説明

補体活性化を阻害する修飾プロテアーゼ

【課題】 補体系を調節するための方法および化合物を提供すること。特に、補体活性化を阻害する化合物を提供すること、また補体活性化を促進する化合物を提供すること。
【解決手段】 補体活性化を阻害する化合物が、心筋梗塞および発作を含む虚血再灌流障害、セプシス、自己免疫疾患、炎症性疾患、ならびにアルツハイマー病および他の神経変性障害を含む、炎症成分を有する疾患の処置のために使用することができること見いだした。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体活性化を調節するための薬剤の製剤化のための、修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分の使用、ここで、
前記非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、スカフォールドプロテアーゼまたはスカフォールドプロテアーゼの触媒活性部分における特異性決定基であるアミノ酸残基で修飾を含む;
前記スカフォールドプロテアーゼがMT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分である;
修飾されたアミノ酸残基が、補体タンパク質である標的基質についての特異性および標的基質への活性の一方または両方を増加させる;および
前記非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、補体経路の1以上の標的基質を切断し、それにより前記標的基質を含む経路の補体活性化を変化させる。
【請求項2】
補体活性化の調節における使用のための、修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分を含む医薬組成物、ここで、
前記非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、スカフォールドプロテアーゼまたはスカフォールドプロテアーゼの触媒活性部分における特異性決定基であるアミノ酸残基で修飾を含む;
前記スカフォールドプロテアーゼがMT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分である;
修飾されたアミノ酸残基が、補体タンパク質である標的基質についての特異性および標的基質への活性の一方または両方を増加させる;および
前記非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、補体経路の1以上の標的基質を切断し、それにより前記標的基質を含む経路の補体活性化を変化させる。
【請求項3】
補体活性化を阻害する、請求項1に記載の使用または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
補体活性化の調節が、補体媒介性障害を有する対象の処置をもたらす、請求項1から3のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項5】
補体活性化の阻害が、炎症性障害、神経変性障害、および心血管障害の中から選択される補体媒介性障害に関連する炎症性症状の低下につながる、請求項3または4に記載の使用または医薬組成物。
【請求項6】
前記補体媒介性障害が、セプシス、関節リウマチ(RA)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、喘息、炎症性腸疾患、免疫複合体(IC)媒介性急性炎症性組織傷害、アルツハイマー病(AD)、虚血再灌流傷害およびギラン−バレー症候群の中から選択される、請求項5に記載の使用または医薬組成物。
【請求項7】
前記補体媒介性障害が虚血再灌流傷害であり、前記虚血再灌流傷害が、心筋梗塞症(MI)、発作、血管形成術、冠動脈バイパス術、心肺バイパス(CPB)、および血液透析の中から選択される事象または処置により引き起こされる、請求項6に記載の使用または医薬組成物。
【請求項8】
前記補体経路が、古典経路、代替経路、およびレクチン経路のうちの1つまたは複数である、請求項1から7のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項9】
前記標的基質が、C1q、C2、C3、iC3、C4、iC4、C5、C6、C7、C8、C9、MBL、B因子、D因子、P因子、MASP−1、MASP−2、C1r、C1s、C4b、C4a、C2b、C2a、C3b、C3a、Ba、Bbおよびフィコリンのうちの1つまたは複数である、請求項1から8のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項10】
前記標的基質が、配列番号298、299、300、302、304、305、306、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、326、328、330、332、334、335、338、340、および344のいずれか1つに記載されるアミノ酸の配列を含む、請求項1から9のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項11】
前記標的基質が、C2またはC3である、請求項1から10のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項12】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、配列番号2もしくは10に記載されるアミノ酸の配列を含む、またはそれと少なくとも60%配列同一性を有するアミノ酸の配列を有する変異体である、請求項1から11のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項13】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における前記修飾が、キモトリプシン番号付けに基づいて41、97、146、151、192および224の中から選択される位置における修飾を含む、請求項1から12のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項14】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における前記修飾が、拡張された基質特異性または相互作用の二次的部位に寄与する1つまたは複数のアミノ酸にある、請求項1から13のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項15】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における前記修飾が、I41T、I41A、I41F、I41D、I41E、D96A、D96V、D96F、D96S、D96T、F99A、F99V、F99S、F99G、F99Y、F99W、H143V、Y146F、G147E、G151L、Q174A、Q174R、Q174K、Q174H、Q174F、Q174V、Q174L、Q174Y、Q175E、Q175H、Q175L、Q175F、Q175W、Q175Y、Q175R、Q175K、M180E、Q192A、Q192E、Q192L、Q192I、Q192F、Q192K、Q192R、Q192V、Q192Y、W215F、W215Y、D217A、D217F、D217V、D217Q、D217N、D217H、Q221aL、Q221Ae、K224L、K224R、K224N、K224T、K224Y、およびK224Sのうちの1つまたは複数から選択される、請求項1から14のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項16】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における前記修飾が、キモトリプシン番号付けに基づいたI41T/Yl46D/G151L/K224N、Y146D/Q175D/K224N、Y146D/Q175D/K224N、Y146D/G151L/K224N、Y146D/Q175R/K224N、Y146D/Q175K/K224N、Y146D/Q175H/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175K/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175R/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175H/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175Y/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175K/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175R/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175H/K224N、およびI41T/Y146D/G151L/Q175Y/K224Nの中から選択される、請求項1から15のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項17】
MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における前記修飾が、配列番号35、36、41−69、419−447、524−533、568、592、622、646、および681−710のいずれかに記載されるアミノ酸の配列を有する修飾MT−SP1ポリペプチドにおける修飾に対応する、請求項1から16のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項18】
前記標的基質がC2であり、前記基質認識部位が、SLGRのアミノ酸の配列(配列番号392)を含む、請求項1から17のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項19】
前記非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分が、補体媒介性障害を処置するための第2の作用物質と組み合わせての投与用に製剤化される、請求項1から18のいずれかに記載の使用または医薬組成物。
【請求項20】
前記第2の作用物質が、抗炎症剤または抗凝固薬である、請求項19に記載の使用または医薬組成物。
【請求項21】
前記第2の作用物質が、NSAID、代謝拮抗物質、コルチコステロイド、鎮痛薬、細胞毒性薬、炎症促進性サイトカイン阻害剤、抗炎症性サイトカイン、B細胞標的作用物質、T抗原を標的にする化合物、接着分子遮断薬、ケモカイン受容体拮抗薬、キナーゼ阻害剤、PPAR−γリガンド、補体阻害剤、ヘパリン、ワルファリン、アセノクマロール、フェニンジオン、EDTA、クエン酸塩、シュウ酸塩、アルガトロバン、レピルジン、ビバリルジン、およびキシメラガトランのうちの1つまたは複数の中から選択される、請求項20に記載の使用または医薬組成物。
【請求項22】
スカフォールドプロテアーゼまたはスカフォールドプロテアーゼの触媒活性部分の1つまたは複数のアミノ酸における修飾を含む、修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分、ここで
前記スカフォールドプロテアーゼが、MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分であり、少なくとも2つ以上の修飾を含み、キモトリプシン番号付けに基づいて、第1の修飾は位置146にあり、第2の修飾は位置224にあり、ただし、
(i)前記プロテアーゼが2つの修飾のみを含む場合、前記プロテアーゼは、前記2つの修飾としてY146DおよびK224Fを含まず、
(ii)前記プロテアーゼが3つの修飾を含有する場合、前記プロテアーゼは、Y146DおよびK224Fと共に、F99VまたはIまたはLまたはTを含まない、および
前記修飾アミノ酸残基が、補体タンパク質である標的基質についての特異性もしくは標的基質への活性の一方または両方を増加させる。
【請求項23】
キモトリプシン番号付けに基づいた位置151における修飾を含む、請求項22に記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項24】
キモトリプシン番号付けに基づいた位置41における修飾を含む、請求項22に記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項25】
