補助動力装置の性能検出方法
【課題】本発明は、補助動力装置APUの性能検出方法に関する。
【解決手段】当該方法は、前記APU稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得し、前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較し、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果に、それぞれの重みを指定し、さらに、重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断することを含む。
【解決手段】当該方法は、前記APU稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得し、前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較し、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果に、それぞれの重みを指定し、さらに、重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の設備稼働状態の検出の方法に関し、特に、空中補助動力装置の性能検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空中補助動力装置(Airborne Auxiliary Power Unit)とは、補助動力装置APUと簡単に呼ばれているが、機体後部に取り付けられる小型タービンエンジンのことである。APUの主要な機能は、電源および空気を供給することであり、また、一部のAPUは、航空機に付加的な推力を与えることも可能である。具体的には、航空機は、地上で離陸する前に、APUより電力供給されて主エンジンを駆動することにより、地上の電力、空気供給車に頼ることなく、航空機を発動する。地上では、APUはさらに、電力および圧縮空気を提供して、客室およびコックピット内の照明、空調を保証している。航空機が離陸する際には、APUがバックアップ電源として使用可能である。航空機着陸後も、APUにより照明、空調に電力が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
APUの機能によって、その稼働の安定性が決まるが、これは、航空機の運航コストおよびサービスの質に直接関係するものである。さらに、地上電源および空気供給源が確保できない場合、APUに故障が生じると、航空機の運航不能に直結してしまう。現在、APUの故障の排除およびメンテナンスは、ほとんど事後処理である。しかしながら、航空機設備において、APUは、メンテナンス費用が高い設備である。また、APU全体の部材の価格が高く、予備の部材を保持するコストも高く、故障後の修理に、4〜5ヶ月を要する。事後処理のメンテナンス方式では、APUの安定的な稼働は保証できない。さらに、APUを修理に出した後時間がかかることから、航空機の遅延ひいては欠航に直結する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術に存在する一つまたは複数の技術的課題に対し、本発明の一つの面によれば、補助動力装置APUの性能検出方法であって、前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップと、前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップと、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果にそれぞれの重みを指定するステップと、重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップとを含む補助動力装置APUの性能検出方法を提供する。
【0005】
本発明の別の面によれば、APU稼働排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度からなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップとを含むAPUの性能検出方法を提供する。
【0006】
本発明の別の面によれば、APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTからなる群から選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かを判断するステプと、前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップとを含むAPUの性能検出方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の航空機APUの構造模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根アセンブリの構造模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根制御構造の模式図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるAPU性能変化曲線の模式図である。
【図5】図5は、エアバス社のA13メッセージの一つの実例である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して、本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳細な説明を行う。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による航空機APUの構造模式図である。図に示すとおり、APU100は、発電機102と、ギヤボックス104と、空気圧縮機部106と、高温端部108とを備える。空気圧縮機部106は、高圧気体を発生させ、抽気を外部に提供する前端軸流遠心空気圧縮機105を備える。高温端部108は、後端軸流遠心空気圧縮機107を備える。後端軸流遠心空気圧縮機107は、高温端部108の燃焼室120に高圧気体を供給し、燃焼室120の燃焼で使用させる。APUの燃料システム(図示せず)は、燃焼室120にガソリン燃料を供給する。燃焼室120は、燃焼ガソリン燃料が高温高圧気体を発生することで、高温端部108のタービン140に仕事をし、タービン140を回転させる。タービン140は、軸103によって、前端軸流遠心空気圧縮機105に高圧気体を発生させ、同時にギヤボックス104を介して伝動し、発電機102を動かす。発電機102は、発電して外部に電力を供給する。
【0010】
APUは、一般的に軸流遠心式エンジンであり、例えばGTCP131-9A、APS3200等の型番である。APUと、航空機のエンジンとの最大の違いは、APU回転子は定速であるが、航空機エンジンの回転子は変速である点にある。したがって、APUは常に、一定の回転数において前端軸流遠心空気圧縮機105に圧縮気体を供給し、後部の負荷を供給する。APUは、高圧気体を導いて抽気負荷へ流れるか、または排気管に流れて排出するかを制御する一つの抽気制御バルブを備えている。したがって、抽気する圧力は側面から、前端空気圧縮機性能の善し悪しを反映している。
【0011】
抽気負荷の電力需要が大きいほど、前端軸流遠心空気圧縮機105が回転をする際の抵抗が大きくなる。一定の回転数を維持するためには、高温端部108がより大きいトルクを供給する必要がある。APUのガソリン燃料制御システムは、より多くのガソリン燃料を燃焼室120に輸送して燃焼させることにより、タービン140により多くの内部エネルギーを供給して、前端部分を定速で回転させるようにする。APUはさらに、APU排出気体の排気温度(Exhaust Gas Temperature,EGT)を測定する温度測定センサと、入口ガイド羽根(Inlet Guide Vane,IGV)アセンブリとを備える。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根アセンブリの構造模式図である。図に示すように、入口ガイド羽根アセンブリ200は、基本的に円盤形である。円盤底部寄りの側面には、複数の入口ガイド羽根(IGV)が設置されている。複数の入口ガイド羽根は、制御されて、異なる角度に開く。入口ガイド羽根の角度の範囲は、15度から115度である。入口ガイド羽根は、完全に閉じることがなく、羽根は、15度の位置において前端軸流遠心空気圧縮機105を冷却する。
【0013】
図3は、本発明の一実施形態の入口ガイド羽根制御構造の模式図である。図に示すように、入口ガイド羽根制御構造300は、入口ガイド羽根アクチュエータ(Inlet Guide Vane Actuator,IGVA)301と、それに接続されたライン可変作動変圧器(Line Variable Differential Transformer,LVDT)302とを備える。入口ガイド羽根アセンブリ200は、前端軸流遠心空気圧縮機105の入気通路上に取り付けられる。LVDTは、入口ガイド羽根アセンブリ200上のIGVに接続される。航空機の圧縮空気に対する要求に基づき、IGVAは、LVDTによってIGVが適切な角度に開くように制御する。
【0014】
APUのEGT温度測定器は、APUの排気温度EGTを測定する。APU自身の製造材料に制限があることから、EGTには、制限値、すなわちレッドライン値EGTRedLineがある。APU制御システムは、APUが温度逸脱時にバーンアウトしないように、一般的には、実際のEGTがレッドライン値EGTRedLine内になるよう制御する。したがって、温度が、温度逸脱レッドライン値に近づくと、APUの燃料システムは、ガソリン燃料供給を減らして、排気温度を下げる。同時に、ガソリン燃料供給が少なくなるために、今までの大きい負荷を動かそうとすれば、必然的に回転数が減少する。しかしながら、APUは、一定の回転数を維持しなければならないので、前端空気圧縮機の負荷を低下させるために、APUは、IGVAでIGVの角度を調整して、入気口を小さくし、気体が前端空気圧縮機に進入する量を減らして前端空気圧縮機の負担を減らす。これにより、前端空気圧縮機が出力する抽気圧力が小さくなり、流量が小さくなる。
【0015】
図4は、本発明の一実施形態によるAPU性能変化曲線の模式図である。使用時間が長くなるにつれて、全てのAPU性能が次第に劣化し、衰退指数が次第に増加している。APU性能の衰退指数が安定している場合、APU性能は穏定期にある。APUの性能の衰退が次第に加速すると、APUの性能は、衰退期に入る。ある閾値を超えると、APUの性能は故障期に入り、いつでも故障が生じる可能性がある。APUが故障期に入った後は、APUの使用に影響が生じて、サービルの質および運航の安全に悪い結果をもたらす。また、計画外のメンテナンスが容易に発生して、フライトの遅延や欠航を引き起こす。従来技術において、APUの性能が衰退期に入ったか否かを検出できる手段はまだ存在しない。これに対し、本発明の実施形態では、こうした検出が可能である。
【0016】
衰退期の検出には以下の利点がある。第一に、APUが衰退期にある場合、故障が発生する比率は依然として非常に低い。このタイミングで航空機にメンテナンスを行うよう選択すれば、運航の安全およびサービスの質が保証される。第二に、APUが衰退期にあることを検出した後、航空会社が適時航空機のメンテナンスを行うよう手配することにより、計画外のメンテナンスがなくなり、航空機の遅延が減少する。同時に、固定スケジュールでメンテナンスを行う場合のメンテナンスコストの浪費が避けられる。当然のことながら、本発明の実施形態は、故障期の検出にも適用可能である。
【0017】
APU性能に対する検出を実現するためには、航空機でのAPUの稼働状態を監視し、APU稼働の関連データを取得する必要がある。航空機システムが複雑になればなるほど、航空機データシステムの機能はますます強化されている。例えば、エアバスのAircraft Condition Monitoring System(ACMS)システムおよびボーイング社のAircraft Heath Monitor (AHM)システムがある。これらシステムの一つの特徴は、リアルタイムで航空機の稼働データを観測し、一定のトリガー条件を満たした場合、自動で特定データを含むメッセージを生成可能であることである。
【0018】
エアバス社のACMSシステムを例に取れば、ボーイング社のAHMシステムは、参照処理が可能であるが、ACMSシステムは、運航総合データシステムAircraft Integrated Data System (AIDS)を備える。そして、データ管理ユニットData Management Unit(DMU)は、AIDSシステムの核心である。DMUには、以下の非常に重要な2つの機能がある。
【0019】
-ブラックボックスからのデータを含む、航空機の複数のパラメータを収集、処理、記録する。これらパラメータは、AIDSデジタルレコーダDigital AIDS Recorder(DAR)といった、DMUの内部メモリまたは外部レコーダに保存される。
【0020】
-システムメッセージを生成し、航空機の状態またはシステムパラメータがメッセージのトリガー条件を満足する場合、メッセージを発動する。これらのメッセージはいずれも、DMUの不揮発性メモリに保存される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、例えばACMSまたはAHMシステムのような航空機データシステムを利用して、APUの稼働データを取得することが可能である。
【0022】
ACARSシステムは、ACARS管理ユニット(MU)と呼ばれる航空電子コンピュータおよび制御表示ユニット Control Display Unit (CDU)により構成される。MUは、地上からの超短波無線デジタルメッセージを送受信するためのものである。地上において、ACARSシステムは、無線送受信機構を備える地上ワークステーションにより構成されるネットワークからなり、メッセージ(データリンクメッセージ)を送受信可能である。これら地上ワークステーションは一般に、各サービスプロバイダが所有しており、送受信したメッセージは、ネットワーク上の異なる航空公司のサーバに分配される。本発明の一実施形態によれば、取得したAPUの稼働データを利用してAPUメッセージを生成し、APUメッセージをACARSによって地上のサーバに送信する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、APUメッセージは、航空通信網Aviation Telecommunication Network(ATN)の通信装置またはシステムによって伝送してもよい。
