補助装置
【課題】ボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置を提供する。
【解決手段】ボルト36と第1ナット37との段差部に支持される吊下げ部2と、吊下げ部2の下部に設けられる一対のもので、揺動用ヒンジ11、21を介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部12d、22dを上下方向の途中位置にそれぞれ有し、金具を上昇させることにより両接近部12d、22dの間隔が広くなり、金具が両接近部の上方に通過すると両接近部12d、22dの間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材10、20と、両揺動部材10、20のそれぞれに設けられ、前記金具の被係止部に係止する係止部12e、22eとを具備する。
【解決手段】ボルト36と第1ナット37との段差部に支持される吊下げ部2と、吊下げ部2の下部に設けられる一対のもので、揺動用ヒンジ11、21を介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部12d、22dを上下方向の途中位置にそれぞれ有し、金具を上昇させることにより両接近部12d、22dの間隔が広くなり、金具が両接近部の上方に通過すると両接近部12d、22dの間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材10、20と、両揺動部材10、20のそれぞれに設けられ、前記金具の被係止部に係止する係止部12e、22eとを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室などの天井に、乾燥機の室内機などの吊下げ対象物を吊り下げる際に用いると便利な補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるには、従来当初、天井の複数箇所に吊り下げたボルトにナットを螺着し、室内機にボルトに対応する数、位置で取付けた固定金具を、前記ナットにより下側から支持する方式が採用されていた。
【0003】
ところで、上述した吊り下げ方式では、重量のある室内機を天井近くまで持ち上げつつナットを取付ける必要があり、一人での取付けが困難で作業性が悪いという難点がある。
【0004】
そこで、近年においては、作業性を改善すべく、ナットの代わりに別機構の支持装置を用いて乾燥機の室内機などを天井に取付けることが行われており、その支持装置として、図12及び図13に示す構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この支持装置は、天井から垂設したボルト104に、室内機102に設けたボルト孔103を挿通して支持するもので、水平な枢支ピン111回りに揺動可能な一対の係止部106、106が上下2段設けられ、天井から垂設したボルト104に前述の係止部106が係止する状態と、付勢バネ114の付勢力に抗して解除機構107を内側に押し込むと各係止部106のボルト104に対する係止が解除される状態とになる構成となっている。なお、係止部106は二分割構造となっていて、係止状態のとき、係止部106の先端に形成された雌ネジ面106aがボルト104に噛合するようになっている。
【0006】
よって、付勢バネ114の付勢力により解除機構107を外側に押し出すと、ボルト104に係止部106が係止して室内機102の落下を防止し、付勢バネ114の付勢力に抗して解除機構107を内側に押し込むと支持装置を取り外すことができる。これにより、一人でも取付けが可能になる。
【特許文献1】特開平8−178413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の支持装置による場合には、室内機を支持する間ずっとボルトに取付けておく必要があるため、ナットに比べて大幅にコストが上昇するという難点があった。そこで、このように室内機を取付けた後も取外しができない支持装置に代えて、従来同様にボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置の出現が期待されていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、吊下げ対象物に、貫通孔及び被係止部を有する取付用金具を予め取付けるとともに、天井から垂下させたボルトに補助装置吊下げ用の第1ナットを螺着しておき、前記金具を支持する状態で前記ボルトに固定用の第2ナットを螺着して前記金具を前記ボルトに仮止めする際に前記第1ナットに吊下げられ、仮止め後に取外される補助装置であって、前記ボルトを挿通させる横向き凹部を有し、前記ボルトと前記第1ナットとの段差部にて下側から支持される吊下げ部と、前記吊下げ部の下部であって前記ボルトを挟む2位置にそれぞれ設けられる一対のもので、前記吊下げ部に上端が、下側を前記ボルトに対して接離させ得る状態で揺動用ヒンジを介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部を上下方向の途中位置にそれぞれ有し、前記貫通孔に前記ボルトを挿通させた状態で、下方から両接近部の間に向けて前記金具を上昇させることにより両接近部の間隔が広くなり、前記金具が両接近部の上方に通過すると両接近部の間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材と、両揺動部材のそれぞれに設けられ、両接近部が接近した状態で前記金具を両接近部よりも上方から降下させることにより前記金具の被係止部に係止する係止部とを具備することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の補助装置において、前記一対の揺動部材は、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の補助装置において、前記吊下げ部は、前記横向き凹部の上部がボルト挿通用の狭幅部で、前記横向き凹部の下部が第1ナットの入る広幅部となっていて、その広幅部の横方向の開口幅が前記第1ナットよりも狭く形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の補助装置において、前記吊下げ部は、前記横向き凹部の内部に先端が達するネジを有することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の補助装置において、前記吊下げ部には、開閉用ヒンジを介して前記凹部を塞ぐ蓋と、この蓋を閉じた状態に保持するストッパとが