発生できないいずれか1つの群に見出される、HLA抗原の特異的集団を指す。
【0050】
本明細書で使用される「正常ヒト集団におけるHLAの分布」は、特異的細胞または組織タイプ、もしくは個体等の正常ヒト集団に見出されるHLA抗原の特異的集団を指す。
【0051】
「査定」という用語は、測定のいずれの形態も含み、かつ要素が存在する、またはしないことを決定することも含む。「決定」、「測定」、「評価」、「査定」、および「アッセイ」という用語は、互換的に使用され、量的および質的決定を含む。査定は、相対的または絶対的であり得る。「の存在を査定」は、存在する何かの量を決定すること、および/またはそれが存在するか、または不在であるかを決定することを含む。本明細書に使用される「決定」、「測定」、「査定」、「アッセイ」という用語は、互換的に使用され、量的および質的決定の双方を含む。
【0052】
「固体基質」という用語は、抗原および/または抗体を上に固定化させた固体の支持体を指す。例示的固体基質は、マルチウェルプレート、ニトロセルロース膜およびポリエチレン膜、細胞および細胞膜、ビーズ、微粒子、ミクロスフィア、およびミクロビーズを含む膜を含む。本発明の方法は、例えば、シリカ、金、ラテックス、ポリマー(ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエチレン、またはヒドロゲル等)のいずれの材料の微粒子、ミクロスフィア、ミクロビーズ、またはビーズを用いて行われる。加えて、微粒子、ミクロスフィア、ビーズ、またはミクロビーズは、磁性であり得る。
【0053】
特許請求の範囲は、いずれの任意の要素も排除するように作成され得ることをさらに留意されたい。したがって、この記載は、請求項要素の記載に関連した「ただ(solely)」、「のみ(only)」等の排他的用語の使用、または「負」の制限の使用に対する先の記載としての役割を果たすことを意図する。
【0054】
本発明は、生体試料中に存在する自己補体因子C1qおよび自己補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、外因性ヒト補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qに結合する検出可能に標識された抗体、検出可能に標識された外因性ヒト補体因子C1q、または自己補体因子C1qおよび外因性ヒト補体因子C1qの’組み合わせを含む、補体因子C1qを使用し、生体試料中の補体固定抗体の高感受性かつ特異的検出のための方法を提供する。また、本発明は、本発明の方法における使用のためのキット、システム、およびデバイスも特徴とする。
【0055】
本発明が記載される前に、本発明が記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら変化することを理解されたい。本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみの目的のためであり、限定することを意図しないこともまた理解されたい。
【0056】
値の範囲が提供される場合、文脈によって明確に決定されない限り、その範囲の上および下限間の各介在値(下限の単位の10分の1)がまた、具体的に開示されることを理解されたい。記載の範囲におけるいずれの記載の値または介在値およびその記載の範囲におけるいずれの他の記載の、もしくは介在値間の各小さい範囲も、本発明の範囲内に包含される。これらの小さい範囲の上限および下限は範囲内で独立して含まれる、または排除されることができる、かつ小さい範囲にどちらかが含まれる、いずれも含まれない、または双方含まれる各範囲もまた、本発明の範囲内に包含され、記載の範囲においていずれの特異的に排除される限界も対象である。記載の範囲が1つまたは双方の限界も含む場合、それらの含まれた限界のどちらか、または双方が排除される範囲はまた、本発明内に含まれる。
【0057】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野に精通する者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等であるいずれの方法および材料も本発明の実践または試験において使用できるが、ある潜在的および好ましい方法および材料が記載される。本明細書で言及される全ての文献は、参照することにより本明細書に組み込まれ、記載の文献に関連した方法および/または材料を開示する、かつ説明する。本開示は、矛盾が存在する範囲において、組み込まれた文献のいかなる開示にも優先することを理解されたい。
【0058】
本明細書および添付の請求項で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に決定されない限り、複数形を含むことを留意されたい。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、かかる細胞の負空数を含み、「化合物(the compound)」への言及は、1つ以上の化合物、および当業者には既知のその同等物等を含む。
【0059】
本明細書で考察されている文献は、本出願日前に先立ち、それらの開示のためのみに提供される。本明細書中のいずれも、本発明が、先の発明の特徴により、かかる文献に先行する権利がるものではない自白として見なされるべきではない。さらに、提供される公開日は、独立して確認される必要があるであろう実際の公開日とは、異なり得る。
【0060】
検出方法
上述のように、主題発明は、生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法を提供する。主題発明の方法は、補体因子C1q(例えば、自己または外因性)を、目的の抗原に特異的に結合する同一生体試料中の補体固定抗体の存在を同定するために利用する。
【0061】
方法は、概して目的の抗原に特異的に結合する補体固定抗体を含有することが疑われる生体試料を、上に固定化させた目的の抗原(AgI)を有する固相支持体に接触させることを有する。存在する場合、補体固定抗体は、固相支持体上に固定された抗原に特異的に結合し、かつC1qは、補体固定抗体に結合するであろう。C1q結合は、次いで固相支持体を、結合したC1qに特異的に結合する検出可能に標識された抗C1q抗体を接触させることにより、アッセイすることができる。あるいは、直接標識されたC1qを、このアッセイに使用することができ、検出可能に標識された抗C1q抗体の使用無しで、この直接標識されたC1qの結合を直接測定することができる。
【0062】
生体試料は、概して非補体固定抗体ならびに補体固定抗体を含むであろう。本発明の一利点は、同一試料中に存在するC1qを使用するか、または外因性C1qを使用するかにより、それが2つの異なる抗体間で区別できることである。同一試料中に存在するC1qを使用することにより、アッセイは、ウサギ血清に由来するもの等の異種C1qが使用された場合は発生しないであろう、関連する補体固定抗体の高感受性および特異的検出を提供する。
【0063】
直ちに明確になるであろうが、本明細書に記載のアッセイの設計は、多くの変化の影響下にあり、多くのフォーマットが当技術分野において周知である。以下の記述は、単にガイダンスとして提供されており、当業者は、記載の手順を、当技術分野においては周知の技術を使用し、容易に変更することができる。
【0064】
目的の抗原(AgI)
抗体を誘発する能力がある抗原または抗原決定因子は、本発明における使用に対して好適である。かかる抗原または抗原決定因子は、例えば、正常ヒト[例えば、ヒト白血球抗原(HLA)]、細菌、ウイルス、寄生虫、または真菌供給源、もしくは腫瘍抗原等の異常組織に由来するものであり得る。抗原は、概して抗体が産生され得るいずれの分子でもあり得、アジュバンドの存在を必要とする、または別の分子に接合し、抗体形成を誘導することを必要とする分子を含む。抗原は、ペプチドまたはタンパク質、炭水化物、核酸、もしくは脂質であり得る。また、「抗原」という用語は、例えば、機能的ドメインまたは生物学上関連のあるモチーフを含有するタンパク質のサブユニット、またはタンパク質の断片等を含む自然に発生する分子の部分を含む。好適な抗原は、細胞周期、組織特異的タンパク質、腫瘍マーカー、サイトカイン、主要組織適合性複合タンパク質、ヒートショックタンパク質、および病原体関連タンパク質(病原体は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、多寄生虫、またはプリオンであり得る)に関連するタンパク質、ならびに輸血抗原および組織適合試験、リポ多糖、スフィンゴ脂質等に関連する炭水化物残渣を含むが、それらに制限されない。例示的抗原は、動物を疾患から保護する免疫応答を誘発するものである。かかる抗原の例は、原虫寄生虫抗原、蠕虫寄生虫抗原、エクト寄生虫抗原、真菌抗原、細菌性抗原、およびウイルス性抗原を含むが、それらに制限されない。
【0065】