【0024】
実際には、従来の運航データシステムについていえば、APUの性能監視はすでに存在しているので、対応するAPUメッセージを自動で生成し、ACARSまたはATNで地上に伝送可能である。しかしながら、これらの監視データは、APU性能の衰退期の検出には用いられていない。
【0025】
例えば、エアバス社のA13メッセージすなわち(APU MES/IDLE REPORT)、またはボーイング社のAPUメッセージは、このようなAPUメッセージの実例である。
【0026】
以下の実施形態において、エアバス社のA13メッセージを実例として説明する。ボーイング社のAPUメッセージの処理は、これに類する。
【0027】
図5は、エアバス社のA13メッセージの一つの実例である。図に示すとおり、A13メッセージは主に4つの部分の情報を含み、それぞれ、ヘッダ、APU履歴情報、航空機エンジン駆動の稼働パラメータおよびAPU駆動パラメータである。
【0028】
ヘッダは、CCとC1フィールドとからなり、主に航空機のフライト情報、メッセージ発生航路区間、抽気バルブ状態、全温(すなわち外界温度)などの情報を含む。APU履歴情報は、E1フィールドからなり、APU番号、稼働時間、循環などの情報を含む。航空機エンジン駆動の稼働パラメータは、N1からS3までのフィールドからなる。そのうち、N1、S1が示すのは、一台目の航空機エンジンを駆動した際の稼働状況であり、N2、S2は、二台目の航空機エンジンを駆動した際の稼働状況を示し、N3、S3はAPUがエンジン駆動を完了した後のAPUアイドリング時の状況である。
【0029】
A13メッセージには、APU稼働状況と関連する複数のパラメータが含まれる。エンジン駆動の稼働パラメータには、EGT温度と、IGV開口角度と、空気圧縮機入口圧力と、負荷空気圧縮機入口温度と、抽気流量と、抽気圧力と、潤滑油温度と、APU発電機負荷とが含まれる。APU駆動時のパラメータには、駆動時間と、EGTピークと、EGTピーク時の回転数と、負荷空気圧縮機入口温度とが含まれる。
【0030】
A13メッセージにおけるパラメータ以外に、APUの性能はさらに他のパラメータと関係する。エアバスA320航空機を例に取れば、航空機が収集可能なシステムデータは、13000個あまりに達する。その中のパラメータの多くは、直接または間接にAPUの性能を反映している。したがって、数多くのAPU性能パラメータの中からいかに適切なパラメータを選択し、かつこれに対応する適切なアルゴリズムを生成して、APUの性能を正確に反映するかが、本発明が解決しようとする課題の1つである。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すとおり、本実施形態のAPU性能の検出方法6000において、ステップ6100で航空機APU稼働の以下の情報、すなわち排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得する。ステップ6200において、EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較する。本発明の一実施形態によれば,前記閾値は、各パラメータの限界値である。ステップ6300において、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比較結果に、それぞれの重みを指定する。ステップ6400において、重みを考慮した後、EGT-LCIT、STA,TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比較結果を統合する。ステップ6510において、統合後の結果が第一所定値を超えたか否かを確定する。統合後の結果が第一所定値を超えていなければ、ステップ6520でAPU性能が良好であると判断する。ステップ6610において、統合後の結果が第二所定値を超えたか否かを確定する。第二所定値を超えていなければ、ステップ6620でAPU性能は正常であると判断する。ステップ6710において、統合後の結果が第三所定値より大きいか判断する。第三所定値を超えていなければ、ステップ6720でAPU性能が衰退期に入ったと判断する。統合後の結果が第三所定値を超えていれば、ステップ6800で、APU性能はすでに故障期に入ったと判断する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ステップ6100で必要な情報は、例えばA13メッセージのAPUメッセージから取得することが可能である。例えば、シータSITAネットワークコントロールセンターおよび中国民航データ通信社ADCCネットワークコントロールセンターから、リモートで、リアルタイムに航空機APU稼働のA13メッセージを取得可能であり、メッセージデコーダにより、この航空機APU稼働状態A13メッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。
【0033】
航空機データシステムにおいて、APU稼働状態メッセージを自動生成しない場合、対応するセンサおよびトリガー条件を増やして、必要なAPUメッセージを生成する。航空機データシステムにおいてすでに存在するAPUメッセージが、排気温度EGT、空気圧縮機入口温度LCIT、駆動時間STA、使用時間TSRおよび抽気圧力PTのうちの1つまたは複数を完全には含まないのであれば、APUメッセージの生成条件を校正して、足りない1つまたは複数の測定パラメータを増やすようにする。APUメッセージは、ACARSまたはATNシステムによりリアルタイムに航空会社のデータサーバに伝送可能であるため、APU性能のリアルタイム監視が実現可能となる。当然のことながら、メッセージ伝送の方法は、手動方式による高コストや人為的なミスを避けることが可能である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ステップ6100で必要な情報は、航空機データシステムから直接取得することができ、APUメッセージの生成は不要である。
【0035】
ステップ6200において、EGTとLCITとの差EGT-LCITの閾値は、EGTReadlineである。EGTReadlineは、APUのEGTレッドライン値である。EGTReadlineは、APUの型番による。異なる型番のAPUは、異なるEGTレッドライン値を有するが、これは関連するマニュアルを検索して取得可能である。STAの閾値は、STAWarningLineであり、STA性能の減衰値であるが、これもAPU型番による。TSRの閾値はTSRrtであり、ある型番のAPUの機上時間における信頼性が70%であることに対応する時間であることを意味する。PTの閾値は、PTMinであり、ある型番APUの必要な最小供給抽気圧力を意味する。または、PTの閾値としてPTBaseLineを採用するが、これは、ある型番のAPU正常稼働時の最低固有抽気量を意味する。EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較して、現在のAPUの性能とAPUの基準性能との乖離の程度を反映することができ、これにより、APU性能の劣化程度を反映可能である。EGTReadline、STAWarningLineおよびPTMin、またはPTBaseLineは、関連する航空機マニュアルまたはメーカーより入手可能である。当然のことながら、実際の実験により取得してもよい。しかしながら、TSRrtは、地理および環境保全など他の要素の影響を受けるため、往々にして基準値と一定の偏差が存在する。発明者は、長期の観察および分析から、APUの経年劣化の模式が、ポアソン分布であることを発見した。より正確なTSRrtデータを取得するために、実際のデータに基づき、ポアソン分布により必要なTSRrtを算出する。例えば、まず、実際の使用時間TSRが従うポアソン分布のパラメータ(平均値など)を算出してから、取得した実際に従うポアソン分布のパラメータを用いて、故障率が30%(安定率が70%)である場合に対応する使用時間TSRrtを算出する。
【0036】
EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較する方法としては、比を用いてもいいし、差による方法を用いてもよい。各パラメータの重みを考慮する際便利なように、本発明の一実施形態によれば、ステップ6200において、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比を算出する。
【0037】
EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTの、APU性能に対する影響は異なるため、それらに対して異なる重みを指定する必要がある。本発明の一実施形態によれば、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比を取得する場合、R1、R2、R3およびR4をEGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、かつR1+R2+R3+R4=1とする。発明者の観察および分析により以下の点が発見された。TSRの影響が一番大きいため、R3は一般的に0.25より大きい。また、EGT-LCITおよびSTAの影響は、異なる型番のAPUによって異なる可能性がある。比較すれば、PTの影響は小さく、R4は最小である。本発明の一実施形態によれば、APS3200型番のAPUについては、R3=0.35、R2=0.3、R1=0.2、R4=0.15である。GTCP131-9A型番のAPUについては、R3=0.35、R1=0.3、R2=0.2、R4=0.15である。
【0038】
本発明の一実施形態よれば、以下の式によりAPUの性能を評価する。
【数1】
ここで、PDI(Performance Detection Index)性能検出指数は、APU性能を反映するパラメータである。発明者の観察および分析によれば、以下のとおりである。PDIが0.7より小さければ、APU性能は良好である。PDIが0.7より大きく、0.85より小さければ、APU性能は正常で使用可能である。PDIが0.85より大きければ、APU性能は劣化しており、すでに衰退期に入っている。PDIが1に近づけば、例えば0.95より大きければ、APUが既に故障期に入っており、随時故障が生じる可能性があることを意味している。したがって、ステップ6510における第一所定値の一つの実例は、0.7であり、ステップ6610における第二所定値の一つの実例は、0.85である。ステップ6710における第三所定値の一つの実例は、0.95である。
【0039】
以下、2つの実例により、本発明の上述の実施形態の方法についてさらに説明する。
【0040】
実例1: APS3200型番のAPUの関連情報は、以下のとおりである。EGTReadlineは682である。STAWarningLineは90である。PTMinは3である。TSRrtは5000である。重みパラメータは、R1=0.2、R2=0.3、R3=0.35、R4=0.15とする。
【0041】
SITAネットワークコントロールセンター、またはADCCネットワークコントロールセンターより、リモートでリアルタイムに航空機APUメッセージを取得し、ACARSメッセージデコーダで前記航空機APUメッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。航空機APU稼働情報には、排気温度EGTが629、空気圧縮機入口温度LCITが33、駆動時間STAが59、機上時間TSRが4883、抽気圧力PTが3.66であることが含まれる。
【0042】
以下の式により、算出して、PDI値が0.85であることが得られる。
【数2】
APU性能が衰退期に入ったと判断する。当該航空機のAPUのメンテナンス計画を開始すべきである。
【0043】
実例2:GTCP131-9A型番のAPUの関連情報は以下のとおりである。EGTReadlineは642である。STAWarningLineは60である。PTMinは3.5である。TSRrtは5000である。重みパラメータは、R1=0.3、R2=0.2、R3=0.35、R4=0.15とする。
【0044】
SITAネットワークコントロールセンター、またはADCCネットワークコントロールセンターより、リモートでリアルタイムに航空機APUメッセージを取得し、ACARSメッセージデコーダで前記航空機APUメッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。航空機APU稼働情報には、排気温度EGTが544、空気圧縮機入口温度LCITが31、駆動時間STAが48、機上時間TSRが2642、抽気圧力PTが3.76であることが含まれる。
【0045】
以下の式により、算出して、PDI値が0.72であることが得られる。
【数3】
APU性能が正常であると判断し、そのまま正常に使用可能である。
【0046】
従来技術と比べ、本発明の上述の実施形態は、リアルタイムにAPUの排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、機上時間TSRと、抽気圧力PTとを取得し、式(1)に基づき、PDI値を算出して取得し、PDI値と所定値との比較に基づき、正確にAPU性能を検出する。また、リモートでリアルタイムに航空機APU稼働状態ACARSメッセージを取得することで、手動で取得する作業上の負担を減らすとともに、作業効率を高める。
【0047】
海抜および温度の違いにより、EGTおよびPTの測定結果に影響が生じる。本発明の一実施形態によれば、より正確にAPU性能を検出するために、測定したEGTおよびPTを一つの基準状態に換算して比較することにより、海抜および外界温度の影響を取り除く。例えば、海抜0メートル、温度50℃を基準状態として選択してもよいし、他の海抜および温度を基準状態としてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、海抜0メートル、温度50℃の基準状態の下で、PTの大気校正式は、次のとおりである。
【数4】