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の補助装置において、前記一対の揺動部材の接近部の近傍に、前記金具の貫通孔に下側から係止する上向きの突出片がそれぞれ設けられ、前記一対の揺動部材の少なくとも一方であって前記突出片の近傍に、前記吊下げ部の前記第1ナットによる吊下げ解除後の降下に伴って前記第2ナットを抜けさせ、前記係止部と前記被係止部との係止を解除させるとともに前記金具を前記第2ナットにより下側から支持させる抜け孔が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の補助装置において、前記突出片が前記係止部として機能しかつ前記貫通孔が前記突出片を係止する被係止部を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、天井から垂下させたボルトに吊下げ部の横向き凹部を入れ、ボルトに螺着した第1ナットにより補助装置の吊下げ部を下側から支持させる。この支持により補助装置の全体が第1ナットに吊り下げられる。そして、ボルトに金具の貫通孔を通して金具を上昇させていく。このとき、上昇する金具により両揺動部材がその下端を広げるように揺動し、両接近部の間隔が互いに広げられて、両接近部の間を金具が通過する。そして、金具の貫通孔が揺動部材の接近部よりも上方位置に達すると、金具を降下させる。このとき、両揺動部材は、自重により接近部同士が接近した状態になっている。金具の降下により、金具の被係止部が、両揺動部材に設けた係止部に係止され、これにより金具が補助装置により保持される。この保持状態において、ボルトに下側から固定用の第2ナットを螺着して補助装置を取外すと、第2ナットにより金具がボルトに仮止めされる。
【0017】
よって、本発明による場合には、ボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置の提供が可能になる。
【0018】
請求項2の発明による場合には、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように一対の揺動部材が形成されているので、金具を下側から接近部へ向けて上昇させると、自然に両揺動部材がその下端を開くように揺動するので、一対の揺動部材に対して何ら手操作を施すことなく、金具を接近部の上方まで上昇させ得る。
【0019】
請求項3の発明による場合には、第1ナットよりも上方に吊下げ部を位置させた状態から補助装置を水平移動させて、横向き凹部にボルトを通し、その後補助装置を降下させると、広幅部に第1ナットが入込む。このとき、広幅部の横方向の開口幅が第1ナットよりも狭いので、第1ナットから吊下げ部が外れることがない。
【0020】
請求項4の発明による場合には、吊下げ部を第1ナットに吊下げ、ネジを締める方向に回すと、そのネジの先端を第1ナットなどの側面に強固に当接させて、吊下げ部をボルトに固定することができる。
【0021】
請求項5の発明による場合には、吊下げ部を第1ナットに吊下げ、蓋を閉じてストッパを掛けると、吊下げ部を固定することができる。
【0022】
請求項6の発明による場合には、吊下げ部の第1ナットによる吊下げを解除した後に吊下げ部を降下させることに伴って、抜け孔から第2ナットを抜けさせ得る。これに伴って、係止部と被係止部との係止を解除させ得るとともに金具を第2ナットにより下側から支持させ得、補助装置の取外しを簡単に行うことができる。
【0023】
請求項7による場合には、両接近部の間を下側から通って上側に出た金具を、降下させることで、係止部として機能する上向きの突出片が、被係止部を兼ねる貫通孔に係止する。よって、被係止部を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態に係る補助装置を示す正面図、図2は左斜め上方から見た斜視図、図3は図2とは反対側の上方から見た斜視図、図4は吊下げ部を示す部分断面図、図5は補助装置を用いて吊下げ対象物である乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるときの説明図である。
【0026】
図5に示すように、室内機30の四隅には、貫通孔32を有する取付用金具31が予め取付けられているとともに、浴室の天井35の四箇所にはボルト36が垂下状態で取付けられている。また、室内機30を天井35に取付けるより前に、前記ボルト36には補助装置吊下げ用の第1ナット37が螺着される。更に、室内機30は、ボルト36に金具31の貫通孔32を通し、その金具31の下側に固定用の第2ナット38を螺着することで、仮止めされる。
【0027】
一方、図1等に示される本実施形態の補助装置1は、第2ナット38により金具31をボルト36に仮止めする際に、第1ナット37に吊下げられ、仮止め後に取外されるものである。第1ナット37及び第2ナット38としては、本実施形態では一般的な六角ナットを用いるものとして説明するが、四角や八角ナットなどを使用してもよい。
【0028】
この補助装置1の構成は、以下の通りである。即ち、補助装置1は、上部に設けられた吊下げ部2と、吊下げ部2の下側に設けられた一対の揺動部材10、20とを備える。
【0029】
吊下げ部2は、例えば金属製の概略矩形状をした吊下げ部本体3と、固定用のネジ4とを有する。ネジ4としては、図示例では蝶ネジを使用している。吊下げ部本体3は、一側面3aと、この一側面3aに繋がる上面3bおよび下面3cとに開口5a、5b、5cを有する横向き凹部5を有し、この横向き凹部5は前記ボルト36を挿通させるために形成されていて、一側面3aの開口5aはボルト36の直径よりも少し大きく、第1ナット37の二面幅よりも狭い幅寸法で上下方向に形成されている。上面3bの開口5bは開口5aの幅寸法と同じ幅で内奥部が半円状となったU字状に形成されている。下面3cの開口5cは、一側面3a側を開口5aと同じ幅寸法とし、内奥部が開口5aの幅寸法よりも広い概略C字状に形成されており、開口5cの内奥部は開口5aの幅寸法の半分よりも十分に大きい曲率半径であって第1ナット37が入る大きさに設定されている。この概略C字状の開口5cは下面3cから半分以上上側の部位までの範囲に設けられており、横向き凹部5の内奥部は、上側にボルト36を挿通させ得る寸法の狭幅部が形成され、下側に第1ナット37が入り得る広幅部が形成され、これら狭幅部と広幅部との境界に段付き部5dが設けられている。また、横向き凹部5の内奥部には、ネジ4の先端4aが突出するようになっている(図2、図4参照)。なお、一側面3aの開口5aに関しては、図示例では上から下まで同じ開口幅(ボルト36の直径よりも少し大きく、第1ナット37の二面幅よりも狭い幅寸法)としているが、段付き部5dよりも下側の箇所にあっては、第1ナット37が抜け落ちないように、第1ナット37の二面幅よりも小さくなっていてもよい。つまり、一側面3aの開口5aは、段付き部5dよりも上側と下側とで開口幅が異なっていてもよい。
