説明

補強された境界部および辺縁部を有するフィルム

本発明は、処理時に辺縁部が破断するリスクが低い、補強された境界部および辺縁部を有するフィルム、そのようなフィルムを製造する方法、そのようなフィルムを製造するためのデバイス、および、そのようなフィルムの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理時に辺縁部が破断するリスクが低い、補強された境界部および辺縁部を有するフィルム、そのようなフィルムを製造する方法、そのようなフィルムを製造するためのデバイス、そのようなフィルムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
延伸フィルムの場合、特にあらかじめ引き伸ばされた延伸フィルムの場合、ロール側面の辺縁は、いずれの場合も、もっとも感受性の高い領域となる。ごく僅かな損傷でも、処理の際、辺縁および境界に破断をもたらすのに十分であることがよくあり、場合によっては離断にまで至る。さらに、フィルムが反転して、そのために接着面同士が接触する場合、および/または、フィルムの両面が接着性である場合には、問題が生じる。なぜならば、このような接着は、フィルムのロールからの解離(ロールの解け)をより困難にし、かつ、同時に、解離の際、辺縁および境界が損傷を蒙る可能性をより高めるからである。
【0003】
辺縁における欠陥部の出現を阻止するために、従来技術においてこれまで採用されてきた方法は、主に、辺縁部においてフィルムを折り重ねることであった。これによって、処理時、フィルムの敏感な辺縁は、該フィルムの外方限界を表すものとはならず、それらの上に被せられる他のフィルム部分によって保護されることになる。このような方法は、特に、特許文献1、2、および3の中に記載されている。これらの特許文書は全て、完全冷却フィルムをその境界部において折り重ね、この状態で前記フィルムを巻き上げることを教示する。
【0004】
同様に、特許文献4にも、その境界部が折り重ねられるフィルムの製法が記載されているが、ただしこの製法においては、後のフィルム処理時に重複辺縁が解けることがないように、重複境界部は、この状態で、加熱シーリングによってさらに固定される。
【0005】
特許文献5には、延伸性フィルムを、該フィルムの中央部において折り重ね、それによって、該フィルムを多重層として互いに重ね、該フィルムを補強、安定化させることが記載されている。
【0006】
特許文献6、7、および8には、フィルムを安定化させるため、特に、その表面に複数の穿孔を有するフィルムを安定化させるための別法が記載されている。その表面に複数の穿孔を有するフィルム(例えば、空気浸透性包装材料のためのフィルム)の加工処理を可能とするために、穴の間に補強ストリップを適用することが提案されている。これによって、穿孔を有するフィルムは、十分な安定性が得られるので、連続的に機械加工することが、好ましくは自動的に加工することが、可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,531,393号(US 5,531,393)
【特許文献2】欧州特許出願公開第638 505号(EP-A 638 505)
【特許文献3】特開昭50−53464号公報(JP-A 5005 3464)
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 095 759号(EP-A 1 095 759)
【特許文献5】米国特許第4,905,451号
【特許文献6】国際公開第O01/60709号(WO01/60709)
【特許文献7】国際公開第03/059750号(WO03/059750)
【特許文献8】国際公開第2006/018028(WO2006/018028)
【特許文献9】欧州特許出願公開第1 201 406号(EP-A 1 201 406)
【特許文献10】欧州特許出願公開第1 022 131号(EP-A 1 022 131)
【特許文献11】国際公開第95/15851号(WO 95/15851)
【特許文献12】国際公開第96/29203号(WO 96/29203)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、単純かつ効果的なやり方で、その辺縁が生産加工時に機械的影響から保護されるフィルムを提供することである。この生産加工は、特に、フィルムの射出形成、またはフィルムの鋳型形成を含み、さらに、製造工程時、または後続加工時において別の処理を含んでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、補強された境界部および辺縁部を有するフィルムの製造方法であって、さらに別のフィルムのストリップが、フィルムの各境界に適用され、それによって、該フィルムが、少なくとも辺縁領域において少なくとも二重とされる方法、そのような方法を実行するためのデバイス、および、各境界に、フィルム辺縁を補強する、さらに別のフィルムのストリップを有するフィルム、によって達成される。