ここで、PTstdは海抜0メートル下での圧力、ALTは海抜高度または基準高度、TATは、外気温または全温、mは空気質量で、取り得る値は29である。gは、10メートル/秒2を取り、Rは調整パラメータであり、取り得る値は8.51である。
【0049】
これにより、海抜圧力校正係数δが得られる。
【数5】
【0050】
温度の影響を考慮し、PTの最終の校正式は次のとおりである。
【数6】
ここで、PTcorは校正後の抽気圧力、ΔPTは温度と関連する関数であり、以下の数により算出可能である。
【数7】
ここで、TATは外気温である。a1、b1およびc1は調整係数である。a1、b1およびc1は、実験により測定して得られる。本発明の一実施形態によれば、a1の範囲は10-5等級、b1は10-2等級、c1は0から−1の間である。
【0051】
実験より測定してa1、b1およびc1を得た後、式(3)に基づき、測定して得たPTを校正された基準状態下のPTcorに換算する。
EGTの校正式は、以下のとおりである。
【数8】
ここで、EGTcorは基準状態下でのEGT、ΔEGTは温度に関する関数、PTReqすなわちPTMinはエンジン駆動時に必要な最低抽気圧、 p1およびp2は調整係数である。本発明の一実施形態によれば、p1の取得値の範囲は20〜60、p2の取得値の範囲は70〜100である。p1およびp2の具体的な数値は、実験により取得可能である。例えば,異なる海面気圧高度において、一定の電力出力を維持して、温度50度を保持した状態で、異なるEGTが測定される。その後、50度の海面気圧のEGTと比較し、EGTの変化と温度を回帰させて、校正式における調整係数を得ることができる。
【0052】
ΔEGTは、以下の式より算出可能である。
【数9】
ここで、TATは外気温、a2、b2およびc2は調整パラメータであり、a2、b2およびc2は実験により測定して得られる。本発明の一実施形態によれば、a2の範囲は0.005〜0.02の間、b2は0.5〜2.5の間、c2は60から100の間である。
【0053】
校正後のEGTおよびPTを用いて、式(1)は次のように書き換えられる。
【数10】
【0054】
本発明の一実施形態によれば、校正後のPDIについて、PDIが0.7より小さければ、APU性能は良好である。PDIが0.7より大きく、0.8より小さければ、APU性能は正常で使用可能である。PDIが0.8より大きければ、APU性能は劣化しており、すでに衰退期に入っている。PDIが0.85より大きければ、APUはすでに故障期に入ったことを示す。したがって、ステップ6510における第一所定値の一つの実例は0.7、ステップ6610における第二所定値の一つの実例は0.8であり、ステップ6710における第三所定値の一つの実例は0.85である。
【0055】
図7は、本発明の別の一実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すように、当該APU性能の検出方法700においては、ステップ710で航空機APU稼働排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数を取得する。図6の実施形態において記載されたAPU性能パラメータの取得方法を本実施形態に応用可能である。
【0056】
APU稼働の原理に基づき、APU性能を反映する一つの重要なパラメータはEGTすなわちAPU排気温度である。APUが一定の回転数で稼働する場合、EGTは、APU全体の熱エネルギー変換効率を直接反映するからである。APUの熱エネルギー変換効率が低いほど、EGTの値は高くなる。APUの制御システムは、ガソリン燃料流量バルブおよびIGV入口角度の大きさを操作して、温度逸脱が起きないようにするが、APUが温度逸脱状態に近づき温度逸脱を防止する必要がある場合、APUパラメータにおいてPTおよびIGV角度がこの変化を反映する。STAは、APUの全体性能を反映するパラメータであり、モーター駆動の性能、ギヤボックス性能、ならびに空気圧縮機ユニットおよび動力ユニット(すなわち一つの空気圧縮機および二段タービン)の効率が含まれる。これら四つの鍵となるパラメータ、EGT、IGV、STAおよびPTをモニタリングすることにより、APUの現在の性能およびその変化の傾向を反映することが可能である。さらに、パラメータを個別に検出することも、APUの故障原因の判定および隠れた故障の発見の一助となる。
【0057】
ステップ720において、排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数に顕著な変化が生じたかどうかを確定する。排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つのパラメータに顕著な変化が生じた場合、当該パラメータが悪化していると判断する。
【0058】
EGTおよびPTに対して、上記実施形態のうちのEGTcorおよびPTcorを適用して、直接取得するEGTおよびPTに代え、これにより海抜および温度の影響を排除し、より正確な結果を得てもよい。
【0059】
使用時間が長くなるにつれて、APU性能も次第に劣化する。APU性能パラメータのこれらの属性は、以下の式により反映される。
【数11】
ここで、Xは排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちのいずれか一つのパラメータ、t0はAPUの取り付け時間、β0およびβ1はフィットパラメータである。ここで、β1は傾斜項であり、パラメータの変化傾向を反映する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、一定時間内に取得したEGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つの、複数の値をフィットして、傾斜項β1を得る。β1と基準である傾斜項とを比較し、傾斜項が明らかに異なる場合は、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。基準となる傾斜項は動作状態が良好であるAPUのデータを用いて算出し、同一APUが最初に取り付けられた後のデータでもよいし、同一型番のほかの、動作状態が良好なAPUのデータであってもよい。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、APU搭載機およびAPUのパラメータを初期化し、初期の複数の記録のパラメータを平均化して、各パラメータの初期値を得てそれぞれの基凖値とする。複数の記録の数量は一般に、10個以上の記録である。
【0062】
後続のパラメータおよび基凖値を比較して、自身の変化値を得る。これら変化値も式(8)に適合する。これらの傾斜項も同様に、APUパラメータの変化の傾向を反映可能である。したがって、本実施形態では、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つの、基凖値に対する変化値の傾斜項と、基準となる変化値の傾斜項とを比較し、傾斜項が明らかに異なれば、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。当該パラメータは悪化したことになる。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前後で連続する、等しい長さの時間内におけるEGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つのパラメータ値に対して、独立したサンプルの比較を行い、両者が明らかに変化しているのであれば、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。当該パラメータは悪化していることになる。
【0064】
波動の干渉を減らすために、実測されたEGT、STA、PTおよびIGVにおけるパラメータ値に対し平滑処理を行う。本発明の一実施形態によれば、多点平滑の移動平均値の方式により、パラメータ値に対し平滑処理を行う。多点は、3点以上である。本発明の別の一実施形態によれば、以下の式によりパラメータに対し平滑処理を行う。
【数12】
ここで、Xoldは、平滑処理前の数値、すなわち実際に測定した数値である。Xnewは、平滑処理後の数値である。Xsmoothは、平滑値であり、隣り合う点(例えば一つ前の点)の平滑後の値であってもよいし、付近のいくつかの点(現在の点は考慮しない)の平均値であってもよい。C1およびC2は重み付け値であり、 C1はC2より大きく、例えば、C1=0.8、C2=0.2である。
【0065】
ステップ730において、排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数のパラメータに顕著な変化が生じたか否かを総合的に考慮し、APUの性能が劣化したか否かを確定する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、EGT、PT,STAおよびIGVのうちの何れか1つが悪化した場合、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば,STAが悪化すれば、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば,EGT、PT、STAおよびIGVのうちの何れか二つが悪化した場合、APUの性能が劣化し衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば、EGTおよびPTの2つが悪化した場合、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。
【0067】
図6および図7の実施形態を同時に使用してより正確にAPUの性能を検出することが可能である。
【0068】
図8は、本発明の別の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すように、当該APU性能の検出方法800において、ステップ810で、航空機APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つまたは二つを取得する。上述した実施形態において記載されたAPU性能パラメータの取得方法を、本実施形態に応用可能である。
【0069】
ステップ820において、排気温度EGTおよび抽気圧力PTと、それぞれの限界値とを比較する。具体的には、EGTは、EGTレッドライン値EGTRedLineと比較可能である。抽気圧力PTは、エンジン始動時に必要となる最低抽気圧力PTReqと比較可能である。
【0070】
ステップ830において、排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つがその限界値に近づいた場合、当該パラメータが悪化したと判断する。本発明の一実施形態によれば、排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つが悪化した場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば、排気温度EGTおよび抽気圧力PTがいずれも悪化した場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、EGTに対して以下の式が可能である。
【数13】
ここで、EGTToleranceはEGTの許容量、すなわちEGTの、レッドライン値EGTRedLineからの距離を示す。APU制御システムはEGTの温度逸脱を防止することから、制御メカニズムが働く場合、APUが給油を増やしてより大きな電力を得ることがすでに不可能であることを示している。使用時間が長くなるにつれ、APUの電力は次第に減少するが、これは、当該APUが衰退段階に入ったことを示しているのである。よって、EGTToleranceが0に近づいた場合、APUが衰退段階に入ったことを示す。
【0072】
APUが衰退段階に入った後は、PTが重要な観測パラメータとなる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、PTに対して以下の式が可能である。
【数14】
ここで、PTToleranceは、PTの許容量、すなわちPTとエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力との距離を示す。PTToleranceの大きさは、衰退段階にあるAPUの稼働状況を反映する。PTToleranceが0に近づいた場合、APUは交換すべきである。
【0074】
実例3:メッセージより取得した排気温度EGT、外界温度TAT、海抜ALTおよびPTデータにより、EGTcor= 654.49、PTcor = 3.27を算出して得ることができる。問い合わせたところ、エアバスA319航空機の発動駆動の最低抽気圧力はPTReq= 3.2である。長期にわたる実験検証を経て、APS3200型番のAPUのレッドライン値は、EGTRedLine= 645である。上記の性能評価式より、EGTTolerance= -9.49、0値との接近程度は9.49/645、約1.4%であり、PTTolerance= 0.07、0値との接近程度は0.07/3.2、約2.2%であることが得られる。これより、EGTおよびPTの二つのパラメータがいずれも悪化し、APUがすでに衰退期に入り、適時交換する必要があると判断する。
【0075】
図6〜図8の方法は、同時に使用してより正確にAPUの性能を検出することが可能である。
【0076】
従来技術と比べ、本発明の実施形態による方法は、リアルタイムにAPUの排気温度EGT、空気圧縮機入口温度LCIT、始動時間STA、機上時間TSR、抽気圧力PTおよび入口ガイド羽根IGVの角度等パラメータを取得し、これらパラメータに対する処理により、APUの性能検出を行い、かつAPUの性能がすでに衰退期に入ったか否かを判断可能であり、エンジニアによるAPUのメンテナンスを効果的にサポートすることによりAPUの使用を保証し、APUによる航空機遅延、欠航を防止する。同時に、APU性能に対する評価により、焦点を絞ったメンテナンスや稼働制御を実施することができ、メンテナンスコストを大幅に引き下げる。
【0077】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱しない状況の下で、各種の変更や変形を行うことができるが、同等の技術案はいずれも、本発明が開示する範囲内に属すべきものである。