前記MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における修飾が、キモトリプシン番号付けに基づいたI41T/Y146D/G151L/K224N、Y146D/Q175D/K224N、Y146D/G151L/K224N、Y146D/Q175R/K224N、Y146D/Q175K/K224N、Y146D/Q175H/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175K/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175R/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175H/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175Y/K224F、I41T/Y146D/G151L/Q175K/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175R/K224N、I41T/Y146D/G151L/Q175H/K224N、およびI41T/Y146D/G151L/Q175Y/K224Nの中から選択される、請求項22から24のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項26】
スカフォールドプロテアーゼまたはスカフォールドプロテアーゼの触媒活性部分の1つまたは複数のアミノ酸における修飾を含む、修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分、ここで
前記修飾アミノ酸残基が、補体タンパク質である標的基質についての特異性もしくは標的基質への活性の一方または両方を増加させる;および
前記MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における修飾が、キモトリプシン番号付けに基づいたD96A、D96V、D96F、D96S、D96T、F99S、F99G、Q174H、Q174A、Q174V、Q174F、Q174R、Q174K、Q174L、Q174Y、Q192L、Q192I、Q192E、Q192K、Q192Y、D217Q、D217N、およびD217Hのうちの1つまたは複数から選択される。
【請求項27】
スカフォールドプロテアーゼが、配列番号2もしくは10に記載されるアミノ酸の配列、またはそれと少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸の配列を含むMT−SP1プロテアーゼである、請求項22から26のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項28】
前記MT−SP1プロテアーゼまたはその触媒活性部分における修飾が、配列番号41−51、56、57、60−64、67、419−429、434、435、438−442、445、524、525、527−530、532、533、および681−710のいずれかに記載されるアミノ酸の配列を有する修飾MT−SP1ポリペプチドに対応する、請求項22から27のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項29】
前記標的基質がC2またはC3である、請求項22から28のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項30】
前記標的基質がC2であり、前記基質認識部位が、SLGRのアミノ酸の配列(配列番号392)を含む、請求項29に記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分。
【請求項31】
請求項22から30のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分を含む医薬組成物。
【請求項32】
薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
全身、経口、経鼻、経肺、局所、または局部投与のために製剤化される、請求項31または32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項31から33のいずれかに記載の医薬組成物と、前記組成物の投与のためのデバイスとを含み、投与のための使用説明書を含んでいてもよいキット。
【請求項35】
請求項22から30のいずれかに記載の修飾非補体プロテアーゼまたはその触媒活性部分のいずれか1つをコードするヌクレオチドの配列を含む核酸分子。
【請求項36】
請求項35に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項37】
請求項36に記載のベクターを含む細胞。
【請求項38】
(a)請求項31から33のいずれかの医薬組成物、および
(b)補体媒介性障害を処置するための1つまたは複数の第2の作用物質
を含む組合せた物。
【請求項39】
1つまたは複数の前記第2の作用物質が、抗炎症剤または抗凝固薬である、請求項38に記載の組合せた物。
【請求項40】
前記第2の作用物質が抗炎症剤であり、前記抗炎症剤が、NSAID、代謝拮抗物質、コルチコステロイド、鎮痛薬、細胞毒性薬、炎症促進性サイトカイン阻害剤、抗炎症性サイトカイン、B細胞標的作用物質、T抗原を標的にする化合物、接着分子遮断薬、ケモカイン受容体拮抗薬、キナーゼ阻害剤、PPAR−γリガンド、補体阻害剤、ヘパリン、ワルファリン、アセノクマロール、フェニンジオン、EDTA、クエン酸塩、シュウ酸塩、アルガトロバン、レピルジン、ビバリルジン、およびキシメラガトランのうちの1つまたは複数の中から選択される、請求項39に記載の組合せた物。

【図1】
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【公開番号】特開2013−13420(P2013−13420A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223555(P2012−223555)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2008−536847(P2008−536847)の分割
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(508121599)カタリスト・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CATALYST BIOSCIENCES, INC.
【Fターム(参考)】