【0010】
本発明と関連して、フィルムの「辺縁」とは、フィルムの各側面(右左の意味における側面)における外方限界、特に、フィルムの最外側限界(フィルム平面に対して垂直な方向)を意味し、一方、「境界」とは、辺縁(フィルム平面に対して垂直な)からフィルムの中央までのフィルムの外方領域にあるフィルム領域を記述する。したがって、「境界」とは、各場合において、フィルム平面の外方数センチメートル、例えば、各場合において外方10 cm、好ましくは外方8 cm、より好ましくは外方5 cm、さらに好ましくは外方3 cmを意味するものと理解しなければならない。特に好ましくは、本用語「境界」は、各場合において、フィルムの最外側2ミリメートルから1センチメートルをカバーする。本明細書では、これらの用語に関する限り、フィルム平面の最外側領域が関連するや否や直ちに、「辺縁」は「境界」となることを理解しなければならない。
【0011】
本発明は、ある特定タイプのフィルムに限定されることはないが、境界および/または辺縁の補強は、特に辺縁において感受性の高いフィルムに、例えば、フィルム厚が5から100 μmの範囲を持つ極薄層フィルムに対して使用されることが好ましい。辺縁の補強は、裂傷および損傷リスクを低減する目的に役立つ。フィルムの境界部にストリップを適用することによって、該フィルムの各辺縁は「補強され」、そのため、辺縁の機械的負荷の際の損傷リスクは低減される。辺縁の「補強」は、境界部に多重層を含むフィルムによって実現される。ストリップが適用されると、その領域においてフィルムは2重層となり;2枚のストリップが互いに重ねられると、フィルムは3重層となり;などと続く。
【0012】
本発明では、「多重」と「多層」とを区別しなければならない。「多重」フィルムとは、ある一フィルムの、または、特定の構造を持つ、それぞれ異なるフィルムの、複数重層を含む。これは、少なくとも二つの、以前は別々の、一完成フィルム、または、異なる完成フィルムを含み、互いに重ねられて「積層」フィルムを形成する複数層を含む。フィルムの個々の(層)の化学的および/または物理的性質は、この場合は一致していてもよいが、あるいは、互いに異なっていてもよい。「多層」フィルムの場合は、フィルムウェブは、異なる層から成り、これらの層は一緒になって該フィルムを形成する。このような多層フィルムは広く知られており、従来技術に記載される;例えば、多くの場合、延伸フィルムは多層フィルムである。本出願の定義によれば、多層フィルムとは、一層を超える化学材料を含むものであれば、いずれのフィルムであってもよい。従来技術において、本定義に基づいて「多層」と呼ばれるフィルムが、同時に「多重」とも記述される場合がしばしばあるが、本定義の下に納まるフィルムは、従来の定義の如何によらず、「多層」と見なすべきである。従来技術における「多層」フィルムの例は、例えば、ただしこれらに限定されないが、特許文献9、10、11、12、および他の多くの出願に記載されるフィルムである。これらの叙述から、多層フィルムとは、複数層、例えば、2、3、4、5、またはそれ以上の層を含む、分離不能ユニットを表すと理解すべきである。もちろん、複数の多層フィルムを、多重層として、例えば、2、3、4重層などとして互いに重ね合わせて、多重フィルムを形成することも可能である。
【0013】
好ましい実施態様では、保護されるフィルム(以後、「保護フィルム」、または単に「フィルム」とする)は、延伸フィルム、好ましくは熱可塑性延伸性包装フィルム、特に、少なくとも一つの接着面を持つ延伸性包装フィルム、すなわち、例えば、接着面と非接着面を持つフィルム、またはそうでなければ、二つの接着面を持つフィルムである。このようなフィルムは、一般に、延伸ラップフィルム、またはラップフィルムとも呼ばれる。このようなフィルムは、開始材料を鋳型成形することによって(「キャストフィルム」)、または、ブロー成形することによって(「ブローフィルム」)製造されてもよい。フィルムの製造タイプは、本発明の目的にとって本質的ではない;むしろ、処理時、ロールから巻き解かされるとき、辺縁裂傷または離断の問題を提示する全てのフィルムが、本発明にとって好適な対象となる。
【0014】