ウイルス性抗原の例は、肝炎Bウイルス(HBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザAウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、呼吸器合胞体ウイルスウイルス(RSV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、および麻疹ウイルス等のウイルスに由来する抗原を含む。細菌性抗原の例は、アクチノミセス、桿菌、バクテロイド、ボルデテラ、バルトネラ、ボレリア、ブルセラ、カンピロバクター、キャプノサイトファーガ、クロストリジウム、コリネバクテリウム、コクシエラ、デルマトフィルス、腸球菌、エーリキア、エシェリキア、フランシセラ、フソバクテリウム、ヘモバルトネラ、ヘリコバクター、クレブシエラ、L型細菌、レプトスピラ、リステリア、マイコバクテリア、マイコプラズマ、ネオリケッチア、ノカルジア、パスツレラ、ペプトコッカス、ペプトストレプトコッカス、プロテウス、シュードモナス、リケッチア、ロシャリメア、サルモネラ、赤痢菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、およびエルシニアからの抗原を含むが、それらに制限されない。真菌抗原の例は、アブシディア、アクレモニウム属、アルテルナリア属、コウジカビ、バシジオボラス属、ビポラリス属(Bipolaris)、ブラストミセス、カンジダ、クラミジア、コクシジオイデス、コニディオボラス、クリプトコッカス、クルブラリア、表皮菌(エピデルモフィトン属)、エクソフィアラ属、ゲオトリクム属、ヒストプラズマ、マヅレラ属、マラセチア属、小胞子菌、モニエラ属(Moniliella)、モルチエレラ、ケカビ属、ペシロマイセス属、アオカビ属、フィアレモニウム属(Phialemonium)、フィアロフォラ属、プロトテカ属、シュードアレシェリア属、Pseudomicrodochium、フハイカビ属、リノスポリジウム属、リゾプス属、スコレバシジウム属(Scolecobasidium)、スポロトリクス属、ステムフィリウム属(Stemphylium)、白癬菌属、トリコスポロン属、およびキシロヒファ属からの抗原を含むが、それらに制限されない。原虫および蠕虫寄生虫抗原の例は、バベシア、バランチジウム属、ベスノイティア属(Besnoitia)、クリプトスポリジウム、エイメリア、エンセファリトゾーン属、エントアメーバ属、ジアルジア属、ハモンジア属、ヘパトゾーン属(Hepatozoon)、イソスポーラ属、リーシュマニア属、微胞子虫、ネオスポラ属、ノゼマ属、腸トリコモナス、プラスモジウム属、ニューモシスチス属、肉胞子虫属、住血吸虫属、タイレリア属、トキソプラズマ、およびトリパノソーマ属、アカントケイロネマ属、アエルロシトロンギルス属(Aeluro円虫属)、鉤虫属、住血線虫属、回虫属、ブルギア属、ブノストムム属(Bunostomum)、毛細線虫属、大口腸線虫属、クーペリア属、クレノソーマ属(Crenosoma)、ディクチオカウルス属、ジンチュウ属、ディペタロネマ属、裂頭条虫属、ジプリジウム属(Diplydium)、イヌ糸状虫属、ドラクンクルス属、エンテロビウス属、フィラロイデス属、ヘモンクス属、ラゴキルアスカリス属、ロア糸状虫属、マンソネラ属、ムエレリウス属(Muellerius)、ナノフィエツス属(Nanophyetus)、アメリカ鉤虫属、ネマトジルス属、腸結節虫属、オンコセルカ属、肝吸虫属、オステルタギア属、パラフィラリア属(Parafilaria)、肺吸虫属、パラスカリス属(Parascaris)、フィサロプテラ属、プロトストロンギルス属(Proto円虫属)、セタリア属、スピロセルカ属(Spirocerca)、スピロメトラ属、ステファノフィラリア属(Stephanofilaria)、糞線虫属、円虫属、テラジア属、トキサスカリス属、トキソカラ属、旋毛虫属、毛様線虫属、鞭虫属、ウンシナリア属、およびウケレリア属からの抗原を含むが、それらに制限されない。エクト寄生虫抗原の例は、ノミからの抗原(保護抗原ならびにアレルゲンを含む);カタダニおよびヒメダニを含むマダニ;小昆虫、蚊、スバエ、ブユ、ウマバエ、ノサシバエ、メクラアブ、ツェツェバエ、サシバエ、ハエウジ症原因バエ、およびヌカカ(biting gnat)等のハエ;アリ;クモ、シラミ;ダニ;トコジラミおよびサシガメ(kissing bug)等の半翅類の昆虫を含むが、それらに制限されない。
【0066】
例示的抗原は、カルシウイルス抗原、コロナウイルス抗原、ヘルペスウイルス抗原、免疫不全ウイルス抗原、感染性腹膜炎ウイルス抗原、白血病ウイルス抗原、汎白血球減少ウイルス抗原、小細胞性ウイルス抗原、狂犬病ウイルス抗原、バルトネラ抗原、エルシニア抗原、エルシニアイヌフィラリア属抗原、トキソプラズマ抗原、腫瘍抗原、ノミ抗原、ノミアレルゲン、小昆虫抗原、小昆虫アレルゲン、ダニ抗原、およびダニアレルゲンを含むが、それらに制限されない。特に好まれる抗原は、狂犬病ウイルスグリコタンパク質G抗原;フィラリアPLA2、P39、P4、P22U、Gp29、アスタシン、システインプロテアーゼ、マクロファージ移動阻害剤因子、毒液アレルゲン、TPX−1、TPX−2、トランスグルタミナーゼ、アンキリン、およびアスパラギナーゼ抗原;ノミセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、セルピン、カルボキシエステラーゼ、幼若ホルモンエステラーゼ、およびエポキシドヒドロラーゼ抗原;ノミ唾液抗原;エルシニアF1ならびにV抗原;およびキソプラズマ原虫抗原を含む。
【0067】
本発明で使用される抗原は、遺伝子組換え方法または遺伝子組換えにより測定された遺伝子配列またはペプチド配列の基礎上で化学的に合成されることによって、産生されるものであり得る。したがって、それは、すでに既知のゲノム配列またはDNA配列が天然ウイルスからの分子クローニングにより得られるといったような様式により調製される組換え抗原であり、または遺伝子組換え技術の利用による細胞は、酵素等で処理され、あるいは化学合成の処理を受ける、かつ得られたDNA配列または修飾DNA配列は、微生物、動物、植物、昆虫等で発現され、組換え抗原を得る、あるいはそれは、ペプチドまたは液相方法として既知のペプチド化学合成の方法、または上記の情報を利用する固相方法により調製される修飾ペプチドである。ペプチドに対する固相合成方法は、自動ペプチド合成装置により、有利な様式で通常行うことができる。
【0068】
予吸収
幾つかの実施形態において、生体試料を、最初に任意で交差反応性抗原に接触させる。概して、生体試料を交差反応性抗原に接触させることは、生体試料中の交差反応性抗体の欠乏をもたらすが、抗AgI(目的の抗原)特異的補体固定抗体は欠乏させず、存在する場合には、(例えば、本明細書に記載されるように特異的抗AgI特異的補体固定抗体を検出するアッセイの使用による)検出可能なレベルで試料中に残存する。したがって、生体試料に接触するため使用される交差反応性抗原は、概して、予吸収された生体試料中の抗AgI特異的補体固定抗体の存在または不在を検出するために使用されるAgIを含まない。
【0069】
接触は、例えば、本明細書に記載されるように、生体試料に1つ以上の交差反応性抗原を接触させることにより達成できる。生体試料を交差反応性抗原に接触させ、次いで連続的に特異的固体の支持体を固定化させたAgIに接触させることができる。幾つかの実施形態において、試料中の特異的抗AgI特異的補体固定抗体の検出前に、試料から非特異的抗体を「予吸収」する本発明に従い、生体試料を交差反応性抗原に接触させる。具体的に別途表示されない限り、本明細書で使用される「予吸収」は、生体試料を、最初に交差反応性抗原に接触させ、続いて試料をAgIに接触させることを必ずしも示唆してはおらず、むしろ試料が交差反応性抗原に暴露される後まで、特異的抗AgI特異的補体固定抗体が検出されないことを意味している。
【0070】
試料調製
主題方法を実践するにおいて、対象からの試料は、抗AgI特異的補体固定抗体の存在に対してアッセイされる。幾つかの実施形態において、アッセイされる試料は、AgIに特異的に結合する補体固定抗体を含有する最初の供給源である試料であるか、それに由来する試料である。他の実施形態において、試料は、不十分な補体を含有する最初の供給源であるか、あるいはそれから得られる。かかる試料は、補体またはC1qが熱失活により破壊されたもの、および外因的にC1qが供給されたものを含む。故に、好適な試料供給源は、AgIに特異的に結合する補体固定抗体が放出された液体に由来するであろう。目的の試料供給源は、多くの異なる体液、特に血液または血液産物、例えば、血清、血漿、および全血、血液細胞、および尿を含むが、それらに制限されない。試料の量は、特異的アッセイフォーマットに適合する任意の量であり得る。幾つかの実施形態において、AgIに特異的に結合する補体固定抗体の存在または不在に対するアッセイの前に、試料は、好適な溶液に希釈されるであろう。概して、生体試料を希釈するのに好適な溶液は、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液を含み、かつ例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等の非特異的遮断薬、Triton−X−100等の洗浄剤等の添加物を含んでもよい。
【0071】
アッセイの適切な対照試料は、抗AgI特異的補体固定抗体を有さないヒト対象から収集された血液、血清、全血、または尿(すなわち、陰性対照)、あるいは、既知の所定量の抗AgI特異的補体固定抗体を含有する試料(すなわち、陽性対照)を含むが、それらに制限されない。
【0072】
多くの実施形態において、ヒト試料に対して好適な最初の供給源は、血液試料である。したがって、主題アッセイで用いられる試料は、概して血液由来試料である。血液由来試料は、全血またはその留分、例えば、血清、血漿等に由来し得、幾つかの実施形態において、試料は、凝固させた血液およびアッセイに使用するために分離かつ収集された血清に由来する。
【0073】
試料が血漿、血清、または血清由来試料である幾つかの実施形態において、試料は、概して液体試料である。液体血清試料を産生するためのいずれの有用な方法も用いられ得る。多くの実施形態において、方法は、皮膚穿刺(例えば、指穿刺、静脈穿刺)により静脈血を血餅または血清分離管に採血し、血液を凝固させ、血液凝固から血清を遠心する。血清は、アッセイされるまで、次いで収集かつ貯蔵される。同様に、血漿試料は、血液細胞が管底に収集されるように、静脈血を管に採血する、かつ血液を遠心することにより、患者から収集することができる。血液血漿である試料の液状部分は、次いで収集され、アッセイまで貯蔵される。一度患者由来試料が得られると、試料は、抗AgI特異的補体固定抗体の存在を決定するためにアッセイされる。
【0074】
主題試料は、抗AgI特異的補体固定抗体の存在の検出を向上させるように、様々な手段で処理することができる。例えば、試料が血液である場合、アッセイ前に赤血球は試料から除去され得る(例えば、遠心分離により)。また、検抗AgI特異的補体固定抗体の存在の検出は、当技術分野では周知の手順(例えば、酸沈殿(acid precipitation)、アルコール沈殿(alcohol precipitation)、塩沈殿(salt precipitation)、疎水性沈殿(hydrophobic precipitation)、濾過(30kDより大きい分子を保持する能力があるフィルターを使用、例えば、Centrim30(商標))、親和性精製)を使用し、試料を濃縮することにより、向上することができる。
【0075】
アッセイフォーマット