【0030】
よって、垂下状態のボルト36に対して一側面3aの開口5aを一致させ、かつ下面3cを第1ナット37よりも高くして、横向き凹部5にボルト36を挿入させ、その後に補助装置1を少し降下させると、段付き部5dが第1ナット37で支持されることになり、吊下げ部2が第1ナット37に吊り下げられる。そして、ネジ4を締めると、ネジ4の先端4aが、例えば第1ナット37の側面に当接し、吊下げ部2がボルト36に固定される。
【0031】
各揺動部材10、20は、ボルト36を挟む2位置にそれぞれ設けられた一対のものであり、上部に揺動用のヒンジ11、21が設けられ、ヒンジ11、21の下側にはV字状に折れ曲がった揺動下部12、22が設けられている。
【0032】
ヒンジ11、21は、揺動軸部11a、21aを水平にしかつ吊下げ部2の下端に配した状態で、上側の取付面11b、21bを吊下げ部本体3の一側面3aと1つ隣の側面3d、3eに取付けられており、下側の取付面11c、21cには揺動下部12、22が取付けられている。
【0033】
揺動下部12、22は、下端に折り曲げ部12a、22aを有し、外側の板状片12b、22bの上端部が前記取付面11c、21cに取付けられており、内側の板状片12c、22cは非固定状態となっている。よって、揺動下部12、22はヒンジ11、21における揺動軸部11a、21aの回りを白抜矢符方向に揺動可能となっており、揺動軸部11a、21aの下側の実質的に揺動する部分の上端が、吊下げ部2に取付けられた構成となっている。なお、外側の板状片12b、22bと、内側の板状片12c、22cとは、連結片12g、22gで連結されている。
【0034】
内側の板状片12c、22cは、無負荷状態において、上端が互いに最接近する接近部12d、22dとなっていて、内側の両板状片12c、22cの間の間隔は、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されている。また、接近部12d、22dには、上向きに突出した係止部12e、22eが設けられている。この係止部12e、22eは、前記取付用金具31の貫通孔32を被係止部として係止するものである。各係止部12e、22eのそれぞれは、開口部12f、22fを挟んで2つに分離した状態で設けられている。開口部12fは内側の板状片12cと連結片12gとにそれぞれ形成され、開口部22fは内側の板状片22cと連結片22gとにそれぞれ形成されている。これら開口部12f、22fは、後述するように吊下げ部2の第1ナット37による吊下げを解除した後に吊下げ部2を降下させることに伴って、第2ナット38を抜けさせ得る抜け孔として機能するものである。
【0035】
次に、このように構成された補助装置1を用いて、図5に示すように天井35から垂下させたボルト36に、室内機30に取付けた取付用金具31を支持するように第2ナット38を螺着して、金具31をボルト36に仮止めする工程を、図6〜図8に基づき説明する。なお、図6と図8は、方向を90゜ずらして表した図である。
【0036】
図6(a)に示すように、天井35から垂下させたボルト36に第1ナット37を螺着する。次に、図6(b)に示すように、補助装置1を手に持って第1ナット37に吊り下げる。つまり、ボルト36に対して一側面(3a)の開口(5a)を一致させ、かつ下面3cを第1ナット37よりも高くして、補助装置1を水平移動させて横向き凹部(5)にボルト36を挿入させる。その後、図6(c)に示すように、補助装置1を少し降下させると、段付き部(5d)が第1ナット37で支持される。このとき、前述したように一側面(3a)の開口(5a)の開口幅が第1ナット37の二面幅よりも狭く形成されているので、第1ナット37から吊下げ部2が外れることがない。これにより補助装置1から手を離すことが可能になる。その後、図6(d)に示すように、揺動下部12、22の一方または両方を広げ、前記抜け孔(開口部)12f、22fにボルト36を入れるとともに固定用のネジ4を締める。
【0037】
以上の補助装置1のボルト36への取付けを、4本のボルト36のそれぞれに対して行う。
【0038】
次に、図6(e)に示すように、室内機30を手で持ち上げて、取付用金具31の貫通孔32にボルト36の下端を通し、金具31を徐々に上昇させる。このとき、内側の両板状片12c、22cの間の間隔が、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されているので、図6(f)に示すように、金具31の上昇に伴って接近部12dと接近部22dとの間隔が広くなっていき、図6(g)に示すように、両接近部12d、22dの間を金具31が下側から上側へと通過する。このとき、ネジ4により補助装置1が第1ナット37に固定されているので、金具31を上昇させる際に補助装置1が第1ナット37から外れることがない。
【0039】
そして、金具31の貫通孔32が接近部12d、22dよりも上方位置に達すると、図6(h)に示すように、金具31を降下させる。このとき、両揺動部材10、20は、自重により接近部12d、22d同士が接近した状態になっているので、金具31の降下により、金具31の被係止部としての貫通孔32が、係止部12e、22eに係止される。図7は貫通孔32が係止部12e、22eに係止された状態を示す斜視図である。これにより金具31が補助装置1により保持される。この保持操作は、4個の金具31の全てを同時に各補助装置1に対して保持させるように行ってもよく、或いは1つずつ、或いは2または3つを同時に行ってもよい。
【0040】
この保持状態において、図6(i)に示すように、各ボルト36にそれぞれ下側から固定用の第2ナット38を螺着する。よって、貫通孔32は、係止部12e、22eに係止される被係止部を兼ねるため、被係止部を別途設ける必要性を無くすることができる。
【0041】
その後、補助装置1における固定用のネジ4を弛めた後、図8(a)に示すように室内機30と一緒に補助装置1を持ち上げ、続いて、図8(b)に示すように補助装置1を傾けて横向き凹部(5)を介してボルト36から補助装置1を取外し、図8(c)に示すように補助装置1を降下させる。この降下に際し、抜き孔(開口部)12f、22fから第2ナット38を下側へ挿通させる。すると、貫通孔32から係止部12e、22eが抜け出して、図8(d)に示すように第2ナット38により金具31がボルト36に仮止めされる。この操作は、各補助装置1毎に別々に行うのが好ましいが、同時に行ってもよい。