フィルムの部分同士が重なるとき自分自身でシールする延伸性フィルムは、自己接着性フィルムと呼ばれる。これらのフィルムは、一般に、多層フィルムであり、例えば、複数の品目を包装する(例えば、ロールに巻かれたフィルムによって)、または、例えば、共通品目をパレット上に一まとめにするときなど、一群の品目を緊縛および/または包装することが望ましい場合に、使用される。共通品目をパレット上に一まとめにするには、フィルムは、パレット上に置かれる製品、または複数の製品の周囲に緊密に巻きつけられ、フィルムが延伸状態にある限りそれ自身によってシールし、ユニットとして確実な包装を創出する。使用されるフィルムは、包装材料として使用される前、非延伸状態で保存されても、あらかじめ延伸された状態で保存されてもよく、非延伸フィルムの場合は、包装操作時に延伸される。フィルム処理時における、この巻き解きおよび延伸操作において、強い力がフィルムの辺縁に作用する。具体的に言うと、例えば、フィルムロールに対するフィルムの接着力と、フィルムの延伸によってもたらされる拡張力であり、これらは、辺縁損傷のリスク、特に、裂傷リスクまたは離断リスクを必然的にもたらす。
【0015】
本発明によれば、このリスクは、フィルムの境界部に適用されて、該フィルムの辺縁部を補強する、更なるフィルムの少なくとも1枚の別のストリップ(以後「ストリップ」とする)によって抑えられる。特に好ましい実施態様では、ストリップは、フィルム辺縁とほぼ平らに、できるだけ平らになるように適用される。これは、フィルム境界部に対するストリップの適用を、辺縁とほぼ平らに、好ましくは平らになるように行うことによって、または、最初はストリップを辺縁から突出させ、次いで要すれば、フィルムを巻き上げる前に、突出部分を切り落とすことによって、フィルム辺縁を補強することによって実現される。
【0016】
このストリップのために使用することが可能なフィルムは、保護されるフィルムとしても使用可能なものであるならばいずれのフィルムであってもよい。このことは、同じタイプのフィルムをストリップとして使用することも可能であるし、またはそうでなければ、本発明による処理に好適な性質を持つ、別のタイプのフィルムを使用してもよいことを意味する。ストリップとして使用されるフィルムは、好ましくは、接着面と非接着面を持つ延伸性フィルムである。この場合、ストリップは、その接着面がフィルムに直面するように該フィルムに接触させることが好ましい。フィルム自体も接着面および非接着面を有する場合は、ストリップは、フィルムの接着面に適用されることが好ましい。フィルムが二つの接着面を有する場合は、ストリップは、フィルム両面、すなわち上面および下面の境界部に適用されてもよい。ストリップの適用は、辺縁部の「肥厚」効果の外に、さらに別の効果を持つ。すなわち、境界および辺縁部において、ロールに巻かれたフィルムは、まだロールに巻かれたままのフィルムに対しあまりくっつかない。境界部および辺縁部領域において、接着面は、ストリップの適用によって「マスクされる」ので、そこでは接着性が大きく減衰するからである。そのため、感受性領域では、フィルムが巻き解かされるときも、低い接着性のために、暴露されるストレスが大きく減少する。ストリップはさらに、フィルムの両面(上面および下面の意味における)に適用してもよいが、これは、本発明においては好ましくない。なぜならば、このような実施態様は、もし行えば過剰な材料消費を含むと考えられるからである。
【0017】
ある好ましい実施態様では、適用されるストリップは、長軸方向における伸長係数が、フィルム自体ときわめて近似するか、好ましくは同じである、フィルム材料から製造される。ここで、フィルム自体よりも伸びやすいストリップは、すぐに本発明のために使用することが可能であるが、一方、フィルムよりも伸びにくいストリップの、後続加工における使用は好まれないことに注意しなければならない。特に好ましい実施態様では、適用されるストリップは、フィルム自体と同じフィルム材料から成る。
【0018】
本発明によれば、ストリップは、フィルムに対し、その作業の任意の時点で適用されてよい。一実施態様では、ストリップは、例えば、既にロール上に巻き上げられ、再び巻き解かされた、既成のフィルムウェブに適用され、このストリップは、解離フィルムに対し、それがさらに加工されることなく巻き上げられる前に、適用されるか、あるいは、ストリップは、フィルムがさらに延伸される前または後に、該フィルムに適用され、該フィルムはその後再び巻き上げられ、この状態で、その後の処理、例えば、包装材料としての使用、のために利用可能となる。
【0019】