AgIを固定化させた固体の支持体は、生体試料中の反応性抗AgI特異的補体固定抗体の存在または不在を検出するための診断として、本明細書で使用される。典型的には、アッセイは、概して抗原補体固定抗体複合体が結合される、固相支持体からの液相中の非結合抗体の分離を含む。アッセイは、概して実質的に平らな固体の支持体(例えば、膜またはマイクロタイターウェル形態)に関して図1、図2、および図3に記載され、かつミクロビーズ固体支持体に関して図4、図5、および図6に記載される。本発明の実践において使用できる固体支持体は、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタイターウェル形態で)等の基質;ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレン;ラテックス(例えば、ビーズ、ミクロビーズ、微粒子、微小球、またはマイクロタイタープレート);ポリフッ化ビニリデン;ジアゾ紙;ナイロン膜;ポリエチレン膜、活性化ビーズ、磁気応答性ビーズ、細胞、および細胞膜等を含む。
【0076】
幾つかの実施形態において、生体試料は、アッセイ前に、好適な溶液に希釈されるであろう。概して、生体試料を希釈するのに好適な溶液は、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液を含むであろう、かつ例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等の非特異的遮断薬、Triton−X−100等の洗浄剤等の添加物を含み得る。
【0077】
概して、固体の支持体は、成分が支持体に十分に固定化するように、好適結合条件下で、第1に液相成分(例えば、1つ以上の目的の特異的抗原(AgI))で反応させる。任意で、支持体への抗原の固定化は、最初にAgIをより優れた結合特性を有するタンパク質にカップリングさせることにより向上できる。好適カップリングタンパク質は、当業者には周知のウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵白アルブミン、および他のタンパク質を含む血清アルブミン等のマクロ分子を含むが、それらに制限されない。抗原を支持体に結合させるために使用できる他の分子は、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸共重合体等を含む。これらの分子をAgIにカップリングするためのかかる分子および方法は、当業者には周知である。例えば、Brinkley, M.A. Bioconjugate Chem. (1992) 3:2−13, Hashida et al., J. Appl. Biochem. (1984) 6:56−63、およびAnjaneyulu and Staros, International J. of Peptide and Protein Res. (1987) 30:117−124を参照されたい。
【0078】
固体の支持体をAgIに接触させた後、非固定化されていないAgIは、洗浄により支持体から除去される。次いで支持体結合AgIを、好適結合条件下で、抗AgI補体固定抗体を含有することが疑われる生体試料と接触させる。存在する場合、補体固定抗体は、固定化させたAgIに特異的に結合するであろう。試料中に存在するC1q(例えば、自己または外因性)は、固相支持体上に固定化させたAgIに結合している補体固定抗体に結合するであろう。試料中に存在するC1qは、生体試料自体からの自己C1qであり得るか、あるいは外因性C1qであってもよい。幾つかの実施形態において、結合C1qは、次いで固相支持体を、C1qに特異的に結合する検出可能に標識された抗C1q抗体と接触させることにより、アッセイされる。次いで検出可能に標識された抗C1q抗体の存在は、当技術分野では周知の技術を使用して検出できる。
【0079】
幾つかの実施形態において、アッセイは連続的な様式で行われ、第1に、固相支持体を抗AgI補体固定抗体およびC1qを含有する生体試料に接触させ、次いで固相支持体を検出可能に標識された抗C1q抗体に接触させる。このアプローチは、図1に記載されている。他の実施形態において、固相支持体を、生体試料および検出可能に標識された抗C1q抗体の双方を同時に接触させる。このアプローチは、図2に記載されている。
【0080】
幾つかの実施形態において、検出可能に標識された外因性C1qがアッセイに使用される。かかる実施形態において、固相支持体を、目的の試料および検出可能に標識された外因性C1qの双方に同時に接触させる。結合C1qは、次いで当技術分野では周知の技術を使用し、検出される。このアプローチは、図3に記載されている。
【0081】
より具体的には、幾つかの実施形態において、ELISA方法を使用することができ、マイクロタイタープレートのウェルは、特異的AgIでコーティングされる(例えば、特異的AgIが表面上に固定される)。抗AgI補体固定抗体およびC1q(例えば、自己または外因性)を含有している、あるいは含有することが疑われる試料は、次いでコーティングされたウェルに添加される。任意に、対照として、既知の濃縮の抗AgI補体固定抗体を含有している一連の標準物質を、試料またはその一定分量と並行してアッセイできる。概して、希釈された、あるいはそうでない約0.001〜1mlの試料が十分であり、通常は約0.01mlで十分である。さらに、ある実施形態において、各試料および標準物質は、それぞれの平均値が得られるように、複数のウェルに添加されるであろう。試験および対照試料は、抗原に対する抗体の結合を発生させるのに十分な時間、固体の支持体とそれぞれインキュベートされる。概して、約0.1〜3時間が十分であり、通常1時間で十分である。
【0082】
固定化させたAgIに対して抗体を結合させ、かつ固定化させたAgIに結合した補体固定抗体に対して試料中に存在するC1qを結合させるのに十分な時間インキュベーションさせた後、プレートを任意に洗浄して結合していない抗体を除去することができる。概して、適切なpH、概して7〜8で希釈非イオン性洗浄剤媒が、洗浄媒として使用できる。リン酸塩緩衝生理食塩水等の等張緩衝液を、洗浄段階で用いることができる。ある実施形態においては、アッセイ中に洗浄は実行されない。
【0083】
別の実施形態において、抗AgI補体固定抗体を含有している、あるいは含有していることが疑われる生体試料を、溶液中の交差反応性抗原に接触させて、予吸収した混合物を得る。抗体が交差反応性抗原に結合するのに十分なインキュベーションの期間後、「残留」抗体を含有する予吸収された混合物は、次いで特異的AgIでコートされたマイクロタイタープレートのウェルに添加される。予吸収した混合物からの「残留」抗AgI補体固定抗体を固定化したAgIに対して結合させ、かつ固定化したAgIに結合している補体固定抗体に対して試料中に存在するC1q(例えば、自己または外因性)を結合させるのに十分な時間インキュベーションした後、プレートを任意に洗浄して、結合していない抗体を除去できる。ある実施形態では、洗浄は実行されない。検出可能に標識された第2の結合分子が添加され、補体固定抗体に結合しているC1qに結合する。第2の結合分子は、抗AgI補体固定抗体(例えば、表面に固定化させた特異的AgI抗原に結合している補体固定抗体)に結合しているいずれのC1q(例えば、自己または外因性)と反応可能であり、プレートは、任意で洗浄され、第2の結合分子の存在が当技術分野では周知の方法を使用して検出される。
【0084】
したがって、一特定の実施形態において、生体試料からの結合した抗AgI補体固定抗体および自己C1qの存在は、自己C1qに対する抗体を含む第2の結合剤を使用することで容易に検出できる。別の実施形態において、生体試料からの結合した抗AgI補体固定抗体の存在は、直接標識された外因性C1qを含む第2の結合剤を使用することで、容易に検出できる。多くの抗ヒトC1q分子が当該技術分野において知られており(例えば、市販のヤギ抗ヒトC1q、ヒツジ抗ヒトC1q等)、これらは自己または外因性のC1qの直接的または間接的検出を容易にする検出可能な標識に容易に結合可能である。免疫複合体の直接測定を可能とする標識の例は、Hまたは125I、フルオロフォア、色素、ビーズ、化学発光、コロイド粒子等の放射性標識を含む。結合の間接測定を可能とする標識の例は、基質が有色または蛍光生成物を提供する酵素を含む。標識は、直接的に(例えば、放射性同位元素)、あるいは1個以上の追加の分子(例えば、標識化抗体に結合するエピトープ)に結合することによって、検出される。本発明に従い使用され得る蛍光化合物の非限定的例は、フルオレセイン(FITC)もしくはAlexa488、Cy3、またはCy5および緑色の蛍光タンパク質、ならびにフィコエリトン(PE)PE−Cy5、PerCP、ECD等の蛍光色素を含む。幾つかの実施形態において、抗体は、好適基質の添加後、検出可能な生成物シグナルを提供する能力がある共有結合的に結合した酵素で標識される。複合体で使用されるのに好適な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水素酵素等を含む。市販でない場合、かかる抗体−酵素複合体は、当業者には既知の技術により容易に産生される。
【0085】
かかるアッセイにおいて、検出可能に標識された抗C1q抗体または直接標識されたC1qの濃度は、概して約150μg/ml等の約0.1〜500μg/mlであろう。検出可能に標識された抗C1q抗体を含有する溶液は、概して約pH6.5〜9.5の範囲で緩衝化される。インキュベーションの時間は、検出可能に標識された抗C1q抗体が、利用可能である自己または外因性C1qに結合するのに十分であるべきである。概して、約0.1〜3時間で十分であり、通常40分で十分である。非特異的結合材料が除去された後、結合した検出可能に標識された抗C1q抗体により産生されたシグナルが、従来の方法により検出される。例えば、検出可能な標識が蛍光化合物である場合、標識の存在は、フローサイトメトリーまたはLuminex xMap system等の他の同様の技術を使用して検出することができる。酵素抱合体が使用される場合、検出可能な生成物が形成されるように適切な酵素基質が提供される。さらに具体的には、ペルオキシダーゼが選択された酵素抱合体である場合、好ましい基質の組み合わせは、適切な反応条件下で有色生成物をもたらすHおよびO−フェニレンジアミンである。上記で開示されたもの等の他の酵素抱合体に対して適切な基質は、当業者には既知である。また、様々な有益な抱合体またはそれらの生成物を検出するための好適な反応条件ならびに方法は、当業者には既知である。例えば、基質O−フェニレンジアミンの生成物に関しては、490〜495nmの吸光度が都合良く分光光度計により測定される。.