【符号の説明】
【0078】
100 APU
102 発電機
103 軸
104 ギヤボックス
105 前端軸流遠心空気圧縮機
106 空気圧縮機部
107 後端軸流遠心空気圧縮機
108 高温端部
120 燃焼室
140 タービン
200 入口ガイド羽根アセンブリ
300 入口ガイド羽根制御構造
301 入口ガイド羽根アクチュエータ
302 ライン可変作動変圧器
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の設備稼働状態の検出の方法に関し、特に、空中補助動力装置の性能検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空中補助動力装置(Airborne Auxiliary Power Unit)とは、補助動力装置APUと簡単に呼ばれているが、機体後部に取り付けられる小型タービンエンジンのことである。APUの主要な機能は、電源および空気を供給することであり、また、一部のAPUは、航空機に付加的な推力を与えることも可能である。具体的には、航空機は、地上で離陸する前に、APUより電力供給されて主エンジンを駆動することにより、地上の電力、空気供給車に頼ることなく、航空機を発動する。地上では、APUはさらに、電力および圧縮空気を提供して、客室およびコックピット内の照明、空調を保証している。航空機が離陸する際には、APUがバックアップ電源として使用可能である。航空機着陸後も、APUにより照明、空調に電力が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
APUの機能によって、その稼働の安定性が決まるが、これは、航空機の運航コストおよびサービスの質に直接関係するものである。さらに、地上電源および空気供給源が確保できない場合、APUに故障が生じると、航空機の運航不能に直結してしまう。現在、APUの故障の排除およびメンテナンスは、ほとんど事後処理である。しかしながら、航空機設備において、APUは、メンテナンス費用が高い設備である。また、APU全体の部材の価格が高く、予備の部材を保持するコストも高く、故障後の修理に、4〜5ヶ月を要する。事後処理のメンテナンス方式では、APUの安定的な稼働は保証できない。さらに、APUを修理に出した後時間がかかることから、航空機の遅延ひいては欠航に直結する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術に存在する一つまたは複数の技術的課題に対し、本発明の一つの面によれば、補助動力装置APUの性能検出方法であって、前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップと、前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップと、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果にそれぞれの重みを指定するステップと、重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップとを含む補助動力装置APUの性能検出方法を提供する。
【0005】
本発明の別の面によれば、APU稼働排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度からなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップとを含むAPUの性能検出方法を提供する。
【0006】
本発明の別の面によれば、APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTからなる群から選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かを判断するステプと、前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップとを含むAPUの性能検出方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の航空機APUの構造模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根アセンブリの構造模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根制御構造の模式図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるAPU性能変化曲線の模式図である。
【図5】図5は、エアバス社のA13メッセージの一つの実例である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して、本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳細な説明を行う。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による航空機APUの構造模式図である。図に示すとおり、APU100は、発電機102と、ギヤボックス104と、空気圧縮機部106と、高温端部108とを備える。空気圧縮機部106は、高圧気体を発生させ、抽気を外部に提供する前端軸流遠心空気圧縮機105を備える。高温端部108は、後端軸流遠心空気圧縮機107を備える。後端軸流遠心空気圧縮機107は、高温端部108の燃焼室120に高圧気体を供給し、燃焼室120の燃焼で使用させる。APUの燃料システム(図示せず)は、燃焼室120にガソリン燃料を供給する。燃焼室120は、燃焼ガソリン燃料が高温高圧気体を発生することで、高温端部108のタービン140に仕事をし、タービン140を回転させる。タービン140は、軸103によって、前端軸流遠心空気圧縮機105に高圧気体を発生させ、同時にギヤボックス104を介して伝動し、発電機102を動かす。発電機102は、発電して外部に電力を供給する。
【0010】
APUは、一般的に軸流遠心式エンジンであり、例えばGTCP131-9A、APS3200等の型番である。APUと、航空機のエンジンとの最大の違いは、APU回転子は定速であるが、航空機エンジンの回転子は変速である点にある。したがって、APUは常に、一定の回転数において前端軸流遠心空気圧縮機105に圧縮気体を供給し、後部の負荷を供給する。APUは、高圧気体を導いて抽気負荷へ流れるか、または排気管に流れて排出するかを制御する一つの抽気制御バルブを備えている。したがって、抽気する圧力は側面から、前端空気圧縮機性能の善し悪しを反映している。
【0011】
抽気負荷の電力需要が大きいほど、前端軸流遠心空気圧縮機105が回転をする際の抵抗が大きくなる。一定の回転数を維持するためには、高温端部108がより大きいトルクを供給する必要がある。APUのガソリン燃料制御システムは、より多くのガソリン燃料を燃焼室120に輸送して燃焼させることにより、タービン140により多くの内部エネルギーを供給して、前端部分を定速で回転させるようにする。APUはさらに、APU排出気体の排気温度(Exhaust Gas Temperature,EGT)を測定する温度測定センサと、入口ガイド羽根(Inlet Guide Vane,IGV)アセンブリとを備える。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による入口ガイド羽根アセンブリの構造模式図である。図に示すように、入口ガイド羽根アセンブリ200は、基本的に円盤形である。円盤底部寄りの側面には、複数の入口ガイド羽根(IGV)が設置されている。複数の入口ガイド羽根は、制御されて、異なる角度に開く。入口ガイド羽根の角度の範囲は、15度から115度である。入口ガイド羽根は、完全に閉じることがなく、羽根は、15度の位置において前端軸流遠心空気圧縮機105を冷却する。
【0013】
図3は、本発明の一実施形態の入口ガイド羽根制御構造の模式図である。図に示すように、入口ガイド羽根制御構造300は、入口ガイド羽根アクチュエータ(Inlet Guide Vane Actuator,IGVA)301と、それに接続されたライン可変作動変圧器(Line Variable Differential Transformer,LVDT)302とを備える。入口ガイド羽根アセンブリ200は、前端軸流遠心空気圧縮機105の入気通路上に取り付けられる。LVDTは、入口ガイド羽根アセンブリ200上のIGVに接続される。航空機の圧縮空気に対する要求に基づき、IGVAは、LVDTによってIGVが適切な角度に開くように制御する。
【0014】
APUのEGT温度測定器は、APUの排気温度EGTを測定する。APU自身の製造材料に制限があることから、EGTには、制限値、すなわちレッドライン値EGTRedLineがある。APU制御システムは、APUが温度逸脱時にバーンアウトしないように、一般的には、実際のEGTがレッドライン値EGTRedLine内になるよう制御する。したがって、温度が、温度逸脱レッドライン値に近づくと、APUの燃料システムは、ガソリン燃料供給を減らして、排気温度を下げる。同時に、ガソリン燃料供給が少なくなるために、今までの大きい負荷を動かそうとすれば、必然的に回転数が減少する。しかしながら、APUは、一定の回転数を維持しなければならないので、前端空気圧縮機の負荷を低下させるために、APUは、IGVAでIGVの角度を調整して、入気口を小さくし、気体が前端空気圧縮機に進入する量を減らして前端空気圧縮機の負担を減らす。これにより、前端空気圧縮機が出力する抽気圧力が小さくなり、流量が小さくなる。
【0015】
図4は、本発明の一実施形態によるAPU性能変化曲線の模式図である。使用時間が長くなるにつれて、全てのAPU性能が次第に劣化し、衰退指数が次第に増加している。APU性能の衰退指数が安定している場合、APU性能は穏定期にある。APUの性能の衰退が次第に加速すると、APUの性能は、衰退期に入る。ある閾値を超えると、APUの性能は故障期に入り、いつでも故障が生じる可能性がある。APUが故障期に入った後は、APUの使用に影響が生じて、サービルの質および運航の安全に悪い結果をもたらす。また、計画外のメンテナンスが容易に発生して、フライトの遅延や欠航を引き起こす。従来技術において、APUの性能が衰退期に入ったか否かを検出できる手段はまだ存在しない。これに対し、本発明の実施形態では、こうした検出が可能である。
【0016】
衰退期の検出には以下の利点がある。第一に、APUが衰退期にある場合、故障が発生する比率は依然として非常に低い。このタイミングで航空機にメンテナンスを行うよう選択すれば、運航の安全およびサービスの質が保証される。第二に、APUが衰退期にあることを検出した後、航空会社が適時航空機のメンテナンスを行うよう手配することにより、計画外のメンテナンスがなくなり、航空機の遅延が減少する。同時に、固定スケジュールでメンテナンスを行う場合のメンテナンスコストの浪費が避けられる。当然のことながら、本発明の実施形態は、故障期の検出にも適用可能である。
【0017】
APU性能に対する検出を実現するためには、航空機でのAPUの稼働状態を監視し、APU稼働の関連データを取得する必要がある。航空機システムが複雑になればなるほど、航空機データシステムの機能はますます強化されている。例えば、エアバスのAircraft Condition Monitoring System(ACMS)システムおよびボーイング社のAircraft Heath Monitor (AHM)システムがある。これらシステムの一つの特徴は、リアルタイムで航空機の稼働データを観測し、一定のトリガー条件を満たした場合、自動で特定データを含むメッセージを生成可能であることである。
【0018】
エアバス社のACMSシステムを例に取れば、ボーイング社のAHMシステムは、参照処理が可能であるが、ACMSシステムは、運航総合データシステムAircraft Integrated Data System (AIDS)を備える。そして、データ管理ユニットData Management Unit(DMU)は、AIDSシステムの核心である。DMUには、以下の非常に重要な2つの機能がある。
【0019】
-ブラックボックスからのデータを含む、航空機の複数のパラメータを収集、処理、記録する。これらパラメータは、AIDSデジタルレコーダDigital AIDS Recorder(DAR)といった、DMUの内部メモリまたは外部レコーダに保存される。
【0020】
-システムメッセージを生成し、航空機の状態またはシステムパラメータがメッセージのトリガー条件を満足する場合、メッセージを発動する。これらのメッセージはいずれも、DMUの不揮発性メモリに保存される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、例えばACMSまたはAHMシステムのような航空機データシステムを利用して、APUの稼働データを取得することが可能である。
【0022】
ACARSシステムは、ACARS管理ユニット(MU)と呼ばれる航空電子コンピュータおよび制御表示ユニット Control Display Unit (CDU)により構成される。MUは、地上からの超短波無線デジタルメッセージを送受信するためのものである。地上において、ACARSシステムは、無線送受信機構を備える地上ワークステーションにより構成されるネットワークからなり、メッセージ(データリンクメッセージ)を送受信可能である。これら地上ワークステーションは一般に、各サービスプロバイダが所有しており、送受信したメッセージは、ネットワーク上の異なる航空公司のサーバに分配される。本発明の一実施形態によれば、取得したAPUの稼働データを利用してAPUメッセージを生成し、APUメッセージをACARSによって地上のサーバに送信する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、APUメッセージは、航空通信網Aviation Telecommunication Network(ATN)の通信装置またはシステムによって伝送してもよい。
【0024】
実際には、従来の運航データシステムについていえば、APUの性能監視はすでに存在しているので、対応するAPUメッセージを自動で生成し、ACARSまたはATNで地上に伝送可能である。しかしながら、これらの監視データは、APU性能の衰退期の検出には用いられていない。
【0025】