さらに別の好ましい実施態様では、ストリップは、製造工程時、フィルム創出(例えば、射出成形または鋳型形成による)の直後、または、前記フィルムが初めてロールに巻き上げられる前に、該フィルムに適用される。
【0020】
適用のために、ストリップは、例えば、供給デバイスの助けを借りて、あらかじめ指定の位置で、フィルムの直近に置かれ、次いで、前記フィルムと共に偏向ローラーに供給され、そのため、フィルムとストリップとは(遅くとも)ローラー上で接触することになってもよいし、あるいは、ストリップは、要すれば加圧要素を含む、供給デバイスの助けを借りて直接フィルムに接触させられてもよい。この加圧要素は、例えば、小型ローラーまたは弾性材料であってもよく、これは、フィルムの方向に突出し、デバイスにおいて、各ストリップをフィルムと接触させるように配置される。フィルムそのものと同様、ストリップも、好ましくは、フィルムと接触するまでのストリップのガイドをやり易くするため、ある一定張力下に維持される。
【0021】
保護されるフィルムの製造後にストリップが適用される実施態様、すなわち、フィルムは、先ず再び巻き解かれる実施態様では、ストリップが適用され、次いでフィルムが再び巻き上げられるが、供給デバイスまたは加圧要素は、ロールが改めて巻き上げられる前に、配置の適当な位置に挿入される。ストリップが、フィルム製造時に適用される実施態様では、供給デバイスは、好ましくは、フィルム製造のための総合設備の一部となり、好ましくは、製造されるフィルムの巻き上げ前に、総合設備の適切な位置に挿入される。
【0022】
本発明のさらに別の実施態様では、設備は、それぞれ、供給デバイス後およびフィルムの巻上げ前に、切断デバイスを含む。この切断デバイスは、ストリップの辺縁がフィルムの辺縁と平らとなるように、要すれば、ストリップの突出境界部を切り離すのに好適である。
【0023】
従来技術において用いられる、フィルムの側面境界部が折り重ねられる方法に対し、本発明の優れる利点は、一方では、フィルムが、該フィルムに対し直接作用しなければならない折り曲げ機構と接触することがないために、フィルムの暴露される機械的負荷がはるかに低くなることであり、他方では、ストリップは、フィルム辺縁に対し、好ましくはできるだけ平らとなるように付着されるために、フィルムの境界部にたいする不完全な折り重ねによって生じる可能性のある、辺縁領域における不規則性が回避されることである。例えば、境界部の上に折り重ねられる場合、空気が捕捉されたり、または、フィルムが、それ自身と早くくっつきすぎて、そのため、フィルム自身の境界部同士が不正に重ねられる可能性がある。本発明の実施態様の場合、そのような欠陥は回避することが可能である。さらに別の利点として、本発明による方法は、フィルムの境界領域に多重効果を提供することによって、多重辺縁、例えば、二重辺縁を製造する。この辺縁は、単純辺縁に比べ、はるかに大きな強度値を持ち得るので、フィルムの損傷または裂傷を低減することが可能である。この利点は、辺縁に対してやや外れて適用されるストリップの場合でも実現される。したがって、ストリップが、辺縁と完全に揃うことは必ずしも絶対的に必要ではない。ただし、ストリップは、フィルムと平ら(少なくともほとんど)であることは好ましい。
【0024】
フィルムの製造工程時、通常、ストリップは、いずれの場合も、射出または鋳型形成後、該フィルムの境界部において、きれいな辺縁の形成を確実にするために、切断される。幅広フィルムの場合は、いわゆる「中央カット」が普通である、すなわち、幅広フィルムでは、フィルムウェブの中央からストリップが切り落とされる。従来、このようにして得られる切断ストリップは、通常、不可避のスクラップとして廃棄されていた。
【0025】
本発明によれば、フィルムから切り離されたストリップは、その後の使用に備えてロールに巻かれてもよい。もちろん、同じフィルムのフィルム生産から得られたものとは別の他のストリップであっても、本発明の方法のために使用が可能であることは言うまでもない。したがって、本発明の一実施態様では、ストリップは、フィルムに供給される前、ロールに巻かれており、同様に、非延伸状態、または、あらかじめ延伸された状態で、ロールとして保存されてもよい。ストリップとフィルムの接触を引き起こすには、ロールに配置されるストリップの起始部が引き離され、供給デバイスによってフィルムに接触させられる。
【0026】