【0086】
また、アッセイは、生体試料中に存在するAgIおよび抗体が沈殿条件下で複合体を形成するように、溶液中で実施できる。一特定の実施形態において、特異的AgIを、直接化学的または間接的カップリングによる等の当技術分野では既知のカップリング技術を使用して、固相粒子(例えば、アガロースビーズ、ラテックスビーズ等)に固定化できる。AgIコーティングされた粒子および遊離型交差反応性抗原(例えば、固相粒子に固定化されていない)を、次いで好適な結合条件下で抗AgI補体固定抗体を含有していることが疑われる生体試料に接触させる。結合した抗AgI補体固定抗体およびC1q(例えば、自己または外因性)間の架橋結合は、粒子−抗原−抗体複合凝集体の形成を引き起こし、洗浄および/または遠心分離を使用して沈殿かつ、試料から分離できる。反応混合物を、検出可能に標識された抗C1q抗体を含む上述のそれらの免疫診断方法等の多くの標準手段のいずれかを使用して、抗体抗原複合体の存在または不在を決定するために分析できる。
【0087】
さらなる実施形態において、特異的AgIを第1の固相粒子(例えば、アガロースビーズ等)に固定化でき、交差反応性抗原を第2の固相粒子(例えば、磁気ビーズ)に固定化でき、ここで第1の固相粒子および第2の固相粒子は異なる。かかる実施形態において、交差反応性抗原でコーティングされた粒子および特異的AgIでコーティングされた粒子を、次いで好適結合条件下において抗AgI補体固定抗体が含有されることが疑われる生体試料に接触させる。粒子−交差反応性抗原−抗体複合体は、次いで試料から分離される。例えば、交差反応性抗原が磁気ビーズ等の第1の粒子に結合する場合、粒子−交差反応性抗原−抗体複合体は、多くの標準手段のいずれかを使用して溶液から分離され得る。次いで、反応混合物を、上述の方法を使用して、補体固定抗体−特異的AgI抗原複合体の存在または不在を決定するため分析することができる。
【0088】
さらなる別の実施形態において、本発明を使用する感染(例えば、細菌性またはウイルス性)を診断するための方法は、特異的AgIに交差反応できるいずれの抗体も除去するため、第1に任意で試料を交差反応性抗原に接触させること、次いで試料中の抗AgI補体固定抗体を結合するために、試料を特異的AgIに接触させることにより、試料中の抗AgI補体固定抗体の存在または不在を検出するためのアッセイデバイスの使用を含む。かかる実施形態において、アッセイデバイスは、少なくとも試料適用領域、予吸収ゾーン、および検出ゾーンを含み、ニトロセルロース膜ストリップ等の液体流動を行う能力がある膜から構成されるであろう。任意で、膜は、ポリエチレンストリップ等の剛性または半剛性の支持面上に提供され得る。代表的実施形態において、予吸収ゾーンは、試料適用領域および検出ゾーン間に挿入されるであろう。ゾーンの場所は、液体の膜に沿った側方流動が、試料の全ての成分を、第1に予吸収ゾーンに接触させ、次いで検出ゾーンに接触させることを引き起こすような場所であろう。したがって、試料適用領域からの膜に沿った液体流動は予吸収ゾーンの方向に向かい、次いで検出ゾーンは、膜を介した毛管現象により促進される。側方流動アッセイデバイスを使用する例示的側方流動アッセイデバイスおよび検出方法は、例えば、米国特許第6,146,589号に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
代表的実施形態において、交差反応性抗原は、予吸収ゾーン中に固定化され、特異的AgIは、検出ゾーン中に固定化される。抗AgI補体固定抗体の存在または不在の検出は、第1に試料を試料適用領域に添加すること、膜ストリップを通る毛管現象により試料を移動させることにより行われる。試料が膜ストリップを越えて移動するため、試料が第1に予吸収ゾーン中に固定化された交差反応性抗原と接触し、予吸収された試料が得られる。予吸収された試料は、次いで検出ゾーンに移動し、固定化された特異的AgIに接触する。存在する場合、抗AgI補体固定抗体は、固定化されたAgIに特異的に結合し、C1q(例えば、自己または外因性)は、次いで抗AgI補体固定抗体に特異的に結合する。検出可能に標識された抗C1q抗体は、次いで検出ゾーンと接触し、C1qおよび抗AgI補体固定抗体複合体の存在を上述のように検出する。検出可能に標識された抗C1q抗体分子は、捕捉された試料C1qにも反応し、この第2の結合分子の存在は、上述の方法および当技術分野では周知の方法を使用して検出される。
【0090】
上述の実施形態のいずれにおいても、非特異的に結合したタンパク質または他の分子の存在を完全に洗い流されるのに十分な量で、1〜6回の洗浄が用いられ得る。
【0091】
キット
上述のように主題方法を実践するにあたって使用を見出されるキットがまた提供される。主題方法を実践するためのキットは、抗AgI補体固定抗体の存在または不在についてヒト対象に由来する試料をアッセイするための試薬を少なくとも含み、かかるキットは、特異的AgI、および/または特異的AgI、検出可能に標識された抗C1q抗体、直接標識された外因性C1q、ならびに酵素基質等のシグナル産生系のメンバーを含む免疫アッセイデバイス、主題検出アッセイを行うにあたっての使用のための様々な緩衝液、試料中の抗AgI補体固定抗体の存在または不在を決定するための参照等を含む。
【0092】
幾つかの実施形態において、組成物は、生体試料を希釈するのに好適な溶液中で提供されるであろう。概して、生体試料を希釈するのに好適な溶液は、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液を含むであろう、かつ例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等の非特異的遮断薬、Triton−X−100等の洗浄剤等の追加の物品を含み得る。
【0093】
キットはさらに、ヘパリン、Ficoll−Hypaque、溶解緩衝液、プロテアーゼ阻害剤等の、患者由来試料の調製において使用され得る、1つ以上の試薬を含む。加えて、主題キットは、例えば、ポリアクリルアミドゲルの乾燥前駆物質、1つ以上の緩衝媒体またはその成分等の電気泳動媒体またはその前駆物質等の試料の分画で用いられる、1つ以上の成分をさらに含み得る。
【0094】
ある実施形態において、キットはさらに、少なくとも情報ストレージおよび提示媒体を含み、媒体は、アッセイ結果が感染を診断するために比較され得る参照データ、例えば、上述のように、細菌性またはウイルス性供給源に由来する目的の抗原に特異的に結合する抗AgI補体固定抗体の存在と、正または負に相関する参照データを含有する。情報ストレージおよび提示媒体は、添付文書上に印刷された情報、電子貯蔵媒体上に存在する電子ファイル、例えば、磁気ディスク、CD−ROM等の任意の有用な形態であり得る。さらに他の実施形態において、キットは、参照データを得るための代替の方法を含み得る、例えば、参照データ「オンライン」を得るためのウェブサイトである。
【0095】
キットは、患者試料を得るための手段、例えばシリンジをさらに含んでもよい。主題キットは、主題方法を行うための説明書をさらに典型的には含み、これらの説明書は、添付文書および/またはキットの梱包上で存在し得る。最後に、キットは、抗AgI補体固定抗体の存在を検出するのに使用される、追加の生化学的アッセイからの1つ以上の試薬をさらに含み得る。
【0096】
キットの成分は別々の容器に存在し得るか、あるいは1つ以上の成分は同一容器に存在し得、容器は、貯蔵容器および/またはキットが設計されているアッセイのための容器であり得る。
【0097】
デバイス
上述のように、主題方法を実践するにあたって使用が見出されるデバイスが提供される。主題方法を実践するためのデバイスは、抗AgI補体固定抗体の存在または不在に対する、ヒト対象に由来する試料のアッセイのための試薬を少なくとも含み、かかるデバイスは、特異的AgIおよびアガロースまたはラテックスビーズ等のマイクロタイタープレートまたはミクロビーズ等の固体支持体の表面上に任意で固定化された交差反応性抗原を含む。
【0098】
ある実施形態において、マイクロタイタープレートは、プレートの各ウェルの表面に固定化された唯一のAgIと共に提供されるであろう。他の実施形態において、マイクロタイタープレートは、プレートの各ウェルの表面上に固定化された同一AgIと共に提供されるであろう。ある実施形態において、ミクロビーズの集団は、ミクロビーズの集団の表面に固定化されたAgIと共に提供されるであろう。ある実施形態において、ミクロビーズの集団は、ミクロビーズの各サブ集団の表面に固定化された唯一のAgIと共に提供されるであろう。例えば、ミクロビーズの集団は、各サブ集団が唯一の固定化されたAgIを含む10個のサブ集団を含むように提供されるであろう。例えば、HLAクラスI抗原(表1および表3)の30個およびHLAクラスII抗原(表2および表4)の30個は、単一抗原形態(表1および2)か、あるいは1個のHLAサブタイプに特異的に結合する補体固定抗体を同定するにあたっての使用のためのサブ集団(表3および4)中で、ラテックスビーズ等のミクロビーズの表面上に固定化され得る。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
多数のかかるデバイスは、当技術分野において周知である。非限定的実施例において、デバイスは、直接化学的または間接的カップリング等により、当技術分野において既知のカップリング技術を使用して固相粒子(例えば、アガロースビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ等)に固定化されたAgIを含む。粒子−AgI複合体は、次いで上述のアッセイで使用できる。幾つかの実施形態において、AgIは、例えば、ポリペプチド等の結合部分により、固相粒子に固定化される。
【0104】
該デバイスと共に実践される方法において必要とされるまたは所望される追加の物品が、存在し得、該追加の物品は、患者試料を得るための方法、例えば、シリンジ;ヘパリン、Ficoll−Hypaque、溶解緩衝液、プロテアーゼ阻害剤等の患者由来試料の調製のために必要不可欠である1つ以上の試薬;題デバイスを使用して主題方法を行うための説明書;抗AgI補体固定抗体の存在または不在を検出するのに使用される、追加の生化学的アッセイからの1つ以上の試薬を含むが、それらに制限されない。
【0105】
幾つかの実施形態において、デバイスはまた、生体試料を希釈するために好適な溶液と共に提供される。概して、生体試料を希釈するために好適な溶液は、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液を含むであろう、かつ例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等の非特異的遮断薬、Triton−X−100等の洗浄剤等の追加の物品を含み得る。
【0106】
別の非限定的実施例において、装置は、少なくとも3つの領域(液体輸送領域、試料領域、および測定領域)を有するニトロセルロース膜等の好適なフィルターまたは膜の持続的流動経路を、概して用いるであろう。試料を受取する前に、試料領域は、液体伝達が流動経路の他の部分に接触するのを防がれる。試料領域が試料を受取した後、それは、液体輸送領域(例えば、試料領域は液体輸送領域と流体車通である)と、液体伝達関係をもたらされる。液体伝達領域は、交差反応性抗体を結合するために、固定化された交差反応性抗原を任意で有し得る。液体輸送領域の試料受取後、それは、測定領域と、液体伝達関係をもたらされる(例えば、液体輸送領域は測定領域と流体連結である)。測定領域には、特異的AgIが固定化されており、次いで検出可能に標識された抗C1q抗体がアッセイされた試料と組み合わされ、上記のようにアッセイが実行される。