例えば、エアバス社のA13メッセージすなわち(APU MES/IDLE REPORT)、またはボーイング社のAPUメッセージは、このようなAPUメッセージの実例である。
【0026】
以下の実施形態において、エアバス社のA13メッセージを実例として説明する。ボーイング社のAPUメッセージの処理は、これに類する。
【0027】
図5は、エアバス社のA13メッセージの一つの実例である。図に示すとおり、A13メッセージは主に4つの部分の情報を含み、それぞれ、ヘッダ、APU履歴情報、航空機エンジン駆動の稼働パラメータおよびAPU駆動パラメータである。
【0028】
ヘッダは、CCとC1フィールドとからなり、主に航空機のフライト情報、メッセージ発生航路区間、抽気バルブ状態、全温(すなわち外界温度)などの情報を含む。APU履歴情報は、E1フィールドからなり、APU番号、稼働時間、循環などの情報を含む。航空機エンジン駆動の稼働パラメータは、N1からS3までのフィールドからなる。そのうち、N1、S1が示すのは、一台目の航空機エンジンを駆動した際の稼働状況であり、N2、S2は、二台目の航空機エンジンを駆動した際の稼働状況を示し、N3、S3はAPUがエンジン駆動を完了した後のAPUアイドリング時の状況である。
【0029】
A13メッセージには、APU稼働状況と関連する複数のパラメータが含まれる。エンジン駆動の稼働パラメータには、EGT温度と、IGV開口角度と、空気圧縮機入口圧力と、負荷空気圧縮機入口温度と、抽気流量と、抽気圧力と、潤滑油温度と、APU発電機負荷とが含まれる。APU駆動時のパラメータには、駆動時間と、EGTピークと、EGTピーク時の回転数と、負荷空気圧縮機入口温度とが含まれる。
【0030】
A13メッセージにおけるパラメータ以外に、APUの性能はさらに他のパラメータと関係する。エアバスA320航空機を例に取れば、航空機が収集可能なシステムデータは、13000個あまりに達する。その中のパラメータの多くは、直接または間接にAPUの性能を反映している。したがって、数多くのAPU性能パラメータの中からいかに適切なパラメータを選択し、かつこれに対応する適切なアルゴリズムを生成して、APUの性能を正確に反映するかが、本発明が解決しようとする課題の1つである。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すとおり、本実施形態のAPU性能の検出方法6000において、ステップ6100で航空機APU稼働の以下の情報、すなわち排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得する。ステップ6200において、EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較する。本発明の一実施形態によれば,前記閾値は、各パラメータの限界値である。ステップ6300において、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比較結果に、それぞれの重みを指定する。ステップ6400において、重みを考慮した後、EGT-LCIT、STA,TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比較結果を統合する。ステップ6510において、統合後の結果が第一所定値を超えたか否かを確定する。統合後の結果が第一所定値を超えていなければ、ステップ6520でAPU性能が良好であると判断する。ステップ6610において、統合後の結果が第二所定値を超えたか否かを確定する。第二所定値を超えていなければ、ステップ6620でAPU性能は正常であると判断する。ステップ6710において、統合後の結果が第三所定値より大きいか判断する。第三所定値を超えていなければ、ステップ6720でAPU性能が衰退期に入ったと判断する。統合後の結果が第三所定値を超えていれば、ステップ6800で、APU性能はすでに故障期に入ったと判断する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ステップ6100で必要な情報は、例えばA13メッセージのAPUメッセージから取得することが可能である。例えば、シータSITAネットワークコントロールセンターおよび中国民航データ通信社ADCCネットワークコントロールセンターから、リモートで、リアルタイムに航空機APU稼働のA13メッセージを取得可能であり、メッセージデコーダにより、この航空機APU稼働状態A13メッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。
【0033】
航空機データシステムにおいて、APU稼働状態メッセージを自動生成しない場合、対応するセンサおよびトリガー条件を増やして、必要なAPUメッセージを生成する。航空機データシステムにおいてすでに存在するAPUメッセージが、排気温度EGT、空気圧縮機入口温度LCIT、駆動時間STA、使用時間TSRおよび抽気圧力PTのうちの1つまたは複数を完全には含まないのであれば、APUメッセージの生成条件を校正して、足りない1つまたは複数の測定パラメータを増やすようにする。APUメッセージは、ACARSまたはATNシステムによりリアルタイムに航空会社のデータサーバに伝送可能であるため、APU性能のリアルタイム監視が実現可能となる。当然のことながら、メッセージ伝送の方法は、手動方式による高コストや人為的なミスを避けることが可能である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ステップ6100で必要な情報は、航空機データシステムから直接取得することができ、APUメッセージの生成は不要である。
【0035】
ステップ6200において、EGTとLCITとの差EGT-LCITの閾値は、EGTReadlineである。EGTReadlineは、APUのEGTレッドライン値である。EGTReadlineは、APUの型番による。異なる型番のAPUは、異なるEGTレッドライン値を有するが、これは関連するマニュアルを検索して取得可能である。STAの閾値は、STAWarningLineであり、STA性能の減衰値であるが、これもAPU型番による。TSRの閾値はTSRrtであり、ある型番のAPUの機上時間における信頼性が70%であることに対応する時間であることを意味する。PTの閾値は、PTMinであり、ある型番APUの必要な最小供給抽気圧力を意味する。または、PTの閾値としてPTBaseLineを採用するが、これは、ある型番のAPU正常稼働時の最低固有抽気量を意味する。EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較して、現在のAPUの性能とAPUの基準性能との乖離の程度を反映することができ、これにより、APU性能の劣化程度を反映可能である。EGTReadline、STAWarningLineおよびPTMin、またはPTBaseLineは、関連する航空機マニュアルまたはメーカーより入手可能である。当然のことながら、実際の実験により取得してもよい。しかしながら、TSRrtは、地理および環境保全など他の要素の影響を受けるため、往々にして基準値と一定の偏差が存在する。発明者は、長期の観察および分析から、APUの経年劣化の模式が、ポアソン分布であることを発見した。より正確なTSRrtデータを取得するために、実際のデータに基づき、ポアソン分布により必要なTSRrtを算出する。例えば、まず、実際の使用時間TSRが従うポアソン分布のパラメータ(平均値など)を算出してから、取得した実際に従うポアソン分布のパラメータを用いて、故障率が30%(安定率が70%)である場合に対応する使用時間TSRrtを算出する。
【0036】
EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較する方法としては、比を用いてもいいし、差による方法を用いてもよい。各パラメータの重みを考慮する際便利なように、本発明の一実施形態によれば、ステップ6200において、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比を算出する。
【0037】
EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTの、APU性能に対する影響は異なるため、それらに対して異なる重みを指定する必要がある。本発明の一実施形態によれば、EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値との比を取得する場合、R1、R2、R3およびR4をEGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、かつR1+R2+R3+R4=1とする。発明者の観察および分析により以下の点が発見された。TSRの影響が一番大きいため、R3は一般的に0.25より大きい。また、EGT-LCITおよびSTAの影響は、異なる型番のAPUによって異なる可能性がある。比較すれば、PTの影響は小さく、R4は最小である。本発明の一実施形態によれば、APS3200型番のAPUについては、R3=0.35、R2=0.3、R1=0.2、R4=0.15である。GTCP131-9A型番のAPUについては、R3=0.35、R1=0.3、R2=0.2、R4=0.15である。
【0038】
本発明の一実施形態よれば、以下の式によりAPUの性能を評価する。
【数1】
ここで、PDI(Performance Detection Index)性能検出指数は、APU性能を反映するパラメータである。発明者の観察および分析によれば、以下のとおりである。PDIが0.7より小さければ、APU性能は良好である。PDIが0.7より大きく、0.85より小さければ、APU性能は正常で使用可能である。PDIが0.85より大きければ、APU性能は劣化しており、すでに衰退期に入っている。PDIが1に近づけば、例えば0.95より大きければ、APUが既に故障期に入っており、随時故障が生じる可能性があることを意味している。したがって、ステップ6510における第一所定値の一つの実例は、0.7であり、ステップ6610における第二所定値の一つの実例は、0.85である。ステップ6710における第三所定値の一つの実例は、0.95である。
【0039】
以下、2つの実例により、本発明の上述の実施形態の方法についてさらに説明する。
【0040】
実例1: APS3200型番のAPUの関連情報は、以下のとおりである。EGTReadlineは682である。STAWarningLineは90である。PTMinは3である。TSRrtは5000である。重みパラメータは、R1=0.2、R2=0.3、R3=0.35、R4=0.15とする。
【0041】
SITAネットワークコントロールセンター、またはADCCネットワークコントロールセンターより、リモートでリアルタイムに航空機APUメッセージを取得し、ACARSメッセージデコーダで前記航空機APUメッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。航空機APU稼働情報には、排気温度EGTが629、空気圧縮機入口温度LCITが33、駆動時間STAが59、機上時間TSRが4883、抽気圧力PTが3.66であることが含まれる。
【0042】
以下の式により、算出して、PDI値が0.85であることが得られる。
【数2】
APU性能が衰退期に入ったと判断する。当該航空機のAPUのメンテナンス計画を開始すべきである。
【0043】
実例2:GTCP131-9A型番のAPUの関連情報は以下のとおりである。EGTReadlineは642である。STAWarningLineは60である。PTMinは3.5である。TSRrtは5000である。重みパラメータは、R1=0.3、R2=0.2、R3=0.35、R4=0.15とする。
【0044】
SITAネットワークコントロールセンター、またはADCCネットワークコントロールセンターより、リモートでリアルタイムに航空機APUメッセージを取得し、ACARSメッセージデコーダで前記航空機APUメッセージを復号し、航空機APU稼働情報を取得、保持する。航空機APU稼働情報には、排気温度EGTが544、空気圧縮機入口温度LCITが31、駆動時間STAが48、機上時間TSRが2642、抽気圧力PTが3.76であることが含まれる。
【0045】
以下の式により、算出して、PDI値が0.72であることが得られる。
【数3】
APU性能が正常であると判断し、そのまま正常に使用可能である。
【0046】
従来技術と比べ、本発明の上述の実施形態は、リアルタイムにAPUの排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、駆動時間STAと、機上時間TSRと、抽気圧力PTとを取得し、式(1)に基づき、PDI値を算出して取得し、PDI値と所定値との比較に基づき、正確にAPU性能を検出する。また、リモートでリアルタイムに航空機APU稼働状態ACARSメッセージを取得することで、手動で取得する作業上の負担を減らすとともに、作業効率を高める。
【0047】
海抜および温度の違いにより、EGTおよびPTの測定結果に影響が生じる。本発明の一実施形態によれば、より正確にAPU性能を検出するために、測定したEGTおよびPTを一つの基準状態に換算して比較することにより、海抜および外界温度の影響を取り除く。例えば、海抜0メートル、温度50℃を基準状態として選択してもよいし、他の海抜および温度を基準状態としてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、海抜0メートル、温度50℃の基準状態の下で、PTの大気校正式は、次のとおりである。
【数4】
ここで、PTstdは海抜0メートル下での圧力、ALTは海抜高度または基準高度、TATは、外気温または全温、mは空気質量で、取り得る値は29である。gは、10メートル/秒2を取り、Rは調整パラメータであり、取り得る値は8.51である。
【0049】
これにより、海抜圧力校正係数δが得られる。
【数5】
【0050】
温度の影響を考慮し、PTの最終の校正式は次のとおりである。
【数6】
ここで、PTcorは校正後の抽気圧力、ΔPTは温度と関連する関数であり、以下の数により算出可能である。
【数7】
ここで、TATは外気温である。a1、b1およびc1は調整係数である。a1、b1およびc1は、実験により測定して得られる。本発明の一実施形態によれば、a1の範囲は10-5等級、b1は10-2等級、c1は0から−1の間である。