一実施態様(図1に表される)では、供給デバイス(1)は、例えば、互いに接触し、補給ロール(B)からストリップ(B')を引き出して、該ストリップ(B')を、フィルムウェブ(A)の方向に通す、二つのローラーを含む。代わりに、供給デバイス(1)は、ストリップ(B')が、その上を、フィルムウェブ(A)の方向に通される、単一ロールまたはローラーだけを含んでいてもよい。その際、ローラーは、ストリップ(B')が、フィルムと接触した後、フィルムウェブ(A)の走行運動によって補給ロールから自然に解けるように、すなわち、例えば、それぞれ、その下またはその上を走るフィルム境界部で、フィルムの直上または直下において、フィルムウェブ(A)の走行運動によって自然に解けるように配置される(図2に表される)。この実施態様では、ローラーまたはロールは、ストリップ(B')を、その上にきわめて正確に位置づけることが可能となるように、例えば、要すれば、ロール/ローラーの境界部に、少なくとも一つのストッパーを設けるか、または、ロール/ローラー上でのストリップ(B')の「滑脱」を防止する、いくつかの形式の辺縁制御または調整器を設けるように設計することが好ましいが、必ずしも必要というわけではない。
【0027】
配置は、ストリップをフィルムと接触させる加圧要素(2)を含むことが好ましい。この加圧要素(2)も前のものと同様、所望の位置においてストリップ(B')をフィルムに対して押しつけるように配置されるロールまたはローラーであってもよい。一つの可能な実施態様では、ロールまたはローラーは、外面、すなわち、フィルムウェブの辺縁に対向して走る面に、ストッパーまたはカラー(これに対し、フィルムウェブ(A)および適用ストリップ(B'')の両方が隣接する)を有していてもよい。例えば、このようにして、ストリップ(B')は、フィルムウェブ(A)に対して、フィルム辺縁と平らとなるように位置づけることが可能となる。代わりに、フィルムとストリップが互いに重なり合うことを確実にする、例えば、いくつかの形式の側縁制御または調整器を設けてもよい。しかしながら、このようなストッパーまたはカラー、あるいは、制御または調整器は、本発明によるデバイスにとって必要特徴ではない。加圧要素(2)の、さらに別の実施態様は、弾性材料であるが、これは、一方で、ストリップ(B')をフィルムウェブ(A)に対して、該ストリップを該フィルムに接触させるのに十分な力で押しつけることを可能とするほどの内在応力を抱える弾性材料である。この実施態様では、加圧要素(2)は、例えば、小型のバネガイドローラー、または屈曲性小型プレートであって、その一端は、フィルムウェブ(A)の上にストリップ(B')を所望の場所に位置づけることを可能とする位置に拘束され、その他端は、ストリップ(B')をフィルムウェブ(A)に対して押しつける。好ましくは、この小型プレートの上面は、ストリップに対してできるだけ低い機械的作用しか及ぼさない材料、例えば、不織布、フェルト、軟性プラスチックなどによって覆われる。さらに本実施態様では、フィルムウェブに対するストリップ(B')の正確な位置づけを可能とするために、加圧要素(2)において、フィルムウェブ(A)の辺縁に重なる側面にカラーまたはストッパーが設けられることが好ましい。この実施態様においても、ストリップの位置取りを制御または調整する前述の可能性があるが、ただしそれらの方策のいずれも本発明にとって絶対必要というわけではない。
【0028】
本発明による一実施態様では(図3に表される)さらに、供給デバイス(1)および加圧要素(2)が機能的に一致する、すなわち、両機能が、一つの構成要素において、例えば、補給ロール(B)から供給されるストリップ(B')を、フィルムウェブ(A)に直接接触させるように位置づけられる単一ロールまたはローラーの形状を取る、一構成要素において実現されていてもよい。この実施態様では、例えば、ストリップの補給ロール(B)は、走行するフィルムウェブの下または上に直接位置づけられ、解かれたストリップ(B')は、単一ロールまたはローラーによって、フィルムウェブ(A)に直接接触させられる。
【0029】
上記叙述は、フィルムの各境界にストリップを提供するには、上述のデバイスの一つを、それぞれ、フィルムウェブの各境界面に配置しなければならないと理解すべきである。
【0030】
さらに別の実施態様では(図4に表される)、供給デバイス(1)(=加圧要素)は、フィルムウェブの全体幅の下に完全に納まり、それによってフィルムウェブ(A)およびストリップ(B')が一緒に突き合わされる偏向ローラーであってもよい。この場合、ストリップ(B')は、フィルムウェブ(A)と、両者が一緒に偏向ローラーを通過するときに、接触する。この実施態様の場合、偏向ローラーの側方限界は、上記と同様、ストリップ(B')が、フィルム辺縁と確実に平らとなるようにすることもできる。フィルムの上にストリップを位置づけるための、上述の制御または調整変法は、この実施態様でも可能であるが、必ずしも必要ではない。