【0107】
さらなる別の非限定的実施例において、デバイスは尿試験紙であり、その表面の異なる領域に、(1)特異的AgI、および任意で(2)交差反応性抗原、親和性試薬が結合している。かかる例示的デバイスにおいて、特異的AgIへの抗AgI補体固定抗体の結合およびその後の結合した抗AgI補体固定抗体に対するC1q(例えば、自己または外因性)の結合を可能とするのに好適な条件下で、尿試験紙を、ヒト対象に由来する試験試料(例えば、血液、血清、または尿)に直接挿入する。尿試験紙は、次いで試料から取り出され、必要であれば、非特異的結合物質を除去するために洗浄される。尿試験紙は次に、ヒトC1qに特異的に結合する検出可能に標識された抗C1q抗体、または断片、またはその模倣薬を含有する容器に挿入される。ヒトC1qおよび抗AgI補体固定抗体−AgI複合体への抗C1q抗体の結合に対して十分な時間のインキュベーション後、尿試験紙は、洗浄され得、抗C1q抗体の結合が標準手段により検出される。第2の抗体の検出が必要である場合、尿試験紙は、第2の抗体上の検出可能な標識を活性化する試薬を含有する第2の容器に挿入され得る。あるいは、同様の実施形態は、抗C1q抗体に代わり直接標識された外因性C1qを使用できる。かかる実施形態において、尿試験紙が試料から取り出された後、尿試験紙は洗浄され得、直接標識された外因性C1qの結合は標準的な方法により検出され得る。
【実施例】
【0108】
以下の実施例は、本発明を作製および使用するための完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、発明者が彼らの発明の範囲であると見なす範囲を限定することを意図しておらず、以下の実験が全てまたは実施された実験のみであるとして表すことも意図しない。使用された温度(例えば、量、温度等)に関しては正確性を保証する努力が成されてはいるが、幾つかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別途表示されない限り、部分は重量による部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気気圧で、または大気気圧付近でのものである。
【0109】
実施例1
C1q HLA抗体アッセイ
方法および材料
以下の方法および材料を、以下の実施例において使用した。
【0110】
材料
LABScreen Single抗原およびPRAキットをOne Lambda(Canoga Park, CA)より購入した。ヒツジ抗ヒトC1qのPE抱合体を、Meridian Life Science、Inc. (Saco, Maine 04072)より購入した。IVIG(Gamimmune−N)、0.2Mのグリシン中10%、pH4.4が、Bayer Corporationにより提供された。
【0111】
方法
1. 細胞傷害性依存性細胞傷害(CDC)
10−S−150 細胞傷害性交差適合−T細胞。
10−S−151 細胞傷害性交差適合−B細胞。
2. CDCインビトロ静脈内ガンマグロブリン(IVIG)阻害
10−S−150 細胞傷害性交差適合−T細胞。
10−S−151 細胞傷害性交差適合−B細胞。
3. Luminex IgG(シングル抗原ビーズおよびPRAビーズ):
10−S−127 LUMINEX IgGシングル抗原ビーズアッセイ。
4. Luminex C1q(シングル抗原ビーズおよびPRAビーズ)実験手順
以下の手順を、シングル抗原ビーズおよびPRAビーズのLuminex C1q実験手順に対して使用した、
4.1. 20ulの血清を、2.5ulのHLAクラスIおよび/またはHLAクラスII−Agでコーティングされたビーズ(シングル抗原/混合抗原ビーズ)と20分室温でトレーシェイカーにおいてインキュベートした、
4.2. 洗浄無しで、10ulのPE抱合された抗ヒトC1qを添加し、さらに20分レーシェイカーにおいて継続してインキュベートする、
4.3. ビーズを200ulのLuminex洗浄緩衝液で2回洗浄し、60ulのPBSで再懸濁する。
4.4. 試料を得、Luminex機器上でデータを収集する、
4.5. LABScreenソフトウェアを使用してデータ分析を進める。
【0112】
カットオフ設定
陽性HLA−Ab特異性は、以下の2つの判断基準の双方を充たさなければならない、
a. スコアは、One Lambdaに提供される式に基づき>4であるべきである、かつ
b. PEの未加工の蛍光シグナルは、>100であるべきである。
【0113】
5. IVIGインビトロ阻害Luminex C1q試験のための試料調製
以下の3つの試料を、インビトロIVIG阻害試験において使用した、
a. 未希釈血清(既知の抗HLA特異性)、
b. [10%ヒトアルブミン、0.2Mグリシン/PBS]緩衝液中1:2で希釈された血清;pH7.4
c. 10%のIVIG(担体として0.2Mのグリシン緩衝液中の)中1:2で希釈された血清;pH〜4.4。
【0114】
IVIG阻害アッセイ対照としての役割を果たすために、上記のように調製されたAB陰性非感作男性血清
【0115】
6. インビトロ阻害CDC試験のための試料調製
希釈液として使用された0.2Mのグリシン/PBS緩衝液(pH7.4)を除き、試料を、上記のLuminex C1q試料調製と同一様式で調製した。上述の手順は1段階手順である。以下の手順は使用しても良い多段階手順である、
a). 余分のヒトC1qの添加有りおよび無しの2段階洗浄
b). 余分のヒトC1qの添加有りおよび無しでアッセイを実施する前のDTT処理血清。
c). 第2の抗体としてPE抗C3を使用。
d). 1段階手順を伴うLuminex PRAビーズ。
e). C1q添加有りおよび無しの血清の熱失活。
【0116】
7. 検証実験設計
全ての検証実験を「盲験」原則に基づき実施した。全ての形式的検証試料を、AHG−CDC、Luminex IgG、およびLuminex C1qアッセイにより同時に試験した。
【0117】
8. アッセイ間/アッセイ内アッセイQC試料
以下の事前に定義されたQC試料を、QC監視方法のために使用した:
アッセイ間アッセイQCのための陽性対照:
PPS、3%のHBSA(Dr. Robert Brayの厚意により提供された)中1:10で希釈された広範に特異的HLA抗体。
アッセイ内アッセイQCのための陽性対照:
Harbury;未希釈;既知のHLA抗体特異性(組織内分類血清)を有する。
アッセイ間アッセイQCのための陰性対照:
輸血または移植の既往が無いシングルAB陰性男性ドナー。
【0118】
全てのQC試料を、事前に試験し、小さい一定分量で凍結した。各一定分量を、シングルバッチアッセイのためにのみ使用した。アッセイ内アッセイQCの場合、Harbury血清の10個の複写物を、同一バッチアッセイで試験し、PPSおよびシングルAB QC血清を、アッセイ間アッセイQCのためのアッセイの各バッチ中で試験した。3つの異なる蛍光強度のレベル(相対的数値として表した)中の3つの群のデータを、変動係数(CV%)算出のために使用した。各郡は、5つの蛍光強度の数値を含有した。
【0119】
9. 試料供給源
合計91個の盲試料を、Luminex−C1q検証研究で使用し、CDCおよび/またはLuminex−IgG結果と比較した。全ての検証試料を以下の供給源より得た:
1. 事前に定義されたHLAタイピング血清(N=16)、
2. ランダム組織内臨床血清(N=42)、
3. Wisconsin(N=11)からのランダム臨床血清、および
4. ランダム男性AB血清(N=22)。
【0120】
30個の試料(インビトロ試料)にIVIGインビトロ阻害試験を行い、11個のIVIG前およびIVIG後血清(インビボ)を収集し、CDC、LMX−C1Q、およびLMX−IgG方法により試験した。
【0121】
結果
(Ab−Ag)複合体の形成および補体C1qの固定化は、古典的経路カスケードおよびCDCの初期イベントである。C1q固定化の量は、細胞死、古典的経路カスケードおよびCDCの終端段階と直接相関している。顕微鏡下で細胞死のパーセントを視覚的に見積もる代わりに、Luminex−C1qが、高処理能力Luminex技術を使用してHLA−(Ab−Ag)複合体によりC1q固定化を検出するために設計された。
【0122】
反応において、シングルHLA抗原で個々にコーティングされたLuminexビーズを血清とインキュベートし、HLA−Ab(存在する場合)を、対応するAgビーズに結合させ、血清からの補体C1qを固定させ、続いて蛍光標識された抗ヒトC1q(PE抗C1q)を添加した。追加のインキュベーション後、ビーズを洗浄し、各ビーズ表面上のPE蛍光の強度を、Luminex機器により測定した。
【0123】
各HLAシングル抗原ビーズ上のPEの強度は、対応するHLA(Ab−Ag)複合体の補体固定化能力を表し、CDC効果と比例して相関する。
【0124】
Luminex−C1方法の設計および最適化
2段階対1段階手順
追加のヒトC1qの添加有り/無しの1段階および2段階手順を評価した。データは、1段階手順がバックグラウンドノイズ、検出の感受性、および方法の単純性に関して2段階手順よりも優れていることを示した(図7)。
【0125】
試料希釈液の効果
5つの異なる希釈液を1段階Luminex−C1qで評価した、
a.3%のHBSA、
b.0.2Mのグリシン緩衝液;pH4.4、
c.PBS中の0.2Mのグリシン;pH7.2、
d.グリシン緩衝液中の10%のヒトアルブミン;pH4.4、および
e.0.2Mのグリシン緩衝液/PBS中の10%のヒトアルブミン;pH7.2。
【0126】
興味深いことに、上記の希釈液のそれぞれで血清を1:2に希釈した場合、グリシンを用いる希釈液のみが、Luminex−C1qアッセイにおいて、事前に定義された陽性血清でC1q固定を劇的に上昇させた(未希釈血清結果と比較して2〜8倍上昇)。グリシン緩衝液によるC1q固定化の上昇は、(a)C1q固定の直接的向上、および/または(b)CFAb結合を間接的に向上させ、それによってC1q固定を上昇させることによって生じえる。また、IgG結合に及ぼすグリシン、3%のHBSA、およびPBSの効果をLuminex−IgGアッセイで評価した。IgG結合の上昇に代わり、全ての希釈液は、IgG結合を比例して減少させた。したがって、グリシン緩衝液は、未知のメカニズムを介してC1q固定化を直接向上する。
【0127】
検出の感受性および方法の安定性の双方の結果および考慮に基づき、0.2Mのグリシン緩衝液/PBS(pH7.2)中の10%のヒトアルブミンを、Luminex−C1q IVIG阻害アッセイに対して使用するのに最良の希釈液として最終的に選択した。
【0128】
C3固定化
HLA−Ab(Ab−Ag)複合体への補体C3の固定化をまた、1段階および2段階手順の双方で、PE抱合された抗ヒトC3Abを使用して評価した。C3固定化は、アッセイで検出可能ではなかった。PE抗C3が最適化されていない、あるいは抗体自体が不十分な親和性を有することが考えられる。必要であれば、さらなるC3抗体が試験可能である。
【0129】
CDCおよびLuminex−C1qの相関関係
合計78つの血清を、CDCおよびLuminex−C1qの双方により試験し、得られた結果は相互間で高く相関した(N=76、97%、添付の「LMX−C1q検証試料−通常試料(図16A〜N)およびLMX−C1q検証−IVIG試料(図17A〜J)」を参照されたい)。血清中に存在する全ての結合するAbをLMX−IgG使用し測定した場合、LMX−C1Qが、CF AbをCDCより優れて同定した22の血清が存在した(N=22、28%)。また、全ての試験された試料において、CDCにより選別されたHLA、IgG特異性はLuminex−C1qでも陽性であった。Luminex−C1qアッセイは、CDCでは見られなかった、限定的一連のさらなるCF HLA−Ab特異性をしばしば選別する。Luminex−C1qにより検出された全ての「追加の(extra)」特異性はまた、Luminex IgGアッセイでも検出され、LMX−C1Qアッセイの高い感受性を裏付けている。広いHLA−Ab特異性を伴う血清の場合、CDCは、いずれの特異性も判定できないが、Luminex−C1qは、それらの特異性を明確に同定することができる(#2、#21、#36、#37、#40、#42、#64、N=7、9%)。
【0130】
別の5つの血清(#6、#9、#18、#67、#70、6.4%)は、CDCで「不明確または定義されていないHLA−Ab特異性」と判定されたが、Luminex−C1qおよびLuminex−IgGにより、明確な特異性が判定された。試料#7、#10、#11、#27、および#28(N=5、6.4%)中で、CDCにより誤同定された特異性が判定されたが、それらは、どちらのLuminex アッセイ(C1qまたはIgG)においても見出されなかった。
【0131】
4つの血清(試料#2、#3、#7、および#10、N=4、5.1%)は、CDCでは幾つかの特異性を同定したが、これらはLuminex−C1qでは陰性であった。次いで、CDCにより盲試料を再試験したところ、繰り返し陰性であり、CDCによる誤った判定を裏付けている。Retuxan処置を受けている患者血清が1つ存在し、Luminex−C1qは、クラスIおよびII双方の特異性を同定することができたが、全てのB細胞が血清中の細胞傷害性Rituxanにより死滅されるため、CDCでは特異性を測定することができなかった。
【0132】
CDCにより試験されたDTT処理された血清中で検出されたいずれのIgM特異性(図16A〜Nの#38、#41、#64、#67、および#76および図17A〜Jの#7)はまた、Luminex−IgG(#38、#41、#64、および#67のみLuminex−C1qにより選別された)において検出された対応するIgGを有することが観察された。これは、同一Ag特異性に対するIgMおよびIgGの同種抗体の双方の共存がインビボで一般的な現象であり得ることを示唆する。
【0133】
CDCにより検出されたIgM特異性は、Luminex−C1qアッセイで陰性あった(図16A〜Nの#76および図17A〜Jの#7)。[その後の研究がこの観察を裏付けている]。C1qは、IgM(Ab−Ag)複合体に結合し得ない、または抗C1q抗体は、立体障害により複合体中でC1qに接近し得ない。
【0134】
別の2つの明らかに無相関試料(N=2、2.6%)が、検証中に見出された。試料#13は、CDCおよびLuminex−IgGの双方では検出可能であるがLuminex−C1qでは検出可能ではないA23、B57、およびB58を有し、試料#24は、CDCおよびLMX−IgGで検出可能であるがLuminex−C1q検出可能ではないB54、55、56、61、81を有した。(B61=CDCにより誤って判定されていることを留意されたい)。これらの2つの疑わしい試料を、外因性ヒトC1Qを用いて「スパイク(spiking)」により繰り返したところ、完全なる一致が観察された。全体から見て、CDCにより試験された27%(N=21)の試料が、広くまたは誤って判定され、かつ/または定義されていない特異性を有した。全てが、Luminex−C1qにより明確な特異性を有した。
【0135】
CDCと比較した場合、Luminex−C1qは追加の特異性を検出するが(LMX−IgGにおいても観察された)、その包含関係(LMX−C1qがCDCにより検出された全ての特異性を含む)が100%(78/78)であった。
【0136】
Luminex−IgGおよびLuminex−C1q間の相関関係
検証された試料からの結果は、Luminex−C1qにより判定された全てのHLA−Ab特異性がまたLuminex−IgGによっても見出されたことを示している。我々が試験した全ての試料において、Luminex−IgGは、CDCおよび/またはLuminex−C1qにより検出されるより特異性を常に定義した。これは、それぞれCDCおよびLMX−C1Qでは検出不可能な、非CF AbおよびIgMの検出を欠くためである。Luminex−IgGは、試料#1、#5、#29、#30、#38、#65、#71、および#77(N=8、10%)中で非CFAbを選別するようである。LMX−IgGはまた、正常な非感作AB陰性男性ドナー血清(#27、#28、および#88)中で特異性を検出したが、理論上それらは、アッセイにおいて陰性であるべきである。
【0137】
CDCおよびLuminex−C1qは、同一原則、すなわち補体固定抗体の検出に基づいており、免疫応答において臨床的に意義のあるものとして長いこと評価されてきた。しかしながら、Luminex−IgGは、その結合の下流効果を考慮せずに、IgG−結合の原則のみに基づいている。したがって、方法感受性の比較は情報的に有益ではあるが、試験が原理的に異なるため、試験検証の基盤ではない。より優れたアッセイ系を判断するための基準は、最高のドナー−レシピエントのマッチング、急性拒絶反応の予測および移植後の監視に対する信頼できる情報を提供する、それらの臨床的に関連する同種抗体を明確に同定することである。CDCは、その臨床的有意性において実証されているため、我々のLuminex−C1q検証研究において、我々は主にCDCとの比較に焦点を絞った。また、Luminex−IgGを参照に使用し、結果をさらに裏付けた。
【0138】
インビトロIVIG阻害試験およびインビボIVIG処理された患者試験
合計11人の患者血清試料を、IVIG阻害研究で使用した。Luminex−C1q、CDCおよび/またはLuminex−IgGの並列実験を、同時に実施した。IVIG阻害試験をCDCおよびLuminex−C1qにより実施したが、Luminex−IgGでは実施しなかった。後者がこの目的に対して適切なアッセイではないためである(IVIGスパイク結果、図8〜9を参照されたい)。
Luminex−C1qインビトロIVIG阻害試験の全ての結果は、IVIG後試料中に見られるインビボIVIG効果と完璧にマッチし、それらの試料中においてさえ、IVIGは、特定の特異性の差別的な阻害をもたらし、他についてそのような阻害を生じなかった(図10)。IVIG前および後の血清のフォローアップ試料を、Luminex−C1qにより、IVIGにより複数回処置された一患者において試験した。インビトロIVIG阻害試験は、差別的な阻害パターンを示し、A24は阻害され、A2、68、69は阻害されなかった。患者がIVIG処理を受けた後、フォローアップIVIG後試料を、Luminex−C1qアッセイのために採取し、同一阻害パターンを確認した(図11〜13B)。大抵の場合において、Luminex−C1q IVIG阻害結果はまた、CDC IVIG阻害試験の結果と相関するか、あるいはその結果よりも優れていた。
CDCおよびLuminex−IgGと比較して、IVIG研究グループから得られた検証データは、明確にLuminex−C1qの利点を示した(図16A〜Nおよび図17A〜J)。
【0139】
考察
移植片レシピエント(潜在的)の血清中に存在している臨床的に関連のある/有害なHLA同種抗体の正確な同定は、移植前の重要な段階である。移植分野では、細胞傷害性同種抗体(CFAb)が超急性拒絶反応を引き起こすことが概して認められている。
【0140】
補体固定特性に基づき、レシピエント血清中に存在し得るHLA抗体(HLA−Ab)の2つの主要なカテゴリー、例えば、CFAbおよび非CFAbが存在する。CFAbのみが有害であり、かつ臨床的に関連することが既知であるが、非CFAbの本来の免疫学的機能は明確ではない。フロー交差適合研究は、一部の結合抗体が無関係であり、一部は有害であることを示唆している。フロー中において、補体に結合する能力に関しての区別は従来されていない。事実上、幾つかの非CFAbは有益な抗体であり得、かつ正常な免疫恒常性を維持するのに重要な役割を果たす。我々の未発表のIVIG研究データは、幾つかのIgGが、HLA−Agに特異的に結合する正常ヒト血清中に自然に存在することを示唆する。細胞を死滅するためのCDCカスケードの活性化の代わりに、それらは保護作用を発揮し、細胞傷害性HLA同種抗体より得られるCDC効果を阻害する。そのメカニズムは、現在も調査中である。移植の実践において、抗体の2つのタイプを区別することが非常に重要である。
【0141】
補体C1qは古典的補体経路の鍵となる成分であり、抗体−抗原複合体と相互作用する第1の認識分子として作用し、補体カスケードを活性化する。抗体へのC1の結合はC1qを介し、それが固く固定される前に、C1qは、少なくとも2個の抗体分子と架橋結合しなければならない。3個の特徴的なタンパク質C1q、C1r、およびC1sを含む補体1(C1)複合体は、補体の古典的経路の鍵となる初期活性化段階であり、炎症過程の開始において重要な役割を果たす。補体C1qは、高い血清濃度(150ug/ml)の非常に安定なタンパク質分子である。我々の研究において、試験された最も古い血清は1976年に凍結され、それは、未だに優れたC1q結合活性を有した。理論的に、HLA同種抗体によるC1q固定化の検出は、古典的経路カスケードにおいて、他の遅発の下流補体要素の使用よりも優れている。本方法によって、スクリーンドナーが特定の抗体−抗原複合体に補体を固定可能であることを知ることができ、これは移植後のカスケードの連続的段階を活性化させるためのリスクの推定を提供する。我々の提示したLuminex−C1q方法の開発および検証データは、このアッセイ設計の理論的根拠のための強力な証拠を提供する。
【0142】
Luminex−C1q方法の開発および最適化の際、1段階、2段階(追加のヒトC1q有りおよび無し)、DTT血清処理、ならびに異なる希釈液を含む、手順に対する数個の異なる実験的設計を評価した。方法感受性、安定性、正確性、および単純性に基づき、最終最適化された1段階手順を調べ、検証研究において使用した。Luminex C1qインビトロIVIG阻害アッセイのために、0.2Mのグリシン/PBS緩衝液(pH:7.4)中の10%のヒトアルブミンを試料希釈液対照として使用し、希釈効果を調節した。
【0143】
この新しく開発されたLuminex−C1qは、CDCおよびLuminex−IgGの双方の特徴を完璧に混合し、同時に、それら2つのアッセイ中に存在する主要な欠点を除外する。一方で、LMX−IgGとは異なるがCDCのように、それは直接CFAbを検出し、無細胞、固相結合系を介してCDCより優れた機能的試験結果を与える。追加的に高い感受性を有するため、Luminex−C1qは、CDCではもれた低いレベルの細胞傷害性抗体を選別できる。もう一方で、CDCとは異なるがLMX−IgGと同様に、Luminexの高い処理量マルチプレックス検出系の使用のため、Luminex−C1qは、一回の反応で100近くまでの異なるHLA−Abを、容易かつ同時に同定できる。