【0051】
実験より測定してa1、b1およびc1を得た後、式(3)に基づき、測定して得たPTを校正された基準状態下のPTcorに換算する。
EGTの校正式は、以下のとおりである。
【数8】
ここで、EGTcorは基準状態下でのEGT、ΔEGTは温度に関する関数、PTReqすなわちPTMinはエンジン駆動時に必要な最低抽気圧、 p1およびp2は調整係数である。本発明の一実施形態によれば、p1の取得値の範囲は20〜60、p2の取得値の範囲は70〜100である。p1およびp2の具体的な数値は、実験により取得可能である。例えば,異なる海面気圧高度において、一定の電力出力を維持して、温度50度を保持した状態で、異なるEGTが測定される。その後、50度の海面気圧のEGTと比較し、EGTの変化と温度を回帰させて、校正式における調整係数を得ることができる。
【0052】
ΔEGTは、以下の式より算出可能である。
【数9】
ここで、TATは外気温、a2、b2およびc2は調整パラメータであり、a2、b2およびc2は実験により測定して得られる。本発明の一実施形態によれば、a2の範囲は0.005〜0.02の間、b2は0.5〜2.5の間、c2は60から100の間である。
【0053】
校正後のEGTおよびPTを用いて、式(1)は次のように書き換えられる。
【数10】
【0054】
本発明の一実施形態によれば、校正後のPDIについて、PDIが0.7より小さければ、APU性能は良好である。PDIが0.7より大きく、0.8より小さければ、APU性能は正常で使用可能である。PDIが0.8より大きければ、APU性能は劣化しており、すでに衰退期に入っている。PDIが0.85より大きければ、APUはすでに故障期に入ったことを示す。したがって、ステップ6510における第一所定値の一つの実例は0.7、ステップ6610における第二所定値の一つの実例は0.8であり、ステップ6710における第三所定値の一つの実例は0.85である。
【0055】
図7は、本発明の別の一実施形態のAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すように、当該APU性能の検出方法700においては、ステップ710で航空機APU稼働排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数を取得する。図6の実施形態において記載されたAPU性能パラメータの取得方法を本実施形態に応用可能である。
【0056】
APU稼働の原理に基づき、APU性能を反映する一つの重要なパラメータはEGTすなわちAPU排気温度である。APUが一定の回転数で稼働する場合、EGTは、APU全体の熱エネルギー変換効率を直接反映するからである。APUの熱エネルギー変換効率が低いほど、EGTの値は高くなる。APUの制御システムは、ガソリン燃料流量バルブおよびIGV入口角度の大きさを操作して、温度逸脱が起きないようにするが、APUが温度逸脱状態に近づき温度逸脱を防止する必要がある場合、APUパラメータにおいてPTおよびIGV角度がこの変化を反映する。STAは、APUの全体性能を反映するパラメータであり、モーター駆動の性能、ギヤボックス性能、ならびに空気圧縮機ユニットおよび動力ユニット(すなわち一つの空気圧縮機および二段タービン)の効率が含まれる。これら四つの鍵となるパラメータ、EGT、IGV、STAおよびPTをモニタリングすることにより、APUの現在の性能およびその変化の傾向を反映することが可能である。さらに、パラメータを個別に検出することも、APUの故障原因の判定および隠れた故障の発見の一助となる。
【0057】
ステップ720において、排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数に顕著な変化が生じたかどうかを確定する。排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つのパラメータに顕著な変化が生じた場合、当該パラメータが悪化していると判断する。
【0058】
EGTおよびPTに対して、上記実施形態のうちのEGTcorおよびPTcorを適用して、直接取得するEGTおよびPTに代え、これにより海抜および温度の影響を排除し、より正確な結果を得てもよい。
【0059】
使用時間が長くなるにつれて、APU性能も次第に劣化する。APU性能パラメータのこれらの属性は、以下の式により反映される。
【数11】
ここで、Xは排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちのいずれか一つのパラメータ、t0はAPUの取り付け時間、β0およびβ1はフィットパラメータである。ここで、β1は傾斜項であり、パラメータの変化傾向を反映する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、一定時間内に取得したEGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つの、複数の値をフィットして、傾斜項β1を得る。β1と基準である傾斜項とを比較し、傾斜項が明らかに異なる場合は、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。基準となる傾斜項は動作状態が良好であるAPUのデータを用いて算出し、同一APUが最初に取り付けられた後のデータでもよいし、同一型番のほかの、動作状態が良好なAPUのデータであってもよい。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、APU搭載機およびAPUのパラメータを初期化し、初期の複数の記録のパラメータを平均化して、各パラメータの初期値を得てそれぞれの基凖値とする。複数の記録の数量は一般に、10個以上の記録である。
【0062】
後続のパラメータおよび基凖値を比較して、自身の変化値を得る。これら変化値も式(8)に適合する。これらの傾斜項も同様に、APUパラメータの変化の傾向を反映可能である。したがって、本実施形態では、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つの、基凖値に対する変化値の傾斜項と、基準となる変化値の傾斜項とを比較し、傾斜項が明らかに異なれば、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。当該パラメータは悪化したことになる。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前後で連続する、等しい長さの時間内におけるEGT、STA、PTおよびIGVのうちの一つのパラメータ値に対して、独立したサンプルの比較を行い、両者が明らかに変化しているのであれば、EGT、STA、PTおよびIGVのうちの当該一つに顕著な変化が生じたと判断する。当該パラメータは悪化していることになる。
【0064】
波動の干渉を減らすために、実測されたEGT、STA、PTおよびIGVにおけるパラメータ値に対し平滑処理を行う。本発明の一実施形態によれば、多点平滑の移動平均値の方式により、パラメータ値に対し平滑処理を行う。多点は、3点以上である。本発明の別の一実施形態によれば、以下の式によりパラメータに対し平滑処理を行う。
【数12】
ここで、Xoldは、平滑処理前の数値、すなわち実際に測定した数値である。Xnewは、平滑処理後の数値である。Xsmoothは、平滑値であり、隣り合う点(例えば一つ前の点)の平滑後の値であってもよいし、付近のいくつかの点(現在の点は考慮しない)の平均値であってもよい。C1およびC2は重み付け値であり、 C1はC2より大きく、例えば、C1=0.8、C2=0.2である。
【0065】
ステップ730において、排気温度EGT、駆動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度のうちの一つまたは複数のパラメータに顕著な変化が生じたか否かを総合的に考慮し、APUの性能が劣化したか否かを確定する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、EGT、PT,STAおよびIGVのうちの何れか1つが悪化した場合、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば,STAが悪化すれば、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば,EGT、PT、STAおよびIGVのうちの何れか二つが悪化した場合、APUの性能が劣化し衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば、EGTおよびPTの2つが悪化した場合、APUの性能が劣化し、衰退期に入ったと判断する。
【0067】
図6および図7の実施形態を同時に使用してより正確にAPUの性能を検出することが可能である。
【0068】
図8は、本発明の別の一実施形態によるAPU性能の検出方法のフローチャートである。図に示すように、当該APU性能の検出方法800において、ステップ810で、航空機APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つまたは二つを取得する。上述した実施形態において記載されたAPU性能パラメータの取得方法を、本実施形態に応用可能である。
【0069】
ステップ820において、排気温度EGTおよび抽気圧力PTと、それぞれの限界値とを比較する。具体的には、EGTは、EGTレッドライン値EGTRedLineと比較可能である。抽気圧力PTは、エンジン始動時に必要となる最低抽気圧力PTReqと比較可能である。
【0070】
ステップ830において、排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つがその限界値に近づいた場合、当該パラメータが悪化したと判断する。本発明の一実施形態によれば、排気温度EGTおよび抽気圧力PTのうちの一つが悪化した場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する。本発明の別の一実施形態によれば、排気温度EGTおよび抽気圧力PTがいずれも悪化した場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、EGTに対して以下の式が可能である。
【数13】
ここで、EGTToleranceはEGTの許容量、すなわちEGTの、レッドライン値EGTRedLineからの距離を示す。APU制御システムはEGTの温度逸脱を防止することから、制御メカニズムが働く場合、APUが給油を増やしてより大きな電力を得ることがすでに不可能であることを示している。使用時間が長くなるにつれ、APUの電力は次第に減少するが、これは、当該APUが衰退段階に入ったことを示しているのである。よって、EGTToleranceが0に近づいた場合、APUが衰退段階に入ったことを示す。
【0072】
APUが衰退段階に入った後は、PTが重要な観測パラメータとなる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、PTに対して以下の式が可能である。
【数14】
ここで、PTToleranceは、PTの許容量、すなわちPTとエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力との距離を示す。PTToleranceの大きさは、衰退段階にあるAPUの稼働状況を反映する。PTToleranceが0に近づいた場合、APUは交換すべきである。
【0074】
実例3:メッセージより取得した排気温度EGT、外界温度TAT、海抜ALTおよびPTデータにより、EGTcor= 654.49、PTcor = 3.27を算出して得ることができる。問い合わせたところ、エアバスA319航空機の発動駆動の最低抽気圧力はPTReq= 3.2である。長期にわたる実験検証を経て、APS3200型番のAPUのレッドライン値は、EGTRedLine= 645である。上記の性能評価式より、EGTTolerance= -9.49、0値との接近程度は9.49/645、約1.4%であり、PTTolerance= 0.07、0値との接近程度は0.07/3.2、約2.2%であることが得られる。これより、EGTおよびPTの二つのパラメータがいずれも悪化し、APUがすでに衰退期に入り、適時交換する必要があると判断する。
【0075】
図6〜図8の方法は、同時に使用してより正確にAPUの性能を検出することが可能である。
【0076】
従来技術と比べ、本発明の実施形態による方法は、リアルタイムにAPUの排気温度EGT、空気圧縮機入口温度LCIT、始動時間STA、機上時間TSR、抽気圧力PTおよび入口ガイド羽根IGVの角度等パラメータを取得し、これらパラメータに対する処理により、APUの性能検出を行い、かつAPUの性能がすでに衰退期に入ったか否かを判断可能であり、エンジニアによるAPUのメンテナンスを効果的にサポートすることによりAPUの使用を保証し、APUによる航空機遅延、欠航を防止する。同時に、APU性能に対する評価により、焦点を絞ったメンテナンスや稼働制御を実施することができ、メンテナンスコストを大幅に引き下げる。
【0077】
以上の実施形態は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱しない状況の下で、各種の変更や変形を行うことができるが、同等の技術案はいずれも、本発明が開示する範囲内に属すべきものである。
【符号の説明】
【0078】
100 APU
102 発電機
103 軸
104 ギヤボックス
105 前端軸流遠心空気圧縮機
106 空気圧縮機部
107 後端軸流遠心空気圧縮機
108 高温端部
120 燃焼室
140 タービン
200 入口ガイド羽根アセンブリ
300 入口ガイド羽根制御構造
301 入口ガイド羽根アクチュエータ
302 ライン可変作動変圧器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助動力装置APUの性能検出方法であって、
前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップと、
前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップと、