【0042】
よって、本実施形態の補助装置1による場合には、ボルト36への第2ナット38の装着により室内機30を支持して仮止めすることができ、しかも仮止めに際してボルト36からの取外しができる。
【0043】
また、本実施形態では、無負荷状態で、両揺動部材10、20における内側の両板状片12c、22cの間の間隔が、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されているので、金具31を下側から接近部12d、22dへ向けて上昇させると、自然に両揺動部材10、20がその下端を開くように揺動するので、一対の揺動部材10、20に対して何ら手で操作をすることなく、金具31を接近部12d、22dの上方まで上昇させ得る。
【0044】
なお、上述した実施形態では吊下げ部2として、開口5cから第1ナット37を入れ、段付き部5dが第1ナット37で下側から支持されるとともに、ネジ4により第1ナット37に固定される構成としているが、本発明はこれに限らず、他の構成としてもよい。
【0045】
図9は本発明の他の実施形態に係る補助装置を示す正面図であり、図10は図9の補助装置の吊下げ部を示す斜視図、図11は図9の補助装置のストッパの説明図である。この補助装置1Aはボルト36に螺着した第1ナット37の上に支持される吊下げ部2Aを有する。この吊下げ部2Aは、吊下げ部材2bに対して開閉する蓋2cを有し、これら吊下げ部材2bと蓋2cとにおける開閉用ヒンジ2dで支持された側とは反対側の端面2e、2fに、バックル2gと係止片2hとからなるストッパ2iを取付ける。例えば、端面2eに係止片2hを、端面2fにバックル2gをそれぞれ取付ける。そして、バックル2gを係止片2hに引っ掛けて止めたり、或いは解除したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る補助装置を示す正面図である。
【図2】図1の補助装置を左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図2とは反対側の上方から見た斜視図である。
【図4】吊下げ部を示す部分断面図である。
【図5】補助装置を用いて吊下げ対象物である乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるときの説明図である。
【図6】補助装置を用いて浴室の天井から垂下させたボルトに固定用ナットを取付けるまでの工程図である。
【図7】補助装置の係止部を室内機に取付けた金具の貫通孔に係止した状態を示す斜視図である。
【図8】浴室の天井から垂下させたボルトに固定用ナットを取付けた後に補助装置を外す際の工程図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る補助装置を示す正面図である。
【図10】図9の補助装置の吊下げ部を示す斜視図である。
【図11】図9の補助装置のストッパの説明図である。
【図12】特許文献1の補助装置(係止状態)を示す正面断面図である。
【図13】特許文献1の補助装置(解除状態)を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 補助装置
2 吊下げ部
3 吊下げ部本体
4 固定用のネジ
4a 先端
5 横向き凹部
5d 段付き部
10、20 揺動部材
11、21 揺動用のヒンジ
12d、22d 接近部
12e、22e 係止部
12f、22f 開口部(抜け孔)
2A 吊下げ部
2b 吊下げ部材
2c 蓋
2d 開閉用ヒンジ
2i ストッパ
30 室内機(吊下げ対象物)
31 取付用金具
32 貫通孔(被係止部)
35 浴室の天井
36 ボルト
37 補助装置吊下げ用の第1ナット
38 固定用の第2ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室などの天井に、乾燥機の室内機などの吊下げ対象物を吊り下げる際に用いると便利な補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるには、従来当初、天井の複数箇所に吊り下げたボルトにナットを螺着し、室内機にボルトに対応する数、位置で取付けた固定金具を、前記ナットにより下側から支持する方式が採用されていた。
【0003】
ところで、上述した吊り下げ方式では、重量のある室内機を天井近くまで持ち上げつつナットを取付ける必要があり、一人での取付けが困難で作業性が悪いという難点がある。
【0004】
そこで、近年においては、作業性を改善すべく、ナットの代わりに別機構の支持装置を用いて乾燥機の室内機などを天井に取付けることが行われており、その支持装置として、図12及び図13に示す構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この支持装置は、天井から垂設したボルト104に、室内機102に設けたボルト孔103を挿通して支持するもので、水平な枢支ピン111回りに揺動可能な一対の係止部106、106が上下2段設けられ、天井から垂設したボルト104に前述の係止部106が係止する状態と、付勢バネ114の付勢力に抗して解除機構107を内側に押し込むと各係止部106のボルト104に対する係止が解除される状態とになる構成となっている。なお、係止部106は二分割構造となっていて、係止状態のとき、係止部106の先端に形成された雌ネジ面106aがボルト104に噛合するようになっている。
【0006】
よって、付勢バネ114の付勢力により解除機構107を外側に押し出すと、ボルト104に係止部106が係止して室内機102の落下を防止し、付勢バネ114の付勢力に抗して解除機構107を内側に押し込むと支持装置を取り外すことができる。これにより、一人でも取付けが可能になる。