【0144】
LMX−C1qは、実際にLuminx−IgGによりしばしば判定される非細胞傷害性Abによる偽の陽性結果を排除できる。Luminex−C1qアッセイはCFAbのみ検出し、かつIVIG(すなわち、IVIG処理された患者からの血清中に存在する非CF IgG)からの干渉を有さないため、LMX−C1qは、インビトロIVIG阻害試験に対して、確実に使用できる。Luminex−C1qアッセイは、IVIGインビボ効果の予測および監視においてその信頼性を提供する(図17A〜Jおよび図10〜15)。全ての3つの方法の結果を分析かつ比較することにより、以下のパターンが見出され、各試験系の理論的原則と一致する:
1.CDCにより判定されるいずれの特異性(IgMのため1つを除く)もLuminex−C1qに含まれ、含まれない場合には、CDCが不正確に解釈されたか、かつ/または非HLA抗体によるものである、
2.Luminex−C1qにより判定されるいずれの特異性も、Luminex−IgGにより検出された特異性中に含まれるが、必ずしもCDCにより検出されたものには含まれない、
3.Luminex−IgGが陰性である場合、Luminex−C1qは陰性であり、CDCにおけるDTT処理された血清もまた陰性であろう。
【0145】
実施例2
直接標識されたC1q HLAアッセイ
以下は、ヒト血清スクリーニングの例示的方法を提供し、Luminexマルチプレックス/シングル抗原ビーズ技術を使用し、HLA補体固定抗体(HLA−CFAb)を同定する。しかしながら、これらの方法を、いずれのフローサイトメトリーまたはELISA系を使用しても行うことができ、いずれの種類の補体固定抗体が、いずれのマルチプレックスまたはシングル抗原系を用いても同定できる。
【0146】
試験されるための血清を、LABscreenクラスIおよびLABscreenクラスIIシングル抗原ビーズミックス(One Lambda、Canoga Park、CA)、ならびにビオチン標識されたC1q等のLuminex(LMX)ビーズでコーティングしたHLAシングル抗原を用いてインキュベートした。補体依存性細胞傷害性(CDC)および間接的C1q(抗C1q)アッセイの双方により、血清Aが補体固定能力を有することは既知だ。それは限定的一連のHLA抗体特異性を有する。血清Bは陽性対照血清であり、CDCおよび間接的C1q(抗C1q)アッセイにより補体固定能力を有することが既知である。それは非常に広域である一連のHLA抗体特異性を有する。陰性対照は非輸血された男性AB陰性(ABO/Rh血液群タイプ)血清であり、いずれのアッセイにおいて固定補体を結合しないことが既知である。全ての血清を熱失活し、試験前にそれらを「脱補体」した。
【0147】
図18において例示されるように、試験血清中のHLA抗体は(1)対応するビーズ上でHLA抗原に結合し、(2)結合HLA−CFAb固定化されたビオチン標識されたC1q(Bio−C1q)は(3)HLA−CFAb/Ag/Bio−hC1qの複合体を形成する。反応物中に存在するR−フィコエリトリン抱合ストレプトアビジン(SA−PE)は、次いでBio−hC1qの複合体に結合する。LABscreen洗浄緩衝液で洗浄した後、ビーズをLuminex機器上で得た。各HLAシングル抗原ビーズ上でPE強度は、対応するHLA−Ab/Ag複合体の補体固定化能力を表し、比例して抗体の補体依存性細胞傷害性(CDC)効果と相関した。
【0148】
次いで、試験血清の反応パターンを、アッセイで使用した抗原ビーズミックスに関連した抗原アレイワークシートと比較し、付随の分析プログラムは、パネル反応性抗体(CPRA)の算出および抗HLA補体固定抗体特異性の定義のためのデータを提供した。
【0149】
先の実施例で説明したように、LMX−C1qアッセイにおいて直接標識されたC1qを使用するHLAの特異性の検出を、直接標識されたC1q(抗C1q抗体)を使用するLMX−C1qアッセイの実施の特異性と比較した。図19Aで表されるように、直接標識されたC1qを用いる検出が、真陽性の数の上昇をもたらした。図19Bは、標識されたC1qにより検出された陽性抗体のみを含む血清Bのサブセットを表示し、このサブセットは、直接標識されたC1q反応の強さにより配置される。各ケースにおけるX軸は、シングル抗原ビーズ(すなわち、各バーが、他の全てのバーとは異なる唯一のシングル抗原である)の特異性を表す。Y軸はMFI(平均蛍光強度)を表し、反応の強さの兆候である。
【0150】
また、インビトロIVIG阻害アッセイをこの方法で行い、該相関関係、および抗C1q抗体(図20A)および直接標識されたC1q(図20B)を用いるアッセイの実行の再現性を明示した。IVIGアッセイを上述のように行った。図20Bに表されるように、直接標識されたC1qは、IVIG阻害アッセイにおいて抗C1q抗体と同様に効果的であった。しかしながら、直接標識されたC1qも用いて行われたアッセイは、抗C1q方法を用いて行われたアッセイよりもより感受的であった。
【0151】
上記の結果は、この新しく開発されたアッセイが、簡便であり、信頼性があり、感受的であり、多覚的であり、特異的である高処理能力マルチプレックスHLA同種抗体試験であることをうまく明示している。それは、古典的CDCアッセイの代用となるであろう。このアッセイの原則は、いずれの細胞傷害性抗体検出に対しても使用される世界的技術のプラットフォームであり得る。
【0152】
前述されるものは、単に本発明の原則を解説するにすぎない。本明細書に明白に説明もしくは表されてはいないが、当業者は、本発明の原則を具体化し、その精神と範囲内に含まれるものである様々な構造を考案し得ることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載される全ての実施例および条件言語は、主に、読者が、本発明の原則、ならびに本発明者らによって貢献された当技術分野を推進するための概念を理解することを補助することを意図しており、かかる具体的に記載される実施例および条件に限定されることはない解釈されたい。さらに、原則、態様、および本発明の実施形態、ならびにその特異的実施例を記載する本明細書の全ての陳述は、その構造的および機能的同等物の双方を包含することを意図している。加えて、かかる同等物が、現在既知の同等物および将来的に開発される同等物の双方を含むことを意図している、すなわち、開発されるいずれの、構造にかかわることなく同一機能を実施する要素をもである。したがって、本発明の範囲は、本明細書で表され、説明される例示的実施形態に限定されることを意図していない。正確には、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法であって、
目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質を、対象からの生体試料および補体因子C1qと接触させることであって、前記接触は、前記試料中の抗AgI補体固定抗体を前記AgIに結合させ、補体因子C1qを前記抗AgI補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われ、
前記固体基質を、前記AgIに結合した抗AgI補体固定抗体に結合した前記補体因子C1qに特異的に結合する能力がある少なくとも1つの検出可能に標識されたリガンドでインキュベートすることと、
前記生体試料内で、前記AgIに特異的に結合する補体固定抗体の存在または不在を決定するために、前記補体因子C1qに結合した前記検出可能に標識されたリガンドの存在または不在を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記補体因子C1qは自己補体因子C1qである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補体因子C1qは外因性補体因子C1qである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記補体因子C1qは、自己補体因子C1qおよび外因性補体因子C1qの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固体基質はマルチウェルプレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固体基質は膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固体基質は微粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記微粒子はポリスチレンビーズである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記固体基質は細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記固体基質は細胞膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法であって、
目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質を、対象からの生体試料および直接標識された外因性補体因子C1qと接触させることであって、前記接触は、前記試料内の抗AgI補体固定抗体を前記AgIに結合させ、前記直接標識された外因性補体因子C1qを前記抗AgI補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われ、
前記AgIに特異的に結合する前記生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するために、前記抗AgI補体固定抗体に結合した前記直接標識された外因性C1qの存在または不在を検出することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記固体基質はマルチウェルプレートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記固体基質は膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記固体基質は微粒子である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記微粒子はポリスチレンビーズである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記固体基質は細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記固体基質は細胞膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
ヒト白血球抗原(HLA)に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法であって、