前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果に、それぞれの重みを指定するステップと、
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップと、を含む、
補助動力装置APUの性能検出方法。
【請求項2】
前記EGT-LCITの閾値が、前記APUのEGTレッドライン値EGTReadlineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記STAの閾値が、STA性能減衰値STAWarningLineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記TSRの閾値が、前記APUの翼上時間における信頼性が70%であることに対応する時間TSRrtである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記TSRrtが、実際データに基づきポアソン分布により算出される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記PTの閾値が、前記APUの最小抽気圧力PTMinである、または前記PTの閾値が、前記APU正常稼働時の固有最低抽気量PTBaseLineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップは、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との比または差を算出するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
TSRの重みが最大であり、かつPTの重みが最小である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R1、R2、R3およびR4を前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、前記APUの型番がAPS3200型番であると、R1=0.2、R2=0.3、R3=0.35、かつR4=0.15である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R1、R2、R3およびR4を、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、前記APUの型番がGTCP131-9A型番であると、R1=0.3、R2=0.2、R3=0.35、かつR4=0.15である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップは、以下の式に基づき判断するステップを含み、
【数1】
ここで、PDIは性能検出指数で、APUの性能を反映し、R1、R2、R3およびR4は、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みであり、式において、PTMinは、 PTBaseLineで代替可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記PDIが第一所定値より小さい場合、前記APUの性能が良好であり、PDIが前記第一所定値より大きく、第二所定値より小さい場合、前記APUの性能が正常で使用可能であり、PDIが前記第二所定値より大きい場合、前記APUがすでに衰退期に入っており、PDIが第三所定値より大きい場合、前記APUがすでに故障期に入っていることを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一所定値が0.7であり、前記第二所定値が0.85であり、前記第三所定値が0.95である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップは、以下の式に基づき判断するステップを含み、
【数2】
ここで、PDIが性能検出指数であり、APU性能を反映し、R1、R2、R3およびR4が前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みであり、EGTcorが基準状態下でのEGTで、PTcorが基準状態下での抽気圧力であり、式において、PTMinが PTBaseLineで代替可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記PDIが第一所定値より小さい場合、前記APUの性能は良好であり、PDIが前記第一所定値より大きく、第二所定値より小さい場合、前記APU性能が正常で使用可能であり、PDIが前記第二所定値より大きい場合、前記APUがすでに衰退期に入っており、PDIが第三所定値より大きい場合、前記APUがすでに故障期に入っていることを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一所定値が0.7であり、前記第二所定値が0.8であり、前記第三所定値が0.85である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PTcorが以下の式により算出され、
【数3】
ここで、ΔPTが温度に関する関数で、δが海抜圧力校正係数であり、以下の式により算出され、
【数4】
ここで、ALTが海抜高度または基準高度であり、TATが外気温または全温であり、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数5】
ここで、ΔEGTが温度に関する関数で、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力で、p1およびp2が校正係数である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップは、APUメッセージから前記EGT、LCIT、STA、TSR及びPTを取得するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記APUメッセージがエアバス航空機のA13メッセージまたはボーイング航空機のAPUメッセージである、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記APUの稼働の前記EGT、LCIT、STA、TSRおよびPT情報を含むAPUメッセージを生成するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、ACARSまたはATNにより前記APUメッセージをサーバに伝送するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
APUの性能検出方法であって、
APU稼働排気温度EGT、始動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度からなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、
前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、
前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップと、を含む、
方法。
【請求項24】
前記稼働パラメータは、EGT、STA、PT及びIGV角度を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの複数の値をフィットして傾斜項を取得するステップと、
前記傾斜項と基準傾斜項とを比較して、傾斜項に顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
さらに、
前記パラメータのAPU搭載後の初期値を基凖値として取得するステップと、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの前記複数の値と、基凖値との前記パラメータの複数の変化値を算出するステップと、
前記パラメータの複数の変化値をフィットして、傾斜項を取得するステップと、
前記傾斜項と基準傾斜項とを比較して、傾斜項に顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を、一つのサンプルとして取得するステップと、
それ以前の等しい長さの時間内の前記パラメータの複数の値を、別のサンプルとして取得するステップと、
前記2つのサンプルに対し、独立したサンプルの比較を行い、顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項28】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの前記複数の値に対し多点平滑化処理を行うステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項29】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
以下の式により、前記パラメータの前記複数の値に対し平滑処理を行うステップと、を含み、
【数6】
ここで、Xoldが平滑化処理前の数値すなわち実際に測定した数値であり、Xnewが平滑化処理後の数値であり、Xsmoothが隣接値を平滑化した後の値、または隣接のいくつかの値の平均値であり、C1およびC2が重み値である、
請求項23に記載の方法。
【請求項30】
C1が0.8で、C2が0.2である、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
さらに、取得したEGTおよびPTを、基準状態下でのEGTcorおよびPTcorに換算するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記PTcorが以下の式により算出され、
【数7】
ここで、ΔPTが温度に関する関数で、δが海抜圧力校正係数であり、以下の式により算出され、
【数8】
ここで、ALTが海抜高度または基準高度、TATが外気温または全温、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数9】
ここで、ΔEGTが温度に関する関数、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力、p1およびp2が校正係数である、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記パラメータを取得するステップは、APUメッセージから前記パラメータを取得するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記EGT、PT、STAおよびIGV角度のうちの何れか一つに顕著な変化が生じた場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する、
請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記EGT、PT、STAおよびIGVのうちの何れか二つに顕著な変化が生じた場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する、
請求項23に記載の方法。
【請求項37】
APUの性能検出方法であって、
APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTからなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、
前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かを判断するステプと、
前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かに基づいて、前記APUの性能を確定するステップと、を含む、
方法。
【請求項38】
前記EGTの限界値が前記APUのEGTレッドライン値EGTReadlineである、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記PTの限界値がエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力PTReqである、
請求項37に記載の方法。
【請求項40】
PTに対して以下の式を用い、
【数10】
ここで、PTToleranceがPTの許容量、すなわちPTとエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力との距離を示し、PTToleranceが0に近づいた場合、APU性能が衰退期に入っており、
PTcorが以下の式により算出され、
【数11】
ここで、ΔPTが温度に関する関数、δが海抜圧力校正係数で、以下の式により算出され、
【数12】
ここで、ALTが海抜高度または基準標凖高度、TATが外気温または全温、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項37に記載の方法。
【請求項41】
EGTに対して以下の式を用い、
【数13】
ここで、EGTToleranceがEGTの許容量、すなわちEGTとEGTRedLineとの距離を示し、EGTToleranceが0に近づいた場合、APUが衰退期に入っており、
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数14】
ここで、 ΔEGTが温度に関する関数で、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力で、p1およびp2が校正係数である、
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記パラメータを取得するステップは、APUメッセージから前記パラメータを取得するステップを含む、
請求項40に記載の方法。
【請求項1】
補助動力装置APUの性能検出方法であって、
前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップと、
前記EGTとLCITとの差EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップと、
前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との各比較結果に、それぞれの重みを指定するステップと、