【特許文献1】特開平8−178413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の支持装置による場合には、室内機を支持する間ずっとボルトに取付けておく必要があるため、ナットに比べて大幅にコストが上昇するという難点があった。そこで、このように室内機を取付けた後も取外しができない支持装置に代えて、従来同様にボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置の出現が期待されていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、吊下げ対象物に、貫通孔及び被係止部を有する取付用金具を予め取付けるとともに、天井から垂下させたボルトに補助装置吊下げ用の第1ナットを螺着しておき、前記金具を支持する状態で前記ボルトに固定用の第2ナットを螺着して前記金具を前記ボルトに仮止めする際に前記第1ナットに吊下げられ、仮止め後に取外される補助装置であって、前記ボルトを挿通させる横向き凹部を有し、前記ボルトと前記第1ナットとの段差部にて下側から支持される吊下げ部と、前記吊下げ部の下部であって前記ボルトを挟む2位置にそれぞれ設けられる一対のもので、前記吊下げ部に上端が、下側を前記ボルトに対して接離させ得る状態で揺動用ヒンジを介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部を上下方向の途中位置にそれぞれ有し、前記貫通孔に前記ボルトを挿通させた状態で、下方から両接近部の間に向けて前記金具を上昇させることにより両接近部の間隔が広くなり、前記金具が両接近部の上方に通過すると両接近部の間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材と、両揺動部材のそれぞれに設けられ、両接近部が接近した状態で前記金具を両接近部よりも上方から降下させることにより前記金具の被係止部に係止する係止部とを具備することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の補助装置において、前記一対の揺動部材は、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の補助装置において、前記吊下げ部は、前記横向き凹部の上部がボルト挿通用の狭幅部で、前記横向き凹部の下部が第1ナットの入る広幅部となっていて、その広幅部の横方向の開口幅が前記第1ナットよりも狭く形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の補助装置において、前記吊下げ部は、前記横向き凹部の内部に先端が達するネジを有することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の補助装置において、前記吊下げ部には、開閉用ヒンジを介して前記凹部を塞ぐ蓋と、この蓋を閉じた状態に保持するストッパとが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の補助装置において、前記一対の揺動部材の接近部の近傍に、前記金具の貫通孔に下側から係止する上向きの突出片がそれぞれ設けられ、前記一対の揺動部材の少なくとも一方であって前記突出片の近傍に、前記吊下げ部の前記第1ナットによる吊下げ解除後の降下に伴って前記第2ナットを抜けさせ、前記係止部と前記被係止部との係止を解除させるとともに前記金具を前記第2ナットにより下側から支持させる抜け孔が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の補助装置において、前記突出片が前記係止部として機能しかつ前記貫通孔が前記突出片を係止する被係止部を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、天井から垂下させたボルトに吊下げ部の横向き凹部を入れ、ボルトに螺着した第1ナットにより補助装置の吊下げ部を下側から支持させる。この支持により補助装置の全体が第1ナットに吊り下げられる。そして、ボルトに金具の貫通孔を通して金具を上昇させていく。このとき、上昇する金具により両揺動部材がその下端を広げるように揺動し、両接近部の間隔が互いに広げられて、両接近部の間を金具が通過する。そして、金具の貫通孔が揺動部材の接近部よりも上方位置に達すると、金具を降下させる。このとき、両揺動部材は、自重により接近部同士が接近した状態になっている。金具の降下により、金具の被係止部が、両揺動部材に設けた係止部に係止され、これにより金具が補助装置により保持される。この保持状態において、ボルトに下側から固定用の第2ナットを螺着して補助装置を取外すと、第2ナットにより金具がボルトに仮止めされる。
【0017】
よって、本発明による場合には、ボルトへのナット装着により吊下げ対象物を支持して仮止めすることができ、しかも取外しができる補助装置の提供が可能になる。
【0018】
請求項2の発明による場合には、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように一対の揺動部材が形成されているので、金具を下側から接近部へ向けて上昇させると、自然に両揺動部材がその下端を開くように揺動するので、一対の揺動部材に対して何ら手操作を施すことなく、金具を接近部の上方まで上昇させ得る。
【0019】
請求項3の発明による場合には、第1ナットよりも上方に吊下げ部を位置させた状態から補助装置を水平移動させて、横向き凹部にボルトを通し、その後補助装置を降下させると、広幅部に第1ナットが入込む。このとき、広幅部の横方向の開口幅が第1ナットよりも狭いので、第1ナットから吊下げ部が外れることがない。
【0020】
請求項4の発明による場合には、吊下げ部を第1ナットに吊下げ、ネジを締める方向に回すと、そのネジの先端を第1ナットなどの側面に強固に当接させて、吊下げ部をボルトに固定することができる。
【0021】
請求項5の発明による場合には、吊下げ部を第1ナットに吊下げ、蓋を閉じてストッパを掛けると、吊下げ部を固定することができる。
【0022】
請求項6の発明による場合には、吊下げ部の第1ナットによる吊下げを解除した後に吊下げ部を降下させることに伴って、抜け孔から第2ナットを抜けさせ得る。これに伴って、係止部と被係止部との係止を解除させ得るとともに金具を第2ナットにより下側から支持させ得、補助装置の取外しを簡単に行うことができる。
【0023】
請求項7による場合には、両接近部の間を下側から通って上側に出た金具を、降下させることで、係止部として機能する上向きの突出片が、被係止部を兼ねる貫通孔に係止する。よって、被係止部を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態に係る補助装置を示す正面図、図2は左斜め上方から見た斜視図、図3は図2とは反対側の上方から見た斜視図、図4は吊下げ部を示す部分断面図、図5は補助装置を用いて吊下げ対象物である乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるときの説明図である。
【0026】
図5に示すように、室内機30の四隅には、貫通孔32を有する取付用金具31が予め取付けられているとともに、浴室の天井35の四箇所にはボルト36が垂下状態で取付けられている。また、室内機30を天井35に取付けるより前に、前記ボルト36には補助装置吊下げ用の第1ナット37が螺着される。更に、室内機30は、ボルト36に金具31の貫通孔32を通し、その金具31の下側に固定用の第2ナット38を螺着することで、仮止めされる。