【0031】
記述の実施態様のいずれにおいても、供給デバイスまたは加圧要素における側方カラーまたは側方ストッパーは無しですませることが可能である。この場合、ストリップがさらに、フィルム辺縁と平らとならないように適用されることが起こる場合がある。このような場合、設備が、フィルムウェブをロールに巻き上げるデバイスの前に、フィルム辺縁からはみ出すストリップ領域を切り離す切断デバイスを含むことが、可能であり、かつ、好ましいが、必ずしも必要ではない。
【0032】
別に駆動される供給デバイスを持たない実施態様では、補給ロール(B)からのストリップ(B')の巻き解しは、製造工程におけるフィルムウェブ(A)の連続走行によって起こる。本発明による方法および配置では、供給デバイスは別に駆動されないことが好ましい。
【0033】
はっきりと指摘しておかなければならないことは、提示の図面では、ストリップの供給は、それぞれ、下からのものが示してあるが、フィルムの他の側面からの供給も同様に可能であり、かつ、本発明に合致する。ストリップが、フィルムの上面および下面に適用される場合、これらのストリップの供給も、フィルムの上面および下面から行われてよい。
【0034】
フィルムに対するストリップの適用は、フィルムの製造工程において、フィルムが初めてロール状に巻き上げられる前に行われるか、または、既に一度巻き上げられた完成フィルムにおいて行われるが、後者の場合、もう一度巻き解かれ、ストリップが適用され、次いで、フィルムは再び巻き上げられる。この作業の際、さらに別の作業ステップ、例えば、フィルムの延伸(引き伸ばし)が行われてもよい。
【0035】
本発明による方法のさらに別の実施態様(配置は、図5の例によって示される)では、フィルムの射出/鋳型形成後に切り落とされるストリップ(B')が、製造工程時に、フィルムの境界部に対し、本発明の方法にしたがってそれらを適用するために、ロールに初めに巻き上げられることなく、直接使用される。このために、ストリップは、フィルムの境界部において、例えば、切断デバイス(4)の助けを借りて切り離されてもよく、かつ、ストリップは、フィルムウェブ(A)に対し、偏向デバイス(U)の助けを借りて、該フィルムに対し所望の方向および位置を取って当接可能となるように供給される。このため、再び、供給デバイス(1)および/または加圧要素(2)が本配置の中に含まれることが可能であるが、ただし絶対必要というわけではない。もしも例えば、ストリップが、接着面および非接着面を持つフィルムから切り離されるのであれば、一度、例えば、好適な偏向デバイス(U)によってそれを反転し、ストリップの面を翻転させ、フィルムがロールに巻き取られる前に、該フィルムに対し再び適用されると、ストリップの接着面が、フィルムの接着面と接触されるという点で、好ましい。この実施態様の場合、ストリップは、フィルムと同じ材料から成る。これによって、フィルムとストリップは、長軸方向に同じ伸長係数を持つことが保証されるので、その後の処理または使用において、フィルムとストリップの間に応力差は生じない。
【0036】
本実施態様の場合、フィルム製造用配置は、射出形成または鋳型形成フィルムの境界部からストリップ(4)を切り離すための、少なくとも一つのデバイス、あることが好ましいが、必ずしも必要ではない翻転デバイス(U)(これは、ストリップの、以前の上面(フィルムの上面に対応する)が下面となるように離断ストリップを反転させるのに好適である)、要すれば供給デバイス(1)(これは、機能的に翻転デバイス(U)と一致することが可能である)、および好ましくは加圧要素(2)(これは図1から4に関連して上述したように構築されてもよい)を含む。
【0037】
上述の実施態様の一つによって製造されるフィルムは、その両境界部のそれぞれに、同型フィルムまたは異種型フィルムである、別のフィルムストリップを有する、非延伸、またはあらかじめ延伸されたフィルムの形状を取る。このストリップは、フィルムに恒久的に接着し、該フィルムの辺縁を補強することが好ましい。
【0038】
適用されるストリップは、フィルムそのものと同じフィルム厚を持っていてもよいが、または、例えば、体系的影響作用によって所望の一組の特性を発揮するように、より厚くてもよいし、より薄くてもよい。好ましくは、適用されるフィルムストリップは、高々フィルムと同じ厚さ、または、好ましくは、適用されるストリップは、フィルムよりも薄い。ストリップの幅は、フィルムの「境界」に関して上に定義した通りであることが好ましい。
【0039】