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップと、を含む、
補助動力装置APUの性能検出方法。
【請求項2】
前記EGT-LCITの閾値が、前記APUのEGTレッドライン値EGTReadlineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記STAの閾値が、STA性能減衰値STAWarningLineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記TSRの閾値が、前記APUの翼上時間における信頼性が70%であることに対応する時間TSRrtである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記TSRrtが、実際データに基づきポアソン分布により算出される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記PTの閾値が、前記APUの最小抽気圧力PTMinである、または前記PTの閾値が、前記APU正常稼働時の固有最低抽気量PTBaseLineである、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、それぞれの閾値とを比較するステップは、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと、前記それぞれの閾値との比または差を算出するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
TSRの重みが最大であり、かつPTの重みが最小である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R1、R2、R3およびR4を前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、前記APUの型番がAPS3200型番であると、R1=0.2、R2=0.3、R3=0.35、かつR4=0.15である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R1、R2、R3およびR4を、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みとし、前記APUの型番がGTCP131-9A型番であると、R1=0.3、R2=0.2、R3=0.35、かつR4=0.15である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップは、以下の式に基づき判断するステップを含み、
【数1】
ここで、PDIは性能検出指数で、APUの性能を反映し、R1、R2、R3およびR4は、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みであり、式において、PTMinは、 PTBaseLineで代替可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記PDIが第一所定値より小さい場合、前記APUの性能が良好であり、PDIが前記第一所定値より大きく、第二所定値より小さい場合、前記APUの性能が正常で使用可能であり、PDIが前記第二所定値より大きい場合、前記APUがすでに衰退期に入っており、PDIが第三所定値より大きい場合、前記APUがすでに故障期に入っていることを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一所定値が0.7であり、前記第二所定値が0.85であり、前記第三所定値が0.95である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
重み付けをした後の、前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTと前記それぞれの閾値との前記比較結果に基づき、前記APUの性能を判断するステップは、以下の式に基づき判断するステップを含み、
【数2】
ここで、PDIが性能検出指数であり、APU性能を反映し、R1、R2、R3およびR4が前記EGT-LCIT、STA、TSRおよびPTそれぞれの重みであり、EGTcorが基準状態下でのEGTで、PTcorが基準状態下での抽気圧力であり、式において、PTMinが PTBaseLineで代替可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記PDIが第一所定値より小さい場合、前記APUの性能は良好であり、PDIが前記第一所定値より大きく、第二所定値より小さい場合、前記APU性能が正常で使用可能であり、PDIが前記第二所定値より大きい場合、前記APUがすでに衰退期に入っており、PDIが第三所定値より大きい場合、前記APUがすでに故障期に入っていることを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一所定値が0.7であり、前記第二所定値が0.8であり、前記第三所定値が0.85である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PTcorが以下の式により算出され、
【数3】
ここで、ΔPTが温度に関する関数で、δが海抜圧力校正係数であり、以下の式により算出され、
【数4】
ここで、ALTが海抜高度または基準高度であり、TATが外気温または全温であり、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数5】
ここで、ΔEGTが温度に関する関数で、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力で、p1およびp2が校正係数である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記APUの稼働の排気温度EGTと、空気圧縮機入口温度LCITと、始動時間STAと、使用時間TSRと、抽気圧力PTとを取得するステップは、APUメッセージから前記EGT、LCIT、STA、TSR及びPTを取得するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記APUメッセージがエアバス航空機のA13メッセージまたはボーイング航空機のAPUメッセージである、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記APUの稼働の前記EGT、LCIT、STA、TSRおよびPT情報を含むAPUメッセージを生成するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、ACARSまたはATNにより前記APUメッセージをサーバに伝送するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
APUの性能検出方法であって、
APU稼働排気温度EGT、始動時間STA、抽気圧力PTおよびIGV角度からなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、
前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、
前記パラメータに顕著な変化が生じたか否かに基づき、前記APUの性能を確定するステップと、を含む、
方法。
【請求項24】
前記稼働パラメータは、EGT、STA、PT及びIGV角度を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの複数の値をフィットして傾斜項を取得するステップと、
前記傾斜項と基準傾斜項とを比較して、傾斜項に顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
さらに、
前記パラメータのAPU搭載後の初期値を基凖値として取得するステップと、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの前記複数の値と、基凖値との前記パラメータの複数の変化値を算出するステップと、
前記パラメータの複数の変化値をフィットして、傾斜項を取得するステップと、
前記傾斜項と基準傾斜項とを比較して、傾斜項に顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を、一つのサンプルとして取得するステップと、
それ以前の等しい長さの時間内の前記パラメータの複数の値を、別のサンプルとして取得するステップと、
前記2つのサンプルに対し、独立したサンプルの比較を行い、顕著な変化が生じたか否かを判断するステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項28】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
前記パラメータの前記複数の値に対し多点平滑化処理を行うステップと、を含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項29】
さらに、
一定時間内の前記パラメータの複数の値を取得するステップと、
以下の式により、前記パラメータの前記複数の値に対し平滑処理を行うステップと、を含み、
【数6】
ここで、Xoldが平滑化処理前の数値すなわち実際に測定した数値であり、Xnewが平滑化処理後の数値であり、Xsmoothが隣接値を平滑化した後の値、または隣接のいくつかの値の平均値であり、C1およびC2が重み値である、
請求項23に記載の方法。
【請求項30】
C1が0.8で、C2が0.2である、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
さらに、取得したEGTおよびPTを、基準状態下でのEGTcorおよびPTcorに換算するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記PTcorが以下の式により算出され、
【数7】
ここで、ΔPTが温度に関する関数で、δが海抜圧力校正係数であり、以下の式により算出され、
【数8】
ここで、ALTが海抜高度または基準高度、TATが外気温または全温、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数9】
ここで、ΔEGTが温度に関する関数、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力、p1およびp2が校正係数である、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記パラメータを取得するステップは、APUメッセージから前記パラメータを取得するステップを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記EGT、PT、STAおよびIGV角度のうちの何れか一つに顕著な変化が生じた場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する、
請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記EGT、PT、STAおよびIGVのうちの何れか二つに顕著な変化が生じた場合、APUの性能が衰退期に入ったと判断する、
請求項23に記載の方法。
【請求項37】
APUの性能検出方法であって、
APU稼働排気温度EGTおよび抽気圧力PTからなる群より選ばれたAPU稼働パラメータを取得するステップと、
前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かを判断するステプと、
前記パラメータが前記パラメータの限界値に近づいているか否かに基づいて、前記APUの性能を確定するステップと、を含む、
方法。
【請求項38】
前記EGTの限界値が前記APUのEGTレッドライン値EGTReadlineである、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記PTの限界値がエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力PTReqである、
請求項37に記載の方法。
【請求項40】
PTに対して以下の式を用い、
【数10】
ここで、PTToleranceがPTの許容量、すなわちPTとエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力との距離を示し、PTToleranceが0に近づいた場合、APU性能が衰退期に入っており、
PTcorが以下の式により算出され、
【数11】
ここで、ΔPTが温度に関する関数、δが海抜圧力校正係数で、以下の式により算出され、
【数12】
ここで、ALTが海抜高度または基準標凖高度、TATが外気温または全温、mが空気質量で、値29を取り、gが値10メートル/秒2を取り、Rが調整パラメータである、
請求項37に記載の方法。
【請求項41】
EGTに対して以下の式を用い、
【数13】
ここで、EGTToleranceがEGTの許容量、すなわちEGTとEGTRedLineとの距離を示し、EGTToleranceが0に近づいた場合、APUが衰退期に入っており、
前記EGTcorが以下の式により算出され、
【数14】
ここで、 ΔEGTが温度に関する関数で、PTReqがエンジン始動時に必要となる最低抽気圧力で、p1およびp2が校正係数である、
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記パラメータを取得するステップは、APUメッセージから前記パラメータを取得するステップを含む、
請求項40に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−19413(P2013−19413A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152982(P2012−152982)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
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