【0027】
一方、図1等に示される本実施形態の補助装置1は、第2ナット38により金具31をボルト36に仮止めする際に、第1ナット37に吊下げられ、仮止め後に取外されるものである。第1ナット37及び第2ナット38としては、本実施形態では一般的な六角ナットを用いるものとして説明するが、四角や八角ナットなどを使用してもよい。
【0028】
この補助装置1の構成は、以下の通りである。即ち、補助装置1は、上部に設けられた吊下げ部2と、吊下げ部2の下側に設けられた一対の揺動部材10、20とを備える。
【0029】
吊下げ部2は、例えば金属製の概略矩形状をした吊下げ部本体3と、固定用のネジ4とを有する。ネジ4としては、図示例では蝶ネジを使用している。吊下げ部本体3は、一側面3aと、この一側面3aに繋がる上面3bおよび下面3cとに開口5a、5b、5cを有する横向き凹部5を有し、この横向き凹部5は前記ボルト36を挿通させるために形成されていて、一側面3aの開口5aはボルト36の直径よりも少し大きく、第1ナット37の二面幅よりも狭い幅寸法で上下方向に形成されている。上面3bの開口5bは開口5aの幅寸法と同じ幅で内奥部が半円状となったU字状に形成されている。下面3cの開口5cは、一側面3a側を開口5aと同じ幅寸法とし、内奥部が開口5aの幅寸法よりも広い概略C字状に形成されており、開口5cの内奥部は開口5aの幅寸法の半分よりも十分に大きい曲率半径であって第1ナット37が入る大きさに設定されている。この概略C字状の開口5cは下面3cから半分以上上側の部位までの範囲に設けられており、横向き凹部5の内奥部は、上側にボルト36を挿通させ得る寸法の狭幅部が形成され、下側に第1ナット37が入り得る広幅部が形成され、これら狭幅部と広幅部との境界に段付き部5dが設けられている。また、横向き凹部5の内奥部には、ネジ4の先端4aが突出するようになっている(図2、図4参照)。なお、一側面3aの開口5aに関しては、図示例では上から下まで同じ開口幅(ボルト36の直径よりも少し大きく、第1ナット37の二面幅よりも狭い幅寸法)としているが、段付き部5dよりも下側の箇所にあっては、第1ナット37が抜け落ちないように、第1ナット37の二面幅よりも小さくなっていてもよい。つまり、一側面3aの開口5aは、段付き部5dよりも上側と下側とで開口幅が異なっていてもよい。
【0030】
よって、垂下状態のボルト36に対して一側面3aの開口5aを一致させ、かつ下面3cを第1ナット37よりも高くして、横向き凹部5にボルト36を挿入させ、その後に補助装置1を少し降下させると、段付き部5dが第1ナット37で支持されることになり、吊下げ部2が第1ナット37に吊り下げられる。そして、ネジ4を締めると、ネジ4の先端4aが、例えば第1ナット37の側面に当接し、吊下げ部2がボルト36に固定される。
【0031】
各揺動部材10、20は、ボルト36を挟む2位置にそれぞれ設けられた一対のものであり、上部に揺動用のヒンジ11、21が設けられ、ヒンジ11、21の下側にはV字状に折れ曲がった揺動下部12、22が設けられている。
【0032】
ヒンジ11、21は、揺動軸部11a、21aを水平にしかつ吊下げ部2の下端に配した状態で、上側の取付面11b、21bを吊下げ部本体3の一側面3aと1つ隣の側面3d、3eに取付けられており、下側の取付面11c、21cには揺動下部12、22が取付けられている。
【0033】
揺動下部12、22は、下端に折り曲げ部12a、22aを有し、外側の板状片12b、22bの上端部が前記取付面11c、21cに取付けられており、内側の板状片12c、22cは非固定状態となっている。よって、揺動下部12、22はヒンジ11、21における揺動軸部11a、21aの回りを白抜矢符方向に揺動可能となっており、揺動軸部11a、21aの下側の実質的に揺動する部分の上端が、吊下げ部2に取付けられた構成となっている。なお、外側の板状片12b、22bと、内側の板状片12c、22cとは、連結片12g、22gで連結されている。
【0034】
内側の板状片12c、22cは、無負荷状態において、上端が互いに最接近する接近部12d、22dとなっていて、内側の両板状片12c、22cの間の間隔は、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されている。また、接近部12d、22dには、上向きに突出した係止部12e、22eが設けられている。この係止部12e、22eは、前記取付用金具31の貫通孔32を被係止部として係止するものである。各係止部12e、22eのそれぞれは、開口部12f、22fを挟んで2つに分離した状態で設けられている。開口部12fは内側の板状片12cと連結片12gとにそれぞれ形成され、開口部22fは内側の板状片22cと連結片22gとにそれぞれ形成されている。これら開口部12f、22fは、後述するように吊下げ部2の第1ナット37による吊下げを解除した後に吊下げ部2を降下させることに伴って、第2ナット38を抜けさせ得る抜け孔として機能するものである。
【0035】
次に、このように構成された補助装置1を用いて、図5に示すように天井35から垂下させたボルト36に、室内機30に取付けた取付用金具31を支持するように第2ナット38を螺着して、金具31をボルト36に仮止めする工程を、図6〜図8に基づき説明する。なお、図6と図8は、方向を90゜ずらして表した図である。
【0036】
図6(a)に示すように、天井35から垂下させたボルト36に第1ナット37を螺着する。次に、図6(b)に示すように、補助装置1を手に持って第1ナット37に吊り下げる。つまり、ボルト36に対して一側面(3a)の開口(5a)を一致させ、かつ下面3cを第1ナット37よりも高くして、補助装置1を水平移動させて横向き凹部(5)にボルト36を挿入させる。その後、図6(c)に示すように、補助装置1を少し降下させると、段付き部(5d)が第1ナット37で支持される。このとき、前述したように一側面(3a)の開口(5a)の開口幅が第1ナット37の二面幅よりも狭く形成されているので、第1ナット37から吊下げ部2が外れることがない。これにより補助装置1から手を離すことが可能になる。その後、図6(d)に示すように、揺動下部12、22の一方または両方を広げ、前記抜け孔(開口部)12f、22fにボルト36を入れるとともに固定用のネジ4を締める。
【0037】
以上の補助装置1のボルト36への取付けを、4本のボルト36のそれぞれに対して行う。
【0038】