対象からの生体試料を異なるサブタイプの一群の微粒子および補体因子C1qとインキュベートすることであって、各微粒子は、異なる精製されたHLAサブタイプでコーティングされ、同一HLAを提示する細胞集団に由来し、前記インキュベートは、前記生体試料中の抗HLA補体固定抗体を前記HLAに結合させ、前記補体因子C1qを前記生体試料中の前記抗HLA補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われ、
前記微粒子を、前記HLAに結合した前記抗HLA補体固定抗体に結合した前記補体因子C1qに特異的に結合する能力がある少なくとも1つの検出可能に標識されたリガンドとインキュベートすることと、
補体固定抗体の存在または不在を決定するために、前記補体因子C1qに結合した前記検出可能に標識されたリガンドの存在または不在を検出することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記補体因子C1qは自己補体因子C1qである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記補体因子C1qは外因性補体因子C1qである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記補体因子C1qは、自己補体因子C1qおよび外因性補体因子C1qの組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記検出はフローサイトメトリーによる、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
ヒト白血球抗原(HLA)に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための方法であって、
対象からの生体試料を異なるサブタイプの一群の微粒子および直接標識された外因性補体因子C1qでインキュベートすることであって、各微粒子は、異なる精製されたHLAサブタイプでコーティングされ、同一HLAを提示する細胞集団に由来し、前記インキュベートは、前記生体試料中の抗HLA補体固定抗体を前記HLAに結合させ、前記補体因子C1qを前記生体試料中の前記抗HLA補体固定抗体に結合させるのに十分な時間行われ、
HLAに特異的に結合する前記生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するために、前記抗HLA補体固定抗体に結合した前記直接標識された外因性補体因子C1qの存在または不在を検出することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記検出はフローサイトメトリーによる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットであって、
目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質と、
補体因子C1qに特異的に結合する能力がある検出可能に標識されたリガンドと、
前記目的の抗原に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、キット。
【請求項46】
前記固体基質はマルチウェルプレートである、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記固体基質は膜である、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
前記固体基質は微粒子である、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項48に記載のキット。
【請求項51】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項48に記載のキット。
【請求項52】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項45に記載のキット。
【請求項53】
前記検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である、請求項45に記載のキット。
【請求項54】
前記検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である、請求項45に記載のキット。
【請求項55】
目的の抗原に特異的に結合する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットであって、
目的の抗原(AgI)を上に固定化させた固体基質と、
補体固定抗体に結合する能力がある直接標識された外因性C1qと、
前記目的の抗原に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、キット。
【請求項56】
前記固体基質はマルチウェルプレートである、請求項55に記載のキット。
【請求項57】
前記固体基質は膜である、請求項55に記載のキット。
【請求項58】
前記固体基質は細胞である、請求項55に記載のキット。
【請求項59】
前記固体基質は微粒子である、請求項55に記載のキット。
【請求項60】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項59に記載のキット。
【請求項62】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項59に記載のキット。
【請求項63】
前記微粒子はポリスチレンビーズである、請求項58に記載のキット。
【請求項64】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項55に記載のキット。
【請求項65】
前記直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン分子、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される、請求項55に記載のキット。
【請求項66】
ヒト白血球抗原(HLA)に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットであって、
一群の微粒子サブタイプであって、各微粒子サブタイプは、前記群が正常ヒト集団におけるHLAの分布をシミュレートするように、単一細胞株または複数の細胞株の前記HLA抗原集団を表すために、異なる精製されたHLAでコーティングされる、微粒子サブタイプと、
補体因子C1qと特異的に結合する能力がある検出可能に標識されたリガンドと、
HLAに対抗する対象からの試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含む、キット。
【請求項67】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項66に記載のキット。
【請求項69】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項66に記載のキット。
【請求項70】
前記微粒子はポリスチレンビーズである、請求項66に記載のキット。
【請求項71】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項66に記載のキット。
【請求項72】
前記検出可能に標識されたリガンドは、検出可能に標識された抗体またはその結合断片である、請求項66に記載のキット。
【請求項73】
前記検出可能な標識は、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種である、請求項66に記載のキット。
【請求項74】
ヒト白血球抗原(HLA)に対抗する対象からの生体試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するためのキットであって、
一群の微粒子サブタイプであって、各微粒子サブタイプは、前記群が正常ヒト集団におけるHLAの分布をシミュレートするように、単一細胞株または複数の細胞株の前記HLA抗原集団を表すために、異なる精製されたHLAでコーティングされる、微粒子サブタイプと、
補体固定抗体に結合する能力がある直接標識された外因性C1qと、
HLAに対抗する対象からの試料中の補体固定抗体の存在または不在を決定するための説明書と、を含むキット。
【請求項75】
前記微粒子はアガロースビーズである、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記微粒子はラテックスビーズである、請求項74に記載のキット。
【請求項77】
前記微粒子は磁気ビーズである、請求項74に記載のキット。
【請求項78】
前記微粒子はポリスチレンビーズである、請求項74に記載のキット。
【請求項79】
前記生体試料は、血清、血液、唾液、血漿、または尿である、請求項74に記載のキット。
【請求項80】
前記直接標識された外因性C1qは、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー分子、ビオチン、電子供与体、電子受容体、色素、金属、または放射性核種で標識される、請求項74に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図16H】
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【図16I】
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【図16J】
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【図16K】
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【図16L】
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【図16M】
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【図16N】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【図17I】
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【図17J】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2012−510618(P2012−510618A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538701(P2011−538701)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065984
【国際公開番号】WO2010/065425
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(503115205)ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (69)
【Fターム(参考)】