フィルム自体は、穿孔または欠陥を全く持たない、完全に閉ざされたフィルムウェブであることが好ましく、ストリップの適用後には、フィルムロール状として供給されることが好ましい。もちろん、フィルムのその後の加工が、フィルムの穴明け加工を排除するものでないことを言うまでもないが、ただし、本発明においては、この加工は好まれない。
【0040】
好ましい型のフィルムは、品目の包装に使用される、接着面と非接着面を持つ、多層延伸フィルムである。このような型のフィルムは、例えば、特許文献9、10、11、12に記載される。これらの文献に記載されるフィルムタイプは、それぞれ、巻き解く際にフィルム辺縁に対する損傷を回避するために、本発明にしたがって、境界部にストリップを備えて提供されることが好ましいが、本発明は、これらの文献に記載されるフィルムタイプに限定されるものではないことを明言しておく。むしろ、巻き解しおよび処理の際、辺縁裂傷の問題を抱えるフィルムウェブであれば、いずれのものであれ、本発明にしたがって操作されてよい。
【0041】
図面は、境界部および辺縁部補強フィルムを製造するための配置に関する各種実施態様を示す。各図面に示されるものは、フィルムウェブ(A)をガイドするためのロールまたはローラー(W)、フィルムに適用されるストリップ(B')の補給ロール(B)、ストリップを供給するための供給デバイス(1)、加圧要素(2)、および、完成製品(3)の(具体的には、適用されたストリップを備えたフィルムの)ロール、の配置である。図4に示されるものは、フィルムの境界部でストリップを切り離す切断デバイス(4)である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】供給デバイス(1)が、二つの駆動ロールまたはローラー、およびさらに加圧要素(2)を含む実施態様が示される。
【図2】供給デバイス(1)が、単一の、非駆動ロールまたはローラーを含む実施態様を示し、加圧要素(2)も示される。
【図3】供給デバイス(1)および加圧要素(2)が、ロールまたはローラーにおいて機能的に合致する実施態様を示す。
【図4】ストリップ(B')とフィルムウェブとの接触が、供給デバイスと加圧要素の機能が合致する、偏向ローラー(1)+(2)において起こる実施態様が示される。
【図5】フィルム製造工程において、ストリップが、フィルムの射出成形/鋳型成形の直後に、切断デバイス(4)によってフィルム境界部から切り離され、この離断ストリップが、先ずロールに巻かれることなく、再びフィルムと接触させられる実施態様が示される。このために、ストリップは、偏向デバイス(U)によって、ストリップが、所望の方向および位置においてフィルムに当接することが可能となるようにフィルムウェブ(A)に供給されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(実施例1)
引っ張り強度
それぞれ500 mm幅および20 μm厚を持つ、三層ポリエチレンフィルム(接着層/コア層/非接着層)の各標本に対し、DIN EN ISO 527-3による引っ張り強度試験を、1回はストリップ付き(それぞれ15 mm幅、20 μm厚;標本番号1から4)、1回はストリップ無し(標本番号5から8)で行った。試験は、各場合において、n=4標本として行った。フィルムの制限長100 mm、力トランスジューサーFmax 200N、初期力0.1 N、試験速度500 mm/分である。
【0044】
表1は、フィルム破断時における伸長に関して得られた値、およびフィルム破断までに消費された力を示す。
【表1】

【0045】
結果から見て取れるように、フィルム境界部に設けられるストリップは、フィルムをきわめて安定化するので、破断(境界部の破断、したがってフィルムの離断)の前の、はるかに大きな伸長を可能とする。
【0046】
(実施例2)
フィルムのロールにおける剥離抵抗の定量
それぞれ500 mm幅および20 μm厚を持つ、三層ポリエチレンフィルム(接着層/コア層/非接着層)の各標本に対し、ASTM D 5458, 1995による剥離抵抗試験を、1回はストリップ付き(それぞれ1インチ=25.4 mm幅、20 μm厚;標本番号1から4)、1回は境界部におけるストリップ無し(標本番号5から7)で行った。力トランスジューサーFmax 200N、条件づけは23℃で>24時間、標本の試験前延伸は0%である。
【0047】
表2は、フィルムにおける剥離力について得られた、g/インチで表した数値を示す。
【表2】

【0048】