次に、図6(e)に示すように、室内機30を手で持ち上げて、取付用金具31の貫通孔32にボルト36の下端を通し、金具31を徐々に上昇させる。このとき、内側の両板状片12c、22cの間の間隔が、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されているので、図6(f)に示すように、金具31の上昇に伴って接近部12dと接近部22dとの間隔が広くなっていき、図6(g)に示すように、両接近部12d、22dの間を金具31が下側から上側へと通過する。このとき、ネジ4により補助装置1が第1ナット37に固定されているので、金具31を上昇させる際に補助装置1が第1ナット37から外れることがない。
【0039】
そして、金具31の貫通孔32が接近部12d、22dよりも上方位置に達すると、図6(h)に示すように、金具31を降下させる。このとき、両揺動部材10、20は、自重により接近部12d、22d同士が接近した状態になっているので、金具31の降下により、金具31の被係止部としての貫通孔32が、係止部12e、22eに係止される。図7は貫通孔32が係止部12e、22eに係止された状態を示す斜視図である。これにより金具31が補助装置1により保持される。この保持操作は、4個の金具31の全てを同時に各補助装置1に対して保持させるように行ってもよく、或いは1つずつ、或いは2または3つを同時に行ってもよい。
【0040】
この保持状態において、図6(i)に示すように、各ボルト36にそれぞれ下側から固定用の第2ナット38を螺着する。よって、貫通孔32は、係止部12e、22eに係止される被係止部を兼ねるため、被係止部を別途設ける必要性を無くすることができる。
【0041】
その後、補助装置1における固定用のネジ4を弛めた後、図8(a)に示すように室内機30と一緒に補助装置1を持ち上げ、続いて、図8(b)に示すように補助装置1を傾けて横向き凹部(5)を介してボルト36から補助装置1を取外し、図8(c)に示すように補助装置1を降下させる。この降下に際し、抜き孔(開口部)12f、22fから第2ナット38を下側へ挿通させる。すると、貫通孔32から係止部12e、22eが抜け出して、図8(d)に示すように第2ナット38により金具31がボルト36に仮止めされる。この操作は、各補助装置1毎に別々に行うのが好ましいが、同時に行ってもよい。
【0042】
よって、本実施形態の補助装置1による場合には、ボルト36への第2ナット38の装着により室内機30を支持して仮止めすることができ、しかも仮止めに際してボルト36からの取外しができる。
【0043】
また、本実施形態では、無負荷状態で、両揺動部材10、20における内側の両板状片12c、22cの間の間隔が、下端の折り曲げ部12a、22aから接近部12d、22dに近づく程に狭くなるように形成されているので、金具31を下側から接近部12d、22dへ向けて上昇させると、自然に両揺動部材10、20がその下端を開くように揺動するので、一対の揺動部材10、20に対して何ら手で操作をすることなく、金具31を接近部12d、22dの上方まで上昇させ得る。
【0044】
なお、上述した実施形態では吊下げ部2として、開口5cから第1ナット37を入れ、段付き部5dが第1ナット37で下側から支持されるとともに、ネジ4により第1ナット37に固定される構成としているが、本発明はこれに限らず、他の構成としてもよい。
【0045】
図9は本発明の他の実施形態に係る補助装置を示す正面図であり、図10は図9の補助装置の吊下げ部を示す斜視図、図11は図9の補助装置のストッパの説明図である。この補助装置1Aはボルト36に螺着した第1ナット37の上に支持される吊下げ部2Aを有する。この吊下げ部2Aは、吊下げ部材2bに対して開閉する蓋2cを有し、これら吊下げ部材2bと蓋2cとにおける開閉用ヒンジ2dで支持された側とは反対側の端面2e、2fに、バックル2gと係止片2hとからなるストッパ2iを取付ける。例えば、端面2eに係止片2hを、端面2fにバックル2gをそれぞれ取付ける。そして、バックル2gを係止片2hに引っ掛けて止めたり、或いは解除したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る補助装置を示す正面図である。
【図2】図1の補助装置を左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図2とは反対側の上方から見た斜視図である。
【図4】吊下げ部を示す部分断面図である。
【図5】補助装置を用いて吊下げ対象物である乾燥機の室内機を浴室の天井に取付けるときの説明図である。
【図6】補助装置を用いて浴室の天井から垂下させたボルトに固定用ナットを取付けるまでの工程図である。
【図7】補助装置の係止部を室内機に取付けた金具の貫通孔に係止した状態を示す斜視図である。
【図8】浴室の天井から垂下させたボルトに固定用ナットを取付けた後に補助装置を外す際の工程図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る補助装置を示す正面図である。
【図10】図9の補助装置の吊下げ部を示す斜視図である。
【図11】図9の補助装置のストッパの説明図である。
【図12】特許文献1の補助装置(係止状態)を示す正面断面図である。
【図13】特許文献1の補助装置(解除状態)を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 補助装置
2 吊下げ部
3 吊下げ部本体
4 固定用のネジ
4a 先端
5 横向き凹部
5d 段付き部
10、20 揺動部材
11、21 揺動用のヒンジ
12d、22d 接近部
12e、22e 係止部
12f、22f 開口部(抜け孔)
2A 吊下げ部
2b 吊下げ部材
2c 蓋
2d 開閉用ヒンジ
2i ストッパ
30 室内機(吊下げ対象物)
31 取付用金具
32 貫通孔(被係止部)
35 浴室の天井
36 ボルト
37 補助装置吊下げ用の第1ナット
38 固定用の第2ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ対象物に、貫通孔及び被係止部を有する取付用金具を予め取付けるとともに、天井から垂下させたボルトに補助装置吊下げ用の第1ナットを螺着しておき、前記金具を支持する状態で前記ボルトに固定用の第2ナットを螺着して前記金具を前記ボルトに仮止めする際に前記第1ナットに吊下げられ、仮止め後に取外される補助装置であって、
前記ボルトを挿通させる横向き凹部を有し、前記ボルトと前記第1ナットとの段差部にて下側から支持される吊下げ部と、
前記吊下げ部の下部であって前記ボルトを挟む2位置にそれぞれ設けられる一対のもので、前記吊下げ部に上端が、下側を前記ボルトに対して接離させ得る状態で揺動用ヒンジを介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部を上下方向の途中位置にそれぞれ有し、前記貫通孔に前記ボルトを挿通させた状態で、下方から両接近部の間に向けて前記金具を上昇させることにより両接近部の間隔が広くなり、前記金具が両接近部の上方に通過すると両接近部の間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材と、
両揺動部材のそれぞれに設けられ、両接近部が接近した状態で前記金具を両接近部よりも上方から降下させることにより前記金具の被係止部に係止する係止部と
を具備することを特徴とする補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補助装置において、
前記一対の揺動部材は、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように形成されていることを特徴とする補助装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の補助装置において、
前記吊下げ部は、前記横向き凹部の上部がボルト挿通用の狭幅部で、前記横向き凹部の下部が第1ナットの入る広幅部となっていて、その広幅部の横方向の開口幅が前記第1ナットよりも狭く形成されていることを特徴とする補助装置。
【請求項4】
請求項3に記載の補助装置において、
前記吊下げ部は、前記横向き凹部の内部に先端が達するネジを有することを特徴とする補助装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の補助装置において、
前記吊下げ部には、開閉用ヒンジを介して前記凹部を塞ぐ蓋と、この蓋を閉じた状態に保持するストッパとが設けられていることを特徴とする補助装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の補助装置において、
前記一対の揺動部材の接近部の近傍に、前記金具の貫通孔に下側から係止する上向きの突出片がそれぞれ設けられ、前記一対の揺動部材の少なくとも一方であって前記突出片の近傍に、前記吊下げ部の前記第1ナットによる吊下げ解除後の降下に伴って前記第2ナットを抜けさせ、前記係止部と前記被係止部との係止を解除させるとともに前記金具を前記第2ナットにより下側から支持させる抜け孔が設けられていることを特徴とする補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の補助装置において、
前記突出片が前記係止部として機能しかつ前記貫通孔が前記突出片を係止する被係止部を兼ねることを特徴とする補助装置。
【請求項1】
吊下げ対象物に、貫通孔及び被係止部を有する取付用金具を予め取付けるとともに、天井から垂下させたボルトに補助装置吊下げ用の第1ナットを螺着しておき、前記金具を支持する状態で前記ボルトに固定用の第2ナットを螺着して前記金具を前記ボルトに仮止めする際に前記第1ナットに吊下げられ、仮止め後に取外される補助装置であって、
前記ボルトを挿通させる横向き凹部を有し、前記ボルトと前記第1ナットとの段差部にて下側から支持される吊下げ部と、
前記吊下げ部の下部であって前記ボルトを挟む2位置にそれぞれ設けられる一対のもので、前記吊下げ部に上端が、下側を前記ボルトに対して接離させ得る状態で揺動用ヒンジを介して取付けられ、揺動により互いが最接近する状態となる接近部を上下方向の途中位置にそれぞれ有し、前記貫通孔に前記ボルトを挿通させた状態で、下方から両接近部の間に向けて前記金具を上昇させることにより両接近部の間隔が広くなり、前記金具が両接近部の上方に通過すると両接近部の間隔が自重で狭くなる一対の揺動部材と、
両揺動部材のそれぞれに設けられ、両接近部が接近した状態で前記金具を両接近部よりも上方から降下させることにより前記金具の被係止部に係止する係止部と
を具備することを特徴とする補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補助装置において、
前記一対の揺動部材は、無負荷状態で、両揺動部材の間の間隔が、下端から接近部に近づく程に狭くなるように形成されていることを特徴とする補助装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の補助装置において、
前記吊下げ部は、前記横向き凹部の上部がボルト挿通用の狭幅部で、前記横向き凹部の下部が第1ナットの入る広幅部となっていて、その広幅部の横方向の開口幅が前記第1ナットよりも狭く形成されていることを特徴とする補助装置。
【請求項4】
請求項3に記載の補助装置において、
前記吊下げ部は、前記横向き凹部の内部に先端が達するネジを有することを特徴とする補助装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の補助装置において、
前記吊下げ部には、開閉用ヒンジを介して前記凹部を塞ぐ蓋と、この蓋を閉じた状態に保持するストッパとが設けられていることを特徴とする補助装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の補助装置において、
前記一対の揺動部材の接近部の近傍に、前記金具の貫通孔に下側から係止する上向きの突出片がそれぞれ設けられ、前記一対の揺動部材の少なくとも一方であって前記突出片の近傍に、前記吊下げ部の前記第1ナットによる吊下げ解除後の降下に伴って前記第2ナットを抜けさせ、前記係止部と前記被係止部との係止を解除させるとともに前記金具を前記第2ナットにより下側から支持させる抜け孔が設けられていることを特徴とする補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の補助装置において、
前記突出片が前記係止部として機能しかつ前記貫通孔が前記突出片を係止する被係止部を兼ねることを特徴とする補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−281576(P2009−281576A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137163(P2008−137163)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(390031635)株式会社きんぱい (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(390031635)株式会社きんぱい (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]