得られたデータは、フィルムの境界部にストリップを適用すると、特に、フィルムの境界部において、フィルム負荷がより低くなり、そのために、剥離力が大きく低減されることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強された辺縁部および/または境界部を有するフィルムの製造方法であって、前記フィルムの製造工程時、それが初めて巻き上げられる前に、同じフィルムまたは別のフィルムのストリップが、前記フィルムの境界に、前記フィルムが少なくとも辺縁領域において少なくとも二重となるようにそれぞれ適用される方法。
【請求項2】
前記の別のフィルムのストリップが、それぞれの場合において、接着面と非接着面を有し、前記接着面を保護される前記フィルムに接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストリップは、前記フィルム創出の直後、それが初めて巻き上げられる前に、保護される前記フィルムの上面および/または下面に適用されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルムが延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3の一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルムが少なくとも1つの接着面を有することを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルムの前記接着面が前記ストリップの接着面と接触することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルムと前記ストリップとが長軸方向において同じ伸長係数を有することを特徴とする請求項1〜6の一項に記載の方法。
【請求項8】
ストリップが、前記フィルムの射出または鋳型形成直後に前記フィルムの境界部において切断され、適切であれば、前記ストリップは翻転させられ、それが初めて巻き取られる前であっても、前記フィルムと再び接触させられることを特徴とする請求項1〜7の一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8の一項に記載の補強されている辺縁部を有するフィルムを製造するためのデバイスであって、前記デバイスがフィルムウェブをガイドするためのロール配置、前記フィルムのための巻き上げデバイスの前に少なくとも1つのフィルムストリップの供給デバイス、およびストッパーまたは他の形式の辺縁制御または調整を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
前記フィルムストリップが前記フィルムの境界部に適用されるように前記フィルムストリップの供給デバイスが位置づけられていることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスがさらに、はみ出す境界部を除くための切断デバイスを含むことを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
別のフィルムの少なくとも1つのストリップを境界部にそれぞれ有することによりフィルムの境界部が多重となり、前記ストリップがフィルム辺縁と、できるだけほぼ平らになるように終結している、補強された辺縁部および/または境界部を有するフィルム。
【請求項13】
前記フィルムが穿孔を持たない、連続的に閉ざされたフィルムであることを特徴とする請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
少なくとも1つの接着面を有し、前記ストリップが少なくとも1つの接着面に設けられていることを特徴とする請求項12または13に記載のフィルム。
【請求項15】
請求項12〜14の一項に記載のフィルムの品目の包装のための使用。
【請求項16】
請求項12〜14の一項に記載のフィルムのさらなる加工または製造のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−500352(P2011−500352A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528309(P2010−528309)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008476
【国際公開番号】WO2009/049804
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510099796)ドゥオ プラスト アクチェン ゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】